説明

ベータグルカンペプチドカルシウム結合体及びその製造方法

【課題】 ベータグルカンペプチドカルシウム結合体を提供する。また、このベータグルカンペプチドカルシウム結合体の製造方法を提供する。
【解決手段】 ベータグルカンペプチドカルシウム結合体は、3個の1,3結合したベータグルカンからなるベータグルカンの水酸基に、チロシン、システイン、フェニルアラニンからなるトリペプチドがエステル結合している。この基本となるベータグルカンペプチドが2つ結合し、2分子のチロシンの水酸基が1原子のカルシウムと結合している。これは、癌細胞の減少作用、有害物質や環境物質の吸着作用を呈する。その製造方法は、レタス根の乾燥粉末、金の粉末及び大豆粉末に、紅麹菌を添加し、発酵させた発酵液をアルカリ還元する工程を特徴とし、主たる工程としては発酵工程及び還元工程である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はベータグルカンペプチドカルシウム結合体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
癌は、日本人の死因の第一であり、1年間に約30万人が癌またはその関連疾患により死亡しており、医療費増加の原因となっている。このため、医師、製薬業界をはじめ厚生労働省や健康保健業界などは癌の発症を減少させるべく、様々な対策と研究開発を実施している。
【0003】
さらに、癌に対する薬物治療として、種々の抗癌剤が開発され、癌細胞の増殖を抑制する作用、癌を分化させる作用、免疫力を回復させる作用、癌血管新生の抑制作用を持つ医薬品が開発され、病院などの医療現場でも利用されている。
【0004】
このうち、癌細胞に特有に働く作用を持つ物質が望まれている。化学合成した抗癌剤の多くが増殖する正常細胞にも作用することにより、重篤な副作用が発症することが問題となっている。たとえば、シスプラチンや5−FUは抗癌作用が強いものの、その副作用も重篤で、嘔吐、貧血、免疫低下、感染症などが発現する結果、抗癌剤の使用量と使用期間が制限されている。
【0005】
癌細胞を特異的に破壊する作用するメカニズムとして、アポトーシスがある。アポトーシスとは癌細胞自己が自殺するように、癌細胞のDNAが粉々に分解されて癌細胞が自然に死滅する現象であり、副作用は少ない。したがって、癌細胞を特異的に破壊するアポトーシスを誘発させる薬剤や天然物の探索が進められている。
【0006】
アポトーシスを誘発する天然物、植物やハーブ由来の発明としては、ポリコ酸A(化合物1)、ポリコ酸B(化合物2)、ポリコ酸G(化合物3)、ポリコ酸H((化合物4)、デヒドロエブリコン酸(化合物5)、ツムロシン酸(化合物6)、デヒドロツムロシン酸(化合物7)及び3−エピデヒドロツムロシン酸(化合物8)からなる群から選んだ少なくとも1種のトリテルペン化合物を有効成分とすることを特徴とする、DNA合成酵素及びDNAトポイソメラーゼ阻害性組成物に関する発明がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
また、異常増殖等を引き起こした滑膜細胞のアポトーシスを誘導し、その異常な増殖を抑制しうる薬剤に関する発明が報告されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
アポトーシスに関する発明としては、ジテルペン化合物、ジテルペン化合物の有効量を含んでなる組成物がある(例えば、特許文献3参照。)。
【0009】
また、1つまたは複数の単離されたトリテルペン・グリコシドを含む混合物、a)アカシア・ビクトリアエ(Acacia victoriae)の組織から単離可能、 b)分子量が約1800〜2600の範囲のトリテンペン・グリコシドをすくなくとも1つ含む、 c)Jurkat細胞に対して細胞毒性を誘発する能力、そして、d)Jurkat細胞に対してアポトーシスを誘発する能力の発明がある(例えば、特許文献4参照。)。
【0010】
さらに、テルペン誘導体については、マスリン酸、エリトロジオール、ウバオール、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる化合物を有効成分として含有するアポトーシス誘導剤が報告されているものの、産業上への利用は限定されている(例えば、特許文献5参照。)。
【0011】
環境汚染と癌の発症には関連性があり、環境汚染物質の解毒物質について、すでに、退色防止食品、退色防止方法及び退色防止食品の製法の発明があるものの、これはコンニャク食品に限定されており、新規の成分についての記載は見当たらない(例えば、特許文献6参照)。
【0012】
今回、癌抑制作用、汚染物質除去作用や皮膚改善作用などを発揮するベータグルカン、ペプチドとカルシウムとの結合が特徴である物質を発明し、かつ、発酵と還元処理を製造上の特徴とする製造方法を発明したので、以下に説明する。
【特許文献1】特開2005−89328
【特許文献2】特開2004−168713
【特許文献3】特表2006−515292
【特許文献4】特表2002−515430
【特許文献5】WO2003/057224
【特許文献6】特開2004−215570
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記したように化学合成されたシスプラチンや5−FUなどの抗癌剤には重篤な副作用が存在し、患者のQOLを低下させ、使用量と使用期間を限定させているという問題がある。また、化学合成された環境改善剤は、自然界に残留するという問題がある。
【0014】
一方、天然由来の物質についてその安全性は高いものの、癌細胞の破壊作用や有害物質の除去作用が軽度であるという問題がある。そこで、副作用が弱く、癌細胞の破壊作用や有害物質除去作用に優れた天然物由来物質が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、癌抑制作用、汚染物質除去作用や皮膚改善作用などを発揮するベータグルカンペプチドカルシウム結合体に関するものである。
【0016】
【化1】

【0017】
請求項2に記載の発明は、レタス根の乾燥粉末、金の粉末及び大豆粉末に、紅麹菌を添加し、発酵させた発酵液をアルカリ還元する工程を特徴とするベータグルカンペプチドカルシウム結合体の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
【0019】
請求項1に記載のベータグルカンペプチドカルシウム結合体によれば、副作用が弱く、優れた癌細胞の破壊作用、有害物質除去作用や皮膚改善作用が発揮される。
【0020】
請求項2に記載の製造方法によれば、効率良くベータグルカンペプチドカルシウム結合体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
【0022】
まず、下記の式(1)で示されるベータグルカンペプチドカルシウム結合体について説明する。
【0023】
【化2】

【0024】
ここでいうベータグルカンペプチドカルシウム結合体とは、3分子のベータ1−3結合してなるベータ型のグルコースにC末からチロシン、システイン、フェニルアラニンの順に結合してなるトリペプチドのチロシンのカルボキシル基とベータグルコースの4位の水酸基とがエステル結合している。
【0025】
上記のベータグルカンペプチド構造体が1つのカルシウム原子と結合している。すなわち、前記のベータグルカンペプチド構造体の2分子が必要であり、それぞれのチロシンのベンゼン環の水酸基がカルシウムの1原子と結合した構造を示す。
【0026】
この構造を構成するグルコースは、D型であり、アミノ酸は、いずれも、L型である。
【0027】
このベータグルカンペプチドカルシウム結合体は、ベータグルカンペプチド部分が、癌細胞の表面抗原と反応し、癌細胞を標的とする。カルシウムとトリペプチドが標的となる癌細胞の遺伝子を攻撃し、遺伝子を破壊し、アポトーシスを呈する。
【0028】
このベータグルカンペプチドカルシウム結合体は、トリペプチド内に1つのシステインに起因するSH基を有する。このSH基は、還元作用を呈して、癌細胞により生じる酸化反応を抑制することから構造が安定に維持されることから好ましい。
【0029】
このベータグルカンペプチドカルシウム結合体内のカルシウムは、癌細胞に必要な成長因子の受容体、例えば、上皮性成長因子(EGF)受容体や血小板由来成長因子(PDGF)受容体以降の細胞内活性化過程を抑制することから、癌細胞の増殖を抑制する。つまり、癌細胞の増殖におけるカルシウムを介した細胞内情報伝達経路を抑制し、癌細胞を抑制する。
【0030】
このベータグルカンペプチドカルシウム結合体は、ベータグルカンとしては糖質の結合数が3であり、短鎖ではあるものの、ベータグルカンとしての性質を有して、ナチュラルキラー細胞やキラーT細胞などの免疫細胞を活性化し、癌組織の破壊を促進する。さらに、グルカン部分は有害金属を取り込み、無毒化する。
【0031】
さらに、このベータグルカンペプチドカルシウム結合体のペプチド部分は、癌組織の新生された栄養血管に働き、カルシウムを介した細胞内情報伝達系の抑制により血管新生の増殖を抑制し、癌組織を縮小させる。カルシウムの代わりに、水銀、ヒ素やクロムなどの有害金属を吸着し、無毒化する。
【0032】
さらに、このベータグルカン部分は環状構造を呈し、ディーゼル粒子やアスベストのような微小な粒子を包みこむことにより、環境への排出を抑制し、有害性を無毒化することができる特徴を有する。
【0033】
ダイオキシン、農薬類に対して、2つのSH基がキレート作用を発現し、ダイオキシンや農薬を捕捉して、かつ、ベータグルカンの環状構造が折りたたむように、ダイオキシンや農薬を包む込み、有害作用を消失させ、環境を改善させる。
【0034】
また、このベータグルカンペプチドカルシウム結合体は、過剰に摂取した場合、消化管、肺、血中や臓器内エステラーゼにより分解されてトリペプチドとベータグルカンとカルシウム原子に分解される。
【0035】
トリペプチドはアミノ酸になり、さらに、二酸化イオウと炭酸ガスに分解されて腎臓から排泄されることから、安全性が高く、より好ましい。また、分解されたカルシウムは血中ではアルブミンと結合し、腎臓を経由して尿として体外に排泄される。
【0036】
さらに、このベータグルカンペプチドカルシウム結合体は、ベータグルカン部分が抗炎症作用を呈することから、発癌物質や有害物質による炎症も抑制されることから好ましい。
【0037】
また、このベータグルカンペプチドカルシウム結合体は、皮膚細胞の角質細胞に対して皮膚からの剥離を促進することにより、肌の再生力を高める。さらに、炎症細胞に対してカルシウムを介した細胞内情報伝達系を阻害することにより、抗炎症作用を発揮してアトピーや接触性アレルギーを改善することから好ましい。
【0038】
さらに、このベータグルカンペプチドカルシウム結合体は、ペプチドのSH基が還元作用を呈しビタミンCやビタミンEの働きを補助してチロシンの酸化生成物であるメラニンの産生を抑制してシミの原因物質を消去し、かつ、プロリンの利用率を高めてコラーゲン産生を促進する。さらに、グルカン部分がコンドロイチンやヒアルロン酸の生成を促進させる。
【0039】
このベータグルカンペプチドカルシウム結合体は、アルカリ還元やイオン還元装置により作り出される。特に、金原子を触媒として用いることにより、還元性が高まり、かつ、構造が維持される。
【0040】
このベータグルカンペプチドカルシウム結合体は、金の粉末の存在下、レタスやキャベツなどの野菜、植物細胞や動物細胞により生成され、かつ、パン酵母などの有用な酵母や紅麹菌や納豆菌などの有用微生物による発酵過程でも得られ、微生物の体内で生合成させて、抽出して得ることができる。特に、レタスの根、キャベツの根や白菜の根には、材料となる糖質やペプチドが存在することから原料として好ましい。
【0041】
このベータグルカンペプチドカルシウム結合体は、液体または粉末して得られる。また、滅菌も容易であり、無菌医薬品製剤として抗癌剤や癌抑制剤の注射剤としても利用できる。
【0042】
医薬品素材として利用する場合、目的とするベータグルカンペプチドカルシウム結合体を分離精製することは、目的とするベータグルカンペプチドカルシウム結合体の純度が高まり、不純物を除去できる点から好ましい。
【0043】
医薬品として、注射剤または経口剤または塗布剤などの非経口剤として利用され、医薬部外品としては、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、石鹸、塗布剤、ゲル剤、歯磨き粉等に配合されて利用される。
【0044】
経口剤としては、錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、ドリンク剤等が挙げられる。前記の錠剤及びカプセル剤に混和される場合には、結合剤、賦形剤、膨化剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤等とともに用いることができる。前記の錠剤は、シェラックまたは砂糖で被覆することもできる。
【0045】
また、前記のカプセル剤の場合には、上記の材料にさらに油脂等の液体担体を含有させることができる。前記のシロップ剤及びドリンク剤の場合には、甘味剤、防腐剤、色素香味剤等を添加することができる。
【0046】
非経口剤としては、軟膏剤、クリーム剤、水剤等の外用剤の他に、注射剤が挙げられる。外用剤の基材としては、ワセリン、パラフィン、油脂類、ラノリン、マクロゴールド等が用いられ、通常の方法によって軟膏剤やクリーム剤等とすることができる。
【0047】
注射剤には、液剤があり、その他、凍結乾燥剤がある。これは使用時、注射用蒸留水や生理食塩液等に無菌的に溶解して用いられる。
【0048】
食品製剤は、癌の予防や皮膚の健康維持を目的として原料加工や食品製造の原材料として利用される。また、保健機能食品として、栄養機能食品や特定保健用食品に利用することは好ましい。
【0049】
得られた食品製剤をイヌやネコなどのペットや家畜動物に利用する場合、ペットの癌を抑制し、皮膚を清浄する目的として、飼料やサプリメントとして利用される。
【0050】
化粧料として常法に従って界面活性化剤、溶剤、増粘剤、賦形剤等とともに用いることができる。例えば、クリーム、毛髪用ジェル、洗顔剤、美容液、化粧水等の形態とすることができる。化粧料の形態は任意であり、溶液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、ジェル状、固形状または粉末状として用いることができる。
【0051】
得られた化粧料は、免疫調節作用や抗炎症作用を介してアトピー患者の角質改善と皮膚再生を促進する。また、美白作用を呈することから、美白用化粧料や医薬部外品としても利用される。
【0052】
ダイオキシン、PCB、アスベスト、化学物質、放射線物質や環境汚染物質の除去、農耕地の有害物質除去の目的で土壌改善剤として利用される。また、化学工場や排気ガスの多い幹線道路や住居では周辺の空気環境、土壌汚染や作業環境を改善する目的に利用される。さらに、河川や海洋の汚染物質を除去する環境改善剤としても利用される。
【0053】
次に、レタス根の乾燥粉末、金の粉末及び大豆粉末に、紅麹菌を添加し、発酵させた発酵液をアルカリ還元する工程を特徴とするベータグルカンペプチドカルシウム結合体の製造方法について説明する。
【0054】
ここでいうベータグルカンペプチドカルシウム結合体とは、前記のベータグルカンペプチドカルシウム結合体である。
【0055】
原料として用いるレタス根の乾燥粉末は、食用として栽培されているレタスの根の乾燥粉末ことである。レタスの学名は、Lactuca sativaであり、キク科アキノノゲシ属の一年草または二年草であり、食用野菜として利用される。和名はチシャ(萵苣・苣、チサとも)である。その根についても、一部は食用として用いられるものの、大半は肥料として用いられており、食経験と安全性が確認されている。
【0056】
レタスとしては、ヘッドレタス、リーフレタス、立ちレタス、カッティングレタス、ステムレタスなどの種類があり、ここの原料としていずれのレタスでも用いられる。
【0057】
レタス根は成長点を持ち、成長因子が豊富であり、かつ、根に共生する微生物がレタスの成長を調節するたんぱく質からなる成長因子を産生している。この成長因子に紅麹菌が作用し、発酵されて異化されることにより、ベータグルカンペプチドカルシウム結合体のペプチド部分が生成される。
【0058】
レタスの根は、日本産、中国産、韓国産、アメリカ産のいずれでも、用いられる。このうち、農薬の使用が制限された減農薬または無農薬のレタスの根は微生物の働きが促進されていることから好ましい。また、レタスの種子を水耕栽培し、培養した主根やひげ根は柔らかく、加工しやすいことから、好ましい。
【0059】
レタスの根は主根、ひげ根のいずれでも、用いられる。レタスの根は水道水などにより洗浄され、乾燥されることにより不純物が少なくなる。
【0060】
レタスの根は、野菜としては食用には供されず、主として肥料として用いられる程度であり、大量に栽培された場合には、廃棄物として廃棄されることから、レタスの根を用いることは農産物の資源を有効活用でき、廃棄物の減少に貢献する。レタスの根の代わりとしてキャベツの根、白菜の根、小松菜やホウレンソウの根も利用される。
【0061】
ここで原料として用いる金の粉末は、純金の塊、金地金や砂金、金箔などを粉砕して得られる。特に、純度99%以上の純金は、不純物が少ないことから原料として好ましい。金塊は粗く削られた後に、石臼や粉砕機により粉末とされる。3マイクロメーター以下の粒子サイズの粉末が発酵の工程を実施しやすくすることから好ましい。米常商事株式会社より購入した三菱マテリアルや住友金属鉱山製の金地金は純度が高く、反応性が高いことから、好ましい。
【0062】
原料となる大豆粉末は、日本産、中国産、アメリカ産、ロシア産などいずれの産地の大豆でも利用できるが、トレーサビリティーが確実であり、生産者が明確である日本産が好ましい。このうち、有機栽培や無農薬で栽培された大豆は有害な農薬や金属を含有しないことから、さらに好ましい。
【0063】
大豆とレタス根は使用に際して、株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20、中山技術研究所製DM−6などの粉砕機で粉砕されることにより、発酵の工程が効率的に進行しやすいことから好ましい。
【0064】
さらに、金の粉末、大豆とレタス根の乾燥粉末は粉砕後、オートクレーブなどにより滅菌されることは雑菌の繁殖を防御できることから好ましい。用いる紅麹菌は、学名Monascaceaeで、食経験が豊富で有用な食用菌である。沖縄や鹿児島などの日本産、中国や台湾の東南アジア原産の菌種が用いられる。このうち、紅麹本舗製の紅麹菌は高い発酵性を呈することから好ましい。
【0065】
この紅麹菌は、レタス根の乾燥粉末と大豆からなるグルカンとペプチド成分を同時に発酵させ、金原子はこのエステルを結合させる抱合酵素とエステル結合酵素を誘導し、反応を触媒する。
【0066】
前記の発酵に関するそれぞれの添加量は、レタス根の乾燥粉末1重量に対し、金の粉末は0.0001〜0.003重量、大豆粉末は0.4〜4重量及び紅麹菌は0.001〜0.04重量が好ましい。紅麹菌は発酵される前に、前培養することは、発酵の初発時間を短縮し、発酵時間が短縮されることから好ましい。
【0067】
前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、滅菌された水道水により前記の材料を混合することは好ましい。
【0068】
また、この発酵は、30〜53℃に加温され、発酵は、2日間から14日間行われる。目的とするベータグルカンペプチドカルシウム結合体をHPLCやTLCにより定量すること、ならびに、菌体の増殖性を確認することにより、発酵の工程管理を実施する。
【0069】
この発酵の工程によって、金の粉末の存在下で、ベータグルカンがトリペプチドに結合するものの、その結合は不安定でエステラーゼなどの酵素により分解されやすいため、以下の示すアルカリ還元を実施することが必要である。
【0070】
前記の発酵により生成された発酵物は含水エタノールで抽出されることは、生成物を効率良く回収でき、次の工程が実施しやすいことから、好ましい。また、得られた発酵物を超音波処理することは、生成物が分離しやすいことから、好ましい。また、凍結乾燥などにより、濃縮することは、以下の工程が短時間に実施できることから好ましい。
【0071】
この発酵物はアルカリ還元される。アルカリ還元は、アルカリ還元装置やアルカリ還元整水器により実施されることが好ましい。たとえば、ゼマイティス製のアルカリ還元水・強酸化水連続生成器「プロテックATX−501」、エヌアイシー製のアルカリ還元水製造装置「テクノスーパー502」、マルタカ製「ミネリア・CE−212」、クレッセント製「アキュラブルー」、株式会社日本鉱泉研究所製「ミネラル還元整水器「元気の水」」などの装置を用いることがさらに好ましい。
【0072】
アルカリ還元を実施する際の溶媒としては、アルカリ還元を効率的に実施させることから、20%から80%濃度のエタノールを含有する含水エタノール溶液が好ましい。この還元の工程により、目的とするベータグルカンペプチドカルシウム結合体の結合が安定化される。
【0073】
前記の還元反応物から、目的とするベータグルカンペプチドカルシウム結合体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
【0074】
分離用担体または樹脂により分離され、分取されることにより目的とするベータグルカンペプチドカルシウム結合体が得られる。分離用担体または樹脂としては、表面が後述のようにコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。0.1〜300μmの粒度を有するものが好ましく、粒度が細かい程、精度の高い分離が行なわれるが、分離時間が長い欠点がある。
【0075】
例えば、逆相担体または樹脂として表面が疎水性化合物でコーティングされたものは、疎水性の高い物質の分離に利用される。陽イオン物質でコーティングされたものは陰イオン性に荷電した物質の分離に適している。また、陰イオン物質でコーティングされたものは陽イオン性に荷電した物質の分離に適している。特異的な抗体をコーティングした場合には、特異的な物質のみを分離するアフィニティ担体または樹脂として利用される。
【0076】
アフィニティ担体または樹脂は、抗原抗体反応を利用して抗原の特異的な調製に利用される。分配性担体または樹脂は、シリカゲル(メルク社製)等のように、物質と分離用溶媒の間の分配係数に差異がある場合、それらの物質の単離に利用される。
【0077】
これらのうち、製造コストを低減することができる点から、吸着性担体または樹脂、分配性担体または樹脂、分子篩用担体または樹脂及びイオン交換担体または樹脂が好ましい。さらに、分離用溶媒に対して分配係数の差異が大きい点から、逆相担体または樹脂及び分配性担体または樹脂はより好ましい。
【0078】
分離用溶媒として有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒に耐性を有する担体または樹脂が用いられる。また、医薬品製造または食品製造に利用される担体または樹脂は好ましい。
【0079】
これらの点から吸着性担体としてダイヤイオン(三菱化学(株)社製)及びXAD−2またはXAD−4(ロームアンドハース社製)、分子篩用担体としてセファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、分配用担体としてシリカゲル、イオン交換担体としてIRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体としてDM1020T(富士シリシア社製)がより好ましい。これらのうち、ダイヤイオン、セファデックスLH−20及びDM1020Tはさらに好ましい。
【0080】
得られた抽出物は、分離前に分離用担体または樹脂を膨潤化させるための溶媒に溶解される。その量は、分離効率の点から抽出物の重量に対して1〜30倍量が好ましく、3〜20倍量がより好ましい。分離の温度としては物質の安定性の点から4〜35℃が好ましく、10〜25℃がより好ましい。
【0081】
分離用溶媒には、水、または、水を含有する低級アルコール、親水性溶媒、親油性溶媒が用いられる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが用いられるが、食用として利用されているエタノールが好ましい。
【0082】
セファデックスLH−20を用いる場合、分離用溶媒には低級アルコールが好ましい。シリカゲルを用いる場合、分離用溶媒にはクロロホルム、メタノール、酢酸またはそれらの混合液が好ましい。
【0083】
ダイヤイオン及びDM1020Tを用いる場合、分離用溶媒はメタノール、エタノール等の低級アルコールまたは低級アルコールと水の混合液が好ましい。
【0084】
ベータグルカンペプチドカルシウム結合体を含む画分を採取して乾燥または真空乾燥により溶媒を除去し、目的とするベータグルカンペプチドカルシウム結合体を粉末または濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから、好ましい。
【0085】
このようにして得られたベータグルカンペプチドカルシウム結合体は、液体または粉末として得られる。
【0086】
以下、前記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。なお、これらは一例であり、素材、原料や検体の違いに応じて常識の範囲内で条件を変更させることが可能である。
【実施例1】
【0087】
米常商事株式会社より購入した金地金100gを粉砕機(株式会社奈良機械製作所製のスーパー自由ミル)にて粉砕して、粒子サイズが3〜4マイクロメーターの金の粉砕物90gを得た。
【0088】
愛知県の渥美地方で減農薬栽培されたレタス根の乾燥粉末を用いた。葉部分を採取した後、レタスの根のみを採取し、水道水で水洗後、天日で乾燥させ、粉砕機(株式会社奈良機械製作所製のスーパー自由ミル)にて粉砕し、レタス根の乾燥粉末粉砕物を1kg得た。
【0089】
北海道産の大豆をミキサー(クイジナート)に供し、大豆の粉砕物1kgを得た。前記のレタス根と大豆の粉砕物をオートクレーブに供し、121℃20分間、滅菌した。これらを清浄な発酵タンク(滅菌された発酵用丸形40リットルタンク)に入れ、滅菌された水道水10kgを添加し、攪拌した。
【0090】
これとは別に、粉末紅麹菌(紅麹本舗製)12gを小型発酵タンクに供し、滅菌した大豆粉末と前培養させた培養液を用意した。
【0091】
前記の前培養した紅麹菌の溶液を前記の金の粉砕物、レタス根の乾燥粉末と大豆を入れた発酵タンクに添加し、攪拌後、45〜46℃の温度範囲で加温し、発酵させた。
【0092】
発酵過程では、通気によりバブリングと攪拌を行いつつ、発酵液のサンプリングを行い、目的とするベータグルカンペプチドカルシウム結合体の生成を測定した。
【0093】
その方法は、質量分析器付き高速液体クロマトグラフィ(HPLC、島津製作所)に発酵液を供して分析し、目的とする物質の生成を確認した。
【0094】
その結果、発酵5日後に、目的とするベータグルカンペプチドカルシウム結合体が十分量生成されたため、発酵を終了させた。発酵を停止後、発酵液にエタノール3kgを添加した。
【0095】
この発酵液を珪藻土を敷いたろ過器に供し、ろ過した。得られたろ過液をセルラキッス(株式会社ゼノン製)に供した。
【0096】
得られたろ液をアルカリ還元装置(ゼマイティス製のアルカリ還元水・強酸化水連続生成器「プロテックATX−501」)に供してアルカリ還元化させた。
【0097】
こうして得られたアルカリ還元物を日本エフディ製の凍結乾燥機に供し、目的とするベータグルカンペプチドカルシウム結合体を粉末として248g得た。これを検体1として以下の試験に供した。
【0098】
以下に、ベータグルカンペプチドカルシウム結合体の構造解析に関する試験方法及び結果について説明する。
(試験例1)
【0099】
上記のように得られた検体1をエタノールに溶解し、質量分析器付き高速液体クロマトグラフィ(HPLC、島津製作所)で分析した。
【0100】
さらに、核磁気共鳴装置(NMR、ブルカー製、AC−250)で解析した。構造解析の結果、検体1からチロシン、システイン、フェニルアラニンからなるトリペプチドとベータグルカンとカルシウムを結合した目的とする結合体を同定した。
【0101】
このベータグルカンは、グルコースがベータ1,3結合していた。1分子のカルシウム原子は2分子のベータグルカンペプチドのチロシンの水酸基と結合していた。
【0102】
以下に、前記のベータグルカンペプチドカルシウム結合体の酸化還元電位試験について述べる。
(試験例2)
【0103】
前記の検体1の0.1gを水道水(東京都)の100mlに溶解した。これを酸化還元電位計(佐藤商事製、OPRプロ)にて酸化還元電位を測定した。
【0104】
その結果、添加前の酸化還元電位はプラス525mVであったが、検体1の溶解後1分後の酸化還元電位はマイナス249mVであり、溶解後24時間まで、マイナス電位を維持した。一方、水道水の酸化還元電位はプラス531mVを維持していた。
【0105】
以下に、ヒト癌細胞を用いたアポトーシス誘発試験について述べる。
(試験例3)
【0106】
ATCCより購入したヒト由来子宮癌細胞であるHeLa細胞を用いた。培養液としては、5%牛胎児血清含有MEM培地(Sigma製)を用いて培養した、10000個の細胞を35mm培養シャーレに播種し、5%炭酸ガス下、37℃で培養した。これに、前記の実施例1で得られた検体1及び対照医薬品として用いたシスプラチンを0.01mg/ml及び0.1mg/mlの最終濃度で添加してさらに、48時間培養した。
【0107】
細胞を剥離後、細胞数を計数し、ヘキスト33352で蛍光染色した。これを蛍光顕微鏡し、核が分裂したアポトーシスの細胞数を計数した。なお、シャーレは5枚を用いてその平均値を算出した。
【0108】
その結果、検体1の0.01mg/mlの添加では、細胞数が対照群に比して平均値として43%にまで、細胞数が減少し、アポトーシスの出現率は48%であった。
【0109】
また、検体1の0.1mg/mlの添加では、細胞数が対照群に比して30%にまで、細胞数が減少し、アポトーシスの出現率は76%であった。
【0110】
その結果、対照薬のシスプラチンの0.01mg/mlの添加では、細胞数が対照群に比して87%となり、アポトーシスの出現率は9%であった。
【0111】
また、対照医薬品のシスプラチンの0.1mg/mlの添加では、細胞数が対照群に比して77%となり、アポトーシスの出現率は10%であった。
【0112】
以上の結果から、検体1にはアポトーシスによる癌細胞の破壊作用が観察された。その強さは対照薬であるシスプラチンの10倍以上であった。
【0113】
一方、正常なヒト由来皮膚線維芽細胞で同様に試験した結果では、検体1の添加によっても、細胞数に変化はなく、正常細胞に対する安全性が確認された。しかし、対照薬であるシスプラチンでは、正常細胞の障害が観察され、毒性が認められた。
【0114】
以下に、マウス由来メラノーマ細胞S−100を用いたマウス癌移植試験について述べる。
(試験例4)
【0115】
ATCCより購入したマウス由来メラノーマ細胞S−100を用いた。この細胞を5%牛胎児血清含有MEM培地(Sigma製)にて培養した、100000個の細胞をICRマウスの背部皮下に、注入した。
【0116】
このマウスに、前記の実施例1で得られた検体1を0.1mg/kg及び1mg/kgの投与量で経口投与した。投与は、28日間毎日、1回ずつ経口投与した。なお、1群あたり10匹の動物を用い、対照として蒸留水を投与した。
【0117】
なお、対照薬としてシスプラチンを同様の投与量で投与した。
【0118】
蒸留水投与群の腫瘍重量の平均値は、9.67gであった。これに対して、検体1の0.1mg/kg投与の腫瘍重量の平均値は、3.56gであった。さらに、検体1の1mg/kg投与の腫瘍重量の平均値は、1.89gであった。
【0119】
対照薬であるシスプラチンの0.1mg/kg投与によって、その腫瘍重量の平均値は、6.34gであった。さらに、シスプラチンの1mg/kg投与によって、その腫瘍重量の平均値は、3.26gであった。
【0120】
これらの結果、検体1の投与によって、腫瘍の縮小と重量の低下が認められ、検体1に腫瘍縮小作用が確認された。その作用は、抗癌医薬品であるシスプラチンの10倍以上であった。
【0121】
また、検体1を投与した動物には、副作用は認められなかった。一方、シスプラチンの投与により死亡する動物が認められ、また、血尿、腎臓障害及び貧血が観察され、副作用が確認された。
【0122】
以下に、ベータグルカンペプチドカルシウム結合体からなる化粧料の実施例について説明する。
【実施例2】
【0123】
化粧料用混合機にモノステアリン酸ポリエチレングリコール1g、親油型モノステアリン酸グリセリン1g、馬油エステル2g及びオレイン酸2gを加熱し、溶解した。
【0124】
得られた溶液に、実施例1で得られた検体1の20g、α−トコフェロール0.1g及び精製水60gを添加した。これらを溶解した後、冷却して化粧料として乳液を得た。これを実施例3の検体3とした。対照の化粧料として実施例1で得られた検体1の粉末のみを除外した乳液を調製した。
【0125】
以下に、化粧料の効果及び副作用について評価した試験例を示す。
(試験例5)
【0126】
24〜58才の健常女性の10人に、実施例2で得られた乳液10mLを顔面右半分に、14日間塗布した。顔面左半分には検体1を除外した乳液を塗布した。
【0127】
塗布前及び塗布14日に、顔面左右それぞれの水分保持力(インテグラル製、CM825)及び皮膚弾性力(インテグラル製、衝撃波測定装置、RVM600)を測定した。
【0128】
その結果、顔面左半分に比し、実施例2の乳液を塗布した顔面右半分の水分保持力及び皮膚弾性力は、それぞれ167%及189%といずれの値も改善された。皮膚弾性力は皮膚の角質剥離と皮膚の再生に依存しているため、ベータグルカンペプチドカルシウム結合体を含む化粧料が美容に効果的であると考えられた。
【0129】
これらの結果は、実施例2の乳液は水分保持力と弾性力が向上されることが確認された。また、この化粧料の塗布による副作用は認められなかった。
【0130】
以下に、ベータグルカンペプチドカルシウム結合体の重金属、シアン、農薬、ダイオキシン及びアスベストの吸着試験について述べる。
【0131】
(試験例6)
重金属として、塩化水銀(和光純薬製)、ヒ素(東京化成)、塩化鉛(和光純薬製)、塩化カドミウム(東京化成)、有機毒としてシアン化カリウム(和光純薬製)、農薬としてアセフェート(住化タケダ園芸株式会社製)及びピリミホスメチル(住化タケダ園芸株式会社製)並びにダイオキシンとしてTCDD及びアスベスト(シグマアルドリッチ)を用いた。
【0132】
これらをジメチルスルホキシドに溶解または懸濁し、それぞれ100ppm含有液を調製した。それぞれの溶液に検体1で得られたベータグルカンペプチドカルシウム結合体を0.01mg添加して、1時間放置した。この溶液を限外膜ろ過に供し、ベータグルカンペプチド誘導体成分(ろ過されない)及びろ液に分離した。ろ液について塩化水銀、ヒ素、鉛及びカドミウム含量を原子吸光測定装置(島津製作所、AA−6800)により測定した。
【0133】
また、ろ液のシアン含有量を同仁化学製のポナールキットCN・Tにより、農薬をHPLC法により測定した。ダイオキシンとアスベストについても、HPLCにより分析した。
【0134】
その結果、ろ液の塩化水銀、ヒ素、鉛及びカドミウム含量は、それぞれ、3ppm、2ppm、4ppm及び5ppmであった。また、ろ液のシアン含有量は、1ppmであった。さらに、アセフェート及びピリミホスメチルの濃度は、それぞれ、3ppm及び1ppmであった。
【0135】
また、ダイオキシンの残留量は1ppm、並びにアスベストの残留量は2ppmであった。
【0136】
この結果、検体1のベータグルカンペプチドカルシウム結合体は、塩化水銀、ヒ素、鉛、カドミウム、シアン、農薬、ダイオキシンおよびアスベストを吸着し、除去することが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明で得られるベータグルカンペプチドカルシウム結合体は癌細胞を破壊する作用を有することから、癌に対して効果を呈し、かつ、副作用が少ないことから、癌患者や国民のQOLを改善し、健康な労働人口を増加させ、かつ、医療費を削減できる。
【0138】
本発明で得られるベータグルカンペプチドカルシウム結合体は抗酸化作用に基づく肌細胞を改善する作用を有することから、化粧料としてアトピーや肌トラブルに悩む方に貢献し、化粧品業界の発展に寄与する。
【0139】
本発明で得られるベータグルカンペプチドカルシウム結合体は食品としても利用できることから、食品業界の発展に寄与する。
【0140】
本発明で得られるベータグルカンペプチドカルシウム結合体は癌治療や癌予防のための医薬品製剤として用いられ、医薬品業界の発展に寄与する。
【0141】
本発明で得られるベータグルカンペプチドカルシウム結合体は農薬、化学物質、有害金属やダイオキシンとアスベストなどの環境汚染物質などを吸収及び排泄させ、土壌、大気、水質を改善させることから、地球環境の改善に寄与する。
【0142】
原料となるレタス根は食用としては用いられず、廃棄物となり、かつ、その一部は焼却され、二酸化炭素増加の原因になる。レタス根の乾燥粉末を利用することによって廃棄物の有効利用と農業資源の有効活用ができ、農業及びその二次加工産業を発展させる。
【0143】
本製造方法は、高度な発酵技術を利用するものであり、新しい発酵技術の向上と発酵産業の進展に貢献する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(1)で示されるベータグルカンペプチドカルシウム結合体。
【化1】

【請求項2】
レタス根の乾燥粉末、金の粉末及び大豆粉末に、紅麹菌を添加し、発酵させた発酵液をアルカリ還元する工程を特徴とする請求項1に記載のベータグルカンペプチドカルシウム結合体の製造方法。

【公開番号】特開2009−280513(P2009−280513A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132612(P2008−132612)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(504447198)
【Fターム(参考)】