説明

ペンニードル用滅菌バリア、およびそのための保管容器

【課題】新品および使用済みペンニードルの両方を保管することができ、また、使用者が容易に、便利に持ち運べるペンニードル保管容器を提供する。
【解決手段】ペンニードルは、第一の端の第一の開口部と、第二の端の第二の開口部と、を有するハブを含む。針はハブに連結され、第一の端の第一の開口部から延在する。第二の開口部からの針への接触は、滅菌バリアによって防止され、滅菌バリアは、針の長さ方向軸に沿って移動されて、針に接触できるようにする可動部分を有する。保管容器は、複数のペンニードルを受ける複数の空洞を有するケースを含む。カバーは、ケースに回転可能に連結され、その出し入れ口部分が空洞の1つと整合するように回転され、それによって、空洞内のペンニードルへの出し入れ口が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注入器に使用するペンニードル用滅菌バリアに関する。本発明はまた、滅菌バリアを有するペンニードルのための保管容器にも関する。より詳しくは、本発明は、使用に際してペンニードルから取り除かれない滅菌バリアに関する。さらにより詳しくは、本発明は、注入器でペンニードルの滅菌バリアに接触できるようにする保管容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ある状況においては、薬剤を人体の組織に直接注入することが望ましい。一般に、シリンダまたはペン型注入器材を使って、薬剤を組織領域、例えば筋肉内組織層、皮下組織層、および皮内組織層に注入する。
【0003】
一般的なペン型注入器は、本願と同じ譲受人に譲渡された特許文献1に記載されており、同特許の全体を引用によって本願に援用する。
【0004】
ペン型注入器、例えば図1と図2に示される例示的なペン型注入器100は、一般に、単位設定ノブ/ボタン24、外側スリーブ13、およびキャップ21を備える。単位設定ノブ/ボタン24により、使用者は注入すべき薬剤の投与量を設定できる。外側スリーブ13は、使用者が薬剤を注入する際にそこを握る。キャップ21は、使用者が薬物送達ペン100をシャツのポケット、バッグまたはその他適当な場所に安全に入れておくために使用される。
【0005】
図2は、図1の薬物送達ペン100の分解図である。単位設定ノブ/ボタン24は2つの機能を有し、注入すべき薬剤の用量を設定するため、および下側ケース17の中に納まるように薬物送達ペンに取り付けられた薬剤カートリッジ12から、単位設定された薬剤をリードねじ7とストッパ15を介して注入するため、との両方に使用される。標準的な薬物送達ペンでは、単位設定および送達メカニズムは全て外側スリーブ13の中にあり、これらは先行技術を知る人々であれば理解されるため、ここでは詳しく説明しない。薬剤カートリッジ12の中でプランジャまたはストッパ15が遠位方向に移動すると、薬剤がハブ20の針11の中に押し込まれる。薬剤カートリッジ12は隔壁16によって密閉され、隔壁はハブ20の中に位置付けられた隔壁穿刺針カニューレ18によって穿刺される。ハブ20は、好ましくは下側ケース17に螺合されるが、他の連結手段も使用でき、例えばカートリッジに連結されてもよい。使用者、または薬物送達ペン100を扱う全ての人を保護するために、ハブ20に連結される外カバー69でハブを覆う。内側シールド59は、外カバー69の中で患者用針11を覆う。内側シールド59は、適当な手段、例えば締り嵌めまたはスナップ式嵌合等により、患者針11を覆うようにハブ20に固定することができる。外カバー69と内側シールド59は、使用前に取り外す。キャップ21は、外側スリーブ13にぴったりと嵌り、使用者は安全に薬物送達ペン100を持ち運ぶことができる。
【0006】
薬剤カートリッジ12は一般に、一方の端が隔壁16によって密閉され、もう一端がストッパ15で密閉されるガラス管である。隔壁16は、ハブ20の中の隔壁隔壁穿刺カニューレ18によって穿刺可能であるが、薬剤カートリッジ12に関しては移動しない。ストッパ15は、薬剤カートリッジ12の中で軸方向に移動可能であり、同時に液密状態を保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,645,264号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ハブ20、針11、外側シールド69、および内側シールド59を有するペンニードルは一般に、1回の注入に使用され、その後処分される。一般に、ペンニードルは個々に包装され、箱やカートン等の容器の中に緩みをもって収容されている。各ペンニードルは、そこにラミネートされたラベルで密封され、これが滅菌バリアとなる。しかしながら、このような容器には、使用済みのペンニードルを収容する手段がない。したがって、新品および使用済みペンニードルの両方を保管する保管アセンブリが求められている。
【0009】
さらに、既存のペンニードル用容器は、多数の新品のペンニードルを保管するため、容器が大きく、かさばる。そのため、容器は扱いにくく、持ち運びに不便である。したがって、使用者が容易に、便利に持ち運べるペンニードル保管容器が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様によれば、保管容器は、注入器で使用するための、滅菌バリアを有する新品のペンニードルを保管する。
【0011】
本発明の他の態様によれば、保管容器は使用済みペンニードルを保管する。
【0012】
本発明の他の態様によれば、保管容器は使用者にとって持ち運びやすい。
【0013】
本発明の例示的実施形態による保管アセンブリは、下側ケースに移動可能に連結された上側ケースを含む。滅菌バリアを有する複数のペンニードルが下側ケースに保管される。上側ケースの開口部は、新品のペンニードルを取り出し、使用済みペンを収容するための出し入れ口となる。注入器で滅菌バリアの一部を移動させて、注入器の薬剤カートリッジとペンニードルの針の間に流路を作る。すると、上側ケースを新しい位置に移動させることができ、それによって別の新品のペンニードルを取り出すことができる。
【0014】
本発明の例示的実施形態によるペンニードルは、ペンニードルのハブの非患者側端を密閉する滅菌バリアを有する。ハブは、第一の端に第一の開口部と、第二の端に第二の開口部と、を有する。針はハブに連結され、第一の端の第一の開口部を通って延在する。滅菌バリアは、第二の開口部を密閉する。滅菌バリアは、針の長さ方向軸に沿って移動して、針を取り出すことができるようにする可動部を有する。
【0015】
本発明の例示的実施形態による保管容器は、新品および使用済みペンニードルを保管する。各ペンニードルは、第一と第二の開口部のあるハブを有する。針はハブに連結され、第一の開口部を通過する。ケースは、複数のペンニードルを受けるための複数の空洞を有する。カバーは、ケースに回転可能に連結される。カバーを回転させ、カバーの出し入れ部が空洞の内の1つと整合して、その空洞の中のペンニードルを取り出せるようにする。滅菌バリアによって、針には接触できない。滅菌バリアの一部が移動可能で、そこから針に接触できる。
【0016】
本発明の目的、利点および顕著な特徴は、本発明の例示的実施形態を開示している、以下の詳細な説明を添付の図面とともに読むことによって明らかとなるであろう。
【0017】
本発明の各種の実施形態の上記の恩恵およびその他の利点は、本発明の例示的実施形態に関する以下の詳細な説明と添付の図面から、より明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】組立後の既存の薬物送達ペンの斜視図である。
【図2】図1の薬物送達ペンの構成要素の分解斜視図である。
【図3】本発明のある例示的実施形態によるペンニードル用ディスク型保管アセンブリの斜視図である。
【図4】図3のディスク型保管アセンブリの底面図である。
【図5】図3のディスク型保管アセンブリの上面図である。
【図6】図3のディスク型保管アセンブリの分解斜視図である。
【図7】図3のディスク型保管アセンブリの下側ケースの斜視図である。
【図8】図3の上側ケースの下面の斜視図である。
【図9】図3の上側ケースの下面の、窓を示す斜視図である。
【図10】ディスク型保管アセンブリに保管するための新品のペンニードルの斜視図である。
【図11】図10のペンニードルの分解斜視図である。
【図12】本発明の他の例示的実施形態による、ペンニードルがその中に保管されている下側ケースの斜視図である。
【図13】本発明の他の例示的実施形態による密閉部材を有するペンニードルの立面図である。
【図14】ペンニードルをペンに連結した後の、密閉部材が破られた図13のペンニードルの立面図である。
【図15】本発明の他の例示的実施形態によるペンニードル用バリアの横断立面図である。
【図16】ペンと使用してバリアが破断された後の、図15のペンニードルの横断立面図である。
【図17】本発明の他の例示的実施形態による崩壊可能な円錐部材を有するペンニードルの横断立面図である。
【図18】ペンと使用して円錐部材が崩壊された後の、図17のペンニードルの横断立面図である。
【図19】本発明の他の例示的実施形態によるスライド式ブート部材を有するペンニードルの横断立面図である。
【図20】ペンと使用してブート部材が移動された後の、図19のペンニードルの横断立面図である。
【図21】空洞を覆うドアを有するディスク型保管アセンブリの斜視図である。
【図22】ドアが開けられ、空洞への入口ができた、図21のディスク型保管アセンブリの斜視図である。
【図23】本発明の他の例示的実施形態によるディスク型保管アセンブリの上側ケースの斜視図である。
【図24】本発明の他の例示的実施形態によるディスク型保管アセンブリの下側ケースの斜視図である。
【図25】ラベル式滅菌バリアの斜視図である。
【図26】穿孔可能な滅菌バリアの斜視図である。
【図27】図26の穿孔可能な滅菌バリアが連結された、図24の下側ケースの斜視図である。
【図28】図26の穿孔可能な滅菌バリアを有する、組立後のディスク型保管アセンブリの斜視図である。
【図29】図25のラベル式滅菌バリアを有する、組立後のディスク型保管アセンブリの斜視図である。
【図30】本発明の他の例示的実施形態によるディスク型保管アセンブリの下側ケースの斜視図である。
【図31】本発明の他の例示的実施形態によるディスク型保管アセンブリの上側ケースの斜視図である。
【図32】ペンニードルが連結される複数の穿刺可能な滅菌バリアを有する滅菌バリアアセンブリの斜視図である。
【図33】図30の下側ケースの中に収容された、図32の滅菌バリアアセンブリの斜視図である。
【図34】図32の滅菌バリアアセンブリを有する、組立後のディスク型保管アセンブリの斜視図である。
【図35】穿孔可能な滅菌バリアの分解斜視図である。
【図36】ペンニードルのハブに連結された、図35の穿孔可能な滅菌バリアの斜視図である。
【図37】図36の滅菌バリアを有するペンニードルの拡大斜視図である。
【図38】図36のペンニードルの滅菌バリアを穿孔する前の、薬物送達器の斜視図である。
【図39】滅菌バリアの穿孔可能な部分を分離した後の、薬物送達器材の斜視図である。
【図40】本発明の他の例示的実施形態による、ロック解除位置にある保管アセンブリの上側斜視図である。
【図41】ロック解除位置にある、図40の保管アセンブリの下側斜視図である。
【図42】ロック位置にある、図40の保管アセンブリの上側斜視図である。
【図43】ロック位置にある、図41の保管アセンブリの下側斜視図である。
【図44】本発明の他の例示的実施形態による保管アセンブリの下側ケースの斜視図である。
【図45】本発明の他の例示的実施形態による保管アセンブリの上側ケースの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面全体を通して、同様の参照番号は、同様の部品、構成要素および構造を指すと理解されるものとする。
【0020】
図3から図11に示される本発明の例示的実施形態において、保管アセンブリ111は、下側ケース141に移動可能に連結された上側ケース121を含む。図10と図11に示されるペンニードル161が複数、保管アセンブリ111の中に保管される。好ましくは、保管アセンブリ111は略ディスク型であるが、適当であればどのような形状でも使用できる。図3に示されるように、ディスク型の保管アセンブリ111は、保管アセンブリ全体の大きさを小型化させ、それによって、容易に、好都合に持ち運びできる他、注入装置用の新品(滅菌済み)および使用済みのペンニードルの両方を保管できるアセンブリが提供される。
【0021】
上側ケース121は、図3と図6に示されるように、略平坦な基部123と、基部123の外周124から下方に延びる壁125を有する。好ましくは、上側ケース121の基部123は、略円形である。開口部126が基部123に形成され、それによって使用者は基部の中を見ることができる。陥凹部127が壁125に形成される。リブ128が壁125に沿って延び、使用者が壁を握りやすいようになっている。
【0022】
上側ケース121の基部123は、図3、図8および図9に示されるように、上面132と下面134を有する。支柱135が上側ケース121の基部123の下面134から下方に延びる。支柱135の中に形成された開口部136が固定具148を受け、それによって上側ケース121が下側ケース141に固定される。複数の柔軟アーム137が支柱135から外側に延びる。傾斜面138が柔軟アーム137の自由端139に隣接して配置される。
【0023】
下側ケース141は、基部143と、基部143の外周144から上方に延びる壁145と、を有する。好ましくは、下側ケースの基部143は略円形である。穴147が下側ケース141の中を基部143から上面149へと延び、これに対応する上側ケース121の支柱135の開口部136によって受けられる固定具148を受けるようになされ、これによって上側ケース121が下側ケース141に対して移動できる。複数の突起150が下側ケースの壁145に連結されて、使用者が下側ケースを取り扱いやすくなっている。好ましくは、突起を摘みやするために、複数の溝152が突起150の中に形成される。
【0024】
図6、図10および図11で示されるように、ペンニードル161は、ハブ163と、これに剛体的に連結された針165と、を有する。針は、使用者の皮膚の注入部位に刺し入れるための近位端164と、薬物送達ペン100のカートリッジ12の隔壁16(図2)を穿刺する遠位端166と、を有する。ペンニードルは、図11に示されるように、針165の周囲に配置されるシールド171を有していてもよく、これは針の近位端164を覆い、それによって針刺し事故が防止される。ラベル175は、ハブ163に接着されて、針165の遠位、すなわち非患者側端の滅菌バリアとなる。ペンニードル161は、外カバー69(図2)を有していてもよい。あるいは、ラベル175は、外カバー69に接着させることができる。別の滅菌バリアについては、以下の節で説明する。
【0025】
針165の近位、すなわち患者側端を覆うシールド171は、下側ケースに取り外し可能に接続することも、下側ケース141と一体化することもできる。取り外し可能に連結されたシールド171は、使用者によって、ディスク型保管アセンブリ11からペンニードル161を取り出した後に、手で取り外される。シールドが下側ケース141と一体である場合は、使用者が薬物送達ペンをペンニードルに連結し、ペンニードルをディスク型保管アセンブリから取り外した後、ペンニードルからシールドを取り外す必要がない。
【0026】
複数の空洞181が下側ケース141に形成される。図6と図7において、下側ケース141には7つの空洞181がある。しかしながら、下側ケース141には、いくつの空洞181があってもよい。各空洞181はペンニードル161を受け、また第一の部分183と第二の部分185を有する。第一の部分183は、第二の部分185より広い。空洞181の第一の部分183は、ペンニードル161のハブ163を受け、空洞181の第二の部分185は、針165の患者側端とペンニードル161のシールド171を受ける。空洞番号182が、下側ケース141の上面149における各空洞181の付近に表示される。複数の柔軟アーム191が、下側ケース141の上面149に連結される。柔軟アーム191の傾斜面193に隣接する平面194は、上側ケース121の、それに対応する柔軟アーム137の自由端139と係合し、上側ケースが図6と図7において反時計回り方向に回転されないようにする。時計回りに回転させると、上側ケース121の中の陥凹部127が回転して、使用済みペンニードルを出し入れできる位置に来る。上側ケース121の柔軟アーム137の傾斜面138は、下側ケース141の柔軟アーム191の傾斜面193と係合し、それによって下側ケース141の柔軟アーム191は下方に曲がり、上側ケース121を次の空洞181まで回転させることができる。
【0027】
組立後のディスク保管アセンブリ111を図3に示す。上側ケース121を下側ケース141に関して回転させて、上側ケース121の陥凹部127が下側ケースの空洞181と整合するようにする。空洞表示182が上側ケース121の開口部126から見え、保管アセンブリ111の中に残っている新品のペンニードルの数が分かる。例えば、図5において、番号「1」が開口部126から見え、それによって、保管アセンブリが最後の1本の新品のペンニードルを取り出せる位置にあることが分かる。あるいは、開口部から見える数字は、何本の針が残っているかではなく、どの針が使用されているかを示すようにすることもできる。上側ケース121のリブ128と下側ケース141の突起150は、ディスク型保管アセンブリ111を握ったり、操作したりしやすくしている。使用者がラベルタブ175をハブ163の非患者側端から取り外すと、空洞と、その中に保管されている新品の(滅菌状態の)ペンニードル161と、にアクセスすることができる。薬物送達ペン(図1の100)をハブ163の中に挿入すると、ペンニードル161が薬物送達ペンに固定される。薬物送達ペンは、螺合結合手段が使用されている場合はハブの中にねじ込むことができ、あるいは、スナップ式結合部がある場合はハブの中に押し込むことができるが、適当であればどのような方法で薬物送達ペンとペンニードルを連結してもよい。
【0028】
注入後、ペンニードルを、もともとそれが入っていた空洞に戻すことができる。上側ケース121を次の空洞まで回転させると(図3と図6において時計回り)、上側ケースの壁125は、使用済みペンニードルが収容された空洞への出し入れ口を覆い、それによってペンニードルを遮蔽する。上側ケース121の柔軟アーム137の自由端139は下側ケース141の柔軟アーム191の平面194と係合し、上側ケース121を誤った方向、すなわち図3と図6において反時計回りに回転させることができないようになっており、それによって、使用済みペンニードルを取り出せない。図43と図45においては、上側ケース921のタブ941が下側ケース911の指状部951と係合して、上側ケースを誤った方向に回転させることができないようになっている。上側ケース121が全ての空洞を経て回転し終わると(全てのペンニードルが使用されると)、上側ケース121の制止部材(図示せず)が下側ケース141から上方に延びる制止部材195と係合する。制止部材195は上側ケース121と係合して、上側ケースをそれ以上時計回り方向に回転させることができない。柔軟アーム191の平面194は、上側ケース121の反時計回り方向への回転を防止する。その後、ディスク型保管アセンブリ111の全体を、使用済み針の処分に適した方法で処分することができる。
【0029】
図3から図12において、ディスク型保管アセンブリは、新品のペンニードルを取り出せるようにし、使用済みペンニードルを収容する。ペンニードルは、略ディスク形状の保管アセンブリの中に放射状に配置される。滅菌バリアは、針の患者側および非患者側の両端に形成され、適当であればどのような方法でも形成できる。滅菌バリアは、ハブ163に、または外カバー69(図2)に連結することができ、または、適当であれば他のどのような方法でも連結できる。滅菌バリアは、微生物相互作用を防止する密閉部を作る。いくつかの例示的実施形態を以下に説明する。
【0030】
ラベルタブ、例えば図10のラベル175または図25のラベル751は、各ペンニードルハブの非患者側端に取り付けることができ、針の患者側端に迂曲経路を有する(tortuous path)キャップを取り付けることができる。ラベル751には、ラベルをペンニードルのハブから取り外しやすくする、つまみ部753を設けることができる。
【0031】
1枚のラベルタブをディスク型保管アセンブリ全体にわたって配置し、ペンニードルとペンニードルの間に迂曲経路を設けることができる。ラベルタブを剥がして第一の空洞に接触できるようにすると、第一のペンニードル用の滅菌バリアが取り外される。ディスク型保管アセンブリ内の残りのペンニードルに関しては、迂曲経路が滅菌バリアとなる。上側ケースを次の空洞まで回転させると、その空洞に関する迂曲経路による滅菌バリアが壊れる。使用者はそれ以降、ラベルタブを剥がす必要がない。
【0032】
図12において、ゴムスリーブ275をペンニードル161の非患者側端166(図11)に取り付けることができ、シールド271をハブニードルの患者側端に取り付けて、滅菌状態にすることができる。ゴムスリーブ275は、薬物送達ペンをペンニードルに連結している間にペンによって圧縮され、それによって、ハブニードルの非患者側端が露出する。ゴムスリーブ275は、使用済みペンニードルがディスク型保管アセンブリ211に戻されると復元する。あるいは、ゴムスリーブ275は、上側ケースが次の位置まで回転されると、上側ケースの壁125が使用済みペンニードルを遮蔽するため、復元した状態のままとすることができる。
【0033】
滅菌キャップをニードルハブの患者側端に取り付けて、ハブニードルの患者側端を滅菌状態とすることができる。滅菌キャップは、図10と図11に示されるようなシールド171でも、迂曲経路による滅菌キャップ(tortuous path sterility cap)でもよい。迂曲経路による滅菌キャップには、らせん状のねじ山による経路、または、一連の隣接するリングによって迂曲経路を形成することができ、それぞれのリングは、それぞれの隣接するリングのギャップから180度ずれた位置にギャップを有する。適当であれば、どのような手段で迂曲経路を形成してもよい。迂曲経路による滅菌キャップは、針の非患者側端に配置してもよく、このキャップがハブの内面を密封する。迂曲経路による滅菌キャップは、使用者がニードルハブを薬物送達ペンに連結し、ペンニードルを保管アセンブリから抜き出した後に、手で取り外す。あるいは、迂曲経路による滅菌キャップは、ペンニードルがペンに連結され、ペンニードルが抜き出されるときに、保管アセンブリ内に残るようにすることもできる。
【0034】
迂曲経路による閉鎖手段(tortuous path closure)は、空中浮遊の微生物に対するバリアとして定義し、製品までの回旋状の経路を作ることによって実現することができる(例えば、迷路または螺合閉鎖手段)。迂曲経路は、気密性も液密性もなくてよい。これは、微生物の進入に対するバリアであって、流体の進入に対するバリアではない。1961年にルイ・パスツールは、迂曲経路による閉鎖手段の原理を発見した。パスツールは、白鳥のように湾曲した首を有する滅菌済みガラスフラスコは、端部が開放していても滅菌状態に保されることを発見した。
【0035】
微生物は、液体の外に出ると、自分では移動できず、角を曲がることができない。むしろ、ほとんどの細菌は空中に浮遊し、塵埃粒子に付着していることが多い。このような塵埃に付着した細菌は質量とモーメントを有し、重力により沈降する。これらはまた、静電気を帯び、分子間力や静電力によって表面に吸着される。粒子移動の別のメカニズムは、ブラウン運動である。静的な気流下でのこのような粒子のランダムな運動により、微生物は表面に衝突する。
【0036】
迂曲経路または迷路状の封入手段の場合、気圧の変化によって空気が閉鎖空間から出入りする。空気が湾曲部を移動する際、微生物は表面に衝突し、それによって微生物は「フィルタ」にかけられて、空気から排除される。通常の環境圧力の変化による低い気流速度では、細菌はそれが着地したところに留まる傾向がある。このような迂曲経路による閉鎖手段を用いた滅菌バリアは、微生物が製品の滅菌状態を破壊するために経なければならない曲がり角をいくつも設けることによって作られる。迂曲経路を利用した多くの製品では空気の体積が小さいため、これもまた大気と交換される空気の体積が小さくて済むことによって、有益となる。
【0037】
図13と図14において、ペンニードル301はディスク形状の栓303を有し、これが、針311の非患者側端313の付近で、ニードルハブ307の内面305を密封する。栓303は、針311の非患者側端313を密封して、異物との相互作用が起こらないようにし、それによって滅菌バリアとなる。ペンニードル301をペン331に連結すると、ペンが、栓303をハブ307の中で図14に示される位置までに押す。ペン331が栓303を押す力によって、針311の非患者側端313が栓303を穿刺し、栓がハブ307の中で移動することができる。針311の非患者側端313は、その後、ペン331に配置された隔壁16(図2)を穿刺する。
【0038】
栓303は、硬質または軟質材料のいずれか、またはその組み合わせによって作製できる。1つの構成では、栓303の中央の材料をより軟質に、外側縁辺の材料をより硬質にして、針が栓を穿刺しやすくする。あるいは、栓303の中央を外側縁辺より薄くして、針が栓を穿刺しやすくする。
【0039】
図15と図16において、バリア401は、ペンニードル411の非患者側端413を密封する。好ましくは、バリア401は軟質材料で作製される。バリア401は、針421の非患者側端423を覆い、それによって滅菌バリアとなる。バリア401は、ハブ415の非患者側端413の付近に薄い部分403を有し、ペンニードル411がペンに連結されたときに破きやすくなっている。それ加えて、バリア401の中央を薄くして、針421の非患者側端423でバリアを穿刺しやすいようにすることができる。ペンニードル411をペンに連結すると、薄い部分403が破れ、それによって、ペンニードルとともにハブ415の中を移動する内側部分405と、ハブ415の非患者側端413に連結されたままの外側部分407と、が形成できる。あるいは、バリア401には、図16のように、ペンに連結したときに内側と外側部分のバリアが分離されやすくなるように、分割ライン、またはその他の適当な手段を設けることができる。
【0040】
図17と図18において、崩壊可能な円錐部材501がペンニードル511のハブ513の内面515に連結される。円錐部材501は、針521の非患者側端523を覆い、それによって滅菌バリアとなる。ハブ513をペンに連結すると、図18のように、円錐部材501が圧縮され、それによって針521の非患者側端523に接触できるようになる。円錐部材501は、針の非患者側端523によって穿刺可能などのような好適材料で作製してもよく、例えば、これらに限定されないが、ゴム、プラスチック、紙、金属薄片等がある。
【0041】
図19と図20において、スライド式のブート部材601がペンニードル611のハブ613の内面615に連結される。ブート部材601は、針621の非患者側端623を覆い、それによって滅菌バリアとなる。ブート部材601とハブ613の内面615の間の連結によって、実質的に細菌相互作用を防止する密閉部ができる。ハブ613をペンに連結すると、ブート部材601はハブ613の中で針621の上を下方にスライドする。ブート部材601は、ハブ613をペンに連結したときに針621の非患者側端623によって穿刺可能などのような好適材料で作製することもできる。図19のように、ブート部材601は、針621の内、ハブ613の中にある部分を覆い、この部分には針の非患者側端623も含まれている。ブート部材601は、ハブ613の中にある針621のどれだけの長さを覆うようにも構成できる。
【0042】
図21と図22において、可動式ドア701を各空洞への出し入れ口703に配置して、空洞703の中にペンニードル705を封入することができる。それ故、ドアの数は保管アセンブリの中の空洞の数と等しい。ドア701を開けると、空洞703の中のペンニードル705を取り出すことができ、使用済みペンニードルを空洞703に戻した後にドア701を閉じる。したがって、可動式ドアによって空洞703に接触でき、保管アセンブリ711の上側ケース713を空洞と空洞の間で回転させる必要がない。ドア701は、例えばリビングヒンジ等、どのような好適部材で上側ケース713に連結してもよい。ドア701は、液体またはその他の異物が空洞703に進入するのを防止する。あるいは、ドア701を上側ケース713に連結すれば、上側ケースに取り付けるのは1つのドアだけでよい。ドア701は、他の開示された滅菌バリアの1つと組み合わせることができ、それによって、保管アセンブリへの異物の進入がさらに防止される。
【0043】
密閉部材を使って、保管アセンブリの空洞へのすべての出入り口を密閉することができ、それによって空洞が外部の流体から密封され、保管アセンブリの耐候性が実現される。密閉部材は、ガスケット、Oリングまたはその他適当な密閉部材とすることができる。密閉部材は、保管アセンブリの隣接する空洞と空洞の間のスペースを密閉することができる。密閉部材はまた、保管アセンブリの上側ケースと下側ケースを密閉でき、それによって滅菌状態が得られる。
【0044】
保管アセンブリの各空洞にはポッドを設けて、その中にペンニードルを保管することができる。保管アセンブリの上側ケースを回転させて空洞に接触できるようにすると、ポッドが開く。保管アセンブリの上側ケースは、ポッドを閉じた状態のままに保ち、開口部(図5の127)が当該のポッドの位置まで回転されると、ポッドを開けることができる。上側ケースのポッド係合部材は、上側ケースが回転してポッドに接触できる状態になると、ポッドと係合する。使用済みペンニードルを空洞に戻したら、上側ケースを回転させることによって、ポッドは閉鎖位置に戻る。
【0045】
別の滅菌バリアを図26から図28および図32から図39に示す。滅菌バリア761は、薬物送達器材の下側ケース17(図2)によって穿孔または穿刺され、それによって、図38と図39に示されるように、ペンニードルの針に接触できる状態となる。
【0046】
図35において、穿孔可能な滅菌バリア761は、上層763と下層765を有する。好ましくは、どちらの層763、765も薄い。上層には目打ち(perforation)764があり、薬物送達器材100(図1)の下側ケース17の直径より若干小さいパターンを形成する。下層765は、上層763に連結され、好ましくは目打ちがない。下層765は、ペンニードル771のための滅菌バリアとなる。下層765は、上層763と同じまたは異なる特性を有する第二の薄膜とすることができる。下層765はまた、上層763に噴霧またはスバッタリングされるコーティングとすることができる。接着剤を滅菌バリアに付着させ、ペンニードル771のハブ773に接着させる。あるいは、接着剤を下層とすることができ、それで上層の穴を密閉すると、滅菌バリア761に使用する材料が少なくて済む。あるいは、下層765は、例えば、ヒートシール等、適当な方法でペンニードル771のハブ773に連結することができる。
【0047】
ペンニードル771の中の針775に接触するために、図38と図39のように、薬物送達器材100(図1)をペンニードル771に連結された滅菌バリア761を介して押し込む。目打ち764によって、それに囲まれた部分767が上層763の外側部分768から分離される。下層765の一部769は、図39のように、上層763の穿孔部分767と共に移動する。滅菌バリア761の移動部分767と769は、薬物送達器材100の下側ケース17によってペンニードル771のハブ773の中に押し込まれ、注入中および注入後、その中に留まる。使用済みペンニードル771をディスク型保管容器に戻すか、その他の方法で薬物送達器材100から取り外す際も、滅菌バリア761の移動部分767と769は、ペンニードルハブ773の中に留まる。したがって、使用者は、ペンニードルを薬物送達器材に連結する前に、ペンニードル771または保管容器から滅菌バリア761を手で剥がす、またはその他の方法で取り外す必要がない。
【0048】
あるいは、上下の層の両方に目打ちを設けた滅菌バリアを作製することもできる。2段レーザシステムを、2つの材料からなる基板に使用することができる。組立ラインでは、上側レーザを下側レーザの反対側に配置する。上側レーザは上側材料だけに目打ちを設け、下側レーザは下側材料だけに目打ちを設ける。目打ちのパターンは、相互に交差しないが緊密な入れ子状になるように作られ、例えば、これに限定されないが、2つの同心円状の円形目打ちパターン等とされる。上下の材料にレーザで同時に目打ちを設けることによって、レーザによる目打ち形成後に再び材料の位置合わせを行う必要がない。再び位置合わせを行う必要性をなくすことによって、位置合わせから同心性の誤差がなくなり、より厳しい精度の目打ちパターンを作ることができる。その結果、目打ちパターンは、相互に重ねる際により近づけることができ、分離性能がより予測可能となる。
【0049】
あるいは、穿孔可能な滅菌バリアは、1層でも作製できる。この層には、穴が層の厚さ全体に及ばないような目打ちを設ける。目打ちの深さをその層の厚さより小さくして、層の途中まで目打ちを形成する。したがって、途中まで目打ちが形成されている層は、使用前に滅菌状態を保つことができ、それは、細菌が進入できるような、層を完全に貫通する目打ちや開口部がないからである。薬物送達器材の下側ケースによって途中まで目打ちが形成された層に力が加えられると、途中までの目打ちによって、目打ちに囲まれた部分が分離し、ペンニードルの針が露出する。途中まで目打ちが形成された1層で滅菌バリアを形成することにより、2層またはそれ以上の層を方向転換させ、積層する製造上の複雑さを避けることができる。
【0050】
図26と図27において、複数の穿孔可能な滅菌バリア761を相互に連結して、上から出し入れする方式の保管容器783に使用する滅菌バリア連鎖781を形成する。図27のように、連鎖781の各滅菌バリア761は、例えば、接着剤またはその他適当な方法で、ペンニードルに連結する。
【0051】
穿孔可能な滅菌バリア761が取り付けられたペンニードルは、図23、図24および図27から図29に示されるように、上から出し入れする方式の保管アセンブリ783の下側ケース785の中の空洞786の中に収容される。したがって、滅菌バリア761は上に面している。次に、上側ケース787が下側ケース785に回転可能に連結される。下側ケース785の中の空洞786の中に保管されるペンニードルへは、上側ケース787の陥凹部789から接触できる。上から出し入れする方式の保管アセンブリ783は、図3の側面から出し入れする方式の保管アセンブリ111と略同様に機能する。図29のように、上から出し入れする方式の保管アセンブリ783は、ペンニードル用の滅菌バリアとして、図25の剥離可能なラベル751を使って、複数のペンニードルを受ける。
【0052】
図30から図34において、側面から出し入れする方式の保管アセンブリ801は、複数の穿孔可能な滅菌バリア861を収容する。先行可能な滅菌バリア861は、図35から図39の穿孔可能な滅菌バリアと略同様である。目打ち864は、滅菌バリア861の、目打ちで囲まれた、すなわち移動可能な部分867を画定する。滅菌バリア861の外側部分868は、保管アセンブリ801の下側ケース811の中に留まる。複数の滅菌バリア861は、最初と最後の滅菌バリアを除き、両側に隣接する滅菌バリアが連結され、最初と最後の滅菌バリアには1つの滅菌バリアのみ連結される。ペンニードル871は、穿孔可能な滅菌バリア861の各々に、例えば接着剤で連結される。
【0053】
複数の滅菌バリア861とペンニードル871は、側面から出し入れする方式の保管アセンブリ801の基部の中に配置される。側壁825に陥凹部823を有する上側ケース821は、下側ケース811に回転可能に連結され、側面から出し入れする方式の保管アセンブリ801を形成する。側面から出し入れする方式の保管アセンブリは、図3の側面から出し入れする方式の保管アセンブリ111と略同様である。
【0054】
側面から出し入れする方式の保管アセンブリ901の別の例示的実施形態を図40から図45に示す。側面から出し入れする方式の保管アセンブリ901は、図3の保管アセンブリ111と略同様である。上側ケース921は、下側ケース911に回転可能に連結される。上側ケース921の側壁925の陥凹部923から、下側ケースの中に保管されたペンニードルを出し入れできる。
【0055】
図45のように、突起927が上側ケース921の反対位置に設置される。突起927は、撓み性ボタン929から延在する。図44のように、第一の複数の制止部材913が、基部壁919の内面917に形成されている。第一の複数の制止部材913は、下側ケース911に入れられたペンニードルとペンニードルの間に延在する。第一の制止部材913は、1つのペンニードルに近い第一の端931と、それに隣接するペンニードルに近い第二の端933と、を有する。第二の複数の制止部材915は、第一の複数の制止部材913の半径方向に内側に配置される。第二の複数の制止部材915は、ペンニードルを出し入れする領域に配置される。
【0056】
上側ケース921の突起927は、第一の制止部材913の第一の端931と係合し、それによって上側ケースは回転できない。上側ケース921の陥凹部923は、ペンニードルを出し入れする位置に位置付けられる。注入を行ったら、使用済みペンニードルを保管アセンブリ901に戻す。使用者は、また注入を行うときになると、撓み性ボタン929を内側に押し、それによって、突起927が内側に移動して、第一の制止部材913との係合が外れる。上側ケース921を、突起927が第二の制止部材915に隣接する傾斜面935と係合するまで回転させる。それによって、突起927が半径方向に外側に移動し、次の第一の制止部材913の第一の端931と係合する。この時、上側ケース921の陥凹部923は次のペンニードルを取り出せる位置に来る。したがって、第一と第二の制止部材と突起927は、ペンニードルとペンニードルの間の上側ケースの回転を案内し、回転し過ぎを防止する。
【0057】
図45において、複数のタブ941が上側ケース921の内面943に設置されている。各タブ941は、傾斜面945と制止面949を有する。制止面949は、タブ941が延在している内面943から略垂直に延在する。タブ941は、下側ケース911の撓み性指状部951(または図6の指状部191、または図24および図27の指状部791)と係合する。タブ941の傾斜面947は、指状部951の、それに対応する傾斜面と係合し、それによって、指状部951は下方に曲がり、上側ケースは回転することができる。例えば、使用済みペンニードルに接触するために、上側ケース921を反対方向に回転させると、タブ941の制止面949は、指状部951の、これに対応する面と係合して、上側ケース921はその方向に回転できず、使用済みペンニードルに接触することができない。
【0058】
ロッキング部材961は下側ケース911に連結される。ロッキング部材は、支柱963とロッキングタブ965を有する。支柱963には、下側ケース911の下面から接触できる。例えば、全てのペンニードルを使い終わった時等、保管アセンブリ901をロックすべきときには、使用者は支柱963を上に押し上げる。支柱は、上側ケース921の上面の接触用開口部971を通過する。ロッキングタブ965は、上側ケース921の上面973に引っ掛かり、それによって、図42のように、上側ケース921はそれ以上回転しない。図44において、ロッキング部材961は、下側ケースの、ペンニードルが保管されていない位置に配置され、それによって、保管アセンブリ901がロックされると、ペンニードルを出し入れできない。したがって、全てのペンニードルとの接触が防止される。
【0059】
また別の滅菌バリアは、下側ケース全体に巻き付けられた1本のリボン状の部材であり、それによって、各空洞への出し入れ口が覆われる。リボン状の部材は一般的な材料、例えば、これらに限定されないが、紙、金属薄片、プラスチックまたはゴムで作製することができる。切断ツール、例えば、ブレードを上側ケースに設置することができ、それによって、上側ケースを回転させるとブレードがリボンを切断して、薬物送達ペンがリボンを通過して、空洞内のペンニードルと接触できる。切断は、リボン状部材の、接触しようとしている空洞の前の位置で行われるため、残りのリボン状部材は切断されず、切断されていないリボン状部材によって覆われた空洞の中にあるペンニードルについては、依然として滅菌バリアが残る。
【0060】
滅菌状態とするさまざまな手段の多くを用いて、新品のペンニードルをディスク型保管アセンブリの空洞の中に個別に密封することができる。ペンニードルは、既存の工程を使って製造でき、追加のステップをほとんど、または全く必要とせずに、ディスク型保管アセンブリの中に組み付けることができ、それによって、製造工程が簡略化される。
【0061】
手動ロックをペンニードル保管アセンブリに設置することができ、それによって、使用者は保管アセンブリをロックして、安全に処分することができる。好ましくは、このようなロックは、最後のペンニードが使用された後でなければ機能できない。
【0062】
本発明の別の例示的実施形態において、各使用済みペンニードリルを出し入れ可能な状態のままとして、使用者が緊急時に使用済みペンニードルを取り出すことができるようにする。あるいは、1本のペンニードルだけを常に出し入れ可能にして、緊急時に利用可能なペンニードルとする。他のペンニードルは、保管アセンブリの中にロックされ、接触できないようにする。
【0063】
上記の実施形態と利点は、単に例に過ぎず、本発明の範囲を限定するとは解釈されないものとする。本発明の例示的実施形態の説明は、例示のためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。当業者にとっては各種の改変、改良および変更が明らかであり、これらは、付属の特許請求の範囲またはその同等物において定義される本発明の範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の端に第一の開口部を有し、第二の端に第二の開口部を有するハブと、
前記ハブに連結されて、前記第一の端の前記第一の開口部から延在する針と、
前記第二の開口部を密閉する滅菌バリアと、
を備え、
前記滅菌バリアは、前記針の長さ方向軸に沿って移動して前記針への接触を可能にする移動可能部分を有することを特徴とするペンニードル。
【請求項2】
前記滅菌バリアの全体が移動して、前記針への接触を可能にすることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載のペンニードル。
【請求項3】
前記滅菌バリアの中央の厚さは、その縁辺より薄いことを特徴とする請求項2に記載のペンニードル。
【請求項4】
前記移動可能部分は、前記滅菌バリアの固定部分から分離されて、前記針への接触を可能にすることを特徴とする請求項1に記載のペンニードル。
【請求項5】
前記滅菌バリアの前記移動可能部分は目打ちによって画定され、前記移動可能部分が前記固定部分から分離されやすくなっていることを特徴とする請求項4に記載のペンニードル。
【請求項6】
前記滅菌バリアは、目打ちの設けられた第一の層と、前記第一の層に連結された第二の層と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のペンニードル。
【請求項7】
前記第二の層は接着剤からなることを特徴とする請求項6に記載のペンニードル。
【請求項8】
前記第一と第二の層の一方は紙の材料からなり、前記もう一方の層はプラスチック材料からなることを特徴とする請求項6に記載のペンニードル。
【請求項9】
前記滅菌バリアは、前記針を覆う第一の位置から、前記針が、前記ペンニードルハブに連結されている薬物送達ペンによって露出される第二の位置まで、移動されることを特徴とする請求項2に記載のペンニードル。
【請求項10】
前記滅菌バリアは、薬物送達ペンが前記ペンニードルハブから切断されると、前記第一の位置に戻ることを特徴とする請求項9に記載のペンニードル。
【請求項11】
複数のペンニードルであって、前記ペンニードルの各々は、第一および第二の開口部があるハブと、前記ハブに連結されて前記第一の開口部を通過する針と、を有する、複数のペンニードルと、
前記複数のペンニードルを受けるための複数の空洞を有するケースと、
前記ケースに回転可能に連結されるカバーであって、前記カバーの出し入れ口部分が前記空洞の1つと整合して、前記空洞内の前記ペンニードルに接触できるように回転される、カバーと、
前記針への接触を防止する滅菌バリアであって、その一部が移動可能で前記針への接触を可能とする、滅菌バリアと、
を備えることを特徴とするペンニードル保管容器。
【請求項12】
前記出し入れ口部分は、前記カバーの上面にあることを特徴とする請求項11に記載のペンニードル保管容器。
【請求項13】
前記出し入れ口部分は、前記カバーの側壁にあることを特徴とする請求項11に記載のペンニードル保管容器。
【請求項14】
前記滅菌バリアは、前記ペンニードルに連結されていることを特徴とする請求項11に記載のペンニードル保管容器。
【請求項15】
前記滅菌バリアは、前記ケースに連結されていることを特徴とする請求項11に記載のペンニードル保管容器。
【請求項16】
前記ケースに連結された第一の複数のアームが、前記カバーに連結された第二の複数のアームと係合して、前記カバーの一方向のみの回転を許容することを特徴とする請求項11に記載のペンニードル保管容器。
【請求項17】
前記複数の針は、注入のために使用された後に、前記複数の空洞によって受けられることを特徴とする請求項11に記載のペンニードル保管容器。
【請求項18】
ペンニードルを薬物送達ペンに連結する方法であって、
滅菌バリアの内、ペンニードルハブの非患者側端を覆う部分を、前記薬物送達ペンで前記ペンニードルの針の長さ方向軸に沿って移動させるステップと、
前記薬物送達ペンを前記ペンニードルに連結して、前記薬物送達ペンの薬剤カートリッジと前記ペンニードルの針との間の流路を構築するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記滅菌バリアの部分を移動させるステップは、前記薬物送達ペンで、前記滅菌バリアの目打ちで囲まれた部分を前記ペンニードルハブの中に移動させるステップを含むことを特徴とする請求項18記載のペンニードルを薬物送達ペンに連結する方法。
【請求項20】
前記薬物送達ペンを前記ペンニードルハブに連結した後に、前記ペンニードルハブを保管容器から取り外すステップをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載のペンニードルを薬物送達ペンに連結する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2012−40387(P2012−40387A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−177536(P2011−177536)
【出願日】平成23年8月15日(2011.8.15)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】