説明

ベースライン補正装置

【課題】効率良くベースラインの変動を補正することのできる記憶装置を提供する。
【解決手段】リードチャネル32は、可変利得増幅器311、ローパスフィルタ312、AGC317、アナログ/ディジタル変換器313、周波数シンセサイザ314、フィルタ315、ソフト出力検出部320、LDPC復号部322、同期信号検出部321、ランレングス制御復号部323、デスクランブラ324、第1ベースライン変動補正部(first baseline wander corrector)330とから構成されている。第1ベースライン変動補正部330は、フィードフォワード制御にて、ベースラインの変動を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶媒体へのアクセス技術に関し、特に、入力信号のベースラインを補正するベースライン補正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスクドライブの分野では、記録密度の向上が可能な垂直磁気記録方式のディスク記憶装置が注目されている。従来の長手磁気記録方式のディスクドライブでは、2値の記録データに対応する磁化がディスク媒体の長手方向に形成される。これに対して、垂直磁気記録方式のディスクドライブでは、当該磁化がディスク媒体の深さ方向に形成される。
【0003】
一般的に、ディスクドライブでは、データは、NRZ(non return to zero)記録符号方法によりディスク媒体上に記録される。このディスク媒体上からヘッドにより記録データが読出された場合、長手磁気記録方式では、その再生信号(リード信号)はダイパルス信号列となる。一方、垂直磁気記録方式では、当該再生信号は、直流(DC)の低周波成分を含むパルス信号列となる。
【0004】
一般的に、ディスクドライブのリードチャネル系(リードアンプを含む再生信号処理系)では、リードアンプやACカップリングなどのアナログフロントエンド回路は、低域遮断特性を持っている。これは、再生信号から不要な低域ノイズ成分を除去して、再生信号のSNR(信号/ノイズレート)を改善するなどの理由からである。
【0005】
垂直磁気記録方式では、再生信号には低周波成分が含まれるため、低域遮断特性を持つアナログフロントエンド回路により低域ノイズ成分がカットされると、再生信号のベースラインが変動する現象が確認されている。このような再生信号のベースライン変動が起きると、再生信号から記録データを復号化するときに、エラーレート(復号誤り率)が高くなるという問題が生じる。
【0006】
これを改善するためには、リードチャネル系の低域遮断周波数を低下させることが考えられる。しかしながら、単に通過帯域を広げると、低域ノイズ成分をカットできないため、再生信号のSNR劣化を招く。また、特に、リードアンプは、一般的に1/fノイズなどの低周波ノイズに敏感であるため、一段とSNRが劣化する。従って、垂直磁気記録方式では、単純にリードチャネル系の低域遮断周波数を低下させると、エラーレートが逆に高くなる。
【0007】
従来のベースライン変動に対処する方法としては、ベースラインの理想値を求め、現実のベースラインの値と差分をとり、その値をAD変換器の手前にフィードバックして補正する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。また、ベースラインの変動成分の逆特性を求め、変動したベースラインとの差分を求めることにより、変動のないベースラインを得る技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。また、アナログ信号の直流成分を検出し、その合計値を使ってベースライン変動を補正する方法が提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2004−127409号公報
【特許文献2】特開平11−185209号公報
【特許文献3】特開平11−266185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者はこうした状況下、以下の課題を認識するに至った。従来は、ベースラインを補正する補正量を計算し、前段にフィードバックして補正していたため、補正量の計算等による時間だけ、補正をする時期が遅くなってしまう。近年の記憶装置は、1G bpsを超える速度で読み書きのアクセスを行うことが要求されているため、この遅延は致命的となりうる。すなわち、ベースライン補正を行ったとしても、その補正に用いる補正量は、過去のデータに基づいて求めたものであるので、正確な補正ができないこととなる。したがって、より高速でアクセスすることが求められる場合は、このベースラインの変動がエラー訂正などの後段の回路に悪影響を与えてしまうといった点が課題となる。
【0010】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、高速でアクセスすることが求められる記憶装置において、効率良くベースラインの変動を補正することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のベースライン補正装置は、AD変換されたデジタル信号が入力される入力部と、入力部に入力されるデジタル信号に基づいて、その長期的な変動の有無を判定するベースライン変動判定部と、入力部に入力されるデジタル信号に基づいて、その長期的な変動に依存する補正信号を生成する補正信号生成部と、判定部に基づき、ベースラインの変動があると判定された場合には補正信号生成部の補正信号に基づいて入力部からのデジタル信号に補正をかけるとともにベースラインの変動がないと判定されたときには前期入力部からのデジタル信号に補正をかけない補正部と、を有することによってデジタル信号のベースライン変動を補正する。
【0012】
ここで、「長期的な変動の有無を判定する」とは、所定期間内において入力されたデジタル信号が示すベースラインに変動が発生したか否かを判定することを含む。「長期的な変動に依存する補正信号を生成する」とは、ベースラインの変動量を推定し、推定した変動量を補正する量として規定することを含み、この場合、補正信号は、推定した変動量であってもよいし、推定した変動量に重みを乗じた値であってもよい。この態様によると、ベースラインの変動があるときのみ補正することによって、効率よく補正できる。
【0013】
本発明の別の態様もまた、ベースライン補正装置である。この装置は、AD変換されたデジタル信号が入力される入力部と、入力部に入力されるデジタル信号を経時的に三値のいずれかをとる判定信号に変換する変換部と、変換部からの判定信号の移動平均をとる移動平均化部と、移動平均化部の出力に基づき、判定信号が経時的にバランスしているかどうかを判定する判定部と、判定部の出力に基づき、判定信号が経時的にバランスしていないときには入力部からのデジタル信号に補正をかけるとともに、判定信号が経時的にバランスしているときにはデジタル信号に補正をかけない補正部と、を有することによってデジタル信号のベースライン変動を補正する。
【0014】
ここで、「経時的にバランス」とは、一定期間内において、ベースラインの変動量が所定の範囲内に収まっている態様を含む。この態様によると、判定信号が経時的にバランスしていないときのみ補正をかけることによって、効率的に補正できる。また、三値の判定信号を用いることによって、判定部を容易にできる。
【0015】
移動平均化部は、判定信号において、三値の中央値が所定期間続くときまたはこの中央値を挟んで反対側にある二値の個数の差が所定期間で所定数以下である第一の場合と、中央値を挟んで反対側にある二値の個数の差が所定期間で所定数以上である第二の場合で異なる出力を発生するよう構成されるとともに、判定部は移動平均化部の出力に基づき、第一の場合に判定信号の値が径時的にバランスしていると判定してもよい。
【0016】
ここで、「三値の中央値」とは、三値のうちの真ん中の値を含む。また、「中央値を挟んで反対側にある二値」とは、三値のうちの最大値と最小値を含む。この場合、三値の判定信号を用いることによって、判定所を容易にできる。容易に判定できる。
【0017】
判定信号は、「−1」、「0」、「1」の三値であるとともに、移動平均化部は、これら三値を「0」、「1」、「2」の変換信号にそれぞれ変換すると共に変換信号の経時的変化を所定期間加算して出力し、判定部は、加算出力が所定範囲内にあれば判定信号が第一の場合であると判定してもよい。「経時的変化を所定期間加算して出力」とは、移動平均処理などの平均化処理であってもよい。この場合、「0」以上の変換信号を用いることによって、後段の回路構成を容易に実現できる。
【0018】
補正部は、デジタル信号の移動平均に基づいてデジタル信号のベースラインを補正する補正手段を有してもよい。移動平均を用いて補正することによって、変動に追従しながら、正確に補正できる。
【0019】
判定信号は「−1」、「0」、「1」の三値であるとともに、移動平均化部は、これら三値を「0」以上の変換信号にそれぞれ変換すると共に変換信号の経時的変化を所定期間加算して出力し、判定部は、加算出力が所定範囲内にあれば判定信号が第一の場合であると判定してもよい。この場合、「0」以上の変換信号を用いることによって、後段の回路構成を容易に実現できる。
【0020】
本発明の別の態様もまた、信号処理装置である。この装置は、入力信号に所定の処理が施される処理経路中に設けられたベースライン変動補正部であって、ベースライン変動補正部は、所定の処理が施された信号のベースラインの変動量を導出するベースライン変動量導出部と、ベースライン変動量導出部によって導出されたベースラインの変動量を調整してベースラインの補正量を出力する調整部と、を有する。
【0021】
この態様によると、効率的にベースラインの変動を補正することができる。
【0022】
本発明の別の態様もまた、信号処理装置である。この装置は、信号処理装置において、処理経路中にはA/D変換器が設けられ、ベースライン変動補正部は、当該A/D変換器の出力側であるデジタル信号経路に配置され、かつ、フィードフォワード制御によって、ベースラインの変動を補正する。
【0023】
この態様によると、フィードフォワード制御によって補正を行っているので、瞬時変動に対応してベースラインの変動を補正できる。
【0024】
本発明のさらに別の態様もまた、信号処理装置である。この装置は、信号処理装置において、調整部は、ベースライン変動量導出部の出力信号の平均値を計算する平均部と、平均部によって計算された平均値に所定の重み係数を乗ずる重み付け部と、を有する。
【0025】
この態様によると、平均をとることによって、雑音などの影響を低減できる。また、重み係数によって、反応速度を調節できる。
【0026】
本発明のさらに別の態様もまた、信号処理装置である。この装置は、信号処理装置において、ベースライン変動補正部は、補正の許否を制御する補正許可制御部を有し、ベースライン変動補正部は、補正許可制御部の制御に基づいて、信号のベースライン変動の補正をフィードフォワード制御により実施する。
【0027】
この態様によると、補正の許否を判断してベースライン変動を補正するので、効率良く補正できる。
【0028】
本発明のさらに別の態様もまた、信号処理装置である。この装置は、信号処理装置において、補正許可制御部は、ベースライン変動の補正を不要と判定した場合、ベースライン変動補正部による補正を禁止する。
【0029】
この態様によると、補正すべきでない場合は、補正を行わないので、効率よく補正できる。
【0030】
本発明のさらに別の態様もまた、信号処理装置である。この装置は、信号処理装置において、補正許可制御部は、ベースライン変動量が所定のしきい値より小さい場合は、ベースライン変動の補正を不要と判定する。
【0031】
この態様によると、しきい値により、補正の許否を判断するので、柔軟な制御が可能となる。
【0032】
本発明のさらに別の態様もまた、信号処理装置である。この装置は、信号処理装置において、変動量導出部は、所定の処理が施された信号の硬判定処理を行うスライサと、所定の処理が施された信号からスライサによって硬判定処理された信号を減じる減算器とを有する。
【0033】
この態様によると、硬判定処理の結果を用いることによって、高速に変動量を求めることができる。
【0034】
本発明のさらに別の態様もまた、信号処理装置である。この装置は、信号処理装置において、変動量導出部は、所定の処理が施された信号と平均部の出力信号を入力とし、所定の選択信号に従って、所定の処理が施された信号と平均部の出力信号のいずれかの信号をスライサに出力するセレクタをさらに有する。
【0035】
この態様によると、セレクタによって、変動量を計算する元となる信号を選択できるので柔軟な制御ができる。また、変動量を計算する元となる信号を平均部の出力とすることによって、より正確な変動量を導出できる。
【0036】
本発明のさらに別の態様は、信号処理方法である。この方法は、所定の処理が施された信号のベースラインの変動量を導出するベースライン変動量導出ステップと、ベースライン変動量導出ステップによって導出されたベースラインの変動量を調整してベースラインの補正量を出力する調整ステップと、を含む。
【0037】
この態様によると、効率的にベースラインの変動を補正することができる。
【0038】
本発明のさらに別の態様は、記憶システムである。この記憶システムは、データを記憶装置に書き込むライトチャネルと、記憶装置に記憶されているデータを読み出すリードチャネルを有する信号記憶システムであって、ライトチャネルは、データをランレングス符号化する第1の符号化部と、第1の符号化部で符号化されたデータを低密度パリティ検査符号を用いてさらに符号化する第2の符号化部と、第2の符号化部で符号化されたデータを記憶装置に書き込む書き込み部と、を有し、リードチャネルは、記憶装置から読み出したデータのベースライン変動を補正するベースライン変動補正部と、ベースライン変動補正部でベースラインが補正されたデータの尤度を計算して軟判定値を出力するソフト出力検出部と、ソフト出力検出部から出力されたデータを復号する、第2の符号化部に対応する、第2の復号部と、第2の復号部で復号されたデータを復号する、第1の符号化部に対応する、第1の復号部と、を有し、ベースライン変動補正部は、所定の処理が施された信号のベースラインの変動量を導出するベースライン変動量導出部と、ベースライン変動量導出部によって導出されたベースラインの変動量を調整してベースラインの補正量を出力する調整部と、を有する。
【0039】
この態様によると、ベースライン変動を効率的に補正できるので、後段の復号部などに対するベースラインの変動による影響を低減することができ、より高速に記憶システムにアクセスすることができる。
【0040】
本発明のさらに別の態様は、記憶システムである。この記憶システムは、記憶システムにおいて、当該記憶システムは、さらに、データを記憶する記憶装置と、記憶装置へのデータの書き込みと、記憶装置からのデータの読み出しとを制御する制御部と、を有し、リードチャネルは、制御部の指示に従って、記憶装置に記憶されているデータを読み出し、ライトチャネルは、制御部の指示に従って、所定のデータを記憶装置に書き込む記憶システム。
【0041】
この態様によると、ベースライン変動を効率的に補正できるので、後段の復号部などに対するベースラインの変動による影響を低減することができ、より高速に記憶システムにアクセスすることができる。
【0042】
本発明のさらに別の態様は、半導体集積回路である。この半導体集積回路は、データを記憶装置に書き込むライトチャネルと、記憶装置に記憶されているデータを読み出すリードチャネルを有する半導体集積回路であって、ライトチャネルは、データをランレングス符号化する第1の符号化部と、第1の符号化部で符号化されたデータを低密度パリティ検査符号を用いて符号化する第2の符号化部と、第2の符号化部で符号化されたデータを記憶装置に書き込む書き込み部と、を有し、リードチャネルは、記憶装置から読み出したデータのベースライン変動を補正するベースライン変動補正部と、ベースライン変動補正部でベースラインが補正されたデータの尤度を計算して軟判定値を出力するソフト出力検出部と、ソフト出力検出部から出力されたデータを復号する、第2の符号化部に対応する第2の復号部と、第2の復号部で復号されたデータを復号する、第1の符号化部に対応する第1の復号部と、を有し、ベースライン変動補正部は、所定の処理が施された信号のベースラインの変動量を導出するベースライン変動量導出部と、ベースライン変動量導出部によって導出されたベースラインの変動量を調整してベースラインの補正量を出力する調整部と、を有する。また、少なくとも1つの半導体基板上に一体集積化されている。
【0043】
この態様によると、ベースライン変動を効率的に補正できるので、後段の復号部などに対するベースラインの変動による影響を低減することができ、より高速に記憶システムにアクセスすることができる。
【0044】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、高速アクセスを行う記憶装置において、ベースライン変動を補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という。)について説明する。
【0047】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態を具体的に説明する前に、まず本実施形態にかかる記憶装置について簡単に述べる。本実施形態にかかる記憶装置は、ハードディスクコントローラと、磁気ディスク装置と、リードチャネルとライトチャネルを含むリードライトチャネルと、を有する。リードチャネルにおいては、磁気ディスク装置から読み出したデータに対し、フィードフォワード制御をもって、前述したベースライン変動を補正する。このような構成をとることにより、ベースラインが瞬時に大きく変動した場合であっても、補正の際に要する遅延の影響を受けないで、ベースライン変動を効率良く補正することができる。詳細は後述する。
【0048】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る磁気ディスク装置100の構成例を示す図である。図1の磁気ディスク装置100は、大きく分けて、ハードディスクコントローラ1(以下、「HDC1」と略記する。)、中央処理演算装置2(以下、「CPU2」と略記する。)、リードライトチャネル3(以下、「R/Wチャネル3」と略記する。)、ボイスコイルモータ/スピンドルモータ制御部4(以下、「VCM/SPM制御部4」と略記する。)、及びディスクエンクロージャ5(以下、「DE5」と略記する。)からなる。一般に、HDC1、CPU2、R/Wチャネル3、及びVCM/SPM制御部4は同一の基板上に構成される。
【0049】
HDC1は、HDC1全体を制御する主制御部11、データフォーマット制御部12、誤り訂正符号化制御部13(以下、「ECC制御部13」と略記する。)及びバッファRAM14を含む。HDC1は、図示しないインタフェース部を介してホストシステムと接続される。また、R/Wチャネル3を介して、DE5と接続されており、主制御部11の制御により、ホストとDE5の間のデータを転送する。このHDC1には、R/Wチャネル3で生成されるリードリファレンスクロック(RRCK)が入力される。データフォーマット制御部12は、ホストから転送されたデータをディスク媒体50上に記録するのに適したフォーマットに変換し、逆に、ディスク媒体50から再生されたデータをホストに転送するのに適したフォーマットに変換する。ディスク媒体50は、たとえば、磁気ディスクを含む。ECC制御部13は、ディスク媒体50から再生されたデータに含まれる誤りの訂正及び検出を可能にするために、記録するデータを情報シンボルとして、冗長シンボルを付加する。またECC制御部13は、再生されたデータに誤りが生じているかを判断し、誤りがある場合には訂正或いは検出する。但し、誤りが訂正できるシンボル数は有限であり、冗長データの長さに関係する。即ち、多くの冗長データを付加するとフォーマット効率が悪化するため、誤り訂正可能シンボル数とはトレードオフとなる。ECCとしてリードソロモン(RS)符号を利用して誤り訂正する場合、(冗長シンボル数/2)個までの誤りを訂正できる。バッファRAM14は、ホストから転送されたデータを一時的に保存し、適切なタイミングでR/Wチャネル3に転送する。逆に、R/Wチャネル3から転送されたリードデータを一時的に保存し、ECC復号処理などの終了後、適切なタイミングでホストに転送する。
【0050】
CPU2は、フラッシュROM21(以下、「FROM21」と略記する。)、及びRAM22を含み、HDC1、R/Wチャネル3、VCM/SPM制御部4、及びDE5と接続される。FROM21には、CPU2の動作プログラムが保存されている。
【0051】
R/Wチャネル3は、ライトチャネル31とリードチャネル32とに大別され、HDC1との間で記録するデータ及び再生されたデータを転送する。また、R/Wチャネル3は、DE5と接続され、記録信号を送信し、再生信号を受信する。詳細は後述する。
【0052】
VCM/SPM制御部4は、DE5中のボイスコイルモータ52(以下、「VCM52」と略記する。)とスピンドルモータ53(以下、「SPM53」と略記する。)を制御する。
【0053】
DE5は、R/Wチャネル3と接続され、記録信号を受信し、再生信号を送信する。またDE5は、VCM/SPM制御部4と接続されている。DE5は、ディスク媒体50、ヘッド51、VCM52、SPM53、及びプリアンプ54等を有している。図1の磁気ディスク装置100においては、ディスク媒体50が1枚であり、且つヘッド51がディスク媒体50の一方の面側のみに配置されている場合を想定しているが、複数のディスク媒体50が積層配置された構成であってもよい。また、ヘッド51は、ディスク媒体50の各面に対応して設けられるのが一般的である。R/Wチャネル3により送信された記録信号は、DE5内のプリアンプ54を経由してヘッド51に供給され、ヘッド51によりディスク媒体50に記録される。逆に、ヘッド51によりディスク媒体50から再生された信号は、プリアンプ54を経由してR/Wチャネル3に送信される。DE5内のVCM52は、ヘッド51をディスク媒体50上の目標位置に位置決めするために、ヘッド51をディスク媒体50の半径方向に移動させる。また、SPM53は、ディスク媒体50を回転させる。
【0054】
ここで、図2を用いて、R/Wチャネル3について説明する。図2は、図1のR/Wチャネル3の構成例を示す図である。R/Wチャネル3は、大きく分けて、ライトチャネル31とリードチャネル32から構成される。
【0055】
ライトチャネル31は、バイトインターフェース部301、スクランブラ302、ランレングス制御符号化部303(以下、「RLL符号化部303」と略記する。)、低密度パリティチェック符号化部304(以下、「LDPC符号化部304」と略記する。)、書き込み補償部305(以下、「ライトプリコン部305」と略記する。)、ドライバ306を含む。
【0056】
バイトインターフェース部301では、HDC1から転送されたデータが入力データとして処理される。メディア上に書き込むデータは1セクタ単位でHDC1から入力される。このとき1セクタ分のユーザデータ(512バイト)だけでなく、HDC1によって付加されたECCバイトも同時に入力される。データバスは通常1バイト(8ビット)であり、バイトインターフェース部301により入力データとして処理される。スクランブラ302はライトデータをランダムな系列に変換する。同じパターンのデータの繰り返しは、リード時における検出性能に悪影響を与え、エラーレートを悪化させるのを防ぐためである。RLL符号化部303は0の最大連続長を制限するためのものである。0の最大連続長を制限することによりリード時の自動利得制御部317(以下、「AGC317」と略記する。)などに適したデータ系列にする。
【0057】
LDPC符号化部304は、データ系列をLDPC符号化して冗長ビットであるパリティビットを含む系列生成する役割を有する。LDPC符号化は、生成行列と呼ばれるk×nの行列に、長さkのデータ系列を左から掛け合わせる。この生成行列に対応する検査行列Hに含まれる各要素は、0もしくは1であり、1の数が0の数に比べて少ないことから、低密度パリティ検査符号(Low Density Parity Check Codes)と呼ばれている。この1と0の配置を利用することによって、後述するLDPC復号部322にて、効率的にエラーを訂正できる。
【0058】
ライトプリコン部305は、メディア上の磁化転移の連続による非線形歪を補償する回路である。ライトデータから補償に必要なパターンを検出し、正しい位置で磁気転移が生ずるようにライト電流波形を予め調整をする。ドライバ306は擬似ECLレベルに対応した信号を出力するドライバである。ドライバ306からの出力は図示しないDE5に送られ、プリアンプ54を通してヘッド51に送られ、ライトデータがディスク媒体50上に記録される。
【0059】
リードチャネル32は、可変利得増幅器311(以下、「VGA311」と略記する。)、ローパスフィルタ312(以下、「LPF312」と略記する。)、AGC317、アナログ/ディジタル変換器313(以下、「ADC313」と略記する。)、周波数シンセサイザ314、フィルタ315、ソフト出力検出部320、LDPC復号部322、同期信号検出部321、ランレングス制御復号部323(以下、「RLL復号部323」と略記する。)、デスクランブラ324、第1ベースライン変動補正部(first baseline wander corrector)330とから構成されている。
【0060】
VGA311及びAGC317は、図示しないプリアンプ54から送られたデータのリード波形の振幅を調整する。AGC317は理想的な振幅と実際の振幅を比較し、VGA311に設定すべきゲインを決定する。LPF312は、カットオフ周波数とブースト量を調整することができ、高周波ノイズの低減と部分応答(Partial Response。以下、「PR」と略記する。)波形への等化の一部を担う。LPF312でPR波形への等化を実行するが、ヘッドの浮上量変動、媒体の不均一性、モータの回転変動などの多くの要因により、アナログのLPFによる完全な等化は難しいので、後段に配置され、よりフレキシビリティに富んだフィルタ315を用いて、再度PR波形への等化を実行する。フィルタ315は、そのタップ係数を適応的に調整する機能を有していてもよい。周波数シンセサイザ314は、ADC313のサンプリング用クロックを生成する。ADC313は、AD変換により直接同期サンプルを得る構成とした。なお、この構成の他に、AD変換により非同期サンプルを得る構成であってもよい。この場合は、ゼロ相リスタート部、タイミング制御部、及び補間フィルタをさらにADC313の後段に設ければよい。非同期サンプルから同期サンプルを得る必要があり、これらのブロックがその役割を担う。ゼロ相リスタート部は初期位相を決定するためのブロックで、できるだけ早く同期サンプルを得るために用いられる。初期位相を決定した後は、タイミング制御部で理想的なサンプル値と実際のサンプル値を比較し、位相のずれを検出する。これを用いて補間フィルタのパラメータを決定することにより、同期サンプルを得ることができる。
【0061】
第1ベースライン変動補正部330は、フィードフォワード制御にて、ベースラインの変動を補正する。詳細は後述する。
【0062】
ソフト出力検出部320は、符号間干渉に伴う復号特性の劣化を回避するために、ビタビアルゴリズムの一種であるソフト出力ビタビアルゴリズム(Soft−Output Viterbi Algorithm。以下、「SOVA」と略記する。)が用いられる。すなわち、近年の磁気ディスク装置の記録密度の上昇に伴い、記録された符号間の干渉が大きくなり、復号特性が劣化するといった課題を解決するため、これを克服する方式として符号間干渉による部分応答を利用した最ゆう復号(Partial Response MaximumLikelihood。以下、「PRML」と略記する。)方式を用いる。PRML方式は、再生信号の部分応答のゆう度を最大にする信号系列を求める方式である。ソフト出力検出部320からの出力はLDPC復号部322のソフト値入力として用いることができる。例えば、SOVAの出力として、(0.71, 0.18, 0.45, 0.45, 0.9)というソフト値が出力されたとする。これらの値は、0である可能性が大きいか、1である可能性が大きいかを数値で表している。例えば、1番目の0.71は1である可能性が大きいことを示しており、4番目の0.45は0である可能性が大きいが1である可能性も小さくはないことを意味する。従来のビタビディテクタの出力はハード値であり、SOVAの出力を硬判定したものである。上記の例の場合、(1,0,0,0,1)である。ハード値は、0であるか、1であるかのみを表しており、どちらの可能性が高いかという情報が失われている。このためLDPC復号部322にソフト値を入力する方が復号性能が良くなる。
【0063】
LDPC復号部322は、LDPC符号化されているデータ系列から、LDPC符号化前の系列に復元する役割を有する。復号化の方法としては、主に、sum−product復号法とmin−sum復号法があり、復号性能の面ではsum−product復号法が有利であるが、min−sum復号法はハードウェアによる実現が容易である特徴を持つ。LDPC符号を用いる実際の復号操作では、ソフト出力検出部320とLDPC復号部322の間で繰り返し復号を行うことにより、非常に良好な復号性能を得ることができる。このために実際はソフト出力検出部320とLDPC復号部322を複数段配列した構成が必要になる。一般的に、LDPC復号は、事前値と事後値と呼ばれる値を求め、さらに、デジタルゆう度検出用等化器(Digital Aided Equalizer。以下、「DAE」と略記する。)を介して、再度、事前値と事後値を計算する。所定の回数、もしくは、エラーが含まれなくなったと判断された場合、その時点で求まっているゆう度を硬判定し、2値の復号データを出力することとなる。ここで、エラーが含まれなくなったことは、冗長データ系列を含む復号データに検査行列を掛け合わせて、その結果が0行列であるか否かで判断できる。この場合において、結果が0行列になっていれば、訂正により復号データにエラーが含まれなくなったと判断され、また、結果が0行列以外であれば訂正しきれていないエラーが復号データに含まれていると判断されることとなる。他にエラーが含まれなくなったことを判断する方法としては、復号対象のデータのうち、冗長データ系列を除くデータ系列に、LDPC符号化時に用いた生成行列を掛け合わせて冗長ビットを求める。次に、冗長ビットを硬判定して、冗長データ系列と比較し、一致しているか否かによってエラーが訂正されているかどうかを判断する。ここで、硬判定とは、例えば、所定のしきい値より大きかった場合は、”1”と判定し、小さかった場合は、”0”と判定することなどをいう。
【0064】
同期信号検出部321はデータの先頭に付加された同期信号(Sync Mark)を検出し、データの先頭位置を認識する役割を有する。RLL復号部323は、LDPC復号部322から出力されたデータに対して、ライトチャネル31のRLL符号化部303の逆操作を行い、元のデータ系列に戻す。デスクランブラ324はライトチャネル31のスクランブラ302の逆操作を行い、元のデータ系列に戻す。ここで生成されたデータはHDC1に転送される。
【0065】
ここで、第1ベースライン変動補正部330について説明する。図3は、図2の第1ベースライン変動補正部330の構成例を示す図である。第1ベースライン変動補正部330は、ベースライン変動量導出部332と、変動量微調整部334と、変動微補正部(fine wander corrector)336を含む。
【0066】
図4は、図3のベースライン変動量導出部332の構成例を示す図である。ベースライン変動量導出部332は、第1スライサ348と第1微補正量計算部350を含む。ベースライン変動量導出部332は、まず、フィルタ315から出力された信号を第1スライサ348の入力とし、3値の硬判定を行い、プラスマイナス0付近の値であるか、またはプラス側であるか、あるいはマイナス側であるかを判定する。次に、第1微補正量計算部350において、フィルタ315から出力された信号と、3値判定された値との差分をとることによって、3値のいずれかの値との距離を求める。
【0067】
3値とは、たとえば、図示しないADC313の出力において中間の値である0と、0にしきい値αを加えた値、すなわち、0+αと、0からしきい値αを引いた値、すなわち、0−αと、の3つの値を指す。例えば、αを1とすると、(−1、0、+1)の3値となる。3値の硬判定とは、例えば、硬判定の対象となるデータが「ADC313の最小値の半分以下」の場合は「ADC313の最小値」とし、「ADC313の最大値の半分以上」の場合は「ADC313の最大値」とし、それ以外の場合は、「±0」と判定することなどをいう。例えば、ADC313の最大値が「+1」であり、最小値が「−1」であった場合の3値の硬判定は、対象となるデータが「−0.5」以下であった場合は「−1」と判定され、また、「0.5」以上であった場合は「+1」と判定され、また、「−0.5」より大きく「0.5」未満であった場合は「±0」と判定されることになる。
【0068】
上述のような硬判定をすることによって、硬判定の対象となるデータがプラスとマイナスのいずれかにずれているかを判定し、その上で、第1微補正量計算部350によって、その値との距離を求める。その距離を、後述する第1平均化部340によって、長期的な変動の有無を判定するために、移動平均を計算する。これにより、どの程度、信号がばらついているかの傾向を判断できる。一般的に、図示しないADC313の出力信号系列を長い区間で観測した場合、「+1」と「−1」の個数はほぼ均等であるといえる。そうすると、長い区間で平均した場合、その平均値は、経時的にバランスし、理想的には「±0」になるはずである。ところが、ベースラインが変動すると、経時的にバランスせず、ADC313における「±0」がプラス側、または、マイナス側にずれたような現象を生じることとなるので、平均値をとっても「±0」にはならないこととなる。つまり、この平均値に依存してベースラインが変動するため、この平均値を使って変動量を補正することによって、ベースライン変動を補正することができるようになる。
【0069】
ここで、ベースラインの変動とは、ベースラインすなわちADC313における「±0」の値がプラス側かマイナス側かのいずれかにずれることなどをいう。例えば、プラス方向に「+1」ずれていた場合、本来「−1」の値をとっていたデータD1が「0」と判定され、「0」をとっていたデータD2が「+1」と判定されることとなる。言い換えると、「−1」であるはずのデータD1がベースライン変動により「0」となることにより、図示しない後段のソフト出力検出部320に入力された「0」が、ソフト出力検出部320における処理において誤差を誘発し、さらに後段のLDPC復号部322などにおいて、「1」か「−1」か判定することを難しくさせてしまう。同様に、「+1」か「−1」か定かではない「0」であるはずのデータD2が、「+1」にしか判定されないこととなってしまう。そうすると、後段のLDPC復号部322などにおける結果において、データD1は、「−1」か「1」のいずれかの値として出力され、また、データD2は、「+1」と判定されてしまう。ベースラインの変動がなかった場合に、データD1は必ず「−1」と判定され、また、データD2は「+1」か「−1」のいずれかの値として判定されることと比べると、出力される結果において一致しない場合が生ずることとなる。そうすると、LDPC復号部322における復号能力を低下させ、または、繰り返し回数の増加などの遅延が生じ、結果的に、データの読み出し速度が大幅に低減してしまうこととなる。そこで、前述したようなフィードバック制御によって、ベースラインが瞬時に大きく変動した場合においても、追従して補正できる構成とし、ソフト出力検出部320、LDPC復号部322、およびそれらを搭載した記憶装置の性能を向上させることとした。
【0070】
次に、変動量微調整部334について説明する。変動量微調整部334は、第1平均化部340と、第1重み付け部342を含む。第1平均化部340は、予め定められた区間における平均値を求める。本実施形態におけるベースラインの補正は、瞬時変動に追従することを目的とするので、第1平均化部340における平均処理は、区間平均ではなく、移動平均を用いる。また、第1重み付け部342は、第1平均化部340から出力された平均値と、予め定められた重み係数との乗算処理を行って微補正量を求める。なお、第1ベースライン変動補正部330は、フィードフォワード制御による補正であるので、この重み係数は、1以下であることが望ましい。
【0071】
次に、変動微補正部336について説明する。変動微補正部336は、フィルタ315の出力から、変動量微調整部334によって求められた微補正量を減じる処理を行うことによって、ベースライン変動を微補正する。
【0072】
なお、第1平均化部340における平均区間は、外部から与えられるものであってもよく、動的に変更されるものであってもよい。また、第1重み付け部342における重み係数は、外部から与えられるものであってもよく、動的に変更されるものであってもよい。
【0073】
ここで、第1ベースライン変動補正部330の変形例について説明する。図5は、図2の第1ベースライン変動補正部330の構成の変形例を示す図である。なお、図3と共通する部分については同一の符号を付して説明を省略する。図3との相違点は、第1ベースライン変動補正部330が、第1補正許可制御部338と補正許可判定部344をさらに含む点である。さらに、ベースライン変動量導出部332は、第1平均化部340の出力結果を入力の一つとしている点である。
【0074】
図6は、図5のベースライン変動量導出部332の構成例を示す図である。ベースライン変動量導出部332は、第1セレクタ346と、第1スライサ348と、第1微補正量計算部350と、第2微補正量計算部351とを含む。図6のベースライン変動量導出部332は、まず、フィルタ315から出力信号と、図5に図示した第1平均化部340の出力である平均値とを第1セレクタ346の入力とする。第1セレクタ346は、外部から入力された制御信号に従って、フィルタ315から出力された信号と、そのフィルタ315の出力信号を補正した値のいずれかの値を第1スライサ348に出力する。ここでの補正は、第2微補正量計算部351によって、フィルタ315の出力から図5に図示した第1平均化部340の出力を減じることにより行われる。第1スライサ348および第1微補正量計算部350については、前述したものと同様であるので説明を省略する。
【0075】
このように、フィルタ315からの出力信号そのものではなく、フィルタ315の出力信号を第1平均化部340から出力された平均値で補正した値を、微補正量の算出に用いることによって、より精度の良い微補正量を算出することができる。このような構成を採る理由は次の通りである。フィルタ315の出力信号はこの段階においてはまだベースライン変動がふくまれており正確な値ではないといえるからである。フィルタ315の出力信号を用いる代わりに、平均化され、ベースライン変動を補正した値を用いて第1スライサ348と第1微補正量計算部350によって微補正量を求めるということは、微補正量を補正するという効果を得るということである。そうすると、より精度の高い微補正量を求められ、正確なベースライン変動補正ができることとなる。
【0076】
図7は、図5の補正許可判定部344の構成例を示す図である。補正許可判定部344は、ベースライン変動を補正するか否かを判定する回路であり、第2セレクタ352と、第2スライサ354と、移動平均部356と、判定部358と、第3微補正量計算部353を含む。まず、第2セレクタ352において、外部から入力された制御信号に従って、フィルタ315の出力信号と、そのフィルタ315の出力信号を補正した値のいずれかの信号を第2スライサ354に出力する。ここでの補正は、第3微補正量計算部353によって、フィルタ315の出力信号から第1平均化部340の出力信号を減じることにより行われる。第2セレクタ352において、第1平均化部340の出力信号を選択できるようにしたのは、前述した第1セレクタ346の場合と同様である。次に、第2スライサ354は、第2セレクタ352から出力された信号を、前述した第1スライサ348と同様に、硬判定する。移動平均部356は、硬判定された信号の移動平均を求める。判定部358は、移動平均された値と予め定められたしきい値とを比較して、ベースライン変動の補正をすべきか否かを示す信号を出力する。
【0077】
具体的には、第2セレクタ352における硬判定が(−1,0,+1)の3値のいずれかの値への判定であった場合、硬判定結果が「0」以外の場合は、ベースラインの変動があったとして補正を許可する旨の信号を出力する。また、「0」である場合は、ベースライン変動がなかったとして補正を許可しない旨を示す信号を出力する。このようにベースラインに変動がないといえる場合に補正すると、かえってベースラインの変動を発生させてしまう要因となりかねない。ゆえに、硬判定結果が「0」である場合は、補正を許可しないこととした。しかしながら、ノイズなどの影響により、図5のベースライン変動量導出部332によって計算された微補正量が「0」となることは希である。従って、あるしきい値「α」を用い、移動平均部356の出力値が「0±α」である場合は、補正を許可しない旨の信号を出力し、そうでない場合は、補正を許可する旨の信号を出力することとした。なお、2つのしきい値αとβを用いて、「0−β」より大きく「0+α」より小さければ、ベースラインの変動がなかったものとして補正許可の判定をしてもよい。また、これらのしきい値を予め定めていてもよく、また、外部から指示するものであってもよく、また、動的に変化するものであってもよい。いずれの場合も同様な効果を得ることができる。
【0078】
第1補正許可制御部338は、補正許可判定部344の判定結果に従って、変動微補正部336に出力する信号を選択する。具体的には、補正許可判定部344の判定結果が補正を許可する旨の信号であるときは、変動量微調整部334の出力結果をそのまま変動微補正部336に出力する。また、補正を許可しない旨の信号であるときは、変動微補正部336に「0」を出力する。変動微補正部336は、フィルタ315の出力信号から第1補正許可制御部338の出力信号から第1平均化部340の出力信号を減じることによって、ベースライン変動の微補正を行う。
【0079】
本実施形態によれば、ベースラインが瞬時に大きく変動した場合であっても、補正の際に要する遅延の影響を受けないで、ベースライン変動を効率良く補正することができる。また、外部からの選択信号にしたがって選択された平均値を使って変動量を補正し、補正された変動量を用いてベースライン変動を補正することによって、より精度の良い微補正量を算出することができる。また、ベースライン変動を精度良く補正することによって、誤り訂正の効果を向上することができる。また、誤り訂正の効果を向上することによって、記憶装置への読み書き制御を高速化できる。
【0080】
本実施形態において、図5において、第1平均化部340の出力信号を、ベースライン変動量導出部332の入力の一方、および補正許可判定部344の入力の一方に、入力するとして説明した。しかしながらこれに限らず、ベースライン変動量導出部332、補正許可判定部344に、第1重み付け部342の出力信号を入力してもよい。この場合であっても同様な効果をえることができる。また、図6において、第1セレクタ346の入力の一方には、第1平均化部340の出力信号でフィルタ315の出力信号を補正した信号が入力されるとして説明した。しかしながらこれに限らず、第1セレクタ346の入力の一方に、第1重み付け部342の出力信号でフィルタ315の出力信号を補正した信号を入力してもよい。この場合であっても同様な効果をえることができる。また、図7において、第2セレクタ352の入力の一方には、第1平均化部340の出力信号でフィルタ315の出力信号を補正した信号が入力されるとして説明した。しかしながらこれに限らず、第2セレクタ352の入力の一方に、第1重み付け部342の出力信号でフィルタ315の出力信号を補正した信号を入力してもよい。この場合であっても同様な効果をえることができる。
【0081】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を具体的に説明する前に、まず本実施形態にかかる記憶装置について簡単に述べる。本実施形態にかかる記憶装置は、ハードディスクコントローラと、磁気ディスク装置と、リードチャネルとライトチャネルを含むリードライトチャネルと、を有する。リードチャネルにおいては、磁気ディスク装置から読み出したデータに対し、フィードフォワード制御をもって、前述したベースライン変動を補正するとともに、AD変換器の後段において、フィードバック制御によるベースライン変動補正も行う。このような構成をとることにより、ベースラインが瞬時に大きく変動した場合だけでなく、長期間に徐々に変動していく場合にも、補正の際に要する遅延の影響を受けないで、ベースライン変動を効率良くかつ正確に補正することができる。詳細は後述する。
【0082】
図8は、第2の実施形態にかかるR/Wチャネル3の構成例を示す図である。R/Wチャネル3は、大きく分けて、ライトチャネル31とリードチャネル32から構成される。リードチャネル32は、VGA311、LPF312、AGC317、ADC313、周波数シンセサイザ314、フィルタ315、ソフト出力検出部320、LDPC復号部322、同期信号検出部321、ランレングス制御復号部323、デスクランブラ324、第1ベースライン変動補正部330、第2ベースライン変動補正部400とから構成されている。なお、第2ベースライン変動補正部400を除く、図2と共通する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0083】
図9は、図8の第2ベースライン変動補正部400の構成例を示す図である。第2ベースライン変動補正部400は、デジタル側変動量粗調整部402と、デジタル側変動粗補正部(digital coarse wander corrector)408と、第2補正許可制御部410とを含む。また、デジタル側変動量粗調整部402は、第2平均化部404と、第2重み付け部406とを含む。
【0084】
デジタル側変動量粗調整部402は、第2平均化部404と第2重み付け部406を含む。第2平均化部404は、後述するベースライン変動量導出部332の粗補正量計算部418の出力信号を入力とし、予め定められた長さの区間における平均値を求める。この平均値は、移動平均によって求められても良い。また、第2重み付け部406は、第2平均化部404から出力された平均値と、予め定められた重み係数との乗算処理を行ってデジタル側粗補正量を求める。なお、第2平均化部404における平均区間長は、第1平均化部340における平均区間よりも大きいことが望ましい。また、この平均区間長は、外部から与えられてもよく、動的に変化するものであってもよい。また、第2重み付け部406における重み係数は、1以下であることが望ましく、かつ、第1重み付け部342における重み係数よりも小さいことが望ましい。
【0085】
第2平均化部404の平均区間を第1平均化部340の平均区間よりも長くし、かつ、第2重み付け部406における重み係数を第1重み付け部342における重み係数より小さくする理由は、次の通りである。第1平均化部340を含んでいる第1ベースライン変動補正部330と、第2平均化部404を含んでいる第2ベースライン変動補正部400とで、それぞれの役割が異なるからである。すなわち、第1ベースライン変動補正部330においては、瞬時変動に対応することを目的としているのに対し、第2ベースライン変動補正部400においては、第1ベースライン変動補正部330よりも長期的なベースラインの変動に追従するように補正することを目的としており、この長期的なベースラインの変動量を求めるため、第2平均化部404は長区間の平均処理を行う必要が生じる。ここで、「長期的なベースラインの変動に追従するように補正を行う」とは、過去のベースラインの変動傾向から、将来の変動傾向を予測して、徐々に変動を補正することをいう。しかしながら、過去の変動傾向を使っても瞬時変動には対応できず、また、過去の変動傾向が常に将来の変動傾向に沿っているとは限らない。したがって、第2重み付け部406における重み係数を1以下とし、かつ、瞬時変動に追従するための第1重み付け部342における重み係数よりも小さい値としている。このように、第1ベースライン変動補正部330と第2ベースライン変動補正部400で明確に役割を分担することによって、瞬時変動に追従し、かつ、長期的な変動にも追従して、ベースラインの変動を補正することができることとなる。
【0086】
次に、第2補正許可制御部410について説明する。第2補正許可制御部410は、デジタル側変動粗補正部408に出力する信号を選択する。具体的には、予め定められた、もしくは外部から入力された補正の諾否に関する制御信号が補正を許可する旨の信号であるときは、デジタル側変動量粗調整部402の出力結果をそのままデジタル側変動粗補正部408に出力する。また、補正を許可しない旨の信号であるときは、デジタル側変動粗補正部408に「0」を出力する。デジタル側変動粗補正部408は、ADC313の出力信号から第2補正許可制御部410の出力信号を減じることによって、ベースライン変動の粗補正を行う。
【0087】
ここで、第2平均化部404の平均処理の入力信号を生成する図9のベースライン変動量導出部332について説明する。図10は、図9のベースライン変動量導出部332の構成例を示す図である。図10のベースライン変動量導出部332は、第1セレクタ346、第1スライサ348、第1微補正量計算部350、第2微補正量計算部351、第3セレクタ414、第3スライサ416、および、粗補正量計算部418を含む。なお、図6のベースライン変動量導出部332と共通する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
まず、フィルタ315から出力信号と、図5に図示した第1平均化部340の出力である平均値とを第3セレクタ414の入力とする。第3セレクタ414は、外部から入力された制御信号に従って、フィルタ315から出力された信号と、フィルタ315の出力信号を補正した信号のいずれかの値を第3スライサ416に出力する。ここでの補正は、第2微補正量計算部351によって、フィルタ315の出力信号から図5に図示した第1平均化部340の出力を減じることにより行われる。第3スライサ416および粗補正量計算部418については、それぞれ、第1スライサ348、第1微補正量計算部350と同様であるので説明を省略する。また、第3セレクタ414において、フィルタ315からの出力信号と、フィルタ315からの出力信号を補正した値のいずれかを選択できるようにした理由は、第1セレクタ346で説明した理由と同様であるので説明を省略する。このような構成をとることによって、より精度の良い粗補正量を算出することができる。
【0089】
本実施形態によれば、ベースラインが瞬時に大きく変動した場合であっても、補正の際に要する遅延の影響を受けないで、ベースライン変動を効率良く補正することができる。また、2つのベースライン変動補正部の役割を分担することによって、瞬時変動に追従し、かつ、長期的な変動にも追従して、さらに、補正の際に要する遅延の影響を受けないで、ベースライン変動を効率良くかつ正確に補正することができる。また、外部からの選択信号にしたがって選択された平均値を使って変動量を補正し、補正された変動量を用いてベースライン変動を補正することによって、より精度の良い微補正量を算出することができる。また、第2ベースライン変動補正部400においては、ベースライン変動量を独自に計算する回路を有さず、第1ベースライン変動補正部330のベースライン変動量導出部332にて計算されたベースライン変動量を流用することで、ハードウェア規模を低減させている。また、ベースライン変動を精度良く補正することによって、誤り訂正の効果を向上することができる。また、誤り訂正の効果を向上することによって、記憶装置への読み書き制御を高速化できる。
【0090】
本実施形態の図10において、第1セレクタ346の入力の一方には、第1平均化部340の出力信号でフィルタ315の出力信号を補正した信号が入力されるとして説明した。しかしながらこれに限らず、第1セレクタ346の入力の一方に、第1重み付け部342の出力信号でフィルタ315の出力信号を補正した信号を入力してもよい。この場合であっても同様な効果をえることができる。また、第3セレクタ414の入力の一方には、第1平均化部340の出力信号でフィルタ315の出力信号を補正した信号が入力されるとして説明した。しかしながらこれに限らず、第1セレクタ346の入力の一方に、第1重み付け部342の出力信号でフィルタ315の出力信号を補正した信号を入力してもよい。この場合であっても同様な効果をえることができる。
【0091】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態を具体的に説明する前に、まず本実施形態にかかる記憶装置について簡単に述べる。本実施形態にかかる記憶装置は、ハードディスクコントローラと、磁気ディスク装置と、リードチャネルとライトチャネルを含むリードライトチャネルと、を有する。リードチャネルにおいては、磁気ディスク装置から読み出したデータに対し、フィードフォワード制御をもって、前述したベースライン変動を補正する。さらに、AD変換器の前段、および後段の2段階においてベースライン変動を補正する。このような構成をとることにより、補正の際に要する遅延の影響を受けないで、ベースラインが瞬時に大きく変動した場合だけでなく、長期間に徐々に変動していく場合にも、ベースライン変動を効率良く、かつ正確に補正することができる。さらに、長期的な変動に対して、AD変換器の前後の2段階において補正するため、よりきめ細かな補正ができる。詳細は後述する。
【0092】
図11は、第3の実施形態にかかるR/Wチャネル3の構成例を示す図である。R/Wチャネル3は、大きく分けて、ライトチャネル31とリードチャネル32から構成される。リードチャネル32は、VGA311、LPF312、AGC317、ADC313、周波数シンセサイザ314、フィルタ315、ソフト出力検出部320、LDPC復号部322、同期信号検出部321、ランレングス制御復号部323、デスクランブラ324、第1ベースライン変動補正部330、第2ベースライン変動補正部400、第3ベースライン変動補正部500とから構成されている。なお、図8と共通する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0093】
図12は、図11の第3ベースライン変動補正部500の構成例を示す図である。第3ベースライン変動補正部500は、アナログ側変動量粗調整部502と、アナログ側変動粗補正部(analog coarse wander corrector)508と、第3補正許可制御部510とを含む。また、アナログ側変動量粗調整部502は、第3重み付け部506を含む。
【0094】
アナログ側変動量粗調整部502は、第3重み付け部506を含む。第3重み付け部506は、前述した第2平均化部404の出力信号を入力とし、予め定められた重み係数との乗算処理を行ってアナログ側粗補正量を求める。なお、第3重み付け部506における重み係数は、1以下であることが望ましく、かつ、図示しない第1重み付け部342および第2補正許可制御部410における重み係数よりも小さいことが望ましい。
【0095】
第3重み付け部506における重み係数を、第1重み付け部342および第2重み付け部406における重み係数より小さくする理由は、それぞの役割分担に相違があるからである。すなわち、第1重み付け部342を含む第1ベースライン変動補正部330においては、瞬時変動に対応することを目的としているのに対し、第3重み付け部506を含む第3ベースライン変動補正部500においては、第1ベースライン変動補正部330よりも長期的なベースラインの変動に追従することを目的としているからである。また、406を含む第2ベースライン変動補正部400の目的は、第3ベースライン変動補正部500の目的と同様に長期的なベースライン変動の追従となるため、異なる重み係数をお互いに用いる。これは、それぞれ配置される個所によるもので、より前段に配置される第3ベースライン変動補正部500は、より将来の信号を扱うことになる。前述したように、将来の信号であるほど、そのベースラインの変動は過去の変動傾向から予測できないため、第3重み付け部506の重み係数を第2重み付け部406の重み係数より小さくし、ゆるやかに補正することとした。このように、第1ベースライン変動補正部330、第2ベースライン変動補正部400、および第3ベースライン変動補正部500のそれぞれにおいて、明確に役割を分担することによって、瞬時変動に追従し、かつ、長期的な変動にも追従して、ベースラインの変動を補正することができることとなる。
【0096】
次に、第3補正許可制御部510について説明する。第3補正許可制御部510は、アナログ側変動粗補正部508に出力する信号を選択する。具体的には、予め定められた、もしくは外部から入力された補正の諾否に関する制御信号が補正を許可する旨の信号であるときは、アナログ側変動量粗調整部502の出力結果をそのままアナログ側変動粗補正部508に出力する。また、補正を許可しない旨の信号であるときは、アナログ側変動粗補正部508に「0」を出力する。アナログ側変動粗補正部508は、VGA311の出力信号から第3補正許可制御部510の出力信号を減じることによって、ベースライン変動の粗補正を行う。
【0097】
図13は、図11のR/Wチャネル3の構成例の一部を示す図である。すでに説明した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、説明を簡略化する。なお、第1ベースライン変動補正部330は、図5と同様の構成をとる。なお、図5の第1補正許可制御部338に相当する構成は図示を省略している。図13において、変動微補正部336は、加算部600と、サチュエータ602と、遅延部604と、比較部606と、選択部608とを含む。
【0098】
加算部600は、フィルタ315から出力された信号と、変動量微調整部334から出力された信号とを加算する。サチュエータ602は、加算部600で加算された信号が所定の最大値を超える場合、最大値を出力とする。最大値を超えない場合は、そのまま出力する。遅延部604は、フィルタ315から出力された信号を遅延する。比較部606は、遅延部604から出力された信号とサチュエータ602から出力された信号とを比較して、一方を出力する。選択部608は、補正許可判定部344からの信号にもとづいて、フィルタ315から出力された信号と、比較部606から出力された信号の一方を選択して、出力する。このような態様をとることにより、補正許可判定部344が補正を許可する旨の判断をしたときは、変動微補正部336からはフィルタ315の出力と、第1平均化部340の出力とが加算された信号が出力される。一方、補正許可判定部344が補正を許可しない旨の判断をしたときは、フィルタ315の出力がそのまま変動微補正部336の出力となる。
【0099】
本実施形態によれば、ベースラインが瞬時に大きく変動した場合であっても、補正の際に要する遅延の影響を受けないで、ベースライン変動を効率良く補正することができる。また、AD変換器の前段、および後段の2段階において長期的にベースライン変動を補正をすることにより、補正の際に要する遅延の影響を受けないで、ベースラインが瞬時に大きく変動した場合だけでなく、長期間に徐々に変動していく場合にも、ベースライン変動を効率良く、かつ正確によりきめ細かな補正を行うことができる。また、第3ベースライン変動補正部500においては、ベースライン変動量を独自に計算する回路を有さず、第1ベースライン変動補正部330のベースライン変動量導出部332にて計算されたベースライン変動量を流用することで、ハードウェア規模を低減させている。また、外部からの選択信号にしたがって選択された平均値を使って変動量を補正し、補正された変動量を用いてベースライン変動を補正することによって、より精度の良い微補正量を算出することができる。また、ベースライン変動を精度良く補正することによって、誤り訂正の効果を向上することができる。また、誤り訂正の効果を向上することによって、記憶装置への読み書き制御を高速化できる。
【0100】
本実施形態において、第3ベースライン変動補正部500をVGA311とLPF312との間に配置するとして説明した。しかしながらこれに限らず、第3ベースライン変動補正部500を、VGA311の前に配置してもよく、また、LPF312の後段に配置してもよい。
【0101】
本実施形態において、ベースライン変動の判定において、「−1」「0」「1」の3値が用いられるとして説明したが、これにかぎらず、たとえば、「0」「1」「2」のように、すべて0以上の値であってもよい。0以上の数値を用いることにより、後段の処理回路の構成が容易になる。
【0102】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、実施形態相互の組み合わせ、または、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る磁気ディスク装置の構成例を示す図である。
【図2】図1のR/Wチャネルの構成例を示す図である。
【図3】図2の第1ベースライン変動補正部の構成例を示す図である。
【図4】図3のベースライン変動量導出部の構成例を示す図である。
【図5】図2の第1ベースライン変動補正部の構成の変形例を示す図である。
【図6】図5のベースライン変動量導出部の構成例を示す図である。
【図7】図5の補正許可判定部の構成例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るR/Wチャネルの構成例を示す図である。
【図9】図8の第2ベースライン変動補正部の構成例を示す図である。
【図10】図9のベースライン変動量導出部の構成例を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るR/Wチャネルの構成例を示す図である。
【図12】図11の第3ベースライン変動補正部の構成例を示す図である。
【図13】図11のR/Wチャネルの構成例の一部を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
1 HDC、 2 CPU、 3 R/Wチャネル、 4 VCM/SPM制御部、 5 DE、 11 主制御部、 12 データフォーマット制御部、 13 ECC制御部、 14 バッファRAM、 21 FROM、 22 RAM、 31 ライトチャネル、 32 リードチャネル、 50 ディスク媒体、 51 ヘッド、 52 VCM、 53 SPM、 54 プリアンプ、 301 バイトインターフェース部、 302 スクランブラ、 303 RLL符号化部、 304 LDPC符号化部、 305 ライトプリコン部、 306 ドライバ、 311 VGA、 312 LPF、 313 ADC、 314 周波数シンセサイザ、 315 フィルタ、 317 AGC、 320 ソフト出力検出部、 321 同期信号検出部、 322 LDPC復号部、 323 RLL復号部、 324 デスクランブラ、 330 第1ベースライン変動補正部、 332 ベースライン変動量導出部、 334 変動量微調整部、 336 変動微補正部、 338 第1補正許可制御部、 340 第1平均化部、 342 第1重み付け部、 344 補正許可判定部、 346 第1セレクタ、 348 第1スライサ、 350 第1微補正量計算部、 352 第2セレクタ、 354 第2スライサ、 356 移動平均部、 358 判定部、 400 第2ベースライン変動補正部、 402 デジタル側変動量粗調整部、 404 第2平均化部、 406 第2重み付け部、 408 デジタル側変動粗補正部、 410 第2補正許可制御部、 414 第3セレクタ、 416 第3スライサ、 418 粗補正量計算部、 500 第3ベースライン変動補正部、 502 アナログ側変動量粗調整部、 506 第3重み付け部、 508 アナログ側変動粗補正部、 510 第3補正許可制御部、 602 サチュエータ、 604 遅延部、 606 比較部、 608 選択部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AD変換されたデジタル信号が入力される入力部と、
前記入力部に入力されるデジタル信号に基づいて、その長期的な変動の有無を判定するベースライン変動判定部と、
前記入力部に入力されるデジタル信号に基づいて、その長期的な変動に依存する補正信号を生成する補正信号生成部と、
前記判定部に基づき、ベースラインの変動があると判定された場合には前記補正信号生成部の補正信号に基づいて前記入力部からのデジタル信号に補正をかけるとともにベースラインの変動がないと判定されたときには前期入力部からのデジタル信号に補正をかけない補正部と、
を有することによってデジタル信号のベースライン変動を補正することを特徴とするベースライン補正装置。
【請求項2】
AD変換されたデジタル信号が入力される入力部と、
前記入力部に入力されるデジタル信号を経時的に三値のいずれかをとる判定信号に変換する変換部と、
前記変換部からの判定信号の移動平均をとる移動平均化部と、
前記移動平均化部の出力に基づき、判定信号が経時的にバランスしているかどうかを判定する判定部と、
前記判定部の出力に基づき、判定信号が経時的にバランスしていないときには前記入力部からのデジタル信号に補正をかけるとともに、判定信号が経時的にバランスしているときにはデジタル信号に補正をかけない補正部と、
を有することによってデジタル信号のベースライン変動を補正することを特徴とするベースライン補正装置。
【請求項3】
前記移動平均化部は、判定信号において、三値の中央値が所定期間続くときまたはこの中央値を挟んで反対側にある二値の個数の差が所定期間で所定数以下である第一の場合と、中央値を挟んで反対側にある二値の個数の差が所定期間で所定数以上である第二の場合で異なる出力を発生するよう構成されるとともに、前記判定部は前記移動平均化部の出力に基づき、前記第一の場合に判定信号の値が径時的にバランスしていると判定することを特徴とする請求項2に記載のベースライン補正装置。
【請求項4】
判定信号は、「−1」、「0」、「1」の三値であるとともに、前記移動平均化部は、これら三値を「0」、「1」、「2」の変換信号にそれぞれ変換すると共に変換信号の経時的変化を所定期間加算して出力し、前記判定部は、加算出力が所定範囲内にあれば判定信号が第一の場合であると判定することを特徴とする請求項3に記載のベースライン補正装置。
【請求項5】
前記補正部は、デジタル信号の移動平均に基づいてデジタル信号のベースラインを補正する補正手段を有することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のベースライン補正装置。
【請求項6】
判定信号は「−1」、「0」、「1」の三値であるとともに、前記移動平均化部は、これら三値を「0」以上の変換信号にそれぞれ変換すると共に変換信号の経時的変化を所定期間加算して出力し、前記判定部は、加算出力が所定範囲内にあれば判定信号が第一の場合であると判定することを特徴とする請求項3に記載のベースライン補正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−217941(P2008−217941A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56563(P2007−56563)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】