説明

ベータアミロイド阻害剤およびその使用

アルツハイマー病、ボクサー認知症(頭部外傷を含む)、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性大脳出血(HCHWA−D)およびアミロイド血管障害を伴う血管性認知症などの疾患の治療と予防に有用な、β−アミロイド凝集阻害能を有するペプチドおよびその誘導体または類似体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミロイド凝集阻害ペプチドの分野に係り、特に、アルツハイマー病、ボクサー認知症(頭部外傷を含む)、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性大脳出血(HCHWA−D)およびアミロイド血管障害を伴う血管性認知症などの疾患治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
バイエルンの精神科医アロイス・アルツハイマーにより1907年に初めて記述されたアルツハイマー病(AD)は、短期間の記憶喪失で始まり、認知機能および行動の進行性減退を特徴とする進行性の神経系障害である。この病気の進行は、見当識障害、判断、推論、注意および発語の障害へと繋がり、最終的には認知症に至る。この病気は、通常、発病してから4〜12年の間に、激しく衰弱し動くことができない状態で死に至る経過を辿る。ADは、65歳超の人口の5〜11パーセントを、85歳超では人口の47パーセントもの人々を苦しませていると推定されている。ADを扱うための社会的コストは、主としてAD患者に必要な広範囲の保護的ケアのために、極めて大きい。ADの生理病理学を理解しようとする不断の努力にもかかわらず、現状ではこの病気の進行を著しく遅らせる治療法はない。
【0003】
死体解剖によって明らかになったことであるが、病理学的には、ADは患者の脳に特色のある病変が存在することが特徴である。これらの脳の病変には、神経原線維変化(NTFs)と呼ばれる異常な細胞内の線維、および老人斑すなわちアミロイドプラークへと進む細胞へのアミロイド形成蛋白の余分な沈着が含まれる。アミロイド沈着は、また、AD患者の大脳血管壁にも存在する。アミロイドプラークの主な蛋白成分が、β−アミロイドペプチド(Aβ)と呼ばれる4.3キロダルトンのペプチドであることが確認されている(セルコー(Selkoe)ら、1997)。
【0004】
遺伝学的および神経病理学的研究によれば、アミロイド前駆体蛋白(APP)のプロセシングによってAβが得られることと、それに引き続く凝集が、アルツハイマー病の病理学において重要な役割を演じていると示唆されている。α−セクレターゼに引き続きβ−セクレターゼによるAPPの連続的な開裂により、残基40(Aβ1-40)もしくは残基42(Aβ1-42)を末端とする2つの主要なAβが得られ、これらの分子は凝集してオリゴマー、AD散在性(diffusible)リガンド(ADDLs)およびプロトフィブリルを形成する傾向があり、これがAD患者の脳において神経細胞の機能不全を引き起こすと示唆されている。これらのAβ凝集体が、シナプスに直接作用して、または、間接的に小膠細胞および星状膠細胞を活性化して神経細胞の損傷を誘発するのである(ハーディ(Hardy)ら、2002)。
【0005】
大脳皮質および大脳血管内に散在するβ−アミロイド沈着を特徴とする、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性大脳出血(HCHWA−D)の患者は、Aβ内でアミノ酸置換を引き起こすような、APP遺伝子の変異があることが明らかにされている(レビ(Levy)ら、1990)。
【0006】
Aβは、また、アミロイド血管障害を伴う血管性認知症(モーリ(Maury)ら、1995)およびボクサー認知症(ジョーダン(Jordan)ら、2000)にも関与している。
【0007】
APP遺伝子は第21染色体に存在し、これにより、第21染色体のトリソミーにより起こるダウン症候群の患者で若年時にβ−アミロイド沈着が見られることが説明できる(マン(Mann)ら、1988)。
【0008】
Aβの病原性が蛋白質構造の変化によるということについて、かなりの証拠が蓄積されている(ソト(Soto)ら、1999)。アルツハイマー病、アミロイド血管障害を伴う血管性認知症およびHCHWA−Dの病理に繋がる重大な事象は、天然および非病原性蛋白のリフォールディングであって、これにより病原性形態が与えられると考えられている。リフォールディングは、蛋白質の1次構造を変化させずに、2次および3次構造を変化させる。アミロイド凝集への過程は殆ど分かっておらず、メカニズム解明に向けてわずか数歩前に進んでいるに過ぎない(ハーパー(Harper)ら、1997)。
【0009】
アミロイドとは、原線維の凝集体に適用される一般名であり、共通の構造モチーフ:β襞状シート構造を有している。これらの凝集体は、コンゴーレッドで染色後に緑色の複屈折光を放つ能力や蛍光色素チオフラビンと結合する能力などの特別の染色特性を示す(ソト(Soto)ら、1995)。これらの染色特性は、β−アミロイド沈着を検出するための分析評価法の基礎を形成する。
【0010】
数種の異なる治療戦略が、Aβの合成を手始めに、連続する事象をターゲットにして展開されている(シア(Xia)ら、2003)。
【0011】
アルツハイマー病の治療と予防への1つのアプローチは、Aβの凝集による下流の有害な事象を回避するための、Aβの凝集を阻止する薬剤の開発である。
【0012】
他のそのような薬剤の中には、アミロイドの形成に関与していると考えられる天然蛋白配列に相同なある配列を有するが、β襞状シート構造の形成を嫌うか、または不安定化させる1つ以上のアミノ酸をも有する、短いペプチドが開発されている(国際公開第96/39834号パンフレット、国際公開第01/34631号パンフレット)。他の物は、アミロイドの形成に関与していると考えられる天然蛋白配列に相同なある配列を有し、一方の末端に嵩高い化学修飾基(米国特許第6,319,498号明細書)か、または荷電アミノ酸の伸長(KKKKまたはEEEE)を有する、短いペプチドを開発している(ローウェ(Lowe)ら、2001)。
【0013】
これらの結果は、アルツハイマー病および他のアミロイド症に対して可能性を有する治療手段としてAβの凝集を阻害するという考え方を一層支持するものである。しかしながら、多くのアミロイド関連障害の治療に望まれる作用点は脳内部であり、ペプチドは多くの他の分子と同様に、血液脳関門(BBB)を通過することが困難である。ベータストランド形成領域と前部または後部の明確な膜透過部分から構成される拡張ベータシートの形成を阻害するための阻害ペプチドも提案されている(国際公開第01/07473号パンフレット)。
【0014】
ペネトラチンは、アンテナペディアのホメオプロテイン(43〜58のアミノ酸)の第3へリックスドメインから誘導される16マーのペプチド(pAntp)であり、細胞転座配列として知られている(デロッシ(Derossi)ら、1994)。これらの転座特性によって、この配列は今では、親水性分子(国際公開第00/29427号パンフレット)、蛋白質、ペプチド(国際公開第01/09170号パンフレット;国際公開第00/63246号パンフレット)、オリゴペプチド、抗体(FR2829240)およびオリゴヌクレオチド(国際公開第98/38861号パンフレット;国際公開第02/062989号パンフレット)をインビトロおよびインビボで生きた細胞へ出し入れするための膜転座ベクターとして使用されている。
【0015】
さらに、pAntpおよびその誘導体は、血液脳関門などのいくつかの生理学的な障壁を通過できることが示されている(ローセル(Rousselle)ら、2000)。
【0016】
したがって、BBBを通過できるペプチドなどの新規なベータアミロイド阻害剤の開発は、いくつかの治療上の利点を有しているといえよう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、ベータアミロイド関連障害、特にアルツハイマー病の治療および/または予防および/または進行の遅延に適したβ−アミロイド阻害物質を提供することを目的とする。
【0018】
本発明は、また、ベータアミロイド凝集の減少または阻害に適した物質を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1の態様では、本発明は、式I:
1 [Lys X23 Phe Gln]m Arg Gln Ile [Lys X4 Pro Phe Gln]n
(ここで
1は存在しないかまたはアセチル基であり;
2およびX4は独立してイソロイシンまたはロイシンから選択され;
3はプロリンおよびトリプトファンから選択され;
Xは、1、2、3、4、5、6、7および8個のアミノ酸から選択される長さで、少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含み、C−末端でアミド化されているペプチド部であり;
mは0および1から選択される整数であり;
nは1および2から選択される整数である。)
で示されるペプチド(配列番号1)、
並びに、その塩および誘導体、類似体、または、結合体を提供する。
【0020】
第2の態様では、本発明は、医薬品として使用するための式Iに示すペプチドを提供する。
【0021】
第3の態様では、本発明は、式Iの化合物を医薬品として容認される賦形剤もしくは担体とともに含む医薬品組成物を提供する。
【0022】
第4の態様では、本発明は、式II:
1 [Lys X23 Phe Gln]m Arg Gln Ile [Lys X45 Phe Gln]n
(ここで
1は存在しないかまたはアセチル基であり;
2およびX4は独立してイソロイシンおよびロイシンから選択され;
3およびX5は独立してプロリンおよびトリプトファンから選択され;
Xは、1、2、3、4、5、6、7および8個のアミノ酸から選択された長さで、少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含み、C−末端でアミド化されているペプチド部であり;
mは0および1から選択される整数であり;
nは1および2から選択される整数である。)
で示される化合物(配列番号3)、
並びに、その誘導体およびこれらの混合物、さらに、それらの塩の、アルツハイマー病、ボクサー認知症(頭部外傷を含む)、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性大脳出血(HCHWA−D)およびアミロイド血管障害を伴う血管性認知症から選択される病気または症状の治療または予防用の医薬品を調製するための使用を提供する。
【0023】
第5の態様では、本発明は、式(II)の化合物の、異常な蛋白の折り畳みによるアミロイドおよびアミロイド様沈着物に関連する病気の治療または予防用の医薬品を調製するための使用を提供する。
【0024】
第6の態様では、本発明は、アルツハイマー病、ボクサー認知症(頭部外傷を含む)、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性大脳出血(HCHWA−D)およびアミロイド血管障害を伴う血管性認知症を含む、異常な蛋白の折り畳みによるアミロイドおよびアミロイド様沈着物に関連する病気の治療法であって、式(II)の化合物の有効量をそれを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下のパラグラフで、種々の化学成分および用語を定義するが、これは他に特別に示す定義が異なる定義を与えない限り、この明細書および請求の範囲を通じてそれらが一様に適用されることを意図するものである。
【0026】
用語「ペプチド」は、普通3〜30個もしくはそれ以上の連続したアミノ酸、通常は3〜20個の連続したアミノ酸を含むポリペプチド鎖に適用される。そのようなペプチドは、より大きな蛋白質の部分蛋白分解性開裂、化学合成または遺伝子工学などの、当業者に知られた方法で製造することができる。
【0027】
「誘導体または類似体」という表現は、親ペプチドに関して化学構造に修飾がなされてはいるが、式IまたはIIの化合物の生物活性の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、特に好ましくは少なくとも90%は維持される化合物を意味する。
【0028】
ここで使用されている用語「誘導体」は、アミノ酸成分の側鎖上、またはN−/もしくはC−末端基上に存在する官能基から、既知の方法に従って調製される誘導体をいう。そのような誘導体としては、例えば、カルボキシル基のエステル類または脂肪族アミド類および遊離アミノ基のN−アシル誘導体または遊離水酸基のO−アシル誘導体が挙げられ、例えばアルカノイル基またはアロイル基などのアシル基で形成される。「誘導体」という用語には、「キラル誘導体」も含まれる。
【0029】
ここで使用されている用語「フラグメント」は、本発明のアミロイド阻害剤のうち、比較的短い誘導体をいい、式IまたはIIの化合物の生物活性の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、特に好ましくは少なくとも90%を維持する、比較的短い誘導体をいう。
【0030】
ここで使用されている用語「結合体」は、ペプチドであって、本発明のベータアミロイド阻害剤が別のベータアミロイド阻害剤か、またはそのフラグメントに結合(例えば、共有結合で)したものをいう。2つもしくはそれ以上のベータアミロイド阻害剤サブユニット間の結合は、直接的であってもよいし、リンカー部分を介して、間接的であってもよい。直接的な結合は、水酸基、カルボキシ基、アミノ基などの本発明のペプチド上の都合のよい官能基を通してなされるが、1つの末端でなされることが好ましい。直接的な結合は、例えば、固相合成の過程で生じ、得られた結合体は1つの連続的なペプチドになる。間接的な結合は、結合基を介して行われる。結合基の例としては、多官能価のアルキル、アリール、アラルキル、有機ポリマーまたは1〜4個の残基からなる短いペプチド部が挙げられる。
【0031】
「結合体」の例としては、本発明のペプチドが本発明のペプチドの少なくとも1つのコピーまたはそのフラグメントに結合したペプチドや、また、本発明のペプチドが、他の知られたベータアミロイド阻害剤(β−AI)と、その知られたベータアミロイド阻害剤の特性向上(例えば、ベータアミロイド凝集に対する阻害作用の向上、薬物速度論的特性の向上、毒性の低減など)のために結合したペプチドが挙げられる。結合体の1つの好ましい例は、ベータアミロイド阻害剤(β−AI)が本発明のペプチドのC−末端と共有結合することにより形成された結合体である。当業者は、既知のベータアミロイド阻害剤(β−AI)の例を知ることができ、それは、例えばタラガ(Talaga)2001に見出すことができる。β−AIクラスの1つの例としては、BSB1、すなわち配列番号5(国際公開第01/34631号パンフレット)などの、ベータシートブレーカ(BSBs)が代表的である。本発明の「結合体」の1つの例は、配列番号6のペプチドである。
【0032】
用語「塩」はここでは、カルボキシル基の塩および本発明のペプチド、ポリペプチドまたはその類似体のアミノ基の酸付加塩の両者をいう。カルボキシル基の塩は、この分野で知られた方法で形成することができ、例えばナトリウム、カルシウム、アンモニア、鉄または亜鉛の塩などの無機塩、および、例えばトリエタノールアミン、アルギニンもしくはリシンなどのアミン、ピペリジン、プロカインなどから形成される有機塩基との塩などが挙げられる。酸付加塩としては、例えば、塩酸または硫酸などの鉱酸との塩や、酢酸またはシュウ酸などの有機酸との塩が挙げられる。そのような塩は、本発明のペプチドおよびポリペプチドまたはそれらの類似体と実質的に同等の活性を有する必要がある。
【0033】
用語「キラル誘導体」は、通常のアミノ酸(L−鏡像異性体)の、対応するD−鏡像異性体による置換体をいう。
【0034】
用語「ペプチド部」は、ペプチド結合によって結合している少なくとも1つのアミノ酸のペプチド配列をいう。ペプチド部の長さは、ペプチド配列中に存在するアミノ酸の数で表される。ペプチド部の例としては、1〜8個のアミノ酸、好ましくは3個を越えるアミノ酸、特に好ましくは5〜8個のアミノ酸のペプチド配列が挙げられる。
【0035】
用語「塩基性アミノ酸」は、正に荷電したアミノ酸をいう。塩基性アミノ酸の例としては、リジン(Lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)およびそれらの誘導体が挙げられる。「少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含有する」「ペプチド部」の例としては、リジン、アルギニン、ヒスチジンまたはそれらの誘導体などの、1つもしくはそれ以上の塩基性残基を配列の中に有するペプチド部が挙げられる。
【0036】
2つ以上の塩基性残基が存在するとき、それらはペプチド部の配列内で連続する位置にあってもよいし、あるいは交互の位置にあってもよい。塩基性アミノ酸が交互の位置にあるとき、1つもしくはそれ以上の非塩基性アミノ酸、好ましくはアスパラギン(Asn)、メチオニン(Met)またはトリプトファン(Trp)などの中性アミノ酸が塩基性アミノ酸の間に挿入される。
【0037】
次の3文字からなるコードまたは1文字からなるコードが、次のアミノ酸に対して使用される:
アルギニン(Arg、R)、アスパラギン(Asn、N)、グルタミン(Gln、Q)、ヒスチジン(His、H)、イソロイシン(Ile、I)、ロイシン(Leu、L)、メチオニン(Met、M)、フェニルアラニン(Phe、F)、プロリン(Pro、P)およびトリプトファン(Trp、W)。
【0038】
用語「アセチル」(Ac)は、−CH(O)OH基と定義される。N−末端をアセチル化したペプチドは、最初のアミノ酸の窒素原子に「アセチル」基を有するペプチドである。
【0039】
「フィブリル」または「アミロイドフィブリル」は、アミロイドプラークを形成する原線維の凝集体をいう。これらの「フィブリル」は、偏光顕微鏡における複屈折、コンゴーレッド染料で染色すると著しく増強するという特性、チオフラビンTによる蛍光の増大または遠紫外、円二色および赤外分光分析で見られるベータシート構造の拡大などのいくつかの特性を特徴とする。
【0040】
用語「β−アミロイド阻害物質」は、アミロイドフィブリルの形成および/または拡大を減少、阻止または予防することができる物質をいう。この用語には、また、既に形成されたフィブリルを、部分的ではあっても溶解することができる物質が含まれる。
【0041】
用語「β−アミロイド様沈着物」とは、ネガティブ負染色サンプルの電子顕微鏡写真ではアミロイドフィブリルと同じ外観を呈するが、潜在的澱粉形成(amylogenic)配列モチーフ、すなわち「アミロイド形成ペプチド」として分類されていないペプチドのフラグメントである、非アミロイド系ペプチドのフラグメントから形成されるフィブリルの沈着物またはフィブリルをいう。
【0042】
本発明のペプチドは、ペプチドの性質がアミノ酸側鎖、アミノ酸キラリティおよび/またはペプチド主鎖のレベルで化学的に修飾された、配列番号4、6、7、8または9のミメティック(ペプチドミメティックとも呼ばれる)であってよい。このような変更は、ベータアミロイド阻害剤に類似のまたは改善された治療、診断および/または薬物速度論的特性を付与することを意図して行われる。
【0043】
例えば、患者への注射の後、ペプチダーゼによって開裂しやすいペプチドが問題なとき、特に敏感なペプチド結合を非開裂ペプチドミメティックで置換すれば、治療薬としてより安定でより有用なペプチドを提供できる。同様に、L−アミノ酸残基を置換することは、蛋白質の加水分解に対する敏感度を低減させる標準の方法であり、最終的にはペプチドとは別の有機化合物により類似することになる。また、t−ブチルオキシカルボニル、アセチル、テイル(theyl)、スクシニル、メトキシスクシニル、スベリル、アジピル、アゼレイル、ダンシル、ベンジルオキシカルボニル、フルオレニルメトキシカルボニル、メトキシアゼレイル、メトキシアジピル、メトキシスベリルおよび2,4−ジニトロフェニルなどのアミノ末端をブロックする基も有用である。効力の増強、活性の長寿命化、精製の簡便化および/または半減期の延長を与える改質方法が他にも多くこの分野では知られている(国際公開第02/10195号パンフレット;ビライン(Villain)ら、2001)。
【0044】
ペプチドミメティックの合成と開発の技術は、非ペプチドミメティックスと同様、この分野においてはよく知られている(ゴレビオウスキー(Golebiowski)ら、2001;キム(Kim)ら、2000)。また、蛋白質の構造および機能を探索および/または向上させるために、インビトロおよびインビボの両翻訳システムを使用して、非天然アミノ酸を蛋白質に組み込む方法論も種々文献に記載されている(ドウアティ(Dougherty)、2000)。
【0045】
本発明のペプチドは、所望の使用方法および/または製造方法にとって好ましい他の代替の形態、例えば、活性フラグメント、塩、誘導体または結合体であってよい。
【0046】
本発明の化合物は、化学合成技術など、この分野でよく知られた方法で調製することができる。
【0047】
化学合成技術の例としては、固相合成および液相合成が挙げられる。固相合成として、例えば、合成されるペプチドのC末端に対応するアミノ酸を有機溶媒に不溶な担体に固定し、交互の繰り返し反応、すなわちアミノ基および側鎖官能基を適当な保護基で保護したアミノ酸をC末端からN末端まで1つ1つ順に縮合させる反応、および樹脂に固定したアミノ酸またはペプチドのアミノ基の保護基を開放する反応によって、ペプチド鎖をこのようにして伸ばしていく。固相合成法は、使用する保護基のタイプにより、大きくtBoc法およびFmoc法に分類される。通常使用される保護基としては、アミノ基に対しては、tBoc(t−ブトキシカルボニル)、Cl−Z(2−クロロベンジルオキシカルボニル)、Br−Z(2−ブロモベンジルオキシカルボニル)、Bzl(ベンジル)、Fmoc(9−フルオレニルメトキシカルボニル)、Mbh(4,4’−ジメトキシジベンズヒドリル)、Mtr(4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルフォニル)、Trt(トリチル)、Tos(トシル)、Z(ベンジルオキシカルボニル)およびCl2−Bzl(2,6−ジクロロベンジル)が挙げられ、グアニジノ基に対してはNO2(ニトロ)およびPmc(2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルフォニル)が挙げられ、ヒドロキシ基に対してはtBu(t−ブチル)が挙げられる。所望のペプチドを合成した後、それは脱保護反応に供され、固体担体から切り離される。そうしたペプチドの切り離し反応は、Boc法ではフッ化水素またはトリ−フルオロメタンスルフォン酸を使用して行われ、Fmoc法ではTFAを使用して行われる。
【0048】
本発明の化合物は、β−アミロイド阻害ペプチドである。
【0049】
β−アミロイド阻害活性は、例えば、(レビン(Levine)ら、1993)により記載されているような、試験化合物のアミロイドフィブリル形成を阻害する能力を測定するインビトロでの検定法などにより検出することができる。結果は、実施例に記載する。
【0050】
アミロイドフィルビルは、細胞毒性があり、細胞をアポプトーシスによる死に至らせる(ヤンクナー(Yankner)、1996)。本発明の化合物は、アミロイドフィブリルによって誘発される細胞死を阻害する能力を試験することができる。
【0051】
式Iの好ましいペプチドの群においては、Xは、リジンまたはアルギニンなどの塩基性アミノ酸を少なくとも1つ含有する5、6、7および8個のアミノ酸から選択される長さを有するペプチド部である。好ましいXの1つの例は、配列番号2:
Asn X56 Met X7 Trp X89−NH2
(ここで、X5、X6、X7、X8およびX9は独立してアルギニンおよびリジンまたはそれらの誘導体もしくは類似体から選択される。)
のペプチド部である。好ましいペプチド部の他の例は、配列番号10である。
【0052】
式Iのペプチドの別の好ましい群においては、mが0であって、nが1である。
【0053】
式Iのペプチドの別の好ましい群においては、X1がアセチルである。
【0054】
式Iのペプチドの別の好ましい群においては、mが0であって、nが2である。
【0055】
式Iのペプチドの別の好ましい群においては、mが1であって、nが1である。
【0056】
本発明の別の好ましい群においては、式IのペプチドはSEQ ID:7およびSEQ ID:8から選択される。
【0057】
式Iの化合物は疾患の治療に使用することができる。
【0058】
本発明のさらなる実施形態においては、式Iのペプチドと、医薬品として容認される賦形剤、希釈剤または担体を含む医薬品組成物を提供する。
【0059】
本発明の他の実施形態においては、前記式IIの化合物(配列番号3)、並びに、その誘導体、類似体または結合体およびこれらの混合物、さらに、それらの塩の、アルツハイマー病、ボクサー認知症(頭部外傷を含む)、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性大脳出血(HCHWA−D)およびアミロイド血管障害を伴う血管性認知症から選択される病気または症状の治療または予防用の医薬品製造用の医薬品を調製するための使用を提供する。
【0060】
式IIによるペプチドの好ましい群においては、X5はトリプトファンである。
【0061】
式IIによるペプチドの別の好ましい群においては、ペプチドは配列番号1である。
【0062】
式IIによるペプチドの別の好ましい群においては、X4はイソロイシンである。
【0063】
式IIによるペプチドの別の好ましい群においては、mが0であって、nが1である。
【0064】
式IIによるペプチドの別の好ましい群においては、Xは、リジンまたはアルギニンなどの塩基性アミノ酸を少なくとも1つ含有する5、6、7および8個のアミノ酸から選択される長さを有するペプチド部である。好ましいXの1つの例は、配列番号2:
Asn X56 Met X7 Trp X89−NH2
(ここで、X5、X6、X7、X8およびX9は独立してアルギニンおよびリジンまたはそれらの誘導体もしくは類似体から選択される。)
のペプチド部である。特に好ましいペプチド部の他の例は、配列番号10である。
【0065】
式IIによるペプチドの別の好ましい群においては、X5がトリプトファンであり、Xが上述したような配列番号2のペプチド部であり、mが0であって、nが1である。
【0066】
本発明の別の好ましい群においては、式IIのペプチドは次の群:
配列番号7、配列番号8および配列番号9から選択される。
【0067】
本発明の別の好ましい群においては、式IIのペプチドは配列番号4である。
【0068】
明らかに、式IまたはIIの化合物は、アルツハイマー病、ボクサー認知症(頭部外傷を含む)、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性大脳出血(HCHWA−D)およびアミロイド血管障害を伴う血管性認知症を含むベータアミロイド凝集関連疾患などのベータアミロイド関連疾患の治療または予防のための医薬品の調製に使用するのに適している。
【0069】
本発明のさらに別の実施形態は、アルツハイマー病、ボクサー認知症(頭部外傷を含む)、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性大脳出血(HCHWA−D)およびアミロイド血管障害を伴う血管性認知症などの神経変性疾患を治療または予防する方法である。
【0070】
本発明のさらなる実施形態は、ベータアミロイド疾患を治療または予防する方法であって、前記ペプチドおよびその誘導体の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含み、対象はヒトであっても動物であってもよいが、好ましくはヒトである方法である。
【0071】
本発明のさらなる実施形態は、少なくとも別のベータアミロイド阻害剤と組み合わせた療法において、少なくとも本発明の化合物を、同時に、連続して、または、分離して投与することを含む。
【0072】
本発明の別の実施形態においては、本発明の化合物は、血液脳関門(「BBB」)の通過を促進する担体分子、ペプチドまたは蛋白質に融合している。これは、疾患にCNSが関与している場合、この分子を作用点へ向かわせるのに役立つ。BBBを通して薬剤を移送する方式では、浸透圧という手段によって、または、ブラジキニンなどの血管作用性物質の使用によって生化学的に、BBBの破壊がもたらされる。BBBを通過するための他の戦略では、受動的拡散や、グルコースおよびアミノ酸担体などの担体を介した移送体、インシュリンまたはトランスフェリンのレセプターを介した経細胞輸送、吸着を介した経細胞輸送などの内生輸送システムが使用される。BBBを越えて薬剤を輸送するための戦略には、さらに脳内移植がある。
【0073】
本発明の化合物は、アルツハイマー病、ボクサー認知症(頭部外傷を含む)、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性大脳出血(HCHWA−D)およびアミロイド血管障害を伴う血管性認知症の開始と進行に関与するAβの凝集を阻害する。この化合物の好ましい1つの使用法では、化合物を注射または注入により周期的に投与する。本発明の化合物の投与は、患者に症状が現れる前に開始し、その後、継続することが好ましい。アルツハイマー病、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性大脳出血(HCHWA−D)およびアミロイド血管障害を伴う血管性認知症を発病する危険の高い患者には、家族がこれらの病歴を有する人々が挙げられる。
【0074】
さらなる実施形態においては、式IまたはIIの化合物は、アルツハイマー病、ボクサー認知症(頭部外傷を含む)、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性大脳出血(HCHWA−D)およびアミロイド血管障害を伴う血管性認知症などのベータアミロイド凝集に関連する疾患などのベータアミロイド関連疾患の治療または予防に適している。
【0075】
本発明の化合物は、単離し塩として精製することができる。そのような塩は、本発明の請求の範囲に含まれる。患者への投与の目的のためには、その塩は医薬品として容認されるものであることが望ましい。
【0076】
本発明の化合物は、塩として投与することができる。そのような塩としては、本発明によるペプチドのカルボキシル基の塩またはアミノ基の酸付加塩が挙げられる。カルボキシル基の塩は、この分野で知られた方法で形成でき、ナトリウム、カルシウム、アンモニア、鉄もしくは亜鉛の塩などの無機塩や、トリエタノールアミン、アルギニンもしくはリジンなどのアミン、ピペリジン、プロカインなどから形成される有機塩基との塩が挙げられる。酸付加塩としては、例えば、塩酸または硫酸などの鉱酸との塩や、酢酸またはシュウ酸などの有機酸との塩が挙げられる。
【0077】
本発明のペプチドを少なくとも1つ含む医薬品組成物としては、意図した目的を達成するのに有効な量のペプチドが含有されている組成物の全てが挙げられる。また、これらの医薬品組成物には、適当な医薬品として容認される担体が含まれていてもよく、このような担体は、活性な化合物の医薬品として使用可能な製剤への加工を容易にするような賦形剤や助剤を含有する。医薬品として容認される賦形剤として適切なものは、この分野ではよく知られており、例えば、この分野における標準参考文献であるゲンナロ(Gennaro)ら、2000に記載されている。医薬品として容認される賦形剤は、投与の方法およびペプチドの溶解度と安定度に従ってルーチンで選択することができる。例えば、静脈内投与の処方では、無菌の水溶液が挙げられ、それには、緩衝液、希釈剤および他の適当な添加剤が含まれていてもよい。薬物移送のための生体材料および他のポリマーの使用は、特定の投与法の有効性を確認するための異なる技術およびモデルとともに、文献に開示されている(ルオ(Luo)ら、2001;クレランド(Cleland)ら、2001)。
【0078】
本発明の前記ペプチドおよび誘導体は、意図した目的を達成する方法であればいかなる方法でも投与することができる。例えば、投与は多くの異なる経路をとることができ、皮下、静脈内、皮内、筋肉内、腹腔内、大脳内、髄腔内、鼻腔内、口腔、直腸、経皮、鼻腔内または頬部などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物は、皮下、筋肉内または静脈内への注射または注入により、投与することが好ましい。
【0079】
非経口投与は、ボーラス注射または時間をかけた徐々の灌流によって行われる。アミリンミスフォールディング関連疾患を予防し、阻害し、または治療する代表的な療法は、(1)ペプチド量が0.5〜10mg、より好ましくは0.5〜5mgの範囲の高濃度の阻害ペプチドの1回または2回の投薬で有効な量を投与するか、または(2)数ヶ月から数年の期間にわたって、10〜1000μg、より好ましくは50〜500μgの範囲の非常に低濃度の阻害ペプチドを多数回投薬することによって有効量のペプチドを投与することを含む。投与量が、患者の年齢、性別、健康状態および体重、もしあれば平行治療、治療の頻度、並びに、所望の効果の種類によるであろうことは、理解される。それぞれの治療で必要な全投与量は、複数回で投与されてもよいし、1回で投与されてもよい。
【0080】
非経口投薬のための製剤としては、無菌の水溶液もしくは非水溶液、懸濁液および乳化液が挙げられ、それらには当分野で知られている助剤または賦形剤が含まれていてもよい。非経口投薬に適した処方としては、水溶性塩などの水溶性の形態での活性化合物の水溶液が挙げられる。また、適当な油性注射懸濁液として活性化合物の懸濁液も投与される。
【0081】
意図した移送経路に応じて、化合物は注射用または経口用組成物として処方される。経口投与の組成物は、バルクの溶液もしくは懸濁液、またはバルクの粉末の形態をとることができる。しかしながら、より一般的には、組成物は正確な量の投薬を容易にするために、単位投与形態で提供される。用語「単位投与形態」は、ヒトの患者および他の哺乳類に対する単位の投薬量として適した物理的に個別の単位をいい、各単位は、適切な医薬賦形剤とともに、所望の治療効果を得るように計算された、予め決められた活性物質の量を含有する。代表的な単位投与形態としては、予め充填され予め計量された液体組成物のアンプルまたはシリンジ、あるいは、固体組成物ではピル、錠剤、カプセルなどが挙げられる。そのような組成物において、本発明の化合物は、通常、量的に少ない成分(約0.1〜約50重量%、好ましくは約1〜約40重量%)であり、その残りは所望の投薬形態の形成に助けとなる各種の賦形剤または担体および加工助剤である。
【0082】
経口投与のための液体の形態には、緩衝液、懸濁および分散剤、着色剤、香料などを含む適切な水性または非水性の分散媒が含まれてもよい。固体の形態には、例えば、次の成分または類似の性質を有する化合物:微結晶セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチンなどのバインダー;スターチもしくはラクトースなどの賦形剤;アルギン酸、プリモゲル(Primogel)もしくはコーンスターチなどの分解剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、コロイド状二酸化ケイ素などの粉体流動促進剤(glidant);サッカロースもしくはサッカリンなどの甘味料;ペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジ風味料などの香味料が含まれてもよい。
【0083】
注射組成物は、通常、注射用無菌食塩水もしくはリン酸塩緩衝食塩水またはこの分野で知られている他の注射用担体をベースとする。
【0084】
前述の経口投与または注射用組成物の成分は、単に代表的なものである。加工技術などと同様に、さらなる物質が、熟練した技術者には知られている(ゲナロ(Gennaro)ら、2000)。
【0085】
本発明の化合物は、また、持続放出形態、または持続放出薬剤移送システムにより、投与することができる。代表的な持続放出材料の記載もまた、熟練した技術者には知られている(カルサ(Karsa)ら、1993;ヤコビ(Yacobi)ら、1998)。
【0086】
「有効な量」とは、アミリン沈着を遅らせるかもしくは阻害できる、または既に形成されている沈着物を溶解できるだけの、ペプチド濃度に達するのに十分な量を意味する。そのような濃度は当業者にとってはルーチンで決定できる。実際に投与される化合物の量は、通常は、医者によって、治療されるべき病状、選択された投与経路、実際に投与する化合物、個々の患者の年齢、体重および応答、患者の疾患の重篤度など、関係する状況を考慮して決定されるであろう。投薬量が投与されるペプチドの安定性に依存するということもまた、当業者であればよく認識しているであろう。安定性に乏しいペプチドは、多数回の投与を必要とする。
【0087】
「医薬品として容認される」という表現は、活性成分の生物学的活性の有効性を妨害せず、投与されるホストにとって毒性のない担体であればいかなる担体をも包含することを意味する。例えば、非経口投与では、前記活性成分を、食塩水、デキストロース液、血清アルブミンおよびリンゲル液などの媒体中に注射用単位投与形態で配合することができる。
【0088】
医薬品として容認される担体に加えて、本発明の組成物は、また、安定剤、賦形剤、緩衝液および防腐剤などの添加剤を少量含有することができる。
【0089】
式IまたはIIの化合物を調製するための、代表的または好ましい実験条件(すなわち、反応温度、時間、試薬のモル数、溶媒など)が与えられた場合、別段の記載がなければ、他の実験条件もまた使用できるということは、理解されるであろう。最適な反応条件は、使用する特定の反応物質または溶媒によって変化するが、当業者であればルーチンの最適化手順によってそのような条件を決定することができる。
【0090】
本発明の化合物は、熟練した技術者に知られているペプチド合成法を用いて調製できる(ボダンズスキー(Bodanzski)、1993;ウェン(Weng)ら、2000)。
【0091】
好ましい実施形態においては、本発明の化合物は固相法を使用して合成される。
【0092】
本発明は、特定の実施形態に関して記載してきたが、記載の内容は、請求の範囲の意味と目的を越えない範囲で当業者によってなされるあらゆる修正と置換を含むものである。
【実施例】
【0093】
次に、本発明を以下の実施例によって説明するが、これらはいかなる方法でも本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。実施例は、以下に明記した図を参照する。
【0094】
110μMのAβ1-42(配列番号11)とともに37℃で2日間のインキュベートを行った後の、形成されたフィブリルの本発明のペプチドの濃度(μMで表記)に対する割合を示す。形成フィブリル100%は、Aβ1-42が単独で存在した場合に形成されるフィブリルに対応する。三角形はpAntp(配列番号4)のデータを示し、四角形はpAntp−BSB1(配列番号6)のデータを示す。本発明のペプチドでは、形成されたフィブリルの割合は、知られているベータシートブレーカ、配列番号5のBSB1に対して得られた値と比較してある(ロジェンジーズ(Lozenges))。データは正副2つの独立した3回の実験結果である。
【0095】
略語
次の略語が、この後、記載されている実施例の中で使用されている:
DMSO(ジメチルスルフォキシド)、min(分)、hr(時間)、g(グラム)、mM(ミリモル)、ml(ミリリットル)、nm(ナノメートル)、μg(マイクログラム)、μl(マイクロリットル)、μM(マイクロモル)、rt(室温)。
【0096】
本発明を次の実施例で説明するが、これらは本発明の請求の範囲を限定するものと解すべきではない。
【0097】
次の実施例は、式IまたはIIの好ましい化合物、およびそれらの生物学的活性を決定する方法を示す。
【0098】
合成pAntp(1−16)(配列番号4)、BSB1(配列番号5)および配列番号6のペプチドを固相法で合成した。MW4513DaのAβ1-42(配列番号11)はバケム(BACHEM)(H−1368.1000)から購入した。
【0099】
実施例1:本発明の化合物の合成
本発明のペプチドは、Fmoc化学による固相法で合成する。ペプチドをHPLCで精製し、純度(>99%)をペプチド配列および質量分析(サーモフィニガン(ThermoFinnigan)のESIイオントラップLCQDecaXPプラス(ESI−Ion trap LCQ DecaXP Plus))により求めた。ペプチドは−20℃で凍結乾燥した。原液の濃度をアミノ酸分析により推定した。
【0100】
質量分析により測定した分子量を下記表Iに示す。
【0101】
【表1】

【0102】
実施例2:生物学的アッセイ
活性のインビトロアッセイ
本発明の化合物の凝集フィブリル形成阻害に対する活性は、アミロイドフィブリルに親和性を有する蛍光体の蛍光シグナルの変化を追跡することによって測定することができる。
【0103】
アミロイドの形成は、レビン(Levine)ら、1993やソト(Soto)ら、1995によって報告されているように、アミロイドフィブリルに結合したチオフラビンT(ThT)の蛍光発光により定量的に測定することができる。
【0104】
このアッセイにおいては、本発明のペプチドを小さなエッペンドルフチューブ内で異なる濃度で水に溶解し、凍結乾燥させた。
【0105】
Aβ1-42(アルツハイマー患者の脳内アミロイドプラーク中に沈着したものと同じ配列を有する合成ペプチド、配列番号11)を2mMのNaOH中、1mg/mlの濃度に溶解した。アリコートを凍結乾燥した(保管、−80℃)。数個のAβ1-42のアリコートをpH7.4の0.1MTris中で0.5mg/ml(110mM)の濃度に調製し、予め凍結乾燥しておいた異なる濃度(10mM〜1mMの範囲)の本発明のペプチドの非存在下または存在下に、2または5日間、37℃でインキュベートした。チオフラビンTは、シグマ(Sigma)(T−3516)から購入した。例えば、120μgのAβ1-42を1μlのDMSOおよび239μlのpH7.4の0.1MTrisに混合した。この溶液からの120μlを、37℃で5日間インキュベートし、120μlを本発明のペプチドを所望の濃度で溶解するのに使用し、37℃で5日間インキュベートする。
【0106】
インキュベート期間の終わりに、pH9.2の50mMグリシン、2μMのThTを前記インキュベート混合物に加え、最終容積を2mlとする(850μlの純水、200μlのpH9.2の50mMグリシンおよび40μlのチオフラビンT(純水中1mM)を60μlのサンプルに加える。
【0107】
パーキン・エルマー(Perkin Elmer)製モデルLS50B蛍光分光計により、励起435nmおよび発光485nmで蛍光を測定する。測定は、シグナルが少なくとも1〜2分間安定した後行う。蛍光の初期値は、形成フィブリルが100%であるAβ1-42ペプチドのみ(最大のフィブリル濃度)で得られる蛍光を示す。
【0108】
図1に示すように、本発明のペプチド、pAntp(配列番号4)およびpAntp−BSB1(配列番号6)は、フィブリル形成プロセスに対し高い阻害度を示す。500μMを越えるペプチド濃度では、本発明のペプチド、pAntpペプチド(配列番号4)およびpAntp−BSB1ペプチド(配列番号6)の存在下におけるフィブリルの%は、プラトーに達するのに対し、BSB1(配列番号5)の存在下では形成したフィブリルのパーセンテージは、これらの濃度範囲でプラトー限界に達することはない。さらに、形成したフィブリルの%は、本発明のペプチドの存在下では非常に低くなっている。
【0109】
本発明の化合物により誘発されるAβ1-42フィブリル形成阻害の割合は、ソト(Soto)ら1998に記載されているような分析方法を用いて算出できる。本発明のペプチドの500μMの濃度における阻害率を下記表IIに示す。
【0110】
【表2】

【0111】
本発明の化合物の50%効果(IC50)の阻害濃度を計算した。IC50値は、pAntp(配列番号4)およびpAntp−BSB1(配列番号6)に対して、それぞれ約71μM±28および98μM±20であった。
【0112】
前記データは、本発明のペプチドがアミロイド凝集体の形成を阻害することを示している。また、既知のベータシートブレーカ(BSB1)に本発明のペプチドが共有結合して形成された結合体は、ベータ・アミロイドフィブリル形成に対して、ベータシートブレーカ単独の場合より高い阻害効果を有している。
【0113】
細胞活性アッセイ
アミロイドフィブリルは細胞毒性があり、アポプトーシスにより細胞死を引き起こす(レビン(Levine)ら、1993)。本発明の化合物のアミロイド形成阻害能は、細胞アッセーでアミロイドフィブリルの細胞毒性の低下を測定することによって評価できる。毒性は、Aβ1-42(配列番号11)単独、または本発明のペプチドとAβ1-42との混合物が、PC12細胞によるレドックス活性染料、臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム(MMT)の還元に及ぼす影響を比較することによって測定した。PC12細胞(ATCC)を、85%のRPMI1640、5%のウシ胎児血清、10%の熱不活性化馬血清、3.6mMのL−グルタミンを含む培地を使用し、湿度管理した37℃、5%CO2のインキュベータ中で培養した。
【0114】
本発明のペプチドを、小さなエッペンドルフチューブ内で異なる濃度で水に溶解し、凍結乾燥させた。
【0115】
Aβ1-42を、2mMのNaOH中で1mg/mlの濃度に溶解する。アリコートを凍結乾燥する(保管−80℃)。pH7.4の0.1MTris中で調製した濃度0.5mg/ml(110μM)のAβ1-42(配列番号11)のアリコートを、単独でまたは異なる濃度の予め凍結乾燥しておいた本発明のペプチドの存在下(0.030μM〜10μM)、37℃で36時間、ロータリーシェーカーで静かにスワールしながらインキュベートする。
【0116】
インキュベート期間の終わりに、PC12細胞(10000〜15000細胞/ウェル)の培地をゆっくりと除去し、Aβ1-42サンプル単独または本発明のペプチドとの混合物5μlおよび95μlの媒体を含有するアリコート溶液で置き換え、ウェル中のAβ1-42の最終濃度を5.5μMとする。細胞を、24時間インキュベートし、その後、MTTキット(キットI(MTT)、No.1465007、ロッシュ、マンハイム、ドイツ(Roche、Mannheim、Germany)を使用して細胞の生存度を測定した。還元されたMTTのレベルを、595および650nmの吸収の差をマイクロプレートリーダーにより測定することによって決定し、細胞生存度を推定する。
【0117】
参照用化合物配列番号5では、前記フィブリル形成アッセイにおける最大のフィブリル阻害は、ペプチド濃度8mMで得られている。したがって、そのような混合物の存在下における細胞生存度を測定するために、このペプチド濃度に対応するインキュベートの配合を20倍に希釈し、PC12細胞に加える。これにより得られた細胞生存度を100パーセントとする。
【0118】
その後、本発明のペプチドの場合の細胞生存度を、本発明のペプチド1mMを含有するフィブリル形成アッセイ混合物(本発明のペプチドで最大のフィブリル阻害が得られる濃度)を、20倍に希釈した後、PC12細胞に加えることによって測定する。
【0119】
それから、本発明のペプチド(配列番号4および6)の存在下における細胞生存度を、参照用の配列番号5ペプチドが、最大のフィブリル阻害効果に対応する濃度で存在するときに得られる細胞生存度(100%とする)に対するパーセントで表す。
【0120】
参照用の配列番号5ペプチドでは、細胞生存度の対応するパーセントは、この濃度で4%である。
【0121】
本発明のペプチドの場合の細胞生存度率を下記表IIIに示す。
【0122】
【表3】

【0123】
上記データは、本発明のペプチドが有毒なアミロイドフィブリルの存在下において、非常に低いペプチド濃度で細胞生存度を増大させることを示している。
【0124】
本発明のペプチド(配列番号4)および、本発明のペプチドを既知のベータシートブレーカ(pAntp−BSB1)に結合させて形成した結合体(配列番号6)は、ベータシートブレーカ(BSB1)それ自身より、ベータアミロイド細胞毒性に対し高い阻害効果を有している。
【0125】
参考文献
ボダンズスキー(Bodanzski)、「ペプチド・ケミストリー:プラクチカル・テキストブック(Peptide Chemistry:A Practical Textbook)」、第2改訂版、スプリンガー−フェアラーク・テロス(Springer−Verlag Telos)、1993年;
クリーランド(Cleland)ら、「カレント・オピニオン・イン・バイオテクノロジー(Curr.Opin.Biotechnol.)」、2001年、第12巻、p.212−9;
デロッシ(Derossi)ら、「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)」、1994年、第269巻、p.10444−10450;
ドウアティ(Dougherty)、「カレント・オピニオン・イン・ケミカル・バイオロジー(Curr.Opin.Chem.Biol.)」、2000年、第4巻、p.645−652;
ゲンナロ(Gennaro)ら、「レミントンズ・ファーマシューティカル・サイエンシズ(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」、第8巻、第20版、マルク・パブリッシング・カンパニー(Marck Publishing Company)、イ−ストン(Easton)、ペンシルバニア(Pennsylvania)、2000年;
ゴレビオウスキー(Golebiowski)ら、「カレント・オピニオン・イン・ドラッグ・ディスカバリ・アンド・デベロップメント(Curr.Opin.Drug Discov.Devel.)」、2001年、第4巻、p.428−434;
ハーディ(Hardy)ら、「サイエンス(Science)」、2002年、第297巻、p.253−356;
ハーパー(Harper)ら、「アニュアル・レビュー・オブ・バイオケミストリー(Annu.Rev.Biochem.)」、1997年、第66巻、p.385−407;
ジョーダン(Jordan)ら、「セミナーズ・イン・ニューロロジー(Semin.Neurol.)」、2000年、第20巻、p.179−85;
カルサ(Karsa)ら、編「エンキャプシュレーション・アンド・コントロールド・リリース(Encapsulation and Controlled Release)」、ステファンソン(Stephenson)編、スプリンガー・フェアラーク(Springer Verlag)、1993年;
キム(Kim)ら、「コンビネートリアル・ケミストリー・ハイ・スループット・スクリーン(Comb.Chem.High Throughput Screen)」、2000年、第3巻、p.167−183;
レビン(Levine)ら、「プロテイン・サイエンス(Prot.Sci.)」、1993年、第2巻、p.404−410;
レビ(Levy)ら、「サイエンス(Science)」、1990年、第248巻、p.1124−1126;
ルオ(Luo)ら、「エキスパート・オピニオン・イン・セラピューティカル・パテンツ(Exp.Opin.Ther.Patents)」、2001年、第11巻、p.1395−1410;
ローウェ(Lowe)ら、「バイオケミストリー(Biochemistry)」、2001年、第40巻、p.7882−7889;
マン(Mann)ら、「ヒストパソロジー(Histopathology)」、1988年、第13巻、p.125−37;
モーリ(Maury)ら、「ラボラトリ・インベスティゲーション(Lab.Invest.)」、1995年、第72巻、p.4−16;
ローセル(Rousselle)ら、「モルキュラー・ファーマコロジー(Mol.Pharmacol.)」、2000年、第57巻、p.679−686;
セルコー(Selkoe)ら、「サイエンス(Science)」、1997年、第275巻、p.630−631;
ソト(Soto)ら、「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)」、1995年、第270巻、p.3063−3067;
ソト(Soto)ら、「ネーチャー・メディシン(Nature Medicine)」、1998年、第4巻、第7号、p.822−6;
ソト(Soto)ら、「ジャーナル・オブ・モルキュラー・メディシン(J.Mol.Med.)」、1999年、第77巻、p.412−418;
タラガ(Talaga)、「ミニ・レビュー・イン・メディシナル・ケミストリー(Mini Review in Medicinal Chemistry)」、2001年、第1巻、p.175−186;
ビライン(Villain)ら、「ケミカル・バイオロジー(Chem.Biol.)」、2001年、第8巻、p.673−9;
シア(Xia)ら、「カレント・オピニオン・イン・インベスティゲーショナル・ドラッグズ(Current Opinion in Investigational Drugs)」、2003年、第4巻、第1号、p.55−59;
ヤコビ(Yacobi)ら、「オーラル・サステインド・リリース・フォーミュレーションズ:デザイン・アンド・エバリュエーション(Oral Sustained Release Formulations:Design and Evaluation)」、エバ・ハルペリン−ウェールガ(Eva Halperin−Walega)編、第1版、パーガモン・プレス(Pergamon Press)、1998年;
ヤンクナー(Yankner)、「ニューロン(Neuron)」、1996年、第16巻、p.921−932;
ウェン(Weng)ら、編「FMOC・ソリッド・フェース・ペプチド・シンセシス:プラクティカル・アプローチ(FMOC Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach)」、オックスフォード・ユニバーシティ・プレス(Oxford University Press)、2000年;
国際公開第96/39834号パンフレット(ニューヨーク大学(New York University));
国際公開第98/38861号パンフレット(ニューヨーク市のコロンビア大学受託者(The Trustees of Colombia University in The City of New York));
国際公開第00/29427号パンフレット(サイクラセル・リミテッド(Cyclacel Ltd.));
国際公開第00/63246号パンフレット(アドヘレックス・テクノロジーズ・インコーポレーティッド(Adherex Technologies Inc.));
国際公開第01/07473号パンフレット(スコット・ケルビン(Stott Kelvin));
国際公開第01/09170号パンフレット(CNRS);
国際公開第01/34631号パンフレット(アクソニックス・インコーポレーティッド(Axonyx Inc.));
国際公開第02/062989号パンフレット(セキター・インコーポレーティッド(Sequitur Inc.));
国際公開第02/10195号パンフレット(セラテクノロジーズ・インコーポレーティッド(Theratechnologies Inc.));
仏国特許発明第2829940号明細書(シンテーム(Synt:em));
米国特許第6,319,498号明細書(プレシス・ファーマシューティカルズ・インコーポレーティッド(Praecis Pharmaceuticals Inc.))
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】アミロイドAβ1-42凝集体の形成に対する本発明のペプチドの効果を示す(配列番号11)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
1 [Lys X23 Phe Gln]m Arg Gln Ile [Lys X4 Pro Phe Gln]n
(ここで
1は存在しないかまたはアセチル基であり;
2およびX4は独立してIleuおよびLeuから選択され;
3はProおよびTrpから選択され;
Xは、1、2、3、4、5、6、7および8個のアミノ酸から選択される長さで、少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含み、C−末端でアミド化されているペプチド部であり;
mは0および1から選択される整数であり;
nは1および2から選択される整数である。)
のアミノ酸配列(配列番号1)を有するペプチド
およびその塩。
【請求項2】
Xが、5、6、7および8個のアミノ酸から選択される長さで、少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含むペプチド部である請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
Xが、LysおよびArgから選択される少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含む請求項1または2のいずれかに記載のペプチド。
【請求項4】
Xが、次のペプチド部(配列番号2):
Asn X56 Met X7 Trp X89−NH2
(ここで
5、X6、X7、X8およびX9は独立してArgおよびLysから選択される。)である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項5】
Xが配列番号10からなる請求項1〜4のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項6】
mが0であって、nが1である請求項1に記載のペプチド。
【請求項7】
1がアセチルである請求項1に記載のペプチド。
【請求項8】
mが0であって、nが2である請求項1に記載のペプチド。
【請求項9】
mが1であって、nが1である請求項1に記載のペプチド。
【請求項10】
配列番号7および配列番号8から選択される請求項1〜9のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項11】
医薬品として使用する請求項1〜10のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のペプチドおよび医薬品として容認される賦形剤、希釈剤または担体を含む医薬品組成物。
【請求項13】
式(II)(配列番号3):
1 [Lys X23 Phe Gln]m Arg Gln Ile [Lys X45 Phe Gln]n
(ここで
1は存在しないかまたはアセチル基であり;
2およびX4は独立してIleおよびLeuから選択され;
3およびX5は独立してProおよびTrpから選択され;
Xは、1、2、3、4、5、6、7および8個のアミノ酸から選択された長さで、少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含み、C−末端でアミド化されているペプチド部であり;
mは0および1から選択される整数であり;
nは1および2から選択される整数である。)
で示されるペプチド、
並びに、その塩の、アルツハイマー病、ボクサー認知症(頭部外傷を含む)、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性大脳出血(HCHWA−D)およびアミロイド血管障害を伴う血管性認知症から選択される病気または症状の治療または予防用の医薬品を調製するための使用。
【請求項14】
5が、Trpである請求項13に記載の使用。
【請求項15】
式(II)で示されるペプチドが配列番号1である請求項13に記載の使用。
【請求項16】
4がIleである請求項13に記載の使用。
【請求項17】
Xが、5、6、7および8個のアミノ酸から選択される長さで、少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含むペプチド部である請求項13に記載の使用。
【請求項18】
Xが、LysおよびArgから選択される少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含む請求項13〜17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
Xが、上に定義されるペプチド部(配列番号2)またはその誘導体もしくは類似体である請求項13〜18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
Xが配列番号10からなる請求項13〜19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
mが0であって、nが1である請求項13に記載の使用。
【請求項22】
5がTrpであり、Xが上に定義される配列番号2からなるペプチド部であり、mが0であって、nが1である請求項13〜21のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
mが1であって、nが1である請求項13に記載の使用。
【請求項24】
ペプチドが配列番号4からなる請求項13〜23のいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
ペプチドが、配列番号7、配列番号8および配列番号9から選択される請求項13〜24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
病気が、アルツハイマー病である請求項13〜25のいずれか一項に記載の使用。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2007−523848(P2007−523848A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505384(P2006−505384)
【出願日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004807
【国際公開番号】WO2004/096845
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(599177396)アプライド リサーチ システムズ エーアールエス ホールディング ナームロゼ フェンノートシャップ (70)
【Fターム(参考)】