説明

ホイール保護フィルム貼付方法、ホイール保護フィルム貼付装置、ホイール保護フィルムロール

【課題】 ホイール保護フィルムの貼付作業の自動化し、材料費の低減と併せて大幅なコストダウンを実現する。
【解決手段】 ホイールWの直径以上の幅と長さを持ち裏面に粘着剤12を有する保護フィルム1は、ロール10が送り出されてレーザー照射機2によりレーザービームBが所定のパターンで照射されて切断されることで得られる。保護フィルム1は、ロボット5により吸着保持されて搬送され、裏面がホイールWの表面に当接されて貼り付けられ、ホイールWの表面を覆って保護する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の発明は、自動車等のホイールの表面を保護する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車(四輪車、二輪車を含む)の生産ラインには、ホイールを車軸に取り付ける工程が存在する。通常は、タイヤを装着したホイールを車軸に取り付ける。多くの場合、ホイールはホイールメーカーの工場にて製造され、タイヤを装着した後、自動車の生産ラインに運ばれて取り付けられる。
近年、アルミホイールが全盛となり、ホイールの装飾的効果、装飾的価値が非常に高まっている。これに伴い、ユーザーに納品されるまでにホイールの表面が傷つかないように保護することが必要になっている。ホイールの表面の保護は、保護フィルムを貼り付けることで行われている。
【0003】
従来の保護フィルムの貼付について、図7及び図8を使用して説明する。図7及び図8は、従来の保護フィルムの貼付について示した図である。
従来、保護フィルムの貼付は自動化されておらず、人の手により行われている。このうち、図7に示す従来例では、予めホイールWの形状に合わせて成形された保護フィルム1が用意される。一枚の保護フィルム1は、円形のものの中央を同心円状にくり抜いたような形状である。中央を同心円状にくり抜くのは、ホイールWを取り付ける際の車軸部分に相当するからである。車軸への取り付けの際にもホイールWの表面を傷つけないよう、車軸への取り付けが完了するまで保護フィルム1は表面に貼り付けたままとされる。従って、保護フィルム1は、中央の車軸部分をくり抜いた形状である必要がある。
【0004】
保護フィルム1の裏面には、粘着剤が塗布されている。図7に示すように、保護フィルム1は多数重ねられた状態で用意され(以下、この多数重ねられたものをフィルム積層体と呼ぶ)、貼付作業を行う場所に持ち込まれる。フィルム積層体の各保護フィルム1には、端部に小さな凸部が形成されている。この凸部の裏面には粘着剤は形成されていない。作業者は、この凸部の部分を摘んで一枚ずつ保護フィルム1を上から引き離し、ホイールWの表面に貼り付ける。このようなフィルム積層体は、フィルムメーカーがフィルムの切断や重ね合わせを行って製作し、ホイールメーカーに納品している。
【0005】
図8には、別の従来例が示されている。図8に示す例では、保護フィルム1は剥離シートSに貼り付けられた状態で持ち込まれる。図8に示すように、保護フィルム1には、ホイールWの形に合わせて予め切り込みが形成されている。作業者は、シールを剥がして貼るのと同様に、剥離シートSから保護フィルム1を剥がし、ホイールWに貼り付ける。このような保護フィルム1は、やはりフィルムメーカーが専用のものを製作し、ホイールメーカーに納品している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来のやり方では、基本的に自動化ができておらず作業者の手によるものであるため、高コストとなっている。また、図7に示す例でも図8に示す例でも、保護フィルムメーカーが上記のように予め成形又は加工して製作したものを納品しているため、ホイールメーカーが支払う材料費が高くなっている。さらに、ホイールの形状や大きさに合わせて予め保護フィルムの成形や切り込み加工を行っているため、多品種少量生産には適さないという問題もある。形状又は大きさの違うホイールの場合、フィルムメーカーに別途注文を出して別の保護フィルムを製作して納品してもらわねばならず、使い回しができないために高コストとなる他、納期も要するためジャストインタイムの要請にも反する。
本願の発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、ホイール保護フィルムの貼付作業の自動化を可能にし、材料費の低減と併せて大幅なコストダウンを実現するとともに、多品種少量生産に適し、ジャストインタイムの要請の要請にもかなった保護フィルム貼付の技術を提供する技術的意義を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、ホイールの表面を覆うようにして保護フィルムを貼り付けるホイール保護フィルム貼付方法であって、
ホイールの直径以上の幅と長さを持ち裏面に粘着剤を有する保護フィルムに対してレーザービームを所定のパターンで照射して切断するステップと、
切断された保護フィルムを搬送手段によりホイールに搬送するステップと、
搬送された保護フィルムの裏面を貼付手段によりホイールの表面に当接させて貼り付けて表面を覆うステップとから成るという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、ホイールの表面を覆うようにして保護フィルムを貼り付けるホイール保護フィルム貼付装置であって、
ホイールの直径以上の幅と長さを持ち裏面に粘着剤を有する保護フィルムに対して所定のパターンでレーザービームを照射して保護フィルムを切断するレーザー照射機と、
切断された保護フィルムをホイールに搬送する搬送手段と、
搬送された保護フィルムの裏面をホイールの表面に当接させて貼り付けて表面を覆う貼付手段とから成るという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項2の構成において、前記レーザー照射機により照射される際、レーザービームを走査するかレーザー照射機を移動させて前記所定のパターンでレーザービームが照射されるようにする照射パターン制御手段を備えているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項2又は3の構成において、ロール状に巻かれた前記保護フィルムを送り出して前記レーザー照射機によるレーザービームの照射位置に位置させる送り出し手段を備えているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、前記請求項2、3又は4の構成において、前記レーザー照射機によりレーザービームが照射されて切断された残りの保護フィルムを巻き取る巻き取り手段を備えているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項6記載の発明は、前記請求項2乃至5いずれかの構成において、前記搬送手段は、非粘着面である保護フィルムの表面において保護フィルムを吸着して搬送する手段であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項7記載の発明は、前記請求項2乃至6いずれかの構成において、前記レーザー照射機によりレーザービームが照射されて切断される際、ホイールの表面を覆うことになる保護フィルムの部分を保持する保持手段を備えているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項8記載の発明は、前記請求項7の構成において、記保持手段は、前記搬送手段が兼ねているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項9記載の発明は、前記請求項2乃至8いずれかの構成において、前記所定の照射パターンは、中央の車軸に相当する中央部分をくり抜くようにするパターンであり、切断後、中央部分を他の部分から分離させる分離手段を備えているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項10記載の発明は、前記請求項2乃至9いずれかの構成において、前記搬送手段は、切断された保護フィルムを先端で吸着するアームと、アームを駆動してホイールに保護フィルムを搬送する駆動部とから成るロボットであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項11記載の発明は、前記請求項10の構成において、前記搬送ロボットは、搬送した保護フィルムの裏面をホイールの表面に当接させて吸着を解除することが可能になっており、貼付手段に兼用されているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項12記載の発明は、請求項1記載のホイール保護フィルム貼付方法又は請求項2乃至10いずれかに記載のホイール保護フィルム貼付装置に使用されるホイール保護フィルムロールであって、表面を保護するホイールの直径以上の幅と長さを持つものであって裏面に粘着剤を有し、剥離シートを介在させることなくロール状に形成されているという構成を有する。
【発明の効果】
【0008】
以下に説明する通り、本願の請求項1記載のホイール保護フィルム貼付方法又は請求項2乃至10いずれかに記載のホイール保護フィルム貼付装置によれば、保護フィルムの切断から貼り付けまでが自動化できるので、人件費の大幅な削減により大幅なコストダウンが期待できる。また、材料費も従来に比べて安価になる。
また、請求項3記載の発明によれば、上記効果に加え、レーザービームを所定のパターンで照射することで保護フィルムが切断されるので、多品種少量生産に適するともにジャストインタイムの要請にも適う。
また、請求項4記載の発明によれば、上記効果に加え、ロール状に巻かれた保護フィルムを送り出してレーザー照射機によるレーザービームの照射位置に位置させる送り出し手段を備えており、レーザー照射機への保護フィルムの供給が自動化されるので、この点でさらに好適となる。
また、請求項5記載の発明によれば、上記効果に加え、レーザー照射機によりレーザービームが照射されて切断された残りの保護フィルムを巻き取る巻き取り手段を備えており、残りの保護フィルムの回収が自動化されるので、この点でさらに好適となる。
また、請求項6記載の発明によれば、上記効果に加え、搬送手段が、非粘着面である保護フィルムの表面において保護フィルムを吸着して搬送する手段であるので、搬送手段の設計が容易である。
また、請求項7記載の発明によれば、上記効果に加え、レーザー照射機によりレーザービームが照射されて切断される際、ホイールの表面を覆うことになる保護フィルムの部分を保持する保持手段を備えているので、搬送手段による搬送が容易に行える。
また、請求項8記載の発明によれば、上記効果に加え、保持手段は、搬送手段が兼ねているので、機構的に簡略化され、コストも安価になる。
また、請求項9記載の発明によれば、上記効果に加え、切断された保護フィルムの中央部分を他の部分から分離させて保持手段が他の部分のみ保持する状態とする分離手段を備えているので、中央の車軸に相当する中央部分をくり抜く工程が自動化でき、この点でさらに好適である。
また、請求項11記載の発明によれば、上記効果に加え、搬送手段が貼付手段に兼用されるので、機構的に簡略化され、コストも安価になる。
また、請求項12記載の発明によれば、請求項1記載のホイール保護フィルム貼付方法又は請求項2乃至10いずれかに記載のホイール保護フィルム貼付装置に使用されることで上記効果を奏するのに役立てられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本願発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態)について説明する。
図1は、本願発明のホイール保護フィルム貼付方法及びホイール保護フィルム貼付装置の各実施形態を示した概略図である。図1に装置は、ホイールWの表面を覆うようにして保護フィルム1を貼り付けるホイール保護フィルム貼付装置である。この装置は、ホイールWの直径以上の幅と長さを持ち裏面に粘着剤を有する保護フィルム1に対して所定のパターンでレーザービームBを照射して保護フィルム1を切断するレーザー照射機2と、切断された保護フィルム1をホイールWに搬送する搬送手段と、搬送された保護フィルム1の裏面をホイールWの表面に当接させて貼り付けて表面を覆う貼付手段とから成る。
【0010】
図2は、図1の装置に使用されるホイール保護フィルムロールの斜視概略図である。図2に示すホイール保護フィルムロール10は、芯体13と、芯体13に巻かれた帯状の保護フィルム1とから成っている。芯体13は、細長い円筒状であり、プラスチック等から形成されている。
保護フィルム1は、シート状の基材11と粘着剤12とから成っている。基材11は、包装用等で用いられているプラスチックフィルと同じ材質でよく、ポリエチレンやポリスチレン、ポリプロピレン等である。また、ペットボトル材料のようなリサイクルされた材料から成る基材11が用いられることもある。基材11の厚さは、材質にもよるが、5〜500μm程度(例えば50μm)が好ましい。5μmmより薄いと、保護フィルム1としての強度が低下し、充分な保護が行えなくなるおそれがある。500μmより厚いと、無駄に厚すぎるにことになり、使い捨てであるので、資源の無駄になる。尚、基材11はある程度の伸縮性があるものが好ましい。
【0011】
また、基材11の幅は、表面を保護するホイールWの幅よりも大きければよい。通常用いられるのは、500mm〜1500mm程度である。大型トラック用のホイールWの表面を保護する場合、2500mm程度までの広い幅の保護フィルム1が用いられることもある。
図2では、ロール10から引き出された保護フィルム1は被保護ホイールWの表面に貼り付ける裏面が上方に向いた状態となっている。そして、粘着剤12は、この保護フィルム1の裏面に設けられている。すなわち、粘着剤12は基材11の裏面を覆うようにして薄く延ばされている。また、粘着剤12は、図2中に拡大して示すように、必要により、基材11の長さ方向に長い凹凸を有するような形状とすることもできる。例えば、図2中に拡大して示すように、基材11の幅方向において波状となるような形状とすることもできる。凹凸の形状としては、この他、斜めに延びる波状としたり、同心円状の波状としたりすることもできる。
【0012】
粘着剤12としては、アクリル系、ゴム系、ウレタン系、熱可塑性ゴム系の溶剤タイプ、水系タイプ、ホットメルトタイプ、オリゴマータイプの粘着剤が使用される。粘着剤12の粘着力としては、市販されている普通のセロテープよりは弱い粘着力とすることが好ましく、また、ポストイット(スリーエム社の登録商標)よりは強い粘着力とすることが好ましい。例えば、壁に孔を開けることなくフックなどを取り付ける際に使用する剥離可能な両面テープが有する程度の粘着力とすると、丁度良い。粘着力が強すぎると、ホイールを装着する際に保護フィルム1を剥がすのが面倒になる。粘着力が弱すぎると、ホイールの輸送時等において何らかの拍子で保護フィルム1が剥がれ易くなる。具体的には、粘着力としては、0.1〜10N/cm程度がよく、より好ましくは1〜3N/cm程度がよい。基材11の引っ張り強度は、10N/cm以上であることが好ましい。尚、粘着剤12の厚さは、1〜100μm程度であり、典型的には3〜30μm程度である。
【0013】
上記のような粘着力の調節は、図2に拡大して示す凹凸の大きさにより行える。凹凸を大きくすると(粗くすると)粘着力は低下し、小さくすると(細かくすると)増大する。尚、ホイールがメッシュ状のように開口を多く有する形状である場合、凹凸の無い粘着剤12(べた塗り)であっても、剥離の際に支障の無い場合もある。粘着剤12の形成方法については、通常市販されている剥離可能なテープと同様に行える。ホイール保護フィルムロール10は、上記のような保護フィルム1を剥離シートを介在させることなく芯体13にロール状に巻回したもので、全長は例えば1000m程度である。
【0014】
図1に戻り、ホイール保護フィルム貼付装置の構成について詳説する。
図1に示す装置は、ホイール保護フィルムロール(以下、単にロールということがある)10を送り出す送り出し手段3を備えている。送り出し手段3は、ロール10を保持する送り出し側保持具31と、送り出し側保持具31を支える送り出し側支持体32等から構成されている。
送り出し側保持具31は、ロール10の芯体13を保持することでロール10全体を保持する部材である。保持構造としては、クランプ機構のような挟んで保持する構成が考えられる。送り出し側保持具31は、不図示のベアリングを介して送り出し側支持体32の上端に設けられており、水平な軸の周りに回転可能となっている。従って、保持体に保持されたロール10も、水平な軸の周りに回転可能である。回転軸は、ロール10の中心軸に一致している。尚、送り出し側支持体32及び送り出し側保持具31は、ロール10の芯体13の両端に位置するよう設けられており、両端でロール10を保持するようになっている。尚、送り出し側保持具31の構成としては、U字状の凹部でロール10の芯体13が単に載っているだけの構成もあり得る。
【0015】
一方、図1に示すように、レーザービームBにより所定のパターンで切り取られた残りの保護フィルム1(以下、フィルム残部)を巻き取る巻き取り手段4が設けられている。巻き取り手段4は、巻き取り用の芯体(不図示)を保持する巻き取り側保持具41と、巻き取り側保持具41を支持した巻き取り側支持体42と、巻き取り側保持具41を回転させる不図示の回転駆動源等から構成されている。
巻き取り側保持具41及び巻き取り側支持体42の構成は、送り出し側保持具31及び送り出し側支持体32とほぼ同様である。不図示の回転駆動源は、図1において、回転駆動源は、巻き取り側保持具41を反時計回りに回転させる。巻き取り用芯体には、保護フィルム1の先端が留め付けられており、巻き取り側保持具41の回転に伴って巻き取り用芯体13も反時計回りに回転し、フィルム残部が少しずつ巻き取られるようになっている。巻き取りの際、送り出し側のロール10は従動回転する。
【0016】
レーザー照射機2としては、本実施形態では、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、UVレーザー(例えばYAGレーザーの高調波利用)等の加工用のレーザー照射機が使用されている。例えば、電子部品のマーキング用のレーザー照射機が好適に使用できる。上述したような保護フィルム1の切断のためには、例えば、TEA−COレーザー照射機の場合、保護フィルム1の表面での照度は、5〜20W/m程度でよい。例えば300μm程度のスポット径(直径)のパターンで照射した場合には、3m/秒程度のスピードの走査で切断が行えるので、切断のために必要となるエネルギー(照射量)としては、5〜20μJ/m程度で良い。尚、レーザービームBの照射はパルス照射となる場合がある。
【0017】
上記レーザー照射機2には、照射パターン制御手段が設けられている。本実施形態では、二つの照射パターン制御手段が設けられている。一つは、レーザー照射機2により照射される際、レーザービームBを走査することで所定のパターンでレーザービームBが照射されるようにする手段であり、具体的には、ビーム走査光学系21である。ビーム走査光学系21は、ガルバノスキャナーから成る構成である。
図2に示すように、ビーム走査光学系21には、走査用コントローラ22が設けられている。走査用コントローラ22は、CADデータ等が入力される不図示の入力部を備えており、入力されたデータに従ってビーム走査光学系21を制御できるようになっている。
【0018】
もう一つの照射パターン制御手段は、レーザー照射機2を移動させることで所定の照射パターンとするものである。具体的には、レーザー照射機2が固定されたステージ23を移動させる移動機構24である。移動機構は、XYθの移動をステージ23に行わせることが可能となっている。即ち、垂直な軸の周りに回転と、水平面内での直交する二つの方向の直線移動である。これら二つの照射パターン制御手段は、どちらか一つを動作させても良く、二つを併用させても良い。
【0019】
上記レーザー照射機2によりレーザービームが照射されて保護フィルム1が切断される際、ホイールの表面を覆うことになる保護フィルム1の部分を保持する保持手段が設けられている。本実施形態では、保持手段は、ロボット5である。ロボット5は、搬送手段及び貼付手段にも兼用されている。
ロボット5は、保護フィルム1を先端で吸着するアーム51と、アーム51を駆動してホイールWに保護フィルム1を搬送する駆動部(図1中不図示)とから主に構成されている。
アーム51は、多くの場合、多関節型であり、動作範囲の任意の位置に先端を位置させることが可能となっている。アーム51の先端には吸着ヘッド6が設けられている。吸着ヘッド6は、真空吸着のような圧力差による吸着を行うものである。
【0020】
図3は、図1に示す吸着ヘッド6の構造を示した概略図であり、(1)は正面断面概略図、(2)は下方から見た平面概略図である。吸着ヘッド6は、全体に円盤状の部材であり、開口を下方に向けた姿勢のカップ状のケーシング61と、ケーシング61内に収めたヘッド本体62とから主に構成されている。ヘッド本体62は多孔質な部材であり、例えば焼結成形したセラミックス等から構成される。
ケーシング61の上面の中央に、アーム51の先端が連結されている。アーム51内には、調圧管63が設けられており、調圧管63はケーシング61の上面に設けられた調圧孔64を通してケーシング61内に連通している。調圧管63には、不図示の調圧源が接続されている。調圧源とは、真空吸着方式である場合、真空ポンプである。
【0021】
ヘッド本体62には、ビーム受け具65が設けられている。ビーム受け具65は、レーザービームBによる保護フィルム1の切断の際、レーザービームBの照査を受ける部材である。レーザービームBの照射により保護フィルム1が切断される際、切断後も僅かの時間レーザービームBが照射されるため、吸着ヘッド6にもレーザービームBが直接照射されてしまう。ヘッド本体62がレーザービームBの照射を受けると、材質によっては損傷したりするおそれがある。そこで、本実施形態では、対ビーム性(レーザービームBの照射を受けても損傷しないこと)を有する材料のビーム受け具65を設けて、ここにレーザービームBが当たるようにしている。対ビーム性の材料としては金属やセラミックスの場合が多く、例えばステンレスやアルミナ等である。
【0022】
本実施形態では、レーザービームBの照射パターンは、吸着ヘッド6の中心軸と同心な二つの円周状のパターンとなっている。従って、ビーム受け具65も、図3(2)に示すように、吸着ヘッド6と同心に設けられた二つの円環状の部材である。尚、照射パターンが変更される場合、それに応じて吸着ヘッド6も変更後の照射パターンに対応したビーム受け具65を持つものに変更される。
上述したレーザー照射機2が動作してレーザービームB照射により保護フィルム1が切断される際、調圧源が動作して保護フィルム1を吸着ヘッド6が吸着する。図3から解るように、吸着される保護フィルム1の領域は、照射パターンの領域より少し大きい。
【0023】
上記従来技術の説明からも解るように、同心な二つの円周から成る照射パターンである理由は、ホイールWの形状に合わせたものであるが、ホイールWを取り付ける車軸に相当する中央部分をくり抜くように切断する必要性からである。とはいえ、レーザービーム照射による切断時に、中央部分も吸着していないと、切断により中央部分が落下してしまう。これを考慮して、吸着ヘッド6は中央部分も吸着する構成となっている。
しかし、ホイールWの表面に貼り付ける際には、中央部分は抜いておかなければならない。そこで、本実施形態では、ホイール表面保護に不要となる保護フィルム1の中央部分を他の部分から分離する分離手段7が設けられている。分離手段7は、保護フィルム1の中央部分の裏面に当接する当て具71と、当て具71を駆動する駆動機構72とから主に構成されている。
【0024】
当て具71は、円柱状の部材であり、上端が中央部分の裏面に当接するようになっている。駆動機構72は、上下動を含む所定の動作を当て具71に行わせる。分離手段7には、分離した中央部分を当て具71から受け取って回収する不図示の回収手段が設けられている。回収手段は、例えば中央部分を摘むハンドを先端に備えたロボットで構成される。回収手段は、不要な中央部分を回収して集める。集められた中央部分は廃棄されるが、場合によっては再生処理されることもある。
当て具71は、中央部分の裏面の粘着剤の力を利用して他の部分から中央部分を分離するようになっている。即ち、当て具71の先端が中央部分に押し当てられ、その後、当て具71が引き下げられると、粘着剤の作用で当て具71の先端に中央部分がくっついて一緒に引き下げられ、他の部分から分離される。この際、吸着ヘッド6による吸着が続いているが、吸着力よりも粘着力の方が大きくなるように設定されている。
【0025】
次に、貼付手段に兼用されたロボット5の構成について説明する。
保護フィルム1を貼り付けるホイールWは、ロボット5の動作範囲内の所定位置に予め配置されるようになっている。ロボット5の駆動部(不図示)は、アーム51を駆動して吸着ヘッド6をホイールWの上方に位置させるようになっている。この位置は、吸着ヘッド6の中心軸とホイールWの中心軸とが一致した位置である。ロボット5の駆動部は、この位置から吸着ヘッド6を所定距離下降させ、保護フィルム1をホイールWの表面に接触させるようになっている。この状態で、吸着ヘッド6による吸着が解除されて吸着ヘッド6が上昇し、保護フィルム1の貼付が完了する。ロボット5の駆動部は、吸着ヘッド6の下面がホイールWの上面の高さで停止するよう位置制御するようになっている。このような位置制御は、多くの場合、ロボット5のティーチング機能を利用して位置情報を記憶させることで行われ、駆動部は、位置情報の記憶部や、位置情報に従ってロボット5をコントロールする制御部(MPUを含む)を備えている。
【0026】
また、図1に示すように、レーザー照射機2がレーザービームを照射するエリアを囲むようにして、筐体100(図4不図示)が設けられている。筐体100には、集塵ダクト101が接続されており、集塵ダクト101には、筐体100内を吸引して集塵を行う不図示の集塵機が接続されている。
尚、貼付装置は、各部の動作を所定のシーケンスで制御する不図示の主制御部を備えている。主制御部は、保護フィルム1を貼り付けるホイールWの表面の形状に合わせた照射パターンを複数記憶した記憶部や、いずれかの照射パターンを選択させる外部入力部を備えている。外部入力部からの入力に従って照射パターンが選択され、走査用コントローラ22に送られる。これらの構成は、レーザー加工機におけるものと同様に構成できるので、詳細な説明は省略する。
【0027】
次に、ホイール保護フィルム貼付方法の発明の実施形態の説明を兼ね、上記構成に係るホイール保護フィルム貼付装置の全体の動作について説明する。
保護フィルム1を貼り付けるホイールWは、予め所定の位置に配置されている。不図示の主制御部は、不図示の回転駆動源を動作させ、巻き取り側保持体を回転させて保護フィルム1をロール10から引き出す。保護フィルム1を所定の長さ引き出したら、回転駆動源は停止する。
【0028】
次に、主制御部は、ロボット5を動作させて吸着ヘッド6を下降させ、調圧源を動作させて所定位置で保護フィルム1を吸着する。この状態で、レーザー照射機2を動作させ、所定のパターンでレーザービームBを照射する。これにより、保護フィルム1が切断される。切断された保護フィルム1は、吸着ヘッド6に吸着され続ける。
そして、ロボット5は、吸着ヘッド6を分離手段7の上方まで移動させる。その後、駆動機構72が動作し、当て具71を上昇させて保護フィルム1の中央部分を分離する。次に、ロボット5は、吸着ヘッド6をホイールWの上方に移動させ、所定距離下降させてホイールWの上面に貼り付ける。
その後、ロボット5は、吸着ヘッド6をスタンバイの位置まで戻す。次のホイールWが所定位置に配置された後、上記動作を繰り返して次の貼付動作を行う。このようにして、各ホイールWに対し次々に保護フィルム1の貼付動作を行う。尚、ホイールWの品種が変わるために照射パターンを変える必要がある場合、作業者は、主制御部の外部入力部を操作して、別の照射パターンを適宜指定して変更する。
【0029】
上記構成及び動作に係るホイール保護フィルム貼付装置又はホイール保護フィルム貼付方法は、以下のような顕著な技術的意義を有する。
まず、保護フィルム1の切断から貼り付けまでが完全に自動化されているので、人件費の大幅な削減により大幅なコストダウンが期待できる。また、用意されるホイール保護フィルム1は、ホイールWの直径以上の幅と長さを持ち裏面に粘着剤を有するものをロール状に巻いただけのものであるので、図7に示すものや図8に示すものに比べて安価にでき、材料費が安くなる。さらに、剥離シートを介在させることなく巻かれているので、この点でも安価なものにできる。
【0030】
また、レーザービームBを所定のパターンで照射することで保護フィルム1を切断しているので、保護フィルム1を貼り付けるホイールWの表面の形状に合わせて任意の形状とすることができる。このため、品種の変更に合わせて即座に保護フィルム1の形状を変えることができる。従って、多品種少量生産に適するともにジャストインタイムの要請にも適っている。
また、ロール10を送り出してレーザー照射機2によるレーザービームの照射位置に保護フィルム1を位置させる送り出し手段を備えており、レーザー照射機2への保護フィルム1の供給が自動化されているので、この点でさらに好適である。また、切断された残りの保護フィルムを巻き取る巻き取り手段を備えており、フィルム残部の回収が自動化されているので、この点でさらに好適である。
【0031】
搬送手段が、非粘着面である保護フィルム1の表面において保護フィルム1を吸着して搬送する手段である点は、搬送手段の設計が容易にする技術的意義がある。粘着剤を有する裏面において保持する構成であると、保持を開放する際に粘着剤によりくっつかないようにする必要があるが、表面において保持する場合にはこのようなことは不要であり、設計が容易である。
また、レーザー照射機2によりレーザービームBが照射されて切断される際、ホイールWの表面を覆うことになる保護フィルム1の部分を保持する保持手段を備えているので、搬送手段による搬送が容易に行える。保持手段が無いと、切断時に保護フィルム1の部分が落下してしまうので、搬送手段はその保護フィルム1の部分を拾い上げるような機構とする必要がある。保持手段がある場合、このような機構にする必要はなく、搬送が容易に行える。
【0032】
さらに、保持手段は、搬送手段が兼ねているので、機構的に簡略化され、コストも安価になる他、搬送手段が貼付手段にも兼用されているので、この点でさらに機構的に簡略化され、コストも安価になる。
また、切断された保護フィルム1の中央部分を他の部分から分離させる分離手段7が設けられていて、中央の車軸に相当する中央部分をくり抜く工程も自動化されており、この点でさらに好適である。
尚、レーザービームの照射により保護フィルム1が切断される際、保護フィルム1の破片より成る塵の発生が避けられないが、不図示の集塵機により集められるので、作業環境の悪化の問題は本実施形態では生じない。
【0033】
次に、本願発明の別の実施形態について説明する。
図4は、本願発明の別の実施形態について示した平面概略図である。この図4に示す実施形態のホイール保護フィルム貼付装置も、ホイールWの直径以上の幅と長さを持ち裏面に粘着剤を有する保護フィルム1に対して所定のパターンでレーザービームBを照射して保護フィルム1を切断するレーザー照射機2と、切断された保護フィルム1をホイールWに搬送する搬送手段と、搬送された保護フィルム1の裏面をホイールWの表面に当接させて貼り付けて表面を覆う貼付手段とを備えている。
【0034】
図5は、図4に示す装置における送り出し手段3と巻き取り手段4とを示した側面概略図である。送り出し手段3及び巻き取り手段4の構成は、テンションローラ33が設けられている点を除き、上記実施形態と同様である。テンションローラ33は、レーザービームBの照射箇所において保護フィルム1が弛まないようにテンションをかけるものである。テンションローラ33やガイドローラ34のうち、保護フィルム1の裏面に接触するものは、裏面の粘着剤12に対して親和性の無いような(粘着剤12によりくっつかないような)表面とされている。
【0035】
この実施形態においても、搬送手段と貼付手段に兼用されるロボット5が設けられている。この実施形態のロボット5は、ロッド状のアーム51と、アーム51に回転運動及び上下運動を行わせる駆動部52とから主に構成されている。
この実施形態では、アーム51には小さな五つの吸着ヘッド6が設けられている。まず、四つの吸着ヘッド6が円周上に90度間隔で設けられている。図4には、このうちの三つが描かれている。アーム51の先端からは、四つのヘッド取付ロッド53が延びており、それぞれの先端に吸着ヘッド6が取り付けられている。
五つめの吸着ヘッド(不図示)は、四つの吸着ヘッド6が並ぶ円周の中心と同軸に設けられている。つまり、中央に一つの吸着ヘッド6があり、その周囲に等間隔に四つの吸着ヘッド6がある。全ての吸着ヘッド6は、同じ高さに設けられている。各吸着ヘッド6は、上記実施形態と同様、ケーシングとケーシング内に収めた多孔質のヘッド本体から成り、ヘッド取付ロッド53及びアーム51内には、ヘッド本体62に連通した調圧管が設けられいる。
【0036】
本実施形態の装置は、保護フィルム1を貼り付ける位置にホイールWを自動搬送する搬送機構8が設けられている。搬送機構8について、図4及び図6を使用して説明する。図6は、図4の装置に設けられた搬送機構8の概略構成を示した側面図である。搬送機構8は、搬送方向に沿って並べられた送りローラ81と、送りローラ81を駆動する不図示の駆動源等から構成されている。
また、搬送機構8には、ホイールWを保護フィルム1の貼付位置に正しく位置させる位置制御機構9が付設されている。位置制御機構9は、貼付位置の搬送方向下流側に設けられたストッパ91と、貼付位置を取り囲むようにして設けられた位置制御用パッド92とから主に構成されている。
【0037】
図6に示すように、ストッパ91には昇降機構93が設けられており、下方から上昇して搬送ラインを遮るようになっている。位置制御用パッド92は、本実施形態では四つ設けられており、上方から保持棒94により保持されている。各保持棒94は、パッド制御機構95に連結されている。パッド制御機構95は、位置制御用パッド92を上下動させるとともに、四つの位置制御用パッド92を中心に向けて所定距離変位させることが可能となっている。この場合の中心とは、四つの位置制御用パッド92が成す方形の中心であるとともに、貼付位置の基準点であって、ホイールWの中心軸を位置させるべき位置である。
【0038】
位置制御機構9によるホイールWの位置制御について、以下に説明する。
本実施形態では、ホイールWはタイヤTが装着された状態で搬送される。搬送機構8の駆動源は、ホイールWが貼付位置まで搬送されると停止される。この際、ストッパ91が昇降機構93により予め上昇しており、搬送ラインを遮っている。このため、ホイールWが滑ったり駆動源の停止が遅れたりした場合でも、ストッパ91にタイヤが当たって停止するため、貼付位置から大きく外れることはない。
次に、パッド制御機構95が動作し、四つの位置制御用パッド92を下降させ、中心に向けて所定距離変位される。この際、位置制御用パッド92はタイヤに当たる。停止位置が基準位置からずれている場合、ホイールW及びタイヤは位置制御用パッド92により少し変位する。これらの動作により、ホイールWの中心軸が貼付位置の基準点に一致し、位置制御が完了する。
本実施形態の装置も、分離手段7を備えている。分離手段7は、図4に示すように、保護フィルム1の送り出しと巻き取りを行う場所と、ホイールWの搬送及び保護フィルム1の貼付を行う場所の間に設けられている。
【0039】
上記構成に係る本実施形態の装置の動作は、前述した実施形態とほぼ同様である。送り出し手段3に送り出された保護フィルム1をレーザー照射機2によるレーザービーム照射により切断し、切断された保護フィルム1をロボット5が貼付位置まで搬送して貼り付けする。尚、中央の吸着ヘッド6が保護フィルム1の中央部分を吸着し、この部分が分離手段7で分離される。他の部分の保護フィルム1は、周囲の四つの吸着ヘッド6で吸着され続け、貼付位置に搬送されてホイールWの表面に貼付られる。
【0040】
この実施形態によれば、ホイールWの搬送と貼付位置に位置させる位置制御までもが自動化されているので、人件費の更なる削減が可能で更なるコストダウンが期待できる。尚、位置制御機構9における位置制御用パッド92の変位量は、ホイールWサイズやタイヤサイズにより適宜変更されることは言うまでもない。
上記各実施形態では、保持手段、搬送手段及び貼付手段とが一つのロボットで兼用されたが、別々のロボットを使用してもよい。また、ロボット以外の機構を使用してこれらの手段を構成することも可能である。例えば、吸着ヘッドを上下動させる機構と、その機構ごと吸着ヘッドを水平方向に直線移動させる機構とを組み合わせることで搬送手段を構成することが可能である。
また、照射パターン制御手段としては、レーザービーム走査及びレーザー照射機移動の他、保護フィルムを移動させることで所定の照射パターンとする機構が採用されることもある。
尚、保護フィルムを吸着する手段としては、上述した圧力差による場合の他、静電気により吸着する構成が採用されることもある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本願発明のホイール保護フィルム貼付方法及びホイール保護フィルム貼付装置の各実施形態を示した概略図である。
【図2】図1の装置に使用されるホイール保護フィルムロールの斜視概略図である。
【図3】図1に示す吸着ヘッド6の構造を示した概略図であり、(1)は正面断面概略図、(2)は下方から見た平面概略図である。
【図4】本願発明の別の実施形態について示した平面概略図である。
【図5】図4に示す装置における送り出し手段3と巻き取り手段4とを示した側面概略図である。
【図6】図4の装置に設けられた搬送機構8の概略構成を示した側面図である。
【図7】従来の保護フィルムの貼付について示した図である。
【図8】従来の保護フィルムの貼付について示した図である。
【符号の説明】
【0042】
1 保護フィルム
11 基材
12 粘着剤
11 芯体
2 レーザー照射機
21 照射パターン制御手段
22 走査光学系
23 走査用コントローラ
3 送り出し手段
4 巻き取り手段
5 ロボット
51 アーム
6 吸着ヘッド
7 分離手段
8 搬送機構
9 位置制御機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイールの表面を覆うようにして保護フィルムを貼り付けるホイール保護フィルム貼付方法であって、
ホイールの直径以上の幅と長さを持ち裏面に粘着材を有する保護フィルムに対してレーザービームを所定のパターンで照射して切断するステップと、
切断された保護フィルムを搬送手段によりホイールに搬送するステップと、
搬送された保護フィルムの裏面を貼付手段によりホイールの表面に当接させて貼り付けて表面を覆うステップとから成ることを特徴とするホイール保護フィルム貼付方法。
【請求項2】
ホイールの表面を覆うようにして保護フィルムを貼り付けるホイール保護フィルム貼付装置であって、
ホイールの直径以上の幅と長さを持ち裏面に粘着材を有する保護フィルムに対して所定のパターンでレーザービームを照射して保護フィルムを切断するレーザー照射機と、
切断された保護フィルムをホイールに搬送する搬送手段と、
搬送された保護フィルムの裏面をホイールの表面に当接させて貼り付けて表面を覆う貼付手段とから成ることを特徴とするホイール保護フィルム貼付装置。
【請求項3】
前記レーザー照射機により照射される際、レーザービームを走査するかレーザー照射機を移動させて前記所定のパターンでレーザービームが照射されるようにする照射パターン制御手段を備えていることを特徴とする請求項2記載のホイール保護フィルム貼付装置。
【請求項4】
ロール状に巻かれた前記保護フィルムを送り出して前記レーザー照射機によるレーザービームの照射位置に位置させる送り出し手段を備えていることを特徴とする請求項2又は3記載のホイール保護フィルム貼付装置。
【請求項5】
前記レーザー照射機によりレーザービームが照射されて切断された残りの保護フィルムを巻き取る巻き取り手段を備えていることを特徴とする請求項2、3又は4記載のホイール保護フィルム貼付装置。
【請求項6】
前記搬送手段は、粘着材を有しない保護フィルムの表面において保護フィルムを吸着して搬送する手段であることを特徴とする請求項2乃至5いずれかに記載のホイール保護フィルム貼付装置。
【請求項7】
前記レーザー照射機によりレーザービームが照射されて切断される際、ホイールの表面を覆うことになる保護フィルムの部分を保持する保持手段を備えていることを特徴とする請求項2乃至6記載のホイール保護フィルム貼付装置。
【請求項8】
前記保持手段は、前記搬送手段が兼ねていることを特徴とする請求項7記載のホイール保護フィルム貼付装置。
【請求項9】
前記所定の照射パターンは、中央の車軸に相当する中央部分をくり抜くようにするパターンであり、切断後、中央部分を他の部分から分離させる分離手段を備えていることを特徴とする請求項2乃至8いずれかに記載のホイール保護フィルム貼付装置。
【請求項10】
前記搬送手段は、切断された保護フィルムを先端で吸着するアームと、アームを駆動してホイールに保護フィルムを搬送する駆動部とから成るロボットであることを特徴とする請求項2乃至9記載のホイール保護フィルム貼付装置。
【請求項11】
前記搬送ロボットは、搬送した保護フィルムの裏面をホイールの表面に当接させて吸着を解除することが可能になっており、貼付手段に兼用されていることを特徴とする請求項10記載のホイール保護フィルム貼付装置。
【請求項12】
請求項1記載のホイール保護フィルム貼付方法又は請求項2乃至10いずれかに記載のホイール保護フィルム貼付装置に使用されるホイール保護フィルムロールであって、表面を保護するホイールの直径以上の幅と長さを持つものであって裏面に粘着材を有し、剥離シートを介在させることなくロール状に形成されているホイール保護フィルムロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−131167(P2006−131167A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324624(P2004−324624)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セロテープ
【出願人】(504414167)有限会社アソシエ (2)
【Fターム(参考)】