説明

ペルヒドロラーゼの安定化

本明細書で開示されるのは、カルボン酸エステルとの調合物中のCE−7エステラーゼのペルヒドロラーゼ活性を、実質的に溶解されていない緩衝剤をCE−7エステラーゼとカルボン酸エステルとの混合物に添加するステップを用いて安定化させる方法である。さらに本明細書に記載される方法によって生成される、過酸を含む消毒およびランドリーケア調合物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許の相互参照
本明細書は、その各内容全体を参照によって本明細書に援用する、それぞれ2008年10月3日に出願された米国仮特許出願第61/102,505号明細書、米国仮特許出願第61/102,512号明細書、米国仮特許出願第61/102,514号明細書、米国仮特許出願第61/102,520号明細書、米国仮特許出願第61/102,531号明細書、および米国仮特許出願第61/102,539号明細書の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、酵素的過酸合成および原位置酵素触媒作用の分野に関する。少なくとも1つのペルオキシカルボン酸が、表面の消毒または衛生化、医療器具滅菌、食品加工装置滅菌に有効で、漂白、脱染、脱臭、消毒または衛生化などのテキスタイルおよびランドリーケア用途で使用するのに適する十分な濃度で生成される。
【背景技術】
【0003】
過酸組成物は、効果的な抗菌剤であることが報告されている。硬表面、肉製品、生きた植物組織、および医療装置を望ましくない微生物の成長に対して清潔にし、消毒し、および/または衛生化する方法については既述されている(例えば特許文献1〜5)。過酸はまた、洗濯洗剤用途のために漂白組成物を調製する上で有用であることが報告されている(特許文献6〜8)。
【0004】
過酸は、カルボン酸と過酸化水素との化学反応によって調製し得る(非特許文献1を参照されたい)。反応は通常、濃硫酸などの無機強酸によって触媒される。過酸化水素とカルボン酸との反応は平衡状態反応であり、過酸の生成は、過剰な濃度の過酸化物および/またはカルボン酸の使用によって、または水の除去によって促進される。
【0005】
いくつかの過酸ベースの消毒剤または漂白剤は、過酸、過酸化水素、および対応するカルボン酸の平衡状態混合物を含む。これらの市販の過酸浄化系の1つの不都合は、過酸が時間経過と共に頻繁に溶液中で不安定になることである。安定性の問題を克服する一方法は、個々には長期間安定している多重反応構成要素を組み合わせることで、過酸を使用前に発生させることである。好ましくは個々の反応構成要素は保存が容易で取り扱いが比較的安全であり、混合時に有効濃度の過酸を迅速に生成できる。
【0006】
炭水化物エステラーゼのCE−7ファミリーがペルヒドロラーゼ活性を有することは、最近報告されている。こられの「ペルヒドロラーゼ」酵素を過酸素源と組み合わせると、多様なカルボン酸エステル基質から過酸を生成するのに特に効果的であることが実証されている。(それぞれ全体を参照によって本明細書に援用するDiCosimoらに付与された、特許文献9、10および11を参照されたい)。炭水化物エステラーゼCE−7ファミリーのいくつかのメンバーは、ひとたび反応構成要素が混合されると、アルコール、ジオール、およびグリセロールのアセチルエステルから、1分間に4000〜5000ppm、5分〜30分間に最高9000ppmの過酢酸を生成するのに十分な過加水分解活性を有することが実証されている(DiCosimoら、特許文献12)。
【0007】
DiCosimoらに付与された特許文献12に記載される酵素的過酸発生系は、典型的に過酸溶液が必要になるまで分離したままの、多重反応構成要素の使用に基づく。このアプローチを使用して、多数の過酸ベースの消毒剤および漂白剤の保存に付随する、過酸の不安定性問題が克服される。しかしCE−7炭水化物エステラーゼを含む多成分調合物を使用する場合、ペルヒドロラーゼ活性の長期安定性を提供する特定調合物に対する必要が依然としてある。格別関心が持たれるのは、2未満のlog P(すなわちオクタノールと水の間の物質分配係数の対数、Pは[溶質]octanol/[溶質]waterに等しい)を有する有機液体または溶剤中に保存した場合の、過加水分解活性を有するCE−7酵素の長期貯蔵安定性である。以前DiCosimoらによって記載されたいくつかの有機エステル基質は、log P値が2未満である。
【0008】
有機液体または溶剤は、酵素を有機液体または溶剤に直接懸濁する場合、または混和性有機/水性単一相液体または溶剤を用いる場合に、酵素活性に有害であり得る。酵素活性および構造に対する有機溶剤の影響をレビューする、次の2つの文献がある。(a)非特許文献2、および(b)非特許文献3。前出のCowanおよびPlant(87頁)は、有機相系中で細胞内酵素を安定化するためにlog P≦2を有する有機溶剤を使用することは、ほとんど意味がないと技術分野が一般に認識すると述べる。2〜4のlog Pを有する有機溶剤は、酵素安定性次第でケースバイケースで使用し得て、log P>4を有するものは一般に有機相系中で有用である。
【0009】
前出のCowanおよびPlant(91頁)は、単相有機−水性溶剤に溶解された酵素の直接曝露の効果は、溶剤濃度、溶剤/酵素表面基の相互作用、および溶剤/酵素水和シェルの相互作用に左右されるとさらに述べている。溶剤が水相と完全に混和性であって単相を生じるように、溶剤のlog P値は十分に低くなくてはならないため、log Pの低い有機溶剤を含有する単相有機−水性溶剤は、低有機溶剤濃度の用途を除いて、通常、酵素の安定性に悪影響を及ぼす。トリアセチンは、エタノール(log P−0.26)およびイソプロパノール(log P=0.15)(CowanおよびPlant)と類似したlog P=0.25を有することが報告される(非特許文献4)。したがってトリアセチン中での酵素粉末の保存は、酵素活性に許容できない損失をもたらすことが予期され、log P≦2の追加的共溶媒の使用についても同様である(例えばシクロヘキサノン、log P=0.94)(CowanおよびPlant);1,2−プロパンジオール、log P=−1.41(Gunningら);1,3−プロパンジオール、log P=−1.3(非特許文献5;ジエチレングリコールブチルエーテル、log P=0.56(非特許文献6;トリエチレングリコール、log P=−1.75(非特許文献7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,545,047号明細書
【特許文献2】米国特許第6,183,807号明細書
【特許文献3】米国特許第6,518,307号明細書
【特許文献4】米国特許第5,683,724号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0026846号明細書
【特許文献6】米国特許第3,974,082号明細書
【特許文献7】米国特許第5,296,161号明細書
【特許文献8】米国特許第5,364,554号明細書
【特許文献9】国際公開第2007/070609号パンフレット
【特許文献10】米国特許出願公開第2008/0176299号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2008/176783号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2009/0005590号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Organic Peroxides,Daniel Swern,ed.,Vol.1,pp 313−516;Wiley Interscience,New York,1971
【非特許文献2】C.Laaneら,Biotechnol.Bioeng.30:81−87(1987)
【非特許文献3】Cowan,D.A.およびPlant,A.,Biocatalysis in Organic Phase Systems.,Ch.7 in Biocatalysis at Extreme Temperatures,Kelly,R.W.W.およびAdams,M.,eds.,Amer.Chem.Soc.Symposium Series,Oxford University Press,New York,NY,pp 86−107(1992)
【非特許文献4】Y.M.Gunningら,J.Agric.Food Chem.48:395−399(2000)
【非特許文献5】S−J.Kuoら,J.Am.Oil Chem.Soc.73:1427−1433(1996)
【非特許文献6】N.Funasakiら,J.Phys.Chem.88:5786−5790(1984)
【非特許文献7】L.Braekenら,ChemPhysChem 6:1606−1612(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって解決すべき問題は、過酸生成のために用いられる有機エステル基質中の過酸発生酵素混合物を使用して、製品を調合することであり、酵素はカルボン酸エステル基質との混合物中に保存された場合でも、顕著なペルヒドロラーゼ活性を保つ。
【課題を解決するための手段】
【0013】
既述の問題は、カルボン酸エステルとの調合物中に存在する場合、構造的にCE−7酵素に分類されて過加水分解活性を有する少なくとも1つの酵素の過加水分解活性を安定化する方法の発見によって解決された。より具体的には、少なくとも1つの緩衝液を、カルボン酸エステルと、CE−7酵素を含む酵素粉末と、少なくとも1つの賦形剤とを含む調合物に添加することで、調合物中に保存されるCE−7酵素の過加水分解活性の安定性が増強される。
【0014】
一態様では、酵素とカルボン酸エステルとを含む調合物中に存在する場合の前記酵素の過加水分解活性を安定化する方法であって、
(a)構造的にCE−7酵素に分類されて過加水分解活性を有する少なくとも1つの酵素と、少なくとも1つの賦形剤と、任意選択により少なくとも1つの界面活性剤とを含む水性調合物を提供するステップと、
(b)前記(a)の水性調合物を噴霧乾燥させて、前記少なくとも1つの酵素と、前記少なくとも1つのオリゴ糖類賦形剤と、任意選択により前記少なくとも1つの界面活性剤とを含む酵素粉末を生成するステップと、
(c)前記(b)の酵素粉末を少なくとも1つの緩衝液およびカルボン酸エステルと組み合わせて調合物を形成するステップと
を含み、前記調合物への前記少なくとも1つの緩衝液の添加が、前記調合物中に保存される場合の前記少なくとも1つの酵素の過加水分解活性安定性を増強する、方法が提供される。
【0015】
別の態様では、多成分過酸発生系中の第1の構成要素として使用される調合物であって、
(a)モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、モノプロピオニン、ジプロピオニン、トリプロピオニン、モノブチリン、ジブチリン、トリブチリンからなる群から選択される少なくとも1つのカルボン酸エステル、およびそれらの混合物と、
(b)構造的にCE−7酵素に分類されて過加水分解活性を有する少なくとも1つの酵素の噴霧乾燥調合物と、少なくとも1つの賦形剤と、任意選択により少なくとも1つの界面活性剤とを含む酵素粉末と、
(c)前記調合物中に存在する場合の前記少なくとも1つの酵素の安定性を増強する、少なくとも1つの緩衝液と
の混合物を含む、調合物が提供される。
【0016】
さらに別の態様では、第1の構成要素と第2の構成要素とを含む消毒剤系であって、前記第1の構成要素が上述の調合物を含み、前記第2の構成要素が水中の過酸素源および任意選択により過酸化水素安定剤を含む、消毒剤が提供される。
【0017】
追加的態様では、ペルオキシカルボン酸を酵素的に生成する方法であって、
(a)一揃いの反応構成要素を提供するステップであって
(1)上述の調合物と、
(2)水中の過酸素源と
を含む、一揃いの反応構成要素を提供するステップと、
(b)前記反応構成要素を組み合わせて、それによってペルオキシカルボン酸が生成されるステップと
を含む、方法が提供される。
【0018】
別の態様では、酵素的に生成されたペルオキシカルボン酸組成物を使用して硬表面または無生物的対象物を消毒する方法であって、
(a)一揃いの反応構成要素を提供するステップであって
(1)上述の調合物と、
(2)水中の過酸素源と
を含む、ステップと、
(b)前記反応構成要素を組み合わせて、それによってペルオキシカルボン酸が生成されるステップと、
(c)任意選択により前記ペルオキシカルボン酸生成物を希釈するステップと、
(d)前記硬表面または無生物的対象物に前記ステップ(b)またはステップ(c)で生成されたペルオキシカルボン酸生成物を接触させて、それによって前記表面または前記無生物的対象物を消毒するステップと
を含む、方法が提供される。
【0019】
さらなる態様は、酵素的に生成されたペルオキシカルボン酸組成物を使用して、漂白、染み抜き、臭気低減、衛生化または消毒のために、衣料品またはテキスタイルを処理する方法であって、
(a)一揃いの反応構成要素を提供するステップであって
(1)混合物であって
(i)上述の調合物と、
(ii)カルボン酸エステルと
を含む調合物と、
(2)過酸素源と
を含む、ステップと、
(b)適切な水性反応条件下で、前記反応構成要素を組み合わせて、それによってペルオキシカルボン酸生成物が形成されるステップと、
(c)任意選択により前記ペルオキシカルボン酸生成物を希釈するステップと、
(d)前記衣料品またはテキスタイルにステップ(b)またはステップ(c)で生成されたペルオキシカルボン酸を接触させるステップと
を含み、前記衣料品またはテキスタイルが清潔にされ、脱染され、脱臭され、衛生化され、消毒され、またはその組み合わせがなされる、方法である。
【0020】
生物学的配列の簡単な説明
以下の配列は、37C.F.R.§§1.821〜1.825(”Requirements for Patent Applications Containing Nucleotide Sequences and/or Amino Acid Sequence Disclosures − the Sequence Rules”「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列開示を含む特許出願の要件−配列規則」)を満たし、世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25(1998)、および欧州特許条約(EPC)および特許協力条約(PCT)規則5.2および49.5(aの2)の配列表要件、および実施細則第208号および附属書Cに一致する。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データのために使用される記号および型式は、37C.F.R.§1.822で述べられる規則に従う。
【0021】
配列番号1は、枯草菌(Bacillus subtilis)ATCC(登録商標)31954(商標)からのセファロスポリンCデアセチラーゼの推定アミノ酸配列である。
【0022】
配列番号2は、枯草菌(B.subtilis)ATCC(登録商標)6633(商標)からのセファロスポリンCデアセチラーゼの推定アミノ酸配列である。
【0023】
配列番号3は、B.リチェニホルミス(B.licheniformis)ATCC(登録商標)14580(商標)からのセファロスポリンCデアセチラーゼの推定アミノ酸配列である。
【0024】
配列番号4は、B.プミルス(B.pumilus)PS213からのアセチルキシランエステラーゼの推定アミノ酸配列である。
【0025】
配列番号5は、クロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)ATCC(登録商標)27405(商標)からのアセチルキシランエステラーゼの推定アミノ酸配列である。
【0026】
配列番号6は、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)からのアセチルキシランエステラーゼの推定アミノ酸配列である。
【0027】
配列番号7は、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)MSB8からのアセチルキシランエステラーゼの推定アミノ酸配列である。
【0028】
配列番号8は、サーモアナエロバクテリウム(Thermoanaerobacterium)JW/SL YS485種からのアセチルキシランエステラーゼの推定アミノ酸配列である。
【0029】
配列番号9は、バシラス(Bacillus)NRRL B−14911種からのセファロスポリンCデアセチラーゼの推定アミノ酸配列である。GENBANK(登録商標)登録番号ZP_01168674で報告されるバシラス(Bacillus)NRRL B−14911種からのセファロスポリンCデアセチラーゼをコードする核酸配列は、その他のセファロスポリンCデアセチラーゼとの配列アラインメント、および報告された長さ(340個のアミノ酸)とその他のCAH酵素の観察された長さ(典型的に318〜325個のアミノ酸の長さ;参照によって本明細書に援用する「Enzymatic Peracid Production using A Cosolvent」と題された、代理人整理番号CL4205 US NAの共有される同時出願同時係属米国特許出願を参照されたい)との比較に基づいて、恐らくは不正確である15個のアミノ酸N末端付加をコードするようであることに留意すべきである。したがってバシラス(Bacillus)NRRL B−14911種からのセファロスポリンCデアセチラーゼ配列について、本明細書で報告される推定アミノ酸配列は、GENBANK(登録商標)登録番号ZP_01168674の下に報告されるN末端の15個のアミノ酸を含まない。
【0030】
配列番号10は、バシラス・ハロデュランス(Bacillus halodurans)C−125からのセファロスポリンCデアセチラーゼの推定アミノ酸配列である。
【0031】
配列番号11は、バシラス・クラウシイ(Bacillus clausii)KSM−K16からのセファロスポリンCデアセチラーゼの推定アミノ酸配列である。
【0032】
配列番号12は、枯草菌(Bacillus subtilis)ATCC(登録商標)29233(商標)セファロスポリンCデアセチラーゼ(CAH)の推定アミノ酸配列である。
【0033】
配列番号13は、サーモアナエロバクテリウム・サッカロリティカム(Thermoanaerobacterium saccharolyticum)セファロスポリンCデアセチラーゼの推定アミノ酸配列である。
【0034】
配列番号14は、サーモトガ・レティンガエ(Thermotoga lettingae)アセチルキシランエステラーゼの推定アミノ酸配列である。
【0035】
配列番号15は、サーモトガ・ペトロフィラ(Thermotoga petrophila)アセチルキシランエステラーゼの推定アミノ酸配列である。
【0036】
配列番号16は、本明細書に「RQ2(a)」として記載されるサーモトガ(Thermotoga)RQ2種からの第1のアセチルキシランエステラーゼの推定アミノ酸配列である。
【0037】
配列番号17は、本明細書に「RQ2(b)」として記載されるサーモトガ(Thermotoga)RQ2種からの第2のアセチルキシランエステラーゼの推定アミノ酸配列である。
【0038】
配列番号18は、配列番号1のアミノ酸残基118〜299を包含する領域のアミノ酸配列である。
【0039】
配列番号19は、(その全体を参照によって本明細書に援用する)共有される同時出願同時係属米国特許出願代理人整理番号CL4392 US NAからのサーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)アセチルキシランエステラーゼ変異型の推定アミノ酸配列であり、277位のXaa残基はAla、Val、Ser、またはThrである。
【0040】
配列番号20は、共有される同時出願同時係属米国特許出願代理人整理番号CL4392 US NAからのサーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)MSB8アセチルキシランエステラーゼ変異型の推定アミノ酸配列であり、277位のXaa残基はAla、Val、Ser、またはThrである。
【0041】
配列番号21は、共有される同時出願同時係属米国特許出願代理人整理番号CL4392 US NAからのサーモトガ・レティンガエ(Thermotoga lettingae)アセチルキシランエステラーゼ変異型の推定アミノ酸配列であり、277位のXaa残基はAla、Val、Ser、またはThrである。
【0042】
配列番号22は、共有される同時出願同時係属米国特許出願代理人整理番号CL4392 US NAからのサーモトガ・ペトロフィラ(Thermotoga petrophila)アセチルキシランエステラーゼ変異型推定アミノ酸配列であり、277位のXaa残基はAla、Val、Ser、またはThrである。
【0043】
配列番号23は、共有される同時出願同時係属米国特許出願代理人整理番号CL4392 US NAからの「RQ2(a)」に由来するサーモトガ(Thermotoga)RQ2種アセチルキシランエステラーゼ変異型の推定アミノ酸配列であり、277位のXaa残基はAla、Val、Ser、またはThrである。
【0044】
配列番号24は、共有される同時出願同時係属米国特許出願代理人整理番号CL4392 US NAからの「RQ2(b)」に由来するサーモトガ(Thermotoga)RQ2種アセチルキシランエステラーゼ変異型の推定アミノ酸配列であり、278位のXaa残基はAla、Val、Ser、またはThrである。
【0045】
配列番号25は、サーモアナエロバクテリウム(Thermoanaerobacterium)JW/SL YS485種アセチルキシランエステラーゼの推定アミノ酸配列である。
【0046】
配列番号26は、ストレプトミセス・カナマイセティカス(Streptomyces kanamyceticus)からのカナマイシン抵抗性遺伝子(kan)のコード領域である。
【0047】
配列番号27は、カナマイシン抵抗性遺伝子を含有するプラスミドpKD13である。
【0048】
配列番号28は、プラスミドpKD13からのkatGをクローンするために使用される順方向プライマーである。
【0049】
配列番号29は、プラスミドpKD13からのkatGをクローンするために使用される逆方向プライマーである。
【0050】
配列番号30は、配列番号28および配列番号29のプライマーを使用した、プラスミドpKD13からのkatG増幅のPCR産物である。
【0051】
配列番号31は、カタラーゼ−ペルオキシダーゼ遺伝子(katG)のコード領域である。
【0052】
配列番号32は、katGの推定アミノ酸配列である。
【0053】
配列番号33は、λ−Redリコンビナーゼ遺伝子を含有するプラスミドpKD46である。
【0054】
配列番号34は、katGの中断を確認するのに使用される順方向プライマーである。
【0055】
配列番号35は、katGの中断を確認するのに使用される逆方向プライマーである。
【0056】
配列番号36は、FLPリコンビナーゼを含有する温度感受性プラスミドpCP20である。
【0057】
配列番号37は、プラスミドpKD13からkatEをクローンするのに使用される順方向プライマーである。
【0058】
配列番号38は、プラスミドpKD13からkatEをクローンするのに使用される逆方向プライマーである。
【0059】
配列番号39は、配列番号37および配列番号38のプライマーを使用した、プラスミドpKD13からのkatE増幅のPCR産物である。
【0060】
配列番号40は、カタラーゼHPII遺伝子(katE)のコード領域である。
【0061】
配列番号41は、katEの推定アミノ酸配列である。
【0062】
配列番号42は、katEの中断を確認するのに使用される順方向プライマーである。
【0063】
配列番号43は、katEの中断を確認するのに使用される逆方向プライマーである。
【0064】
配列番号44は、GENBANK(登録商標)(登録番号AE000512)で報告される、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)からのアセチルキシランエステラーゼをコードする遺伝子のコード領域である。
【0065】
配列番号45は、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)からのアセチルキシランエステラーゼ遺伝子を増幅するのに使用される順方向プライマーである。
【0066】
配列番号46は、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)からのアセチルキシランエステラーゼ遺伝子を増幅するのに使用される逆方向プライマーである。
【0067】
配列番号47は、配列番号45および配列番号46のプライマーを使用したアセチルキシランエステラーゼ増幅のPCR産物である。
【0068】
配列番号48は、GENBANK(登録商標)(登録番号NP_227893.1)で報告される、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)MSB8からのアセチルキシランエステラーゼをコードする遺伝子である。
【0069】
配列番号49は、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)からのアセチルキシランエステラーゼ遺伝子を増幅するのに使用される順方向プライマーである。
【0070】
配列番号50は、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)からのアセチルキシランエステラーゼ遺伝子を増幅するのに使用される逆方向プライマーである。
【0071】
配列番号51は、配列番号49および配列番号50のプライマーを使用したアセチルキシランエステラーゼ増幅のPCR産物である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本明細書で開示されるのは、カルボン酸エステルとの調合物中のCE−7エステラーゼのペルヒドロラーゼ活性を、実質的に溶解されていない緩衝剤をCE−7エステラーゼとカルボン酸エステルとの調合物に添加するステップを用いいて安定化させる方法である。さらに本明細書に記載される方法によって生成される、過酸を含む消毒剤調合物が提供される。
【0073】
本開示では、いくつかの用語および略語が使用される。特に断りのない限り、以下の定義が当てはまる。
【0074】
本明細書での用法では、本発明の要素または構成要素に先行する冠詞「a」、「an」、および「the」は、要素または構成要素の事例(すなわち発生)数に関して非限定的であることが意図される。したがって「a」、「an」、および「the」は、1つまたは少なくとも1つを含むものと解釈すべきであり、要素または構成要素の単数形は、数値が明らかに単数を意味する場合を除き複数もまた含む。
【0075】
本明細書での用法では、「含む」という用語は特許請求の範囲で言及される既述の徴群、整数、ステップ、または構成要素の存在を意味するが、1つ以上のその他の徴群、整数、ステップ、構成要素またはそれらの群の存在または添加を排除しない。「含む」という用語は、「から本質的になる」および「からなる」という用語に包含される具現を含むことが意図される。同様に、「から本質的になる」という用語は、「からなる」という用語に包含される具現を含むことが意図される。
【0076】
本明細書での用法では、用いられる成分または反応物質の量を修飾する「約」という用語は、例えば濃縮物を作成するのに使用される典型的な測定および液体取り扱い手順、または実際の溶液の使用を通じて、これらの手順における不慮の誤りを通じて、組成物を製造しまたは方法を実行するのに用いられる成分の製造、原料、または純度の違いを通じて起こり得る数量の変動を指す。「約」という用語は、特定の初期混合物に由来する組成物の異なる平衡条件のせいで異なる量もまた包含する。「約」という用語によって修飾されているかどうかに関わらず、特許請求の範囲は量の同等物を含む。
【0077】
存在する場合、全ての範囲は、包括的かつ連結可能である。例えば「1〜5」の範囲を列挙する場合、列挙する範囲は「1〜4」、「1〜3」、「1〜2」、「1〜2および4〜5」、「1〜3および5」などの範囲を含むものと解釈すべきである。
【0078】
本明細書での用法では、「基質」、「適切な基質」、および「カルボン酸エステル基質」という用語は同義的に、具体的に、
(a)式、
[X]
(式中、
Xは式RC(O)Oのエステル基であり、
は任意選択により水酸基またはC1〜C4アルコキシ基で置換される、C1〜C7直鎖、分枝または環式ヒドロカルビル部分であり、Rは任意選択により1つ以上のエーテル結合を含み、RはC2〜C7であり;
は任意選択により水酸基で置換される、C1〜C6直鎖、分枝、または環式ヒドロカルビル部分であり、R中の各炭素原子は個々に1つを超えない水酸基または1つを超えないエステル基を含み、Rは任意選択により1つ以上のエーテル結合を含み;
mは1からR中の炭素原子数までである)の構造を有する、25℃で少なくとも5ppmの水への溶解度を有する1つ以上のエステル;または
(b)式、
【化1】

(式中、
は任意選択によりヒドロキシルまたはC1〜C4アルコキシ基で置換される、C1〜C7直鎖または分枝鎖アルキルであり、
およびRは個々にHまたはRC(O)である)の構造を有する1つ以上のグリセリド;または
(c)式、
【化2】

(式中、
は任意選択によりヒドロキシルまたはC1〜C4アルコキシ基で置換される、C1〜C7直鎖または分枝鎖アルキルであり、
はC1〜C10直鎖または分枝鎖アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリール、(CHCHO)、または(CHCH(CH)−O)Hであり、
nは1〜10である)の1つ以上のエステル;または
(d)1つ以上のアセチル化単糖類、アセチル化二糖類、またはアセチル化多糖類;または
(e)(a)〜(d)のあらゆる組み合わせ
を指す。
【0079】
前記カルボン酸エステル基質の例としてはとしては、モノアセチン;トリアセチン;モノプロピオニン;ジプロピオニン;トリプロピオニン;モノブチリン;ジブチリン;トリブチリン;グルコースペンタアセテート;キシローステトラアセテート;アセチル化キシラン;アセチル化キシラン断片;β−D−リボフラノース−1,2,3,5−テトラアセテート;トリ−O−アセチル−D−ガラクタール;トリ−O−アセチル−グルカール;プロピレングリコールジアセテート;エチレングリコールジアセテート;1,2−エタンジオールのモノエステルまたはジエステル;1,2−プロパンジオール;1,3−プロパンジオール;1,2−ブタンジオール;1,3−ブタンジオール;2,3−ブタンジオール;1,4−ブタンジオール;1,2−ペンタンジオール;2,5−ペンタンジオール;1,6−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール;2,5−ヘキサンジオール;1,6−ヘキサンジオール;またはあらゆるその組み合わせが挙げられる。
【0080】
本明細書での用法では、「過酸」という用語は、ペルオキシ酸(peroxyacid)、ペルオキシカルボン酸、ペルオキシ酸(peroxy acid)、過カルボン酸およびペルオキソ酸と同義である。
【0081】
本明細書での用法では、「過酢酸」という用語は「PAA」と略記されて、ペルオキシ酢酸、エタンペルオキソ酸、およびCAS登録番号79−21−0のあらゆるその他の同義語と同義である。
【0082】
本明細書での用法では、「モノアセチン」という用語は、グリセロールモノアセテート、グリセリンモノアセテート、およびグリセリルモノアセテートと同義である。
【0083】
本明細書での用法では、「ジアセチン」という用語は、グリセロールジアセテート、グリセリンジアセテート、グリセリルジアセテート、およびCAS登録番号25395−31−7のあらゆるその他の同義語と同義である。
【0084】
本明細書での用法では、「トリアセチン」という用語は、グリセリントリアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセリルトリアセテート、1,2,3−トリアセトキシプロパン、1,2,3−プロパントリオールトリアセテート、およびCAS登録番号102−76−1のあらゆるその他の同義語と同義である。
【0085】
本明細書での用法では、「モノブチリン」という用語は、グリセロールモノブチレート、グリセリンモノブチレート、およびグリセリルモノブチレートと同義である。
【0086】
本明細書での用法では、「ジブチリン」という用語は、グリセロールジブチレートおよびグリセリルジブチレートと同義である。
【0087】
本明細書での用法では、「トリブチリン」という用語は、グリセロールトリブチレート、1,2,3−トリブチリルグリセロール、およびCAS登録番号60−01−5のあらゆるその他の同義語と同義である。
【0088】
本明細書での用法では、「モノプロピオニン」という用語は、グリセロールモノプロピオネート、グリセリンモノプロピオネート、およびグリセリルモノプロピオネートと同義である。
【0089】
本明細書での用法では、「ジプロピオニン」という用語は、グリセロールジプロピオネートおよびグリセリルジプロピオネートと同義である。
【0090】
本明細書での用法では、「トリプロピオニン」という用語は、グリセリルトリプロピオネート、グリセロールトリプロピオネート、1,2,3−トリプロピオニルグリセロール、およびCAS登録番号139−45−7のあらゆるその他の同義語と同義である。
【0091】
本明細書での用法では、「酢酸エチル」という用語は、酢酸エーテル、アセトキシエタン、エタン酸エチル、酢酸エチルエステル、エタン酸エチルエステル、エチル酢酸エステル、およびCAS登録番号141−78−6のあらゆるその他の同義語と同義である。
【0092】
本明細書での用法では、「乳酸エチル」という用語は、乳酸エチルエステルおよびCAS登録番号97−64−3のあらゆるその他の同義語と同義である。
【0093】
本明細書での用法では、「アセチル化糖」および「アセチル化糖類」という用語は、少なくとも1つのアセチル基を含む単糖、二糖、および多糖類を指す。例としては、グルコースペンタアセテート、キシローステトラアセテート、アセチル化キシラン、アセチル化キシラン断片、β−D−リボフラノース−1,2,3,5−テトラアセテート、トリ−O−アセチル−D−ガラクタール、およびトリ−O−アセチル−グルカールが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0094】
本明細書での用法では、「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビル基」、および「ヒドロカルビル部分」という用語は、一重、二重、または三重の炭素−対−炭素結合によって、および/またはエーテル結合によって結合し、水素原子で適宜置換された、炭素原子の直鎖、分枝または環式配置を意味する。このようなヒドロカルビル基は、脂肪族および/または芳香族であってもよい。ヒドロカルビル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、ペンチル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ベンジル、およびフェニルが挙げられる。好ましい実施態様では、ヒドロカルビル部分は、一重炭素−対−炭素結合によって、および/またはエーテル結合によって結合し、水素原子で適宜置換された、炭素原子の直鎖、分枝または環式配置である。
【0095】
本明細書での用法では、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,5−ペンタンジオール、1,6−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、およびそれらの混合物の「モノエステル」および「ジエステル」という用語は、式、RC(O)O(式中、RはC1〜C7直鎖ヒドロカルビル部分である)の少なくとも1つのエステル基を含む前記化合物を指す。一実施態様では、カルボン酸エステル基質は、プロピレングリコールジアセテート(PGDA)、エチレングリコールジアセテート(EDGA)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0096】
本明細書での用法では、「プロピレングリコールジアセテート」という用語は、1,2−ジアセトキシプロパン、プロピレンジアセテート、1,2−プロパンジオールジアセテート、およびCAS登録番号623−84−7のあらゆるその他の同義語と同義である。
【0097】
本明細書での用法では、「エチレングリコールジアセテート」という用語は、1,2−ジアセトキシエタン、エチレンジアセテート、グリコールジアセテート、およびCAS登録番号111−55−7のあらゆるその他の同義語と同義である。
【0098】
本明細書での用法では、「適切な酵素反応混合物」、「過酸の原位置発生に適した構成要素」、「適切な反応構成要素」、および「適切な水性反応混合物」という用語は、その中で反応物質と酵素触媒が接触する物質および水を指す。適切な水性反応混合物の構成要素は本明細書で提供され、当業者はこの方法に適した構成要素の変動範囲を理解する。一実施態様では、反応構成要素を組み合わせると、適切な酵素反応混合物は原位置で過酸を生じる。したがって反応構成要素は、反応構成要素の1つ以上が使用時まで分離したままの多成分系として提供されてもよい。別の実施態様では、反応構成要素を最初に組み合わせて過酸水溶液を形成し、それを引き続いて表面と接触させて消毒および/または漂白する。複数の活性構成要素を分離し、組み合わせるシステムのデザインおよび手段は当該技術分野で知られており、一般に個々の反応構成要素の物理的形態に左右される。例えば複数活性流体(液体−液体)系は、反応性流体を混合すると所望の漂白剤が生成するいくつかの漂白用途に見られるものなどの、多槽計量分配装置ボトルまたは二相系を典型的に使用する(例えば米国特許出願公開第2005/0139608号明細書、米国特許第5,398,846号明細書、米国特許第5,624,634号明細書、米国特許第6,391,840号明細書、欧州特許第0807156B1号明細書、米国特許出願公開第2005/0008526号明細書、および国際公開第00/61713号パンフレット)。過酸を発生させるのに使用される多成分系のその他の形態としては、粉末(例えば米国特許第5,116,575号明細書)、多層錠剤(例えば米国特許第6,210,639号明細書)、複数区画を有する水溶性小包装(例えば米国特許第6,995,125号明細書)、および水を添加すると反応する固体凝集塊(例えば米国特許第6,319,888号明細書)などの1つ以上の固体構成要素または固体−液体構成要素の組み合わせのためにデザインされたものが挙げられるが、これに限定されるものではない。一実施態様では、多成分調合物は、2つの構成要素を組み合わせるとペルオキシカルボン酸を含む水溶液が発生する、2つの個々の構成要素として提供される。別の実施態様では、多成分調合物であって、
a)第1の構成要素であって、
i)本明細書で開示される酵素粉末と、
ii)カルボン酸エステルと
を含み、任意選択により無機または有機緩衝液、腐食防止剤、湿潤剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるさらなる成分を含む第1の構成要素と、
b)過酸素源および水を含む第2の構成要素であって、任意選択により過酸化水素安定剤を含む第2の構成要素と
を含む、調合物が提供される。
【0099】
別の実施態様では、第1の構成要素中のカルボン酸エステルは、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。別の実施態様では、第1の構成要素中のカルボン酸エステルはアセチル化糖類である。別の実施態様では、第1の構成要素中の酵素触媒は微粒子固体である。別の実施態様では、第1の反応構成要素は固体錠剤または粉末である。
【0100】
本明細書での用法では、「過加水分解」という用語は、過酸を形成する、選択された基質と過酸化物との反応と定義される。典型的に無機過酸化物は触媒存在下で、選択された基質と反応して過酸を生じる。本明細書での用法では、「化学過加水分解」という用語は、その中で基質(過酸前駆物質)が過酸化水素源と組み合わせられる過加水分解反応を含み、酵素触媒不在下で過酸が形成される。
【0101】
本明細書での用法では、「ペルヒドロラーゼ活性」という用語は、タンパク質、乾燥細胞、または固定化触媒の単位質量(例えばミリグラム)あたりの触媒活性を指す。
【0102】
本明細書での用法では、「1単位の酵素活性」または「1単位の活性」または「U」は、規定温度で1分あたり1μmolの過酸生成物を生じるのに要する、ペルヒドロラーゼ活性の量と定義される。
【0103】
本明細書での用法では、「酵素触媒」および「ペルヒドロラーゼ触媒」という用語は、過加水分解活性を有する酵素を含む触媒を指し、微生物のホールセル、透過処理微生物細胞、微生物細胞抽出物の1つ以上の細胞構成要素、部分的に精製された酵素、または精製酵素の形態であってもよい。酵素触媒はまた、(例えばPEG化によって、または架橋試薬との反応によって)化学的に修飾されていてもよい。ペルヒドロラーゼ触媒はまた、当業者に良く知られている方法を使用して、可溶性または不溶性担体上に固定化されてもよい;例えばImmobilization of Enzymes and Cells;Gordon F.Bickerstaff,Editor;Humana Press,Totowa,NJ,USA;1997を参照されたい。本明細書に記載されるように、過加水分解活性を有する本酵素は全て構造的に酵素の炭水化物ファミリーエステラーゼファミリー7(CE−7ファミリー)のメンバーである(Coutinho,P.M.,Henrissat,B.“Carbohydrate−active enzymes:an integrated database approach”in Recent Advances in Carbohydrate Bioengineering,H.J.Gilbert,G.Davies,B.HenrissatおよびB.Svensson eds.,(1999)The Royal Society of Chemistry,Cambridge,pp.3−12を参照されたい)。酵素のCE−7ファミリーは、過酸素源と組み合わせると、多様なカルボン酸エステル基質から過酸を生成するのに特に効果的であることが実証されている(それぞれその全体を参照によって本明細書に援用する、DiCosimoらに付与された国際公開第2007/070609号パンフレット、米国特許出願公開第2008/0176299号明細書、米国特許出願公開第2008/176783号明細書、および米国特許出願公開第2009/0005590号明細書を参照されたい)。
【0104】
CE−7ファミリーのメンバーとしては、セファロスポリンCデアセチラーゼ(CAH;E.C.3.1.1.41)およびアセチルキシランエステラーゼ(AXE;E.C.3.1.1.72)が挙げられる。CE−7エステラーゼファミリーのメンバーは、保存されたシグネチャーモチーフを共有する(Vincentら,J.Mol.Biol.,330:593−606(2003))。CE−7シグネチャーモチーフおよび/または実質的に同様の構造物を含むペルヒドロラーゼが、本発明で使用するのに適する。実質的に同様の生体分子を同定する手段は、当該技術分野で良く知られている(例えば配列アラインメントプロトコル、核酸ハイブリダイゼーション、および/または保存されたシグネチャーモチーフの存在)。一態様では、本ペルヒドロラーゼはCE−7シグネチャーモチーフを含み、本明細書で提供される配列とアミノ酸が少なくとも30%、好ましくは少なくとも33%、より好ましくは少なくとも40%、なおもより好ましくは少なくとも42%、なおもより好ましくは少なくとも50%、なおもより好ましくは少なくとも60%、なおもより好ましくは少なくとも70%、なおもより好ましくは少なくとも80%、なおもより好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一の酵素を含む。さらなる態様では、本ペルヒドロラーゼは、CE−7シグネチャーモチーフを含み、配列番号1とアミノ酸が少なくとも30%、好ましくは少なくとも33%、より好ましくは少なくとも40%、なおもより好ましくは少なくとも42%、なおもより好ましくは少なくとも50%、なおもより好ましくは少なくとも60%、なおもより好ましくは少なくとも70%、なおもより好ましくは少なくとも80%、なおもより好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一の酵素を含む。
【0105】
本明細書での用法では、「酵素粉末」という用語は、(1)過加水分解活性を有するCE−7炭水化物エステラーゼに構造的に分類される、少なくとも1つの酵素、(2)少なくとも1つのオリゴ糖類賦形剤、および任意選択により少なくとも1つの界面活性剤を含む水性調合物の噴霧乾燥生成物を指す。いくつかの実施態様では、少なくとも1つのオリゴ糖類賦形剤は、少なくとも約1250の数平均分子量、および少なくとも約9000の重量平均分子量を有する。
【0106】
本明細書での用法では、「セファロスポリンCデアセチラーゼ」および「セファロスポリンCアセチルヒドロラーゼ」という用語は、セファロスポリンCや7−アミノセファロスポラン酸などのセファロスポリンの脱アセチル化を触媒する酵素(E.C.3.1.1.41)を指す(Mitsushimaら,(1995)Appl.Env.Microbiol.61(6):2224−2229)。顕著な過加水分解活性を有するいくつかのセファロスポリンCデアセチラーゼが、本明細書で提供される。
【0107】
本明細書での用法では、「アセチルキシランエステラーゼ」は、アセチル化キシランおよびその他のアセチル化糖類の脱アセチル化を触媒する酵素(E.C.3.1.1.72;AXEs)を指す。本明細書で例証されるように、顕著な過加水分解活性を有する、アセチルキシランエステラーゼに分類されるいくつかの酵素が提供される。
【0108】
本明細書での用法では、「枯草菌(Bacillus subtilis)ATCC(登録商標)31954(商標)」という用語は、国際寄託登録番号ATCC(登録商標)31954(商標)を有する、米国微生物系統保存機関(ATCC(登録商標))に寄託された細菌細胞を指す。枯草菌(Bacillus subtilis)ATCC(登録商標)31954(商標)は、エステルヒドロラーゼ(「ジアセチラーゼ」)活性を有して、特にジアセチンである炭素2〜8個のアシル基を有するグリセロールエステルを加水分解できることが報告されている(その内容全体を参照によって本明細書に援用する米国特許第4,444,886号明細書)。本明細書に記載されるように、顕著なペルヒドロラーゼ活性を有する酵素が枯草菌(B.subtilis)ATCC(登録商標)31954(商標)から単離されており、配列番号1として提供される。単離された酵素のアミノ酸配列は、GenBank(登録商標)登録番号BAA01729.1によって提供されるセファロスポリンCデアセチラーゼと100%のアミノ酸同一性を有する(Mitsushimaら、前出)。
【0109】
本明細書での用法では、「枯草菌(Bacillus subtilis)ATCC(登録商標)29233(商標)」という用語は、国際寄託登録番号ATCC(登録商標)29233(商標)を有して、米国微生物系統保存機関(ATCC(登録商標))に寄託された枯草菌(Bacillus subtilis)株を指す。本明細書に記載されるように、顕著なペルヒドロラーゼ活性を有する酵素が枯草菌(B.subtilis)ATCC(登録商標)29233(商標)から単離され配列決定され、配列番号12として提供される。
【0110】
本明細書での用法では、「クロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)ATCC(登録商標)27405(商標)」という用語は、国際寄託登録番号ATCC(登録商標)27405(商標)を有して、米国微生物系統保存機関(ATCC(登録商標))に寄託されたクロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)株を指す。C.サーモセラム(C.thermocellum)ATCC(登録商標)27405(商標)からのペルヒドロラーゼ活性を有する酵素のアミノ酸配列は、配列番号5として提供される。
【0111】
本明細書での用法では、「枯草菌(Bacillus subtilis)ATCC(登録商標)6633(商標)」という用語は、国際寄託登録番号ATCC(登録商標)6633(商標)を有して、米国微生物系統保存機関(ATCC(登録商標))に寄託された細菌細胞を指す。枯草菌(Bacillus subtilis)ATCC(登録商標)6633(商標)は、セファロスポリンアセチルヒドロラーゼ活性を有することが報告されている(米国特許第6,465,233号明細書)。枯草菌(B.subtilis)ATCC(登録商標)6633(商標)からのペルヒドロラーゼ活性を有する酵素のアミノ酸配列は、配列番号2として提供される。
【0112】
本明細書での用法では、「バシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)ATCC(登録商標)14580(商標)」という用語は、国際寄託登録番号ATCC(登録商標)14580(商標)を有して、米国微生物系統保存機関(ATCC(登録商標))に寄託された細菌細胞を指す。バシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)ATCC(登録商標)14580(商標)は、セファロスポリンアセチルヒドロラーゼ活性を有することが報告されている。B.リチェニホルミス(B.licheniformis)ATCC(登録商標)14580(商標)からのペルヒドロラーゼ活性を有する酵素のアミノ酸配列は、配列番号3として提供される。
【0113】
本明細書での用法では、「バシラス・プミルス(Bacillus pumilus)PS213」という用語は、アセチルキシランエステラーゼ活性を有することが報告される細菌細胞(GENBANK(登録商標)AJ249957)を指す。バシラス・プミルス(Bacillus pumilus)PS213からのペルヒドロラーゼ活性を有する酵素のアミノ酸配列は、配列番号4として提供される。
【0114】
本明細書での用法では、「サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)」という用語は、アセチルキシランエステラーゼ活性を有することが報告されるサーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)の株(GENBANK(登録商標)AAB70869)を指す。サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)からのペルヒドロラーゼ活性を有する酵素のアミノ酸配列は、配列番号6として提供される。
【0115】
本明細書での用法では、「サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)MSB8」という用語は、アセチルキシランエステラーゼ活性を有することが報告される細菌細胞(GENBANK(登録商標)NP_227893.1)を指す。サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)MSB8からのペルヒドロラーゼ活性を有する酵素のアミノ酸配列は、配列番号7として提供される。
【0116】
本明細書での用法では、「バシラス・クラウシイ(Bacillus clausii)KSM−K16」という用語は、セファロスポリン−Cデアセチラーゼ活性を有することが報告される細菌細胞(GENBANK(登録商標)YP_175265)を指す。バシラス・クラウシイ(Bacillus clausii)KSM−K16からのペルヒドロラーゼ活性を有する酵素のアミノ酸配列は、配列番号11として提供される。
【0117】
本明細書での用法では、「サーモアナエロバクテリウム・サッカロリティカム(Thermoanaerobacterium saccharolyticum)」という用語は、アセチルキシランエステラーゼ活性(GENBANK(登録商標)S41858)を有することが報告される細菌株を指す。サーモアナエロバクテリウム・サッカロリティカム(Thermoanaerobacterium saccharolyticum)からのペルヒドロラーゼ活性を有する酵素のアミノ酸配列は、配列番号13として提供される。
【0118】
本明細書での用法では、「サーモトガ・レティンガエ(Thermotoga lettingae)」という用語は、アセチルキシランエステラーゼ活性を有することが報告される細菌細胞(GENBANK(登録商標)CP000812)を指す。サーモトガ・レティンガエ(Thermotoga lettingae)からのペルヒドロラーゼ活性を有する酵素の推定アミノ酸配列は、配列番号14として提供される。
【0119】
本明細書での用法では、「サーモトガ・ペトロフィラ(Thermotoga petrophila)」という用語は、アセチルキシランエステラーゼ活性を有することが報告される細菌細胞(GENBANK(登録商標)CP000702)を指す。サーモトガ・レティンガエ(Thermotoga lettingae)からのペルヒドロラーゼ活性を有する酵素の推定アミノ酸配列は、配列番号15として提供される。
【0120】
本明細書での用法では、「サーモトガ(Thermotoga)RQ2種」という用語は、アセチルキシランエステラーゼ活性を有することが報告される細菌細胞(GENBANK(登録商標)CP000969)を指す。サーモトガ(Thermotoga)RQ2種からは2つの異なるアセチルキシランエステラーゼが同定されており、本明細書で「RQ2(a)」(推定アミノ酸配列は配列番号16として提供される)および「RQ2(b)」(推定アミノ酸配列は配列番号17として提供される)と称される。
【0121】
本明細書での用法では、「単離された核酸分子」および「単離された核酸断片」は同義的に使用され、任意選択により合成、非天然なまたは改変ヌクレオチド塩基を含有する、単鎖または二本鎖のRNAまたはDNAのポリマーを指す。DNAポリマーの形態の単離された核酸分子は、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAの1つ以上のセグメントを含んでなってもよい。
【0122】
「アミノ酸」という用語は、タンパク質またはポリペプチドの基本的化学構造単位を指す。本明細書で特定のアミノ酸を同定するために、以下の略語が使用される。
【0123】
【表1】

【0124】
本明細書での用法では、「実質的に同様」とは、1つ以上のヌクレオチド塩基の変更が1つ以上のアミノ酸の付加、置換、または欠失をもたらすが、DNA配列によってコードされるタンパク質の機能特性(すなわち過加水分解活性)に影響を及ぼさない核酸分子を指す。本明細書での用法では、「実質的に同様」とはまた、本明細書で報告される配列と、少なくとも30%、好ましくは少なくとも33%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、なおもより好ましくは少なくとも60%、なおもより好ましくは少なくとも70%、なおもより好ましくは少なくとも80%、さらになおより好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有して、得られた酵素が本機能特性(すなわち過加水分解活性)を保つ酵素を指す。「実質的に同様」とはまた、本明細書で報告される核酸分子と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコ
ードされる、過加水分解活性を有する酵素を指す。したがって本発明は、特定の例示的な配列以上のものを包含するものと理解される。
【0125】
例えば特定部位で化学的に等価なアミノ酸の生成をもたらすが、コードされるタンパク質の機能特性に影響を及ぼさない遺伝子の変更が一般的であることは、当該技術分野で良く知られている。本発明の目的で置換は、以下の5つのグループ内の1つの交換と定義される。
1.小型脂肪族、非極性またはわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr(Pro、Gly);
2.極性の負に帯電した残基およびそれらのアミド:Asp、Asn、Glu、Gln;3.極性の正に帯電した残基:His、Arg、Lys;
4.大型脂肪族、非極性残基:Met、Leu、Ile、Val(Cys);および
5.大型芳香族残基:Phe、Tyr、およびTrp。
【0126】
したがって疎水性アミノ酸であるアミノ酸アラニンのためのコドンは、別の疎水性のより低い残基(グリシンなど)または疎水性のより高い残基(バリン、ロイシン、またはイソロイシンなど)をコードするコドンによって置換されてもよい。同様に1つの負に帯電した残基の別の負に帯電した残基による置換(グルタミン酸のアスパラギン酸による置換)、または1つの正に帯電した残基の別の正に帯電した残基による置換(アルギニンのリジンなどによる置換など)をもたらす変化もまた、機能的に同等の生成物を生じることが予期し得る。多くの場合、タンパク質分子のN末端およびC末端部分の変更をもたらすヌクレオチドの変化もまた、タンパク質の活性を変更しないことが、予期される。
【0127】
提案される各修正は、十分に当該技術分野の通例の技術範囲内であり、コードされる生成物の生物学的活性保持の判定もまた同様である。さらに当業者は、実質的に同様の配列が本発明に包含されることを認識する。一実施態様では、実質的に同様の配列は、本明細書で例示される配列と、ストリンジェントな条件(0.1×SSC、0.1%SDSで65℃、および2×SSC、0.1%SDSで洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSで65℃)下でハイブリダイズするそれらの能力によって定義される。
【0128】
本明細書での用法では、第1の分子の一本鎖が適切な温度および溶液イオン強度条件下でその他の分子とアニールし得る場合、核酸分子はcDNA、ゲノムDNA、またはRNAなどの別の核酸分子と「ハイブリダイズ可能」である。ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は良く知られており、Sambrook,J.and Russell,D.,T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Third Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor(2001)で例証されている。温度およびイオン強度条件が、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。ストリンジェンシー条件を調節して、遠縁の生物からの相同的な配列などの中程度に類似した分子、近縁関係にある生物からの機能的酵素を複製する遺伝子などの類似性の高い分子をスクリーンし得る。典型的にハイブリダイゼーション後洗浄が、ストリンジェンシー条件を決定する。好ましい一揃いの条件は、6×SSC、0.5%SDS、室温で15分間に始まり、次に2×SSC、0.5%SDS、45℃で30分間を繰り返し、次に0.2×SSC、0.5%SDS、50℃で30分間を2回繰り返す一連の洗浄を使用する。より好ましい一揃いの条件はより高い温度を使用し、その中では、最後の2回の0.2×SSC、0.5%SDS中での30分間の洗浄温度を60℃に増大させること以外は、上と洗浄が同一である。別の好ましい一揃いのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、0.1×SSC、0.1%SDSで65℃、および2×SSC、0.1%SDSで洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSで65℃の本明細書で例示される配列による最終洗浄である。さらなる実施態様では、本組成物および方法は、過加水分解活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸分子によってコードされるペルヒドロラーゼ活性を有する酵素を用いて、前記ポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3;配列番号4;配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13;配列番号14;配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、および配列番号25からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0129】
ハイブリダイゼーションは2つの核酸が相補的配列を含有することを要するが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシー次第で、塩基間のミスマッチも可能である。核酸をハイブリダイズするための適切なストリンジェンシーは、当該技術分野で良く知られている変数である核酸の長さ、および相補性の程度に左右される。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の程度が大きいほど、これらの配列を有する核酸のハイブリッドのTm値が大きくなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対安定性(より高いTmに対応する)は、次の順に低下する。RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNA。長さが100ヌクレオチドを超えるハイブリッドでは、Tmを計算するための式が導かれている(SambrookおよびRussell、前出)。より短い核酸、すなわちオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションでは、ミスマッチの位置がより重要となり、オリゴヌクレオチドの長さがその特異性を決める(SambrookおよびRussell、前出)。一態様では、ハイブリダイズ可能な核酸の長さは、少なくとも約10ヌクレオチドである。好ましくはハイブリダイズ可能な核酸の最小長さは、長さが少なくとも約15ヌクレオチドであり、より好ましくは長さが少なくとも約20ヌクレオチドであり、なおもより好ましくは長さが少なくとも30ヌクレオチドであり、なおもより好ましくは長さが少なくとも300ヌクレオチドであり、最も好ましくは長さが少なくとも800ヌクレオチドである。さらに当業者は、プローブ長さなどの因子に合わせて、必要に応じて温度および洗浄溶液塩濃度を調節してもよいことを認識するであろう。
【0130】
本明細書での用法では、「%同一性」という用語は、配列を比較して判定される、2つ以上のポリペプチド配列または2つ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当該技術分野で「同一性」とはまた、場合によってはポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間のマッチによって判定される、このような一続きの配列間の配列関連性の程度も意味する。「同一性」および「類似性」は、Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.,ed.)Oxford University Press,NY (1988);Biocomputing:Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.,ed.)Academic Press,NY(1993);Computer Analysis of Sequence Data,Part I(Griffin,A.M.およびGriffin,H.G.,eds.)Humana Press,NJ(1994);Sequence Analysis in Molecular Biology(von Heinje,G.,ed.)Academic Press(1987);and Sequence Analysis Primer(Gribskov,MおよびDevereux,J.,eds.)Stockton Press,NY(1991)に記載される方法をはじめとするが、これに限定されるものではない既知の方法によって容易に計算し得る。同一性および類似性を判定する方法は、公的に入手可能なコンピュータプログラムで体系化される。配列アラインメントおよび%同一性の計算は、LASERGENEバイオインフォマティクス演算スイート(DNASTAR Inc.,Madison,WI)のMegalignプログラム、Vector NTI v.7.0(Informax,Inc.,Bethesda,MD)のAlignXプログラム、またはEMBOSS Open Software Suite(EMBL−EBI;Riceら,Trends in Genetics 16,(6):276−277(2000))を使用して実施してもよい。配列の多重アラインメントは、European Bioinformatics Instituteを通じてEuropean Molecular Biology Laboratoryから入手できる、アラインメントのClustal法(例えばCLUSTALW;例えばバージョン1.83)をデフォルトパラメーターで使用して実施し得る(HigginsおよびSharp,CABIOS,5:151−153(1989);Higginsら,Nucleic Acids Res.22:4673−4680(1994);およびChennaら,Nucleic Acids Res 31(13):3497−500(2003))。CLUSTALWタンパク質アラインメントの適切なパラメーターとしては、GAP Existence penalty=15、GAP extension=0.2、matrix=Gonnet(例えばGonnet250)、protein ENDGAP=−1、Protein GAPDIST=4、およびKTUPLE=1が挙げられる。一実施態様では、デフォルト設定で高速または低速アラインメントが使用され、低速アラインメントが好ましい。代案としては、CLUSTALW法(バージョン1.83)パラメーターを改変して、KTUPLE=1、GAP PENALTY=10、GAP extension=1、matrix=BLOSUM(例えばBLOSUM64)、WINDOW=5、およびTOP DIAGONALS SAVED=5もまた使用してもよい。
【0131】
一態様では、適切な単離された核酸分子は、本明細書で報告されるアミノ酸配列と、少なくとも約30%、好ましくは少なくとも33%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、なおもより好ましくは少なくとも85%、なおもより好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする。適切な核酸分子は上の相同性を有するだけでなく、典型的に約300〜約340個のアミノ酸、より好ましくは約310〜約330個のアミノ酸、最も好ましくは約318個のアミノ酸を有するポリペプチドをコードする。
【0132】
本明細書での用法では、「シグネチャーモチーフ」、「CE−7シグネチャーモチーフ」、および「診断用モチーフ」という用語は、定義された活性を有する酵素ファミリー中で共有される保存される構造を指す。シグネチャーモチーフを使用して、定義された基質ファミリーに対して同様の酵素活性を有する、構造的に関連した酵素のファミリーを定義および/または同定し得る。シグネチャーモチーフは、単一の連続したアミノ酸配列であり得て、または一緒になってシグネチャーモチーフを形成する不連続的な保存されたモチーフの集合であり得る。典型的に、保存されたモチーフはアミノ酸配列によって表される。本明細書に記載されるように、過加水分解活性(「ペルヒドロラーゼ」)を有する本酵素は、CE−7炭水化物エステラーゼファミリーに属する(DiCosimoら、前出)。本明細書での用法では、「酵素は構造的にCE−7酵素に分類される」または「CE−7ペルヒドロラーゼ」という語句は、構造的にCE−7炭水化物エステラーゼに分類される、過加水分解活性を有する酵素を指すために使用される。この酵素ファミリーは、シグネチャーモチーフの存在によって定義され得る(Vincentら、前出)。本明細書で定義されるように、CE−7エステラーゼのシグネチャーモチーフは、3つの保存されたモチーフを含む(残基位置番号は参照配列配列番号1との比較による):
a)Arg118−Gly119−Gln120;
b)Gly179−Xaa180−Ser181−Gln182−Gly183;およびc)His298−Glu299。
【0133】
典型的に、アミノ酸残基位置180のXaaは、グリシン、アラニン、プロリン、トリプトファン、またはスレオニンである。触媒三つ組に属する3つのアミノ酸残基の内2つを太字で示す。一実施態様では、アミノ酸残基位置180のXaaは、グリシン、アラニン、プロリン、トリプトファン、およびスレオニンからなる群から選択される。
【0134】
CE−7炭水化物エステラーゼファミリー中に保存されたモチーフのさらなる分析は、追加的な保存されたモチーフ(配列番号1のアミノ酸位置267〜269のLXD)の存在を示し、それを使用して、CE−7炭水化物エステラーゼファミリーに属するペルヒドロラーゼをさらに定義してもよい。さらなる実施態様では、上で定義されたシグネチャーモチーフは、Leu267−Xaa268−Asp269と定義される第4の保存されたモチーフを含む。
【0135】
アミノ酸残基位置268のXaaは、典型的にイソロイシン、バリン、またはメチオニンである。第4のモチーフは、触媒の三つ組(Ser181−Asp269−His298)に属するアスパラギン酸残基(太字)を含む。
【0136】
いくつかの良く知られている大域アラインメントアルゴリズムを使用して、過加水分解活性を有する酵素を表す2つ以上のアミノ酸配列を整合させ、その酵素が本シグネチャーモチーフを含むかどうかを判定してもよい。整合配列を参照配列(配列番号1)と比較して、シグネチャーモチーフの存在を判定する。一実施態様では、参照アミノ酸配列(本明細書での用法では枯草菌(Bacillus subtilis)ATCC(登録商標)31954(商標)からのペルヒドロラーゼ配列(配列番号1))を使用したCLUSTALアラインメント(CLUSTALWなど)を使用して、CE−7エステラーゼファミリーに属するペルヒドロラーゼを同定する。保存されたアミノ酸残基の相対番号は参照アミノ酸配列の残基番号に基づき、整合配列内の小規模な挿入または欠失(例えば5個以下のアミノ酸)を計上する。
【0137】
(参照配列との比較で)本シグネチャーモチーフを含む配列を同定するのに使用してもよいその他の適切なアルゴリズムの例としては、NeedlemanおよびWunsch(J.Mol.Biol.48,443−453(1970);a global alignment tool)およびSmith−Waterman(J.Mol.Biol.147:195−197(1981);a local alignment tool)が挙げられるが、これに限定されるものではない。一実施態様では、デフォルトパラメーターを使用してSmith−Watermanアラインメントが実施される。適切なデフォルトパラメーターの一例としては、GAP open penalty=10およびGAP extension penalty=0.5でのBLOSUM62スコア行列の使用が挙げられる。
【0138】
本明細書で例示されるペルヒドロラーゼ間の総体的%同一性の比較は、配列番号1とわずか33%の同一性を有する酵素が(シグネチャーモチーフを保持しながら)、顕著なペルヒドロラーゼ活性を示して、構造的にCE−7炭水化物エステラーゼに分類されることを示唆する。一実施態様では、適切なペルヒドロラーゼとしては、CE−7シグネチャーモチーフを含み、配列番号1とアミノ酸が少なくとも30%、好ましくは少なくとも33%、より好ましくは少なくとも40%、なおもより好ましくは少なくとも42%、なおもより好ましくは少なくとも50%、なおもより好ましくは少なくとも60%、なおもより好ましくは少なくとも70%、なおもより好ましくは少なくとも80%、なおもより好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一の酵素が挙げられる。
【0139】
代案としては、保存されたモチーフを包含する領域を含む連続したアミノ酸配列を使用して、CE−7ファミリーメンバーを同定してもよい。
【0140】
本明細書での用法では、「コドン縮重」とは、コードされるポリペプチドのアミノ酸配列に影響を及ぼすことなく、ヌクレオチド配列の多様性を容認する遺伝コードの性質を指す。したがって本発明は、本微生物のポリペプチドをコードするアミノ酸配列の全部、または相当な部分をコードするあらゆる核酸分子に関する。当業者は、所定のアミノ酸を特定するための、特定の宿主細胞によって示されるヌクレオチドコドンの使用における「コドンバイアス」を十分承知している。したがって宿主細胞中の改善された発現のために遺伝子を合成する場合、そのコドン使用頻度が宿主細胞の好むコドン使用頻度に近づくように、遺伝子をデザインすることが望ましい。
【0141】
本明細書での用法では、様々な宿主を形質転換させるための遺伝子または核酸分子コード領域に関して言及される「コドン最適化された」という用語は、DNAがコードするポリペプチドを改変することなく、宿主生物の典型的なコドン使用頻度を反映するように遺伝子または核酸分子コード領域をコドン改変することを指す。
【0142】
本明細書での用法では、「合成遺伝子」は、当業者に知られている手順を使用して化学的に合成されるオリゴヌクレオチド構成単位から、アセンブルし得る。これらの構成単位はライゲートおよびアニールされて遺伝子セグメントを形成し、それは次に酵素的にアセンブルされて遺伝子全体が構築される。DNA配列に関連した「化学的に合成される」とは、構成要素ヌクレオチドが生体外でアセンブルされることを意味する。よく確立された手順を使用してDNAの手動化学合成を達成してもよく、またはいくつかの市販される機械のうち1つを使用して自動化学合成を実行してもよい。したがって遺伝子は、宿主細胞のコドンバイアスを映するヌクレオチド配列の最適化に基づいて、最適遺伝子発現のために目的に合わせ得る。当業者は、コドン使用頻度が宿主に好まれるコドンに向けて偏る場合の成功裡の遺伝子発現の可能性を理解する。好ましいコドン判定は、配列情報が利用できる宿主細胞に由来する遺伝子の調査に基づき得る。
【0143】
本明細書での用法では、「遺伝子」とは、コード配列の(5’非コード配列)に先立ち、(3’非コード配列)に続く制御配列をはじめとする特定のタンパク質を発現する核酸分子を指す。「天然遺伝子」とは、それ自体の制御配列付きで自然界に見られる遺伝子を指す。「キメラ遺伝子」とは、自然界では一緒に見られない制御およびコード配列を含む、天然遺伝子でないあらゆる遺伝子を指す。したがってキメラ遺伝子は、異なる起源に由来する制御配列およびコード配列、または同一起源に由来するが自然界に見られるのとは異なる様式で配列する制御配列およびコード配列を含んでなってもよい。「内在性遺伝子」とは、生物のゲノムのその自然の位置にある天然遺伝子を指す。「外来性」遺伝子とは、宿主生物中に常態では見られないが、遺伝子移入によって宿主生物に導入された遺伝子を指す。外来遺伝子は、非天然生物、またはキメラ遺伝子に挿入された天然遺伝子を含み得る。「導入遺伝子」は、形質転換処置によってゲノムに導入された遺伝子である。
【0144】
本明細書での用法では、「コード配列」とは、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を指す。「適切な制御配列」とは、コード配列の上流(5’非コード配列)、その中、または下流(3’非コード配列)に位置して、関連したコード配列の転写、RNAプロセシングまたは安定性、または翻訳に影響を及ぼすヌクレオチド配列を指す。制御配列としては、プロモーター、翻訳リーダー配列、RNAプロセッシング部位、エフェクター結合部位、およびステムループ構造をが挙げられる。
【0145】
本明細書での用法では、「プロモーター」とは、コード配列または機能的RNAの発現を制御できるDNA配列を指す。一般にコード配列は、プロモーター配列に対して3’に位置する。プロモーターは、その全体を天然遺伝子から誘導され、または自然界に見られる異なるプロモーターに由来する異なる要素から構成され、または合成DNAセグメントを含んでなってさえもよい。当業者は、発達の異なる段階で、または異なる環境または生理学的条件に応じて、異なるプロモーターが遺伝子発現を誘導してもよいことを理解する。大抵の場合に遺伝子発現を引き起こすプロモーターは、「構成的プロモーター」と一般に称される。ほとんどの場合において、制御配列の正確な境界は完全に画定されていないので、異なる長さのDNA断片が同一のプロモーター活性を有してもよいことがさらに認識される。
【0146】
本明細書での用法では、「3’非コード配列」とはコード配列の下流に位置するDNA配列を指し、ポリアデニル化認識配列(常態では真核生物に限定される)、およびmRNAプロセシングまたは遺伝子発現に影響を及ぼすことができる制御シグナルをコードするその他の配列を含む。ポリアデニル化シグナルは、通常、mRNA前駆物質の3’末端へのポリアデニル酸トラクトの添加に影響を及ぼすことで特徴付けられる(常態では真核生物に限定される)。
【0147】
本明細書での用法では、「作動的に連結する」という用語は、一方の機能が他方によって影響を受けるような、単一核酸分子上の核酸配列の関係を指す。例えばプロモーターがコード配列の発現に影響を及ぼせる場合、すなわちコード配列がプロモーターの転写制御下にある場合、プロモーターはコード配列と作動的に連結する。コード配列はセンスまたはアンチセンス方向で、制御配列と作動的に連結し得る。
【0148】
本明細書での用法では、「発現」という用語は、本発明の核酸分子から誘導される、センス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定した蓄積を指す。発現はまた、mRNAのポリペプチドへの翻訳も指す。
【0149】
本明細書での用法では、「形質転換」とは、遺伝的に安定した遺伝形質をもたらす、宿主生物ゲノム中への核酸分子の転移を指す。本発明では宿主細胞のゲノムは、染色体および染色体外(例えばプラスミド)遺伝子を含む。形質転換された核酸分子を含有する宿主生物は、「遺伝子導入」または「組み換え」または「形質転換」生物と称される。
【0150】
本明細書での用法では、「プラスミド」、「ベクター」、および「カセット」という用語は、細胞の中央代謝の一部でない遺伝子を保有することが多く、通常は環状二本鎖DNA分子の形態である、染色体外要素を指す。このような要素は、あらゆる起源に由来する、自己複製配列、ゲノム組み込み配列、ファージまたはヌクレオチド配列、直鎖または環状の単鎖または二本鎖DNAまたはRNAであってもよく、その中でいくつかのヌクレオチド配列は結合し、または組み換えられてユニークな構造体になり、それは適切な3’非翻訳配列と共に、選択された遺伝子産物のためのプロモーター断片およびDNA配列を細胞内に導入できる。「形質転換カセット」とは、外来遺伝子を含有し、外来遺伝子に加えて特定の宿主細胞の形質転換を促進する要素を有する、特定のベクターを指す。「発現カセット」とは、外来遺伝子を含有し、外来遺伝子に加えて異種宿主中における遺伝子の増強された発現を可能にする要素を有する、特定のベクターを指す。
【0151】
本明細書での用法では、「配列分析ソフトウェア」という用語は、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列分析のために有用なあらゆるコンピュータアルゴリズムまたはソフトウェアプログラムを指す。「配列分析ソフトウェア」は、市販されまたは独立して開発されてもよい。典型的な配列分析ソフトウェアとしては、GCGプログラムパッケージ(Wisconsin Packageバージョン9.0,Genetics Computer Group(GCG),(Madison,WI))、BLASTP、BLASTN、BLASTX(Altschulら,J.Mol.Biol.215:403−410(1990)、およびDNASTAR(DNASTAR,Inc.(1228 S.Park St.Madison,WI 53715 USA))、CLUSTALW(例えばバージョン1.83;Thompsonら,Nucleic Acids Research,22(22):4673−4680(1994)、およびSmith−Watermanアルゴリズムを組み込んだFASTAプログラム(W.R.Pearson,Comput.Methods Genome Res.,[Proc.Int.Symp.](1994),Meeting Date 1992,111−20.Editor(s):Suhai,Sandor.Publisher:(Plenum,New York,NY))、Vector NTI(Informax,(Bethesda,MD))、およびSequencher v.4.05が挙げられるが、これに限定されるものではない。本明細書の文脈では、分析のために配列分析ソフトウェアが使用される場合、特に断りのない限り分析結果は言及されるプログラムの「デフォルト値」に基づくと理解される。本明細書での用法では「デフォルト値」とは、初めて初期化した際にソフトウェアに最初からロードされる、ソフトウェア製造業者が設定するあらゆる一揃いの値またはパラメーターを意味する。
【0152】
本明細書での用法では、「生物学的汚染物質」という用語は、微生物、胞子、ウィルス、プリオン、およびそれらの混合物をはじめとするが、これに限定されるものではない、1つ以上の望まれないおよび/または病原性の生物学的実体を指す。方法は、存続能力のある生物学的汚染物質の存在を低下させおよび/または排除するのに有用な、有効濃度の少なくとも1つの過カルボン酸を生じる。好ましい実施態様では、生物学的汚染物質は生きている病原性微生物である。
【0153】
本明細書での用法では、「消毒する」という用語は、生物学的汚染物質の駆逐または成長予防の方法を指す。本明細書での用法では、「消毒剤」という用語は、生物学的汚染物質を駆逐、中和、または成長阻害することで消毒する薬剤を指す。典型的に消毒剤は、無生物的対象物または表面を処理するのに使用される。本明細書での用法では、「消毒」という用語は、消毒作用または方法を指す。本明細書での用法では、「滅菌剤」という用語は、疾病を伝播する微生物の成長を阻害する化学薬品を指す。一態様では生物学的汚染物質は、病原性微生物である。
【0154】
本明細書での用法では、「衛生」という用語は、典型的に、健康に有害かもしれない作用物質を除去、阻止または制御することで、健康を回復または保全すること意味し、またはそれに関わる。本明細書での用法では、「衛生化する」という用語は、衛生的にすることを意味する。本明細書での用法では、「清浄薬」という用語は、清浄剤を指す。本明細書での用法では「衛生化」という用語は、衛生的にする作用または方法を指す。
【0155】
本明細書での用法では、「抗ウィルス剤」という用語は、ウィルスを抑制または駆逐する薬剤を指し、「殺ウイルス剤」と同義である。ウィルスを抑制または駆逐する能力を示す薬剤は、「殺ウィルス」活性を有すると述べられる。過酸は殺ウィルス活性を有し得る。本発明で使用するのに適するかもしれない、当該技術分野で知られている典型的な代案の抗ウィルス剤としては、例えばアルコール、エーテル、クロロホルム、ホルムアルデヒド、フェノール、βプロピオラクトン、ヨウ素、塩素、水銀塩、ヒドロキシルアミン、酸化エチレン、エチレングリコール、四級アンモニウム化合物、酵素、および洗剤が挙げられる。
【0156】
本明細書での用法では、「殺生剤」という用語は、微生物を不活性化または駆逐する、典型的に広域スペクトルの化学薬品を指す。微生物を不活性化または駆逐する能力を示す化学薬品は、「殺生物」活性を有するとと述べられる。過酸は、殺生物活性を有し得る。本発明で使用するのに適するかもしれない、当該技術分野で知られている典型的な代案の殺生剤としては、例えば塩素、塩素二酸化、クロロイソシアヌレート、次亜塩素酸、オゾン、アクロレイン、アミン、塩素化フェノール類、銅塩、有機イオウ化合物、および四級アンモニウム塩が挙げられる。
【0157】
本明細書での用法では、語句「最小殺生物濃度」とは、特定の接触時間中に、標的とされる微生物の生存個体数に、所望の致命的な不可逆的減少を生じさせる殺生物剤の最小濃度を指す。有効性は、処理後の生存微生物のlog10の減少によって測定し得る。一態様では、標的とされる処理後の生存微生物の減少は、少なくとも3対数値減少、より好ましくは少なくとも4対数値減少、最も好ましくは少なくとも5対数値減少である。別の態様では最小殺生物性濃度は、生存微生物細胞の対数値減少が少なくとも6である。
【0158】
本明細書での用法では、「過酸素源」および「過酸素源」という用語は、過酸化水素、過酸化水素付加体(例えば尿素−過酸化水素付加体(過酸化カルバミド))、過ホウ酸塩、および過炭酸塩をはじめとするが、これに限定されるものではない水溶液中において、約1mM以上の濃度で過酸化水素を提供できる化合物を指す。本明細書に記載されるように、反応構成要素を組み合わせた際に、水性反応調合物中で過酸素化合物によって提供される過酸化水素の濃度は、最初少なくとも1mM以上である。一実施態様では、水性反応調合物中の過酸化水素濃度は少なくとも10mMである。別の実施態様では、水性反応調合物中の過酸化水素濃度は少なくとも100mMである。別の実施態様では、水性反応調合物中の過酸化水素濃度は少なくとも200mMである。別の実施態様では、水性反応調合物中の過酸化水素濃度は500mM以上である。さらに別の実施態様では、水性反応調合物中の過酸化水素濃度は1000mM以上である。過酸化水素と、例えば水性反応調合物中のトリグリセリドなどの酵素基質とのモル比(H:基質)は、約0.002〜20、好ましくは約0.1〜10、および最も好ましくは約0.5〜5であってもよい。
【0159】
「オリゴ糖類」とは、グリコシド結合によって連結された2〜少なくとも24個の単糖類単位を含有する化合物を意味する。「単糖類」という用語は、炭素骨格が分枝せず、1つを除く各炭素原子が水酸基を含有して、残りの炭素原子は炭素原子2個のアルデヒドまたはケトンである、経験式(CHO)(式中、n≧3)の化合物を指す。「単糖類」という用語はまた、細胞内の環式ヘミアセタールまたはヘミケタール形態も指す。
【0160】
本明細書での用法では、「賦形剤」という用語は、活性成分の貯蔵安定性など、調合物中で活性成分を安定化するのに使用される不活性物質を指す。賦形剤はまた、活性成分を含有する調合物を嵩上げするのにも時折使用される。本明細書に記載されるように、「活性成分」は過加水分解活性を有する少なくとも1つの酵素を含む酵素触媒である。一実施態様では、活性成分は、過加水分解活性を有する、少なくとも1つのCE−7炭水化物エステラーゼである。
【0161】
本明細書での用法では、「オリゴ糖類賦形剤」という用語は、水性酵素溶液に添加すると、噴霧乾燥後に活性酵素(すなわちペルヒドロラーゼ活性)の回収/保持を改善し、および/または得られた噴霧乾燥酵素粉末または酵素粉末とカルボン酸エステルとの調合物の貯蔵安定性を改善する、オリゴ糖類を意味する。一実施態様では、カルボン酸エステル(すなわち実質的に水を含まない保存混合物)中で保存する場合、噴霧乾燥に先だつオリゴ糖類賦形剤の添加は酵素の貯蔵安定性を改善する。カルボン酸エステルは低濃度の水を含有してもよく、例えばトリアセチンは典型的には180ppm〜300ppmの水を有する。本明細書での用法では、「実質的に水を含まない」という語句は、カルボン酸エステル中に存在する場合の酵素粉末の貯蔵安定性に悪影響を及ぼさない、酵素粉末とカルボン酸エステルとの混合物中の水の濃度を指す。さらなる実施態様では、「実質的に水を含まない」とは、酵素粉末とカルボン酸エステルとを含む調合物中の、2000ppm未満、好ましくは1000ppm未満、より好ましくは500ppm未満、なおもより好ましくは250ppm未満の水を意味してもよい。
【0162】
酵素粉末
一態様は、構造的にCE−7酵素に分類されて過加水分解活性を有する少なくとも1つの酵素と、少なくとも1つの賦形剤と、任意選択により少なくとも1つの界面活性剤との調合物を含む、酵素粉末に関する。一実施態様では、噴霧乾燥によって酵素粉末が形成される。いくつかの実施態様では、少なくとも1つの賦形剤は、少なくとも約1250の数平均分子量および少なくとも約9000の重量平均分子量を有する、オリゴ糖類賦形剤である。
【0163】
少なくとも1つの酵素は、本明細書に記載されるCE−7炭水化物エステラーゼのいずれかであり得て、または共有される同時係属米国特許出願公開第2008/0176299号明細書および米国特許出願公開第2009/0005590号明細書(それぞれ参照によってその全体を本明細書に援用する)に記載されるCE−7炭水化物エステラーゼのいずれかであり得る。いくつかの実施態様では少なくとも1つの酵素は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、19、20、21、22、23、24、および25からなる群から選択される。
【0164】
噴霧乾燥調合物中に、噴霧乾燥調合物の乾燥重量を基準にして、約5重量%〜約75重量%の範囲の量で少なくとも1つの酵素が存在する。噴霧乾燥調合物中の酵素の好ましい重量%範囲は約10重量%〜50重量%、噴霧乾燥調合物中の酵素のより好ましい重量%範囲は約20重量%〜33重量%である。
【0165】
噴霧乾燥調合物は、少なくとも1つのオリゴ糖類賦形剤をさらに含む。いくつかの実施態様では、少なくとも1つのオリゴ糖類賦形剤は少なくとも約1250の数平均分子量と、少なくとも約9000の重量平均分子量を有する。いくつかの実施態様では、オリゴ糖類賦形剤は少なくとも約1700の数平均分子量と、少なくとも約15000の重量平均分子量を有する。本発明で有用な特定のオリゴ糖類としては、マルトデキストリン、キシラン、マンナン、フコイダン、ガラクトマンナン、キトサン、ラフィノース、スタキオース、ペクチン、イヌリン、レバン、グラミナン、およびアミロペクチン、スクロース、ラクツロース、乳糖、マルトース、トレハロース、セロビオース、ニゲロトリオース、マルトトリオース、メレジトース、マルトトリウロース、ラフィノース、ケストース、およびそれらの混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明で有用なオリゴ糖類ベースの賦形剤としては、ヒドロキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性非イオン性セルロースエーテル、およびそれらの混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0166】
噴霧乾燥調合物の乾燥重量を基準にして、約95重量%〜約25重量%の範囲の量で賦形剤が調合物中に存在する。噴霧乾燥調合物中の賦形剤の好ましい重量%範囲は、約90重量%〜50重量%、および噴霧乾燥調合物中のより好ましい賦形剤の重量%範囲は、約80重量%〜67重量%である。
【0167】
いくつかの実施態様では、調合物は少なくとも1つの界面活性剤をさらに含む。有用な界面活性剤としては、エトキシル化ヒマシ油、ポリグリコール化グリセリド、アセチル化モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポロキサマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン誘導体、モノグリセリドまたはそのエトキシル化誘導体、ジグリセリドまたはそのポリオキシエチレン誘導体、ナトリウムドクサート、ラウリル硫酸ナトリウム、コール酸またはその誘導体、レシチン、リン脂質、エチレングリコールとプロピレングリコールとのブロック共重合体、および非イオン性有機シリコーンなどのイオン性および非イオン性界面活性剤または湿潤剤が挙げられるが、これに限定されるものではない。好ましくは界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであり、ポリソルベート80がより好ましい。
【0168】
調合物の一部である場合、界面活性剤は、噴霧乾燥調合物中に存在するタンパク質の重量を基準として約5重量%〜0.1重量%、好ましくは噴霧乾燥調合物中に存在するタンパク質の重量を基準として約2重量%〜0.5重量%の範囲の量で存在する。
【0169】
噴霧乾燥調合物は、1つ以上の緩衝液(炭酸水素、クエン酸、酢酸、リン酸、ピロリン酸、メチルホスホン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、またはマレイン酸のナトリウムおよび/またはカリウム塩など)、および酵素安定剤(例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、(1−ヒドロキシエチリデン)ビスホスホン酸)をさらに含んでなってもよい。
【0170】
少なくとも1つの酵素、少なくとも1つのオリゴ糖類賦形剤、および任意選択により少なくとも1つの界面活性剤の調合物の噴霧乾燥は、例えばSpray Drying Handbook,5th ed.,K.Masters,John Wiley & Sons,Inc.,NY,N.Y.(1991)、およびPlatz,R.らに付与された国際公開第97/41833号パンフレット(1997)および国際公開第96/32149号パンフレット(1996)で概説されるように実施される。
【0171】
一般に噴霧乾燥は、高度に分散した液体と十分な体積の熱風とを合わせて、液体小滴の蒸発および乾燥を生じさせるステップからなる。典型的には温かい濾過空気の流れの中に供給材料が噴霧され、溶剤が蒸発し、乾燥製品が収集装置に運ばれる。次に使用済み空気は、溶剤と共に排気される。当業者はいくつかの異なるタイプの装置を使用して、所望の生成物を提供してもよいことを理解するであろう。例えばBuchi Ltd.(Postfach,Switzerland)またはGEA Niro Corp.(Copenhagen,Denmark)によって製造される市販の噴霧乾燥機が、所望サイズの粒子を効果的に製造する。これらの噴霧乾燥機、特にそれらの噴霧器は、二頭ノズル技術を使用した2種の溶液の同時噴霧など、特定用途のために改変または個別調整されてもよいこともまた、さらに理解されるであろう。より具体的には、油中水エマルジョンを1つのノズルから噴霧し得て、マンニトールなどの粘着防止剤を含有する溶液を第2のノズルから同時噴霧し得る。他の事例では高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)ポンプを使用し、特注設計ノズルを通じて供給液をプッシュすることが望ましいかもしれない。正しい形態および/または組成を含む微細構造が生成されるのであれば、装置の選択は重大でなく、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明白であろう。
【0172】
噴霧材料を乾燥するのに使用されるガス入口および出口双方の温度は、噴霧材料中の酵素分解を引き起こさないような温度である。このような温度は典型的に実験的に測定されるが、一般に入口温度が約50℃〜約225℃の範囲であるのに対し、出口温度は約30℃〜約150℃の範囲である。好ましいパラメーターとしては、約20〜150psi(0.14MPa〜1.03MPa)、および好ましくは約30から40〜100psi(0.21から0.28MPa〜0.69MPa)の範囲の噴霧圧が挙げられる。典型的に用いられる噴霧圧は、0.14、0.21、0.28、0.34、0.41、0.48、0.55、0.62、0.69、0.76、0.83(MPa)以上の1つである。
【0173】
酵素粉末またはカルボン酸エステル中の酵素粉末調合物は、周囲温度で保存された場合、その酵素活性を長期間にわたり実質的に保持する。酵素粉末またはカルボン酸エステル中の乾燥酵素粉末調合物は、高温で短期間その酵素活性を実質的に保持する。一実施態様では、「その酵素活性を実質的に保持する」とは、乾燥酵素粉末またはカルボン酸エステル中の乾燥酵素粉末調合物が、カルボン酸エステルと酵素粉末とを含む調合物中における周囲温度での長期にわたる保存期間後に、および/または(周囲温度を超える)高温での短期保存期間後に、カルボン酸エステルと酵素粉末とを含む調合物を調製する前の酵素粉末の初期酵素活性と比較して、乾燥酵素粉末または乾燥酵素粉末調合物中の酵素の酵素活性の少なくとも約75%を保持することを意味する。長期にわたる保存期間とは、周囲温度での約1年から約2年の期間である。一実施態様では、短期保存期間とは、カルボン酸エステルと酵素粉末とを含む調合物が40℃で製造された時点から、40℃で約8週間までの高温での期間である。別の実施態様では、高温は約30℃〜約52℃の範囲である。好ましい実施態様では、高温は約30℃〜約40℃の範囲である。
【0174】
いくつかの実施態様では、乾燥酵素粉末は、カルボン酸エステルと酵素粉末とを含む調合物中における40℃で8週間の保存後に、カルボン酸エステルと酵素粉末とを含む調合物を40℃で調製する前の酵素粉末の初期酵素活性と比較して、少なくとも1つの酵素の少なくとも75%の酵素活性を有する。別の実施態様では、酵素粉末は、カルボン酸エステルと酵素粉末とを含む調合物中における40℃で8週間の保存後に、カルボン酸エステルと酵素粉末とを含む調合物を40℃で調製する前の酵素粉末の初期酵素活性と比較して、少なくとも1つの酵素の少なくとも76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の酵素活性を有する。好ましくは過加水分解活性は後述の実施例8〜13で記載されるように測定されるが、本発明の実施においてはあらゆる過加水分解活性測定法を使用し得る。
【0175】
いくつかの実施態様では、カルボン酸エステルと乾燥酵素粉末とを含む調合物に、約5.5〜約9.5のpH範囲で緩衝能力を有する緩衝液を添加することで、記載される期間にわたる酵素活性のさらなる改善を達成し得る。調合物中で使用される適切な緩衝液としては、ナトリウム塩、カリウム塩、または炭酸水素のナトリウムまたはカリウム塩混合物、ピロリン酸塩、リン酸塩、メチルホスホン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩またはコハク酸塩が挙げられるが、これに限定されるものではない。カルボン酸エステルおよび乾燥酵素粉末を含む調合物で使用される好ましい緩衝液としては、炭酸水素、リン酸、メチルホスホン酸、またはクエン酸のナトリウム塩、カリウム塩、またはナトリウムまたはカリウム塩混合物が挙げられる。
【0176】
カルボン酸エステルと酵素粉末との調合物中に緩衝液が存在する実施態様では、緩衝液は、カルボン酸エステルと酵素粉末とを含む調合物中のカルボン酸エステルの重量を基準として、約0.01重量%〜約50重量%範囲の量で存在してもよい。緩衝液は、カルボン酸エステルと酵素粉末とを含む調合物中のカルボン酸エステルの重量を基準として、約0.10%〜約10%のより好ましい範囲で存在してもよい。さらにこれらの実施態様では、酵素の過加水分解活性の比較は、(a)カルボン酸エステルと、約5.5〜約9.5のpH範囲で緩衝能力を有する緩衝液と、酵素粉末とを含む調合物中における40℃で8週間の保存後に、少なくとも1つの酵素の少なくとも75%の過加水分解活性を保持する酵素粉末、および(b)カルボン酸エステルと、約5.5〜約9.5のpH範囲で緩衝能力を有する緩衝液と、酵素粉末とを含む調合物を調製する前の、酵素粉末の初期過加水分解活性の間で判定される。
【0177】
酵素粉末は、少なくとも1つの酵素の基質であるトリアセチンなどの有機化合物中の調合物として保存されることが意図される。追加的過酸化水素の不在下では、トリアセチンが常態では、CE−7炭水化物エステラーゼによって水溶液中で加水分解してジアセチンおよび酢酸を生じ、酢酸の生成は反応混合物のpH低下をもたらす。トリアセチン中における酵素の長期貯蔵安定性の一要件は、トリアセチンとトリアセチン中に存在するかもしれない水との顕著な反応がないことである;1つの市販トリアセチン(Tessenderlo Group,Brussels,Belgiumにより提供される)中の含水量の規格は、0.03重量%の水(300ppm)である。トリアセチン中における酵素の保存中に起きるトリアセチンのあらゆる加水分解は酢酸を生じ、これはCE−7炭水化物エステラーゼの過加水分解活性の低下または不活性化をもたらし得て、CE−7炭水化物エステラーゼの過加水分解活性は、典型的に5.0以下で不活性化される(DiCosimo,R.らに付与された米国特許出願第12/539,025号明細書を参照されたい)。本明細書で使用するために選択されるオリゴ糖類賦形剤は、調合物中に存在する低濃度の水のために酢酸が発生するかもしれない条件下にある酵素のために、有機基質中において酵素に安定性を提供しなくてはならない。
【0178】
酵素が触媒するカルボン酸エステルと過酸化水素からの過酸調製に適切な反応条件
本発明の一態様では、過加水分解活性を有する酵素触媒存在下で、1つ以上のカルボン酸エステルと過酸素源(過酸化水素、過ホウ酸ナトリウムまたは過炭酸ナトリウム)とを反応させることで過酸を含む水性調合物を生成する方法が提供される。一実施態様では、酵素触媒は過加水分解活性を有する少なくとも1つの酵素を含み、前記酵素は構造的にCE−7炭水化物エステラーゼファミリーのメンバーに分類される(CE−7;Coutinho,P.M.,Henrissat,B.、前出を参照されたい)。別の実施態様では、ペルヒドロラーゼ触媒は構造的にセファロスポリンCデアセチラーゼに分類される。別の実施態様では、ペルヒドロラーゼ触媒は構造的にアセチルキシランエステラーゼに分類される。
【0179】
一実施態様では、ペルヒドロラーゼ触媒は、過加水分解活性と、次をはじめとするシグネチャーモチーフとを有する酵素を含む:
CLUSTALWを使用して参照配列配列番号1と位置合わせすると、
a) アミノ酸残基118〜120としてのRGQモチーフ;
b) アミノ酸残基179〜183としてのGXSQGモチーフ;および
c) アミノ酸残基298〜299としてのHEモチーフ。
【0180】
さらなる実施態様では、シグネチャーモチーフは、CLUSTALWを使用して参照配列配列番号1と位置合わせすると、アミノ酸残基267〜269のLXDモチーフと定義される第4の保存されたモチーフを追加的に含む。
【0181】
別の実施態様では、ペルヒドロラーゼ触媒は、本シグネチャーモチーフと、配列番号1の少なくとも30%のアミノ酸とを有する酵素を含む。
【0182】
別の実施態様では、ペルヒドロラーゼ触媒は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、19、20、21、22、23、24、および25からなる群から選択される、ペルヒドロラーゼ活性を有する酵素を含む。
【0183】
別の実施態様では、ペルヒドロラーゼ触媒は、配列番号18と定義される連続シグネチャーモチーフと少なくとも40%のアミノ酸同一性を有する酵素を含み、上述の保存されたモチーフ(すなわちRGQ、GXSQG、およびHE、および任意選択によりLXD)は保存されている。
【0184】
別の実施態様では、ペルヒドロラーゼ触媒は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、19、20、21、22、23、24、および25からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する酵素を含み、前記酵素はシグネチャーモチーフが保存されてペルヒドロラーゼ活性が保持されるのであれば、1つ以上の付加、欠失、または置換を有してもよい。
【0185】
適切なカルボン酸エステル基質は、
式、
[X]
(式中、
X=式、RC(O)Oのエステル基であり、
=水酸基またはC1〜C4アルコキシ基で任意選択により置換された、C1〜C7の直鎖、分枝または環式ヒドロカルビル部分であり;Rは任意選択によりR6=C2〜C7のための1つ以上のエーテル結合を含み、
=水酸基で任意選択により置換された、C1〜C6直鎖、分枝、または環式ヒドロカルビル部分であり;R中の各炭素原子は個々に1つを超えない水酸基または1つを超えないエステル基を含み;Rは任意選択により1つ以上のエーテル結合を含み、
m=1〜R中の炭素原子数である)によって提供されるエステルを含んでもよく、前記エステルは25℃で少なくとも5ppmの水への溶解度を有する。
【0186】
別の実施態様では、適切な基質はまた、
式、
【化3】

(式中、
=ヒドロキシルまたはC1〜C4アルコキシ基で任意選択により置換されるC1〜C7の直鎖または分枝鎖アルキルであり、
=C1〜C10直鎖または分枝鎖アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリール、(CHCH−O)Hまたは(CHCH(CH)−O)Hであり、
n=1〜10である)のエステルを含んでもよい。
【0187】
別の実施態様では、適切なカルボン酸エステル基質は、
式、
【化4】

(式中、
=ヒドロキシルまたはC1〜C4アルコキシ基で任意選択により置換されるC1〜C7直鎖または分枝鎖アルキルであり、
およびRは個々にHまたはRC(O)である)のグリセリドを含んでもよい。
【0188】
別の実施態様では、Rは水酸基またはC1〜C4アルコキシ基で任意選択により置換されるC1〜C7直鎖ヒドロカルビル部分であり、任意選択により1つ以上のエーテル結合を含む。さらなる好ましい実施態様では、RはC2〜C7直鎖ヒドロカルビル部分であり、水酸基で任意選択により置換され、および/または任意選択により1つ以上のエーテル結合を含む。
【0189】
別の実施態様では、適切なカルボン酸エステル基質はまた、アセチル化モノ−、ジ−、および多糖類からなる群から選択される、アセチル化糖類を含んでなってもよい。好ましい実施態様では、アセチル化糖類としては、アセチル化モノ−、ジ−、および多糖類が挙げられる。別の実施態様では、アセチル化糖類は、アセチル化キシラン、アセチル化キシラン断片、アセチル化キシロース(キシローステトラアセテートなど)、アセチル化グルコース(グルコースペンタアセテートなど)、β−D−リボフラノース−1,2,3,5−テトラアセテート、トリ−O−アセチル−D−ガラクタール、トリ−O−アセチル−D−グルカール、およびアセチル化セルロースからなる群から選択される。好ましい実施態様では、アセチル化糖類は、β−D−リボフラノース−1,2,3,5−テトラアセテート、トリ−O−アセチル−D−ガラクタール、トリ−O−アセチル−D−グルカール、およびアセチル化セルロースからなる群から選択される。したがってアセチル化炭水化物は、本方法およびシステムを使用して(すなわち過酸素源存在下で)、過カルボン酸を発生させる適切な基質かもしれない。
【0190】
追加的実施態様では、カルボン酸エステル基質は、モノアセチン、トリアセチン、モノプロピオニン、ジプロピオニン、トリプロピオニン、モノブチリン、ジブチリン、トリブチリン、グルコースペンタアセテート、キシローステトラアセテート、アセチル化キシラン、アセチル化キシラン断片、β−D−リボフラノース−1,2,3,5−テトラアセテート、トリ−O−アセチル−D−ガラクタール、トリ−O−アセチル−グルカール、プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールジアセテート、1,2−エタンジオールのモノエステルまたはジエステル、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,5−ペンタンジオール、1,6−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、およびそれらの混合物であってもよい。本方法およびシステムの好ましい実施態様では、基質はトリアセチンを含む。
【0191】
カルボン酸エステルは、酵素が触媒する過加水分解に際して、所望の過酸濃度を生じるのに十分な濃度で反応調合物中に存在する。カルボン酸エステルは反応調合物に必ずしも完全に可溶性でないが、ペルヒドロラーゼ触媒によってエステル転換して、対応する過酸にできるようにするのに十分な溶解度を有する。カルボン酸エステルは、反応調合物の0.05重量%〜40重量%の濃度、好ましくは反応調合物の0.1重量%〜20重量%の濃度、より好ましくは反応調合物の0.5重量%〜10重量%の濃度で反応調合物中に存在する。
【0192】
過酸素源としては、過酸化水素、過酸化水素付加物(例えば尿素−過酸化水素付加物(カルバミド過酸化物))過ホウ酸塩、および過炭酸塩が挙げられるが、これに限定されるものではない。反応調合物中の過酸素化合物濃度は、0.0033重量%〜約50重量%、好ましくは0.033重量%〜約40重量%、より好ましくは0.33重量%〜約30重量%の範囲であってもよい。
【0193】
多数のペルヒドロラーゼ触媒(ホールセル、透過処理ホールセル、および部分的精製ホールセル抽出物)は、カタラーゼ活性(EC1.11.1.6)を有することが報告されている。カタラーゼは過酸化水素の酸素と水への転換を触媒する。一態様では、過加水分解触媒はカタラーゼ活性を欠いている。別の態様では、カタラーゼ阻害剤が反応調合物に添加される。カタラーゼ阻害剤の例としては、アジ化ナトリウムおよび硫酸ヒドロキシルアミンが挙げられるが、これに限定されるものではない。当業者は、必要に応じてカタラーゼ阻害剤の濃度を調節し得る。カタラーゼ阻害剤の濃度は、典型的に0.1mM〜約1M、好ましくは約1mM〜約50mM、より好ましくは約1mM〜約20mMの範囲である。一態様では、アジ化ナトリウム濃度が典型的に約20mM〜約60mMの濃度であるのに対し、硫酸ヒドロキシルアミンは典型的に約0.5mM〜約30mM、好ましくは約10mMである。
【0194】
別の実施態様では、酵素触媒は顕著なカタラーゼ活性を欠いており、またはカタラーゼ活性を低下または排除するように改変される。宿主細胞のカタラーゼ活性は、トランスポゾン変異誘発、RNAアンチセンス発現、標的を定めた変異誘発、およびランダム変異誘発をはじめとするが、これに限定されるものではない良く知られている技術を使用して、カタラーゼ活性の原因である遺伝子の発現を中断することで、ダウンレギュレートまたは排除し得る。好ましい実施態様では、内在性カタラーゼ活性をコードする遺伝子がダウンレギュレートまたは中断される(すなわちノックアウト)。本明細書での用法では「中断」遺伝子とは、改変遺伝子によってコードされるタンパク質の活性および/または機能がもはや存在しない遺伝子である。遺伝子を中断する手段は当該技術分野で良く知られており、対応するタンパク質の活性および/または機能がもはや存在しなくなりさえすれば、遺伝子の挿入、欠失、または突然変異が挙げられるが、これに限定されるものではない。さらなる好ましい実施態様では、生産宿主は、katGおよびkatEからなる群から選択される中断カタラーゼ遺伝子を含む大腸菌(E.coli)生産宿主である(米国特許出願公開第20080176299号明細書を参照されたい)。別の実施態様では、生産宿主はkatg1およびkatEカタラーゼ遺伝子の双方にダウンレギュレートおよび/または中断を含む大腸菌(E.coli)株である。
【0195】
水性反応調合物中の触媒濃度は触媒の触媒比活性に左右され、所望の反応速度を得るように選択される。過加水分解反応中の触媒重量は、典型的に総反応体積1mLあたり0.0001mg〜10mg、好ましくは1mLあたり0.001mg〜2.0mgの範囲である。触媒はまた、当業者に良く知られている方法を使用して、可溶性または不溶性の担体上に固定化されもよい;例えばImmobilization of Enzymes and Cells;Gordon F.Bickerstaff,Editor; Humana Press,Totowa,NJ,USA;1997を参照されたい。固定化触媒の使用によって、その触媒を引き続く反応中で回収および再使用できるようになる。酵素触媒は、微生物の細胞全体、透過処理微生物細胞、微生物細胞抽出物、部分的精製または精製酵素、およびそれらの混合物の形態であってもよい。
【0196】
一態様では、カルボン酸エステルの化学的過加水分解と酵素過加水分解との組み合わせによって生じた過酸濃度は、所望のpHで漂白または消毒をするのに有効濃度の過酸を提供するのに十分である。別の態様では、本方法は所望の有効濃度の過酸を生じさせるために酵素と酵素基質との組み合わせを提供するが、追加的酵素の不在下では、顕著により低い濃度の過酸が生じる。場合によっては、無機過酸化物と酵素基質との直接的化学反応によって、酵素基質のかなりの化学的過加水分解があるかもしれないが、所望の用途において有効濃度の過酸を提供するのに十分な濃度の過酸生成はないかもしれず、総過酸濃度の顕著な増大は、反応調合物への適切なペルヒドロラーゼ触媒の添加によって達成される。
【0197】
少なくとも1つのカルボン酸エステルの加水分解によって生じる過酸(過酢酸など)の濃度は、過加水分解反応開始の10分以内に、好ましくは5分以内に、より好ましくは1分以内に、少なくとも約20ppm、好ましくは少なくとも100ppm、より好ましくは少なくとも約200ppmの過酸、より好ましくは少なくとも300ppm、より好ましくは少なくとも500ppm、より好ましくは少なくとも700ppm、より好ましくは少なくとも約1000ppmの過酸、最も好ましくは少なくとも2000ppmの過酸である。過酸を含む生成調合物を任意選択により水、または主に水を含む溶液で希釈して、所望のより低濃度の過酸がある調合物を生成してもよい。一態様では、所望の濃度の過酸を生成するのに要する反応時間は、約2時間以下、好ましくは約30分以下、より好ましくは約10分以下、最も好ましくは約5分以下である。その他の態様では、前記反応構成要素を合わせた約5分から約168時間以内に、または前記反応構成要素を合わせた約5分から約48時間以内に、または約5分から2時間以内に、またはあらゆるこのような時間間隔内に、生物学的汚染物質で汚染された硬表面または無生物的対象物を本明細書に記載される方法に従って形成された過酸に接触させる。
【0198】
別の態様では、ランドリーケア用途において本明細書で記載する方法に従って形成されたペルオキシカルボン酸を使用して、ペルオキシカルボン酸を少なくとも1つの衣料品またはテキスタイルに接触させ、消毒、漂白、脱染、衛生化、脱臭またはその組み合わせなどの利点を提供する。ペルオキシカルボン酸は、テキスタイル下洗い処理剤、洗濯洗剤、染み抜き剤、漂白組成物、脱臭組成物、およびすすぎ剤をはじめとするが、これに限定されるものではない、多様なランドリーケア製品中で使用してもよい。一実施態様では、標的表面のためにペルオキシカルボン酸を生成する本方法は原位置で実施される。
【0199】
「ランドリーケア用途」の文脈で、「衣料品またはテキスタイルを接触させる」という用語は、衣料品またはテキスタイルを本明細書で開示される調合物に曝すことを意味する。この目的を達成するために、液体、固体、ゲル、ペースト、バー、錠剤、スプレー、フォーム、粉末、または顆粒をはじめとするが、これに限定されるものではない、いくつかの形態の調合物を使用して布帛を処理してもよく、手動投入、個包装投入、基材からの投入、スプレー、および洗濯機または乾燥機からの自動投入によって送達し得る。顆粒組成物はまた緻密形態であり得て、液体組成物はまた濃縮形態であり得る。
【0200】
本明細書で開示される調合物を洗濯機内で使用する場合、調合物は洗濯洗剤に典型的な構成要素をさらに含有し得る。例えば典型的な構成要素としては、界面活性剤、漂白剤、漂白活性化剤、追加的酵素、泡止め剤、分散剤、石灰石けん分散剤、汚れ懸濁および再不着沈着防止剤、柔軟剤、腐食防止剤、色あせ防止剤、殺菌剤、pH調節剤、ノンビルダーアルカリ度供給源、キレート剤、有機および/または無機賦形剤、溶剤、ヒドロトロープ、蛍光増白剤、染料、および香料が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0201】
本明細書で開示される調合物はまた、固体または液体形態の洗剤添加剤製品としても使用し得る。このような添加剤製品は、従来の洗剤組成物の性能を補足しまたは促進することが意図され、洗浄工程のあらゆる段階で添加し得る。
【0202】
漂白、染み抜き、および臭気低減の1つ以上のために過酸を発生させる、ランドリーケアのための本システムおよび方法との関連で、少なくとも1つのカルボン酸エステルの過加水分解によって発生する過酸(例えば過酢酸)の濃度は、少なくとも約2ppm、好ましくは少なくとも20ppm、好ましくは少なくとも100ppm、より好ましくは少なくとも約200ppm過酸であってもよい。消毒または衛生化のために過酸を発生させる、ランドリーケアのための本システムおよび方法との関連で、少なくとも1つのカルボン酸エステルの過加水分解によって発生する過酸(例えば過酢酸)の濃度は、過加水分解反応開始の10分以内、好ましくは5分以内、最も好ましくは1分以内に、少なくとも約2ppm、より好ましくは少なくとも20ppm、より好ましくは少なくとも200ppm、より好ましくは少なくとも500ppm、より好ましくは少なくとも700ppm、より好ましくは少なくとも約1000ppmの過酸、最も好ましくは少なくとも2000ppmの過酸であってもよい。過酸を含む生成物混合物を任意選択により水、または主に水を含む溶液で希釈して、所望のより低濃度の過酸を含む混合物を生成してもよい。本方法およびシステムの一態様では、所望の濃度の過酸を生成するのに要する反応時間は、約2時間以下、好ましくは約30分以下、より好ましくは約10分以下、なおもより好ましくは約5分以下、最も好ましくは約1分以下である。
【0203】
反応温度は、反応速度と酵素触媒活性安定性の双方を調節するように選択される。反応温度は、反応調合物の凝固点(およそ0℃)のわずかに上から約95℃までの範囲であってもよく、好ましい反応温度範囲は約5℃〜約55℃である。
【0204】
過酸を含有する最終反応調合物のpHは、約2〜約9、好ましくは約3〜約8、より好ましくは約5〜約8、なおもより好ましくは約5.5〜約8、さらになおもより好ましくは約6.0〜約7.5である。別の実施態様では、反応調合物のpHは酸性(pH≦7)である。反応のpH、および最終反応調合物のpHは、炭酸水素塩、ピロリン酸塩、リン酸塩、メチルホスホン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩またはコハク酸塩をはじめとするが、これに限定されるものではない、適切な緩衝液の添加によって任意選択により調節してもよい。用いる場合、緩衝液の濃度は、典型的に0.1mM〜1.0M、好ましくは1mM〜300mM、最も好ましくは10mM〜100mMである。
【0205】
別の態様では、酵素過加水分解反応調合物は、分散剤として作用し反応調合物中のカルボン酸エステル溶解速度を上げる有機溶剤を含有してもよい。このような溶剤としては、プロピレングリコールメチルエーテル、アセトン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、イソプロパノール、エタノール、プロピレングリコール、およびそれらの混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0206】
別の態様では、酵素過加水分解生成物は追加的構成要素を含有して、望ましい機能性を提供してもよい。これらの追加的構成要素としては、緩衝液、洗剤ビルダー、増粘剤、乳化剤、界面活性剤、湿潤剤、腐食防止剤(ベンゾトリアゾールなど)、酵素安定剤、および過酸化物安定剤(例えば金属イオンキレート剤)が挙げられるが、これに限定されるものではない。追加的構成要素の多くは、洗剤産業で良く知られている(例えば参照によって本明細書に援用する米国特許第5,932,532号明細書を参照されたい)。乳化剤の例としては、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンが挙げられるが、これに限定されるものではない。増粘剤の例としては、LAPONITE(登録商標)RD、コーンスターチ、PVP、カーボワックス(登録商標)、カルボポル(登録商標)、Cabosil(登録商標)、ポリソルベート20、PVA、およびレシチンが挙げられるが、これに限定されるものではない。緩衝系の例としては、リン酸一ナトリウム/リン酸二ナトリウム;スルファミン酸/トリエタノールアミン;クエン酸/トリエタノールアミン;酒石酸/トリエタノールアミン;コハク酸/トリエタノールアミン;および酢酸/トリエタノールアミンが挙げられるが、これに限定されるものではない。界面活性剤の例としては、a)酸化エチレンまたは酸化プロピレンのブロック共重合体、エトキシル化またはプロポキシル化直鎖および分枝一級および二級アルコール、および脂肪族ホスフィンオキシドなどの非イオン性界面活性剤;b)四級アンモニウム化合物、特にさらに3つのC1−C2アルキル基に結合する窒素原子に結合するC8−C20アルキル基を有する四級アンモニウム化合物などのカチオン性界面活性剤;c)アルカンカルボン酸(例えばC8〜C20脂肪酸)、アルキルホスホネート、アルカンスルホネート(例えばドデシル硫酸ナトリウム「SDS」)または直鎖または分枝アルキルベンゼンスルホネート、アルケンスルホネートなどのアニオン性界面活性剤;およびd)アミノカルボン酸、アミノジカルボン酸、アルキルベタインなどの両性および両性イオン界面活性剤、およびそれらの混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。追加的構成要素としては、香料、染料、過酸化水素安定剤(例えば1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(DEQUEST(登録商標)2010、Solutia Inc.,St.Louis,MO)およびエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、TURPINAL(登録商標)SL(CAS#2809−21−4)、DEQUEST(登録商標)0520、DEQUEST(登録商標)0531などの金属キレート剤)、酵素活性安定剤(例えばポリエチレングリコール(PEG))、および洗剤ビルダーが挙げられる。
【0207】
ペルヒドロラーゼ触媒を使用した過酸のインサイチュ生成
セファロスポリンCデアセチラーゼ(E.C.3.1.1.41;系統名セファロスポリンCアセチルヒドロラーゼ;CAH)は、セファロスポリンC、7−アミノセファロスポラン酸、および7−(チオフェン−2−アセトアミド)セファロスポラン酸などのセファロスポリン上のアセチルエステル結合を加水分解する能力を有する酵素である(Abbott,B.およびFukuda,D.,Appl.Microbiol.30(3):413−419(1975))。CAHは、炭水化物エステラーゼファミリー7と称される、構造的に関連した酵素のより大きなファミリーに属する(「CE−7」;Coutinho,P.M.,Henrissat,B.、前出)。
【0208】
CE−7炭水化物エステラーゼファミリーは、CAHおよびアセチルキシランエステラーゼ(AXE;E.C.3.1.1.72)の双方を含む。CE−7ファミリーメンバーは共通の構造モチーフを有し、典型的にアセチル化キシロオリゴ糖類とアセチル化セファロスポリンCの双方に対してエステル加水分解活性を示すという点でかなり独特であり、CE−7ファミリーが、一連の様々な小型基質に対する多官能性デアセチラーゼ活性を持つタンパク質の単一クラスに相当することが示唆される(Vincentら、前出)。Vincentらは、このファミリーメンバー間の構造的類似性について記載し、CE−7ファミリーに特徴的なシグネチャー配列モチーフを定義する。
【0209】
CE−7ファミリーのメンバーは、植物、真菌(例えばセファロスポリジウム・アクレモニウム(Cephalosporidium acremonium))と、酵母(例えばロドスポリジウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis))と、サーモアナエロバクテリウム(Thermoanaerobacterium)種、ノカルディア・ラクタムデュランス(Nocardia lactamdurans)、およびバシラス(Bacillus)属の様々なメンバー(Politinoら,Appl.Environ.Microbiol.,63(12):4807−4811(1997);Sakaiら,J.Ferment.Bioeng.85:53−57(1998);Lorenz,W.およびWiegel,J.,J.Bacteriol 179:5436−5441(1997);Cardozaら,Appl.Microbiol.Biotechnol.,54(3):406−412(2000);Mitsushimaら、前出;Abbott,B.およびFukuda,D.,Appl.Microbiol.30(3):413−419(1975);Vincentら、前出,Takamiら,NAR,28(21):4317−4331(2000);Reyら,Genome Biol.,5(10):article 77(2004);Degrassiら,Microbiology.,146:1585−1591(2000);米国特許第6,645,233号明細書;米国特許第5,281,525号明細書;米国特許第5,338,676号明細書;および国際公開第99/03984号パンフレット)などの細菌に見られる。
【0210】
DiCosimoらに付与された国際公開第2007/070609号パンフレットおよび米国特許出願公開第2008/0176299号明細書および米国特許出願公開第2008/176783号明細書は、CE−7酵素に構造的に分類される様々な酵素を開示し、それらは過酸素源と組み合わせると多様なカルボン酸エステル基質から有効濃度の過酸を生じるのに適した過加水分解活性を有する。改善された過加水分解活性を有する変異型CE−7酵素については、同時出願された共有される同時係属米国特許出願(参照によってその全体を本明細書に援用する代理人整理番号CL4392 US NA)にも記載される。
【0211】
本方法は、炭水化物エステラーゼのCE−7ファミリーに属する酵素のペルヒドロラーゼ活性を使用して、水性反応条件下で工業的に有用な、有効濃度の過酸を原位置で生成する。
【0212】
過酸および過酸化水素濃度を判定するためのHPLCアッセイ法
本明細書の実施例で記載されるように、本方法では反応物質および生成物を分析するために、滴定、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、質量分光分析(MS)、キャピラリー電気泳動法(CE)、U.Karstら(Anal.Chem.,69(17):3623−3627(1997))によって記載された分析手順、および2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾタゾリン(ethylbenzothazoline)−6−スルホン酸(ABTS)アッセイ(S.Minningら、Analytica Chimica Acta 378:293−298(1999)、および国際公開第2004/058961 A1号パンフレット)をはじめとするが、これに限定されるものではない、多様な分析法を使用し得る。
【0213】
過酸の最小殺生物性濃度の判定
過酸または過酸化水素および酵素基質の最小殺生物性濃度(MBC)を判定するために、J.Gabrielsonら(J.Microbiol.Methods 50:63−73(2002))によって記載される方法を用い得る。アッセイ方法はXTT還元の阻害に基づき、XTT((2,3−ビス[2−メトキシ−4−ニトロ−5−スルホフェニル]−5−[(フェニルアミノ)カルボニル]−2H−テトラゾリウム、分子内塩、一ナトリウム塩)は、490nmまたは450nmで測定される光学濃度(OD)の変化によって微生物の呼吸活性を示す酸化還元染料である。しかし生菌平板計数、直接顕鏡計数、乾燥重量、濁度測定、吸光度、およびバイオルミネセンスをはじめとするが、これに限定されるものではない、消毒剤および滅菌剤の活性を試験するために利用できる多様なその他の方法がある(例えばBrock,Semour S.,Disinfection,Sterilization,and Preservation,5th edition,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,PA,USA;2001を参照されたい)。
【0214】
酵素的に調製したペルオキシカルボン酸組成物の使用
本方法に従って生成される酵素触媒発生ペルオキシカルボン酸は、医療器具(例えば内視鏡)、テキスタイル(例えば被服、カーペット)、食品調理表面、食品保存および食品包装機器、食品包装のために使用される材料、孵化場および飼育設備、動物舎、および微生物および/または殺ウィルス性活性を有する使用済みプロセス水の汚染除去など、生物学的汚染物質濃度の低下のために、多様な硬表面/無生物的対象物用途で使用し得る。プリオンを不活性化するようにデザインされた調合物(例えば特定のプロテアーゼ)中で酵素生成されたペルオキシカルボン酸を使用して、殺生物性活性をさらに提供してもよい。好ましい態様では、本ペルオキシカルボン酸組成物は、加圧滅菌器処理できない医療器具および食品包装機器のための消毒剤として特に有用である。ペルオキシカルボン酸含有調合物はGRASまたは食品等級構成要素(酵素、酵素基質、過酸化水素、および緩衝液)を使用して調製してもよいので、酵素生成されたペルオキシカルボン酸はまた、動物屠体、肉、果物および野菜の汚染除去のため、または加工食品の汚染除去のために使用してもよい。酵素生成されたペルオキシカルボン酸は、その最終形態が粉末、液体、ゲル、フィルム、固体またはエアロゾルである生成物中に組み込んでもよい。酵素生成されたペルオキシカルボン酸は、有効な汚染除去をなおも提供する濃度に希釈してもよい。
【0215】
生物学的汚染物質で汚染された(または汚染が疑われる)表面および/または対象物を本方法によって生成される生成物に接触させることで、有効濃度のペルオキシカルボン酸を含む組成物を使用して、表面または対象物を消毒し得る。本明細書での用法で「接触させる」とは、有効濃度のペルオキシカルボン酸を含む消毒組成物と生物学的汚染物質による汚染が疑われる表面または無生物的対象物とを清潔にし消毒するのに十分な期間にわたり接触させることを指す。接触としては、スプレー、処理、浸漬、フラッシング、上または中への注入、混合、組み合わせ、塗装、コーティング、塗布、貼り付け、その他の方法で、ペルオキシカルボン酸溶液または有効濃度のペルオキシカルボン酸を含む組成物、または有効濃度のペルオキシカルボン酸を形成する溶液または組成物と、一定濃度の生物学的汚染物質による汚染が疑われる表面または無生物的対象物とを接触させることが挙げられる。消毒剤組成物を浄化組成物と組み合わせて、浄化および消毒の双方を提供してもよい。代案としては、洗浄剤(例えば界面活性剤または洗剤)を調合物に組み込んで、単一組成物中でで浄化および消毒の双方を提供してもよい。
【0216】
有効濃度のペルオキシカルボン酸を含む組成物はまた、少なくとも1つの追加的抗菌剤、プリオン分解性プロテアーゼの組み合わせ、抗ウィルス剤、胞子駆除薬、または殺生剤を含有し得る。特許請求される方法によって生成されたペルオキシカルボン酸とこれらの薬剤との組み合わせは、生物学的汚染物質で汚染された(または汚染が疑われる)表面および/または対象物を清潔にし消毒するために使用すると、効果増大および/または相乗効果を提供し得る。適切な抗菌剤としては、カルボン酸エステル(例えばp−ヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキルケイ皮酸);スルホン酸(例えばドデシルベンゼンスルホン酸);ヨウ素化合物または活性ハロゲン化合物(例えば元素ハロゲン、酸化ハロゲン(例えばNaOCl、HOCl、HOBr、ClO)、ヨウ素、インターハロゲン化物(例えば一塩化ヨウ素、二塩化ヨウ素、三塩化ヨウ素、四塩化ヨウ素、塩化臭素、一臭化ヨウ素、または二臭化ヨウ素)、ポリハロゲン化物、次亜塩素酸塩、次亜塩素酸、次亜臭素酸塩、次亜臭素酸、クロロおよびブロモヒダントイン、二酸化塩素、および亜塩素酸ナトリウム);過酸化ベンゾイル、アルキル過酸化ベンゾイル、オゾン、一重項酸素発生剤、およびそれらの混合物をはじめとする有機過酸化物;フェノール誘導体(o−フェニルフェノール、o−ベンジル−p−クロロフェノール、tert−アミルフェノール、およびC〜Cアルキルヒドロキシ安息香酸など);四級アンモニウム化合物(塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、およびそれらの混合物など);および所望の程度の微生物保護を提供するのに十分な量のこのような抗菌剤の混合物が挙げられる。有効量の抗菌剤としては、約0.001重量%〜約60重量%の抗菌剤、約0.01重量%〜約15重量%の抗菌剤、または約0.08重量%〜約2.5重量%の抗菌剤が挙げられる。
【0217】
一態様では、本方法によって形成されたペルオキシカルボン酸を使用して、ある場所の上におよび/またはある場所に塗布すると、生存生物学的汚染物質(生存微生物個体群など)の濃度を低下させ得る。本明細書での用法では、「場所」とは、消毒または漂白するのに適した標的表面の一部または全部を含む。標的表面としては、生物学的汚染物質で潜在的に汚染され得るあらゆる表面が挙げられる。非限定的例としては、食品または飲料産業に見られる機器表面(タンク、コンベヤー、床、排水管、冷却器、冷凍庫、機器表面、壁、バルブ、ベルト、パイプ、排水管、継ぎ手、割れ目、それらの組み合わせなど);建物表面(壁、床、および窓など);水処理設備、プールおよび温泉場、および発酵タンクをはじめとする非食品産業関連のパイプおよび排水管;病院または動物病院の表面(壁、床、ベッド、機器(内視鏡など)、衣類や外科用保護服や靴をはじめとする病院/動物病院またはその他の医療状況で着用される衣類、およびその他の病院または動物病院の表面など);レストランの表面;浴室表面;トイレ;衣服および靴;家禽、畜牛、乳牛、ヤギ、ウマ、およびブタなどの家畜用納屋または家畜小屋の表面;家禽またはエビの孵化場;および製薬または生物薬剤表面(例えば製薬または生物薬剤製造機器、製薬または生物薬剤成分、製薬または生物薬剤賦形剤)が挙げられる。追加的硬表面としてはまた、ウシ、家禽、ブタ、野菜、果物、海産食品、それらの組み合わせなどの食品が挙げられる。場所としてはまた、汚染したリネンまたはその他のテキスタイルなどの吸水性材料が挙げられる。場所としてはまた、種子、球茎、塊茎、果実、野菜をはじめとする収穫産物、栽培植物、特に穀物、葉物野菜とサラダ作物、根菜、マメ科植物、液果類、柑橘類および堅果をはじめとする栽培作物、または植物性産物が挙げられる。
【0218】
硬表面材料の非限定的例は、金属(例えば鋼、ステンレス鋼、クロム、チタン、鉄、銅、真鍮、アルミニウム、およびそれらの合金)、無機物(例えばコンクリート)、ポリマーおよびプラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリ(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン)、ポリ(アクリロニトリル、ブタジエン)、アクリロニトリルブタジエンなどのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;およびナイロンなどのポリアミド)である。追加的表面としては、れんが、タイル、セラミック、磁器、木材、ビニル、リノリウム、およびカーペットが挙げられる。
【0219】
本方法によって形成されるペルオキシカルボン酸を使用して、漂白、脱染、衛生化、消毒、および脱臭をはじめとするが、これに限定されるものではない利点を衣料品またはテキスタイルに提供してよい。本方法によって形成されたペルオキシカルボン酸は、テキスタイル予洗処理剤、洗濯洗剤、染み抜き剤、漂白組成物、脱臭組成物、およびすすぎ剤をはじめとするが、これに限定されるものではないあらゆる数のランドリーケア製品中で使用してもよい。
【0220】
組み換え微生物の発現
本配列の遺伝子および遺伝子産物は、異種性宿主細胞中、特に微生物宿主細胞中で生成されてもよい。本遺伝子および核酸分子の発現のための好ましい異種性宿主細胞は、真菌または細菌科内に見出し得て、広範囲の温度、pH値、および溶剤耐性範囲にわたって成長する微生物宿主である。例えば細菌、酵母、および糸状菌のいずれかが、本核酸分子の発現を適切にホストしてもよいことが考察される。ペルヒドロラーゼは、細胞内で、細胞外で、または細胞内および細胞外双方の組み合わせで発現されてもよく、細胞外発現は、細胞内発現によって生成されるタンパク質を回収する方法よりも、発酵産物からの所望タンパク質の回収をより容易にする。転写、翻訳およびタンパク質生合成装置は、細胞性生物由来資源を発生させるのに使用される細胞性原材料に対して不変のままであり、機能的遺伝子は関係なく発現される。宿主株の例としては、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(トリchoderma)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピチア(Pichia)、ファフィア(Phaffia)、クリヴェロミセス(Kluyveromyces)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、ヤロウィア(Yarrowia)、サルモネラ(Salmonella)、バシラス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ザイモモナス(Zymomonas)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、エリスロバクター(Erythrobacter)、クロロビウム(Chlorobium)、クロマチウム(Chromatium)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、サイトファガ(Cytophaga)、ロドバクター(Rhodobacter)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ストレプトミセス(Streptomyces)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリウム(Corynebacteria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、デイノコッカス(Deinococcus)、エシェリキア(Escherichia)、エルウィニア(Erwinia)、パントエア(Pantoea)、シュードモナス(Pseudomonas)、スフィンゴモナス(Sphingomonas)、メチロモナス(Methylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコッカス(Methylococcus)、メチロサイナス(Methylosinus)、メチロマイクロビウム(Methylomicrobium)、メチロシスティス(Methylocystis)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、シネコシスティス(Synechocystis)、シネココッカス(Synechococcus)、アナベナ(Anabaena)、チオバシラス(Thiobacillus)、メタノバクテリウム(Methanobacterium)、クレブシエラ(Klebsiella)、およびミクソコッカス(Myxococcus)などの細菌、真菌または酵母種が挙げられるが、これに限定されるものではない。一実施態様では、細菌宿主株としては、エシェリキア(Escherichia)、バシラス(Bacillus)、クリヴェロミセス(Kluyveromyces)、およびシュードモナス(Pseudomonas)が挙げられる。好ましい実施態様では、細菌宿主細胞は大腸菌(Escherichia coli)である。
【0221】
大規模な微生物増殖および機能的遺伝子発現は、多様な単純または複合糖質、有機酸、およびアルコール;または光合成または化学合成栄養宿主の場合はメタンまたは二酸化炭素などの飽和炭化水素;一定形態および量の窒素、亜リン酸、イオウ、酸素、炭素;または小型無機イオンをはじめとするあらゆる微量栄養素を使用してもよい。成長速度の制御は、典型的に栄養素またはエネルギー源と見なされない、特定の調節分子の培養への添加、または非添加によって影響を受けてもよい。
【0222】
適切な宿主細胞の形質転換に有用なベクターまたはカセットは、当該技術分野で良く知られている。典型的にベクターまたはカセットは、関連遺伝子である選択可能なマーカーの転写および翻訳を誘導する配列、および自律複製または染色体の組み込みができるようにする配列を含有する。適切なベクターは、転写開始制御を提供する遺伝子の5’領域と、転写終結を制御するDNA断片の3’領域とを含む。必ずしもこのようでなくてもよいが、双方の制御領域が形質転換宿主細胞に相同的な遺伝子に由来し、および/または生産宿主に天然であることが最も好ましい。
【0223】
所望の宿主細胞中で本セファロスポリンCデアセチラーゼコード領域の発現を誘導するのに有用な開始制御領域またはプロモーターは多数あり、当業者に良く知られている。CYC1、HIS3、GAL1、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPI(サッカロミセス(Saccharomyces)中での発現に有用);AOX1(ピチア(Pichia)中での発現に有用な);lac、araB、tet、trp、lP、lP、T7、tac、およびtrc(大腸菌(Escherichia coli)中での発現に有用)ならびにamy、apr、nprプロモーター、およびバシラス(Bacillus)中での発現に有用な様々なファージプロモーターをはじめとするが、これに限定されるものではない、これらの遺伝子を誘導できるあらゆるプロモーターが実質的に本発明に適する。
【0224】
終結制御領域はまた、好ましい宿主細胞に天然の様々な遺伝子に由来してもよい。一実施態様では、終結制御領域の包含は任意である。別の実施態様では、キメラ遺伝子は好ましい宿主細胞に由来する終結制御領域を含む。
【0225】
工業生産
多様な培養法を応用してペルヒドロラーゼ触媒を生成してもよい。例えば組み換え微生物宿主から過剰発現される特定遺伝子産物の大量生産は、バッチ、流加、および連続培養法によって生じてもよい。バッチおよび流加培養法は当該技術分野で一般的良く知られており、実例はThomas D.Brock,Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology,Second Edition,Sinauer Associates,Inc.,Sunderland,MA(1989)およびDeshpande,Mukund V.,Appl.Biochem.Biotechnol.,36:227(1992)に見られる。
【0226】
所望のペルヒドロラーゼ触媒の商業生産はまた、連続培養によって達成されてもよい。連続培養は、規定の培地がバイオリアクターに連続的に添加されて、等量の馴化培地が処理のために同時に除去される開放系である。連続培養物は一般に、主として対数期成長にある細胞を絶えず高い液相密度に保つ。代案としては固定化細胞を用いて、炭素と栄養素を連続的に添加し、有価産物、副産物または老廃物を細胞集団から連続的に除去する、連続培養を実施してもよい。細胞固定化は、天然および/または合成材料から構成される多様な固体担体を使用して実施してもよい。
【0227】
バッチ発酵、流加発酵、または連続培養からの所望のペルヒドロラーゼ触媒の回収は、当業者に知られている方法のいずれかによって達成されてもよい。例えば酵素触媒が細胞内で生成される場合、細胞ペーストを遠心分離または膜濾過によって培地から分離し、任意選択により所望pHの水または水性緩衝液で洗浄して、次に所望pHの水性緩衝液中の細胞ペースト懸濁液を均質化して、所望の酵素触媒を含有する細胞抽出物を生成する。熱処理ステップに先だって、細胞抽出物を任意選択によりセライトまたはシリカなどの適切な濾過助剤を通して濾過し、細胞残骸を除去して、酵素触媒溶液から望まれないタンパク質を沈殿させてもよい。次に所望の酵素触媒を含有する溶液を膜濾過または遠心分離によって沈殿細胞残骸およびタンパク質から分離して、得られた部分的に精製された酵素触媒溶液を追加的膜濾過によって濃縮し、次に任意選択により適切なキャリア(例えばマルトデキストリン、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、またはそれらの混合物)と混合し、噴霧乾燥させて所望の酵素触媒を含む個体粉末を生成してもよい。
【0228】
量、濃度、またはその他の値またはパラメーターが、範囲、好ましい範囲、または好ましい上限値と好ましい下限値の一覧のいずれかとして示される場合、範囲が別個に開示されるかどうかにかかわらず、これは任意の上側の範囲限界または好ましい値と、任意の下側の範囲限界または好ましい値との任意の対から形成される、全ての範囲を具体的に開示すると理解すべきである。本明細書一連の数値が列挙される場合、特に断りのない限り、範囲はその終点、および範囲内の全ての整数と分数を含むことが意図される。範囲を定義する場合、特定の値に範囲を限定することは意図されない。
【0229】
一般方法
以下の例は、好ましい実施態様実証するために提供される。続く実施例で開示される技術は、発明者によって発見された技術が本明細書で開示される方法の実施において良好に機能することを示し、したがってその実施のために好ましい様式を構成すると見なし得ることが、当業者には理解されるであろう。しかし当業者は、本開示に照らしてここで開示される方法の精神と範囲を逸脱することなく、開示される特定の実施態様に多くの変更を加えて、類似したまたは同様の結果がなおも得られることを理解する。
【0230】
全ての試薬および材料は、特に明記されていない限り、DIFCO Laboratories(Detroit,MI),GIBCO/BRL(Gaithersburg,MD),TCI America(Portland,OR),Roche Diagnostics Corporation(Indianapolis,IN)またはSigma−Aldrich Chemical Company(St.Louis,MO)から得られた。
【0231】
明細書中の以下の略語は、次のような測定単位、技術、特性、または化合物に相当する:「sec」または「s」は秒を意味し、「min」は分を意味し、「h」または「hr」は時間を意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「mM」はミリモル濃度を意味し、「M」はモル濃度を意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「ppm」は百万分率を意味し、「wt」は重量を意味し、「wt%」は重量%を意味し、「g」はグラムを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「ng」はナノグラムを意味し、「g」は重力を意味し、「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを意味し、「dd HO」は蒸留脱イオン水を意味し、「dcw」は乾燥細胞重量を意味し、「ATCC」または「ATCC(登録商標)」は米国微生物系統保存機関(American Type Culture Collection(Manassas,VA))を意味し、「U」はペルヒドロラーゼ活性の単位を意味し、「rpm」は毎分回転数を意味し、「Tg」はガラス転移温度を意味し、「EDTA」はエチレンジアミン四酢酸を意味する。
【実施例】
【0232】
実施例1
katGカタラーゼ中断大腸菌(E.coli)株の構築
配列番号28および配列番号29と同定されるプライマーを使用して、PCR(94℃で0.5分間、55℃で0.5分間、70℃で1分間、30サイクル)によって、プラスミドpKD13(配列番号27)からカナマイシン抵抗性遺伝子(kan;配列番号26)のコード領域を増幅し、配列番号30と同定されるPCR産物を発生させた。katG核酸配列は配列番号31として、対応するアミノ酸配列は配列番号32として提供される。大腸菌(E.coli)MG1655(ATCC(登録商標)47076(商標))をλ−Redリコンビナーゼ遺伝子(DatsenkoおよびWanner(2000)、PNAS USA 97:6640−6645)を含有する温度感受性プラスミドpKD46(配列番号33)で形質転換し、30℃で24時間LB−ampプレート上で選択した。電気穿孔(BioRad Gene Pulser、0.2cmキュベット、2.5kV、200W、25μF)によって、50〜500ngのPCR産物でMG1655/pKD46を形質転換し、37℃で24時間LB−kanプレート上で選択した。いくつかのコロニーをLB−kanプレート上に画線塗抹し、42℃で一晩インキュベートしてpKD46プラスミドを硬化させた。コロニーをチェックしてkanR/ampSの表現型を確認した。PUREGENE(登録商標)DNA精製システム(Gentra Systems,(Minneapolis,M))を使用していくつかのコロニーからゲノムDNAを単離し、配列番号34および配列番号35と同定されるプライマーを使用してPCRによりチェックしてkatG遺伝子の中断を確認した。いくつかのkatG−中断株をkan遺伝子を切除するのに使用されるFLPリコンビナーゼを含有する温度感受性プラスミドpCP20(配列番号36)で形質転換して、37℃で24時間LB−ampプレート上で選択した。いくつかのコロニーをLBプレート上に画線塗抹して42℃で一晩インキュベートし、pCP20プラスミドをキュアした。2つのコロニーをチェックしてkanS/ampSの表現型を確認し、MG1655 KatG1およびMG1655
KatG2と称した。
【0233】
実施例2
katEカタラーゼ中断大腸菌(E.coli)株の構築
配列番号37および配列番号38と同定されるプライマーを使用して、PCR(94℃で0.5分間、55℃で0.5分間、70℃で1分間、30サイクル)によって、プラスミドpKD13(配列番号27)からカナマイシン抵抗性遺伝子(配列番号26)を増幅し、配列番号39と同定されるPCR産物を発生させた。katE核酸配列は配列番号40として、対応するアミノ酸配列は配列番号41として提供される。大腸菌(E.coli)MG1655(ATCC(登録商標)47076(商標))をλ−Redリコンビナーゼ遺伝子を含有する温度感受性プラスミドpKD46(配列番号33)で形質転換し、30℃で24時間LB−ampプレート上で選択した。電気穿孔(BioRad Gene Pulser、0.2cmキュベット、2.5kV、200W、25μF)によって、50〜500ngのPCR産物でMG1655/pKD46を形質転換し、37℃で24時間LB−kanプレート上で選択した。いくつかのコロニーをLB−kanプレート上に画線塗抹し、42℃で一晩インキュベートしてpKD46プラスミドを硬化させた。コロニーをチェックしてkanR/ampSの表現型を確認した。PUREGENE(登録商標)DNA精製システムを使用していくつかのコロニーからゲノムDNAを単離し、配列番号42および配列番号43と同定されるプライマーを使用してPCRによりチェックしてkatE遺伝子の中断を確認した。いくつかのkatE−中断株をkan遺伝子を切除するのに使用されるFLPリコンビナーゼを含有する温度感受性プラスミドpCP20(配列番号36)で形質転換して、37℃で24時間LB−ampプレート上で選択した。いくつかのコロニーをLBプレート上に画線塗抹して42℃で一晩インキュベートし、pCP20プラスミドをキュアした。2つのコロニーをチェックしてkanS/ampSの表現型を確認し、MG1655 KatE1およびMG1655 KatE2と称した。
【0234】
実施例3
katGカタラーゼおよびkatEカタラーゼ中断大腸菌(E.coli)株(KLP18)の構築
配列番号37および配列番号38と同定されるプライマーを使用して、PCR(94℃で0.5分間、55℃で0.5分間、70℃で1分間、30サイクル)によって、プラスミドpKD13(配列番号27)からカナマイシン抵抗性遺伝子(配列番号26)を増幅し、配列番号39と同定されるPCR産物を発生させた。大腸菌(E.coli)MG1655 KatG1(実施例1)をλ−Redリコンビナーゼ遺伝子を含有する温度感受性プラスミドpKD46(配列番号33)で形質転換し、30℃で24時間LB−ampプレート上で選択した。電気穿孔(BioRad Gene Pulser、0.2cmキュベット、2.5kV、200W、25μF)によって、50〜500ngのPCR産物でMG1655 KatG1/pKD46を形質転換し、37℃で24時間LB−kanプレート上で選択した。いくつかのコロニーをLB−kanプレート上に画線塗抹し、42℃で一晩インキュベートしてpKD46プラスミドを硬化させた。コロニーをチェックしてkanR/ampSの表現型を確認した。PUREGENE(登録商標)DNA精製システムを使用していくつかのコロニーからゲノムDNAを単離し、配列番号42および配列番号43と同定されるプライマーを使用してPCRによりチェックしてkatE遺伝子の中断を確認した。いくつかのkatE−中断株(ΔkatE)をkan遺伝子を切除するのに使用されるFLPリコンビナーゼを含有する温度感受性プラスミドpCP20(配列番号36)で形質転換して、37℃で24時間LB−ampプレート上で選択した。いくつかのコロニーをLBプレート上に画線塗抹して42℃で一晩インキュベートし、pCP20プラスミドをキュアした。2つのコロニーをチェックしてkanS/ampSの表現型を確認し、MG1655 KatG1KatE18.1およびMG1655 KatG1KatE23と称した。MG1655 KatG1KatE18.1は大腸菌(E.coli)KLP18と称される。
【0235】
実施例4
サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)からのペルヒドロラーゼのクローニングおよび発現
大腸菌(E.coli)中での発現のために最適化されたコドン(DNA2.0,(Menlo Park,CA))を使用して、GENBANK(登録商標)で報告されるサーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)由来のアセチルキシランエステラーゼをコードする遺伝子のコード領域(登録番号AE000512;領域80481〜81458;配列番号44)を合成した。引き続いて配列番号45および配列番号46と同定されたプライマーを使用して、PCR(94℃で0.5分間、55℃で0.5分間、70℃で1分間、30サイクル)によって遺伝子のコード領域を増幅した。得られた核酸生成物(配列番号47)をpTrcHis2−TOPO(登録商標)にサブクローンして、pSW196と同定されるプラスミドを発生させた。プラスミドpSW196を使用して大腸菌(E.coli)KLP18(実施例3)を形質転換し、KLP18/pSW196株を発生させた。LB培地中でKLP18/pSW196を振盪しながら37℃でOD600nm=0.4〜0.5まで成長させ、その時点でIPTGを1mMの最終濃度に添加して、インキュベーションを2〜3時間継続した。細胞を遠心分離によって収集し、SDS−PAGEを実施して、総可溶性タンパク質の20〜40%のペルヒドロラーゼの発現を確認した。
【0236】
実施例5
サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)MSB8からのペルヒドロラーゼのクローニングおよび発現
GENBANK(登録商標)で報告されるサーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)MSB8からのアセチルキシランエステラーゼをコードする遺伝子のコード領域(登録番号NP_227893.1;配列番号48)を合成した(DNA
2.0、Menlo Park,CA)。引き続いて配列番号49および配列番号50と同定されたプライマーを使用して、遺伝子のコード領域をPCR(94℃で0.5分間、55℃で0.5分間、70℃で1分間、30サイクル)によって増幅した。得られた核酸生成物(配列番号51)を制限酵素PstIおよびXbaIで切断し、pUC19中のPstIおよびXbaI部位の間にサブクローンし、pSW207と同定されるプラスミドを発生させた。プラスミドpSW207を使用して大腸菌(E.coli)KLP18(実施例3)を形質転換し、KLP18/pSW207と同定される株を発生させた。LB培地中でKLP18/pSW207を振盪しながら37℃でOD600nm=0.4〜0.5まで成長させ、その時点でIPTGを1mMの最終濃度に添加して、インキュベーションを2〜3時間継続した。細胞を遠心分離によって収集し、SDS−PAGEを実施して総可溶性タンパク質の20〜40%のペルヒドロラーゼ酵素の発現を確認した。
【0237】
実施例6
ペルヒドロラーゼを発現する大腸菌(E.coli)KLP18形質転換体の発酵
酵母抽出物(Amberex 695、5.0g/L)、KHPO(10.0g/L)、KHPO(7.0g/L)、クエン酸ナトリウム二水和物(1.0g/L)、(NHSO(4.0g/L)、MgSO七水和物(1.0g/L)、およびクエン酸第二鉄アンモニウム(0.10g/L)を含有する0.5Lの種培地を2リットルの振盪フラスコに装入して、発酵槽種培養を調製した。培地のpHを6.8に調節し、培地をフラスコ内で滅菌した。滅菌後添加は、グルコース(50重量%、10.0mL)および1mLアンピシリン(25mg/mL)原液を含んだ。1mLの20%グリセロール中の大腸菌(E.coli)KLP18/pSW196または大腸菌(E.coli)KLP18/pSW207培養物を種培地に接種して、35℃および300rpmで培養した。種培養物を約1〜2OD550nmで、KHPO(3.50g/L)、FeSO七水和物(0.05g/L)、MgSO七水和物(2.0g/L)、クエン酸ナトリウム二水和物(1.90g/L)、酵母抽出物(Amberex 695、5.0g/L)、Biospumex153K消泡剤(0.25mL/L、CognisCorporation,(Monheim,Germany))、NaCl(1.0g/L)、CaCl二水和物(10g/L)、およびNIT微量元素溶液(10mL/L)を含有する35℃の培地8Lと共に、14L発酵槽(Braun Biotech,Allentown,PA)に移した。微量元素溶液は、クエン酸一水和物(10g/L)、MnSO水和物(2g/L)、NaCl(2g/L)、FeSO七水和物(0.5g/L)、ZnSO七水和物(0.2g/L)、CuSO五水和物(0.02g/L)、およびNaMoO二水和物(0.02g/L)を含有した。滅菌後添加物は。グルコース溶液(50%w/w、80.0g)およびアンピシリン(25mg/mL)原液(16.00mL)を含んだ。グルコース溶液(50%w/w)を流加培養のために使用した。グルコース濃度が0.5g/Lに低下したらグルコース供給を開始し、0.31g供給/分で始めて毎時それぞれ0.36、0.42、0.49、0.57、0.66、0.77、0.90、1.04、1.21、1.41、および1.63g/分に次第に増大させ、以後速度は一定のままであった。培地中のグルコース濃度をモニターし、濃度が0.1g/Lを超えたら供給速度を低下させまたは一時的に停止した。様々な株で16mL IPTG(0.5M)の添加によって、OD550nm=56およびOD550nm=80の間で誘発を開始した。溶解酸素(DO)濃度は、空気飽和の25%に調節した。DOは最初は回転翼撹拌速度(400〜1400rpm)によって、後からは曝気速度(2〜10slpm)によって調節した。pHは6.8に調節した。NHOH(29%w/w)およびHSO(20%w/v)をpH調節のために使用した。上部圧力は0.5バールであった。IPTG添加の16時間後に、細胞を遠心分離によって収集した。
【0238】
実施例7
CE−7エステラーゼ/ペルヒドロラーゼの加熱処理細胞抽出物の調製
ジチオスレイトール(1mM)を含有する0.05Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)中の細胞ペースト懸濁液(20重量%湿潤細胞重量)を作動圧力16,000psi(約110MPa)のフレンチプレスに2回通過させて、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)(KLP18/pSW196)またはサーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)MSB8(KLP18/pSW207)からのペルヒドロラーゼを発現する大腸菌(E.coli)形質転換体の細胞抽出物を調製した。次に粗製抽出物を20,000xgで遠心分離して細胞残骸を除去し、精製細胞抽出物を生成して、それを総可溶性タンパク質についてアッセイした(タンパク質定量用ビシンコニン酸キット、Sigma Aldrichカタログ番号BCA1−KT)。精製サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)MSB8またはサーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)ペルヒドロラーゼ含有抽出物を75℃で20分間加熱し、氷/水浴中での5℃への冷却が即座に続いた。得られた混合物を前述同様遠心分離し、沈殿タンパク質を除去して上清を収集し、総可溶性タンパク質についてアッセイした。加熱処理上清のSDS−PAGEは、ペルヒドロラーゼが上清中に存在する総可溶性タンパク質の少なくとも約90%を構成することを示した。
【0239】
実施例8
T.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ/トレハロース乾燥酵素粉末の温度安定性
大腸菌(E.coli)KLP18/pSW196(≧90%T.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ、PAGEによる)の加熱処理細胞抽出タンパク質、トレハロース(Cargill)、および任意選択により界面活性剤としてポリソルベート80(p80)を様々な濃度で炭酸水素ナトリウム緩衝液(50mM、pH=8.1)中に含有する、10種の一連の水性混合物を調製した(表1)。これらの溶液をBuchi B−290ガラスチャンバー噴霧乾燥機(入口温度=170℃、出口温度=90℃、供給速度=3mL/分〜10mL/分)を使用して噴霧乾燥させて10種の乾燥酵素粉末を生成し、BCA(ビシンコニン酸)タンパク質アッセイを使用して粉末中のタンパク質重量%を測定し、変調示差走査熱量測定を使用してこれらの粉末のガラス転移温度(Tg)を測定した(表1)。
【0240】
【表2】

【0241】
乾燥酵素粉末を40℃で密封バイアル内に保存し、1週間間隔で試料採取して、25℃で炭酸水素ナトリウム緩衝液(50mM、pH7.2)中にT.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ(50μgタンパク質/mL)、H(100mM)、トリアセチン(100mM)、およびTurpinal(登録商標)SL(500ppm)を含有する反応中で5分間に生じる過酢酸濃度についてサンプルをアッセイし、Karstら(下述)が報告する分析法の変法を使用して過酢酸の生成について分析した。
【0242】
反応混合物のサンプル(0.040mL)を所定時間(5分)に取り出して、即座に0.960mLの水中の5mMリン酸と混合して、希釈サンプルのpHをpH4未満に調節することで反応を終結させた。得られた溶液をUltrafree(登録商標)MCフィルターユニット(30,000分画分子量(NMWL)、Millipore Corp.,(Billerica,MA)、カタログ番号UFC3LKT 00)を使用して、12,000rpmで2分間の遠心分離によって濾過した。得られた濾液のアリコート(0.100mL)を0.300mLの脱イオン水を含有する1.5mLねじ蓋HPLCバイアル(Agilent Technologies,(Palo Alto,CA);#5182−0715)に移し、次に0.100mLのアセトニトリル中の20mM MTS(メチルp−トリルスルフィド)を添加してバイアルの蓋を閉め、光不在下で約25℃で10分間のインキュベーションに先だって内容物を短時間混和した。次にバイアルに0.400mLのアセトニトリルと、0.100mLのアセトニトリル中のトリフェニルホスフィン(TPP、40mM)溶液とを添加し、バイアルの蓋を再度閉めて、得られた溶液を混合し光不在下で約25℃で30分間インキュベートした。次にバイアルに0.100mLの10mM N,N−ジエチル−m−トルアミド(DEET;HPLC外部標準)を添加し、得られた溶液をMTSと過酢酸との反応によって生成される化学量論的酸化生成物であるMTSO(メチル−p−トリルスルホキシド)についてHPLCによって分析した。バックグラウンドMTS酸化について過酢酸生成速度を補正するために、抽出タンパク質またはトリアセチン不添加で対照反応を実施し、過酸化水素によるアッセイ混合物中のMTSの酸化速度を判定した。HPLC法:Supelco Supelguard Discovery C8プレカラム(Sigma−Aldrich;カタログ番号59590−U)付きSupelco Discovery C8カラム(10cm×4.0mm、5μm)(カタログ番号569422−U);注入量10μL;1.0mL/分および周囲温度でのCHCN(Sigma−Aldrich;カタログ番号270717)および脱イオン水による勾配法。
【0243】
【表3】

【0244】
T.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ/トレハロース噴霧乾燥粉末の過加水分解活性は、40℃で8週間にわたる保存中安定していた(表3)。
【0245】
【表4】

【0246】
実施例9
酵素粉末とトリアセチンとの混合物中のT.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ/トレハロース乾燥酵素粉末の温度安定性
トリアセチン中の噴霧乾燥粉末の混合物として40℃で8週間保存した際の安定性について、実施例8で記載されるように調製した乾燥酵素粉末を評価した。乾燥酵素粉末をトリアセチンに添加して、87.2gのトリアセチン中に0.200gのタンパク質を含有する混合物を生成した。得られた混合物を40℃で保存し、pH7.2の50mM炭酸水素ナトリウム緩衝液中に100mMの過酸化水素およびTurpinal(登録商標)SL(500ppm)を含有する100mLの反応中で、2.19gの良く撹拌した混合物サンプルを25℃で毎週アッセイし、得られたトリアセチンおよびタンパク質濃度はそれぞれ100mMおよび50μg/mLであった。表4のデータと、実施例8の表3のデータとの比較は、トリアセチンとの混合物として保存した際のT.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ/トレハロース乾燥酵素粉末の不安定性を実証する。
【0247】
【表5】

【0248】
実施例10
T.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ/マルトデキストリン乾燥酵素粉末の温度安定性
大腸菌(E.coli)KLP18/pSW196(34gタンパク質/L、≧90%T.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ、PAGEによる)の加熱処理細胞抽出物タンパク質、および賦形剤としてのマルトデキストリン(66.7g/LMALTRIN(登録商標)M100マルトデキストリン、14.7g/LMALTRIN(登録商標)M250、14.7g/LMALTRIN(登録商標)M040、Grain Processing Corporation,Muscatine,IA)を50mM炭酸水素ナトリウム(pH8.1)中に含有する水性混合物を調製した。この溶液を噴霧乾燥機(GEA Niro、3フィート径、入口温度=226℃、出口温度=76℃、供給速度=60g/分)を使用して噴霧乾燥させて乾燥酵素粉末を生成し、BCA(ビシンコニン酸)タンパク質アッセイを使用して粉末中のタンパク質重量%(20.3重量%)を測定し、変調を示差走査熱量測定使用してこの粉末のガラス転移温度(Tg=54℃)を測定した。この溶液を噴霧乾燥させて粉末を生成し、次に40℃で9週間の保存中の安定性について試験した。乾燥酵素粉末(40℃で保存)を1週間間隔で試料採取し、50mM炭酸水素塩緩衝液(pH7.2)中の50μgタンパク質/mLのT.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ、H(100mM)、トリアセチン(100mM)、およびTURPINAL(登録商標)SL(500ppm)を使用して25℃で活性についてアッセイし、前出のKarstらが報告する分析法の変法を使用して過酢酸の生成について分析した。T.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ/マルトデキストリン噴霧乾燥粉末の過加水分解活性は、40℃で8週間にわたる保存中安定していた(表5)。
【0249】
【表6】

【0250】
実施例11
酵素粉末とトリアセチンとの混合物中で保存したT.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ/マルトデキストリン乾燥酵素粉末の温度安定性
トリアセチン中の噴霧乾燥粉末の混合物として40℃で21週間保存した際の安定性について、実施例10で記載されるように調製した乾燥酵素粉末を評価した。乾燥酵素粉末(1.235g、タンパク質20.3重量%)を109gのトリアセチンに添加した。得られた混合物を40℃で保存し、pH7.2の50mM炭酸水素ナトリウム緩衝液中に過酸化水素(100mM)およびTurpinal(登録商標)SL(500ppm)を含有する100mLの反応中で、2.19gの良く撹拌した混合物サンプルを25℃で二連でアッセイし、得られたトリアセチンおよびタンパク質濃度はそれぞれ100mMおよび50μg/mLであった。表6のデータと、実施例10の表5のデータとの比較は、トリアセチンとの混合物として保存した際のT.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ/マルトデキストリン乾燥酵素粉末の安定性を実証する。
【0251】
【表7】

【0252】
実施例12
酵素粉末と炭酸水素ナトリウムとトリアセチンとの混合物中で保存したT.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ/マルトデキストリン乾燥酵素粉末の温度安定性
トリアセチンと炭酸水素ナトリウムとの混合物中の噴霧乾燥粉末の混合物として40℃で21週間保存した際の安定性について、実施例10で記載されるように調製した乾燥酵素粉末を評価した。乾燥酵素粉末(0.988g、タンパク質20.3重量%)を87.2gのトリアセチンと16.8gの炭酸水素ナトリウム(3DF等級(粉末)、Church & Dwight)との混合物に添加した。得られた混合物を40℃で保存し、過酸化水素(100mM)およびTurpinal(登録商標)SL(500ppm)を含有する100mLの反応中で、2.62gの良く撹拌した混合物サンプルを25℃で二連でアッセイし、得られたトリアセチン、炭酸水素ナトリウム、およびタンパク質濃度は、それぞれ100mM、50mM(pH7.2)、および50μg/mLであった。表7のデータと実施例11の表6のデータとの比較は、トリアセチンおよび固体炭酸水素ナトリウム混合物として40℃で21週間保存した際のT.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ/マルトデキストリン乾燥酵素粉末の安定性が、トリアセチン単独との混合物として40℃で21週間保存した際のT.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ/マルトデキストリン乾燥酵素粉末の安定性と比べて改善されていることを実証する。例えば21週間などのより長い保存時間では、ペルヒドロラーゼはトリアセチンと炭酸水素ナトリウムとの混合物中で、初期活性の約100%をなおも維持した。
【0253】
【表8】

【0254】
実施例13
T.マリチマ(T.maritima)ペルヒドロラーゼ/マルトデキストリン乾燥酵素粉末の温度安定性
大腸菌(E.coli)KLP18/pSW207の加熱処理細胞抽出物タンパク質(21gタンパク質/L、90%T.マリチマ(T.maritima)ペルヒドロラーゼ、PAGEによる)および賦形剤としてのマルトデキストリン(31g/LマルトデキストリンDE13−17および31g/LマルトデキストリンDE4−7、Aldrich)を50mM炭酸水素ナトリウム(pH8.1)中に含有する水性混合物を調製した。この溶液をBuchi B−290ガラス−チャンバー噴霧乾燥機(入口温度=170℃、出口温度=90℃、供給速度=4.5mL/分)を使用して噴霧乾燥させて乾燥酵素粉末を生成し、BCA(ビシンコニン酸)タンパク質アッセイを使用して粉末中のタンパク質重量%(18.0重量%)を測定し、変調を示差走査熱量測定使用してこの粉末のガラス転移温度(Tg=90℃)を測定した。この溶液を噴霧乾燥させて粉末を生成し、次に40℃で7週間の保存中の安定性について試験した。乾燥酵素粉末(40℃で保存)を1週間間隔で試料採取し、50mM炭酸水素塩緩衝液(pH7.2)中の50μgタンパク質/mLのT.マリチマ(T.maritima)ペルヒドロラーゼ、H(H(100mM))、トリアセチン(100mM)、およびTURPINAL(登録商標)SL(500ppm)を使用して25℃で活性についてアッセイし、前出のKarstらが報告する分析法の変法を使用して過酢酸の生成について分析した。T.マリチマ(T.maritima)ペルヒドロラーゼ/マルトデキストリン噴霧乾燥粉末の過加水分解活性は、40℃で7週間にわたる保存中安定していた(表8)。
【0255】
【表9】

【0256】
実施例14
酵素粉末とトリアセチンとの混合物中で保存したT.マリチマ(T.maritima)ペルヒドロラーゼ/マルトデキストリン乾燥酵素粉末の温度安定性
トリアセチン中の噴霧乾燥粉末の混合物として40℃で7週間保存した際の安定性について、実施例13で記載されるように調製した乾燥酵素粉末を評価した。乾燥酵素粉末(0.556g、18.0タンパク質重量%)を43.6gのトリアセチンに添加した。得られた混合物を40℃で保存し、pH7.2の50mM炭酸水素ナトリウム緩衝液中に過酸化水素(100mM)およびTurpinal(登録商標)SL(500ppm)を含有する100mLの反応中で、2.21gの良く撹拌した混合物サンプルを25℃で二連でアッセイし、得られたトリアセチンおよびタンパク質の濃度はそれぞれ100mMおよび50μg/mLであった。表9のデータと実施例13の表8のデータとの比較は、トリアセチンとの混合物として保存した際のT.マリチマ(T.maritima)ペルヒドロラーゼ/マルトデキストリン乾燥酵素粉末の安定性を実証する。
【0257】
【表10】

【0258】
実施例15
酵素粉末と炭酸水素ナトリウムとトリアセチンとの混合物中で保存したT.マリチマ(T.maritima)ペルヒドロラーゼ/マルトデキストリン乾燥酵素粉末の温度安定性
トリアセチンと炭酸水素ナトリウムとの混合物中の噴霧乾燥粉末の混合物として40℃で7週間保存した際の安定性について、実施例13で記載されるように調製した乾燥酵素粉末を評価した。乾燥酵素粉末(0.556g、タンパク質18.0重量%)を43.6gのトリアセチンおよび8.4gの炭酸水素ナトリウム(3DF等級(粉末)、Church & Dwight)に添加した。得られた混合物を40℃で保存し、過酸化水素(100mM)およびTurpinal(登録商標)SL(500ppm)を含有する100mLの反応中で、2.63gの良く撹拌した混合物サンプルを25℃で二連でアッセイし、得られたトリアセチン、炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH7.2)、およびタンパク質濃度は、それぞれ100mM、50mM、および50μg/mLであった。表10のデータと実施例14の表9のデータとの比較は、トリアセチンおよび固体炭酸水素ナトリウム混合物として40℃で5、6、および7週間保存した際のT.マリチマ(T.maritima)ペルヒドロラーゼ/マルトデキストリン乾燥酵素粉末の安定性が、トリアセチン単独との混合物として40℃で5、6、および7週間保存した際のT.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ/マルトデキストリン乾燥酵素粉末の安定性と比べて改善されていることを実証する。
【0259】
【表11】

【0260】
実施例16
枯草菌(Bacillus subtilis)ATCC(登録商標)31954(商標)ペルヒドロラーゼを使用したプロピレングリコールジアセテートまたはエチレングリコールジアセテートの過加水分解
ジチオスレイトール(1mM)を含有する0.05Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)中の細胞ペースト懸濁液(20重量%湿潤細胞重量)から、枯草菌(Bacillus subtilis)ATCC(登録商標)31954(商標)(KLP18/pSW194)からの野生型ペルヒドロラーゼを発現する形質転換体のホモジェネートを調製した。粗製ホモジェネートを遠心分離して細胞残骸を除去し、精製細胞抽出物を生成してそれを65℃で30分間加熱処理した。得られた混合物を遠心分離して、30K MWCO(分子量カットオフ)膜上で加熱処理上清を総溶解固形分32mg/mLの濃度に濃縮し、精製加熱処理細胞抽出物のSDS−PAGEは、ペルヒドロラーゼが少なくとも85〜90%純粋であることを示した。次にこの濃縮物に1グラムの固形分あたり2.06グラムのNaHPOおよび1.17グラムのNaHPOをこの濃縮物に添加して添加し、比率(wt/wt)およそ3:1のリン酸緩衝液対加熱処理細胞抽出物タンパク質を生成した。この溶液を脱イオン水で30重量%に希釈し、次にBuchi B−290実験室噴霧乾燥機を使用して噴霧乾燥させ(180℃入口温度、70℃出口温度)、得られた噴霧乾燥粉末はタンパク質25.5重量%を含有し(Bradfordタンパク質アッセイ)、乾燥固形分94.3重量%であった。
【0261】
プロピレングリコールジアセテート(PGDA)またはエチレングリコールジアセテート(EGDA)、過酸化水素(100mM)、および噴霧乾燥大腸菌(E.coli)KLP18/pSW194(枯草菌(Bacillus subtilis)ATCC(登録商標)31954(商標)野生型ペルヒドロラーゼを発現する)からの123μg/mLの加熱処理抽出タンパク質(上述のように調製)を含有する50mM炭酸水素ナトリウム緩衝液(初期pH7.2)中において、23℃で反応(総体積10mL)を実施した。各反応条件の対照反応を実施して、加熱処理抽出タンパク質不添加で過酸化水素によるトリアセチンの化学過加水分解によって生成される過酢酸濃度を判定した。反応を1、5、および30分間で試料採取し、Karst誘導体化プロトコル(Karstら、前出)を使用して過酢酸について分析し、反応混合物のアリコート(0.040mL)を取り出して0.960mLの水中の5mMリン酸と混合し、希釈サンプルのpH4未満へのpH調節は反応を即座に終結した。得られた溶液をUltrafree(登録商標)MCフィルターユニット(30,000分画分子量(NMWL)、Millipore、カタログ番号UFC3LKT 00)を使用して、12,000rpmで2分間の遠心分離によって濾過した。得られた濾液のアリコート(0.100mL)を0.300mLの脱イオン水を含有する1.5mLねじ蓋HPLCバイアル(Agilent Technologies,(Palo Alto,CA);#5182−0715)に移し、次に0.100mLのアセトニトリル中の20mM MTS(メチルp−トリルスルフィド)を添加してバイアルの蓋を閉め、光不在下で約25℃で10分間のインキュベーションに先だって内容物を短時間混和した。次に各バイアルに0.400mLのアセトニトリルと、0.100mLのアセトニトリル中のトリフェニルホスフィン(TPP、40mM)溶液とを添加し、バイアルの蓋を再度閉めて、得られた溶液を混合し光不在下で約25℃で30分間インキュベートした。次に各バイアルに0.100mLの10mM N,N−ジエチル−m−トルアミド(DEET;HPLC外部標準)を添加して、得られた溶液をHPLCによって分析した。1分間、5分間、および30分間で生成された過酢酸濃度を表11に列挙する。
【0262】
【表12】

【0263】
実施例17
T.マリチマ(T.maritima)およびT.ネアポリタナ(T.neapolitana)野生型および変異型ペルヒドロラーゼを使用したプロピレングリコールジアセテートまたはエチレングリコールジアセテートの過加水分解
ジチオスレイトール(1mM)を含有する0.05Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)中の細胞ペースト懸濁液(20重量%湿潤細胞重量)を作動圧力16,000psi(約110MPa)のフレンチプレスに2回通過させて、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)野生型ペルヒドロラーゼ(KLP18/pSW196)、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)C277S変異型ペルヒドロラーゼ(KLP18/pSW196/C277S)、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)C277T変異型ペルヒドロラーゼ(KLP18/pSW196/C277T)、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)野生型ペルヒドロラーゼ(KLP18/pSW228)、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)C277S変異型ペルヒドロラーゼ(KLP18/pSW228/C277S)、およびサーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)C277T変異型ペルヒドロラーゼ(KLP18/pSW228/C277T)を発現する形質転換体の細胞抽出物をそれぞれ調製した。溶解細胞を12,000×gで30分間遠心分離して精製細胞抽出物を生成し、それを総可溶性タンパク質についてアッセイした(Bradfordアッセイ)。上清を75℃で20分間加熱し、氷浴内で2分間の急冷がそれに続いた。11,000×gで10分間の遠心分離によって、沈殿タンパク質を除去した。得られた加熱処理抽出タンパク質上清のSDS−PAGEは、調製品中でCE−7酵素が総タンパク量のおよそ85〜90%を構成することを示した。加熱処理抽出タンパク質上清をドライアイス中で凍結し、使用時まで−80℃に保存した。
【0264】
プロピレングリコールジアセテート(PGDA)またはエチレングリコールジアセテート(EGDA)(100mM)、過酸化水素(100mM)、および次の1つからの25μg/mLの加熱処理抽出タンパク質を含有する10mM炭酸水素ナトリウム緩衝液(初期pH8.1)中において、20℃で第1の一連の反応(10mL総体積)を実施した:大腸菌(E.coli)KLP18/pSW196(サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)野生型ペルヒドロラーゼ)、大腸菌(E.coli)KLP18/pSW196/C277S(サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)C277S変異型ペルヒドロラーゼ)、大腸菌(E.coli)KLP18/pSW196/C277T(サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)C277T変異型ペルヒドロラーゼ)、大腸菌(E.coli)KLP18/pSW228(サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)野生型ペルヒドロラーゼ)、大腸菌(E.coli)KLP18/pSW228/C277S(サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)C277S変異型ペルヒドロラーゼ)、および大腸菌(E.coli)KLP18/pSW228/C277T(サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)C277T変異型ペルヒドロラーゼ)(上述のように調製)。各反応条件の対照反応を実施して、抽出タンパク質不添加で過酸化水素によるトリアセチンの化学過加水分解によって生成される過酢酸濃度を判定した。反応を1、5、および30分間で標本採取して、Karst誘導体化プロトコル(Karstら、前出)およびHPLC分析法(前出)を使用してサンプルを過酢酸について分析した。1、5、および30分間に生成された過酢酸濃度を表12に列挙する。
【0265】
【表13】

【0266】
プロピレングリコールジアセテート(PGDA)またはエチレングリコールジアセテート(EGDA)(2mM)、過酸化水素(10mM)、および次の1つからの10μg/mLの加熱処理抽出タンパク質を含有する10mM炭酸水素ナトリウム緩衝液(初期pH8.1)中において、第2の一連の反応(総体積10mL)を20℃で実施した:大腸菌(E.coli)KLP18/pSW196(サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)野生型ペルヒドロラーゼ)、大腸菌(E.coli)KLP18/pSW196/C277S(サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)C277S変異型ペルヒドロラーゼ)、大腸菌(E.coli)KLP18/pSW196/C277T(サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)C277T変異型ペルヒドロラーゼ)、大腸菌(E.coli)KLP18/pSW228(サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)野生型ペルヒドロラーゼ)、大腸菌(E.coli)KLP18/pSW228/C277S(サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)C277S変異型ペルヒドロラーゼ)、および大腸菌(E.coli)KLP18/pSW228/C277T(サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)C277T変異型ペルヒドロラーゼ)(上述のように調製)。各反応条件の対照反応を実施して、抽出タンパク質不添加で過酸化水素によるトリアセチンの化学過加水分解によって生成される過酢酸濃度を判定した。反応を5分間で標本採取して、Karst誘導体化プロトコル(Karstら、前出)およびHPLC分析法(前出)を使用してサンプルを過酢酸について分析した。5分間に生成された過酢酸濃度を表13に列挙する。
【0267】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵素とカルボン酸エステルとを含む調合物中に存在する場合の該酵素のペルヒドロリシス活性を安定化する方法であって、
(a)ペルヒドロリシス活性を有し構造的にCE−7酵素として分類される少なくとも1つの酵素と、少なくとも1つの賦形剤と、任意選択的に少なくとも1つの界面活性剤とを含む水性調合物を備えるステップと;
(b)(a)の水性調合物を噴霧乾燥して、上記少なくとも1つの酵素と、上記少なくとも1つの賦形剤と、任意選択的に上記少なくとも1つの界面活性剤とを含む酵素粉末を生成させるステップと;
(c)(b)の酵素粉末を少なくとも1つの緩衝剤およびカルボン酸エステルと混ぜ合わせて調合物を形成させるステップと;
を含み、ここで調合物への少なくとも1つの緩衝剤の添加が、調合物中に存在する場合の上記少なくとも1つの酵素のペルヒドロリシス活性の安定性を増強する、上記方法。
【請求項2】
少なくとも1つの賦形剤が酵素粉末の約95質量%〜約25質量%の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの賦形剤が、マルトデキストリン、トレハロース、キシラン、マンナン、フコイダン、ガラクトマンナン、キトサン、ラフィノース、スタキオース、ペクチン、イヌリン、レバン、グラミナン、アミロペクチン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの賦形剤がマルトデキストリンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの賦形剤がトレハロースである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
カルボン酸エステルが、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、モノプロピオニン、ジプロピオニン、トリプロピオニン、モノブチリン、ジブチリン、トリブチリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
カルボン酸エステルがトリアセチンである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの界面活性剤が存在し、それがポリソルベート80である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの賦形剤が、少なくとも約1250の数平均分子量および少なくとも約9000の質量平均分子量を有するオリゴ糖賦形剤である、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
オリゴ糖賦形剤が、少なくとも約1700の数平均分子量および少なくとも約15000の質量平均分子量を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(c)の調合物が実質的に水を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの緩衝剤が、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムの混合物、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、またはリン酸ナトリウムとリン酸カリウムの混合物である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの緩衝剤が約5.5〜約9.5のpH範囲で緩衝能を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(a)少なくとも1つの酵素が、配列番号6、配列番号7、配列番号19、および配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、ここで配列番号19または配列番号20のアミノ酸残基277が、アラニン、バリン、セリン、およびスレオニンからなる群から選択され、
(b)カルボン酸エステルがジアセチン、トリアセチン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの賦形剤がマルトデキストリンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(a)少なくとも1つの酵素が、配列番号6および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
(b)少なくとも1つの賦形剤がマルトデキストリンであり、
(c)少なくとも1つの緩衝剤が炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、およびそれらの混合物からなる群から選択され、
(d)カルボン酸エステルがトリアセチンである、
請求項12に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの緩衝剤が炭酸水素ナトリウムである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
多成分過酸発生システム中の第1の成分として使用される調合物であって、
(a)モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、モノプロピオニン、ジプロピオニン、トリプロピオニン、モノブチリン、ジブチリン、トリブチリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのカルボン酸エステルと;
(b)ペルヒドロリシス活性を有し、構造的にCE−7酵素として分類される少なくとも1つの酵素と、少なくとも1つの賦形剤と、任意選択的に少なくとも1つの界面活性剤とを含む酵素粉末と;
(c)上記調合物中に存在する場合上記少なくとも1つの酵素の安定性を増強する、少なくとも1つの緩衝剤と;
の混合物を含む、上記調合物。
【請求項19】
少なくとも1つの賦形剤が、少なくとも約1250の数平均分子量および少なくとも約9000の質量平均分子量を有するオリゴ糖賦形剤である、請求項18に記載の調合物。
【請求項20】
第1の成分と第2の成分とを含む殺菌剤システムであって、該第1の成分が請求項18または19に記載の調合物を含み、該第2の成分が水中の過酸素源および任意選択的に過酸化水素安定剤を含む、上記殺菌剤システム。
【請求項21】
第1の成分と第2の成分とを含むランドリーケア調合物であって、該第1の成分が請求項18または19に記載の調合物を含み、該第2の構成要素が過酸化水素水溶液および任意選択的に過酸化水素安定剤を含む、ランドリーケア調合物。
【請求項22】
ペルオキシカルボン酸を酵素的に生成させる方法であって、
(a)(1)請求項18または19に記載の調合物と;
(2)水中の過酸素源と;
を含む、一式の反応成分を備えるステップと:
(b)該反応成分を混ぜ合わせて、それによってペルオキシカルボン酸を生成させるステップと:
を含む、上記方法。
【請求項23】
(a)少なくとも1つの酵素が、配列番号6、配列番号7、配列番号19、および配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、ここで配列番号19または配列番号20のアミノ酸残基277がアラニン、バリン、セリン、およびスレオニンからなる群から選択され、
(b)少なくとも1つの賦形剤がマルトデキストリンであり、
(c)少なくとも1つの緩衝剤が炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムの混合物、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、およびリン酸ナトリウムとリン酸カリウムの混合物からなる群から選択され、
(d)少なくとも1つのカルボン酸エステルがトリアセチンであり、
(e)生成されるペルオキシカルボン酸が過酢酸である、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
酵素生成ペルオキシカルボン酸組成物を使用して硬表面または無生物的対象物を殺菌する方法であって、
(a)(1)請求項18に記載の調合物と;
(2)水中の過酸素源と;
を含む、一式の反応成分を備えるステップと:
(b)該反応成分を混ぜ合わせて、それによってペルオキシカルボン酸を生成させるステップと:
(c)任意選択的に該ペルオキシカルボン酸生成物を希釈するステップと:
(d)ステップ(b)またはステップ(c)で生成したペルオキシカルボン酸生成物を、上記硬表面または無生物的対象物に接触させて、それによって該表面または該無生物的対象物を殺菌するステップと:
を含む、上記方法。
【請求項25】
酵素生成ペルオキシカルボン酸組成物を使用して、漂白、汚れ除去、臭気低減、衛生化または殺菌のために、衣料品またはテキスタイルを処理する方法であって、
(a)(1)(i)請求項18に記載の調合物と、
(ii)カルボン酸エステルと、
を含む、混合物と;
(2)過酸素源と;
を含む、一式の反応成分を備えるステップと:
(b)該反応成分を、適した水性反応条件下で混ぜ合わせて、それによってペルオキシカルボン酸生成物を形成させるステップと:
(c)任意選択的に該ペルオキシカルボン酸生成物を希釈するステップと:
(d)ステップ(b)またはステップ(c)で生成したペルオキシカルボン酸を、上記衣料品またはテキスタイルに接触させるステップと:
を含み、ここで衣料品またはテキスタイルの該物品を洗浄し、汚れを除去し、脱臭し、衛生化し、殺菌し、またはその組み合わせを行なう、上記方法。
【請求項26】
(a)少なくとも1つの酵素が、配列番号6、配列番号7、配列番号19、および配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、ここで配列番号19または配列番号20のアミノ酸残基277がアラニン、バリン、セリン、およびスレオニンからなる群から選択され、
(b)少なくとも1つの賦形剤がマルトデキストリンであり、
(c)少なくとも1つの緩衝剤が炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムの混合物、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、およびリン酸ナトリウムとリン酸カリウムの混合物からなる群から選択され、
(d)少なくとも1つのカルボン酸エステルがトリアセチンであり、
(e)生成されるペルオキシカルボン酸が過酢酸である、
請求項24または25に記載の方法。

【公表番号】特表2012−504421(P2012−504421A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530232(P2011−530232)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/059232
【国際公開番号】WO2010/039960
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】