説明

ベータミメティックベンゾキサジノン誘導体の製造方法

本発明は、呼吸器疾患の治療及び予防に有用な下記一般式(1)の有機化合物及びその塩の製造方法に関する。


(式中、R1及びR2は、それぞれ独立にH、ハロゲン若しくはC1-4-アルキルを意味し、又はR1とR2が一緒にC1-6-アルキレンの意味を有し;かつR3はH、ハロゲン、OH、C1-4-アルキル又はO-C1-4-アルキルを表す。)

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
ベータミメティクス(β-アドレナリン作動性物質)は当業界において周知である。例えば、種々の病訴の治療用のベータミメティクスを提案しているUS 4,460,581又はEP 43940の開示を参照することができる。
疾患の薬物治療のため、多くの場合、活性が長く持続する薬物を製造することが望ましい。原則として、これは頻回間隔で薬物を再投与する必要なく、より長期間、治療効果を達成するために体内で必要な活性物質の濃度が保証されるということを確実にする。さらに、長時間間隔で活性物質を投与することは、患者の幸福に高度に貢献する。
特に、1日1回(単一用量)の投与で治療に使用できる医薬組成物を製造することが望ましい。1日1回の薬物の使用は、患者が比較的速く慣れて1日の特定時間に薬物を規則的に取るようになるという利点を有する。
従って、本発明の目的は、COPDの治療に治療的利益を有し、かつ長い持続期間の活性によって特徴づけられ、ひいては長い持続時間の活性を有する医薬組成物を製造するために使用できるベータミメティクスの製造方法を提供する。本発明の詳細な目的は、長く続く効果のため、COPDを治療するため1日1回の投与用薬物を製造するために使用できるベータミメティクスを製造することである。
【0002】
〔発明の簡単な説明〕
呼吸器疾患の治療及び予防に有用な下記一般式1の有機化合物及びその医薬的に許容しうる塩の製造方法に関する。
【0003】

【0004】
(式中、
R1及びR2は、それぞれ独立にH、ハロゲン又はC1-4-アルキルを意味し、或いはR1とR2が一緒にC1-6-アルキレンの意味を有し;かつ
R3はH、ハロゲン、OH、C1-4-アルキル又はO-C1-4-アルキルを表す。)
【0005】
この発明は、さらに式1の化合物の合成用の光学的に純粋な中間体及びその製造方法に関する。従って、本発明は、一局面では下記式2の化合物及びその塩を脱保護する、式1の化合物の製造方法に関する。
【0006】

【0007】
(式中、R1、R2及びR3は前記定義通りであり、R4は、ベンジル、ジフェニルメチル又はトリチルから成る群より選択され、それぞれ任意に、利用可能な場合アリール基又は脂肪族炭素原子のところで置換されていてもよい。)
これとは別に、式1の化合物は、下記式3の化合物のメシル化によって得られる。
【0008】

【0009】
下記式4の化合物のメシル化によって化合物2を調製できる。順次、下記式5の化合物を還元すると化合物4が調製され、化合物5の還元によって化合物3が得られる。
【0010】

【0011】
下記式6
【0012】

【0013】
(式中、R4は前記意味を有する)
の光学的に純粋な化合物を下記式7
【0014】

【0015】
(式中、R1、R2及びR3は前記意味を有する。)
の化合物又はその塩と反応させることによって化合物5が調製される。別の局面では、本発明は、下記式8の光学的に純粋な化合物、及びその製造方法(順次下記式10の化合物から得られる下記式9の化合物の不斉還元を含む)を提供する。
【0016】

【0017】
(式中、R4は前述した通りのヒドロキシ-保護基であり、Yは塩素又はスルホニルオキシベースの脱離基である。好適な例として、メシルオキシ、トシルオキシ、ベンゼンスルホニル又はトリフルオロメタンスルホニルオキシが挙げられる。)
【0018】
〔発明の詳細な説明〕
一局面では、本発明は、光学的に純粋な異性体としての式1の有機化合物の実用的かつ効率的な製造方法に関する。この方法は、容易に入手可能な出発原料の不斉還元法によって容易に得られる高い結晶化度及び鏡像異性純度の前駆物質を利用するので、特に有利である。合成の次の工程で立体化学の完全性は維持される。この合成は結晶又はそうでなくても容易に単離しうる中間体を含み、かつ下記スキーム1に示されるように進行する。
〔スキーム1〕
【0019】

【0020】
従って、本発明は、下記式1
【0021】

【0022】
(式中、
R1及びR2は、それぞれ独立にH、ハロゲン又はC1-4-アルキルを意味し、或いはR1とR2が一緒にC1-6-アルキレンの意味を有し;かつ
R3はH、ハロゲン、OH、C1-4-アルキル又はO-C1-4-アルキルを表す)
の化合物又はその塩の製造方法であって、下記式6
【0023】

【0024】
(式中、R4は、ベンジル、ジフェニルメチル又はトリチルから成る群より選択され、それぞれ任意に、利用可能な場合アリール基又は脂肪族炭素原子のところで置換されていてもよい)
の化合物を下記式7
【0025】

【0026】
(式中、R1、R2及びR3は前記意味を有する)
の化合物、又はその塩と反応させて、下記式5
【0027】

【0028】
の化合物、又はその塩とし、
ニトロ基のアミン基への還元、このアミン基のメシル化及び前記還元工程中又はメシル化工程後の保護基の切断によって式1の化合物を得ることを特徴とする方法に関する。
【0029】
式中、
R1及びR2がそれぞれ独立にH、F、Cl、メチル、エチル、プロピル、ブチルを意味し、或いはR1とR2が一緒にエチレン、プロピレン、ブチレン又はペンチレンの意味を有し;
R3がH、F、Cl、OH、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシを表し;かつ
R4が、ベンジル又はジフェニルメチルから成る群より選択され、それぞれ任意に、利用可能な場合アリール基又は脂肪族炭素原子のところで、F、Cl、Br、Me、Et、OMe、OEt又はO-iPrから選択される基で置換されていてもよい方法が好ましい。
式中、
R1及びR2がそれぞれ独立にH、メチル、エチル、プロピルを意味し、或いはR1とR2が一緒にエチレン、プロピレン、ブチレン又はペンチレンの意味を有し;
R3がH、F、OH、メチル又はメトキシを表し;かつ
R4が、任意にアリール基又は脂肪族炭素原子のところで、F、Cl、Br、Me、Et、OMe、OEt又はO-iPrから選択される基で置換されていてもよいベンジルを表す方法が特に好ましい。
【0030】
下記式1a〜1hの化合物の製造方法が特に好ましい:
1a: N-(5-{2-[1,1-ジメチル-3-(2-オキソ-4,4-ジプロピル-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-2-ヒドロキシ-フェニル)-メタンスルホンアミド
1b: N-[5-(2-{1,1-ジメチル-3-[スピロ(シクロヘキサン-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]-プロピルアミノ}-1-ヒドロキシ-エチル)-2-ヒドロキシ-フェニル]-メタンスルホンアミド
1c: N-[5-(2-{1,1-ジメチル-3-[スピロ(シクロプロピル-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]-プロピルアミノ}-1-ヒドロキシ-エチル)-2-ヒドロキシ-フェニル]-メタンスルホンアミド
1d: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチル-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-2-ヒドロキシ-フェニル)-メタンスルホンアミド
1e: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-6-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチル-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-2-ヒドロキシ-フェニル)-メタンスルホンアミド
1f: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-7-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチル-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-2-ヒドロキシ-フェニル)-メタンスルホンアミド
1g: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-8-メトキシ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチル-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-2-ヒドロキシ-フェニル)-メタンスルホンアミド
1h: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-6-メトキシ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチル-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-2-ヒドロキシ-フェニル)-メタンスルホンアミド
【0031】
・式6の化合物を適切な溶媒の存在下で式7の化合物と反応させる方法が好ましい。有機溶媒が好ましく、特に好ましくはアルコール、ケトン、アルデヒド、エーテル又は芳香族溶媒から成る群より選択される適切な溶媒であり、エタノール、プロパノール、ブタノール及びテトラヒドロフラン、又はその混合物が特に好ましい。
・化合物6及び7の反応化学量論比は、好ましくは1:1〜1:5、特に好ましくは1:1;1:1.05;1:1.1;1:1.15;1:1.2;1:1.25の比である。
・反応は、好ましくは高温、好ましくは約40℃、さらに好ましくは60℃より高く、最も好ましくは溶媒若しくは溶媒混合物の還流温度で、溶媒を連続的に除去しながらか又は連続除去せずに行われる。
・好ましい反応時間は1〜48時間、さらに好ましくは3〜24時間、特に5〜8時間である。
・カップリング反応後、適切な溶媒(例えばエタノール、プロパノール又はブタノール、メチル-t-ブチルエーテル、アセトニトリル)中、適切な酸、好ましくはシュウ酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、塩酸、臭化水素酸又はヨウ化水素酸から選択される酸、最も好ましくはシュウ酸の溶液を添加すると、式5の生成物が反応混合物から塩として直接単離される。
・本発明の別の局面では、式5の化合物の遊離塩基を、対応する塩の塩基性水溶液又は懸濁液から、適切な有機溶媒(例えばメチル-t-ブチルエーテル、メチルテトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン)による抽出水性仕上げによって得ることができる。
・或いは、化合物7の塩(例えば塩酸塩、臭化水素酸塩)を用い、かつ不溶性塩(エポキシド6の添加前にろ過で除去できる)を生成する適切な塩基(例えばtBuOK、tBuONa)の作用で対応塩基をin situ遊離させることによって、カップリング反応を行うことができる。
【0032】
式1の化合物は、式5の化合物から、還元及びメシル化工程並びに前記還元工程中か又は前記メシル化工程後の保護基の切断を経て得られる。
本発明の好ましい実施形態では、式5の化合物、又はその塩を、
・適切な有機溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン、トルエン、アルコール性溶媒又はその混合物中、エーテル結合に耐える触媒、例えばPtO2、ラネーニッケル、Rh/Cの存在下で水素圧によって水素化する。好ましい水素圧は、2.1×105〜4.8×105Pa(30〜70psi)、好ましくは2.8×105〜4.1×105Pa(40〜60psi)、特に好ましくは3.1×105〜3.8×105Pa(45〜55psi)である。好ましい反応時間は1〜2時間、好ましくは1.2〜1.8時間、特に1.4〜1.6時間である。
・触媒のろ別及び溶媒の除去によって、下記式4
【0033】

【0034】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、請求項1〜3の定義通り)
の中間生成物又はその塩を得る。
・その後、適切な溶媒、例えばテトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン中、適切な塩基、好ましくは有機塩基、例えばピリジン、ピコリン、トリエチルアミンの存在下で式4の化合物をメタンスルホニルクロリドと反応させる。
・化合物4とメタンスルホニルクロリドの化学量論比は、好ましくは1:1〜1:2、特に好ましくは1:1;1:1.1;1:1.2;1:1.3;1:1.4;1:1.5の比である。
・化合物4とピリジンの化学量論比は、好ましくは1:1〜1:4、特に好ましくは1:1;1:1.1;1:1.2;1:1.3;1:1.4;1:1.5;1:1.6;1:1.7;1:1.8;1:1.9;1:2;1:2.1;1:2.2;1:2.3;1:2.4;1:2.5;1:2.6;1:2.7;1:2.8;1:2.9;1:3の比である。
・好ましい反応時間は10〜20時間、さらに好ましくは12〜18時間である。
・好ましくは中温、好ましくは10〜30℃、さらに好ましくは15〜25℃、最も好ましくは室温で反応を行う。
・反応後、溶媒を除去し、下記式2
【0035】

【0036】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、請求項1〜3の定義通り)
の残留生成物を抽出水性仕上げによって有機溶液(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、トルエン、メチル-t-ブチルエーテル)として精製する。
・次に、適切な有機溶媒、好ましくは不活性溶媒、例えばMeOH、EtOH、トルエン、テトラヒドロフラン、及び1〜2当量の酸(例えばHCl、HBr、メタンスルホン酸)の混合物中、触媒、例えばPd/C、Pd(OH)2/C、Pd/CaCO3、ラネーニッケルの存在下での化合物2の水素化が化合物1を与える。好ましい水素圧は、2.1×105〜4.8×105Pa(30〜70psi)、好ましくは2.8×105〜4.1×105Pa(40〜60psi)、特に好ましくは3.1×105〜3.8×105Pa(45〜55psi)である。好ましい反応時間は0.5〜6時間、好ましくは1〜4時間、特に2〜3時間である。
・触媒をろ別し、溶媒を除去し、かつ適切な溶媒、例えばアセトニトリル、テトラヒドロフラン、エタノール、i-プロパノール、水又はその混合物から結晶させることによって、下記式1
【0037】

【0038】
(式中、R1、R2及びR3は、請求項1〜3の定義通り)
の生成物又はその塩を得る。好ましくは、化合物1を塩、例えば塩酸塩又は臭化水素酸塩として得る。
【0039】
本発明の別の実施形態では、式5の化合物、又はその塩を、
・適切な有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン)中、触媒、例えばPd/C、Pd(OH)2/C、Pd/CaCO3、ラネーニッケルの存在下で水素圧によって水素化する。好ましい水素圧は、2.1×105〜4.8×105Pa(30〜70psi)、好ましくは2.8×105〜4.1×105Pa(40〜60psi)、特に好ましくは3.1×105〜3.8×105Pa(45〜55psi)である。好ましい反応時間は1〜5時間、好ましくは2〜3時間である。
・触媒をろ別し、溶媒を除去し、かつ適切な溶媒(例えばEtOAc、ジクロロメタン、トルエン又はその混合物)から結晶させることによって、下記式3
【0040】

【0041】
(式中、R1、R2及びR3は、請求項1〜3の定義通り)
の生成物又はその塩を得る。
・その後、式3の化合物又はその塩を、適切な塩基、好ましくは有機塩基(例えばピリジン、ピコリン、トリエチルアミン)及び適切な有機溶媒(例えばアセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド又はその混合物)の存在下でメタンスルホニルクロリドと反応させる。
・化合物3とメタンスルホニルクロリドの化学量論比は、好ましくは1:1〜1:4、特に好ましくは1:1;1:1.1;1:1.2;1:1.3;1:1.4;1:1.5;1:1.6;1:1.7;1:1.8;1:1.9;1:2;1:2.1;1:2.2;1:2.3;1:2.4;1:2.5;1:2.6;1:2.7;1:2.8;1:2.9;1:3の比である。
・化合物4とピリジンの化学量論比は、好ましくは1:1〜1:4、特に好ましくは1:1;1:1.1;1:1.2;1:1.3;1:1.4;1:1.5;1:1.6;1:1.7;1:1.8;1:1.9;1:2;1:2.1;1:2.2;1:2.3;1:2.4;1:2.5;1:2.6;1:2.7;1:2.8;1:2.9;1:3;1:3.1;1:3.2;1:3.3;1:3.4;1:3.5;1:3.6;1:3.7;1:3.8;1:3.9;1:4の比である。
・好ましい反応時間は0.5〜6時間、さらに好ましくは1〜5時間であり、最も好ましくは2〜4時間の反応時間である。
・好ましくは中温、好ましくは10〜70℃、さらに好ましくは20〜45℃で反応を行う。
・反応完了後、反応溶媒(例えばメタノール、エタノール、アンモニア水)を加え、混合物を濃縮し、制御pH値の適切な水性溶媒混合物(例えばアセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、又はその混合物)からの結晶化によって式1の生成物を回収する。
・前記混合物の好ましいpH値は5〜9、さらに好ましくは6〜8であり、特に好ましくは7.0;7.1;7.2;7.3;7.5;7.6;7.7のpH値である。
・生成物1を、塩(例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩)として、それぞれの酸を含有する適切な溶媒(例えばアセトニトリル、テトラヒドロフラン、エタノール、i-プロパノール、水又はその混合物)からの再結晶化によってさらに精製することができる。
【0042】
・上述したように、かつ引き続くメシル化工程に適した溶媒(例えばテトラヒドロフラン、メチル-t-ブチルエーテル、メチルテトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、アセトニトリル)中、1〜1.5当量の適切な強酸、好ましくは塩酸、メタンスルホン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸又は硫酸から選択される強酸、最も好ましくは塩酸の存在下で化合物5の遊離塩基の還元を行うこともできる。
・次に、触媒をろ別し、適切な有機溶媒(例えばアセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド)で希釈し、かつ適切な塩基、好ましくは有機塩基(例えばピリジン、ピコリン、トリエチルアミン)の添加後、メタンスルホニルクロリドを加えることによって、引き続くメシル化工程を行う。
・化合物3とメタンスルホニルクロリドの化学量論比は、好ましくは1:0.9〜1:1.2、特に好ましくは1:1;1:1.05;1:1.1の比である。
・化合物4とピリジンの化学量論比は、好ましくは1:1〜1:4、特に好ましくは1:1;1:1.1;1:1.2;1:1.3;1:1.4;1:1.5;1:1.6;1:1.7;1:1.8;1:1.9;1:2;1:2.1;1:2.2;1:2.3;1:2.4;1:2.5;1:2.6;1:2.7;1:2.8;1:2.9;1:3;1:3.1;1:3.2;1:3.3;1:3.4;1:3.5;1:3.6;1:3.7;1:3.8;1:3.9;1:4の比である。
・好ましい反応時間は0.5〜6時間、さらに好ましくは1〜3時間である。
・中温、好ましくは0〜45℃でメシル化反応を行うことが好ましい。
・上述した通りに、化合物1の仕上げ手順、単離及び精製を行う。
【0043】
・これとは別に、式3の化合物の遊離塩基を、対応する塩の塩基性水溶液又は懸濁液から、適切な有機溶媒(例えばメチル-t-ブチルエーテル、メチルテトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン)による抽出水性仕上げによって得ることができる。
・その後、式3の化合物の溶媒又は溶液のエバポレーション後に式3の化合物を単離し、1〜1.5当量の適切な強酸、好ましくは塩酸、メタンスルホン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸又は硫酸から選択される強酸、最も好ましくは塩酸で処理し、かつ適切な塩基、好ましくは有機塩基(例えば、ピリジン、ピコリン、トリエチルアミン)及び必要な場合さらに適切な有機溶媒(例えばアセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド又はその混合物)の存在下でメタンスルホニルクロリドと反応させる。
化合物3とメタンスルホニルクロリドの化学量論比は、好ましくは1:0.9〜1:1.2、特に好ましくは1:1;1:1.05;1:1.1の比である。
化合物4とピリジンの化学量論比は、好ましくは1:1〜1:4、特に好ましくは1:1;1:1.1;1:1.2;1:1.3;1:1.4;1:1.5;1:1.6;1:1.7;1:1.8;1:1.9;1:2;1:2.1;1:2.2;1:2.3;1:2.4;1:2.5;1:2.6;1:2.7;1:2.8;1:2.9;1:3;1:3.1;1:3.2;1:3.3;1:3.4;1:3.5;1:3.6;1:3.7;1:3.8;1:3.9;1:4の比である。
・好ましい反応時間は0.5〜6時間、さらに好ましくは1〜4時間である。
・中温、好ましくは-5〜45℃、さらに好ましくは0〜25℃で反応を行うことが好ましい。
・上述した通りに、化合物1の仕上げ手順、単離及び精製を行う。
【0044】
さらに、下記式8の化合物を反応させることによって式6の化合物を得る、前記方法が好ましい。
【0045】

【0046】
(式中、R4は、請求項1〜3の定義通りであり、かつYは、塩素又はスルホニルオキシベース脱離基である。)脱離基の好適な例として、メシルオキシ、トシルオキシ、ベンゼンスルホニル又はトリフルオロメタンスルホニルオキシが挙げられる。Yが塩素である方法が特に好ましい。
・式8の化合物を適切な溶媒の存在下で塩基、好ましくはアルカリ塩基(例えばNaOH、KOH、tBuOK、tBuONa、AmONa、Na2CO3)と反応させる方法が好ましい。有機溶媒が好ましく、特に好ましくはアミン、アルコール、ケトン、アルデヒド、エーテル又は芳香族溶媒から成る群より選択される適切な溶媒であり、N,N-ジメチルホルムアミド、エタノール、プロパノール及びテトラヒドロフランが特に好ましい。
・化合物8と塩基の反応化学量論比は、好ましくは1:1〜1:3、特に好ましくは1:1;1:1.1;1:1.2;1:1.3;1:1.4;1:1.5;1:1.6;1:1.7;1:1.8;1:1.9;1:2の比である。
・好ましくは2〜6モル/L、最も好ましくは3〜5モル/L、特に3.5〜4.5モル/Lの濃度の溶液として塩基を反応混合物に添加することが好ましい。
・中温、好ましくは10〜30℃、さらに好ましくは15〜25℃、最も好ましくは室温で反応を行うことが好ましい。
・好ましい反応時間は10〜180分、さらに好ましくは20〜120分であり、25〜80分の反応時間が最も好ましい。
・反応後、好ましくは有機又は無機酸(例えばHCl、H2SO4、AcOH)と共に水を加え、ろ過によって生成物を得る。
【0047】
触媒量のキラル助剤の存在下でボラン又はボラン錯体による立体選択的還元によって、不斉炭素について所望立体配置の化合物8に化合物9を変換することができる。この還元工程は、E.J. Corey; C.J. Helal Angew.Chem. Int.Ed. 1998, 37, 1986-2012で精査されている通りの標準条件下で行われる。従って、下記式9の化合物を反応させることによって式8の化合物を得る前記方法が好ましい。
【0048】

【0049】
(式中、R4は、請求項1〜3の定義通りであり、かつYは前記定義通りである。)
・式9の化合物を適切な溶媒の存在下でキラル助剤とボラン錯体の混合物と反応させる方法が好ましい。有機溶媒が好ましく、特に塩素化溶媒、エーテル又は芳香族溶媒から成る群より選択される適切な溶媒が好ましく、トルエン及びテトラヒドロフランが特に好ましい。
・化合物9とボランの反応化学量論比は、好ましくは1:0.3〜1:2であり、特に好ましくは1:0.5;1:0.6;1:0.7;1:0.8;1:0.9;1:1;1:1.2;1:1.3の比である。
・好ましくは式9の化合物に対して1〜30%の量でキラル助剤を添加し、好ましくは2〜20%、さらに好ましくは3〜10%、最も好ましくは4〜8%の量で添加する。
・特に効率的なキラル助剤の場合、前記助剤の量は一貫して少なくてよい。この場合、好ましくは0.05〜2%、さらに好ましくは0.1〜1%の量である。
・種々のキラル助剤(又はそのエナンチオマー)は、例えばE.J. Corey(C.J. Helal Angew. Chem. Int.Ed. 1998, 37, 1986-2012)、Y. Gaoら(WO 9532937及びTetrahedron Lett. 1994, 35, 6631-6634);U. Kraatz(DE 3609152);S. Itsuno及びK. Ito(J. Org. Chem. 1984,49, 555-557)、G. J. Quallichら(Tetrahedron Lett. 1993, 34, 4145-4148)、S. Itsunoら(J. Chem. Soc. Perkin Trans I 1983, 1673-1676)又はC. H. Senanayakeら(Tetrahedron Lett. 1998, 39, 1705-1708)によって開示されている。(1S,2S)-(+)-cis-1-アミノ-2-インダノール又は以下の代替物の1つが好ましい:(R)-2-メチル-CBS-オキサザボロリジン、(R)-(+)-o-トリル-CBS-オキサザボロリジン、(R)-(+)-2-(ジフェニルヒドロキシメチル)-ピロリジン、(1S,2R)-(+)-2-アミノ-1,2-ジフェニルエタノール、(R)-(-)-2-アミノ-2-フェニルエタノール、(R)-(+)-2-アミノ-3-メチル-1,1-ジフェニル-1-ブタノール、(1S, 2S)-1-アミノ-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-2-オール。
・活性触媒の生成は、初めはU. Kraatz(DE 3609152)及びS. Itsunoら(J.Chem.Soc. Chem. Commun. 1981, 315-317)、並びに後者が例示されるG.J Quallichら(Synlett 1993, 929)によって記載されているように、塩素化溶媒、エーテル又は芳香族溶媒から成る群より選択される適切な溶媒中、キラル助剤を過剰のボラン錯体と混ぜ合わせることによって良くin situ遂行される。溶媒は、特に好ましくはトルエン及びテトラヒドロフランである。
・これとは別に、例えば、(1S,2S)-(+)-cis-1-アミノ-2-インダノール、(R)-(+)-2-(ジフェニルヒドロキシメチル)-ピロリジン、(1S,2R)-(+)-2-アミノ-1,2-ジフェニルエタノール、(R)-(-)-2-アミノ-2-フェニルエタノール、(R)-(+)-2-アミノ-3-メチル-1,1-ジフェニル-1-ブタノール及び(1S, 2S)-1-アミノ-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-2-オールの場合、M. Masuiら(Synlett 1997, 273-274)によって記載されているように、まず適切な溶媒中で前記キラル助剤をトリアルキルボレートB(OR′)3(R′=C1-6アルキル)と混ぜ合わせて、対応する1,3,2-2-アルコキシ-オキサザボロリジンをin situ生成後、ボラン錯体を添加することによって、活性触媒を生成する。
・活性触媒の形成後、活性触媒とボラン錯体の溶液に、上述したような適切な溶媒中の一般式9の化合物の溶液を加える。
・さらに他の試薬又は試薬分類がα-ハロゲンノ及びα-スルホニルオキシベンゾフェノンの対応アルコールへの立体選択的還元を促進することも知られている(特にT. Hamada; T. Torii; K. Izawa; R. Noyori; T. Ikariya Org. Lett. 2002, 4, 4373-4376又はJ. Chandrasekharan; P.V. Ramachandran; H.C. Brown J. Org. Chem. 1985, 50, 5448-5450)。
・好適な市販のボラン錯体は、例えばBH3-亜硫酸ジメチル、BH3-THF、BH3-4-メチルモルフォリン、BH3-N-フェニルモルフォリン、BH3-N-エチル-N-イソプロピルアニリン、BH3-N,N-ジイソプロピルエチルアミン、BH3-トリエチルアミン又はBH3-N,N-ジエチルアニリンであり、好ましくはBH3-N,N-ジエチルアニリンである。
・好ましくは-5〜80℃、さらに好ましくは5〜60℃、最も好ましくは10〜45℃の温度で反応を行う。
・好ましい反応時間は30〜180分、さらに好ましくは40〜120分であり、50〜80分の反応時間が最も好ましい。
・必要な場合、式9の化合物のより遅い添加も使用しうる。この場合、好ましい添加時間は1.5〜16時間、さらに好ましくは2時間超え、最も好ましくは4時間より長い添加時間である。
・反応後、反応溶媒(例えば水、メタノール、エタノール、アセトン)を加え、反応混合物を濃縮し、かつHClの水溶液(好ましくは0.5〜1.5モル/L溶液)と有機溶媒(例えばヘプタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチル-t-ブチルエーテル)の混合物との処理によって式8の生成物を回収し、適切な溶媒(例えばエタノール、i-プロパノール、t-ブタノール、i-プロピルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、アセトニトリル)から再結晶させる。
【0050】
さらに、同じ変換のために他の試薬又は試薬分類を使用できる。特に好ましい方法は、キラルルテニウム錯体(T. Hamada; T. Torii; K. Izawa; R. Noyori; T. Ikariya Org. Lett. 2002, 4, 4373-4376)又はキラルクロロボラン(J. Chandrasekharan; P.V. Ramachandran; H.C. Brown J. Org. Chem. 1985, 50, 5448-5450)に基づく。
上記方法では、適宜保護された3-置換-4-ヒドロキシアセトフェノン10(式中、R4は前記定義通り)のケトン基に対してα位の塩素化又は酸化によって化合物9を得る。通常の塩素化剤を用いて室温以上の温度で塩素化を行うことができる。直接α-スルホニルオキシベンゾフェノン(例えばヒドロキシ(トシルオキシ)ヨードベンゼン、ヒドロキシ(メシルオキシ)ヨードベンゼン(J. S. Lodaya; G.F. Koser J. Org. Chem. 1988, 53, 210))をもたらすか、又はα-スルホニルオキシベンゾフェノンの前駆物質であるα-ヒドロキシベンゾフェノン(例えばPb(OAc)4、フェニルヨードベンゼン、Mn(OAc)3)をもたらす種々の薬剤を用いて酸化を行うことができる。化合物10を塩素化する方法が特に好ましい。従って、下記式10の化合物を反応させることによって式9の化合物を得る前記方法が好ましい。
【0051】

【0052】
(式中、R4は、請求項1〜3の定義通りである。)
・適切な溶媒の存在下で式10の化合物を塩素化剤と反応させる方法が好ましい。有機溶媒が好ましく、特に好ましくはアルカン、アルコール、ハロゲンアルカン、ケトン、アルデヒド、エーテル又はニトリルから成る群より選択される適切な溶媒であり、特に好ましくはヘプタン、メタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、メチル-t-ブチルエーテル、ジ-i-プロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジオキサン、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム単独又はその混合物であり、最も好ましくはヘプタン、テトラヒドロフラン、メチル-t-ブチルエーテル、ジ-i-プロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム単独又はそのメタノールとの混合物、特に好ましくはジオキサン、アセトニトリル又はジクロロメタンとメタノールの混合物である。
・化合物8と塩素化剤の反応化学量論比は好ましくは1:1〜1:2であり、特に好ましくは1:1;1:1.1;1:1.15;1:1.2;1:1.25;1:1.3;1:1.35;1:1.4;1:1.45;1:1.5の比である。
・通常の塩素化剤を用いて塩素化を行うことができる。塩素化剤の例として、例えば、塩素、塩化セレニニル、次亜塩素酸、N-クロロスクシンイミド、塩化第二銅、四級アンモニウムクロリドとヨードモノクロリドから前もって形成されるか又はin situ生成される四級アンモニウムポリクロリド、ヘキサクロロ-2,4-シクロヘキサジエノン、3-クロロ過安息香酸-塩化水素-N,N-ジメチルホルムアミドの錯体又は塩化スルフリルが挙げられる。具体例は以下の通りである:
・Cl2 AcOH V. Auwers Chem. Ber. 1926, 59, 2899;
・Cl2 AlCl3 Et2O/CCl4 K. Yutaka; S. Takashi; I. Yoshio Eur. J. Med. Chem. Chim. Ther. 1981, 16, 355-362;
・BnMe3ICl2 in ClCH2CH2Cl/MeOH K. Shoji; K. Takaaki; M. Masayuki; F. Shizuo; M. Kimihiro; O. Tsuyoshi Synthesis 1988, 7, 545-546又はAcOH V. Edwin; W. Jiabing Org. Lett. 2000, 2, 1031-1032;
・ヘキサクロロ-2,4-シクロヘキサジエノン G. Alain; L. Marc; G. Jean-Paul; Synthesis 1982, 12, 1018-1020;
好ましい塩素化剤は塩化スルフリル、N-クロロスクシンイミド又は四級アンモニウムポリクロリド、最も好ましくは塩化スルフリル及びベンジルトリメチルアンモニウムクロリドと一塩化ヨウ素からin situ単離又は生成されるベンジルトリメチルアンモニウムジクロロヨーダイト(iodite)である。
・好ましくは中温、好ましくは10〜30℃、さらに好ましくは15〜25℃、最も好ましくは室温で反応を行う。
・好ましい反応時間は20〜180分、さらに好ましくは50〜130分、80〜100分の反応時間が最も好ましい。
・ベンジルトリメチルアンモニウムジクロロヨーダイトの場合、25℃より高い反応温度、好ましくは50℃より高い反応温度及び1〜5時間、さらに好ましくは2〜4時間の反応時間が好ましい。
・反応後、水を加え、又はベンジルトリメチルアンモニウムジクロロヨーダイトの場合、還元剤(例えば亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、メタ亜硫酸水素塩)の水溶液を加え、ろ過によって生成物を得、適切な溶媒(例えば酢酸エチル、i-プロピルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、アセトニトリル、エタノール、i-プロパノール)から再結晶させる。
【0053】
〔用いられる用語と定義〕
用語“任意に置換されていてもよい”とは、ハロゲン、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、(縮合)アリール環から選択される1つ又は複数の適切な置換基を有する中軸(nucleous)を表す。好ましい置換基はF、Cl、Br、I、Me、Et、OMe、OEt、O-iPrである。
本明細書では、“塩”は、親化合物がその酸性又は塩基性塩を生じさせることによって修飾されている、開示化合物の誘導体を指す。塩の例として、限定するものではないが、
アミン等の塩基性残基の鉱酸若しくは有機酸塩;カルボン酸等の酸性残基のアルカリ若しくは有機塩等が挙げられる。“医薬的に許容しうる塩”には、例えば、無毒の無機又は有機酸から形成される、親化合物の通常の無毒塩又は四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、このような通常の無毒塩として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸から誘導される当該塩;及び酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸等の有機酸から調製される塩が挙げられる。塩基性又は酸性成分を含有する親化合物から通常の化学的方法で本発明の塩を合成することができる。一般的に、水若しくは有機溶媒、又は水と有機溶媒の混合物中、これらの化合物の酸又は塩基形態を化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させることによって該塩を調製することができる。通常、エーテル、酢酸エチル、エタノール、i-プロパノール、又はアセトニトリルのような非水媒体が好ましい。
本明細書では、用語“-C1-6-アルキル”(単独又は別の置換基と共に用いられる)は、1〜6個の炭素原子を含有する非環式の直鎖又は分岐鎖アルキル置換基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、1-メチルエチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル又は1,1-ジメチルエチルが挙げられる。場合によっては、これらの基の通常の略語、例えばMe、Et、iPr又はi-Prを使用する。
本明細書では、用語“-C1-6-アルキレン”は、1〜6個の炭素原子を含有する飽和した直鎖又は分岐鎖脂肪族炭化水素の各末端から1個の水素原子を除去して導かれる二価のアルキル置換基を意味し、例えば、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2(CH2)2CH2-、-CH2(CH2)3CH2-又は-CH2(CH2)4CH2-が挙げられる。
【実施例】
【0054】
以下、下記化合物の製造に好適な方法について述べる:
1a: N-(5-{2-[1,1-ジメチル-3-(2-オキソ-4,4-ジプロピル-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-2-ヒドロキシ-フェニル)-メタンスルホンアミド
1b: N-[5-(2-{1,1-ジメチル-3-[スピロ(シクロヘキサン-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]-プロピルアミノ}-1-ヒドロキシ-エチル)-2-ヒドロキシ-フェニル]-メタンスルホンアミド
1c: N-[5-(2-{1,1-ジメチル-3-[スピロ(シクロプロピル-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]-プロピルアミノ}-1-ヒドロキシ-エチル)-2-ヒドロキシ-フェニル]-メタンスルホンアミド
1d: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチル-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-2-ヒドロキシ-フェニル)-メタンスルホンアミド
1e: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-6-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチル-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-2-ヒドロキシ-フェニル)-メタンスルホンアミド
1f: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-7-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチル-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-2-ヒドロキシ-フェニル)-メタンスルホンアミド
1g: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-8-メトキシ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチル-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-2-ヒドロキシ-フェニル)-メタンスルホンアミド
1h: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-6-メトキシ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチル-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-2-ヒドロキシ-フェニル)-メタンスルホンアミド。
【0055】
従って、R1、R2及びR3は、実施例1a〜1h中の当該基に対応する意味を有する。例えば、以下の実施例に従って化合物1aを製造したい場合、R1とR2はプロピル基の意味を有し、R3はHであろう。
【0056】
1-(4-ベンジルオキシ-3-ニトロ-フェニル)-2-クロロ-エタノン:
【0057】

【0058】
210g(0.77mol)の1-(4-ベンジルオキシ-3-ニトロ-フェニル)-エタノンをジオキサン(1.5L)に懸濁させ、1.5時間にわたって68.3mL(0.84mol)の塩化スルフリルで処理した。次に、撹拌しながら水(2.4L)をゆっくり添加した。沈殿固体をろ過で回収し、水で洗浄し、酢酸エチルから結晶させた。収量:161.0g(68%);質量分析:[M+H]+=306;融点=141℃。
或いは、以下のように表題化合物を得ることができる:1.36Kg(5.01mol)の1-(4-ベンジルオキシ-3-ニトロ-フェニル)-エタノンと2.40Kgのベンジルトリメチルアンモニウムクロリド(12.53mol)を酢酸(5.43L)とアセトニトリル(8.2L)に65℃で溶かし、一塩化ヨウ素(4.42Kg,12.53mol)の46%水溶液で処理した。反応混合物を65℃で2.5時間撹拌してから5℃に冷まして水(20.4L)と5%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液(24.1L)で処理した。沈殿固体をろ過で回収し、水洗し、酢酸エチルから結晶させた。収量:1.21Kg(80.3%)。[M+H]+=306。
【0059】
(R)-1-(4-ベンジルオキシ-3-ニトロ-フェニル)-2-クロロ-エタノール:
【0060】

【0061】
(実施例A):
4.5g(30.0mmol)の(1S,2S)-(+)-cis-1-アミノ-2-インダノールを乾燥THF(110mL)に溶かした。溶液を3℃に冷却し、乾燥THF(0.2L)中の51.4g(0.31mol)のボラン-N,N-ジエチルアニリン錯体の溶液を加えた。20分後、乾燥THF(2.2L)中の183.4g(0.60mol)の1-(4-ベンジルオキシ-3-ニトロ-フェニル)-2-クロロ-エタノンの溶液を、温度を23℃未満に維持しながらゆっくり加えた。1時間後、この温度で反応混合物をMeOH(0.22L)でゆっくり処理し、濃縮した。残留物をn-ヘプタン(0.6L)とHCl 1mol/L(50mL)で処理し、混合物を2℃に冷却した。沈殿生成物をろ過で収集し、i-プロピルアルコール(0.66L)から結晶させた。収量:154g(83.4%);質量分析:[M+H]+=308;融点=94℃;e.e. 99.6%:
【0062】
(実施例B)
(R)-2-メチル-CBS-オキサザボロリジンのトルエン中1M溶液(0.16mL,0.16mmol)と3.0mL(16.87mmol)のボラン-N,N-ジエチルアニリン錯体を室温で7mLのTHF(含水量<0.02%)に溶かした。15分後、溶液を+35℃に設定し、50mLのTHF(含水量<0.02%)中の5.0g(16.36mmol)の1-(4-ベンジルオキシ-3-ニトロ-フェニル)-2-クロロ-エタノンの溶液をこの温度で5時間にわたって加えた。添加終了時、溶液をゆっくりMeOH(10mL)で処理し、最終的に濃縮した。残留物をメチル-t-ブチルエーテル(50mL)に溶かして溶液をHCl 1mol/L(17mL)と食塩水(10mL)で洗浄した。有機相を分離し、Na2SO4上で乾燥させ、エバポレートした。結果生成物をi-プロピルアルコール(17mL)から結晶させた。収量:3.6g(72.0%);質量分析:[M+H]+=308;e.e. 100%
【0063】
(実施例C)
(R)-2-メチル-CBS-オキサザボロリジンのトルエン中1M溶液(0.017mL,0.017mmol)と3.0mL(16.87mmol)のボラン-N,N-ジエチルアニリン錯体を室温で7mLのTHF(含水量<0.02%)に溶かした。溶液をこの温度で15分撹拌し、25℃に設定した。50mLのTHF(含水量<0.02%)中の5.0g(16.36mmol)の1-(4-ベンジルオキシ-3-ニトロ-フェニル)-2-クロロ-エタノンの溶液をこの温度で5時間にわたって加えた。添加終了時、溶液をこの温度でさらに1時間撹拌してからMeOH(10mL)でゆっくり処理し、最終的に濃縮した。残留物をメチル-t-ブチルエーテル(50mL)に溶かして溶液をHCl 1mol/L(17mL)と食塩水(10mL)で洗浄した。有機相を分離し、Na2SO4上で乾燥させ、エバポレートした。結果生成物をi-プロピルアルコール(17mL)から結晶させた。収量:3.6g(71.5%);質量分析:[M+H]+=308;e.e. 99.7%
【0064】
(実施例D)
(R)-(-)-2-アミノ-2-フェニルエタノール、112mg(0.82mmol)と3.0mL(16.87mmol)のボラン-N,N-ジエチルアニリン錯体を室温で7mLのTHF(含水量<0.02%)に溶かした。溶液をこの温度で1時間撹拌し、35℃に設定した。50mLのTHF(含水量<0.02%)中の5.0g(16.36mmol)の1-(4-ベンジルオキシ-3-ニトロ-フェニル)-2-クロロ-エタノンの溶液をこの温度で6時間にわたって加えた。添加終了時、溶液をMeOH(10mL)でゆっくり処理し、最終的に濃縮した。残留物をメチル-t-ブチルエーテル(50mL)に溶かして溶液をHCl 1mol/L(17mL)と食塩水(10mL)で洗浄した。有機相を分離し、Na2SO4上で乾燥させ、エバポレートした。結果生成物をi-プロピルアルコール(17mL)から結晶させた。収量:3.5g(70.0%);質量分析:[M+H]+=308;e.e. 97.6%。
【0065】
(実施例E)
(1S,2R)-(+)-2-アミノ-1,2-ジフェニルエタノール、174mg(0.82mmol)と3.0mL(16.87mmol)のボラン-N,N-ジエチルアニリン錯体を室温で7mLのTHF(含水量<0.02%)に連続的に溶かした。溶液をこの温度で45分撹拌し、35℃に設定した。50mLのTHF(含水量<0.02%)中の5.0g(16.36mmol)の1-(4-ベンジルオキシ-3-ニトロ-フェニル)-2-クロロ-エタノンの溶液をこの温度で6時間にわたって加えた。添加終了時、溶液をゆっくりMeOH(10mL)で処理し、最終的に濃縮した。残留物をメチル-t-ブチルエーテル(50mL)に溶かして溶液をHCl 1mol/L(17mL)と食塩水(10mL)で洗浄した。有機相を分離し、Na2SO4上で乾燥させ、エバポレートした。結果生成物をi-プロピルアルコール(17mL)から結晶させた。収量:3.7g(74.0%);質量分析:[M+H]+=308;e.e. 99.2%。
【0066】
(実施例F)
(R)-(+)-2-(ジフェニルヒドロキシメチル)-ピロリジン、42mg(0.17mmol)と3.0mL(16.87mmol)のボラン-N,N-ジエチルアニリン錯体を室温で7mLのTHF(含水量<0.02%)に溶かした。溶液をこの温度で16時間撹拌してから25℃に設定した。50mLのTHF(含水量<0.02%)中の5.0g(16.36mmol)の1-(4-ベンジルオキシ-3-ニトロ-フェニル)-2-クロロ-エタノンの溶液をこの温度で5時間にわたって加えた。添加終了時、溶液をMeOH(10mL)でゆっくり処理し、最終的に濃縮した。残留物をメチル-t-ブチルエーテル(50mL)に溶かして溶液をHCl 1mol/L(17mL)と食塩水(17mL)で洗浄した。有機相を分離し、Na2SO4上で乾燥させ、エバポレートした。結果生成物をi-プロピルアルコール(17mL)から結晶させた。収量:3.7g(74.0%);質量分析:[M+H]+=308;e.e. 100%。
【0067】
(実施例G)
(1S,2S)-(+)-cis-1-アミノ-2-インダノール、76mg(0.51mmol)とトリメチルボレート(0.070mL,0.63mmol)を25℃で7mLのTHF(含水量<0.02%)に連続的に溶かした。1時間後、3.0mL(16.87mmol)のボラン-N,N-ジエチルアニリン錯体を加えた。溶液をこの温度で15分撹拌してから+35℃に設定し、50mLのTHF(含水量<0.02%)中5.0g(16.36mmol)の1-(4-ベンジルオキシ-3-ニトロ-フェニル)-2-クロロ-エタノンの溶液をこの温度で5時間にわたって加えた。添加終了時、溶液をゆっくりMeOH(10mL)で処理し、最終的に濃縮した。残留物をメチル-t-ブチルエーテル(50mL)に溶かして溶液をHCl 1mol/L(17mL)と食塩水(17mL)で洗浄した。有機相を分け、Na2SO4上で乾燥させ、エバポレートした。結果生成物をi-プロピルアルコール(17mL)から結晶させた。収量:3.7g(74.0%);質量分析:[M+H]+=308;e.e. 99.6%。
【0068】
(R)-2-(4-ベンジルオキシ-3-ニトロ-フェニル)-オキシラン
【0069】

【0070】
151.8g(0.49mol)の1-(4-ベンジルオキシ-3-ニトロ-フェニル)-2-クロロ-エタノールをTHF(0.75L)に溶かして一滴ずつNaOH 4mol/L 182mL(0.73mol)で処理した。1時間後、AcOH(30mL)を添加後、水(2.5L)を加えた。混合物を冷却し、沈殿生成物をろ過で回収し、真空下で65℃にて乾燥させた。収量:133.0g(99.3%);質量分析:[M+H]+=272;融点=66℃;e.e.=99.5%
【0071】
2-(4-ベンジルオキシ-3-ニトロ-フェニル)-オキシランのネオペンチル、ベンゾキサジノンベースアミンアミンによる開環
【0072】

【0073】
テトラヒドロフラン(4.16L)とn-BuOH(4.00L)中の2-(4-ベンジルオキシ-3-ニトロ-フェニル)-オキシラン(1.58Kg,5.82mol)の溶液を、n-BuOH(19.50L)中のアミン7(6.12mol)の還流溶液に、溶媒を連続的に除去しながら5時間にわたって加えた。添加終了時、総量19Lの溶媒を収集した。溶液をさらに2時間還流させてから94℃に冷まし、EtOH 90%(8.90L)中のシュウ酸(0.525Kg,5.83mol)の溶液で処理した。室温に冷ますと、反応混合物から5aのシュウ酸塩が晶出した。これをろ過で回収し、EtOH/TBME(2×1L)で洗浄し、真空下で60℃にて乾燥させた。収率:(75.0%)。
これとは別に、化合物5aを以下のように調製できる:アミン7(148.0mmol)のクロリドレート(chloridrate)をn-BuOH(0.5L)中のカリウムtert-ブチレート(17.6g,154.0mmol)の溶液に加えた。1時間後、不溶物質をろ別し、n-BuOH(0.06L)で洗浄し、結果の清澄溶液を2-(4-ベンジルオキシ-3-ニトロ-フェニル)-オキシラン(40g,140.0mmol)で処理した。反応混合物を6時間還流させてからEtOH 90%(0.2L)中のシュウ酸(12.7g,141.1mmol)の溶液で処理した。室温に冷めると、反応混合物から5aのシュウ酸塩が晶出した。これをろ過で回収し、EtOH/TBME(2×100mL)で洗浄し、真空下で45℃にて乾燥させた。収率:(64.6%)。
以下のように、塩基性仕上げ及び適切な溶媒による抽出後、遊離塩基として化合物5aを回収することができる。
化合物5a(80.0mmol)のシュウ酸塩を水(0.3L)とメチル-t-ブチルエーテル(0.25L)に懸濁させ、32%のアンモニア水を加え(30mL)、有機相を分離した。水相をメチル-t-ブチルエーテル(2×0.1L)で抽出し、混ぜ合わせた抽出液を水(0.1L)と食塩水(0.1L)で洗浄して乾燥させた(Na2SO4)。溶媒の蒸発により化合物5aを遊離塩基として得た。
【0074】
ニトロ官能基の還元:
【0075】

【0076】
ニトロ化合物5a(遊離塩基,13.0mmol)をTHF(70mL)/トルエン(70mL)に溶かし、PtO2(3.5mmol)の存在下で3.4×105Pa(50psi)にて水素化した。1.5時間後、触媒をろ別し、減圧下で溶媒を除去してアニリノ化合物4aを得た。収率:(96.0%)。
【0077】
アニリノ官能基のメシル化:
【0078】

【0079】
THF(0.8L)中の化合物4a(148.5mmol)の溶液をピリジン(24.0mL,298.0mmol)で処理後、純粋のメタンスルホニルクロリド(12.0mL,155.0mmol)で処理した。16時間後、減圧下で反応混合物を濃縮し、残留物質を酢酸エチル(1L)と1%のNaHCO3水溶液(0.6L)に分配した。有機相を水(0.5L)と食塩水(0.1L)で逐次的に洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を蒸発させて粗製スルホンアミド2aを得た。収率:(93.1%)。
【0080】
ベンジル保護基の除去
【0081】

【0082】
上述したように得た粗製スルホンアミド2a(83.25mmol)をMeOH(0.5L)と37%のHCl水溶液(7.9mL)の混合物に溶かし、Pd/C 10%(5.0g)の存在下で3.4×105Pa(50psi)にて水素化した。2時間後、触媒をろ別し、減圧下で溶媒を除去し、残留物をアセトニトリル(580mL)と水(1mL)から結晶させて化合物1の塩酸塩を得た。収率:(36.2%)。
これとは別に、以下の手順に従って化合物1を調製することができる。
ニトロ官能基の還元とベンジル保護基の除去:
【0083】

【0084】
ニトロ化合物5a(1.11mol)のシュウ酸塩をMeOH(7.24L)に懸濁させ、Pd/C 10%(36.2g)の存在下で3.4×105Pa(50psi)にて水素化した。2.5時間後、触媒をろ別し、減圧下で溶媒を除去し、残留物を温かいEtOAc(4.0L)中で摩砕して化合物3のシュウ酸塩を得た。収率:(99.1%)。
所望により、以下のように、塩基性仕上げ及び適切な溶媒による抽出後、化合物3を遊離塩基として回収することができる。
化合物3(1.69mol)のシュウ酸塩をアルゴン雰囲気下で水(4.0L)に溶かした。溶液を冷却水(7.2L)と酢酸エチル(7.2L)に分配し、32%のアンモニア水を加えた(0.61L)。有機相を分離し、水(5.4L)と食塩水(0.75L)で洗浄し、Na2SO4(1.6Kg)と木炭(0.2Kg)上でろ過した。溶媒の蒸発により化合物3を遊離塩基として得た。
【0085】
アニリノ官能基のメシル化:
【0086】

【0087】
化合物3(2.07mol)のシュウ酸塩をアセトニトリル(7.70L)とテトラヒドロフラン(7.70L)の混合物に溶かしてピリジン(0.54L,6.62mol)で処理した。反応混合物を1時間にわたって温度を25〜33℃に維持しながらアセトニトリル(1.65L)中のメタンスルホニルクロリド(0.32L,4.14mol)の溶液で処理した。全部で3時間後、MeOH(0.2L)を加え、反応混合物を濃縮した。水(5.5L)とアセトニトリル(0.55L)を加え、NaHCO3飽和水溶液(10.0L)でpHを7.3に設定すると、生成物が晶出した。沈殿固体をろ過で収集し、水(2×1.5L)とTBME(3×1.0L)で洗浄し、60℃で乾燥させて化合物1を遊離塩基として得た。この物質を、アセトニトリル(10.7L)と37%のHCl水溶液(165.6mL)の混合物からの結晶化によって、対応する塩酸塩に変換した。収率:75.7%。
これとは別に、以下のように、化合物3の遊離塩基から化合物1を得ることができる。
化合物3(1.69mol)の遊離塩基をテトラヒドロフラン(7.5L)とアセトニトリル(7.5L)の混合物に50℃で溶かした。溶液を5℃に冷却し、濃塩酸(139mL,1.69mol)を添加後、ピリジン(287mL,3.55mol)を加えた。3℃でアセトニトリル(0.75L)中のメタンスルホニルクロリド(131mL,1.69mol)の溶液を20分にわたって加えた。さらに2時間後、MeOH(205mL)を加え、温度を30℃に設定し、反応混合物を濃縮した。残留物に水(4.25L)とアセトニトリル(1.5L)を添加後、NaHCO3飽和水溶液(2.3L)を加えた。化合物1のいくつかの結晶を添加後、さらにNaHCO3飽和水溶液(2.3L)を加えると生成物が晶出した。沈殿固体をろ過で回収し、水(2×1.7L)とTBME(2×2.5L)で洗浄し、60℃で乾燥させて化合物1を遊離塩基として得た。収率:87.4%。
この物質をアセトニトリル(9.3L)とピリジン(11.8g,0.147mol)に懸濁させ、該混合物をアセトニトリル(1.22L)中の濃塩酸(120mL,1.45mol)で処理することによって、対応する塩酸塩に変換した。混合物を67℃に加熱し、得られた溶液をろ過した。冷却すると、化合物1の塩酸塩が晶出した。これをろ過で回収し、アセトニトリル(2×1.6L)とメチル-t-ブチルエーテル(2×1.6L)で洗浄し、50℃で乾燥させた。収率:77.3%。
【0088】
これとは別に、以下のように、化合物5aの遊離塩基から化合物1を得ることができる:化合物5a(67.1mmol)の遊離塩基をテトラヒドロフラン(0.3L)に溶かし、濃塩酸(5.6mL,67.1mmol)を加え、溶液をPd/C 10%(3.8g)の存在下で3.4×105Pa(50psi)にて水素化した。2.5時間後、触媒をろ別し、溶液をアセトニトリル(0.3L)で希釈した。温度を30℃に設定し、ピリジン(12.5mL,154.1mmol)を添加後、アセトニトリル(20mL)中のメタンスルホニルクロリド(5.2mL,67.0mol)の溶液を20分にわたって加えた。さらに45分後、MeOH(8mL)を加えて反応混合物を濃縮した。水(170mL)とアセトニトリル(60L)を添加後、NaHCO3飽和水溶液(100mL)を加えた。化合物1のいくつかの結晶を添加後、さらにNaHCO3飽和水溶液(120mL)を加えると、生成物が晶出した。沈殿固体をろ過で回収し、水(2×80mL)とTBME(2×80mL)で洗浄した。所望により、化合物1を熱酢酸エチル(350mL)/イソプロパノール(50mL)混合物に懸濁させることによってさらに精製することができる。懸濁液を冷まし、固体をろ過で収集し、酢酸エチル(2×50mL)で洗浄し、50℃で乾燥させて化合物1を遊離塩基として得た。収率:71.5%。
上述したように、化合物1の遊離塩基を対応する塩酸塩に変換することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式1

(式中、
R1及びR2は、それぞれ独立にH、ハロゲン又はC1-4-アルキルを意味し、或いはR1とR2が一緒にC1-6-アルキレンの意味を有し;かつ
R3はH、ハロゲン、OH、C1-4-アルキル又はO-C1-4-アルキルを表す)
の化合物又はその塩の製造方法であって、下記式6

(式中、R4は、ベンジル、ジフェニルメチル又はトリチルから成る群より選択され、それぞれ任意に、利用可能な場合アリール基又は脂肪族炭素原子のところで置換されていてもよい)
の化合物を下記式7

(式中、R1、R2及びR3は前記意味を有する)
の化合物、又はその塩と反応させて、下記式5

の化合物、又はその塩とし、
式5中のニトロ基のアミン基への還元、このアミン基のメシル化及び前記還元工程中又はメシル化工程後の保護基の切断によって式1の化合物を得ることを特徴とする方法。
【請求項2】
式中、
R1及びR2がそれぞれ独立にH、F、Cl、メチル、エチル、プロピル、ブチルを意味し、或いはR1とR2が一緒にエチレン、プロピレン、ブチレン又はペンチレンの意味を有し;
R3がH、F、Cl、OH、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシを表し;かつ
R4が、ベンジル又はジフェニルメチルから成る群より選択され、それぞれ任意に、利用可能な場合アリール基又は脂肪族炭素原子のところで、F、Cl、Br、Me、Et、OMe、OEt又はO-iPrから選択される基で置換されていてもよい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式中、
R1及びR2がそれぞれ独立にH、メチル、エチル、プロピルを意味し、或いはR1とR2が一緒にエチレン、プロピレン、ブチレン又はペンチレンの意味を有し;
R3がH、F、OH、メチル又はメトキシを表し;かつ
R4が、任意にアリール基又は脂肪族炭素原子のところで、F、Cl、Br、Me、Et、OMe、OEt又はO-iPrから選択される基で置換されていてもよいベンジルを表す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
下記式8の化合物を反応させることによって式6の化合物を得る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。

(式中、R4は請求項1〜3の定義通りであり、かつYは塩素又はスルホニルオキシベース脱離基である。)
【請求項5】
R4が請求項1〜3の定義通りであり、かつYが塩素である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
下記式9の化合物を反応させることによって式8の化合物を得る、請求項4又は5に記載の方法。

(式中、R4は請求項1〜3の定義通りであり、かつYは請求項4又は5の通りである。)
【請求項7】
下記式10の化合物を反応させることによって式9の化合物を得る、請求項6に記載の方法。

(式中、R4は請求項1〜3の定義通りである。)

【公表番号】特表2009−514932(P2009−514932A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539421(P2008−539421)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068157
【国際公開番号】WO2007/054484
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】