説明

ペレット化シリカ

円形且つ単峰性の粒子サイズ分布を特徴とするペレット化シリカ粒子を、シリカ粒子を水に分散し、分散液に水を加え、アルコキシシランと混合し、前記混合物を有機溶剤に注ぎ、濾過し、そして洗浄してシリカ粒子を得ることによって製造する。前記のペレット化シリカ粒子はガラスモノリスの製造に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象はペレット化シリカ粒子、それらの製造方法および使用である。
【0002】
特定のpHでアルコキシシランを加水分解することによってゲルを製造し、ゲルを粉末化し、そして乾燥の後、粉末を焼成することによる石英(シリカ)ガラス粉末の製造方法が公知である(日本特許出願公開(公開)番号62−176928(1987))。
【0003】
さらには、以下の工程による合成石英ガラス粉末の製造方法が公知である:
a)アルコキシシランを加水分解し、そのゲルを形成し、
b)前記ゲルを細かく分割し、その後乾燥させる、あるいはゲルを乾燥させて、その後細かく分割して粉末を形成し、そして
c)工程b)の粉末を焼成する(US5,516,350号)。
【0004】
焼成工程前のゲルの粒子サイズは60〜900μmの直径に調整された。前記参考文献は焼結された石英ガラス粉末の粒子サイズおよびその流動特性については述べていない。
【0005】
さらには、以下の工程によるモノリスシリカガラス物品の製造方法が公知である:
溶液中のケイ素アルコキシドを前記加水分解して加水分解溶液を形成し、
有効量のヒュームドシリカを加水分解溶液に添加してゾル溶液を形成し、
前記ゾル溶液をゲル化してゲルを形成し、
ゲルを乾燥させて乾燥ゲルを形成し、そして
乾燥ゲルを焼結してガラスを形成し、それによって大きい一体式シリカガラス物品を形成する(US4,801,318号)。
【0006】
本方法は合成石英の自由流動粉末を産出しない。
【0007】
さらには、以下の工程による実質的に単峰性の分布を有する球形の無機酸化物ベースの材料の製造方法が公知である:
テトラアルコキシシランを加水分解することによって、少なくとも1つの無機酸化物のゾルを形成し、
前記ゾルをそのゾルと不混和性の溶剤に添加し、
得られた2相混合物を等しい直径の粒子の分散液へと微分散させて、
前記の粒子を限定的な凝集によって所望のサイズに成長させ、ゲル化剤を含有する第二の溶剤を添加することによって前記の(凝集した液滴の)分散液をゲル化し、そして
溶剤を除去する。
【0008】
球形の材料は単峰性の分布の場合1nmから1000nmの間の直径を示す。それはオレフィン性不飽和の化合物の重合および共重合の触媒の担持体として使用できる(EP0537850号A1)。
【0009】
さらには、以下の工程による球形シリカ粒子の製造方法が公知である:
(A)水性媒体上のケイ素アルコキシドを鉱酸あるいは有機酸の存在下で加水分解することによってコロイド状シリカ溶液を製造し、
(B)得られるコロイド状シリカ溶液中でヒュームドシリカを分散してもよく、
(C)一官能価の脂肪族アルコールR−OHあるいはそれらの混合物によって構成される有機媒体中で純粋(工程A)あるいは混成(工程B)のシリカゾルのいずれかを混合し、
(D)そのようにして得られた混合物を乳化し、
(E)先に得られたエマルジョンを塩基性溶液に接触させることによって、純粋あるいは混成シリカゾルのいずれかをゲル化し、
(F)得られるゲルを熱処理する。
【0010】
球形シリカ粒子は、10〜100マイクロメートルの範囲内の粒径を示す(EP0653378号A1)。
【0011】
粉末材料の輸送、取り扱いおよび貯蔵は、粒子の流動性および堅さに大きく影響され、従ってそれは最終製品の価格および品質に大きな商業的な影響がある。特に粉末の混合効率は、不均一な粒子サイズ分布、粒子の凝集およびケーキング問題によって強く影響される。
【0012】
本明細書内を通して使用される表現"自由流動粉末組成物"は、上記に定義された組成物を構成する粒子、および互いに付着しない粒子の(ミリング、マイクロペレット化、あるいは同様の技術によって製造された)粉末を意味している。粉末粒子のサイズは、粒子の直径に関して表現される。一般に、このサイズはふるい分析によって測定され、粒子の形状によらない。
【0013】
それに対して、凝集粉末は粒子間の凝集力が非常に甚大である(強い)粉末である。定義として、自由流動粉末は微粉を含有しない。
【0014】
噴霧乾燥器で加熱したガスと霧状にした(噴霧化した)液体流とを容器内(乾燥室)で混合して蒸発を行い、制御された平均粒子サイズを有する自由流動乾燥粉末を製造する、従来の噴霧乾燥技術は、例えばSDS Spray Drying Limitedによって利用可能である。前記の噴霧乾燥器を用いて、かなり狭い粒子サイズ分布の、平均寸法300ミクロンの粒子を製造することが可能である。
【0015】
金属酸化物のペレット化を行うためにさらに優れた他の手法は、ポリマーあるいは油脂あるいはワックスなどの化学薬品で被覆することである。この場合、細粒の特性は著しく変えられ、この理由から、化学文献における報告は非常に少ない。
【0016】
文献内は金属酸化物のペレット化方法であふれかえっているにも関わらず、産業レベルの操作、例えば混合および移動ベルトあるいは気送コンベアに沿う輸送は、未だよく知られた問題、例えば:
a)分離:主に粒子サイズの違いおよび粒子密度における小さな拡張の差による。より詳細には、分離を起こす力はファンデルワールス力、静電気力、液体の架橋、固体の架橋およびもつれである。
b)浸出、輸送試験中に小さなサイズの細粒は徐々により大きい物の下に移動し、従ってサイズの異なる粒子の分離に至る。
に影響されている。
【0017】
粒子の純度となると、シリカにおいて非常に重要である。実際に現在、新規の高級志向の用途、例えば特にるつぼの内壁、光ファイバーおよびマイクロエレクトロニクス用部品のための、高純度シリカの要求が増している。残念ながら市場では前記の製品が充分に入手可能ではなく、なぜなら非常に高いコストおよび非常に複雑な製造工程のためである。
【0018】
本発明の対象は、円形且つ単峰性の粒子サイズ分布を特徴とする、ペレット化シリカ粒子である。
【0019】
本発明によるシリカ粒子は、液体アルコキシシランの加水分解によって得られたSiO2で周り全体が囲まれ、コアとして前記のシリカを有する。
【0020】
特に好ましくは、前記のシリカはヒュームドシリカあるいは天然石英としてのSiO2であってよい。天然石英は、即ちJOTA社のJOTA 4タイプおよびNorwegian Crystallites社の天然石英であってよい。
【0021】
本発明の好ましい特徴において、ペレット化された無機酸化物粒子のコアは、液体アルコキシシランの加水分解によって得られたシリコン二酸化物で包まれた天然石英から成ってよい。アルコキシシランは好ましくはテトラアルコキシシラン、例えばテトラエトキシシランであってよい。
【0022】
本発明による前記のペレット化された無機酸化物粒子は、50m2/gを超える表面積を特徴とすることができる。
【0023】
前記のペレット化された無機酸化物粒子は、少なくとも90%が100ミクロンよりも大きいサイズを有することができる。少なくとも90%の孔が50〜1000オングストロームにわたる直径を有することができる。
【0024】
さらには、アルコキシシランを溶解可能な塩と混合して、金属をドープしたペレット化無機酸化物粒子を得ることができる。
【0025】
Degussa GmbHが開発し、且つthe Thechnical Bulletin fine Particles Number 11 "Basic Characterisation of Aerosil Fumed silica"内で発表した方法によれば、自由流動値はより好ましくは5から2の範囲である。流動挙動の乏しい粉末は評点5を有しており、一方で非常に良い流動挙動の粉末は1と評価される。
【0026】
本発明のさらなる対象は、円形および単峰性の粒子サイズ分布を有するペレット化シリカ粒子の製造方法である。ペレット化される無機シリカを、攪拌しながら酸性水を含有する容器に添加することを特徴とする本発明によれば、分散液が明らかに均質で、且つ塊がなくなった後、液体アルコキシドシラン、例えば即ちテトラメトキシシランおよび/またはテトラエトキシシランを次に非常にゆっくりと前記混合物に添加する。発熱反応の結果として、温度が上昇する。そのようにして得られた分散液をその後、例えばカニューレによって、強い攪拌を保持しながら、予めアンモニア誘導体と混合された有機溶剤あるいはシリコンオイルを含有する容器の中にゆっくりと移す。アルカリ性の有機溶液と接触したシリカ分散液の液滴が、ゲル状の粒子を形成し、それが反応器の底に集まり、その後、他の容器に移してアルコールおよび/またはエステル、例えば特にジオキサン、プロパノール、アセトン、エタノールあるいは純粋なエチルアセテートで洗浄し、最終的にはその後、粒子をアセトンで洗浄する。有機溶剤あるいはシリコンオイルをそこでさらなる作業のために使用する。その後粒子を濾過し、その後溶剤を超臨界あるいはわずかに臨界未満の条件で抽出する。選択的に溶剤を制御された条件(湿度%および温度)の下で、乾燥の制御によって除去してもよい。乾燥した粒子をその後、少なくとも1時間、酸素を用いて高温で焼成して、シリカ粒子から溶剤の痕跡を消す。
【0027】
より詳細には、広いサイズ分布の粉末からのシリカ粒子の製造方法に関する。ペレット化はゾル−ゲル技術を使用することによって得られ、それは部分的にEP0537850号A1内に記載されている。
【0028】
本発明の好ましい対象において、本方法は以下の特徴を含む:
室温で酸を容器内で水に酸性pH(2)に達するまで添加する。その後、強く攪拌しながら非常にゆっくりとシリカ粉末を、そして後から液体ケイ素アルコキシド、たとえばTEOS(Dynasil A from DEGUSSA AG)を添加する。発熱性の加水分解反応の結果として、温度が数度上昇する。前記混合物をその後、攪拌しながら少なくとも20分保持する。
【0029】
力強い攪拌の後、次にカニューレを用いて有機溶剤を含有する容器に前記の溶液を注ぐ。その後、強いアルカリ条件になるまで、例えば水溶液中で10%まで、アミン、例えばRohm and Haas社によって供給されるPrimeneタイプの添加によって、pHを上昇させる。温度はさらに上昇する。粒子をその後、連続して反応バッチから取り出し、得られた粒子をその後、充分に水で洗浄し、残留溶剤を除去する。そのようにして得られた材料をその後、直立炉内、600±150℃で6±2時間焼成し、残留溶剤を除去する。
【0030】
処理された粒子は、少なくとも粒子の90%において、100ミクロンよりも大きいサイズを有するサイズを有している。ペレット化はペレット化剤としてテトラエトキシシランを使用することによって得られる。
【0031】
天然石英粉末のペレット化の場合はわずかに異なる。室温で、強い酸性pH(2)に達するまで酸を容器内の水に添加する。攪拌しながら、液体ケイ素アルコキシド、例えばTEOS(DEGUSSA AG社のDynasil A)を混合物に添加し、発熱性の加水分解反応の結果として温度が数度上昇する。後から、天然石英粉末をその後混合物に添加し、その後攪拌の下で少なくとも20分間保持する。
【0032】
強い攪拌の後、強い攪拌を維持しながら溶液を有機溶剤を含有する容器に注ぐ。その後、強いアルカリ条件になるまで、例えば水溶液中で10%まで、アミン、例えばRohm and Haas社によって供給されるPrimeneタイプの添加によって、pHを上昇させる。温度はさらに上昇する。粒子をその後、連続して反応バッチから取り出し、得られた粒子をその後、充分に水で洗浄し、残留溶剤を除去する。そのようにして得られた材料をその後、直立炉内、600±150℃で6±2時間焼成し、残留溶剤を除去する。
【0033】
その他に、本特許は、加水分解したシリカアルコキシド、例えばTEOSおよび金属酸化物および/またはそれらの混合物を含む、自由流動粉末組成物に関する。
【0034】
粒子は、ペレット化剤(加水分解されたシリカアルコキシド、例えばTEOS)とコア材料との間がほぼ連続相である事実によって特徴付けられる。なぜならペレット化剤は無機酸化物粒子を含浸させられるからである。
【0035】
本発明によるこの方法で得られるガラス状の粒子は、流動性、細孔率およびサイズ分布によって特徴付けられる。その他に、前記の無機酸化物がシリカあるいは石英シリカのとき、本方法は出発材料の純度と比較してより高純度の最終生成品を得ることを可能にする。純度は使用するペレット化剤シリカアルコキシド、例えばTEOSの量のほぼ直接の関数として上昇する。
【0036】
無機酸化物粒子を有する水溶液の最初のpHは、1〜4の範囲であってよい。
【0037】
液体のアルコキシシランはテトラメトキシシラン(CH3O)4Siおよび/またはテトラエトキシシラン(CH3−CH2−O)4Siであってよい。
【0038】
有機溶剤は非極性の有機溶剤であってよく、それは20℃で60より低い誘電率を有している。
【0039】
ドープされたシリカ粒子を得るために添加する塩は、とりわけ、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、酢酸鉛、ホウ酸、硫酸アンモニウムフッ化物、アンモニウムフッ化物であってよい。
【0040】
無極性の有機溶剤は液体アルカン、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびアルコール、例えばプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、および芳香族化合物、例えばトルエン、ベンゼン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、キノリン、デカリンおよび/またはそれらの混合物であってよい。
【0041】
さらには、有機溶剤としてシリコンオイルを使用できる。前記シリコンオイルはポリジメチルシロキサン液体、例えばWacker Chemie AG社から商品名Wacker AK50として販売されているジメチコーンであってよい。
【0042】
有機塩基アンモニア誘導体は、シクロヘキシルアミン、t−アルキルアミンであってよい。
【0043】
有機塩基の添加後のpHは、10%水溶液として表して、8〜13、より好ましくは10〜11の範囲であってよい。
【0044】
焼成温度は300〜700℃の間、より好ましくは300〜600℃の間であってよい。
【0045】
ペレット化シリカ粒子は円形によって特徴付けられ、且つそれらは事実上、微粉がない。
【0046】
ペレット化シリカ粒子について実施された分析は、本発明による方法で単峰性の分布を得ることができることを示した。
【0047】
材料の細孔率および表面積を、DIN66131の方法に従って、Micromeritics社のASAP2010機によって測定し、測定は液体窒素中で行った。
【0048】
分析の前に、前記材料を300℃で4時間脱気した(圧力=1×10-6)。
【0049】
流動性を、非常に単純で、それにも関わらず意味のある測定方法によって、砂時計と似た粘度管を用いて測定した。この方法を用いた場合、良好な流動挙動を有する粉末は小さな吐出口を通ってガラス管の外に流出し続ける(Degussa Aerosil Silanes Technical Bulletin Fine particle, page 56−57, 2005参照)。粉末/ペレットが非常に大きい管を通してのみ流れる場合、それは評点5とみなされ、一方で粉末/ペレットが非常に細い管を通してでも非常に容易に流れる場合、それは評点1を有する。
【0050】
滴定の間、アンモニア誘導体と共にゲル状粒子の分散に使用する溶剤は、非極性であり、誘電率は60以下である。試験された溶剤の一覧は、アルカン、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびアルコール、例えばプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、および芳香族化合物、例えばトルエン、ベンゼン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、キノリンおよびデカリンを含む。
【0051】
ペレット化シリカ粒子の純度は、ICP−MASによって検査した。
【0052】
本発明によるペレット化シリカ粒子は微粉の量を減少させることおよび粒子サイズ分布を狭めることによって材料の輸送の歩留まりを著しく上昇させることができる。
【0053】
実施例1
室温(19℃)で、濃度37質量%の塩酸を、pH2に達するまで4l容器中で900mlの水に添加する。その後、攪拌しながら、ペレット化される650gのヒュームドシリカ、Degussa社製のAerosil EG50を非常にゆっくりと添加する。分散液が透明且つ均質且つ塊がなくなったとき、650gのTEOS(DEGUSSA AG社のDynasil 40)をその後非常にゆっくりと前記混合物に添加する。発熱性の加水分解反応の結果として、温度が24℃まで上昇する。1時間の力強い攪拌の後、次に該溶液をカニューレによって、pH11(10%水溶液で表す)を有する第三アミン、Primene JM−T(Rohm and Haas社製)と混合した15lのシリコンオイル(Wacker Chemie社のWacker AK 50)を含有する22lの容器にゆっくりと滴下して注ぐ。温度はさらに31℃まで上昇する。ゲル状粒子を含有するエマルジョンをその後濾過し、そしてそのようにして得られた粒子をその後、充分に水/アセトン溶液で洗浄し、残留シリコンオイルを除去する。そのようにして得られた材料をその後、直立炉内、600℃で8時間焼成し、残留溶剤を除去する。
【0054】
評価:
粒子サイズ:前記材料を単峰性サイズ分布によって評価する。平均直径は430ミクロンであり、出発材料の寸法は3.7ミクロンである。
【0055】
多孔率:孔径60オングストローム、表面積99m2/gは、出発材料の表面積のほぼ2倍である。
【0056】
元素分析:
出発材料内の不純物(ppm):
Na 1.6
K 0.3
Li 3.8
Al 23
Ca 0.5
Fe 0.6
Ti 2.4
Co 0.01
Cu 0.01
Cr 0.02
最終材料内の不純物(ppm):
Na 0.6
K 0.05
Li 3.0
Al 12
Ca 0.03
Fe 0.01
Ti 1.0
Co <0.01
Cu <0.01
Cr <0.01
【0057】
ペレット化は粒子の寸法および同様にその分散(単峰性分布)を大きく改善するだけでなく、最終材料の純度は出発材料の純度よりも遙かに良好である。
【0058】
流動性:出発材料の評点は5であり、一方で、ペレット化シリカは評点2を有し、これはペレット化工程が自由流動挙動を改善していることを意味する。
【0059】
実施例2:
室温(19℃)で、濃度37質量%の塩酸を、pH2に達するまで4l容器中の900mlの水に添加する。強く攪拌しながら、650gのテトラエトキシシラン(TEOS)(DEGUSSA AG社のDynasil)を非常にゆっくりと混合物に添加する。20分の攪拌の後、ペレット化される650gの天然石英を、次に非常にゆっくりと添加する。発熱性の加水分解反応の結果として、温度が22℃まで上昇する。1時間の力強い攪拌の後、次に溶液を15lのシリコンオイル(Wacker Chemie社のWacker AK 50)を含有する22lの容器にゆっくりと滴下して注ぐ。第三アミン、Primene JM−T(Rohm and Haas社製)の添加によって、pH11(10%水溶液)に達するまでpHを上昇させ、そのpHはシリコンオイル中、10質量%のPrimeneに相当する。温度はさらに31℃まで上昇する。ゲル状粒子を含有するエマルジョンをその後濾過し、そしてそのようにして得られた粒子をその後、充分に水で洗浄し、残留シリコンオイルを除去する。そのようにして得られた材料をその後、直立炉内、600℃で8時間焼成し、残留溶剤を除去する。
【0060】
評価:
粒子サイズ:前記材料を単峰性サイズ分布によって評価する。平均直径は500ミクロンであり、出発材料の寸法は5.7ミクロンである。
【0061】
多孔率:表面積74m2/g、これは天然石英のほとんど検知不能な低い表面積と比較されるべきである。
【0062】
元素分析:
出発材料内の不純物(ppm):
Na 1.9
K 0.6
Li 3.8
Al 36.0
Ca 1.0
Fe 0.4
Ti 3.2
Co <0.001
Cu 0.009
Cr 0.03
焼成前の最終材料内の不純物(ppm):
Na 2.0
K 0.78
Li 3.1
Al 20
Ca 1.7
Fe 0.51
Ti 3.2
Co <0.01
Cu <0.015
Cr <0.43
焼成後の最終材料内の不純物(ppm):
Na 0.9
K 0.59
Li 2.01
Al 21.0
Ca 3.40
Fe 0.01
Ti 2.9
Co <0.01
Cu <0.01
Cr <0.02
【0063】
ペレット化は粒子の寸法および同様にその分散(単峰性分布)を大きく改善するだけでなく、最終材料の純度は出発材料の純度よりも遙かに良好である。
【0064】
流動性:出発材料の評点は5であり、一方で、焼成工程前のペレット化天然石英は評点4を有するのに対し、焼成工程後の評点は2と3との間であり、これはペレット化工程が自由流動挙動を改善していることを意味する。
【0065】
実施例3:
室温(19℃)で、濃度37質量%の塩酸を、pH4に達するまで4l容器中の900mlの水に添加する。強く攪拌しながら、85gのNH4Fを溶解し、そして常に攪拌しながら、ペレット化される585gのヒュームドシリカ、Degussa社製のAerosil EG50を次に非常にゆっくりと添加する。分散液が明らかに均質で塊がなくなったとき、650gのTEOS(DEGUSSA AG社のDynasil 40)をその後非常にゆっくりと前記混合物に添加する。発熱性の加水分解反応の結果として、温度が24℃まで上昇する。1時間の力強い攪拌の後、溶液を次に15lのシリコンオイル(Wacker Chemie社のWacker AK 50)を含有する22lの容器に非常にゆっくりと滴下して注ぐ。シリコンオイル浴のpHを、第三アミン、Primene JM−T(Rohm and Haas社製)の添加によって、pH11に達するまで上昇させ、そのpHはシリコンオイル中、10質量%のPrimeneに相当する。温度はさらに31℃まで上昇する。ゲル状粒子を含有するエマルジョンをその後濾過し、そしてそのようにして得られた粒子をその後、充分にアセトン/水溶液で洗浄し、残留シリコンオイルを除去する。そのようにして得られた材料をその後、直立炉内、600℃で8時間焼成し、残留溶剤を除去する。
【0066】
評価:
粒子サイズ:前記材料を単峰性サイズ分布によって評価する。平均直径は300ミクロンであり、出発材料の寸法は5.7ミクロンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形且つ単峰性の粒子サイズ分布を特徴とするペレット化シリカ粒子。
【請求項2】
攪拌しながらシリカ粒子を酸性pHの水に分散し、その後、液体アルコキシドシランを添加し、そのようにして得られた分散液を強く攪拌しながら有機溶剤を含有する容器に移し、その後、無機塩基性アンモニア誘導体の添加によってpHを上昇させ、得られるゲル状粒子をアルコールで、そしてその後アルコールと水との混合物で洗浄し、その後粒子を濾過し、そしてその後高温で少なくとも1時間焼成し、無機酸化物粒子から溶剤の残りを除去することを特徴とする、請求項1に記載のペレット化シリカ粒子の製造方法。
【請求項3】
シリカがヒュームドシリカであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
シリカ粒子を有する水溶液の最初のpHが1〜4の範囲であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
シリカがヒュームドシリカであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
液体アルコキシシランがテトラメトキシシランおよび/またはテトラエトキシシランであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
有機溶剤が非極性有機溶剤であり、且つ20℃で60より低い誘電率を有していることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
水溶液が可溶性の塩を含有し、最終のペレットのためのドーピング剤としてみなされることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
非極性有機溶剤が、液体アルカン、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンあるいはシリコンオイルおよびアルコール、例えばプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、および芳香族化合物、例えばトルエン、ベンゼン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、キノリン、デカリンおよび/またはそれらの混合物であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
アンモニア誘導体がシクロヘキシルアミン、t−アルキルアミンであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
有機塩基の添加後のpHが8〜12、より好ましくは10〜12の範囲であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
焼成温度が300〜800℃の間、より好ましくは300〜600℃の間であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
液体アルコキシドシランを酸性pHの水に攪拌しながら添加し、その後、強く攪拌しながら天然石英粉末を溶液に添加する。そのようにして得られた分散液を強く攪拌しながら有機溶剤を含有する容器に移し、その後、無機塩基アンモニア誘導体の添加によってpHを上昇させ、得られたゲル状粒子をアルコールで、そしてその後アルコールと水との混合物で洗浄し、その後粒子を濾過し、そしてその後高温で少なくとも1時間焼成し、無機酸化物粒子から溶剤の残りを除去することを特徴とする、請求項1に記載のペレット化天然石英粒子の製造方法。
【請求項14】
シリカ粒子の水溶液の最初のpHが1〜4の範囲であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
液体アルコキシシランがテトラメトキシシランおよび/またはテトラエトキシシランであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
有機溶剤が非極性有機溶剤であり、且つ20℃で60より低い誘電率を有していることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
水溶液が可溶性の塩を含有し、最終のペレットのためのドーピング剤としてみなされることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
非極性有機溶剤が、液体アルカン、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンあるいはシリコンオイルおよびアルコール、例えばプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、および芳香族化合物、例えばトルエン、ベンゼン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、キノリン、デカリンおよび/またはそれらの混合物であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項19】
アンモニア誘導体がシクロヘキシルアミン、t−アルキルアミンであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項20】
有機塩基の添加後のpHが8〜12、より好ましくは10〜12であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
焼成温度が300〜800℃の間、より好ましくは300〜600℃の間であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2009−538816(P2009−538816A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512608(P2009−512608)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055365
【国際公開番号】WO2007/141196
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(501094502)デグサ ノヴァラ テクノロジー ソチエタ ペル アツィオーニ (15)
【氏名又は名称原語表記】Degussa Novara Technology S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Pisacane 7/B, I−20016 Pero (MI), Italy
【Fターム(参考)】