説明

ホットメルト接着剤用複合粒子

【課題】 低軟化点を有する熱可塑性樹脂からなるホットメルト接着剤の接着性を低下させることなく、耐ブロッキング性が良好なホットメルト接着剤粒子を提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーからなるホットメルト接着剤(a)からなるコア部分(A)、および該ホットメルト接着剤(a)よりもガラス転移温度が高い樹脂(b1)もしくは無機物(b2)またはその両方からなるシェル層(B)から構成される構造の複合粒子(C)であって、該シェル層(B)の重量比率が複合粒子(C)の重量に対して0.1〜50重量%である複合粒子をホットメルト接着剤用複合粒子として使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホットメルト接着用複合剤粒子に関する。さらに詳しくは、接着性を低下させることなく耐ブロッキング性が良好なホットメルト接着剤として好適な複合粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、縫製作業の合理化方策としてホットメルト接着剤が登場し、縫製作業に革命的な合理化をもたらし、現在幅広く用いられている。従来から使用されているホットメルト接着剤としては、ポリアミド系のものが一般に用いられている。
しかし、ポリアミド系接着剤は、シャープメルト性(軟化開始温度と軟化終了温度との差が小さいこと)を有し、耐水性、耐溶剤性は良好であるが、接着力が低く、軟化温度が高いという問題点がある。
軟化点温度を低くする手法として、低分子ジオールに側鎖またはエーテル結合を有する化合物を用いた熱可塑性ポリウレタン樹脂からなるもの(特許文献1参照)や、接着力を改良するため、スチレン−ジエン共重合体もしくはその水素化体を含むもの(特許文献2参照)も開示されている。
【特許文献1】特開昭55−110113号公報
【特許文献2】特開2001−187874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の低軟化点を有する熱可塑性樹脂からなるものは、凝集性が強く、微小な粒子への加工が非常に困難である。また、微粒子化するために軟化点温度を高く設定すると接着性が著しく低下する。
本発明の目的は、上記の低軟化点を有する熱可塑性樹脂からなるホットメルト接着剤の接着性を低下させることなく、耐ブロッキング性が良好なホットメルト接着剤粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーからなるホットメルト接着剤(a)からなるコア部分(A)、および該ホットメルト接着剤(a)よりもガラス転移温度が高い樹脂(b1)もしくは無機物(b2)またはその両方からなるシェル層(B)から構成される構造の複合粒子(C)であって、該シェル層(B)の重量比率が複合粒子(C)の重量に対して0.1〜50重量%であることを特徴とするホットメルト接着剤用複合粒子である。
【0005】
本発明のホットメルト接着剤用樹脂粒子は、ホットメルト接着剤の接着性を低下させることなく耐ブロッキング性が良好である効果を奏することから極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーからなるホットメルト接着剤(a)からなるコア部分(A)、および該ホットメルト接着剤(a)よりもガラス転移温度が高い樹脂(b1)もしくは無機物(b2)またはその両方からなるシェル層(B)から構成される構造の複合粒子(C)であって、該シェル層(B)の重量比率が複合粒子(C)の重量に対して0.1〜50重量%であることを特徴とするホットメルト接着剤用複合粒子である。
【0007】
本発明におけるコア部分(A)を形成するホットメルト接着剤(a)は、オレフィン系ホットメルト接着剤、アクリル系ホットメルト接着剤、酢酸ビニル系ホットメルト接着剤、ポリエステル系ホットメルト接着剤、ポリアミド系ホットメルト接着剤、アイオノマー系ホットメルト接着剤等通常用いられているホットメルト接着剤を、単独もしくは混合することによって、熱収縮物品を構成する組成物及び被覆体を構成する組成物のいずれにも接着し、熱回復温度領域で溶融するホットメルト接着剤を任意に選ぶことができる。この中で好ましいのはオレフィン系ホットメルト接着剤及びアクリル系ホットメルト接着剤である。
【0008】
ホットメルト接着剤(a)は、ASTM D1238−E法によるメルトインデックスが50未満かつ結晶化度が10%未満である非晶質エチレン共重合体(α)100重量部と、メルトインデックスが50以上である低粘度樹脂(β)30〜300重量部の存在下に、スチレン系化合物、ビニル基含有カルボン酸類もしくはその誘導体および(メタ)アクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性単量体(γ)50〜1000重量部を加熱溶融混練機中で重合して得られるホットメルト接着剤(a1)であることが好ましい。
【0009】
本発明における非晶質エチレン共重合体(α)の具体例としては、エチレンと他の1種以上のビニル化合物[例えば、αオレフィン(プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等)、酢酸ビニル、メタアクリル酸、アクリル酸等]との共重合体、これらのビニル基含有カルボン酸類によるグラフト変性体、およびこれらの共重合体もしくは変性体の2種以上のブレンド物等が挙げられる。
これらのうち好ましいものはエチレン−αオレフィン共重合体およびエチレン−αオレフィン−非共役ジエン共重合体であり、さらに好ましいものはエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体およびエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体である。
【0010】
(α)の結晶化度は、通常10%未満、好ましくは7%未満である。(α)の結晶化度が10%以上では複合樹脂組成物とした際に十分な柔軟性が得られず、またホットメルト接着剤として用いた際に十分なオープンタイムが得られない。
【0011】
(α)のASTM D1238−E法(190℃、2160g)によるメルトインデックスは、通常50未満、好ましくは40未満である。(α)のメルトインデックスが50以上であると十分な複合樹脂の強度が得られない。
【0012】
低粘度樹脂(β)としては、プロピレン共重合体(低分子量ポリプロピレン、非晶質プロピレン−エチレン共重合体等)、エチレン共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体等)、水素添加石油樹脂(例えば、炭素数9系石油樹脂、炭素5数系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂等の水素添加物)、水素添加テルペン樹脂および水素添加ロジン樹脂およびこれらのビニル基含有カルボン酸類によるグラフト変性体等を挙げることができる。
これらのうち好ましいのは、プロピレン共重合体、エチレン共重合体、水素添加石油樹脂、水素添加テルペン樹脂および水素添加ロジン樹脂である。
【0013】
(β)のASTM D1238−E法によるメルトインデックスは、通常50以上、好ましくは100以上である。(β)のメルトインデックスが50未満であると、溶融混合機中で重合して得られる複合樹脂組成物が高粘度となり、ホットメルト接着剤としての塗工性が低下する。
【0014】
本発明におけるラジカル重合性単量体(γ)としては、スチレン系化合物、ビニル基含有カルボン酸類もしくはその誘導体、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0015】
スチレン系化合物としては、スチレン、t-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、クロルスチレン、ブロムスチレン、フルオロスチレン、エチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジエチルアミノスチレン等が挙げられ、これらのうち特に好ましいものはスチレンである。
【0016】
ビニル基含有カルボン酸類もしくはその誘導体としては、ビニル基含有カルボン酸[(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等]、(メタ)アクリル酸エステル[例えば、炭素数1〜18のアルキル(メチル、エチル、プロピル、オクチル、ドデシルなど)−、炭素数6〜12の脂環式アルキル(シクロヘキシル、ジシクロヘキシルなど)−、炭素数7〜21のアラルキル(例えばベンジル)−、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜6)−、グリシジル−等の(メタ)アクリレート]、ビニル基含有ジカルボン酸のイミド化物[マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等]等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸およびこれらのエステ
【0017】
本発明において、(α)、(β)および(γ)の重量比は、(α):(β):(γ)が通常100:(30〜300):(50〜1000)、好ましくは100:(50〜200):(70〜500)である。
(β)の比率が30未満では得られる複合樹脂が高粘度となり、ホットメルト接着剤として使用する場合の作業性が悪く、300を超えると複合樹脂組成物のゴム弾性が低下する。
また、(γ)の比率が50未満では(α)および(β)に対する変性効果が乏しく分散系が安定しないため、ホットメルト接着剤として使用する場合の熱安定性が不十分となり、1000を超えると複合樹脂組成物のゴム弾性が低下する。
【0018】
ホットメルト接着剤(a)のガラス転移温度は−50〜50℃が好ましく、より好ましくは−45〜45℃、最も好ましくは−40〜40℃である。ホットメルト接着剤(a)のガラス転移温度が−50℃以下の場合、耐ブロッキング性が悪化し、50℃以上の場合、接着性が悪化する。
【0019】
ホットメルト接着剤(a)を製造する方法は、特に限定されないが、例えば(1)予め(α)の存在下で(γ)を重合したものと(β)の存在下で(γ)を重合したものを混合する方法、(2)(β)の存在下で(γ)を重合したものと(α)の存在下に(γ)を重合する方法、(3)(α)の存在下で(γ)を重合したものと(β)の存在下に(γ)を重合する方法、(4)(α)および(β)の存在下に(γ)を重合する方法等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、(1)の方法である。
【0020】
重合には必要により公知の重合開始剤や有機溶剤を使用することができる。重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物やアゾイソブチロニトリル等のアゾ系化合物が挙げられる。有機溶剤としては、脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、ハロゲン系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤等が挙げられる。
【0021】
重合の温度は特に限定はなく、実質的に単量体を重合させる温度であればよいが、通常80〜260℃である。
【0022】
製造に用いる加熱溶融混合機としては、その様式、形状等は特に限定されるものではなく、例えば逆ネジ部を有する圧縮性の高い形状のスクリューまたはリボン状攪拌翼を有する混合機、ニーダー等を用いることができる。
【0023】
ホットメルト接着剤(a)をホットメルト接着剤として用いる際には、公知の種々の添加剤[例えば接着性付与剤(ロジン誘導体、テルペン樹脂、炭化水素樹脂等)、ワックス(パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、低分子量ポリオレフィンワックス等)、酸化防止剤、フィラー、可塑剤等]を添加してもよい。
【0024】
シェル層(B)を形成する樹脂(b1)としては、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよいが、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
樹脂(b1)としては、上記樹脂の2種以上を併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすいという観点からビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂およびそれらの併用である。
【0025】
シェル層(B)を形成する樹脂(b1)として使用できるビニル系樹脂は、ビニル系モノマーを単独重合または共重合したポリマーである。
ビニル系モノマーとしては、下記(1)〜(10)が挙げられる。
【0026】
(1)ビニル系炭化水素:
(1−1)脂肪族ビニル系炭化水素:アルケン類、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン等;アルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン。
(1−2)脂環式ビニル系炭化水素:モノ−もしくはジ−シクロアルケンおよびアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等;テルペン類、例えばピネン、リモネン、インデン等。
(1−3)芳香族ビニル系炭化水素:スチレンおよびそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキルおよび/またはアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン等;およびビニルナフタレン。
【0027】
(2)カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩:
炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸ならびにその無水物およびそのモノアルキル(炭素数1〜24)エステル、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマー。
【0028】
(3)スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩:炭素数2〜14のアルケンスルホン酸、例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸;およびその炭素数2〜24のアルキル誘導体、例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド、例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等]、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル、ならびそれらの塩等。
【0029】
(4)燐酸基含有ビニル系モノマー及びその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキル(C1〜C24)燐酸モノエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)ホスホン酸類、例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸
【0030】
なお、上記(2)〜(4)の塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩もしくは4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0031】
(5)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテル等
【0032】
(6)含窒素ビニル系モノマー:
(6−1)アミノ基含有ビニル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4ービニルピリジン、2ービニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチルα−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、これらの塩等
(6−2)アミド基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチルN−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等
(6−3)ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレート等
(6−4)4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマー:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)
(6−5)ニトロ基含有ビニル系モノマー:ニトロスチレン等
【0033】
(7)エポキシ基含有ビニル系モノマー:
グルシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド等
【0034】
(8)ハロゲン元素含有ビニル系モノマー:
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロルスチレン、ブロムスチレン、ジクロルスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン、クロロプレン等
【0035】
(9)ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン類:
(9−1)ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチルα−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等;
(9−2)ビニル(チオ)エーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル2−エチルメルカプトエチルエーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレン、
(9−3)ビニルケトン、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン;ビニルスルホン、例えばジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド等。
【0036】
(10)その他のビニル系モノマー:
イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等
【0037】
ビニル系モノマーの共重合体としては、上記(1)〜(10)の任意のモノマー同士を、2元またはそれ以上の個数で、任意の割合で共重合したポリマーが挙げられるが、例えばスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸、ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0038】
ビニル系樹脂が共重合体である場合には、ビニル系樹脂を構成する疎水性モノマーと親水性モノマーの比率は、選ばれるモノマーの種類によるが、一般に疎水性モノマーが10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。疎水性モノマーの比率が、10%以下になるとビニル系樹脂が水溶性になり、複合粒子(C)のシェル(B)の形成能力が低下する。
ここで、親水性モノマーとは水に任意の割合で溶解するモノマーをいい、疎水性モノマーとは、それ以外のモノマー(基本的に水に混和しないモノマー)をいう。
【0039】
ポリエステル樹脂としては、ポリオールと、ポリカルボン酸またはその酸無水物またはその低級アルキルエステルとの重縮合物などが挙げられる。
ポリオールとしてはジオール(11)および3価以上のポリオール(12)が挙げられ、ポリカルボン酸またはその酸無水物またはその低級アルキルエステルとしては、ジカルボン酸(13)および3価以上のポリカルボン酸(14)およびこれらの酸無水物または低級アルキルエステルが挙げられる。
ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0040】
ジオール(11)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;その他、ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオールなど)、ポリブタジエンジオールなどが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
【0041】
3価以上のポリオール(12)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);トリスフェノール類(トリスフェノールPAなど);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記トリスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物;上記ノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコールおよびノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物である。
【0042】
ジカルボン酸(13)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデセニルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);炭素数8以上の分岐アルキレンジカルボン酸[ダイマー酸、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸など)、アルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
【0043】
3価以上のポリカルボン酸(14)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。
なお、ジカルボン酸(13)または3価以上のポリカルボン酸(14)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
【0044】
ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネート(15)と活性水素基含有化合物(D){水、ポリオール[前記ジオール(11)および3価以上のポリオール(12)]、ジカルボン酸(13)、3価以上のポリカルボン酸(14)、ポリアミン(16)、ポリチオール(17)等}との重付加物などが挙げられる。
【0045】
ポリイソシアネート(15)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネートおよびこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物など)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0046】
上記芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)またはその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20重量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
上記脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどの脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
上記脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
上記芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
また、上記ポリイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。具体的には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDIなど)、ウレタン変性TDIなどのポリイソシアネートの変性物およびこれらの2種以上の混合物[たとえば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。
これらのうちで好ましいものは6〜15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ポリイソシアネート、および炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートであり、とくに好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI、およびIPDIである。
【0047】
ポリアミン(16)の例としては、脂肪族ポリアミン類(C2 〜C18):
(i)脂肪族ポリアミン{C2〜C6 アルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)、ポリアルキレン(C2〜C6)ポリアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど〕};
(ii)これらのアルキル(C1〜C4)またはヒドロキシアルキル(C2〜C4)置換体〔ジアルキル(C1〜C3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなど〕;
(iii)脂環または複素環含有脂肪族ポリアミン〔3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど〕;
(iv)芳香環含有脂肪族アミン類(C8 〜C15)(キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど)、脂環式ポリアミン(C4 〜C15):1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)など、複素環式ポリアミン(C4 〜C15):ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジンなど、芳香族ポリアミン類(C6 〜C20):
【0048】
(v)非置換芳香族ポリアミン〔1,2−、1,3−および1,4−フェニレンジアミン、2,4´−および4,4´−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4´,4”−トリアミン、ナフチレンジアミンなど;
核置換アルキル基〔メチル,エチル,n−およびi−プロピル、ブチルなどのC1〜C4アルキル基)を有する芳香族ポリアミン、たとえば2,4−および2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、4,4´−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3´,5,5´−テトラメチルベンジジン、3,3´,5,5´−テトライソプロピルベンジジン、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラブチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3´−メチル−2´,4−ジアミノジフェニルメタン,3,5−ジイソプロピル−3´−メチル−2´,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジエチル−2,2´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノジフェニルスルホンなど〕、およびこれらの異性体の種々の割合の混合物;
【0049】
(vi)核置換電子吸引基(Cl,Br,I,Fなどのハロゲン;メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ポリアミン〔メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチル−5,5´−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3´−ジクロロベンジジン、3,3´−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4´−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4´−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4´−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリンなど〕;
(vii)2級アミノ基を有する芳香族ポリアミン〔上記の芳香族ポリアミンの−NH2 の一部または全部が−NH−R´(R´はアルキル基たとえばメチル,エチルなどの低級アルキル基)で置き換ったもの〕〔4,4´−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼンなど〕、ポリアミドポリアミン:ジカルボン酸(ダイマー酸など)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミンなど、ポリエーテルポリアミン:ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物などが挙げられる。
【0050】
ポリチオール(17)としては、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオールなどが挙げられる。
【0051】
エポキシ樹脂としては、ポリエポキシド(18)の開環重合物、ポリエポキシド(18)と活性水素基含有化合物(D){水、ポリオール[前記ジオール(11)および3価以上のポリオール(12)]、ジカルボン酸(13)、3価以上のポリカルボン酸(14)、ポリアミン(16)、ポリチオール(17)等}との重付加物、またはポリエポキシド(18)とジカルボン酸(13)または3価以上のポリカルボン酸(14)の酸無水物との硬化物などが挙げられる。
【0052】
本発明のポリエポキシド(18)は、分子中に2個以上のエポキシ基を有していれば、特に限定されない。ポリエポキシド(18)として好ましいものは、硬化物の機械的性質の観点から分子中にエポキシ基を2〜6個有するものである。ポリエポキシド(18)のエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、通常65〜1000であり、好ましいのは90〜500である。エポキシ当量が1000を超えると、架橋構造がルーズになり硬化物の耐水性、耐薬品性、機械的強度等の物性が悪くなり、一方、エポキシ当量が65未満のものを合成するのは困難である。
【0053】
ポリエポキシド(18)の例としては、芳香族系ポリエポキシ化合物、複素環系ポリエポキシ化合物、脂環族系ポリエポキシ化合物あるいは脂肪族系ポリエポキシ化合物が挙げられる。
芳香族系ポリエポキシ化合物としては、多価フェノール類のグリシジルエーテル体およびグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン、並びに、アミノフェノールのグリシジル化物等が挙げられる。
【0054】
多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ピロガロールトリグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、p−グリシジルフェニルジメチルトリールビスフェノールAグリシジルエーテル、トリスメチル−tret−ブチル−ブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル、9,9’−ビス(4−ヒドキシフェニル)フロオレンジグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノールまたはクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、リモネンフェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル体、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド、またはホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体、およびレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体等が挙げられる。
【0055】
多価フェノールのグリシジルエステル体としては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン等が挙げられる。
さらに、本発明において前記芳香族系として、P−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、トリレンジイソシアネートまたはジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールの付加反応によって得られるジグリシジルウレタン化合物、前記2反応物にポリオールも反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマーおよびビスフェノールAのアルキレンオキシド(エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド)付加物のジグリシジルエーテル体も含む。
【0056】
複素環系ポリエポキシ化合物としては、トリスグリシジルメラミンが挙げられる; 。
脂環族系ポリエポキシ化合物としては、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエール、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、およびビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン、ダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。また、脂環族系としては、前記芳香族系ポリエポキシド化合物の核水添化物も含む。
脂肪族系ポリエポキシ化合物としては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体、およびグリシジル脂肪族アミンが挙げられる。
多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルおよびポリグリセロールンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルピメレート等が挙げられる。
グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。また、本発明において脂肪族系としては、ジグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体も含む。
これらのうち、好ましいのは、脂肪族系ポリエポキシ化合物および芳香族系ポリエポキシ化合物である。本発明のポリエポキシドは、2種以上併用しても差し支えない。
【0057】
樹脂(b1)のガラス転移温度としては、20〜150℃が好ましく、より好ましくは30〜140℃、最も好ましくは35〜125℃である。樹脂(b1)のガラス転移温度が20℃以下の場合、耐ブロッキング性が悪化し、150℃以上の場合、接着性が悪化する。
【0058】
無機物(b2)の具体例としては、以下のものが挙げられる。
天然物としては、石灰石(重質炭酸カルシウム)、石英、珪石(シリカ)、ウオラスナイト、石膏、アスベスト、アパタイト、マグネタイト、及びゼオライト等が含まれる。
【0059】
合成物(精製物を含む)としては、金属、金属化合物、その他の複合物等(金属複合化合物、非金属化合物及び非金属複合化合物等)及び有機物を前駆体とする炭化物等が挙げられる。
【0060】
金属としては、室温以上の温度(20〜250℃)で固体である金属であれば使用でき、元素の周期率表において、1族〜16族の金属(亜鉛、アルミニウム、モリブデン、タングステン、ジルコニウム、バリウム、マンガン、コバルト、カルシウム、金、銀、クロム、チタン、鉄、白金、銅、鉛及びニッケル等)等が挙げられ、この他、ニッケル−銅、コバルト−ニッケル、銅−パラジウム、鉄−ビスマス及びアルミニウム−マグネシウム等の合金(固溶体)等も使用できる。
【0061】
金属化合物としては、元素の周期率表において、1族〜16族の金属酸化物(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化スズ、酸化鉄(磁性酸化鉄を含む)及び酸化インジウム等)、金属水酸化物(水酸化アルミニウム、水酸化金、水酸化マグネシウム等)、金属硫化物(硫化銅、硫化鉛、硫化ニッケル及び硫化白金等)、金属ハロゲン化物(フッ化カルシウム、フッ化スズ及びフッ化カリウム等)、金属炭化物(炭化カルシウム、炭化チタン、炭化鉄及び炭化ナトリウム等)、金属窒化物(窒化アルミニウム、窒化クロム、窒化ゲルマニウム及び窒化コバルト等)、炭酸金属塩(炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)、炭酸水素カルシウム、及び炭酸鉄等)、硫酸金属塩(硫酸アルミニウム、硫酸コバルト、硫酸ニッケル及び硫酸バリウム等)及びその他の金属塩(チタン酸塩(チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カリウム等)、ホウ酸塩(ホウ酸アルミニウム、ホウ酸亜鉛等)、燐酸塩(リン酸カルシウム、燐酸マグネシウム等)、アルミン酸塩(アルミン酸イットリウム(YAG)等)及び硝酸塩(硝酸鉄、硝酸鉛等))等が挙げられる。
【0062】
その他の複合物等としては、フェライト、ゼオライト、銀イオン担持ゼオライト、ジルコニア、ミョウバン、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、アルミナ繊維、セメント、ゾノトライト、MOS(宇部興産(株)製)、酸化珪素(シリカ、シリケート、ガラス及びガラス繊維を含む)、窒化珪素、炭化珪素及び硫化珪素等が挙げられる。
【0063】
有機物を前駆体とする炭化物としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、活性炭、竹炭、木炭及びフラーレン等が挙げられる。
【0064】
これらのうち、好ましくはシリカ、炭酸カルシウム、金属及び金属酸化物、及びそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0065】
シリカとしては特に限定はないが、ガラス状シリカ、石英、無定型シリカ、シリカゲル、シリカ粉末、シリカゾルや、シリカ表面をアルミ等で被覆した各種被覆シリカ微粒子、及び樹脂粒子や金属酸化物ゾル等の表面をシリカで被覆したシリカ被覆微粒子、球状シリカ微粒子、棒状シリカ微粒子、球状シリカが連結したネックレス状シリカ微粒子、等が利用できる。また、粒子径が前記範囲よりも大きい場合は、粉砕等の工程によって微細化した後に利用することもできる。これらの材料は、日産化学工業(株)製のスノーテックスのような市販品を用いても良いし、ゾルゲル法に代表される各種合成方法に従って調製した物を用いることもできる。
【0066】
金属としては、特に制限されるものではないが、製造コストが安く、他の金属と比較して金属微粒子を比較的製造し易く、また資源的にも比較的豊富に地球上に存在するために安価な材料である、等の観点から、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)の単独の金属微粒子、またはその合金微粒子のように、Ag、Cu、Niから選択された1種または2種以上を含有していることが好ましい。
【0067】
金属酸化物としては特に限定はないが、例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化タンタルなどが用いられる。この中で金属微粒子を比較的製造し易く、安価な材料である等の観点からアルミナ、酸化チタンであることが好ましい。
【0068】
シェル層(B)の重量比率は、形成される複合粒子(C)の重量に対して、0.1〜50重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜45重量%、最も好ましくは1〜40重量%である。重量比率が0.1重量%以下では粒子同士の耐ブロッキング性が悪化し、50重量%以上では接着性が著しく悪化する。
【0069】
シェル層(B)は、体積平均粒径が0.01〜30μmの粒子(B1)であることが好ましい。
粒子(B1)の体積平均粒径はより好ましくは0.02〜25μmであり、最も好ましくは0.03〜20μmである。体積平均粒径が0.01μm以下ではシェル層が薄くなり、耐ブロッキング性が悪化し、30μm以上ではシェル層の形成が困難になる。
【0070】
さらに、この粒子(B1)は、一定の粒径比であることが好ましく、粒径比[粒子(B1)の体積平均粒径DB]/[複合粒子(C)の体積平均粒径DC]の値が0.003〜0.3の範囲である。DB/DCは、さらに好ましくは0.002〜0.2、特に好ましくは0.005〜0.1である。DB/DCが0.001より小さい場合は十分な耐ブロッキング性が発現せず、DB/DCが0.3を超える場合は接着性が悪化する。
【0071】
本発明において、一定の体積平均粒径と粒径比を有する粒子(B1)としては、前述した樹脂(b1)からなる粒子(B11)、又は無機物(b2)からなる粒子(B12)、及びこれら(B11)と(B12)の混合粒子(B13)が挙げられる。この中で粒子(B11)又は混合粒子(B13)であることが好ましい。
【0072】
樹脂(b1)からなる粒子(B11)の製造方法としては特に限定されることなく、公知の方法で製造できる。
例えば、(v)ビニル系樹脂の場合において、モノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法または分散重合法等の乳化剤又は分散剤存在下の重合反応により、直接、樹脂粒子(A)の水性分散液を製造する方法、
(vi)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその溶剤溶液を適当な分散剤存在下で水性媒体(F)中に分散させ、その後に加熱したり、硬化剤を加えたりして硬化させて樹脂粒子(A)の水性分散液を製造する方法、
(vii)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化しても良い。)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法、
【0073】
(viii)あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い。)により作製した樹脂を機械回転式またはジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法、
(ix)あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法、
(x)あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、またはあらかじめ溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂粒子を析出させ、次いで、溶剤を除去して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法、
(xi)あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体(F)中に分散させ、これを加熱または減圧等によって溶剤を除去する方法、
(xii)あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法等が挙げられる。
【0074】
無機物(b2)からなる粒子(B12)の製造方法としては特に限定されることなく、公知の方法で製造できる。
例えば(i)上記無機物を水性媒体中で湿式粉砕する方法、
(ii)上記無機物を乾式粉砕し、水性媒体中に分散する方法、
(iii)ゾルゲル法に代表されるようなアルコキシド化合物による縮合反応を水性媒体中で行う方法、(iv)ハロゲン化金属を水性媒体中で還元・析出させる方法等が挙げられる。
【0075】
混合粒子(B13)の製造法としては、(B11)と(B12)を任意の比率で混合することにより製造可能であり、必要により界面活性を加え、分散安定性を付与することもできる。
粒子(B12)の重量比率は混合粒子(B13)の重量に対して50重量%以下が好ましく、より好ましくは40重量%以下、最も好ましくは30重量%以下である。粒子(B12)の重量比率が50重量%を超えると接着性が著しく悪化する。
【0076】
コア部分(A)が、下記数式(1)を満足する溶解度パラメータを有する樹脂(d)を含有してなるホットメルト接着剤(a1)であることが好ましい。
1≦SP(d)−SP(a)≦10 (1)
但し、SP(d):樹脂(d)の溶解度パラメーター
SP(a):ホットメルト接着剤(a)の溶解度パラメーター
SP(d)−SP(a)が1以下の場合、接着力が低下し、SP(d)−SP(a)が10以上の場合、耐ブロッキング性が悪化する。好ましくは1.5〜9、最も好ましくは2〜8である。なお、溶解度パラメーターは、Fedors法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]によって算出される値である。
【0077】
樹脂(d)としては、樹脂(b1)に例示されたものと同様の樹脂がの中から選択できる。この中で好ましいものはポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂及びビニル系樹脂であり、より好ましくはポリエステル樹脂及びビニル系樹脂である。
【0078】
樹脂(d)のガラス転移温度としては0〜100℃が好ましく、より好ましくは20〜90℃、最も好ましくは30〜85℃である。樹脂(d)のガラス転移温度が0℃以下の場合、耐ブロッキング性が悪化し、100℃以上の場合、接着性が悪化する。
【0079】
複合粒子(C)の重量に対する樹脂(d)の重量比率は耐ブロッキング製及び接着性の観点から0.1〜40重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜35重量%、最も好ましくは1〜30重量%である。
【0080】
本発明の複合粒子(C)の製造方法は特に限定されるものではないが、以下の(1)〜(4)の方法が好ましい。
【0081】
(1)特定の粒子体積平均粒径を有する微粒子(B1)を水性媒体(F)に分散した分散溶液中で、ホットメルト接着剤(a)を分散し、複合粒子(C)を製造する方法。
(2)粒子(B1)を水性媒体(F)に分散した分散溶液とホットメルト接着剤(a)からなるコア部分(A)を水性媒体(F)に分散した分散溶液に配合し、製造する方法。
(3)ホットメルト接着剤(a)からなるコア部分(A)を水性媒体(F)に分散した分散溶液中で、粒子(B1)を分散する方法。
(4)ホットメルト接着剤(a)に樹脂(b1)を溶解、混合させておき、水性媒体(F)に分散させる方法。
【0082】
水性媒体(F)とは、水、または水混和性溶媒(F0)と水との混合溶媒をいう。水混和性溶媒(F0)としては、例えばアルコール系溶剤やケトン系溶剤などが挙げられる。具体的には、アルコール系溶剤:メタノール、イソプロパノール、エタノール、n−プロパノールなど、ケトン系溶剤:アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。上記水と水混和性溶媒との混合比率は、好ましくは100/0〜100/20であり、さらに好ましくは100/0〜100/5である。
【0083】
複合粒子(C)を製造する際、ホットメルト接着剤(a)を溶剤(U)に溶解させてもよい。
【0084】
本発明に用いる溶剤(U)の具体例としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素系溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素系溶剤;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどのハロゲン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエステル系またはエステルエーテル系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤、N−メチルピロリドンなどの複素環式化合物系溶剤、ならびにこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
【0085】
ホットメルト接着剤(a)若しくはその溶剤溶液、樹脂(b1)、及び無機物(b2)もしくはその溶剤溶液を分散させる場合には、分散装置を用いることができる。該分散装置は、一般に乳化機、分散機として市販されているものであれば特に限定されず、例えば、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(在原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機、バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機、超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等が挙げられる。このうち粒径の均一化の観点で好ましいものは、APVガウリン、ホモジナイザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサーが挙げられる。
【0086】
複合粒子(C)を製造過程において溶剤(U)にホットメルト接着剤(a)を溶解させた場合はさらに溶剤(U)を除去することにより、複合粒子(C)を形成させる。
【0087】
上記工程は、溶剤(U)にホットメルト接着剤(a)を溶解させた場合に適用される工程であり、溶剤(U)を除去する方法は特に限定されず、公知の方法が適用でき、例えば以下の〔1〕〜〔3〕及びこれらを組合せた方法等が適用できる。
〔1〕一般的な攪拌脱溶剤槽やフィルムエバポレータ等において、加熱及び/又は減圧により脱溶剤する方法。
〔2〕液面、あるいは液中においてエアーブローして脱溶剤する方法。
〔3〕溶剤(U)含有の分散液を水性媒体(F)で希釈し、(U)を水連続相中に抽出する方法。
上記〔1〕の方法で、加熱する際の温度は、樹脂(b1)及び無機物(b2)が結晶性であれば融点(Tm)以下、また樹脂(b1)が非晶性であればガラス転移温度(Tg)以下であることが好ましく、通常TmあるいはTgの5℃以下が好ましく、より好ましくは10℃以下、特に好ましくは20℃以下である。減圧する際の減圧度(ゲージ圧)は、−0.03MPa以下が好ましく、より好ましくは−0.05MPa以下である。
上記〔3〕の方法は、溶剤(U)が水に対する溶解性を有する場合に、好ましい方法である。一般的には、〔1〕の方法が好ましい。
【0088】
溶剤(U)を除去する時間としては、生産性の観点から100時間以内が好ましく、より好ましくは36時間以内、最も好ましくは80時間以内である。
【0089】
溶剤(U)の残存量としては複合粒子(C)に対して、好ましくは5重量%以下、より好ましくは4重量%以下、最も好ましくは3重量%以下である。
【0090】
上記製造方法によって得られる複合粒子(C)の水性分散液は、固液分離(必要に応じて水等を加え固液分離を繰り返す)した後、乾燥して水性媒体を除去することによって、本発明のホットメルト接着剤用複合粒子(C)を得ることができる。
【0091】
水性媒体を除去する方法としては、以下の(1)〜(3)及びこれらの組合せの方法等が適用できる。
(1)水性分散体を減圧下又は常圧下で乾燥する方法。
(2)遠心分離器、スパクラフィルター及び/又はフィルタープレスなどにより固液分離し、得られた固体を乾燥する方法。
(3)水性分散体を凍結させて乾燥させる方法(いわゆる凍結乾燥)。
上記(1)及び(2)の方法において、乾燥機としては、流動層式乾燥機、減圧乾燥機及び循風乾燥機等公知の設備を用いて行うことができる。
また、必要に応じ、風力分級器又はふるい等を用いて分級し、所定の粒度分布とすることもできる。
【0092】
本発明で得られたホットメルト接着剤用複合粒子(C)の体積平均粒径は0.1〜300μmであることが好ましく、より好ましく0.8〜250μm、最も好ましくは1〜200μmである。体積平均粒径が0.1μm以下になると粉体としての取り出しが困難になり、300μm以上になると接着層の薄膜化が困難になる。
【0093】
本発明で得られたホットメルト接着剤用複合粒子(C)の融点は50〜200℃であることが好ましく、より好ましく60〜180℃、最も好ましくは65〜150℃である。融点が50℃以下になると耐ブロッキング性が悪化し、200℃以上になると接着性が低下する。
【0094】
本発明で得られたホットメルト接着剤用複合粒子(C)はホットメルト接着剤として使用でき、従来難接着性と言われてきた炭素数2〜4のオレフィン(例えばエチレン及びプロピレン等)の重合体であるポリオレフィン成形品同士又はこれと他の被着体を本発明のホットメルト接着剤で接着した接着体の接着性良好である。他の被着体とは例えば各種プラスチック成形品(例えばモールド成形品、フィルム、不織布、繊維等)、ゴム、紙、布、金属、木材、ガラス、モルタル及びコンクリート等である。この接着体の形態は繊維、シート等任意であり、例えば繊維やシートを用いる衛材製品等に好適に使用できる。また、当然に他の被着体同士(異種又は同種を含む)の接着性も良好である。この様に本発明のホットメルト接着剤は、接着力の他に凝集力、耐熱性、柔軟性に優れるので、上記の広範な被着体に適用できる。
【0095】
本発明のホットメルト接着剤は、ホットメルト型としてのみならず、有機溶剤溶液、エマルション、ディスパージョン又はフィルム等の形態でも使用可能である。さらに、本発明のホットメルト接着剤は、各種熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂に添加して、これらの樹脂の成形性や樹脂物性の改質等にも用いることができる。
【0096】
実施例
以下実施例により本発明を更に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
【0097】
<製造例1>
耐圧反応容器に、イオン交換水、ドデシル硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム(重合開始剤)を仕込み、反応容器内の空気を窒素で置換した後、反応容器を密閉として攪拌を開始し、80℃まで昇温した。ついで、スチレン/メタクリル酸/アクリル酸ブチル=30/40/30の重量比で混合したモノマー200部を2時間かけて滴下した。さらに、同温度で2時間熟成し、樹脂粒子分散液(b−1)を得た。ここでの樹脂粒子水分散液(b−1)中の樹脂粒子の体積平均粒径は0.05μmであり、ガラス転移温度は85℃であった。
なお、体積平均粒径は、動的光散乱粒子径測定法で測定した。
使用測定器:大塚電子社製 DLS−7000
試料:樹脂粒子水分散液をイオン交換水で400倍に希釈して調製
【0098】
<製造例2>
イオン交換水790部にドデシル硫酸ナトリウムを10部加え、均一化したのち、アエロジル50[日本アエロジル社製]を加え均一化した。この分散液をダイノミル[シンマルエンタープライゼス社製]で12時間分散することにより無機粒子水分散液(b−2)を得た。無機粒子水分散液(b−2)の体積平均粒径は0.04μmであった。
【0099】
<製造例3>
耐圧反応装置にポリ3メチル1,5ペンタメチレンアジペートグリコール(Mn=2,000)73部、1,4ブタンジオール3部、ジメチロールプロピオン酸5部、アセトン5部、IPDI34部を仕込み、容器の気相部を窒素置換してから密閉し、撹拌しながら温度80℃にてウレタン化を行い、脱溶剤によりアセトンを取り除き、ポリウレタン(b−3)を得た。ポリウレタン(b−3)は、数平均分子量(Mn)7000、重量均分子量(Mw)11000、Tg55℃、酸価49であった。
【0100】
<製造例4>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物220部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物561部、テレフタル酸218部、アジピン酸48部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸45部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、ポリエステル(d−1)を得た。ポリエステル(d−1)は、Mn2500、Mw6700、Tg43℃、酸価25、溶解度パラメーターは12であった。
【0101】
<製造例5>
直径45mm、L/D=50のスクリューを有するベント付き同方向二軸押出機を用いて、スチレン130部、ジクミルパーオキサイド1.3部、エチレンプロピレン共重合体(結晶化度6%、メルトインデックス2、日本合成ゴム製「EP912P」)100部、非結晶性ポリプロピレン(メルトインデックス100以上、宇部レキセン製「UT2535」)100部を原料供給口に入れ、ホットメルト接着剤を製造した。
この押出機は、別個に温度調節することができる4分割のバレルを有しており、第一バレルの手前に原料供給口が、第四バレル前にベント口が設けられている。第三バレル部に対応する部分のスクリューが逆ネジであって、ベント口近辺のスクリューのピッチは、30mmである。押出機は第一バレルを145℃、第二バレルを160℃、第三バレルを190℃、第四バレルを230℃に保ちベント口を20Torrの減圧にして分散した樹脂混合物を原料供給口から、またモノマーは第一バレルに付属のサイド供給口から押出機に供給し滞留時間が7分になるように保ちながら重合し、ホットメルト接着剤(a−1)を得た。
得られたホットメルト接着剤(a−1)のガラス転移温度は−20℃、溶解度パラメーターは9であった。
【0102】
<製造例6>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、表1中の油相(1〜4)で示す(a−1)、(b−3)、(d−1)、溶剤としてのトルエンを重量比で仕込み、80℃ま℃まで昇温し、60分間均一化し取り出し、油相(1)〜(4)を得た。
【0103】
【表1】

【0104】
<製造例7>
攪拌機の付いた耐熱、耐圧容器の中にホットメルト接着剤(a−1)を800部、ポリウレタン(b−3)を200部仕込み、180℃まで加熱し、60分間攪拌することにより、油相(5)を得た。
【0105】
<製造例8>
攪拌機の付いた耐熱、耐圧容器の中に、表2に示す重量比で(b−1)、(b−2)、イオン交換水、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを仕込み、60分間均一化し取り出し、水相(1)〜(4)を得た。界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いた。
【0106】
【表2】

【0107】
<実施例1〜3、比較例1、2>
製造例6で製造した油相(1)〜(4)、製造例8で製造した水相(1)〜(3)を予め30℃に温度調整しておき、表3に示す配合比に従い配合したのち、得られた混合溶液をTKホモミキサー[特殊機化工業(株)製]を用いて、10000rpmで2分間撹拌した。その後、攪拌機のついた耐圧反応容器に移し、40℃まで昇温しながら減圧で脱溶剤した。実施例2ではさらに無機微粒子分散液(b−1)を50部加えさらに60分間攪拌した。得られた複合粒子分散液を遠心分離機を用いて固液分離し乾燥させ、複合粒子(C−1)〜(C−3)、比較例複合粒子(H−1)、(H−2)を得た。
【0108】
<実施例4、5、比較例3>
製造例7で製造した油相(5)及び、ホットメルト接着剤(a−1)である油相(6)、製造例8で製造した水相(1)、(2)、(4)を耐圧容器に、表3に示す配合比に従い配合したのち、得られた混合溶液を高温、高圧対応ホモミキサー[TKホモミキサーMARKII;特殊機化工業(株)製]を用いて、150℃に温度調整し、14000rpmで10分間撹拌した。冷却した後、得られた複合粒子分散液を遠心分離機を用いて固液分離し乾燥させ、複合粒子(C−4)、(C−5)、比較例複合粒子(H−3)を得た。
【0109】
【表3】

【0110】
上記複合粒子について、(1)体積平均粒径、(2)融点、(3)耐ブロッキング性及び(4)剥離接着強度を後述の方法に従って性能評価を行った。その結果を表4に示す。
【0111】
【表4】

【0112】
[評価方法]
(1)体積平均粒径
イオン交換水で100部にドデシルベンゼンスルホン酸を1部加え、複合粒子1部を添加した後、超音波を1分照射し、得られた水分散液をフロー式粒子画像解析装置[シスメックス社製:FPIA−2100]で測定することにより、複合粒子の体積平均粒径を得たした。
【0113】
(2)融点測定
融点の測定は、示差走査熱量計[セイコー株式会社製:UV−SSC220C]を用いて行った。
【0114】
(3)耐ブロッキング性
複合粒子20gを、高さ20cm、直径3cmの円筒状のガラス容器に入れ、10g/cm2の圧力を負荷し、40℃の恒温槽中に10日間静置し、粒子間のブロッキング(合着)の状態を目視により下記の基準にて評価した。
○:ブロッキングしていない
×:ブロッキングしている
【0115】
(4)剥離接着強度評価
せん断接着強度; :JIS K6854に基づき、アルミ板/ポリエステルフィルムでの断剥接着強度(単位:kgf/cm2)を測定した。
ピール強度 ; :JIS K6854に基づき、アルミ板/ポリエステルフィルムでの180゜剥離強度(単位:g/25mm)を測定した。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明のホットメルト接着剤は、接着力、貯蔵安定性、加工性に優れるので、広範な被着体(例えば各種プラスチック成形品、ゴム、紙、布、金属、木材、ガラス、モルタルコンクリート等)の接着に適用できる。特に難接着性のポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)系樹脂成形品同士またはこれらと上記の他の被着体とを接着するための接着剤として好適であり、その接着例としては、使い捨ておむつを構成するポリオレフィン系不織布とポリオレフィン系フィルムとの接着等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂成形品同士、またはこれと他の被着体とが本発明のスラリー状組成物で接着されてなる接着体としては、使い捨ておむつ、使い捨て生理用ナプキン、粘着テープ、及び粘着フィルム、自動車用ランプ、布製品、衣料、ラベル、木工造作物、各種建材等が例示できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーからなるホットメルト接着剤(a)からなるコア部分(A)、および該ホットメルト接着剤(a)よりもガラス転移温度が高い樹脂(b1)もしくは無機物(b2)またはその両方からなるシェル層(B)から構成される構造の複合粒子(C)であって、該シェル層(B)の重量比率が複合粒子(C)の重量に対して0.1〜50重量%であることを特徴とするホットメルト接着剤用複合粒子。
【請求項2】
シェル層(B)が、体積平均粒径0.01〜30μmである微粒子(B1)からなり、該微粒子(B1)の体積平均粒径/複合粒子(C)の体積平均粒子径の比率が0.001〜0.3である請求項1記載のホットメルト接着剤用複合粒子。
【請求項3】
コア部分(A)が下記数式(1)を満足する溶解度パラメータを有する樹脂(d)を含有してなる請求項1または2記載のホットメルト接着剤用複合粒子。
1≦SP(d)−SP(a)≦10 (1)
但し、SP(d):樹脂(d)の溶解度パラメーター
SP(a):ホットメルト接着剤(a)の溶解度パラメーター
【請求項4】
該樹脂(d)がポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂およびビニル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの樹脂である請求項3記載のホットメルト接着剤用複合粒子。
【請求項5】
複合粒子(C)の体積平均粒子径が0.1〜300μmである請求項1〜4のいずれか記載のホットメルト接着剤用樹脂粒子。
【請求項6】
該ホットメルト接着剤(a)が、ASTM D1238−E法によるメルトインデックスが50未満かつ結晶化度が10%未満である非晶質エチレン共重合体(α)100重量部と、メルトインデックスが50以上である低粘度樹脂(β)30〜300重量部の存在下に、スチレン系化合物、ビニル基含有カルボン酸類もしくはその誘導体および(メタ)アクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性単量体(γ)50〜1000重量部を加熱溶融混練機中で重合して得られるホットメルト接着剤(a1)である請求項1〜5のいずれか記載のホットメルト接着剤用複合粒子。
【請求項7】
該ホットメルト接着剤(a)のガラス転移温度が、−50〜50℃である請求項1〜6のいずれか記載のホットメルト接着剤用複合粒子。
【請求項8】
該非晶質エチレン共重合体(α)が、エチレン−αオレフィン共重合体および/またはエチレン−αオレフィン−非共役ジエン共重合体である請求項7記載のホットメルト接着剤用複合粒子。
【請求項9】
該低粘度樹脂(β)が、プロピレン共重合体、エチレン共重合体、水素添加石油樹脂、水素添加テルペン樹脂および水素添加ロジン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の低粘度樹脂である請求項7または8記載のホットメルト接着剤用複合粒子。
【請求項10】
該低粘度樹脂(β)が、非晶質ポリプロピレン共重合体および/またはエチレン−酢酸ビニル共重合体の低粘度樹脂である請求項7〜9のいずれか記載のホットメルト接着剤用複合粒子。
【請求項11】
融点が50〜200℃である請求項1〜10いずれか記載のホットメルト接着剤用複合粒子。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか記載のホットメルト接着剤用複合粒子からなるホットメルト接着剤。
【請求項13】
プラスチック成形品用に用いる請求項12記載のホットメルト接着剤 。

【公開番号】特開2007−269962(P2007−269962A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96927(P2006−96927)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】