説明

ホウ素吸着材、ホウ素吸着材用樹脂組成物、及びホウ素吸着材の製造方法

【課題】ホウ素吸着容量が高く、アルカリや酸に対し耐性のある新規な吸着剤を提供する。
【解決手段】一特定の置換基:糖アルコール残基を含むアミノ基、又は多価アルコール残基を含むアミノ基を持つアラルキル樹脂で、ポリスチレン換算平均分子量が2500以上であることを特徴とする、ホウ素吸着材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホウ素吸着性樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
ホウ素はその特異な性質のため、半導体の製造や原子力発電所の制御棒、ガラスの製造など広い範囲で使用され、ハイテク産業において必要不可欠な元素である。しかしながらホウ素は人体に有害であり、神経毒性や成長阻害を引き起こすため、その排出規制は厳しいものとなっている。
【0003】
1998年には世界保健機関(WHO)がその毒性評価を見直し、上水の水質基準を0.5 ppmに引き下げており、また日本でも2001年に水質汚濁防止法が制定され、排出基準が10 ppm以下に定められている。さらに、半導体製造工場で使用する純水なども極低濃度のホウ素含有水が望まれているなど、ホウ素除去に関してその技術は必要とされている。
【0004】
水中において、ホウ素は主としてホウ酸イオンとして存在するが、その除去方法としては、膜による分離や、電気的分離、イオン交換、凝集沈殿などが知られている。この中でも特にランニングコストが少なく、汚泥が発生しにくい除去方法であるイオン交換が広く使用されている。イオン交換では、グルカミン型の吸着剤が知られており、このようなホウ素吸着剤としては、例えば特許文献1に記載のように、親水性であるグリシジルメタクリレートとポリオールのメタクリル酸エステルとからなる架橋型共重合体の基材中に、官能基としてポリヒドロキシルアルキルアミノ基を導入したイオン交換樹脂が提案されている。
【0005】
しかしながら、上記イオン交換樹脂は、基材を構成するグリシジルメタクリレート中にアルカリ性の溶液に弱いエステル骨格を有するため、アルカリ性や酸性溶液中で分解してしまい耐薬品性に劣るといった問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−64128号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ホウ素吸着容量が高く、アルカリや酸に対し耐性のある新規な吸着剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、下記一般式(1)で表され、ポリスチレン換算平均分子量が2500以上であることを特徴とする、ホウ素吸着材
【化1】

(式(1)中のRは、水素又はメチル基;Rは、メチレン基;Rは、糖アルコール残基を含むアミノ基、又は多価アルコール残基を含むアミノ基)に関する。
【0009】
また、本発明の一態様は、下記一般式(2)で表され、ポリスチレン換算平均分子量が2500以上であることを特徴とする、ホウ素吸着材
【化2】

(式(2)中のRは、糖アルコール残基を含むアミノ基、又は多価アルコール残基を含むアミノ基)に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ホウ素吸着容量が高く、アルカリや酸に対し耐性のある新規な吸着剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の詳細、並びにその他の特徴及び利点について、実施形態に基づいて説明する。
【0012】
(吸着材)
一般式(1)で表されるホウ素吸着材において、重合体部分を構成するRは、水素又はメチル基であり、Rは、メチレン基である。したがって、重合体部分はフェノール又はクレゾールを骨格鎖として有する重合体を構成する。また、一般式(2)で表されるホウ素吸着材において、重合体部分はパラヒドロスチレンを骨格鎖として有する重合体を構成する。
【0013】
一方、一般式(1)及び(2)において、重合体部分にエーテル結合を介して付加しているRは、糖アルコール残基を含むアミノ基、又は多価アルコール残基を含むアミノ基である。一般に、吸着すべきホウ素は水中に含まれているため、B(OH)又はB(OH)のホウ酸もしくはホウ酸イオンとなっている。一方、上記糖アルコール残基又は多価アルコール残基はポリオール部位を有している。したがって、ホウ素の吸着に際しては、上述したホウ酸イオンが上述したポリオール部位と水酸基を介して結合し、その後、アミノ基の窒素と配位結合することによって安定的に吸着されるものと考えられる。
【0014】
なお、後に説明するように、Rは、上記重合体に付加したグリシジルエーテルの一部、具体的にはその末端に位置するエポキシ基が開環して、所定の吸着性物質が反応付加することによって形成された置換基である。
【0015】
また、上述のように、一般式(1)及び(2)で示すホウ素吸着材において、置換基Rはポリオール部位を有しているため、前記ホウ素吸着材は高い親水性を有する。さらに、一般式(1)及び(2)において、重合体にエーテル結合を介して付加した基は水酸基を有しており、この水酸基に起因して前記ホウ素吸着材は高い親水性を有する。結果として、上述した水中のホウ素を吸着する際に速く吸着平衡に達するという利点を持つ。
【0016】
一方、置換基R及び水酸基の割合が増大すると、ホウ素吸着材の親水性が高くなりすぎ、前記ホウ素吸着材を水中に浸漬した場合に溶解してしまって、最早吸着材としての形態を残さず、ホウ素吸着という本来の機能を奏しない場合がある。しかしながら、本実施形態では、ホウ素吸着材は、一般式(1)及び(2)に示すように、フェノール等を骨格鎖として有する重合体を含んでおり、この重合体が疎水性を示すので、上述したように置換基R及び水酸基の割合が増大した場合においても、ホウ素吸着材を水中に浸漬させた場合に、前記ホウ素吸着材が溶解してしまうようなことがない。
【0017】
また、一般式(1)及び(2)で示すように、ベンゼン環は上述した置換基Rを有するアミノ基部分とエーテル結合を介して結合しているので、アルカリ性や酸性溶液中で分解してしまうことがなく、耐薬品性にも優れる。さらに、置換基R自体が、上述のようにエポキシ基を介して付加されるので、従来のようにエステル結合や禁水反応で付加した場合に比較して、酸・アルカリに対して高い耐性を示すような構造を有するようになる。結果として、一般式(1)及び(2)で示されるホウ素吸着材は、アルカリ、酸に対して高い耐性を示し、耐薬品性にも優れる。
【0018】
一般式(1)及び(2)におけるnは重合度合を表す数字であって、n=10〜1、000、000である。重合体は2次元的に重合しても3次元的に架橋していてもよい。
【0019】
また、一般式(1)及び(2)で表されるホウ素吸着材は、ポリスチレン換算平均分子量が2500以上であることが必要であり、さらには10000以上であることが好ましい。この分子量が2500よりも小さいと、一般式(1)及び(2)における重合体の重合度が十分でなく、十分な疎水性を呈しない。したがって、置換基R及び水酸基の割合が高い場合は、ホウ素吸着材を水中に浸漬した場合において溶解してしまい、その本来的な機能を奏しなくなる。
【0020】
なお、分子量の上限は特に限定されるものではなく、本実施形態においては高いほど好ましく、上述した重合度の上限によって決定されるものであって、例えば10、000、000である。
【0021】
ポリスチレン換算分子量の測定方法は、置換基Rを有するアミノ基部分を付加する前の重合体をテトラヒドロフランに溶解し、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)で保持時間を測定し、標準物質である分子量が制御されたポリスチレンと比較して、ポリスチレン換算分子量を算出する。
【0022】
また、一般式(1)及び(2)で表されるホウ素吸着材は、平均粒子径が20〜5000μmの範囲であることが好ましい。これによって、水に分散させた後の濾過などの除去操作を簡易に行うことができ、さらにはカラムに充填して使用することも可能となる。
【0023】
吸着材の形は特に問わないが、例えば粒子の場合はその粒子の最長径また最短径が上記平均粒子形の範囲に入っていればよく、繊維の場合は繊維径か繊維長が上記平均粒子径の範囲に入っていればよい。
【0024】
さらに、一般式(1)及び(2)で表されるホウ素吸着材の強度は1MPa以上あることが好ましい。1MPa未満であると、水中で何度も使用した時に形が崩れ、再利用が難しくなるからである。好ましくは10MPa以上あることが好ましい。なお、強度とは、粒子の場合圧縮強度であり、繊維の場合は引張強度である。上限は特に限定されないが、例えば200MPa程度である。
【0025】
また、上記ホウ素吸着材は、磁性体を含有していると、水中から磁性を用いて迅速に回収できるので、回収操作を簡易化することができる。磁性体は特に限定されるものではないが、室温領域において強磁性を示す物質であることが望ましい。しかしながら、本実施形態においてはこれらに限定されるものではなく、強磁性物質を全般的に用いることができ、例えば鉄、および鉄を含む合金、磁鉄鉱、チタン鉄鉱、磁硫鉄鉱、マグネシアフェライト、コバルトフェライト、ニッケルフェライト、バリウムフェライト、などが挙げられる。
【0026】
これらのうち水中での安定性に優れたフェライト系化合物であればより効果的に本発明を達成することができる。例えば磁鉄鉱であるマグネタイト(Fe)は安価であるだけでなく、水中でも磁性体として安定し、元素としても安全であるため、水処理に使用しやすいので好ましい。
【0027】
また、本実施形態では、上記無機粒子及び金属粒子自体を磁性体とすることができる。この場合、前記磁性体は磁性粉として構成されるが、球状、多面体、不定形など種々の形状を取り得るが特に限定されない。また、望ましい磁性粉としての粒径や形状は、製造コストなどを鑑みて適宜選択すれば良く、特に球状または角が丸い多面体構造が好ましい。これらの磁性粉は、必要であればCuメッキ、Niメッキなど、通常のメッキ処理が施されていてもよい。また、その表面が腐食防止などの目的で表面処理されていてもよい。
【0028】
磁性体を含有した場合のホウ素吸着材の形状は特に問わないが、好ましくは磁性体をこのホウ素吸着材の重合体部分で凝集させ、かつこの凝集体表面を前記重合体部分で覆うような構造になっているのがよい。
【0029】
好ましくは、ホウ素吸着材の量を制御し、磁性体の一部が露出するような多孔質構造とすることもできる。例えば、後述するスプレードライ法を用いると簡単に製造できる。この場合、表面積を維持したままホウ素吸着材の平均粒子径を増大させることができるので、使いやすさと性能を両立することができる。
【0030】
また、上記ホウ素吸着材は、重合体部分において、メチロール基を有することが好ましい。メチロール基を有すると、フェノール性水酸基をグリシジルエーテルに置換したり、このグリシジルエーテルを吸着性基に置換したりするときに溶液が浸透しやすくなり、置換にかかる時間を早めることができることを実験的に確認している。
【0031】
メチロール基は、以下に示す製造方法において、フェノール等を、ホルムアルデヒドを使用して重合させる時に、重合を途中で止めると、得られる重合体の末端に形成されるようになる。
【0032】
メチロール基の分析方法は、NMRやIRなどで直接分析してもよいが、加熱してメチロール基の重合反応を生ぜしめて、分子量の増大やホルムアルデヒドの発生を測定しても間接的に確認することができる。
【0033】
(ホウ素吸着材用樹脂組成物)
一般式(3)で表され、ポリスチレン換算平均分子量が2500以上であることを特徴とする、ホウ素吸着材用樹脂組成物
【化3】

(式(3)中のRは、水素又はメチル基;Rは、メチレン基)、及び
下記一般式(4)で表され、ポリスチレン換算平均分子量が2500以上であることを特徴とする、ホウ素吸着材用樹脂組成物
【化4】

は、それぞれ上述した一般式(1)及び(2)で表されるホウ素吸着材の中間体に相当する。
【0034】
以下に示すように、本実施形態において、一般式(1)及び(2)で表されるホウ素吸着材は、それぞれ上記一般式(3)及び(4)で表される中間体のグリシジルエーテルの一部、具体的にはその末端に位置するエポキシ基が開環して、所定の吸着性物質が反応付加することによって置換基Rが形成される。
【0035】
上述したように、ベンゼン環は置換基Rを有するアミノ基部分とエーテル結合を介して結合しているので、アルカリ性や酸性溶液中で分解してしまうことがなく、耐薬品性にも優れる。さらに、置換基R自体が、上述のようにエポキシ基を介して付加されるので、従来のようにエステル結合や禁水反応で付加した場合に比較して、酸・アルカリに対して高い耐性を示すような構造を有するようになる。結果として、一般式(1)及び(2)で示されるホウ素吸着材は、アルカリ、酸に対して高い耐性を示し、耐薬品性にも優れる。
【0036】
また、フェノール又はクレゾールを骨格鎖として有する重合体、及びパラヒドロスチレンを骨格鎖として有する重合体を有し、ポリスチレン換算平均分子量が2500以上であるので、前記重合体は上記中間体を水中に浸漬した場合に疎水性を示すようになる。
【0037】
このように一般式(3)及び(4)で表される中間体は、それ自体が一般式(1)及び(2)で表されるホウ素吸着材の特性を有しており、それ自体が新規な特徴を有するものである。また、それぞれ一般式(1)及び(2)で表されるホウ素吸着材を作製する前駆体としても機能するものであって極めて有用である。
【0038】
なお、一般式(3)及び(4)で表されるホウ素吸着材用樹脂組成物は、一般式(1)及び(2)で表されるホウ素吸着材の前駆体としても機能することから、上述したような磁性体を含有することができる。磁性体の特徴及びその含有の形態は、上記ホウ素吸着材で説明した通りである。
【0039】
また、一般式(3)及び(4)から明らかなように、重合体部分に関しては一般式(1)及び(2)で示されるホウ素吸着材と同じであるので、重合度やポリスチレン換算平均分子量の上限値については、上記ホウ素吸着材と同一の特徴を有し、重合の態様も2次元的な重合の他、3次元架橋構造を呈することができる。
【0040】
(ホウ素吸着材の製造方法)
次に、本実施形態におけるホウ素吸着性樹脂の製造方法について説明する。なお、以下に示す製造方法はあくまで例示であって、上述した本実施形態のホウ素吸着性樹脂の製造方法は以下の内容に限定されるものではない。
【0041】
<第1の方法>
最初に、一般式(1)及び(2)に示す重合体を形成する。具体的には、フェノール、クレゾール及びパラヒドロキシスチレンからなる群より選ばれる少なくとも一種を重合して、フェノール樹脂、クレゾール樹脂又はパラヒドロキシスチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を得る。
【0042】
例えばフェノール及び/又はクレゾールとホルムアルデヒドとを、水中で懸濁重合を行うことで上記フェノール樹脂及び/又はクレゾール樹脂を合成することができる。同様に、溶液中で懸濁重合を行うことで、上記パラヒドロキシスチレン樹脂を得ることができる。
【0043】
重合に際しては、上記樹脂のポリスチレン換算分子量が2500以上、好ましくは10000以上になるよう反応条件をコントロールする。また、好ましくは平均粒子径が最終的な吸着材の平均粒子径である20〜5000μmになるよう調整するのがよい。分子量及び粒子径の調整は、重合時の反応条件、攪拌強度、必要に応じて界面活性剤、乳化剤を添加することによって適宜に調節することができる。なお、この後に、分子量の調整のため、加熱して反応を進めたり、架橋を促したりしてもよい。
【0044】
次いで、上述のようにして得た樹脂におけるフェノール性水酸基の少なくとも一部をグリシジルエーテルに置換する。この置換は、いかなる公知の方法を用いることができるが、例えば、水酸化ナトリウム水溶液中にフェノール樹脂等を投入し、エピクロロヒドリンを加えることにより置換することができる。この時、水酸化ナトリウム水溶液に対してフェノール樹脂等が溶解してもしなくても構わない。溶解する場合は、後述する方法により析出させて使用する。エピクロロヒドリン以外では、例えば、エピブロモヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、4-クロロ-1,2エポキシブタン、4-ブロモ-1,2エポキシブタンなどを反応させてもグリシジルエーテルに置換することができる。
【0045】
次いで、上述のようにして、フェノール樹脂等のフェノール水酸基の少なくとも一部を置換してなるグリシジルエーテルの少なくとも一部、具体的には末端に位置するエポキシ基との反応を通じて置換基Rを導入する。
【0046】
上述したように、Rは、糖アルコール残基を含むアミノ基、又は多価アルコール残基を含むアミノ基であるので、糖アルコール残基を含むアミノ基、又は多価アルコール残基を含むアミノ基を導入するに際しては、例えば分子中に少なくとも1個のアミノ基と2 個以上の水酸基を有するポリオール化合物が使用される。具体的には、1−デオキシ−1−( メチルアミノ)ソルビトール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−( ヒドロキシメチル)−1 , 3−プロパンジオール、3−アミノ−1 , 2− プロパンジオール、2−アミノ−1 , 3− プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1 , 3− プロパンジオール、3−ジメチルアミノ−1 , 2− プロパンジオール、3−ジエチルアミノ−1 , 2− プロパンジオール等が挙げられるが、これらの中、1−デオキシ−1− (メチルアミノ) ソルビトール[ 通称: N − メチルグルカミン] 及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが特に有用である。
【0047】
特に好ましくは、1−デオキシ−1− (メチルアミノ)ソルビトール[ 通称: N−メチルグルカミン]を用いることができ、この場合、置換基Rは、ポリヒドロキシアルキルアミノ基(-N(CH)-CH-(CH(OH))-H)となる。この場合、CH-(CH(OH))-Hが多価アルコール残基である。
【0048】
<第2の方法>
ポリスチレン換算分子量が2500以上のフェノール樹脂、クレゾール樹脂、パラヒドロキシスチレン樹脂を溶媒に溶解するとともにグリシジルエーテルを添加し、前記樹脂のフェノール性水酸基の少なくとも一部を前記グリシジルエーテルで置換する。グリシジルエーテルで置換することによって、前記フェノール樹脂等は疎水性となるので、溶媒より析出してくるようになる。例えば、水酸化ナトリウム水溶液に溶解させた後、エピクロロヒドリンを反応させて析出させることができる。
【0049】
次いで、析出した樹脂体において、前記グリシジルエーテルの少なくとも一部を、糖アルコール残基を含むアミノ基、又は多価アルコール残基を含むアミノ基で置換する。これらの基を導入するために使用する化合物は、第1の方法と同じであるので、ここでは記載を省略する。
【0050】
<第3の方法>
本方法では、ポリスチレン換算分子量が2500以上のフェノール樹脂、クレゾール樹脂及びパラヒドロキシスチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を溶媒に溶解して得た溶液を噴霧乾燥して樹脂体を得る。
【0051】
噴霧乾燥にはスプレードライ法を用いることができる。スプレードライ法によれば、スプレードライの環境温度や噴出速度などを調整することにより、樹脂体の大きさ、すなわち最終的に得るホウ素吸着材の平均粒子径を自在に制御することができる。したがって、平均粒子径の好ましい範囲である20〜5000μmなる範囲に簡易に設定することができる。
【0052】
また、スプレードライ法によれば、樹脂体から溶媒が除去される際に孔が形成されるので、吸着材として好ましい形態である多孔質構造を簡易に形成することができる。
【0053】
さらに、溶液中に無機粒子を含む場合、この無機粒子が凝集する時に粒子間に空隙ができ、多孔質構造を得ることができる。無機粒子が磁性体であると、水中から磁性で回収できるため好ましい。空隙ができるようにするには、樹脂と無機粒子の重量比を調整すれば良く、概ね樹脂の重量を全体に対して1〜20%程度になるようにするのがよい。
【0054】
スプレードライ法は公知のいかなる装置を用いて行うことができるが、例えばディスクタイプの装置、加圧ノズルタイプの装置、2流体ノズルタイプの装置などを用いることができる。なお、噴霧乾燥後に、必要に応じて加熱して分子量の調整を行ってもよい。
【0055】
次いで、上記樹脂体のフェノール水酸基を少なくとも一部をグリシジルエーテルで置換し、このグリシジルエーテルの少なくとも一部を置換基Rを有する化合物と反応させて置換基Rを導入する。なお、グリシジルエーテルの置換及び置換基Rの導入は、第1の方法と同様にして行うことができる。
【0056】
(ホウ素吸着材の再生方法)
ホウ素吸着材の再生は、この吸着材に対してホウ素を吸着させた際の吸着時の温度よりも高い温度の溶液を接触させることにより行う。具体的には、接触させる溶液をあらかじめ加熱して接触させてもよいし、前記吸着材と前記溶液とが入っている反応容器を加熱し、前記溶液の温度を吸着時の温度よりも高くするようにしてもよい。このような高い温度の溶液を用いた脱離を行う場合、ホウ素吸着材の軟化温度よりも低い温度で行うのがよい。特に本発明における高分子量のフェノール樹脂、クレゾール樹脂、パラヒドロキシスチレン樹脂は軟化点が100℃を超える場合が多く、この脱離方法に適している。
【0057】
この際の溶液のpHの範囲は3〜8であることが望ましく、さらには4〜7であることが好ましい。これは、ホウ素の形態が、pH7において以下に示すような化学平衡式を満足し、pHが8よりも高いと下記反応式が左方向に傾いてしまい、ポリオール化合物と結合を形成しやすい[B(OH)]の形成割合が減少してしまうためである。一方、pHが上記のような範囲にあると、下記反応式が右方向に傾き、ポリオール化合物と結合を形成しやすい[B(OH)]の形成割合が増大する。したがって、ホウ素の回収を容易に行うことができるようになる。
【0058】
【化5】

【0059】
なお、pHが3よりも低いと、[B(OH)]と結合すべきアミノポリオール基に含まれるアミノ基に塩化物イオンや硫酸イオンなどのアニオンが配位してしまい、吸着能が劣化してしまう場合がある。
【0060】
上述したように、再生時の温度は、吸着時よりも高ければよく、40℃から100℃が望ましい。この温度の範囲外、特に100℃を超えると、水溶液の沸点に近接するため、再生操作を行うカラムに液体の状態で流すことができなくなる。
【0061】
このような再生方法を行うことにより、脱離させた後の再生操作をなくし、操作を簡便にすることができる。
【実施例】
【0062】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0063】
(実施例1)
[吸着材の合成]
フェノールとホルムアルデヒドとを、アラビアゴム(分散剤)の存在下で水中で懸濁重合を行って、メチロール基の残存した平均分子量10000に調整した球状粒子を得た。なお、懸濁重合は水中において、80℃で2時間実施した。
【0064】
次いで、得られた球状粒子を300〜750μmの範囲で分級し、平均粒子径約500μmのフェノール樹脂を得た。このフェノール樹脂10gを10wt%NaOH水溶液90ml中に投入した。フェノール樹脂は溶解しなかった。次いで、25℃で攪拌しながら、60mlのエピクロロヒドリンを添加し、6時間反応させた。反応後、ろ過し、十分水で洗浄させた。小型卓上試験機EZGraph(島津製作所製)をもちいて圧縮強度を測定したところ、5.0MPaであった。
【0065】
得られた反応物13gとN-メチルグルカミン20gとを、メタノール100ml中に投入し、60℃で6時間反応させた。N-メチルグルカミンは溶解したが、反応物は溶解しなかった。反応後に、水とメタノールとで洗浄し、乾燥させて吸着材を得た。
【0066】
[吸着試験]
最初に、あらかじめホウ素濃度500ppmに調整された試験液を用意した。この試験液20mlに対し、吸着材0.5gを入れ、1時間攪拌させた。吸着材を水中から取り出し、ICPを用いて分析したところ、試験液中のホウ素濃度が360ppmに減少しており吸着材によるホウ素の吸着を確認した。
【0067】
[脱離・再生試験]
pH1の硫酸水溶液中に吸着試験を行った吸着材を加え、1時間攪拌した。その後、吸着材をろ過、純水で洗浄し、0.5NのNaOH水溶液で30分攪拌して吸着材に吸着したホウ素を脱離し、吸着材を再生した。
【0068】
[再利用試験]
あらかじめホウ素濃度500ppmに調整された試験液20mlに対し、再生した吸着材0.5gを入れ、1時間攪拌させた。吸着材を水中から取り出し、ICPを用いて分析したところ、試験液中のホウ素濃度は342ppmに減少しており、再生した吸着材によるホウ素の吸着を確認した。また、再利用した吸着材は、形が崩れておらず、再利用に適していた。
【0069】
なお、上述した吸着材の特性及び試験結果、並びにその他の特徴的事項について、表1に結果をまとめた。特徴的事項については、表1の備考欄に示した。
【0070】
また、実施例及び比較例の全体を通じて、吸着材が50ppm以上のホウ素を吸着した場合、ホウ素吸着に関しては良好であるとして表1では○で示し、再生後において吸着材が当初の形態を維持している場合、再生後のホウ素吸着材の形態が良好であるとして表1で同じく○で示した。さらに、10wt%NaOH水溶液中に投入した場合において、吸着材(を構成する重合体、実施例では樹脂)が溶解しない場合を、耐アルカリ性を有すると判断して同じく○とした。一方、上記要件を満足しない場合を×とした。
【0071】
(実施例2)
懸濁重合によってフェノール球状粒子を作製する代わりに、ベルパールS899(球状フェノール粒子,分子量4000,エアウォーター株式会社製)とした以外は、実施例1と同様にして吸着材を作製し、吸着試験、脱離・再生試験及び再利用試験を実施した。結果を表1に示す。
【0072】
(実施例3)
フェノール球状粒子を、ベルパールS830(球状フェノール粒子,分子量200000,エアウォーター株式会社製)とした以外は、実施例2と同様にして吸着材を作製し、吸着試験、脱離・再生試験及び再利用試験を実施した。結果を表1に示す。
【0073】
(実施例4)
実施例1で製造したフェノール粒子の分級を平均750μmとなるように行い、200℃で3時間加熱して硬化させたフェノール球状粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして吸着材を作製し、吸着試験、脱離・再生試験及び再利用試験を実施した。結果を表1に示す。
【0074】
なお、本実施例では、吸着材が3次元的に架橋しているので、実質的な平均分子量を計測することができない。一方、テトラヒドロフラン中100ml中に吸着材10gを投入し、テトラヒドロフランへの溶解度が5%以下(0.5g以下)となるような場合に、前記吸着材のポリスチレン換算平均分子量は100万以上と見積もることができるので、表1においては、平均分子量100万以上としている。なお、エピクロロヒドリンとN-メチルグルカミンとの反応が遅く、それぞれ48時間ずつを要した。結果を表1に示す。
【0075】
(実施例5)
あらかじめ3次元架橋させたフェノール樹脂を粉砕し、平均粒子径10μmの粒子を作製した。この粒子50重量部と平均分子量約300のフェノールノボラック樹脂50重量部と、加熱時にホルムアルデヒドを放出するヘキサメチレンテトラミン5重量部とを混合し、150℃の押出機中で反応を進め、5mmの棒状で押出機より排出した。この棒を冷却した後、ペレタイザーで約5mmの大きさに切断し、俵状の粒子を得た。次いで、この粒子を200℃で3時間加熱し、完全に硬化させた。
【0076】
その後、実施例1と同様にエピクロロヒドリンとN-メチルグルカミンとを反応させ、同様の吸着・脱離試験をおこなったところ、ホウ素の吸着を確認し、問題なく再利用できた。なお、エピクロロヒドリンとN-メチルグルカミンとの反応が遅く、それぞれ48時間ずつを要した。
【0077】
なお、本実施例でも、吸着材が3次元的に架橋しているので、実質的な平均分子量を計測することができない。したがって、実施例4の場合と同様に、テトラヒドロフラン中100ml中に吸着材10gを投入し、テトラヒドロフランへの溶解度が5%以下(0.5g以下)となるような場合に、前記吸着材のポリスチレン換算平均分子量は100万以上と見積もることができるので、表1においては、平均分子量100万以上としている。結果を表1に示す。
【0078】
(実施例6)
実施例1のフェノールの代わりに、フェノール/クレゾール=5/5としたこと以外は同様に水中で懸濁重合を行って、メチロール基の残存した平均分子量12000に調整した球状粒子を得た。但し、懸濁重合の反応時間を2時間から3時間に変更した。結果を表1に示す。
【0079】
(比較例1)
フェノール樹脂として平均分子量約450のものを用いたこと以外は、実施例1と同様に吸着材を合成しようとしたところ、このフェノール樹脂が10%NaOH溶液に溶解してしまった。これをエピクロロヒドリンと反応させたところ析出し、凝集体を得た。粗大な粒子と、20μm以下の粒子を取り除き、平均粒子径を測定したところ、70μmであった。この粒子をメタノール中でN-メチルグルカミンと反応させたところ、大部分が溶解して回収できなかった。回収できた粒子を水中に入れたところ水を吸って膨潤し、吸着材として使用できないことがわかった。結果を表1に示す。
【0080】
(実施例7)
平均分子量2600に調整したポリパラヒドロキシスチレンを準備した。このポリパラヒドロキシスチレン100gを10%NaOH水溶液90mlに溶解させ、エピクロロヒドリン60mlを徐々に添加することにより析出させた。これを300μm以上750μm以下に分級し、平均粒子径450μmの粒子を得た。この粒子の強度は1.2MPaであった。この粒子13gとN-メチルグルカミン20gとをメタノール100ml中に投入し、60℃で6時間反応させた。粒子は溶けず、反応終了後まで形を維持していた。
【0081】
実施例1と同様にホウ素の吸着試験、脱離試験をおこなったところ、ホウ素吸着能力を示し、問題なく再生することができた。結果を表1に示す。
【0082】
(実施例8)
ポリパラヒドロキシスチレンの平均分子量を10000にしたこと以外は、実施例7と同様に吸着材を合成し、評価した。その結果、ホウ素吸着能力を示し、問題なく再生することができた。結果を表1に示す。
【0083】
(実施例9)
レゾール型の水溶性フェノール樹脂138重量部(固形分換算)、平均粒子径2μmのマグネタイト1500重量部、水2400mlを混合し、スラリー溶液を得た。このスラリー溶液を、ミニスプレードライヤー(柴田科学株式会社製、B−290型)を用いて噴霧し、球状に凝集した平均2次粒子径が約20μmの樹脂体を作製した。噴霧温度は140℃とした。SEM観察を行ったところ、磁性粉が凝集した多孔質体となっていた。
【0084】
この多孔質体を150℃で30分加熱して、フェノール樹脂の硬化を進め、凝集体を得た。この凝集体の樹脂分をテトラヒドロフランに溶解させ、分子量を測定したところ、約12000であった。この凝集体を実施例1と同様にN-メチルグルカミンを反応させて吸着材を得た。
【0085】
その吸着材の12倍量を用いた(樹脂分が約8%のため,樹脂の量を合わせたため)こと以外は実施例1と同様に吸着試験を行ったところ、水中ホウ素濃度は225ppmであり、前記吸着材がホウ素を吸着していることが判明した。同様に脱離・再生試験をおこなったところ、問題なく再利用できた。結果を表1に示す。
【0086】
(実施例10)
実施例9で作製した多孔質体の加熱温度を200℃、3時間とし、完全に硬化させたこと以外は実施例9と同様に吸着材を合成し、吸着・脱離・再生試験をおこなった。吸着試験後の試験液のホウ素濃度が440ppmで実施例9と比べると低い値となったが、ホウ素吸着性能を示し、脱離、再生もおこなえ、問題なく使用できた。
【0087】
なお、本実施例でも、吸着材が3次元的に架橋しているので、実質的な平均分子量を計測することができない。したがって、実施例4の場合と同様に、テトラヒドロフラン中100ml中に吸着材10gを投入し、テトラヒドロフランへの溶解度が5%以下(0.5g以下)となるような場合に、前記吸着材のポリスチレン換算平均分子量は100万以上と見積もることができるので、表1においては、平均分子量100万以上としている。結果を表1に示す。
【0088】
(実施例11)
実施例10作製したホウ素を吸着させた吸着材をpH7,90℃の純水に60分浸漬した。この操作を3回繰り返し,浸漬後の水中ホウ素濃度をICPで測定したところ、吸着した試験液409ppmのホウ素のうち352ppm分が脱離していた。この吸着材に対しもう一度ホウ素吸着試験を行ったところ、試験液のホウ素濃度が443ppmとなり、熱による吸着材の再生が可能であった。また、SEMを用いて表面状態を観察したところ、吸着前とほぼ変わらず、熱による変形は起こっていなかった。
【0089】
【表1】

【0090】
以上、実施例及び比較例から明らかなように、本発明に従って得た吸着材は、圧縮強度が高く、再生後の形状も当初の形態を維持し、再利用が容易であるとともに、ホウ素吸着性に優れ、また耐アルカリ性に優れることが判明した。
【0091】
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表され、ポリスチレン換算平均分子量が2500以上であることを特徴とする、ホウ素吸着材
【化1】

(式(1)中のRは、水素又はメチル基;Rは、メチレン基;Rは、糖アルコール残基を含むアミノ基、又は多価アルコール残基を含むアミノ基)。
【請求項2】
下記一般式(2)で表され、ポリスチレン換算平均分子量が2500以上であることを特徴とする、ホウ素吸着材
【化2】

(式(2)中のRは、糖アルコール残基を含むアミノ基、又は多価アルコール残基を含むアミノ基)。
【請求項3】
前記ホウ素吸着材の平均粒子径が、20〜5000μmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のホウ素吸着材。
【請求項4】
前記ホウ素吸着材の圧縮または引張強度が、1MPa以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載のホウ素吸着材。
【請求項5】
前記ホウ素吸着材が磁性体を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載のホウ素吸着材。
【請求項6】
前記ホウ素吸着材は、多孔質構造であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載のホウ素吸着材。
【請求項7】
前記樹脂中または吸着材中に、メチロール基を有することを特徴する請求項1に記載の吸着材。
【請求項8】
は、ポリヒドロキシアルキルアミノ基であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載のホウ素吸着材。
【請求項9】
下記一般式(3)で表され、ポリスチレン換算平均分子量が2500以上であることを特徴とする、ホウ素吸着材用樹脂組成物。
【化3】

(式(3)中のRは、水素又はメチル基;Rは、メチレン基)。
【請求項10】
下記一般式(4)で表され、ポリスチレン換算平均分子量が2500以上であることを特徴とする、ホウ素吸着材用樹脂組成物。
【化4】

【請求項11】
前記樹脂組成物は、磁性体を含むことを特徴とする、請求項9又は10に記載のホウ素吸着材用樹脂組成物。
【請求項12】
フェノール、クレゾール及びパラヒドロキシスチレンからなる群より選ばれる少なくとも一種を重合して、フェノール樹脂、クレゾール樹脂又はパラヒドロキシスチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を得る工程と、
前記樹脂のフェノール性水酸基の少なくとも一部をグリシジルエーテルに置換する工程と、前記グリシジルエーテルの少なくとも一部を、糖アルコール残基を含むアミノ基、又は多価アルコール残基を含むアミノ基で置換する工程と、
を具えることを特徴とする、ホウ素吸着材の製造方法。
【請求項13】
ポリスチレン換算分子量が2500以上のフェノール樹脂、クレゾール樹脂及びパラヒドロキシスチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を溶媒に溶解するとともにグリシジルエーテルを添加し、前記樹脂のフェノール性水酸基の少なくとも一部を前記グリシジルエーテルで置換する工程と、
前記グリシジルエーテルの置換によって析出した樹脂体において、前記グリシジルエーテルの少なくとも一部を、糖アルコール残基を含むアミノ基、又は多価アルコール残基を含むアミノ基で置換する工程と、
を具えることを特徴とする、ホウ素吸着材の製造方法。
【請求項14】
ポリスチレン換算分子量が2500以上のフェノール樹脂、クレゾール樹脂及びパラヒドロキシスチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を溶媒に溶解して得た溶液を噴霧乾燥して樹脂体を得る工程と、
前記樹脂体において、フェノール性水酸基の少なくとも一部を前記グリシジルエーテルで置換する工程と、
前記グリシジルエーテルの少なくとも一部を、糖アルコール残基を含むアミノ基、又は多価アルコール残基を含むアミノ基で置換する工程と、
を具えることを特徴とする、ホウ素吸着材の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれか一に記載のホウ素吸着材に吸着されたホウ素を脱離させるホウ素の回収方法であって、
前記ホウ素吸着材に吸着時の被処理水の温度よりも高温であってpHが3〜8の範囲である水溶液に接触させることを特徴とする、ホウ素吸着材の再生方法。

【公開番号】特開2011−83711(P2011−83711A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238698(P2009−238698)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】