説明

ペースト状合わせ調味料の製造方法

【課題】麻婆豆腐を作る際のベース素材として最適で、まろやかでより多くの人の好みに合ったペースト状の合わせ調味料の製造方法を提供する。
【解決手段】鍋に鶏がらスープ、挽肉、ペースト状玉葱、ペースト状ニンニク、ペースト状生姜、ペースト状水戻し干し椎茸、ペースト状りんごの各材料を投入し、強火で沸騰させながら、灰汁抜きを繰り返して、一次材料を得る第1工程と、強火を弱火乃至中火に切り替えて、前記一次材料を、全体の容積が2/5乃至3/5になるまで煮詰める第2工程と、弱火乃至中火のまま、前記煮詰めた後の一次材料に、酒、トマトケチャップ、砂糖、食紅、醤油の各材料を加え、灰汁抜きを繰り返しながら、全体の容積がさらに2/5乃至3/5になるまで煮詰めて、ペースト状の合わせ調味料を得る最終工程と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に麻婆豆腐を作る際のベース調味料に好適で、炒める、煮る、焼く際に用いる調味料としても幅広く利用できる、ペースト状合わせ調味料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
四川料理の一つに、麻婆(マーボー)豆腐がある。麻婆豆腐は、通常、中華鍋に挽肉、赤唐辛子、豆板醤や甜麺醤などを加えて炒め、これに鶏がらスープを入れて豆腐を煮ることにより作られるもので、豆板醤や甜麺醤の量を加減することで、料理の味の辛さを調整している。
【0003】
この麻婆豆腐を作る際の合わせ調味料としては、上に述べた豆板醤や甜麺醤がある位で、一般には、各料理店や各家庭で麻婆豆腐を作るには、それぞれの独自のレシピややり方で、挽肉、赤唐辛子、ニンニクなどの材料に、酒、砂糖、醤油などの調味料を加えて、独自の味を出すようにしている所が多い。また、挽肉やスープの素などの素材がレトルトパックされた麻婆豆腐用の商品が市販されている。
【0004】
合わせ調味料の製造方法としては、従来より、醤油等の液状調味料の製法や、魚醤油の製法などが提案されている(特許文献1、特許文献2等)。
【0005】
【特許文献1】特開2007−330175号公報
【特許文献2】特開2008−283880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上に述べたように、麻婆豆腐を作る際の合わせ調味料としては、豆板醤や甜麺醤があるが、これらは一般に辛い味付けがされており、まろやかでより多くの人の好みに合った合わせ調味料は、これといって未だ提案がなされていなかった。
【0007】
本発明者は、長年の研究および試行錯誤の結果、麻婆豆腐を作る際のベース素材として最適であり、まろやかでより多くの人の好みに合ったペースト状の合わせ調味料を製造することに成功し、また、製造して得られた合わせ調味料は、炒める、煮る、焼く際に用いる合わせ調味料としても適していることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、麻婆豆腐を作る際のベース素材として最適で、まろやかでより多くの人の好みに合ったペースト状の合わせ調味料の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、麻婆豆腐だけでなく、炒める、煮る、焼く場合の合わせ調味料としても幅広く利用することのできる、合わせ調味料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係るペースト状合わせ調味料の製造方法は、
鍋に鶏がらスープ、挽肉、ペースト状玉葱、ペースト状ニンニク、ペースト状生姜、ペースト状水戻し干し椎茸、ペースト状りんごの各材料を投入し、強火で沸騰させながら、灰汁抜きを繰り返して、一次材料を得る第1工程と、
強火を弱火乃至中火に切り替えて、前記一次材料を、全体の容積が2/5乃至3/5になるまで煮詰める第2工程と、
弱火乃至中火のまま、前記煮詰めた後の一次材料に、酒、トマトケチャップ、砂糖、食紅、醤油の各材料を加え、灰汁抜きを繰り返しながら、全体の容積がさらに2/5乃至3/5になるまで煮詰めて、ペースト状の合わせ調味料を得る最終工程と、
を具備することを特徴とする。
【0011】
鶏がらスープは、例えば鶏の足を長時間煮詰めたスープを用いる。挽肉は、豚等の挽肉を用いる。ペースト状玉葱は、玉葱をミキサー等にかけ、あるいはみじん切りして、ペースト状に加工したものを用いる。ペースト状ニンニクは、おろし器等ですりおろし、あるいはみじん切りして、ペースト状に加工したものを用いる。ペースト状生姜は、おろし器等ですりおろし、あるいはみじん切りして、ペースト状に加工したものを用いる。ペースト状水戻し干し椎茸は、干し椎茸を水で戻したものをさらにミキサー等でペースト状に潰したものを用いる。ペースト状りんごは、りんごを皮ごとミキサー等で潰してペースト状に加工したものを用いる。
【0012】
本発明の請求項2に係るペースト状合わせ調味料の製造方法は、前記最終工程において、胡椒を加えながら煮詰めることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3に係るペースト状合わせ調味料の製造方法は、前記第1工程において、鶏がらスープ100重量%に対し、挽肉5〜15重量%、ペースト状玉葱40〜60重量%、ペースト状ニンニク5〜7重量%、ペースト状生姜50〜7重量%、ペースト状水戻し干し椎茸3〜5重量%、ペースト状りんご50〜70重量%を加えることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項4に係るペースト状合わせ調味料の製造方法は、前記第2工程において、煮詰めた後の一次材料100重量%に対し、酒6〜8重量%、トマトケチャップ8〜10重量%、砂糖25〜45重量%、食紅0.4〜0.6重量%、醤油85〜105重量%を加えることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項5に係るペースト状合わせ調味料の製造方法は、前記最終工程において、弱火乃至中火で、5〜7時間煮詰めることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項6に係るペースト状合わせ調味料の製造方法は、前記最終工程で得られた合わせ調味料を、溶融状態のまま、包装容器内に収容することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明に係るペースト状合わせ調味料の製造方法によると、麻婆豆腐を作る際のベース素材として最適で、日本人の味覚にも合ったマイルドな味のペースト状の合わせ調味料を製造できるという優れた効果を奏する。
【0018】
また、本発明によって製造されるペースト状の合わせ調味料は、麻婆豆腐だけでなく、炒める、煮る、焼く場合の合わせ調味料としても幅広く利用できるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明に係る実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は本発明に係るペースト状合わせ調味料の製造手順を示すフロー図である。
【0020】
<準備工程>
まず、ペースト状合わせ調味料の製造に使用する材料を準備する。第1工程において使用する材料は、鶏がらスープ、挽肉、玉葱、ニンニク、生姜、干し椎茸、りんごである。
【0021】
鶏がらスープは、鶏の足(もみじ)を6時間程度煮詰めて得られた鶏がらスープ5リットルを用いる。挽肉は豚の挽肉500gを用いる。玉葱は、ミキサーですりおろしてペースト状に加工し、得られたペースト状玉葱2.4kgを用いる。ニンニクは、おろし器ですりおろしてペースト状に加工し、得られたペースト状ニンニク300gを用いる。生姜は、おろし器ですりおろしてペースト状に加工し、得られたペースト状生姜300gを用いる。椎茸は、干し椎茸200gを水3リットルで戻したものをさらにミキサーでペースト状に潰し、得られたペースト状水戻し干し椎茸200gを、戻し汁と共に用いる。りんごは、複数のリンゴを皮ごとミキサーで潰してペースト状に加工し、得られたペースト状リンゴ3kgを用いる。
【0022】
また、最終工程で使用する材料として、酒、トマトケチャップ、砂糖、食紅、醤油、胡椒を準備する。
【0023】
酒は料理酒400ccを、トマトケチャップは市販のトマトケチャップ500gを用いる。砂糖はザラメ2kgを用い、食紅は市販の食紅の小瓶を2本(大匙2杯分で計30g)用いる。醤油は、濃口醤油の1.8リットル瓶を3本、計5.4リットルを用いる。
【0024】
<第1工程>
まず、寸胴型の鍋に、準備した鶏がらスープ5リットル、豚挽肉500g、ペースト状玉葱2.4kg、ペースト状ニンニク300g、ペースト状生姜300g、戻し汁と共にペースト状水戻し干し椎茸200g、ペースト状りんご3kgを投入し、強火で沸騰させながら、灰汁抜きを繰り返して、約1時間かけて、灰汁抜き後の一次材料を得る。
【0025】
<第2工程>
次に、強火を弱火乃至中火に切り替えて、第1工程で灰汁抜きを終えた鍋内の一次材料を、全体の容積が半分になるまで、約2時間かけて、ことことと煮詰める。
【0026】
<最終工程>
弱火乃至中火のまま、第2工程で全体の容積が半分になるまで煮詰めた一次材料に、酒400cc、トマトケチャップ500g、砂糖2kg、食紅30g、醤油5.4リットルを加え、灰汁抜きを繰り返し、胡椒500gを加えながら、約6時間かけて、本工程で全体の容積がさらにその半分になるまで、焦がさないように気を付けながら、ことこと煮詰める。
【0027】
鍋の中の材料がペースト状になり、表面につやが出て、味に苦みが少し出てきたら、本発明に係るペースト状の合わせ調味料が出来上がる。火を止めて、鍋の中から、出来上がったペースト状の合わせ調味料を包装容器に移し替える。包装容器は、大口の容器でもよいし、小口の容器でもよい。
【0028】
本実施形態によると、第1工程において、鍋に、主要材料である鶏がらスープ、豚挽肉、ペースト状玉葱、ペースト状ニンニク、ペースト状生姜、戻し汁と共にペースト状水戻し干し椎茸、ペースト状りんごを投入し、強火で沸騰させながら、灰汁抜きを繰り返して、灰汁のない、各材料が均等に混合された一次材料を得ることができる。また、第2工程において、弱火乃至中火で、鍋内の一次材料を、全体の容積が半分になるまで、約3時間かけて、ことことと煮詰めることで、一次材料に含まれる各材料の旨み成分を破壊することなく凝縮できる。さらに、最終工程において、前工程で煮詰めた一次材料に、酒、トマトケチャップ、砂糖、食紅、醤油を加えて、灰汁抜きを繰り返し、胡椒を加えながら、約6時間かけて、さらにことこと煮詰めることで、主要材料の旨み成分を凝縮させながら、風味、コク、熟成感、まろやかな甘みのある、ペースト状の合わせ調味料を得ることができる。
【0029】
かくして製造されたペースト状の合わせ調味料は、甜麺醤のような辛味がなく、より多くの人の好みに合う麻婆豆腐を作ることが可能な、まろやかな味付けのベース素材として用いることができる他、麻婆豆腐以外にも、炒める、煮る、焼く場合の合わせ調味料としても幅広く利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係るペースト状の合わせ調味料の製造方法は、麻婆豆腐を作る際のベース素材として利用できる他、炒める、煮る、焼く場合の合わせ調味料として、幅広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るペースト状合わせ調味料の製造手順を示すフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋に鶏がらスープ、挽肉、ペースト状玉葱、ペースト状ニンニク、ペースト状生姜、ペースト状水戻し干し椎茸、ペースト状りんごの各材料を投入し、強火で沸騰させながら、灰汁抜きを繰り返して、一次材料を得る第1工程と、
強火を弱火乃至中火に切り替えて、前記一次材料を、全体の容積が2/5乃至3/5になるまで煮詰める第2工程と、
弱火乃至中火のまま、前記煮詰めた後の一次材料に、酒、トマトケチャップ、砂糖、食紅、醤油の各材料を加え、灰汁抜きを繰り返しながら、全体の容積がさらに2/5乃至3/5になるまで煮詰めて、ペースト状の合わせ調味料を得る最終工程と、
を具備することを特徴とするペースト状合わせ調味料の製造方法。
【請求項2】
前記最終工程において、胡椒を加えながら煮詰めることを特徴とする、請求項1記載のペースト状合わせ調味料の製造方法。
【請求項3】
前記第1工程において、鶏がらスープ100重量%に対し、挽肉5〜15重量%、ペースト状玉葱40〜60重量%、ペースト状ニンニク5〜7重量%、ペースト状生姜50〜7重量%、ペースト状水戻し干し椎茸3〜5重量%、ペースト状りんご50〜70重量%を加えることを特徴とする、請求項1または請求項2記載のペースト状合わせ調味料の製造方法。
【請求項4】
前記第2工程において、煮詰めた後の一次材料100重量%に対し、酒6〜8重量%、トマトケチャップ8〜10重量%、砂糖25〜45重量%、食紅0.4〜0.6重量%、醤油85〜105重量%を加えることを特徴とする、請求項1ないし請求項3記載のペースト状合わせ調味料の製造方法。
【請求項5】
前記最終工程において、弱火乃至中火で、5〜7時間煮詰めることを特徴とする、請求項1ないし請求項4記載のペースト状合わせ調味料の製造方法。
【請求項6】
前記最終工程で得られた合わせ調味料を、溶融状態のまま、包装容器内に収容することを特徴とする、請求項1ないし請求項5記載のペースト状合わせ調味料の製造方法。

【図1】
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