説明

ペン入力型情報処理装置、その警告方法、およびコンピュータが実行可能なプログラム

【課題】ペン入力型情報処理装置を移動させる場合に生じるペンの置き忘れを低コストかつ高精度に防止することが可能なペン入力型情報処理装置、その警告方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】タブレットPC1は、ペン収容部12にペン20が収納されているか否かを検出するペン検出手段と、本体に設けられた加速度センサと、加速度センサの検出結果に基づいて、本体の移動を検出するエンベデッドコントローラとを備え、エンベデッドコントローラは、本体の移動を検出し、かつ、ペン収納部12にペン20収納されていない場合に、警告(LED17の点灯およびブザー18の放音)を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペン入力型情報処理装置、その警告方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムに関し、詳細には、ペンを用いて本体に入力を行なうペン入力型情報処理装置の移動に伴うペンの置き忘れを防止することが可能なペン入力型情報処理装置、その警告方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナル・コンピュータ(以後PCという)の中で、液晶ディスプレイ(以後単にディスプレイという)に対してペン入力で操作できる薄型のものをタブレットPCという。タブレットPCは、ノートブック型PC(以後ノートPCという)と同等の機能を、キーボードを使用しなくてもペン入力で操作することができる。タブレットPCには、大きく分けてコンバーチブル型とピュアタブレット型の2種類がある。コンバーチブル型は、キーボードを内蔵したノートPCのディスプレイの方向を変えて、タブレットPCとしても利用できる構造のものである。ピュアタブレット型は、キーボードを内蔵せず、標準ではペン入力による操作のみを行う構造のものである。
【0003】
かかるタブレットPCは、入力手段としてペンを使用するため、これまでキーボードに不慣れだった人にも容易に操作できるといった操作性の良さからコンピュータ利用者の底辺を広げる技術として注目されている。特に、マウスを使用するスペースを有しないため、外出先や移動中の車内などで使用する場合に、ペンは小型で携帯性に優れしかもマウスのように装置本体の外にスペースをとらず非常に便利なものである。また、画面に直接タッチして入力するため、絵を描くといったマウスでは困難だった細かい入力も可能である。このようなタブレットPCでは、装置本体にペン収納部が設けられており、ペンを使用しないときにはペン収納部にセットしておくといった使い方が一般的である。
【0004】
しかるに、ペンの形状および重量は一般の筆記用ペンと較べて大差がなくなっている。このため、ペンを紛失する可能性が高く、紛失してしまったときにはタブレット入力操作が全く操作ができなくなってしまうという問題があった。特に、タブレットPC本体を移動させる場合にペンを置き忘れて紛失してしまうことが多い。
【0005】
ペンの紛失防止方法として、例えば、特許文献1が公知ある。かかる特許文献1は、ペンの発光部内のLEDから発せられる赤外線をペン入力装置本体で受信し、ペン入力装置本体は、赤外線の受光量が小さい場合に、ペンがペン収納部あるいは本体の近くにないと判断してブザーを鳴らして使用者にペンの収納を促すものである。
【0006】
【特許文献1】特開平7−28584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、ペンの内部にLEDを設け、さらに、ペン入力装置本体側にペンのLEDから発せられる赤外線を受光するための受光検出部が必要となるため、高コストになるという問題がある。また、特許文献1では、ペン内部のLEDから発せられる赤外線が本体側で検出されない場合にペンの紛失と判断するものであるが、ペンを通常使用している場合でも、本体側で赤外線が検出されないことがあり、誤った警告が行われる場合がある、すなわち、ペン紛失の誤検出が多いという問題がある。さらに、特許文献1では、ペン入力装置本体を移動させる場合に生じるペンの置き忘れについて何等考慮されていない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、ペン入力型情報処理装置を移動させる場合に生じるペンの置き忘れを低コストかつ高精度に防止することが可能なペン入力型情報処理装置、その警告方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ペンを用いて本体に入力を行なうペン入力型情報処理装置において、前記本体に設けられ、前記ペンを収納するペン収容部と、前記ペン収容部に前記ペンが収納されているか否かを検出するペン収納検出手段と、前記本体に設けられた加速度センサと、前記加速度センサの検出結果に基づいて、前記本体の移動を検出する本体移動検出手段と、前記本体移動検出手段で前記本体の移動が検出され、かつ、前記ペン収納検出手段でペンがペン収納部に収納されていないと検出された場合に、警告を発する警告手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記警告手段は、前記本体が省電力状態にある場合において、前記本体移動検出手段で前記本体の移動が検出され、かつ、前記ペン収納検出手段でペンがペン収納部に収納されていないと検出された場合に警告を発することが望ましい。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記省電力状態は、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)規格のS1〜S5であることが望ましい。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記警告手段は、音声および/または表示で警告を行うことが望ましい。
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ペンを用いて装置本体に入力を行なうペン入力型情報処理装置の警告方法において、前記本体に設けられた加速度センサの検出結果に基づいて、前記本体の移動を検出する本体移動検出工程と、前記本体に設けられたペン収容部に前記ペンが収納されているか否かを検出するペン収納検出工程と、前記本体移動検出工程で前記本体の移動が検出され、かつ、前記ペン収納検出工程でペン収納部にペンが収納されていないと検出された場合に、警告を発する警告工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ペンを用いて本体に入力を行なうペン入力型情報処理装置に搭載されるプログラムにおいて、前記本体に設けられた加速度センサの検出結果に基づいて、前記本体の移動を検出する本体移動検出工程と、前記本体に設けられたペン収容部に前記ペンが収納されているか否かを検出するペン収納検出工程と、前記本体移動検出工程で前記本体の移動が検出され、かつ、前記ペン収納検出工程でペン収納部にペンが収納されていないと検出された場合に、警告を発する警告工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ペンを用いて本体に入力を行なうペン入力型情報処理装置において、前記本体に設けられ、前記ペンを収納するペン収容部と、前記ペン収容部に前記ペンが収納されているか否かを検出するペン収納検出手段と、前記本体に設けられた加速度センサと、前記加速度センサの検出結果に基づいて、前記本体の移動を検出する本体移動検出手段と、前記本体移動検出手段で前記本体の移動が検出され、かつ、前記ペン収納検出手段でペンがペン収納部に収納されていないと検出された場合に、警告を発する警告手段と、を備えているので、ペン入力型情報処理装置を移動させる場合に生じるペンの置き忘れを低コストかつ高精度に防止することが可能なペン入力型情報処理装置を提供することが可能となるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるものまたは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例】
【0017】
図1−1〜図1−3は、本発明の実施例に係るペン入力型情報処理装置を適用したタブレットPCの概略の外観図である。図1−1に示すように、タブレットPC1はコンバーチブル型であり、いずれも略直方体である本体側筐体14およびディスプレイ側筐体15を備える。本体側筐体14は、キーボードおよびトラックポイント(ポインティング・デバイス)を備えた入力部10と、ペン20を収納するためのペン収納部12と、ペン20を置き忘れた場合に警告を行うためのLED17およびブザー18とを備える。ペン20はタブレットPC1に付属した専用ペンであり、デジタイザコイルから放射される電磁波をペン内部の電磁波同調回路に一旦蓄え、デジタイザコイルにまた放射するようになっている。ペン収納部12には、ペン20を挿脱自在に支持する挿脱機構(不図示)と、ペン20の挿入(収納)を検出するペン検出手段(図2参照)とが設けられている。かかる挿脱機構は、ペン20がペン収納部12に挿入された場合にペン20をロックし、ロックされたペン20の後端を押すとロックが解除され、ペン20の抜き出しが可能な構造となっている。挿脱機構は、公知の機構を使用することができるので、その詳細な説明は省略する。
【0018】
ディスプレイ側筐体15は、液晶ディスプレイ11と、当該液晶ディスプレイ11の裏面に配置されたデジタイザ16とを備える。デジタイザ16は、デジタイザコイルを備えており、ペン20の電磁波同調回路からデジタイザコイルに放射される電磁波エネルギーを検出して、ペン20のペン先20aの位置および軌跡を検出するようになっている。
【0019】
さらに、本体側筐体14およびディスプレイ側筐体15は、それぞれの端部の中央で連結部13によって連結されており、連結部13は、これらの筐体を互いに開閉する方向に回動自在にしている。さらに、本体側筐体14に対してディスプレイ側筐体15を開いた状態で、ディスプレイ側筐体15を少なくとも180度回転させることが可能である。タブレットPC1は、図1−1に示すPC使用モードでは、通常のノートPCとして、入力部10による操作およびペン20によるデジタイザ16による操作で使用することができる。さらに、図1−2に示すように連結部13を回転させて、本体側筐体14の上にディスプレイ側筐体15を重ねるように折り畳み、ディスプレイ11が表を向くようにすれば、図1−3に示すタブレット使用モードとなる。タブレット使用モードでは、タブレットPC1を手で持って使用することが可能となっており、ペン20によるデジタイザ16の操作で、入力部10による操作と同じように使用することが可能である。
【0020】
図2は、タブレットPC1の本体側筐体14およびディスプレイ側筐体15に内蔵されたハードウェアの構成を示す概略図である。図3は、タブレットPC1のシステム状態(ACPIステート)とその説明を示す表である。
【0021】
図2に示すタブレットPC1において、CPU111は、プログラム制御により種々の演算処理を実行し、タブレットPC1全体を制御している。CPU111は、システムバスであるFSB(Front Side Bus)112、高速のI/O装置用バスとしてのPCI(Peripheral Component Interconnect)バス120、低速のI/O装置用バスとしてのISA(Industry Standard Architecture)バス140という3段階のバスを介して、各構成要素と相互接続されている。
【0022】
このCPU111は、主記憶の内容の一部を例えばSRAMに蓄えるキャッシュメモリを採用しており、キャッシュメモリにプログラム・コードやデータを蓄えることで、処理の高速化を図っている。CPU111の内部に1次キャッシュとして例えば128Kバイト程度のSRAMを集積させているが、記憶容量の不足を補うために、専用バスであるBSB(Back Side Bus)113を介して、例えば512K〜2Mバイト程度の外部のキャッシュである2次キャッシュ114を置いている。尚、BSB113を省略し、FSB112に2次キャッシュ114を接続して端子数の多いパッケージを避けることで、コストを低く抑えることも可能である。
【0023】
FSB112とPCIバス120は、メモリ/PCIチップと呼ばれるCPUブリッジ(ホスト−PCIブリッジ)115によって連絡されている。このCPUブリッジ115は、メインメモリ116へのアクセス動作を制御するためのメモリコントローラ機能や、FSB112とPCIバス120との間のデータ転送速度の差を吸収するためのデータバッファ等を含んだ構成となっている。
【0024】
メインメモリ116は、CPU111の実行プログラムの読み込み領域として、あるいは実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。例えば、複数個のDRAMチップで構成される。この実行プログラムには、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)に基づく電力制御が可能なWindowsXP(R)等のOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、特定業務を実行するためのアプリケーションプログラム等が含まれる。
【0025】
ビデオサブシステム117は、画像表示に関連する機能を実現するためのサブシステムであり、ビデオコントローラを含んでいる。このビデオコントローラは、CPU111からの描画命令を処理し、処理した描画情報をビデオメモリに書き込むと共に、ビデオメモリからこの描画情報を読み出して、液晶ディスプレイ11に描画データとして出力している。
【0026】
PCIバス120は、比較的高速なデータ転送が可能なバスである。このPCIバス120には、I/Oブリッジ(サウスブリッジまたはI/Oハブとも称す)121、カードバスコントローラ122、オーディオサブシステム125、ドッキングステーションインターフェイス(Dock I/F)126等が接続される。
【0027】
I/Oブリッジ121は、PCIバス120とISAバス140とのブリッジ機能を備えた制御回路であり、DMAコントローラ機能、プログラマブル割り込みコントローラ(PIC)機能、プログラマブル・インターバル・タイマ(PIT)機能、IDE(Integrated Device Electronics)インターフェイス機能、USB(Universal Serial Bus)機能、SMB(System Management Bus)インターフェイス機能等の諸機能を備え、リアルタイムクロック(RTC)を内蔵している。また、I/Oブリッジ121は、タブレットPC1の各装置への供給電力の管理(パワーマネージメント)を行う。
【0028】
DMAコントローラ機能は、周辺機器(例えばFDD(フロッピーディスク(R)ドライブ)とメインメモリ116との間のデータ転送をCPU111の介在なしに実行するための機能である。PIC機能は、周辺機器からの割り込み要求(IRQ)に応答して、所定のプログラム(割り込みハンドラ)を実行させる機能である。PIT機能は、タイマ信号を所定周期で発生させる機能であり、その発生周期はプログラマブルである。また、IDEインターフェイス機能によって実現されるインターフェイスは、IDEハードディスクドライブ(HDD)131が接続される他、CD−ROMドライブ132がATAPI(AT Attachment Packet Interface)接続される。このCD−ROMドライブ132の代わりに、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブのような、他のタイプのIDE装置が接続されても構わない。HDD131やCD−ROMドライブ132等の外部記憶装置は、例えば、タブレットPC1の装置本体内の「メディアベイ」または「デバイスベイ」と呼ばれる収納場所に格納される。
【0029】
また、I/Oブリッジ121にはUSBポートが設けられており、USBコネクタ30と接続されている。さらに、I/Oブリッジ121には、SMバスを介してEEPROM33が接続されている。このEEPROM133は、BIOS(Basic Input/Output System:基本入出力システム)、エンベデッドコントローラ41を制御するためのプログラム、ユーザによって登録されたパスワードやスーパーバイザーパスワード、製品シリアル番号等の情報を保持するためのメモリであり、不揮発性で記憶内容を電気的に書き換え可能である。
【0030】
また、I/Oブリッジ121は、電源回路150に接続されている。電源回路150は、ACアダプタ、インテリジェント電池、インテリジェント電池を充電するための充電器、DC/DCコンバータを備えている。一方、I/Oブリッジ121を構成するコアチップの内部には、タブレットPC1の電源状態を管理するための内部レジスタと、該内部レジスタの操作を含むタブレットPC1の電源状態の管理を行うロジック(ステートマシーン)が設けられている。
【0031】
上記ロジックは電源回路150との間で各種の信号を送受し、この信号の送受により、電源回路150からタブレットPC1の実際の給電状態を認識し、電源回路150は上記ロジックからの指示に応じてタブレットPC1への電力供給を制御する。タブレットPC1のシステム状態(ACPIステート)の移行は、I/Oブリッジ121によって実行される。また、I/Oブリッジ121は、現在のタブレットPC1のシステム状態を示す情報をエンベデッドコントローラ141に出力する。システム状態(ACPIステート)は、図3に示すように、6つのステートS0〜S5が規定されており、S0はフル稼働状態、S1は低消費電力状態(ただし、プロセッサ、チップセットともに電源オン)、S2は低消費電力状態(ただし、プロセッサとキャッシュは電源オフ、チップセットは電源オン)、S3はスタンバイ状態、S4は休止状態、S5はソフトウェアによる電源オフを示している。ここで、S0を通常稼働状態、S1〜S5を省電力状態と称する。
【0032】
カードバスコントローラ122は、PCIバス120のバスシグナルをカードバススロット23のインターフェイスコネクタ(カードバス)に直結させるための専用コントローラであり、このカードバススロット123には、PCカードを装填することが可能である。ドッキングステーションインターフェイス126は、タブレットPC1がノートブック型パーソナルコンピュータである場合の機能拡張装置であるドッキングステーション(不図示)を接続するためのハードウェアである。
【0033】
ISAバス140は、PCIバス120よりもデータ転送速度が低いバスである。このISAバス140には、エンベデッドコントローラ141、フラッシュROM144、Super I/Oコントローラ145が接続されている。このSuper I/Oコントローラ145にはI/Oポート146が接続されており、FDDの駆動やパラレルポートを介したパラレルデータの入出力(PIO)、シリアルポートを介したシリアルデータの入出力(SIO)を制御している。また、Super I/Oコントローラ145には、デジタイザ16が接続されており、デジタイザ16を制御している。
【0034】
エンベデッドコントローラ141は、タブレットPC1のシステム状態に関わらず、各種のデバイス(周辺装置やセンサ、電源回路150等)を監視し制御するワンチップ・マイコン(one-chip microcomputer)であり、内蔵されたパワー・マネージメント・コントローラ(PMC:Power Management Controller)によってI/Oブリッジ121と共に電源管理機能の一部を担う。かかるワンチップ・マイコンには、後述するペン置き忘れ防止制御を実行するためのプログラムが格納されている。エンベデッドコントローラ141は、PC使用モードで使用される入力部110、電源回路150、加速度センサ151、ペン検出手段152、LED17、およびブザー18等が接続されている。エンベデッドコントローラ141は、入力部10、LED17、およびブザー18等の動作を制御する。
【0035】
さらに、エンベデッドコントローラ141は、加速度センサ(Gセンサ)151から送られる加速度情報に基づいて、タブレットPC1の本体の移動を検出する。加速度センサ151は複数軸方向(X,Y,Z等)の加速度を検出して、加速度情報としてエンベデッドコントローラ141に出力する。ペン検出手段152は、ペン収納部12(図1参照)にペン20が収納されているか否かを検出し、ペン収納部12にペン20が収納されているか否かを示すペン検出信号(例えば、ペン20が収納されている場合は「H」、ペン20が収納されていない場合は「L」)を出力する。かかるペン検出手段152としては、例えば、ペン収納部12に対するペン20の挿脱に応じてON/OFFするメカ的スイッチ、ペン収納部12への収納を光学的に検出するセンサ、およびペン20と通信を行ってその収納を確認する通信手段等を使用することができる。
【0036】
ところで、ペン20は、形状および重量が一般の筆記用ペンと較べて大差がないため、紛失する可能性が高く、紛失してしまった場合にはペン20を用いてタブレット入力が全く操作できなくなってしまう。特に、タブレットPC1を別の場所に移動させる場合に、ペン20を置き忘れしてしまう場合がある。ユーザはペン20をペン収納部12に格納してタブレットPC1を持ち他の場所に移動する。その時のタブレットPC1の状態はバッテリの消費を抑えるために省電力モード(S0以外)になっており、たとえば、S3、S4などの状態になっている。S0以外であっても、エンベデッドコントローラ141、加速度センサ151、ペン検出手段152、LED17、およびブザー18に電源供給が行われる。これらの回路での消費電力は小さいためバッテリ消費は少ない。本実施例では、加速度センサ151にて取得される加速度情報をエンベデッドコントローラ141にて処理することにより、装置本体の移動を検出する。すなわち、エンベデッドコントローラ141は、加速度情報の瞬時値や所定時間内の平均値が閾値th以上となった場合に、装置本体の移動と判定することができる。本実施例では、装置本体の移動に伴うペン20の置き忘れを防止するために、エンベデッドコントローラ141は、装置本体の移動を検出し、かつ、ペン収納部12にペン20が収納されていない場合には、ペン20を置き忘れの警告として、LED17の点灯およびブザー18による放音を行う。
【0037】
図4は、タブレットPC1によるペン置き忘れ防止制御におけるエンベデッドコントローラ141の動作を説明するフローチャートである。同図において、エンベデッドコントローラ141は、現在のシステム状態で実行されるべき通常の処理を実行すると共に、I/Oブリッジ121からエンベデッドコントローラ141へ送られる現在のタブレットPC1のシステム状態を示す情報を取得してシステム状態を監視している(ステップT1,T2)。
【0038】
エンベデッドコントローラ141は、システム状態がS1〜S5となった場合には(ステップT2の「Yes」)、タイムカウント値Tw≧閾値thであるか否かを判定する(ステップT3)。エンベデッドコントローラ141は、タイムカウント値Tw≧thである場合には(ステップT3の「Yes」)、警告を停止した後(ステップT7)、ステップT1に戻る。エンベデッドコントローラ141は、タブレットPC1がS1〜S5の状態で主要な構成要素への電力供給が行われていない場合であっても、加速度情報等を監視して必要な制御を行う。
【0039】
エンベデッドコントローラ141は、タイムカウント値Tw≧thでない場合には(ステップT3の「No」)、加速度センサ151から加速度情報を取り込み、加速度情報に基づいて、装置本体が移動したか否かを検出する(ステップT4)。ここでは、ユーザがタブレットPC1を別の場所に移動させるのは、通常稼働状態S0ではなく、省電力状態S1〜S5の場合が多いので、省電力状態S1〜S5の場合にタブレットPC1の移動を検出することにしている。
【0040】
エンベデッドコントローラ141は、装置本体の移動を検出していない場合には(ステップT4の「No」)、ステップT1に戻る一方、装置本体の移動を検出した場合には(ステップT4の「Yes」)、ペン検出手段152からペン検出信号を取り込み、ペン検出信号に基づいて、ペン20がペン収納部12に収納されているか否かを判定する(ステップT5)。
【0041】
エンベデッドコントローラ141は、ペン20がペン収納部12に収納されていると判定した場合には、(ステップT5の「Yes」)、ステップT1に戻る一方、ペン20がペン収納部12に収納されていないと判定した場合には(ステップT5の「No」)、ペン20の置き忘れの警告として、LED17を点灯およびブザー18の放音を開始し(ステップT6)、ステップT1に戻る。エンベデッドコントローラ141は、警告を開始した場合、タイムカウント値Twのカウントアップを開始する。これにより、所定時間、LED17の点灯およびブザー18の放音が行われる(上記ステップT3,T7)。
【0042】
以上説明したように、本実施例にかかるタブレットPC1は、ペン収容部12にペン20が収納されているか否かを検出するペン検出手段152と、本体に設けられた加速度センサ152と、加速度センサ152の検出結果に基づいて、本体の移動を検出するエンベデッドコントローラ141とを備え、エンベデッドコントローラ141は、本体の移動を検出し、かつ、ペン収納部12にペン20収納されていない場合に、警告(LED17の点灯およびブザー18の放音)を行うこととしたので、タブレットPC1を移動させる場合に生じるペン20の置き忘れを低コストかつ高精度に防止することが可能となる。付言すると、タブレットPC1を持ち去ろうという動作と紛失条件(ペン収容部12にペン20が収容されていない)とをリンクさせているので、的確にペン20の紛失を防止することが可能となる。
【0043】
また、エンベデッドコントローラ114は、本体が省電力状態S1〜S5にある場合に、本体の移動を検出し、かつ、ペン収納部12にペン20収納されていない場合に、警告(LED17の点灯およびブザー18の放音)を行うこととしたので、タブレットPCを移動させる可能性が高い場合のみペン置き忘れ防止制御を実行して、不必要な処理を防止することができる。
【0044】
なお、上記実施例では、ペン入力型情報処理装置として、タブレットPCを例示して説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、PDA等の他のペン入力型コンピュータについても適用可能である。また、本実施例では、電磁式のタブレットについて説明したが、加圧式や光学式のタブレットにも適用可能である。また、警告として、LED17の点灯およびブザー18の放音を行うこととしたが、いずれか一方のみを行うことにしてもよく、また、他の手段で警告を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係るン入力型情報処理装置、その警告方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムは、ペン入力型情報処理装置の移動に伴うペンの置き忘れを防止する場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1−1】本発明の実施例に係るペン入力型情報処理装置を適用したタブレットPCの概略の外観構成図(その1)である。
【図1−2】本発明の実施例に係るペン入力型情報処理装置を適用したタブレットPCの概略の外観構成図(その2)である。
【図1−3】本発明の実施例に係るペン入力型情報処理装置を適用したタブレットPCの概略の外観構成図(その3)である。
【図2】タブレットPCのハードウェアの概略構成を示す構成図である。
【図3】タブレットPCのシステム状態(ACPIステート)とその説明を示す表である。
【図4】タブレットPCによるペン置き忘れ防止制御におけるエンベデッドコントローラの動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 タブレットPC
10 入力部
11 液晶ディスプレイ
12 ペン収納部
13 連結部
14 本体側筐体
15 ディスプレイ側筐体
16 デジタイザ
17 LED
18 ブザー
20 ペン
20a ペン先
111 CPU
112 FSB
113 BSB
114 2次キャッシュ
115 CPUブリッジ(ホスト−PCIブリッジ)
116 メインメモリ
117 ビデオサブシステム
120 PCIバス
121 I/Oブリッジ
122 カードバスコントローラ
126 ドッキングステーションインターフェイス(Dock I/F)
130 USBコネクタ
131 IDEハードディスクドライブ(HDD)
132 CD−ROMドライブ
133 EEPROM
140 ISAバス
141 エンベデッドコントローラ
144 フラッシュROM
145 Super I/Oコントローラ
146 I/Oポート
150 電源回路
151 加速度センサ
152 ペン検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンを用いて本体に入力を行なうペン入力型情報処理装置において、
前記本体に設けられ、前記ペンを収納するペン収容部と、
前記ペン収容部に前記ペンが収納されているか否かを検出するペン収納検出手段と、
前記本体に設けられた加速度センサと、
前記加速度センサの検出結果に基づいて、前記本体の移動を検出する本体移動検出手段と、
前記本体移動検出手段で前記本体の移動が検出され、かつ、前記ペン収納検出手段で前記ペンが前記ペン収納部に収納されていないと検出された場合に、警告を発する警告手段と、
を備えたことを特徴とするペン入力型情報処理装置。
【請求項2】
前記警告手段は、前記本体が省電力状態にある場合において、前記本体移動検出手段で前記本体の移動が検出され、かつ、前記ペン収納検出手段でペンがペン収納部に収納されていないと検出された場合に警告を発することを特徴とする請求項1に記載のペン入力型情報処理装置。
【請求項3】
前記省電力状態は、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)規格のS1〜S5であることを特徴とする請求項2に記載のペン入力型情報処理装置。
【請求項4】
前記警告手段は、音声および/または表示で警告を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のペン入力型情報処理装置。
【請求項5】
ペンを用いて装置本体に入力を行なうペン入力型情報処理装置の警告方法において、
前記本体に設けられた加速度センサの検出結果に基づいて、前記本体の移動を検出する本体移動検出工程と、
前記本体に設けられたペン収容部に前記ペンが収納されているか否かを検出するペン収納検出工程と、
前記本体移動検出工程で前記本体の移動が検出され、かつ、前記ペン収納検出工程でペン収納部にペンが収納されていないと検出された場合に、警告を発する警告工程と、
を含むことを特徴とするペン入力型情報処理装置の警告方法。
【請求項6】
ペンを用いて本体に入力を行なうペン入力型情報処理装置に搭載されるプログラムにおいて、
前記本体に設けられた加速度センサの検出結果に基づいて、前記本体の移動を検出する本体移動検出工程と、
前記本体に設けられたペン収容部に前記ペンが収納されているか否かを検出するペン収納検出工程と、
前記本体移動検出工程で前記本体の移動が検出され、かつ、前記ペン収納検出工程でペン収納部にペンが収納されていないと検出された場合に、警告を発する警告工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータが実行可能なプログラム。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−289045(P2009−289045A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141070(P2008−141070)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【Fターム(参考)】