説明

ホルボールエステルを含む組成物及びその使用法

細胞変性疾病の治療におけるホルボールエステルを含む組成物及びその使用法を提供する。細胞変性疾病はHIVやAIDS等のウイルス感染、または哺乳類被験体における腫瘍形成等多様な原因で引き起こされ、本発明の使用法及び組成物は新たなHIV感染の阻害、潜伏プロウイルスからのウイルス発現促進、HIV誘導細胞変性阻害、HIV受容体の下方制御、Th1サイトカイン発現の増加、Th2サイトカイン発現の減少、ERKリン酸化の増加、悪性細胞のアポトーシス誘導、寛解誘導、寛解維持、化学治療剤として、及び細胞変性疾病とそれら疾病に付随する日和見感染の症状の緩和に有効である。さらにホルボールエステルまたは誘導体化合物をHAARTプロトコルで使用する薬剤やHIVの日和見感染治療に用いる治療薬、または哺乳類被験体の細胞変性疾病に対し効果的な治療ツールを得るための化学治療剤等の少なくとも1つの薬剤と組み合わされたさらなる組成物及び方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞変性疾病に関し、特に、細胞変性症状及びそのような細胞変性症状を引き起こす疾病の治療のためのホルボールエステルを含む組成物及びその使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホルボールは植物由来の天然有機化合物でチグリアン型のジテルペンの一種である。東南アジアに生息するトウダイグサ科の常緑低木ハズの種から取得したハズ油の加水分解生成物として1934年に初めて単離された。ホルボールのさまざまなエステルには、ジアシルグリセロールのミミックとしての作用や蛋白質キナーゼC(PKC)の活性化、ミトーゲン活性化蛋白質キナーゼ(MAPK)経路を含む下流細胞シグナル伝達経路の調整を含む重要な生物学的特性があることが報告されている。ホルボールエステルはさらにキメリン、Ras活性化因子RasGRP、小胞プライミング蛋白質Munc‐13に結合することが知られている(非特許文献1)。また一部のホルボールエステルは核内因子κB(NF‐κB)を誘導する。ホルボールエステルの最も重要な生理学的性質は、発癌プロモーターとして作用する能力である。
【0003】
12‐O‐テトラデカノイルホルボール‐13‐アセタート(TPA)、別名ホルボール12‐ミリステート‐13‐アセタート(PMA)は、複数の細胞株と初代細胞における分化及び(または)アポトーシスの誘導因子として発癌モデルで使用されるホルボールエステルである。また、TPAは骨髄の機能が化学療法によって抑制された患者において白血球及び好中球の循環の増加を引き起こすこと(非特許文献2)、そしてMT‐4細胞に対するHIV細胞変性効果の抑制(非特許文献3)が報告されている。しかしながら、皮膚に触れたときの苛性化と、潜在的毒性に対する懸念などを含むさまざまな要因のため、TPAはHIVまたはAIDSの治療、管理、抑制のための効果的なツールとして提示されていない。
【0004】
さまざまな形態の腫瘍性疾患及びHIVやAIDS等のウイルス性疾患などの細胞変性疾病に対する現行の治療法は、効力不足や耐え難い副作用など数々の難点があり、多くの患者において毒性のある副作用が患者の生活の質を低下させるため、薬剤の服用を止めてしまう人もいる。また、治療のスケジュールが複雑かつ不便であり、従うことが難しい場合もある。中には、最初はよい結果を得ることができたのに、治療計画に完全に従ったにも関わらず再発に苦しむ人もいる。
【0005】
治療の失敗はほとんどのHIV患者において、HIVの薬剤耐性株の出現に起因する。薬剤の効力不足による不完全なウイルス抑制や投薬レジメンが複雑なために従うことができないこと、そしてその他の要因がこの問題に影響している。また、HIV感染の長い臨床的潜伏期間中に、休眠状態のメモリーCD4 T細胞のサブセットが、組み込まれているが転写されていないプロウイルスに隠れ場所を提供する。この宿主がレトロウイルス療法から潜伏HIVを保護して感染患者内のHIV撲滅に対する実質的な障壁を形成してしまう。
【0006】
癌治療は一般に外科手術、化学療法、ホルモン療法及び(または)放射線治療の組み合わせを用い、患者の体内の腫瘍細胞を撲滅する。しかしながら、これらのアプローチにはすべて重大な難点があり、感染症を起こしやすくなるなどのリスクが高まる。例えば外科手術は患者の健康状態によって禁忌となる場合がある。また、腫瘍周囲に正常組織を確保するのが困難である結果、腫瘍性組織の一部が残り、疾病の再発可能性が高まることもある。現行のほぼすべての化学療法剤は毒性があり、化学療法はひどい吐き気や骨髄抑制、免疫抑制を含む重大な副作用を引き起こす。また、癌細胞を特異的に標的化することはできないため、癌細胞と共に健康な細胞も殺してしまう。加えて、現行の治療法に耐性がある再発性/難治性腫瘍も頻繁に生じる。
【0007】
腫瘍性疾患及びHIVやAIDSなどのウイルス感染によって引き起こされたものを含む細胞変性疾患に苦しむ人々に、新規かつより効果的な治療を提供する必要があることは明白である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Brose N、Rosenmund C.、JCell Sci;l15:4399‐11(2002)
【非特許文献2】Han Z. T. et al.Proc. Natl. Acad. Sci. 95、5363―5365(1998)
【非特許文献3】Mekkawy S. et al.Phytochemistry 53、47−464(2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、細胞変性疾病の治療におけるホルボールエステルを含む組成物及びその使用法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例において、ホルボールエステル及びホルボールエステルの誘導体がHIV及びAIDS等関連疾患など細胞変性疾病の治療に用いられる。本発明の組成物及びその使用法は、HIV及びAIDS等の関連疾患の治療を任意の可能な手段により達成することができる。一部の実施例において、本発明の組成物及びその使用法は、哺乳類被験体におけるHIV受容体の活性を変化させることができる。別の実施例において、本発明の組成物及びその使用法はHIV感染被験体におけるHIV潜伏宿主の数を減少させることができる。さらに別の実施例において、潜伏プロウイルス細胞におけるHIV活性を増進することができる。さらに別の実施例において、HIV細胞変性効果を阻害することができる。
【0011】
別の実施例において、ホルボールエステル及びホルボールエステル誘導体を含む組成物は、哺乳類被験体におけるHIV及びAIDSの症状の治療及び管理に用いることができる。本発明の組成物及びその使用法を用いた治療及び管理の標的とする症状は、口腔病変、倦怠感、皮膚カンジダ症、発熱、食欲不振、下痢、アフタ性潰瘍、吸収不全、血小板減少症、体重減少、貧血、リンパ節腫脹などの症状、そしてトリ型結核菌複合体、サルモネラ症、梅毒、神経梅毒、結核症(TB)、細菌性血管腫症、アスペルギルス症、カンジダ症、コクシジオイデス症、リステリア症、骨盤感染症、バーキットリンパ腫、クリプトコックス髄膜炎、ヒストプラスマ症、カポジ肉腫、リンパ腫、全身性非ホジキンリンパ腫(NHL)、中枢神経原発リンパ腫、クリプトスポリジウム症、イソスポーラ症、微胞子虫症、カリニ肺炎(PCP)、トキソプラズマ症、サイトメガロウイルス(CMV)、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、ヒトパピローマウイルス(HPV、尖圭コンジローム、子宮頸癌)、伝染性軟属腫、口腔毛状白板症(OHL)、進行性巣性白質脳症(PML)などの二次的症状に対する感受性及びそれらの重症度を含むが、それらに限らない。
【0012】
別の実施例において、ホルボールエステル及びホルボールエステルの誘導体を含む組成物は、腫瘍性疾患などの細胞変性症状の治療に用いることができる。前述の腫瘍は悪性または良性であってもよい。一部の実施例において、腫瘍は固形癌または非固形癌であってもよい。別の実施例において、腫瘍は再発性であってもよい。さらに別の実施例において、腫瘍は難治性であってもよい。典型的腫瘍には、血液悪性腫瘍/骨髄障害;急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄性白血病急性転化、骨髄異形成、骨髄増殖性症候群を含むがこれらに限らない白血病;ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫;皮下腺癌(subcutaneous adenocarcinoma);卵巣テラトーマ;前立腺癌が含まれるがそれらに限らない。本発明の使用法及び組成物を用いた治療に適するその他の腫瘍性症状は、さまざまな種類の固形腫瘍を含むその他の癌疾患及び症状を含み、治療の成功及び(または)寛解は、固形腫瘍の縮小の判定及び(または)成長、段階、転移状態または可能性を評価する組織病理学的試験、組織学的癌マーカーの存在または発現量等、従来の方法で判定される。
【0013】
本発明の組成物及びその使用法はさらに、貧血;慢性疲労;鼻や歯茎、皮下の出血など過度または容易な出血;打ち身(特に明らかな原因のないもの);息切れ;点状出血;回帰熱;歯茎の腫れ;治りが遅い切り傷;骨と関節の不快感;反復性感染;体重減少;かゆみ;寝汗;リンパ節腫脹;発熱;腹痛と腹部の不快感;視覚障害;咳;食欲不振;胸の痛み;嚥下困難;顔と首、上肢の腫れ;頻尿(特に夜間);排尿開始時の障害または失禁;尿の流れが弱いまたは止まったり出たりする;排尿時の痛みまたは灼熱感;勃起障害;射精時の疼痛;血尿または精液中の出血;背部下方、腰、大腿上部の頻繁な痛みまたはコリ、及び虚弱を含むがそれらに限らない、腫瘍性疾患の症状の治療に用いることができる。
【0014】
さらに別の実施例において、ホルボールエステル及びホルボールエステルの誘導体は、細胞シグナル伝達経路の調節に用いることができる。前述の調節は多様な結果をもたらすことができ、例えば、一部の実施例において、ホルボールエステル及びホルボールエステルの誘導体を含む組成物の使用は、哺乳類被験体体内の白血球数を増加させることができる。別の実施例において、ホルボールエステル及び(または)ホルボールエステル誘導体を含む組成物は、哺乳類被験体体内のTh1サイトカインの放出を変化させることができる。また別の実施例において、ホルボールエステル及び(または)ホルボールエステル誘導体を含む組成物は、哺乳類被験体体内のインターロイキン2(IL−2)の放出を変化させることができる。さらに別の実施例において、ホルボールエステル及び(または)ホルボールエステル誘導体を含む組成物は、哺乳類被験体体内のインターフェロンの放出を変化させることができる。さらに別の実施例において、ホルボールエステル及び(または)ホルボールエステル誘導体を含む組成物は、ERKリン酸化の速度を変化させることができる。
【0015】
本発明は、次の一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体を含む組成物を用い、細胞シグナル伝達経路の調節及び(または)細胞変性疾病と細胞変性疾病の症状または疾患の治療のため、新規かつ効果的な方法及び組成物を提供することにより、前述を成し遂げ、かつその他の目的及び利点を達成する。
【0016】
【化1】

ここで、R及びRは水素;
【0017】
【化2】

(ただしアルキル基の炭素原子数は1〜15である);
【0018】
【化3】

及びそれらの置換誘導体であり得、かつ、Rは水素または
【0019】
【化4】

及びその置換誘導体であり得る。
【0020】
別の実施例において、R及びRの少なくとも1つを水素以外とし、Rを水素または
【0021】
【化5】

及びその置換誘導体とする。また別の実施例において、R及びRのいずれかを
【0022】
【化6】

とし、かつ他方のRまたはR
【0023】
【化7】

とし、Rを水素とする。
【0024】
本発明において、一般式中のアルキル基、アルケニル基、フェニル基、ベンジル基は非置換のものでもよく、またはハロゲン(好ましくは塩素、フッ素、臭素)、ニトロ基、アミノ基及び(または)類似のラジカル種で置換されてもよい。
【0025】
さらに別の実施例において、本発明は次の一般式(II)の12‐O‐テトラデカノイルホルボール‐13‐アセタート(TPA)のような例示的ホルボールエステル組成物を用い、細胞シグナル伝達経路の調節及び(または)細胞変性疾病または細胞変性疾病に関連する症状の治療のため、新規かつ顕著に効果的な方法及び組成物を提供することにより、これらの目的を達成し、かつその他の目的及び利点も充足される。
【0026】
【化8】

本発明の処方及び使用法の範囲内で有用なホルボールエステル及び関連組成物と誘導体は、前記組成物のその他の薬学的に許容される活性塩、及び活性異性体、鏡像体、多形体、グリコシル化誘導体、溶媒和化合物、水和物及び(または)前記組成物のプロドラッグを含むが、それらに限らない。本発明の組成物及びその使用法の範囲内での使用のためのホルボールエステルの例示的形態は、ホルボール13‐ブチレート;ホルボール12‐デカノエート;ホルボール13‐デカノエート;ホルボール12,13‐ジアセタート;ホルボール13,20‐ジアセタート;ホルボール12,13‐ジベンゾアート;ホルボール12,13‐ジブチレート;ホルボール12,13‐ジデカノエート;ホルボール12,13‐ジヘキサノエート;ホルボール12,13‐ジプロピオネート;ホルボール12‐ミリステート;ホルボール13‐ミリステート;ホルボール12‐ミリステート‐13‐アセタート(TPAまたはPMAとも呼ばれる);ホルボール12,13,20‐トリアセタート;12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート;12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート20‐アセタート;12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート;12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート20‐アセタート;12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート;12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート20‐アセタート;12‐デオキシホルボール13‐テトラデカノエート;ホルボール12‐チグリエート13‐デカノエート;12‐デオキシホルボール13‐アセタート;ホルボール12‐アセタート;ホルボール13‐アセタートを含むが、それらに限らない。
【0027】
例示的実施例において、本発明の組成物及びその使用法は、HIV及びAIDSの症状または日和見感染などのHIV及びAIDSに関連するその他の疾病及び疾患、及び腫瘍性疾患の症状または腫瘍性疾患に関連するその他の疾病及び疾患を含むが、それらに限らない、細胞変性疾病の症状を治療及び(または)抑制するために一般式(I)のホルボールエステル化合物を用いる。
【0028】
本発明の使用法に従い、一般式(I)のホルボールエステル、特にTPAを用いて治療可能な哺乳類被験体は、HIV及びAIDSの被験体、及び口腔病変、倦怠感、皮膚カンジダ症、発熱、食欲不振、下痢、アフタ性潰瘍、吸収不全、血小板減少症、体重減少、貧血、リンパ節腫脹などの症状、そしてトリ型結核菌複合体、サルモネラ症、梅毒、神経梅毒、結核症(TB)、細菌性血管腫症、アスペルギルス症、カンジダ症、コクシジオイデス症、リステリア症、骨盤感染症、バーキットリンパ腫、クリプトコックス髄膜炎、ヒストプラスマ症、カポジ肉腫、リンパ腫、全身性非ホジキンリンパ腫(NHL)、中枢神経原発リンパ腫、クリプトスポリジウム症、イソスポーラ症、微胞子虫症、カリニ肺炎(PCP)、トキソプラズマ症、サイトメガロウイルス(CMV)、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、ヒトパピローマウイルス(HPV、尖圭コンジローム、子宮頸癌)、伝染性軟属腫、口腔毛状白板症(OHL)、進行性巣性白質脳症(PML)などのHIV及びAIDSに関連する症状、二次疾患または日和見疾患の被験体を含むが、それらに限らない。
【0029】
本発明の使用法に従い、一般式(I)のホルボールエステル、特にTPAを用いて治療可能な哺乳類被験体はさらに、固形癌及び非固形癌など悪性腫瘍性疾患を含む腫瘍性疾患に苦しむ被験体を含むが、それらに限らない。非固形癌は、血液悪性腫瘍/骨髄障害、及び急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄性白血病急性転化、骨髄異形成、骨髄増殖性症候群を含むがそれらに限らない白血病を含む。固形癌は、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、皮下腺癌、卵巣テラトーマ、前立腺癌を含むがそれらに限らない。一般式(I)のホルボールエステル、特にTPAを用いて治療可能な哺乳類被験体はさらに、貧血;慢性疲労;鼻や歯茎、皮下の出血など過度または容易な出血;打ち身(特に明らかな原因のないもの);息切れ;点状出血;回帰熱;歯茎の腫れ;治りが遅い切り傷;骨と関節の不快感;反復性感染;体重減少;かゆみ;寝汗;リンパ節腫脹;発熱;腹痛と腹部の不快感;視覚障害;咳;食欲不振;胸の痛み;嚥下困難;顔と首、上肢の腫れ;頻尿(特に夜間);排尿開始時の障害または失禁;尿の流れが弱いまたは止まったり出たりする;排尿時の痛みまたは灼熱感;勃起障害;射精時の疼痛;血尿または精液中の出血;背部下方、腰、大腿上部の頻繁な痛みまたはコリ、及び虚弱を含むがそれらに限らない腫瘍性疾患の症状に苦しむ被験体を含む。一部の実施例において、前記癌は再発性または難治性であり得る。
【0030】
これら及びその他の被験体は、ウイルス負荷の阻止また減少、及び(または)HIV潜伏宿主の減少、免疫応答性の向上、Th1サイトカイン放出の増加、HIVとAIDSに関連する症状及び疾患の抑制及び軽減、腫瘍細胞の減少及び(または)撲滅、白血球数の増加、寛解の誘導、寛解の維持、悪性腫瘍に関連する症状及び疾患の抑制または軽減、ERKリン酸化の増加に十分な一般式(I)のホルボールエステルの有効量を被験体に投与することにより、予防的に及び(または)治療上、効果的に治療される。本発明の治療上有用な使用法及び処方は、上述のように、一般式(I)のホルボールエステルを、任意の前記組成物の薬学的に許容される活性塩、また活性異性体、鏡像体、多形体、溶媒和化合物、水和物、プロドラッグ及び(または)それらの組み合わせを含め、多様な形式で効果的に使用する。以下ここにおける例では、一般式(II)のTPAが本発明の一実施態様として用いられる。
【0031】
本発明の追加的態様において、被験体に効果的反応を生じさせるために、一般式(I)のホルボールエステルの有効量に、一般式(I)のホルボールエステル化合物と組み合わせて処方または併用投与される1つ以上の二次的または補助的活性薬剤を組み合わせた、組み合わせ処方及び使用法を提供する。HIVやAIDSなどのウイルス性細胞変性疾病の治療における例示的な組み合わせ処方及び併用療法には、一般式(I)のホルボールエステル化合物を、1つ以上の追加的な、レトロウイルス性のHIVまたはAIDS治療薬またはその他の適応された二次的または補助的治療薬と組み合わせて用いる。前記組み合わせ処方及び併用療法は、例えば、さまざまな高活性抗レトロウイルス剤療法プロトコル(HAARTプロトコル)に従い、またはそれらから派生したものとすることができ、組み合わせの中でも、2つの核酸系逆転写酵素阻害剤に1つ以上のプロテアーゼ阻害剤または非核酸系逆転写酵素阻害剤を組み合わせたレジメンを含むが、それに限らない。その他の組み合わせ処方及び併用療法は、例えば、日和見感染の治療、及びHAARTプロトコル用化合物を含むことができる。例えばTPAと組み合わせて使用される前記二次的または補助的治療薬は、これら実施例において、単独または例えばTPAとの組み合わせで、直接的または間接的抗ウイルス効果を有し、例えばTPAとの組み合わせで、その他の有用な補助的治療活性(HIV予防、HIV治療、HIVリザーバ活性化、Th1サイトカイン活性増加)を示すことができる。または、単独または例えばTPAとの組み合わせで、HIVに関連する日和見感染の治療に有用な補助的治療活性を示すことができる。
【0032】
これら組み合わせ処方及び併用療法における有用な補助的治療薬は、例えば、サキナビル、インジナビル、リトナビル、ネルフィナビル、アタザナビル、ダルナビル、フォスアンプレナビル、チプラナビル、アンプレナビルを含むが、それらに限らないプロテアーゼ阻害剤;ジドブジン、ジダノシン、スタブジン、ラミブジン、ザルシタビン、エムトリシタビン、フマル酸テノホビルジソプロキシル、AVX754、アバカビルを含むが、それらに限らない核酸系逆転写酵素阻害剤;ネバリピン(nevaripine)、デラビルジン、カラノライドA、TMC125、エファビレンツを含むが、それらに限らない非核酸系逆転写酵素阻害剤;エファビレンツ/エムトリシタビン/フマル酸テノホビルジソプロキシル、ラミブジン/ジドブジン、アバカビル/ラミブジン、アバカビル/ラミブジン/ジドブジン、エムトリシタビン/フマル酸テノホビルジソプロキシル、スルファメトキサゾール/トリメトプリム、ロピナビル/リトナビルを含むが、それらに限らない合剤;エンフビルチド、AMD070、BMS−488043、フォジブジンチドキシル、GSK−873、140、PRO 140、PRO 542、ペプチドT、SCH−D、TNX−355、UK−427,857を含むが、それらに限らないエントリー及び融合阻害剤;アシクロビル、アデホビルジピボキシル、アルデスロイキン、アムホテリシンb、アジスロマイシン、カルシウムハイドロキシアパタイト、クラリスロマイシン、ドキソルビシン、ドロナビノール、エンテカビル、エポエチンアルファ、エトポシド、フルコナゾール、ガンシクロビル、免疫グロブリン、インターフェロンα2、イソニアジド、イトラコナゾール、メゲストロール、パクリタキセル、PEGインターフェロンα2、ペンタミジン、ポリL−乳酸、リバビリン、リファブチン、リファンピン、ソマトロピン、テストステロン、トリメトレキサート、バルガンシクロビルを含むが、それらに限らない日和見感染及びAIDSとHIVに関連するその他の症状の治療薬;GS9137、MK−0518を含むが、それらに限らないインテグラーゼ阻害剤;BMS−378806、C31G、カルボポール974P、カラギーナン、硫酸セルロース、シアノビリン‐N、デキストラン硫酸、ヒドロキシエチルセルロース、PRO 2000、SPL7013、テノホビル、UC−781、IL−2を含むが、それらに限らない殺菌剤などを含む。
【0033】
腫瘍性疾患の治療における例示的組み合わせ処方及び併用療法には、一般式(I)のホルボールエステル化合物を1つ以上の追加的な、腫瘍性疾患治療またはその他の適応された二次的または補助的治療薬と組み合わせて用いる。TPAなどと組み合わせてこれらの実施例で使用される前記二次的または補助的治療薬は、単独または例えばTPAとの組み合わせで、直接的または間接的な化学治療効果を有し、例えばTPAとの組み合わせで、その他の有用な補助的治療的活性(細胞毒性、消炎、NF−κB阻害、アポトーシス誘導、Th1サイトカイン産生増加活性など)を有することができ、または、単独または例えばTPAとの組み合わせで、腫瘍または関連症状の治療に有用な補助的治療活性を示すことができる。
【0034】
これら組み合わせ処方及び併用療法における有用な補助的または二次的治療薬は、ドキソルビシン、ビタミンD3、シタラビン、シトシンアラビノシド、ダウノルビシン、シクロホスファミド、ゲムツズマブオゾガマイシン、イダルビシン、メルカプトプリン、ミトキサントロン、チオグアニン、アルデスロイキン、アスパラギナーゼ、カルボプラチン、リン酸エトポシド、フルダラビン、メトトレキサート、エトポシド、デキサメタゾン、コリンマグネシウムトリサリチラートを含む。加えて、放射線治療、ホルモン療法、外科手術など(ただしそれらに限らない)の補助的または二次的治療を使用することができる。
【0035】
本発明の前述の及び更なる目的、特性、特徴、利点は、以下の詳細な説明により明確になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0036】
哺乳類被験体における細胞変性疾病及び症状の抑制及び(または)治療に用いる新規な方法及び組成物が同定された。多様な実施例において、前記方法及び組成物は、HIV及びAIDS、さらにHIV及びAIDSによって引き起こされる関連症状、疾病、及び(または)HIVまたはAIDS感染に起因する疾病の抑制または治療に有効である。別の実施例において、前記方法及び組成物は、腫瘍性疾患及び腫瘍性疾患の症状の抑制または治療に有効である。前記腫瘍性疾患は良性または悪性であってもよい。一部の実施例において、前記腫瘍性疾患は固形癌または非固形癌であってもよい。他の実施例において、前記癌は難治性または再発性であってもよい。
【0037】
本発明の提供する処方及び使用法は、新規なHIV及びAIDSの治療用化合物として、上記一般式(I)のあらゆる薬学的に許容される活性化合物及びそれらの化合物の想定される、及び容易に提供されるさまざまな錯体、塩、溶媒和化合物、異性体、鏡像体、多形体、プロドラッグ及びそれらの組み合わせを含む上記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物を用いる。
【0038】
本発明の提供する処方及び使用法はさらに、腫瘍性疾患の治療において、上記一般式(I)のあらゆる薬学的に許容される活性化合物及びそれらの化合物の想定される、及び容易に提供されるさまざまな錯体、塩、溶媒和化合物、異性体、鏡像体、多形体、プロドラッグ及びそれらの組み合わせを含む上記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物を用いる。
【0039】
本発明の提供するウイルス負荷減少処方及び使用法は、新規のウイルス負荷減少薬剤として、上記一般式(I)のあらゆる薬学的に許容される活性化合物及びそれらの化合物の想定される、及び容易に提供されるさまざまな錯体、塩、溶媒和化合物、異性体、鏡像体、多形体、プロドラッグ及びそれらの組み合わせを含む上記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物を用いる。
【0040】
本発明の提供するアポトーシス誘導処方及び使用法は、腫瘍のアポトーシスを誘導する化学療法剤として、上記一般式(I)のあらゆる薬学的に許容される活性化合物及びそれらの化合物の想定される、及び容易に提供されるさまざまな錯体、塩、溶媒和化合物、異性体、鏡像体、多形体、プロドラッグ及びそれらの組み合わせを含む、上記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物を用いる。
【0041】
本発明の提供する寛解誘導処方及び使用法は、抗腫瘍剤として、上記一般式(I)のあらゆる薬学的に許容される活性化合物及びそれらの化合物の想定される、及び容易に提供されるさまざまな錯体、塩、溶媒和化合物、異性体、鏡像体、多形体、プロドラッグ及びそれらの組み合わせを含む、上記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物を用いる。
【0042】
本発明の提供する免疫応答性増強処方及び使用法は、免疫刺激剤化合物として、上記一般式(I)のあらゆる薬学的に許容される活性化合物及びそれらの化合物の想定される、及び容易に提供されるさまざまな錯体、塩、溶媒和化合物、異性体、鏡像体、多形体、プロドラッグ及びそれらの組み合わせを含む、上記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物を用いる。
【0043】
本発明の提供するTh1サイトカイン増加処方及び使用法は、新規のTh1サイトカイン増加剤として、上記一般式(I)のあらゆる薬学的に許容される活性化合物及びそれらの化合物の想定される、及び容易に提供されるさまざまな錯体、塩、溶媒和化合物、異性体、鏡像体、多形体、プロドラッグ及びそれらの組み合わせを含む、上記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物を用いる。
【0044】
人間の被験体を含めた幅広い哺乳類被験体が、本発明の処方及び使用法を用いて治療可能である。これら被験体は、腫瘍性疾患及びHIVやAIDSなどのウイルス性細胞変性疾病を含む細胞変性疾病または症状に苦しむ人々を含むが、それらに限らない。
【0045】
治療可能な被験体は、口腔病変、倦怠感、皮膚カンジダ症、発熱、食欲不振、下痢、アフタ性潰瘍、吸収不全、血小板減少症、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、そしてトリ型結核菌複合体、サルモネラ症、梅毒、神経梅毒、結核症(TB)、細菌性血管腫症、アスペルギルス症、カンジダ症、コクシジオイデス症、リステリア症、骨盤感染症、バーキットリンパ腫、クリプトコックス髄膜炎、ヒストプラスマ症、カポジ肉腫、リンパ腫、全身性非ホジキンリンパ腫(NHL)、中枢神経原発リンパ腫、クリプトスポリジウム症、イソスポーラ症、微胞子虫症、カリニ肺炎(PCP)、トキソプラズマ症、サイトメガロウイルス(CMV)、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、ヒトパピローマウイルス(HPV、尖圭コンジローム、子宮頸癌)、伝染性軟属腫、口腔毛状白板症(OHL)、進行性巣性白質脳症(PML)などの二次的症状に対する感受性及びそれらの重症度を示す、HIV+の人間及びその他の哺乳類被験体を含む。
【0046】
本発明の使用法と組成物の範囲内で、本発明で開示する一般式(I)の1つ以上のホルボールエステル化合物は、HIV/AIDS及び(または)関連疾病の治療に有効な薬剤として効果的に処方または投与される。例示的実施例において、TPAは単独でまたは1つ以上の補助的治療薬と組み合わせて、処方及び治療法における効果的な薬剤として例示的に示されている。本発明はさらに、本発明の使用法と組成物の範囲内で、HIV/AIDS及び関連症状の治療で治療薬として有効な、本発明で開示する化合物の錯体、誘導体、塩、溶媒和化合物、異性体、鏡像体、多形体、プロドラッグ、及びそれらの組み合わせを含む、天然または合成化合物の形態で、追加的な、薬学的に許容されるホルボールエステル化合物を提供する。
【0047】
後天性免疫不全症候群(AIDSまたはAids)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染したことにより引き起こされた免疫系の破壊に起因する症状及び感染症の集合である。免疫系の破壊は人に日和見感染と腫瘍を引き起こす傾向がある。AIDS及びHIVの治療でウイルスの進行と症状の重症度を抑えることができるが、既知の治癒法はない。
【0048】
HIVは、CD4+T細胞、マクロファージ、樹状細胞など人の免疫系の成分に主に感染するレトロウイルスである。CD4+T細胞が破壊され、その総数が血液中200CD4+T細胞/μL以下に減少するか、全リンパ球に対するCD4+T細胞の割合が14%未満になると、細胞性免疫が失われ、AIDSにつながる。
【0049】
現在、Th1及びTh2サイトカインのバランスにおける変化がHIV感染に関連する免疫調節異常に影響を与えることがあると考えられている。Th1細胞は細胞傷害性T細胞の増殖を刺激するサイトカインを産生する。Th2細胞は健康な人の体液性免疫応答を活性化させるサイトカインを産生する。HIV感染からAIDSへの進行は、Th1サイトカインIL−2、IL−12、IFN―γレベルの低下及びTh2サイトカインIL−4、IL−5、IL−10の付随的増加によって特徴づけられる(Clerci, Immunology Today,v.14、No.3、107〜110、1993;Becker、Virus Genes 28:1、5〜18、2004)。このため、HIV感染に対する抵抗力及び(または)AIDS進行に対する抵抗力は、Th1>Th2優性に依存する。
【0050】
CD4+メモリーT細胞のごく一部はHIVに対し組込み型の転写不活性なプロウイルスを含有する。これら潜伏宿主は特定の抗原またはサイトカインによる活性化を受けて活性化され、活性感染性ウイルスを産生する。これらCD4メモリーT細胞の半減期は少なくとも44ヶ月あり、このためHIVを駆除することは極めて困難で、末梢血中のHIVレベルが検出不能であっても抗レトロウイルス療法の延長継続が必要となる。
【0051】
非発癌促進性のホルボールエステルであるプロストラチン、12‐デオキシホルボール13‐アセタートは、HIV誘導細胞キリングとウイルス複製の阻害に対する一定の効果を示すことが報告されている。プロストラチンは潜伏感染細胞株におけるウイルス発現を活性化したが、慢性感染細胞株にはほぼまたはまったく影響しないことが報告されている(Gulakowski、et al、Antiviral Research v. 33、87〜97(1997);Williams et al,JBC v. 279、No.40、P.42008〜42017(2004))。プロストラチンは、TPAなどの発癌促進性ホルボールエステルとは異なる独特な生物学的活性を有する蛋白質キナーゼC活性化剤の異なるサブクラスを代表する。
【0052】
本発明の使用法に従い、一般式(I)のホルボールエステル、特にTPAで治療可能な哺乳類被験体はさらに、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄性白血病急性転化、骨髄異形成、骨髄増殖性症候群を含む白血病などの血液悪性腫瘍/骨髄障害;ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫;皮下腺癌;卵巣テラトーマ;前立腺癌を含む、固形癌と非固形癌を含む腫瘍性疾患を持つ哺乳類被験体を含むが、それらに限らない。一部の実施例において、前記癌は再発性または難治性であってもよい。
【0053】
本発明の使用法と組成物の範囲内で、本発明の開示する一般式(I)の1つ以上のホルボールエステル化合物は、腫瘍性疾患の治療に効果的な薬剤として効果的に処方または投与される。例示的実施例において、TPAは単独でまたは1つ以上の補助的治療薬と組み合わされ、処方及び治療法における効果的な薬剤として例示的に示されている。本発明はさらに、本発明の使用法及び組成物の範囲内で、腫瘍性疾患及びそれらの疾病の症状の治療で有効な、本発明で開示する化合物の錯体、誘導体、塩、溶媒和化合物、異性体、鏡像体、多形体、プロドラッグ及びそれらの組み合わせを含む、天然または合成化合物の形態で、追加的な、薬学的に許容されるホルボールエステル化合物を提供する。
【0054】
腫瘍性疾患とは、異常かつ制御されない細胞分裂に起因するあらゆる腫瘍(growthまたはtumor)であり、リンパ系または血流を介して身体のその他の場所に拡散することがある。上述の腫瘍は悪性または良性、固形または非固形であり得る。
【0055】
一部の実施例において、腫瘍性疾患は急性骨髄性白血病(AML)などの血液系腫瘍/骨髄疾患であり得る。AML(急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性顆粒球性白血病、急性非リンパ性白血病とも呼ばれる)は最も一般的な成人の急性白血病のタイプである。AMLでは、骨髄によって産生された幹細胞が通常骨髄芽球(myeloblast、またはmyeloid blast)と呼ばれる一種の未成熟の白血球になる。AML患者では、これら骨髄芽球が健康な白血球に成熟しない。加えて、AML患者の幹細胞は異常な赤血球または血小板になる場合がある。正常な血球の不足は感染症、貧血、容易な出血の発生を増加する。加えて白血病細胞は、中枢神経系(脳及び脊髄)、皮膚、歯茎を含む血液外のその他の身体部分に拡散することがある。
【0056】
AML患者の平均的年齢は64歳以上である。標準的化学療法でAMLの治療を受けた60歳以上の患者の寛解率は20%未満である。また、先行血液疾患または先の白血病化学療法/放射線治療の後にAMLになった患者も同様に予後が不良である。
【0057】
ホルボールは植物由来のチグリアン型のジテルペンの天然多環式アルコールである。トウダイグサ科の常緑低木ハズの種から取得したハズ油の加水分解生成物として1934年に初めて単離された。ほとんどの一般的な有機溶剤と水に対して可溶性である。ホルボールのエステルは次の一般式(I)の構造を有する:
【0058】
【化9】

ここで、R及びRは水素;
【0059】
【化10】

(ただしアルキル基の炭素原子数は1〜15である);
【0060】
【化11】

及びそれらの置換誘導体からなる基から選択され、Rは水素または
【0061】
【化12】

及びそれらの置換誘導体とすることができる。
【0062】
ここで用いられる「低級アルキル」または「低級アルケニル」は、1〜7の炭素原子を含む部分を意味する。一般式(I)の化合物において、アルキル基またはアルケニル基は直鎖状または分岐鎖状とすることができる。一部の実施例においては、RまたはRのいずれかまたは両方が長鎖状の炭素部分である(つまり、一般式(I)はデカノエートまたはミリステートである)。
【0063】
ここにおける一般式のアルキル基、アルケニル基、フェニル基、ベンジル基は非置換であってもよく、またはハロゲン(好ましくは、塩素、フッ素、臭素;ニトロ基)、アミノ基及び類似のラジカル種で置換されてもよい。
【0064】
ハズなどの薬草ソースからの製剤または抽出物を含め、ホルボールエステルの有機及び合成形態は、本発明の実施例内での使用のためのホルボールエステル(またはホルボールエステルアナログ体、関連化合物及び(または)誘導体)を包含する有用な組成物として考慮される。本発明の実施例内での使用向けに有用なホルボールエステル及び(または)関連化合物は、通常一般式(I)に示される構造を持ち、また本発明の範囲内として、機能的に同等な前記化合物のアナログ体、錯体、複合体、誘導体も当業者に理解される。
【0065】
より詳細な実施例において、HIVとAIDS及び(または)腫瘍性疾患の治療及び(または)抑制向けの、有用な候補となる化合物を提供するために、前記一般式(I)に従った例示的な構造変更を選択することができ、そのうち、R及びRの少なくとも1つが水素以外であり、Rが水素
【0066】
【化13】

及びその置換誘導体を含む基から選択される。別の実施例においては、

【0067】
または

【0068】
のいずれかが
【0069】
【化14】

であり、他方のRまたはR
【0070】
【化15】

かつRが水素である。
【0071】
HIVやAIDSなどの細胞変性疾病及び(または)特にAMLなどの腫瘍性疾患の治療に有用な一般式(I)のホルボールエステル化合物の例示的一実施例が、次の一般式(II)に示すホルボール12‐ミリステート‐13‐アセタート(PMAまたは12‐0‐テトラデカノイル‐ホルボール13‐アセタート(TPA)とも呼ばれる)である。
【0072】
【化16】

本発明の処方及びその使用法の範囲内で有用な追加的ホルボールエステル及び関連化合物と誘導体は、他の薬学的に許容される前記化合物の活性塩、及び前記化合物の活性異性体、鏡像体、多形体、グリコシル化誘導体、溶媒和化合物、水和物、及び(または)プロドラッグを含むがそれらに限らない。本発明の組成物及びその使用法の範囲内での使用向けのさらに別のホルボールエステルの例示的形態は、ホルボール13‐ブチレート;ホルボール12‐デカノエート;ホルボール13‐デカノエート;ホルボール12,13‐ジアセタート;ホルボール13,20‐ジアセタート;ホルボール12,13‐ジベンゾアート;ホルボール12,13‐ジブチレート;ホルボール12,13‐ジデカノエート;ホルボール12,13‐ジヘキサノエート;ホルボール12,13‐ジプロピオネート;ホルボール12‐ミリステート;ホルボール13‐ミリステート;ホルボール12,13,20‐トリアセタート;12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート;12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート20‐アセタート;12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート;12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート20‐アセタート;12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート;12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート20‐アセタート;12‐デオキシホルボール13‐テトラデカノエート;ホルボール12‐チグリエート13‐デカノエート;12‐デオキシホルボール13‐アセタート;ホルボール12‐アセタート;ホルボール13‐アセタートを含むが、それらに限らない。
【0073】
細胞変性疾病治療用の組成物は、哺乳類被験体におけるHIV、AIDS及び(または)日和見感染を含むHIV関連症状の予防及び(または)治療に効果的な、一般式(I)のホルボールエステル化合物の抗AIDS有効量を含むHIV及びAIDS治療用組成物を包含する。前記活性化合物の「抗HIV」、「抗AIDS」または「AIDS治療」有効量は、単回または複数の単位投薬形態で、一定期間の治療的介入にわたり、被験体における1つ以上のAIDSの症状をある程度軽減するため、及び(または)被験体におけるHIV感染に関連付けられた1つ以上の症状または疾患を軽減するため、治療効果がある。例示的実施例の範囲内で、本発明の前記組成物は、ヒト及びHIV感染に陥りやすいその他の哺乳類被験体におけるAIDSまたはその他のHIV関連疾患の症状を軽減するための治療法において効果的である。
【0074】
本発明の細胞変性疾病治療用組成物はまた、哺乳類被験体における悪性腫瘍または癌による症状の維持及び治療に有効な一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物の抗悪性腫瘍有効量を含む化学療法組成物を包含することができる。前記活性化合物の「化学療法」、「抗腫瘍」、「癌治療」、「アポトーシス誘導」、「寛解誘導」、「寛解維持」有効量は、単回または複数回の単位投与量で、一定期間の治療的介入にわたり、被験体における悪性腫瘍の1つ以上の症状をある程度軽減し、及び(または)被験体における悪性腫瘍に関連付けられた1つ以上の症状または疾患を軽減するための治療効果がある。例示的実施例の範囲内で、本発明の前記組成物は、ヒト及び悪性腫瘍に陥りやすいその他の哺乳類被験体における腫瘍性疾患関連疾患の症状を軽減するための治療法において効果的である。
【0075】
本発明の化学療法及びHIV治療を含む細胞変性疾病治療用組成物は、典型的に、1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤、搬送媒介物、乳化剤、安定化剤、保存剤、緩衝剤、及び(または)、安定性、搬送性、吸収性、半減期、薬効、薬物動態及び(または)薬物動力を高めるか、副作用を低減するか、または製薬学的用途のその他の利点を提供することができるその他の添加剤とともに処方される一般式(I)のホルボールエステル化合物の有効量または単位投与量を包含する。一般式(I)のホルボールエステル化合物または関連の或いは誘導体化合物の有効量(例:TPA、またはTPAの選択された薬学的に許容される塩、異性体、鏡像体、溶媒和化合物、多形体及び(または)プロドラッグの有効濃度/量を含む単位投与量)は、当業者により臨床的及び患者特異的要素に基づき容易に決定される。前記活性化合物のヒトを含む哺乳類被験体に対する投与のための適切な有効単位投与量は、10〜1500μg、20〜1000μg、25〜750μg、50〜500μg、または150〜500μgであり得る。一部の実施例において、一般式(I)のホルボールエステル化合物または関連の或いは誘導体化合物の前記細胞変性疾病治療に有効な投与量は、例えば10〜25μg、30〜50μg、75〜100μg、100〜250μg、250〜500μgなどのより狭い範囲内で選択され得る。これら及びその他の有効単位投与量は単回投与されてもよいし、または日ごと、週ごと、または月ごとの用量で複数回投与されてもよく、例えば毎日、毎週または毎月1〜5回、または2〜3回の投与回数から構成される投与方式でもよい。ある例示的実施例においては、10〜30μg、30〜50μg、50〜100μg、100〜250μg、250〜500μgの投与量が、1日1回、2回、3回、4回、5回投与される。また、より詳細な実施例においては、50〜100μg、100〜250μg、250〜400μg、400〜600μgの投与量が1日1回または2回投与される。さらに別の実施例では、50〜100μg、100〜250μg、250〜400μg、400〜600μgの投与量が隔日で投与される。別の実施例では、体重に基づいて投与量が計算され、例えば、1日約0.5μg/m〜約100μg/m、1日1μg/m〜約75μg/m、1日約1μg/m〜約50μg/m、1日2μg/m〜約50μg/m、1日2μg/m〜約30μg/m、1日3μg/m〜約30μg/mなどの量で投与されることがある。
【0076】
本発明の一般式(I)のホルボールエステル化合物の細胞変性疾病治療有効量(AIDS治療、HIV抑制、HIV治療、HIV宿主活性化、Th1サイトカイン増加、ERKリン酸化誘導、化学療法、抗腫瘍、癌治療、寛解誘導、寛解維持、アポトーシス誘導有効量)を包含する組成物の量、タイミング、搬送モードは、人の体重、年齢、性別、状態、細胞変性疾病及び(または)関連症状の進行度、投薬が予防目的かまたは治療目的か、及び薬剤の搬送性、吸収性、半減期を含む薬物動態、及び薬効に影響することが知られているその他の要素に基づき、通常個別に調整される。
【0077】
本発明の細胞変性疾病治療(または、「AIDS治療」、「HIV治療」、「HIV抑制」、「HIVリザーバ活性化」または「Th1サイトカイン増加」、「ERKリン酸化誘導」、「化学療法」、「抗腫瘍」、「癌治療」、「アポトーシス誘導」、「寛解誘導」、「寛解維持」)処方のための有効投与量または複数回投与治療レジメンは、被験体におけるAIDSまたは癌及び関連の日和見疾患などの腫瘍性疾患を含む細胞変性疾病の症状を実質的に抑制または軽減し、かつ(または)被験体におけるAIDSまたは癌などの腫瘍性疾患に関連する1つ以上の症状を実質的に抑制または軽減するために必要かつ十分な最少投与レジメンに近づけるために通常選択される。投与量及び用法のプロトコルは往々にして数日、または一週間以上、或いは一年以上にわたる反復投与治療を含む。また有効な処方計画は、数日、数週間、数ヶ月、さらには数年にわたって継続する1日1回または1日複数回投与される投与量に基づいた予防的投与を含むこともある。
【0078】
細胞変性疾病治療の治療的有効性の判定には、さまざまな試験やモデル系を容易に用いることができる。例えば、HIVまたはAIDSの治療において、有効性はウイルス負荷の減少、CD4数の増加、CD3数の増加、IL−2及びIFN産生の増加、IL‐4及びIL‐10産生の減少、AIDSの症状の軽減または排除、その他の当業者に知られている有効性の判定法によって示される。
【0079】
本発明の組成物及びその使用法の有効性は、例えば、HIV抗体、ウイルス負荷、CD4レベル、CD8数、CD3数に対する血液検査を通して示される。CD4の正常レベルは通常マイクロリットル当たり600〜1200、またはリンパ球の32〜68%である。CD4数が350未満の人は免疫系が弱くなっている。CD4数が200未満の人はAIDSを患っているとみなされる。健康な人のCD8レベルは通常マイクロリットル当たり150〜1000である。健康な人のCD3レベルは通常マイクロリットル当たり約885〜2270である。CD3、CD4、CD8細胞のレベルは、例えば、フローサイトメトリーを使用して測定することができる。本発明の組成物の有効量はCD3、CD4、CD8+細胞のレベルを少なくとも10%、20%、30%、50%またはそれ以上、75〜90%または95%以上まで増加させる。また、前記有効量は人のCD3、CD4、CD8プロファイルを各タイプの糖タンパク質の最適なカテゴリに向けて移動させる。
【0080】
また人体は、β−ミクログロブリン(β‐M)テストを使って評価することができる。β−ミクログロブリンは細胞が死ぬときに血液中に放出されるタンパク質である。β‐M血中濃度の高まりはAIDSの進行度の評価に用いることができる。本発明の組成物の有効量は、β‐Mの量の増加を減少または停止させることができる。
【0081】
有効性はさらに全血球計算(CBC)を使って示すことができる。CBCで行う測定項目は、白血球数(WBC)、赤血球数(RBC)、赤血球粒度分布幅、ヘマトクリット値、ヘモグロビン量を含む。CBCにおける特定のAIDS関連の兆候は、低ヘマトクリット値、血小板数の劇的な減少、低レベルの好中球を含む。本発明の組成物の有効量は、全血球計算で測定されるレベルを10%、20%、30%、50%以上、75〜90%または95%以上まで高めることができる。また有効量は、人の血中タンパクを各タイプのタンパク質の最適なカテゴリに向かって移動させる。
【0082】
本発明の組成物及びその使用法の有効性は、口腔病変、倦怠感、皮膚カンジダ症、発熱、食欲不振、下痢、アフタ性潰瘍、吸収不全、血小板減少症、体重減少、貧血、リンパ節腫脹を含むが、これらに限らない、HIVまたはAIDSの症状の低減によっても示される。
【0083】
本発明の組成物及びその使用法の有効性はさらに、トリ型結核菌複合体、サルモネラ症、梅毒、神経梅毒、結核症(TB)、細菌性血管腫症、アスペルギルス症、カンジダ症、コクシジオイデス症、リステリア症、骨盤感染症、バーキットリンパ腫、クリプトコックス髄膜炎、ヒストプラスマ症、カポジ肉腫、リンパ腫、全身性非ホジキンリンパ腫(NHL)、中枢神経原発リンパ腫、クリプトスポリジウム症、イソスポーラ症、微胞子虫症、カリニ肺炎(PCP)、トキソプラズマ症、サイトメガロウイルス(CMV)、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、ヒトパピローマウイルス(HPV、尖圭コンジローム、子宮頸癌)、伝染性軟属腫、口腔毛状白板症(OHL)、進行性巣性白質脳症(PML)などの二次的または日和見的症状に対する感受性及びその重篤度の低減によっても示される。
【0084】
有効性はさらにHIVに感染した被験体における検出可能なHIVの減少、正常なT細胞数の維持、正常なp24抗原レベルの維持によっても示される。
腫瘍性疾患の治療における有効性は、ECOG機能状態尺度、カルノフスキー病態指数、血球の顕微鏡検査、骨髄穿刺及び生検、細胞遺伝学的解析、組織検査、免疫表現型検査、血液化学検査、全血球計算、リンパ節生検、末梢血塗抹標本、腫瘍または病変の目視検査、或いは当業者の知るところであるその他の悪性腫瘍及び腫瘍進行の評価及び(または)診断法など(ただしこれらに限らない)、数々の方法によって示される。
【0085】
例えば、血液悪性腫瘍/骨髄障害の治療における本発明の組成物及びその使用法の有効性は、絶対好中球数(ANC)を使って評価することができる。正常なANCは1500〜8000/mmである。血液悪性腫瘍/骨髄障害を患った人は往々にしてANC1500/mm以下、さらには500/mm以下に達することもある。本発明の組成物及びその使用法の有効量は、人のANCを10%、20%、30%、50%またはそれ以上、75〜90%または95%以上まで増加させる。また有効量はANCレベルを1500/mmに高める。
【0086】
血液悪性腫瘍/骨髄障害の治療における本発明の組成物及びその使用法の有効性は、例えば、血小板数を使用して評価することもできる。血小板数は通常マイクロリットル当たり150,000〜450,000である(×10‐6/リットル)。血液悪性腫瘍/骨髄疾患を患った人は血小板数がマイクロリットル当たり100,000以下になることがある。本発明の組成物及びその使用法の有効量は、人の血小板数を10%、20%、30%、50%またはそれ以上、75〜90%または95%以上まで増加させる。有効量は血小板レベルをマイクロリットル当たり100,000以上に高めることができる。
【0087】
血液悪性腫瘍/骨髄障害の治療における本発明の組成物及びその使用法の有効性はさらに、例えば、骨髄芽球の数を測定することによっても評価できる。骨髄芽球は通常骨髄中の細胞の5%未満を占めるが、循環血液中には存在しないはずである。本発明の組成物及びその使用法の有効量は、骨髄芽球の数を10%、20%、30%、50%またはそれ以上、75〜90%または96%以上まで減少させる。有効量は骨髄芽球を5%未満に減少させる。
【0088】
血液悪性腫瘍/骨髄障害の治療における本発明の組成物及びその使用法の有効性は、骨髄芽球のアウエル小体の存在を検査することでも評価できる。本発明の組成物の有効量は、認められるアウエル小体の数を10%、20%、30%、50%またはそれ以上、75〜90%または96%以上まで減少させるか、完全消失させる。
【0089】
また、本発明の組成物及びその使用法の有効性は、貧血;慢性疲労;鼻や歯茎、皮下の出血など過度または容易な出血;打ち身(特に明らかな原因のないもの);息切れ;点状出血;回帰熱;歯茎の腫れ;治りが遅い切り傷;骨と関節の不快感;反復性感染;体重減少;かゆみ;寝汗;リンパ節腫脹;発熱;腹痛と腹部の不快感;視覚障害;咳;食欲不振;胸の痛み;嚥下困難;顔と首、上肢の腫れ;頻尿(特に夜間);排尿開始時の障害または失禁;尿の流れが弱いまたは止まったり出たりする;排尿時の痛みまたは灼熱感;勃起障害;射精時の疼痛;血尿または精液中の出血;背部下方、腰、大腿上部の頻繁な痛みまたはコリ、及び虚弱を含むが、これらに限らない、腫瘍性疾患を患った被験体の症状の軽減によっても示される。
【0090】
ここで説明した症状のそれぞれについて、被験体の細胞変性疾病または関連の疾病或いは症状によって引き起こされた、またはそれらに関連する1つ以上の症状において、被験体はプラセボまたはその他の適切な対照被験体に比べ、10%、20%、30%、50%またはそれ以上の減少、75〜90%または96%以上までの減少が認められる。
【0091】
本発明の追加的態様において、一般式(I)のホルボールエステル化合物の有効量と、複合的なマルチアクティブの細胞変性疾病治療組成物または組み合わせ治療法を得るために一般式(I)のホルボールエステル化合物に組み合わせて処方または投与される1つ以上の二次的または補助的薬剤を用いた、細胞変性疾病の組み合わせ治療(AIDS治療、HIV抑制、HIV治療、HIV宿主活性化、Th1サイトカイン増加、ERKリン酸化誘導、アポトーシス誘導、化学療法、抗腫瘍、癌治療、寛解誘導、寛解維持)処方及び併用投与法が提供される。
【0092】
これに関連して、例示的な組み合わせ処方及び併用療法は、一般式(I)のホルボールエステルを、特定の組み合わせ処方または併用治療レジメンにおいて標的とする(または関連付けられた)疾病、疾患、及び(または)症状の治療または予防に有用な、1つ以上の二次的抗AIDS薬剤または1つ以上の補助的治療薬と組み合わせて使用する。本発明のほとんどの組み合わせ処方及び併用療法について、一般式(I)のホルボールエステル化合物または関連の或いは誘導体化合物は、被験体におけるHIV/AIDS及び(または)日和見または二次疾患或いは状態の1つ以上の症状を治療するための、組み合わせとして有効な、または併用して有用な組み合わせ処方または併用治療法を得るために、1つ以上の二次的または補助的治療薬剤と組み合わされ、処方または併用投与される。これに関連して、例示的な組み合わせ処方及び併用療法は、一般式(I)のホルボールエステル化合物を、例えば、サキナビル、インジナビル、リトナビル、ネルフィナビル、アタザナビル、ダルナビル、フォスアンプレナビル、チプラナビル、アンプレナビルを含むがこれらに限らないプロテアーゼ阻害剤;ジドブジン、ジダノシン、スタブジン、ラミブジン、ザルシタビン、エムトリシタビン、フマル酸テノホビルジソプロキシル、AVX754、アバカビルを含むがこれらに限らない核酸系逆転写酵素阻害剤;ネバリピン(nevaripine)、デラビルジン、カラノライドA、TMC125、エファビレンツを含むがこれらに限らない非核酸系逆転写酵素阻害剤;エファビレンツ/エムトリシタビン/フマル酸テノホビルジソプロキシル、ラミブジン/ジドブジン、アバカビル/ラミブジン、アバカビル/ラミブジン/ジドブジン、エムトリシタビン/フマル酸テノホビルジソプロキシル、スルファメトキサゾール/トリメトプリム、ロピナビル/リトナビルを含むがこれらに限らない合剤;エンフビルチド、AMD070、BMS‐488043、フォジブジンチドキシル、GSK‐873,140、PRO140、PRO542、ペプチドT、SCH−D、TNX‐355、UK‐427、857を含むがこれらに限らないエントリー及び融合阻害剤;アシクロビル、アデホビルジピボキシル、アルデスロイキン、アムホテリシンb、アジスロマイシン、カルシウムハイドロキシアパタイト、クラリスロマイシン、ドキソルビシン、ドロナビノール、エンテカビル、エポエチンアルファ、エトポシド、フルコナゾール、ガンシクロビル、免疫グロブリン、インターフェロンα2、イソニアジド、イトラコナゾール、メゲストロール、パクリタキセル、PEGインターフェロンα2、ペンタミジン、ポリL−乳酸、リバビリン、リファブチン、リファンピン、ソマトロピン、テストステロン、トリメトレキサート、バルガンシクロビルを含むがこれらに限らないAIDS及びHIVに関連する日和見感染及びその他の症状の治療薬;GS9137、MK−0518を含むがこれらに限らないインテグラーゼ阻害剤;BMS−378806、C31G、カルボポール974P、カラギーナン、硫酸セルロース、シアノビリン‐N、デキストラン硫酸、ヒドロキシエチルセルロース、PRO2000、SPL7013、テノホビル、UC−781、IL−2を含むがこれらに限らない殺菌剤から選択した1つ以上の二次的または補助的治療薬と組み合わせて使用する。
【0093】
さらなる例示的な組み合わせ処方及び併用療法は、さらに一般式(I)のホルボールエステルを、特定の組み合わせ処方または併用治療レジメンにおいて標的とする(または関連付けられた)疾病、疾患、及び(または)症状の治療または予防に有用な、1つ以上の二次的抗腫瘍剤、または1つ以上の補助的治療薬と組み合わせて使用することができる。本発明のほとんどの組み合わせ処方及び併用療法について、一般式(I)のホルボールエステル化合物または関連の或いは誘導体化合物は、被験体における腫瘍性疾患及び二次疾患或いは状態の1つ以上の症状を治療するための、組み合わせとして有効な、または併用して有用な組み合わせ処方または併用治療法を得るために、1つ以上の二次的または補助的治療薬剤と組み合わされ、処方または併用投与される。これに関連して、例示的な組み合わせ処方及び併用療法は、一般式(I)のホルボールエステル化合物を、例えば、化学療法剤、消炎剤、ドキソルビシン、ビタミンD3、シタラビン、シトシンアラビノシド、ダウノルビシン、シクロホスファミド、ゲムツズマブオゾガマイシン、イダルビシン、メルカプトプリン、ミトキサントロン、チオグアニン、アルデスロイキン、アスパラギナーゼ、カルボプラチン、リン酸エトポシド、フルダラビン、メトトレキサート、エトポシド、デキサメタゾン、コリンマグネシウムトリサリチラートなどから選択された1つ以上の二次的または補助的治療薬と組み合わせて使用する。加えて、放射線治療、ホルモン療法、外科手術などを含むがこれらに限らない、補助的または二次的治療を使用することもできる。
【0094】
一部実施例において本発明は、細胞変性疾病治療活性を有するホルボールエステル及び1つ以上の補助補助剤を包含する、細胞変性疾病の組み合わせ治療(AIDS治療、HIV抑制、HIV治療、HIVリザーバ活性化、Th1サイトカイン増加、ERKリン酸化誘導、アポトーシス誘導、化学療法、抗腫瘍、癌治療、寛解誘導、寛解維持)処方を提供する。前記組み合わせ処方の範囲内で、細胞変性疾病治療活性を有する一般式(I)のホルボールエステル及び補助剤は、細胞変性疾病治療(AIDS治療、HIV抑制、HIV治療、HIV宿主活性化、Th1サイトカイン増加、アポトーシス誘導、ERKリン酸化誘導、化学療法、抗腫瘍、癌治療、寛解誘導、寛解維持)有効量中の組み合わせ処方に、単独でまたは組み合わせで存在する。例示的実施例において、一般式(I)のホルボールエステル化合物と非ホルボールエステル治療薬が、細胞変性疾病治療投与量中(すなわち、単独で被験体における症状の検出可能な緩和を引き出す単回の投与量中)にそれぞれ存在する。または、前記組み合わせ処方は一般式(I)のホルボールエステル化合物と非ホルボールエステル治療薬の1つまたは両方を治療量以下の単回投与量で含むことができ、そのうち前記両方の薬剤を包含する組み合わせ処方は、細胞変性疾病または症状を軽減する反応を引き起こすために集合的に有効な両方の薬剤を組み合わせた投与量である。このため、一般式(I)のホルボールエステル及び非ホルボールエステル治療薬の一方または両方が、治療量以下の投与量で、ただし集合的に被験体における細胞変性疾病の症状の検出可能な軽減を引き出す処方または使用法で、処方に存在するか、または併用投与プロトコルにおいて投与されることが可能である。例えば、一部の実施例において、前記組み合わせ処方は、いくつかの組み合わせの中で特に、高活性抗レトロウイルス剤療法プロトコル(HAARTプロトコル)からの1つ以上の化合物をホルボールエステルと組み合わせて包含することができる。その他の組み合わせ処方としては、例えば、AIDSの日和見感染の治療に有効なホルボールエステル及び(または)化合物と、HAARTプロトコルからの化合物を包含することができる。別の実施例では、前記組み合わせ処方は1つ以上の追加の化学療法剤を包含することができる。
【0095】
本発明の併用投与法の実施のため、一般式(I)のホルボールエステル化合物はここで考慮される1つ以上の二次的または補助的治療薬との併用治療プロトコルにおいて、同時にまたは順に投与することができる。このため、特定の実施例において、化合物は個別の処方または上述の組み合わせ処方(即ち、一般式(I)のホルボールエステル化合物または関連の或いは誘導体化合物、及び非ホルボールエステル治療薬の両方を包含する)を使い、非ホルボールエステル治療薬、またはここで考慮されるその他の任意の二次的または補助的治療薬と併用して投与される。この併用投与は同時に、またはいずれかの順に行うことができ、かつ1つのみまたは両方(或いは全部)の活性治療薬が個別に及び(または)集合的にそれらの生物学的活性を発揮する間に一定の期間を有し得る。
【0096】
ある実施例において、上述の併用療法は、例えば、さまざまな高活性抗レトロウイルス剤療法プロトコル(HAARTプロトコル)に従って、またはそれらから派生したものであってもよく、かついくつかの組み合わせの中でも特に、一般式(I)のホルボールエステル及び2つの核酸系逆転写酵素阻害剤に1つ以上のプロテアーゼ阻害剤または非核酸系逆転写酵素阻害剤を組み合わせたレジメンを含むが、それに限らない。その他の併用療法は、例えば、ホルボールエステル及び(または)日和見感染の治療薬、及びHAARTプロトコルからの化合物を含むことができる。すべての上述の併用療法の特徴は、一般式(I)のホルボールエステル化合物が、二次的または補助的治療薬によるAIDSの症状を軽減するか、または特異的な補助的臨床反応と共に、良好な臨床反応を引き出す何らかの活性を及ぼすことである。往々にして、二次的または補助的治療薬と一般式(I)のホルボールエステル化合物との併用投与は、被験体に一般式(I)のホルボールエステル化合物、または二次的或いは補助的治療薬を単独で投与したときの治療効果を超越する、より高い治療的または予防的結果をもたらす。この能力は直接作用及び間接作用の両方を見込んでいる。
【0097】
例示的実施例で、一般式(I)のホルボールエステル化合物は、例えば、サキナビル、インジナビル、リトナビル、ネルフィナビル、アタザナビル、ダルナビル、フォスアンプレナビル、チプラナビル、アンプレナビルを含むがこれらに限らないプロテアーゼ阻害剤;ジドブジン、ジダノシン、スタブジン、ラミブジン、ザルシタビン、エムトリシタビン、フマル酸テノホビルジソプロキシル、AVX754、アバカビルを含むがこれらに限らない核酸系逆転写酵素阻害剤;ネバリピン、デラビルジン、カラノライドA、TMC125、エファビレンツを含むがこれらに限らない非核酸系逆転写酵素阻害剤;エファビレンツ/エムトリシタビン/フマル酸テノホビルジソプロキシル、ラミブジン/ジドブジン、アバカビル/ラミブジン、アバカビル/ラミブジン/ジドブジン、エムトリシタビン/フマル酸テノホビルジソプロキシル、スルファメトキサゾール/トリメトプリム、ロピナビル/リトナビルを含むがこれらに限らない合剤;エンフビルチド、AMD070、BMS‐488043、フォジブジンチドキシル、GSK‐873,140、PRO140、PRO542、ペプチドT、SCH‐D、TNX−355、UK‐427,857を含むがこれらに限らないエントリー及び融合阻害剤;アシクロビル、アデホビルジピボキシル、アルデスロイキン、アムホテリシンb、アジスロマイシン、カルシウムハイドロキシアパタイト、クラリスロマイシン、ドキソルビシン、ドロナビノール、エンテカビル、エポエチンアルファ、エトポシド、フルコナゾール、ガンシクロビル、免疫グロブリン、インターフェロンα2、イソニアジド、イトラコナゾール、メゲストロール、パクリタキセル、PEGインターフェロンα2、ペンタミジン、ポリL−乳酸、リバビリン、リファブチン、リファンピン、ソマトロピン、テストステロン、トリメトレキサート、バルガンシクロビルを含むがこれらに限らない日和見感染及びその他のAIDS及びHIVに関連する症状の治療薬;GS9137、MK−0518を含むがこれらに限らないインテグラーゼ阻害剤;BMS−378806、C31G、カルボポール974P、カラギーナン、硫酸セルロース、シアノビリン‐N、デキストラン硫酸、ヒドロキシエチルセルロース、PRO2000、SPL7013、テノホビル、UC−781、IL−2を含むがこれらに限らない殺菌剤、などから選択された、1つ以上の二次的HIV治療薬、またはその他の適応薬または補助的治療薬と組み合わせて(組み合わせた或いは個別の処方で、同時に、または順に)投与される。
【0098】
別の実施例で、前記併用療法は、例えばさまざまな化学療法プロトコルに従って、またはそれらから派生したものとすることができる。その他の併用療法は、例えば、ホルボールエステル及び(または)追加的な腫瘍性疾患の症状に対する治療を含むことができる。すべての上述の併用療法の特徴は、一般式(I)のホルボールエステル化合物が、補完的な腫瘍疾患の症状の軽減、或いは二次的または補助的治療薬により提供される特異的な臨床反応と共に、良好な臨床反応をもたらす少なくとも何らかの活性を及ぼすことである。往々にして、二次的または補助的治療薬と一般式(I)のホルボールエステル化合物との併用投与は、被験体に一般式(I)のホルボールエステル化合物、または二次的或いは補助的治療薬を単独で投与したときの治療効果を超越する、より高い治療的または予防的結果が得られる。この性能には直接作用及び間接作用の両方が見込まれる。
【0099】
例示的実施例の範囲において、一般式(I)のホルボールエステル化合物は、例えば、ドキソルビシン、ビタミンD3、シタラビン、シトシンアラビノシド、ダウノルビシン、シクロホスファミド、ゲムツズマブオゾガマイシン、イダルビシン、メルカプトプリン、ミトキサントロン、チオグアニン、アルデスロイキン、アスパラギナーゼ、カルボプラチン、リン酸エトポシド、フルダラビン、メトトレキサート、エトポシド、デキサメタゾン、コリンマグネシウムトリサリチラートなどの1つ以上の二次的癌治療薬、またはその他の適応薬または補助的治療薬と組み合わせて(組み合わせた或いは個別の処方で、同時に、または順に)投与される。
【0100】
上述したように、本発明のさまざまな実施例のすべてにおいて、前記細胞変性疾病治療法及び処方は、一般式(I)のホルボールエステル化合物を、対象化合物の薬学的に許容される塩、異性体、鏡像体、多形体、溶媒和化合物、水和物、及び(または)プロドラッグのいずれかまたはそれらの組み合わせを含む、多様な形態のいずれかで用いる。本発明の例示的実施例において、治療処方及び治療法の中では例示的にTPAを用いる。
【0101】
本発明の医薬組成物は、それらの治療的または予防的目的を達する任意の手段によって投与することができる。本発明の組成物の投与に適した経路は、静脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、くも膜下腔、脳室内、動脈内、皮下、鼻腔内経路などへの注入法を含む従来の送達経路、装置、方法を含むが、これらに限定されない。
【0102】
本発明の組成物はさらに、使用する特定の投与法に適した薬学的に許容される担体を含むことができる。本発明の組成物の投薬形態は、医薬品の分野において上述した投与量単位の製剤に適していると認められる賦形剤を含む。前記賦形剤は、結合剤、増量剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味料、香味剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤及びその他の従来の賦形剤及び添加剤を含むが、これらに限らない。
【0103】
必要があれば、本発明の組成物は、親水性のスローリリースポリマーなどのスローリリース担体の使用により放出制御形式で投与することができる。関連する例示的放出制御剤は、約0.1Pa・s(約100cps)から約100Pa・s(約100,000cps)の範囲の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはコレステロールなどの他の生体適合性マトリックスを含むが、これらに限らない。
【0104】
本発明の一般式(I)のホルボールエステル組成物のいくつかは、例えば静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内等に投与するなど非経口投与向けに設計され、それらは本発明のその他多くの意図される組成物のように、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬及び(または)哺乳類被験体の血液で処方の等浸透圧を変化させる溶質を含む水性及び非水性無菌注射液;及び懸濁化剤及び(または)増粘剤を含む水性及び非水性無菌懸濁液を選択的に含むことができる。処方は単位投与量または多回投与量容器で提供することができる。本発明の追加的組成物及び処方は、非経口投与後の持続放出のためのポリマーを含むことができる。前記非経口製剤は、上述の投与に適した溶剤、分散剤、乳剤とすることができる。対象薬剤は非経口投与後の持続放出のためにポリマーに入れて処方することもできる。薬学的に許容される処方及び成分は、通常無菌または容易に滅菌でき、生物学に不活性で、簡単に投与できる。そのような高分子材料は医薬品業界の当業者によく知られている。非経口製剤は通常、緩衝剤及び保存剤、並びに水や生理食塩水、平衡塩溶液、ブドウ糖液、グリセロールなどの薬学的及び生理学的に許容される注射液を含む。前述の種類の滅菌粉体、細粒剤、錠剤から即席の注射液、乳剤、懸濁液を調合することができる。望ましい単位投与量処方は、活性成分の一日の投与量または単位、上述で説明したような一日分の下位投与量、またはそれらの適切なフラクションを含む。
【0105】
より詳細な実施例において、本発明の組成物は、送達のために、例えばコアセルベーション技術や界面重合化によってそれぞれ調製される、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン‐マイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセルなどのマイクロカプセル、微小粒子、ミクロスフェア中;コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、ナノカプセル)中;またはマクロエマルジョン中に封入された一般式(I)のホルボールエステル化合物を含むことができる。
【0106】
上述したように、一部の実施例において、本発明の使用法及び組成物は、薬学的に許容される塩、例えば上述で説明した一般式(I)のホルボールエステル化合物及び(または)関連の、或いは派生的な化合物の酸付加塩や塩基性塩を用いることができる。薬学的に許容される付加塩の例は、無機及び有機酸付加塩を含む。適当な酸付加塩は、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素などの無毒性塩を形成する酸から形成される。さらに薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩などの金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属;トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’‐ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機アミン塩;アセタート、クエン酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸、アセタート、ジクロロアセタート、トリフルオロアセタート、シュウ酸塩、ギ酸塩などの有機酸塩;メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホナート、p−トルエンスルホン酸塩などのスルホン酸塩;アルギニン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩などのアミノ酸塩を含むが、これらに限らない。適当な塩基性塩は、無毒性塩を形成する塩基から形成される。例えば、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、ジエタノールアミン塩などである。
【0107】
その他の詳細な実施例で、本発明の使用法及び組成物は一般式(I)のホルボールエステルのプロドラッグを用いる。プロドラッグは生体内で活性親薬物を放出するあらゆる共有結合担体であるとみなされる。本発明の範囲内で有用なプロドラッグの例は、ヒドロキシアルキル基またはアルキルアミノ基を置換基とするエステルまたはアミドを含み、これらは上述のような化合物を無水コハク酸などの無水物と反応させることで調製することができる。
【0108】
本発明はまた、前記化合物の生体内代謝産物(対象の前駆体化合物の投与後に生体内で生成されたもの、または代謝産物そのものの形態で直接投与されるもののいずれか)を使用した一般式(I)のホルボールエステルを含む使用法及び組成物を含むものと理解される。前記産物は、主に酵素過程による投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などに由来する。従って本発明は、代謝産物の生成に十分な期間にわたり、一般式(I)のホルボールエステル化合物を哺乳類被験体に接触させることを含むプロセスによって生成された化合物を用いる本発明の使用法及び組成物を含む。前記産物は通常、放射性標識された本発明の化合物を調製し、それを検出可能な投与量でラット、マウス、モルモット、サルなどの動物または人に対して非経口投与し、代謝が生じるに足る時間を与え、かつ変換産物を尿、血液、その他の生体試料から分離することによって同定される。
【0109】
ここで開示する本発明はまた、標識された(例:同位体標識、蛍光標識または従来の方法を用いて標識された化合物の検出を可能にするためのその他の標識)一般式(I)のホルボールエステル化合物を癌及び(または)AIDSの危険があるか、またはそれらの1つ以上の症状を示している哺乳類被験体に(例:細胞、組織、器官、個体に)接触させ、その後、広範囲の既知の検査及び標識化/検出法のいずれかを用いて、標識された化合物の存在、場所、代謝、及び(または)結合状態を検出する(例:HIV受容体の生理機能/代謝または悪性細胞受容体の生理機能/代謝に関わる無標識の結合パートナーへの結合の検出)ことを含む、哺乳類被験体における白血病などの悪性腫瘍性疾患、及びAIDSまたは関連疾病或いは症状を含む腫瘍性疾患を含むが、これらに限らない細胞変性疾病の危険水準、存在、重篤度、または治療兆候の診断、またはその他の管理のための診断用組成物を含むものとして理解される。例示的実施例において、一般式(I)のホルボールエステル化合物は、異なる原子質量または質量数を有する原子によって1つ以上の原子を置換することで、同位体標識される。本発明の化合物に組み込むことが可能な同位体は、例えば水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素の同位体(例えば、それぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、36Cl)を含む。前記同位体標識された化合物は、従来技術に基づき、その後ヒトまたはその他の被験体に投与され、続いて上述のように検出されて、有用な診断及び(または)治療管理データをもたらす。
【実施例】
【0110】
以下で説明する実験は、AIDSの症状を効果的に軽減できるHIV治療薬としてのホルボールエステル及び誘導体化合物の新しい強力な使用を提示する。例示的臨床試験において、HIVとAIDSの従来の治療に反応しない人が、TPAでの治療に反応した。TPAでの治療は、担当医によると、「行き届いて」おり、かつ一部の患者の回復は救命的であると認められた。以下で説明する実験は、さらに腫瘍性疾患の治療におけるホルボールエステル及び誘導体化合物の有用性を示す。以下の実施例で、これらの発見及び追加的な発見についてさらに明らかにする。
【0111】
(実施例1)
S180細胞を接種したマウスにおける末梢血白血球(WBC)及びヘモグロビン(Hb)数に対するTPAの効果:
サルコーマ180(S180)細胞をKwen−Mingマウスに接種した。3日目、マウスにTPAを50、100または200μg/kg/日で7日間腹腔内(i.p.)投与した。治療完了後2日目に処置したマウスの尾から血液試料を採取してWBC及びHb分析を行った。処置群(50、100、200μg/kg/日、7日間)のWBC数はそれぞれ16.1±7.4、18.7±3.0、20.7±3.4×10/Lであった。対照群のWBC数は、13.6±1.8×10/Lであった。処置群のHbは、136±11、149±12、149±10g/Lであり、対照群のHbは134±15g/Lであった。この結果はTPAのi.p.接種がマウスにおける末梢血WBC数を用量依存的に増加させる一方で、TPA処置マウスのHbレベルは対照マウスに比べ大きな影響を受けなかったことを示す。
【0112】
(実施例2)
投与量決定試験
TPAの塗布による強い局所刺激のため、TPAは患者に静脈内点滴(i.v.)で投与された。滅菌注射筒に入れたTPA溶液を無菌食塩水200mlに注入し、i.v.輸液によく混合した。
【0113】
臨床投与された異なるTPA用量の毒性及び副作用:
(1)1mg/患者/週のTPA投与:
溶液中のTPA 1mgが静脈内点滴向けに無菌食塩水200mlとよく混合され、静脈内点滴は16μg/分の速度で1時間内に終了した。TPA投与の1時間後、患者は悪寒を感じ始め、悪寒が約30分間持続した後に発熱が起こり(患者の体温は37.5〜39.5度に達し、3〜5時間持続した後、平常に戻った)、軽度から重度の発汗があった。上記の症状は患者にグルココルチコイドを投与することで軽減された。この用量のTPAは少数の患者に出血を引き起こし、数人の患者に短時間の呼吸困難が見られ、かつHbが尿中に検出された。しかし、これら副作用は短時間かつ可逆性であった。心臓機能、肝機能、腎機能、肺機能はすべて正常であった。
【0114】
(2)0.5mg/患者×2/週のTPA投与:(一週間当たり2回の投与)
溶液中のTPA 0.5mgが静脈内点滴向けに生理食塩水200mlとよく混合され、静脈内点滴は8μg/分の速度で1時間内に終了した。投与後の反応はTPA用量1mgの場合と類似していたが、1mgの投与量よりも軽度であった。患者は少ない用量の方が容易に耐えることができた。時折、Hbが患者の尿中に検出された。呼吸困難は認められなかった。心臓機能、肝機能、腎機能、肺機能はすべて正常であった。
【0115】
(3)0.25mg/患者×4/週のTPA投与:
溶液中のTPA 0.25mgが静脈内点滴向けに生理食塩水200mlとよく混合され、静脈内点滴は4μg/分の速度で1時間内に終了した。投与後、悪寒や発熱などの症状はやはり認められたが、より高い投与量よりもずっと軽度であった。尿中にHbは検出されず、呼吸困難を生じた患者はいなかった。心臓機能、肝機能、腎機能、肺機能はすべて正常であった。
【0116】
(実施例3)
TPA治療を受けたHIV+患者の第1の臨床試験
1995年に輸血によってHIV感染し、HIVの標準治療では難治性の症状のある35〜52歳の患者12人(男性5人、女性7人)がTPA治療を受けた。無菌食塩水200ml中の体重補正用量のTPA(75μg/m)が1時間にわたるi.v.により各患者に投与された。この投与量が治療の最初の3日間1日1回投与された。その後、この投与量が4日目から18日目まで1日おきに各患者に投与され、6ヶ月間の休息期間を経て、同一プロトコルに従い2回目の治療が行われた。
【0117】
TPAの初回投与量の投与前、及び治療サイクルの4日目及び40日目に血液試料を収集した。モノクローナル抗体(Becton Dickson Scientific社、ニュージャージー州フランクリンレイク)及びフローサイトメーター(B. D. Bioscicnce社、カリフォルニア州サンディエゴ)を用いて末梢血中のCD3、CD4、CD8のレベルを測定した。
【0118】
表1に示されるように、CD3、CD4、CD8レベルにおける一貫した変化または相関性は認められなかった。
【0119】
【表1】

下の表2から分かるように、ウイルス負荷の変化についても、5人の患者ではHIVが増加し、他の7人では変化がないか、または減少するという同様の一貫性のない結果となった。
【0120】
【表2】


ウイルス量とCD3、CD4、CD9レベルとの相関性がないにも関わらず、治療後11人の患者に大きな改善が見られた。8人の患者は症状がなくなり、そのうち5人は6〜12ヶ月間寛解となった。さらに3人の患者で症状が軽減した。
【0121】
(実施例4)
TPA治療を受けたHIV+患者の第2の臨床試験
実施例3の患者9人がTPAの第2の治療を受けた。これらの9人のうち7人が第2の試験の開始時に無症状であった。症状があり、以前にTPAの治療を受けていない10人目の患者(患者番号2a)がこの試験に加えられた。各患者には無菌食塩水200ml中の体重補正用量のTPA(75μg/m)が静脈注射で1時間にわたり投与された。この投与量が1日1回、10日間連続して各患者に投与され、10日間の休息期間を挟んで3サイクル、合計30回TPAが投与された。患者5a、6a、8aはTPA治療開始から1ヶ月前に抗AIDS薬の摂取を停止し、3回目のサイクルの1ヶ月後に再度摂取を開始した。患者1〜4a、7a、及び9a〜10aは治療中も抗AIDS薬の摂取を継続した。
【0122】
治療開始の3日前、1回目の10日間のTPA投与サイクル終了後、及び最後のTPA投与後に血液試料を採取し、CD3、CD4、CD8、WBC、RBC、HGB、血小板を測定した。
【0123】
表3に示されるように、1回目及び3回目のTPA投与後にすべての患者においてCD3の増加が見られ、かつ2人の患者(5a及び10a)を除いて3回目のサイクルで最も高い値が認められた。CD8及びCD4は増加傾向にあった。これらの結果は、TPA治療で免疫系が強化されることを示唆している。HIV量ではばらつきのある結果が得られた(表4)。一部の患者におけるHIV量は当該方法で検出できる下限を下回った(200未満)が、他の患者ではやや増加した。WBC、RBC、HGB、血小板(表5)の測定では正常な変動が見られた。
【0124】
【表3】

【0125】
【表4】

【0126】
【表5】

第1の臨床試験で以前にTPA治療を受けた9人の患者のうち、第2の臨床試験の開始前に1人(番号9a)のみAIDSの症状が見られた。第2の臨床試験のTPA治療の3サイクル後、この患者と、TPA治療を受けたことがなかった別の患者(番号2a)は、AIDSの症状が消失し、平常の活動を行うことができるようになった。残りの8人の患者はAIDSの症状がない状態で試験を開始し、試験終了の時点で症状は見られなかった。全患者が観察下におかれた。抗AIDS薬での治療は中断されることなく継続された。
【0127】
表4に示されるように、全患者にCD3、4、8レベルの増加が見られ、CD3レベルの増加が最も顕著かつ一貫していた。HIVのウイルス負荷にはばらつきがあった。3人の患者では検出不能(<200)となり、他の6人ではやや増加し、1人は減少した。
【0128】
(実施例5)
TPA治療を受けたHIV+患者の第3の臨床試験
男性2人、女性4人、37〜52歳の6人の患者(患者番号13〜18)がTPAの治療を受けた。これらの患者のうち4人が抗HIV薬と組み合わせて前の2回の臨床試験でTPA治療を受けた。残る2人の患者はTPA治療を受けたことはないが、以前に抗HIV薬レジメンを受けていた。第3の臨床試験開始の3日前にすべての治療が停止され、TPA治療の終了から60日後まで再開されなかった。標準HIV治療の再開は地域の保健機関によって要求された。
【0129】
本試験において各患者は無菌食塩水200ml中のTPA150μgを毎日1.5〜2時間にわたる静脈内点滴で60日間投与を受け、合計9.0mgの投与量が投与された。60日間のTPA治療の終了後、これら患者はさらに60日間観察下におかれたが、更なる治療は受けなかった。
【0130】
フローサイトメトリーを用いて治療前、及び再度30日目及び60日目に末梢血のCD3、CD4、CD8レベルを測定し、カリフォルニア州サンディエゴのB.D.Bioscience社から適切な抗体を取得した。中国北京市の広安門医院(Kuang Ann men Hospital)で従来の方法を用いてウイルス負荷が判定された。患者のRBC、WBC、血小板、ヘモグロビンのレベルも測定された。
【0131】
表6に示されるように、6人の患者のウイルス負荷は試験開始時では低いか、または検出不能であり、かつ従来の抗レトロウイルス療法の中止にもかかわらず臨床試験期間中低いままであった。加えて、プラズマウイルス負荷が1ml当たり50HIVコピー以下の患者において発生することがこれまでに報告されている(Harrigan et al,AIDS 13,F59〜F62(1999))ような、抗レトロウイルス療法停止6〜15日後のウイルス量のリバウンドは認められなかった。CD3、CD4、CD8レベルはばらつきがあり、結論に達しなかった。
【0132】
【表6】

TPA治療の前、TPA治療開始から15日、30日、45日、60日後、及びTPA治療停止から30日後に白血球(WBC)、赤血球(RBC)、ヘモグロビン(Rb)、血小板(PLt)を測定した。表7に示されるように、ほとんどの値は平常の範囲内であった。
【0133】
この第3の臨床試験に参加した患者らには、抗レトロウイルス療法が中止されたときに通常見られるような、ウイルス負荷のリバウンドは起きなかった。また、患者らは120日間の観察及び治療の期間中AIDS症状の再発はなく、平常の生活を送ることが可能であった。
【0134】
【表7】


(実施例6)
ケーススタディ
実施例3、4、5のプロトコルに従ってTPAで治療を受けた、最初に症状のあったAIDS患者の治療結果である。複数の試験に参加した患者は2つ以上の患者番号で識別されている場合がある。すべての患者識別番号は表1〜7の患者番号に対応する。
【0135】
患者番号1及び15:H.L.Y.、35歳女性、3つのすべての臨床試験に参加しており、2003年にAIDSと診断され、この疾病の明らかな症状があった。第1の臨床試験を開始した時点で、頻繁な発熱、下痢、口腔病変、食欲不振、体重減少、左目失明(シンシチウム形成)、咳(結核)があった。この患者は2004年にスタブジン(D4T)、ラミブジン(3TC)、ネビラピン(NVP)、ジドブジン(AZT)の抗ウイルス薬の摂取を開始した。抗AIDS薬にもかかわらず、この患者はCD4数が3であり、身体的作業は一切できなかった。
【0136】
上記実施例3のプロトコルに従った第1の臨床試験の間、この患者には2〜4時間にわたって継続する38〜39度の体温上昇が4回あった。TPAでの治療後、徐々に症状が改善した。食欲が増進し、下痢、口腔病変、倦怠感が消失したが、視力は損なわれたままであった。体重がいくらか増加し、家事を再開できるようになったと報告された。この患者は抗ウイルス療法を継続した。症状の改善と、CD3、4、8レベル及びウイルス量の変化との間に相関性はなかった。
【0137】
H.L.Y.は上記実施例4で説明した第2の臨床試験に参加した。第2の臨床試験を開始した時点でAIDSの症状はなかった。この引き続くTPAの治療中、この患者に副作用はなかった。TPAでの1回目及び3回目の治療サイクル後、CD3、CD4、CD8レベル及び白血球数が増加した。HIV量はやや高かったが、この患者は平常通りに動くことができ、継続してAIDSの症状は見られなかった。
【0138】
H.L.Y.は上記実施例5で説明した第3の臨床試験に参加した。第3の臨床試験を開始した時点で、この患者にはまだ目の問題があった。第3の臨床試験の間、TPA投与の3日目と4日目に38〜38.5度の発熱があった。試験中または60日間の観察期間中のいずれにおいてもAIDS症状が再び現れることはなかった。この患者には視力以外の症状がなく、気分も正常であり、普段の活動を行うことができた。60日間の観察期間終了後に抗ウイルス療法を再開し、医師の介護下にある。
【0139】
患者番号2:C.X.、49歳女性、第1の臨床試験に参加しており、2004年にAIDSと診断され、この疾病の明らかな症状があった。この患者には軽い口腔病変、倦怠感、皮膚カンジダ症、発熱、食欲不振があった。これらの症状の一部はヘルペスウイルスによるものであった。AZT、DDI、NVPによる治療を受けていたが、副作用のため薬剤治療は終了された。TPA治療の前3ヶ月間は薬剤を摂取していなかった。この患者は入院を繰り返し、仕事をすることができない状態であった。治療前のCD4数は26であった。
【0140】
実施例3のプロトコルに従ったTPA治療中、この患者には1〜2時間にわたって継続する37.5〜38度に達する体温上昇が3回あった。TPAでの治療後、口腔病変、皮膚カンジダ症、発熱が消失した。食欲が回復し、体重が増加して家事を再開するに足るエネルギーを得ることができた。この患者は5ヶ月間無症状のままであり、この期間中抗AIDS薬は与えられなかった。症状の改善と、CD3、4、8レベル及びウイルス量との間に相関性はなかった。
【0141】
患者番号2a:M.S.、48歳男性は、第2の臨床試験のみに参加しており、頻繁な発熱、下痢、体重減少、弱い免疫系、重いうつ状態があり、仕事をすることができなかった。
【0142】
実施例4のプロトコルに従ったTPA治療中、この患者には2〜4時間にわたって継続する38.5〜39度に達する体温上昇が5回あった。
3回目のTPA治療サイクル後、発熱と下痢の問題はなくなった。CD3、CD4、CD8数、及びWBCとHIV量も上向きの傾向を示した。この患者の身体状態及び精神状態は正常に戻り、仕事ができるようになった。
【0143】
患者番号3:Y.P.、51歳男性、第1の臨床試験にのみ参加しており、2004年にAIDSと診断され、この疾病の明らかな症状があった。主な症状は下痢、倦怠感、体重減少、貧血、両脚の皮膚の紫斑であった。この患者は軽労働のみ可能であった。AZT、DDI、NVPによる治療を受けたが、重度の貧血のためTPA投与の4ヶ月前に薬剤での治療が停止された。当初のCD4数は32であった。
【0144】
実施例3に記載のプロトコルに従ったTPA治療中、この患者には1〜2時間にわたって継続する38〜39度に達する体温上昇が3回あった。TPAでの治療後、著しい症状の改善が見られ、重労働を含む仕事に戻ることができ、正常な生活ができるようになった。この患者はTPA治療後の5ヶ月間無症状のままであり、この期間中抗ウイルス薬は与えられなかった。CD3、4、8レベルと症状の改善との間に相関性は見られなかったが、ウイルス量にいくらかの増加が見られた。
【0145】
患者番号4:L.W.、34歳男性、第1の臨床試験にのみ参加しており、2004年にHIV+と診断され、この疾病の明らかな症状があった。主な症状は下痢、発熱、体重減少、咳(結核)、右側頚部リンパ節腫脹であり、仕事ができなかった。この患者の治療に対する初期の反応は弱かった。抗ウイルス薬3TC、DDI、NVPのスケジュールは不規則で、TPA治療中は停止された。当初のCD4数は173であった。
【0146】
実施例3のプロトコルに従ったTPA治療中、この患者には0.5〜1時間にわたって継続する38〜39度に達する体温上昇が5回あった。TPAでの治療後、下痢の発作は下痢止め薬で対処することができた。食欲が増進した結果、体重及びエネルギーが増加したため、この患者は通常の仕事のスケジュールに戻ることができた。リンパ節は正常な大きさに戻った。抗ウイルス薬での治療が続行された。症状の改善とCD3、4、8レベル及びウイルス量との間に相関性はなかった。
【0147】
患者番号5及び3a:H.S.、37歳女性、第1及び第2の臨床試験に参加しており、2004年にHIV+と診断され、この疾病の明らかな症状があった。第1の臨床試験を開始した時点で、主な症状は皮膚カンジダ症、脱毛、口腔内感染症、体重減少、倦怠感であった。この患者はD4T、DDI、NVPによる治療を受けていたが、腎臓機能喪失のため治療は停止された。当初のCD4数は106であったが、通常の労働は可能であった。
【0148】
実施例3のプロトコルに従ったTPA治療中、この患者には0.5〜1.0時間にわたって継続する37.5〜38度に達する体温上昇が5回あった。TPAでの治療後、症状の改善は見られなかった。抗ウイルス薬での治療が再開されたが以前のような副作用はなく、1ヵ月後に症状の重篤度が軽減された。この治療が継続され、患者は仕事に戻ることができた。症状の改善と、CD3、4、8レベルまたはHIV量との間に相関性はなかった。
【0149】
第2の臨床試験の時点で、この患者にはAIDSの症状がなく、また実施例4で説明した一連の治療に対する副作用はなかった。第2の臨床試験の後、この患者のCD3、CD4、CD8レベル、及び白血球数と血小板レベルに上昇の傾向が見られた。HIV量は最初検出不能であったが、治療の3回目のサイクル後増加した。この患者は仕事をすることができる。
【0150】
患者番号6、4a、17:H.S.C.、36歳男性、3つの試験すべてに参加し、2004年にHIV+と診断され、明らかながらも軽度の症状があった。第1の臨床試験を開始した時点で、この患者には眩暈、頭痛、食欲不振、ウイルス性上気道感染を起こしやすいといった症状があったが、労働者として定期的に仕事をすることができた。この患者は抗ウイルス薬AZT、DDI、NVPによる治療を受けていたが、副作用のためそれらの使用は停止された。当初のCD4レベルは232であった。
【0151】
実施例3のプロトコルに従ったTPA治療中、この患者には体温の上昇またはその他の副作用が発生しなかった。治療後、症状は変化せず、TPA治療とは無関係の血小板の減少が見られた。抗ウイルス薬での治療は継続され、それまで通り仕事をすることができた。症状の改善と、CD3、4、8レベル及びウイルス負荷との間に相関性はなかった。
【0152】
第2の臨床試験の時点で、この患者に症状はなく、免疫系は正常に機能していた。実施例4に従った第2の臨床試験の間、TPAでの治療による副作用はやはりなかった。CD3、CD4、CD8数、及び白血球数に若干の増加が見られた。ウイルス負荷は最初検出不能であったが、治療の3回目のサイクル後に増加した。しかし、この患者にAIDSの症状はなく、仕事に戻ることができた。
【0153】
第3の臨床試験の開始時点で、この患者に症状はなかった。実施例5のプロトコルに従ったTPA治療の間、32日目に針からの漏れによる局所刺激があったが、それは3日間のうちに対処された。この患者は無症状で、気分は正常であり、重労働が可能であった。60日間の観察期間の終了後に抗ウイルス療法を開始し、医師の治療下におかれている。
【0154】
患者番号7、5a、16:H.C.L.、49歳男性、3つの臨床試験すべてに参加し、2004年にHIV+と診断され、この疾病の明らかな症状があった。第1の臨床試験の時点での主な症状は、体重減少、皮膚カンジダ症、倦怠感、食欲不振、咳(結核)であるが、軽労働を行うことができた。この患者はD4T、DDI、NVP、抗結核薬による治療を同時に受けていた。この患者の当初のCD4数は10であった。
【0155】
実施例3のプロトコルに従ったTPAでの治療中、この患者には軽度の眩暈と頭痛を伴う38度に達する体温上昇が2回あった。治療後、症状は変化せず、抗ウイルス療法が1ヵ月後に再開された。時間の経過と共に咳、食欲、活力レベルが改善され、仕事をすることができた。この患者は抗ウイルス薬及び抗結核薬を継続した。症状の改善と、CD3、4、8レベルまたはウイルス負荷との間に相関性はなかった。
【0156】
第2の臨床試験の時点で、この患者にAIDSの症状はなく、免疫系は正常に機能していた。第2の臨床試験中、TPA治療の副作用はなかった。治療後、CD4レベルは変化しなかったが、CD3及びCD8レベル、白血球数に上昇の傾向が見られた。ウイルス負荷は検出不能であった。この患者にAIDSの症状はなく、仕事に戻ることができた。
【0157】
第3の臨床試験の時点で、この患者にAIDSの症状はなかった。実施例5のプロトコルに従った治療中、1回の発熱があった。この患者は無症状で、気分は正常であり、重労働が可能であった。60日間の観察期間の終了後に抗ウイルス薬を再開し、医師の治療下におかれている。
【0158】
患者番号8、6a、18:Y.X.O.、36歳女性、3つの臨床試験すべてに参加し、2004年にHIV+と診断された。第1の臨床試験時点での主な症状はウイルス性上気道感染を起こしやすいことであった。この患者はAZT、DDI、NVPによる治療を受けていた。試験の開始時、この患者のCD4レベルは524で、通常の労働が可能であった。
【0159】
実施例3のプロトコルに従ったTPA治療中、この患者には4時間にわたって継続する38.5度に達する体温上昇が1回あった。治療後、風邪を引く頻度が減少し、その他の症状は見られなかった。抗ウイルス薬での治療が継続され、仕事をすることができた。症状の改善と、CD3、4、8レベルまたはウイルス負荷との間に相関性はなかった。
【0160】
第2の臨床試験の時点で、AIDSの症状はなく、免疫系は正常に機能していた。実施例4のプロトコルに従った第2の臨床試験中、1回2時間にわたって体温が再度38.5度まで上昇した。治療後、CD3、CD8レベルがやや上昇し、CD4と白血球数は変化しなかった。ウイルス負荷は検出不能であった。この患者は平常通りに見え、身体的作業に従事することができた。
【0161】
第3の臨床試験の時点で、この患者は無症状であった。実施例5のプロトコルに従った治療の唯一の副作用は、治療の2日目に2時間にわたって継続した38〜39度の発熱であり、また36日目に針からの漏れによる皮膚の刺激が生じたが、これは2日でなくなった。この患者は無症状のままであり、気分は正常で重労働が可能であった。60日間の観察期間の終了後に抗ウイルス療法を再開し、医師の管理下におかれている。
【0162】
患者番号9及び7a:C.T.F.、44歳男性、第1及び第2の臨床試験に参加しており、2004年にHIV+と診断され、この疾病の明らかな症状があった。第1の臨床試験開始時点の症状は、持続性下痢、眩暈、頭痛、食欲不振、体重減少、倦怠感であった。この患者はAZT、DDI、NVP治療に良好に反応しており、血中HIV量はほぼ下限近くであった。良好な反応にも関わらず、症状は持続しており、20日間持続した下痢のため病院に入院した。精神的落ち込みがひどく、仕事ができない状態であった。
【0163】
実施例3のプロトコルに従ったTPA治療中、この患者には2〜4時間にわたる37.5〜38度の発熱が6回あった。TPAの投与中一度針からの漏れがあり、重度の皮膚刺激を引き起こしたが、それは無事に処置された。TPAでの8回の治療後、軽度の眩暈と頭痛が持続したが、下痢は減少し、食欲が改善された。一週間後、下痢は完全に止まり、正常な食欲が戻った。仕事に戻ることができ、抗ウイルス薬による治療を受けている。CD3、4、8レベルの上昇傾向が見られ、HIV量は検出不能であった。
【0164】
第2の臨床試験の時点で、この患者にはAIDSの症状がなく、免疫系は正常に機能していた。実施例4のプロトコルに従ったTPA治療中、副作用は起きなかった。治療後、CD3、CD4、CD8レベルが若干増加したが、白血球数に変化はなかった。HIV量はやはり検出不能であった。この患者は力仕事をすることができた。
【0165】
患者番号10及び8a:W.F.W.、47歳女性、第1の臨床試験及び第2の臨床試験に参加しており、2003年にHIV+と診断され、この疾病の明らかな症状があった。第1の臨床試験開始時点での症状は、低体温、下痢、低血小板数、喀血、血便、眩暈、頭痛、食欲不振、体重減少、倦怠感、軽度の皮膚カンジダ症、重いうつ状態であった。この患者は、一度血便のため2ヶ月間入院した。この患者は重いうつ状態であったため仕事はできなかった。AZT、DDI、NVP治療によく反応せず、症状を制御することができなかった。
【0166】
実施例3のプロトコルに従った1回目のTPAでの治療中、この患者には4時間にわたって持続する38.5度の発熱が一度あった。TPA治療後、眩暈、頭痛、下痢が徐々に軽くなった。最終的に食欲が戻り、体重が増加して活力レベルが向上した。血小板数はマイクロリットル当たり30,000から110,000に増加し、皮膚カンジダ症及び下痢がなくなった。再び仕事をすることができるようになり、抗ウイルス薬による治療を受けた。時々発熱及び下痢があったが、薬剤で制御可能であった。
【0167】
6ヵ月後、この患者は軽度の頭痛と眩暈を生じ、2回目のTPA治療を受けた。2回目のTPA治療中、2〜4時間持続する37.5〜38度の発熱が5回あった。TPAの13回目の投与から20時間後、体温が40.5度に達し、数時間持続した。体温の上昇はTPA治療と無関係であると結論付けられた。
【0168】
2回目のTPA治療後、この患者の症状は消失し、食欲が改善されて体重が増加したことで、活力を取り戻して仕事に戻ると共に、通常の生活ができるようになった。この患者は1年間無症状であり、2回目のTPA治療後6ヶ月にほとんど風邪を引くことはなかった。CD3、4、8レベル及びHIV量に上昇の傾向があった。
【0169】
実施例4のプロトコルに従った第2の臨床試験の時点で、この患者のAIDSの症状はないままであり、免疫系は正常に機能していた。治療中副作用はなかった。治療後、CD3、CD4、CD8数、及びWBCが若干増加した。HIV量は若干増加した。この試験以来この患者は健康を維持しており、労力を伴う仕事に従事できるようになった。
【0170】
患者番号11及び9a:C.T.L.、40歳女性、第1及び第2の臨床試験に参加しており、2003年にAIDSと診断され、この疾病の明らかな症状があった。第1の臨床試験開始時、持続的な下痢、低体温、口腔病変、重い皮膚カンジダ症、かゆみ、顔と唇の紫斑、眩暈、頭痛、食欲不振、倦怠感、うつ状態の症状があった。AZT、3TC、NVP治療に対する反応が不十分であった。この患者の症状を制御することはできず、仕事ができない状態であった。当初のCD4数は40であった。
【0171】
1回目のTPA治療中、この患者には2〜4時間持続する38〜39度に達する発熱が4回あった。息切れが二度あり、それぞれ20〜30分間持続した。
TPAの6回目の投与の後、皮膚カンジダ症がなくなり始め、TPA治療の終了時には眩暈、頭痛、発熱、皮膚カンジダ症が改善され、徐々に消失した。食欲、体調、うつ状態が改善され、仕事に戻ることができた。
【0172】
この患者は軽度の皮膚カンジダ症、下痢、眩暈を含む症状を再発したため、18ヵ月後にTPAによる2回目の治療を受けた。この2回目の治療中、2〜4時間持続する37.5〜38度の発熱が3回あった。その他の副作用は見られなかった。TPAでの治療後、症状は完全に消失し、体調が改善して仕事に戻ることができた。1年間無症状のままであり、風邪もほとんど引かなくなった。CD3、4、8レベルの上昇傾向が見られたが、HIV量は変化しなかった。
【0173】
実施例4のプロトコルに従った第2の臨床試験の時点で、この患者には頭痛、眩暈、食欲不振、免疫系機能の低下を含むAIDSの症状があった。治療中副作用はなかった。治療後、CD3及びCD8レベルが増加したが、CD4数は変化しなかった。HIV量は若干増加したが、その他の変化は見られなかった。精神的及び身体的状態がかなり改善し、強度の身体的作業ができるようになった。
【0174】
患者番号12及び10a:C.C.L.、39歳女性、第1の臨床試験及び第2の臨床試験に参加し、2003年にAIDSと診断され、この疾病の明らかな症状があった。第1の臨床試験の開始時、持続的低体温、皮膚カンジダ症、眩暈、頭痛、食欲不振、口腔病変、倦怠感、うつ状態の症状があった。この患者はAZT、3TC、NVPによる治療を受けたが結果は芳しくなく、仕事をすることはできなかった。当初のCD4数は84であった。
【0175】
この患者は2005年3月から2006年3月の間に2回TPAによる治療を受けた。TPAによる1回目の治療中、2〜4時間持続する38〜38.5度の発熱が8回あった。この患者には15分間続いた息切れが一度あり、針からの漏れによる皮膚刺激があった。
【0176】
7回目の投与後、口腔病変が消失した。投与をすべて終了した時点で、すべての症状が消失し、体調が改善され、この患者は仕事に戻ることができた。
6ヵ月後、この患者は軽い下痢と眩暈を再発したため、再度TPAによる治療を受けた。TPA投与に伴い、2〜6時間持続する37.5〜38度に達する発熱が6回あった。8回目の投与から投与量を約150μgから250μgのTPAに増加した。副作用は起きなかった。TPA治療の終了時、症状は消失していた。この患者の体調は正常に戻り、仕事と通常の生活に戻った。この患者は1年間無症状であり、風邪もほとんど引いていない。CD3、4、8レベルに変化はなかったが、HIV量が増加した。
【0177】
第2の臨床試験の時点で、この患者にAIDSの症状はなかったが、免疫系が弱くなっていた。この患者は実施例4のプロトコルに従って治療を受け、副作用はなかった。治療後、CD3、CD4、CD8の若干の増加が見られ、WBC、RBC、HGBがやや増加したが、血小板は減少した。HIV量はやや減少した。この患者は治療後健康を維持しており、力仕事に従事することができた。
【0178】
患者番号13:L.F.L.、53歳女性、2004年にAIDSと診断され、第3の臨床試験にのみ参加した。この患者には食欲不振及び体重減少の軽度の症状があった。長期間の抗ウイルス薬が有効であり、ウイルス量は検出可能なレベルを下回っており、CD3、CD4、CD8数は高いレベルに増加していた。TPA治療前に症状はなく、投与の副作用もなかった。この患者は無症状のままで、気分は正常であり、平常の活動を行うことができた。この患者は60日間の観察期間終了後、抗ウイルス薬による治療を再開した。
【0179】
患者番号14:K.S.M.、45歳女性、2004年にAIDSと診断され、第3の臨床試験にのみ参加した。症状は軽度で、食欲不振と頻繁な風邪があった。この患者は抗ウイルス薬による治療を受けていたが、重度の肝臓毒性のため停止した。TPA治療前に症状はなく、唯一のTPAの副作用は43日目に発生した針からの漏れによる刺激で、これは容易に処置された。治療及び観察期間全体にわたってAIDSの症状は発生しなかった。気分は正常で、通常の活動を行うことができた。60日間の観察期間後、この患者はこの試験から離脱し、抗ウイルス療法を再開しなかった。
【0180】
(実施例7)
TPAによる再発性/難治性悪性腫瘍の治療
組織学的に診断された再発性/難治性血液悪性腫瘍/骨髄疾患を有する患者が、TPA(Xichuan Pharmaceuticals、中国河南省南陽)、デキサメタゾン、コリンマグネシウムトリサリチラートの組み合わせによる治療を受けた。急性骨髄性白血病(AML)の治療におけるTPAの治療上の使用を実証するための、以下で説明する比較方法が、その他の腫瘍性疾患及び悪性腫瘍の治療のためのTPA使用を実証するために適用される。本発明の方法及び組成物を用いた治療に適するその他の腫瘍性疾患と悪性疾患には、血液及び骨の悪性腫瘍及び多様な種類の固形腫瘍を含む癌のさまざまな形態が含まれる。ここで説明する特定のプロトコルに加え、治療の成功及び(または)寛解は、標的とするさまざまな腫瘍性及び悪性疾患について、幅広い既知の癌検出法及び評価法のいずれかを用いて判定される。例えば、固形腫瘍の大きさの縮小の判別、腫瘍の成長、段階、転移能、組織学的癌マーカーの存在/発現量などを評価する組織病理学的試験によって行われる。
【0181】
AMLは侵攻性疾患であり、通常緊急かつ集中的な治療を要する。AML診断時の患者の平均年齢は64〜68歳であり、標準的化学療法で治療を受けた60歳以上の患者の当時の治癒率は<20%である。従前に血液疾患または白血病の化学療法/放射線治療を経験した後にAMLを発症した患者も同様に転帰不良であり、特定の有害な細胞発生学的及び臨床的特徴に関連する疾患を有する患者も同様である。このため、AMLと診断されたほとんどの患者が、かなりの予後不良に関する患者及び(または)疾患関連の特徴を有する。再発性疾患を持つ患者については、標準的な非移植治療のいずれも治癒の能力を示していない。これらの患者にとって、AMLは往々にして致死的疾患である。AMLの治療に対する新しいアプローチが必要である。
【0182】
本発明の使用法及び組成物を用いて、細胞内シグナル伝達経路の調整、細胞株における分化及び(または)アポトーシスの誘導能力におけるTPAの新しい役割、及び骨髄性悪性腫瘍を含む腫瘍性及び悪性疾患の治療におけるTPAの有効性を示す臨床データに基づき、TPAがAML患者の治療のための治療薬剤として開発された。
【0183】
これまでに、TPAの臨床評価は、細胞の生存及びアポトーシス分析により、AML患者の少なくとも1つの小集団において、TPAが直接の治療的細胞傷害効果を発揮することを示している。ウエスタン分析によって分析された初代培養すべてにおいて、TPAは1時間の培養によってERKリン酸化を強く誘導した。初代AML細胞に対するTPAの細胞傷害効果は、24時間の生体外暴露後のリン酸化ERK生存促進シグナルの喪失に関連付けられる。この見解は、PD98059、U0126、PD184352などのMEK阻害剤によるERKシグナリングの薬理学的中断後の初代AML存続の減少を報告するその他の試験と十分一致している。我々の試験では、ERKシグナリングの喪失は、ERKホスファターゼの誘導に関与した。
【0184】
蛋白質キナーゼC及びERKの活性化に加え、TPAはAMLブラスト及び白血病幹細胞において往々にして構造的に活性な生存促進転写因子であるNF−κBの誘導因子として知られている。我々の研究所の最近の研究で、AML細胞NF−κBはデキサメタゾン+コリンマグネシウムトリサリチラート(CMT)による48時間の治療において、生体内で阻害されることが示されている。加えて、我々はデキサメタゾンがMKP‐1 ERKホスファターゼ発現を誘導し、初代AML試料に対するTPA細胞毒性を高めることができることを示している。これを背景に、以下の例示的実施例では、デキサメタゾン及びCMTを補助的薬剤として、TPAによる治療の24時間前及び24時間後に使用することを選択した。これらの薬剤は良好に許容され、かつERKホスファターゼ発現を増加させ、NF−κBを阻害することにより、治療の炎症性副作用の抑制及びTPA細胞毒性の強化が見込まれる。加えてデキサメタゾン及びCMTが補助薬剤として使用され得るが、これはそれらが消炎性であり、副作用を改善することができ、かつ恒常的NF−κBの発現の抗アポトーシス効果の阻害及びシグナル伝達経路の活性を低下させるホスファターゼの誘導により、抗白血病活性を強化することができるためである。
【0185】
最初のTPAフェーズ1の試験には35人の患者[再発性/難治性AML23人、その他に骨髄性悪性腫瘍2人(CML‐急性転化、芽球増加型骨髄異形成)、ホジキン病3人、非ホジキン病リンパ腫3人、固形腫瘍4人]が参加した。患者の大多数が再発性/難治性AMLを有していた。臨床試験結果には、5ヶ月以上安定しているAML患者1人が含まれ、この患者はTPAの投与を8回受けた。別のAML患者において、TPA投与後に循環芽球数の顕著な(5倍)減少が見られた。この白血病性芽球の減少は4週間続き、患者は最終的に真菌感染症で死亡した。最後に、再発性かつ難治性ホジキン病の患者は、高用量の自家造血幹細胞救援化学療法にも関わらず、TPA投与後に胸壁腫瘤の部分寛解があった。TPA投与量増加が完了し、最後のコホートで、1〜5日目、8〜12日目に0.188mg/m2の投与量で治療を受けた患者の3分の2にグレード3非血液性用量制限毒性(DLT)が認められ、l〜5日目及び8〜12日目の単剤としての最大許容TPA投与量0.125mg/m2/日が確立された。
【0186】
AML及びその他の血液悪性腫瘍の場合、TPAの初回投与量1mg/週×3週間(1日目、8日目、15日目)が継続的/断続的パルス酸素濃度計を使用して6時間にわたって患者に投与された。TPA治療開始の24時間前から、患者は6時間毎にデキサメタゾン10mg及び8時間毎にコリンマグネシウムトリサリチラート(CMT)1500mgの投与を受け、TPAの投与後24時間まで継続された。TPAの初回投与量の投与後、患者には2週間の休息期間が与えられ、その後再評価を受けた。TPAの初回投与量から疾病反応または安定化が見られた患者は、以下のプロトコルに従って、28日間のサイクルで最高6サイクルの治療を受けた。
【0187】
2週間の休息期間後、患者にはTPA投与の30分前にタイレノール650mg及びベナドリル25〜50mg(患者の体重と年齢に応じて)が事前投与された。その後、2週間連続で一週間に5日間中心静脈カテーテルによりTPAの静脈内点滴が行われ、その後2週間の休息期間がおかれた。TPAは生理食塩水200ml中1mgの用量で1時間にわたり投与された。TPA治療開始の24時間前から、患者は6時間ごとにデキサメタゾン10mg、8時間ごとにコリンマグネシウムトリサリチラート1500mgをTPA投与の24時間後まで継続して投与された。
【0188】
TPAの血中濃度は投与前及び投与後に有機溶媒抽出分化活性を測定するバイオアッセイを用いて測定した。血液1mlを5mlの酢酸エチルで2回抽出し、抽出残渣をエタノール50μLに再溶解し、HL60細胞のアリコートを加えた。48時間後、付着細胞を測定した。
【0189】
試験はTPA投与の前及び後に採取した血液試料でも実施し、白血球、血小板、好中球のレベルを判定した。試料はさらに骨髄芽球とアウエル小体の存在についても分析された。これら及び継続中の実験は、AML及びその他の腫瘍性及び悪性疾患における腫瘍細胞に対するTPAの治療的細胞毒性及びその他の効果をさらに解明する。
【0190】
(実施例8)
ERK活性調節の測定
白血病の患者及びリンパ腫/固形腫瘍患者の末梢血単核細胞中の循環悪性細胞におけるリン酸化ERKレベルを測定する。実施例7のプロトコルに従って治療を受ける患者から、TPA投与の前及び後に血液試料を採取する。
【0191】
WBC≧1000/μLの白血病患者において、血液試料に対し、フルオロフォアに直接結合された細胞表面抗原特異及びリン酸化ERK特異抗体を用いてフローサイトメトリーが実施された(BD Biosciences社、カリフォルニア州サンノゼ)。試料はTPA投与の前、及びTPA投与後実施例7のプロトコルに従った初回治療の1日目、2日目、11日目、及びその後のサイクルの1日目及び11日目に採取された。絶対白血病性芽球数≧2500/μLの白血病患者及びその他の非白血病患者においては、実施例7のプロトコルに従った初回サイクルの1日目、8日目、15日目に、投与の前、投与1時間後及び4時間後に末梢血試料が採取された。試料はさらに、フローサイトメトリーで取得した確認するため、リン酸化ERK、及び総ERK1/2レベルについてウエスタンブロット分析を用いて分析され、臨床反応と相互に関連付けられた。
【0192】
前述の分析はさらに、初代AML細胞によって例示される、悪性細胞に対するTPAの細胞傷害効果、及びリン酸化ERK生存促進シグナルのTPAによる関連の減少を含め、腫瘍性及び悪性疾患の治療におけるTPAの役割を解明し得る。
【0193】
(実施例9)
NF−κB調節の測定
先の試験で、デキサメタゾン及びTPAの投与の後、患者においてNF−κB活性が調節されることを示した。加えて、デキサメタゾンがMKP‐1ERKホスファターゼ発現を誘導し、TPA細胞毒性を高めることが示された。次の試験は、TPA+デキサメタゾンによる治療を受けた患者においてNF−κB活性が治療上どのように調節されるかをさらに解明する。
【0194】
実施例7に従ったTPA治療を受ける患者からの、基準時及び投与前並びに投与後の末梢血試料において、ELISAベースのアッセイを使用し、NF−κB結合を測定した(BD Bioscience社、米国サンノゼ)。細胞抽出物の限られた量で結合を検出するために、NF−κB濃度は96穴フォーマットを使い化学発光強度を用いて定量化された。加えて、白血病性芽球絶対数≧2500/μLの白血病患者及び正常な白血球数のその他の非白血病患者からの末梢血試料中のNF−κB結合を測定するため、ゲルシフトアッセイを実施した。
【0195】
先の試験はさらに、PAはNF−κBの誘導因子であるが、これらの実験はAML細胞NF−κBがデキサメタゾンとコリンマグネシウムトリサリチラートによる治療で阻害可能であることを示した。
【0196】
(実施例10)
白血病遺伝子発現における変化の判定
TPAは、生存促進ERK経路シグナリングを終結可能ないくつかの二重特異性ホスファターゼのRNA濃度を誘導する。リアルタイムRT−PCR及びオリゴヌクレオチドマイクロアレイ分析を使い、MAPK特異的DUSPなどのAMLシグナリング成分のRNA発現を調査するため、実施例7に従ってTPAによる治療を受けたAML患者からの投与前及び後に採取された血液試料を使用した。
【0197】
本発明を明確に理解できるようにするため、例を挙げて詳細に説明してきたが、限定ではなく例示の目的で提示された特許請求の範囲から逸脱することなく種々の変更例及び変形例を実行することができることが、技術者には明らかであろう。前述の開示において、説明を簡略にするためにさまざまな刊行物及びその他の参考文献が引用されている。それら参考文献は、言及によりその開示内容全体が全目的で本明細書に組込まれる。ただし、本明細書で言及されるさまざまな刊行物は、本出願の出願日前の刊行物の開示のためにのみ提供され、本発明の出願人は先行発明を理由として前記開示に先行する権利を有する。
【0198】
【表8】














【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類被験体におけるHIV感染または疾患を抑制または治療する方法であって、一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体、或いはそれらの薬学的に許容される塩、異性体、鏡像体、溶媒和化合物、水和物、多形体、またはプロドラッグの有効量の前記被験体への投与を含むことを特徴とする方法。
【化1】

(式中、R及びRは、水素、
【化2】

及びそれらの置換誘導体を含む基から選択され、Rは、水素、
【化3】

及びその置換誘導体から選択される。)
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、R及びRの一方が
【化4】

であり、他方が
【化5】

であり、Rが水素であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記ホルボールエステルが、ホルボール13‐ブチレート、ホルボール12‐デカノエート、ホルボール13‐デカノエート、ホルボール12,13‐ジアセタート、ホルボール13,20‐ジアセタート、ホルボール12,13‐ジベンゾアート、ホルボール12,13‐ジブチレート、ホルボール12,13‐ジデカノエート、ホルボール12,13‐ジヘキサノエート、ホルボール12,13‐ジプロピオネート、ホルボール12‐ミリステート、ホルボール13‐ミリステート、ホルボール12,13,20‐トリアセタート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐テトラデカノエート、ホルボール12‐チグリエート13‐デカノエート、12‐デオキシホルボール13‐アセタート、ホルボール12‐アセタート、またはホルボール13‐アセタートであることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記ホルボールエステルが12‐O‐テトラデカノイルホルボール‐13‐アセタートであることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、さらに前記被験体におけるHIVを治療または抑制するための、前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物との組み合わせ処方または併用治療レジメンで有効な、少なくとも1つの二次的抗レトロウイルス性またはその他の補助的治療剤の投与を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記少なくとも1つの二次的抗レトロウイルス性またはその他の補助的治療剤が、前記ホルボールエステルの前記被験体に対する投与と同時に、またはその前に、或いはその後に組み合わせて投与するプロトコルで前記被験体に投与されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法において、前記少なくとも1つの二次的抗レトロウイルス性またはその他の補助的治療剤が、プロテアーゼ阻害剤、核酸系逆転写酵素阻害剤、非核酸系逆転写酵素阻害剤、合剤、エントリー及び融合阻害剤、アシクロビル、アデホビルジピボキシル、アルデスロイキン、アムホテリシンb、アジスロマイシン、カルシウムハイドロキシアパタイト、クラリスロマイシン、ドキソルビシン、ドロナビノール、エンテカビル、エポエチンアルファ、エトポシド、フルコナゾール、ガンシクロビル、免疫グロブリン、インターフェロンα2、イソニアジド、イトラコナゾール、メゲストロール、パクリタキセル、PEGインターフェロンα2、ペンタミジン、ポリL−乳酸、リバビリン、リファブチン、リファンピン、ソマトロピン、テストステロン、トリメトレキサート、バルガンシクロビル;インテグラーゼ阻害剤、殺菌剤、及びIL−2からなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記有効量が、隔日で約10〜1500μgの前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、前記有効量が、隔日で約150〜500μgの前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記一般式(I)の前記ホルボールエステル化合物または誘導体化合物の前記有効量が、一日一回投与されることを特徴とする方法。
【請求項11】
哺乳類被験体におけるHIV感染またはAIDSの1つ以上の症状または疾患を抑制または治療する方法であって、一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物、或いはそれらの薬学的に許容される塩、異性体、鏡像体、溶媒和化合物、水和物、多形体、またはプロドラッグの有効量の前記被験体への投与を含むことを特徴とする方法。
【化6】

(式中、R及びRは、水素、
【化7】

及びそれらの置換誘導体を含む基から選択され、Rは、水素、
【化8】

及びその置換誘導体から選択される。)
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、R及びRの一方が
【化9】

であり、他方が
【化10】

であり、Rが水素であることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法において、前記ホルボールエステルが、ホルボール13‐ブチレート、ホルボール12‐デカノエート、ホルボール13‐デカノエート、ホルボール12,13‐ジアセタート、ホルボール13,20‐ジアセタート、ホルボール12,13‐ジベンゾアート、ホルボール12,13‐ジブチレート、ホルボール12,13‐ジデカノエート、ホルボール12,13‐ジヘキサノエート、ホルボール12,13‐ジプロピオネート、ホルボール12‐ミリステート、ホルボール13‐ミリステート、ホルボール12,13,20‐トリアセタート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐テトラデカノエート、ホルボール12‐チグリエート13‐デカノエート、12‐デオキシホルボール13‐アセタート、ホルボール12‐アセタート、またはホルボール13‐アセタートであることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法において、前記ホルボールエステルが、12‐O‐テトラデカノイルホルボール‐13‐アセタートであることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法において、さらに前記被験体におけるAIDSの症状または疾患を治療するための、前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物との組み合わせ処方または併用治療レジメンで有効な、少なくとも1つの二次的抗レトロウイルス性またはその他の補助的治療剤の投与を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法において、前記少なくとも1つの二次的抗レトロウイルス性またはその他の補助的治療剤が、前記ホルボールエステルの前記被験体に対する投与と同時に、またはその前に、或いはその後に組み合わせて投与するプロトコルで前記被験体に投与されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項11に記載の方法において、前記少なくとも1つの二次的抗レトロウイルス性またはその他の補助的治療剤が、プロテアーゼ阻害剤、核酸系逆転写酵素阻害剤、非核酸系逆転写酵素阻害剤、合剤、エントリー及び融合阻害剤、アシクロビル、アデホビルジピボキシル、アルデスロイキン、アムホテリシンb、アジスロマイシン、カルシウムハイドロキシアパタイト、クラリスロマイシン、ドキソルビシン、ドロナビノール、エンテカビル、エポエチンアルファ、エトポシド、フルコナゾール、ガンシクロビル、免疫グロブリン、インターフェロンα2、イソニアジド、イトラコナゾール、メゲストロール、パクリタキセル、PEGインターフェロンα2、ペンタミジン、ポリL−乳酸、リバビリン、リファブチン、リファンピン、ソマトロピン、テストステロン、トリメトレキサート、バルガンシクロビル;インテグラーゼ阻害剤、殺菌剤、及びIL−2からなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項11に記載の方法において、前記1つ以上のAIDSの症状または疾患が、口腔病変、倦怠感、皮膚カンジダ症、発熱、食欲不振、下痢、アフタ性潰瘍、吸収不全、血小板減少症、体重減少、貧血及びリンパ節腫脹、トリ型結核菌複合体、サルモネラ症、梅毒、神経梅毒、結核症、細菌性血管腫症、アスペルギルス症、カンジダ症、コクシジオイデス症、リステリア症、骨盤感染症、バーキットリンパ腫、クリプトコックス髄膜炎、ヒストプラスマ症、カポジ肉腫、リンパ腫、全身性非ホジキンリンパ腫、中枢神経原発リンパ腫、クリプトスポリジウム症、イソスポーラ症、微胞子虫症、カリニ肺炎、トキソプラズマ症、サイトメガロウイルス、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、ヒトパピローマウイルス、伝染性軟属腫、口腔毛状白板症、及び進行性巣性白質脳症であることを特徴とする方法。
【請求項19】
AIDSを抑制または防止するために哺乳類被験体におけるHIV感染をコントロールする方法であって、一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物、或いはそれらの薬学的に許容される塩、異性体、鏡像体、溶媒和化合物、水和物、多形体、またはプロドラッグの有効量の前記被験体への投与を含むことを特徴とする方法。
【化11】

(式中、R及びRは、水素、
【化12】

及びそれらの置換誘導体を含む基から選択され、Rは、水素、
【化13】

及びその置換誘導体から選択される。)
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、R及びRの一方が
【化14】

であり、他方が
【化15】

であり、Rが水素であることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法において、前記ホルボールエステルが、ホルボール13‐ブチレート、ホルボール12‐デカノエート、ホルボール13‐デカノエート、ホルボール12,13‐ジアセタート、ホルボール13,20‐ジアセタート、ホルボール12,13‐ジベンゾアート、ホルボール12,13‐ジブチレート、ホルボール12,13‐ジデカノエート、ホルボール12,13‐ジヘキサノエート、ホルボール12,13‐ジプロピオネート、ホルボール12‐ミリステート、ホルボール13‐ミリステート、ホルボール12,13,20‐トリアセタート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐テトラデカノエート、ホルボール12‐チグリエート13‐デカノエート、12‐デオキシホルボール13‐アセタート、ホルボール12‐アセタート、またはホルボール13‐アセタートであることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項19に記載の方法において、前記ホルボールエステルが12‐O‐テトラデカノイルホルボール13‐アセタートであることを特徴とする方法。
【請求項23】
哺乳類被験体におけるHIVを抑制または軽減するための組成物であって、一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物、或いはそれらの薬学的に許容される塩、異性体、鏡像体、溶媒和化合物、水和物、多形体、またはプロドラッグの有効量を含むことを特徴とする組成物。
【化16】

(式中、R及びRは、水素、
【化17】

及びそれらの置換誘導体を含む基から選択され、Rは、水素、
【化18】

及びその置換誘導体から選択される。)
【請求項24】
請求項23に記載の組成物において、R及びRの一方が
【化19】

であり、他方が
【化20】

であり、Rが水素であることを特徴とする組成物。
【請求項25】
請求項23に記載の組成物において、前記ホルボールエステルが、ホルボール13‐ブチレート、ホルボール12‐デカノエート、ホルボール13‐デカノエート、ホルボール12,13‐ジアセタート、ホルボール13,20‐ジアセタート、ホルボール12,13‐ジベンゾアート、ホルボール12,13‐ジブチレート、ホルボール12,13‐ジデカノエート、ホルボール12,13‐ジヘキサノエート、ホルボール12,13‐ジプロピオネート、ホルボール12‐ミリステート、ホルボール13‐ミリステート、ホルボール12,13,20‐トリアセタート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐テトラデカノエート、ホルボール12‐チグリエート13‐デカノエート、12‐デオキシホルボール13‐アセタート、ホルボール12‐アセタート、またはホルボール13‐アセタートであることを特徴とする組成物。
【請求項26】
請求項23に記載の組成物において、前記ホルボールエステルが12‐O‐テトラデカノイルホルボール13‐アセタートであることを特徴とする組成物。
【請求項27】
請求項23に記載の組成物において、さらに前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物との組み合わせ処方で有効な、少なくとも1つの二次的または補助的治療剤を含むことを特徴とする組成物。
【請求項28】
請求項23に記載の組成物において、前記少なくとも1つの二次的または補助的治療剤が、プロテアーゼ阻害剤、核酸系逆転写酵素阻害剤、非核酸系逆転写酵素阻害剤、合剤、エントリー及び融合阻害剤、アシクロビル、アデホビルジピボキシル、アルデスロイキン、アムホテリシンb、アジスロマイシン、カルシウムハイドロキシアパタイト、クラリスロマイシン、ドキソルビシン、ドロナビノール、エンテカビル、エポエチンアルファ、エトポシド、フルコナゾール、ガンシクロビル、免疫グロブリン、インターフェロンα2、イソニアジド、イトラコナゾール、メゲストロール、パクリタキセル、PEGインターフェロンα2、ペンタミジン、ポリL−乳酸、リバビリン、リファブチン、リファンピン、ソマトロピン、テストステロン、トリメトレキサート、バルガンシクロビル;インテグラーゼ阻害剤、殺菌剤、及びIL−2からなるグループから選択されることを特徴とする組成物。
【請求項29】
HIVの潜伏宿主を活性化する方法であって、一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物、或いはそれらの薬学的に許容される塩、異性体、鏡像体、溶媒和化合物、水和物、多形体、またはプロドラッグの有効量の前記被験体への投与を含むことを特徴とする方法。
【化21】

(式中、R及びRは、水素、
【化22】

及びそれらの置換誘導体を含む基から選択され、Rは、水素、
【化23】

及びその置換誘導体から選択される。)
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、R及びRの一方が
【化24】

であり、他方が
【化25】

であり、Rが水素であることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法において、前記ホルボールエステルが、ホルボール13‐ブチレート、ホルボール12‐デカノエート、ホルボール13‐デカノエート、ホルボール12,13‐ジアセタート、ホルボール13,20‐ジアセタート、ホルボール12,13‐ジベンゾアート、ホルボール12,13‐ジブチレート、ホルボール12,13‐ジデカノエート、ホルボール12,13‐ジヘキサノエート、ホルボール12,13‐ジプロピオネート、ホルボール12‐ミリステート、ホルボール13‐ミリステート、ホルボール12,13,20‐トリアセタート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐テトラデカノエート、ホルボール12‐チグリエート13‐デカノエート、12‐デオキシホルボール13‐アセタート、ホルボール12‐アセタート、またはホルボール13‐アセタートであることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項29に記載の方法において、前記ホルボールエステルが12‐O‐テトラデカノイルホルボール13‐アセタートであることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項29に記載の方法において、さらに前記一般式(I)のホルボールエステルまたは関連の或いは誘導体化合物との組み合わせ処方または併用治療レジメンで有効な、二次的抗レトロウイルス性またはその他の補助的治療剤の投与を含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、前記二次的抗レトロウイルス性またはその他の補助的治療剤が、前記ホルボールエステルの前記被験体に対する投与と同時に、またはその前に、或いはその後に組み合わせて投与するプロトコルで前記被験体に投与されることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項33に記載の方法において、前記二次的抗レトロウイルス性またはその他の補助的治療剤が、プロテアーゼ阻害剤、核酸系逆転写酵素阻害剤、非核酸系逆転写酵素阻害剤、合剤、エントリー及び融合阻害剤、アシクロビル、アデホビルジピボキシル、アルデスロイキン、アムホテリシンb、アジスロマイシン、カルシウムハイドロキシアパタイト、クラリスロマイシン、ドキソルビシン、ドロナビノール、エンテカビル、エポエチンアルファ、エトポシド、フルコナゾール、ガンシクロビル、免疫グロブリン、インターフェロンα2、イソニアジド、イトラコナゾール、メゲストロール、パクリタキセル、PEGインターフェロンα2、ペンタミジン、ポリL−乳酸、リバビリン、リファブチン、リファンピン、ソマトロピン、テストステロン、トリメトレキサート、バルガンシクロビル;インテグラーゼ阻害剤、殺菌剤、及びIL−2からなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項29に記載の方法において、前記有効量が、隔日で約10〜1500μgの前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物を含むことを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項29に記載の方法において、前記有効量が、隔日で約150〜500μgの前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物を含むことを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項29に記載の方法において、前記一般式(I)の前記ホルボールエステル化合物または誘導体化合物の前記有効量が、一日一回投与されることを特徴とする方法。
【請求項39】
Th1サイトカインの発現を増加させる方法であって、一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体、或いはそれらの薬学的に許容される塩、異性体、鏡像体、溶媒和化合物、水和物、多形体、またはプロドラッグの有効量の前記被験体への投与を含むことを特徴とする方法。
【化26】

(式中、R及びRは、水素、
【化27】

及びそれらの置換誘導体を含む基から選択され、Rは、水素、
【化28】

及びその置換誘導体から選択される。)
【請求項40】
請求項39に記載の方法において、R及びRの一方が
【化29】

であり、他方が
【化30】

であり、Rが水素であることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項39に記載の方法において、前記ホルボールエステルが、ホルボール13‐ブチレート、ホルボール12‐デカノエート、ホルボール13‐デカノエート、ホルボール12、13‐ジアセタート、ホルボール13、20‐ジアセタート、ホルボール12、13‐ジベンゾアート、ホルボール12、13‐ジブチレート、ホルボール12、13‐ジデカノエート、ホルボール12、13‐ジヘキサノエート、ホルボール12、13‐ジプロピオネート、ホルボール12‐ミリステート、ホルボール13‐ミリステート、ホルボール12、13、20‐トリアセタート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐テトラデカノエート、ホルボール12‐チグリエート13‐デカノエート、2‐デオキシホルボール13‐アセタート、ホルボール12‐アセタート、またはホルボール13‐アセタートであることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項39に記載の方法において、前記ホルボールエステルが、12‐O‐テトラデカノイルホルボール13‐アセタートであることを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項39に記載の方法において、さらにTh1サイトカインを促進するための、前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物との組み合わせ処方または併用治療レジメンで有効な二次的またはその他の補助的治療剤の投与を含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項43に記載の方法において、前記二次的または補助的治療剤が、前記ホルボールエステルの前記被験体に対する投与と同時に、またはその前に、或いはその後に組み合わせて投与するプロトコルで前記被験体に投与されることを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項43に記載の方法において、前記二次的または補助的治療剤が、プロテアーゼ阻害剤、核酸系逆転写酵素阻害剤、非核酸系逆転写酵素阻害剤、合剤、エントリー及び融合阻害剤、アシクロビル、アデホビルジピボキシル、アルデスロイキン、アムホテリシンb、アジスロマイシン、カルシウムハイドロキシアパタイト、クラリスロマイシン、ドキソルビシン、ドロナビノール、エンテカビル、エポエチンアルファ、エトポシド、フルコナゾール、ガンシクロビル、免疫グロブリン、インターフェロンα2、イソニアジド、イトラコナゾール、メゲストロール、パクリタキセル、PEGインターフェロンα2、ペンタミジン、ポリL−乳酸、リバビリン、リファブチン、リファンピン、ソマトロピン、テストステロン、トリメトレキサート、バルガンシクロビル;インテグラーゼ阻害剤、殺菌剤、及びIL−2からなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項39に記載の方法において、前記有効量が、隔日で約10〜1500μgの前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物を含むことを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項39に記載の方法において、前記有効量が、隔日で約150〜500μgの前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物を含むことを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項40に記載の方法において、前記一般式(I)の前記ホルボールエステル化合物または誘導体化合物の前記有効量が、一日一回投与されることを特徴とする方法。
【請求項49】
哺乳類被験体における腫瘍を治療または抑制する方法であって、
一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体、或いはそれらの薬学的に許容される塩、異性体、鏡像体、溶媒和化合物、水和物、多形体、またはプロドラッグの有効量、及び
前記被験体における腫瘍を治療または抑制するための、前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物との組み合わせ処方または併用治療レジメンで有効な、少なくとも1つの二次的または補助的治療剤
の前記被験体への投与を含むことを特徴とする方法。
【化31】

(式中、R及びRは水素、
【化32】

及びそれらの置換誘導体を含む基から選択され、Rは、水素、
【化33】

及びその置換誘導体から選択される。)
【請求項50】
請求項49に記載の方法において、R及びRの一方が
【化34】

であり、他方が
【化35】

であり、Rが水素であることを特徴とする方法。
【請求項51】
請求項49に記載の方法において、前記ホルボールエステルが、ホルボール13‐ブチレート、ホルボール12‐デカノエート、ホルボール13‐デカノエート、ホルボール12,13‐ジアセタート、ホルボール13,20‐ジアセタート、ホルボール12,13‐ジベンゾアート、ホルボール12,13‐ジブチレート、ホルボール12,13‐ジデカノエート、ホルボール12,13‐ジヘキサノエート、ホルボール12,13‐ジプロピオネート、ホルボール12‐ミリステート、ホルボール13‐ミリステート、ホルボール12,13,20‐トリアセタート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐テトラデカノエート、ホルボール12‐チグリエート13‐デカノエート、12‐デオキシホルボール13‐アセタート、ホルボール12‐アセタート、またはホルボール13‐アセタートであることを特徴とする方法。
【請求項52】
請求項49に記載の方法において、前記ホルボールエステルが12‐O‐テトラデカノイルホルボール13‐アセタートであることを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項49に記載の方法において、前記少なくとも1つの二次的または補助的治療剤が、前記ホルボールエステルの前記被験体に対する投与と同時に、またはその前に、或いはその後に組み合わせて投与するプロトコルで前記被験体に投与されることを特徴とする方法。
【請求項54】
請求項49に記載の腫瘍を治療または抑制する方法において、前記少なくとも1つの二次的または補助的治療剤が、ドキソルビシン、ビタミンD3、シタラビン、シトシンアラビノシド、ダウノルビシン、シクロホスファミド、ゲムツズマブオゾガマイシン、イダルビシン、メルカプトプリン、ミトキサントロン、チオグアニン、アルデスロイキン、アスパラギナーゼ、カルボプラチン、リン酸エトポシド、フルダラビン、メトトレキサート、エトポシド、デキサメタゾン、及びコリンマグネシウムトリサリチラートからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項55】
請求項49に記載の方法において、2つの二次的または補助的治療薬が前記被験体に投与されることを特徴とする方法。
【請求項56】
請求項55に記載の方法において、前記2つの二次的または補助的治療薬が、デキサメタゾン及びコリンマグネシウムトリサリチラートであることを特徴とする方法。
【請求項57】
請求項49に記載の方法において、前記有効量が毎日約10〜1500μgの前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物を含むことを特徴とする方法。
【請求項58】
請求項49に記載の方法において、前記有効量が毎日約150〜500μgの前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物を含むことを特徴とする方法。
【請求項59】
請求項49に記載の方法において、前記腫瘍が、血液悪性腫瘍/骨髄疾患により引き起こされた腫瘍であることを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項59に記載の方法において、前記血液悪性腫瘍/骨髄疾患が白血病であることを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項60に記載の方法において、前記白血病が急性骨髄性白血病であることを特徴とする方法。
【請求項62】
請求項49に記載の方法において、前記腫瘍が固形腫瘍であることを特徴とする方法。
【請求項63】
請求項49に記載の方法において、前記腫瘍が再発性腫瘍であることを特徴とする方法。
【請求項64】
請求項49に記載の方法において、前記腫瘍が難治性であることを特徴とする方法。
【請求項65】
哺乳類被験体における腫瘍性疾患の1つ以上の症状または疾患を抑制または治療する方法であって、
一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物、或いはそれらの薬学的に許容される塩、異性体、鏡像体、溶媒和化合物、水和物、多形体、またはプロドラッグの有効量、及び
前記被験体における腫瘍性疾患の症状を治療または防止するための、前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物との組み合わせ処方または併用治療レジメンで有効な、少なくとも1つの二次的または補助的治療剤
の前記被験体への投与を含むことを特徴とする方法。
【化36】

(式中、R及びRは、水素、
【化37】

及びそれらの置換誘導体を含む基から選択され、Rは、水素、
【化38】

及びその置換誘導体から選択される。)
【請求項66】
請求項65に記載の方法において、R及びRの一方が
【化39】

であり、他方が
【化40】

であり、Rが水素であることを特徴とする方法。
【請求項67】
請求項65に記載の方法において、前記ホルボールエステルが、ホルボール13‐ブチレート、ホルボール12‐デカノエート、ホルボール13‐デカノエート、ホルボール12,13‐ジアセタート、ホルボール13,20‐ジアセタート、ホルボール12,13‐ジベンゾアート、ホルボール12,13‐ジブチレート、ホルボール12,13‐ジデカノエート、ホルボール12,13‐ジヘキサノエート、ホルボール12,13‐ジプロピオネート、ホルボール12‐ミリステート、ホルボール13‐ミリステート、ホルボール12,13,20‐トリアセタート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐テトラデカノエート、ホルボール12‐チグリエート13‐デカノエート、12‐デオキシホルボール13‐アセタート、ホルボール12‐アセタート、またはホルボール13‐アセタートであることを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項65に記載の方法において、前記ホルボールエステルが12‐O‐テトラデカノイルホルボール‐13‐アセタートであることを特徴とする方法。
【請求項69】
請求項68に記載の方法において、前記少なくとも1つの二次的または補助的治療剤が、前記ホルボールエステルの前記被験体に対する投与と同時に、またはその前に、或いはその後に組み合わせて投与するプロトコルで前記被験体に投与されることを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項68に記載の方法において、前記少なくとも1つの二次的または補助的治療剤が、ドキソルビシン、ビタミンD3、シタラビン、シトシンアラビノシド、ダウノルビシン、シクロホスファミド、ゲムツズマブオゾガマイシン、イダルビシン、メルカプトプリン、ミトキサントロン、チオグアニン、アルデスロイキン、アスパラギナーゼ、カルボプラチン、リン酸エトポシド、フルダラビン、メトトレキサート、エトポシド、デキサメタゾン、及びコリンマグネシウムトリサリチラートからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項68に記載の方法において、前記腫瘍性疾患の1つ以上の症状または疾患が、貧血、慢性疲労、過度または容易な出血、打ち身、息切れ、点状出血、回帰熱、歯茎の腫れ、治りが遅い切り傷、骨と関節の不快感、反復性感染、体重減少、かゆみ、寝汗、リンパ節腫脹、発熱、腹痛と腹部の不快感、視覚障害、咳、食欲不振、胸の痛み、嚥下困難、腫れ、頻尿、排尿開始時の障害、失禁、尿の流れが弱いまたは止まったり出たりする、排尿時の痛みまたは灼熱感、勃起障害、射精時の疼痛、血尿または精液中の出血、頻繁な痛みまたはコリ、または虚弱であることを特徴とする方法。
【請求項72】
腫瘍性疾患を有する哺乳類被験体において寛解を誘導する方法であって、
一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物、或いはそれらの薬学的に許容される塩、異性体、鏡像体、溶媒和化合物、水和物、多形体、またはプロドラッグの有効量、及び
前記被験体における寛解を誘導するための、前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物との組み合わせ処方または併用治療レジメンで有効な、少なくとも1つの二次的または補助的治療剤の投与を含むことを特徴とする方法。
【化41】

(式中、R及びRは、水素、
【化42】

及びそれらの置換誘導体を含む基から選択され、Rは、水素、
【化43】

及びその置換誘導体から選択される。)
【請求項73】
請求項72に記載の方法において、R及びRの一方が
【化44】

であり、他方が
【化45】

であり、Rが水素であり、かつ、前記被験体における寛解を誘導するための、前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物との組み合わせ処方または併用治療レジメンで有効な、少なくとも1つの二次的または補助的治療剤が投与されることを特徴とする方法。
【請求項74】
請求項72に記載の方法において、前記ホルボールエステルが、ホルボール13‐ブチレート、ホルボール12‐デカノエート、ホルボール13‐デカノエート、ホルボール12,13‐ジアセタート、ホルボール13,20‐ジアセタート、ホルボール12,13‐ジベンゾアート、ホルボール12,13‐ジブチレート、ホルボール12,13‐ジデカノエート、ホルボール12,13‐ジヘキサノエート、ホルボール12,13‐ジプロピオネート、ホルボール12‐ミリステート、ホルボール13‐ミリステート、ホルボール12,13,20‐トリアセタート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐テトラデカノエート、ホルボール12‐チグリエート13‐デカノエート、12‐デオキシホルボール13‐アセタート、ホルボール12‐アセタート、またはホルボール13‐アセタートであることを特徴とする方法。
【請求項75】
請求項72に記載の方法において、前記ホルボールエステルが12‐O‐テトラデカノイルホルボール13‐アセタートであることを特徴とする方法。
【請求項76】
請求項72に記載の方法において、前記少なくとも1つの二次的または補助的治療剤が、前記ホルボールエステルの前記被験体に対する投与と同時に、またはその前に、或いはその後に組み合わせて投与するプロトコルで前記被験体に投与されることを特徴とする方法。
【請求項77】
請求項72に記載の方法において、前記少なくとも1つの二次的または補助的治療剤が、ドキソルビシン、ビタミンD3、シタラビン、シトシンアラビノシド、ダウノルビシン、シクロホスファミド、ゲムツズマブオゾガマイシン、イダルビシン、メルカプトプリン、ミトキサントロン、チオグアニン、アルデスロイキン、アスパラギナーゼ、カルボプラチン、リン酸エトポシド、フルダラビン、メトトレキサート、エトポシド、デキサメタゾン、及びコリンマグネシウムトリサリチラートからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項78】
腫瘍性疾患を有する哺乳類被験体において腫瘍のアポトーシスを誘導する方法であって、
一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物、或いはそれらの薬学的に許容される塩、異性体、鏡像体、溶媒和化合物、水和物、多形体、またはプロドラッグの有効量、及び
前記被験体におけるアポトーシスを誘導するための、前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物との組み合わせ処方または併用治療レジメンで有効な、少なくとも1つの二次的または補助的治療剤
の前記被験体への投与を含むことを特徴とする方法。
【化46】

(式中、R及びRは、水素、
【化47】

及びそれらの置換誘導体を含む基から選択され、Rは、水素、
【化48】

及びその置換誘導体から選択される。)
【請求項79】
請求項78に記載の方法において、R及びRの一方が
【化49】

であり、他方が
【化50】

であり、Rが水素であり、かつ、前記被験体における悪性腫瘍の治療または抑制のための、前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物との組み合わせ処方または併用治療レジメンで有効な、少なくとも1つの二次的または補助的治療剤が投与されることを特徴とする方法。
【請求項80】
請求項78に記載の方法において、前記ホルボールエステルが、ホルボール13‐ブチレート、ホルボール12‐デカノエート、ホルボール13‐デカノエート、ホルボール12,13‐ジアセタート、ホルボール13,20‐ジアセタート、ホルボール12,13‐ジベンゾアート、ホルボール12,13‐ジブチレート、ホルボール12,13‐ジデカノエート、ホルボール12,13‐ジヘキサノエート、ホルボール12,13‐ジプロピオネート、ホルボール12‐ミリステート、ホルボール13‐ミリステート、ホルボール12,13,20‐トリアセタート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐テトラデカノエート、ホルボール12‐チグリエート13‐デカノエート、12‐デオキシホルボール13‐アセタート、ホルボール12‐アセタート、またはホルボール13‐アセタートであることを特徴とする方法。
【請求項81】
請求項78に記載の方法において、前記ホルボールエステルが12‐O‐テトラデカノイルホルボール‐13‐アセタートであることを特徴とする方法。
【請求項82】
請求項78に記載の方法において、前記少なくとも1つの二次的または補助的治療剤が、前記ホルボールエステルの前記被験体に対する投与と同時に、またはその前に、或いはその後に組み合わせて投与するプロトコルで前記被験体に投与されることを特徴とする方法。
【請求項83】
請求項82に記載の方法において、前記少なくとも1つの二次的または補助的治療剤が、ドキソルビシン、ビタミンD3、シタラビン、シトシンアラビノシド、ダウノルビシン、シクロホスファミド、ゲムツズマブオゾガマイシン、イダルビシン、メルカプトプリン、ミトキサントロン、チオグアニン、アルデスロイキン、アスパラギナーゼ、カルボプラチン、リン酸エトポシド、フルダラビン、メトトレキサート、エトポシド、デキサメタゾン、及びコリンマグネシウムトリサリチラートからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項84】
哺乳類被験体における腫瘍性疾患の抑制または治療に用いる組成物であって、
一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物、或いはそれらの薬学的に許容される塩、異性体、鏡像体、溶媒和化合物、水和物、多形体、またはプロドラッグの有効量、及び
被験体における腫瘍の治療または抑制のための、前記一般式(I)のホルボールエステルまたは誘導体化合物との組み合わせ処方で有効な、少なくとも1つの二次的または補助的治療剤を含むことを特徴とする組成物。
【化51】

(式中、R及びRは、水素、
【化52】

及びそれらの置換誘導体を含む基から選択され、Rは、水素、
【化53】

及びその置換誘導体から選択される。)
【請求項85】
請求項84に記載の組成物において、R及びRの一方が
【化54】

であり、他方が
【化55】

であり、Rが水素であることを特徴とする組成物。
【請求項86】
請求項84に記載の組成物において、前記ホルボールエステルが、ホルボール13‐ブチレート、ホルボール12‐デカノエート、ホルボール13‐デカノエート、ホルボール12,13‐ジアセタート、ホルボール13,20‐ジアセタート、ホルボール12,13‐ジベンゾアート、ホルボール12,13‐ジブチレート、ホルボール12,13‐ジデカノエート、ホルボール12,13‐ジヘキサノエート、ホルボール12,13‐ジプロピオネート、ホルボール12‐ミリステート、ホルボール13‐ミリステート、ホルボール12,13,20‐トリアセタート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート、12‐デオキシホルボール13‐アンゲレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート、12‐デオキシホルボール13‐イソブチレート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート、12‐デオキシホルボール13‐フェニルアセタート20‐アセタート、12‐デオキシホルボール13‐テトラデカノエート、ホルボール12‐チグリエート13‐デカノエート、12‐デオキシホルボール13‐アセタート、ホルボール12‐アセタート、またはホルボール13‐アセタートである組成物。
【請求項87】
請求項84に記載の組成物において、前記ホルボールエステルが12‐O‐テトラデカノイルホルボール13‐アセタートであることを特徴とする組成物。
【請求項88】
請求項84に記載の組成物において、前記少なくとも1つの二次的または補助的治療剤が、ドキソルビシン、ビタミンD3、シタラビン、シトシンアラビノシド、ダウノルビシン、シクロホスファミド、ゲムツズマブオゾガマイシン、イダルビシン、メルカプトプリン、ミトキサントロン、チオグアニン、アルデスロイキン、アスパラギナーゼ、カルボプラチン、リン酸エトポシド、フルダラビン、メトトレキサート、エトポシド、デキサメタゾン、及びコリンマグネシウムトリサリチラートからなるグループから選択されることを特徴とする組成物。
【請求項89】
請求項84に記載の組成物において、前記組成物が少なくとも2つの二次的または補助的治療薬を含むことを特徴とする組成物。
【請求項90】
請求項89に記載の組成物において、前記少なくとも2つの二次的または補助的治療薬が、デキサメタゾン及びコリンマグネシウムトリサリチラートであることを特徴とする組成物。

【公表番号】特表2010−516813(P2010−516813A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548304(P2009−548304)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/001299
【国際公開番号】WO2008/094657
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(509217459)バイオサクセス バイオテック カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】BIOSUCCESS BIOTECH COMPANY
【Fターム(参考)】