説明

ホウ素含有化合物およびその使用方法

ヒトなどの動物においてボリン酸複合体、特にピコリン酸誘導体を混入する抗生物質を使用して座瘡などの表面感染の治療および/または予防を行う方法が、これらの抗生物質の組成物とともに開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
1.関連米国特許出願の相互参照
本出願は、2004年6月14日出願の米国特許仮出願第60/579,421号明細書に関して米国特許法(35U.S.C.)第119条(e)に基づいて利益を主張するものである。本出願の内容はその全体として、かつ、あらゆる目的のために本明細書に援用される。
【0002】
2.発明の背景
2.1 発明の分野
本発明は、ホウ素を含有する化合物、特に抗菌、抗炎症またはその双方の活性を備える化合物、ならびにこれらの使用に関する分野に関する。これらの抗生物質およびそれらの医薬組成物を調製しかつ使用するための方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
2.2 関連技術
尋常性座瘡は、12〜24歳の年齢の間のある時期に個人の85%に障害を与える最も一般的な皮膚疾患である。現在、米国では4500万人に座瘡があり、毎年1700万人のアメリカ人が治療法を追求している。座瘡は、皮脂産生、濾胞上皮剥離、細菌増殖および炎症における異常を含む毛嚢脂腺単位の疾患である。座瘡の病原は多因子性であり、この状態に対しては、中心的なメディエーターとして作用する微生物の増殖および炎症を伴う。毛包では、細胞と皮脂の混合物は、一般に皮膚上に発生する細菌のプロピオニバクテリウムアクネス(Propionibacterium acnes)(P.acnes)の増殖に対する環境を創出する。P.acnesによって放出される化学走化性因子は、リンパ球および好中球を引きつけるとともに、他の炎症性分子を産生する。これによって角腺(sebaceous follicles)内の皮膚細胞および皮脂からなるプラグが形成される炎症性過程がもたらされる。
【0004】
座瘡に対する現行の治療には、局所的かつ全身的に適用される抗生物質や、局所レチノイドも含まれる。しかし、通常4〜6週間もしくはそれより長くかかる可能性がある長期間の治療故にこれらの治療は満足されるものではない。さらに、局所炎症および全身性副作用も現在の製品に伴う主要な課題である。したがって、作用が短縮され、副作用がなく、かつ、病原に対する細菌性と炎症性の両方の寄与因子を阻害するといった座瘡における治療の改善に対する要求が存在する。本発明は、抗炎症性および/または抗菌活性を示すボリン酸エステル(borinic ester)を提供することによってこれらの問題に対処する。したがって、本発明は座瘡の治療に対する新たな様式を表す。
【0005】
酒さは、大部分が顔や眼において発赤および腫脹を誘発する慢性皮膚疾患である。それは時として「成人座瘡」と称される。酒さの原因は知られておらず、遺伝性の可能性がある。1400万人のアメリカ人が該疾患に罹患し、それはたいてい成人に発症し、女性の方によくみられるが、男性ではより重篤である。現行の治療はあまり奏功しておらず、ほんの少しの改善が見られるまでに数週間から数か月かかる場合がある。したがって、酒さに対する新たな治療法が切に求められている。
【0006】
座瘡および酒さは、これらの病理に対して併発する炎症性成分を有する一般的状態である。炎症は、発赤、発熱、腫脹、および疼痛として特徴づけられる組織の障害または損傷によって誘発される防御反応である。炎症の主な目的は、刺激物質を限局化し、根絶し、かつ、周囲組織を修復することである。宿主の生存のために、炎症は必要かつ有益な過程である。炎症性応答は、第1に血流増大のための毛細管の膨張;第2に微小血管の構造上の変化および血漿タンパク質の血流からの漏出;ならびに第3に白血球の内皮を通り抜けての遊出および損傷部位における蓄積といった3つの主要なステージを含む。白血球の接着カスケード(adhesion cascade)とは白血球の溢出とともに終了する一連の接着および活性化事象であり、それによって該細胞は炎症部位にその作用を及ぼす。これらの工程は、炎症の段階ではないが、各白血球の観点からすれば一連の事象を表す。炎症研究の1つの目標は、白血球の内皮への接着を調節したり遮断することによって炎症を制御するための方法を開発することである。これによって新たな抗炎症剤の発見がもたらされる可能性がある。抗炎症剤は、炎症性応答の遮断剤、抑制剤、または調節剤として機能する。炎症性応答は、炎症性物質の細胞外液中への放出とともに開始される。これらの炎症性メディエーター(なかでも最も重要なものはヒスタミン、プロスタグランジン、およびサイトカインである)の供給源は、損傷した組織細胞、リンパ球、肥満細胞および血漿タンパク質である。これらの化学物質の存在により、発赤、発熱、腫脹、および疼痛といった炎症への応答が促進され行われる。
【0007】
抗炎症薬剤は、炎症性応答を遮断するか抑制することで、刺激物質に対する有害反応の出現を予防するか低減する。座瘡、酒さ、喘息、関節炎、乾癬およびアトピー性皮膚炎などの疾患および状態は、例えば非ステロイドまたはステロイド抗炎症剤によって治療される。アスピリンおよび一部の他の抗炎症剤は、プロスタグランジンの合成を阻害することによって鎮痛効果を発揮する。一の態様では、本発明は、炎症誘発性サイトカインの産生を遮断することによって抗炎症活性を示すボリン酸エステルに関する。これらのサイトカインには、IL−1β、TNF−α、IL−6およびIL−8が含まれるがこれらに限定されない。本明細書において開示される化合物によってこれらのサイトカインを遮断する活性は、発赤、発熱、腫脹および疼痛の炎症性成分における低下をもたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かかる治療には歴史的に長期にわたる治療様式が求められる一方で、一部の薬剤は美容的に許容されない(激しい発赤、皮膚剥脱、もしくは薬剤の着色をもたらすことが多い)ことから、患者における治療への忠実性が損なわれる。本明細書において記載の製品は、典型的には白色を呈し、その安定性は高い。したがって、本発明は、多数の悩ましい疾患に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
3.発明の概要
一の態様では、本発明は、抗炎症および/または抗菌活性を有する化合物を使用する方法に関する。本発明の方法において有用な化合物は、ボリネート誘導体、特にピコリン酸を含むボリン酸複合体である。
【0010】
一の実施形態では、本発明の方法において有用な化合物は、細菌性病原を有する疾患、または免疫学的に障害があるかまたは衰弱した健康状態にある動物、最も好ましくはヒトの中に生息する細菌による局所的な日和見感染の治療を目的とする、動物、最も好ましくはヒトに対して投与可能な医薬組成物としても提供される。
【0011】
好ましい実施形態では、本発明の方法において有用な化合物は、本明細書において開示される好ましい置換基を含む、以下および他の箇所における化学式2によって与えられる構造を有する化合物である。
【0012】
本発明は、化合物およびその医薬組成物を調製するための方法、および治療として該化合物を使用する方法についても提供する。本発明の化合物および医薬組成物に関するキットおよび実施形態のパッケージについても検討される。
【0013】
本発明は、本明細書において開示される化合物を使用して感染、好ましくは細菌感染を治療する方法にも関する。
【0014】
これらや他の態様および利点は、以下の説明において明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
4.発明の数多の実施形態の説明
本発明は、細菌感染や、炎症、特に限局性の炎症、最も好ましくは座瘡および酒さで特徴づけられる、特に皮膚炎および他の状態などの皮膚状態に対して治療および/または予防を行うことを目的とする、本明細書において開示される化合物、特に抗菌および/または抗炎症化合物を使用する方法を提供する。
【0016】
本発明は、以下に示される構造(式1)
【化1】


(式中、Bは、ホウ素でかつOは酸素であり;RおよびRは、任意に置換されたアルキルと、任意に置換されたアリールと、アラルキルと、任意に置換されたヘテロアリールとからなる群から独立して選択される。RおよびRは、水素と、アルキルと、アリールと、アラルキルと、ヘテロアリールと、ヘテロアラルキルと、シクロアルキルと、ヘテロシクリルと、−C(O)−アリールと、−OC(O)−アルキルと、−OCHCHOHと、−O(CHCOHと、2−(モルホリノ)エトキシと、−(CHOH(式中、k=1、2もしくは3)と、−CHNHと、−CHNHアルキルと、−CHN(アルキル)と、−COHと、−COアルキルと、−CONHと、−OHと、アルコキシと、アリールオキシと、−SHと、−S−アルキルと、−S−アリールと、−SOアルキルと、−SON(アルキル)と、−SONHアルキルと、−SONHと、−SOHと、−SCFと、−CNと、ハロゲンと、−CFと、−NOと、アミノと、置換されたアミノと、−NHSOアルキルと、−CONHアルキルとからなる群から選択される。RおよびRの置換基のすべての中のアルキル基と、アリール基と、アラルキル基と、ヘテロアリール基と、ヘテロアラルキル基と、シクロアルキル基と、複素環基は、任意に置換される。RおよびRは、水素と、アルキルと、アリールと、アラルキルと、ヘテロアリールと、ヘテロアラルキルと、シクロアルキルと、ヘテロシクリルと、−(CHOH(n=1〜3)と、−CHNHと、−CHNHアルキルと、−CHN(アルキル)と、ハロゲンと、−CHOと、−CH=NOHと、−COHと、−CO−アルキルと、−S−アルキルと、−SO−アルキルと、−SO−アルキルと、−S−アリールと、−SON(アルキル)と、−SONHアルキルと、−SONHと、−NHと、アルコキシと、−CFと、−SCFと、−NOと、−SOHと、−OHとからなる群から独立して選択され;RおよびRの置換基のすべての中のアルキル基と、アリール基と、アラルキル基と、ヘテロアリール基と、ヘテロアラルキル基と、シクロアルキル基と、複素環基は、任意に置換され、さらにRおよびRは、これらに結合する該環とともに、任意に置換された芳香環またはその薬学的に許容可能な塩、水和物、または溶媒和物を形成する)
を有する化合物を使用して皮膚状態を治療する方法を提供する。
【0017】
本発明の方法における一部の実施形態では、化学式1の化合物は、RおよびRのうちの1つが任意に置換されたアリールである化合物を含む。RおよびRのうちの1つが任意に置換されたアリールであるより特定の実施形態では、RおよびRのうちの1つは任意に置換されたヘテロアリールであることによって混合されたアリール−ヘテロアリール置換基が提供される。RおよびRのうちの1つが任意に置換されたアリールであり、かつRおよびRのうちの1つが任意に置換されたヘテロアリールであるさらにより特定の実施形態では、任意に置換されたヘテロアリールは任意に置換されたピリジルである。1つのRおよびRが任意に置換されたピリジルであるさらにより特定の実施形態は、RおよびRのうちの1つが任意に置換されたフェニルである実施形態を含む。より特定の実施形態では、任意に置換されたフェニルは、アルキルと、シクロアルキルと、アリールと、置換されたアリールと、アラルキルと、−(CHOH(式中、k=1、2もしくは3)と、−CHNHと、−CHNH−アルキルと、−CHN(アルキル)と、−COHと、−COアルキルと、−CONHと、−CONHアルキルと、−CON(アルキル)と、−OHと、アルコキシと、アリールオキシと、−SHと、−S−アルキルと、−S−アリールと、−SOアルキルと、−SON(アルキル)と、−SONHアルキルと、−SONHと、−SOHと、−SCFと、−CNと、ハロゲンと、−CFと、−NOと、アミノと、置換されたアミノと、−NHSOアルキルと、−OCHCHNHと、−OCHCHNHアルキルと、−OCHCHN(アルキル)と、オキサゾリジン−2−イルと、アルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルとからなる群から選択される部分によって置換されたフェニルである。
【0018】
本発明の他の実施形態では、式1の化合物は、RとRの双方が任意に置換されたアリールである化合物を含む。RとRの双方が任意に置換されたアリールであるより特定の実施形態は、RとRの各々が、任意に置換されたフェニルである実施形態である。RとRの各々が任意に置換されたフェニルであるさらにより特定の実施形態は、RがH、−OH、アルコキシ、またはカルボキシである実施形態である。これらの実施形態には、任意に置換されたフェニルが、アルキルと、シクロアルキルと、アリールと、置換されたアリールと、アラルキルと、−(CHOH(式中、k=1、2もしくは3)と、−CHNHと、−CHNH−アルキルと、−CHN(アルキル)と、−COHと、−COアルキルと、−CONHと、−CONHアルキルと、−CON(アルキル)と、−OHと、アルコキシと、アリールオキシと、−SHと、−S−アルキルと、−S−アリールと、−SOアルキルと、−SON(アルキル)と、−SONHアルキルと、−SONHと、−SOHと、−SCFと、−CNと、ハロゲンと、−CFと、−NOと、アミノと、置換されたアミノと、−NHSOアルキルと、−OCHCHNHと、−OCHCHNHアルキルと、−OCHCHN(アルキル)と、オキサゾリジン−2−イルと、アルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルとからなる群から選択される部分によって置換されたフェニルである化合物が含まれる。ここで説明された実施形態のうちのさらにより特定の実施形態では、Rは−OHまたはカルボキシである。特定の実施形態は、下記の例において提供される。
【0019】
本発明のさらに他の実施形態では、RとRの各々は、アルキルと、シクロアルキルと、アリールと、置換されたアリールと、アラルキルと、−(CHOH(式中、k=1、2もしくは3)と、−CHNHと、−CHNH−アルキルと、−CHN(アルキル)と、−COHと、−COアルキルと、−CONHと、−CONHアルキルと、−CON(アルキル)と、−OHと、アルコキシと、アリールオキシと、−SHと、−S−アルキルと、−S−アリールと、−SOアルキルと、−SON(アルキル)と、−SONHアルキルと、−SONHと、−SOHと、−SCFと、−CNと、ハロゲンと、−CFと、−NOと、アミノと、置換されたアミノと、−NHSOアルキルと、−OCHCHNHと、−OCHCHNHアルキルと、−OCHCHN(アルキル)と、オキサゾリジン−2−イルと、アルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルとからなる群から選択される部分によって置換された、任意に置換されたフェニルであり、かつ、Rは−OHである。これらの化合物のより特定の実施形態は、任意に置換されたフェニルが、水素と、ハロゲンと、アルキルとからなる群から選択される部分によって置換されたフェニルである実施形態であり、より詳細には該ハロゲンがクロロである実施形態であり、さらにより詳細には、該ハロゲンがクロロであってかつ該アルキルがメチルである実施形態である。後者の実施形態の中で特に有用な化合物は、(ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリロキシ)(3−ヒドロキシピリジン−2−イル)メタノンであり、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、および水和物が含まれる。
【0020】
別の態様では、本発明は、本明細書で記載の化合物を使用して(座瘡およびアトピー性皮膚炎などの局所的な皮膚疾患、粘膜組織の障害(例えば歯周病)などの組織状態、ならびに関節炎などの全身性炎症の組織障害を含む)皮膚状態を治療するための方法を提供する。一の実施形態では、皮膚状態は皮膚の炎症である。より詳細には、本明細書で記載の化合物は、皮膚状態が、尋常性座瘡と、酒さと、乾癬と、歯周病と、関節炎と、アトピー性皮膚炎とからなる群から選択される場合に有用でありうる。特定の実施形態は、皮膚状態が尋常性座瘡である実施形態を含む。別の実施形態では、皮膚状態は酒さである。さらに他の特定の皮膚状態には、乾癬およびアトピー性皮膚炎が含まれる。
【0021】
さらに別の態様では、本発明は、式1の化合物の阻害量を、必要としている動物に投与することによって動物における炎症誘発性サイトカインの放出を阻害するための方法を提供する。本発明の一部の実施形態では、炎症誘発性サイトカインは、IL−1βと、TNF−αと、IL−6とからなる群から選択される。一部の特定の実施形態は、化学式1(式中、RとRの各々が、水素と、アルキルと、シクロアルキルと、アリールと、置換されたアリールと、アラルキルと、−(CHOH(式中、k=1、2もしくは3)と、−CHNHと、−CHNH−アルキルと、−CHN(アルキル)と、−COHと、−COアルキルと、−CONHと、−CONHアルキルと、−CON(アルキル)と、−OHと、アルコキシと、アリールオキシと、−SHと、−S−アルキルと、−S−アリールと、−SOアルキルと、−SON(アルキル)と、−SONHアルキルと、−SONHと、−SOHと、−SCFと、−CNと、ハロゲンと、−CFと、−NOと、アミノと、置換されたアミノと、−NHSOアルキルと、−OCHCHNHと、−OCHCHNHアルキルと、−OCHCHN(アルキル)と、オキサゾリジン−2−イルと、アルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルとからなる群から選択される部分によって置換された、任意に置換されたフェニルであり、かつ、Rが−OHである)の化合物を含む。
【0022】
別の態様では、本発明は、式2、すなわち
【化2】


(式中、Bはホウ素、Oは酸素であり;RとR**の各々は、任意に置換されたアルキル(C〜C)と、任意に置換されたシクロアルキル(C〜C)と、任意に置換されたアルケニルと、任意に置換されたアルキニルと、アラルキルと、任意に置換されたフェニルと、任意に置換されたヘテロ環とから独立して選択され;かつzが0または1である場合とzが1の場合、AはCH、CR10もしくはNであってDはN、CH、もしくはCR12であり;かつEはH、OH、アルコキシもしくは2−(モルホリノ)エトキシ、−COHまたはCOアルキルであり;かつm=0〜2である)
の構造を有する化合物(その塩、溶媒和物、および水和物を含む)を使用する方法を提供する。
【0023】
変数rは1または2である。rが1の場合、Gは=0(二重結合酸素)であり、rが2の場合、各Gは独立して水素、メチル、エチルまたはプロピルである。R12は、−(CHOH(式中、k=1、2もしくは3)と、−CHNHと、−CHNH−アルキルと、−CHN(アルキル)と、−COHと、−COアルキルと、−OHと、アルコキシと、アリールオキシと、−SHと、−S−アルキルと、−S−アリールと、−SOアルキルと、−SON(アルキル)と、−SONHアルキルと、−SONHと、−SOHと、−SCFと、−CNと、ハロゲンと、−CFと、−NOと、アミノと、置換されたアミノと、−NHSOアルキルと、−CONHとから選択され;かつRおよびR10の各々は、水素と、アルキルと、シクロアルキルと、−(CHOH(n=1〜3)と、−CHNHと、−CHNHアルキルと、−CHN(アルキル)と、ハロゲンと、−CHOと、−CH=NOHと、−COHと、−CO−アルキルと、−S−アルキルと、−SO−アルキルと、−S−アリールと、−SON(アルキル)と、−SONHアルキルと、−SONHと、アルコキシと、−CFと、−SCFと、−NOと、−SOHと、−OHとからなる群から独立して選択される。
【0024】
好ましい実施形態では、本発明の方法では、式2の化合物が利用され、RおよびR**は同一であるかまたは異なり、かつ、RおよびR**のうちの1つは任意に置換されたアルキル(C〜C)であるか、またはRとR**の各々は任意に置換されたアルキル(C〜C)である。
【0025】
別の好ましい実施形態では、本発明の方法では、式2の化合物が利用され、RおよびR**は同一であるかまたは異なり、かつ、RおよびR**のうちの1つは任意に置換されたシクロアルキル(C〜C)であるか、またはRとR**の各々は任意に置換されたシクロアルキル(C〜C)である。
【0026】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明の方法では、式2の化合物が利用され、RおよびR**は同一であるかまたは異なり、かつ、RおよびR**のうちの1つは任意に置換されたアルケニルであるか、またはRとR**の各々は任意に置換されたアルケニルである。そのさらに好ましい実施形態では、アルケニルは、以下の構造
【化3】


(式中、R21、R22、およびR23の各々は、水素と、アルキルと、アリールと、シクロアルキルと、置換されたアリールと、アラルキルと、−(CHOH(式中、k=1、2もしくは3)と、−CHNHと、−CHNH−アルキルと、−CHN(アルキル)と、−COHと、−COアルキルと、−CONHと、−S−アルキルと、−S−アリールと、−SOアルキルと、−SON(アルキル)と、−SONHアルキルと、−SONHと、−SOHと、−SCFと、−CNと、ハロゲンと、−CFと、−NOとからなる群から独立して選択される)
を有する置換されたビニルである。
【0027】
好ましい実施形態では、本発明の方法では、式2の化合物が利用され、RおよびR**は同一であるかまたは異なり、かつRおよびR**のうちの1つは任意に置換されたアルキニルであるか、またはRとR**の各々は任意に置換されたアルキニルである。そのさらに好ましい実施形態では、アルキニルは、
【化4】


(式中、R21は、水素と、アルキルと、シクロアルキルと、アリールと、置換されたアリールと、アラルキルと、−(CHOH(式中、k=1、2もしくは3)と、−CHNHと、−CHNH−アルキルと、−CHN(アルキル)と、−COHと、−COアルキルと、−CONH−アルキルと、−S−アルキルと、−S−アリールと、−SOアルキルと、−SON(アルキル)と、−SONHアルキルと、−SOHと、−SCFと、−CNと、ハロゲンと、−CFと、−NOとからなる群から選択される)
の構造を有する。
【0028】
好ましい実施形態では、本発明の方法では、式2の化合物が利用され、RおよびR**は同一であるかまたは異なり、かつRおよびR**のうちの1つは任意に置換されたフェニルであるか、またはRとR**の各々は任意に置換されたフェニルである。ただし、zが1、AがCR10、DがCR12、JがCR10である化学式2の組み合わせと、zが1、AがCR10、DがCR12、mが2、GがH、メチル、エチルもしくはプロピルである化学式2の組み合わせを除く。
【0029】
好ましい実施形態は、式2(式中、RとR**の各々が任意に置換されたフェニル以外である)の化合物の使用を含む。
【0030】
別の好ましい実施形態は、式2(式中、RまたはR**のうちの1つが任意に置換されたベンジルである)の化合物の使用を含む。
【0031】
さらに好ましい実施形態は、式2(式中、rが1、Gが=0、mが0かつEがOHである)の化合物の使用を含む。
【0032】
好ましい実施形態は、式2(式中、zが1であり、かつRがアルキル(Cより大きい)と、−(CHOH(n=1、2または3)と、−CHNHと、−CHNHアルキルと、−CHN(アルキル)と、−CHOと、−CH=NOHと、−COHと、−CO−アルキルと、−S−アルキルと、−SO−アルキルと、−S−アリールと、アルコキシ(Cより大きい)と、−SCFと、−NOとから選択される)の化合物の使用を含む。
【0033】
1つの好ましい実施形態では、使用される化合物は、式2(式中、zが1であり、かつR10が、アルキル(Cより大きい)と、−(CHOH(n=1、2または3)と、−CHNHと、−CHNHアルキルと、−CHN(アルキル)と、−CHOと、−CH=NOHと、−COHと、−CO−アルキルと、−S−アルキルと、−SO−アルキルと、−S−アリールと、アルコキシ(Cより大きい)と、−SCFと、−NOとから選択される)の構造を有する。
【0034】
別の好ましい実施形態では、使用される化合物は、式2(式中、zが1であり、かつDがCR12である(式中、R12は、−(CHOH(k=1、2または3)と、−CHSOアルキルと、−CHNH−アルキルと、−CHN(アルキル)と、−COHと、−COアルキルと、−CONHと、−OHと、アルコキシ(Cより大きい)と、アリールオキシと、−SHと、−S−アルキルと、−S−アリールと、−SOアルキルと、−SOHと、−SCFと、−CNと、−NOと、−NHSOアルキルと、CONHとから選択される)の構造を有する。
【0035】
さらに好ましい実施形態では、使用される化合物は、式2(式中、zが1であり、かつEがN−(モルホリニル)エトキシ、またはCよりも大きいアルコキシである)の構造を有する。
【0036】
他の好ましい実施形態では、式2(式中、AまたはDが窒素であるかまたはmが2である)の構造を有する化合物が使用される。
【0037】
別の好ましい実施形態では、使用される化合物は、式2(式中、RまたはR**のうちの1つが、1〜5個の置換基で置換された置換されたフェニルであって、その各々はアルキル(Cよりも大きい)と、アリールと、置換されたアリールと、ベンジルと、置換されたベンジルと、−(CHOH(式中、k=1、2もしくは3)と、−CHNH−アルキルと、−CHNH−アルキルと、−CHN(アルキル)と、−COHと、−COアルキルと、−CONHと、−CONHアルキルと、−CON(アルキル)と、−OHと、アルコキシ(Cよりも大きい)と、アリールオキシと、−SHと、−S−アルキルと、−S−アリールと、−SOアルキルと、−SOHと、−SCFと、−CNと、−NOと、アミノと、置換されたアミノと、−NHSO−アルキルと、−OCHCHNHと、−OCHCHNHアルキルと、−OCHCHN(アルキル)と、オキサゾリジン−2−イルと、アルキル−置換されたオキサゾリジン−2−イルとから独立して選択される)の構造を有する。
【0038】
そのさらに好ましい実施形態では、フェニルは、
【化5】


(式中、R24、R25、R26、R27およびR28の各々は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、−(CHOH(式中、k=1、2もしくは3)、−CHNH、−CHNH−アルキル、−CHN(アルキル)、−COH、−COアルキル、−CONH、−CONHアルキル、−CON(アルキル)、−OH、アルコキシ、アリールオキシ、−SH、−S−アルキル、−S−アリール、−SOアルキル、−SON(アルキル)、−SONHアルキル、−SONH、−SOH、−SCF、−CN、ハロゲン、−CF、−NO、アミノ、置換されたアミノ、−NHSO−アルキル、−OCHCHNH、−OCHCHNHアルキル、−OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルからなる群から独立して選択される)
の構造を有する。
【0039】
非常に好ましい実施形態では、本発明は、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸3−ヒドロキシピコリン酸エステルという名称の化学式2(式中、Rは3−クロロ−4−メチルフェニルであるR**と同一であり、Rは水素、R11は水素、AはCH、DはCHでかつEは−OH、m=0、rは1、Gは=0(二重結合酸素)である)の化合物を使用する方法を提供する。
【0040】
非常に好ましい実施形態では、本発明は、ビス(2−メチル−4−クロロフェニル)ボリン酸3−ヒドロキシピコリン酸エステルという名称の式2(式中、Rは2−メチル−4−クロロフェニルであるR**と同一であり、Rは水素、R11は水素、AはCH、DはCHでかつEは−OH、m=0、rは1、Gは=0(二重結合酸素)である)の化合物を使用する方法を提供する。
【0041】
好ましい実施形態では、本発明の方法では、式2(式中、RおよびR**は同一であるかまたは異なり、かつRおよびR**のうちの1つは任意に置換されたベンジルであるか、またはRとR**の各々は任意に置換されたベンジルである)の化合物が使用される。そのさらに好ましい実施形態では、ベンジルは、
【化6】


(式中、R24、R25、R26、R27およびR28の各々は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、−(CHOH(式中、k=1、2もしくは3)、CHNH、−CHNH−アルキル、−CHN(アルキル)、−COH、−COアルキル、−CONH、−CONHアルキル、−CON(アルキル)、−OH、アルコキシ、アリールオキシ、−SH、−S−アルキル、−S−アリール、−SOアルキル、−SON(アルキル)、−SONHアルキル、−SONH、−SOH、−SCF、−CN、ハロゲン、−CF、−NO、アミノ、置換されたアミノ、−NHSOアルキル、−OCHCHNH、−OCHCHNHアルキル、−OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルからなる群から独立して選択される)
の構造を有する。
【0042】
好ましい実施形態では、本発明の方法では、式2(式中、RおよびR**は同一であるかまたは異なり、かつRおよびR**のうちの1つは任意に置換されたヘテロアリールであるか、またはRとR**の各々は任意に置換されたヘテロアリールである)の化合物が利用される。そのさらに好ましい実施形態では、任意に置換されたヘテロアリールは、
【化7】


(式中、XはCH=CH、N=CH、NR33(式中、R33=H、アルキル、アリールもしくはアラルキル)、O、またはSであり;かつXが0、NまたはSの場合、YはCHまたはNであり;かつR31とR32の各々は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、−(CHOH(式中、k=1、2もしくは3)、−CHNH、−CHNH−アルキル、−CHN(アルキル)、−COH、−COアルキル、−CONH、−S−アルキル、−S−アリール、−SOアルキル、−SON(アルキル)、−SONHアルキル、−NHSO−アルキル、−SOH、−SCF、−CN、ハロゲン、−CF、−NO、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルからなる群から独立して選択される)
の構造を有する。
【0043】
好ましい実施形態では、本発明は、式2(式中、Rが水素、R11が水素、AがCH、DがCH、JがCHである)の化合物を使用する方法を提供する。好ましい実施形態では、本発明は、化学式2(式中、Rが水素、R11が水素、AがCH、DがCH、かつEが−OH、m=0、rが1、Gが=0(二重結合酸素)である)の化合物を使用する方法を提供する。
【0044】
本発明の方法のいずれかにおいて有用な化合物の構造により、合成手順および治療的使用の間に、本発明の化合物と会合する溶媒由来の原子を含む構造(式3など)をもたらす可能性がある溶媒相互作用がさらに許容される。したがって、特にかかる溶媒構造が本発明の化合物の少なくとも一部の中、特にホウ素原子と窒素原子の間に巧妙に入り込むことで、かかる化合物の環の大きさが原子の1個もしくは2個分だけ増大する可能性がある。例えば、本発明の構造のホウ素環(boron ring)が、例えば該ホウ素と、1個の窒素と、1個の酸素と、2個の炭素とを含む5個の原子を含む場合、ホウ素と窒素の間に溶媒が巧妙に入り込むとしたら7−員環が得られるであろう。一例では、ヒドロキシルおよびアミノ溶媒の使用によってホウ素原子と窒素原子の環の間に酸素または窒素を含有する構造が得られることで、環の大きさが増大する可能性がある。かかる構造は、好ましくはR***がHもしくはアルキルである場合、本発明によって明示的に検討される。
【化8】

【0045】
本明細書において使用される以下の用語は、本願において他に特別に定義されない限り定められた意味を有する。
本発明における「アルキル」とは、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を意味する。「低級アルキル」と「C〜Cアルキル」という双方の用語は、1〜6個の炭素原子のアルキル基を示す。かかるアルキル基の例として、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、および3−メチルペンチルが挙げられる。
【0046】
「置換されたアルキル」とは、アルコキシと、置換されたアルコキシと、アリールと、置換されたアリールと、アリールオキシと、置換されたアリールオキシと、シクロアルキルと、置換されたシクロアルキルと、ヘテロアリールと、置換されたヘテロアリールと、複素環と、置換された複素環と、ヒドロキシルと、アミノと、置換されたアミノと、カルボキシルと、−カルボキシル−アルキルと、アミドと、チオールと、チオアルキルと、置換されたアルキルチオと、アリールチオと、置換されたアリールチオと、−SO−アルキルと、−SO−アミノと、−SO−置換されたアミノと、−SO−OHと、−SCFと、シアノと、ハロと、ニトロと、−NHSOアルキルとから選択される、1〜5個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1個の置換基を有するアルキル基を意味する。
【0047】
「置換された低級アルキル」とは、置換されたアルキルとして上で定義された如く、1〜5個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1個の置換基で置換された低級アルキル基を意味する。
【0048】
「アルキレン」とは、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜5個の炭素原子、より好ましくは1〜3個の炭素原子を有する二価アルキル基を意味する。この用語は、メチレン、1,2−エチレン、1,3−n−プロピレン、1,4−n−ブチレン、2−メチル−1,4−プロピレンなどの基によって例示される。
【0049】
「置換されたアルキレン」とは、置換されたアルキルとして上で定義された如く、1〜5個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1個の置換基を有するアルキレン基を意味する。
【0050】
「アルコキシ」、「低級アルコキシ」、および「C〜Cアルコキシ」とは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tentブトキシ、ペントキシ、2−ペンチル、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ、および3−メチルペントキシなどの1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルコキシ基を意味する。
【0051】
「置換されたアルコキシ」とは、−O−置換されたアルキルを意味する。
【0052】
「置換された低級アルコキシ」とは、置換されたアルキルとして上で定義された如く、1〜5個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1個の置換基で置換された−O−低級アルキル基を意味する。
【0053】
本発明における「アルケニル」とは、2〜6個の炭素原子、より好ましくは2〜4個の炭素原子を有し、かつアルケニル不飽和の少なくとも1つ、好ましくは1つの部位を有するアルケニル基を意味する。アルケニル基の例として、例えば、ビニル、アリル、n−ブテ−2−エン−1−イルなどが挙げられる。
【0054】
「置換されたアルケニル」とは、ビニル炭素原子上で任意のヒドロキシルまたはチオールの置換がないという条件で、アルコキシと、置換されたアルコキシと、シクロアルキルと、置換されたシクロアルキルと、アリールと、置換されたアリールと、アリールオキシと、置換されたアリールオキシと、ヘテロアリールと、置換されたヘテロアリールと、複素環と、置換された複素環と、ヒドロキシルと、アミノと、置換されたアミノと、カルボキシルと、−カルボキシル−アルキルと、アミドと、チオールと、チオアルキルと、置換されたアルキルチオと、アリールチオと、置換されたアリールチオと、−SO−アルキルと、−SO−アミノと、−SO−置換されたアミノと、−SO−OHと、−SCFと、シアノと、ハロと、ニトロと、−NHSOアルキルと、−C(O)SO−アルキルとから選択された1〜3個の置換基、好ましくは1個の置換基を有するアルケニル基を意味する。
【0055】
用語「アルケニルおよび置換されたアルケニル」とは、シスとトランスの両方の異性体ならびにそれらの混合物を包含する。
【0056】
「アルキニル」とは、2〜6個の炭素原子、より好ましくは2〜4個の炭素原子を有し、かつアルキニル不飽和の少なくとも1つ、好ましくは1つの部位を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基の例として、例えば、アセチレニル、プロパルギル、n−ブテ−2−イン−1−イルなどが挙げられる。
【0057】
「置換されたアルキニル」とは、アセチレン炭素原子上で任意のヒドロキシルまたはチオールの置換がないという条件で、アルコキシと、置換されたアルコキシと、シクロアルキルと、置換されたシクロアルキルと、アリールと、置換されたアリールと、アリールオキシと、置換されたアリールオキシと、ヘテロアリールと、置換されたヘテロアリールと、複素環と、置換された複素環と、ヒドロキシルと、アミノと、置換されたアミノと、カルボキシルと、−カルボキシル−アルキルと、アミドと、チオールと、チオアルキルと、置換されたアルキルチオと、アリールチオと、置換されたアリールチオと、−SO−アルキルと、−SO−アミノと、−SO−置換されたアミノと、−SO−OHと、−SCFと、シアノと、ハロと、ニトロと、−NHSOアルキルと、−C(O)SO−アルキルとから選択された1〜3個の置換基、好ましくは1個の置換基を有するアルキニル基を意味する。
【0058】
「アミノ」とは、−NHを意味する。
【0059】
「置換されたアミノ」とは、−NR’R”基(式中、R’およびR”は、水素と、アルキルと、置換されたアルキルと、アルケニルと、置換されたアルケニルと、アルキニルと、置換されたアルキニルと、アリールと、置換されたアリールと、シクロアルキルと、置換されたシクロアルキルと、ヘテロアリールと、置換されたヘテロアリールと、複素環と、置換された複素環とから独立して選択され、あるいはR’およびR”およびこれらに結合した窒素原子は、R’およびR”がいずれも水素ではないという条件で複素環基または置換された複素環基を形成する)を意味する。
【0060】
「アシルオキシ」とは、−OC(O)アルキル基、−O(C)で置換されたアルキル基、−OC(O)アルケニル基、−OC(O)で置換されたアルケニル基、−OC(O)アルキニル基、−OC(O)で置換されたアルキニル基、−OC(O)アリール基、−OC(O)で置換されたアリール基、−OC(O)シクロアルキル基、−O(CO)で置換されたシクロアルキル基、−OC(O)ヘテロアリール基、−OC(O)で置換されたヘテロアリール基、−OC(O)複素環基、および−OC(O)で置換された複素環基を意味する。
【0061】
「低級アシルオキシ」とは、−OC(O)−低級アルキル(低級アルキルは上で定義されている)を意味する。
【0062】
「アミド」とは、−C(O)アミノおよび−C(O)で置換されたアミノを意味する。
【0063】
用語「ハロゲン」または「ハロ」とは、フッ素、臭素、塩素、およびヨウ素を意味する。
【0064】
〜Cシクロアルキルなどの「シクロアルキル」とは、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルなどの3〜7個の原子を有するシクロアルキル基を意味する。
【0065】
「置換されたシクロアルキル」とは、アルキルと、置換されたアルキルと、アルコキシと、置換されたアルコキシと、シクロアルキルと、置換されたシクロアルキルと、アリールと、置換されたアリールと、アリールオキシと、置換されたアリールオキシと、ヘテロアリールと、置換されたヘテロアリールと、複素環と、置換された複素環と、ヒドロキシルと、アミノと、置換されたアミノと、カルボキシルと、−カルボキシル−アルキルと、アミドと、チオールと、チオアルキルと、置換されたアルキルチオと、アリールチオと、置換されたアリールチオと、−SO−アルキルと、−SO−アミノと、−SO−置換されたアミノと、−SO−OHと、−SCFと、シアノと、ハロと、ニトロと、−NHSOアルキルと、−C(O)SO−アルキルと、ケト(C=O)と、チオケト(C=S)とから選択される1〜3個、好ましくは1個の置換基を有するシクロアルキル基を意味する。
【0066】
「アリール」とは、結合点が芳香族炭素原子を対象とするという条件で、単環(例えばフェニル)、複数の環(例えば、ビフェニル)、または少なくとも1つが芳香族(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、ナフチル、アントリル、もしくはフェナントリル)である複数の縮合環を有する芳香族炭素環式基を意味する。
【0067】
「置換されたアリール」とは、アシルオキシと、アルキルと、置換されたアルキルと、アルコキシと、置換されたアルコキシと、シクロアルキルと、置換されたシクロアルキルと、アリールと、置換されたアリールと、アリールオキシと、置換されたアリールオキシと、ヘテロアリールと、置換されたヘテロアリールと、複素環と、置換された複素環と、ヒドロキシルと、アミノと、置換されたアミノと、カルボキシルと、−カルボキシル−アルキルと、アミドと、チオールと、チオアルキルと、置換されたアルキルチオと、アリールチオと、置換されたアリールチオと、−SO−アルキルと、−SO−アミノと、−SO−置換されたアミノと、−SO−OHと、−SCFと、シアノと、ハロと、ニトロと、−NHSOアルキルと、−C(O)SO−アルキルとから選択される1〜3個、好ましくは1個の置換基を有するアリール基を意味する。一の実施形態では、置換されたアリール基は、ハロと、低級アルキルと、低級アルコキシと、低級チオアルキルと、トリフルオロメチルと、低級アシルオキシと、アリールと、ヘテロアリールと、ヒドロキシとのモノ−、ジ−、またはトリ−置換である。好ましいアリール基はフェニルおよびナフチルを含み、その各々は本明細書において定義される如く、任意に置換される。
【0068】
「アリールオキシ」とは、−O−アリールを意味する。
【0069】
「置換されたアリールオキシ」とは、−O−置換されたアリールを意味する。
【0070】
「アラルキル」とは、−アルキレン基−アリール基、−アルキレンで置換されたアリール基、−置換されたアルキレン基−アリール基および−置換されたアルキレン基−置換されたアリール基を意味する。
【0071】
「カルボキシル」または「カルボキシ」とは、−COOHおよびその塩を意味する。
【0072】
「ヘテロアリール」とは、窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される少なくとも1個、最大で4個のヘテロ原子を含有する5−、6−、または7−員環の1つもしくは複数の芳香環系を意味する。かかるヘテロアリール基には、例えば、チエニル、フラニル、チアゾリル、イミダゾリル、(イソ)オキサゾリル、ピリジル、ピリミジニル、(イソ)キノリニル、ナフチリジニル、ベンジミダゾリル、およびベンゾキサゾリルが含まれる。好ましいヘテロアリールは、チアゾリル、ピリミジニル、好ましくはピリミジン−2−イル、およびピリジルである。他の好ましいヘテロアリール基には、1−イミダゾリル、2−チエニル、1−(もしくは2−)キノリニル、1−(もしくは2−)イソキノリニル、1−(もしくは2−)テトラヒドロイソキノリニル、2−(もしくは3−)フラニルおよび2−テトラヒドロフラニルが含まれる。
【0073】
「置換されたヘテロアリール」とは、置換されたアリールとして上で定義された如く置換された1〜3個、好ましくは1個を有するヘテロアリール基を意味する。
【0074】
「ヘテロアラルキル」とは、−アルキレン基−ヘテロアリール基、−アルキレンで置換されたヘテロアリール基、−置換されたアルキレン基−ヘテロアリール基および−置換されたアルキレン基−置換されたヘテロアリール基を意味する。
【0075】
「複素環」または「ヘテロ環」または「ヘテロシクリル」とは、単環または複数の縮合環と、該環内に1〜10個の炭素原子および窒素、硫黄または酸素からなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する飽和基または不飽和基を示し、融合環系では、1つもしくは複数の該環は、結合点が複素環環原子を対象とするという条件でアリールまたはヘテロアリールでありうることを意味する。
【0076】
「置換された複素環」とは、置換されたシクロアルキルとして定義された置換基のうちの1〜3個、好ましくは1個の該置換基で置換されるヘテロ環基を意味する。
【0077】
「チオール」とは、−SHを意味する。
【0078】
「チオアルキル」とは、−S−アルキルを意味する。「チオ−低級アルキル」とは−S−低級アルキルを意味する。
【0079】
「置換されたアルキルチオ」とは、−S−置換されたアルキルを意味する。
【0080】
「アリールチオ」とは、−S−アリールを意味する。
【0081】
「置換されたアリールチオ」とは、−S−置換されたアリールを意味する。
【0082】
用語「芳香環」とは、任意に置換されたアリール基および任意に置換されたヘテロアリール基を示す。
【0083】
上で定義されたすべての置換基において、置換基をそれ自体に対する更なる置換基と併せて定義することによって得られるポリマー(例えば、置換されたアリール基でそれ自体が置換されている置換基のような、置換されたアリール基を有する置換されたアリールなど)は、意図的に本明細書に包含されるものとしないことが理解される。かかる場合では、上記置換基の最大数は3である。すなわち上の定義の各々は、例えば置換されたアリール基は−置換されたアリール−(置換されたアリール)−置換されたアリールに限定されるといった制限によって制約される。許容されない置換パターンは許容されるものではない。
【0084】
「リガンド」とは、ボリネートエステル部分として付加される一方、ルイス酸のホウ素中心によって配位結合を形成可能である窒素を含有する芳香族系を意味する。かかるリガンドは当業者にとっては既知である。以下の構造において例が示される。
【化9】

【0085】
本発明の化合物は、細菌のメチルトランスフェラーゼなどの主要な微生物酵素の阻害に関与している。本明細書において開示される多数の化合物は、微生物内のメチルトランスフェラーゼに対する選択的阻害剤である一方、哺乳類内のメチルトランスフェラーゼに対しては阻害性を示さない。しかしながら、本発明の化合物の抗菌性は前記酵素の阻害活性を有するものに限定されないばかりか、後者の効果は前記治療活性にとって必ずしも不可欠ではない。
【0086】
本発明は、医薬組成物として本明細書において開示される化合物の実施形態についても提供する。本発明の医薬組成物は、それに関する既知の方法、例えば、従来式の混合、溶解、粒状化、糖剤の作製、粉末化、乳化、カプセル化、包括固定または凍結乾燥のプロセスによって製造することが可能である。
【0087】
したがって、本発明に基づく使用における医薬組成物は、医薬品として使用可能な製剤への活性化合物のプロセシングを促進する賦形剤および助剤を含む1種もしくは複数種の生理学的に許容できる担体を使用する従来の方法で調合されうる。適切な剤形は、選択される投与経路に依存する。
【0088】
非毒性の医薬品の塩には、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸、スルフィン酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ヨウ化水素酸や、酢酸、HOOC−(CH−CH(式中、rは0〜4)などのアルカン酸などの塩が含まれる。非毒性の医薬品の塩基添加塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムなどの塩基、および機能的等価物などの塩が含まれる。当業者であれば、多種多様な非毒性の医薬的として許容できる添加塩について理解するであろう。注射においては、ハンクス溶液、リンガー溶液、または生理食塩水緩衝液などの生理的に同等な緩衝液などの適切な水溶液中で本発明の化合物を調合することが可能である。製剤では、経粘膜的投与および経皮的投与における浸透されるべきバリアに適する浸透剤が使用される。かかる浸透剤は、当該技術分野において一般に知られている。
【0089】
局所投与においては、活性化合物を当該技術分野で周知の薬学的に許容可能な担体と組み合わせることによって該化合物を容易に調合することが可能である。局所適用については、かかる担体によって本発明の化合物をゲル、スラリー、懸濁液および軟膏として調合することが可能である。所望であれば、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、あるいはアルギン酸またはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの崩壊剤を添加してもよい。
【0090】
本発明の疎水性化合物に対する医薬品担体は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水に混和可能な有機ポリマー、および水相を含有する共溶媒系である。共溶媒系はVPD共溶媒系であってもよい。VPDは、無水エタノールにおける容量に対して3% w/vのベンジルアルコール、8% w/vの非極性界面活性剤ポリソルベート80、および65% w/vのポリエチレングリコール300からなる溶液である。VPD共溶媒系(VPD:5W)は、水溶液中で5%デキストロースと1:1で希釈されたVPDからなる。この共溶媒系は疎水性化合物の溶解性がよく、全身投与の際にそれ自体がもたらす毒性は低い。必然として共溶媒系の割合は、その溶解度および毒性についての特性を壊すことなくかなり変化しうる。さらに共溶媒成分の特性は変化しうる。例えば、他の低毒性の非極性界面活性剤をポリソルベート80の代わりに使用してもよく;ポリエチレングリコールの分画サイズを変化させてもよく;他の生体適合性ポリマーを、ポリビニルピロリドンを例とするポリエチレングリコールの代わりに使用し、かつ他の糖もしくは多糖類をデキストロースの代わりに使用してもよい。
【0091】
あるいは、疎水性医薬化合物に対する他の送達系を使用してもよい。リポソームおよびエマルジョンは、疎水性薬剤に対する送達媒体または担体の周知の例である。ジメチルスルホキシドなどの特定の有機溶媒も使用可能であるが、より高い毒性を犠牲にするのが常である。さらに、治療作用物質を含有する固体疎水性ポリマーの半透性のマトリックスなどの徐放系を使用して化合物を送達してもよい。様々な徐放性材料は確立されたものであり、当業者には周知である。徐放性カプセルは、それらの化学的性質に依存して数週間から最大で100日を超える期間にわたって化合物を放出することが可能である。治療用試薬の化学的性質および生物学的安定性に応じ、タンパク質および核酸の安定化に対する更なる戦略を用いてもよい。
【0092】
医薬組成物は、適切な固相またはゲル相の担体または賦形剤をも含有しうる。かかる担体または賦形剤の例として、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、澱粉、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。本発明の化合物を医薬的に同等な対イオンを含む塩として提供してもよい。塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、琥珀酸、リン酸、臭化水素酸、スルフィン酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ヨウ化水素酸や、酢酸、HOOC−(CH−CH(式中、rは0〜4)などのアルカン酸などを含む(がこれらに限定されない)多数の酸によって医薬的に同等な塩を形成してもよい。塩は、対応する遊離塩基形態よりも水性溶媒中または他のプロトン性溶媒中において可溶性が高い傾向にある。非毒性の医薬品の塩基添加塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムなどの塩基の塩が含まれる。当業者であれば、多種多様な非毒性の薬学的に許容可能な添加塩について理解するであろう。
【0093】
本発明の化合物の医薬組成物を調合し、全身投与、限局性の投与、または局所投与を含む種々の手段を介して投与してもよい。調合および投与のための技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、マック・パブリッシング(Mack Publishing Co.)、Easton、ペンシルバニア州に見られる。体内の所望の標的部位に向けて最大限送達するのに投与モードを選択してもよい。適切な投与経路は、例えば、経口投与、直腸投与、経粘膜投与、経皮投与、または経腸投与を含みうる。筋肉内注射、皮下注射、および脊髄内注射、ならびに髄腔内注射、直接脳室内注射、静脈内注射、腹腔内注射、鼻腔内注射、または眼内注射を含む非経口送達についても考えられる。
【0094】
本発明における使用に適する医薬組成物は、活性成分がその意図される目的達成のための有効量の中に含有されている組成物を含む。より詳細には、治療有効量とは、治療対象において現れている兆候の進行を予防するかまたは緩和するための有効量を意味する。有効量は、当業者の能力の範囲内で、特に本明細書において提供される詳細な開示を考慮することで十分に決定可能である。
【0095】
本明細書において開示される如く、最初に細胞培養アッセイから、本発明の方法において使用される任意の化合物に対する治療有効量を見積もることが可能である。例えば、動物モデルにおいてある用量を調合することで、細胞培養において測定されたEC50(50%増に対する有効用量)すなわち細菌細胞の成長を最大半量分阻害する試験化合物の濃度を含む循環濃度範囲が得られる。かかる情報を用いることで、ヒトにおける有効用量をより正確に判断することが可能である。
【0096】
しかし、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般健康、性別、食生活、投与時間、投与経路、および排泄の頻度、薬剤の組み合わせ、治療中の特定の疾患の重症度および処方医師の判断を含む種々の因子に依存することが理解されるであろう。
【0097】
非ヒト動物への投与においては、薬剤または薬剤を含有する医薬組成物は、動物飼料または飲料水に添加される場合もある。動物がその食習慣に応じて適切な量の薬剤を服用するように、動物飼料および飲料水の製品と所定の用量の薬剤を調合することは好都合であろう。動物による消費のほぼ直前に薬剤を含有する予混合物を飼料または飲料水に添加することも好都合であろう。
【0098】
本発明の好ましい化合物が特定の薬理学的特性を有する可能性について考慮される。かかる特性には、経口でのバイオアベイラビリティ、低毒性、低下した血清タンパク質結合およびインビトロおよびインビボでの望ましい半減期が含まれる(がこれらに限定されない)。アッセイを利用することで、これらの望ましい薬理学的特性を予測可能である。
【0099】
バイオアベイラビリティを予測するのに用いられるアッセイには、Caco−2細胞単層を含むヒト腸細胞単層を横切る輸送が含まれる。血清タンパク質の結合については、アルブミン結合アッセイから予測することが可能である。かかるアッセイについては、オラフコヴァ(Oravcova)ら(1996年、J.Chromat.B677:1〜27頁)によるレビューの中で説明されている。化合物の半減期は、化合物の投薬の頻度に反比例する。クーンズ(Kuhnz)およびギーシェン(Gieschen)(Drug Metabolism and Disposition、(1998年)、第26巻、1120〜1127頁)によって説明されるように、インビトロにおける化合物の半減期はミクロソームの半減期に関するアッセイから予測可能である。
【0100】
かかる化合物の毒性および治療有効性は、例えばLD50(集団の50%を死に至らせる用量)およびED50(集団の50%に治療上有効な用量)を測定するための細胞培養または実験動物における標準医薬品の手続き(standard pharmaceutical procedures)によって判断可能である。毒性と治療効果の間の用量比は治療指数であり、それはLD50とED50の間の比として表現されうる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物試験から得られるデータは、ヒトへの使用におけるある用量範囲を調合する場合に使用可能である。かかる化合物の用量は、好ましくは毒性をほとんどもしくは全く含まないED50を含む循環濃度の範囲内にある。該用量は、利用される剤形および利用される投与経路に依存してこの範囲内で変化しうる。個々の医師により、患者の状態を考慮して正確な調合、投与経路および用量が選択されうる(例えば、フィングル(Fingl)ら、1975年、The Pharmacological Basis of Therapeutics、1章、l頁を参照)。投薬量や投与間隔を個別に調節することで、細菌細胞の成長阻害効果を維持するのに十分な活性部分の血漿レベルが得られる。全身投与における患者への常用量は100〜2000mg/日の範囲である。患者の体表面積の観点から述べると、常用量は50〜910mg/m/日の範囲である。通常の平均血漿レベルは0.1〜1000μMの範囲内で維持される必要がある。局所投与または選択的取込みの場合、化合物の有効な局所濃度と血漿濃度との間に関連性はありえない。
【0101】
上記によると、本発明は、動物、好ましくはヒト患者における表面感染に対する治療および/または予防を行う方法であって、かかる表面感染に苦しむもしくはそのように苦しむようになる危険性がある動物または患者に対し、化学式1または化学式2の構造を有する化合物の有効量(すなわち治療有効量)を投与する工程を含む、方法に関する。かかる方法の好ましい実施形態では、化合物は、本明細書において開示される抗生物質、好ましくは本発明によって列挙される好ましい置換基のいずれかまたは置換基の組み合わせを有する抗生物質である。
【0102】
好ましい一の実施形態では、表面感染は皮膚の炎症である。他の実施形態では、かかる表面感染または表面状態は、肺または消化管、特にその口腔もしくは肛門腔などの体の他の一部分に害を及ぼす可能性があり、かかる器官の表面は感染部位である。
【0103】
好ましい実施形態では、炎症とは、尋常性座瘡、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎、歯周病、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性腸疾患、または関節炎、より好ましくは座瘡、最も好ましくは尋常性座瘡または酒さのうちの1つである。
【0104】
別の好ましい実施形態では、炎症とは乾癬である。さらに好ましい実施形態では、炎症とは喘息である。
【0105】
さらに好ましい実施形態では、炎症とは関節炎である。本発明は、動物、好ましくはヒト患者における炎症誘発性サイトカインの産生を遮断する方法や、発明の他の任意の方法における使用に対する上で開示された化合物と同一の好ましい構造を有する有効量の化合物にも関する。上記の好ましい実施形態では、サイトカインは、IL−1β(インターロイキン1−β)、TNF(腫瘍壊死因子)−α、IL−6およびIL−8のうちの1つもしくは複数である。
【0106】
特許および出願特許を含む、すべての論文および参考文献の本願における開示は、その全体が参照として本明細書において援用される。本発明の手順を実施する場合には、特定の緩衝液、媒体、試薬、細胞、培養状態などに関する参考文献は、限定を意図するものではないが、一当業者であれば興味深いものと理解し、あるいは検討される特定の文脈において重視するといったすべての関連材料を含むものとして読まれるべきであることは理解されて当然である。例えば、1つの緩衝液系または培地を別のものに代えて用いてもやはり類似の(同一でない場合)結果を得ることが可能である場合が多い。当業者であれば、かかる系の十分な知見および方法を有することで、本明細書において開示される方法および手順を利用する場合、必要以上の実験を行うことなくかかる代替物をそれらの目的に最適に役立つものとして作製できるであろう。
【実施例】
【0107】
5.実施例
本発明を以下の限定のない実施例においてより詳細に説明する。これらの方法および実施例は、本明細書に記載の実施形態に対して本発明を限定するものでは決してなく、他の実施形態および使用自体が疑いなく当業者に対して示唆を与えることが理解されるべきである。
【0108】
National Committee for Clinical Laboratory Standards(NCCLS)によって規定されるガイドラインおよび手順(NCCLS Document M7−A3、1993−Antimicrobial Susceptibility testingを参照のこと)により、本発明の化合物は、それらの抗菌活性について評価される。
【0109】
5.1 MICの測定
5.1.1 最小阻害濃度(MIC)を測定するためのプロトコル
MICの測定にとって有用なプロトコルは以下の通りである。
1. 試験対象の化合物を約2.5mg秤量し、クライオバイアル内に入れた。
2. 適宜DMSOを試料に添加することによって5mg/mlのストック溶液を作製した。
3. 5mg/mlのストック溶液を使用し、滅菌蒸留水を適宜添加することによって256μg/mlの使用溶液を作製した。
4. ベックマン(Beckman)製2000 Automated Workstationをプログラムすることで96−ウェルプレートに以下の培養液および化合物を入れた。
○適切な培養液100μlを列1〜11に添加した。
○適切な培養液200μlを列12に添加した。
○256μg/mlの使用溶液にて化合物100μlを列1に添加した(1行につき1化合物)。
○列1から列10にかけて2倍連続希釈を行った。
○列11は成長対照(growth control)として機能した。
5. −80℃で保存され、34℃で24時間インキュベートされたストック用バイアルから10の生物集団を蒔いた。次いで、該生物を継代培養し、34℃で24時間インキュベートした。
○波長620nmで吸光度0.09〜0.11の標的を含む滅菌蒸留水中でまず接種物を調製した。
○1/100希釈物を作製し、適切な培養液中に入れた。
○生物を含む培養液100μlを列1〜11に添加した。
○列12はブランク対照(blank control)として機能した。
6. 完成した96−ウェルプレートを34℃で24時間インキュベートした。次いで、波長650nmでベックマン(Beckman)製Automated Plate Readerを使用して96−ウェルプレートの読み取りを行った。成長対照(列11)およびブランク対照(列12)に関する計算を通してMICを測定した。
【0110】
5.1.2 MICの計算
Biomek Automated Plate Readerからの吸光度の読み取り値を用いることで各試験ウェルにおける阻害率(%)を決定する。用いられる公式は以下の通りである。
【数1】


ABS試験:試験ウェルの吸光度
ABSブランク:試験ウェルと同じ行内のブランクウェル(列12)の吸光度
ABS成長:成長対照ウェル(列11)の平均吸光度
【0111】
最小阻害濃度(MIC)については、阻害率が80%より大きいかもしくは等しい化合物の最低濃度にて見出される。
【0112】
これらの手順を用いることで、ミリリットル当たりのマイクログラム(mcg/ml)として表される値でMIC(最小阻害濃度)として表1内に示される、化合物10〜19に対する代表的な微生物学的データを得た。
【0113】
5.2 LPSで刺激されたヒト末梢血単球(PBMC)由来のIL−β、IL−6、またはTNF−αの分泌阻害
1%ペニシリンおよび1%ストレプトマイシンを加えたRPMI1640培地内に懸濁したPBMC(5×10細胞)を試験化合物、参照化合物、または培地(対照)とともに37℃で30分間プレインキュベートする。その後、1μg/mlのLPSを添加することでサイトカインの分泌を誘発し、混合物を37℃で24時間インキュベートする。基礎的な対照測定を行うため、インキュベーション培地からLPSを除く。インキュベーション後、試料を250×g、4℃で5分間遠心分離し、上清を回収する。上清中に存在する分泌されたIL−β、IL−6、またはTNF−αの量をEIA検出キット(R&Dシステムズ)を使用して定量する。マイクロプレートリーダー(ウルトラ(Ultra)、テカン(Tecan))を用いて光度測定を行う。その結果をLPSによって誘発される対照の分泌の阻害率(%)として表す。IL−β、IL−6またはTNF−αに対する標準の阻害性参照化合物はそれぞれ、シクロヘキシミドとデキサメタゾンであり、これらを各実験において数種類の濃度で試験することでそれらのIC50値の算出の基となる阻害曲線が得られる(シンドラー、R.(Schindler、R.)ら、(1990年)「Correlations and interactions in the production of interleukin−6(IL−6)、IL−1、and tumor necrosis factor(TNF) in human blood mononuclear cells:IL−6 suppresses IL−1 and TNF」、Blood、75:40頁)。
【0114】
これらの手順を用いることで、表2に示される代表的な化合物10〜11によるサイトカイン放出の阻害(および選択性)について測定した。したがって、本発明は、最も好ましくは2基置換されたボリン酸由来の一般にボリン酸複合体と呼ばれる抗生物質を提供する。
【0115】
5.3 ボリネート複合体
5.3.1 合成の概要
本発明の化合物の合成はいくつかの形式で行われる。反応スキーム1は、中間体であるボリン酸の合成や、それに続く所望のボリン酸複合体へのそれらの変換について示す。RとR**が同一である場合、2当量のハロゲン化アリールマグネシウム(またはアリールリチウム)とホウ酸トリアルキルとの反応と、その後の酸性加水分解によって所望のボリン酸5が得られる。RおよびR**が同一でない場合、1当量のハロゲン化アリールマグネシウム(またはアリールリチウム)と適切なアリール(ジアルコキシ)ボラン(4)、ヘテロアリール(ジアルコキシ)ボランまたはアルキル(ジアルコキシ)ボラン(メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、もしくはプロポキシ部分からなるアルコキシ基)との反応と、その後の酸性加水分解によって極めて高い収率で非対称ボリン酸6が得られる。適用可能な場合、アルキレンエステル(3、T=単結合、CH、CMe)と適切な有機セリウム、有機リチウム、有機マグネシウムまたは等価な反応物質との反応は好都合である。
【0116】
スキーム1に示されるように、適切な溶媒(すなわち、エタノール、イソプロパノール、ジオキサン、エーテル、トルエン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、もしくはテトラヒドロフラン)中で1当量の所望の複素環リガンドと反応させることにより、前駆物質のボリン酸からホウ酸複合体が得られる。
【化10】

【0117】
特定の状態では、本発明の化合物は1個もしくは複数個の不斉炭素原子を含有しうることから、該化合物は異なる立体異性形態で存在しうる。これらの化合物は、例えばラセミ化合物または光学活性体でありうる。これらの状態では、単一の光学異性体すなわち光学活性体は、不斉合成またはラセミ化合物の分割によって得られる。例えば、分割剤の存在下での結晶化、または例えばキラルHPLCカラムを使用するクロマトグラフィーなどの従来の方法により、ラセミ化合物の分割を行うことができる。本発明の代表的な化合物には、本明細書において開示される化合物ならびにそれらの薬学的に許容可能な酸添加塩および塩基添加塩が含まれるがこれらに限定されない。さらに、本発明の化合物が酸添加塩として得られる場合、酸性塩の溶液を塩基性化することによって遊離塩基が得られる。逆に生成物が遊離塩基である場合、遊離塩基を適切な有機溶媒中に溶解し、塩基化合物からの酸5の添加塩の調製における従来の手順に従って溶液を酸で処理することにより、添加塩、特に薬学的に許容可能な添加塩が生成しうる。好ましい実施形態では、本発明の化合物は、化合物10〜16(下記)のいずれかや、それらの変形を含有する。表1には、既知の参照抗生物質に対する阻害活性も含まれる。
【0118】
【表1】

【0119】
本発明は、本発明の化合物のアシル化されたプロドラッグも包含する。当業者であれば、本発明の化合物の非毒性の薬学的に許容可能な添加塩およびアシル化されたプロドラッグを調製するのに利用可能な様々な合成方法について理解するであろう。
【0120】
代表的な化合物10、11、および30〜35を含む表2に炎症誘発性サイトカインの放出の選択的阻害について示す。一般に、本発明において有用な化合物は、25μMの濃度で目的の炎症誘発性サイトカインを少なくとも10%阻害することを示すか、またはそれに対応するIC50値を有する。
【0121】
【表2】

【0122】
5.3.2 特定の合成例
5.3.2.1 共通の合成手順
プロトンNMRをバリアン(Varian)製AS400分光計で記録し、化学シフトをテトラメチルシランからのδ(ppm)ダウンフィールドとして報告する。マススペクトルをマイクロマス(Micromass)製Quattro Uで測定する。括弧内に化合物数を示し、これは表1および表2における数に対応する。
【0123】
5.3.2.1.1 エチレングリコールボロネートエステル(3、T=単結合)の形成の一般的手順
ホウ酸を窒素下で乾燥THFまたは乾燥ジエチルエーテル(約10mL/g)の中に溶解した。エチレングリコール(1モル当量)を反応物に添加し、反応物を加熱することで1〜4時間還流した。反応物を室温まで冷却し、減圧下で溶媒を除去することで、オイル状または固体状のエチレングリコールエステルが残存した。オイルを得たかまたはヘキサン中に溶解した固体を得た場合には、乾燥ヘキサンを添加し、それを減圧下で除去した。次いで生成物を高真空下に数時間置いた。ヘキサン中に溶解しなかった固体を得た場合には、固体を濾過によって回収し、冷ヘキサンで洗浄した。
【0124】
5.3.2.1.1.1 シアノフェニルホウ酸エチレングリコールエステル(3a)
3−シアノフェニルホウ酸(1g、6.8mmol)を窒素下で乾燥THF(10mL)中に溶解した。エチレングリコール(379μL、422mg、6.8mmol)を添加し、反応物を加熱することで4時間還流し、次いで室温まで冷却した。回転蒸発器によってTHFを除去することで白色固体を得た。冷ヘキサンを添加し、濾過によって生成物を回収し、白色固体(1.18g、定量的収率)を得た。H−NMR(300.058MHz、DMSO−d6)δppm7.92〜8.01(3H、m)、7.50−7.64(1H、m)、4.35(4H、s)。
【0125】
5.3.2.1.1.2 チオフェン3−ホウ酸エチレングリコールエステル(3b)
チオフェン−3−ホウ酸(1g、7.8mmol)を窒素下で乾燥THF(10mL)中に溶解した。エチレングリコール(435μL、484mg、7.8mmol)を添加し、反応物を加熱することで1時間還流し、次いで室温まで冷却した。回転蒸発器によってTHFを除去することで白色固体を得た。ヘキサンを添加することで固体を溶解し、回転蒸発によって除去した。生成物を高真空下に置くことで淡褐色の固体(1.17g、97%)を得た。H−NMR(300.058MHz、CDCl)δppm 7.93(1H、s)、7.3〜7.4(2H、m)、4.35(4H、s)。
【0126】
5.3.2.2 ホウ酸エチレングリコールエステルからの非対称ボリン酸(6)の形成の一般的手順A:グリニヤール(Grignard)法
ホウ酸エチレングリコールエステルを窒素下で乾燥THF(10〜20mL/g)中に溶解した。溶液をアセトン−ドライアイス槽内で−78℃または氷/水層内で0℃に冷却した。グリニヤール試薬(0.95〜1.2モル当量)を冷却した溶液に液滴状に添加した。反応物を室温まで暖め、3〜18時間撹拌した。6N HCl(2mL/g)を添加し、低真空下で溶媒を除去した。生成物をジエチルエーテル(40mL/g)中に抽出し、水(3×同容量)で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を回転蒸発によって除去することで粗生成物を得た。これをカラムクロマトグラフィーによって精製するかまたは精製することなく次の工程に使用した。代替案として、ボリン酸生成物がアミンもしくはピリジンなどの塩基性基を含有した場合、室温で3〜18時間撹拌した後、水(2mL/g)を添加し、pHを5〜7に調節した。生成物をジエチルエーテル(40mL/g)中に抽出し、水(3×同容量)で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を回転蒸発によって除去することで粗生成物を得た。これをカラムクロマトグラフィーによって精製するかまたは精製することなく次の工程に使用した。
【0127】
5.3.2.2.1 (4−シアノフェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸(6a)
4−シアノフェニルホウ酸エチレングリコールエステル(500mg、2.89mmol)を窒素下で乾燥THF中に溶解した。溶液をアセトン−ドライアイス槽内で−78℃に冷却し、3−フルオロフェニルマグネシウムブロマイド(THF中1M、2.74mL、2.74mmol、0.95モル当量)を低温溶液に液滴状に添加した。反応物を室温まで徐々に暖めておき、18時間撹拌した。6N HCl(1mL)を反応物に添加することで濁りを生じさせ、回転蒸発器を使用して溶媒を除去した。生成物をジエチルエーテル(20mL)中に抽出し、水(3×20mL)で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を、回転蒸発器を使用して除去することで油性固体として粗生成物を得た。これを精製することなく次の工程に使用した。
【0128】
5.3.2.3 一般的手順B:(ヘテロ)アリール−リチウム法
(ヘテロ)アリール−臭化物もしくはヨウ化物を窒素下で乾燥THF(20〜30mL/g)中に溶解し、脱気した。溶液をアセトン/ドライアイス槽中で−78℃に冷却し、THF中、n−、sec−もしくはtert−ブチルリチウムまたは他の溶媒(1.5〜2.4モル当量)を冷却した溶液に液滴状に添加することで、一般に溶液の濃黄色への変化が生じた。ホウ酸エチレングリコールエステル(1モル当量)を窒素下で乾燥THF中またはジエチルエーテル(2〜5mL/g)中に溶解した。THF中、ホウ酸エチレングリコールエステルを冷却したアリール−リチウム溶液に液滴状に添加することで、一般に溶液の浅黄色への変化が生じた。反応物を室温まで暖め、3〜18時間撹拌した。6N HCl(2〜4mL/g)を添加し、溶媒を低真空下で除去した。生成物をジエチルエーテル(40mL/g)中に抽出し、水(3×同容量)で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を回転蒸発によって除去することで粗生成物を得た。これをカラムクロマトグラフィーによって精製するかまたは精製することなく次の工程に使用した。代替案として、ボリン酸生成物がアミンもしくはピリジンなどの塩基性基を含有した場合、室温で3〜18時間撹拌した後、水(2mL/g)を添加し、pHを5〜7に調節した。生成物をジエチルエーテル(40mL/g)中に抽出し、水(3×同容量)で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を回転蒸発によって除去することで粗生成物を得た。これをカラムクロマトグラフィーによって精製するかまたは精製することなく次の工程に使用した。
【0129】
5.3.2.3.1 (3−チエニル)(3−クロロフェニルボリン酸(6b)
3−クロロ−ブロモベンゼン(447μL、728mg、3.8mmol)を窒素下で乾燥THF(15mL)中に溶解した。溶液を脱気し、アセトン/ドライアイス槽中で−78℃に冷却し、tent−ブチルリチウム(THF中1.7M)(4.47mL、7.6mmol、2モル当量)を冷却した溶液に液滴状に添加することで、溶液の濃黄色への変化が生じた。溶液を−78℃で撹拌しながら、3−チオフェンホウ酸エチレングリコールエステル(586mg)を乾燥ジエチルエーテル(1mL)中に溶解した。次いで、ボロン酸エステル溶液を冷却した溶液に液滴状に添加することで、溶液の浅黄色への変化が生じた。反応物を室温まで暖め、18時間撹拌した。6N HCl(2mL)を添加し、反応物を1時間撹拌した。回転蒸発器を使用して溶媒を除去した。生成物をジエチルエーテル(10mL)中に抽出し、水(2×10mL)で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を回転蒸発器を使用して除去することでオレンジ油として粗生成物を得た。生成物を溶離剤としてシリカゲルおよび5:1のヘキサン:酢酸エチルを使用したカラムクロマトグラフィーによって精製することで、透明オイル(614mg、73%)として純粋な生成物を得た。
【0130】
5.3.2.3.2 (3−クロロフェニル)ビニルボリン酸(6c)
3−シアノフェニルホウ酸エチレングリコールエステルとビニルリチウムとの反応による、6bにおける説明に類似のプロセスによってこれを調製した。
【0131】
5.3.2.3.3 (3−フルオロ−5−クロロフェニル)エチニルボリン酸(6d)
3−フルオロ−5−クロロフェニルホウ酸エチレングリコールエステルとエチニルリチウムとの反応による、6bにおける説明に類似のプロセスによってこれを調製した。
【0132】
5.3.2.3.4 (4−メチル−3−クロロフェニル)(2−チエニル)ボリン酸(6e)
2−チエニルホウ酸エチレングリコールエステルと4−メチル−3−クロロフェニルリチウムとの反応による、6bにおける説明に類似のプロセスによってこれを調製した。
【0133】
5.3.2.3.5 (4−シアノフェニル)エチニルボリン酸(6f)
4−シアノフェニルホウ酸エチレングリコールエステルとエチニルリチウムとの反応による、6bにおける説明に類似のプロセスによってこれを調製した。
【0134】
5.3.2.3.6 (3−フルオロフェニル)シクロプロピルボリン酸(6g)
3−フルオロフェニルホウ酸エチレングリコールエステルとシクロプロピルリチウムとの反応による、6bにおける説明に類似のプロセスによってこれを調製した。
【0135】
5.3.2.3.7 (3−チエニル)メチルボリン酸(6h)
3−チエニルホウ酸エチレングリコールエステルとメチルリチウムとの反応による、6bにおける説明に類似のプロセスによってこれを調製した。
【0136】
5.3.2.3.8 (4−ピリジル)フェニルボリン酸(6i)
フェニルホウ酸エチレングリコールエステルと4−ピリジルリチウムとの反応による、6bにおける説明に類似のプロセスによってこれを調製した。
【0137】
5.3.2.3.9 (3−シアノフェニル)(2−フルオロフェニル)ボリン酸(6j)
3−シアノフェニルホウ酸エチレングリコールエステルと2−フルオロフェニルリチウムとの反応による、6bにおける説明に類似のプロセスによってこれを調製した。
【0138】
5.3.2.4 有機金属とホウ酸トリアルキルとの反応による対称ボリン酸(5)の形成
5.3.2.4.1 ビス(4−クロロフェニル)ボリン酸(5a)(手順C)
乾燥テトラヒドロフラン(THF、25mL)中、ホウ酸トリメチル(0.37mL)の低温溶液(−78℃)を4−クロロフェニルマグネシウムブロマイド(6.75mL、エーテル中1M溶液)で液滴状に処理した。反応混合物を−78℃で1時間撹拌し、次いで室温で18時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。生成残留物をエーテル100mLおよび6N塩酸15mLを加えて撹拌した。有機層を分離し、水層をエーテル(2×100mL)で抽出した。結合した有機抽出物を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムの上で乾燥させた。溶媒を除去することで淡黄色がかった固体を得た。生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(Hex:Ether=1:1)にかけることで、ボリン酸420mgを得た。H−NMR(400MHz、CDCl)δ:5.84(s、OH)、7.46(d、4H、Ar−H)、7.72(d、4H、Ar−H)。
【0139】
5.3.2.4.2 ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸(5b)
5aの場合と同様に、3−クロロ−4−メチルフェニルマグネシウムブロマイドとホウ酸トリメチルとの反応によって標題の化合物を得た。シリカゲル上のクロマトグラフィーによって生成物を得た。
【0140】
5.3.2.4.3 ビス(3−フルオロ−4−メチルフェニル)ボリン酸(5c)
5aの場合と同様に、3−フルオロ−4−メチルフェニルリチウムとホウ酸トリメチルとの反応によって標題の化合物を得た。シリカゲル上のクロマトグラフィーによって生成物を得た。
【0141】
5.3.2.4.4 ビス(3−クロロ−4−メトキシフェニル)ボリン酸(5d)
5aの場合と同様に、3−クロロ−4−メトキシフェニルリチウムとホウ酸トリメチルとの反応によって標題の化合物を得た。シリカゲル上のクロマトグラフィーによって生成物を得た。
【0142】
5.3.2.4.5 ビス(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ボリン酸(5e)
5aの場合と同様に、3−フルオロ−4−メトキシフェニルリチウムとホウ酸トリメチルとの反応によって標題の化合物を得た。シリカゲル上のクロマトグラフィーによって生成物を得た。
【0143】
5.3.2.5 有機金属とアルキル(アリール)ジアルコキシボランとの反応による非対称ボリン酸(6)の形成
5.3.2.5.1 (4−クロロフェニル)メチルボリン酸(6k)(手順D)
−78℃で4−クロロフェニルマグネシウムブロマイド(5.5mL、エーテル中1M溶液)に、ジ(イソプロポキシ)メチルボラン(1mL、0.78g)をシリンジで液滴状に添加した。反応混合物を−78℃で1時間撹拌し、次いで周囲温度で一晩撹拌した。反応混合物をエーテル100mLおよび6N塩酸15mLで液滴状に処理し、1時間撹拌した。有機層を分離し、水層をエーテル(2×100mL)で抽出した。結合した有機抽出物を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去することで、1.1gのオイルを得た。生成物のH−NMRは、(4−クロロフェニル)メチルボリン酸の場合と一致した。
【0144】
5.3.2.5.2 (4−フルオロフェニル)メチルボリン酸(6m)
6kの場合と同様に、4−フルオロフェニルマグネシウムブロマイドとジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応によって標題の化合物を得た。シリカゲル上のクロマトグラフィーによって生成物を得た。
【0145】
5.3.2.5.3 (4−ビフェニル)メチルボリン酸(6n)
6kの場合と同様に、4−ビフェニルリチウムとジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応によって標題の化合物を得た。シリカゲル上のクロマトグラフィーによって生成物を得た。
【0146】
5.3.2.5.4 (3−クロロ−4−メチルフェニル)メチルボリン酸(6o)
6kの場合と同様に、3−クロロ−4−メチルフェニルリチウムとジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応によって標題の化合物を得た。シリカゲル上のクロマトグラフィーによって生成物を得た。
【0147】
5.3.2.5.5 (3−クロロ−4−メトキシフェニル)メチルボリン酸(6p)
6kの場合と同様に、3−クロロ−4−メトキシフェニルリチウムとジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応によって標題の化合物を得た。シリカゲル上のクロマトグラフィーによって生成物を得た。
【0148】
5.3.2.5.6 (4−ジメチルアミノフェニル)メチルボリン酸(6q)
6kの場合と同様に、4−ジメチルアミノフェニルリチウムとジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応によって標題の化合物を得た。シリカゲル上のクロマトグラフィーによって生成物を得た。
【0149】
5.3.2.5.7 (3−クロロ−4−ジメチルアミノフェニル)ビニルボリン酸(6r)
6kの場合と同様に、3−クロロ−4−ジメチルアミノフェニルリチウムとジ(ブトキシ)ビニルボランとの反応によって標題の化合物を得た。シリカゲル上のクロマトグラフィーによって生成物を得た。
【0150】
5.3.3 ピコリネート誘導体
5.3.3.1 ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸3−ヒドロキシピコリン酸エステル(10)
ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸(14.6g)をエタノール(120mL)中に溶解して加熱することで還流した。3−ヒドロキシピコリン酸(5.83g)を高温溶液に数回に分けて添加した。3−ヒドロキシピコリン酸の最終部分を添加した後、反応物を還流で15分間撹拌し、次いで室温にまで冷却した。揮発分の一部を除去することによって反応物を濃縮した。濾過によって固体を除去した。エタノールから1回再結晶化することにより、白色結晶(13.4g)の標題の生成物を得た。mp=165.0〜166.5℃、MS(ESI+):m/z=400(M+1)。
【0151】
5.3.3.2 ビス(2−メチル−4−クロロフェニル)ボリン酸3−ヒドロキシピコリン酸エステル(11)
5.3.3.1節の場合と同様に、ビス(2−メチル−4−クロロフェニル)ボリン酸と3−ヒドロキシピコリン酸とから標題の化合物を調製することで、白色の結晶性固体を得た。MS(ESI+):m/z=400(M+1)。
【0152】
5.3.3.3 (3−クロロ−4−メチルフェニル)(フェネチル)ボリン酸3−ヒドロキシピコリン酸エステル(12)
5.3.3.1節の場合と同様に、(3−クロロ−4−メチルフェニル)(フェネチル)ボリン酸と3−ヒドロキシピコリン酸とから標題の化合物を調製することで、白色の結晶性固体を得た。MS(ESI+):m/z=378(M+1)。
【0153】
5.3.3.4 (3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロフェニル)(2−フルオロ−4−クロロフェニル)ボリン酸3−ヒドロキシピコリン酸エステル(13)
5.3.3.1節の場合と同様に、(2−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロフェニル)(2−フルオロ−4−クロロフェニル)ボリン酸と3−ヒドロキシピコリン酸とから標題の化合物を調製することで、白色の結晶性固体を得た。MS(ESI+):m/z=488(M+1)。
【0154】
5.3.3.5 ビス(2−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸3−カルボキシピコリン酸エステル(14)
5.3.3.1節の場合と同様に、ビス(2−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸とピリジン−2,3−ジカルボキシル酸とから標題の化合物を調製することで、白色の結晶性固体を得た。MS(ESI+):m/z=426(M+1)。
【0155】
5.3.3.6 (2−メトキシ−5−クロロフェニル)(3−クロロフェニル)ボリン酸3−ヒドロキシピコリン酸エステル(15)
5.3.3.1節の場合と同様に、(2−メトキシ−5−クロロフェニル)(3−クロロフェニル)ボリン酸と3−ヒドロキシピコリン酸とから標題の化合物を調製することで、白色の結晶性固体を得た。HPLC:220nmで95.6%の純度。
【0156】
5.3.3.7 ビス(3−クロロフェニル)ボリン酸6−アセチルアミノ−3−ヒドロキシピコリン酸エステル(16)
5.3.3.1節の場合と同様に、ビス(3−クロロフェニル)ボリン酸と6−アセチルアミノ−3−ヒドロキシピコリン酸とから標題の化合物を調製することで、白色の結晶性固体を得た。MS(ESI+):m/z=429(M+1)。
【0157】
5.3.3.8 ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸3−(エチルオキシカルボニル)ピコリン酸エステル(30)
5.3.3.1節の場合と同様に、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸と3−カルボキシピコリン酸とから標題の化合物を調製することで、白色の結晶性固体を得た。ESI−MS m/e 456(M+H)、C232035ClNO=455。
【0158】
5.3.3.9 ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸5−カルボキシピコリン酸エステル(31)
5.3.3.1節の場合と同様に、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸と5−カルボキシピコリン酸とから標題の化合物を調製することで、白色の結晶性固体を得た。ESI−MS m/e 426(M−H)、C211635ClNO=427。
【0159】
5.3.3.10 ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸3−[(2−モルホリノエチル)オキシ]ピコリン酸エステル(32)
5.3.3.1節の場合と同様に、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸と3−(2−ヒドロキシエトキシ)ピコリン酸とから標題の化合物を調製することで、白色の結晶性固体を得た。ESI−MS m/e 513(M+H)、C262735Cl=512。
【0160】
5.3.3.11 (3−クロロ−4−メチルフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボリン酸3−ヒドロキシピコリン酸エステル(33)
5.3.3.1節の場合と同様に、(3−クロロ−4−メチルフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボリン酸と3−ヒドロキシピコリン酸とから標題の化合物を調製することで、白色の結晶性固体を得た。ESI−MS m/e 366(M−H)、C191535ClNO=367。
【0161】
5.3.3.12 (3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロフェニル)(4−クロロ−2−フルオロフェニル)ボリン酸3−ヒドロキシピコリン酸エステル(34)
5.3.3.1節の場合と同様に、(3−ブロモ−6−クロロ−2−フルオロフェニル)(4−クロロ−2−フルオロフェニル)ボリン酸と3−ヒドロキシピコリン酸とから標題の化合物を調製することで、白色の結晶性固体を得た。ESI−MS m/e 487、485(M−H)、C1879Br35ClFNO=486。
【0162】
5.3.3.13 (4−クロロフェニル)(4−ジメチルアミノフェニル)ボリン酸3−ヒドロキシピコリン酸エステル(35)
5.3.3.1節の場合と同様に、(4−クロロフェニル)(4−ジメチルアミノフェニル)ボリン酸と3−ヒドロキシピコリン酸とから標題の化合物を調製することで、白色の結晶性固体を得た。ESI−MS m/e 393(M−H)、C212035ClN=394。
【0163】
5.3.3.14 (3−クロロフェニル)[4−(モルホリン−4−イルメチル)フェニル]ボリン酸3−ヒドロキシピコリン酸エステル(36)
5.3.3.1節の場合と同様に、(3−クロロフェニル)[4−(モルホリン−4−イルメチル)フェニル]ボリン酸と3−ヒドロキシピコリン酸とから標題の化合物を調製することで、白色の結晶性固体を得た。ESI−MS m/e 435(M−H)、C232235ClN=436。
【0164】
5.3.3.15 (4−クロロフェニル)[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]ボリン酸3−ヒドロキシピコリン酸エステル(37)
5.3.3.1節の場合と同様に、(4−クロロフェニル)[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]ボリン酸と3−ヒドロキシピコリン酸とから標題の化合物を調製することで、白色の結晶性固体を得た。ESI−MS m/e 423(M−H)、C222235ClN=424。
【0165】
5.3.3.16 (4−クロロフェニル)(2−クロロピリジン−5−イル)ボリン酸3−ヒドロキシピコリン酸エステル(38)
乾燥THF(150mL)中、5−ブロモ−2−クロロピリジン(2.75g)および4−クロロフェニルホウ酸エチレングリコールエステル(2.60g)の溶液にn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、10mL)を1時間かけて添加し、混合物を−78℃で2時間撹拌し、室温で一晩撹拌した。エーテル(150mL)を添加し、−20℃で6N HClを用いてpHを2に調節した。混合物を室温になるまで暖めておき、2時間撹拌した。pHを8に調節し、2層を分離した。水層をエーテルで抽出した。有機層を結合した。エタノール(20mL)および水(10mL)の中、有機層に3−ヒドロキシピコリン酸(1.00g)溶液を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。形成された沈殿物を濾過分離し、水およびエーテルで洗浄することで、白色固体(580mg)の生成物を得た。ESI−MS m/z 373(M+H)、C171135Cl=372。
【0166】
5.3.4 イミダゾール誘導体
5.3.4.1 ビス(3−クロロフェニル)ボリン酸4−(ヒドロキシエチル)イミダゾールエステル(20)
エタノール(10mL)中、ビス(3−クロロフェニル)ボリン酸(0.4g、1.428mmol)溶液に、4−(ヒドロキシエチル)イミダゾール塩酸塩(0.191g、1.428mmol)、重炭酸ナトリウム(0.180g、2.143mmol)を添加し、反応混合物を室温で18時間撹拌した。濾過によって塩を除去した。濾液を濃縮してヘキサンで処理することで、固体の生成物を得、濾過によって回収した(450mg、84.9%の収率)。MS(ESI−):m/z=343(M−1)。
【0167】
5.3.4.2 ビス(4−クロロフェニル)ボリン酸4−(ヒドロキシメチル)イミダゾールエステル(21)
5.3.3.1節の場合と同様に、ビス(4−クロロフェニル)ボリン酸と4−(ヒドロキシメチル)イミダゾール塩酸塩との反応から白色結晶の標題の化合物を得た。MS(ESI−):m/z=329(M−1)。
【0168】
5.3.4.3 ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸1−ベンジル−4−(ヒドロキシメチル)イミダゾールエステル(22)
メタノール(5mL)中、1−ベンジル−4−(ヒドロキシメチル)イミダゾール(96mg、0.521mmol)溶液にビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸(121mg、0.521mmol)を添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去して残留物をヘキサンで処理することで固体を得た。濾過によって生成物を単離してヘキサンで洗浄することで、生成物(193mg、83%)を得た。H NMR(CDCl)5:2.3(s、6H、2×CH)、4.8(brs、2H、CH)、5.1(brs、2H、CH)、6.9〜7.4(複合体、13H、Ar−H);MS(ES+)(m/z)448.78、MF C2523BCI20
【0169】
5.3.4.4 ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸−1−メチル−2−(ヒドロキシメチル)イミダゾールエステル(23)
5.3.4.3節の場合と同様に、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸と1−メチル−2−(ヒドロキシメチル)イミダゾール塩酸塩との反応から標題の化合物を得た。白色結晶として生成物を得た。MS(ESI+):m/z=373(M−1)。
【0170】
5.3.4.5 ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸1−エチル−2−(ヒドロキシメチル)イミダゾールエステル(24)
5.3.4.3節の場合と同様に、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸と1−エチル−2−(ヒドロキシメチル)イミダゾール塩酸塩との反応から標題の化合物を得た。白色結晶として生成物を得た。MS(ESI+):m/z=387(M−1)。
【0171】
5.3.4.6 ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸1−メチル−4−(ヒドロキシメチル)イミダゾールエステル(25)
5.3.4.3節の場合と同様に、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸と1−メチル−4−(ヒドロキシメチル)イミダゾール塩酸塩との5反応から標題の化合物を得た。白色結晶として生成物を得た。MS(ESI+):m/z=373(M−1)。
【0172】
5.3.4.7 ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸2−ピリジルエタノール(26)
5.3.4.3節の場合と同様に、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸と2−ピリジルエタノールとの反応から標題の化合物を得た。白色結晶として生成物を得た。MS(ESI+):m/z=384(M−1)。
【0173】
5.3.4.8 ビス(4−クロロフェニル)ボリン酸2−ピリジルメタノール(27)
5.3.4.3節の場合と同様に、ビス(4−クロロフェニル)ボリン酸と2−ピリジルメタノールとの反応から標題の化合物を得た。白色結晶として生成物を得た。MS(ESI+):m/z=342(M−1)。
【0174】
5.3.4.9 ビス(4−フルオロフェニル)ボリン酸2−ピリジルメタノール(28)
5.3.4.3節の場合と同様に、ビス(4−フルオロフェニル)ボリン酸と2−ピリジルメタノールとの反応から標題の化合物を得た。白色結晶として生成物を得た。HNMR(CDCl):δ(ppm)=5.3(s、2H)、6.9(t、4H)、7.3(t、4H)、7.5〜7.6(m、2H)、8.1(t、1H)、および8.3(d、1H)。
【0175】
好ましい実施形態では、本発明は、本明細書において特に列挙される化合物、およびこれらの薬学的に許容可能な塩、ならびにこれらの化合物が薬学的に許容可能な担体を含有する該化合物のいずれかの組成物を含む。
【0176】
本発明は、本発明の化合物のいずれか、好ましくは表1〜2の中に挙げられる1種もしくは複数種の化合物の治療有効量を該患者に投与する工程を含む、微生物を原因とする疾患で苦しむ患者における該疾患に対する治療および/または感染状態になる危険性のある患者におけるかかる感染に対する予防を行うための方法にも関する。一の態様では、本発明の化合物は、抗菌(すなわち、殺菌および静菌)活性および抗真菌(すなわち殺真菌)活性を有する。
【0177】
好ましい実施形態では、微生物は、細菌、好ましくはグラム陽性細菌であり、該グラム陽性細菌は、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)種と、ブドウ球菌(Staphylococcus)種と、連鎖球菌(Streptococcus)種と、バチルス(Bacillus)種と、マイコバクテリウム(Mycobacterium)種と、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種と、クロストリジウム(Clostridium)種と、アクチノミセス(Actinomyces)種と、エンテロコッカス(Enterococcus)種と、ストレプトマイシス(Streptomyces)種とからなる群から選択されるメンバーである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物における皮膚状態または組織状態の治療または予防方法であって、
【化1】


(式中、
およびRは、任意に置換されたアルキルと、任意に置換されたアリールと、アラルキルと、任意に置換されたヘテロアリールとからなる群から独立して選択され;
およびRは、水素と、アルキルと、アリールと、アラルキルと、ヘテロアリールと、ヘテロアラルキルと、シクロアルキルと、ヘテロシクリルと、−COアリールと、−OCOアルキルと、−OCHCHOHと、O(CHCOHと、2−(モルホリノ)エトキシと、−(CHOH(式中、k=1、2もしくは3)と、−CHNHと、−CHNHアルキルと、−CHN(アルキル)と、−COHと、−COアルキルと、−CONHと、−OHと、アルコキシと、アリールオキシと、−SHと、−S−アルキルと、−S−アリールと、−SOアルキルと、−SON(アルキル)と、−SONHアルキルと、−SONHと、−SOHと、−SCFと、−CNと、ハロゲンと、−CFと、−NOと、アミノと、置換されたアミノと、−NHSOアルキルと、−CONHアルキルとからなる群から選択され、RおよびRは任意に置換され;および
およびRは、水素と、アルキルと、アリールと、アラルキルと、ヘテロアリールと、ヘテロアラルキルと、シクロアルキルと、ヘテロシクリルと、−(CHOH(n=1〜3)と、−CHNHと、−CHNHアルキルと、−CHN(アルキル)と、ハロゲンと、−CHOと、−CH=NOHと、−COHと、−CO−アルキルと、−S−アルキルと、−SO−アルキルと、−SO−アルキルと、−S−アリールと、−SON(アルキル)と、−SONHアルキルと、−SONHと、アミノと、アルコキシと、−CFと、−SCFと、−NOと、−SOHと、OHとからなる群から独立して選択され、RおよびRは任意に置換され、さらにRおよびRは、これらに結合する環とともに任意に置換された芳香環を形成する)
の構造を有する化合物あるいはその薬学的に許容可能な塩、水和物、または溶媒和物の有効量をかかる動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
およびRのうちの1つが、任意に置換されたアリールである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
およびRのうちの1つが、任意に置換されたヘテロアリールである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記任意に置換されたヘテロアリールが、任意に置換されたピリジルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
およびRのうちの1つが、任意に置換されたフェニルである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記任意に置換されたフェニルが、水素と、アルキルと、シクロアルキルと、アリールと、置換されたアリールと、アラルキルと、−(CHOH(式中、k=1、2もしくは3)と、−CHNHと、−CHNH−アルキルと、−CHN(アルキル)と、−COHと、−COアルキルと、−CONHと、−CONHアルキルと、−CON(アルキル)と、−OHと、アルコキシと、アリールオキシと、−SHと、−S−アルキルと、−S−アリールと、−SOアルキルと、−SON(アルキル)と、−SONHアルキルと、−SONHと、−SOHと、−SCFと、−CNと、ハロゲンと、−CFと、−NOと、アミノと、置換されたアミノと、−NHSOアルキルと、−OCHCHNHと、−OCHCHNHアルキルと、−OCHCHN(アルキル)と、オキサゾリジン−2−イルと、アルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルとからなる群から選択される部分によって置換されたフェニルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
とRの双方が、任意に置換されたアリールである、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
とRの各々が、任意に置換されたフェニルである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
が、水素、−OH、アルコキシ、またはカルボキシである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記任意に置換されたフェニルが、水素と、アルキルと、シクロアルキルと、アリールと、置換されたアリールと、アラルキルと、−(CHOH(式中、k=1、2もしくは3)と、−CHNHと、−CHNH−アルキルと、−CHN(アルキル)と、−COHと、−COアルキルと、−CONHと、−CONHアルキルと、−CON(アルキル)と、−OHと、アルコキシと、アリールオキシと、−SHと、−S−アルキルと、−S−アリールと、−SOアルキルと、−SON(アルキル)と、−SONHアルキルと、−SONHと、−SOHと、−SCFと、−CNと、ハロゲンと、−CFと、−NOと、アミノと、置換されたアミノと、−NHSOアルキルと、−OCHCHNHと、−OCHCHNHアルキルと、−OCHCHN(アルキル)と、オキサゾリジン−2−イルと、アルキル置換されたオキサゾリジン−2−イルとからなる群から選択される部分によって置換されたフェニルである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
が、−OHまたはカルボキシである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が、表1から選択される化合物である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
が、−OHである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記任意に置換されたフェニルが、水素と、ハロゲンと、アルキルとからなる群から選択される部分によって置換されたフェニルである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ハロゲンが、クロロである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記アルキルが、メチルである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が、(ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリロキシ)(3−ヒドロキシピリジン−2−イル)メタノンである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が、前記(ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリロキシ)(3−ヒドロキシピリジン−2−イル)メタノンの溶媒和物である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が、前記(ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリロキシ)(3−ヒドロキシピリジン−2−イル)メタノンの水和物である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記皮膚状態が、皮膚の炎症である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記皮膚状態が、尋常性座瘡と、酒さと、乾癬と、歯周病と、関節炎と、アトピー性皮膚炎とからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記皮膚状態が、尋常性座瘡である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記皮膚状態が、酒さである、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記皮膚状態が、乾癬である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記皮膚状態が、アトピー性皮膚炎である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
動物において炎症誘発性サイトカインの放出を阻害する方法であって、請求項1に記載の化合物の阻害量を前記動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項27】
前記炎症誘発性サイトカインが、IL−1βと、TNF−αと、IL−6とからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記化合物が、請求項13に記載の化合物である、請求項27に記載の方法。

【公表番号】特表2008−502696(P2008−502696A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516688(P2007−516688)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/021165
【国際公開番号】WO2005/123094
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(505465841)アナコール ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】