説明

ホットメルト接着方法

【課題】溶着強度が強い、ホットメルトによる熱可塑性樹脂成形体の接着方法の提供。
【解決手段】熱可塑性樹脂成形体のホットメルト接着方法であって、成形体1と付加体2の接着部分3に凹凸abが2個以上連続で設けてあり、その接着にホットメルト4を使用する事を特徴とする熱可塑性樹脂成形体のホットメルト接着方法。更に好ましくは、該凹凸abが凸部幅c1mm以上、凸部高さe1mm以上、凹部幅dが凸部幅cより大きく、長さ5mm以上である事を特徴とするホットメルト接着方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルトによる熱可塑性樹脂成形体の接着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルトによる熱可塑性樹脂成形体の接着方法に関する従来技術としては特許文献1に開示されているようなものがある。
【0003】
しかし、接着面が平面であるから、特許文献1に開示されているような方法では溶着強度が弱いという欠点があった。
【0004】
以下、図によってより詳しく説明する。
【0005】
図1は、従来のホットメルト接着の斜視図である。
22は、突板である。
23は、ホットメルト接着剤層である。
24は、プラスチックシートである。
【0006】
特許文献1では、図1のようにホットメルト接着剤層23が、プラスチックシート24と突板22の間に存在していて、両者を接着している。
【0007】
しかしながら、プラスチックシート24と突板22のホットメルト接着剤層23との接着面が平面であり、接着強度は極めて弱い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−209888
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする課題は、特許文献1に開示されているような接着方法では、接着強度が弱い点である。本発明は上記の点を解決するためになされた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を果たすため本発明は、熱可塑性樹脂成形体のホットメルト接着方法であって、成形体と付加体の接着部分に凹凸が2個以上連続で設けてあり、その接着にホットメルトを使用する事を特徴とする。
また、接着部分の凹凸が凸部幅1mm以上、凸部高さ1mm以上、凹部幅が凸部幅より大きく、長さ5mm以上である事を第2の主要な特徴とする。
また、成型体の凹凸と付加体の凹凸が互いに半ピッチずれている事を第3の主要な特徴とする
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熱可塑性樹脂成形体と付加体が加熱したホットメルトを挟んだ際、ホットメルトが熱可塑性樹脂成形体と付加体の接着面上に設けられている凹凸部に入り込み、ホットメルトと凹凸部との接する面積が増加する事で、接着強度を上げる事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来のホットメルト接着の斜視図
【図2】本発明の実施例を示す熱可塑性樹脂成形体の斜視図
【図3】熱可塑性樹脂成形体接着部の図2のA−A断面相当部分断面図
【図4】ホットメルト4が熱可塑性樹脂成形体の接着部と付加体の接着部との間に設置された際の図2のA−A断面相当部分断面図
【図5】熱可塑性樹脂成形体の接着部と付加体の接着部が接着された際の図2のA−A断面相当部分断面図
【図6】熱可塑性樹脂成形体の接着部と付加体の接着部を、凹凸半ピッチ分ずらして接着された際の図2のA−A断面相当部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
ホットメルトによる接着時の接着強度を上げるという目的を、熱可塑性樹脂成形体と付加体の接着部分に凸部幅1mm、凸部高さ1mm、凹部幅3mm、長さ15mmである凹凸を2個以上連続して設ける事によって、接着範囲を広げずに、接着強度を上げる事を実現した。
【実施例1】
【0014】
本発明の構成を発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。
【0015】
図2は、熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)1とエンブレム2の斜視図である。
図3ないし図6は、図2のA―A断面相当の部分断面図である。
上記エンブレム2の接着部分3’と上記熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)1の接着部分3には、図3に示すような凸部aの凸部幅cが1mm、凸部高さeが1mm、凹部bの凹部幅dが3mm、長さ15mmの凹凸を5個連続して設けてある凹凸5がある。
【0016】
図4に示すように、上記エンブレム2の上記接着部分3’と上記熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)1の上記接着部分3が対向するように、上記エンブレム2と上記熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)1を配置し、上記接着部分3と上記接着部分3’との間に加熱した上記ホットメルト4を配置する。
【0017】
その後、図5に示すように、加熱した上記ホットメルト4を上記エンブレム2の上記接着部分3’と上記熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)1の上記接着部分3で挟むと、入り込んだ加熱した上記ホットメルト4は、上記エンブレム2の上記凸部a’と上記熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)1の上記凸部aに押される形となり、上記エンブレム2の上記凹部b’と上記熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)1の上記凹部bの方向に盛り上がる。そして、盛り上がった加熱した上記ホットメルト4が上記エンブレム2の上記凸部a’の側面と上記熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)1の上記凸部aの側面に接触し、そのまま接着される。この事によって加熱した上記ホットメルト4が上記熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)1の接着部分3、又は上記エンブレム2の接着部分3’と接する面積を大きくする事ができ、接着強度を上げる事ができる。
【実施例2】
【0018】
次に、図6のように、凹凸半ピッチ分ずらした場合、上記エンブレム2の上記凸部a’と上記熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)1の上記凸部aが、上記熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)1の上記凹部bと上記エンブレム2の上記凹部b’に入る。これによって、上記エンブレム2と上記熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)1との距離を短くする事ができ、加熱した上記ホットメルト4と上記エンブレム2、又は上記熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)1と接する面積を大きくする事ができるので、より接着強度を上げる事ができる。
尚、上記の各実施例では上記凸部aが5つの場合を例として取り上げたが、これに限るものではなく、2つ以上あれば良い。なぜならば、上記接着部分cと上記接着部分c’に凸部aが1つしかない場合、上記エンブレム2と上記熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)1で加熱した上記ホットメルト4を挟み、上記エンブレム2の上記凸部aと上記熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)1の上記凸部a’で加熱した上記ホットメルト4を押圧しても、加熱した上記ホットメルト4は横に逃げてしまう。その為、加熱した上記ホットメルト4が盛り上がらず、加熱した上記ホットメルト4と上記エンブレム2の上記接着部分3’、又は上記熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)1の上記接着部分3とが接する面積が増加しないからである。また、各実施例では、上記凸部高さeが1mm、上記凸部幅cが 1mm、上記凹部幅dが3mm、上記凹凸の長さが15mmの場合を例として取り上げたが、上記凸部高さeは1mm以上、上記凸部幅cは1mm以上、上記凹部幅dは上記凸部幅c以上、上記凹凸の長さは5mm以上あれば良い。なぜならば、上記凸部高さeが1mmより小さいと、上記凸部aの側面の面積が小さくなってしまう為、加熱した上記ホットメルト4との接する面が小さくなり、接着強度を増加させる事ができないからである。また、上記凸部幅cが1mmより小さい場合、上記凸部aが上記ホットメルト4を押す力が弱い為、上記ホットメルト4が盛り上がらず、上記凸部の側面に接触しない為、接着強度を増加する事ができないからである。また、上記凹部幅dが上記凸部幅cより小さく、又は、上記凹凸の長さが5mmより短い場合、接着部分の上記凸部aに押されて上記凹部bに流れ込んだホットメルト4を上記凹部bに留めておく事が出来ない為、上記ホットメルト4が接着部分以外の部分に漏れてしまい、外観上の問題が発生するからである。
【0019】
以上、各実施例に述べたように本発明によれば、上記熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)1と上記エンブレム2の接着部分に凹凸を設ける事によって、加熱した上記ホットメルト4と上記熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)1と上記エンブレム2と接する面積を大きくする事ができるので、接着強度を上げることができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、自動車用エンブレム付ボード、又はボードに限らず熱可塑性樹脂によって形成された成形体、エンブレムに限らず熱可塑性樹脂付加体によって形成された付加体の接着に利用可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 熱可塑性樹脂製板体(自動車用ボード)
2 エンブレム
3 接着部分
4 ホットメルト
5 凹凸
a 凸部
b 凹部
c 凸部幅
d 凹部幅
e 凸部高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂成形体のホットメルト接着方法であって、成形体と付加体の接着部分に凹凸が2個以上連続で設けてあり、その接着にホットメルトを使用する事を特徴とする熱可塑性樹脂成形体のホットメルト接着方法。
【請求項2】
請求項1における凹凸が凸部幅1mm以上、凸部高さ1mm以上、凹部幅が凸部幅より大きく、長さ5mm以上である事を特徴とする請求項1記載のホットメルト接着方法。
【請求項3】
請求項1または2における成型体の凹凸と付加体の凹凸が互いに半ピッチずれている事を特徴とする請求項1または請求項2に記載のホットメルト接着方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−148847(P2011−148847A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8709(P2010−8709)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(503233130)株式会社アイテック (96)
【Fターム(参考)】