ホスティングシステム
【課題】 多様かつ長期にわたるクライアントの支援要求に柔軟に対応することが可能なホスティングシステムを提供する。
【解決手段】 本発明は,複数のサプライヤ端末200と複数のクライアント端末300とを中継するホスティングシステム100であって,ホスティングシステムは,全サプライヤ端末と全クライアント端末に共通の階層として構成される共有プロバイダ層110と各クライアント端末ごとに固有の階層として構成される個別デプロイヤ層120とから構成される。このように個別デプロイヤ層を分離することにより,多様かつ長期にわたるクライアントの支援要求に柔軟に対応することが可能である。
【解決手段】 本発明は,複数のサプライヤ端末200と複数のクライアント端末300とを中継するホスティングシステム100であって,ホスティングシステムは,全サプライヤ端末と全クライアント端末に共通の階層として構成される共有プロバイダ層110と各クライアント端末ごとに固有の階層として構成される個別デプロイヤ層120とから構成される。このように個別デプロイヤ層を分離することにより,多様かつ長期にわたるクライアントの支援要求に柔軟に対応することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,ホスティングシステムに係り,特にプラント設備の解析/設計の支援に好適なホスティングシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来,ISP(Internet Service Provider)による各種ホスティングサービスが知られている。これらのホスティングサービスは,ISPによる回線やサーバのレンタルサービスであり,WWWサーバやメールサーバなど,主にインターネット関連の公開サーバをプロバイダのバックボーンに直結し,それらの管理を代行するものであった。
【0003】すなわち,従来のISPは,情報提供者であるサプライヤが自己が提供する商品やサービスに関する情報を公開サーバ上に公開し,ユーザがその情報に自由にあるいは認証を受けてアクセスする場を提供するものに過ぎなかった。その結果,情報提供者(サプライヤ)はユーザ(クライアント)からのアクセスを受動的に待つしかなかった。また,ユーザにとっても自分が求める情報なりサービスがアクセスしたサイトにあるかないかは不明であった。従って,ユーザが自分が真に求める情報なりサービスの提供を受けるためには,個別に情報提供者であるサプライヤにコンタクトせざるを得なかった。そして,かかる手続は煩雑な上,コストも高くならざるを得なかった。
【0004】このように,従来のISPが提供するサービスは,例えて言うならば,サプライヤが提供するレディーメード製品が展示されたサイトにユーザが任意にアクセスし気に入った製品があれば購入するという方式であった。これに対して,ユーザが自分独自の製品を必要とする場合には,サプライヤに直接コンタクトしてカスタムメード製品を求める必要があり,費用と時間がかかる上,煩雑な手続が必要であった。すなわち,従来は,パターンメード製品のような,簡便に各ユーザの要求に合致する製品を提供することが可能なサイトまたはホスティングサービスは存在しなかった。
【0005】また,従来,各種アプリケーションツールを提供することが可能なサイトは存在していたが,コンテンツやアプリケーションツールのアップデータの動的に対応可能なサイトは存在していなかった。また,従来,資金や株のような短期的に完結するトランザクションを実現するサイトは実現されていた。しかしながら,プラント設計や解析業務のように,各作業段階において,複数のアプリケーション間を行き来する必要があったり,長時間にわたりツールの利用および利用状態の管理が必要な,いわば長いトランザクションに対応することが可能なサービスは実現されていなかった。
【0006】また最近では,ASP(Application Service Provider)と称されるインターネットを通じて固有のアプリケーションを利用者が使用することのできるサービスが登場している。しかしながら,ASPは,単に一または複数のアプリケーションを共通ミドルウェアの上に載せて提供するのみであり,アプリケーションの利用ノウハウまでも,個別ユーザ固有の要求に応じて提供することはできなかった。
【0007】さらにまた,従来,パソコンや車のように,ユーザの好みの部品を注文時点で受注し,それらを組み合わせて完成品として提供するサービスは知られているが,それらは完成品を選ぶための部品の組み合わせに限定されており,個別ユーザ固有の問題を解決することはできなかった。
【0008】さらにまた,プラントが設計,建設された後の運転や保守期間においても,設計段階に用いられるものと同一のアプリケーションが設備解析に用いられる場合があるが,使用方法やカスタマイズ面において設計段階とは大きく異なるため,設計段階に用いたアプリケーションをそのまま利用することは困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,従来のホスティングサービスが有する上記問題点に鑑みてなされたものであり,個別のユーザの要求に応じたサービスを柔軟に提供することが可能であり,さらに各個別ユーザが有する問題点等を抽出し,各個別ユーザ単位の個別サービスを提供可能であり,さらにコンテンツやアプリケーションツールのアップデートに対しても動的に対応可能であり,さらにまた,ツールや情報などの共通資源の有効活用を図ることが可能な,新規かつ改良されたホスティングシステムを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために,本発明によれば,複数のサプライヤ端末と複数のクライアント端末とを中継するホスティングシステムであって,前記ホスティングシステムは,全サプライヤ端末と全クライアント端末に共通の階層として構成される共有プロバイダ層と,各クライアント端末ごとに固有の階層として構成される個別デプロイヤ層とから成ることを特徴とする,ホスティングシステムが提供される。このように,本発明によれば,共有プロバイダ層と個別デプロイヤ層を分離したことにより,簡便なシステムにより個別クライアントに固有のサービスを廉価に提供することが可能である。
【0011】なお,前記デプロイヤ層は,前記クライアント端末のアクセスレベル,すなわちに応じて多層化されていることが好ましい。例えば,最下層デプロイヤ層には単純なツールのみを入手可能なように構成し,高次のデプロイヤ層に入れば入るほど高度のツールやコンサルタントサービスを受けることが可能なように構成することが可能である。
【0012】また,前記デプロイヤ層は,サプライヤ端末に関連するサービスを情報を提供するサービス管理データベースと,クライアント端末に関連する顧客情報を管理する顧客管理データベースを備えていることが好ましい。かかるデータベースを備えることにより,提供されるサービスと顧客情報とを解析するためのデータ蓄積を図ることが可能となる。
【0013】さらに,前記デプロイヤ層は,前記サービス管理データベースおよび/または前記顧客管理データベースに関連付けられて,各種アプリケーションツールを動的に管理するツール層を備えていることが好ましい。かかる構成によれば,アプリケーションツールなどの資源の共有化を図ることが可能となる。
【0014】また,前記デプロイヤ層には,前記クライアント端末から提供される支援要求情報を解析する解析エンジンを設けることが好ましい。かかる解析エンジンにより,例えば,解析結果としてクライアントの固有問題点を明確化および/または定式化し,各個別クライアントごとに木目細やかなサービスを提供することが可能となる。
【0015】なお,前記デプロイヤ層は,前記解析エンジンによる解析結果に基づいて,前記クライアント端末から提供される支援要求情報と前記サプライヤ端末から提供されるサービス情報とをマッチングさせるマッチングエンジンを備えていることが好ましい。
【0016】さらに,前記デプロイヤ層は,前記サプライヤ端末から提供されるサービス情報の中から前記解析結果に関連するサービス情報を抽出しおよび/または加工し前記クライアント端末に個別サービス情報として提供するように構成されていることが好ましい。
【0017】さらにまた,前記デプロイヤ層は,一または二以上のサプライヤ端末から提供される複数の一次アプリケーションツールを連携して,前記クライアント端末に固有の二次アプリケーションツールに統合したり,あるいはクライアント端末側から仮想的に単一のアプリケーションツールとして認識される二次アプリケーションツールに統合するアプリケーションツール連携エンジンを備えているように構成すれば,複数のアプリケーションを行き来可能な,パターンメード製品のように廉価にかつ個別クライアントにニーズに合致するアプリケーションツールを提供することが可能となる。
【0018】さらにまた,前記デプロイヤ層は,前記クライアント端末から提供される支援要求情報および/または前記サプライヤ端末から提供されるサービス情報を複数のトランザクション,または長時間のトランザクションにわたりネットワーク上で保持可能であるように構成することが好ましい。かかる構成によれば,従来のホスティングサービスのように,各トランザクションごとに情報の更新が不要となり,複数のアプリケーションツールにまたがる複雑なツールの連携も可能となる。
【0019】さらにまた,前記デプロイヤ層を,クライアント端末の作業段階に応じて,サプライヤ端末および/またはクライアント端末から提供された,および/または自己サーバ内に保持している各種コンテンツおよび/または各種アプリケーションツールを動的に適応させて,経時的トランザクションとして前記支援要求情報を処理するように構成すれば,長期にわたるクライアント側の事業段階にわたり,柔軟にかつ的確に対応することが可能となる。
【0020】さらにまた,前記デプロイヤ層を,サプライヤ端末および/またはクライアント端末から提供された,および/または自己サーバ内に保持している各種コンテンツおよび/または各種アプリケーションツールのアップデートに応じて動的に対応する経時的トランザクションとして前記支援要求情報を処理するように構成すれば,長いトランザクションに対しても的確に対応することが可能となる。
【0021】そして,特に上記のようなホスティングシステムは,プラント設備の解析/設計を支援するシステムとして構成するに好適である。
【0022】すでに説明したように,従来インターネット上でのオークションのように物と物又は物と価格をマッチングさせる仕組みは存在している。しかしながら、本発明のようにサービスのニーズと供給をマッチングさせるサイトは存在していない。本発明は、上記構成により,自社に限定されない第3者のサービスをも組み合せて、顧客のニーズにフレキシブルに対応できる仕組みを提案している。そして,その仕組みとして、デプロイヤ層を顧客毎に管理し、この層に顧客データベースとサービス供給のデータベースを接続し、顧客の履歴を解析、蓄積しながら、その時点に応じた顧客要求にマッチしたサービスを選定するマッチングエンジンを持っているのである。このように,本発明によれば,個別デプロイヤ層を分離し、且つデータベースと接続させて顧客の問題解決の履歴を保存することで、多様且つ長期にわたるクライアントのサービス支援要求に柔軟に対応することが可能である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に,添付図面を参照しながら,本発明にかかるホスティングシステムの好適な実施形態について詳細に説明する。また,以下の説明および添付図面において略同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0024】まず図1を参照しながら本実施の形態にかかるホスティングシステムの概略構成について説明する。図示のように,ホスティングシステム100は,中央処理装置,記憶装置,通信装置などを備えたホスティングサーバとして構成することができる。ホスティングサーバ内は,後述するように,一般に公開されている共有インターネットサービス(共有プロバイダ)層110と特定のクライアントにのみアクセスが許可されているデプロイヤ層120とに物理的にまたは仮想的に分離されている。図示の例では,デプロイヤ層120は,第1デプロイヤ層122,第2デプロイヤ層124,第3デプロイヤ層126の三層構造を有している。なお,デプロイヤ層120に関して,本実施の形態においては,三層に分離した構造に則して説明するが,本発明はかかる例に限定されず,単層のデプロイヤ層,あるいは,任意の層に分割された複数層のデプロイヤ層を有する構造に対しても本発明が適用可能であることは言うまでもない。
【0025】ホスティングシステム100は,インターネット網のような公衆回線網あるいは専用回線網により,ソフトウェアベンダA202,ソフトウェアベンダB204やサービス会社C206,サービス会社D208などの情報やサービス提供者であるサプライヤ(サービス提供会社)200のコンピュータシステムに接続されている。サプライヤ200は,ホスティングシステム100に対して,自己が提供するアプリケーションツールやセミナーなどの各種情報やサービスを提供する。そして,ホスティングシステム100では,提供された情報やサービスを,所定の規則またはサプライヤ200からの要求に従って,共有インターネット層110および/またはデプロイヤ層120に分離し,サービス提供管理データベース502として,クライアントがそれぞれのアクセス権に応じて,アクセス可能なデータベースとして構築する。
【0026】このサービス提供管理データベース502には,各サプライヤ200からの各種情報が登録される他,ホスティングシステム100におけるそれらの情報の利用ログなども記録される。その結果,ホスティングシステム100の各種エンジンは適宜このサービス提供管理データベース502にアクセスし,検索参照を行い,必要な情報を取り出すことが可能である。
【0027】クライアント300は,例えば,石油会社302,化学会社304,製薬会社306のようなプラント会社や,中小エンジ会社308のような企業のクライアントのコンピュータシステムから構成されている。クライアント300は,図示のように,インターネット網400のような公衆回線網あるいは専用回線網により,ホスティングシステム100に対してアクセスすることが可能である。そして,クライアント300に関する各種情報は,顧客管理データベース402に格納される。
【0028】この顧客管理データベース402には,各クライアント300からの各種情報が登録される他,ホスティングシステム100におけるそれらの情報の利用ログなども記録される。その結果,ホスティングシステム100の各種エンジンは適宜このサービス提供管理データベース502にアクセスし,検索参照を行い,必要な情報を取り出すことが可能である。
【0029】なお,本ホスティングシステム100のユーザのみをクライアント300として示したが,共有インターネット層110はアクセスフリーに構成されており,上記のようなプラント関連企業に限定されず,他の業種に属する企業や個人であってもインターネット網を介してアクセスすることにより,クライアント300の一部を構成しうる。しかし,後述するように,共有インターネットサービス層110の上位に構成されるデプロイヤ層120にアクセスするためには,特定の認証許可を得る必要がある。
【0030】次に,図2を参照しながら,本実施の形態にかかるホスティングシステム100の階層構造について説明する。
【0031】図示のように,本実施の形態にかかるホスティングシステム100の最下層には,共有インターネットサービス層110が設けられる。共有インターネットサービス層100は,すでに説明したように,アクセスフリーに構成されている。共有インターネットサービス層100にアクセスしたクライアントまたは一般ユーザは,例えば,そのサイトが提供するサービスの一覧を参照することが可能である。また,必要な場合にはより詳細な情報を要求することが可能である。さらに,所定の登録を行うことにより一般ユーザであっても例えばニュース配信などの情報提供を受けることが可能なように構成することも可能である。
【0032】本実施の形態にかかるホスティングシステム100のデプロイヤ層120は多層構造に,例えば三層構造に構成される。基本的には上層であればあるほど高度のサービス,すなわち,個別の設備や顧客によって高度に特殊化されたサービスを受けることが可能である。各層の分類は,汎用化された要素技術の抽出を主体にして行われることが好ましく,特に市販されているアプリケーションの利用をより容易にするように設計が行われることが好ましい。さらに,デプロイヤ層の分類は,各クライアントから依頼される業務の技術専門性に応じて行うことが可能である。
【0033】このように,デプロイヤ層を多層構造に構成する場合には,各層にアクセスするごとに,個別の認証を受けるように構成することも可能であるし,クライアントごとに予めどの層までアクセスが可能であるかどうかを設定しておくように構成することも可能である。例えば,図示の例では,第1デプロイヤ層122にアクセス可能なクライアントは,簡易ツールのみを使用することが許可される。また,第2デプロイヤ層124にアクセス可能なクライアントは,高度ツールの使用が許可されるのみならず,各種コンサルティングを受けることが可能である。さらにまた,第3デプロイヤ層126にアクセス可能なクライアントは,プロジェクトのプランニングを受けることができる他,詳細な見積も受けることが可能である。なお,図示の例は一例に過ぎず,各デプロイヤ層においてどのような情報やサービスを提供するように構成するかは任意であり,いずれの構成を採用するにせよ,本発明の技術的範囲に属することは明らかである。
【0034】ここで,デプロイヤ層は,本明細書においては,各クライアントの特定の環境にアプリケーションツールなどの情報やサービスを適応させ,各クライアントごとに個別に展開(deploy)することができるようにホストサーバ上に物理的または仮想的に構築された階層を総称するものとする。すなわち,本実施の形態にかかるデプロイヤ層は,クライアント側からみれば,各クライアント端末ごとに固有の階層として物理的にまたは仮想的に構成されたものとして認識される。また,本実施の形態にかかるデプロイヤ層は,ホスティングシステム側から見れば,各サプライヤから提供されるアプリケーションツールなどの情報やサービスを各クライアントごとに適応させるための階層として認識されるものである。
【0035】かかる構成により,各クライアントは,共有インターネットサービス層110を介してあたかも自己占有のサイトが形成されたかのように,各種情報やサービスの提供を受けることが可能となる。すなわち,図3R>3に示すように,各クライアントは,各デプロイヤ層に対するアクセス権を獲得することにより,ホスティングシステム100上に,共有インターネットサービス層110を介して,物理的にまたは仮想的に独立した専用デプロイヤ層120a,120b,120c,120dを所有することになり,各クライアントに固有の問題解決のための情報やサービスの提供を受けることが可能となる。
【0036】図4には,上記のように,各クライアント固有の個別サービスを提供可能なホスティングシステムの機能が概略的に示されている。図示のように,共有プロバイダ層110はアクセスフリーな階層として構成され,各クライアントに対して,実質的に同一の共通サービスを提供することが可能である。かかる共通サービスとしては,例えば一般的なニュース配信などが挙げられる。そして,すでに説明したように,各クライアントは,所定の認証/支払を介して,デプロイヤ層120にアクセスすることが可能となる。
【0037】デプロイヤ層120は,解析エンジン132,加工エンジン134,マッチングエンジン136,その他の処理エンジン136などを含んでいる。そして,クライアントからの支援要求情報は,これらのエンジン132,134,136,138により,ホスティングサーバ140のデータベース層140a(顧客管理データベース402,サービス提供管理データベース502,その他のデータベースを含む。)内に格納された各種コンテンツやアプリケーションを参照したり,必要に応じて,ツール層140bに格納された各種アプリケーションツールを用いながら,処理され,各クライアントに固有のサービスとして発信されるのである。したがって,各クライアントは,結果的に,図3に示すように,あたかもホスティングシステム内に専用のサイト(クライアント専用デプロイヤ層)が存在しているかのように,固有のサービスまたは情報の提供を受けることが可能となる。
【0038】次に,図5を参照しながら,ホスティングシステム100とサプライヤ200とクライアント300の間の情報/サービスの概略的な流れについて説明する。図示のように,サプライヤ200からは,予め,各種コンテンツやアプリケーションツールなどのサービス情報がホスティングシステム100に提供されており,顧客管理データベース402内に格納されている。そして,デプロイヤ層120に対してアクセス権を有するクライアント300から支援要求がホスティングシステム100に対して送信されると,ホスティングシステム100の解析エンジン132は,顧客の過去のアクセスデータなどが格納されている顧客管理データベース402に基づいて,支援要求情報を解析する。その結果,クライアント300に固有の問題点が明確化され,あるいは定式化される。
【0039】さらに,解析エンジン132の解析結果に応じて,例えば,マッチングエンジン138が,サービス提供管理データベース502内に基づいて,サービスを特定し,必要な処理を行う。より具体的には,サービス提供管理データベース502に格納された各種コンテンツやアプリケーションツールの中から,アクセスしてきたクライアント300に固有のコンテンツやアプリケーションツールを選択し,必要な処理を行う。それらの処理結果は,クライアント300に報告されると同時に,あるものは特定されたサービスを用いて処理される。その結果は,加工エンジン134を用いてクライアント300に報告される。このようにして,ホスティングシステム100は,クライアント300に対して支援要求に合致した情報またはサービスの提供を行うことが可能である。
【0040】また,マッチングエンジン138が,ホスティングサーバ140内に格納された各種コンテンツやアプリケーションツールの中から,クライアント300に固有の問題点を解決するための情報を探索できない場合には,ホスティングシステム100は,加工エンジン134やその他の処理エンジン136を用いて,ホスティングサーバ140内に格納されている各種コンテンツやアプリケーションツールを加工ないし処理して,クライアント300の環境に適合させて提供する。
【0041】例えば,単一のアプリケーションツールでは,クライアント300の環境または支援要求に答えられないような場合には,図6に示すように,ホスティングサーバ140内に格納されている複数の一次アプリケーションツールを相互に連携させて,物理的にまたは仮想的に二次アプリケーションツールに統合して,クライアント300の環境または支援要求に合致させることができる。このように,実際にはツール層において,複数のアプリケーションツールを使用していながら,クライアント300から見れば,物理的にまたは仮想的に単一の二次アプリケーションツールを使用しているような,ユーザフレンドリな環境が構築される。
【0042】なお,ツール層において複数のアプリケーションツールを行き来するためには,クライアント300またはサプライヤ200から提供される各種情報を複数のトランザクションにわたり,あるいは長時間のトランザクションにわたり,ネットワーク上で保持可能な環境を構築することが好ましい。この点,従来のインターネット環境は,本実施の形態において使用されるような,複数のトランザクションにわたり,あるいは長時間のトランザクションにわたり,所定の情報をネットワーク上で保持することは困難であった。したがって,トランザクションが変わるたびに情報を入力する必要があったり,あるいは,長時間のトランザクションの場合には処理が不可能なような場合があった。本実施の形態によれば,複数のトランザクションにわたり,あるいは長時間のトランザクションにわたり,必要な情報がインターネット上で保持されるので,効率的に処理を行うことができる。
【0043】このようにして処理された処理結果は,クライアント300側に報告され,または必要な情報またはサービスとして提供されるとともに,サプライヤ200側にも報告される。また,ホスティングサーバ140内に該当するコンテンツやアプリケーションツールなどの情報やサービスが存在しない場合には,サプライヤ側に追加サービスや情報を要求することができる。そして,追加のサービスや情報の供給を受けた上で,所定のマッチング処理,加工処理を行うことが可能である。
【0044】このように,本実施の形態によれば,物理的にまたは仮想的に構築された各クライアント固有の個別デプロイヤ層120により,千差万別のクライアント300の支援要求に応じた個別の情報またはサービスを,迅速にかつ廉価に提供することが可能となる。
【0045】さらに,本実施の形態によれば,物理的にまたは仮想的に各クライアント固有の個別デプロイヤ層を構築することにより,資金や株の移動のような短期的なトランザクションのみならず,長期にわたるトランザクションを処理することが可能となる。その一例を,図7R>7を参照しながら説明すると,一般的なプラント事業では,研究開発段階において事業化が決定されたプラント設備を,生産設計段階において具体的に設計建築が行われ,さらに詳細設計,建設段階において各種問題点が検討された後に,操作/メンテナンス段階において実際のプラントの稼動が行われる。そして,これらの各段階において,高度に専門化されたアプリケーションツールを使用する必要があり,またアプリケーションツールのアップデートに柔軟に対応する必要がある。しかし,従来,これらのアプリケーションツールを時系列的に関連付けて連携させていくためには,高度のノウハウと長年の経験が必要とされているため,非常に高価であり煩雑な作業であった。
【0046】しかしながら,本実施の形態によれば,図7R>7に示すように,物理的にまたは仮想的に各クライアント固有の個別デプロイヤ層を構築することにより,複数のアプリケーションツールを共時的にまたは通時的に連携することが可能となり,プラント事業のような長期にわたるトランザクションに対しても,アプリケーションツール相互の関連性を失うことなく,柔軟にかつ廉価に対応することが可能となる。
【0047】さらに,本実施の形態によれば,ホスティングサーバ140内に格納されている各種コンテンツや各種アプリケーションツールがアップデートされた場合であっても,そのアップデート内容を情報またはサービスの提供業務に対して動的に対応させることが可能であり,かかる面において,長期にわたるトランザクションに柔軟に対応することができる。
【0048】次に,図8〜図15を参照しながら,本実施の形態にかかるホスティングシステムの処理の流れをクライアント端末300に表示される画面を参考にしながら説明する。
【0049】図8は,ホスティングサーバ100の中の共有インターネットサービス層に相当する入口ページである。このページは種々のサービスのポータルとして機能し,アクセスしてきたクライアントは,その認証の程度に応じて,高次のデプロイヤ層にアクセスすることが可能である。図の例では,更新履歴(What’sNew),ニュース(Asia Pacifice EPC News),問題点の解析(What’s Your Problem),サーバが提供するツール情報(EngineeringTools),プロセスの解析やシミュレーション(Process Analysis & Simulation),費用見積(Plant Costing),プロジェクト管理(Project Management),3D設計モデル(Plant Conceptual3D Model),エンジニアリング教育(Engineering Education),技術コンサルタント(Technical Consultation)などへのポータルが表示される。また,日本語と英語との切換(Japanese/English),ユーザ登録(User Registration),各種質問応答(Question?/FAQ),パートナーサイトへのリンク(Our Partners)などもこのページに表示される。
【0050】入口ページにおいて,クライアント300が自分の問題点を了解している場合には,図9に示すような,問題の分野にすぐに入ることが可能である。図9に示す画面には,ライン水圧(Line Hydraulics)に関する問題点が扱われるページが例示されている。このページ内には,パイプ,ノズル,ポンプなどの寸法等に関する情報を検証する設計フェーズ(Design Problem)と低圧化やパイプ振動などに関する情報を検証する運転保守フェーズ(Operation Problem)が示されている。
【0051】これに対して,図10には,アクセスしてきたクライアント300が自分の問題点を了解していない場合に,アクセスする必要がある,問題点の解析(What’s Your Problem)の画面が表示されている。画面上には,クライアント300が問題点の特性を入力するための領域(Identify Your Problem)と,解析エンジンより推定された原因個所がチェックリストとして提示される領域(Recommended Check Listfor Your Problem)が示されている。
【0052】図11の画面には,図10のチェックリストに応じて,クライアント300が問題点とのマッチングを行うために必要なデータを入力する領域(Pleasespechify Fluid Conditions)が示されている。ここで必要なデータを入力すると,クライアント300の問題点にマッチングしたツールが立ち上がり,計算(処理)結果が返答される。また,さらにクライアント300が,広い範囲での計算(処理)を要求する場合には,画面下方の領域(CV Hydralulics Analysis)において必要な情報を入力する必要がある。
【0053】図12および図13には,ナビゲーション方式で,クライアント300の問題点を解析していく画面が示されている。図示のように,パイプ寸法に関する設計を解析する領域(Design Problem Sizing Pipe)に示される各ステップ(Steps to size a pipe)に従って,順次入力を行っていくことにより,問題点の解析が行われる。なお,図12は,解析のためのナビゲーションの概略が示される画面を示し,図13は,図12の画面で選択されたステップにおいて,さらに細かい入力を行うための画面が示されている。
【0054】さらに,図14および図15には,クライアント300が問題点を解析するための情報入力を行うにあたり参照することが可能な,基本資料を示した画面が示されている。
【0055】以上のような画面に従って必要な入力を行うことにより,クライアント300は何らの負担も感じることなく,自らの問題点を解析し,さらに一または複数の高度なアプリケーションツールを利用して,問題の解決に必要な情報を得ることが可能となるのである。
【0056】以上添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態にかかるホスティングシステムについて説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的思想の範疇内に属するものと了解される。
【0057】例えば,上記実施の形態においては,本発明にかかるホスティングシステムをプラント設備の解析/設計のホスティングシステムに適応させた場合を例に挙げて説明したが,本発明はかかる例に限定されず,各種製造組立事業,流通事業など,クライアントごとに個別の対応が必要であり,かつ長期的にわたりメンテナンス等が必要なトランザクションが必要となる事業のホスティングシステムに適応することが可能である。
【0058】さらにまた,上記実施の形態においては,主に,ホスティングサーバ140内に格納されたコンテンツやアプリケーションツールを,マッチングエンジン138や加工エンジン134その他の処理エンジン136で加工処理する場合を例に挙げて説明したが,本発明はかかる例に限定されない。例えばクライアントからの支援要求を受けるたびに,サプライヤ側からその内容に合致するコンテンツやアプリケーションツールの供給を受け,それらをマッチング処理,加工処理するように構成することも可能である。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように,本発明によれば,クライアントごとに支援要求が異なる場合であっても,またクライアントによる支援要求が長期にわたる場合であっても,柔軟に対応することが可能なホスティングシステムを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるホスティングシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明にかかるホスティングシステムの階層構造の概念構成を示すブロック図である。
【図3】本発明にかかるホスティングシステムの個別デプロイヤ層の概念構成を示すブロック図である。
【図4】本発明にかかるホスティングシステムの共通サービスと個別サービスの提供の概念構成を示すブロック図である。
【図5】本発明にかかるホスティングシステムの動作状態の概念構成を示すブロック図である。
【図6】本発明にかかるホスティングシステムのアプリケーションツール連携動作の概念構成を示すブロック図である。
【図7】本発明にかかるホスティングシステムのクライアント側の事業展開に応じて経時的なアプリケーションツールの連携状態の概念構成を示すブロック図である。
【図8】本発明にかかるホスティングシステムにより処理を行う場合に,クライアント端末に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図9】本発明にかかるホスティングシステムにより処理を行う場合に,クライアント端末に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図10】本発明にかかるホスティングシステムにより処理を行う場合に,クライアント端末に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図11】本発明にかかるホスティングシステムにより処理を行う場合に,クライアント端末に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図12】本発明にかかるホスティングシステムにより処理を行う場合に,クライアント端末に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図13】本発明にかかるホスティングシステムにより処理を行う場合に,クライアント端末に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図14】本発明にかかるホスティングシステムにより処理を行う場合に,クライアント端末に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図15】本発明にかかるホスティングシステムにより処理を行う場合に,クライアント端末に表示される画面の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
100 ホスティングシステム
110 共有プロバイダ層
120 デプロイヤ層
122 第1デプロイヤ層
124 第2デプロイヤ層
126 第3デプロイヤ層
200 サプライヤ
300 クライアント
400 インターネット網
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,ホスティングシステムに係り,特にプラント設備の解析/設計の支援に好適なホスティングシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来,ISP(Internet Service Provider)による各種ホスティングサービスが知られている。これらのホスティングサービスは,ISPによる回線やサーバのレンタルサービスであり,WWWサーバやメールサーバなど,主にインターネット関連の公開サーバをプロバイダのバックボーンに直結し,それらの管理を代行するものであった。
【0003】すなわち,従来のISPは,情報提供者であるサプライヤが自己が提供する商品やサービスに関する情報を公開サーバ上に公開し,ユーザがその情報に自由にあるいは認証を受けてアクセスする場を提供するものに過ぎなかった。その結果,情報提供者(サプライヤ)はユーザ(クライアント)からのアクセスを受動的に待つしかなかった。また,ユーザにとっても自分が求める情報なりサービスがアクセスしたサイトにあるかないかは不明であった。従って,ユーザが自分が真に求める情報なりサービスの提供を受けるためには,個別に情報提供者であるサプライヤにコンタクトせざるを得なかった。そして,かかる手続は煩雑な上,コストも高くならざるを得なかった。
【0004】このように,従来のISPが提供するサービスは,例えて言うならば,サプライヤが提供するレディーメード製品が展示されたサイトにユーザが任意にアクセスし気に入った製品があれば購入するという方式であった。これに対して,ユーザが自分独自の製品を必要とする場合には,サプライヤに直接コンタクトしてカスタムメード製品を求める必要があり,費用と時間がかかる上,煩雑な手続が必要であった。すなわち,従来は,パターンメード製品のような,簡便に各ユーザの要求に合致する製品を提供することが可能なサイトまたはホスティングサービスは存在しなかった。
【0005】また,従来,各種アプリケーションツールを提供することが可能なサイトは存在していたが,コンテンツやアプリケーションツールのアップデータの動的に対応可能なサイトは存在していなかった。また,従来,資金や株のような短期的に完結するトランザクションを実現するサイトは実現されていた。しかしながら,プラント設計や解析業務のように,各作業段階において,複数のアプリケーション間を行き来する必要があったり,長時間にわたりツールの利用および利用状態の管理が必要な,いわば長いトランザクションに対応することが可能なサービスは実現されていなかった。
【0006】また最近では,ASP(Application Service Provider)と称されるインターネットを通じて固有のアプリケーションを利用者が使用することのできるサービスが登場している。しかしながら,ASPは,単に一または複数のアプリケーションを共通ミドルウェアの上に載せて提供するのみであり,アプリケーションの利用ノウハウまでも,個別ユーザ固有の要求に応じて提供することはできなかった。
【0007】さらにまた,従来,パソコンや車のように,ユーザの好みの部品を注文時点で受注し,それらを組み合わせて完成品として提供するサービスは知られているが,それらは完成品を選ぶための部品の組み合わせに限定されており,個別ユーザ固有の問題を解決することはできなかった。
【0008】さらにまた,プラントが設計,建設された後の運転や保守期間においても,設計段階に用いられるものと同一のアプリケーションが設備解析に用いられる場合があるが,使用方法やカスタマイズ面において設計段階とは大きく異なるため,設計段階に用いたアプリケーションをそのまま利用することは困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,従来のホスティングサービスが有する上記問題点に鑑みてなされたものであり,個別のユーザの要求に応じたサービスを柔軟に提供することが可能であり,さらに各個別ユーザが有する問題点等を抽出し,各個別ユーザ単位の個別サービスを提供可能であり,さらにコンテンツやアプリケーションツールのアップデートに対しても動的に対応可能であり,さらにまた,ツールや情報などの共通資源の有効活用を図ることが可能な,新規かつ改良されたホスティングシステムを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために,本発明によれば,複数のサプライヤ端末と複数のクライアント端末とを中継するホスティングシステムであって,前記ホスティングシステムは,全サプライヤ端末と全クライアント端末に共通の階層として構成される共有プロバイダ層と,各クライアント端末ごとに固有の階層として構成される個別デプロイヤ層とから成ることを特徴とする,ホスティングシステムが提供される。このように,本発明によれば,共有プロバイダ層と個別デプロイヤ層を分離したことにより,簡便なシステムにより個別クライアントに固有のサービスを廉価に提供することが可能である。
【0011】なお,前記デプロイヤ層は,前記クライアント端末のアクセスレベル,すなわちに応じて多層化されていることが好ましい。例えば,最下層デプロイヤ層には単純なツールのみを入手可能なように構成し,高次のデプロイヤ層に入れば入るほど高度のツールやコンサルタントサービスを受けることが可能なように構成することが可能である。
【0012】また,前記デプロイヤ層は,サプライヤ端末に関連するサービスを情報を提供するサービス管理データベースと,クライアント端末に関連する顧客情報を管理する顧客管理データベースを備えていることが好ましい。かかるデータベースを備えることにより,提供されるサービスと顧客情報とを解析するためのデータ蓄積を図ることが可能となる。
【0013】さらに,前記デプロイヤ層は,前記サービス管理データベースおよび/または前記顧客管理データベースに関連付けられて,各種アプリケーションツールを動的に管理するツール層を備えていることが好ましい。かかる構成によれば,アプリケーションツールなどの資源の共有化を図ることが可能となる。
【0014】また,前記デプロイヤ層には,前記クライアント端末から提供される支援要求情報を解析する解析エンジンを設けることが好ましい。かかる解析エンジンにより,例えば,解析結果としてクライアントの固有問題点を明確化および/または定式化し,各個別クライアントごとに木目細やかなサービスを提供することが可能となる。
【0015】なお,前記デプロイヤ層は,前記解析エンジンによる解析結果に基づいて,前記クライアント端末から提供される支援要求情報と前記サプライヤ端末から提供されるサービス情報とをマッチングさせるマッチングエンジンを備えていることが好ましい。
【0016】さらに,前記デプロイヤ層は,前記サプライヤ端末から提供されるサービス情報の中から前記解析結果に関連するサービス情報を抽出しおよび/または加工し前記クライアント端末に個別サービス情報として提供するように構成されていることが好ましい。
【0017】さらにまた,前記デプロイヤ層は,一または二以上のサプライヤ端末から提供される複数の一次アプリケーションツールを連携して,前記クライアント端末に固有の二次アプリケーションツールに統合したり,あるいはクライアント端末側から仮想的に単一のアプリケーションツールとして認識される二次アプリケーションツールに統合するアプリケーションツール連携エンジンを備えているように構成すれば,複数のアプリケーションを行き来可能な,パターンメード製品のように廉価にかつ個別クライアントにニーズに合致するアプリケーションツールを提供することが可能となる。
【0018】さらにまた,前記デプロイヤ層は,前記クライアント端末から提供される支援要求情報および/または前記サプライヤ端末から提供されるサービス情報を複数のトランザクション,または長時間のトランザクションにわたりネットワーク上で保持可能であるように構成することが好ましい。かかる構成によれば,従来のホスティングサービスのように,各トランザクションごとに情報の更新が不要となり,複数のアプリケーションツールにまたがる複雑なツールの連携も可能となる。
【0019】さらにまた,前記デプロイヤ層を,クライアント端末の作業段階に応じて,サプライヤ端末および/またはクライアント端末から提供された,および/または自己サーバ内に保持している各種コンテンツおよび/または各種アプリケーションツールを動的に適応させて,経時的トランザクションとして前記支援要求情報を処理するように構成すれば,長期にわたるクライアント側の事業段階にわたり,柔軟にかつ的確に対応することが可能となる。
【0020】さらにまた,前記デプロイヤ層を,サプライヤ端末および/またはクライアント端末から提供された,および/または自己サーバ内に保持している各種コンテンツおよび/または各種アプリケーションツールのアップデートに応じて動的に対応する経時的トランザクションとして前記支援要求情報を処理するように構成すれば,長いトランザクションに対しても的確に対応することが可能となる。
【0021】そして,特に上記のようなホスティングシステムは,プラント設備の解析/設計を支援するシステムとして構成するに好適である。
【0022】すでに説明したように,従来インターネット上でのオークションのように物と物又は物と価格をマッチングさせる仕組みは存在している。しかしながら、本発明のようにサービスのニーズと供給をマッチングさせるサイトは存在していない。本発明は、上記構成により,自社に限定されない第3者のサービスをも組み合せて、顧客のニーズにフレキシブルに対応できる仕組みを提案している。そして,その仕組みとして、デプロイヤ層を顧客毎に管理し、この層に顧客データベースとサービス供給のデータベースを接続し、顧客の履歴を解析、蓄積しながら、その時点に応じた顧客要求にマッチしたサービスを選定するマッチングエンジンを持っているのである。このように,本発明によれば,個別デプロイヤ層を分離し、且つデータベースと接続させて顧客の問題解決の履歴を保存することで、多様且つ長期にわたるクライアントのサービス支援要求に柔軟に対応することが可能である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に,添付図面を参照しながら,本発明にかかるホスティングシステムの好適な実施形態について詳細に説明する。また,以下の説明および添付図面において略同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0024】まず図1を参照しながら本実施の形態にかかるホスティングシステムの概略構成について説明する。図示のように,ホスティングシステム100は,中央処理装置,記憶装置,通信装置などを備えたホスティングサーバとして構成することができる。ホスティングサーバ内は,後述するように,一般に公開されている共有インターネットサービス(共有プロバイダ)層110と特定のクライアントにのみアクセスが許可されているデプロイヤ層120とに物理的にまたは仮想的に分離されている。図示の例では,デプロイヤ層120は,第1デプロイヤ層122,第2デプロイヤ層124,第3デプロイヤ層126の三層構造を有している。なお,デプロイヤ層120に関して,本実施の形態においては,三層に分離した構造に則して説明するが,本発明はかかる例に限定されず,単層のデプロイヤ層,あるいは,任意の層に分割された複数層のデプロイヤ層を有する構造に対しても本発明が適用可能であることは言うまでもない。
【0025】ホスティングシステム100は,インターネット網のような公衆回線網あるいは専用回線網により,ソフトウェアベンダA202,ソフトウェアベンダB204やサービス会社C206,サービス会社D208などの情報やサービス提供者であるサプライヤ(サービス提供会社)200のコンピュータシステムに接続されている。サプライヤ200は,ホスティングシステム100に対して,自己が提供するアプリケーションツールやセミナーなどの各種情報やサービスを提供する。そして,ホスティングシステム100では,提供された情報やサービスを,所定の規則またはサプライヤ200からの要求に従って,共有インターネット層110および/またはデプロイヤ層120に分離し,サービス提供管理データベース502として,クライアントがそれぞれのアクセス権に応じて,アクセス可能なデータベースとして構築する。
【0026】このサービス提供管理データベース502には,各サプライヤ200からの各種情報が登録される他,ホスティングシステム100におけるそれらの情報の利用ログなども記録される。その結果,ホスティングシステム100の各種エンジンは適宜このサービス提供管理データベース502にアクセスし,検索参照を行い,必要な情報を取り出すことが可能である。
【0027】クライアント300は,例えば,石油会社302,化学会社304,製薬会社306のようなプラント会社や,中小エンジ会社308のような企業のクライアントのコンピュータシステムから構成されている。クライアント300は,図示のように,インターネット網400のような公衆回線網あるいは専用回線網により,ホスティングシステム100に対してアクセスすることが可能である。そして,クライアント300に関する各種情報は,顧客管理データベース402に格納される。
【0028】この顧客管理データベース402には,各クライアント300からの各種情報が登録される他,ホスティングシステム100におけるそれらの情報の利用ログなども記録される。その結果,ホスティングシステム100の各種エンジンは適宜このサービス提供管理データベース502にアクセスし,検索参照を行い,必要な情報を取り出すことが可能である。
【0029】なお,本ホスティングシステム100のユーザのみをクライアント300として示したが,共有インターネット層110はアクセスフリーに構成されており,上記のようなプラント関連企業に限定されず,他の業種に属する企業や個人であってもインターネット網を介してアクセスすることにより,クライアント300の一部を構成しうる。しかし,後述するように,共有インターネットサービス層110の上位に構成されるデプロイヤ層120にアクセスするためには,特定の認証許可を得る必要がある。
【0030】次に,図2を参照しながら,本実施の形態にかかるホスティングシステム100の階層構造について説明する。
【0031】図示のように,本実施の形態にかかるホスティングシステム100の最下層には,共有インターネットサービス層110が設けられる。共有インターネットサービス層100は,すでに説明したように,アクセスフリーに構成されている。共有インターネットサービス層100にアクセスしたクライアントまたは一般ユーザは,例えば,そのサイトが提供するサービスの一覧を参照することが可能である。また,必要な場合にはより詳細な情報を要求することが可能である。さらに,所定の登録を行うことにより一般ユーザであっても例えばニュース配信などの情報提供を受けることが可能なように構成することも可能である。
【0032】本実施の形態にかかるホスティングシステム100のデプロイヤ層120は多層構造に,例えば三層構造に構成される。基本的には上層であればあるほど高度のサービス,すなわち,個別の設備や顧客によって高度に特殊化されたサービスを受けることが可能である。各層の分類は,汎用化された要素技術の抽出を主体にして行われることが好ましく,特に市販されているアプリケーションの利用をより容易にするように設計が行われることが好ましい。さらに,デプロイヤ層の分類は,各クライアントから依頼される業務の技術専門性に応じて行うことが可能である。
【0033】このように,デプロイヤ層を多層構造に構成する場合には,各層にアクセスするごとに,個別の認証を受けるように構成することも可能であるし,クライアントごとに予めどの層までアクセスが可能であるかどうかを設定しておくように構成することも可能である。例えば,図示の例では,第1デプロイヤ層122にアクセス可能なクライアントは,簡易ツールのみを使用することが許可される。また,第2デプロイヤ層124にアクセス可能なクライアントは,高度ツールの使用が許可されるのみならず,各種コンサルティングを受けることが可能である。さらにまた,第3デプロイヤ層126にアクセス可能なクライアントは,プロジェクトのプランニングを受けることができる他,詳細な見積も受けることが可能である。なお,図示の例は一例に過ぎず,各デプロイヤ層においてどのような情報やサービスを提供するように構成するかは任意であり,いずれの構成を採用するにせよ,本発明の技術的範囲に属することは明らかである。
【0034】ここで,デプロイヤ層は,本明細書においては,各クライアントの特定の環境にアプリケーションツールなどの情報やサービスを適応させ,各クライアントごとに個別に展開(deploy)することができるようにホストサーバ上に物理的または仮想的に構築された階層を総称するものとする。すなわち,本実施の形態にかかるデプロイヤ層は,クライアント側からみれば,各クライアント端末ごとに固有の階層として物理的にまたは仮想的に構成されたものとして認識される。また,本実施の形態にかかるデプロイヤ層は,ホスティングシステム側から見れば,各サプライヤから提供されるアプリケーションツールなどの情報やサービスを各クライアントごとに適応させるための階層として認識されるものである。
【0035】かかる構成により,各クライアントは,共有インターネットサービス層110を介してあたかも自己占有のサイトが形成されたかのように,各種情報やサービスの提供を受けることが可能となる。すなわち,図3R>3に示すように,各クライアントは,各デプロイヤ層に対するアクセス権を獲得することにより,ホスティングシステム100上に,共有インターネットサービス層110を介して,物理的にまたは仮想的に独立した専用デプロイヤ層120a,120b,120c,120dを所有することになり,各クライアントに固有の問題解決のための情報やサービスの提供を受けることが可能となる。
【0036】図4には,上記のように,各クライアント固有の個別サービスを提供可能なホスティングシステムの機能が概略的に示されている。図示のように,共有プロバイダ層110はアクセスフリーな階層として構成され,各クライアントに対して,実質的に同一の共通サービスを提供することが可能である。かかる共通サービスとしては,例えば一般的なニュース配信などが挙げられる。そして,すでに説明したように,各クライアントは,所定の認証/支払を介して,デプロイヤ層120にアクセスすることが可能となる。
【0037】デプロイヤ層120は,解析エンジン132,加工エンジン134,マッチングエンジン136,その他の処理エンジン136などを含んでいる。そして,クライアントからの支援要求情報は,これらのエンジン132,134,136,138により,ホスティングサーバ140のデータベース層140a(顧客管理データベース402,サービス提供管理データベース502,その他のデータベースを含む。)内に格納された各種コンテンツやアプリケーションを参照したり,必要に応じて,ツール層140bに格納された各種アプリケーションツールを用いながら,処理され,各クライアントに固有のサービスとして発信されるのである。したがって,各クライアントは,結果的に,図3に示すように,あたかもホスティングシステム内に専用のサイト(クライアント専用デプロイヤ層)が存在しているかのように,固有のサービスまたは情報の提供を受けることが可能となる。
【0038】次に,図5を参照しながら,ホスティングシステム100とサプライヤ200とクライアント300の間の情報/サービスの概略的な流れについて説明する。図示のように,サプライヤ200からは,予め,各種コンテンツやアプリケーションツールなどのサービス情報がホスティングシステム100に提供されており,顧客管理データベース402内に格納されている。そして,デプロイヤ層120に対してアクセス権を有するクライアント300から支援要求がホスティングシステム100に対して送信されると,ホスティングシステム100の解析エンジン132は,顧客の過去のアクセスデータなどが格納されている顧客管理データベース402に基づいて,支援要求情報を解析する。その結果,クライアント300に固有の問題点が明確化され,あるいは定式化される。
【0039】さらに,解析エンジン132の解析結果に応じて,例えば,マッチングエンジン138が,サービス提供管理データベース502内に基づいて,サービスを特定し,必要な処理を行う。より具体的には,サービス提供管理データベース502に格納された各種コンテンツやアプリケーションツールの中から,アクセスしてきたクライアント300に固有のコンテンツやアプリケーションツールを選択し,必要な処理を行う。それらの処理結果は,クライアント300に報告されると同時に,あるものは特定されたサービスを用いて処理される。その結果は,加工エンジン134を用いてクライアント300に報告される。このようにして,ホスティングシステム100は,クライアント300に対して支援要求に合致した情報またはサービスの提供を行うことが可能である。
【0040】また,マッチングエンジン138が,ホスティングサーバ140内に格納された各種コンテンツやアプリケーションツールの中から,クライアント300に固有の問題点を解決するための情報を探索できない場合には,ホスティングシステム100は,加工エンジン134やその他の処理エンジン136を用いて,ホスティングサーバ140内に格納されている各種コンテンツやアプリケーションツールを加工ないし処理して,クライアント300の環境に適合させて提供する。
【0041】例えば,単一のアプリケーションツールでは,クライアント300の環境または支援要求に答えられないような場合には,図6に示すように,ホスティングサーバ140内に格納されている複数の一次アプリケーションツールを相互に連携させて,物理的にまたは仮想的に二次アプリケーションツールに統合して,クライアント300の環境または支援要求に合致させることができる。このように,実際にはツール層において,複数のアプリケーションツールを使用していながら,クライアント300から見れば,物理的にまたは仮想的に単一の二次アプリケーションツールを使用しているような,ユーザフレンドリな環境が構築される。
【0042】なお,ツール層において複数のアプリケーションツールを行き来するためには,クライアント300またはサプライヤ200から提供される各種情報を複数のトランザクションにわたり,あるいは長時間のトランザクションにわたり,ネットワーク上で保持可能な環境を構築することが好ましい。この点,従来のインターネット環境は,本実施の形態において使用されるような,複数のトランザクションにわたり,あるいは長時間のトランザクションにわたり,所定の情報をネットワーク上で保持することは困難であった。したがって,トランザクションが変わるたびに情報を入力する必要があったり,あるいは,長時間のトランザクションの場合には処理が不可能なような場合があった。本実施の形態によれば,複数のトランザクションにわたり,あるいは長時間のトランザクションにわたり,必要な情報がインターネット上で保持されるので,効率的に処理を行うことができる。
【0043】このようにして処理された処理結果は,クライアント300側に報告され,または必要な情報またはサービスとして提供されるとともに,サプライヤ200側にも報告される。また,ホスティングサーバ140内に該当するコンテンツやアプリケーションツールなどの情報やサービスが存在しない場合には,サプライヤ側に追加サービスや情報を要求することができる。そして,追加のサービスや情報の供給を受けた上で,所定のマッチング処理,加工処理を行うことが可能である。
【0044】このように,本実施の形態によれば,物理的にまたは仮想的に構築された各クライアント固有の個別デプロイヤ層120により,千差万別のクライアント300の支援要求に応じた個別の情報またはサービスを,迅速にかつ廉価に提供することが可能となる。
【0045】さらに,本実施の形態によれば,物理的にまたは仮想的に各クライアント固有の個別デプロイヤ層を構築することにより,資金や株の移動のような短期的なトランザクションのみならず,長期にわたるトランザクションを処理することが可能となる。その一例を,図7R>7を参照しながら説明すると,一般的なプラント事業では,研究開発段階において事業化が決定されたプラント設備を,生産設計段階において具体的に設計建築が行われ,さらに詳細設計,建設段階において各種問題点が検討された後に,操作/メンテナンス段階において実際のプラントの稼動が行われる。そして,これらの各段階において,高度に専門化されたアプリケーションツールを使用する必要があり,またアプリケーションツールのアップデートに柔軟に対応する必要がある。しかし,従来,これらのアプリケーションツールを時系列的に関連付けて連携させていくためには,高度のノウハウと長年の経験が必要とされているため,非常に高価であり煩雑な作業であった。
【0046】しかしながら,本実施の形態によれば,図7R>7に示すように,物理的にまたは仮想的に各クライアント固有の個別デプロイヤ層を構築することにより,複数のアプリケーションツールを共時的にまたは通時的に連携することが可能となり,プラント事業のような長期にわたるトランザクションに対しても,アプリケーションツール相互の関連性を失うことなく,柔軟にかつ廉価に対応することが可能となる。
【0047】さらに,本実施の形態によれば,ホスティングサーバ140内に格納されている各種コンテンツや各種アプリケーションツールがアップデートされた場合であっても,そのアップデート内容を情報またはサービスの提供業務に対して動的に対応させることが可能であり,かかる面において,長期にわたるトランザクションに柔軟に対応することができる。
【0048】次に,図8〜図15を参照しながら,本実施の形態にかかるホスティングシステムの処理の流れをクライアント端末300に表示される画面を参考にしながら説明する。
【0049】図8は,ホスティングサーバ100の中の共有インターネットサービス層に相当する入口ページである。このページは種々のサービスのポータルとして機能し,アクセスしてきたクライアントは,その認証の程度に応じて,高次のデプロイヤ層にアクセスすることが可能である。図の例では,更新履歴(What’sNew),ニュース(Asia Pacifice EPC News),問題点の解析(What’s Your Problem),サーバが提供するツール情報(EngineeringTools),プロセスの解析やシミュレーション(Process Analysis & Simulation),費用見積(Plant Costing),プロジェクト管理(Project Management),3D設計モデル(Plant Conceptual3D Model),エンジニアリング教育(Engineering Education),技術コンサルタント(Technical Consultation)などへのポータルが表示される。また,日本語と英語との切換(Japanese/English),ユーザ登録(User Registration),各種質問応答(Question?/FAQ),パートナーサイトへのリンク(Our Partners)などもこのページに表示される。
【0050】入口ページにおいて,クライアント300が自分の問題点を了解している場合には,図9に示すような,問題の分野にすぐに入ることが可能である。図9に示す画面には,ライン水圧(Line Hydraulics)に関する問題点が扱われるページが例示されている。このページ内には,パイプ,ノズル,ポンプなどの寸法等に関する情報を検証する設計フェーズ(Design Problem)と低圧化やパイプ振動などに関する情報を検証する運転保守フェーズ(Operation Problem)が示されている。
【0051】これに対して,図10には,アクセスしてきたクライアント300が自分の問題点を了解していない場合に,アクセスする必要がある,問題点の解析(What’s Your Problem)の画面が表示されている。画面上には,クライアント300が問題点の特性を入力するための領域(Identify Your Problem)と,解析エンジンより推定された原因個所がチェックリストとして提示される領域(Recommended Check Listfor Your Problem)が示されている。
【0052】図11の画面には,図10のチェックリストに応じて,クライアント300が問題点とのマッチングを行うために必要なデータを入力する領域(Pleasespechify Fluid Conditions)が示されている。ここで必要なデータを入力すると,クライアント300の問題点にマッチングしたツールが立ち上がり,計算(処理)結果が返答される。また,さらにクライアント300が,広い範囲での計算(処理)を要求する場合には,画面下方の領域(CV Hydralulics Analysis)において必要な情報を入力する必要がある。
【0053】図12および図13には,ナビゲーション方式で,クライアント300の問題点を解析していく画面が示されている。図示のように,パイプ寸法に関する設計を解析する領域(Design Problem Sizing Pipe)に示される各ステップ(Steps to size a pipe)に従って,順次入力を行っていくことにより,問題点の解析が行われる。なお,図12は,解析のためのナビゲーションの概略が示される画面を示し,図13は,図12の画面で選択されたステップにおいて,さらに細かい入力を行うための画面が示されている。
【0054】さらに,図14および図15には,クライアント300が問題点を解析するための情報入力を行うにあたり参照することが可能な,基本資料を示した画面が示されている。
【0055】以上のような画面に従って必要な入力を行うことにより,クライアント300は何らの負担も感じることなく,自らの問題点を解析し,さらに一または複数の高度なアプリケーションツールを利用して,問題の解決に必要な情報を得ることが可能となるのである。
【0056】以上添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態にかかるホスティングシステムについて説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的思想の範疇内に属するものと了解される。
【0057】例えば,上記実施の形態においては,本発明にかかるホスティングシステムをプラント設備の解析/設計のホスティングシステムに適応させた場合を例に挙げて説明したが,本発明はかかる例に限定されず,各種製造組立事業,流通事業など,クライアントごとに個別の対応が必要であり,かつ長期的にわたりメンテナンス等が必要なトランザクションが必要となる事業のホスティングシステムに適応することが可能である。
【0058】さらにまた,上記実施の形態においては,主に,ホスティングサーバ140内に格納されたコンテンツやアプリケーションツールを,マッチングエンジン138や加工エンジン134その他の処理エンジン136で加工処理する場合を例に挙げて説明したが,本発明はかかる例に限定されない。例えばクライアントからの支援要求を受けるたびに,サプライヤ側からその内容に合致するコンテンツやアプリケーションツールの供給を受け,それらをマッチング処理,加工処理するように構成することも可能である。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように,本発明によれば,クライアントごとに支援要求が異なる場合であっても,またクライアントによる支援要求が長期にわたる場合であっても,柔軟に対応することが可能なホスティングシステムを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるホスティングシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明にかかるホスティングシステムの階層構造の概念構成を示すブロック図である。
【図3】本発明にかかるホスティングシステムの個別デプロイヤ層の概念構成を示すブロック図である。
【図4】本発明にかかるホスティングシステムの共通サービスと個別サービスの提供の概念構成を示すブロック図である。
【図5】本発明にかかるホスティングシステムの動作状態の概念構成を示すブロック図である。
【図6】本発明にかかるホスティングシステムのアプリケーションツール連携動作の概念構成を示すブロック図である。
【図7】本発明にかかるホスティングシステムのクライアント側の事業展開に応じて経時的なアプリケーションツールの連携状態の概念構成を示すブロック図である。
【図8】本発明にかかるホスティングシステムにより処理を行う場合に,クライアント端末に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図9】本発明にかかるホスティングシステムにより処理を行う場合に,クライアント端末に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図10】本発明にかかるホスティングシステムにより処理を行う場合に,クライアント端末に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図11】本発明にかかるホスティングシステムにより処理を行う場合に,クライアント端末に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図12】本発明にかかるホスティングシステムにより処理を行う場合に,クライアント端末に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図13】本発明にかかるホスティングシステムにより処理を行う場合に,クライアント端末に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図14】本発明にかかるホスティングシステムにより処理を行う場合に,クライアント端末に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図15】本発明にかかるホスティングシステムにより処理を行う場合に,クライアント端末に表示される画面の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
100 ホスティングシステム
110 共有プロバイダ層
120 デプロイヤ層
122 第1デプロイヤ層
124 第2デプロイヤ層
126 第3デプロイヤ層
200 サプライヤ
300 クライアント
400 インターネット網
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数のサプライヤ端末と複数のクライアント端末とを中継するホスティングシステムであって,前記ホスティングシステムは,全サプライヤ端末と全クライアント端末に共通の階層として構成される共有プロバイダ層と,各クライアント端末ごとに固有の階層として構成される個別デプロイヤ層とから成ることを特徴とする,ホスティングシステム。
【請求項2】 前記デプロイヤ層は,前記クライアント端末のアクセス許可レベルに応じて多層化されていることを特徴とする,請求項1に記載のホスティングシステム。
【請求項3】 前記デプロイヤ層は,サプライヤ端末に関連するサービス情報を管理するサービス管理データベースと,クライアント端末に関連する顧客情報を管理する顧客管理データベースを備えていることを特徴とする,請求項1または2に記載のホスティングシステム。
【請求項4】 前記デプロイヤ層は,前記サービス管理データベースおよび/または前記顧客管理データベースに関連付けられて,各種アプリケーションツールを動的に管理するツール層を備えていることを特徴とする,請求項3に記載のホスティングシステム。
【請求項5】 前記デプロイヤ層は,前記クライアント端末から提供される支援要求情報を解析する解析エンジンを備えていることを特徴とする,請求項1,2,3または4のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項6】 前記デプロイヤ層は,前記解析エンジンによる解析結果に基づいて,前記クライアント端末から提供される支援要求情報と前記サプライヤ端末から提供されるサービス情報とをマッチングさせるマッチングエンジンを備えていることを特徴とする,請求項5に記載のホスティングシステム。
【請求項7】 前記解析エンジンは,解析結果としてクライアントの固有問題点を明確化および/または定式化するものであることを特徴とする,請求項2,3,4,5または6のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項8】 前記デプロイヤ層は,前記サプライヤ端末から提供されるサービス情報の中から前記解析結果に関連するサービス情報を抽出しおよび/または加工し前記クライアント端末に個別サービス情報として提供することを特徴とする,請求項2,3,4,5,6または7のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項9】 前記デプロイヤ層は,一または二以上のサプライヤ端末から提供される複数の一次アプリケーションツールを連携して,前記クライアント端末に固有の二次アプリケーションツールに統合するアプリケーションツール連携エンジンを備えていることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7または8のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項10】 前記デプロイヤ層は,一または二以上のサプライヤ端末から提供される複数の一次アプリケーションツールを連携して,前記クライアント端末側からは仮想的に単一のアプリケーションツールとして認識される二次アプリケーションツールに統合するアプリケーションツール連携エンジンを備えていることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項11】 前記デプロイヤ層は,前記クライアント端末から提供される支援要求情報および/または前記サプライヤ端末から提供されるサービス情報を複数のトランザクションにわたりネットワーク上で保持可能であることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9または10のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項12】 前記デプロイヤ層は,前記クライアント端末から提供される支援要求情報および/または前記サプライヤ端末から提供されるサービス情報を長時間のトランザクションにわたりネットワーク上で保持可能であることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9または10のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項13】 前記デプロイヤ層は,クライアント端末の作業段階に応じて,サプライヤ端末および/またはクライアント端末から提供された,および/または自己サーバ内に保持している各種コンテンツおよび/または各種アプリケーションツールを動的に適応させて,経時的トランザクションとして前記支援要求情報を処理することを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11または12のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項14】 前記デプロイヤ層は,サプライヤ端末および/またはクライアント端末から提供された,および/または自己サーバ内に保持している各種コンテンツおよび/または各種アプリケーションツールのアップデートに応じて動的に対応する経時的トランザクションとして前記支援要求情報を処理することを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12または13のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項15】 前記ホスティングシステムは,プラント設備の解析/設計を支援するものであることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13または14のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項1】 複数のサプライヤ端末と複数のクライアント端末とを中継するホスティングシステムであって,前記ホスティングシステムは,全サプライヤ端末と全クライアント端末に共通の階層として構成される共有プロバイダ層と,各クライアント端末ごとに固有の階層として構成される個別デプロイヤ層とから成ることを特徴とする,ホスティングシステム。
【請求項2】 前記デプロイヤ層は,前記クライアント端末のアクセス許可レベルに応じて多層化されていることを特徴とする,請求項1に記載のホスティングシステム。
【請求項3】 前記デプロイヤ層は,サプライヤ端末に関連するサービス情報を管理するサービス管理データベースと,クライアント端末に関連する顧客情報を管理する顧客管理データベースを備えていることを特徴とする,請求項1または2に記載のホスティングシステム。
【請求項4】 前記デプロイヤ層は,前記サービス管理データベースおよび/または前記顧客管理データベースに関連付けられて,各種アプリケーションツールを動的に管理するツール層を備えていることを特徴とする,請求項3に記載のホスティングシステム。
【請求項5】 前記デプロイヤ層は,前記クライアント端末から提供される支援要求情報を解析する解析エンジンを備えていることを特徴とする,請求項1,2,3または4のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項6】 前記デプロイヤ層は,前記解析エンジンによる解析結果に基づいて,前記クライアント端末から提供される支援要求情報と前記サプライヤ端末から提供されるサービス情報とをマッチングさせるマッチングエンジンを備えていることを特徴とする,請求項5に記載のホスティングシステム。
【請求項7】 前記解析エンジンは,解析結果としてクライアントの固有問題点を明確化および/または定式化するものであることを特徴とする,請求項2,3,4,5または6のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項8】 前記デプロイヤ層は,前記サプライヤ端末から提供されるサービス情報の中から前記解析結果に関連するサービス情報を抽出しおよび/または加工し前記クライアント端末に個別サービス情報として提供することを特徴とする,請求項2,3,4,5,6または7のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項9】 前記デプロイヤ層は,一または二以上のサプライヤ端末から提供される複数の一次アプリケーションツールを連携して,前記クライアント端末に固有の二次アプリケーションツールに統合するアプリケーションツール連携エンジンを備えていることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7または8のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項10】 前記デプロイヤ層は,一または二以上のサプライヤ端末から提供される複数の一次アプリケーションツールを連携して,前記クライアント端末側からは仮想的に単一のアプリケーションツールとして認識される二次アプリケーションツールに統合するアプリケーションツール連携エンジンを備えていることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項11】 前記デプロイヤ層は,前記クライアント端末から提供される支援要求情報および/または前記サプライヤ端末から提供されるサービス情報を複数のトランザクションにわたりネットワーク上で保持可能であることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9または10のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項12】 前記デプロイヤ層は,前記クライアント端末から提供される支援要求情報および/または前記サプライヤ端末から提供されるサービス情報を長時間のトランザクションにわたりネットワーク上で保持可能であることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9または10のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項13】 前記デプロイヤ層は,クライアント端末の作業段階に応じて,サプライヤ端末および/またはクライアント端末から提供された,および/または自己サーバ内に保持している各種コンテンツおよび/または各種アプリケーションツールを動的に適応させて,経時的トランザクションとして前記支援要求情報を処理することを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11または12のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項14】 前記デプロイヤ層は,サプライヤ端末および/またはクライアント端末から提供された,および/または自己サーバ内に保持している各種コンテンツおよび/または各種アプリケーションツールのアップデートに応じて動的に対応する経時的トランザクションとして前記支援要求情報を処理することを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12または13のいずれかに記載のホスティングシステム。
【請求項15】 前記ホスティングシステムは,プラント設備の解析/設計を支援するものであることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13または14のいずれかに記載のホスティングシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図12】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図12】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2001−229137(P2001−229137A)
【公開日】平成13年8月24日(2001.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−39293(P2000−39293)
【出願日】平成12年2月17日(2000.2.17)
【出願人】(000222174)東洋エンジニアリング株式会社 (69)
【出願人】(599154032)東洋ビジネスエンジニアリング株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成13年8月24日(2001.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成12年2月17日(2000.2.17)
【出願人】(000222174)東洋エンジニアリング株式会社 (69)
【出願人】(599154032)東洋ビジネスエンジニアリング株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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