説明

ホットブリケットアイアンの製造方法、およびその製造装置

【課題】高強度のホットブリケットアイアンを製造できる方法およびその製造装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るホットブリケットアイアンの製造方法は、酸化鉄含有物質と炭素質還元剤とを含む混合物を塊成化する工程と、塊成化して得られた塊成物を還元炉で加熱還元して還元鉄を製造する工程と、前記還元炉で得られた還元鉄に付随している粉末を除去する工程と、付随粉末を除去した還元鉄を圧縮成形してホットブリケットアイアンを製造する工程とを含むところに特徴がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化鉄含有物質と炭素質還元剤とを含む塊成物を還元炉で加熱還元して還元鉄を製造し、得られた還元鉄を圧縮成形して成形体(以下、ホットブリケットアイアンまたはHBIということがある。)を製造する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸化鉄含有物質と炭素質還元剤とを含む混合物を塊成化し、得られた塊成物を還元炉で加熱すると、該塊成物中の酸化鉄が還元されて還元鉄を製造できる。得られた還元鉄は、高炉や電気炉等の溶解炉で鉄源として用いられる。
【0003】
上記還元鉄には、還元炉からの排出時や、次工程に供されるまでに壊れて粉化しないことが求められる。特に高炉に装入して鉄源として用いられる還元鉄には、電気炉等で用いられる還元鉄よりも高い強度が求められる。
【0004】
そこで非特許文献1では、粉鉱石と一般炭を原料に製造した還元鉄が高炉使用に耐えられる強度を有しているかについて検討されている。具体的には、マグネタイト鉱石と瀝青炭を用いて得られた乾燥ペレットを回転炉床炉に装入し、還元して還元鉄を製造し、この還元鉄を熱間で成形してHBIを製造している。そして、このHBIの強度を測定し、高炉使用に耐えられるかどうかを検討している。
【0005】
また本出願人は、高炉の装入原料として使用できる高強度のHBIおよびその製造方法を特許文献1に提案している。この文献では、表面部の平均C含有量が0.1〜2.5質量%で、中心部の平均C含有量が表面部の平均C含有量より高い還元鉄を、熱間成形機で圧縮成形することによって高強度のHBIを製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−127580号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】田中英年 他、「石炭ベース還元鉄HBI製造技術とその高炉使用」、鉄と鋼、vol.92(2006)、No.12、p.330〜336
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願人が先に提案した上記特許文献1の技術によって、HBIの強度を高炉の装入原料として使用できる水準に高めることができたが、HBIの更なる高強度化が求められている。
【0009】
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、高強度のホットブリケットアイアン(HBI)を製造できる方法およびその製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成し得た本発明のホットブリケットアイアンの製造方法とは、酸化鉄含有物質と炭素質還元剤とを含む混合物を塊成化する工程(以下、塊成化工程ということがある)と、塊成化して得られた塊成物を還元炉で加熱還元して還元鉄を製造する工程(以下、還元鉄生成工程ということがある)と、前記還元炉で得られた還元鉄に付随している粉末を除去する工程(以下、粉末除去工程ということがある)と、付随粉末を除去した還元鉄を圧縮成形してホットブリケットアイアンを製造する工程(以下、HBI生成工程ということがある)とを含むところに特徴がある。
【0011】
前記還元炉で得られた還元鉄は、衝撃を加えた後、還元鉄に付随している粉末を除去してもよい。
【0012】
前記還元炉で得られた還元鉄は、600〜800℃に冷却してから還元鉄に付随している粉末を除去するか、または前記付随粉末を除去した還元鉄を600〜800℃に冷却してから圧縮成形することが好ましい。
【0013】
前記還元鉄から除去された付随粉末は、前記混合物と混合してから塊成化することができる。
【0014】
前記還元鉄から除去された付随粉末は磁選機で選別し、前記磁選機で選別された磁着物は、前記付随粉末を除去した還元鉄と混合して圧縮成形し、且つ前記磁選機で選別された非磁着物は、前記混合物と混合して塊成化すればよい。
【0015】
本発明に係るホットブリケットアイアンの製造装置は、酸化鉄含有物質と炭素質還元剤とを含む混合物を塊成化するための塊成機と、前記塊成機で得られた塊成物を加熱還元するための還元炉と、前記還元炉で得られた還元鉄に付随している粉末を除去するための粉末除去手段と、付随粉末を除去した還元鉄を圧縮成形するための圧縮成形機とを備えているところに要旨を有している。
【0016】
前記還元炉と前記粉末除去手段との間に、前記還元炉で得られた還元鉄に衝撃を加える手段を備えてもよい。また、前記粉末除去手段は、前記還元鉄を冷やすための冷却手段を備えてもよい。また、前記還元炉と前記粉末除去手段との間に、前記還元鉄を冷やすための冷却手段を備えるか、前記粉末除去手段と前記圧縮成形機との間に、前記還元鉄を冷やすための冷却手段を備えてもよい。
【0017】
上記製造装置は、前記付随粉末を前記塊成機へ送給する経路を備えてもよい。
【0018】
また、上記製造装置は、前記付随粉末を選別するための磁選機と、前記磁選機で選別された磁着物を前記圧縮成形機へ送給する経路と、前記磁選機で選別された非磁着物を前記塊成機へ送給する経路とを備えてもよい。
【0019】
前記粉末除去手段としては、例えば、トロンメル型のものを用いることができる。このトロンメル型粉末除去手段を構成する篩は、少なくとも2重に構成されていることが好ましい。前記トロンメル型粉末除去手段の周囲には、不活性ガスを外側から内側へ吹き付けるための手段を備えていることが推奨される。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、還元炉で加熱還元して得られる還元鉄を圧縮成形してHBIを製造するにあたり、還元鉄に付随している余分な粉末を除去してから圧縮成形を行なうことによって、HBIの強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明に係るHBIの製造装置の基本構成を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明に係るHBIの製造装置の他の構成例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明に係るHBIの製造装置の更に他の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本出願人は、上記特許文献1において、圧縮成形してHBIとする前の還元鉄の圧潰強度は、還元鉄に含まれるC量の増加にともない低下することを明らかにした。そして還元鉄を圧縮成形して得られるHBIのC含有量を2.0〜5.0質量%とすれば、HBIの強度を高められることも明らかにした。そこで本発明者らは、HBIに含まれるC量を低減し、HBIの強度を一層高めるために更に鋭意検討を重ねてきた。その結果、HBIのC量は、還元鉄に含まれるC量の他、還元鉄に付随している粉末によって増大することが明らかとなった。即ち、還元炉で得られた還元鉄には多くの粉末が付随しており、この付随粉末には、酸化鉄の還元に利用されなかった炭素質還元剤が含まれていた。そのため炭素質還元剤が付随した還元鉄を圧縮成形してHBIを製造すると、炭素質還元剤が還元鉄同士の結合を阻害する剥離材として作用し、HBIの強度が低下することが判明した。また、HBIに炭素質還元剤が多く含まれることによってC濃度が高くなり、HBIの強度が低下することも判明した。そして、還元炉で得られた還元鉄に付随している粉末を除去し、付随粉末を除去した還元鉄を圧縮成形すれば、高強度のHBIを製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0023】
以下、本発明に係るHBIの製造方法を実施できる製造装置について図面を用いて詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明に係るHBIの製造装置の基本構成を示している。図1において、1は塊成機、2は回転炉床炉、3は粉末除去手段、4は圧縮成形機を夫々示している。なお、図1に示した回転炉床炉2は、還元炉の一例を示したものであり、本発明で用いる還元炉を回転炉床炉に限定する意図ではない。
【0025】
[(1)塊成化工程]
塊成化工程では、上記塊成機1において、酸化鉄含有物質と炭素質還元剤とを含む混合物を塊成化して塊成物を製造する。
【0026】
上記酸化鉄含有物質としては、例えば、鉄鉱石、砂鉄、製鉄ダスト、非鉄製錬残渣、製鉄廃棄物などを用いることができる。上記炭素質還元剤としては、炭素含有物質を用いることができ、例えば、石炭やコークスなどを用いることができる。
【0027】
上記酸化鉄含有物質等は、図示しない混合機で混合した後に塊成機1で塊成化する。上記混合機としては、例えば、回転容器形混合機や固定容器形混合機を用いることができる。上記回転容器形混合機としては、例えば、回転円筒形、二重円錐形、V形などの混合機を用いることができる。上記固定容器形混合機としては、例えば、混合槽内に回転羽(例えば、鋤など)を設けた混合機を用いることができる。
【0028】
上記塊成機1としては、例えば、皿形造粒機(ディスク形造粒機)やドラム形造粒機(円筒形造粒機)などを用いることができる。
【0029】
[(2)還元鉄生成工程]
還元鉄生成工程では、上記塊成化工程で得られた塊成物を還元炉で加熱還元して還元鉄を製造する。即ち、図1において、上記塊成機1で得られた塊成物を、経路101を通して回転炉床炉2へ送給し、回転炉床炉2内で加熱する。塊成物を回転炉床炉2内で加熱することによって、塊成物に含まれる酸化鉄が還元されて還元鉄が得られる。
【0030】
上記還元炉としては、移動炉床炉を用いることができる。移動炉床炉とは、ベルトコンベアのように炉床が炉内を移動する加熱炉であり、具体的には、図1に示した回転炉床炉2を例示できる。回転炉床炉2は、炉床の始点と終点が同じ位置になるように炉床の外観形状が円形(ドーナツ状)に設計されている。従って、回転方向の最上流側には塊成物を炉内に供給する装入手段が配置されると共に、回転方向の最下流側(回転構造であるため、実際には装入手段の直上流側になる)には排出手段が設けられる。
【0031】
上記還元炉には、加熱バーナーが設けられており、炉床上に装入した塊成物を加熱バーナーによるガス伝熱や輻射熱で加熱できる。上記炉床上の塊成物は、炉内を一周する間に加熱還元されて還元鉄を生成する。
【0032】
上記塊成物に含まれる酸化鉄を還元炉内で加熱還元するときの条件は特に限定されないが、炉内温度を、例えば、1000〜1400℃とすればよい。炉内温度は、上記加熱バーナーの燃焼条件を制御することによって調整できる。
【0033】
[(3)粉末除去工程]
粉末除去工程では、還元炉で得られた還元鉄に付随している粉末を除去する。即ち、図1において、上記回転炉床炉2で得られた還元鉄を、経路102を通して、粉末除去手段3へ送給し、粉末除去手段3を用いて還元鉄の表面に付随している粉末(以下、付随粉末ということがある。)を除去する。付随粉末を除去することによって、後述するHBI生成工程で還元鉄同士の結合を強化でき、またHBIに含まれるC量を低減できるため、HBI強度を高めることができる。なお、本発明において、還元鉄に付随している粉末には、還元鉄の表面に付着している粉末も含む意味である。
【0034】
上記粉末除去手段3としては、還元鉄に付随している粉末を除去できる装置であればその種類は特に限定されないが、例えば、還元鉄にガス(例えば、不活性ガスなど)気流中に還元鉄を投入して還元鉄に付随している粉末を気流により分離する装置、ローラースクリーン、篩などを用いることができる。もちろんこれらを適宜組み合わせて用いてもよい。
【0035】
上記ローラースクリーンとは、軸を中心に回転可能な複数本のローラーが平行に並んで配置されており、これらのローラーが傾斜面を形成している装置である。上記ローラーは、各ローラーの間隔が調整できるように構成されている。そして経路102から送給される粉末付随還元鉄を傾斜面の高い側に供給することによって、還元鉄は傾斜面上を低い側へ移動する。このとき還元鉄が傾斜面の高い側から低い側へ移動する間に受ける振動によって還元鉄に付随している粉末は還元鉄から脱離し、ローラー同士の間に形成されている隙間から下方へ落下して回収される。一方、付随粉末が除去された還元鉄は、ローラースクリーン上を傾斜面の低い側まで移動し、経路103を通して圧縮成形機4へ送給される。
【0036】
上記篩を用いて付随粉末を還元鉄から除去する方法としては、還元鉄を網目状の篩の上に送給して振動させる方法や、トロンメル型粉末除去手段を用いる方法が挙げられる。
【0037】
上記トロンメル型粉末除去手段とは、篩面が円錐形または円筒形に形成されており、傾斜させた錐または筒の軸を中心として篩面が回転するように構成されている回転篩である。錐または筒の内側に送給された粉末付随還元鉄は、篩面を傾斜面の上側から下側へ移動する間に付随粉末が脱離する。トロンメル型粉末除去手段を用いることによって、設備を省スペース化できる。即ち、還元鉄の冷却をドラム型クーラーにより行う場合には、同クーラーの一部としてトロンメル型粉末除去手段を設けることができるため、冷却手段(例えば、冷却器)とは別に新たに粉末除去手段(例えば、篩)を設ける必要がないからである。
【0038】
上記トロンメル型粉末除去手段を構成する篩は、1重でもよいが、少なくとも2重の篩を組み合わせることが好ましい。篩を複数枚用意し、その重ね具合を制御して目開きを調整することによって、上記還元鉄から除去する付随粉末の粒径を制御できる。その結果、還元鉄から除去する付随粉末量を調整でき、HBIの強度を調整できる。
【0039】
上記トロンメル型粉末除去手段を連続操業すると、篩目の中に上記付随粉末が詰まり、目詰まりを起こすことがある。そこで上記トロンメル型粉末除去手段の周囲(篩面の裏面側)には、不活性ガス(例えば、窒素ガスなど)を篩の外側から内側へ吹き付けるためのガス供給手段を備えることが推奨される。篩面の裏面側から不活性ガスを吹き付けることによって篩の目詰まりを防止できる。
【0040】
上記還元鉄生成工程で得られた還元鉄は、衝撃を加えた後、還元鉄に付随している粉末を除去してもよい。即ち、上記還元炉と上記粉末除去手段の間に、前記還元炉で得られた還元鉄に衝撃を加える手段を設けてもよい(図示せず)。還元炉で得られた還元鉄に衝撃を加えることによって、還元鉄に付随している付随粉末が還元鉄から剥離し易くなり、搬送過程や後の粉末除去手段で除去されやすくなる。還元鉄に加える衝撃の程度は特に限定されないが、還元鉄の一部が破砕する程度までであれば許容できる。
【0041】
上記還元鉄に衝撃を加える手段としては、粉砕機や破砕機などを用いることができ、具体的には、インパクトクラッシャーや(ダブル)ロールクラッシャーなどを例示できる。
【0042】
上記粉末除去手段3で上記還元鉄から除去された付随粉末は、経路105から回収し、塊成機1の上流側に設けられる混合機(図示せず)へ送給して塊成物の原料として用いることができる。
【0043】
また、上記粉末除去手段3で回収された付随粉末の一部は、点線で示した経路105aを通して後述する圧縮成形機4へ送給し、HBIの原料として用いてもよい。金属粉を配合することによって還元鉄の圧縮成形性が一層向上する場合には、経路105aからの付随粉末の供給量を制御することによって、HBIに含有させる金属化された付随粉末量を調整できるため、HBIの強度を高めることができる。即ち、上述したように、HBIに付随粉末が多量に配合されていると、この付随粉末は還元鉄同士の結合を阻害する剥離材として作用する。その一方で、付随粉末には炭素質還元剤の他、還元鉄も含まれるため、付随粉末が適量であればこれに含まれる還元鉄が還元鉄同士の結合を促進し、HBIの強度を高めるのに作用すると考えられる。
【0044】
なお、上記還元炉の出口近傍には、異物を除去するための除去手段(図示せず)を通常設けている。即ち上記還元炉の炉床表面には、上記塊成物から剥離した粉末が堆積する。この粉末には酸化鉄が含まれているため、この酸化鉄が加熱還元されると、炉床上に微細な還元鉄が生成し、これが次第に成長して鋼塊や鋼板等の異物を形成する。この異物は上記還元鉄を還元炉から排出する際に併せて排出される。そこで還元炉の出口近傍には通常異物除去手段が設けられている。異物除去手段としては、ローラースクリーンが例示される。ローラー同士の隙間を通過する粒子は上述した粉末除去手段3へ送給し、オーバーフローする塊は異物として系外へ除去される。
【0045】
[(4)HBI生成工程]
HBI生成工程では、上記粉末除去工程で付随粉末を除去した還元鉄を圧縮成形してHBI(ホットブリケットアイアン)を製造する。即ち、図1において、上記粉末除去手段3で付随粉末を除去した還元鉄は、経路103を通して圧縮成形機4へ送給される。この圧縮成形機4には、ホッパー4aが設けられており、圧縮成形機4へ供給される還元鉄の量が調整されている。圧縮成形機4では、複数個の還元鉄を熱間で圧縮成形することによってHBIを製造できる。
【0046】
上記圧縮成形機4で上記還元鉄を圧縮成形するときの温度は、圧縮成形機4で許容される温度のうちできるだけ高い温度とすることが好ましい。圧縮成形機4で許容される温度は、通常、600〜800℃程度である。
【0047】
なお、上記還元炉から排出される還元鉄の温度は、通常1000℃程度であり、上記粉末除去手段3で付随粉末が除去された還元鉄の温度は、1000℃程度である。そこで上記還元鉄の温度を圧縮成形機4の許容温度である800℃以下にするには、還元炉と圧縮成形機4との間(即ち、粉末除去手段3の前後)に冷却手段を設ければよい。この冷却手段については、図2、図3を用いて後ほど説明する。
【0048】
上記圧縮成形機4で還元鉄を圧縮成形して製造するHBIの形態は特に限定されず、大きさは、例えば30〜50mm×30〜50mm×50〜150mm程度で、形状は、例えば直方体や立方体、或いは枕状であればよい。
【0049】
上記圧縮成形機4で製造したHBIは、図1に示すように、経路104を通してコンベア5へ送給され、例えばヤードの堆積エリアに搬送されて蓄積される。堆積エリアで蓄積する場合は、図1に示すように、搬送途中にスプレーノズル(冷却装置)6を設けておき、HBIを冷却すればよい。蓄積されたHBIは、転炉や電気炉、高炉等へ送給し、鉄源として利用できる。本発明で得られるHBIは、C量を低減できているため、強度が高くなっている。従って特に高炉へ送給する場合や、長距離輸送するために搬送時に発生する衝撃が増加する場合に好適に用いることができる。
【0050】
上記圧縮成形機4で得られたHBIは600℃前後であるため、この熱を有効活用するには、冷却せずにそのまま溶解炉(例えば、高炉、転炉、電気炉など)へ供給してもよい。
【0051】
次に、本発明に係るHBIの製造装置の他の構成例について、図2を用いて説明する。図2において、図1と重複する部分には同じ符号を付すことによって重複説明を避ける。図2は、上記図1に示した構成例において、粉末除去手段3が還元鉄を冷やすための冷却手段7を備えている構成例を示している。なお、図2には、トロンメル型の粉末除去手段3を示している。
【0052】
図2では、回転炉床炉2で得られた還元鉄を、経路102を通して冷却手段7へ送給し、600〜800℃に冷却し、冷却後は、冷却手段7に接続されている粉末除去手段3へ送給し、還元鉄に付随している粉末を還元鉄から除去している。そして付随粉末を除去した還元鉄は、経路103を通して圧縮成形機4へ送給し、上述したようにHBIを製造すればよい。還元炉から排出される還元鉄は、約1000℃程度であるのに対し、圧縮成形機4の許容温度は600〜800℃である。そこで、図2に示すように、回転炉床炉2で得られた還元鉄を圧縮成形機4へ送給する途中に冷却手段7を設けることによって、還元鉄の温度を制御できる。
【0053】
上記粉末除去手段3で分離除去された粉末は、経路105を通してコンベア8へ送給し、例えばヤードの堆積エリアに搬送して蓄積すればよい。また、還元鉄から分離除去された粉末は、上述したように、塊成機1の上流側に設けられる混合機(図示しない)へ送給して塊成物の原料として用いてもよいし、或いは圧縮成形機4へ送給してHBIの原料として用いてもよい。
【0054】
上記図2では、粉末除去手段3の上流側に冷却手段7設けた構成例を示したが、本発明はこの構成例に限定されるものではなく、粉末除去手段3の下流側に冷却手段7を設けてもよい(図示せず)。また、冷却手段7の上流側と下流側の両方に粉末除去手段3を設けてもよい(図示せず)。
【0055】
次に、本発明に係るHBIの製造装置の他の構成例について、図3を用いて説明する。図3において、図1、図2と重複する部分には同じ符号を付すことによって重複説明を避ける。図3は、図2に示した構成例に対し、粉末除去手段3と冷却手段7を分けて設けた構成例を示している。また、図3では、磁選機9を設けた構成例を示している。
【0056】
図3では、回転炉床炉2で得られた還元鉄を、経路102を通して冷却手段7へ送給し、600〜800℃に冷却している。冷却後の還元鉄は、経路103を通して粉末除去手段3へ送給し、還元鉄に付随している粉末を除去している。付随粉末を除去した還元鉄は、経路103aを通して圧縮成形機4へ送給し、HBIを製造している。このように粉末除去手段3と冷却手段7は分けて設けても良いし、図2に示すように粉末除去手段3と冷却手段7を連続して設けてもよい。
【0057】
図3では、粉末除去手段3の上流側に冷却手段7を設けた構成例を示したが、本発明はこの構成例に限定されるものではなく、粉末除去手段3の下流側に冷却手段7を設けてもよい(図示せず)。また、冷却手段7の上流側と下流側の両方に粉末除去手段3を設けてもよい(図示せず)。即ち、回転炉床炉2で得られた還元鉄を、経路102を通して第1の粉末除去手段へ送給し、付随粉末をある程度除去した後、冷却手段7へ送給して所望の温度に冷却し、次いで第2の粉末除去手段へ送給して付随粉末を更に除去した後、圧縮成形機4へ送給してもよい。
【0058】
また、図3では、粉末除去手段3で除去された付随粉末を、経路105を通して磁選機9へ送給し、磁着物と非磁着物を選別している。
【0059】
上記磁選機9で選別された磁着物には、鉄分が多く含まれている。そこで、この磁着物は、経路105aを通して圧縮成形機4へ送給してHBIの原料として用いればよい。また、磁着物は、塊成機1の上流側に設けられる混合機(図示せず)へ送給し、塊成物の原料として用いてもよい。
【0060】
上記磁選機9で選別された非磁着物には、炭素質還元剤やスラグが多く含まれている。そこで、この非磁着物は経路105bを通してコンベア8へ送給し、例えばヤードの堆積エリアに搬送して蓄積すればよい。また、非磁着物の一部についても圧縮成形機4へ送給してHBIの原料として用いてもよいし、塊成機1の上流側に設けられる混合機(図示せず)へ送給して塊成物の原料として用いてもよい。
【0061】
以上の通り、本発明によれば、還元鉄に付随している余分な粉末を除去してから圧縮成形を行なうことによって、HBIの強度を高めることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 塊成機
2 回転炉床炉
3 粉末除去手段
4 圧縮成形機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットブリケットアイアンの製造方法であって、
酸化鉄含有物質と炭素質還元剤とを含む混合物を塊成化する工程と、
塊成化して得られた塊成物を還元炉で加熱還元して還元鉄を製造する工程と、
前記還元炉で得られた還元鉄に付随している粉末を除去する工程と、
付随粉末を除去した還元鉄を圧縮成形してホットブリケットアイアンを製造する工程とを含むことを特徴とするホットブリケットアイアンの製造方法。
【請求項2】
前記還元炉で得られた還元鉄に衝撃を加えた後、還元鉄に付随している粉末を除去する請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記還元炉で得られた還元鉄を600〜800℃に冷却してから還元鉄に付随している粉末を除去する請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記付随粉末を除去した還元鉄を600〜800℃に冷却してから圧縮成形する請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記還元鉄から除去された付随粉末と前記混合物とを混合したものを塊成化する請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記還元鉄から除去された付随粉末を磁選機で選別し、
前記磁選機で選別された磁着物を、前記付随粉末を除去した還元鉄と混合して圧縮成形し、且つ
前記磁選機で選別された非磁着物は、前記混合物と混合して塊成化する請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
ホットブリケットアイアンの製造装置であって、
酸化鉄含有物質と炭素質還元剤とを含む混合物を塊成化するための塊成機と、
前記塊成機で得られた塊成物を加熱還元するための還元炉と、
前記還元炉で得られた還元鉄に付随している粉末を除去するための粉末除去手段と、
付随粉末を除去した還元鉄を圧縮成形するための圧縮成形機とを備えたことを特徴とするホットブリケットアイアンの製造装置。
【請求項8】
前記還元炉と前記粉末除去手段との間に、前記還元炉で得られた還元鉄に衝撃を加える手段を備えている請求項7に記載の製造装置。
【請求項9】
前記粉末除去手段が、前記還元鉄を冷やすための冷却手段を備えている請求項7または8に記載の製造装置。
【請求項10】
前記還元炉と前記粉末除去手段との間に、前記還元鉄を冷やすための冷却手段を備えている請求項7または8に記載の製造装置。
【請求項11】
前記粉末除去手段と前記圧縮成形機との間に、前記還元鉄を冷やすための冷却手段を備えている請求項7または8に記載の製造装置。
【請求項12】
前記付随粉末を前記塊成機へ送給する経路を備えている請求項7〜11のいずれかに記載の製造装置。
【請求項13】
前記付随粉末を選別するための磁選機と、
前記磁選機で選別された磁着物を前記圧縮成形機へ送給する経路と、
前記磁選機で選別された非磁着物を前記塊成機へ送給する経路とを備えている7〜12のいずれかに記載の製造装置。
【請求項14】
前記粉末除去手段がトロンメル型である請求項7〜13のいずれかに記載の製造装置。
【請求項15】
前記トロンメル型粉末除去手段を構成する篩が、少なくとも2重に構成されている請求項14に記載の製造装置。
【請求項16】
前記トロンメル型粉末除去手段の周囲に、不活性ガスを外側から内側へ吹き付けるための手段を備えている請求項14または15に記載の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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