説明

ホスホリパーゼ阻害活性を有する単離ペプチド

本発明は、ホスホリパーゼ阻害活性を有するリパーゼ由来のC−末端ペプチド、ホスホリパーゼ阻害活性を含んでなるポリペプチド、及びホスホリパーゼ阻害活性を含んでなる単離ペプチド及び/又はポリペプチドにより阻害され得るリパーゼを提供する。本発明はまた、ポリヌクレオチドを含んでなる核酸構築物、組換え発現ベクター、及び組換え宿主細胞、並びに、リパーゼ阻害活性を有するペプチド及びポリペプチドの製造方法及び使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リパーゼの分野に関する。特に、それはホスホリパーゼ阻害活性を有する単離ポリペプチド、及び当該ペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドに関する。本発明はまた、当該ポリヌクレオチドを含んでなる核酸構築物、ベクター、及び宿主細胞、並びに当該ペプチドの製造方法及び使用方法に関する。それはさらに、ホスホリパーゼ阻害活性を有するポリペプチド、及びかかるペプチド及び/又はポリペプチドにより阻害され得るリパーゼに関する。
【背景技術】
【0002】
リパーゼ(EC 3.1.1.3)は、トリアシルグリセロールの結合を加水分解し、及び非水系において、エステル化及びエステル転移(酸分解、アルコール分解、及びエステル交換)を触媒する。ホスホリパーゼ等のリパーゼには、細胞膜の構造と機能のために非常に重要であり、且つ最も豊富な膜脂質である、極性脂質のリン脂質におけるエステル結合を加水分解する。フサリウム・ヘテロスポラム(Fusarium heterosporum)ホスホリパーゼの26アミノ酸C末端ペプチドは、Nagao et al., 1998, J. Biochem. 124:1124-29において、当該酵素活性に影響を及ぼすペプチド不存在下でリパーゼの熱安定性の向上に非常に重要な役割を果たすことが報告された。
【0003】
例えば消化剤として、香料剤の作製のため、パン生地及びパン生地の焼き製品において、診断試薬として、洗剤の成分、光学分割の触媒として、等の脂質の広範囲に及ぶ使用の観点から、リパーゼの酵素活性を制御する意味を有することは望ましい。さらに、酵素活性について再生可能である酵素製剤を作製するという選択肢のために、製造の観点から、脂質分解活性の制御が好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、リパーゼ阻害活性を有するペプチド、及び当該ペプチドをコードするポリヌクレオチド、並びに当該ポリヌクレオチドを含んでなる核酸構築物、ベクター及び宿主細胞、及び当該ペプチドの製造方法及び使用方法を提供することである。さらに、本発明の目的は、リパーゼ阻害活性を有するポリペプチド、及びかかるペプチド及び/又はポリペプチドにより阻害され得るリパーゼを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(a)配列番号1の残基289〜310又は配列番号9の残基154〜175と、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含んでなる、単離ペプチド;(b)配列番号1のペプチドコード配列、又は当該配列番号1のペプチドコード配列の相補鎖と、中ストリンジェンシー条件又は高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる、単離ペプチド;(c)配列番号1の残基289〜310と、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は100%同一であるヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチドによりコードされる単離ペプチド;又は(d)以下のアミノ酸配列:M12345678910111213141516171819202122(式中、X4,、X5、X8、X12、X15、X16、X18,、及びX21は、独立に任意のアミノ酸であってよい)を有するモチーフを含んでなる単離ペプチド、から選択され、サイズが60アミノ酸(aa)未満である、ホスホリパーゼ阻害活性を有する単離ペプチドに関する。
【0006】
本発明はまた、ペプチド及びリパーゼを含んでなるポリペプチドに関し、ここでリパーゼは、50PHLU/mg未満、45PHLU/mg未満、40PHLU/mg未満、35PHLU/mg未満、30PHLU/mg未満、25PHLU/mg未満、20PHLU/mg未満、15PHLU/mg未満、10PHLU/mg未満、5PHLU/mg未満、又は1PHLU/mg未満のホスホリパーゼ活性を有する、及び/又はプレートアッセイにおいてホスホリパーゼ活性を示さない。
【0007】
本発明はまた、タンパク質の表面に局在化するアルファヘリックスの少なくとも3つの溶媒近接可能な残基を有するタンパク質が、前記モチーフの位置D3、L6、L10、Y13、V14、D17、及びX21に対応する溶媒近接可能な残基、及び/又は位置E7、K9、N11、X18、及びY20に対応する末端残基の少なくとも1つで、アルファヘリックスにおいて修正させている、ホスホリパーゼ阻害活性を有するポリペプチドに関する。
【0008】
本発明はまた、前記ペプチド又はポリペプチドを含んでなる、単離ポリヌクレオチド、核酸構築物、組換え発現ベクター、組換え宿主細胞、及びホスホリパーゼ阻害活性を有する単離ペプチド又はポリペプチドの製造方法に関する。
【0009】
本発明はまた、ペプチド又はポリペプチドが、リパーゼに結合する際に、リパーゼの酵素活性を阻害するための、前記ペプチド又はポリペプチドの使用に関する。
【0010】
本発明はまた、前記ペプチドにより阻害され得る、50PHLU/mg未満、45PHLU/mg未満、40PHLU/mg未満、35PHLU/mg未満、30PHLU/mg未満、25PHLU/mg未満、20PHLU/mg未満、15PHLU/mg未満、10PHLU/mg未満、5PHLU/mg未満、又は1PHLU/mg未満のホスホリパーゼ活性を有する、及び/又はプレートアッセイにおいてホスホリパーゼ活性を示さないリパーゼであって、前記リパーゼは、独立に挿入、欠失、又は置換である、少なくとも1つの変更を含んでなり、それにより、(a)ホスホリパーゼ阻害活性を有する単離ペプチド;又は(b)ポリペプチドに含まれるホスホリパーゼ阻害活性を有するペプチド、の少なくとも1つが結合する際に、リパーゼの活性が阻害される、リパーゼに関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、F.オキシスポラム(oxysporum)に対する、ホスホリパーゼの配列アラインメントを示す。
【図2】図2は、オールベータ及びオールアルファタンパク質配列を示す。
【図3】図3は、F.オキシスポラムアルファヘリックスからの、残基の溶媒近接可能性を示す。
【図4】図4は、GZELの結晶を示す。
【図5】図5は、GZEL結晶の典型的な回折パターンを示す。
【図6】図6は、FoL PIのペプチド誘導性変化を示す。
【図7】図7は、モネリン変種1、MON1、及びモネリン変種2、MON2配列を示す。
【図8】図8は、様々なペプチドについての初期反応率における変化を示す。
【図9】図9は、様々なペプチド及びリパーゼについての、阻害%における変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
ホスホリパーゼ活性:本明細書において「ホスホリパーゼ活性」なる用語は、リン脂質を、脂肪酸及び他のリン脂質物質へ変換する、リン脂質分解(EC番号3.1.1.4)活性と定義される。本発明の目的として、ホスホリパーゼ活性は、PHLUとして記載される手法、及び以下の「原料と方法」の段落で記載されるプレートアッセイにより決定される。
【0013】
ホスホリパーゼ阻害活性:本明細書において「ホスホリパーゼ阻害活性」なる用語は、ホスホリパーゼ活性を阻害する活性として定義される。本発明のペプチドは、配列番号1の成熟ペプチドの、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%のホスホリパーゼ阻害活性を有する。
【0014】
単離ペプチド/ポリペプチド:本明細書で使用される場合、「単離ペプチド」又は「単離ポリペプチド」なる用語は、それぞれ供給源から単離された、ペプチド又はポリペプチドのことを言う。ある態様によれば、前記ペプチド/ポリペプチドは、SDS−PAGE又はHPLCにより決定した場合、少なくとも1%純粋、少なくとも5%純粋、少なくとも10%純粋、少なくとも20%純粋、少なくとも40%純粋、少なくとも60%純粋、少なくとも80%純粋、又は少なくとも90%純粋である。
【0015】
同一性:2つのアミノ酸配列間、又は2つのヌクレオチド配列の関連性は、「同一性」により記載される。本発明の目的として、2つのアミノ酸間の同一性の度合いは、EMBOSSパッケージのNeedleプログラム(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et al., 2000, Trends in Genetics 16: 276-277)、好ましくはバージョン3.0.0又はそれ以降において実施される場合、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453)を用いて決定される。使用される選択パラメータは、gapオープンペナルティ10、gap伸長ペナルティ0.5、及びEBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。Needle標識化「最長同一性」(-nobriefオプションを用いて得られる)の出力は、同一性割合として使用され、且つ以下の通りに計算される:(同一残基×100)/(アラインメントの長さ−アラインメントにおけるGapの総数)。本発明の目的として、2つのデオキシリボヌクレオチド配列の同一性の度合いは、EMBOSSパッケージのNeedleプログラム(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et al., 2000、上記の通り)、好ましくはバージョン3.0.0又はそれ以降において実施される場合、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970,上記の通り)を用いて決定される。使用される選択パラメータは、gapオープンペナルティ10、gap伸長ペナルティ0.5、及びEDNAFULL(NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。Needle標識化「最長同一性」(-nobriefオプションを用いて得られる)の出力は、同一性割合として使用され、且つ以下の通りに計算される:(同一デオキシリボヌクレオチド×100)/(アラインメントの長さ−アラインメントにおけるGapの総数)。
【0016】
相同配列:本明細書で「相同配列」なる用語は、tfastyサーチ(Pearson, W.R., 1999, in Bioinformatics Methods and Protocols, S. Misener and S. A. Krawetz, ed., pp. 185-219)において0.001以上のE値(又は期待値)を提供する予測されたタンパク質として定義される。相同性の度合いは、GCGプロフラムパッケージ(Program Manual for the Wisconsin Package, Version 8, August 1994, Genetics Computer Group, 575 Science Drive, Madison, Wisconsin, USA 53711) (Needleman, S.B. and Wunsch, C.D., (1970), Journal of Molecular Biology, 48, 443-45)等の当該技術分野で既知のコンピュータプログラムにより好適に決定されてよい。本発明において、フサリウム・グラミネアリウム(Fusarium graminearium)、ネクトリアリパーゼ、フサリウム・ソラニ(Fusarium solani)、フサリウム・セミテクタム(Fusarium semitectum)、フサリウム・オキシスポラム、フサリウム・ヘテロスポラム、及びサーモマイセス・ラヌギノーサス(Thermomyces lanoginosus)(類義語:フミコラ・ラヌギノース(Humicola lanuginose))のリパーゼ配列における対応する(又は相同な)位置は、図1において示されるアラインメントにより規定される。アラインメントに示されないリパーゼ配列における相同位置を発見するために、注目の配列は、図1に示される配列に対して整列させる。新規な配列は、GAPプログラムにより発見される最も相同な配列に対しするGAPアラインメントを用いて、図1における現在のアラインメントに対して整列させる。以下の設定は、ポリペプチド配列比較について使用される:3.0のGAP創出ペナルティ及び0.1のGAP伸長ペナルティ。
【0017】
単離ポリヌクレオチド:本明細書で使用される場合「単離ポリヌクレオチド」は、供給源から単離されるポリヌクレオチドのことを言う。特定の態様によれば、当該ポリヌクレオチドは、アガロース電気泳動で決定した場合、少なくとも1%純粋、少なくとも5%純粋、少なくとも10%純粋、少なくとも20%純粋、少なくとも40%純粋、少なくとも60%純粋、少なくとも80%純粋、又は少なくとも90%純粋である。
【0018】
コード配列:本明細書で使用される場合、「コード配列」なる用語は、そのタンパク質産物のアミノ酸配列を直接特定する、ヌクレオチド配列のことを意味する。コード配列の境界は、ATG開始コドン、又はGTG及びTTG等の代替的開始コドンで通常開始し、且つTAA、TAG、及びTGA等の終止コドンで終結する、オープンリーディングフレームにより一般的に決定される。当該コード配列は、DNA、cDNA、合成又は組換えヌクレオチド配列であってよい。
【0019】
核酸構築物:本明細書で使用される場合「核酸構築物」なる用語は、一本鎖か二本鎖のいずれかであり、天然の遺伝子から単離されるか、そうでなければ天然に存在するはずの手順で核酸のセグメントを含有するように修正されるか、又は合成される、核酸分子のことを言う。核酸構築物なる用語は、当該核酸が、本発明のコード配列の発現のために必要な制御配列を含有する場合、「発現カセット」なる用語と類義語である。
【0020】
制御配列:本明細書において「制御配列」なる用語は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現のために必要な全ての成分を含むと定義される。各制御配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と同質であるか異質であるか、又は互いに同質であるか異質であってよい。かかる制御配列には、限定するものではないが、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、単一ペプチド配列、及び転写ターミネーターがある。最低でも、当該制御配列には、プロモーター、及び転写及び翻訳終止シグナルがある。当該制御配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のコード領域を有する制御配列のライゲーションを促進する特定の制限部位を誘導する目的で、リンカーを有してもよい。
【0021】
作動的に結合する:本明細書において「作動的に結合する」なる用語は、制御配列がポリペプチドのコード配列の発現を方向付けるように、制御配列が、ポリヌクレオチド配列のコード配列と比較して適切な位置に置かれる配置のことを言う。
【0022】
発現:「発現」なる用語は、ポリペプチドの産生に関与する任意のステップであり、限定するものではないが、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾、及び分泌がある。
【0023】
本明細書では「発現ベクター」なる用語は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなり、且つその発現のために提供する追加のヌクレオチドと作動的に結合される、直線又は環状分子として定義される。
【0024】
宿主細胞:本明細書で使用される場合「宿主細胞」なる用語には、本発明のポリヌクレオチドを含んでなる核酸構築物又は発現ベクターを伴う、形質転換、形質移入、形質導入等の影響を受け易い任意の細胞型が含まれる。
【0025】
変更:本明細書において「変更」なる用語は、配列番号1の成熟ポリペプチド、又はその相同配列からなるポリペプチドの、任意の化学的変更;及びかかるポリペプチドをコードするDNAの遺伝的操作のことを意味する。当該変更は、1以上の(複数の)アミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入、及び1以上の(複数の)アミノ酸側鎖の置換えがあり得る。本発明の修正されたアミノ酸について言及する際に、以下の命名を参照の簡略として使用する。「オリジナルアミノ酸:位置:(1又は複数の)置換アミノ酸」。この命名に従うと、例えば、位置195でのグリシン(G)のグルタミン酸(E)への置換は、G195Eと示される。同じ位置におけるグリシンの欠失は、G195*、リジン(K)等の追加のアミノ酸残基の挿入は、G195GKと示される。特定のリパーゼが、他のリパーゼと比較して「欠失」を含み、且つ挿入がかかる位置でなされる場合、位置36でのアスパラギン酸(D)の挿入は、*36Dとして示される。多重変異は、プラスで分離され、位置170及び195で、それぞれアルギニン(R)及びグルタミン酸(E)の、チロシン(Y)及びグリシン(G)への置換する変異を表す、R170Y+G195Eがある。X231は、記載のアラインメント手法を適用すると、位置231に対応する親ポリペプチドにおけるアミノ酸を示す。X231Rは、当該アミノ酸がRで置換されることを示す。配列番号2について、XはTであり、すなわち、X231Rは、位置231におけるTの、Rでの置換を示す。ある位置(例えば231)におけるアミノ酸が、例えば、R及びP及びYからなる群等のアミノ酸群から選択される別のアミノ酸により置換されてもよい場合、これは、X231R/P/Yと示されることになる。全ての場合において、受容されるIUPACの一文字又は3文字アミノ酸略字が使用される。
【0026】
所与のアミノ酸残基が、酵素の表面に存在しているか否かに関係なく、例えば、プログラムDSSPで計算されるその溶媒接近可能表面が30Å2の場合、W. Kabsch and C. Sander (1983) Biopolymers 22, pp. 2577-2637、タンパク質二次構造の辞書:水素結合及び幾何学的特徴のパターン認識に従って決定されてよい。
【0027】
発明の詳細な説明
本発明者等は、フサリウム・オキシスポラム又はフサリウム・グラミネアリウム(ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae))のC末端から単離され得るペプチドは、リパーゼと結合できることを見出した。彼等はさらに、フサリウム・オキシスポラムのペプチドは、ホスホリパーゼ阻害活性を有することを示した。すなわち、例えば、ネクトリアリパーゼ;ネクトリア・ヘマトコッカ(Nectria haematococca)(フサリウム・エウマルチイ(Fusarium eumartii));フサリウム・ソラニ;フサリウム・クルモルム;フサリウム・セミテクタム;及びフサリウム・ヘテロスポラム等の任意の好適なホスホリパーゼから単離される類似のC末端ペプチドは、ホスホリパーゼ活性を阻害するために使用できることを示す。
【0028】
第一の態様によれば、本発明は、(a)配列番号1の残基289〜310又は配列番号9の残基154〜175と、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含んでなる、単離ペプチド;(b)配列番号1のペプチドコード配列、又は当該配列番号1のペプチドコード配列の相補鎖と、中ストリンジェンシー条件又は高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる、単離ペプチド;(c)配列番号1の残基289〜310と、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は100%同一であるヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチドによりコードされる単離ペプチド;又は(d)以下のアミノ酸配列:M12345678910111213141516171819202122(式中、X4,、X5、X8、X12、X15、X16、X18,、及びX21は、独立に任意のアミノ酸であってよい)を有するモチーフを含んでなる単離ペプチド、から選択され、サイズが60アミノ酸(aa)未満である、ホスホリパーゼ阻害活性を有する単離ペプチドに関する。
【0029】
別の態様によれば、本発明は、長さが、55アミノ酸未満、50アミノ酸未満、45アミノ酸未満、40アミノ酸未満、35アミノ酸未満、又は30アミノ酸未満であるペプチドに関する。
【0030】
別の態様によれば、本発明は、アルファヘリックスの二次構造を有するペプチドに関する。
【0031】
別の態様によれば、本発明は、モチーフ中に存在する、位置X4,、X5、X8、X12、X15、X16、X18,、及びX21の各々のアミノ酸が、X4がA又はE、X5がE又はQ、X8がK又はA、X12がS又はN、X15がE、Q又はA、X16がL又はM、X18がK又はQ、及びX21がI又はV、から独立に選択されるペプチドに関する。
【0032】
フサリウム・オキシスポラムリパーゼ(FoL)のペプチドは、当該リパーゼを阻害するペプチドの能力を増加又は低減するように変更されてよい。かかる変更の例を表1に示す。
【0033】
表1:変化したペプチドにより野生型リパーゼの阻害を向上又は低減させるための、配列番号1の残基317〜346に対応するフサリウム・オキシスポラムリパーゼ由来のホスホリパーゼ阻害活性を有するペプチドにおける変更。
【0034】
【表1】

【0035】
別の態様によれば、本発明は、配列番号1と比較して、FoL残基D291、L294、E295、K297、L298、N299、Y301、D305、K306、Y308、又はV309に対応する位置で少なくとも1つのアミノ酸置換を含んでなるペプチドに関する。
【0036】
別の態様によれば、本発明は、配列番号1と比較して、FoL残基D291E;L294A;E295T,S;K297R;L298A;N299D,E;Y301W;D305A;K306R;Y308E,D;又はV309I,N,Qに対応する少なくとも1つのアミノ酸置換を含んでなるペプチドに関する。
【0037】
ある場合には、ペプチドにおける変更は、ペプチドとリパーゼ間の結合における変化となってもよく、他の場合には変化がなくてもよいことは想定される。変化は、結合の向上又は低減を導いてもよく、したがって、当該ペプチドによるリパーゼの阻害の向上又は低減をもたらしてもよい。
【0038】
ペプチドにおける変更に加えて、ペプチドとリパーゼとの間の相互作用は、リパーゼにおける変化により影響を受けてもよい。かかる変更は、向上した阻害又は低減した阻害の原因となってよい。フサリウム・オキシスポラムリパーゼのアミノ酸配列における変更の例を表2に示す。
【0039】
表2:野生型ペプチドより、変化したリパーゼの向上又は低減した阻害を得るための、配列番号1の残基1〜316に対応するフサリウム・オキシスポラムリパーゼにおける変更。
【0040】
【表2】

【0041】
別の態様によれば、本発明は、ペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドに関する。
別の態様によれば、本発明は、発現宿主においてペプチドの産生を方向付ける少なくとも1つの制御配列に作動的に結合するポリヌクレオチドを含んでなる核酸構築物に関する。
別の態様によれば、本発明は、当該核酸構築物を含んでなる組換え発現ベクターに関する。
別の態様によれば、本発明は、核酸構築物又は組換え発現ベクターを含んでなる組換え宿主細胞に関する。
【0042】
別の態様によれば、本発明は、(a)ペプチドの産生を行うための条件下、前記ペプチドの少なくとも1つの複製物をコードするポリヌクレオチドを含んでなる核酸構築物を含んでなる、宿主細胞を培養するステップ、及び(b)前記ペプチドを回収するステップ、
を含んでなる単離ペプチドの調製方法に関する。
【0043】
あるいは、本発明のペプチドは、当該技術分野で既知の従来的方法を用いて、インビトロ(in vitro)合成により調製されてよい。様々な市販の合成装置が利用可能であり、例えば、Applied Biosystems Inc., Beckman等による自動化合成装置がある。合成装置の使用により、天然のアミノ酸は、非天然のアミノ酸、特にD−異性体(又はD−体)、例えば、D−アラニン、及びD−イソロイシン、ジアステレオマー、異なる長さ又は機能を有する側鎖等で置換されてよい。特定の配列及び調製手法は、便利さ、経済的、純度の高さ等により決定されることになる。
【0044】
当該ペプチドは、組換え合成の従来的方法に従って、単離及び精製してもよい。発現宿主の可溶化液を調製してもよく、且つ当該可溶化液は、HPLC、排除クロマトグラフィ、ゲル電気泳動、親和性クロマトグラフィ、又は他の精製技術を用いて精製されてよい。ほとんどは、使用される組成物は、生成物の調製及びその精製の方法に関連する混入物に関して、所望の産物が、少なくとも20重量%、より一般的には少なくとも約75重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、及び治療目的では、通常少なくとも約99.5重量%含まれることになる。通常、当該割合は、総タンパク質に基づくことになる。
【0045】
別の態様によれば、本発明は、リパーゼへペプチドが結合する際に、リパーゼの酵素活性を阻害するためのペプチドの使用に関する。
【0046】
リパーゼにはホスホリパーゼとして分類されないものもあり、及びホスホリパーゼ活性を持たないか、又はほとんど持たない親脂質分解酵素由来のホスホリパーゼ活性を有する変種から得ることが好ましく、例えば、当該変種は、リパーゼ活性に対するホスホリパーゼ活性の比率未満に対応するもの、又は50PHLU/mg未満、45PHLU/mg未満、40PHLU/mg未満、35PHLU/mg未満、30PHLU/mg未満、25PHLU/mg未満、20PHLU/mg未満、15PHLU/mg未満、10PHLU/mg未満、5PHLU/mg未満、又は1PHLU/mg未満のホスホリパーゼ活性を有する、及び/又はプレートアッセイにおいてホスホリパーゼ活性を示さないものである。
【0047】
さらなる態様によれば、本発明は、前記ペプチドを含んでなるポリペプチド及びリパーゼに関し、ここで当該リパーゼは、50PHLU/mg未満、45PHLU/mg未満、40PHLU/mg未満、35PHLU/mg未満、30PHLU/mg未満、25PHLU/mg未満、20PHLU/mg未満、15PHLU/mg未満、10PHLU/mg未満、5PHLU/mg未満、又は1PHLU/mg未満のホスホリパーゼ活性を有する、及び/又はプレートアッセイにおいてホスホリパーゼ活性を示さない。
【0048】
別の態様によれば、本発明は、サーモマイセス・ラヌギノーサス(配列番号9)と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は100%同一であるリパーゼを含んでなるポリペプチドに関する。
【0049】
阻害活性を有するペプチドを本来含まないリパーゼは、本発明の単離ペプチドにより阻害されるリパーゼ変種を得る目的で変更されてよい。これらのリパーゼ変種は、(a)単離ペプチド;(b)かかるリパーゼ変種に付加するペプチド、又は(c)阻害活性を有するペプチドを含んでなるポリペプチドのいずれかによって阻害されてよい。ペプチドとリパーゼ変種との間の結合相互作用は、ペプチドのアミノ酸配列を修正することによりさらに改変されてよい。
【0050】
サーモマイセス・ラヌギノーサスリパーゼ(TLL)は、本質的にはホスホリパーゼ活性を持たず、且つ現在のところ、このリパーゼが、任意のC−又はN−末端ペプチドを含んでなりその活性を制御及び/又は阻害することを示す情報はない。このリパーゼは、TLLを、フサリウム・オキシスポラムリパーゼ(FoL)ペプチドの結合の影響を受けやすくし、それによりその脂肪分解活性を阻害するアミノ酸変更を誘導するのに適するようにさせる構造を有する。かかる変更の例を表3(A)に開示する。TLL及び本発明の単離ペプチドの相互作用は、当該ペプチドにおける変更の導入によりさらに最適化されてよい。FoLのC末端ペプチドにおける変更の例を、表3(B)に示す。
【0051】
表3:(A)野生型FoLペプチドにより阻害されるリパーゼを産生する配列番号9の残基1〜269に対応するサーモマイセス・ラヌギノーサスリパーゼ(TLL)における変更、及び(B)TLLの向上した阻害を得るための、配列番号1の残基288〜317に対応するフサリウム・オキシスポラムリパーゼ(FoL)由来のホスホリパーゼ阻害活性を有するペプチドにおける変更。
【0052】
【表3】

【0053】
TLL残基がFoL残基で置換される場合、全ての残基が、又は代替的に、TLL配列から選択される少なくとも1つの残基が、以下のアラインメントによりFoL配列から選択される対応する残基で置換されてよい。
【0054】
【表4】

【0055】
別の態様によれば、本発明は、リパーゼが、独立に、挿入、欠失、又は置換である少なくとも1つの変更を含んでなる、ポリペプチドに関する。
【0056】
別の態様によれば、本発明は、リパーゼの少なくとも1つの変更が、サーモマイセス・ラヌギノーサス(配列番号9)の残基E87R、I90L、G91T、I202P、R209L、E210I、又はT244Lに対応する1又は複数のアミノ酸置換を含んでなる、ポリペプチドに関する。
【0057】
別の態様によれば、本発明は、リパーゼが、サーモマイセス・ラヌギノーサス(配列番号9)の248〜255に対応する残基の、フザリウム・オキシスポラム(配列番号1)の残基246〜254での置換か、又はサーモマイセス・ラヌギノーサス(配列番号9)の248〜253に対応する残基の、フザリウム・オキシスポラム(配列番号1)の残基247〜252での置換を含んでなる、ポリペプチドに関する。
【0058】
さらなる態様によれば、本発明は、ホスホリパーゼ阻害活性を有するポリペプチドに関し、ここでタンパク質の表面に局在するアルファヘリックスの少なくとも3つの溶媒接近可能な残基を有するタンパク質は、記載される本発明のモチーフの、位置D3、L6、L10、Y13、V14、D17、及びX21に対応する溶媒近接可能な残基、及び/又は位置E7、K9、N11、X18、及びY20に対応する末端残基の少なくとも1つで、アルファヘリックスにおいて修正されている。
【0059】
別の態様によれば、本発明は前記ポリペプチドに関し、ここでタンパク質は、プレタシン(Plectasin)(配列番号11);モネリン(Monellin)(配列番号12);プロテグリン(Protegrin)(配列番号13);バルナーゼ(Barnase)(配列番号14);シトスタチン(Cytostatins)(配列番号15);又はアポリポタンパク質E(配列番号16)と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は100%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0060】
ホスホリパーゼ阻害か活性を有するポリペプチドを産生するのに適するタンパク質は、当該タンパク質の表面に暴露される少なくとも1つのアルファヘリックスを含まなければならない。当該アルファヘリックスに含まれるアミノ酸のいくつかは、リパーゼに結合でき、且つその阻害効果を発揮するために溶媒近接可能であることが必要である。アルファヘリックスのサイズは、22アミノ酸、又は20、18、16、14、12、又は10アミノ酸であってよい。当該少なくとも1つのアルファヘリックスに加え、例えばベータストランド等の他の二次構造要素が存在してもよい。それらの二次構造に基づき、タンパク質の3つの主要な群:オールアルファ群、オールベータ群、及びアルファベータ群を規定できる。図2は、例えば、プレクタシン、モネリン、プロテグリン、バルナーゼ、及びシスタチン等のアルファベータ群に属するタンパク質の例、及びアポリポタンパク質E等のオールアルファ群に属するタンパク質の例を示す。当該アミノ酸配列は、第二列に示され、第一列は、プログラムDictionary of Secondary Structure Prediction (DSSP)により計算された二次構造のことを言い、ここでa/Aはアルファヘリックスを示し、且つb/Bはベータストランドのことを言う。
【0061】
ホスホリパーゼ阻害ペプチドのアルファヘリックスは、以下のモネリンで例示されるような、2ステップの手法で、選択されたタンパク質のアルファヘリックスと(下線)重ね合わせてよく、且つ一緒に整列させてよい。
【0062】
整列される配列の平行、又は逆平行のいずれかの方向の選択
【0063】
【化1】

【0064】
当該方向が選択されると、アルファヘリックスの配列を整列させる複数の可能性が存在する。最適なアラインメントは、共通する最大長さを含んでなり、且つ困難が(クラッシュ)最低数である。
【0065】
【化2】

【0066】
最適アラインメントの同定後、タンパク質アルファヘリックスにおける改変は、ホスホリパーゼ阻害ペプチドのアルファヘリックスへ、アミノ酸残基を変化させるようなされてもよい。図3に一例を示し、ここで、FoLのペプチドは、アルファヘリックスのどの部分とどのアミノ酸残基が酵素に面するか、且つどれが溶媒に面するか、を例示するために描かれている。特に、足場タンパク質の表面に面し、且つ溶媒近接可能であり、したがって、接触及びリパーゼの阻害に関与してもよい残基を考慮しなければならない。これらの残基は、モチーフ:M12345678910111213141516171819202122の、位置D3、L6、L10、Y13、V14、D17、及びX21に対応する。任意に、タンパク質の表面の端に見られ、且つ潜在的に溶媒近接可能であり、したがって、接触及びリパーゼの阻害に関与してもよい残基も考慮すべきである。これらの残基は、前記モチーフの、位置E7、K9、N11、X18、及びY20に対応する。
【0067】
最終的に、足場タンパク質のアルファヘリックスの、リパーゼへの結合に影響を及ぼすか、タンパク質内のアルファヘリックスの適応に影響を及ぼす可能性のある、他の及び/又は新規なクラッシュが存在する場合、タンパク質におけるアルファヘリックス外の部分を分析して同定する。その後、かかる残基は、ホスホリパーゼ阻害活性を最大化するよう任意に変化させる。これらはヘリックス外の変異である。
【0068】
別の態様によれば、本発明は、リパーゼへのペプチドの付加のステップを含んでなる、本発明のポリペプチドの調製方法に関し、ここで当該リパーゼは、50PHLU/mg未満、45PHLU/mg未満、40PHLU/mg未満、35PHLU/mg未満、30PHLU/mg未満、25PHLU/mg未満、20PHLU/mg未満、15PHLU/mg未満、10PHLU/mg未満、5PHLU/mg未満、又は1PHLU/mg未満のホスホリパーゼ活性を有する、及び/又はプレートアッセイにおいてホスホリパーゼ活性を示さない。
【0069】
別の態様によれば、本発明は、(a)タンパク質の表面に局在化するアルファヘリックスを有するタンパク質を選択するステップであって、前記アルファヘリックスの少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの残基は、溶媒接近可能である;(b)前記ペプチドを、前記タンパク質のアルファヘリックスと整列させるステップ;(c)前記モチーフの位置D3、L6、L10、Y13、V14、D17、及びX21に対応する溶媒接近可能であるタンパク質のアルファヘリックスにおける残基を同定するステップ;(d)ステップ(c)において同定されたタンパク質における、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのアミノ酸を変更するステップ;(e)前記ポリペプチドを、ホスホリパーゼ阻害活性について試験するステップ;(f)ホスホリパーゼ阻害活性を有するポリペプチドを選択するステップ;及び(g)(f)において選択されたポリペプチドを作製するステップ、を含んでなるポリペプチドの調製方法に関する。
【0070】
別の態様によれば、本発明は、ステップ(c)において、前記モチーフの位置E7、K9、N11、X18、及びY20に対応する潜在的に溶媒接近可能なタンパク質のアルファヘリックスにおける残基をさらに同定する方法に関する。
【0071】
別の態様によれば、本発明は、前記タンパク質における1又は複数の位置で、少なくとも1つの変更がなされるステップをさらに含んでなる方法に関する。
【0072】
別の態様によれば、本発明は、前記ポリペプチドに含まれるペプチドがリパーゼへ結合する際に、リパーゼの酵素活性を阻害するための、前記ポリペプチドの使用に関する。
【0073】
さらなる態様によれば、本発明は、前記ペプチドにより阻害され得る、50PHLU/mg未満、45PHLU/mg未満、40PHLU/mg未満、35PHLU/mg未満、30PHLU/mg未満、25PHLU/mg未満、20PHLU/mg未満、15PHLU/mg未満、10PHLU/mg未満、5PHLU/mg未満、又は1PHLU/mg未満のホスホリパーゼ活性を有する、及び/又はプレートアッセイにおいてホスホリパーゼ活性を示さないリパーゼであって、前記リパーゼは、独立に挿入、欠失、又は置換である、少なくとも1つの変更を含んでなり、それにより、(a)ホスホリパーゼ阻害活性を有する単離ペプチド;又は(b)ポリペプチドに含まれるホスホリパーゼ阻害活性を有するペプチド、の少なくとも1つが結合する際に、リパーゼの活性が阻害される、リパーゼに関する。
【0074】
別の態様によれば、本発明は、サーモマイセス・ラヌギノーサス(配列番号9)と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は100%同一であるリパーゼに関する。
【0075】
別の態様によれば、本発明は、少なくとも1つの変更が、サーモマイセス・ラヌギノーサス(配列番号9)の残基L92;R96;L203;I207;R211;L243;L250;又はL252に対応する置換である、リパーゼに関する。
【0076】
別の態様によれば、本発明は、少なくとも1つの変更が、サーモマイセス・ラヌギノーサ(配列番号9)の残基L92D,E,W;R96E,D,A;L203W,K,M;I207D,E;R211H;L243W,K;L250D,E,R;及びL252S,Tに対応する置換である、リパーゼに関する。
【0077】
原料及び方法
ホスホリパーゼ活性(PHLU)
ホスホリパーゼ活性(PHLU)を、レシチンからの遊離脂肪酸の放出として測定する。50mM HEPES,pH7中の、50μlの4% L−アルファ−ホスファチジルコリン(Avantiからの植物レシチン)、5mM CaCl2を、50mM HEPES,pH7中で適切な濃度に希釈した50μl酵素溶液に添加する。サンプルを、10分間30℃でインキュベートし、95℃、5分間で反応を停止させた後、遠心分離した(7000rpmで5分間)。遊離脂肪酸を、NEFA Cキット(Wako Chemicals GmbH製)を用いて決定する;25μl反応混合物を、250μlの試薬Aに添加し、10分間37℃でインキュベーションする。その後、500μlの試薬Bを添加し、当該サンプルを再び10分間37℃でインキュベートする。550nmでの吸収を、HP8452Aダイオードアレイ分光光度器を用いて測定する。サンプルは、少なくとも2重に試験する。基質及び酵素ブラインド(blinds)(予備加熱した(95℃で10分)酵素サンプル+基質)を含有させる。オレイン酸を脂肪酸標準として使用する。1PHTUは、これらの条件で、1μmolの遊離脂肪酸/分を放出できる酵素量と等しい。特定のホスホリパーゼ活性(PHLU/mg)を、タンパク質量(mg)当たりのホスホリパーゼ活性(PHLU)で計算する。
【0078】
精製水中で、50mlの2%アガロースを、5分間加熱により溶解させ、その後、60〜63℃に冷却する。0.2M NaOAc、10mM CaCl2、pH5.5中、50mlの2%植物L−アルファ−ホスファチジルコリン95%を、30分間60℃で、15秒間ultrathoraxで混合する。等量の2%アガロース及び2%レシチンを混合する。精製水中の250μlの4mg/mlのクリスタルバイオレットを、指標として添加する。混合物を適切なペトリ皿(例えば、14cmφ皿における30ml)に注ぎ、酵素溶液のアプライのために、適切な穴(3〜5mm)を寒天に作製する。当該酵素サンプルを、OD280=0.5に相当する濃度に希釈し、10マイクロリットルを、アガロース/レシチン−マトリックス中の穴にアプライする。プレートを30℃でインキュベートし、プレートにおける反応ゾーンを、およそ4〜5時間、及び/又はおよそ20時間インキュベーション後に確認する。フミコラ・ラヌギノーサリパーゼを、コントロールとして使用し、コントロールより大きなクリーニングゾーンの存在を、ホスホリパーゼ活性のポジティブな結果として採用する。
【実施例】
【0079】
本発明を、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない以下の実施例によりさらに記載する。
【0080】
実施例1−GZEL結晶構造
タンパク質発現及び精製:ジベレラ・ゼアエ/フサリウム・グラミネアリウムリパーゼ(GZEL)遺伝子を、PCRで増幅し、さらに配列決定により確認した。その後、CZEL遺伝子を酵母において発現し、これはクマシー染色後にSDS−PAGEで顕著なタンパク質バンドを示した。そして、活性は、pH7で、オリーブ油/ブライトグリーンプレートで検出した。ポジティブ候補クローンは、穴の周辺に暗緑色ゾーンを示した。
【0081】
培養上清を遠心分離により細胞から分離し、及び上清のpHをpH7.0に調節した。その後、当該上清を濾過し、そして0.3M NaCl含有の25mM Tris−HCl、pH7.0で平衡化したNi−セファロースFFにアプライした。カラムから得たフラクションの活性を分析した。酵素活性を有するフラクションを、貯めて濃縮した。その後、0.15M NaCl含有の25mM Tris−HCl、pH8.0で平衡化したゲル濾過カラムSuperdex75に、サンプルをロードした。溶出された活性リパーゼを濃縮し、25mM Tris−HCl、pH8.0で透析した。リパーゼをSDS−PAGEで確認し、純粋なフラクションを結晶化試験(crystallization trails)用に準備した。
【0082】
結晶化:新たに調製したタンパク質を10mg/mlに濃縮し、懸濁蒸気拡散法を用いて、291Kで結晶化した。複数の結晶スクリーンキット(Hampton Researchスクリーンキット1及び2、Indexスクリーンキット、MembFacスクリーンキット)を用いて、初期結晶化条件をスクリーニングした。1マイクロリットルのタンパク質溶液を、1マイクロリットルの貯蔵溶液と混合し、200マイクロリットルの貯蔵溶液に対して平衡化した。3日以内に、多くの異なる条件において、小結晶が見出された。当該結晶の多くは、中空の棒であり、且つ回折の質が不良である。適切な形状且つ良好な質の結晶を、0.2M 硫酸アンモニウム、0.1M ビス−Tris(pH5.5)、25% w/w PEG3350、2〜4日以内(図3を参照されたい)の条件から選択し、これにより、空間群P2111を有する、約50*50*200マイクロメートルの最終容量に到達できる。
【0083】
データ収集及び加工:回折データセットの2.8Å分解能セットを、単一GZLE誘導体結晶から、自社製のRigaku MM−008発生器及びMar345dtb検出器を用いて、100Kで収集した。オスミニウム鏡によりビームの焦点を合わせた。より詳細な分析のために、急速冷却した結晶を使用した。結晶を、抗凍結剤中に5〜10秒浸漬させ、ループで取り出し、且つ100Kまで冷却した窒素ガス流中で急速冷却した。抗凍結剤は、マザー液体貯蔵物に、25%グリセロールを添加することにより調製された。結晶形は、非対称ユニット当たり4つのGZLE分子を有する空間群P2111(a=78.4、b=91.0、c=195.8、α=β=γ=90°)、且つ2.6Å3Da−1のVM(Matthews 1968)に属し、48%の溶媒含量に相当する。回折画像の加工及び積分強度のスケーリングを、HKL2000ソフトウェアパッケージ(Otwinowski et al. 1997)を用いて行った。
【0084】
結果:当初、我々は多くのスクリーニングキットの条件で多数のGZLE結晶を得られていたが、これらはX線結晶解析に不適である。多くの結晶は、中空の繊維である。したがって、さらなる結晶化の最適化を行い、そしてより良好な結晶を、以下の条件で得た。0.2M 硫酸アンモニウム、0.1M ビス−Tris、pH5.5、25%w/w PEG3350である。2μlのタンパク質溶液及び2μlの貯蔵溶液を含有する液滴を、200μlの貯蔵溶液に対して平衡化した。最適化貯蔵溶液(0.2M 硫酸アンモニウム、0.1M ビス−Tris、pH5.5、25%w/w PEG3350)からの結晶の成長は、X線結晶回折に適しており、且つ2.8Åで回折した。その後、データセットを単一の結晶から収集した(GZLE結晶の典型的な回折パターンを示す図4を参照されたい。暴露時間は300秒、検出器距離は150ミリメーター、且つ1フレーム当たりの振動幅は1°であった)。非対称ユニット当たり4つの分子が存在する。完全なデータ収集統計を表4に示す。GZLEの構造を決定し、これを別表1に開示する。
【0085】
参考文献:Matthews, B.W., Solvent content of protein crystals. J. Mol. Biol., 1968. 33: p. 491-497。Otwinowski, Z. and W. Minor, Processing of X-ray diffraction data collected in oscillation mode, in Macromolecular Crystallography, part A, C.W. Carter Jr. and R.M. Sweet, Editors. 1997, Academic Press. p. 307-326。
【0086】
【表5】

【0087】
実施例2−GZLEへのペプチド結合
結晶構造の非対称ユニットにおいて、4つのGZLE−ペプチド複合体が存在する。当該4つの複合体は、互いに独立に精製された。これらは、4つの異なる物体を構成する。この4つの異なる複合体において、ペプチドは、リパーゼコアドメインに対して正確に同じように置かれた。以下の表5を参照されたい。これは、リパーゼコアに対するペプチドの特異的結合についての別の証拠セットを提供する。
【0088】
表5:最適重ね合わせでのGZLE−ペプチドC−アルファ標準偏差。自社製の設計されたプログラムは、タンパク質原子座標の2つのセットを最適に重ね合わせ、4つのGZLE−ペプチド対の各々において使用された。表の記入は、オングストローム単位での、重ね合わせにおける、C−アルファ原子の剰余(標準偏差)を示す。
【0089】
【表6】

【0090】
実施例3:結合実験のための、ペプチド欠失FoLの調製
FoLを、PilotファーメンテーションLVF57UF濃縮PPW6523から精製した。PPW6523を、0.22μmで濾過し、且つブチルセファロースファストフローカラムにロードし、1.8M 酢酸NH4で洗浄し、且つMilliQ H2Oで溶出した。精製FoL:2003−04317−01でのデータシート。ゲル等電点電気泳動IEFpH3〜10(Novexプレキャスト)20070628において、サンプルは単一バンドを呈した。当該バンドのN−末端配列は、1つの配列、期待されるFoL N−末端のみを示し、C−末端ペプチドが結合していないことを示す。
【0091】
実施例4:阻害アッセイ
これらの実験で使用される基質は、Sigma Aldrich製のブチル酸パラ−ニトロフェニル(p−NP)であった。基質ストック溶液を、18μLのブチル酸p−NPを、1mlの2−プロパノールに添加して調製し、100mMのストック溶液を提供する。ワーキング溶液を、10μLのストック溶液を、最終容量1mlの50mM Tris pH7バッファで希釈することにより調製した。50mM TrisバッファpH7中の45μLのFoL 1mg/mLを、2つの濃度のペプチドで予備インキュベートし、コントロールは同じバッファを用いてペプチドの不存在下で行われた。室温で5分の予備インキュベーション後、酵素溶液を、50mM Tris pH7バッファで希釈し、100μLの希釈酵素溶液を、100μLの基質溶液と混合し、そしてその後、室温で一定に振とうしながら、マイクロタイタープレート分光光度計において反応を行った。以下の表6は、2つの異なる濃度でペプチドと共に予備インキュベートされた酵素、及びペプチド不存在下、正確に同じ方法で処理されたコントロールにより遊離された、ブチル酸p−NPの分解産物の1つであるp−ニトロフェノールを、A405で観察した経時での(10分間で30秒毎)色発現を示す。
【0092】
表6:ペプチド存在下及び不存在下での、FoLの活性のデータ。FoLの活性は、ペプチドの添加が、色発現の低減として決定される活性の阻害を引き起こしたことを実証した。ペプチド存在下でのFoLは、最低の色発現を示したが、一方5×希釈ペプチドの存在下でのFoLは、より高い色発現であり、さらに、水存在下のFoLであるコントロールサンプルは、最高の色発現であった。
【0093】
【表7】

【0094】
実施例5−等電点測定
実施例4で調製したサンプルを、NowexゲルIEF3−10にロードした。レーン1:マーカー、レーン2:サンプル1(10μl)、レーン3:サンプル1(20μl)、レーン4:サンプル2(10μl)、レーン5:サンプル2(20μl)、レーン6:サンプル3(10μl)、レーン7:サンプル3(20μl)。ゲルの写真を図6に示す。当該ゲルから、ペプチドの添加により、pIに変化が引き起こされることが、ペプチド存在下のサンプル(レーン2〜5)より低いpIを有するバンド(レーン6及び7)により明らかになった。これは、酵素へのペプチドの結合の明確な指標である。
【0095】
実施例6−レシチンプレートアッセイにおけるTLL及びFoLの活性
Triton−X100不存在のレシチンプレートを、原料と方法に記載した通りに調製した。精製TLL及びFoLのOD280に基づき同じ量を、2つの頂部の穴にTLLを、2つの底部の穴にFoLを;左の穴(低濃度、OD280が0.2に等しい);右の穴(高濃度、OD280が0.5に等しい)として添加した。20時間インキュベーション後、FoLは、低/高濃度で、7/10mmクリーニングゾーンを呈した。TLLは、クリーニングゾーンを示さなかった。
【0096】
【表8】

【0097】
実施例7−ホスホリパーゼ阻害活性を有するポリペプチドを産生するモネリンにおけるアルファヘリックスの改変方法
最近解析された、フサリウム・グラミネアリウム、別名ジベレラ・ゼアエの構造は、酵素の成熟のために通常切断されるC末端ペプチドが、当該構造に存在することを示している。当該ペプチドは、アルファヘリックス構造を採用し、且つホスホリパーゼの触媒ドメインに対して密集する。当該ペプチドは、小エステル対するホスホリパーゼ活性を阻害することが示されている。
【0098】
モネリンは、アフリカン・セレンディピティ・ベリー由来の糖風味のタンパク質である。モネリンの構造は、5本のベータシートに対して垂直に密集した、長く部分的に露出したアルファヘリックスからなる。溶媒接近可能なアルファヘリックスの存在により、フサリウム・グラミネアリウムリパーゼ(FGL)の非常に近いホモログであるフサリウム・オキシスポラムリパーゼ(FoL)のC末端ペプチドの阻害特性を移転する試みにおいて、タンパク質を、アルファヘリックスを改変する目的に十分適するものとする。2つの異なるモネリン変種を、FoL阻害剤として設計した。
【0099】
変種の概要:モネリンのアルファヘリックスじょうにFoLのC末端ペプチドアルファヘリックスを重ね合わせることが可能な全ての方法を解析した後、2つの変種を見出した。変種の選択において、ウイルス検査は、a)モネリンのアルファヘリックスと、リパーゼの触媒ドメインと相互作用するC末端ペプチド残基のアラインメントを最大化すること、及びb)触媒ドメインを有するモネリンの他の部分の不一致を最小化すること、に焦点を当てた。NからC末端方向(平行)又はその逆(逆平行)のいずれかに適合する、ヘリックスの重ね合わせの2つの異なる可能性を確認した。
【0100】
配列/構造:本研究において使用されるモネリンの配列を、図2(第二列)で示し、また、W. Kabsch and C. Sander, Biopolymers (1983) 22:2577-2637によって公開されたプログラムDictionary of Secondary Structure Prediction (DSSP)で計算された二次構造(第一列)を一緒に示す。b/Bはベータストランドのことであり、a/Aはアルファヘリックスのことである。重ね合わせのために使用したRCSB PDBファイルは、1IV7であった。
【0101】
変種:2つのモネリン変種は、本研究の結果であった。これらを以下に記載する。
【0102】
MON1変種:リパーゼペプチドアルファヘリックスの重ね合わせが、モネリンアルファヘリックスと平行に整列させる場合、アミノ酸置換F11E+Q13K+N14L+L15V+K17Y+F18V+N24Y+K25V+I74A+E77R+R82G+R83Gが作製される。これらの置換は、リパーゼ触媒ドメインとペプチドの相互作用を模倣することになり、且つ分子の残りの部分の可能性ある不一致を除去することになる。MON1の完全な配列は、図6に示される置換アミノ酸が赤のボールド体である。P10をロイシンに変化させる(P10L)ことは必要であってもよいが、この変化は、モネリンの全体的な安定性に有害となることが予想される。
【0103】
MON2変種:リパーゼペプチドアルファヘリックスの重ね合わせが、モネリンアルファヘリックスと逆平行に整列させる場合、アミノ酸置換は、F11Y+Q13N+N14L+K17A+F18L+K25H+F34V+R81G+R84Gが作製される。これらの置換は、リパーゼ触媒ドメインとペプチドの相互作用を模倣することになり、且つ分子の残りの部分の可能性ある不一致を除去することになる。MON2の完全な配列は、図7に示される置換アミノ酸が赤のボールド体である。
【0104】
実施例8−FoL野生型及びFoL変種I207Eへの、様々なペプチドの阻害効果
酵素アッセイ:これらの実験で使用される基質は、ブチル酸パラ−ニトロフェニル(p−NP)(N9876 Sigma Aldrich)であった。基質ストック溶液を、18μLのブチル酸p−NPを、1mlの2−プロパノールに添加して調製し、100mMのストック溶液を提供する。ワーキング溶液を、500μLのストック溶液を、最終容量50mlの500mM リン酸 pH7.0、0.4%triton X−100で希釈することにより調製した。500mM リン酸 pH7.0、0.4%triton X−100中の40μLの酵素 38ng/mLを、2から12ステップの因子で増加する、ペプチド/リパーゼ比率が0.5〜1000となる様々な濃度を有する20μLのペプチドと予備インキュベートした。酵素基質ブランク含有の60μlをインキュベートした。最低でも15分間予備加熱後、100μLの基質を添加し、室温で初期振とう(5秒)後、マイクロタイタープレート分光光度計(Molecular Devices製のSPECTRAmax PLUS 3)で反応を続けた。加水分解により遊離したブチル酸p−NPの分解産物の1つであるp−ニトロフェノールを測定し、A405で経時での色発現を観察した(30分間で10秒毎)。
【0105】
初期反応率(時間に対してプロットされたA405の直線初期傾斜として決定される)を、阻害剤/リパーゼ比率の対数に対してプロットした。以下のモデルからIC50値を決定した。
【0106】
【数1】

【0107】
0は初期反応率、vmaxは最大率、vminは最低反応率、及びIC50は、最大阻害濃度の半分である。GraphPad Software, Inc.製のGraphPad Prism(2007年3月12日、v5.00)を回帰のために使用した。
【0108】
阻害%は、初期反応率の低減割合であり、ここで0%阻害はペプチド不存在下での初期反応率として定義される。
【0109】
【表9】

【0110】
【表10】

【0111】
結果:図8は、初期反応率が様々なペプチド濃度(A&B)によりどれだけ変更されるかを示す。ペプチドの最低濃度で0%阻害であることを前提とすると、P0について曲線をプロットすると、(C)から、FoL変種:I207Eが、野生型酵素よりペプチドの結合が良好であったことが明確である。
【0112】
実施例9−TLL野生型及びTLL変種への、様々なペプチドの阻害効果
酵素アッセイ:上記のとおり、ペプチドP11及びP13を、2から10ステップの因子で増加する、ペプチド/リパーゼ比率が5〜5000となる濃度で試験した。ペプチドP12を、2から10ステップの因子で増加する、ペプチド/リパーゼ比率が6〜6000となる濃度で試験した。
【0113】
【表11】

【0114】
【表12】

【0115】
結果:図9は、阻害%が、様々なペプチド濃度によりどれだけ変更されるかを示す(ペプチドブランクは0%阻害)。
【0116】
【表13】

【0117】
【表14】

【0118】
【表15】

【0119】
【表16】

【0120】
【表17】

【0121】
【表18】

【0122】
【表19】

【0123】
【表20】

【0124】
【表21】

【0125】
【表22】

【0126】
【表23】

【0127】
【表24】

【0128】
【表25】

【0129】
【表26】

【0130】
【表27】

【0131】
【表28】

【0132】
【表29】

【0133】
【表30】

【0134】
【表31】

【0135】
【表32】

【0136】
【表33】

【0137】
【表34】

【0138】
【表35】

【0139】
【表36】

【0140】
【表37】

【0141】
【表38】

【0142】
【表39】

【0143】
【表40】

【0144】
【表41】

【0145】
【表42】

【0146】
【表43】

【0147】
【表44】

【0148】
【表45】

【0149】
【表46】

【0150】
【表47】

【0151】
【表48】

【0152】
【表49】

【0153】
【表50】

【0154】
【表51】

【0155】
【表52】

【0156】
【表53】

【0157】
【表54】

【0158】
【表55】

【0159】
【表56】

【0160】
【表57】

【0161】
【表58】

【0162】
【表59】

【0163】
【表60】

【0164】
【表61】

【0165】
【表62】

【0166】
【表63】

【0167】
【表64】

【0168】
【表65】

【0169】
【表66】

【0170】
【表67】

【0171】
【表68】

【0172】
【表69】

【0173】
【表70】

【配列表フリーテキスト】
【0174】
本出願は、コンピュータ読取可能な形式での配列リストを含む。当該コンピュータ読取可能な形式は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0175】
配列番号1:フサリウム・オキシスポラム、FoL
配列番号2:フサリウム・グラミネアリウム(graminearium)
配列番号3:ネクトリアリパーゼ1
配列番号4:ネクトリアリパーゼ2
配列番号5:フサリウム・ヘテロスポラム
配列番号6:フサリウム・セミテクタム(semitectum)
配列番号7:フサリウム・ソラニ LipC
配列番号8:フサリウム・ソラニ LipD
配列番号9:サーモマイセス・ラヌギノーサス,TLL
配列番号10:フサリウム・ベネナタム(venenatum)PLA2、FVPLA2
配列番号11:プレクタシン
配列番号12:モネリン
配列番号13:プロテグリン
配列番号14:バルナーゼ
配列番号15:シスタチン
配列番号16:アポリポタンパク質E
【図1−1】

【図1−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)配列番号1の残基289〜310又は配列番号10の残基154〜175と、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含んでなる、単離ペプチド;
b)配列番号1のペプチドコード配列、又は当該配列番号1のペプチドコード配列の相補鎖と、中ストリンジェンシー条件又は高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる、単離ペプチド;
c)配列番号1の残基289〜310と、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は100%同一であるヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチドによりコードされる単離ペプチド;又は
d)以下のアミノ酸配列:
12345678910111213141516171819202122
(式中、X4,、X5、X8、X12、X15、X16、X18,、及びX21は、独立に任意のアミノ酸であってよい)を有するモチーフを含んでなる単離ペプチド、
から選択され、サイズが60アミノ酸(aa)未満である、ホスホリパーゼ阻害活性を有する単離ペプチド。
【請求項2】
長さが、55アミノ酸未満、50アミノ酸未満、45アミノ酸未満、40アミノ酸未満、35アミノ酸未満、又は30アミノ酸未満である、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
長さが、少なくとも15アミノ酸、少なくとも20アミノ酸、又は少なくとも25アミノ酸である、請求項1又は2に記載のペプチド。
【請求項4】
アルファヘリックスの二次構造を有する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項5】
前記モチーフ中に存在する、位置X4,、X5、X8、X12、X15、X16、X18,、及びX21の各々のアミノ酸が、X4がA又はE、X5がE又はQ、X8がK又はA、X12がS又はN、X15がE、Q又はA、X16がL又はM、X18がK又はQ、及びX21がI又はV、から独立に選択される、請求項1に記載のペプチド。
【請求項6】
配列番号1と比較して、FoL残基D291、L294、E295、K297、L298、N299、Y301、D305、K306、Y308、又はV309に対応する位置で少なくとも1つのアミノ酸置換を含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項7】
配列番号1と比較して、FoL残基D291E;L294A;E295T,S;K297R;L298A;N299D,E;Y301W;D305A;K306R;Y308E,D;又はV309I,N,Qに対応する少なくとも1つのアミノ酸置換を含んでなる、請求項5に記載のペプチド。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項9】
発現宿主においてペプチドの産生を方向付ける少なくとも1つの制御配列に作動的に結合する請求項8に記載のポリヌクレオチドを含んでなる核酸構築物。
【請求項10】
請求項9に記載の核酸構築物を含んでなる、組換え発現ベクター。
【請求項11】
請求項9に記載の核酸構築物又は請求項10に記載の組換え発現ベクターを含んでなる組換え宿主細胞。
【請求項12】
a)前記ペプチドの産生を行うための条件下、前記ペプチドの少なくとも1つの複製物をコードするポリヌクレオチドを含んでなる核酸構築物を含んでなる、宿主細胞を培養するステップ、及び
b)前記ペプチドを回収するステップ、
を含んでなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の単離ペプチドの調製方法。
【請求項13】
リパーゼに前記ペプチドが結合する際に、リパーゼの酵素活性を阻害するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載のペプチドの使用。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のペプチド及びリパーゼを含んでなり、前記リパーゼが、50PHLU/mg未満、4/mg未満、40PHLU/mg未満、35PHLU/mg未満、30PHLU/mg未満、25PHLU/mg未満、20PHLU/mg未満、15PHLU/mg未満、10PHLU/mg未満、5PHLU/mg未満、又は1PHLU/mg未満のホスホリパーゼ活性を有する、及び/又はプレートアッセイにおいてホスホリパーゼ活性を示さない、ポリペプチド。
【請求項15】
サーモマイセス・ラヌギノーサス(Thermomyces lanuginosus)(配列番号9)と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は100%同一であるリパーゼを含んでなる、請求項14に記載のポリペプチド。
【請求項16】
前記リパーゼが、独立に、挿入、欠失、又は置換である少なくとも1つの変更を含んでなる、請求項14又は15に記載のポリペプチド。
【請求項17】
前記リパーゼの少なくとも1つの変更が、サーモマイセス・ラヌギノーサス(配列番号9)の残基E87R、I90L、G91T、I202P、R209L、E210I、又はT244Lに対応する1又は複数のアミノ酸置換を含んでなる、請求項16に記載のポリペプチド。
【請求項18】
前記リパーゼが、サーモマイセス・ラヌギノーサス(配列番号9)の248〜255に対応する残基の、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)(配列番号1)の残基246〜254での置換か、又はサーモマイセス・ラヌギノーサス(配列番号9)の248〜253に対応する残基の、フザリウム・オキシスポラム(配列番号1)の残基247〜252での置換を含んでなる、請求項15に記載のポリペプチド。
【請求項19】
タンパク質の表面に局在するアルファヘリックスの少なくとも3つの溶媒接近可能な残基を有するタンパク質が、請求項1に記載のモチーフの位置D3、L6、L10、Y13、V14、D17、及びX21に対応する溶媒近接可能な残基、及び/又は位置E7、K9、N11、X18、及びY20に対応する末端残基の少なくとも1つで、アルファヘリックスにおいて修正されている、ホスホリパーゼ阻害活性を有するポリペプチド。
【請求項20】
前記親タンパク質が、プレタシン(Plectasin)(配列番号11);モネリン(Monellin)(配列番号12);プロテグリン(Protegrin)(配列番号13);バルナーゼ(Barnase)(配列番号14);シトスタチン(Cytostatins)(配列番号15);又はアポリポタンパク質E(配列番号16)と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は100%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項19に記載のポリペプチド。
【請求項21】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のペプチドがリパーゼに付加するステップを含んでなり、前記リパーゼが、50PHLU/mg未満、45PHLU/mg未満、40PHLU/mg未満、35PHLU/mg未満、30PHLU/mg未満、25PHLU/mg未満、20PHLU/mg未満、15PHLU/mg未満、10PHLU/mg未満、5PHLU/mg未満、又は1PHLU/mg未満のホスホリパーゼ活性を有する、及び/又はプレートアッセイにおいてホスホリパーゼ活性を示さない、請求項14〜18のいずれか1項に記載のポリペプチドの調製方法。
【請求項22】
a)タンパク質の表面に局在化するアルファヘリックスを有するタンパク質を選択するステップであって、前記アルファヘリックスの少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの残基は、溶媒接近可能である;
b)請求項1〜7のいずれか1項に記載のペプチドを、前記タンパク質のアルファヘリックスと整列させるステップ;
c)請求項1に記載のモチーフの位置D3、L6、L10、Y13、V14、D17、及びX21に対応する溶媒接近可能であるタンパク質のアルファヘリックスにおける残基を同定するステップ;
d)ステップ(c)において同定されたタンパク質における、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのアミノ酸を変更するステップ;
e)前記ポリペプチドを、ホスホリパーゼ阻害活性について試験するステップ;
f)ホスホリパーゼ阻害活性を有するポリペプチドを選択するステップ;及び
g)(f)において選択されたポリペプチドを作製するステップ、
を含んでなるポリペプチドの調製方法。
【請求項23】
ステップ(c)において、請求項1に記載のモチーフの位置E7、K9、N11、X18、及びY20に対応する潜在的に溶媒接近可能なタンパク質のアルファヘリックスにおける残基をさらに同定する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記タンパク質における1又は複数の位置で、少なくとも1つの変更がなされるステップをさらに含んでなる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリペプチドに含まれるペプチドがリパーゼへ結合する際に、リパーゼの酵素活性を阻害するための、請求項14〜20のいずれか1項に記載のポリペプチドの使用。
【請求項26】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のペプチドにより阻害され得る、50PHLU/mg未満、45PHLU/mg未満、40PHLU/mg未満、35PHLU/mg未満、30PHLU/mg未満、25PHLU/mg未満、20PHLU/mg未満、15PHLU/mg未満、10PHLU/mg未満、5PHLU/mg未満、又は1PHLU/mg未満のホスホリパーゼ活性を有する、及び/又はプレートアッセイにおいてホスホリパーゼ活性を示さないリパーゼであって、ここで前記リパーゼは、独立に挿入、欠失、又は置換である、少なくとも1つの変更を含んでなり、それにより、(a)請求項1〜8のいずれか1項に記載のホスホリパーゼ阻害活性を有する単離ペプチド;又は(b)請求項15〜21のいずれか1項に記載のポリペプチドに含まれるホスホリパーゼ阻害活性を有するペプチド、の少なくとも1つが結合する際に、前記リパーゼの活性が阻害される、リパーゼ。
【請求項27】
サーモマイセス・ラヌギノーサス(配列番号9)と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は100%同一である、請求項26に記載のリパーゼ。
【請求項28】
前記少なくとも1つの変更が、サーモマイセス・ラヌギノーサス(配列番号9)の残基L92;R96;L203;I207;R211;L243;L250;又はL252に対応する置換である、請求項27に記載のリパーゼ。
【請求項29】
前記少なくとも1つの変更が、サーモマイセス・ラヌギノーサ(配列番号9)の残基L92D,E,W;R96E,D,A;L203W,K,M;I207D,E;R211H;L243W,K;L250D,E,R;及びL252S,Tに対応する置換である、請求項28に記載のリパーゼ。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−518572(P2011−518572A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506723(P2011−506723)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055281
【国際公開番号】WO2009/133177
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】