説明

ペット用鳴き声診断システム

【課題】 非接触でペットにストレスを与えることなく、異常を検知することのできるペット用鳴き声診断システムを提供する。
【解決手段】 自然の状態で暮らすペットに対し積極的に刺激をあたえて反応をみることで、より判断し易い情報を検知できる点、あらかじめ情報を蓄積しておくことで、同じ刺激に対して、体調が同じであれば同じ反応がでる点に着目し、より効率よく情報検出を行うことで、ペットに快適で心地よい普通の暮らしを確保しながらペットの異常検出を可能にするものである。また、データ量の低減を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用鳴き声診断システムに係り、特に、ペットに精神的ストレスを与えることなく、ペットの精神状態を診断することのできるペット用鳴き声診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ペットと暮らす人は多くなってきてはいるが、人のように言葉をあやつることのできないペットとのコミュニケーションは困難であることも多い。したがって、ペットの状態を客観的に捉え、ペットの精神状態をはじめ異常を早期に検知することができる、診断システムの実現が急務となっている。
【0003】
ペットの発する音声を首輪などに取り付けられている端末に内蔵されているマイクで収音して、音声データに変換し、この音声データに基づいてペットの感情を判別、翻訳し、翻訳データをEメールデータとして作成し、得られたEメールデータをネットワークを介してユーザ側のユーザ端末に伝達し、表示または音声出力を行うようにしたペット監視システムが提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、人と動物が離れた場所にいる場合にも、人が動物の感情を知り、適切な飼育を実行できるように、犬の音声データに含まれる感情を判別し、対応する人語を音声分析結果データとしてユーザ端末に送信し、ユーザ端末から発せられる飼育指示データで飼育管理を行うようにしたシステムも提案されている(特許文献2)
【0005】
また、ペットの鳴き声を声紋分析し、ペットの鳴き方の違いによりペットの感情を把握するようにした翻訳装置も提案されている(特許文献3)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−000031号公報
【特許文献2】特開2004−212544号公報
【特許文献3】特開2002−278583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
いずれの装置においても、データの収集がもっとも大きな課題であり、実際にはノイズを避けるため、首輪などにとりつけられた収音マイクで収音するという方法がとられている。
これは、いつ発せられるかわからない音声を、ノイズとともに収音するため、より音声発生部に近い位置で収音しなければならないという問題がある。
そこで、首輪など、ペットに接触するものにセンサを取り付け、ペットにより近い位置で収音する必要があった。しかしながら、ペットの肉体に接触してセンサを取り付けることでペットに与えるストレスは大きく、ペットが飼い主とともに心地よい暮らしを維持するなかで、異常診断を検知することのできるシステムが求められている。また、特に、普段音声を発することが少ないペットに対しては、声紋データを採取することが困難であるという問題があった。
また、処理データも膨大であり、寂しい、辛いなどメンタル面の状態を綿密に検知するのは極めて困難であった。
【0008】
人間と同様にペットの場合にも、寂しい、辛いなど、メンタル状態が悪いと、食欲不振につながったり、病気を誘起したりすることもあり、メンタル情報(感情情報)を綿密に検知する必要があった。
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、非接触でペットにストレスを与えることなく、異常を高感度で検知することのできるペット用鳴き声診断システムを提供することを目的とする。
またメンタル面の状態をも簡単に検知することができるペット用鳴き声診断システムを提供することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明のペット用鳴き声診断システムは、自然の状態で暮らすペットに対し積極的に刺激をあたえて反応をみることで、より判断し易い情報を検知するもので、あらかじめ情報を蓄積しておくことで、同じ刺激に対して、体調が同じであれば同じ反応を生じる点に着目し、より効率よく情報検出を行うことで、ペットが快適で心地よい普通の暮らしを確保しながら、異常検出を可能にするものである。また、データ量の低減を図ることができる。
【0010】
例えば、本発明のペット用鳴き声診断システムは以下のような構成をとる。
1)刺激発生部は、所定のタイミング、もしくは不定期にペットの行動範囲内に光、音、香りのいずれか、あるいはこれらを組み合わせた刺激を発生する。ペットは、例えばレーザ光を受光したり、光の拡散を受けるなどにより、これらの刺激を受ける。
2)鳴き声収集部は刺激発生部の動作と連動し、所定のタイミングにより音声録音を開始し、ペットが刺激に反応して発する鳴き声を録音する。
3)記憶部はペットの鳴き声(声紋)、刺激発生からの応答時間、のいずれか、または両方のデータを記憶する.その際、データが取得された日時、刺激の種類とを合わせて記憶する。
4)比較部はペットの鳴き声(声紋)、刺激発生からの応答時間、のいずれか、または両方のデータについて、所定の時点からの変化を都度比較し、過去と現在とでペットの状態の相違を表示する.またこれらの動作を自動で行い、ペットの状態の変化がある一定値より大きくなった場合に飼い主に警告(アラート)を発信することもできる。
【0011】
すなわち、本発明のペット用鳴き声診断システムは、ペットが感知しうる領域内で、前記ペットに反応を与えうる刺激を発生する刺激発生部と、前記刺激を感知して前記ペットが発する鳴き声を音声情報として収集する鳴き声収集部と、前記鳴き声収集部で収集された前記音声情報と、前記音声情報のタイミングとをあわせて記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された記憶データと、逐次前記鳴き声収集部で収集されたデータとを比較する比較部とを具備し、前記比較部の出力に応じてペットの状態を診断することを特徴とする。
この構成により、ペットが感知しうる領域内で、ペットに反応を与えうる刺激を発生することで、この刺激を感知してペットが発する鳴き声を音声情報として収集するため、非接触で、ペットにストレスを与えることなく常時検知することが可能である。またあらかじめ、その刺激に対して当該ペットがどのような鳴き声を発生するかを、知得しておくことで、その比較により、極めて効率よくペットの異常検出を行うことが可能となる。したがってデータの処理量の低減をはかることができる。ここで刺激とは、ペットの五感のいずれかに与えうる刺激をいうものとする。
【0012】
また、本発明は、上記ペット用鳴き声診断システムにおいて、前記刺激発生部が、所定の間隔で繰り返し刺激を発生するものを含む。
この構成により、所定の間隔で繰り返し刺激を発生することで、常に、ペットの状態を検知することができる。これは一日中所定の間隔で実施してもよいが、ペットの睡眠時間には刺激発生部の作動を停止し、ペットが覚醒状態のときにのみ作動するようにしてもよい。これにより、ペットの睡眠及び安静を妨げることなく、効率よく異常検出を行うことが可能となる。また、この刺激発生部は手動操作可能とすることで、家族など、ペットを観察するものが外出するなど、不在となったときのみ作動するようにしてもよい。
【0013】
また、本発明は、上記ペット用鳴き声診断システムにおいて、前記刺激発生部は、光、音、香りのいずれかを発生するものを含む。
この構成により、ペットの状態、およびともに暮らす人の状態によって光、音、香りのなかから所望の刺激を選択するようにすればよく、これにより、人に大きな影響を与えることなく、ペットにのみ刺激を与えるようにすることも可能となる。また、犬と猫と両方が暮らすリビングなどで使用する場合には、犬と猫とがそれぞれ別途反応し、他方には反応しないような刺激を選択し、刺激発生タイミングをずらすことで、1つの収音装置(マイクロホン装置)で両方の感情状態を知得することもできる。
【0014】
すなわち、まず所定のタイミングあるいは不定期に音声発生部からペットに向けて、飼い主の声、同種のペットの鳴き声、他の動物の鳴き声などの音声を発する。そしてこの音声に対して、ペットが起すリアクションとして鳴き声の音声を鳴き声収集部で計測する。そして得られた音声データを音声解析装置によって処理し、ペットの感情状態を分析する。そして解析のなされたペットの感情情報をデータとして蓄積するとともに表示部に表示して情報を飼い主に伝達することが可能である。
なお光としては、蛍光灯などの光の拡散による配光の他、レーザなどのコヒーレント光の供給でもよい。さらに、また波長については紫外線から可視光、赤外線のいずれでもよい。さらにまた、矩形波、正弦波などによる揺らぎ、点滅など、種々の選択が可能である。
【0015】
また、所定のタイミングあるいは不定期に香り発生部で調合された特定の香りをペットに向けて拡散する。この香りは飼料の臭い、フェロモン、排泄物の臭い、飼い主の臭い、同種のペットの臭い、他の動物の臭いなどを発する。そしてこの香りに対して、ペットが起すリアクションとして鳴き声の音声を鳴き声収集部で計測する。そして得られた音声データを音声解析装置によって処理し、ペットの感情状態を分析する。そして解析のなされたペットの感情情報をデータとして蓄積するとともに表示部に表示して情報を飼い主に伝達することが可能である。
また音声情報と香り情報の両方を同時に発生し、そのリアクションを得るようにしてもよい。
【0016】
また、本発明は、上記ペット用鳴き声診断システムにおいて、ペットの位置を検出する位置検出部を備え、前記刺激発生部は、前記ペットの位置に応じて、発生する前記刺激の強度を調整する調整部を具備したものを含む。
この構成により、ペットが室内のどの位置にいるかを検出し、この位置により、刺激発生部で発生する刺激の強度を調整することで、常に同程度の刺激を与えるようにすることができる。位置検出に際しては、ワイヤレスの熱線センサ、容量変化で位置検出を行う半導体圧力センサなどを用いることで容易に検出可能である。刺激発生部の刺激発生方向を、ペットの位置に応じて調整することによってもペットの受ける刺激の強度を調整することができる。また刺激発生部を移動するまたは、複数個設けておき、ペットの位置に応じて作動する刺激発生部を選択するようにしてもよい。
【0017】
また、本発明は、上記ペット用鳴き声診断システムにおいて、前記比較部は、前記記憶部と、有線または無線のネットワークにて前記記憶データの送受信を可能にする通信部を具備し、前記通信部を介して診断を行うものを含む。
この構成により、ネットワークにて前記記憶データの送受信を可能にすることで、データの処理あるいは判断が極めて容易となる。
例えば解析されたペットの感情情報をデータとして蓄積するとともに表示部に表示して情報を飼い主に伝達することができる。
【0018】
また、本発明は、上記ペット用鳴き声診断システムにおいて、前記刺激発生部で刺激が発生された時点からの応答時間についてある時点からの変化を比較するもの含む。
この構成により、刺激に対する応答性をみることで、応答性がよい、あるいは悪いという観点からペットの状態を検知することができる。ここで応答時間とは、前記刺激発生部で刺激が発生された時点から鳴き声収集部が泣き声を収集するまでの時間をいうものとする。
【0019】
また、本発明は、上記ペット用鳴き声診断システムにおいて、前記比較部はペットの鳴き声(声紋)について、声紋分析(周波数分析)するものを含む。
この構成により、あらかじめ、そのペットが嬉しいとき、悲しいときなどの声紋を記憶しておき、ペットの鳴き声(声紋)を比較することで、容易にペットの状況を診断することができる。
【0020】
また、本発明は、上記ペット用鳴き声診断システムにおいて、比較部はペットの鳴き声(声紋)または、応答時間の少なくとも一方について、所定の時点からの変化を比較し、過去と現在とでペットの状態の相違を変化情報として、表示部に出力し、前記表示部は、前記変化情報を表示するものを含む。
ここで比較部はペットの鳴き声(声紋)または、前記刺激発生部で刺激が発生された時点からの応答時間の少なくとも一方について、所定の時点からの変化を都度比較し、過去と現在とでペットの状態の相違を出力し、表示部でこの変化情報を表示する。この構成により、そのペット自身の過去の状態と比較することにより、高精度の状況診断を行うことができる。
【0021】
また、本発明は、上記ペット用鳴き声診断システムにおいて、前記表示部は、前記ペットの状態の相違を自動的に表示し、前記ペットの状態の変化がある一定値より大きくなった場合に飼い主に警告を発信する警告部を具備したものを含む。
この構成により、自動的なペット用鳴き声診断が可能となり、飼い主が不在であってもペットの感情情報を検出することができる。また、長期にわたり、診断を続行し、取得したデータを集計、比較することで飼い主自身の気づかないような長期的な変化を捉えることができる。
【0022】
また、本発明は、上記ペット用鳴き声診断システムにおいて、前記鳴き声収集部は、前記ペットの鳴き声(音声)を収集するマイクロホンを具備し、前記マイクロホンで収音された音声データを前記記憶部で保存するようにしたものを含む。
この構成により、簡単な構成で収音及び記憶が可能となる。またMEMSマイクロホンを用いることにより、極めて小型で軽量のマイクロホン装置を得ることができ、ペットにストレスを与えることなく信頼性の高い収音が可能となる。また1枚のチップ上に信号処理部を集積化することが可能であり、さらに発信部をも集積化すれば、1チップで収音、処理、信号データの送信が可能となる。
【0023】
また、本発明は、上記ペット用鳴き声診断システムにおいて、前記鳴き声収集部は、前記刺激発生部と有線または無線を介したネットワークで連動し、前記刺激発生部の作動に同期して、音声録音を開始するものを含む。
この構成により、常に収音機能を作動することなく、必要なときだけ作動するようにすることで、効率よいデータ収集が可能となる。
【0024】
また、本発明は、上記ペット用鳴き声診断システムにおいて、前記刺激発生部が、ペットを前記鳴き声収集部近傍に導くガイド部を具備したものを含む。
この構成によれば、例えば、レーザビームを用いて描画した魚の像を動かしながら、ペットの注意を引き付け、魚の像に対して反応して発する鳴き声を壁などの固定位置にある鳴き声収集部近傍に導くことができるため、鳴き声収集部をペットの首輪などに取り付けたりしなくても、鳴き声は鳴き声収集部の近くで発することになり、効率よく収音することができる。ここではペット自身を収音部近傍に導くのが望ましいが、顔、発生方向だけでも収音部方向に向くことで効率よく収音することが可能となる。
【0025】
また、本発明は、上記ペット用鳴き声診断システムにおいて前記鳴き声収集部は、前記刺激発生部と一体的に形成されており、前記刺激発生部の作動に同期して、音声録音を開始するものを含む。
この構成により、前記鳴き声収集部は、前記刺激発生部と一体的に形成され、前記刺激発生部の作動に同期して、所定のタイミングにより音声録音を開始するようにしたことで、小型化が可能でかつデータ量の低減をはかることができ、検出効率の向上を図ることができる。例えば刺激発生部で、発せられる刺激によって、ペットの顔の位置および向きを刺激発生部の近傍に引き付け、この状態で刺激に反応して発する音声を鳴き声収集部で効率よく収集することで、ペットが積極的に鳴き声収集部に向かって鳴き声を発するようにすることができ、効率的な収音が可能となり、ノイズの低減を図ることができる。これによりデータの処理量の低減を図ることができる。
また、効率よい検出が可能となる上位置検出に際しては、ワイヤレスの熱線センサ、容量変化で位置検出を行う半導体圧力センサなどを用いることで容易に検出可能である。
【0026】
また、本発明は、上記ペット用鳴き声診断システムにおいて、記憶部は、ペットの鳴き声(声紋)、前記刺激発生部での刺激発生からの応答時間、の少なくとも一方のデータを記憶するようにしたものを含む。
この構成により、声紋あるいは応答時間のいずれかをパラメータとしてペット用鳴き声診断を行うことが可能となる。
【0027】
また、本発明は、上記ペット用鳴き声診断システムにおいて、記憶部は、前記データが取得された日時、刺激の種類とを合わせて記憶するものを含む。
この構成により、ペットの鳴き声を高精度に診断することができる。
【0028】
また、本発明は、上記ペット用鳴き声診断システムにおいて、前記記憶部は前記鳴き声収集部と一体的に形成されたものを含む。
この構成により、よリ小型化をはかることが可能となる。従って、装置全体として小型化をはかることができ、装置を設置することによるストレスも低減することができる。
【0029】
本発明のペットの鳴き声診断方法は、ペットが感知しうる領域内で、前記ペットに反応を与えうる刺激を発生する刺激発生工程と、前記刺激を感知して前記ペットが発する鳴き声を音声情報として収集する鳴き声収集工程と、前記鳴き声収集工程で収集された前記音声情報と、前記音声情報のタイミングとをあわせて記憶する記憶部工程と、前記記憶部工程で記憶された記憶データと、前記鳴き声収集工程で収集されたデータとを比較する比較工程とを具備し、前記比較工程の出力に応じてペットの状態を診断することを特徴とする。
この構成により、ペットが感知しうる領域内で、ペットに反応を与えうる刺激を発生することで、この刺激を感知してペットが発する鳴き声を音声情報として収集するため、非接触で、ペットにストレスを与えることなく常時検知することが可能である。またあらかじめ、その刺激に対して当該ペットがどのような鳴き声を発生するかを、知得しておくことで、その比較により、極めて効率よくペットの異常検出を行うことが可能となる。したがってデータの処理量の低減をはかることができる。
【0030】
また本発明は、上記ペットの鳴き声診断方法において、前記刺激発生工程後に、前記ペットが鳴き声を発生する位置または方向を鳴き声収集部に導くガイド工程を含み、前記鳴き声収集工程は、前記ガイド工程で前記ペットの鳴き声発生位置または方向が前記鳴き声収集部に向くように導かれた後、前記ペットの鳴き声を収集するようにしたことを特徴とする。
この構成によれば、刺激発生により、ペットの注意を引き付け、ペットの位置あるいは顔の向きを鳴き声収集部近傍に導くことができるため、鳴き声収集部をペットの首輪などに取り付けたりしなくても、鳴き声は鳴き声収集部の近くで発することになり、効率よく収音することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明してきたように、本発明によれば、ペットが感知しうる領域内で、ペットに反応を与えうる刺激を発生することで、この刺激を感知してペットが発する鳴き声を音声情報として収集するため、非接触で、ペットにストレスを与えることなく常時検知することが可能である。また自身の過去のデータと比較するため、固体ばらつきによらず、異常を検知することができ、極めて効率よくペットの異常検出を行うことが可能となる。
さらにまた、刺激に対するリアクションによりペットが鳴き声を発するようにしているため、普段鳴き声を発することが少ないペットに対しても効率よく鳴き声データを採取することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1のペット用鳴き声診断システムは、図1に概要図、図2にシステム構成を示すように、ペットである猫1Cが感知しうる領域R内で、猫1Cに反応を与えうる刺激として、ランプの点滅により刺激を発生する刺激発生部2と、この刺激を感知して猫1Cが発する鳴き声を音声情報として収集するマイクロホン装置で構成された鳴き声収集部3と、鳴き声収集部3で収集された前記音声情報と、前記音声情報のタイミングとをあわせて記憶する記憶部4と、前記記憶部4に記憶された記憶データと、鳴き声収集部3で収集されたデータとを比較する比較部5とを具備し、比較部5の出力に応じて猫の健康状態を診断できるようにしたことを特徴とする。
すなわち、音声発生部からペットに向けて、刺激を与えこの刺激に対してペットが起すリアクションとして鳴き声の音声を鳴き声収集部で計測する。そして得られた音声データを音声解析装置を備えた比較部5によって処理し、ペットの感情状態を分析する。そして解析のなされたペットの感情情報をデータとして蓄積するとともにこの情報を飼い主が携帯端末6やパソコンの表示部で見られるようにしたことを特徴とするものである。
ここで刺激発生部2及び鳴き声収集部3は表示部を兼ねた携帯端末によって無線通信回線(図示せず)を介して駆動される。
【0033】
この駆動部は、毎日朝5時に、刺激発生部2としてのランプを点灯し刺激発生動作を行い、猫の状態を診断するように構成されている。
【0034】
ここで刺激発生部2は、壁に取り付けられ、可視光線を発するランプであり、通常は屋内照明用に用いられるものである。
また、鳴き声収集部3は、刺激発生部2による刺激を感知して猫1Cが発する鳴き声を音声情報として収集するように構成されており、壁に取り付けられた無指向性のマイクロホン装置で構成されている。
この鳴き声収集部3はあらかじめ、この猫の健康状態を、刺激発生からの鳴き声発生までの時間(応答時間t)をパラメータとして、4段階H1からH4で示したデータを、基準音声情報として収集している。
【0035】
一方、駆動部としての携帯端末6が音声情報収集指示を送ると、鳴き声収集部3は駆動され、収集指示からのタイミングとともに鳴き声が収集される。
そしてこの音声情報のタイミングをあわせて記憶部4に記憶していく。
【0036】
そして比較部5では収集されて送信されてくる音声情報(応答時間情報)を、あらかじめ記憶されている基準音声情報と比較し、この音声情報であれば、“H1:すこぶる健康”との判断をする。そしてこの判断結果を表示部としての携帯端末に出力する。
【0037】
そして表示部としての携帯端末では、猫の状態の相違を自動的に表示し、猫の状態の変化がある一定値より大きくなった場合に警告を表示することにより、飼い主に猫の健康状態を知らせることができる。また、長期にわたり、診断を続行し、取得したデータを集計、比較することで飼い主自身の気づかないような長期的な変化を捉えることができる。
【0038】
次にこのペット用鳴き声診断システムを用いた診断ステップについて図3を参照しつつ説明する。
駆動部の命令(ステップS101)により刺激発生部2が作動し、ランプが点灯する(ステップS102)。すると就寝していた猫は、刺激発生部2であるランプの点灯に反応して鳴き声を発生する(ステップS103)。
【0039】
この鳴き声は、刺激発生部2の駆動に同期して作動するように構成された鳴き声収集部3で収集され(ステップS104)、音声情報として、記憶部4に送信される(ステップS105)。鳴き声収集部3は壁100に取り付けられたマイクロホン装置から構成される。
【0040】
一方記憶部4には、あらかじめ、各種の刺激情報と、この刺激情報によってこの犬が発した鳴き声が、刺激情報の発生からの応答時間と、時間軸に沿った音声情報が、そのときのこの犬の状態記録とともに基準音声情報として記憶されている。図4はその一例である。
【0041】
そして比較部5において、収音された音声情報が基準音声情報と比較され(ステップS106)、この応答時間tがあらかじめ測定され、基準データとして格納されているT1<T2<T3との比較がなされる。
まず、応答時間tがT1より大きいか否かが判断され(ステップS107)、t>T1であると判断されると、t>T2であるか否かの判断がなされ(ステップS108)、t>T2であると判断されると、t>T3であるか否かの判断がなされる(ステップS109)。
【0042】
そしてt>T3であると判断されると、応答時間が遅く、健康状態を示すレベルはH4に相当し要注意であると判断される(ステップS110)。
一方ステップS108で、t<T2であると判断されると、T1<t<T2に相当し健康状態を示すレベルはH3に相当し健康状態はやや良好であると判断される(ステップS111)。
【0043】
また、ステップS109で、t<T3であると判断されると、T2<t<T3に相当し健康状態を示すレベルはH2に相当し健康状態はやや不良であると判断される(ステップS112)。
また、ステップS107で、t<T1であると判断されると、極めて応答性はよく健康状態を示すレベルはH1に相当し健康状態はすこぶる健康であると判断される(ステップS113)。
【0044】
例えば出力された音声情報が図5に示すように応答時間tであった場合、T1<t<T2であるため、健康状態を示すレベルはH3に相当し健康状態はやや良好であると判断される。
【0045】
この構成により、猫が感知しうる領域R内で、猫に反応を与えうる刺激を発生することで、この刺激を感知して猫が鳴き声を発する点を利用し、この鳴き声を音声情報として効率よく収集する。そしてこの刺激を感知して猫が鳴き声を発するまでのタイミングすなわち応答時間をパラメータとして、猫の反応をみることで猫の健康状態を検出することができる。このため、非接触で、猫にストレスを与えることなく猫の健康状態を検知することが可能である。
【0046】
なおここで記憶部は、データが取得された日時、刺激の種類とを合わせて記憶するようにすることで、猫の鳴き声を高精度に診断することができる。例えば長期間の間に少しづつ応答時間が長くなっている場合、通常であれば一緒に暮らしている人でも気づかない場合があるが、データを照合することで異常を検出することが可能となる。
【0047】
またあらかじめ、刺激を何種類か用意しその刺激に対して当該猫がどのような鳴き声を発生するかを、音声情報(声紋)として知得しておくことで、その比較により、極めて効率よく猫の異常検出を行うことも可能となる。
【0048】
これにより、猫にストレスを与えることなく、効率よく異常検出を行うことが可能となる。また、この刺激発生部は手動操作可能とすることで、家族など、猫を観察するものが外出するなど、不在となったときのみ作動するようにしてもよい。
【0049】
また、前記実施の形態1では、光の点滅により視覚による刺激を行ったが、これに限定されることなく、光としては、レーザビームなど、限られた領域に集中的に配光してもよい。さらに、また波長については紫外線から可視光、赤外線のいずれでもよい。さらにまた、矩形波、正弦波などによる揺らぎ(広がりまたは強度を持つ量の空間的または時間的な変動)、点滅など、種々の選択が可能である。また刺激発生部は、他音、香りのいずれかを発生するものであってもよい。
【0050】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2のペット用鳴き声診断システムは、図6に概要図、図7にシステム構成を示すように、ペットである犬1が感知しうる領域R内で、犬1に反応を与えうる刺激としてレーザ描画による赤い魚の画像を発生する刺激発生部20としてのレーザ描画装置と、この刺激を感知して犬1が発する鳴き声を音声情報として収集するMEMSマイクロホン装置で構成された鳴き声収集部30と、鳴き声収集部30で収集された前記音声情報と、前記音声情報のタイミングとをあわせて記憶する記憶部40と、前記記憶部40に記憶された記憶データと、逐次鳴き声収集部30で収集されたデータとを比較する比較部50とを具備し、比較部50の出力に応じて犬の状態を診断することを特徴とする。
すなわち、音声発生部からペットに向けて、刺激を与えこの刺激に対してペットが起すリアクションとして鳴き声の音声を鳴き声収集部で計測する。そして得られた音声データを音声解析装置によって処理し、ペットの感情状態を分析する。そして解析のなされたペットの感情情報をデータとして蓄積するとともに表示部に表示して情報を飼い主に伝達することを特徴とするものである。
ここで刺激発生部20及び鳴き声収集部30は駆動部10によって駆動される。なおこの駆動部は、朝6時、12時、18時と1日3回10秒づつを1単位として刺激発生動作を行い、犬の状態を診断するように構成されている。
【0051】
ここで刺激発生部20は、壁に取り付けられたレーザ描画装置であり、駆動部10からの指示情報により駆動され、レーザビームにより赤い魚を描画する。
また、鳴き声収集部30は、刺激発生部20による刺激を感知して犬1が発する鳴き声を音声情報として収集するように構成されており、MEMSマイクロホン装置で構成されている。
この鳴き声収集部30はあらかじめ、この犬がご機嫌か、ご機嫌でないかを5段階L1からL5で示したデータと、そのときどきにおける鳴き声を基準音声情報として収集している。
【0052】
一方、駆動部10が音声情報収集指示を送ると鳴き声収集部30は駆動され、収集指示からのタイミングとともに鳴き声が収集される。
そしてその都度鳴き声収集部30で収集された音声情報と、前記音声情報のタイミングとをあわせて記憶部40に記憶していく。
【0053】
そして比較部50では収集されて送信されてくる音声情報とタイミングとを、あらかじめ記憶されている基準音声情報と比較し、この音声情報であれば、“L5:ご機嫌である”との判断をする。そしてこの判断結果を表示部60に出力する。
そして表示部60では、前記犬の状態の相違を自動的に表示し、前記犬の状態の変化がある一定値より大きくなった場合に飼い主に警告を発信することにより、自動的な犬用鳴き声診断が可能となり、飼い主が不在であっても犬の感情情報を検出することができる。また、長期にわたり、診断を続行し、取得したデータを集計、比較することで飼い主自身の気づかないような長期的な変化を捉えることができる。
【0054】
次にこのペット用鳴き声診断システムを用いた診断ステップについて図8を参照しつつ説明する。
駆動部10の命令(ステップS1)により刺激発生部20が作動する(ステップS2)。すると室内で遊んでいた犬は、駆動部10の命令により刺激発生部20によって描画形成された赤い星の画像を見つけ、領域R内にやってくる(ステップS3)。図6はこの状態を示している。
そして、この赤い魚に刺激されて、この赤い星21aから赤い魚21b、赤い渦巻き21cへと眼にうつる刺激の変化と移動に伴い、犬1は鳴き声を発生しながら、動く(ステップS4)。
【0055】
そして犬1はこの赤い渦巻き21cの近くで止まり、図9に示すように、さらに変化した赤い魚21dに向けて鳴き声を発生する(ステップS5)。
この鳴き声は、刺激発生部20の駆動に同期して作動するように構成された鳴き声収集部30で収集され(ステップS6)、音声情報として、記憶部40に送信される(ステップS7)。鳴き声収集部30は壁100に取り付けられたMEMSマイクロホン装置から構成される。
一方記憶部40には、あらかじめ、各種の刺激情報と、この刺激情報によってこの犬が発した鳴き声が、刺激情報の発生からの応答時間と、時間軸に沿った音声情報が、そのときのこの犬の状態記録とともに基準音声情報として記憶されている。
そして比較部50において、収音された音声情報が基準音声情報と比較され(ステップS8)、例えば“L5:ご機嫌である”との判断を比較結果として表示部60でディスプレイに表示する。(ステップS9)
【0056】
この構成により、犬が感知しうる領域R内で、犬に反応を与えうる刺激を発生することで、この刺激を感知して犬が鳴き声収集部30の近傍まで移動し、自発的にマイクロホンに向かって鳴き声を発する点を利用し、この鳴き声を音声情報として効率よく収集する。 このため、非接触で、犬にストレスを与えることなく常時検知することが可能である。
【0057】
なおここで記憶部は、データが取得された日時、刺激の種類とを合わせて記憶するようにすることで、犬の鳴き声を高精度に診断することができる。
【0058】
またあらかじめ、その刺激に対して当該犬がどのような鳴き声を発生するかを、知得しておくことで、その比較により、極めて効率よく犬の異常検出を行うことが可能となる。したがってデータの処理量の低減をはかることができる。
【0059】
なお前記実施の形態では、朝6時、12時、18時と1日3回10秒づつを1単位として刺激発生動作を行い、犬の状態を診断したが、前記刺激発生部が、もっと頻繁に1時間ごとに、所定の間隔で繰り返し刺激を発生するようにしてもよい。ただし就寝時間である18時以降朝6時までは駆動を休止するなど犬の睡眠時間には刺激発生部の作動を停止し、犬が覚醒状態のときにのみ作動するようにしてもよい。これにより、犬の睡眠及び安静を妨げることなく、効率よく異常検出を行うことが可能となる。また、この刺激発生部は手動操作可能とすることで、家族など、犬を観察するものが外出するなど、不在となったときのみ作動するようにしてもよい。
【0060】
また、前記実施の形態2では、レーザ光による描画で視覚による刺激を行ったが、これに限定されることなく、光としては、ペットが暮らす室内に取り付けられている蛍光灯の光を点滅させるなどにより、拡散させて配光してもよい。さらに、また波長については紫外線から可視光、赤外線のいずれでもよい。さらにまた、矩形波、正弦波などによる揺らぎ、点滅など、種々の選択が可能である。また刺激発生部は、光のほか、音、香りのいずれかを発生するものであってもよい。
【0061】
また、所定のタイミングあるいは不定期に香り発生部で調合された特定の香りを犬に向けて拡散する。この香りは飼料の臭い、フェロモン、排泄物の臭い、飼い主の臭い、同種の犬の臭い、他の動物の臭いなどを発する。そしてこの香りに対して、犬が起すリアクションとして鳴き声の音声を鳴き声収集部で計測する。そして得られた音声データを音声解析装置によって処理し、犬の感情状態を分析する。そして解析のなされた犬の感情情報をデータとして蓄積するとともに表示部に表示して情報を飼い主に伝達することが可能である。
また音声情報と香り情報の両方を同時に発生し、そのリアクションを得るようにしてもよい。
このようにすることで、犬の状態、およびともに暮らす人の状態によって光、音、香のなかから所望の刺激を選択するようにすればよく、これにより、人に大きな影響を与えることなく、ペットにのみ刺激を与えるようにすることも可能となる。
【0062】
また、上記犬用鳴き声診断システムにおいて、前記刺激発生部で刺激が発生された時点から鳴き声収集部が泣き声を収集するまでの応答時間の少なくとも一方についてある時点からの変化を比較するようにしてもよく、犬の鳴き声(声紋)を比較することで、犬の状態を検知することができる。また刺激に対する応答性をみることで、応答性がよい、あるいは悪いという観点から犬の状態を検知することができる。
【0063】
また、前記比較部は犬の鳴き声(声紋)について、あらかじめ、その犬が嬉しいとき、悲しいときなどの声紋を記憶しておくことで、声紋を比較し、容易に犬の状況を診断することができる。
また、その犬自身の過去の状態と比較しているため、高精度の状況診断を行うことができる。
【0064】
また、本発明は、上記犬用鳴き声診断システムにおいて、前記鳴き声収集部にMEMSマイクロホンを用いることにより、極めて小型のマイクロホン装置を得ることができ、ほとんど存在が見えない状態にすることができ犬および一緒に暮らす人にストレスを与えることなく信頼性の高い収音が可能となる。また1枚のチップ上に信号処理部を集積化してもよく、さらに発信機能をも集積化すれば、1チップで収音、処理、信号データの送信が可能となる。
【0065】
また、前記実施の形態では、刺激発生部で描画画像を動かすことで、犬を鳴き声収集部近傍に引き付けるように導くガイド部すなわちレーザビームを用いて描画した魚の像を動かしながら、犬を歩かせ魚の像に近づかせるか、少なくとも犬の顔の向きだけでも魚の像の方向を向くようにし、魚の像に対して反応して発する鳴き声を固定位置にある鳴き声収集部近傍に導くことで、鳴き声収集部を犬の首輪などに取り付けたりしなくても、鳴き声は鳴き声収集部の近くで発することになり、効率よく収音することができるようにしているが、ガイド機能なしでもよく、音声収集部はMEMSマイクロホン装置を用いることにより極めて小型で且つ軽量とすることができるため犬の髪飾りクリップに取り付けるなどなるべくストレスのない方法で鳴き声発生部に近接して配置するようにしてもよい。
【0066】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
本実施の形態では、犬の位置を検出する位置検出部を備え、前記刺激発生部が、この犬の位置に応じて、発生する刺激の強度を調整しうるようにしたことを特徴とする。
図10に示すように、犬の位置を検出する位置センサ101としてのワイヤレスの熱線センサが室内の5箇所に設置されており、この熱線センサが作動した位置に犬1がいるものとし、この位置が刺激発生部からはなれているときは刺激発生部から発する香りを強くし、刺激発生部120に近いときは、香りを弱くするように刺激発生部への印加電圧を調整する調整部102を具備し、刺激発生部の加熱温度を調整することで香りの強さが調整される。
他の構成については前記実施の形態1と同様に形成される。
この構成により、犬が室内のどの位置にいるかを検出し、この位置により、刺激発生部で発生する刺激の強度を調整することで、常に同程度の香りによる刺激を与えるようにすることができる。なお位置検出に際しては、ワイヤレスの熱線センサのほか、容量変化で位置検出を行う半導体圧力センサなどをじゅうたんなどの敷物に埋め込んでおくことで容易に位置検出が可能である。刺激発生部120の刺激発生方向を、犬の位置に応じて調整することによっても犬の受ける刺激の強度を調整することができる。また刺激発生部120を移動するまたは、複数個設けておき、犬の位置に応じて作動する刺激発生部を選択するようにしてもよい。
【0067】
また、鳴き声収集部130は、刺激発生部140と一体的に形成されており、刺激発生部120の作動に同期して、所定のタイミングにより音声録音を開始するようにしてもよい。
この構成により、前記鳴き声収集部は、前記刺激発生部と一体的に形成され、前記刺激発生部の作動に同期して、所定のタイミングにより音声録音を開始するようにしたことで、小型化が可能でかつデータ量の低減をはかることができ、検出効率の向上を図ることができる。
【0068】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
本実施の形態では、図11にその概念図を示すように、この犬用鳴き声診断システムは、駆動部として携帯端末110により駆動制御を行うようにしたもので、この携帯端末110に通信回線Nを介して接続された刺激発生部120と、鳴き声収集部130と、記憶機能と比較機能と表示機能とを備えた処理装置140とを、無線を介してネットワークで連動し、刺激発生部の作動に同期して、所定のタイミングにより音声録音を開始するようにしたものである。
各部の動作については前記実施の形態1と同様であるが、この構成により、常に収音機能を作動することなく、必要なときだけ作動するようにすることで、効率よいデータ収集が可能となる。
【0069】
また、ネットワークにて前記記憶データの送受信を可能にすることで、データの処理あるいは判断が極めて容易となる。
このようにして解析された犬の感情情報をデータとして蓄積するとともに、携帯端末に送信し携帯端末の表示部に表示して情報を飼い主に伝達することができる。
【0070】
なお、記憶部は、比較部及び表示部と一体的に構成したが、記憶部を鳴き声収集部と一体的に形成し、随時通信回線を介して比較部によみだすようにしてもよい。
【0071】
また、前記実施の形態では、犬用のペット用鳴き声診断システムについて説明したが、犬に限定されることなく、猫、ウサギなど種々のペットに適用可能である。また、犬と猫と両方が暮らすリビングなど、複数のペットが存在する空間で使用する場合には、犬と猫とがそれぞれ別途反応し、他方には反応しないような刺激を選択し、刺激発生タイミングをずらすことで、1つの収音装置(マイクロホン装置)で収音した音声情報を用いて懐石を行い、両方の感情状態を知得することもできる。刺激の種類としては、光と音、光と香り、音と香り、など、五感のうち異なる機能を刺激するもののほか、紫外線と可視光線など波長の異なる光、振動数の異なる音など適宜選択可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明してきたように、本発明によれば、刺激発生部により刺激を与えその刺激に対する反応を検出し、ペットの異常を検知するものであるため、ペットにストレスを与えることなく、心地よい暮らしを維持したままで異常診断を行うことができ、また余り声を出さないペットにも適用可能であるなど、種々のペットの異常検出に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態1のペット用鳴き声診断システムの概念図
【図2】本発明の実施の形態1のペット用鳴き声診断システムの装置構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1のペット用鳴き声診断システムを用いた鳴き声診断工程を示すフローチャート
【図4】本発明の実施の形態1のペット用鳴き声診断システムの基準音声情報の一例を示す図
【図5】本発明の実施の形態1のペット用鳴き声診断システムで測定された音声情報を示す図
【図6】本発明の実施の形態2のペット用鳴き声診断システムの概念図
【図7】本発明の実施の形態2のペット用鳴き声診断システムの装置構成を示すブロック図
【図8】本発明の実施の形態2のペット用鳴き声診断システムを用いた鳴き声診断工程を示すフローチャート
【図9】本発明の実施の形態2のペット用鳴き声診断システムの概念図
【図10】本発明の実施の形態3のペット用鳴き声診断システムの概念図
【図11】本発明の実施の形態4のペット用鳴き声診断システムの概念図
【符号の説明】
【0074】
1C 猫
1 犬
2 刺激発生部
3 鳴き声収集部
4 記憶部
5 比較部
6 携帯端末(駆動部)
10 駆動部
20 刺激発生部
30 鳴き声収集部
40 記憶部
50 比較部
100 壁
101 位置センサ
102 調整部
120 刺激発生部
130 鳴き声収集部
140 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットが感知しうる領域内で、前記ペットに反応を与えうる刺激を発生する刺激発生部と、
前記刺激を感知して前記ペットが発する鳴き声を音声情報として収集する鳴き声収集部と、
前記鳴き声収集部で収集された前記音声情報と、前記音声情報のタイミングとをあわせて記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された記憶データと、前記鳴き声収集部で収集されたデータとを比較する比較部とを具備し、
前記比較部の出力に応じてペットの状態を診断するペット用鳴き声診断システム。
【請求項2】
請求項1に記載のペット用鳴き声診断システムであって、
前記刺激発生部は、所定の間隔で繰り返し刺激を発生するペット用鳴き声診断システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のペット用鳴き声診断システムであって、
前記刺激発生部は、光、音、香りのいずれかを発生するペット用鳴き声診断システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のペット用鳴き声診断システムであって、
ペットの位置を検出する位置検出部を備え、
前記刺激発生部は、前記ペットの位置に応じて、発生する前記刺激の強度を調整する調整部を具備したペット用鳴き声診断システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のペット用鳴き声診断システムであって、
前記比較部は、前記記憶部と、有線または無線のネットワークにて前記記憶データの送受信を可能にする通信部を具備し、前記通信部を介して診断を行うペット用鳴き声診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−118813(P2009−118813A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298490(P2007−298490)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】