説明

ペルフルオロカーボンゲル製剤

局所的な医療及び化粧用途を含む多数の用途を有するペルフルオロカーボンゲル組成物が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年10月19日に出願された米国特許出願第12/589,202号の一部継続出願であり、1)2009年1月21日に出願された米国仮出願第61/205,499号、2)2009年1月9日に出願された米国仮出願第61/204,785号、及び3)2008年11月25日に出願された米国仮出願第61/200,254号の優先権を主張し、これらの各々の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本出願を通して、様々な刊行物、公開特許出願、及び特許が参照されている。これらの文書の開示は、本発明が属する技術水準をより完全に説明するために、それらの全体が参照により本出願へ組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
ペルフルオロカーボン(PFC)は、水、食塩水及び血漿よりも遥かに高い濃度で大量の多数のガスを溶解する能力を有する。さらに、PFCは、ガスを輸送し遠くに拡散させることができる。従って、PFCは、組織及び器官系へ高濃度の酸素又は他の治療用ガスを送達するための便利かつ安価な手段であり得る。
【0004】
医学研究において一般的に使用されるPFCは、室温で、約1.5〜2.0g/mLの密度並びに酸素及び二酸化炭素について高溶解度を有する、非毒性の、生物学的に不活性な、バイオスタティック液体である。このようなPFCは、静脈内使用のためのエマルジョン及び液体換気適用のためのニート液の両方として、ガスの効率的な担体であることが見出された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、ゲルの総質量に対してペルフルオロカーボン10〜90wt%及び水8〜70wt%を含むペルフルオロカーボンゲル組成物を提供する。
【0006】
本出願はまた、組織と本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物とを接触させる工程によって、0.2cc/時間〜20.0cc/時間の速度で、最大で24時間まで組織に酸素を連続的に送達する方法を提供する。
【0007】
本出願はまた、対象の創傷、熱傷、ざ瘡又は酒さを治療するのに有効な本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を対象の皮膚に局所投与する工程を含む、それらに罹患する対象における創傷、熱傷、ざ瘡又は酒さを治療する方法を提供する。
【0008】
本出願はまた、対象の皮膚の張りを増加させるか又は対象の皮膚の小じわ、しわ若しくは瘢痕を減らすのに有効な本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を対象の皮膚に局所投与する工程を含む、対象の皮膚の張りを増加させるか又は小じわ、しわ若しくは瘢痕を減らす方法を提供する。
【0009】
本出願はまた、a)容器中水相成分を混合する工程;b)その混合物をホモジナイズする工程;c)その混合物に高速ホモジナイゼーション中ペルフルオロカーボンを時間をかけて添加する工程;及びd)ゲルを得る工程を含む、ペルフルオロカーボンゲル組成物の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本明細書に記載の実験の概略図を示し、ここで、各々最初は酸素を含まない、液体A(ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン)又は「FtBu」)1リットル及び液体B(水)1リットルに、空気から酸素を吸収させている。
【図2】ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン)及び水についてのヘンリーの法則の収着等温線を示す。液体中の溶解酸素の量を、ガスとの平衡後に測定する。ガス(ここでは、酸素)の分圧は、変えられる。空気中の酸素の分圧は0.21atmである。
【図3】思考実験の概略図を示す。ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン)は、実際は水よりも重く、それを試す場合は沈むと考えられる。この思考実験の目的は、ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン)の層が水の上部上に配置される場合に、水中の酸素濃度が平衡状態で異なるかどうかを測定することである。
【図4】別の思考実験を示す。ケースAの場合、空気と接触している少量の十分に撹拌された水がある。しかし、空気は2つの層に分割されている。
【図5】経時の図4における水中の酸素濃度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本出願は、ゲルの総質量に対してペルフルオロカーボン10〜90wt%及び水8〜70wt%を含む、ペルフルオロカーボンゲル組成物を提供する。
【0012】
一実施態様において、ペルフルオロカーボンは、ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン)である。別の実施態様において、ペルフルオロカーボンは、ペルフルオロデカリンである。別の実施態様において、ペルフルオロカーボンは、トリメチルペルフルオロデカリン又はペルフルオロイソプロピルデカリンである。
【0013】
さらに別の実施態様において、組成物は、界面活性剤1〜5wt%をさらに含む。別の実施態様において、界面活性剤は、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体を含む。別の実施態様において、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体は、ポロキサマー105及び/又はポロキサマー188を含む。
【0014】
一実施態様において、組成物は、ビタミンE 0.01〜10wt%をさらに含む。別の実施態様において、組成物は、ビタミンE 0.03wt%を含む。
【0015】
一実施態様において、組成物は、保存剤0.02〜3.20wt%をさらに含む。別の実施態様において、保存剤は、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)及び/又はエチレンジアミン四酢酸を含む。
【0016】
一実施態様において、組成物は、ペルフルオロカーボン90wt%、水8wt%、及び界面活性剤2wt%を含む。別の実施態様において、組成物は、ペルフルオロカーボン30〜50wt%、水48〜70wt%、及び界面活性剤2wt%を含む。別の実施態様において、組成物は、ペルフルオロカーボン86.86wt%、水10.42wt%、界面活性剤2.69wt%及びビタミンE 0.03wt%を含む。さらに別の実施態様において、組成物は、ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン) 86.86wt%、水10.42wt%、ポロキサマー105 2.43wt%、ポロキサマー188 0.26wt%及びビタミンE 0.03wt%を含む。
【0017】
一実施態様において、保存剤は、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0〜0.40wt%、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0.01〜0.80wt%及びエチレンジアミン四酢酸0.01〜2.00wt%を含む。別の実施態様において、組成物は、ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン) 84〜88wt%、水9〜11wt%、ポロキサマー105 2〜3wt%、ポロキサマー188 0.01〜1wt%、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0〜0.40wt%、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0.01〜0.80wt%及びエチレンジアミン四酢酸0.01〜2.00wt%を含む。
【0018】
一実施態様において、組成物は、ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン) 85.98wt%、水10.28wt%、ポロキサマー105 2.45wt%、ポロキサマー188 0.31wt%、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0.74wt%及びエチレンジアミン四酢酸0.25wt%を含む。
【0019】
一実施態様において、組成物は、ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン) 86.73wt%、水10.37wt%、ポロキサマー105 2.47wt%、ポロキサマー188 0.31wt%、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0.10wt%及びエチレンジアミン四酢酸0.03wt%を含む。
【0020】
一実施態様において、組成物は、ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン) 85.98wt%、水10.28wt%、ポロキサマー105 2.45wt%、ポロキサマー188 0.31wt%、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0.25wt%、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0.50wt%及びエチレンジアミン四酢酸0.25wt%を含む。
【0021】
一実施態様において、組成物は、ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン) 86.73wt%、水10.37wt%、ポロキサマー105 2.47wt%、ポロキサマー188 0.31wt%、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0.03wt%、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0.07wt%及びエチレンジアミン四酢酸0.03wt%を含む。
【0022】
一実施態様において、組成物は、銅0.10〜2wt%をさらに含む。別の実施態様において、銅は酸化銅(II)である。
【0023】
一実施態様において、ペルフルオロカーボンゲル組成物は、0.2cc/時間〜20.0cc/時間の速度で、最大で24時間まで組織に酸素を連続的に送達することを特徴とする。別の実施態様において、ペルフルオロカーボン組成物は、2.0cc/時間の速度で、24時間、組織に酸素を連続的に送達する。さらに別の実施態様において、ペルフルオロカーボンゲル組成物は、尿素過酸化水素をさらに含む。
【0024】
本出願はまた、組織と本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物とを接触させる工程によって、0.2cc/時間〜20.0cc/時間の速度で、最大で24時間まで組織に酸素を連続的に送達する方法を提供する。
【0025】
本出願はまた、対象の創傷、熱傷、ざ瘡又は酒さを治療するのに有効な本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を対象の皮膚へ局所投与する工程を含む、それらに罹患する対象における創傷、熱傷、ざ瘡又は酒さを治療する方法を提供する。
【0026】
本出願はまた、対象の皮膚の張りを増加させるか又は対象の皮膚の小じわ、しわ若しくは瘢痕を減らすのに有効な本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を対象の皮膚に局所投与する工程を含む、皮膚の張りを増加させるか又は対象の小じわ、しわ若しくは瘢痕を減らす方法を提供する。
【0027】
本出願はまた、a)容器中水相成分を混合する工程;b)その混合物をホモジナイズする工程;c)その混合物に高速ホモジナイゼーション中ペルフルオロカーボンを時間をかけて添加する工程;及びd)ゲルを得る工程を含む、ペルフルオロカーボンゲル組成物の製造方法を提供する。
【0028】
一実施態様において、工程a)において、水相成分は、蒸留水、界面活性剤及び/又は保存剤を含む。別の実施態様において、工程a)において、容器は、ガラス、ポリエチレン、PET、又はステンレス鋼容器である。
【0029】
一実施態様において、工程b)において、ホモジナイザーは、ローターステーターホモジナイザーである。別の実施態様において、工程b)において、混合物を4〜6分間ホモジナイズする。別の実施態様において、工程b)において、混合物を5分間ホモジナイズする。さらに別の実施態様において、工程b)において、混合物を10,000〜35,000RPMでホモジナイズする。
【0030】
一実施態様において、工程c)において、ペルフルオロカーボンを10〜30分かけて連続的に又はアリコートに分けて添加する。
【0031】
一実施態様において、ペルフルオロカーボンは、ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン)である。
【0032】
本明細書に記載の様々な構成要素の全ての組み合わせが、本発明の範囲内にある。
【0033】
創傷治癒の生化学及び創傷治療についての戦略は、Chin et al., (2007) “Biochemistry of Wound Healing in Wound Care Practice” Wound Care Practice, 2nd ed., Best Publishing, AZ.に記載されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0034】
ざ瘡治療は、The Merck Manual, 17th Edition (1999), Merck Research Laboratories, Whitehouse Station, NJ, U.S.A.の第116章、第10節、第811-813頁に記載されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0035】
用語
本明細書において使用される場合、特に指定されない限り、以下の用語の各々は、下記に記載の定義を有する。
【0036】
「治癒を促進する」は、本明細書において使用される場合、未処置コントロール対象における熱傷/創傷修復及び治癒の速度と比較しての、熱傷/創傷修復及び治癒の速度の増加を意味する。
【0037】
「対象へ投与する」は、病的状態を軽減又は治癒するために対象へ医薬、薬物、又は医療を提供する、施す、又は適用することを意味する。局所投与は、対象へ本化合物及び組成物を投与する一様式である。
【0038】
病気又は状態を「改善する」は、本明細書において使用される場合、その病気又は状態の症状を減らすことを意味する。皮膚面皰、膿疱又は丘疹に関して「改善する」は、面皰、膿疱又は丘疹によって引き起こされる不快を減らすこと、及び/又はそれらの外観及び/又は物理的寸法を減らすことである。
【0039】
「抗菌剤」は、殺菌化合物、例えば、硝酸銀溶液、酢酸マフェニド、若しくは銀スルファジアジン、又は抗生物質を意味する。本発明によれば、抗菌剤は、「Curpon(商標)」製品で存在し得る。「Cupron(商標)」製品は、銅の特性を利用し、銅を織物繊維へ結合させ、細菌及び真菌などの微生物に対する抗菌性保護を有する銅含浸繊維を含有する織布、編物及び不織布の製造を可能にする。
【0040】
「生物活性薬剤」は、生物に対して有利な又は有害な効果を有する物質を意味する。
【0041】
「熱傷創」は、例えばThe Merck Manual, 17th Edition (1999), Merck Research Laboratories, Whitehouse Station, NJ, U.S.Aの第276章、第20節、第2434頁に説明されるように、熱的熱、放射線、電熱又は化学的熱によって引き起こされるI度、II度又はIII度損傷である熱傷から生じる創傷を意味する。
【0042】
目的を達成するに有効な量における場合の「有効な」は、本開示の方法で使用した場合に合理的なベネフィット/リスク比に見合った過度の有害な副作用(例えば、毒性、刺激、又はアレルギー反応)の無い所望の治療反応を生じさせるに十分である成分の量を意味する。例えば、過度の有害な副作用を引き起こすことなく創傷治癒を促進するに有効な量。具体的な有効量は、治療される特定の状態、患者の身体状態、治療される哺乳動物の種類、治療期間、併用療法の種類(存在する場合)、並びに使用される特定の製剤及び化合物又はその誘導体の構造などの因子で変化する。
【0043】
「ゲル」は、液体分散相が固体/半固体連続媒体中に分散されている、液体及び固体/半固体の半固体又は固体コロイド(濃度及び/又は温度に依存する)を意味する。あるゲルは、撹拌に起因して流体となり、次いで乱されなくなるとそれらのゲル構造を取り戻す。一般的な薬学的ゲルは固体であり、これは、適用され動かされると、製品を一時的に液相にし、従ってそれは滑らかに適用され、次いで粘着性となり次いで乾く。他のゲルは半固体であり、これは、半液体、半固体混合物であり、適用されると粘着性となり次いで乾く。「ヒドロゲル」は、粒子が外部分散相にあり、水が内部分散相にある、任意のコロイドを意味する。
【0044】
「感染症」は、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)に関して使用される場合、対象において炎症反応を引き起こすプロピオニバクテリウム・アクネスによる(宿主)対象の有害なコロニー形成を意味する。
【0045】
「酸素分圧」又は「組織酸素分圧」は、特定の組織中における酸素の直接測定される局所的な分圧である。
【0046】
「酸素化ペルフルオロカーボン」は、例えば、飽和又はサブ飽和レベルで、酸素を運ぶペルフルオロカーボンである。
【0047】
「薬学的に許容される担体」は、合理的なベネフィット/リスク比に見合った過度の有害な副作用(例えば、毒性、刺激、及びアレルギー反応)の無いヒト及び/又は動物での使用に適している担体又は賦形剤を指す。それは、対象へ本化合物を送達するための、薬学的に許容される溶媒、懸濁化剤又はビヒクルであり得る。担体は、液体又は固体であり得、計画される投与様式を考慮して選択される。
【0048】
「薬学的に活性な化合物」は、薬学的製剤中の有効成分である化合物を意味する。
【0049】
「疼痛の緩和を促進する」は、創傷又は損傷、例えば熱傷から生じる疼痛の対象の経験の減少を意味する。
【0050】
「性器」又は「生殖器」は、有性生殖に関与し複合生物において生殖系を構成する、身体の解剖学的部分のいずれかを意味する。本発明の好ましい実施態様において、性器は、対象の生殖器である。本明細書において使用される場合、「生殖器」は、外から見える性器:男性においては陰茎、女性においては陰核及び外陰を指す。
【0051】
「界面活性剤」は、液体の表面張力を低下させ、より容易な拡散を可能にし、2つの液体間の界面張力を低下させる、湿潤剤を意味する。本発明の一実施態様によれば、界面活性剤は、ポロキサマー105(BASF Corporation, Mt. Olive, NJからプルロニック(登録商標)L35として入手可能)又はポロキサマー188(BASF Corporation, Mt. Olive, NJからプルロニック(登録商標)F68として入手可能)ポロキサマー188又はポロキサマー407、又はそれらの混合物であり得る。
【0052】
組成物の「局所投与」は、本明細書において使用される場合、対象の皮膚への組成物の適用を意味する。実施態様において、組成物の局所投与は、対象の表皮への組成物の適用である。
【0053】
「wt%」は、ゲル中の成分のパーセンテージを参照する場合、ゲルの総質量に対してのゲル中の成分の質量のパーセンテージである。
【0054】
ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン)
PFCは、ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン)(C10F20、CAS番号84808−64−0)を含み、これは、例えば、Oxygen Biotherapeutics Inc., Costa Mesa, Californiaからオキシサイト(商標)(OxycyteTM)として入手可能である。実施態様において、ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン)は、以下の構造を有する:
【化1】

【0055】
ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン)の物性は以下の通りである:
分子式 C10F20
分子量(g/mol) 500.08
室温での物理的状態 液体
密度(g/mL) 1.97
沸点(℃) 147
25℃での蒸気圧(mmHg) 3.8
37℃での蒸気圧(mmHg) 4.4
動粘性率(cP) 5.378
20℃での屈折率 1.3098
双極子モーメント計算値(デバイ) 0.287
表面張力計算値(ダイン/cm) 14.4
【0056】
ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン)は、PFC 100mL当たり酸素約43mL、及びPFC
100mL当たりCO2 196mLを運ぶ。
【0057】
オキシサイト(商標)は、ペルフルオロカーボンエマルジョン酸素担体である。F−tert−ブチルシクロヘキサン又は「FtBu」としても公知の、オキシサイト(商標)中の有効成分であるペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン)(C10F20、MW約500)は、飽和脂環式PFCである。ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン)は、無色の、完全に不活性な、非水溶性、非親油性分子であり、これは、水の2倍密度が高く、147℃で沸騰する。オキシサイト(商標)は、本明細書に記載のPFC組成物、方法及び使用において使用され得る。
【0058】
PFCは体温で僅かに親油性であり、皮膚組織への酸素の輸送及び皮膚組織からの二酸化炭素の除去において役立つので、PFCは、組織における創傷の治癒プロセスを促進し得る。ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン)は、体温で僅かにだけ親油性であり、室温では親油性でない。
【0059】
ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン)ゲル
本発明の一実施態様において、ゲルを以下の通りに処方する:
【表1】

【0060】
本明細書に開示されるペルフルオロカーボンゲル組成物及びその製造方法は、既存のゲル及び方法よりも有利である。PFCゲルを作製する最初の試みは、成功しなかった。さらに、ペルフルオロカーボンゲルの既存の作製方法は、せいぜい15〜20%の収率を提供する。本明細書に開示される方法は、80〜100%の収率を提供する。研究及び実験によって、本発明者らは、高収率で本ゲルを製造することに成功した。
【0061】
本明細書に開示されるPFCゲル組成物は、様々な組織、例えば、皮膚へ酸素を送達するためのビヒクルとして使用され得る。本明細書に開示されるPFC組成物は、大気酸素を濃縮し得、同様に、分子酸素がプレロードされ得る。組成物は、拡散勾配によって組織又は創傷へ酸素を送達し得る。
【0062】
細胞は再生及び成長するために酸素を必要とすることが公知である。従って、本明細書に記載のPFCゲルは、多数の適用を有し、組織、例えば、老化又は損傷皮膚組織中の細胞への酸素送達が望まれる場合に使用され得る。
【0063】
PFC作用機序の事例観察及び簡潔な議論
APF−200ゲル(Air Products and Chemicals, Inc., Allentown, PAから市販されている、Multifluor(登録商標)APF−200ペルフルオロイソプロピルデカリン)とプルロニック(登録商標)L35液体との混合物を、非常に赤く痛む対象上のかき傷へ適用した。
【0064】
適用の約3時間内に、対象は、痛みの多くが消え、赤みが和らいだと報告した。次いで、被験体は、より多くのゲルをかき傷へ適用した。
【0065】
翌朝、かき傷の長い尾部は、ほぼ目に見えず、主要な切り傷には、小さな痂皮があり、赤みはほぼなかった。より多くのゲルをかき傷へその夜に適用し、翌朝までに、かき傷は完全に治り、瘢痕化の徴候はなかった。
【0066】
PFCゲルが行うこと及び行わないこと
図1に記載の実験を検討する:2つの液体、FtBu及び水に、空気から酸素を吸収させる。各々に溶解される酸素の量は、液体が空気中の酸素と平衡状態である場合、図2に記載の液体についてのヘンリーの法則の収着等温線から見出され得る。
【0067】
液体中のガスの溶解度を測定する場合、溶解度は、ほぼ常にガスの分圧の一次関数である。
【0068】
FtBuについて、ヘンリー則定数は、約600mg O2/L/atmであり;水についてのそれは、約8.3mg O2/L/atmである。空気(0.21atmでのO2)と接触して、両方とも25℃で、FtBuは約126mg O2を保持し、水は約1.7mg/Lを保持する。ここで、FtBu(1966g/L)及び水(1000g/L)の密度を使用して質量基準へこれらの値を変換する:
【数1】

【0069】
2つの液体が一緒に混合されると仮定し(FtBu及び水が混和性であると仮定し)、どれだけ多くの酸素が混合物中に存在するかを決定する。先ず、混合物中の各液体の質量フラクションを決定する:
【数2】

【0070】
液体を混合する場合、それらは互いに気付かないと仮定する、即ち、特定の分子相互作用が生じないと仮定する。水が水素結合(例えば)に起因して多くの他の溶媒と非常に強い相互作用を有し得ることは、公知である。しかし、簡単にするために2つの液体が混和性であると仮定されるので、同様にそれらが相互作用しないと仮定するほうが、より容易である。PFCの不活性を考えると、これは恐らく有効な仮定である。これらの条件下で、体積加法性の法則は有効であり、純粋な液体中の溶解度の加重平均として混合物中の溶解度が、計算され得る:
【数3】

【0071】
酸素結合PFCと水とを混合することは(それが物理的に可能である場合)、水単独よりも高い酸素濃度を有する混合物を常に与える。加重平均計算は、本発明者らによって作製された他のゲルについても有効であるようである。作製したゲルについての本発明者らによって測定した酸素濃度は、ゲル組成とFtBu中及び水中の酸素の公知の溶解度とに基づいて予想されるものの90〜95%の範囲内にある。差異は、同時に水のいくらかを蒸発させることなくかつゲルの組成に影響を与えることなく、空気からの酸素でゲルを完全に飽和させることが困難であるためであり得る。
【0072】
ここで、前の例における水が、創傷組織(これは、大部分が水である)で置き換えられると仮定し、図3を検討する。本発明者らは、水と空気との間にFtBuが存在する場合及び存在しない場合の、平衡状態での水中の酸素濃度を測定することに興味がある。
【0073】
熱力学は、化学ポテンシャル(μによって示される)が各相において全く同一である場合に、密接に接触している別の相間に平衡が存在することを教示する。所定の温度で、空気中の酸素の化学ポテンシャルは、組成にのみ依存し、これは固定されている。従って、図3中の2つのシナリオについて空気中の酸素の化学ポテンシャルは、第2のケース中のFtBu蒸気の非常に少ない寄与が無視されるならば、同等でなければならない。μO2が両方のケースにおいて空気中で同一であり、かつ両方のケースにおいて空気及び水が平衡にあるならば、水中のμO2もまた、各ケースにおいて同一でなければならない(再び、第2のケースにおける水中のFtBuの小さな溶解度を無視する)。空気についてのように、水中のμO2は、温度及びO2の濃度にのみ依存し、従って、水中の酸素の濃度は、両方のケースにおいて同一でなければならない。どれだけ多くの酸素がFtBu中に溶解されるかは問題ではなく、どれだけ多くのFtBuが存在するかも問題ではない。各ケースにおいて、水中の酸素の量は、等しく同一でなければならない(又は、空気及び水中のFtBu残留物は計算可能であるが恐らく測定不能である影響を有するので、非常に近くなければならない)。創傷組織の上部上にPFCゲルの層を置くことは、創傷組織の酸素の濃度を増加させることができないと結論付けられ得る。
【0074】
ここで図4を検討する。ケースAにおいて1/16"層中の空気は、上方の空気と同一であるが、本発明者らは、独立してこの層によって酸素を拡散することができると仮定する。Bにおいて、ガスの薄層を、ペルフルオロカーボン液体の等しく薄い層で置き換える。ここで、実験が、各ケースにおいて、酸素を完全に欠くが、窒素拡散がいずれの方向にも生じないように窒素で飽和されている水から開始すると仮定する。PFCについて、PFCがO2を最初は欠いているケースを検討し、PFCがO2で飽和されている(しかし、水中には依然として存在しないケースとそれとを比較する。いったん酸素が空気層を通って及びPFCを通って拡散を開始しそして水中に溶解し始めると、各ケースにおける水中の濃度を測定し、値を時間に対してプロットすると、グラフは図5のようになり得る(定性的に)。
【0075】
図5を描くためには、ガスを通ってのガスの拡散係数は10-1cm2/sのオーダーであり、一方、液体を通ってのガス拡散についてのそれは、10-5cm2/sのオーダーであることを知れば足りる。高粘度ゲルを通ってのガス拡散について、拡散係数は、ゲルがどれぐらい粘着性であるかに依存して、10-6cm2/sほど又はそれ以下に低下し得る。即ち、FtBu層を通っての酸素の移動は、ケースAで等しい厚さの空気層を通しての酸素の移動よりも少なくとも10,000倍遅い。ケースAにおけるよりも他の全ては同一であるケースBにおいて、水を飽和させるためにより長い多くの持間が必然的にかかかるに違いない。2つのB曲線について、以下が存在するとを認められる:1)最初O2を欠く層のFtBuの他の側に酸素を突破させるために必要とされる有限の時間、及び2)酸素についてのFtBuの非常に高い収容能力が、最初は欠いている層を、水への道を作る「ストリーム」から拡散酸素の一部を取り出す「シンク」にすること。従って、FtBuがまた最初に酸素を欠いている場合、水を飽和させるために、より長い時間がかかるに違いない。
【0076】
従って、液体を通ってのガス拡散と比べての、ガスを通ってのガス拡散についての拡散係数のかなりの差異は、創傷の上部上に配置されたFtBuの層が、組織への酸素の送達を「加速する」という可能性を排除する。実際に、このような層は、送達速度をかなり減速させる。これは、決して、組織が酸素「不足」になることを意味しない。酸素は、組織による酸素の消費速度を大幅に超える速度で、FtBの薄い層を通って拡散し得る可能性が非常に高い。従って、組織の上部上のFtBu層は、送達プロセスを加速することはできないが、それは、組織から酸素を必ずしも奪わない。
【0077】
従って、組織の上部上のPFC層が組織中の酸素濃度を変化させることができず、かつ、組織への酸素の送達を促進することができないならば、PFCが治癒を実際に加速するという事例証拠を本発明者らはどのようにして合理的に説明することができるか。答えは、PFCは皮膚の上部上にと留まらないという事実にあり得る。少しのPFC又はゲルのうちの1つが皮膚上にすり込まれると、液体は、数分内で皮膚へ吸収されるようである。F68(固体ポロキサマー)を用いて作製されたゲルは、適用後の2〜3分内で表面上にF68の粘着性フィルム(F68「ブルーム」)を残す。L35液体ポロキサマーを用いて作製されたゲルは、より快適であり、PFC及び水よりも遅く吸収されるようであるが、最終的には同様に消滅する。
【0078】
ここで、第1の実験及び計算に戻るが、今回は、水を組織で置き換える。PFCは組織へ迅速に吸収され、それと共に結合されたO2を運ぶか又は拡散酸素を独立して吸収すると考えると、いずれの場合でも、PFCは、形成する組織/PFC混合物中の平均酸素濃度を増加させる。
【0079】
ここで、高圧室圧力において外部O2分圧を上げることとは対照的に、PFCを混合することによって得られるより高い平均O2濃度において何らかの差異があるのか?という疑問が、組織の観点から生じる。この疑問は実施例3において試験する。
【0080】
創傷及び熱傷治癒並びに瘢痕予防及び軽減
議論したように、本明細書に記載のPFCゲルは、多数の適用を有する。例えば、本明細書に開示されるPFCゲルは、保護的創傷カバーリング又は局所的ゲル創傷被覆材として使用され得る。創傷カバーリング又はゲル創傷被覆材は、包帯と共に使用され得るか又は包帯中へ組み込まれ得る。局所的ゲル創傷被覆材は、擦過傷、軽度の裂傷、軽度の切り傷、又は軽度の熱湯傷及び熱傷などの創傷の皮膚表面への酸素の利用可能性を増加させるために約24時間使用され得る。ゲルは、ヒトに対して又は動物使用のために適用され得る。
【0081】
酸素は、創傷を治すために重要である。酸素が(例えば、壊れた毛細血管に起因して)遮断又は減少される場合、創傷は治らない。局所的に適用されたPFCゲルは、酸素リッチな環境を作り出し、冒された皮膚組織中の酸素濃度を増加させ、細胞が増殖し治ることを可能にする。
【0082】
PFCゲルはまた、熱傷の治療において使用され得る。血液中の余分の酸素は、血管新生、新しい毛細血管の形成を促進する。重度の熱傷を負った対象について、PFCゲルは、酸素が不足した熱傷の無い組織へ酸素を提供し得るだけでなく、新たに移植された皮膚及び熱傷を負ったが救済可能な皮膚に供給する新しい毛細血管床の確立を促進し得る。さらに、研究によって、PFCは、早期熱傷後脂質過酸化を抑制し、酸化的溶血に対する赤血球の耐性を増加させることが示された(Bekyarova, 1997)。
【0083】
創傷及び熱傷の治癒を促進することに加えて、PFCゲルはまた、瘢痕化を予防し得る。皮膚が正しく治るに十分な酸素が存在しない場合に、瘢痕が作られる。従って、組織中の酸素濃度を増加させることは、瘢痕の外観を軽減させ得る。
【0084】
従って、PFCゲルはまた、軽度の創傷を迅速に治癒することによって瘢痕化を予防し得、皮膚組織に酸素添加しそして皮膚再生機能を活性化させることによって瘢痕の外観を軽減させ得る。
【0085】
同様に、PFCゲルはまた、組織損傷を引き起こす処置の後に局所適用のために使用され得る。例えば、PFCゲルは、より速い治癒を促進するために術後切開へ適用され得る。毛細血管は、最終的に細胞/組織に酸素添加する。損傷(これは外科的切開を含む)の後、傷つけられるのは毛細血管であり、それらは損傷組織へ及び損傷組織から体液を運搬できないようになる。結果は、腫脹及び炎症である。
【0086】
増加した酸素濃度は、血管新生、新しい毛細血管の成長、及び損傷した毛細血管の修復を促進する。従って、酸素は毛細血管の治癒を促進し、次いで再び体液が除去され得る。PFCゲルはまた、同時に組織に酸素添加する。腫脹が減少すると、炎症によって引き起こされる疼痛も減少する。組織損傷を引き起こす医療処置は、例えば、抜歯、切開などに潜在的に役立ち得るであり得ることが、予想される。
【0087】
別の例において、PFCゲルは、鎮静効果並びに回復促進のために、美容整形後に(例えば、マイクロダーマブレージョン後又はケミカルフェイシャルピーリング後に)適用され得る。これらの処置は真皮の最上層を文字どおりにすりむく/除去するので、PFCゲルは、次いで、細胞ターンオーバー及び修復を促進し得、これは、局所的使用によって促進されるべきである。
【0088】
同様に、ゲルは、一般的に前述したように熱傷を治療するのと同一の様式で、放射線から生じる熱傷を治療するために使用され得る。
【0089】
PFCゲルは、併用療法又は補助療法の構成要素であり得る。例えば、ゲルは、高圧又は補充酸素有り又は無しで投与され得る。一実施態様において、対象は、補充酸素と組み合わせて、本明細書に開示されるPFCゲルが投与され得る。別の実施態様において、PFCゲルは、対象自身の白血球と組み合わせて投与され得、治療の効能が増加される。
【0090】
アンチエイジング化粧用途
PFCゲルはまた、アンチエイジングを促進するための化粧用剤として使用され得る。PFCゲルは、小じわ及びしわなどの老化に関連する皮膚欠点を減少させるために使用され得る。PFCゲルはまた、瘢痕の軽減及び皮膚張りの促進のために使用され得る。
【0091】
皮膚中の酸素濃度は、加齢と共に減少し、小じわ及びしわの外観がより目立つようになる。酸素リッチなゲルの適用は、酸素濃度を回復させ、小じわ及びしわを予防し得る。
【0092】
さらに、酸素は、コラーゲンを破壊する破壊酵素コラゲナーゼを阻害し得る。コラーゲンは、皮膚の表面を支持する構造物質の1つである。コラーゲン産生を支持することによって(より高い酸素濃度によりコラゲナーゼを阻害することによって)、皮膚は、張りを増し得、より若々しく見え得る。
【0093】
従って、PFCゲルは、酸素を使用し皮膚再生機能及びコラーゲン産生を活性化することによって、小じわ及びしわを減らし得る。さらに、PFCゲルは、コラーゲン及びエラスチン生成を活性化することによって、皮膚の張り及び弾力を増加させ得る。
【0094】
本明細書に開示されるPFCゲルについてのさらに別の化粧用途は、セルライトの減少である。カフェイン及び場合によりジメチルスルホキシド(DMSO)と組み合わせてPFCゲルを局所的に適用することによって、セルライトは減少し得る。
【0095】
ざ瘡及び酒さの治療
PFCゲルはまた、ざ瘡又は酒さなどの皮膚虚弱を治療するために使用され得る。特に、PFCゲルは、ざ瘡を予防、治癒及び排除し得、明るくかつ吹き出物の無い皮膚を提供し得る。
【0096】
ざ瘡は、遺伝因子、皮脂産生の増加、毛包の異常角質化、宿主免疫反応によって引き起こされる、及び嫌気性細菌プロピオニバクテリウム・アクネスの増加した増殖の有害な効果に起因すると考えられる皮膚疾患である。このタイプの細菌は、その毒素放出に起因すると考えられる、ざ瘡において生じる炎症反応の多くの原因である。詰まった毛包中において増殖する、P.アクネスが、ざ瘡の古典的面皰を引き起こす炎症反応を誘発する化学誘引物質を放出する場合に、炎症が生じる。従って、臨床症状は、詰まった皮脂腺の細菌誘発炎症の結果であるようである。炎症は、毛包破裂、並びに真皮中への脂質、細菌、及び脂肪酸のその後の漏出によってさらに増強される。全身用及び局所用の抗生物質が、ざ瘡の治療及び予防の両方のために使用される。P.アクネス数を減らす治療によって、ざ瘡の臨床的改善がもたらされ(Thiboutot, 1997)、最終的に、抗生物質耐性P.アクネス株の出現がもたらされ、抗生物質治療の失敗につながる(Eady et al, 1989)。
【0097】
ざ瘡の現在の治療は、ざ瘡の重篤度及び種類に基づく局所療法の選択からなる。局所的なレチノイド、過酸化ベンゾイル、及びアゼライン酸が、軽度のざ瘡について有効な治療である。ビタミンAの誘導体である局所トレチノイン(レチンA(Retin−A))、及び上皮内層の剥離を正常化し、それによって毛包脂腺出口の妨害を予防する、面皰溶解剤(comedolytic agent)。この薬剤はまた、直接的な抗炎症効果を有するようである。静菌性及び抗炎症性特性を有する局所用抗生物質並びに薬物は、軽度から中程度の炎症性ざ瘡を治療するために有効である。全身用抗生物質は、中程度の患者から重篤な患者について使用される。イソトレチノインは、重篤な、しばしば結節嚢胞性(nodulocystic)炎症性ざ瘡を治療するために使用される。イソトレチノイン(アキュテイン(Accutane))は、ざ瘡に寄与する4つの病原因子に対して作用する。それは、長期間にわたってざ瘡を抑制する可能性を有する唯一の薬物である。この薬物を処方することができるためには、医師は、製造業者のアキュテイン関連催奇性管理システム(System to Manage Accutane−Related Teratogenicity)(SMART)プログラムの登録メンバーでなければならない。SMARTプログラムは、米国食品医薬品局(FDA)と共に開発され、望ましくない妊娠を最小限にし、胎児危険度分類X薬物であるイソトレチノインの可能性のある重篤で有害な効果及び催奇性について患者を教育する。
【0098】
ざ瘡は、嫌気性細菌感染、並びに細菌の毒素の放出によって引き起こされる炎症反応によって引き起こされ得る。嫌気性細菌は、酸素に耐えられず、低い酸化−還元ポテンシャル部位で複製する。プロピオニバクテリウム・アクネスは嫌気性細菌であるので、それは、酸素を欠いている環境において成長する。嫌気性感染症への酸素の添加は、細菌を死滅させ、ざ瘡と呼ばれる皮膚疾患を改善するために役立つ。本明細書に開示されるPFCゲルは、ヘモグロビンが運ぶことができる酸素量の約4倍までの、大量の酸素を運ぶことができる。PFCゲルはまた、嫌気性感染症などの、低酸素濃度の領域へ拡散によってこの酸素を提供することができる。
【0099】
嫌気性細菌は、より一般的な好気性細菌よりも酸素の効果により敏感である。PFCゲルは、局所適用されると、ざ瘡病巣へ増加された局所(的)酸素を提供し、プロピオニバクテリウム・アクネスを根絶するに役立ち、従ってざ瘡を改善する。
【0100】
ざ瘡を有する患者への補助的な局所(的)酸素の導入(酸素化ペルフルオロカーボン中において又はPFCを通っての拡散によって)は、病巣の強度及び数が現在の治療レジメンよりもより効率的に根絶されることを可能にする。それは、程度、期間、重感染、及びざ瘡からの合併症(例えば、瘢痕化)を減らすに役立つ。
【0101】
さらに、大きな毛穴がざ瘡及び斑点への寄与因子である場合、毛穴へ酸素リッチな環境を提供することによって、吹き出物は、毛穴を開いた状態及び清潔に維持することによって予防され得る。従って、PFCゲルは、組織へ増加した酸素を提供し、健全な環境が細胞について作られ、それらが増幅及び成長することが可能になる。
【0102】
炎症及び感染領域への、クリーム、ゲル、ポマード、シャンプー、コンディショナー、ローション、液体、頓服水剤、フォーム、若しくは同様のプロダクトの、FtBuの局所用形態の、又は局所用抗生物質、若しくは局所的ざ瘡プロダクト、例えば、レチノイド、過酸化ベンゾイル、酸化物、イソトレチノイン(isotretionoin)などと組み合わせての適用は、プロピオニバクテリウム・アクネスの有害な効果の根絶及び予防を増強する。さらに、PFCゲルは、ざ瘡が引き起こす合併症(面皰、膿疱、丘疹など)のいくつか及び重感染を予防、改善及び根絶するに役立つ。
【0103】
さらに、PFCゲルは、酒さ吹き出物に関連する赤み及び膿疱を排除し得る及び/又は減少させ得る。この適応症について、ざ瘡及び他の用途について説明されたのと同一の原理が当てはまる。PFCゲルは、顔面中の酸素濃度を増加させ、特に有効であるべきであり、何故ならば、顔面に供給する毛細血管床は非常に大きく、それらは皮膚の表面に密接して配置されているためである。さらに、前述した若返り及び治癒機構がまた適用可能である。
【0104】
性機能の増強
PFCゲルはまた、性機能を増強するために使用され得る。具体的には、PFCゲルは、男性及び女性性機能の増強のために対象の性器へ酸素送達を増加させるために局所的に使用され得る。
【0105】
PFCゲルは、酸素リッチな環境を性器へ提供し、従って、性的反応時間、勃起頻度、及び反応持続期間を改善する。具体的には、PFCゲルは、性器へ局所適用され得、局所循環中へ吸収され得、柱状平滑筋が弛緩し、これは勃起へ至る機構である。
【0106】
他の適応症及び用途
他の適応症及び用途は下記のように要約される:
【0107】
空気脱臭剤
PFCゲルは、特に台所又は浴室中の、望まれない臭気の排除のために使用され得る。PFCは、ガスを吸収するのが速いので、それは、悪臭を生じさせるメタンガスを即座に吸収し、これは次いで部屋から迅速に排出され得る。多くの他の脱臭剤とは異なり、PFCゲルは、臭気を排除し、それらを単にマスクするわけではないことに注意することが重要である。
【0108】
口内炎
PFCゲルは、口内炎を治すために要する時間を短縮するために使用され得る。酸素は、免疫系が細菌及び感染症と闘うのを助けることが公知である。酸素濃度を増加させることによって、身体の免疫系は、より十分に感染症と闘うことができる。
【0109】
口腔
PFCゲルは、口腔で闘う洗口液又は練り歯磨きにおいて使用され得る。夜間、ヒトは、あまり唾液を分泌せず、従って、食物粒子及び有害な細菌を洗い流さない。これらの細菌は、それらのATPを好気的に産生し得るが、それらは、O2が利用可能でない場合、発酵へ切り替わる。歯におけるpHを低下させ、脱塩及び腐食を生じさせるのはこの発酵である。酸素を増加させることによって、PFCゲルは、発酵プロセスが行われることを防止し得る。
【0110】
褥瘡性潰瘍
PFCゲルはまた、床ずれ(besore)としてより一般的に公知の、褥瘡性潰瘍の治療において使用され得る。
【0111】
PFCゲルを含有するガーゼ又は他の材料で創傷を包むことによって又はPFCゲルでこれらのタイプの創傷の大きな表面領域をコーティングすることによって、ゲルは、内から外へ創傷の治癒を促進し得る。
【0112】
糖尿病性足病変ケア
PFCゲルは、酸素リッチな環境を糖尿病性足病変へ提供すること並びに界面活性剤によって提供され得る保護バリアを加え、従って糖尿病性足病変の皮膚を軟らかい状態に維持し、より深刻な足の創傷及び感染症をしばしばもたらす乾燥次いで亀裂からそれを防ぐことによって、糖尿病性足病変の治療において使用され得る。
【0113】
ガス壊疽
PFCゲルは、ガス壊疽によって引き起こされる致命的な感染症と闘うために使用され得る。ガス産生生物(例えば、毒素性ショック症候群及びガス壊疽及びボツリヌス中毒を引き起こすもの)は、組織/身体中へ毒ガスを放出することによって損傷を引き起こす。これらの生物は嫌気性である。従って、酸素リッチな環境を提供することによって、嫌気性生物は、酸素によって破壊される。
【0114】
さらなる利益として、PFCゲルは、生物から放出された毒性ガスを吸収し得る。
【0115】
痔核
本明細書に開示されるPFCゲルは、痔核の治療において、具体的には、壊死の発生の減少に加えて、炎症の軽減、腫脹及び関連疼痛の減少において使用され得る。痔核は静脈瘤であり、従って、それらの血液供給が損なわれる。酸素増加ゲルの適用は、必要とされる酸素を領域へ運び、これは組織の壊死を予防する。炎症は組織損傷に対する反応であり、この場合、損傷は、制限された酸素供給によって引き起こされるので、酸素供給を再び満たすことは、炎症を減らし、それによって、腫脹及び関連疼痛が減る。
【0116】
筋肉痛/筋肉のうずき
PFCゲルは、筋肉痛の治療のために使用され得る。ゲルは、激しい運動の前、間、又は後に酸素を提供するために筋肉へ適用され得る。一実施態様において、ゲルは、筋肉へ熱を提供する成分、例えば、樟脳又はユーカリと混合され得る。
【0117】
ゲルはまた、筋肉断裂の治癒プロセスを促進するために使用され得る。激しい活動は、筋肉組織において僅かな断裂を生じさせる。これらの断裂の治癒は、筋肉量を増加させる。PFCゲルは、筋肉中の酸素分圧を増加させ、従って、治癒プロセスを加速する。
【0118】
夜間下肢痙攣
本明細書に開示されるPFCゲルは、睡眠中の下肢中の酸素レベルを増加させることによる、夜間下肢痙攣の治療において使用され得る。
【0119】
人口のほぼ70%が夜間下肢痙攣に冒されている。様々な原因には、脱水、電解質不均衡、及び下肢への酸素の減少(同様に様々な因子によって引き起こされる)が含まれる。痙攣が脱水/電解質不均衡によって引き起こされる場合であっても、筋肉を痙攣させるのは、最終的には、恐らく根本的原因に続発する酸素の減少である。従って、PFCゲルは、睡眠中の下肢中の酸素レベルを増加させることによって、夜間下肢痙攣の治療において使用され得る。
【0120】
そう痒軽減
PFCゲルは、そう痒軽減のため及び炎症を起こした皮膚のより速い治癒を提供するために使用され得る。
【0121】
PFCゲルは、虫刺され、接触皮膚炎 湿疹などから生じるそう痒の軽減のために使用され得る。研究によって、酸素が、種々の状態と関連する痒みの原因であるヒスタミン放出を阻害し得ることが示された。酸素−グルコースが欠乏している環境は、ヒスタミン放出を増加させることが開示された(Shen, 2007)。従って、ゲルは、例えば、そう痒を軽減するために使用され得る。具体的には、虫刺され、ツタウルシなどのかゆみを軽減するため。
【0122】
PFCゲルはまた、前述の様々な状態に関連する炎症を治療し得る。従って、PFCゲルはまた、虫刺されに関連する赤み、腫脹及び刺激を減少させる。
【0123】
酸素濃度を増加させることによって、そう痒及び一般的な皮膚刺激が緩和される。さらなる利益として、ゲル中のPFCはまた、ベンゾカインが行う様式と同様に皮膚を麻酔する。
【0124】
たばこからの毒ガスの削減:
PFCゲルはまた、たばこからの毒ガスの削減において使用され得る。
【0125】
タバコの煙中に見られる毒ガスは、一酸化炭素、窒素酸化物、シアン化水素、アンモニア、アクロレイン、フレオン、ホルムアルデヒド及び多くの他のものを含む。これらの毒素は、気管支炎及び気腫などの、喫煙者において一般的に見られる状態の部分的な原因である。シアン化水素は、WWII中にガス室で使用されたガスであり、中枢神経系に対する公知の毒素である。
【0126】
肺によって吸収された後、COは、赤血球中のヘモグロビンと結合し、血液及び組織中の酸素量を低下させる。ニコチンと結合されたCOは、最終的に動脈硬化症をもたらす、動脈の内層中のコレステロールの沈着を促進することにおいて役割を果たすと考えられる。
【0127】
血流の減損及びCOに起因しての酸素運搬能力の低下は、心臓への酸素の供給を低下させ、それと同時に、心臓の酸素要求は、心臓の収縮速度及び収縮力に対するニコチンの刺激効果によって増加され、心臓は損傷し、心臓発作の重篤度が増す。
【0128】
CO+ニコチンはまた、足の壊疽へ至り得る、末梢血管疾患を引き起こすことにおいて重要な因子である。
【0129】
たばこのフィルターをオキシサイト(商標)エマルジョンに浸すことによって、又はフィルター中へPFCゲルを注入することによって、PFCは、タバコの煙中に見られる有害な/毒ガスの多くに結合し、フィルター中にそれらを捕らえ、肺へ吸入される量を低下させる。これは、喫煙からの有害な/刺激性の/毒性のガスを減少させるという利益を提供する。本出願において、危険な化学物質を放出し得る燃焼PFCを捕らえるために、PFCはフィルター中に含有される。
【0130】
製造施設について安全装置
PFCはガスを吸収するのが速いので、PFCゲルはまた、危険なガスを吸収し、化学物質製造プラントにおけるガス漏れから生じる潜在的な大災害を予防するために使用され得る。
【0131】
一実施態様において、PFCは、現場でのスプリンクラーシステムへ組み込まれ得る。別の実施態様において、PFCゲルは、消火器と同一の様式で、ガス充満した領域中にスプレーされる。この場合、毒ガスは、PFCゲルによって迅速に吸収され、次いでゲルは、部屋から外へ水をかけて洗われるか又はそうでなければ部屋から除去される。
【0132】
シャンプー、コンディショナー、ふけ又は抜け毛治療
PFCゲルはまた、シャンプー及びコンディショナーなどのヘアケア製品中へ組み込まれ得、適用されると酸素濃度を高める。空気中の汚染物質は、毛髪をくすんだ鈍い色にすることが公知である。毛髪に対して酸素を増加させることによって、毛髪は、活性化される。
【0133】
ゲルはまた、毛髪に潤いを与え、スタイリング時の熱からそれを保護する。ゲルはまた、毛髪中の縮れを減少させ得る。
【0134】
同時に、頭皮に酸素添加し潤いを与えることは、健康で潤った頭皮を作る。健康で潤った頭皮を有することは、ふけの可能性を減らし、従って、ふけによってしばしば引き起こされる頭皮の菌によるコロニー形成の可能性を減らす。
【0135】
さらに、PFCゲルは、発毛を促進し得る。PFCゲルは、頭皮に供給する毛細血管の形成を増加させ得、それによって毛包への血流及び酸素添加を増加させ得る。
【0136】
皮膚移植片
PFCゲルはまた、皮膚移植片取り込みを促進し、皮膚移植片生存を増加させ得る。
【0137】
皮膚移植片について、移植された組織への循環を可能な限り早く回復させることが重要である。前述したように、酸素は、血管新生、新しい毛細血管の成長、及び損傷した毛細血管の修復を促進する。さらに、組織へ及び組織から体液を運ぶことによって組織に供給するのは、毛細血管である。
【0138】
PFCゲルを局所的に提供し、血管新生を促進することによって、ゲルは、上皮細胞へさらなる酸素を運ぶことにより再上皮化、治癒、及び移植片受容を促進し得る。
【0139】
本明細書に記載の組成物及び方法において使用されるペルフルオロカーボンは、局所投与に好適な薬学的に許容される担体又は化粧用担体及びアジュバントをさらに含み得る組成物中に存在し得る。局所投与に好適な組成物は、薬学及び化粧の技術分野において周知である。これらの組成物は、酸素化ペルフルオロカーボンを含むように適合され得る。本明細書に記載の方法において使用される組成物はまた、薬学的に許容される添加剤を含み得る。
【0140】
コンフィギュレーションの多様性は、組織健康をさらに促進するさらなる有利な生物活性薬剤を含有し得る。
【0141】
本発明の組成物は、本明細書に詳述される形態で投与され得る。ペルフルオロカーボンの使用は、併用療法又は補助療法の構成要素であり得る。併用療法は、逐次又は同時であり得る。化合物及び組成物は、使用される投薬形態に応じて、同一の経路によって又は2つ以上の異なる投与経路によって独立して投与され得る。
【0142】
治療において投与される化合物及び組成物の投薬量は、特定の治療薬剤の薬力学的特徴並びにその投与の様式及び経路;受容者の年齢、性別、代謝速度、吸収効率、健康及び体重;症状の種類及び程度;施されている併用療法の種類;治療の頻度;並びに所望の治療効果などの因子に応じて変化する。
【0143】
化合物及び組成物の投薬単位は、単一の化合物又はその混合物を他の化合物と共に含み得る。化合物は、化粧及び薬学の技術分野の当業者に周知の投薬形態を使用して、標的化組織中へ直接導入され得る。
【0144】
化合物及び組成物は、意図される投与形態に関して並びに従来の薬学及び化粧プラクティスと一致するように適切に選択された、好適な薬学的希釈剤、増量剤、賦形剤、又は担体(本明細書において薬学的に許容される担体と集合的に呼ぶ)と混合された状態で投与され得る。化合物は、単独で投与され得るが、一般的には、薬学的に許容される担体と混合される。この担体は、固体又は液体であり得、担体のタイプは、使用される投与のタイプに基づいて一般的に選択される。好適な液体投薬形態の例としては、水、薬学的に許容される油脂、アルコール、又はエステルを含む他の有機溶媒中の、液剤又は懸濁剤、エマルジョン、シロップ剤若しくはエリキシル剤、懸濁剤、液剤、及び/又は、非発泡性顆粒剤から再構築された懸濁剤、及び発泡性顆粒剤から再構築された発泡性調製物が挙げられる。このような液体投薬形態は、例えば、好適な溶媒、保存剤、乳化剤、懸濁化剤、希釈剤、甘味剤、増粘剤、及び溶融剤を含有し得る。
【0145】
本発明において有用な投薬形態を作製するための技術及び組成物は、以下の参考文献に記載されている:
7 Modern Pharmaceutics, Chapters 9 and 10 (Banker & Rhodes, Editors, 1979); Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets (Lieberman et al., 1981); Ansel, Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 2nd Edition (1976); Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed. (Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985); Advances in Pharmaceutical Sciences (David Ganderton, Trevor Jones, Eds., 1992); Advances in Pharmaceutical Sciences Vol 7. (David Ganderton, Trevor Jones, James McGinity, Eds., 1995); Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms (Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Series 36 (James McGinity, Ed., 1989); Pharmaceutical Particulate Carriers: Therapeutic Applications: Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol 61 (Alain Rolland, Ed., 1993); Drug Delivery to the Gastrointestinal Tract (Ellis Horwood Books in the Biological Sciences. Series in Pharmaceutical Technology; J. G. Hardy, S. S. Davis, Clive G. Wilson, Eds.); Modem Pharmaceutics Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol 40 (Gilbert S. Banker, Christopher T. Rhodes, Eds.).
上述の刊行物の全ては、参照により本明細書中に組み入れられる。
【0146】
PFC組成物は、以下の非毒性補助物質のいずれかを含有し得る:
【0147】
PFC組成物は、使用において無害である抗菌剤、例えば、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、メチル及びプロピルパラベン、ベンジルドデシニウムブロミド、ベンジルアルコール、又はフェニルエタノールを含有し得る。
【0148】
PFC組成物はまた、緩衝成分、例えば、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸塩緩衝剤、リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS−Tris、BIS−Trisプロパン、HEPES、HEPPS、イルニダゾール(irnidazole)、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、及びトリシンを含有し得る。
【0149】
PFC組成物はまた、非毒性の薬学的有機担体、又は非毒性の薬学的無機担体を含有し得る。薬学的に許容される担体の典型的なものは、例えば、水、水と水混和性溶媒、例えば、低級アルカノール又はアラルカノールとの混合物、植物油、落花生油、ポリアルキレングリコール、石油系ゼリー、エチルセルロース、オレイン酸エチル、カルボキシメチル−セルロース、ポリビニルピロリドン、ミリスチン酸イソプロピル、及び他の通常使用され許容される担体である。
【0150】
PFC組成物はまた、非毒性の乳化剤、保存剤、湿潤剤、増粘剤、例えば、ポリエチレングリコール200、300、400及び600、カルボワックス1,000、1,500、4,000、6,000及び10,000、抗菌性成分、例えば、第4級アンモニウム化合物、冷滅菌性を有することが公知でありかつ使用において無害であるフェニル水銀塩、チメロサール、メチル及びプロピルパラベン、ベンジルアルコール、フェニルエタノール、緩衝成分、例えば、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸緩衝剤、及び他の従来の成分、例えば、ソルビタンモノラウラート、トリエタノールアミン、オレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミチラート、ジオクチルソディウムサルホスクシナート、モノチオグリセロール、チオソルビトール、エチレンジアミン四酢酸(ethylenediamine tetracetic)を含有し得る。
【0151】
PFC組成物はまた、界面活性剤を含有し得、使用され得るものとしては、ポリソルベート界面活性剤、ポリオキシエチレン界面活性剤、ホスホナート、サポニン及びポリエトキシ化ヒマシ油、しかし好ましくはポリエトキシ化ヒマシ油が挙げられる。これらの界面活性剤は市販されている。ポリエトキシ化ヒマシ油は、例えば、商標CremaphorでBASFによって市販されている。
【0152】
PFC組成物はまた、点眼液において一般的に使用される湿潤剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセリン、マンニトール、ポリビニルアルコール又はヒドロキシエチルセルロースを含有し得、希釈剤は、水、蒸留水、滅菌水、又は人工涙液であり得、ここで、湿潤剤は、約0.001%〜約10%の量で存在する。
【0153】
本発明の製剤は、pHを調節するための酸及び塩基;等張化剤、例えば、ソルビトール、グリセリン及びデキストロース;他の粘性付与剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及び他のゴム;好適な吸収促進剤、例えば、界面活性剤、胆汁酸;安定剤、例えば、亜硫酸水素塩及びアスコルビン酸塩のような、抗酸化剤;金属キレート剤、例えば、エデト酸ナトリウム;並びに薬物溶解促進剤、例えば、ポリエチレングリコールを含むように変えられ得る。これらの追加の成分は、適切な安定性を有する商業的溶液の製造に役立ち、従って、それらは、要求に応じて調合される必要がない。
【0154】
最後に、本発明の製剤は、PFC組成物が、局所適用に好適である、クリーム、ポマード、シャンプー、コンディショナー、ローション、液体、頓服水剤、フォーム、又は同様の製品の形態となるように、調節され得る。
【0155】
他の材料並びに加工技術などは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th edition, 1985, Mack Publishing Company, Easton, Pa.の第8部、及びInternational Programme on Chemical Safety(IPCS)に記載されており、これは、参照により本明細書に組み入れられる。
【0156】
様々な構成要素の全ての組み合わせが、本発明の範囲内にある。
【0157】
パラメータ範囲が提供される場合、その範囲内の全ての整数、及びそれらの小数第1位もまた、本発明によって提供されることが理解される。例えば、「10〜90wt%」は、10.0wt%、10.1wt%、10.2wt%、10.3wt%、10.4wt%などから90.0wt%までを含む。
【0158】
本発明は、下記の実験詳細を参照することによってよりよく理解され、しかし、当業者は、その後に続く特許請求の範囲により十分に記載されるように、詳述される特定の実験は本発明を例示するに過ぎないことを容易に認識する。
【実施例】
【0159】
実験詳細
実施例1:オキシサイト(商標)(OXYCYTETM)毒性についての試験
オキシサイト(商標)エマルジョン(60%wt/vol. PFC)を、Sprauge Dawleyラット、カニクイザル及びヒトへの静脈内投与を介して全身的に試験した。
オキシサイト(商標)エマルジョンは、良好な忍容性を示すことがわかり、毒性を有さなかった。
【0160】
実施例2:安定なゲルA〜E
概要
ゲルA〜Eと名付けられた5つのゲル処方(recipe)が、得られるゲルの安定性及び粘性を考慮して、最も成功すると考えた。各ゲルは、水、界面活性剤(プルロニックF−68又はプルロニックF−127)、及びペルフルオロカーボン(ペルフルオロデカリン(PFD)又は再資源化ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン)(FtBu))から構成された。実験の材料及び手順、並びに関連するパーセント収率を、以下に記載する。
【0161】
材料
1.プルロニックF−68:[Sigma−Aldrich P1300−500G Batch # 097K0116 CAS 9003−11−6];
2.プルロニックF−127:[Sigma−Aldrich P2443−250G Batch # 038K0113 CAS 9003−11−6];
3.ペルフルオロデカリン、cis及びtransの95%混合物(PFD):[Sigma−Aldrich T3251−100G Batch # 078K1882 CAS 10191−41−0];
4.再資源化t−ブチルペルフルオロシクロヘキサン(FtBu):[Oxygen Biotherapeutics, Inc. Costa Mesa, CA 92626];
5.エチルアルコール、無水、200プルーフ、99.5%、A.C.S.試薬:[ACROS 61509−0040, CAS 64−17−5];
6.蒸留H2O;
7.20〜100mLガラスビーカー;
8.5〜20mLガラスビーカー;
9.20〜50mL Corning遠心管;
10.5〜60mL テフロンで覆ったガラスジャー;
11.OMNI Macro ESホモジナイザー;
12.750ワット, 20 kHz超音波プロセッサ;
13.Fisherbrand Spoonulet ラボスプーン;
14.スパーテル;
15.ピペット;
16.5mL NORM−JECT(登録商標)ルアーロック、気密注射器;及び
17.B−D(登録商標)26ゲージ1/2インチ、ルアーロック、Precision Glide(登録商標)注射針。
【0162】
実験の手順
ゲルA
蒸留水16.25gを100mLガラスビーカーに秤量して入れた。PFD 20g、続いてF−68 5gをビーカーに添加した。次いで、ビーカーの内容物を、30秒間、スパーテルを用いて手動で撹拌した。OMNI Macro ESホモジナイザーの先端をビーカーの内容物中に沈め、撹拌した混合物を4000rpmで約5分間ホモジナイズした。ホモジナイズした混合物を、50mL Corning遠心管に注いだ。次いで、4個の遠心管を調製するために手順を3回繰り返した。4個の遠心管の全てを、30分間、IEC臨床遠心分離機において遠心分離した。各管のオフ流体(off−fluid)を注ぎ出し、別々に秤量した。各管中に残っているゲルを、Fisherbrand Spoonulet ラボスプーンを使用してすくい出し、60mLテフロンで覆ったガラスジャーに秤量して入れた。ジャーをゲルAと名付けた。
【0163】
ゲルB
蒸留水16.25gを100mLガラスビーカーに秤量して入れた。PFD 20g、続いてF−68 5gをビーカーに添加した。次いで、ビーカーの内容物を、30秒間、スパーテルを用いて手動で撹拌した。750ワット, 20kHz 超音波プロセッサの先端をビーカーの内容物中に沈め、撹拌した混合物を20%振幅で約5分間超音波処理した。超音波処理した混合物を、50mL Corning遠心管に注いだ。次いで、4個の遠心管を調製するために手順を3回繰り返した。4個の遠心管の全てを、30分間、IEC臨床遠心分離機において遠心分離した。各管のオフ流体を注ぎ出し、別々に秤量した。各管中に残っているゲルを、Fisherbrand Spoonulet ラボスプーンを使用してすくい出し、60mLテフロンで覆ったガラスジャーに秤量して入れた。ジャーをゲルBと名付けた。
【0164】
ゲルC
蒸留水16.25gを100mL ガラスビーカーに秤量して入れた。FtBu 20g、続いてF−127 5gをビーカーに添加した。次いで、ビーカーの内容物を、30秒間、スパーテルを用いて手動で撹拌した。OMNI Macro ESホモジナイザーの先端をビーカーの内容物中に沈め、撹拌した混合物を4000rpmで約5分間ホモジナイズした。ホモジナイズした混合物を、50mL Corning遠心管に注いだ。次いで、4個の遠心管を調製するために手順を3回繰り返した。4個の遠心管の全てを、30分間、IEC臨床遠心分離機において遠心分離した。各管のオフ流体を注ぎ出し、別々に秤量した。各管中に残っているゲルを、Fisherbrand Spoonulet ラボスプーンを使用してすくい出し、60mLテフロンで覆ったガラスジャーに秤量して入れた。ジャーをゲルCと名付けた。
【0165】
ゲルD
蒸留水16.25gを100mLガラスビーカーに秤量して入れた。FtBu 20g、続いてF−127 5gをビーカーに添加した。次いで、ビーカーの内容物を、30秒間、スパーテルを用いて手動で撹拌した。750ワット, 20kHz超音波プロセッサの先端をビーカーの内容物中に沈め、撹拌した混合物を20%振幅で約5分間超音波処理した。超音波処理した混合物を、50mL Corning遠心管に注いだ。次いで、4個の遠心管を調製するために手順を3回繰り返した。4個の遠心管の全てを、30分間、IEC臨床遠心分離機において遠心分離した。各管のオフ流体を注ぎ出し、別々に秤量した。各管中に残っているゲルを、Fisherbrand Spoonulet ラボスプーンを使用してすくい出し、60mLテフロンで覆ったガラスジャーに秤量して入れた。ジャーをゲルDと名付けた。
【0166】
ゲルE
蒸留水16.25gを100mLガラスビーカーに秤量して入れた。FtBu 20g、続いてF−68 5gをビーカーに添加した。次いで、ビーカーの内容物を、30秒間、スパーテルを用いて手動で撹拌した。OMNI Macro ES ホモジナイザーの先端をビーカーの内容物中に沈め、撹拌した混合物を4000rpmで約5分間ホモジナイズした。ホモジナイズした混合物を、50mL Corning遠心管に注いだ。次いで、4個の遠心管を調製するために手順を3回繰り返した。4個の遠心管の全てを、30分間、IEC臨床遠心分離機において遠心分離した。各管のオフ流体を注ぎ出し、別々に秤量した。各管中に残っているゲルを、Fisherbrand Spoonulet ラボスプーンを使用してすくい出し、60mLテフロンで覆ったガラスジャーに秤量して入れた。ジャーをゲルEと名付けた。
【0167】
ペルフルオロカーボン収率の測定
各ゲル約5gを、20mLガラスビーカーに個々に入れた。ピペットを使用して、2.80g、2.90g、7.00g、6.32g、及び5.48gのエタノールを、ゲルA、ゲルB、ゲルC、ゲルD、及びゲルEをそれぞれ含有する各ビーカーに添加した。各ゲル/エタノール混合物を、スパーテルを使用して5分間撹拌した。各々の撹拌した混合物を3分間静置し、2つの層、水層及びペルフルオロカーボン層を分離させた。ペルフルオロカーボン層を、26ゲージ、2インチ注射針を有する5mL注射器を使用してビーカーから取り出した。ペルフルオロカーボン層の質量を記録した。この質量を各ゲルサンプルについての最初のゲル質量(約5g)で割ることによって、各ゲルについてのペルフルオロカーボン収率を得た。
【0168】
結果
収率データ
ペルフルオロカーボン収率は、回収したゲルの一部として残った調製中に添加したペルフルオロカーボンのパーセンテージとして定義される。ペルフルオロカーボン収率は以下の通りであった。
パーセント
ゲルA…………………………95.8
ゲルB…………………………94.0
ゲルC…………………………48.8
ゲルD…………………………34.1
ゲルE…………………………90.8
【0169】
パーセントゲル収率は、調製中に添加した成分の総質量に対しての回収したゲルの総質量として定義される。ゲル収率は以下の通りであった。
パーセント
ゲルA…………………………65.8
ゲルB…………………………85.6
ゲルC…………………………43.8
ゲルD…………………………40.0
ゲルE…………………………40.5
【0170】
実施例3:安定なゲル1〜4
表1は、本主題発明の4つの好ましい実施態様を示す(ゲル1〜4)。
【表2】

【0171】
プルロニック(登録商標)は、BASF Corporation (Mt. Olive, NJ)の商標である。プルロニックF−68及びプルロニックL−35は、ヒドロキシル末端化エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体である。それらは、一般式:HO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)cHを有する。下付き文字a及びcは通常ほぼ等しく、下付き文字bは通常15かそれより大である。F−68は、約8400の分子量を有する固体であり;L−35は、約1900の分子量を有する液体である。
【0172】
ポリクオタニウム−6(polyquaternium−6)及びポリクオタニウム−7の化学構造を以下に示す:
【化2】

ポリクオタニウム6イオン性界面活性剤/保存剤
ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)
(CAS番号26062−79−3)(Nalco Merquat(登録商標)100)
【化3】

ポリクオタニウム7イオン性界面活性剤/保存剤
ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)
(CAS番号26590−05−06)(Nalco Merquat(登録商標)740)
【0173】
これらの材料は、Nalco Company, Naperville, ILを含むいくつかの会社によって販売されている。両方の化学物質は、高極性ジメチルアンモニウムクロリド第4級塩を含有する。表2に示すような多くの他のポリクオタ塩(polyquat salt)がある。しかし、全てが保存剤として使用されるとは限らない。
【表3】

【0174】
EDTAは、エチレンジアミン四酢酸である。EDTAの二ナトリウム塩及び四ナトリウム塩が、化粧品保存剤として、テトラ酸よりもより頻繁に使用される。しかし、これらの塩(実際は、いずれかのイオン化可能な塩)は、ゲルを破壊するか又はゲルの形成を妨げる。
【0175】
3つの保存剤の濃度は、「− T」ゲルと示される、総基本ゲル質量(FtBuを含む)に基づくか、又は濃度は、「− H」ゲルと示される、水及びプルロニックのみの質量に基づく。75, 25−Tゲル(ゲル1)は、FtBuを含む総製剤質量に両方とも基づく、7500ppmのポリクオタ−7及び2500ppmのEDTAを含有する。ゲル(PQ)2−H(ゲル4)は、2500ppm PQ−6、5000ppm PQ−7、及び2500ppm EDTAを含有する−各々、ゲル中の水相の質量のみに基づく。
【0176】
ゲル形成及びプロセッシング
ゲル1〜4の形成は、ガラス、ポリエチレン、PET、又は316ステンレス鋼容器中水相成分(蒸留水、F−68、L−35、及び選択した保存剤)を先ず混合することによって行った。10,000〜35,000 RPMでローター/ステーターホモジナイザーを用いて約5分間、混合物をホモジナイズした。ホモジナイザーは、小さなサンプル(<2L)については携帯型であってもよく、より大きな(2〜5L)サンプルについてはベンチトップユニット、又は商業規模製造(>5L)についてはこれらのミキサーのより大きなフロア取付け型であり得る。
【0177】
水相の混合中、全ての成分が完全に可溶性である必要はない。F−68は、水中において限られた溶解度を有し、いったん水中におけるF−68の飽和限界に達してしまうと、ホモジナイゼーションはこの固体を非常に細かい粒子としてほとんど分散させる。同様に、高濃度のEDTAは、水中におけるEDTAについての溶解度限界(20℃で水中において約500ppm)が達成された後、微粒子ディスパージョンを生じさせ得る。
【0178】
水相混合物のホモジナイゼーション後、ペルフルオロカーボン(PFC)を、アリコートに分けて又は徐々にかつ連続的に、高速ホモジナイゼーションの次の10〜30分のコースにわたって添加した。ゲル形成は、PFC添加の後期にのみ、生じる傾向がある。形成するゲルは、米国特許第4,569,784号においてMooreによって教示されているように遠心分離及び分離を必要としない;この文献は、これによって参照により組み入れられる。
【0179】
ゲル形成について典型的な25〜30分を過ぎての継続されたホモジナイゼーションは、より粘性の高いゲルを作出した。いくつかの製剤について、ゲルの長期間安定性は、より長時間混合することで改善した。この挙動を示す製剤は、試行錯誤によって決定することができた。他のPFCゲルは、このプロセスによって得ることができた。例えば、非常に安定なゲルは、同様の処方で、APF−200(Exfluor Corporation, Round Rock, TXから入手可能)又はペルフルオロデカリンを使用して形成できた。この方法は、広範囲のペルフルオロカーボン溶媒に、及び恐らく、ヒドロフルオロカーボン又はヒドロクロロフルオロカーボンに適用可能であると予想される。
【0180】
ゲル形成及びプロセッシングに影響を与える因子
開示のゲルと不適合性である多くの化合物及び物質がある。
【0181】
アルコール
痕跡レベルのアルコールは、直ちに又は結局はゲルを破壊させる。本発明者らは、痕跡のメタノール、エタノール、イソプロパノール、トコフェロール(tecopherol)、クロルヘキシジンジグルコナート、クロルフェネシン、及びグリセリンでこの挙動を観察した。第1級、第2級、若しくは第3級ヒドロキシル又はフェノール基を有するいずれの化合物も、ゲルを破壊するか又はゲルの形成を妨げるようである。
【0182】
高電離塩
高電離化合物(塩)は、ゲルの形成を妨げ得るか又はいったん形成したゲルを破壊し得る。低濃度(<5000ppm)のEDTAは首尾よく組み込まれ得るが、EDTAの二及び四ナトリウム塩は形成を妨げる。水道水は、接触後1〜24時間の期間で、ゲルを破壊するのに十分な濃度のイオンを含有する。ポリマー第4級アンモニウム化合物は首尾よく添加されたが、塩化ベンザルコニウムは、ppt濃度又はそれ以下でゲル形成を妨げる。高電離塩が形成後にゲルに接触する場合、塩は、たとえバルク中に機械的に混合されないとしても、ゲルを破壊し得る。ゲルの一表面をその攻撃化合物の静止水性パドルで接触させることは、ゲル破壊にとって、しばしば十分である。いったんゲルが壊れ始めると、それは、数時間から数日の期間にわたってほぐれ続ける傾向がある。
【0183】
高度に非極性の固体表面
高度に非極性の固体表面は、これらのゲルと不適合性であり、急速に又は経時的にゲルを破壊する。これは、ペルフルオロカーボンが固体表面を「濡らし」そして純粋なPFCのフィルムを形成し得る場合はいつでも生じる。フィルムは、重力で分離し、ゲルを保持する容器の底へ徐々に沈む傾向がある。このプロセスは、表面を「一新する」か、又は表面をフリーにして多くのゲルと接触しそしてより多くのPFCを分離する。ゲルの大半が壊れ、2つの別個の相を形成するまで、そのプロセスはゆっくりと続く。本発明者らは、ヒートシールラッカーコーティングを有する包装フィルムについて及びテフロン(登録商標)表面についてこの挙動を観察した。テフロンは、特に攻撃的なゲルブレーカーである。これまでのところ、ガラス、ポリエチレン、PET、ナイロン、及び他の非PFC湿潤性表面がゲルと適合性のようである。
【0184】
金属表面
いくつかの金属表面は、異なる理由のためであるがゲルと不適合性である。アルミニウム表面は、PFCによって容易に濡れ、ゲルの分離及び最終的にはゲルの破壊を引き起こす。304ステンレス鋼は、316ステンレスと異なり、ゲルによって攻撃及び腐食される。304ステンレスの表面は、ポリクオタ塩のクロリドアニオンによって容易に突破される酸化物コーティングによって不動態化されている。いったん突破されると、表面はEDTAによって攻撃され、腐食される。他の不適合性金属がより多くの試験で観察されることが予想される。明らかに、構築材料の選択は、これらのゲルの商業的製造にとって重要である。
【0185】
包装材料
いくつかの包装材料は、ゲルに不適当である。特に、水に対して高度に透過性であるプラスチックは、不十分な選択であり、何故ならば、プラスチックを通っての拡散による水相の損失はゲルを劣化させ、最終的にゲルを破壊するためである。よい例はPETである。PETの単層は、ゲル中の水を漏れさせる。しかし、PETがポリエチレン又はポリプロピレンの間に挟まれる場合、ポリオレフィン中における水の貧しい溶解度は、許容可能なレベルまで透過損失率を低下させ、ゲルは安定したままとなる。
【0186】
実施例4:組織中の酸素分圧の測定
酸素に結合する物質(蛍光マーカー)を皮膚組織中へ注射した。組み合わされたものは蛍光性であり、存在する酸素が多くなればなるほど、蛍光シグナル(組織中の酸素分圧を示す)はますます強くなった。
先ず、蛍光化合物がPFC及びポロキサマーによって影響されないことを測定した。次いで、コントロールとして、蛍光マーカーを皮膚に注射し、酸素分圧を得た。最後に、同一の領域を、PFC又はPFCゲルで処置し、酸素分圧を再び得た。
結果:酸素分圧表示は、PFCで処置された領域中へのマーカーの注射後に急上昇し始め、次いで、PFCが組織から排除されるにつれて、低下し始めた。
結論:FtBu又はAPF−200などの酸素結合PFCの吸収が、組織中の局所酸素分圧を実質的に増加させた。得られた局所酸素濃度の増加は、創傷治癒速度及びフリーラジカル不活性化速度の両方を増加させるに役立ち得る。
【0187】
実施例5:創傷及び熱傷治癒並びに瘢痕予防及び減少
実施例5A
本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を、対象に局所投与した。具体的には、ゲルを対象の創傷に局所投与した。
PFCゲルは、創傷組織中の酸素濃度及び酸素分圧を増加させた。さらに、ゲルは、創傷
治癒を促進した。さらに、ペルフルオロカーボンは、良好な忍容性を示し、毒性を有さなかった。
【0188】
実施例5B
本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を、対象に局所投与した。具体的には、ゲルを対象の熱傷創に局所投与した。
PFCゲルは、熱傷を負った組織及び周囲組織中の酸素濃度及び酸素分圧を増加させた。さらに、ゲルは、熱傷創の治癒を促進した。さらに、ペルフルオロカーボンは、良好な忍容性を示し、毒性を有さなかった。
【0189】
実施例5C
本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を、対象に局所投与した。具体的には、ゲルを、対象の創傷又は瘢痕に局所投与した。
PFCゲルは、創傷又は瘢痕組織中の酸素濃度及び酸素分圧を増加させた。さらに、ゲルは、創傷治癒を促進し、改善し、瘢痕を減らした。さらに、ペルフルオロカーボンは、良好な忍容性を示し、毒性を有さなかった。
【0190】
実施例6:アンチエイジングの促進
実施例6A
本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を、対象に局所投与した。具体的には、ゲルを対象の皮膚に局所投与した。
PFCゲルは、皮膚組織中の酸素濃度及び酸素分圧を増加させた。さらに、ゲルは、小じわ及びしわを含む老化に関連する皮膚の欠点を減らした。また、ゲルは、適用した箇所の皮膚の張りを改善した。さらに、ペルフルオロカーボンは、良好な忍容性を示し、毒性を有さなかった。
【0191】
実施例6B
カフェインが混合された本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を、対象に局所投与した。具体的には、ゲル混合物を、対象のセルライト化した皮膚に局所投与した。
PFCゲル混合物は、皮膚組織中の酸素濃度及び酸素分圧を増加させた。さらに、ゲル混合物は、適用した箇所のセルライトを減らした。さらに、ペルフルオロカーボンは、良好な忍容性を示し、毒性を有さなかった。
【0192】
実施例7:ざ瘡及び酒さの治療
実施例7A
本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を、ざ瘡に罹患する対象の皮膚のざ瘡の部位に局所投与した。PFCゲルの局所投与は、対象のざ瘡を治療するに有効であった。ざ瘡に関連する皮膚に現れた特徴の減少として、ざ瘡減少は顕著であった。
【0193】
実施例7B
本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を、尋常性ざ瘡に罹患する対象の皮膚の尋常性ざ瘡の部位に局所投与した。PFCゲルの局所投与は、既存の尋常性ざ瘡の重症度を減らしかつ対象中のさらなる尋常性ざ瘡の重症度を予防するか又は減らすことによって、対象中のざ瘡−瘢痕化を減らすのに有効であった。
【0194】
実施例7C
本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を、対象の皮膚毛包のプロピオニバクテリウム・アクネス感染症に罹患する対象の皮膚に局所投与した。組成物を、皮膚毛包又は皮膚毛包の周りの皮膚の領域に適用した。PFCゲルの局所投与は、対象の皮膚毛包の
プロピオニバクテリウム・アクネス感染症を軽減するに有効であった。
【0195】
実施例7D
本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を、対象の真皮のプロピオニバクテリウム・アクネス感染症に罹患する対象の皮膚に局所投与した。組成物を、感染した真皮を含む皮膚に適用した。PFCゲルの局所投与は、対象の真皮中のプロピオニバクテリウム・アクネス増殖を減らすに有効であった。
【0196】
実施例7E
本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を、ざ瘡に感受性の対象の皮膚に局所投与した。PFCゲルの局所投与は、対象のざ瘡を予防又は軽減するに有効であった。
【0197】
実施例7F
本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を、皮膚中及び/又は皮膚上にプロピオニバクテリウム・アクネスが存在する対象の皮膚に局所投与した。PFCゲルの局所投与は、対象の皮膚中及び/又は皮膚上のプロピオニバクテリウム・アクネスを死滅させるに有効であった。
上記の実施例において、組成物の投与は、1日1回、2回又は3回であった。投与は、1、2、3又は4週間又はそれ以上の期間の間、毎日繰り返され得る。投与は、必要に応じて、数ヶ月又は数年の期間の間、継続され得る。
【0198】
実施例7G
本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を、酒さに罹患する対象の皮膚の酒さの部位に局所投与した。ペルフルオロカーボン又は酸素化ペルフルオロカーボンを含む組成物の局所投与は、対象の酒さを治療するに有効であった。酒さに関連する皮膚に現れる特徴の減少として、酒さ減少は顕著であった。
【0199】
実施例8:性的増強
実施例8A
本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を、男性対象の性器に局所投与した。局所酸素分圧及び夜間勃起を評価した。クオリティー・オブ・ライフ(QOL)データの変化も集め、評価した。
組織中の酸素濃度及び酸素分圧が増加する。さらに、対象のクオリティー・オブ・ライフが改善した。さらに、ペルフルオロカーボンは、良好な忍容性を示し、毒性を有さなかった。
【0200】
実施例8B
本明細書に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を、男性及び女性対象の性器に局所投与した。PFCゲルを1日1回又は2回投与した。局所酸素分圧及び夜間勃起(男性において)を評価した。クオリティー・オブ・ライフ(QOL)データの変化も集め、評価した。
組織中の酸素濃度及び酸素分圧が増加した。さらに、対象のクオリティー・オブ・ライフが改善した。さらに、ペルフルオロカーボン組成物は、良好な忍容性を示し、毒性を有さなかった。
【0201】
参考文献
1. U.S. Patent No. 4,569,784, issued February 11, 1986 to Robert E. Moore.
2. Bekyarova, G., et al. (1997) “Suppressive effects of FC-43 perluorocarbon
emulsion on enhanced oxidative haemolysis in the early postburn phase.” Burns.
(23)2: 117-121.
3. Davis, Stephen C., et al. (2007) “Topical Oxygen Emulsion: A Novel Wound Therapy” Arch Dermatol. 143(10): 1252-1256.
4. Eady et al., (1989) “Erythromycin resistant propionibacteria in antibiotic treated acne patients: Association with therapeutic failure” Br J Dermatol. 1989 Jul; 121(1):51-7.
5. Kaneda, Megan M., et al. (2009) “Perfluorocarbon nanoemulsions for quantitative molecular imaging and targeted therapeutics” Ann Biomed Eng. 37(10) Oct 2009. NDN 230-1024-9131-6.
6. Shen, Yao, et al. (2007) “Carnosine attenuates mast cell degranulation and histamine release induced by oxygen-glucose deprivation” Cell Biochemistry and Function. 26(3):334-338.
7. Thiboutot et al., (1997) “Acne. An overview of clinical research findings” Dermatol Clin. 1997 Jan; 15(1):97-109.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲルの総質量に対してペルフルオロカーボン10〜90wt%及び水8〜70wt%を含む、ペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項2】
ペルフルオロカーボンがペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン)である、請求項1に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項3】
組成物が、界面活性剤1〜5wt%をさらに含む、請求項1又は2に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項4】
界面活性剤が、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体を含む、請求項3に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項5】
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体が、ポロキサマー105及び/又はポロキサマー188を含む、請求項4に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項6】
組成物が、ビタミンE 0.01〜10wt%をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項7】
組成物が、ビタミンE 0.03wt%を含む、請求項6に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項8】
組成物が、保存剤0.02〜3.20wt%をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項9】
保存剤が、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)及び/又はエチレンジアミン四酢酸を含む、請求項8に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項10】
組成物が、ペルフルオロカーボン90wt%、水8wt%、及び界面活性剤2wt%を含む、請求項3〜5のいずれか1項に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項11】
組成物が、ペルフルオロカーボン30〜50wt%、水48〜70wt%、及び界面活性剤2wt%を含む、請求項3〜5のいずれか1項に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項12】
組成物が、ペルフルオロカーボン86.86wt%、水10.42wt%、界面活性剤2.69wt%及びビタミンE 0.03wt%を含む、請求項3〜7のいずれか1項に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項13】
組成物が、ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン) 86.86wt%、水10.42wt%、ポロキサマー105 2.43wt%、ポロキサマー188 0.26wt%及びビタミンE 0.03wt%を含む、請求項12に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項14】
保存剤が、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0〜0.40wt%、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0.01〜0.80wt%及びエチレンジアミン四酢酸0.01〜2.00wt%を含む、請求項8又は9に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項15】
組成物が、ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン) 84〜88wt%、水9〜11wt%、ポロキサマー105 2〜3wt%、ポロキサマー188 0.01〜1wt%、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0〜0.40wt%、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0.01〜0.80wt%及びエチレンジアミン四酢酸0.01〜2.00wt%を含む、請求項14に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項16】
組成物が、ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン) 85.98wt%、水10.28wt%、ポロキサマー105 2.45wt%、ポロキサマー188 0.31wt%、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0.74wt%及びエチレンジアミン四酢酸0.25wt%を含む、請求項15に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項17】
組成物が、ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン) 86.73wt%、水10.37wt%、ポロキサマー105 2.47wt%、ポロキサマー188 0.31wt%、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0.10wt%及びエチレンジアミン四酢酸0.03wt%を含む、請求項15に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項18】
組成物が、ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン) 85.98wt%、水10.28wt%、ポロキサマー105 2.45wt%、ポロキサマー188 0.31wt%、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0.25wt%、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0.50wt%及びエチレンジアミン四酢酸0.25wt%を含む、請求項15に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項19】
組成物が、ペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン) 86.73wt%、水10.37wt%、ポロキサマー105 2.47wt%、ポロキサマー188 0.31wt%、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0.03wt%、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド) 0.07wt%及びエチレンジアミン四酢酸0.03wt%を含む、請求項15に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項20】
組成物が、銅0.10〜2wt%をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項21】
銅が酸化銅(II)である、請求項20に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項22】
0.2cc/時間〜20.0cc/時間の速度で、最大で24時間まで組織に酸素を連続的に送達することを特徴とする、請求項1〜21のいずれか1項に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項23】
組成物が、2.0cc/時間の速度で、24時間、組織に酸素を連続的に送達する、請求項22に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項24】
尿素過酸化水素をさらに含む、請求項1〜23のいずれか1項に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物。
【請求項25】
組織を請求項1〜24のいずれか1項に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物で接触させることによって、0.2cc/時間〜20.0cc/時間の速度で、最大で24時間まで組織に酸素を連続的に送達する方法。
【請求項26】
対象の創傷、熱傷、ざ瘡又は酒さを治療するのに有効な請求項1〜24のいずれか1項に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を対象の皮膚に局所投与する工程を含む、それらに罹患する対象における創傷、熱傷、ざ瘡又は酒さを治療する方法。
【請求項27】
対象の皮膚の張りを増加させるか又は対象の皮膚の小じわ、しわ若しくは瘢痕を減らすのに有効な請求項1〜24のいずれか1項に記載のペルフルオロカーボンゲル組成物を対象の皮膚に局所投与する工程を含む、対象の皮膚の張りを増加させるか又は小じわ、しわ若しくは瘢痕を減らす方法。
【請求項28】
a)容器中水相成分を混合する工程;
b)その混合物をホモジナイズする工程;
c)その混合物に高速ホモジナイゼーション中ペルフルオロカーボンを時間をかけて添加する工程;及び
d)ゲルを得る工程
を含む、ペルフルオロカーボンゲル組成物の製造方法。
【請求項29】
工程a)において、水相成分が、蒸留水、界面活性剤及び/又は保存剤を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
工程a)において、容器が、ガラス、ポリエチレン、PET、又はステンレス鋼容器である、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
工程b)において、ホモジナイザーがローターステーターホモジナイザーである、請求項28〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
工程b)において、混合物を4〜6分間ホモジナイズする、請求項28〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
工程b)において、混合物を5分間ホモジナイズする、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
工程b)において、混合物を10,000〜35,000RPMでホモジナイズする、請求項28〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
工程c)において、ペルフルオロカーボンを10〜30分かけて連続的に又はアリコートに分けて添加する、請求項28〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
ペルフルオロカーボンがペルフルオロ(tert−ブチルシクロヘキサン)である、請求項28〜35のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−509870(P2012−509870A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537417(P2011−537417)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/006159
【国際公開番号】WO2010/065059
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(511126040)オキシジェン・バイオセラピューティクス・インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】