説明

ペダル装置

【課題】駆動源が失陥した場合や、出力を継続するような故障を起こした場合であっても、踏み込みやすい反力を発生する操作性のよいペダル装置を提供する。
【解決手段】アクセルペダル2と、アクセルペダル2に一端が連結され、他端が付勢力発生装置10に第1回動軸線A1回りに回動可能に連結されたペダル側アーム11と、アクセルペダル2に対して踏込反力となるモータ付勢力を付与するための電動モータ26と、第2回動軸線A2回りに回動自在に支持されるとともに、ペダル側アーム11に離脱可能に接触し、電動モータ26が発生するモータトルクをペダル側アーム11に伝達する駆動側アーム21とを備えるアクセルペダル装置1において、駆動側アーム21を、アクセルペダル2の踏込量が大きくなるにつれてペダル側アーム11との接触位置Pが第1回動軸線A1に近づくように設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられるペダルに踏込反力を付与するペダル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アクセルペダルの踏み込みに抵抗する踏込反力を所望に変化させることができるアクセルペダル反力装置が種々開発されている。例えば、特許文献1のアクセルペダル反力装置では、ペダル側アームを第1回動軸線回りに回動自在に設けるとともに、ペダル側アームに隣接して回動部材を配置し、駆動源により回動部材を回動駆動して回動部材の遊端をペダル側アームに接触させることにより、ペダル側アームに休止位置(原位置)へ押し戻す踏込反力を付加するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−68175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動車にペダル反力装置を搭載する場合、駆動源が失陥した場合や、出力を継続するような故障を起こした場合であっても、可能な限り踏み込みやすいペダル構成とすることが望まれる。
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明では、ペダル側アームが休止位置から最大踏込位置に向けて回動するときに、回動部材とペダル側アームとの接触位置が第1回動軸線から遠ざかるように変位し、ペダル側アームが休止位置に向けて回動するときには、接触位置が第1回動軸線に近づくように変位する構成となっている。そのため、アクセルペダルを踏み込んでいくほど、第1回動軸線と接触位置との距離が増加してモーメント長が長くなる。したがって、回動部材が同じ力で付勢されている場合、アクセルペダルを踏み込んでいくほど大きな反力が生じることになる。
【0006】
つまり、駆動源が失陥した場合や、出力を継続するような故障を起こした場合に、アクセルペダルが非常に踏み込みづらい反力を発生し、運転者に操作の違和感を与える虞がある。
【0007】
本発明は、このような背景に鑑みなされたもので、駆動源が失陥した場合や、出力を継続するような故障を起こした場合であっても、踏み込みやすい反力を発生する操作性のよいペダル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、ペダル装置(1)であって、運転者の踏込操作に供されるペダル(2)と、前記ペダルに一端が連結され、他端が車体側部材(10)に第1回動軸線(A1)回りに回動可能に連結されたペダル側アーム(11)と、前記ペダルに対して運転者の踏込操作方向と相反する方向の反力(Fm)を付与するための駆動源(26)と、第2回動軸線(A2)回りに回動自在に支持されるとともに、前記ペダル側アームに離脱可能に接触し、前記駆動源が発生する駆動力(Tm)を前記ペダル側アームに伝達する駆動側アーム(21)とを備え、前記駆動側アームは、前記ペダルの踏込量(θa)が大きくなるにつれて前記ペダル側アームとの接触位置(P)が前記第1回動軸線に近づくように設けられた構成とする。
【0009】
このような構成とすることにより、ペダル部材が踏み込まれる方向に操作されると、ペダル側アームと駆動側アームとの接触位置は第1回動軸線に近づくことになる。つまり、ペダルストロークが大きな領域では、第1回動軸線に近い位置で駆動側アームがペダル側アームに駆動力を伝達することになり、仮に駆動源が出力を一定値に維持していたとしても、ペダルストロークが小さな領域に比べて駆動原が発生する反力が小さくなる。したがって、ペダルを踏み込む意志がある運転者が踏込反力の増大に対して煩わしさを覚えることを軽減できるとともに、駆動源が失陥して出力が発揮されない状況や、故障により所定の駆動力が発揮され続ける状況下においても、ペダルを深く踏み込みやすくなり、操作性の低下を抑制できる。
【0010】
また、本発明の一側面によれば、前記ペダルが踏み込まれていない状態において、前記接触位置から前記第2回動軸線までの距離(L2)が前記接触位置から前記第1回動軸線までの距離(L1)よりも短い構成とすることができる。
【0011】
このような構成とすることにより、駆動側アームのアーム長が短くなり、装置を小型化できるとともに、必要な駆動トルクの低減に伴って駆動源を小型化できる。また、ペダルが踏み込まれる方向に操作されたときに、ペダル側アームと駆動側アームとの接触位置が第1回動軸線に近づくような構成とする際に、駆動側アームの第2回動軸線の位置をある程度自由に設定でき、設計自由度を高めるとともに装置をコンパクト化することができる。
【0012】
また、本発明の一側面によれば、前記ペダル側アームにおける前記駆動側アームとの接触面(11a)に凹凸(11b)が設けられた構成とすることができる。
【0013】
このような構成とすることにより、駆動側アームから一定の力がペダル側アームに加わっていたとしても、ペダル側アームに接触する駆動側アームの位置に応じて反力を変化させることができる。そのため、例えば、接触面に所定間隔に凸部または凹部を複数設け、ペダルの操作量を感覚的に運転者に認識させることができる。
【発明の効果】
【0014】
このように本発明によれば、駆動源が失陥した場合や、出力を継続するような故障を起こした場合であっても、踏み込みやすい反力を発生する操作性のよいペダル装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るアクセルペダル装置の側面図
【図2】図1に示すアクセルペダル装置の概略構成図
【図3】踏込量と第1付勢力との関係を示すグラフ
【図4】踏込量と第2付勢力との関係を示すグラフ
【図5】図1に示すアクセルペダル装置の動作説明図
【図6】平常時における踏込量と合計付勢力との関係を示すグラフ
【図7】故障時における踏込量と合計付勢力との関係を示すグラフ
【図8】第1変形実施例によるアクセルペダル装置の動作説明図
【図9】第2変形実施例によるアクセルペダル装置の動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るペダル装置を自動車のアクセルペダル2に適用した実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1に示すように、アクセルペダル装置1は、自動車に設けられたアクセルペダル2に対して踏み力に抵抗する踏込反力を付与するものであり、運転者の踏込操作に供されるオルガン式のアクセルペダル2と、ペダル側アーム11を介してアクセルペダル2に付与する付勢力を発生する付勢力発生装置10と、駆動側アーム21を介してアクセルペダル2に付与する駆動力を発生する動力発生装置20とを備えている。
【0018】
アクセルペダル2は、下端が車体30に回動自在に連結されるとともに、その上部にはリンク部材3を介してペダル側アーム11が連結されており、このペダル側アーム11によって常時原位置側(起立側)へ付勢されている。なお、図1は、アクセルペダル2が原位置にある状態を示している。
【0019】
付勢力発生装置10は、車体30に固定されるとともに、ペダル側アーム11を第1回動軸線A1回りに回動自在に支持している。付勢力発生装置10は、踏み込まれたアクセルペダル2を原位置へ戻す付勢力(以下、第1付勢力Fs1と記す)を機械的な構成により発生し、ペダル側アーム11を介して第1付勢力Fs1をアクセルペダル2に付与する。付勢力発生装置10は、図2に示すように、リターンスプリング12と、ヒステリシス特性生成部13と、操作量センサ14とを備えている。
【0020】
ヒステリシス特性生成部13は、リターンスプリング12が発生させるトルクにヒステリシス特性を付与し、アクセルペダル2に付与する第1付勢力Fs1を図3に示す特性とする。つまり、アクセルペダル2は第1付勢力Fs1により、踏み込まれるときに比較的大きな踏込反力を発生し、戻されるときに比較的小さな踏込反力を発生する。なお、リターンスプリング12およびヒステリシス特性生成部13には、例えば、国際公開第01/19638号に記載される構成などの公知の構成を採用することができる。
【0021】
操作量センサ14は、ペダル側アーム11の変位に応じてアクセルペダル2の原位置からの踏込量θa(操作量)を検出し、電子制御ユニット(Electronic Control Unit、以下、ECU4と記す。図2参照)に出力する。
【0022】
動力発生装置20は、付勢力発生装置10に固定されるとともに、駆動側アーム21を第2回動軸線A2回りに回動自在に支持している。駆動側アーム21は側面視において略L字形状を呈しており、第2回動軸線A2から下方へ突出する下向アーム部22と、第2回動軸線A2から後方(図1右方のアクセルペダル2の原位置方向)へ突出する後向アーム部23とを有している。
【0023】
駆動側アーム21の一端(下向アーム部22の遊端)には側方へ突出するピン24が設けられ、駆動側アーム21の他端(後向アーム部23の遊端)には引っ張りコイルばねからなる追従スプリング25の下端が連結されている。追従スプリング25の上端は動力発生装置20のハウジングに連結されており、追従スプリング25が後向アーム部23の遊端を上方へ付勢することにより、駆動側アーム21は、ピン24をペダル側アーム11の動きに追従させてペダル側アーム11に常時当接させるとともに、図4に示すようなトルク(以下、追従トルクTfと称する)をペダル側アーム11に発生させ、踏み込まれたアクセルペダル2を原位置へ戻す付勢力(以下、第2付勢力Fs2と記す)をアクセルペダル2に付与する。
【0024】
図2に示すように、動力発生装置20は、ECU4により制御される電動モータ26と、電動モータ26と駆動側アーム21との間に介装された減速機27とを有している。電動モータ26は、ECU4からの制御信号Smに応じたトルク(以下、モータトルクTmと称する)を、減速機27を介して駆動側アーム21に発生させ、このモータトルクTmをペダル側アーム11に作用させて、アクセルペダル2に対して原位置方向への動力(以下、モータ付勢力Fmと記す)を付与する。これにより、駆動側アーム21は、追従スプリング25からの第2付勢力Fs2および電動モータ26からのモータ付勢力Fmをアクセルペダル2に付与する。以下の説明では、追従トルクTfとモータトルクTmとの合計を駆動側トルクTdと称し、第2付勢力Fs2とモータ付勢力Fmとの合計を駆動側付勢力Fdと称し、駆動側付勢力Fdと第1付勢力Fs1との合計を合計付勢力Ftと称する。
【0025】
なお、ECU4は、操作量センサ14が検出した踏込量θaや、車速、選択されているトランスミッションのギヤ段などに応じて、駆動側アーム21に発生させるモータトルクTmを設定して電動モータ26を駆動制御するとともに、自動車の駆動系、すなわちエンジン或いはモータやトランスミッションなどを制御する。
【0026】
図1に示すように、ペダル側アーム11の前面、すなわち駆動側アーム21のピン24が接触する接触面11aには、所定間隔ごとに凸部11bが設けられている。
【0027】
また、図1に示すアクセルペダル2が原位置にある状態において、駆動側アーム21の第2回動軸線A2は、駆動側アーム21とペダル側アーム11との接触位置Pとペダル側アーム11の第1回動軸線A1とを結んだ直線lに対し、後方(アクセルペダル2の原位置方向)側の近い位置に配置されている。また、接触位置Pから駆動側アーム21の第2回動軸線A2までの距離L2は、接触位置Pからペダル側アーム11の第1回動軸線A1までの距離L1よりも小さくなっている。
【0028】
このリンクの関係を模式的に示すと図5(A)のようになる。つまり、駆動側アーム21は、ペダル側アーム11に対して第1回動軸線A1から距離L1だけ離れた接触位置Pにおいて角度θの向きに駆動側トルクTdを作用させる。
【0029】
一方、アクセルペダル2が踏み込まれると、ペダル側アーム11の回動に伴って、駆動側アーム21もペダル側アーム11との接触位置Pを第1回動軸線A1方向へ変位させながら前方(アクセルペダル2の踏込方向)へ回動し、図5(B)のような状態となる。このとき、駆動側アーム21は、ペダル側アーム11に対して第1回動軸線A1から距離L1’だけ離れた接触位置Pにおいて角度θ’の向きに駆動側トルクTdを作用させる。そして、踏込時の距離L1’は原位置での距離L1よりも小さく、踏込時の角度θ’は原位置での角度θよりも小さくなっている。したがって、原位置におけるアクセルペダル2に付加される駆動側付勢力Fdに対し、アクセルペダル2が踏み込まれたときに付加される駆動側付勢力FdをFd’とすると、駆動側トルクTdが一定の値であるときの踏込時の駆動側付勢力Fd’は下式(1)のように表わされ、原位置での駆動側付勢力Fdよりも小さくなる。
Fd’=Fd・(L1’/L1)・(sinθ’/sinθ) ・・・(1)
【0030】
追従スプリング25による追従トルクTfが図4のように変化するため、その結果、モータトルクTmが0である場合、すなわちモータ付勢力Fmが0である場合には、第1付勢力Fs1に第2付勢力Fs2が付加された合計付勢力Ftは、図6に示すようになる。なお、図6中の想像線は、図4の追従トルクTfがそのまま第2付勢力となった場合の仮想合計付勢力を示している。つまり、アクセルペダル2の踏込量θaが大きな領域における踏込反力の増大率(傾き)は、アクセルペダル2の踏込量θaが小さな領域における踏込反力の増大率よりも小さくなる。したがって、ペダルを踏み込む意志がある運転者が踏込反力の増大に対して煩わしさを覚えることが軽減される。
【0031】
また、電動モータ26がモータトルクTmを出力し続けるような故障を起こした場合、一定のモータトルクTmに応じたモータ付勢力Fmが図6の合計付勢力Ftに加わることとなる。このような場合、アクセルペダル2が踏み込まれるほど駆動側アーム21のペダル側アーム11への接触位置Pが第1回動軸線A1から遠ざかる従来のアクセルペダル2では、原位置での駆動側付勢力Fdよりも踏込位置での駆動側付勢力Fd’が大きくなるため、図7に想像線で示すように、アクセルペダル2が非常に踏み込みづらい特性の反力を発生し、運転者に操作の違和感を与えることになる。これに対し、本実施形態に係るアクセルペダル装置1によれば、アクセルペダル2が図7に実線で示すような反力を発生するため、アクセルペダル2を深く踏み込みやすくなり、操作性の低下を抑制できる。
【0032】
本実施形態においては、上記したように、アクセルペダル2が踏み込まれていない図1の状態において、接触位置Pから第2回動軸線A2までの距離L2が接触位置Pから第1回動軸線A1までの距離L1よりも短い構成となっている。そのため、駆動側アーム21のアーム長(距離L2)が短くなり、アクセルペダル装置1を小型化できるとともに、所望のモータ付勢力Fmを発揮するのに必要なモータトルクTmが小さくて済むため、電動モータ26を小型化することができる。
【0033】
また、ペダル側アーム11の接触面11aに所定間隔の凸部11bが設けられたことにより、アクセルペダル2が踏み込まれて駆動側アーム21がペダル側アーム11との接触位置Pを第1回動軸線A1方向へ変位させる際に、ピン24がこれら凸部11bを乗り越えて摺動するため、アクセルペダル2の反力にクリック感(節度感)が生じることになる。これにより、運転者がペダルの踏込量θaを感覚的に認識できるようにすることができる。
【0034】
<第1変形例>
次に、本発明の第1変形例について、図5に対応するリンクの関係を模式的に示した図8の動作説明図を参照して説明する。なお、アクセルペダル装置1の基本的構成は上記実施形態と同様であるため、説明は省略する。第2変形例についても同様である。
【0035】
本変形例では、駆動側アーム21の長さ、すなわち駆動側アーム21のペダル側アーム11との接触位置Pから第2回動軸線A2までの距離L2および、図8(A)に示すアクセルペダル2が踏み込まれていない状態における、駆動側アーム21とペダル側アーム11との接触位置Pからペダル側アーム11の第1回動軸線A1までの距離L1は、上記実施形態と同一である。つまり上記実施形態と同様に、接触位置Pから第2回動軸線A2までの距離L2が接触位置Pから第1回動軸線A1までの距離L1よりも短い構成となっている。一方、駆動側アーム21の第2回動軸線A2は、接触位置Pと第1回動軸線A1とを結んだ直線lに対し、前方(アクセルペダル2の踏込方向)側の近い位置に配置されている。
【0036】
駆動側アーム21をこのように配置しても、アクセルペダル2が踏み込まれると、図8(B)に示すように、駆動側アーム21のペダル側アーム11への接触位置Pが第1回動軸線A1方向へ変位し、接触位置Pからペダル側アーム11の第1回動軸線A1までの距離L1’は、原位置(図8(A))での距離L1よりも短くなる。また、踏込時における駆動側アーム21がペダル側アーム11に作用させる駆動側トルクTdの角度θ’は、原位置での角度θに比べて小さくなっている。そのため、駆動側トルクTdが一定の値である場合、踏込時の駆動側付勢力Fd’は、原位置での駆動側付勢力Fdよりも小さくなり、上記実施形態(図6および図7)と同様の踏込反力をアクセルペダル2に発揮させることができる。
【0037】
また、接触位置Pから第2回動軸線A2までの距離L2が接触位置Pから第1回動軸線A1までの距離L1よりも短い構成となっているため、アクセルペダル2が踏み込まれる方向に操作されるに連れて接触位置Pが第1回動軸線A1に近づくような構成とする場合に、駆動側アーム21の第2回動軸線A2の位置をある程度自由に(接触位置Pと第1回動軸線A1とを結んだ直線lよりも前方にも)設定でき、装置の設計自由度を高めるとともに装置をコンパクト化することができる。
【0038】
<第2変形例>
次に、図9を参照して、本発明の第2変形例について説明する。本変形例においては、図9(A)に示すように、駆動側アーム21のペダル側アーム11との接触位置Pから第2回動軸線A2までの距離L2が、接触位置Pからペダル側アーム11の第1回動軸線A1までの距離L1よりも大きくなっている。他方、駆動側アーム21の第2回動軸線A2は、アクセルペダル2が踏み込まれていない状態において接触位置Pと第1回動軸線A1とを結んだ直線lに対し、上記実施形態よりも前方へ有意に離れた位置に配置されている。
【0039】
駆動側アーム21をこのように配置しても、アクセルペダル2が踏み込まれると、図9(B)に示すように、駆動側アーム21のペダル側アーム11への接触位置Pが第1回動軸線A1方向へ変位し、接触位置Pから第1回動軸線A1までの距離L1’は、原位置における距離L1よりも短くなる。そのため、駆動側トルクTdが一定の値であるときの踏込時の駆動側付勢力Fd’は、原位置での駆動側付勢力Fdよりも小さくなり、上記実施形態の踏込反力(図6および図7)と同様の踏込反力をアクセルペダル2に発揮させることができる。
【0040】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各部材の具体的形状や配置などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、本発明に係るペダル装置をアクセルペダル2に適用した例を示したが、アクセルペダル2に限らず、ブレーキペダルやクラッチペダルに適用することも可能である。また、上記実施形態では、駆動側アーム21をペダル側アーム11に常時当接させておくための追従スプリング25として引っ張りコイルばねを用いているが、電動モータ26のロータにねじりコイルばねを組み付けた形態や、ばねを用いずに、電動モータ26が常にモータトルクTmを出力することで駆動側アーム21をペダル側アーム11に追従させる形態とすることも可能である。
【0041】
一方、上記実施形態に示した本発明に係るペダル装置は、必ずしも全ての要素を必須とするものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 アクセルペダル装置
2 アクセルペダル
10 付勢力発生装置(車体側部材)
11 ペダル側アーム
11a 接触面
11b 凸部
20 動力発生装置
21 駆動側アーム
26 電動モータ(駆動源)
A1 第1回動軸線
A2 第2回動軸線
L1 接触位置Pから第1回動軸線A1までの距離(原位置)
L1’ 接触位置Pから第1回動軸線A1までの距離(踏込時)
L2 接触位置Pから第2回動軸線A2までの距離
P 接触位置
Fs1 第1付勢力
Fs2 第2付勢力
Fm モータ付勢力(反力)
Fd 駆動側付勢力(Fs2+Fm)(アクセルペダルが原位置にある時)
Fd’ 駆動側付勢力(アクセルペダルが踏み込こまれた時)
Ft 合計付勢力(Fs1+Fd(Fs2+Fm))
Tf 追従トルク
Tm モータトルク(駆動力)
Td 駆動側トルク(Tf+Tm)
θa 踏込量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の踏込操作に供されるペダルと、
前記ペダルに一端が連結され、他端が車体側部材に第1回動軸線回りに回動可能に連結されたペダル側アームと、
前記ペダルに対して運転者の踏込操作方向と相反する方向の反力を付与するための駆動源と、
第2回動軸線回りに回動自在に支持されるとともに、前記ペダル側アームに離脱可能に接触し、前記駆動源が発生する駆動力を前記ペダル側アームに伝達する駆動側アームとを備え、
前記駆動側アームは、前記ペダルの踏込量が大きくなるにつれて前記ペダル側アームとの接触位置が前記第1回動軸線に近づくように設けられたことを特徴とするペダル装置。
【請求項2】
前記ペダルが踏み込まれていない状態において、前記接触位置から前記第2回動軸線までの距離が前記接触位置から前記第1回動軸線までの距離よりも短いことを特徴とする、請求項1に記載のペダル装置。
【請求項3】
前記ペダル側アームにおける前記駆動側アームとの接触面に凹凸が設けられたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のペダル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−71609(P2013−71609A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212396(P2011−212396)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】