説明

ホットメルト粘着テープ又はシートの製造方法

【課題】 本発明は、粘着剤層の表面に筋やもやもやが発生せず鏡面になり見栄えのよいホットメルト粘着テープ又はシートの製造方法を提供する。
【解決手段】 一対の加熱ロールと、その上流側に設置されているホットメルト粘着剤溶融溶液溜装置によりホットメルト粘着剤溶融溶液溜部が形成されてなるホットメルト粘着剤塗布装置のホットメルト粘着剤溶融溶液溜部にホットメルト粘着剤溶融溶液を供給し、一対の加熱ロールの一方の加熱ロールに接するように支持体フィルムを供給すると共に他方の加熱ロールに接するように剥離フィルムを供給して一対の加熱ロール間を引き抜くことを特徴とするホットメルト粘着テープ又はシートの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト粘着剤層を支持体フィルムと剥離フィルムで被覆したホットメルト粘着テープ又はシートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ホットメルト粘着テープ又はシートの製造は、溶融したホットメルト粘着剤を支持体フィルムに塗工した後剥離フィルムを積層するか、溶融したホットメルト粘着剤を剥離フィルムに塗工した後支持体フィルムを積層して粘着剤層を支持体フィルムに転写することにより行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−88323号公報
【0003】
しかしながら、上記方法で製造されたホットメルト粘着テープ又はシートの粘着剤層の表面に筋やもやもやが発生して鏡面にならず見栄えが悪いので、商品性が低く、商品として販売するには不適当であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記欠点に鑑み、粘着剤層の表面に筋やもやもやが発生せず鏡面になり見栄えのよいホットメルト粘着テープ又はシートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のホットメルト粘着テープ又はシートの製造方法は、一対の加熱ロールと、その上流側に設置されているホットメルト粘着剤溶融溶液溜装置によりホットメルト粘着剤溶融溶液溜部が形成されてなるホットメルト粘着剤塗布装置のホットメルト粘着剤溶融溶液溜部にホットメルト粘着剤溶融溶液を供給し、一対の加熱ロールの一方の加熱ロールに接するように支持体フィルムを供給すると共に他方の加熱ロールに接するように剥離フィルムを供給して一対の加熱ロール間を引き抜くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の粘着テープ又はシートの製造方法は上述の通りであるから、ホットメルト粘着剤溶融溶液が支持体フィルムと剥離フィルムにより巻き込まれてホットメルト粘着剤層が形成されホットメルト粘着テープ又はシートが製造でき、粘着剤層を透かしてみても粘着剤層の表面にもやもやが見えず表面性が優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明を図面を参照して説明する。図1は本発明のホットメルト粘着テープ又はシートの製造方法の一例を示す断面模式図である。
【0008】
図中1は、上側加熱ロール(コンマロール)11と下側加熱ロール(ガイドロール)12よりなる一対の加熱ロールであり、2は一対の加熱ロール1の上流側に設置されているホットメルト粘着剤溶融溶液溜装置である。一対の加熱ロール1とホットメルト粘着剤溶融溶液溜装置2によりホットメルト粘着剤溶融溶液溜部21が形成されてホットメルト粘着剤塗布装置が構成されている。ホットメルト粘着剤溶融溶液溜装置2はホットメルト粘着剤を加熱溶融するために加熱可能になされてもよいし、ホットメルト粘着剤溶融溶液溜部21にホットメルト粘着剤を加熱溶融するための加熱装置が内設されていてもよい。
【0009】
図中4は支持体フィルム供給ロール41に巻回されている支持体フィルムであり、上側加熱ロール(コンマロール)11に接するように供給される。即ち、支持体フィルム4は一面が上側加熱ロール(コンマロール)11に接し、他面がホットメルト粘着剤液溜部21内のホットメルト粘着剤溶融溶液3に接するように供給される。又、図中5は剥離フィルム供給ロール51に巻回されている剥離フィルムであり、下側加熱ロール(ガイドロール)12に接するように供給される。即ち、剥離フィルム5は一面が下側加熱ロール(ガイドロール)12に接し、他面がホットメルト粘着剤液溜部21内のホットメルト粘着剤溶融溶液3に接するように供給される
【0010】
上記ホットメルト粘着剤は、従来公知の任意のホットメルト粘着剤が使用でき、例えば、天然ゴム、SIS、SEBS等のゴム系ホットメルト粘着剤、アクリル系ホットメルト粘着剤、ウレタン系ホットメルト粘着剤、シリコン系ホットメルト粘着剤等が挙げられる。
【0011】
上記支持体フィルムは、従来から粘着テープを製造する際に一般に使用されている支持体フィルムであればよいが、ホットメルト粘着剤溶融溶液に接触した際に変形や老化しない耐熱性の支持体フィルムが好ましく、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、紙、不織布、布、アルミニウム箔等があげられる。
【0012】
上記剥離フィルムは、従来から粘着テープを製造する際に一般に使用されている剥離フィルムであればよいが、ホットメルト粘着剤溶融溶液に接触した際に変形や老化しない耐熱性の剥離フィルムが好ましく、例えば、一面にシリコン等の剥離剤層が設けられたクラフト紙、グラシン紙、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。
【0013】
ホットメルト粘着テープ又はシートを製造するには、先ず、ホットメルト粘着剤液溜部21内にホットメルト粘着剤溶融溶液3を供給する。尚、ホットメルト粘着剤液溜部21内にホットメルト粘着剤溶融溶液3を供給する方法としては、ホットメルト粘着剤溶融溶液をホットメルト粘着剤液溜部21内に供給してもよいし、溶融していないホットメルト粘着剤をホットメルト粘着剤液溜部21内に供給した後加熱して溶融してもよい。
【0014】
次に、支持体フィルム供給ロール41から支持体フィルム4を引出して上側加熱ロール(コンマロール)11に接するように供給すると共に剥離フィルム供給ロール51から剥離フィルム5を引出し下側加熱ロール(ガイドロール)12に接するように供給して、引取りロール8、8により引取る。尚、7、7は冷却ロールである。
【0015】
こうすることにより、ホットメルト粘着剤溶融溶液3は支持体フィルム4と剥離フィルム5によりその間に巻き込まれてホットメルト粘着剤層31が形成されホットメルト粘着テープ6が得られる。
【0016】
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜3)
ホットメルト粘着剤溶融溶液
スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体(クレイトンジャパン社製、商品名「クレイトンD1107」、スチレン含量30重量%)100重量部、流動パラフィン(ナカライテック社製、化学試薬)30重量部、水添ロジンエステル(荒川化学社製、商品名「KE−311」)120重量部及びベンゾイルヒドロキシトルエン0.5重量部をニーダーに投入し、140℃で溶融混練してホットメルト粘着剤溶融溶液を得た。
【0017】
粘着テープの製造
図1において、支持体フィルム4として表1に示した厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、剥離フィルム5として表面が剥離処理された厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した。得られたホットメルト粘着剤溶融溶液をホットメルト粘着剤溶融溶液溜部21に供給し、ホットメルト粘着剤溶融溶液溜装置2に設置された加熱装置で加熱して120℃に保持した。下側加熱ロール(ガイドロ−ル)12を110℃に設定し、上側加熱ロール(コンマロール)11を表1に示した所定温度に設定し、引取り速度1.5m/分で引取って粘着テープを得た。
【0018】
(比較例1〜4)
図2は比較例1〜4のホットメルト粘着テープの製造方法を示す断面模式図である。図1と同じものは同じ番号を付している。9は上側加熱ロール(コンマロール)11と冷却ロール7の間に設置されたガイドロールであり、支持体フィルム供給ロール41も上側加熱ロール(コンマロール)11と冷却ロール7の間に設置されている。上側加熱ロール(コンマロール)11と下側加熱ロール(ガイドロール)12により剥離フィルム5上に塗布されたホットメルト粘着剤層31に、支持体フィルム供給ロール41から引き出された支持体フィルム4をガイドロール9を介して積層するようになされている。
【0019】
図2において、支持体フィルム4として表1に示した厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、剥離フィルム5として表面が剥離処理された厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した。得られたホットメルト粘着剤溶融溶液をホットメルト粘着剤溶融溶液溜部21に供給し、ホットメルト粘着剤溶融溶液溜装置2に設置された加熱装置で加熱して120℃に保持した。下側加熱ロール(ガイドロ−ル)12を110℃に設定し、上側加熱ロール(コンマロール)11を表1に示した所定温度に設定し、剥離フィルム5上にホットメルト粘着剤層31を形成した後、その上に支持体フィルム4を積層し、引取り速度1.5m/分で引取って粘着テープを得た。
【0020】
得られた粘着テープの粘着剤層の表面を目視で観察し、表面状態及び縦筋の有無を表1に示した。尚、評価基準は以下の通りである。
表面状態
○ 滑らかな鏡面
× 粗面でざらざらしている
縦筋
〇 縦筋は全くない
△ わずかに縦筋がある
× 縦筋が多数ある
【0021】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】 本発明のホットメルト粘着テープ又はシートの製造方法の一例を示す断面模式図である。
【図2】 比較例のホットメルト粘着テープの製造方法を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0023】
1 一対の加熱ロール
11 上側加熱ロール(コンマロール)
12 下側加熱ロール(ガイドロ−ル)
2 ホットメルト粘着剤溶融溶液溜装置
21 ホットメルト粘着剤溶融溶液溜部
3 ホットメルト粘着剤溶融溶液
31 ホットメルト粘着剤層
4 支持体フィルム
5 剥離フィルム
6 ホットメルト粘着テープ
7 冷却ロール
8 引取りロール
9 ガイドロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の加熱ロールと、その上流側に設置されているホットメルト粘着剤溶融溶液溜装置によりホットメルト粘着剤溶融溶液溜部が形成されてなるホットメルト粘着剤塗布装置のホットメルト粘着剤溶融溶液溜部にホットメルト粘着剤溶融溶液を供給し、一対の加熱ロールの一方の加熱ロールに接するように支持体フィルムを供給すると共に他方の加熱ロールに接するように剥離フィルムを供給して一対の加熱ロール間を引き抜くことを特徴とするホットメルト粘着テープ又はシートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−24421(P2010−24421A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208229(P2008−208229)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(501296380)コスメディ製薬株式会社 (42)
【Fターム(参考)】