説明

ペプチド又はタンパク質のアシル化の方法

2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中のアミノ基を選択的にアシル化する方法を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中のアミノ基を選択的にアシル化するための方法が記載される。
【背景技術】
【0002】
多数のペプチドが、医療において使用されることが認可されており、該ペプチドは適切な宿主細胞中で組換えDNA技術によって産生され得るか、又はよく確立したペプチド合成技術によって合成的に産生することができる。しかし、天然のペプチド並びにそのアナログは、長時間に渡って、ペプチドの高血漿濃度が必要とされる多数の臨床的特徴において許容できない高クリアランス速度を示す傾向がある。
【0003】
ペプチド及びペプチドアナログの種々の誘導体化が、例えば、国際公開98/08871号、国際公開第98/08872号、国際公開第99/43708号、欧州特許第1227107号及び国際公開第00/55119号に記載されるように、好ましい方向にあるペプチドのクリアランス速度に影響を与えることが見出されている。このような誘導体化の一つは、非アシル化ペプチドに関連する作用の望ましい長期化プロファイルを引き起こす治療用ペプチドへの親油性アシル基の導入である。したがって、治療用タンパク質の低頻度の投与は、処方された治療に対する患者のコンプライアンスを改善し、投与されるペプチドの量を減少する。
【0004】
治療用ペプチドを商業的に実現可能にするために、ペプチド産生の費用並びにペプチドの治療的投与量が極めて重要である。治療用ペプチドの産生において主要な費用は、標的タンパク質を、標的タンパク質に密接に関連する不純物から分離するために必要な精製工程である。これらの精製工程は、通常、高価なクロマトグラフィーマトリックスと溶媒を適用するクロマトグラフィーによって実施され、全収率が減少する。
【0005】
例えば、1個のアミンより多い、一より多い求核性原子を有する、一又は複数のペプチド又はタンパク質へのアシル基への導入は、生成物の損失並びにひいては困難な精製工程を引き起こす、粗混合物中の所望の化合物に非常に類似した生成物関連の不純物の生成物混合物を生じ得る。
【0006】
スペーサーを介してペプチド又はタンパク質に親油性基を導入するための効率的で、堅牢な、かつ経済的な方法を提供することが本発明の目的である。前記スペーサーは、例えば、1又は複数の8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸部位及びグルタミン酸から成り得る。該方法は、より特異的で堅牢であり、したがって、高収率の結果となり、他の知られている方法よりも、密接に関連する不純物の精製が少ない。アシル化されたペプチド又はタンパク質を産生する費用の顕著な減少が達成される。より安価なアシル化ペプチドは、治療が利用可能な患者の数を最大化し、例えば、経皮、経肺又は経口送達のような、皮下注射よりも、低いバイオアベイラビリティーを有する代替の送達経路を利用するために非常に望ましい。
【0007】
本発明は従って驚くほど高い選択性で、ペプチド又はタンパク質中のリシン残基のイプシロンアミノ基を選択的にアシル化するための方法を提供する。
【発明の概要】
【0008】
2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の一のアミノ基を選択的にアシル化するための方法が記載される。
一態様では、該方法は、
a)水溶媒中で、少なくとも2個の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質を一般式I

[上式中、
nは1から6であり、
mは1から2であり、
wは4から20であり、
R1は前記アシル化剤を遊離のアミンと反応させる際に、R1に結合しているカルボニル基と前記アミンの間のアミド結合の形成を容易にする脱離基であり、
水溶媒中のpHがpH8からpH14である
]のアシル化剤と反応させ、
b)N-アシル化ペプチド又はタンパク質を単離することを含み、
ここで、アシル化されていないか、一部だけがアシル化されている、少なくとも1の反応性求核性官能基を含む、N-アシル化ペプチド又はタンパク質を得る方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】22-カルボキシ-1-[(2,5-ジオキソ-1-ピロリジニル)オキシ]-1,10,19,24-テトラオキソ-3,6,12,15-テトラオキサ-9,18,23-トリアザヘンテトラコンタン-41-酸(化合物1)。添加したアシル化剤とpHの(260nmにおけるHPLCによって測定した)純度依存性を示す。示したpHは、pH10.00( -●- )、pH11.25( -■- )、及びpH12.00 ( -▲- )である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本方法は、ペプチド又はタンパク質の所望の位置における選択的なアシル化を確実にする方法を提供する。本発明のアシル化反応を行うことにより、選択的なアシル化が得られ、したがって、望まない不純物の形成が少ないアシル化反応混合物の、不純物プロファイルが、驚くべきことに示され、アシル化処理の終了後、より容易な精製と所望の選択的にアシル化された生成物の単離を可能にする。
【0011】
また本発明によって、アシル化工程の途中又は終了後において、激しい試薬を使用しなくとも、アシル化されたペプチド又はタンパク質を得る、アシル化の方法が得られる。生成物は従って、より高い収率で、そのうえ、収束法を使用しているため、非収束法を用いる場合よりもより安価な方法によって得られる。
【0012】
本発明によれば、OEGスペーサーが式:

の8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸([2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]酢酸とも呼ばれ得る)部位である、1から6のOEGスペーサーを含むアシル化剤が使用される。
【0013】
このようなOEGスペーサーがアシル化剤中に存在し、慣例的なアシル化法が使用される場合、発明者の経験では、アシル化生成物は低収率であることが多い。本発明は、生成物が高収率で得られる、1から6個のOEGスペーサーを含むアシル化剤を用いた、ペプチド又はタンパク質の効率的で堅牢なアシル化法を提供する。
【0014】
アシル化は、化合物へのアシル基の付与処理である。「アシル化剤」は、したがって、ここでは、ペプチド又はタンパク質にアシル基を付与する化合物として定義される。
【0015】
「選択的アシル化」又は「選択性」は、ここで、ペプチド又はタンパク質中の他の位置と比較して、アシル化されるべきペプチド又はタンパク質の一つの位置で主として反応するアシル化剤を意味する。例えば、本発明のアシル化法を用いてペプチド又はタンパク質をアシル化することによって得た生成物は、アシル化側鎖がペプチド又はタンパク質の唯一の位置に結合し、アシル化できる全ての位置で、アシル化が選択的ではないわけではない。本発明の一態様では、反応混合物中のアシル化されたペプチド又はタンパク質の少なくとも50%が、アシル化反応を完了する際に好ましいアシル化部位においてアシル化されるような、ペプチド又はタンパク質のアシル化が得られるような、選択性が得られる。
【0016】
一態様では、反応混合物中の、アシル化されたペプチド又はタンパク質の少なくとも60%が、アシル化反応の完了の際に好ましいアシル化部位でアシル化される。別の態様では、アシル化されたペプチド又はタンパク質の少なくとも70%が、アシル化反応の完了の際に好ましいアシル化部位でアシル化される。別の態様では、アシル化されたペプチド又はタンパク質の少なくとも80%が、アシル化反応の完了の際に好ましいアシル化部位でアシル化される。別の態様では、アシル化されたペプチド又はタンパク質の少なくとも85%が、アシル化反応の完了の際に好ましいアシル化部位でアシル化される。別の態様では、アシル化されたペプチド又はタンパク質の少なくとも90%が、アシル化反応の完了の際に好ましいアシル化部位でアシル化される。別の態様では、アシル化されたペプチド又はタンパク質の少なくとも95%が、アシル化反応の完了の際に好ましいアシル化部位でアシル化される。別の態様では、アシル化されたペプチド又はタンパク質の少なくとも97%が、アシル化反応の完了の際に好ましいアシル化部位でアシル化される。別の態様では、アシル化されたペプチド又はタンパク質の少なくとも98%が、アシル化反応の完了の際に好ましいアシル化部位でアシル化される。別の態様では、アシル化されたペプチド又はタンパク質の少なくとも99%が、アシル化反応の完了の際に好ましいアシル化部位でアシル化される。
【0017】
本発明の一態様では、ペプチド又はタンパク質の好ましいアシル化部位は、選択的アシル化が、主として前記リシンのε−アミノ基上で得られるように、リシン残基のε−アミノ基である。
【0018】
ここで使用される「ペプチド又はタンパク質」なる用語は、ペプチド結合により結合した少なくとも5つの構成アミノ酸からなる化合物を意味する。構成アミノ酸は遺伝暗号によりコードされるアミノ酸の群からのものであり得、また遺伝暗号によりコードされない天然アミノ酸、並びに合成アミノ酸でありうる。遺伝暗号によりコードされない天然アミノ酸は、例えばγ−カルボキシグルタメート、オルニチン、ホスホセリン、D−アラニン及びD−グルタミンである。合成アミノ酸は、化学合成により製造されたアミノ酸、すなわち遺伝暗号によりコードされるアミノ酸のD−異性体、例えばD−アラニン及びD−ロイシン、Aib(α−アミノイソ酪酸)、Abu(α−アミノ酪酸)、Tle(tert−ブチルグリシン)、β−アラニン、3−アミノメチル安息香酸、アントラニル酸を含む。
【0019】
22のタンパク新生アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンである。
【0020】
よって、非タンパク新生アミノ酸は、ペプチド結合を介してペプチド又はタンパク質に導入可能であるが、タンパク新生アミノ酸ではない部分である。例として、γ−カルボキシグルタメート、ホスホセリン、D−アミノ酸、例えばD−アラニン及びD−グルタミンがある。合成の非タンパク新生合成アミノ酸は、化学合成により製造されたアミノ酸を含み、すなわち遺伝暗号によりコードされるアミノ酸のD−異性体、例えばD−アラニン及びD−ロイシン、Aib(α−アミノイソ酪酸)、Abu(α−アミノ酪酸)、オミチン、Dap(2,3−ジアミノプロピオン酸)、Dab(2,4−時アミノブタン酸)、Tle(tert−ブチルグリシン)、3−アミノメチル安息香酸、アントラニル酸、デス−アミノ−ヒスチジン、アミノ酸のベータアナログ、例えばβ−アラニン等、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα−アセチル−ヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジン、α−メチル−ヒスチジン、3−ピリジルアラニン、2−ピリジルアラニン又は4−ピリジルアラニン、(1−アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1−アミノシクロブチル)カルボン酸、(1-アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1-アミノシクロへプチル)カルボン酸、(1−アミノシクロオクチル)カルボン酸である。
【0021】
ペプチド又はタンパク質に言及してここで使用される「アナログ」なる用語は、ペプチド又はタンパク質の一又は複数のアミノ酸残基が、他のアミノ酸残基で置換され、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基が該ペプチド又はタンパク質から欠失され、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基が該ペプチド又はタンパク質から欠失され、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基が該ペプチド又はタンパク質に付加されている修飾されたペプチド又はタンパク質を意味する。アミノ酸残基のかかる付加又は欠失は、ペプチド又はタンパク質のN末端及び/又はペプチド又はタンパク質のC末端で起こりうる。アナログを記述するために簡単なシステムがしばしば使用される:例えば[Aib,Arg34]GLP−1(7−37)は、8位の自然に生じたアラニンがアルファ−アミノイソブチル酸で置換され、位置34のリシンがアルギニンで置換されているGLP−1(7−37)アナログを意味する。光学異性体が記述されていない全てのアミノ酸は、L−異性体を意味すると理解される。本発明の態様では、最大17のアミノ酸が修飾されている。本発明の態様では、最大15のアミノ酸が修飾されている。本発明の態様では、最大10のアミノ酸が修飾されている。本発明の態様では、最大8のアミノ酸が修飾されている。本発明の態様では、最大7のアミノ酸が修飾されている。本発明の態様では、最大6のアミノ酸が修飾されている。本発明の態様では、最大5のアミノ酸が修飾されている。本発明の態様では、最大4のアミノ酸が修飾されている。本発明の態様では、最大3のアミノ酸が修飾されている。本発明の態様では、最大2のアミノ酸が修飾されている。本発明の態様では、最大1のアミノ酸が修飾されている。
【0022】
本発明の一態様では、本発明に記載の誘導体のC末端が酸又はアミドで停止され得る。一態様では、本発明の誘導体のC末端はアミドである。一態様では、本発明のC末端は酸である。
【0023】
ペプチド又はタンパク質は、例えば、アミノ基、例えば、N−末端アミノ基及び/又は側鎖のアミノ基のような反応性求核性基を有するべきであると理解されるべきである。ペプチド又はタンパク質は、遺伝暗号にコードされない、D−アミノ酸、3−ヒドロキシプロリン、Aib(α−アミノブチリル酸)、オルニチン、Dap(2,3−時アミノプロピオン酸)、Dab(2,4−時アミノブタン酸)及びペンチルグリシンのような、アミノ酸を含み得る。特に興味深いことは、リシン、オミチン、Dap及びDabアミノ酸残基のアミノ基である。該方法は、リシン残基のεアミノ基のN−アシル化に特に関連する。
【0024】
ここで、ペプチド又はタンパク質の命名は、以下の原則にしたがって行われる。名前はヒトGLP−1又はヒトインスリンのような親ペプチド又タンパク質に関連する変異及び改変(アシル化)として付与される。アシル部位の命名については、IUPAC命名法にしたがってなされ、その他の場合はペプチドの命名法としてなされる。例えば、アシル部位:

の命名は、例えば、「オクタデカンジオイル−γ−OEG−OEG」、又は「17−カルボキシヘプタデカノイル−γGlu−OEG−OEG」であり得、ここで、OEGはアミノ酸
OEGはアミノ酸-NH(CH)O(CH)OCHCO-の略語であり、γGlu(又はgGlu)はアミノ酸ガンマグルタミン酸部位の略語である。
【0025】
一態様では、本発明に記載のアシル化され得るペプチド又はタンパク質は、少なくとも2つのアシル化剤と反応し得る反応性求核性官能基を有する。別の実施態様では、ペプチド又はタンパク質は2から10の反応性求核性官能基、例えば、2から8の反応性求核性官能基、2から6の反応請求核性官能基、2から4の反応性求核性官能基又は、2から3の反応性求核性官能基を有する。一態様では、ペプチド又はタンパク質は2の反応性求核性官能基を有する。
【0026】
反応性求核性官能基は、ここで、与えられた条件下において、アシル化剤と反応し安定な共有結合を形成する化学的な官能基として理解され得る。このような反応性求核性官能基の例は、限定されるものではないが、例えば、チロシン(ここで、ヒドロキシル基は、アシル化剤と反応し得る)、セリン(ここで、ヒドロキシル基は、アシル化剤と反応し得る)、スレオニン(ここで、ヒドロキシル基は、アシル化剤と反応し得る)からのヒドロキシル基、例えば、システイン(ここで、チオール基は、アシル化剤と反応し得る)からのチオール基、限定されるものでは無いが、例えば、ペプチド又はタンパク質のNα−末端アミノ基、リシン(ここで、ε−アミノ基は、アシル化剤と反応し得る)のようなアミノ基、及びペプチド又はタンパク質中の、限定されるものでは無いが、アルギニン(ここで、グアニジノ基は、アシル化剤と反応し得る)及びヒスチジン(ここで、イミダゾール基は、アシル化剤と反応し得る)のような、他の求核剤を含む。
【0027】
一態様では、本発明に記載のアシル化され得るペプチド又はタンパク質は、少なくとも2個の遊離アミノ基を有する。別の態様では、ペプチド又はタンパク質は2から10の遊離アミノ基、例えば、2から8個の遊離アミノ基、2から6個の遊離アミノ基、2から4個の遊離アミノ基又は2から3個の遊離アミノ基を有する。一態様では、ペプチド又はタンパク質は、2個の遊離アミノ基を有する。
【0028】
ここで使用される場合、「遊離アミノ基」なる用語は、与えられた条件下において、共有結合を形成するアシル化剤と反応する、第一級又は第二級アミノ基を意味する。
【0029】
「部分的にアシル化された」なる用語は、N−アシル化ペプチドの遊離アミノ基の少なくとも一と関連して使用される場合、前記N−アシル化ペプチドを含む反応混合物中、反応混合物中のペプチドの一部は、アシル化部位に結合していない少なくとも一のアミノ基を有し、ペプチドの別の一部は、アシル化部位に結合している同じ少なくとも一のアミノ基を有する。
【0030】
アシル化され得るペプチド又はタンパク質は、一又は複数のリシン(Lys)アミノ酸残基を含み得る。一態様では、アシル化部位の選択は、ペプチド又はタンパク質中のリシン基のε−アミノ基及びペプチド又はタンパク質のN−末端中のα−アミノ基からなされ、ここで、主なアシル化は、ペプチド又はタンパク質のN−末端のα−アミノ基よりも一又は複数のε−アミノ基で得られる。一態様では、ペプチド又はタンパク質は、一のリシン(Lys)アミノ酸残基及び一又は複数のN−末端α−アミノ基を含み、ここで、アシル化は、Lysアミノ酸のε−アミノ基上で選択的である。一の更なる態様では、ペプチド又はタンパク質は、一のリシン(Lys)アミノ酸残基及びN−末端αアミノ基を含み、ここで、アシル化は、Lysアミノ酸のε−アミノ基上で選択的である。
【0031】
「反応混合物」はここで、アシル化剤をペプチド又はタンパク質と反応させる際に用いられる溶媒と試薬の混合物として理解され得る。反応混合物は、水性とすべきであり、すなわち、反応混合物中に水が存在するべきである。
【0032】
アシル化の選択性を得るために、水性反応混合物のpHは、pH8からpH14に調節される。一態様では、反応溶媒のpHは、pH9からpH13である。別の態様では、pHはpH10からpH12である。別の態様では、pHはpH10からpH13である。別の態様では、pHはpH10.5からpH12.0又はpH11.0からpH11.5であり、更に別の態様では、pHは約pH11.0から11.3である。更に別の態様では、pHはpH11からpH12であり、例えば、pH11.5からpH12又はpH11.5からpH11.8又はpH11.5からpH12.5である。一態様では、pHは約pH11.5である。
【0033】
「約」又は「およそ」なる用語は、ここで使用される場合、プラス又はマイナス10%、又はpHについてのプラス又はマイナス0.2のような、述べられた数値の合理的な近傍を意味する。
【0034】
本発明にしたがってpHを調節することにより、驚くほど堅牢なアシル化反応が得られる。アシル化反応を指す場合、「堅牢な」又は「堅固な」は、ここで、本発明に記載のアシル化処理を用いる場合に得られる収率及び選択性が高く、アシル化剤を過剰に添加した場合(図1を参照されたい)、添加したアシル化剤の量に感受性がないことを意味する。
【0035】
反応混合物のpHは、当業者に知られた方法によって制御され得る。例えば、単純なpHメーターを、pHを測定するために使用してもよく、pHを調節するために酸又は塩基を手動で添加してもよく、又は、溶液のpHを制御することができるフィードバック機構を有するpHメーターを使用してもよい。
【0036】
pHを調節するための適切な酸は、限定されるものではないが、塩酸、硫酸及び酢酸を含む。
【0037】
pHを調節するための適切な塩基は、限定されるものではないが、第三級アミン、例えば、限定されるものではないが、トリエチルアミン又はジイソプロピルアミン、N−メチルモルフォリン、アルカリ金属ヒドロキシド、例えば、限定されるものではないが、リチウムヒドロキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化セシウム及びアルカリ炭酸塩、例えば、限定されるものではないが、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素リチウムである。
【0038】
本発明の一態様では、反応混合物はバッファーを含む。本発明の一態様では、バッファーは、リン酸バッファー、炭酸ナトリウムバッファー、ビシンN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシンバッファー、HEPPSバッファー(3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸バッファー)、HEPESバッファー(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸酸バッファー),MOPSバッファー(3−(N−モルフォリノ)プロパンスルホン酸バッファー)及びTEAバッファー(トリエチルアミンバッファー)である。
【0039】
アシル化剤は、好ましくは、固体として、溶液に添加するか、又は適切な不活性溶媒に溶解して溶液し、次いで溶液として添加すべきである。不活性溶媒の例としては、例えば、限定されるものではないが、N−メチルピロリジノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、及びジメチルスルホキシドがある。アシル化剤は、アシル化され得るアミノ基のような反応性求核性官能基の数に対して、例えば、0.5から20等量、例えば、1から20等量、1から5等量又は1から3等量添加し得る。例えば、アシル化され得る1個のアミノ基を有する1モルのペプチド又はタンパク質を添加する場合、アシル化剤は、0.5モルから20モル等量、例えば、1から5モル等量添加することができる。本発明に記載の方法を使用する場合、過剰量のアシル化剤を添加する場合にさえ、選択性と堅牢性が得られることが、驚くべきことに見出された。一態様では、アシル化剤は、1から4等量、又は1.2から3.0等量、又は1.4から2.0等量添加される。一態様では、アシル化剤は、約1.75等量添加される。不活性溶媒に溶解する場合、アシル化剤は、不活性溶媒のml当たり、少なくとも10mgのアシル化剤の濃度において、添加してもよい。一態様では、不活性溶媒中のアシル化剤の濃度は、10mg/mlから1000mg/ml不活性溶媒である。別の態様では、濃度は、50mg/mlから250mg/ml不活性溶媒である。更に別の態様では、不活性溶媒中のアシル化剤の濃度は、約100mg/ml不活性溶媒である。
【0040】
アシル化処理中の反応混合物の温度は、−5℃から50℃、例えば、0℃から50℃であってもよい。一態様では、温度は、5℃から40℃である。別の態様では温度は、10℃から30℃である。更に別の態様では、温度は約20℃である。更に別の態様では、温度は−5℃から10℃である。更に別の態様では、温度は0℃から5℃である。更に別の態様では温度は、2から5度である。本発明の一態様では、反応混合物は、室温に維持される。
【0041】
アシル化剤は、かき混ぜて又は攪拌して反応混合物に、0分から480分間、例えば、10から240分間かけて、添加し得る。一態様では、試薬は10から180分かけて添加される。別の態様では、試薬は、20から120分間かけて添加する。更に別の態様では、試薬は、約30分間かけて添加する。更に別の態様では、試薬は約60分間かけて添加する。更に別の態様では、試薬は30から60分間かけて添加する。
【0042】
アシル化剤を添加後、pHを約7.5から8.0又はそれより小さくすることによって反応を停止する前に、アシル化混合物は、(所望により、かき混ぜるか又は攪拌しながら)反応のために0分から1440分間(すなわち、24時間)、例えば、0から720分間放置し得る。一態様では、アシル化混合物は、15から240分間放置する。別の態様では、アシル化混合物は、0から15分放置する。更に別の態様では、アシル化混合物は、約0分放置、すなわち、アシル化剤を添加直後に反応を停止する。更に別の態様では、アシル化混合物は約30分間放置する。更に別の態様では、アシル化混合物は約60分間放置する。更に別の態様では、アシル化混合物は、30から60分間放置する。
【0043】
ペプチド又はタンパク質は、好ましくは、反応混合物中で、少なくとも5.0mg/mlの濃度で存在すべきである。一態様では、タンパク質又はペプチドの濃度は、5.0mg/mlから250mg/ml反応混合物である。更に別の態様では、タンパク質又はペプチドの濃度は、10mg/mlから100mg/mlである。更に別の態様では、タンパク質又はペプチドの濃度は、10mg/mlから75mg/mlである。更に別の態様では、タンパク質又はペプチドの濃度は、10mg/mlから50mg/mlである。更に別の態様では、タンパク質又はペプチドの濃度は、10mg/mlから30mg/mlである。更に別の態様では、タンパク質又はペプチドの濃度は、15mg/mlから25mg/mlである。更に別の態様では、タンパク質又はペプチドの濃度は、10.0mg/mlから20.0mg/mlである。更に別の態様では、タンパク質又はペプチドの濃度は、約12.5mg/mlである。更に別の態様では、タンパク質又はペプチドの濃度は、約20mg/mlである。
【0044】
反応混合物は、更に成分及び/又は溶媒を含み得る。例えば、極性溶媒のような不活性溶媒は、限定されるものではないが、N−メチルピロリジノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン及びジメチルスルホキシドを含み、反応混合物中に存在し得る。一態様では、不活性溶媒は、反応混合物の総量の0から25%v/vの量で存在する。別の態様では、不活性溶媒は、0から10%v/v又は0から5%v/vの量で存在する。別の態様では、不活性溶媒は、4から20%v/v又は4から10%v/vの量で存在する。更に別の態様では、不活性溶媒は、4から5%v/vの量で存在する。一態様では、不活性溶媒が存在し、N−メチルピロリジノンである。
【0045】
一態様では、ペプチド又はタンパク質及びアシル化剤が反応溶媒に添加される前に、反応混合物は、アシル化され得るペプチド又はタンパク質又はアシル化剤中に存在する化合物及び/又は塩を更に含む。例えば、ペプチド又はタンパク質中に、例えば、ペプチド又はタンパク質合成の結果得られたイオン結合を介して存在する、塩又は他の化合物は、本発明に記載の方法において反応混合物中に存在し得る。そのような化合物及び/又は塩の例は、限定されるものではないが、トリフルオロ酢酸(TFA)、酢酸、塩酸(HCl)、クエン酸、リン酸、硫酸、ナトリウム塩、カリウム塩、及びリチウム塩を含む。
【0046】
本発明の一態様では、ペプチド又はタンパク質のLys残基のε−アミノ基のようなペプチド又はタンパク質に導入され得るアシル基は、アルブミン結合残基、すなわち、インビボ条件下で、ペプチド又はタンパク質に結合しているアルブミンに結合する。
【0047】
一態様では、アルブミン結合残基は、親油性残基である。更なる態様では、親油性残基は、ペプチド又はタンパク質にリンカーを介して結合している。
【0048】
本発明の更なる態様では、アルブミン結合残基は生理的なpHで負に帯電している。本発明の別の態様では、アルブミン結合残基は、負に帯電しうる基を含む。負に帯電することができる一の好ましい基は、カルボン酸基である。
【0049】
一態様では、アルブミン結合残基は、α,ω−脂肪二酸残基である。
【0050】
本発明の更なる態様では、親油性残基のα,ω−脂肪二酸残基は、6から40個の炭素原子、8から26個の炭素原子、又は8から22個の炭素原子を有する。
【0051】
本発明の別の態様では、アルブミン結合残基は、直鎖又は分枝アルカンα,ω−ジカルボン酸のアシル基である。更なる態様では、アルブミン結合残基は、例えば、ガンマ−Glu部位のようなアミノ酸部位を含む直鎖又は分枝アルカンα,ω−ジカルボン酸のアシル基である。更に別の態様では、アルブミン結合残基は、例えば、ガンマ−Glu部位及び8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸(OEG)部位のような2個のアミノ酸部位を含む直鎖又は分枝アルカンα,ω−ジカルボン酸のアシル基である。更に別の態様では、アルブミン結合残基は、例えば、1個のガンマ−Glu部位及び連続する8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸(OEG)部位のような更なるアミノ酸部位を含む直鎖又は分枝アルカンα,ω−ジカルボン酸のアシル基である。
【0052】
本発明に記載の方法では、少なくとも2個の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質は一般式I

ここで、
nは1から6又は1から3、1から2、又は2であり、
mは1から2又は2であり、
wは4から20、又は10から20、又は14から18、又は16であり、
R1は、前記アシル化剤が遊離アミンと反応する際に、R1に結合しているカルボニル基と前記アミンの間のアミド基の形成を容易にする脱理基である、
アシル化剤と反応する。
【0053】
アシル化剤は、キラルアミノ基部位の立体配置がD又はL(又はR/S用語を用いる場合、R又はSである)である、純粋なエナンチオマーの形態であり得るか、又は、エナンチオマーの混合物(D及びL/R及びS)であり得る。本発明の一態様では、アシル化剤は、エナンチオマーの混合物の形態である。アシル化剤の一態様は、純粋なエナンチオマーの形態である。一態様では、アシル化剤のキラルアミノ酸部位は、D形態である。一態様では、アシル化剤のキラルアミノ酸部位は、L形態である。
【0054】
式IのR1は、アシル化剤をフリーのアミンと反応させる場合に、R1に結合しているカルボニル基とアミンの間にアミド結合が形成するように、脱理基として作用する任意の基であり得る。
【0055】
一態様では、R1が結合しているカルボニル基を伴う式IのR1は、活性化エステル又は活性化N−ヒドロキシイミドエステルのようなエステルを意図する。これらのエステルのそれぞれは、本発明の態様の代替の態様を構成する。
【0056】
活性化エステル及び活性化N−ヒドロキシイミドエステルは、アミノ、チオ及びヒドロキシ基のアシル化の際に使用される官能基として有機化学(特にペプチド化学)の分野でよく知られている。本発明の文脈において、「活性化エステル又は活性化N−ヒドロキシイミドエステル」なる用語は、アミン、好ましくは第一級アミンのアシル化に適したカルボン酸基のエステルで機能化された形態を意味する。したがって、第一級アミンのアシル化の選択性は、ヒドロキシ及びチオ基のアシル化において好ましいことが理解されるべきである。活性化N−ヒドロキシイミドエステルが特に好ましい。
【0057】
「活性化された」アシル化剤なる用語は、例えば“Amide bond formation and peptide coupling”[Tetrahedron 61(46), 10827-10852 (2005)]に記載されているような一般的技術を使用して活性化されたアシル化剤を意味する。
【0058】
活性化されたエステルの例には、限定されないが、酸塩化物、酸臭化物、酸フッ化物、対称無水物、混合無水物、一般的なカルボジイミド、例えば限定されないが、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)を使用して活性化されたカルボン酸が含まれる。更に含まれるものは、限定されないが、上述のカルボジイミドと添加剤を使用するカルボン酸、例えば限定されないが、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール、6−クロロ−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOAt)、3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(DhbtOH)又はp−ニトロフェノール(PNP)である。また含まれるものは、限定されないが、ウロニウム塩又はホスホニウム塩で活性化されたカルボン酸、例えば限定されないが、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、2−(6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、(2−(6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルアミニウムテトラフルオロボレート)(TCTU)、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、2−(3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン−3−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HDBTU)、2−スクシンイミド−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HSTU)、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボレート(TSTU)、2−(エンド−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスフェート(HNTU)、1−ベンゾトリアゾリオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)又はベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PYBOP)である。他の活性化されたエステルには、限定されないが、文献 (Organic Synthesis on solid Phase, Florencio Zaragoza Dorwald, Wiley-VCH Verlag GmbH, D-69469 Weinheim, 2000), (Novabiochem Catalog, Merck Biosciences 2006/2007)及び(Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis, W.C. Chan及びP.D. White編, Oxford University Press, 2000, ISBN 0-19-963724-5)に記載された反応条件を使用するN−ヒドロキシスクシンイミドのエステル(NHSエステル)、ペンタフルオロフェノールエステル(PfP−エステル)、2,4−ジニトロフェニルエステル、4−ニトロフェニルエステル、3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HODhbt)、カルボニルジイミダゾール(CDI)又はN−エチル−5−フェニルイソキサゾリウム−3’−スルホネート(NEPIS)、好ましくはN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、p−ニトロフェノール又はHOBtエステル又はその誘導体が含まれる。
【0059】
式Iのアシル化剤は、アシル化され得るペプチド又はタンパク質のアミノ基の数に比べて、わずかに少ないか、等量か、又はわずかに過剰に使用される。比率は、例えば、手順に従ってアシル化され得るアミノ基のような反応性求核性官能基の数に対して1:0.5であってもよく、典型的には、等量又は過剰のアシル化剤を用いる、1:1から1:20であり、その代わりに、手順に従ってアシル化されるアミノ基のような反応性求核性官能基の数に対して1:1.1から1:5であってもよい。アシル化剤は、固体として反応混合物に添加され得るか、又は溶液として反応混合物に添加されてもよい。アシル化剤が溶液として添加される場合は、アシル化剤は不活性溶媒に溶解し、ここで、「不活性」なる用語は、アシル化剤に対して不活性であることを意味する。アシル化剤の安定性は、酸を添加することによって改善(すなわち、安定化)され得る。
【0060】
方法の一態様では、アシル化剤は、反応混合物に固体として添加される。
【0061】
方法の一態様では、工程a)の開始物質として使用される前記ペプチド又はタンパク質は、HPLCによって決定された、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%の純度のペプチド又はタンパク質純度を有する。
【0062】
典型的な例としては、工程(a)における反応は、ペプチド又はタンパク質及び1:1から1:5のモル比の式Iのアシル化剤を用いて実施される。ペプチド又はタンパク質は、典型的には、水中に−10から30℃、例えば、0から30℃で、プレ溶解し、pHは、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)又は第三級アミン塩基(例えば、トリエチルアミン又はN,N−ジイソプロピルエチルアミン)を用いて所望のpHに調整される。pH値は、更に酸(例えば、塩酸、硫酸又は酢酸)を用いて調整され得るが、温度は、好ましくは、上記の範囲内である。その代わりに、ペプチド又はタンパク質は、適切な量の関連する酸又は塩基を含む水溶液に直接プレ溶解する。アシル化剤は、その次に固体又はよう的として添加される。反応は、例えば、塩酸、硫酸又は酢酸を添加して、pH6.5から9.0、例えば、pH7.5から8.0にする前の、直後から24時間以内に典型的には得られる完了まで典型的には進行させる(HPLCによって決定で確認できる)。生成物は典型的には、イオン交換クロマトグラフィー、HPLCによって単離、精製され、及び/又は等電点のpHで沈殿させる。
【0063】
本発明は特に例えば、糖尿病の治療のための、グルカゴン様ペプチド又はインスリンのような、ペプチド又はタンパク質のアシル化に適している。
【0064】
一態様では、アシル化され得るペプチド又はタンパク質は、グルカゴン様ペプチドである。
【0065】
ここで使用される「グルカゴン様ペプチド」なる用語は、ペプチドのグルカゴンファミリー、エキセンジン及びそのアナログを意味する。ペプチドのグルカゴンファミリーは、プレプログルカゴン遺伝子にコードされ、高度なホモロジーを有する3個の小ペプチド、すなわち、グルカゴン(1−29)、GLP−1(1−37)及びGLP−2(1−33)を含む。エキセンジンは、トカゲで発現するペプチドであり、GLP−1のように、インスリン分泌性である。エキセンジンの例として、エキセンジン−3及びエキセンジン−4がある。
【0066】
GLP−1、GLP−2、エキセンジン−3及びエキセンジン−4なる用語は、当業者に知られている。例えば、ここで使用される「GLP−1化合物」又は「GLP−1ペプチド」は、ヒトGLP−1(7−37)、そのインスリン分泌性アナログ、そのインスリン分泌性油動態を意味する。GLP−1アナログの非限定的な例は、GLP−1(7−36)アミド、Arg34−GLP−1(7−37)、AibArg34−GLP−1(7−37)、Gly−GLP−1(7−37)、Val−GLP−1(7−36)−アミド及びValAsp22−GLP−1(7−37)である。GLP−1誘導体の非限定的な例は、デスアミノ−His、Arg26、Lys34(Nε−(γ−Glu(Nε−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)、デスアミノ−His、Arg26、Lys34(Nε−オクタノイル)−GLP−1(7−37)、Arg26,34、Lys38(Nε−(ω−カルボキシペンタデカノイル))−GLP−1(7−38)、Arg26,34、Lys36(Nε−(γ−Glu(Nε−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−36)及びArg34、Lys26(Nε−(γ−Glu(Nε−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)である。
【0067】
一態様では、本発明に記載のグルカゴン様ペプチドは、ジペプチジルアミノペプチダーゼIVである。別の態様では、本発明に記載のGLP−1アナログは、ジペプチジルアミノペプチダーゼIV保護されている。
【0068】
ここで使用される「ジペプチジルアミノペプチダーゼIV保護された」なる用語は、天然化合物、例えばGLP-1(7-37)よりも、ジペプチジルアミノペプチダーゼIV(DPP-IV)に対して耐性がある化合物、例えばGLP-1アナログを意味する。ジペプチジルアミノペプチダーゼIVによる分解に対するGLP-1化合物の耐性は、次の分解アッセイにより測定される:
【0069】
0.1Mのトリエチルアミン-HClバッファー100μL、pH7.4において、GLP-1化合物のアリコート(5nmol)を、5mU酵素活性に相当する1μLの精製されたジペプチジルアミノペプチダーゼIVと共に、37℃で10−180分インキュベートする。10%のトリフルオロ酢酸5μLを添加することにより、酵素反応を終結させ、ペプチド分解産物を分離し、HPLC分析を使用して定量する。この分析を実施するための一方法は次の通りである:Siegelら, Regul. Pept. 1999;79;93-103及びMentleinら, Eur. J. Biochem. 1993;214:829-35に従って、混合物をVydac C18ワイドポア(30nm細孔、5μmの粒子)250×4.6mmのカラムに加え、0.1%のトリフルオロ酢酸に線形段階的勾配をつけてアセトニトリルが入ったもの(3分間は0%のアセトニトリル、17分間は0−24%のアセトニトリル、1分間は24−48%のアセトニトリル)を、1ml/分の流量で溶離させる。ペプチドとその分解産物は、220nm(ペプチド結合)又は280nm(芳香族アミノ酸)の吸光度をモニターし、標準体に対するそれらのピーク領域を積分することにより定量する。ジペプチジルアミノペプチダーゼIVによるGLP-1化合物の加水分解速度はインキュベーション時間で推定され、加水分解されるGLP-1化合物の10%未満になる。
【0070】
ペプチド又は化合物に言及してここで使用される「インスリン分泌性」なる用語は増加した血糖値に応答して、インスリンの分泌を刺激する能力を意味する。インスリン分泌性ペプチド及び化合物は、GLP-1レセプターのアゴニストである。化合物のインスリン分泌特性は、当該分野で知られているインビトロ又はインビボアッセイによって決定することができる。ペプチド等の化合物のインスリン分泌性を測定するために、以下のインビトロアッセイを使用してもよい。好ましくは、インスリン分泌性化合物は、以下のアッセイで5nM未満のEC50値、さらに好ましくは500pM未満のEC50値を示す。
【0071】
クローン化ヒトGLP-1レセプター(BHK467-12A)を発現するベビーハムスター腎臓(BHK)細胞を、100IU/mLのペニシリン、100μL/mLのストレプトマイシン、10%の仔ウシ血清及び1mg/mLのジェネテシンG-418(Life Technologies)が添加されたDMEM培地で増殖させる。さらに5mg/mLのロイペプチン(Sigma)、5mg/Lのペプスタチン(Sigma)、100mg/Lのバシトラシン(Sigma)、及び16mg/Lのアプロチニンを含有する、バッファー(10mMのトリス-HCl、30mMのNaCl、及び1mMのジチオスレイトール、pH7.4においてホモジナイズすることにより、細胞膜を調製する(Calbiochem-Novabiochem, La Jolla, CA))。ホモジネートを41% W7vスクロースの層の上で遠心分離した。2層間の白色の帯状部をバッファーに希釈し、遠心分離した。使用するまで、細胞膜を−80℃で保存した。
【0072】
機能的レセプターアッセイを、インスリン分泌性ペプチド又はインスリン分泌性化合物による刺激に対する応答として、cAMPを測定することにより実施する。全容量140mLの96-ウェルマイクロタイタープレートにおいて、次の最終濃度:50mMのトリス-HCl、1mMのEGTA、1.5mMのMgSO、1.7mMのATP、20mMのGTP、2mMの3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)、0.01%w/vのトゥイーン-20、pH7.4と共に、インキュベートを実施する。化合物を溶解させ、バッファーで希釈する。各実験用に、GTPを新たに調製する:2.5μgの膜を各ウェルに添加し、暗所で振揺しつつ、混合物を室温で90分インキュベートする。25mLの0.5M HClを添加することにより、反応を停止させる。形成されたcAMPをシンチレーション近接アッセイにより測定する(RPA 542, Amersham, UK)。化合物について用量応答曲線をプロットし、GraphPad Prismソフトウェアを使用し、EC50値を算出する。
【0073】
ここで使用される「インスリン分泌性化合物のプロドラッグ」なる用語は、患者への投与後に、インスリン分泌性化合物に転換する、化学的に修飾された化合物を意味する。このようなプロドラッグは、典型的にはアミノ酸が伸長した変形体、又はインスリン分泌性化合物のエステルである。
【0074】
ここで使用される「エキセンディン-4化合物」なる用語は、エキセンディン-4(1-39)(配列番号:2)、そのインスリン分泌性フラグメント、そのインスリン分泌性アナログ、及びそのインスリン分泌性誘導体と定義される。エキセンディン-4のインスリン分泌性フラグメントはインスリン分泌性ペプチドであり、全配列は、エキセンディン-4(配列番号:2)の配列に見出すことができ、少なくとも一の末端アミノ酸が欠失している。エキセンディン-4(1−39)にインスリン分泌性フラグメントの例は、エキセンディン-4(1-38)及びエキセンディン-4(1-31)である。化合物のインスリン分泌性は当該技術でよく知られているインビボ又はインビトロアッセイにより測定されてもよい。例えば、化合物を動物に投与し、インスリン濃度を経時的にモニターしてもよい。エキセンディン-4(1-39)にインスリン分泌性アナログは、一又は複数のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置き換えられている、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基が欠失している、一又は複数のアミノ酸残基が付加されている、それぞれの分子を称し、但し、該アナログは、インスリン分泌性であるか、インスリン分泌性化合物のプロドラッグである。エキセンディン-4(1-39)のインスリン分泌性アナログの例は、SerAsp-エキセンディン-4(1-39)であり、ここで2及び3位のアミノ酸残基は、それぞれセリン及びアスパラギン酸で置き換えられている(この特定のアナログは、エキセンディン-3として、当該技術で公知である)。エキセンディン-4(1-39)のインスリン分泌性誘導体及びそのアナログは、当業者がこれらのペプチドのアナログであることを認めたもの、すなわち、親ペプチドに存在しない少なくとも一の置換を有するものであり、但し、該誘導体は、インスリン分泌性であるか、インスリン分泌性化合物のプロドラッグである。置換基の例は、アミド類、炭水化物、アルキル基、エステル、及び脂質親和性置換基である。エキセンディン-4(1-39)のインスリン分泌性誘導体及びそのアナログの例は、Tyr31-エキセンディン-4(1-31)-アミドである。
【0075】
ここで使用される「安定したエキセンディン-4化合物」なる用語は、化学的に修飾されたエキセンディン-4(1-39)、つまり一般的な方法によって定量して、ヒトにおいて少なくとも10時間のインビボ血漿排出半減期を示すアナログ又は誘導体を意味する。
【0076】
ここで使用される場合「ジペプチジルアミノペプチダーゼインビボ保護されたエキセンディン-4化合物」なる用語は、ジペプチジルアミノペプチダーゼIV保護されたGLP-1化合物の定義下において、記載されたアッセイにより測定した場合に、エキセンディン-4(配列番号:2)よりも血漿ペプチダーゼ、ジペプチジルアミノペプチダーゼIV(DPP-IV)に対する耐性があるエキセンディン-4化合物を意味する。
【0077】
GLP-1アナログは、GLP-1(7-37)の34位にある自然に生じたLysが、Argで置換されているようなものでありうる。
【0078】
また、インスリン分泌性ペプチドの前駆体又は中間体の誘導体も、本発明でカバーされる。
【0079】
本発明の一態様では、グルカゴン様ペプチドはインスリン分泌性である。さらなる態様では、インスリン分泌性グルカゴン様ペプチドは、GLP-1、GLP-2、エキセンディン-4、エキセンディン-3、及びそのアナログ及び誘導体からなる群から選択される。
【0080】
タンパク質の立体安定性をベースにした薬剤は、変性及びフィブリル化による構造の不可逆的損失を最小にするため、また生物活性を維持するために重要である。特に大きなポリペプチド及びタンパク質は、複雑な折り畳みパターンの故に、立体構造の変化に関して不安定である。また、既知のフィブリル化の経緯を持つインスリン分泌性ペプチド、例えばGLP-1は、三次構造の不安定化(つまり、溶融球状状態の形成)に対して特に感受性である。
【0081】
一態様では、本発明に記載のグルカゴン様ペプチドの構成アミノ酸は、遺伝暗号によりコードされるアミノ酸の群から選択され得、遺伝暗号によりコードされない天然アミノ酸、並びに合成アミノ酸でありうる。遺伝暗号によりコードされない天然アミノ酸は、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、オルニチン、ホスホセリン、D−アラニン及びD−グルタミンである。合成アミノ酸は、化学合成により製造されたアミノ酸、すなわち遺伝暗号によりコードされるアミノ酸のD−異性体、例えばD−アラニン及びD−ロイシン、Aib(α−アミノイソ酪酸)、Abu(α−アミノ酪酸)、Tle(tert−ブチルグリシン)、β−アラニン、3−アミノメチル安息香酸、アントラニル酸を含む。
【0082】
本発明の一態様では、本発明に記載のアシルされ得るグルカゴン様ペプチドは、GLP−1ペプチドである。別の態様では、GLP−1ペプチドは、
[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1(7−37)アミド、
[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)、
[デスアミノHis7、Arg34]GLP−1−(7−37)、
[Aib8、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
[デスアミノHis7、Glu22 Arg26、Arg34、Phe(m−CF3)28]GLP−1−(7−37)アミド、
[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Arg34]GLP−1−(7−37)−Lys、
[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Arg34]GLP−1−(7−37)−Lys、
[デスアミノHis7、Arg26、Arg34、]GLP−1−(7−37)−Lys、
[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
[デスアミノHis7、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)、
[デスアミノHis7、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)、
[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Glu30、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)、
[Aib8、Lys20、Arg26、Glu30、Thr(O−benzyl)33、]GLP−1−(7−37)アミド、
[Aib8、Glu22、Arg26、Lys30]GLP−1−(7−37)、[Aib8、Glu22、Arg26、Lys31]GLP−1−(7−37)、
[Aib8、Lys20、Arg26、2−ナフチルアラニン28、Glu30、]GLP−1(7−37)アミド、
[Aib8、Glu22、Arg26、Arg34、]GLP−1−(7−37)−Lys、
[Aib8、Lys20、Arg26、2−ナフチルアラニン12、Glu30、]GLP−1−(7−37)アミド、
[Aib8、Glu22、Arg26、Lys31、Arg34]GLP−1−(7−37)、
[Aib8、Arg34]GLP−1−(7−37)、
[Aib8、Arg34]GLP−1−(7−37)−アミド、
[Aib8、Lys18、Arg26、Arg34]GLP−1(7−37)、
[Aib8、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
[Aib8、Lys26]GLP−1(7−37)アミド、
[Aib8、Arg34]GLP−1−(7−34)、
[Aib8、Arg34]GLP−1−(7−35)、
[Aib8、Lys33、Arg34]GLP−1−(7−34)、
[Aib8、Arg34]GLP−1−(7−36)アミド、
[Aib8、Lys26、Arg34]GLP−1−(7−36)アミド、
[Aib8、Glu22、Arg26、Arg34]GLP−1−(7−37)Lys、
[Aib8、Lys20、Glu22、Arg26、Glu30、Pro37]GLP−1−(7−37)アミド、
[Aib8、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
[デスアミノHis7、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、
[Aib8、Glu22、Arg26、Glu30、Pro37]GLP−1−(7−37)Lys、
[Aib8、Aib35]GLP−1−(7−37)、
Arg34GLP−1−(7−37)、
[Aib8、Glu22、Arg26、Glu30、Pro37]GLP−1−((7−37)Lys、及び
[Aib8、Arg26、Arg34]GLP−1−(7−37)
からなる群から選択される。
【0083】
一態様では、アシル化されたグルカゴン様ペプチドは、本発明の方法によって得られる。別の態様では、本発明の方法によって得られたアシル化されたグルカゴン様ペプチドは、アシル化されたGLP−1ペプチドである。更に別の態様では、アシル化されたGLP−1ペプチドは、
N−イプシロン26−[2−(2−(2−(2−[2−(2−[4−(15−カルボキシペンタデカノイルアミノ)−4(S)−カルボキシブチリルアミノ)エトキシ)エトキシ]アセチル)アミノ)エトキシ)エトキシ)−アセチル][Aib8、Arg34]GLP−1−(7−37)ペプチド、
N−イプシロン26−[2−(2−(2−(2−[2−(2−[4−(16−カルボキシヘキサデカノイルアミノ)−4(S)−カルボキシブチリルアミノ)エトキシ)エトキシ]アセチル)アミノ)エトキシ)エトキシ)−アセチル][Aib8、Arg34]GLP−1−(7−37)ペプチド、
N−イプシロン26−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(S)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)−アセチル][Aib8、Arg34]GLP−1−(7−37)ペプチド、
N−イプシロン26−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(18−カルボキシオクタデカノイルアミノ)−4(S)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)−アセチル][Aib8、Arg34]GLP−1−(7−37)ペプチド、
N−イプシロン26−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(19−カルボキシノナデカノイルアミノ)−4(S)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)−アセチル][Aib8、Arg34]GLP−1−(7−37)ペプチド、
N−イプシロン26−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(20−カルボキシエイコサノイルアミノ)−4(S)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)−アセチル][Aib8、Arg34]GLP−1−(7−37)ペプチド、
N−イプシロン26−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(20−カルボキシウネエイコサノイルアミノ)−4(S)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)−アセチル][Aib8、Arg34]GLP−1−(7−37)ペプチド、
N−イプシロン26−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(R)−カルボキシブチリルアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)−アセチル][Aib8、Arg34]GLP−1−(7−37)ペプチド、
N−イプシロン26−[2−(2−[2−(2−[2−(2−[4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)−4(S)−カルボキシpropylアミノ]エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ]エトキシ)−アセチル][Aib8、Arg34]GLP−1−(7−37)ペプチド
N−イプシロン37−{2−(2−(2−(2−[2−(2−(4−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−カルボキシブチリルアミノ)エトキシ)エトキシ]アセチル)エトキシ)エトキシ)アセチル)}−[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Glu30、Arg34、Lys37](GLP−1−(7−37)アミド、
N−イプシロン37−{2−(2−(2−(2−[2−(2−(4−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−カルボキシブチリルアミノ)エトキシ)エトキシ]アセチル)エトキシ)エトキシ)アセチル)}−[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37](GLP−1−(7−37)アミド、
N−イプシロン37−(2−(2−(2−(2−(2−(2−(2−(2−(2−Octaデカノイルアミノ)エトキシ)エトキシ)アセチルアミノ)エトキシ)エトキシ)アセチルアミノ)エトキシ)エトキシ)アセチル)[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1(7−37)アミド、
N−イプシロン36−(2−(2−(2−((2−[2−(2−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)エトキシ)エトキシ]アセチルアミノ)エトキシ)エトキシ)アセチル)[Aib8、Glu22、Arg26、Glu30、Lys36]GLP−1−(7−37)Glu−アミド、
N−イプシロン37−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[(S)−4−カルボキシ−4−(19−カルボキシノナデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)、及び
N−イプシロン31−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[4−カルボキシ−4−(17−カルボキシ−ヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8、Glu22、Arg26、Lys31]GLP−1−(7−37).
N−イプシロン26−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{2−[4−カルボキシ−4−(17−カルボキシ−ヘプタデカノイル−アミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アクチルアミノ]エトキシ}エトキシ)−アセチル][Aib8、Arg34]GLP−1−(7−37)ペプチドGLP−1−(7−37)ペプチド、
N−イプシロン26−[2−(2−{2−[(S)−4−カルボキシ−4−(17−カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル]Aib8、Arg34]GLP−1(7−37)ペプチド
からなる群から選択される。
【0084】
本発明はまた特にインスリン及びそのアナログのアシル化に適している。
【0085】
本発明の一態様では、本発明に記載のアシル化され得るインスリンは、ヒトインスリン又はヒトインスリンアナログである。本発明に記載のヒトインスリンアナログは、1又は複数のアミノ酸が、他のアミノ酸残基で置換されているか、挿入されているか、インスリンから欠失しているか、及び/又はヒトインスリンと比較して付加されている。一態様では、1から5、1から4、1から3又は1から2個のアミノ酸が、ヒトインスリンのアミノ酸配列と比較して、置換、挿入、欠失及び/又は付加されている。
【0086】
本発明に記載のインスリンアナログの例は、B鎖の一28のプロリンが、Asp、Lys、Leu、Val、又はAlaに変位するか、及び/又は位置B29のLysがPro、Glu又はAspに変位している。更に、位置B3のAsnは、Thr、Lys、Gln、Glu又はAspに変位し得る。位置A21のアミノ酸残基は、Glyに変位し得る。位置B1のアミノ酸は、Gluに変位し得る。位置B16のアミノ酸は、Glu又はHisに変位し得る。インスリンアナログの更なる例は、欠失アナログであり、例えば、ヒトインスリンアナログ中のB30アミノ酸が欠失しているアナログ(デス(B30)ヒトインスリン)、ヒトインスリン中のB1アミノ酸が欠失しているインスリンアナログ(デス(B1)ヒトインスリン)、デス(B28−B30)ヒトインスリン及びデス(B27)ヒトインスリンがある。B鎖のC末端に2個のアルギニン残基が付加されるような、A鎖及び/又はB鎖がN末端伸長を有するインスリンアナログ及びA鎖及び/又はB鎖がC末端伸長を有するインスリンアナログもまたインスリンアナログの例である。インスリンアナログの更なる例は、言及した変位の組み合わせを含む。位置A14のアミノ酸がAsn、Gln、Glu、Arg、Asp、Gly又はHisであり、位置B25のアミノ酸がHisであり、一又は複数の付加的な変位を更に含んでもよいインスリンアナログが、インスリンアナログの更なる例である。位置A21のアミノ酸残基がGlyであり、インスリンアナログが2個のアルギニン残基でC末端が更に伸長されたヒトインスリンアナログのインスリンアナログもまたインスリンアナログの例である。
【0087】
一態様では、インスリンは
ヒトインスリン、
DesB30ヒトインスリン、
AspB28ヒトインスリン、
AspB28、デスB30ヒトインスリン、
LysB3、GluB29ヒトインスリン、
LysB28、ProB29ヒトインスリン、
GlyA21、ArgB31、ArgB32ヒトインスリン、
GluA14、HisB25ヒトインスリン、
HisA14、HisB25ヒトインスリン、
GluA14、HisB25、デスB30ヒトインスリン、
HisA14、HisB25、デスB30ヒトインスリン、
GluA14、HisB25、デスB27、デスB28、デスB29、デスB30ヒトインスリン、
GluA14、HisB25、GluB27、デスB30ヒトインスリン、
GluA14、HisB16、HisB25、デスB30ヒトインスリン、
HisA14、HisB16、HisB25、デスB30ヒトインスリン、
HisA8、GluA14、HisB25、GluB27、デスB30ヒトインスリン、
GluA14、HisB25、デスB27、デスB30ヒトインスリン、
GluA14、GlyA21、HisB25、デスB30ヒトインスリン、
GluA14、HisB25、LysB27、デスB28、デスB29、デスB30ヒトインスリン、
HisA8、GluA14、GluB1、GluB16、HisB25、GluB27、デスB30ヒトインスリン、及び
HisA8、GluA14、GluB16、HisB25、デスB30ヒトインスリン
から成る群から選択される。
【0088】
一態様では、アシル化されたインスリンペプチドは、本発明の方法によって得られる。別の態様では、本発明の方法によって得たアシル化されたインスリンペプチドは、
A14E、B25H、B29K(Nεオクタデカンジオイル−gGlu−[2−(2−{2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル))、デスB30ヒトインスリン(代替名:A14E、B25H、B29K(Nεオクタデカンジオイル−gGlu−OEG−OEG)、デスB30ヒトインスリン),
A14E、B16H、B25H、B29K(Nεエイコサンジオイル−gGlu−[2−(2−{2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル))、デスB30ヒトインスリン(代替名:A14E、B16H、B25H、B29K(Nεエイコサンジオイル−gGlu−OEG−OEG)、デスB30ヒトインスリン)、
A14E、B25H、B29K((Nεエイコサンジオイル−gGlu−[2−(2−{2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル))、デスB27、デスB30ヒトインスリン(代替名:A14E、B25H、B29K(Nεエイコサンジオイル−gGlu−OEG−OEG)、デスB27、デスB30ヒトインスリン)、
A14E、B25H、B27K(Nεオクタデカンジオイル−gGlu−[2−(2−{2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル))、デスB28、デスB29、デスB30ヒトインスリン(代替名:A14E、B25H、B27K(Nεオクタデカンジオイル−gGlu−OEG−OEG)、デスB28、デスB29、デスB30ヒトインスリン)、
A14E、B25H、B27E、B29K(Nεエイコサンジオイル−gGlu−[2−(2−{2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル))、デスB30ヒトインスリン(代替名:A14E、B25H、B27E、B29K(Nεエイコサンジオイル−gGlu−OEG−OEG)、デスB30ヒトインスリン)、
A14E、B25H、デスB27、B29K(Nεオクタデカンジオイル−gGlu−[2−(2−{2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル))、デスB30ヒトインスリン(代替名:A14E、B25H、デスB27、B29K(Nεオクタデカンジオイル−gGlu−OEG−OEG)、デスB30ヒトインスリン)、
A14E、B25H、B29K((Nεエイコサンジオイル−gGlu−[2−(2−{2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル))、デスB30ヒトインスリン(代替名:A14E、B25H、B29K((Nεエイコサンジオイル−gGlu−OEG−OEG)、デスB30ヒトインスリン)、
A14E、B16H、B25H、B29K(Nεオクタデカンジオイル−gGlu−[2−(2−{2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル))、デスB30ヒトインスリン(代替名:A14E、B16H、B25H、B29K(Nεオクタデカンジオイル−gGlu−OEG−OEG)、デスB30ヒトインスリン)、and
A14E、A21G、B25H、B29K(Nεオクタデカンジオイル−gGlu−[2−(2−{2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル))、デスB30ヒトインスリン(代替名:A14E、A21G、B25H、B29K(Nεオクタデカンジオイル−gGlu−OEG−OEG)、デスB30ヒトインスリン)
から成る群から選択される。
【0089】
ペプチドとタンパク質の産生は、当該分野で知られている。ペプチド又はタンパク質は、例えば、古典的なペプチド合成、例えば、t−Boc又はFmoc化学又は他の良く確立された技術を用いた固相ペプチド合成によって産生し得、例えば、Greene and Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis”, John Wiley & Sons, 1999, “Organic Synthesis on solid Phase”, Florencio Zaragoza Dorwald, Wiley-VCH Verlag GmbH, D-69469 Weinheim, 2000, “Novabiochem Catalog”, Merck Biosciences 2006/2007 及び “Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis”, Edited by W.C. Chan and P.D. White, Oxford University Press, 2000, ISBN 0-19-963724-5を参照されたい。ペプチド又はタンパク質は、ペプチド又はタンパク質をコードするDNA配列を含み、ペプチド又はタンパク質の発現を許容する条件下で、適切な栄養培地中で発現することができる、宿主細胞の培養を含む方法によってまた産生されてもよい。非天然アミノ酸残基を含むペプチド又はタンパク質については、組換え細胞は、非天然アミノ酸が、例えば、tRNA変異体の使用によって、ペプチド又はタンパク質に組み込まれるように改変されるべきである。
【0090】
以下は、本発明に更に含まれる態様の限定されないリストである:
1.2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の一のアミノ基を選択的にアシル化するための方法において、該方法が、
a)水溶媒中で、少なくとも2個の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質を一般式I

[上式中、
nは1から6であり、
mは1から2であり、
wは4から20であり、
R1は前記アシル化剤を遊離のアミンと反応させる際に、R1に結合しているカルボニル基と前記アミンの間のアミド結合の形成を容易にする脱離基であり、
水溶媒中のpHがpH8からpH14である
]のアシル化剤と反応させ、
b)N-アシル化ペプチド又はタンパク質を単離することを含み、
ここで、アシル化されていないか、一部だけがアシル化されている、少なくとも1の反応性求核性官能基を含む、N-アシル化ペプチド又はタンパク質を得る方法。
【0091】
2.反応性求核性官能基が、ヒドロキシル基、チオール基及びアミノ基からなる群から選択される、態様1に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0092】
3.反応性求核性官能基がアミノ基である、態様1又は3に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0093】
4.N-アシル化ペプチド又はタンパク質を得、アシル化がリシンのε-位で起こり、ペプチド又はタンパク質の少なくとも1個の遊離アミノ基は、アシル化されない、態様1から3の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0094】
5.式IのR1がRに結合しているカルボニルと一緒になってエステルを形成する、態様1から4の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0095】
6.式IのR1がRに結合しているカルボニルと一緒になって活性化エステルを形成する、態様1から4の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0096】
7.式IのR1がRに結合しているカルボニルと一緒になって活性化N-ヒドロキシイミドエステルを形成する、態様1から4の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0097】
8.nは1から5、又は1から2、1から3若しくは1から4、又は2である、態様1から7の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0098】
9.mは1から2、又は2である、態様1から8の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0099】
10.wは4から20、又は10から20、又は14から18、又は14、又は16又は18である、態様1から9の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0100】
11.水性反応混合物のpHがpH9からpH13の間である、態様1から10の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0101】
12.水性反応混合物のpHがpH10からpH12の間である、態様1から11の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0102】
13.水性反応混合物のpHがpH10.5からpH11.5の間である、態様1から12の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0103】
14.水性反応混合物のpHがpH11からpH12の間である、態様1から13の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0104】
15.水性反応混合物のpHがpH11.5からpH12の間である、態様1から14の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0105】
16.水性反応混合物のpHが約11.5である、態様1から15の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0106】
17.水性反応混合物のpHが、pH11.0から11.5の間又はpH11.0から11.3の間のような、pH11から12の間である、態様1から16の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0107】
18.水性反応混合物のpHが、約11.3である、態様1から17の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0108】
19.アシル化処理中の反応混合物の温度が、0℃から50℃のような、−5℃から50℃の間である、態様1から18の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0109】
20.アシル化処理中の反応混合物の温度が、約20℃又は室温のような、10℃から30℃の間である、態様1から19の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0110】
21.アシル化処理中の反応混合物の温度が、2℃から5℃の間のような、0℃から5℃の間である、態様1から20の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0111】
22.アシル化処理中の反応混合物の温度が、約20℃又は室温のような、10℃から30℃の間である、態様1から21の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0112】
23.試薬が30から60分の時間をかけて添加される、態様1から22の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0113】
24.アシル化混合物が、アシル化剤の添加後、0から24時間、反応のために放置される、態様1から23の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0114】
25.反応をアシル化剤を添加した直後に、例えば、pH7.5から8.0のような、pH6.5から9.0のpHに調節することによって停止する、態様1から24の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0115】
26.アシル化混合物が、アシル化剤の添加後、30から60分間、反応のために放置される、態様1から25の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0116】
27.ペプチド又はタンパク質が、少なくとも5.0mg/mlの濃度で反応混合物中に存在する、態様1から26の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0117】
28.ペプチド又はタンパク質の濃度が、10.0mg/mlから20.0mg/mlである、態様1から27の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0118】
29.ペプチド又はタンパク質の濃度が、約12.5mg/mlである、態様1から28の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0119】
30.ペプチド又はタンパク質の濃度が、約20mg/mlである、態様1から29の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0120】
31.反応混合物がバッファーを含む、態様1から30の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0121】
32.反応混合物が、リン酸バッファー、炭酸ナトリウムバッファー、ビシンバッファー(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシンバッファー)、HEPESバッファー(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸バッファー)、MOPSバッファー(3−(N−モルフォリノ)プロパンスルホン酸バッファー)又はTEAバッファー(トリエチルアミンバッファー)からなる群から選択される、態様1から31の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0122】
33.反応混合物がリン酸バッファーであるバッファーを含む、態様1から32の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0123】
34.アシル化剤が溶液に固体として添加される、態様1から33の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0124】
35.アシル化剤が、不活性溶媒中に溶解したアシル化剤を含む溶液に添加される、態様1から34の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0125】
36.不活性溶媒がN−メチルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド及びアセトニトリルからなる群から選択される、態様1から35の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0126】
37.アシル化剤が、10mg/mlから250mg/mlの濃度で反応混合物に添加される、態様1から36の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0127】
38.工程(a)の反応が、タンパク質と1:1から1:5のモル比の式Iのアシル化剤を用いて実施される、態様1から37の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0128】
39.ペプチド又はタンパク質が、水中に−10から30℃で、プレ溶解し、pHは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ炭酸塩又は第三級アミン塩基を用いて、アシル化剤を添加する前に、所望のレベルに調整される、態様1から38の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0129】
40.アシル化され得るペプチド又はタンパク質が、糖尿病の治療に適切である、態様1から39の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0130】
41.アシル化され得るペプチド又はタンパク質が、肥満の治療に適切である、態様1から40の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0131】
42.アシル化され得るペプチド又はタンパク質が、グルカゴン様ペプチド又はインスリンである、態様1から41の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0132】
43.アシル化され得るペプチド又はタンパク質が、グルカゴン様ペプチドである、態様42に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0133】
44.グルカゴン様ペプチドがジペプチジルアミノペプチダーゼIV保護されている、態様43に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0134】
45.グルカゴン様ペプチドがグルカゴンペプチド、GLP−1ペプチド、GLP−2ペプチド、エキセンジン−3ペプチド及びエキセンジン−4からなる群から選択される、態様43又は44に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0135】
46.グルカゴン様ペプチドがGLP−1ペプチドである、態様45に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0136】
47.GLP−1ペプチドが
GLP−1(7−37)、GLP−1(7−36)アミド、Gly8−GLP−1(7−37)、Val8−GLP−1(7−36)−アミド及び[Val8Asp22]−GLP−1(7−37)、[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1(7−37)アミド、[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)、[デスアミノHis7、Arg34]GLP−1−(7−37)、[Aib8、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、[デスアミノHis7、Glu22Arg26、Arg34、Phe(m−CF3)28]GLP−1−(7−37)アミド、[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Arg34]GLP−1−(7−37)−Lys、[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Arg34]GLP−1−(7−37)−Lys、[デスアミノHis7、Arg26、Arg34、]GLP−1−(7−37)−Lys、[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、[デスアミノHis7、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)、[デスアミノHis7、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)、[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Glu30、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)、[Aib8、Lys20、Arg26、Glu30、Thr(O−benzyl)33、]GLP−1−(7−37)アミド、[Aib8、Glu22、Arg26、Lys30]GLP−1−(7−37)、[Aib8、Glu22、Arg26、Lys31]GLP−1−(7−37)、[Aib8、Lys20、Arg26、2−ナフチルアラニン28、Glu30、]GLP−1(7−37)アミド、[Aib8、Glu22、Arg26、Arg34、]GLP−1−(7−37)−Lys、[Aib8、Lys20、Arg26、2−ナフチルアラニン12、Glu30、]GLP−1−(7−37)アミド、[Aib8、Glu22、Arg26、Lys31、Arg34]GLP−1−(7−37)、[Aib8、Arg34]GLP−1−(7−37)、
[Aib8、Arg34]GLP−1−(7−37)−アミド、[Aib8、Lys18、Arg26、Arg34]GLP−1(7−37)、[Aib8、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、[Aib8、Lys26]GLP−1(7−37)アミド、
[Aib8、Arg34]GLP−1−(7−34)、[Aib8、Arg34]GLP−1−(7−35)、[Aib8、Lys33、Arg34]GLP−1−(7−34)、
[Aib8、Arg34]GLP−1−(7−36)アミド、[Aib8、Lys26、Arg34]GLP−1−(7−36)アミド、[Aib8、Glu22、Arg26、Arg34]GLP−1−(7−37)Lys、[Aib8、Lys20、Glu22、Arg26、Glu30、Pro37]GLP−1−(7−37)アミド、[Aib8、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、[デスアミノHis7、Glu22、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、[デスアミノHis7、Arg26、Arg34、Lys37]GLP−1−(7−37)アミド、[Aib8、Glu22、Arg26、Glu30、Pro37]GLP−1−(7−37)Lys、[Aib8、Aib35]GLP−1−(7−37)、Arg34GLP−1−(7−37)、[Aib8、Glu22、Arg26、Glu30、Pro37]GLP−1−((7−37)Lys、及び[Aib8、Arg26、Arg34]GLP−1−(7−37)
からなる群から選択される、態様46に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0137】
48.アシル化され得るペプチド又はタンパク質がインスリンである、態様42に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0138】
49.ヒトインスリンアナログが、1から5個のアミノ酸が他のアミノ酸残基によって置換されるか、挿入されるか、インスリンから欠失しているか、及び/又はヒトインスリンと比較して付加されている、態様48に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0139】
50.インスリンが、
ヒトインスリン、デスB30ヒトインスリン、AspB28ヒトインスリン、AspB28、desB30ヒトインスリン、LysB3、GluB29ヒトインスリン、LysB28、ProB29ヒトインスリン、GlyA21、ArgB31、ArgB32ヒトインスリン、GluA14、HisB25ヒトインスリン、HisA14、HisB25ヒトインスリン、GluA14、HisB25、デスB30ヒトインスリン、HisA14、HisB25、デスB30ヒトインスリン、GluA14、HisB25、デスB27、デスB28、デスB29、デスB30ヒトインスリン、GluA14、HisB25、GluB27、デスB30ヒトインスリン、GluA14、HisB16、HisB25、デスB30ヒトインスリン、HisA14、HisB16、HisB25、デスB30ヒトインスリン、HisA8、GluA14、HisB25、GluB27、デスB30ヒトインスリン、HisA8、GluA14、GluB1、GluB16、HisB25、GluB27、デスB30ヒトインスリン、及びHisA8、GluA14、GluB16、HisB25、デスB30ヒトインスリン
からなる群から選択される、態様49に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0140】
51.N−アシル化ペプチド又はタンパク質が、アシル化されていない少なくとも一の遊離アミノ基を含んで得られる、態様1から50の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【0141】
52.アシル化され得るペプチド又はタンパク質が、2個の遊離アミノ基を有し、唯一のアミノ基がアシル化される、態様1から51の何れか一に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【実施例】
【0142】
実施例1:1,18−オクタデカン二酸モノベンジルエステルの調製

トルエン(2.75L)中の1,18−オクタデカン二酸(75g、0.24mol)、p−トルエンスルホン酸一水和物(2.27g、11.9mmol)及びベンジルアルコール(20.7g、0.19mol)の溶液を3時間加熱還流した。水を環流中共沸蒸留によって除いた。セライト(25g)を添加し、混合物を40℃まで冷却し、更なる時間攪拌した。混合物をトルエンを移動相として用い、シリカを通してプラグ濾過によって精製した。1,18−オクタデカン酸モノベンジルエステルを含む画分を回収し、75℃における真空濾過によって体積を減少させた。溶液を50℃まで冷却し、ヘプタンを添加し、混合物を35℃まで冷却した。再結晶の際、更なるヘプタンを15分間かけて添加し、最終的に混合物を更なる時間10℃まで冷却した。生成物を濾過して回収し、ヘプタンで洗浄し、真空で乾燥した。1,18−オクタデカン酸モノベンジルエステルの収率は34g(35%)であった。
【0143】
実施例2:ベンジル 18−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−18−オキソオクタデカネートの調製

1,18−オクタデカン二酸モノベンジルエステル(120g、0.3mol)、N−ヒドロキシスクシンイミド(41g、0.36mol)をNMP(1200ml)に溶解し、60℃で2.5時間加熱した。反応混合物を25℃まで冷却し、沈殿を濾過して除き、水(4.7L)で洗浄した。粗沈殿を2−プロパノール(1250ml)で再結晶化し、ベンジル 18−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−18−オキソオクタデカネートを得た。収量は138g(92%)。
【0144】
実施例3:ベンジル 18−({(1S)−1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−4−オキソブチル}アミノ)−18−オキソオクタデカノエートの調製

ベンジル 18−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−18−オキソオクタデカノエート(30g、60mmol)及びL−グルタミン酸アルファ−ベンジルエステル(15g、62.8mmol)をNMPに溶解し50℃で4時間加熱した。水(700ml)、KHSO(100ml、0.5M水溶液)及び酢酸エチル(220ml)を25℃で添加した。有機相をKHSO(水溶液、150ml、0.17M)で2回洗浄し、真空で濃縮した。混合物をNMP(225ml)に再溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミド(11g、95.7mmol)及びN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(16g、77.7mmol)を添加し、溶液を16時間攪拌した。沈殿を濾過して除き、水(1L)で洗浄した。粗沈殿を2−プロパノールで再結晶化し、ベンジル 18−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−18−オキソオクタデカノエートを得た。収量は32.7g(76%)。
【0145】
実施例4:(22S)−22−カルボキシ−1−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−1,10,19,24−テトラオキソ−3,6,12,15−テトラオキサ−9,18,23−トリアザヘンテトラコンタン−41−酸(化合物1)の調製

ベンジル18−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−18−オキソオクタデカノエート(100g、138.7mmol)及び17−アミノ−10−オキソ−3,6,12,15−テトラオキサ−9−アザヘプタデカン−1−酸(44.9g、145.6mmol)をアセトニトリル(1L)に懸濁した。トリエチルアミン(20.8ml、150mmol)を添加し、混合物を16時間攪拌した。水(3L)、KHSO(水溶液0.5M、1L)、及び酢酸エチル(1L)を添加した。有機相を真空で濃縮し、トルエン(2x300ml)で共沸した。N−ヒドロキシスクシンイミド(17.6g、153mmol)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(31.9g、166.5mmol)及び2−プロパノール(1L)を添加し、溶液を16時間攪拌した。ジクロロメタン(1L)、水(3L)及びKHSO(水溶液0.5M、1L)を添加した。有機相を回収し、MgSOで乾燥し、濾過し、真空で濃縮し、トルエン(2x300ml)で共沸した。2−プロパノール(1300ml)及びPd/C(14g)を添加し、混合物を2時間水素化した。混合物を39℃で加熱し、濾過した。溶液を冷却し、沈殿を濾過して回収した。収量は100g(87%)。
【0146】
実施例5:分析HPLC
以下のHPLC勾配を得られたアシル化生成物の分析に用いた。
バッファーA:1800mlミリQ水、200mlアセトニトリル及び2mlHOP
バッファーB:1800mlアセトニトリル、200mlミリQ水及び2mlHOP
カラム:ジュピター4μProteo 90A kolonne fra Phenomenex
勾配は表5.1に示した。
表5.1

【0147】
実施例6:22−カルボキシ−1−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−1,10,19,24−テトラオキソ−3,6,12,15−テトラオキサ−9,18,23−トリアザヘンテトラコンタン−41−酸(化合物1)を用いた[Aib,Arg34]GLP−1(7−37)のアシル化
一般的な実験:マグネチックスターラーバーを備えた丸底フラスコ中に、ペプチド中間体[Aib,Arg34]GLP−1(7−37) ペプチド及びミリQ水を添加し、表6.1に示す濃度を有する懸濁液を得た。丸底フラスコを大きな(2L)の水槽に沈め、Julabo HL-4加熱循環器によって、20度の固定温度まで調節した。放射計PHM290 pH-stat調節器を2個の別のIUPAC標準バッファー(pH9.18及び12.45)で標準化し、NaOH水溶液(0.1M)の溶液を備える放射計ABU901オートビュレット(2ml)に接続した。電極を混合物(典型的にはpH=2.5)に浸した。4MのNaOHを固定したpH設定点に添加した(pHの詳細については表6.1を参照されたい)。アシル化剤(化合物1)を使用前に内部標準を用いて1H−NMRで評価した。シリンジポンプは、NMP(ペプチド中間体に対して約3等量)中の10%w/wのアシル化剤の溶液を含むシリンジを備え、60分間かけてペプチド中間体を溶液に連続的に滴下して添加した(すなわち、20分間に約1等量のアシル化剤)pHをPHM290調節器によって調節点に固定した。IPCは適切な間隔で採り、HPLC(260nm、実施例5)で解析し、%面積を表6.1に示した。
表6.1

【0148】
実施例7:22−カルボキシ−1−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−1,10,19,24−テトラオキソ−3,6,12,15−テトラオキサ−9,18,23−トリアザヘンテトラコンタン−41−酸(化合物2)を用いた[Aib,Arg34]GLP−1(7−37)のアシル化
[Aib,Arg34]GLP−1(7−37)ペプチド(10.0g、2.94mmol)を水に懸濁し、濃度を約15g/lとし、pHをNaOH(水溶液、1M)で11.25に調整し、水を最終のペプチド濃度が約12.5g/Lとなるまで添加した。アシル化剤22−カルボキシ−1−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−1,10,19,24−テトラオキソ−3,6,12,15−テトラオキサ−9,18,23−トリアザヘンテトラコンタン−41−酸(化合物1、3.7g、4.41mmol)をNMP(10%w/v)に溶解し、水溶液に滴下して添加した。pHを反応の間NaOH(水溶液、1M)を連続して添加することにより11.1から11.3の一定に維持した。サンプルを回収し、RP HPLC(実施例5の勾配に従って)で反応の間解析した。アシル化剤の添加が終わった後、硫酸(水溶液、1M)を添加して、pHを約7.5に調整する前に、反応混合物を更に60分間攪拌した。HPLC(260nm、実施例5)、面積%92.6%、標準を用いたアッセイ滴定による収量は91.5%。
【0149】
実施例8:22−カルボキシ−1−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−1,10,19,24−テトラオキソ−3,6,12,15−テトラオキサ−9,18,23−トリアザヘンテトラコンタン−41−酸(化合物1)を用いた[Aib,Arg34]GLP−1(7−37)のアシル化
実験:マグネチックスターラーバーを備えた丸底フラスコ中に、ペプチド中間体[Aib,Arg34]GLP−1(7−37) ペプチド(234mg、0.069mmol)及びミリQ水(18.3ml)を添加し、懸濁液を得た。pHメーターを、2個の別のIUPAC標準バッファー(pH9.18及び12.45)で標準化し、溶液中に沈めた。EtNをpH10になるまで添加した。化合物1を使用前に内部標準を用いて1H−NMRで評価した。シリンジポンプは、NMP(ペプチド中間体に対して約3等量)中の10%w/wのアシル化剤(化合物1、120mg、0.144mmol)の溶液を含むシリンジを備え、溶液を連続してペプチド中間体の溶液に滴下して添加した。pHをAcOHで7.2に調整し、HPLC(260nm)で解析した%面積は、下の表に示した。

【0150】
実施例9:1,16−ヘキサデカン二酸モノベンジルエステルの調製

ヘキサデカン二酸(20.0g、69.8mmol)及びDowex(登録商標)をn−オクタンに懸濁し、還流まで加熱した。6時間後、更にギ酸ベンジル(22.0g、162mmol)を添加した。加熱を50時間続けた。反応混合物を80℃で濾過した。濾液を20℃まで冷却し、濾過による沈殿は回収した。粗生成物(20.2g)をジクロロメタン(220ml)に20℃で4時間懸濁した。懸濁液を濾過し、濾液を20から30℃で濃縮して乾燥した。得た固体(13.9g)は2−プロパノール(140ml)で再結晶化した。
【0151】
生成物を濾過して単離し、減圧下、30から40℃において、一定の重量になるまで乾燥した。収量:白色物質が10.2g(39%)。
【0152】
実施例10:(S)−2−(15−ベンジルオキシカルボニル−ペンタデカノイルアミノ)−ペンタン二酸5−ベンジルエステル1−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イル)エステルの調製

1,16−ヘキサデカン二酸モノベンジルエステル(20.0g、53.1mmol)をアセトンに35から40℃で溶解した。N−ヒドロキシスクシンイミド(6.42g、55.8mmol)を添加した。得られた溶液に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(12.1g、58.4mmol)を添加した。反応混合物を35℃で3から4時間攪拌した。得られた懸濁液に、トリエチルアミン(7.40ml、53.1mmol)及びL−グルタミン酸α−ベンジルエステル(12.6g/53.1mmol)を添加した。反応混合物を35から40℃で8から16時間攪拌した。反応混合物を20から25℃に冷却した。メタンスルホン酸(3.45ml、53.1mmol)及びDCC(12.1g、53.1mmol)を添加した。反応混合物を20から25℃で8から16時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して乾燥した。残渣を水(100ml)とトルエン(200ml)で分離した。トルエン相を蒸留して水を除くことで乾燥した。シリカゲル(20g)を残渣に添加した。懸濁液を30分間20から25℃で攪拌し、次いで濾過した。濾液の体積を減圧下濃縮することにより約100から120mlまで減少した。N−ヘプタン(150ml)を15から30分かけて添加した。得た懸濁液を2時間かけて攪拌した。生成物を濾過して単離し、20から25℃の減圧下で一定の重量になるまで乾燥した。収量:白色物質が21g(58%)。
【0153】
実施例11:(22S)−22−カルボキシ−1−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−1,10,19,24−テトラオキソ−3,6,12,15−テトラオキサ−9,18,23−トリアザヘンジコンタン−39−酸(化合物2)の調製

(S)−2−(15−ベンジルオキシカルボニル−ペンタデカノイルアミノ)−ペンタン二酸5−ベンジルエステル1−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イル)エステル(4g、5.77mmol)及び17−アミノ−10−オキソ−3,6,12,15−テトラオキサ−9−アザヘプタデカン−1−酸(1.8g、5.95mmol)をNMP(20ml)に懸濁し、混合物を16時間攪拌した。N−ヒドロキシスクシンイミド(0.94g、8.12mmol)及びN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.15、10mmol)を添加し、得た溶液を約16時間攪拌した。水(150ml)及び酢酸エチル(30ml)を添加し、有機相を回収し、MgSOで乾燥し、真空で濃縮した。半固体をアセトンに再溶解し、Pd/C(0.5g)を添加し、混合物を2時間水素化した。混合物を濾過し、真空で濃縮した。収量3.69g(88%)。
【0154】
実施例12: 化合物2を用いた[Aib,Arg34]GLP−1(7−37)の選択的アシル化
アシル化は実施例6に記載した通り一般的なアシル化法において記載した通り実施される。
使用される条件は、

【0155】
実施例13:アシル化剤化合物3−5の固相合成
化合物3から5は、下に記載の工程を用いて固相上で合成された。
ローディング:機械的に中央に位置するテフロン被覆されたスターラーを備える固相ペプチド反応器中で、2−塩化クロロトリチル樹脂をDCMで膨張させた。DCM中のFmoc−8−アミノ−3,6−ジオキサン酸(1等量)及びDIPEA(1.1等量)の溶液を添加し、得た混合物を室温で16時間攪拌した。樹脂を排水し、樹脂上の未反応部位をDCM:MeOH:DIPEA(80:15:5)の混合物で被覆し、次いでDCM及びNMPで洗浄した。
伸長:
1)脱保護処理:樹脂上のFmoc基の脱保護;樹脂はNMP(20%溶液)中のピペラジンで処理し、NMPで洗浄した。
2)次のカップリング処理:アミノ酸又はベンジル18−({(1S)−1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−4−オキソブチル}アミノ)−18−オキソオクタデカノエート(元の樹脂ローディングに比較して2等量)をNMPに溶解した。アミノ酸をN−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)とN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)で15から30分間プレ活性化するか又はアミノ酸又はベンジル18−({(1S)−1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−4−オキソブチル}アミノ)−18−オキソオクタデカノエートのスクシンイミドエステルをNMPに溶解し、次いで樹脂に添加した。30から60分後、DIPEAを添加し、混合物を1時間から16時間室温で攪拌してもよい。遊離アミンの試験が陰性(Kaiser試験)ならば、カップリングは終了しており、NMPを用いて樹脂を洗浄し、連続した周回工程に移行する準備がなされた。
切断処理:樹脂をDCM:MeOH(1:1)、DCMで洗浄し、DCM:TIPS:TFA(95.5:2.5:2)の混合物で10分間処理し、切断混合物をDIPEA中に移し、pH>7の溶液を得た。切断処理を繰り返した。粗溶液をクエン酸(水溶液10%3X)、食塩水(1X)で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空で濃縮した。油性残基はトルエンで2回共沸した。
活性化:得られた残基とN−ヒドロキシスクシンイミド(1.1等量)をEtOAcに溶解した。N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.3等量)を添加し、混合物を約16時間攪拌した。混合物を濾過し、真空で濃縮した。
tert−ブチルエステルの脱保護:半固体をTFA及びDCMに溶解し、2時間攪拌し、次いで真空で濃縮し、トルエンで2回共沸した後、2−プロパノールで再結晶した。
ベンジルエステルの脱保護:半固体を2−プロパノールに溶解し、Pd/Cを添加し、得た混合物を2時間水素化し、45℃まで加熱し、濾過し、5℃まで冷却した。得た結晶を濾過して回収した。
【0156】
実施例14:化合物3:19−((S)−1−カルボキシ−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ノナデカン酸の調製

化合物は、1,20−エイコサン二酸モノt−ブチルエステル、N−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)−L−グルタミン酸α−t−ブチルエステル及び8−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル−アミノ)−3,6−ジオキソオクタン酸を用いて、実施例13に記載の一般的な方法に従って固相上で調製される。
【0157】
実施例15:化合物3を用いた[Aib,Arg34]GLP−1(7−37)ペプチドの選択的アシル化
アシル化は、実施例6に記載の一般的なアシル化法に記載の通り実施された。
用いた条件:

【0158】
実施例16:化合物4 17−((S)−1−カルボキシ−3−{2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)−エトキシ]−エチルカルバモイル}−プロピルカルバモイル)−ヘプタデカノン酸の調製

化合物は、ベンジル18−({(1S)−1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−4−オキソブチル}アミノ)−18−オキソオクタデカノエート及び8−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル−アミノ)−3,6−ジオキソオクタン酸を用いて、実施例13に記載の一般的な方法に従って固相上で調製された。
【0159】
実施例17:化合物4を用いた[Aib,Arg34]GLP−1(7−37)ペプチドの選択的アシル化
アシル化は、実施例6に記載の一般的なアシル化法に記載の通り実施された。
用いた条件:

【0160】
実施例18:化合物5 17−((S)−1−カルボキシ−3−{2−[2−({2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)−エトキシ]−エチルカルバモイル}−メトキシ)−エトキシ]−エチルカルバモイル}−メトキシ)−エトキシ]−エチルカルバモイル}−プロピルカルバモイル)−ヘプタデカン酸の調製

化合物は、ベンジル 18−({(1S)−1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−4−オキソブチル}アミノ)−18−オキソオクタデカノエート and 8−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル−アミノ)−3,6−ジオキソオクタン酸を用いて、実施例13に記載の一般的な方法に従って固相上で調製された。
【0161】
実施例19:化合物5を用いた[Aib,Arg34]GLP−1(7−37)ペプチドの選択的アシル化
アシル化は、実施例6に記載の一般的なアシル化法に記載の通り実施された。
用いた条件:

【0162】
実施例20:化合物6の調製。

化合物は実施例14に記載の通り調製された。
【0163】
実施例21:化合物6を用いた[Aib,Arg34]GLP−1(7−37)ペプチドの選択的アシル化
アシル化は、実施例6に記載の一般的なアシル化法に記載の通り実施された。
用いた条件:

【0164】
実施例22:(S)−2−(15−カルボキシ−ペンタデカノイルアミノ)−ペンタン二酸5−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イル)エステルの調製
(S)−2−(15−ベンジルオキシカルボニル−ペンタデカノイルアミノ)−ペンタン二酸5−ベンジル エステル 1−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イル) エステル (5.0 g, 7.3 mmol)をトリフルオロ酢酸(95μl)を含むアセトン(95ml)に溶解した。水素の消費が停止した場合、反応混合物を濾過した。濾液を20℃まで冷却し、n−ヘプタン(140ml)を15から30分間かけて添加した。得た懸濁液を0から5℃まで2から3時間かけて冷却した。生成物は濾過して単離し、20から25℃において、減圧下で一定の重量となるまで乾燥した。収量白色物質の3g(84%)。
生成物をアセトン−d6を溶媒として用いたプロトンNMR(Bruker 600 MHz)で解析した。
1Dスペクトル(内部標準はTMSδ0.0ppm)からのプロトンNMR割り当て:


【0165】
実施例23:(S)−2−(15−カルボキシペンタデカノイルアミノ)ペンタン二酸5−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)エステルを用いたヒトインスリンデスB30の位置B29のリシンのε−アミノ基のアシル化
デスB30ヒトインスリンの4gを64gの精製水に懸濁した。1.85mlのトリエチルアミン(TEA)を添加し、デスB30ヒトインスリンを溶解し、pHを11.4から12.0まで上げた。溶液を2から5℃まで冷却した。
448mgのL−2−(15−カルボキシ−ペンタデカノイルアミノ)−ペンタン二酸5−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イル)エステルを10から15%の硫酸で安定化した3.5gNMP(N−メチル−2−ピロリドン)に溶解した。
デスB30ヒトインスリン溶液を攪拌し、(S)−2−(15−カルボキシ−ペンタデカノイルアミノ)ペンタン二酸5−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)エステルの溶液を20分間かけて添加し、低い温度に維持した。
(S)−2−(15−カルボキシ−ペンタデカノイルアミノ)ペンタン二酸5−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イル)エステルを添加した後、反応混合物を2.5重量のトリス−ヒドロキシメチルアミノメタン(20mmol/kg)、酢酸アンモニウム(30mmol/kg), エタノール42.5% w/w、残りの精製水、pH 7.5からなる溶液で希釈した。
希釈後、pHを攪拌しながら、1Mの酢酸をゆっくりと添加することにより7.5に調整した。HPLCによる解析は、14.22%の残りのデスB30ヒトインスリンを伴う、72.11%のLysB29( Nε−ヘキサデカノイル−γ−グルタミル)デス(B30)ヒトインスリンの形成を示す。
【0166】
実施例24:15−[3−(2,5−Dioxoピロリジン−1−イルオキシカルボニル)−プロピルカルバモイル]ペンタデカノン酸を用いた位置B29のリシンのヒトインスリンデスB30ε−アミノ基のアシル化
35gのデスB30ヒトインスリンを539gの冷却した14mMのEDTAに懸濁した。溶液を2から5℃まで冷却した。15.6gの4MのNaOHと21.9gのトリエチルアミン(TEA)を添加し、デスB30ヒトインスリンを溶解し、pHを12.7まで上げた。
4.1gの15−[3−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシカルボニル)−プロピルカルバモイル]ペンタデカノン酸を82.1gの10μlの5%硫酸で安定化したNMP(N−メチル−2−ピロリドン)に溶解した。
デスB30ヒトインスリン溶液を攪拌し、15−[3−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシカルボニル)−プロピルカルバモイル]ペンタデカン酸の溶液を低温を維持しながら20分間かけて添加した。
15−(3−カルボキシプロピルカルバモイル)ペンタデカン酸ベンジルエステルを添加した後、反応混合物を2.5重量のトリス−ヒドロキシメチルアミノメタン(20mmol/kg)、酢酸アンモニウム(30mmol/kg)、エタノール42.5%w/w、残りの部分は精製水、pH7.0。
希釈後、攪拌し、温度を室温に上昇させながら、ゆっくりと1Mの酢酸を添加することにより、pHを7.6に調節した。
HPLCによる解析は、68.1%のLysB29(Nε−ヘキサデカンジオイル−γ−グルタミル)デス(B30)ヒトインスリンの形成を示した。
【0167】
実施例25:分析HPLC
150X4.6mmのI.D.カラムを、約100Åのポアサイズ及び約3.5μmの粒子直径を有するオクチルジメチルシリル置換シリカで充填し、1)水性バッファー中のNaOHでpH5.9に調節した20mMのNaHPO.HOと100mmolのNaSOのバッファーと、2)25%(w/w)のアセトニトリルを調製するための42.8%w/wのアセトニトリルを含むアセトニトリル溶媒からなる混合物を用いた1ml/分の流速で、40℃において平衡化した。
解析する際、約20分後にカラムからLysB29( Nε−ヘキサデカンジオイル−γ−グルタミル)デス(B30)ヒトインスリンが生じた。解析する際、約6分後にカラムからデスB30ヒトインスリンが生じた。
【0168】
実施例26:19−((S)−1−カルボキシ−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ノナデカン酸(代替名:エイコサンジオイル−gGlu−OEG−OEG−OSu)溶液相法の調製
LCMS法(LCMS):
Waters Micromass ZQ質量分析計をWaters Alliance HT HPLCシステムからの溶出後のサンプルの質量を同定するために使用した。
溶離液:
A:0.1%の水中トリフルオロ酢酸
B:0.1%のアセトニトリル中トリフルオロ酢酸
カラム:Phenomenex、Jupiter C4 50 X 4.60mm、id:5μm
勾配:1.0ml/分において7.5分かけて10%−90%
カラム:Phenomenex、Jupiter 5μ C4 300Å 50 x 4.60mm
LC法: 10−90%B 10分: A:0.1% CHCN B: CHCN:
0−7.5分:10−90%B
7.5−8.5分:90−10%B
8.5−9.5分10%B
流速:1ml/分
9.5−10.00分10%B
流速:0.1ml/分
【0169】
エイコサン二酸tert−ブチルエステルN−ヒドロキシスクシンイミドエステル:

エイコサン二酸モノ−tert−ブチルエステル(5g、12.54mmol)及びTSTU(4.53g、15.05mmol)をTHF(50mL)中で混合し、DIPEA(2.62mL)を添加し、得た粗混合物を室温で2時間攪拌し、次いでDMF(30mL)を添加し、得た透明溶液を更に終夜攪拌した。得た混合物を殆ど乾燥するまで濃縮し、残渣を冷アセトニトリルと混合し、沈殿物が沈殿させた。これを濾過して除き、終夜真空で濃縮し、6.01g(97%)のイコサン二酸tert−ブチルエステルN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを得た。
質量(エレクトロスプレー):m/z:440(M−56(tBu))。
【0170】
(S)−2−(19−tert−ブトキシカルボニルノナデカノイルアミノ)ペンタン二酸1−tert−ブチルエステル

エイコサン二酸tert−ブチルエステル 2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イル エステル(6.01g、12.124mmol)をTHF(150mL)に溶解し、H−Glu−OtBu(2.71g、13.33mmol)のスラリーと混合した。これから加熱して3時間室温で攪拌する透明の溶液となるゲル様の溶液が得られた。溶液を濃縮し、100mLの水を添加し、混合物を60℃まで加熱し、冷却することで結晶化する溶液を得た。沈殿をアセトニトリルで再結晶化し、結晶を真空で乾燥した。収量6.82g(96%)。
質量(エレクトロスプレー):m/z584(M+1)。
【0171】
(S)−2−(19−tert−ブトキシカルボニルノナデカノイルアミノ)ペンタン二酸1−tert−ブチルエステル5−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)エステル

(S)−2−(19−tert−ブトキシカルボニルノナデカノイルアミノ)ペンタン二酸1−tert−ブチルエステル(6.52g、11.17mmol)をTHF(100mL)に溶解し、DIPEA(2.14mL)を添加した後、アセトニトリル(25mL)中のTSTU(3.70g、12.29mmol)の溶液を添加した。混合物を室温で終夜攪拌し、次いで濃縮し、アセトニトリルから再結晶化した褐色の残渣を得た。終夜5℃で冷却後、粉末が形成した。これをTHFに溶解し、MgSOで乾燥し、濾過して濃縮し6.17g(81%)の標題の化合物を得た。
質量(エレクトロスプレー):m/z:681(M+1)。
【0172】
19−{(S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−[2−(2−{[2−(2−カルボキシメトキシエトキシ)エチルカルバモイル]メトキシ}エトキシ)エチルカルバモイル]プロピルカルバモイル}ノナデカン酸tert−ブチルエステル(代替名:Bu−エイコサンジオイル−gGlu(OBu)−OEG−OEG−OH)。

エタノール(40ml)中の2−(19−tert−Butオキシカルボニルノナデカノイルアミノ)ペンタン二酸1−tert−ブチルエステル 5−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)エステル(2.50g)と[2−(2−{2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]酢酸(代替名: H−OEG−OEG−OH)(1.47g)の溶液にDIPEA(1.26ml)を添加した。混合物は、室温で終夜攪拌し、次いで真空で濃縮した。残渣に0.1NのHCl(150ml)と酢酸エチル(200ml)を添加した。相を分離し、水相を酢酸エチル(100ml)で抽出した。集めた有機相を水及び食塩水で洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、真空で濃縮し、油を得、これを放置して結晶化した。収量96%(3.1g)。LCMS:理論質量:874.2。計測値:874.49。
【0173】
19−((S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ノナデカン酸tert−ブチルエステル(代替名:Bu−エイコサンジオイル−gGlu(OBu)−OEG−OEG−OSu)

アセトニトリル(50ml)中の19−{(S)−1−tert−Butオキシカルボニル−3−[2−(2−{[2−(2−カルボキシメトキシエトキシ)エチルカルバモイル]メトキシ}エトキシ)エチルカルバモイル]プロピルカルバモイル}ノナデカン酸tert−ブチルエステル(3.1g)の溶液にTSTU(1.39g)とDIPEA(0.91ml)を添加した。混合物を室温で終夜攪拌し、次いで真空で濃縮した。残渣に0.1NのHCl(100ml)水溶液と酢酸エチル(200mlを添加した。相を分離し、水相を酢酸エチル(50ml)で抽出した。集めた有機相を水、食塩水で洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、真空で濃縮して油を得た。収量99%(3.4g)。
LCMS:理論質量:971.2計測値:971.8。
【0174】
19−((S)−1−カルボキシ−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ノナデカン酸(代替名:エイコサンジオイル−gGlu−OEG−OEG−OSu)

19−((S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)−エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ノナデカン酸tert−ブチルエステル(3.4g)をTFA(75ml)中で45分間攪拌し、真空で濃縮した。残渣をトルエンで3回共濃縮し、固体を得た。残渣を2−プロパノールで結晶化し、濾過して白色結晶の化合物を得た。収量80%(2.4g)。LCMS:理論質量:859.03測定値:859.44。
その代わりに、アシル化剤は国際公開第2009/022005号に記載の通り中間体19−((S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ノナデカン酸tert−ブチルエステル(代替名:Bu−エイコサンジオイル−gGlu(OBu)−OEG−OEG−OH)を調製した後、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルとして活性化し、TFA切断(上の最後の2工程)を行う固相法によって調製できる。
【0175】
実施例27:試薬19−((S)−1−カルボキシ−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ノナデカン酸(代替名: エイコサンジオイル−gGlu−OEG−OEG−OSu)を用いたA14E、B25H、デスB27、デスB30ヒトインスリンのアシル化
A14E、B25H、B29K((N(eps)エイコサンジオイル−gGlu−[2−(2−{2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル))、デスB27、デスB30ヒトインスリン(代替名:A14E、B25H、B29K(Nエイコサンジオイル−gGlu−OEG−OEG)、デスB27、デスB30ヒトインスリン)の調製

1g(0.18mmol)のA14E、B25H、デスB27、デスB30ヒトインスリンを炭酸ナトリウム水溶液(100mM、35mL)に溶解した。pHを1NのNaOHを用いて10.29から10.45に調整した。NMP(3.3mL)に溶解した19−((S)−1−カルボキシ−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ノナデカン酸(代替名:エイコサンジオイル−gGlu−OEG−OEG−OSu)(190mg、0.22mmol)を添加した。混合物を室温で50分間攪拌した。水(50mL)を添加し、pHを1Nの塩酸で4.4に調整した。沈殿を遠心して単離し、上清をデカントした。
沈殿した生成物のHPLC−MSは、26.9%が不変のインスリン、61.7%がモノアシル化された所望の生成物(B29−アシル化)及び11%がジアシル化された生成物であることを示した。このHPLC−MS法を用いたA1−モノアシル化生成物(B29アシル化生成物の前に溶出)は存在しなかった。
沈殿は次いで1%のTFA、及びアセトニトリルを含む水に溶解し、RP HPLC(カラム:Phenomenex、Gemini、5μ、C18、110A、250x30mm)で精製した。純粋な画分を集め凍結乾燥した。凍結乾燥した粉末を水に溶解し、pHを0.1NのNaOHを用いて8.0に調整した。凍結乾燥によって標題のインスリンを得た。
生成物のHPLC−MSは、100%の純度で、モノアシル化された所望の生成物(B29−アシル化)だけを示した。
【0176】
実施例28:試薬17−((S)−1−カルボキシ−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ヘプタデカン酸(代替名:オクタデカンジオイル−gGlu−OEG−OEG−OSu)を用いたpH11.5及び室温におけるA14E、B25H、デスB30ヒトインスリンのアシル化
A14E、B25H、B29K((Nεオクタデカンジオイル−gGlu−[2−(2−{2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル))、デスB30ヒトインスリン(代替名:A14E、B25H、B29K(Nεオクタデカンジオイル−gGlu−OEG−OEG)、デスB30ヒトインスリン)の調製
A14E、B25H、デスB30ヒトインスリンを水に溶解し室温で濃度20g/lとした。固体のリン酸ナトリウムを添加し、濃度15mMとし、pHをNaOHで11.5に調節した。アシル化剤(オクタデカンジオイル−gGlu−OEG−OEG−OSu)をNMPに溶解し、濃度を0.2g/mlとし、攪拌しながらインスリン溶液に徐々に添加した。pHは反応中NaOHを連続的に添加することによって11.5に維持した。サンプルを回収し、RP−HPLCによって反応中解析した。結果を表28.1に示す。
表28.1:B29MA及びA1MAは、それぞれ、B29K及びA1のN末端アミノ基の位置におけるモノアシル化の省略名である。

【0177】
実施例29:2℃、pH11.25;11.50及び11.75における試薬17−((S)−1−カルボキシ−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ヘプタデカン酸(代替名:オクタデカンジオイル−gGlu−OEG−OEG−OSu)を用いたA14E、B25H、デスB30のアシル化
A14E、B25H、B29K((Nεオクタデカンジオイル−gGlu−[2−(2−{2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル))、デスB30ヒトインスリン(代替名:A14E、B25H、B29K(Nεオクタデカンジオイル−gGlu−OEG−OEG)、デスB30ヒトインスリン)の調製
A14E、B25H、デスB30ヒトインスリンを水に溶解し3つの異なる実験で濃度を20g/lとし、pHをNaOHを用いてそれぞれ、11.25、11.50及び11.75とした。アシル化剤(オクタデカンジオイル−gGlu−OEG−OEG−OSu)をNMPに溶解し、濃度を0.2g/mlとし、攪拌しながらインスリン溶液に徐々に添加した。pHは反応中NaOHを連続的に添加することによってそれぞれのpH値に維持した。サンプルを回収し、RP−HPLCによって反応中解析した。結果をそれぞれ29.1、29.2、及び29.3に示す。
表28.1:B29MA及びA1MAは、それぞれ、B29K及びA1のN末端アミノ基の位置におけるモノアシル化の省略名である。
表29.1:pH11.25アシル化

表29.2:pH11.50アシル化

表29.3:pH11.75アシル化

【0178】
実施例30:試薬17−((S)−1−カルボキシ−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ヘプタデカン酸(代替名:オクタデカンジオイル−gGlu−OEG−OEG−OSu)を用いたpH11.5及び室温におけるA14E、B16H、B25H、デスB30ヒトインスリンのアシル化
A14E、B16H、B25H、B29K((Nεオクタデカンジオイル−gGlu−[2−(2−{2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル))、デスB30ヒトインスリン(代替名:A14E、B16H、B25H、B29K(Nεオクタデカンジオイル−gGlu−OEG−OEG)、デスB30ヒトインスリン)の調製
A14E、B16H、B25H、デスB30ヒトインスリンを水に溶解し、室温で濃度を20g/lとした。固体リン酸ナトリウムとEDTAをそれぞれ、15mM及び4mMの濃度で添加した。pHはNaOHで11.5に調節した。アシル化試薬(オクタデカンジオイル−gGlu−OEG−OEG−OSu)をNMPに溶解して濃度を0.2g/mlとし、攪拌しながらインスリン溶液に滴下して添加した。pHは反応の間NaOHを連続的に添加することにより11.5に維持した。サンプルを回収し、反応の間RP−HPLCで解析した。結果を下の表30.1に示す。
表30.1:

【0179】
実施例31:試薬19−((S)−1−カルボキシ−3−{2−[2−({2−[2−(2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルオキシカルボニルメトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ノナデカン酸(代替名: エイコサンジオイル−gGlu−OEG−OEG−OSu)を用いたpH11.5及び室温におけるA14E、B25H、デスB30ヒトインスリンのアシル化
A14E、B25H、B29K((N エイコサンジオイル−gGlu−[2−(2−{2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]アセチル))、デスB30ヒトインスリン(代替名:A14E、B25H、B29K(Nエイコサンジオイル−gGlu−OEG−OEG)、デスB30ヒトインスリン)の調製
A14E、B25H、デスB30ヒトインスリンを水に溶解し、室温で20g/lの濃度にした。固体リン酸ナトリウムとEDTAをそれぞれ、15mM及び4mMの濃度で添加した。pHはNaOHで11.5に調節した。アシル化試薬(エイコサンジオイル−γGLU−OEG−OEG)をNMPに溶解して濃度を0.2g/mlとし、攪拌しながらインスリン溶液に滴下して添加した。pHは反応の間NaOHを連続的に添加することにより11.5に維持した。サンプルを回収し、反応の間RP−HPLCで解析した。結果を下の表31.1に示す。
表31.1:


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の一のアミノ基を選択的にアシル化するための方法において、該方法が、
a)水溶媒中で、少なくとも2個の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質を一般式I

[上式中、
nは1から6であり、
mは1から2であり、
wは4から20であり、
R1は前記アシル化剤を遊離のアミンと反応させる際に、R1に結合しているカルボニル基と前記アミンの間のアミド結合の形成を容易にする脱離基であり、
水溶媒中のpHがpH8からpH14である
]のアシル化剤と反応させ、
b)N-アシル化ペプチド又はタンパク質を単離することを含み、
ここで、アシル化されていないか、一部だけがアシル化されている、少なくとも1の反応性求核性官能基を含む、N-アシル化ペプチド又はタンパク質を得る方法。
【請求項2】
反応性求核性官能基がアミノ基である、請求項1に記載の2以上の反応性求核性官能基を有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【請求項3】
水性反応混合物のpHがpH10からpH12の間である、請求項1又は2の何れか一項に記載の反応性求核性官能基を2以上有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【請求項4】
アシル化処理の反応混合物の温度が−5℃から50℃、例えば、0℃から50℃である、請求項1から3の何れか一項に記載の反応性求核性官能基を2以上有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【請求項5】
試薬が30から60分間の時間をかけて添加される、請求項1から4の何れか一項に記載の反応性求核性官能基を2以上有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【請求項6】
アシル化混合物をアシル化剤の添加後0から24時間反応させる、請求項1から5の何れか一項に記載の反応性求核性官能基を2以上有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【請求項7】
アシル化剤の添加直後、pHをpH6.5から9.0、例えば、pH7.5から8.0に調節することによって、反応を停止させる、請求項1から6の何れか一項に記載の反応性求核性官能基を2以上有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【請求項8】
ペプチド又はタンパク質が少なくとも5.0mg/mlの濃度で反応混合物中に存在する、請求項1から7の何れか一項に記載の反応性求核性官能基を2以上有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【請求項9】
反応混合物がバッファーを含む、請求項1から8の何れか一項に記載の反応性求核性官能基を2以上有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【請求項10】
不活性溶媒中に溶解したアシル化剤を含む、アシル化剤を溶液中に添加する、請求項1から9の何れか一項に記載の反応性求核性官能基を2以上有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【請求項11】
工程(a)の反応がタンパク質と式Iのアシル化剤を1:1から1:5のモル比で用いることによって実施される、請求項1から10の何れか一項に記載の反応性求核性官能基を2以上有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【請求項12】
アシル化されるペプチド又はタンパク質が糖尿病の治療に適したペプチド又はタンパク質である、請求項1から11の何れか一項に記載の反応性求核性官能基を2以上有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【請求項13】
アシル化されるペプチド又はタンパク質が肥満の治療に適したペプチド又はタンパク質である、請求項1から12の何れか一項に記載の反応性求核性官能基を2以上有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【請求項14】
アシル化されるペプチド又はタンパク質がグルカゴン様ペプチド又はインスリンである、請求項1から13の何れか一項に記載の反応性求核性官能基を2以上有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。
【請求項15】
N−アシル化ペプチド又はタンパク質が、アシル化されていない少なくとも1の遊離アミノ基を含む、請求項1から14の何れか一項に記載の反応性求核性官能基を2以上有するペプチド又はタンパク質中の1のアミノ基を選択的にアシル化する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−502083(P2012−502083A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526498(P2011−526498)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061821
【国際公開番号】WO2010/029159
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】