説明

ペット収納ボックスの車両取り付け構造

【課題】 ペットの安全性に優れ、且つ、ペット収納ボックスを車体に簡易に取り付けできる。
【解決手段】 ペットを収納したペット収納ボックス10を車室内で車体に取り付けるペット収納ボックス10の車両取り付け構造であって、補強メンバー3に固着されたアンカー4に、ペット収納ボックス10を連結部材13を介して連結自在に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットを収納したペット収納ボックスを車室内で車体に取り付けるペット収納ボックスの車両取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ペットを車両に乗せる際には、人間と同様に車両緊急時(例えば衝突時)にペットを保護することが近年要望されている。
【0003】
このような要望の下に車載時のペットの安全性を確保するもとして、図3及び図4に示す特開2002−159238号公報(特許文献1)に開示されたものがある。
【0004】
図3及び図4に示すペット収納ボックスの車両取り付け構造は、シート20のシートクッション20a上に載置され、上面が開口されたペット収納ボックス21と、このペット収納ボックス21内に収納したペットPをペット収納ボックス21内に繋ぎ止めるペット連結ロープ22と、前記ペット収納ボックス21をシートクッション20a上に固定する2本の専用固定ベルト23,24とを有している。2本の専用固定ベルト23,24は、シートバック20bに掛け回した両端をペット収納ボックス21の下部にそれぞれ連結したものと、ヘッドレスト20cの支柱20dに掛け回した両端をペット収納ボックス21の上端にそれぞれ連結したものから構成されている。
【0005】
この車両取り付け構造では、ペットPがペット収納ボックス21内で、且つ、ペット連結ロープ22の規制範囲内で自由に移動できる。そして、車両緊急時(例えば衝突時)にはペット収納ボックス21が専用固定ベルト23,24によって位置保持されるため、ペット収納ボックス21自体に大きな衝撃が加わることがなく、又、ペットP自体もペット連結ロープ22によって移動が阻止されるため、ペットPがペット収納ボックス21に衝突するに過ぎず、安全性に優れている。
【特許文献1】特開2002−159238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のペット収納ボックス21の車両取り付け構造では、ペット収納ボックス21を車両に取り付けるのに、専用固定ベルト23,24をシートバック20b及び支柱20cに拘束しなければならず、取り付け作業が面倒である。
【0007】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、ペットの安全性に優れ、且つ、取り付け作業が簡単であるペット収納ボックスの車両取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、 ペットを収納したペット収納ボックスを車室内で車体に取り付けるペット収納ボックスの車両取り付け構造であって、車体パネルに固着されたアンカーに、前記ペット収納ボックスを連結したことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載のペット収納ボックスの車両取り付け構造であって、前記ペット収納ボックスの強度ベルトと前記アンカーとを連結部材を介して連結したことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2記載のペット収納ボックスの車両取り付け構造であって、前記ペット収納ボックスと前記アンカーとを連結する部材は、連結自在であることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3記載のペット収納ボックスの車両取り付け構造であって、前記強度ベルトは、前記連結部材を着脱できる着脱支持部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、ペット収納ボックスをアンカーに連結すれば取り付けできるため、従来例のように専用固定ベルトをシートに拘束する作業に較べて取り付け作業が簡単である。また、例えば衝突時等の車両緊急時にはペットがペット収納ボックス内で瞬間的に移動したとしても、ペット収納ボックスがほとんど移動することなく位置保持される。従って、ペット収納ボックスがほとんど移動することがなく、この移動しないペット収納ボックスの内壁にペットが衝突するため、ペットには比較的弱い衝撃が加わるに過ぎず、安全性に優れている。特に、ペット収納ボックスを従来例のようにシートに取り付けるのではなく、補強メンバーのアンカー、つまり、車体自体に取り付けられるため、車体が変形しない限りペット収納ボックスの固定状態が保持され、この点でも安全性に優れている。
【0013】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、連結部材をアンカーに連結するだけで取り付けできるため、取り付け作業が簡単である。
【0014】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に加え、ペット収納ボックスの車両への取り付けと取り外しを容易に行うことができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、請求項2又は請求項3の発明の効果に加え、ペット収納ボックスより連結部材を容易に着脱することができるため、ペット収納ボックスの車両への取り付けと取り外し作業が更に容易になる。又、ペット収納ボックスを携帯する際に、連結部材が取り外されるため、携帯性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1及び図2は本発明の一実施形態を示し、図1はペット収納ボックス10をシート2上に取り付けた状態を斜め後方から見た斜視図、図2はペット収納ボックス10をシート2上に取り付けた状態を示す側面図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、車体の車室内にはシート2が配置されている。このシート2は、車室の底面側に固定されたシートクッション2aと、このシートクッション2aの後端側より立設されたシートバック2bと、このシートバック2bの上端に支柱2cを介して支持されたヘッドレスト2dとを備えている。
【0019】
また、車体の車室内で、且つ、シートクッション2aの後部側隙間には、車体パネルである補強メンバー3が車体幅方向に配置されている。この補強メンバー3には所定間隔を置いてアンカー4が固定されている。アンカー4は、チャイルドシート等を固定するために取り付けられているものであり、コ字形の被掛止形状を有している。
【0020】
ペット収納ボックス10は、シート2のシートクッション2a上に載置されている。ペット収納ボックス10は、収納ボックス本体11とこの収納ボックス本体11の外周面を被うように取り付けられた強度ベルト12とから構成されている。
【0021】
収納ボックス本体11は、形状がほぼ直方体状で、通気性が良く、且つ、衝撃吸収性能の高い材質、例えば細かい網目のポリエステルメッシュで形成された袋体11aと、この袋体11aに装着され、袋体11aを閉空間であるボックス状の形態に保持するワイヤーフレーム11bとを有する。袋体11aの一方の側面には開口部11cが形成され、この開口部11cが蓋体14によってファスナー開閉できるようになっている。この開口部11cよりペット(図示せず)を収納したり、取り出したりする。袋体11aの底面には防水布地15が敷かれている。ワイヤーフレーム11bは、所定方向の外力を作用することによって折り畳み位置に変移可能に構成され、ペット収納ボックス本体11の内側は突起構造を持たない構造となっている。
【0022】
強度ベルト12は、収納ボックス本体11の外周面を被うように左右一対取り付けられている。強度ベルト12は、例えば糸や接着剤によって袋体11aの適所に強固に固定されている。
【0023】
一対の強度ベルト12には連結部材13の一端側がそれぞれ固定されている。連結部材13の一端側にはベルト用フック部13aが設けられており、このベルト用フック部13によって強度ベルト12に固定されている。
【0024】
各連結部材13の他端側にはアンカー用フック部13bが設けられている。この各アンカー用フック部13bを各アンカー4に掛止することによって連結部材13をアンカー4に取り付けでき、各アンカー用フック部13bを各アンカー4より掛止解除するすることによって連結部材13をアンカー4より取り外しできる。つまり、ペット収納ボックス10は、一対の連結部材13を介して車体側のアンカー4に連結自在に構成されている。
【0025】
次に、ペット収納ボックス10を車室内で車体1に取り付ける取り付け作業を説明する。最初に、ペット収納ボックス10を車体のシートバック2bにほぼ密着させた状態でシートクッション2a上に載置する。次に、左右一対の連結部材13のアンカー用フック部13b、13bを各アンカー4に引っ掛ければ、完了する。このように、ペット収納ボックス10をアンカー4に連結部材13によって連結すれば取り付け作業が完了するため、従来例のような専用固定ベルトをシートに拘束するような面倒な取り付け作業が必要なく簡易に取り付けできる。
【0026】
また、ペット収納ボックス10が車体に取り付けされた状態にあって、例えば衝突時等の車両緊急時が発生したとする。すると、ペットがペット収納ボックス10内で瞬間的に移動したとしても、ペット収納ボックス10がほとんど移動することなく位置保持される。従って、ペット収納ボックス10がほとんど移動することがなく、この移動しないペット収納ボックス10の内壁にペットが衝突するため、ペットには比較的弱い衝撃が加わるに過ぎず、安全性に優れている。特に、ペット収納ボックス10を従来例のようにシート2に取り付けるのではなく、補強メンバー3のアンカー4、つまり、車体自体に取り付けられるため、車体が変形しない限りペット収納ボックス10の固定状態が保持され、この点でも安全性に優れている。
【0027】
この実施形態では、連結部材13は連結自在に設けられているので、ペット収納ボックス10の車体への取り付けと取り外しを容易に行うことができる。
【0028】
この実施形態では、ペット収納ボックス10とアンカー4とをフック形状の連結部材13を介して連結したが、ペット収納ボックス10とアンカー4間を連結できる構造のものであれば連結部材の構造を問わない。
【0029】
また、他の実施形態として、強度ベルト12は連結部材13を着脱できるバックル(図示せず)等の着脱支持部を有するよう構成しても良い。このようにすれば、前記実施形態と同様に、ペット収納ボックス10より連結部材13を容易に着脱することができるため、ペット収納ボックス10の車両への取り付けと取り外し作業が更に容易になる。又、ペット収納ボックス10を携帯する際に、連結部材13が取り外されるため、携帯性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態を示し、ペット収納ボックスをシート上に取り付けた状態を斜め後方から見た斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、ペット収納ボックスをシート上に取り付けた状態を示す側面図である。
【図3】従来例を示し、ペット収納ボックスをシート上に取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。
【図4】従来例を示し、ペット収納ボックスをシート上に取り付けた状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0031】
3 補強メンバー(車体パネル)
4 アンカー
10 ペット収納ボックス
12 強度ベルト
13 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットを収納したペット収納ボックスを車室内で車体に取り付けるペット収納ボックスの車両取り付け構造であって、
車体パネルに固着されたアンカーに、前記ペット収納ボックスを連結したことを特徴とするペット収納ボックスの車両取り付け構造。
【請求項2】
請求項1記載のペット収納ボックスの車両取り付け構造であって、
前記ペット収納ボックスの強度ベルトと前記アンカーとを連結部材を介して連結したことを特徴とするペット収納ボックスの車両取り付け構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のペット収納ボックスの車両取り付け構造であって、
前記ペット収納ボックスと前記アンカーとを連結する部材は、連結自在であることを特徴とするペット収納ボックスの車両取り付け構造。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載のペット収納ボックスの車両取り付け構造であって、
前記強度ベルトは、前記連結部材を着脱できる着脱支持部を有することを特徴とするペット収納ボックスの車両取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−15836(P2006−15836A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194520(P2004−194520)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(503027160)シーケー販売株式会社 (4)
【Fターム(参考)】