説明

ホットメルト組成物におけるポリオレフィンワックスの用途

【課題】 粘着性、凝集性、溶融粘度、温度安定性等に関する、ホットメルト組成物に対しての非常に色々な性能要求に適合し、同時に良好に調製でき且つ取り扱いできそして経済的な条件のもとで安価に製造できそして上述の欠点を有していないホットメルト組成物の提供。
【解決手段】 この課題は、アイソタクチックの低分子量で低粘度のホモポリマーまたはコポリマー ワックスとアタクチックのポリ−α−オレフィン(APAOs)との組合せ物によって解決される。この種類のホットメルト組成物はホットメルト接着剤として顕著な効果を示して使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は本願の優先権の基礎となる2005年11月18日に出願されたドイツ特許出願第102005055019.3に記載されており、その内容をここに全て記載したものとする。
【0002】
本発明は、アイソタクチックの低分子量で低粘度のホモポリマーまたはコポリマーワックスとアタクチックのポリ−α−オレフィン(=APAOs)をベースとするホットメルト組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ホットメルト組成物またはホットメルトは、室温で固体でありそして液状溶融状態で適当な固体表面に層状に適用され、そこで固化した後に種々の機能を発揮する熱可塑性物質である。その組成は好ましくは樹脂、ワックス、熱可塑性樹脂およびエラストマーを含んでおりそして場合によっては更に充填剤、顔料および添加物、例えば安定剤等の添加物を含有していてもよい。
【0004】
一例としてホットメルト組成物は接合のための溶剤不含接着剤として使用することができる。この種のホットメルト接着剤はその種々の長所のために衛生製品および介護製品を含めた製品の製造でおよび製紙、包装、家具、繊維製品、履物および建設の各工業において、慣用の溶剤系接着剤の、経済的でかつ環境に優しい代替物としてますます使用されている。
【0005】
ホットメルト組成物は横断歩道の“ゼブラ縞模様”、センターラインまたは境界線の様な視認できる交通標識(signal indications )または交通の流れを制御するための他の標識のために熱可塑性バインダーとして道路建設工事においても使用されている。ワックスの他に、この目的のために使用されるバインダーは追加的に熱可塑性合成樹脂、樹脂並びに可塑剤も含有していてもよい。道路マーキング用途のためには、これらバインダーは一般に砂または石灰の様な充填剤、二酸化チタンの様な顔料および光反射用添加物、例えばガラスビーズと混合される。
【0006】
代表的なホットメルト接着剤処方の成分は極性および非極性ポリマー、樹脂並びにワックスである。感圧ホットメルト接着剤の固化後に残る接着性で得られる接着強度は一方においては該接着剤と接着すべき基体との相互作用に依存し、即ち感圧ホットメルト接着剤と基体との間の接着力に依存しているが、更に接着力は感圧ホットメルト接着剤自身の凝集力(即ち内部強度)にも基づいている。
【0007】
感圧ホットメルト接着剤の極性および非極性ポリマーは骨格材料として役立つ。これらは接着剤の凝集を担当しそして同時に基体への接合に寄与する。樹脂の添加は接着性を向上させそして接着剤の種々の成分相互の相容性を助成し得る。ワックスは調整のために、ホットメルト接着剤組成物を規準として一般に10重量%より少ない割合で使用される。このものは接着剤の重要な物理的性質、例えば硬度、溶融粘度および軟化点を調整しそして開放時間、接着性、凝集性等の作用でその性能特性に重要な影響を及ぼす。しかし10重量%より多いワックス使用量の場合には、一般に性質の劣化、特にホットメルト接着剤の接合強度の低下をもたらすことがわかっている。
【0008】
ヨーロッパ特許出願公開第0,890,584号明細書には、メタロセン触媒によってホモポリマーワックスおよびプロピレン−コポリマーワックスの製法およびそれを、中でもホットメルト組成物において用いることが記載されている。このホットメルト組成物は実質的に三成分、即ちポリマー、接着成分(粘着剤)およびワックスを含有する。
【0009】
国際特許出願公開第2004/104128号明細書には、ポリオレフィンワックスとして0.1〜30重量%のエチレンおよび0.1〜50重量%の、炭素原子数4〜20の分岐したまたは直鎖状の1−アルケンを含有するプロピレン−コポリマーワックスを含有するホットメルト組成物が開示されている。
【0010】
米国特許第5,397,843号明細書には、高分子量のエチレン−α−オレフィンコポリマーおよび低分子量のアタクチックのポリ−α−オレフィン(APAOs)よりなるホットメルト組成物が開示されている。
【0011】
米国特許出願公開第2004/0115456号明細書および同第2004/0081795号明細書には、4〜50重量%のアイソタクチックなプロピレンコポリマーおよび20〜65重量%の接着成分(粘着剤)、例えば炭化水素樹脂、天然および変性樹脂、樹脂エステルおよび合成ポリテルペン類、および場合によってはアタクチックのポリ−α−オレフィン(APAOs)、可塑剤、ワックス、安定剤、充填剤および場合によっては第二ポリマー、例えばポリ(メタ)アクリレート等を含有するホットメルト組成物が開示されている。2つの米国特許出願公開明細書に記載されたホットメルト組成物の例は、1.5〜20重量%のエチレンまたは更に高級なα−オレフィンを有するアイソタクチックのプロピレンコポリマーを含有しており、このコポリマーは約170,000〜240,000g/モルの重量平均分子量Mおよび約60,000〜80,000g/モルの数平均分子量Mを有している。しかし高分子量オレフィンポリマーは合成樹脂様の高粘度乃至固体であり、接着性が非常に僅かである。米国特許出願公開第2004/0115456号明細書および同第2004/0081795号明細書に記載のホットメルト組成物はアイソタクチックのプロピレンコポリマーの他に20〜65重量%の粘着剤を含有している。この様に多量の粘着剤を用いることは、腐食、臭気をもたらし易くそしてホットメルト組成物を用いて提供される製品のリサイクル工程に悪影響を及ぼす。
【0012】
適する加工粘度、十分に良好な初期粘着性、凝集性、種々の材料表面に対しての接着性、低温および高温安定性はホットメルト組成物の用途上の重要な品質規準であるが、十分な程度の柔軟性もあり、特定の最終用途では長期間に亙って複合材料および接合部は張力荷重および延伸荷重を受け易い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、粘着性、凝集性、溶融粘度、温度安定性等に関する、ホットメルト組成物に対しての非常に色々な性能要求に適合し、良好に調製でき且つ取り扱いできそして経済的な条件のもとで安価に製造できそして上述の欠点を有していないホットメルト組成物を提供することである。
【0014】
全く驚くべきことに、本発明者はこの課題がアイソタクチックの低分子量で低粘度のホモポリマーまたはコポリマー ワックスとアタクチックのポリ−α−オレフィン(APAOs)との組合せ物によって解決されることを見出した。
【0015】
アタクチックのポリ−α−オレフィン(APAOs)とアイソタクチックの低分子量で低粘度のホモポリマーまたはコポリマー ワックスとの混合物は500〜10,000mPa.s、好ましくは1000〜5000mPa.sの範囲内の粘度を有し、表面に容易に適用できそして非常に良好な凝集性を発揮する。
【0016】
本発明は、
a)1〜99重量%の、モノマーのエチレンおよび/またはプロピレンおよび/または炭素原子数4〜20の直鎖状または分岐したより高級なα−オレフィンよりなる少なくとも1種類のアイソタクチックのホモポリマーおよび/またはコポリマーワックス;ただしこのコポリマーワックスまたはワックス類はコポリマーワックスまたはワックス類の総重量を規準として0.1〜30重量%の、1種類のモノマーに由来する構造単位および70〜99.9重量%の他のモノマーまたはモノマー類に由来する構造単位を含有しており、そして上記ホモポリマーおよびコポリマーワックスが40,000g/モルよりも小さいかまたは等しい重量平均分子量Mを有し、メタロセン触媒によって得られ、80〜165℃の滴り点または環球法での軟化点を有し、170℃の温度で測定して20〜40,000mPa.sの溶融粘度を有しそして−20℃より高くないガラス転移温度Tを有する;および
b)1〜99重量%の1種類以上の非晶質でアタクチックのポリ−α−オレフィン(APAOs)
を含有するホットメルト組成物に関する。
【0017】
本発明は好ましくは、
a)モノマーのエチレンおよび/またはプロピレンよりなる1種類以上のアイソタクチックのホモポリマーおよび/またはコポリマーワックスを含有し、ただしこのコポリマーワックスは該コポリマーワックスの総重量を規準として0.1〜30重量%の、1種類のモノマーに由来する構造単位および70〜99.9重量%の他のモノマーに由来する構造単位を含有している、
ホットメルト組成物に関する。
【0018】
本発明に従う更に有利なホットメルト組成物は、
a)1種類以上のアイソタクチックのプロピレンホモポリマーワックスおよび/またはプロピレンコポリマーワックスを含有し、ただしこのプロピレンコポリマーはエチレンに由来する構造単位0.1〜30重量%およびプロピレンに由来する構造単位70〜99.9重量%を含有する。
【0019】
本発明の別の有利な一つの実施態様においては、ホットメルト組成物中に存在するポリオレフィンワックスはエチレンおよび炭素原子数3〜20の少なくとも1種類の分岐したまたは直鎖状の1−アルケンのコポリマーワックスであり、その際にコポリマーワックス中の、炭素原子数3〜20の分岐したまたは直鎖状の1−アルケンからの構造単位の含有量は0.1〜30重量%の範囲内にある。
【0020】
本発明の別の一つの有利な実施態様において、ホットメルト組成物中に存在するポリオレフィンワックスは、プロピレンと、エチレンおよび炭素原子数4〜20の分岐したまたは直鎖状の1−アルケンから選択される1種類以上の別のモノマーとのコポリマーワックスであり、該コポリマーワックスのエチレン含有量が0.1〜30重量%の範囲内にありそしてコポリマーワックス中の炭素原子数4〜20の分岐したまたは直鎖状の1−アルケンからの構造単位の量が0.1〜50重量%である。
【0021】
別の有利な本発明のホットメルト組成物は、500〜20,000g/モル、好ましくは800〜10,000g/モル、特に好ましくは1000〜5000g/モルの数平均分子量Mおよび1000〜40,000g/モル、好ましくは1600〜30,000g/モル、特に好ましくは2000〜25,000g/モルの重量平均分子量Mを有するホモポリマーおよび/またはコポリマーワックスを含有する。
【0022】
ホットメルト組成物中で本発明に従って使用されるアタクチックのポリ−α−オレフィン(APAOs)は専ら非晶質であり、DSC(示差熱量測定)によって測定して30%より少ない結晶化度を有している。使用されるAPAOsはプロピレンのホモポリマーまたはプロピレンと1種類以上のα−オレフィン、例えばエチレン、1−ブテン、1−プロペン、1−ヘキセン、1−ヘプテンおよび1−オクテンとのコポリマーでもよい。使用されるAPAOsの重量平均分子量Mwは4000〜150,000g/モル、好ましくは10,000〜100,000g/モルの範囲内にある。軟化点は80〜170℃であり、ガラス転移温度Tgは−5〜−40℃である。
【0023】
APAOsの内ではプロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンコポリマー、プロピレン−1−ブテンコポリマー、およびプロピレン−エチレン−1−ブテンターポリマーが有利である。APAOポリマーは、(R)Eastoflex (製造元:Eastman Chemical Company)、(R)Rextac (製造元:Huntsman Corporation)または(R)Vestoplast (製造元:Degussa Corporation)の登録商標の名称で入手できる。
【0024】
有利な一つの実施態様において、本発明のホットメルト組成物は、
a)1〜98重量%、好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは10〜70重量%、なかでも20〜60重量%の1種類以上のアイソタクチックの上記ホモポリマーおよび/またはコポリマーワックス;および
b)1〜98重量%、好ましくは10〜80重量%、特に好ましくは20〜70重量%、なかでも30〜60重量%の1種類以上の非晶質のアタクチックのポリ−α−オレフィン(APAOs)よりなる。
【0025】
更に別の一つの有利な実施態様において、本発明のホットメルト組成物は、
a)1〜98重量%、好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは10〜70重量%、なかでも20〜60重量%の、モノマーのエチレンおよび/またはプロピレンおよび/または炭素原子数4〜20の直鎖状または分岐したより高級なα−オレフィンよりなる少なくとも1種類のアイソタクチックのホモポリマーおよび/またはコポリマーワックス;ただしこのコポリマーワックスまたはワックス類はコポリマーワックスの総重量を規準として0.1〜30重量%の、1種類のモノマーに由来する構造単位および70〜99.9重量%の直鎖状のまたは分岐したモノマーまたはモノマー類に由来する構造単位を含有している。
【0026】
別の一つの有利な実施態様において、本発明のホットメルト組成物は0.1〜35重量%、好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは10〜20重量%、特に好ましくは12〜18重量%の樹脂を追加的に含有している。
【0027】
使用できる樹脂はASTM法E28−58Tによって測定した10〜160℃の軟化点を持つ脂肪族および脂環式炭化水素である。これらは脂肪族および/または脂環式モノマーを重合することによって製造することができる。同様に適するのは水素化脂肪族および脂環式炭化水素である。
【0028】
本発明のホットメルト組成物は更にポリオレフィンポリマー、ワックス、可塑剤、極性または非極性ポリマー、顔料、充填剤、安定剤および/または酸化防止剤を含有していてもよい。
【0029】
本発明に従って使用されるポリオレフィンワックスは式(I)のメタロセン化合物を用いて製造される。
【0030】
【化1】

この式は下記式(Ia)〜(Ic)の化合物も包含する:
【0031】
【化2】

【0032】
【化3】

【0033】
【化4】

式(I)、(Ia)、(Ib)および(Ic)中、 Mは周期律表 IVb、Vb または VIbの金属、例えばチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンおよびタングステン、好ましくはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムである。
【0034】
R1 およびR2 は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、C1-C10、好ましくは C1-C3 アルキル基、特にメチル、C1-C10、好ましくはC1-C3 アルコキシ基、 C6-C10、 好ましくはC6-C8アリール基、C6-C10、好ましくはC6-C8 アリールオキシ基、C2-C10、 好ましくはC2-C4アルケニル基、C7-C40、好ましくは C7-C10アリールアルキル基、C7-C40、好ましくはC7-C12 アルキルアリール基、C8-C40、好ましくは C8-C12 アリールアルケニル基、またはハロゲン原子、好ましくは塩素原子を意味する。
【0035】
R3 およびR4 は互いに同一でも異なっていてもよく、中心原子M1 と一緒になってサンドイッチ構造を形成してもよい単核または多核炭化水素の残基でもよい。R3および R4はシクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、ベンゾインデニルまたはフルオレニルであり、その際にこれらは類似構造であるために追加的な置換基を有していてもまたは互いに橋架けされていてもよい。また残基 R3および R4の一つは置換された窒素原子でもよく、その際に R24 はR17 の意味を有し、好ましくはメチル、第三ブチルまたはシクロヘキシルである。
【0036】
R5、 R6、 R7、R8、R9 およびR10 は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、好ましくは弗素原子、塩素原子または臭素原子、C1-C10、好ましくは C1-C4 アルキル基、C6-C10、好ましくは C6-C8 アリール基、C1-C10、好ましくは C1-C3 アルコキシ基、残基 -NR162-、 -SR16-、 -OSiR163-、 -SiR163- または -PR162-であり、その際にR16 はC1-C10、好ましくは C1-C3 アルキル基またはC6-C10、好ましくは C6-C8 アリール基等であり、Si またはPを含有する残基の場合にはハロゲン原子、好ましくは塩素原子であり、またはR5、 R6、 R7、R8、R9 およびR10 の隣り合う対はそれらに結合する炭素原子と環を形成してもよい。特に有利なリガンドは類似構造のシクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、ベンゾインデニル またはフルオレニルの置換化合物である。
【0037】
R13 は式
【0038】
【化5】

=BR17、 =AlR17、-Ge-、 -Sn-、-O-、-S-、=SO、=SO2、=NR17、 =CO、=PR17 または=P(O)R17であり、その際に R17、 R18および R19 は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、好ましくは弗素原子、塩素原子または臭素原子、C1-C30、好ましくは C1-C4 アルキル、特に好ましくは メチル基、 C1-C10 フルオロアルキル、好ましくは CF3基、C6-C10フルオロアリール、好ましくは ペンタフルオロフェニル基、 C6-C10、好ましくは C6-C8 アリール基、C1-C10、好ましくは C1-C4 アルコキシ、特に好ましくはメトキシ基、C2-C10、好ましくは C2-C4アルケニル基、 C7-C40、好ましくは C7-C10 アルアルキル基、C8-C40、好ましくは C8-C12 アリールアルケニル基または C7-C40、好ましくは C7-C12 アルキルアリール基であり、または R17 とR18、 またはR17とR19は互いにそれらが結合する原子と一緒に環を形成してもよい。
【0039】
M2 は珪素、ゲルマニウムまたは錫、好ましくは珪素およびゲルマニウムである。
【0040】
R13は好ましくは=CR17R18、=SiR17R18、=GeR17R18、-O-、 -S-、 =SO、=PR17 または=P(O)R17である。
【0041】
R11およびR12は互いに同一でも異なっていてもよく、R17について規定した意味を有する。 m および n は互いに同一でも異なっていてもよく、0、1または2、好ましくは0または1を意味し、その際にm+nは0、1または2、好ましくは0または1である。
【0042】
R14およびR15はR17 および R18について規定した意味を有する。
【0043】
適するメタロセンの例には以下のものがある:
ビス(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビス(1−メチルインデニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビス(1−n−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビス(2−メチルインデニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビス(4−メチルインデニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビス(5−メチルインデニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビス(アルキルシクロペンタジエニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビス(アルキルインデニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビス(インデニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビス(オクタデシルシクロペンタジエニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ビスシクロペンタジエニル−ジルコニウム−ジベンジル,
ビスシクロペンタジエニル−ジルコニウム−ジメチル,
ビステトラヒドロインデニル−ジルコニウム−ジクロライド,
ジメチルシリル−9−フルオレニルシクロペンタジエニル−ジルコニウム−ジクロライド,
ジメチルシリルビス−1−(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ジメチルシリルビス−1−(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ジメチルシリルビス−1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ジメチルシリルビス−1−(2−メチル−4−エチルインデニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ジメチルシリルビス−1−(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ジメチルシリルビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ジメチルシリルビス−1−(2−メチルインデニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ジメチルシリルビス−1−(2−メチルテトラヒドロインデニル)ジルコニウム−ジクロライド,
ジメチルシリルビス−1−インデニルジルコニウム−ジクロライド,
ジメチルシリルビス−1−インデニルジルコニウム−ジメチル,
ジメチルシリルビス−1−テトラヒドロインデニルジルコニウム−ジクロライド,
ジフェニルメチレン−9−フルオレニルシクロペンタジエニル−ジルコニウム−ジクロライド,
ジフェニルシリルビス−1−インデニルジルコニウム−ジクロライド,
エチレンビス−1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウム−ジクロライド,
エチレンビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウム−ジクロライド,
エチレンビス−1−(2−メチルテトラヒドロインデニル)ジルコニウム−ジクロライド,
エチレンビス−1−(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウム−ジクロライド,
エチレンビス−1−インデニルジルコニウム−ジクロライド,
エチレンビス−1−テトラヒドロインデニルジルコニウム−ジクロライド,
インデニルシクロペンタジエニルジルコニウム−ジクロライド
イソプロピリデン(1−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウム−ジクロライド,
イソプロピリデン(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウム−ジクロライド,
フェニルメチルシリルビス−1−(2−メチルインデニル)ジルコニウム−ジクロライド,
およびこれらのメタロセンジクロライドのアルキルまたはアリール誘導体。
【0044】
この単一中心触媒系は適当な助触媒を用いて活性化される。式(I)のメタロセンのための適する助触媒は有機アルミニウム化合物、特にアルミノキサン、またはアルミニウム不含の系、例えばR20xNH4-xBR214、 R20xPH4-xBR214、R203CBR214またはBR213である。 これらの式中xは1〜4の数であり、残基 R20 は互いに同一でも異なっていてもよく、好ましくは同一であり、C1-C10アルキルまたは C6-C18アリールであるかまたは二つの残基 R20はそれらに結合する原子と一緒に環を形成してもよくそして残基 R21 は互いに同一でも異なっていてもよく、好ましくは同一であり、そしてアルキル、ハロアルキルまたは弗素によって置換されていてもよいC6-C18アリールである。特に R20 はエチレン、プロピレン、ブチレンまたはフェニルであるのが好ましくそして R21はフェニル、ペンタフルオロフェニル、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル、メシチル、キシリルまたはトリルであるのが好ましい。
【0045】
更に、極性の触媒毒に対しての保護を持続するために第三成分がしばしば必要である。この目的には有機アルミニウム化合物、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン等およびそれらの混合物も適している。
【0046】
方法次第で、単一中心の担持触媒も使用してもよい。担体および助触媒の残量が生成物中に100ppmの濃度を超さない触媒系が有利である。
【0047】
本発明は更にホットメルト組成物をホットメルト接着剤として使用することにも関する。
【0048】
他の可能な成分には、樹脂、ワックス、および非極性または極性のポリマー、例えばエチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリアクリレート類、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリカーボネート類、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリオレフィンおよびゴム系ポリマー、例えばニトリルまたはスチレン/ブタジエンゴムがある。
【0049】
ポリイソブチレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックポリマーまたはスチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー、および特に強力ボンド類、ポリアミド類またはポリエステル類。存在していてもよい樹脂成分の例にはロジンおよびそれの誘導体または炭化水素樹脂があるが、他方、可能なワックスには炭化水素ワックス、例えばフィッシャートロプシュ法パラフィン、およびポリオレフィンワックスはメタロセン触媒を用いて製造できず、その際に上記ワックスは非極性または極性変性に、例えば酸化または極性モノマー、例えば無水マレイン酸でグラフト化によって付すことも可能である。ホットメルト接着剤組成物は更に充填剤または助剤、例えば可塑剤、顔料および安定剤、例えば酸化防止剤または光安定剤も含有していてもよい。
【0050】
以下の実施例によって本発明を当業者に更に詳細に説明するが、これらに本発明を限定するものではない。
【0051】
以下の実施例においてDIN 53019に従う溶融粘度は回転式粘度計を用いて測定し、滴り点はDIN 51801/2に従い、環球式軟化点はDIN EN1427に従い測定する。重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、および結果としての商Mw/Mnは1,2−ジクロロベンゼン中で135℃でのゲルパーミッションクロマトグラフィーによって測定した。
【0052】
実施例:
表1に掲載した本発明に従って使用したメタロセン−ポリオレフィンワックス3および6は触媒としてのメタロセンのジメチルシリルビスインデニルジルコニウム−ジクロライドの存在下にプロピレンを重合またはプロピレンとエチレンとを共重合してヨーロッパ特許出願公開第0,384,264号明細書に記載の方法に従って製造した(実施例1〜16参照)。種々の軟化点および粘度はエチレン供給量および種々の重合温度を変えて調整した。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

性能結果:
【0055】
【表3】

表3に挙げたホットメルト接着剤組成物は表1に示したコポリマーワックス3および6およびVestoplast 703 (製造元:Degussa)の登録商標で入手できるアタクチックのα−オレフィン(APAOs)から製造した。その際の混合割合はAPAOおよびホモポリマーまたはコポリマーワックスについて表3に示す。個々の成分を一緒に溶融しそして1時間の間に180℃で攪拌した。
【0056】
170℃でのホットメルト組成物の溶融粘度はDIN53019に従って回転式粘度計を用いて測定し、凝集性はDIN 53455に従って、注型成形しそしてその機械的安定性を引張り試験で試験することによって測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1〜99重量%の、モノマーのエチレンおよび/またはプロピレンおよび/または炭素原子数4〜20の直鎖状または分岐したより高級なα−オレフィンよりなる少なくとも1種類のアイソタクチックのホモポリマーおよび/またはコポリマーワックス;ただしこのコポリマーワックスまたはワックス類は該コポリマーワックスまたはワックス類の総重量を規準として0.1〜30重量%の、1種類のモノマーに由来する構造単位および70〜99.9重量%の他のモノマーまたはモノマー類に由来する構造単位を含有しており、そして上記ホモポリマーおよびコポリマーワックスが40,000g/モルよりも小さいかまたは等しい重量平均分子量Mを有しそしてメタロセン触媒によって得られ、80〜165℃の滴り点または環球法での軟化点を有し、170℃の温度で測定して20〜40,000mPa.sの溶融粘度を有しそして−20℃より高くないガラス転移温度Tを有する;および
b)1〜99重量%の1種類以上の非晶質でアタクチックのポリ−α−オレフィン(APAOs)
よりなるホットメルト組成物。
【請求項2】
a)1種類以上のアイソタクチックのプロピレンホモポリマーワックスおよび/またはプロピレンコポリマーワックを含有し、その際にこのプロピレンコポリマーワックスは該コポリマーワックスの総重量を規準としてエチレンに由来する構造単位0.1〜30重量%およびプロピレンに由来する構造単位70〜99.9重量%を含有する、請求項1に記載のホットメルト組成物。
【請求項3】
ポリオレフィンワックスとしてエチレンおよび炭素原子数3〜20の直鎖状または分岐した少なくとも1種類の1−アルケンよりなるコポリマーワックスを含有し、その際にコポリマーワックス中の炭素原子数3〜20の1種類以上の分岐したまたは直鎖状の1−アルケンからの構造単位の量が0.1〜30重量%の範囲内にある、
請求項1または2に記載のホットメルト組成物。
【請求項4】
ポリオレフィンワックスとして、プロピレンと、エチレンおよび炭素原子数4〜20の分岐したまたは直鎖状の1−アルケンから選択される1種類以上の別のモノマーとのコポリマーワックスを含有し、該コポリマーワックスのエチレン含有量が0.1〜30重量%の範囲内にありそしてコポリマーワックス中の炭素原子数4〜20の分岐したまたは直鎖状の1−アルケンからの構造単位の量が0.1〜50重量%の範囲内にある、請求項1〜3のいずれか一つに記載のホットメルト組成物。
【請求項5】
ホモポリマーおよび/またはコポリマーワックスが500〜20,000g/モル、好ましくは800〜10,000g/モル、特に好ましくは1000〜5000g/モルの数平均分子量Mおよび1000〜40,000g/モル、好ましくは1600〜30,000g/モル、特に好ましくは2000〜25,000g/モルの重量平均分子量Mを有する、請求項1〜4のいずれか一つに記載のホットメルト組成物。
【請求項6】
使用されるアタクチックのポリ−α−オレフィン(APAOs)が専ら非晶質であり、そしてDSC(示差熱量測定)によって測定して30%より少ない結晶化度を有している,請求項1〜5のいずれか一つに記載のホットメルト組成物。
【請求項7】
使用されるAPAOsはプロピレンのホモポリマーまたはプロピレンと1種類以上のα−オレフィン、例えばエチレン、1−ブテン、1−プロペン、1−ヘキセン、1−ヘプテンおよび1−オクテンとのコポリマーである、請求項6に記載のホットメルト組成物。
【請求項8】
使用されるAPAOsの重量平均分子量Mwが4000〜150,000g/モル、好ましくは10,000〜100,000g/モルの範囲内にあり、そして軟化点が80〜170℃であり、ガラス転移温度Tは−5〜−40℃である、請求項1〜7のいずれか一つに記載のホットメルト組成物。
【請求項9】
a)1〜98重量%の範囲内の量の1種類以上のアイソタクチックの上記ホモポリマーおよび/またはコポリマーワックス;および
b)1〜98重量%の範囲内の量の1種類以上の非晶質のアタクチックのポリ− α−オレフィン(APAOs)
よりなる、請求項1〜8のいずれか一つに記載のホットメルト組成物。
【請求項10】
追加的に0.1〜35重量%の量の樹脂を含有する、請求項1〜9のいずれか一つに記載のホットメルト組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一つに記載のホットメルト組成物をホットメルト接着剤として用いる方法。

【公開番号】特開2007−138173(P2007−138173A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310878(P2006−310878)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(597109656)クラリアント・プロドゥクテ・(ドイチュラント)・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (115)
【Fターム(参考)】