説明

ペン型電子機器及びペン先移動情報算出方法

【課題】インキで書けないような対象物にペンで手書きをしても、画像読み取り手段で筆記面を読み取って、ペンの軌跡の算出が可能になるペン型電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】
ペン型電子機器は、ペン先に発熱手段(101)が設けられ、このペン先で筆記された面の温度情報を画像読み取り手段(103)により画像として順次撮像すると、データ処理部(104)が、時間差をもって撮像された前後の画像に基づいてペン先の移動情報を算出するようにしている。このとき前画像については、後画像の撮像までの時間差により温度が低下するので、時間分の冷却を行う温度補正を行って前画像と後画像のパターンマッチングを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱するペン先により筆記された任意の筆記面の温度情報を内蔵するカメラで撮影し、ペンの軌跡を求めるペン型電子機器、及びこのペン型電子機器を用いたペン先移動情報算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人が手書きした文字や記号等をPCに入力するために各種の電子ペン装置が考えられている。その中で、ペン先から筆記面に記載されたインクによる軌跡を、ペンに内蔵するカメラで撮像し、前後の画像をパターンマッチングしてペン先の移動量を算出することが考えられている。(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−92435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記の電子ペンでは、ノート、記入用紙のようにインクで書けるものに筆記する場合に限定され、例えば、会議室の机のようなものに書くことはできなかった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、どのような対象物に手書きしても、ペンの軌跡を算出可能にした電子ペンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のペン型電子機器は、ペン先に設けられた発熱手段と、前記発熱手段が設けられたペン先で筆記された面の温度情報を画像として撮像する画像読み取り手段と、 前記画像読み取り手段により時間差をもって撮像された前後の画像に基づいてペン先の移動情報を算出するデータ処理手段と、を具備したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載のペン型電子機器は、前記請求項1に記載のペン型電子機器において、前記データ処理手段は、前記前画像について後画像の撮像までの時間差により温度が低下する分の温度補正を行う温度補正手段と、当該温度補正手段により温度補正された前画像と後画像のパターンマッチングをするパターンマッチング手段とを具備し、パターンマッチングの結果に基づいてペン先の移動量を決定することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載のペン型電子機器は、前記請求項1または2に記載のペン型電子機器において、前記ペン先に設けられる温度センサーと、前記温度センサーにより検出される温度により前記発熱手段の加熱を制御する加熱制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載のペン型電子機器は、前記請求項1から請求項3の何れか1項に記載されたペン型電子機器であって、前記データ処理手段で算出されたペン先の移動情報を外部装置に出力する出力手段を具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載のペン先移動情報算出方法は、発熱手段が設けられたペン先と、温度情報を画像として撮像する画像読み取り手段を有するペン型電子機器を用い、前記発熱手段が設けられたペン先で筆記された面の温度情報を画像として撮像しペン先の移動情報を算出するペン先移動情報算出方法であって、一定の時間差をもって筆記面を撮像し、前後する2つの画像を取得する撮像ステップと、前記撮像ステップで撮像された2つの画像のうち前画像について、後画像の撮像までの時間差により温度が低下する分の温度補正をする温度補正ステップと、前記撮像ステップで取得した後画像と前記温度補正ステップで温度補正された前画像とを所定の条件に従ってずらしながら画像の一致度を算出する一致度算出ステップと、前記一致度算出ステップで算出された一致度のうち最も高い一致度が得られたずれ量に基づいてペン先の移動量を決定する移動量決定ステップと、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、発熱手段が設けられたペン先で筆記された面の温度情報を画像として撮像し、撮像された時間差を有する前後の画像に基づいてペン先の移動情報を算出するので、インキで書けないような対象物にペンで手書きをしても、画像読み取り手段で筆記面を読み取って、ペンの軌跡の算出が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面により、本発明の実施の形態である電子ペンについて説明する。
図1は、電子ペンの全体構成を示す図である。
電子ペン本体100は、人が片手で持てるペン型の形状をしており、ペン先部となる先端にヒータ部101を有し、本体内には、圧力センサ102、遠赤外線カメラ103、データ処理部104、無線通信部105、及びバッテリ106を備えている。
【0013】
圧力センサ102は、ヒータ部101の支持体の取り付け位置に配置されており、ペン先部が筆記面に当接しているかいないかを検知するための押圧力を測定する。遠赤外線カメラ103は、ペン先部が筆記面に当接してヒータ部101から熱が与えられた筆記面を一定の時間間隔で連続して撮像し、撮像により得られた温度データを画像データとしてデータ処理部104に出力する。遠赤外線カメラ103は、20〜80度の温度範囲が撮影できるものとする。
【0014】
データ処理部104は、遠赤外線カメラ103により撮像された画像に記録されたペンの軌跡からペンの移動情報を算出し、この情報を無線通信部105を介して外部のPC等に出力する。バッテリ106はこれらの電子ペンの各部に電源を供給する。
【0015】
図2は、ヒータ部101の構造を示す図である。
ヒータ部101は、基板200の上に薄膜抵抗体201を形成して発熱素子を構成しており、薄膜抵抗体201の上に温度センサ202が中間層203を介して配置される。そして温度センサ202、薄膜抵抗体201を保護する保護層204が各構成部品を覆っている。薄膜抵抗体201は、熱容量が小さいため、筆記面を急速に過熱するのに適しており、また使用者が誤って触った場合でも火傷し難くく、ペン先のヒータとして適している。
【0016】
温度センサ202は、筆記面の加熱が適切なるように筆記面の温度を検出する。中間層203は、薄膜抵抗体201と温度センサ202とを電気的に分離するとともに、温度センサ202による温度測定に薄膜抵抗体201が影響し難くさせるために設けられる。中間層203と保護層204の材料としては、熱伝導性、絶縁性が高く、耐磨耗性、耐腐食性があり、硬度が高い窒化硅素等の材料が使用される。
【0017】
図3は、電子ペンの回路ブロック図である。
データ処理部104は、CPU107、ROM108、RAM109で構成され、図1で示したヒータ部101、圧力センサ102、遠赤外線カメラ103、無線通信部105は、バスを介してCPU107に接続されている。ROM108は、フラッシュメモリやマスクROM等の不揮発性メモリであり、電子ペンを機能させるためにCPU107で実行されるヒータ処理や筆記読み取り処理等のプログラム及びデータが保存されている。
【0018】
したがって、電子ペンが動作する時には、CPU107は、ROM108のプログラムを実行することにより、圧力センサ102からペン先部が筆記面に当接しているペンダウンのデータを受信すると、一定時間間隔で遠赤外線カメラ103を駆動し、筆記面を連続して撮像し、撮像により得られた画像データをRAM109に記憶させ、この画像データに基づいてペンの移動情報を算出し、無線通信部105を介して外部のPC等に出力する制御を行うようになる。そして外部のPC等は受信したペンの移動情報に基づき手書き文字の入力処理や、ジェスチャーの解析処理を行ったりする。
【0019】
次に本発明の実施の形態である電子ペンの動作原理について説明する。
当該電子ペンを用いて任意の筆記面に手書き入力すると、ペン先のヒータ部101から熱が筆記面に伝達され、筆記面には筆記された跡に熱が残ることになる。この熱の軌跡を電子ペンの遠赤外線カメラ103で撮影すると、温度に応じて色が異なる画像が得られる。
【0020】
この画像を一定の時間間隔で連続して撮像し、ペンの軌跡が撮像された前回の画像と今回の画像のパターンマッチングを取ることでペン先の移動量を計算する。このペンの軌跡のパターンマッチングはインキで筆記した場合と同じである。しかし、筆記面に残された熱は、時間の経過により失われていく点でインクの場合と異なる。そこで、本実施の形態においては、画像データを温度補正処理することでパターンマッチングが適正に行われるようにしている。
【0021】
ここで実行される温度補正とは、時間差をもって撮像した前後2枚の画像をパターンマッチングする場合、撮像の時間差分、軌跡データに温度低下が生じるので、前画像について、時間差分の温度低下があったようにデータを冷却補正することである。
【0022】
例えば、筆記面を連続して撮影した結果、図7の(A)(B)のように前画像と後画像が得られた場合、(A)で示す軌跡アの部分は、(B)の撮像時には放熱により温度が低下する。よって撮影画像(A)と撮影画像(B)をそのまま比較したのでは上手くパターンマッチングができないことになる。そこで(A)の画像を冷却補正して(C)のような画像にしてからパターンマッチングを行うことで(D)に示すように上手く画像マッチングできるようになる。
【0023】
冷却補正により温度を変換する式は、t秒後の補正された温度をTc、補正前温度を
Tr、環境(周囲)温度をTe、時定数をτとして、以下の式(1)で表される。
【数1】

【0024】
ここで未知の補正パラメータは環境温度Teと時定数τの2つであるから、2点以上のサンプルがあれば連立方程式を解くことで求めることができる。そこで後述するように、筆記読み取りをする際に、最初の2回の撮像画像から2点の温度変化を読み取って補正パラメータを算出するようにする。
【0025】
次にこの電子ペンの動作について、図4〜図7を用いて説明する。
図4は、電子ペンの全体的動作を示すフローチャートであり、図5は、電子ペンのヒータ処理を示すフローチャートであり、図6は、電子ペンの筆記読み込み処理を示すフローチャートである。
【0026】
図示しないスイッチの操作により電子ペンの電源がオンされると、電子ペンの動作が開始され、図4で示すように、電子ペンでは、ヒータ処理(ステップS1)、筆記読み取り処理(ステップS2)、軌跡データ出力処理(ステップS3)が動作停止となるまで(ステップS4)繰り返し実行される。
【0027】
ヒータ処理では、まず、図5に示すように、ペンダウンしているか、つまりペン先部が筆記面についているか、圧力センサ102の出力により判断される(ステップA1)。そして、ペンダウンであると判断されるとヒータ部101の薄膜抵抗体201に電流が一定時間与えられ加熱が行われる(ステップA2)。
【0028】
一方、ペンダウンでない場合、つまりペン先部が筆記面から離れていると判断された場合は、ヒータ部101の薄膜抵抗体201には電流が与えられず、ヒータの加熱が停止される(ステップA4)。
【0029】
また、ヒータの加熱中に温度センサ202により一定の温度以上になったことが検知されたときには(ステップA3;Yes)、過熱防止のため、ヒータの加熱期間中であっても薄膜抵抗体201への電流供給が停止される(ステップA4)。
【0030】
このようにして電子ペンが動作中は、一定の温度が筆記された軌跡に残るようにペン先の温度制御が行われる。なお、筆記面の温度は50〜70℃くらいになるように制御されるのが望ましい。なお、ヒータの加熱は、連続的に電流を与えても良いが、例えば0.1秒毎の間欠加熱にすることもできる。
【0031】
筆記読み取り処理では、図6で示すように、まず、ペンダウンしているか、つまりペン先部が筆記面にあるか判断される(ステップB1)。ペンが筆記面上にない場合は、書き込み中に電子ペンが筆記面から離れてペンアップしたのかが判断される(ステップB2)。最初の書き出し前であればステップB2の判断はNoとなり、何もせずに、ペンが筆記面にダウンされるのを待機する。
【0032】
使用者による電子ペンを用いた筆記が行われることにより、ペンダウンが判断されると(ステップB1;Yes)、筆記面が遠赤外線カメラ103により撮像され、RAM109に画像データが記録される(ステップB3)。
【0033】
画像の読み取りが行われると、次に、後述する冷却補正計算に必要な補正パラメータが取得済みか判断される(ステップB4)。最初の段階では取得されていないので、Noとなり、次に、パラメータの計算が可能であるか判断される(ステップB5)。画像が2枚読み込まれていないと計算ができないので、当初の場合は何も処理をしないで次の画像読み取りを待つ。
【0034】
そして、次のタイミングで2回目の画像が読み取られると、パラメータの計算が可能になるので(ステップB3、B4→ステップB5;Yes)、2枚の画像に基づいて補正パラメータ(環境温度Teと時定数τ)の計算が行われる(ステップB6)。この場合、例えば筆記の開始点とこの開始点を基準に所定の距離にある点の2点の温度変化を読み取って計算することができる。
【0035】
補正パラメータ(環境温度Teと時定数τ)が計算されると、前回の画像の全ての画素データ(温度データ)が、先に示した式(1)を用いて冷却後の温度データに変換され、冷却補正がなされたことになる(ステップB7)。この冷却補正処理された画像が画像マッチングにおける前画像となる。
【0036】
冷却補正が終了すると、次に、画像マッチングするための検索条件が設定される(ステップB8)。検索条件は、前画像と後画像をどの程度ずらしてパターンマッチングを行うかを定義する範囲であり、少なくとも平行移動する範囲が定義され、さらに、回転させる角度の範囲やペンの傾き量をも考慮するようにしても良い。本実施形態では平行移動のみを条件とする。
【0037】
検索条件が設定されると、設定された検索条件の中から1つの条件が選ばれて、その条件に基づいて前画像が平行移動変換される(ステップB9)。そして変換された前画像と後画像との一致度に対応する評価値が計算される(ステップB10)。
評価値は以下の式で計算する。
【数2】

【0038】
ここでGA(x、y)、GB(x、y)は各々前画像、後画像の画素値つまり温度データである。Fは評価関数であり、例えば、式3のように、温度データの差が小さいほど小さい値を出力するものを用いる。
(数3)
F(a、b)=|a−b| (式3)

よって評価値は一致度が高いほど小さな値になる。なお、評価関数としては式(3)のような数式だけでなく、実験的に求めた評価表を参照するようにしても良い。
【0039】
ステップB10で、ある1つの条件での評価値の計算が終了すると、設定された全ての検索条件で画像変換を終了しているか、つまり、次に変換すべき条件が、まだ残っているかが判断される(ステップB11)。全ての設定条件で画像変換を終了していない場合は、次の条件を選んで、前画像について画像変換をして同様に評価値が計算される(ステップB11→B9)。
【0040】
全ての条件で評価値が求められると(ステップB11;No)、その評価値の中から最小値を選び出し、その最小値を得たときの条件、つまり平行移動量に基づいて、ペン先の移動量が決定される(ステップB12)。そして、ペン先の移動量が算出されると、図4のステップS3で軌跡データとして外部のPC等に出力される。
【0041】
以降、電子ペンにより筆記されている間は、一定の時間間隔で画像が次々と読み取られるが、このときには既に冷却補正のためのパラメータは取得されているので、書き始めに実行されたパラメータの計算は行わず、画像読み取り後は直ぐにステップB7の冷却補正処理に進み、ペン先の移動量計算処理が行われる(ステップB4→ステップB7〜B12)。
そして、前述したように、ペン先の移動量が算出されると、そのたびに、図4のステップS3で軌跡データとして外部のPC等に出力される。
【0042】
一方、電子ペンによる筆記中にペンアップが検出されると(ステップB1;No→ステップB2;Yes)、ペン先が筆記面から離れたことが記録され、この情報は図4のステップS3で軌跡データとして外部のPC等に出力されることになる。
【0043】
なお、評価値の最小値を得るにあたり、上記の説明では、全ての条件のもとで画像をずらして評価値を算出した後に最小値を選出したが、計算途中の最低評価値を記録しておき、ある条件の下での評価値計算の最中に前記最低評価値を超えたならば、その時点で計算を打ち切るようにして処理の高速化を図るようにしても良い。
【0044】
また、高速化に関しては、取得した画像データ全てを用いるのではなく、例えば温度の高い点を抽出して、その点の画像データを用いてパターンマッチングを行っても良い。
【0045】
このように本発明に係るペン型電子機器は、ペン先に設けられた発熱手段と、前記発熱手段が設けられたペン先で筆記された面の温度情報を画像として撮像する画像読み取り手段と、 前記画像読み取り手段で時間差をもって撮像された前後の画像に基づいてペン先の移動情報を算出するデータ処理手段と、を具備しているため、発熱手段が設けられたペン先で筆記された面の温度情報を画像として撮像し、撮像された時間差を有する前後の画像に基づいてペン先の移動情報を算出するので、インキで書けないような対象物にペンで手書きをしても、画像読み取り手段で筆記面を読み取って、ペンの軌跡の算出が可能になる。
【0046】
なお、このペン型電子機器において、前記データ処理手段は、前記前画像について後画像の撮像までの時間差により温度が低下する分の温度補正を行う温度補正手段と、当該温度補正手段により温度補正された前画像と後画像のパターンマッチングをするパターンマッチング手段とを具備し、パターンマッチングの結果に基づいてペン先の移動量を決定するので、温度低下の影響を考慮した適切な移動量の算出が可能になる。
【0047】
なお、本願発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態である電子ペンの全体構成図。
【図2】前記電子ペンの回路ブロック図。
【図3】前記電子ペンのヒータの構成図。
【図4】本発明の電子ペンの全体的動作を示すフローチャート。
【図5】前記フローチャートのヒータ処理を示すフローチャート。
【図6】前記フローチャートの筆記読み込み処理を示すフローチャート。
【図7】画像のパターンマッチングを説明するための図。
【符号の説明】
【0049】
100 …電子ペン本体
101 …発熱部
102 …圧力センサ
103 …遠赤外線カメラ
104 …データ処理部
105 …無線通信部
106 …バッテリ
107 …CPU
108 …ROM
109 …RAM
200 …基板
201 …薄膜抵抗体
202 …温度センサ
203 …中間層
204 …保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペン先に設けられた発熱手段と、
前記発熱手段が設けられたペン先で筆記された面の温度情報を画像として撮像する画像読み取り手段と、
前記画像読み取り手段により時間差をもって撮像された前後の画像に基づいてペン先の移動情報を算出するデータ処理手段と、
を具備したことを特徴とするペン型電子機器。
【請求項2】
前記データ処理手段は、前記前画像について後画像の撮像までの時間差により温度が低下する分の温度補正を行う温度補正手段と、当該温度補正手段により温度補正された前画像と後画像のパターンマッチングをするパターンマッチング手段とを具備し、パターンマッチングの結果に基づいてペン先の移動量を決定することを特徴とする請求項1に記載のペン型電子機器。
【請求項3】
前記ペン先に設けられる温度センサーと、
前記温度センサーにより検出される温度により前記発熱手段の加熱を制御する加熱制御手段と
を具備したことを特徴とする請求項1または2に記載のペン型電子機器。
【請求項4】
前記データ処理手段で算出されたペン先の移動情報を外部装置に出力する出力手段を具備したことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載されたペン型電子機器。
【請求項5】
発熱手段が設けられたペン先と、温度情報を画像として撮像する画像読み取り手段を有するペン型電子機器を用い、前記ペン先で筆記された面の温度情報を画像として撮像してペン先の移動情報を算出するペン先移動情報算出方法であって、
一定の時間差をもって筆記面を撮像し、前後する2つの画像を取得する撮像ステップと、
前記撮像ステップで撮像された2つの画像のうち前画像について、後画像の撮像までの時間差により温度が低下する分の温度補正をする温度補正ステップと、
前記撮像ステップで取得した後画像と前記温度補正ステップで温度補正された前画像とを所定の条件に従ってずらしながら画像の一致度を算出する一致度算出ステップと、
前記一致度算出ステップで算出された一致度のうち最も高い一致度が得られたずれ量に基づいてペン先の移動量を決定する移動量決定ステップと、
からなるペン先移動情報算出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−69945(P2009−69945A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235187(P2007−235187)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】