説明

ホットメルト接着剤アプリケータ

【課題】ソレノイド作動式の空気弁からアプリケータ弁へ供給される空気の応答時間を最小とすること。
【解決手段】ホットメルト接着剤アプリケータ10が、接着剤源から接着剤を受承する接着剤通路と空気通路32とを有する接着剤サービスブロック14と、接着剤サービスブロック14に取着された接着剤アプリケータ弁モジュール16と、接着剤サービスブロックに直接的に取り付けられた少なくとも1つのソレノイド作動式空気弁12と、ダイブロック18とを具備し、空気通路がベースマニフォールド28および断熱要素30を貫通して延設され、空気通路の長さがベースマニフォールド28および断熱要素30の厚さに等しくなってる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホットメルト接着剤アプリケータに関し、特にスロットダイ式のホットメルト接着剤アプリケータに関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤アプリケータは、典型的に空気源から空圧作動式の接着剤アプリケータ弁へ空気を供給するようになっている。接着剤アプリケータ弁はサービスブロックに配設されており、該サービスブロックから加圧されたホットメルト接着剤が供給される。図4に示すように、複数の接着剤アプリケータ弁が複数の外部ソレノイド弁24により作動する。該ソレノイド弁は、空圧作動式の接着剤アプリケータ弁のオン−オフの位置制御をなし、これにより接着剤の供給をオン−オフ制御する。複数の外部ソレノイド弁24は、接着剤サービスブロック19から長い空気管路26、28によりかなりの距離を以て離間させて配置され、典型的に温度が190から232℃(375から450°F)に達するサービスブロックから発生する熱に曝されることが防止される。従って、従来技術では、外部ソレノイド弁24から、空気管路26、28、サービスブロック19内の通路を通過して接着剤アプリケータ弁34へ達する空気供給経路が長くなり、アプリケータ弁の応答時間が長くなることから、望ましくない時間遅れを生じ動作が億くれる。これは、接着剤アプリケータ弁を動作させるのに適した圧力に達するまで、全空気経路に空気を充満するのに要する時間のために生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の1つの目的は、外部のソレノイド弁からアプリケータ弁へ供給される空気の応答時間を最小とすることである。本発明の他の目的は、ホットメルト接着剤アプリケータの信頼性を改善することである。
【0004】
この種のアプリケータでは一般的となっているように、ホットメルト接着剤は加圧されて吐出開口部、例えばサービスブロックに形成されたスロットから吐出される。サービスブロックはダイブロックに取り付けられ、ダイブロックはサービスブロックから独立した熱源をもいい手、接着剤の適用プロセスまたはパターンをより良く制御できるようになっている。然しながら、ダイブロックはサービスブロックに直接的に取り付けられるので、独立した加熱領域を確実に分離することが難しく、接着剤の適用プロセスまたはパターンの制御に悪影響を与えてしまう。
【0005】
従って、本発明は更に、サービスブロックとダイブロックとを独立した加熱領域として確実に分離し、接着剤の適用プロセスまたはパターンの制御を改善することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるホットメルト接着剤アプリケータは、接着剤を供給するための少なくとも1つの接着剤供給モジュールを有した接着剤サービスブロックと、前記サービスブロックおよびその内部の接着剤を加熱するために連結されたサービスブロックヒータと、前記サービスブロック集成体に連結され、空気を供給して前記少なくとも1つの接着剤供給モジュールを作動させるための少なくとも1つの空気弁と、前記サービスブロックに連結され、前記サービスブロックから接着剤を受けるための少なくとも1つの吐出開口部を含んで成るダイブロック集成体と、前記空気弁を取付けるベースマニフォールドと、前記ベースマニフォールドと前記サービスブロックとの間に配置された前記断熱要素と、前記空気弁と前記サービスブロックとを相互接続する空気通路とを具備し、前記空気通路の長さが前記ベースマニフォールドおよび断熱要素の厚さに等しくなるように、該空気通路が前記ベースマニフォールドおよび前記断熱要素を貫通して延びている。
【0007】
本発明によれば、空気管路を介して離して取り付けられていた従来のアプリケータとは異なり、空気弁集成体はサービスブロックに直接的に取り付けられている。このように直接的に取り付けるように構成したために、空気管路を仲介させることなく、接着剤サービスブロックおよび最終的にアプリケータ弁に連通する空気経路に空気が充満され空気が応答するまでの応答時間が最小化される。これにより、アプリケータ弁の動作の応答時間が有利に低減される。
【0008】
空気弁集成体は、好ましくはベースマニフォールドに好ましくはその上面に取り付けられている。ベースマニフォールドとサービスブロックとの間に断熱要素が配設され、作動中にサービスブロックからの熱による過熱を防止するようになっている。ベースマニフォールドおよび断熱要素の両方に、空気弁とサービスブロック内の空気通路との間の空気通路を提供する空気通路が形成されている。
【0009】
より詳細には、断熱要素は上面と下面とを有しており、上面はベースマニフォールドの下面に直接的に接触し、断熱要素の下面はサービスブロックの上面に直接接触するようになっている。このようにして、空気弁の出口とサービスブロックの空気通路の入口開口部との間の空気経路の長さが単にベースマニフォールドと断熱要素の厚さによって決定される。
【0010】
本発明の他の特徴によれば、サービスブロックの上面には凹所が形成されており、該凹所内に断熱要素が受承される。この凹所により、空気弁の出口と該凹所の上面に形成された空気通路の入口開口部との間の空気経路の長さが一層短縮される。
【0011】
本発明の他の特徴によれば、断熱要素には好ましくは1または複数の欠切部が形成されている。この欠切部は断熱要素の全高にわたって延設されており、過熱されたサービスブロックと空気弁ブロックとの間の接触面積を低減する。つまり、欠切部内の空気がブロック間の断熱材として作用するのである。
【0012】
本発明の他の特徴によれば、接着剤サービスブロックの下面とダイブロックの上面との間に独立した断熱要素が配設され。この断熱要素を貫通して適当な空気通路が形成されており、ホットメルト接着剤がサービスブロックからダイブロックへ吐出されるようになっている、これらブロック間の独立した断熱要素により、サービスブロックとダイブロックとを独立した過熱領域として確実に分離することにより接着剤の適用プロセスまたはパターンをより良く制御することが可能となる。
【0013】
前記ダイブロックには、空気通路に連通する細長い溝が形成されており、該溝を介してホットメルト接着剤が所定位置に適用される。好ましくは、接着剤の適用停止を鋭くするためにホットメルト溝は磨かれる。
【0014】
本発明の他の特徴は、ホットメルト溝の近傍にピンを配設して、該ホットメルト溝を覆うクランプ部材に形成された対応の開口部に係合させることである。このように前記クランプ部材と溝との間に位置決めピンを配設することにより、ホットメルト溝にアクセスして清掃するためにクランプ部材を取り外した後に、該クランプ部材sのダイブロックへの組み付けが迅速、容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1を参照すると、ホットメルト接着剤アプリケータ10は、複数の空気通路を介して圧縮空気を接着剤サービスブロック14へ供給するために複数のソレノイド作動式の空気弁12を利用している。接着剤サービスブロック14は、加圧された接着剤を加熱された管路を介して接着剤供給源から受け、該接着剤を該サービスブロックに取着されたアプリケータ弁モジュール16を介して供給するようになっている。空気弁12からの圧縮空気により、アプリケータ弁モジュール16は、接着剤を溝20へ吐出し長穴形状などの開口部から最終的に基体上の塗布位置へ接着剤を塗布するために、オン−オフ動作してアプリケータ弁モジュール16からダイブロック集成体18への接着剤の吐出および吐出停止を制御する。サービスブロック14は、周知の方法によりサービスブロック電源装置24により電力の供給を受けるヒータ22により加熱される。これとは独立した加熱領域としてダイブロック集成体18が、別設のダイ電源およびダイヒータ26により加熱される。他の特徴におれば、アプリケータ10は、ソレノイド作動式の空気弁の作動に際して、接着剤アプリケータ弁の応答時間を最小とし、独立の加熱領域22、26の完全性をよりよく管理し、以てホットメルト接着剤の適用パターンの更に正確な制御を得る、より詳細には、ソレノイド作動式空気弁が作動して接着剤アプリケータ弁が閉じたときに、接着剤の吐出を効果的に鋭角に切断、終了するための改良された複数の構成を有している。
【0016】
本発明の改良された1つの特徴によれば、空気弁集成体12は、図5に示したように従来技術によるアプリケータで用いられているような空気管路および関連する長い空気経路を介することなく、ベースマニフォールド28および断熱要素30によりサービスブロック14に直接的に取り付けられている。この構成により、空気弁から接着剤アプリケータへ至る経路長が短縮され、圧縮空気が接着剤アプリケータ弁へ供給するために空気弁が作動した際の接着剤アプリケータの応答遅れが低減される。より詳細には、ベースマニフォールド28には複数の空気通路32が形成されており、該複数の空気通路32は、断熱要素30に形成された対応の空気通路34に対して位置決めされ、空気弁12とサービスブロック14の対応の空気通路36とが連通するようになっている。ベースマニフォールド28は、好ましくは、長方形の部材であり、上面28aが密封作用を以て空気弁ブロックの底面12aに接触する。前記マニフォールドの底面28bは、断熱要素30の上面30aに密封作用を以て接触する。断熱要素30の底面30bは、サービスブロック14の上面14aに対して密封作用を以て接触する。従って、空気弁の出口とサービスブロックの入口との間に形成された空気経路は、ベースマニフォールド28および断熱要素30の厚さのみによって定義され、従前に使用していた従来技術の長さよりも短縮される。
【0017】
空気管路に代えベースマニフォールド28および断熱要素30を用いた該構成により、典型的に190から232℃(375から450°F)に加熱されるサービスブロック14に空気弁ブロック12を直接取り付けることが可能となる。断熱要素30は、メラミン樹脂やフェノール樹脂、サービスブロック14からの熱により、好ましくはステンレス製のベースマニフォールド28が過熱されることを防止する他の材料から形成することができる。長い空気管路に代えて、こうした構成により応答時間を6−8ミリ秒から約4ミリ秒へ短縮することが可能となる。
【0018】
図3を参照すると、サービスブロック14の上面には細長い凹所40が好ましく形成されており、該凹所には断熱要素30′が受承される。断熱要素30′は、好ましくは、前記凹所の深さと同じ厚さを有している。ベースマニフォールド28の底面28bは、断熱要素30′の上面30aに密封作用を以て取り付けられる。この凹所を有した構成により、図2の実施形態と比較して更に空気通路の長さが短縮される。
【0019】
図3の実施形態の他の特徴は、断熱要素30′には欠切部50が形成されている点であり、図2の実施形態のような矩形のブロック状の断熱要素と比較して著しく伝熱が低減される。
【0020】
本発明の他の特徴は、独立した加熱領域としてダイブロック18を加熱するためにダイ電源およびダイヒータ26が設けられている点である。この構成は、ダイブロック18内での加熱の要求をより良く制御すると共に、サービスブロック14内の接着剤加熱管路全体の制御を有利に改善する。独立した加熱領域を個々に作動可能とするために、断熱プレート52がサービスブロック14と、ダイブロック18との間に配設されている。
【0021】
図3に示すように、ダイブロック18に形成された接着剤供給用出口はホットメルト溝20に連通している。この溝20はクランプ部材54により覆われる。クランプ部材54は溝20の清掃のために定期的に取り外される。本発明の他の特徴によれば、ホットメルト溝20の両端に位置決めピン60が配設されており、該ピンはクランプ部材の両端において内側の面に形成された対応の止まり穴(図示せず)に受承される。これにより、クランプ54が取り外された後に該クランプ54の再位置決めが容易になり、清掃および組立が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態によるホットメルト接着剤アプリケータの斜視図である。
【図2】図1のホットメルト接着剤アプリケータの分解斜視図である。
【図3】本発明の他の実施形態の分解斜視図である。
【図4】従来技術によるアプリケータの斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
10 ホットメルト接着剤アプリケータ
12 空気弁
14 接着剤サービスブロック
16 アプリケータ弁モジュール
18 ダイブロック集成体
20 溝
28 ベースマニフォールド
30 断熱要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットメルト接着剤アプリケータにおいて、
接着剤を供給するための少なくとも1つの接着剤供給モジュールを有した接着剤サービスブロックと、
前記サービスブロックおよびその内部の接着剤を加熱するために連結されたサービスブロックヒータと、
前記サービスブロック集成体に連結され、空気を供給して前記少なくとも1つの接着剤供給モジュールを作動させるための少なくとも1つの空気弁と、
前記サービスブロックに連結され、前記サービスブロックから接着剤を受けるための少なくとも1つの吐出開口部を含んで成るダイブロック集成体と、
前記空気弁を取付けるベースマニフォールドとを具備し、
前記ベースマニフォールドと前記サービスブロックとの間に配置された前記断熱要素と、
前記空気弁と前記サービスブロックとを相互接続する空気通路とを更に具備し、
前記空気通路の長さが前記ベースマニフォールドおよび断熱要素の厚さに等しくなるように、該空気通路が前記ベースマニフォールドおよび前記断熱要素を貫通して延びていることを特徴としたホットメルト接着剤アプリケータ。
【請求項2】
前記断熱要素およびベースマニフォールドは、前記通路の長さを短くして、空気弁が作動したときに、前記接着剤アプリケータの応答時間が約4ミリ秒となるように形成されていることを特徴とした請求項1に記載のホットメルト接着剤アプリケータ。
【請求項3】
前記サービスブロックの上面には凹所が形成されており、前記断熱要素が該凹所に配設され、前記凹所は、前記空気弁の下面に形成された空気吐出開口部と、
前記接着剤サービスブロックの上面において該凹所内に形成された複数の空気通路の少なくとも1つの入口開口部との間の空気の流れの経路を低減するように作用することを特徴とした請求項1に記載のホットメルト接着剤アプリケータ。
【請求項4】
前記凹所の深さが約10mmであることを特徴とした請請求項3に記載のホットメルト接着剤アプリケータ。
【請求項5】
前記断熱要素は上面と下面とを有しており、前記断熱要素の上面が前記ベースマニフォールドの下面に直接的に接触し、前記断熱要素下面が前記サービスブロックの上面に直接的に接触することを特徴とした請求項1に記載のホットメルト接着剤アプリケータ。
【請求項6】
前記空気の流れ経路は、前記ベースマニフォールドと前記断熱要素の厚さによってのみ決定されている請求項4に記載のホットメルト接着剤アプリケータ。
【請求項7】
前記ダイブロック集成体は、該ダイブロック集成体を前記サービスブロック集成体から独立した加熱領域として独立に加熱するダイブロックヒータを具備しており、更に、前記接着剤サービスブロックと前記ダイブロックとの間に配設された断熱要素を具備し、加熱領域の独立性を確実にすることを特徴とした請求項1に記載のホットメルト接着剤アプリケータ。
【請求項8】
前記ダイブロックは、吐出開口部に連通したホットメルト溝を含んでおり、より鋭く停止するように前記溝が磨かれていることを特徴とした請求項6に記載のホットメルト接着剤アプリケータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−28727(P2009−28727A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287792(P2008−287792)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【分割の表示】特願2002−18668(P2002−18668)の分割
【原出願日】平成14年1月28日(2002.1.28)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】