説明

ホログラム積層体、及びホログラム積層体におけるホログラフィー効果無効化方法

【課題】簡単な構成でホログラフィー効果の一部を無効化したり、あるいは複数種類のホログラフィー効果を組み合わせて高い装飾効果を期待することができるホログラム積層体を提供する。
【解決手段】支持基材2の表面に、超微細凹凸からなるホログラム層3を形成したホログラム体1と、透光性を有するフィルム11の裏面に、透光性を有する粘着剤を塗布した透光性粘着層12を形成した下層ホログラム無効化フィルム10と、を備え、ホログラム体の表面に、下層ホログラム無効フィルムを重ね合わせるとともに、当該下層ホログラム無効化フィルムの透光性粘着層の粘着剤の一部をホログラム層の超微細凹凸内の凹部に入り込ませてホログラム体のホログラフィー効果を無効化する一方、下層ホログラム無効化フィルムを通して支持基材の表面を視認可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィー効果により立体的な美観を呈したり虹色に光ったりするホログラム体の上に別のフィルムを重ねるなどすると下側のホログラム体のホログラフィー効果が無効化され、フィルムにホログラム層を形成しておくとこのホログラム層のホログラフィー効果が視認可能となるホログラム積層体、及びホログラム積層体におけるホログラフィー効果無効化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、ホログラムの基本は対象物に物体光と参照光という二種類のレーザー光を同時に当て、このときの光の位置のズレによって生じる干渉縞を利用し、これを特殊なフィルムやプラスチック板などの上に記録したものである。このホログラムは、偽造防止のために用いられる他、独特の美観を呈することから商品パッケージ、包装紙、ポスターなどの広い範囲に装飾用として利用されている。そして、近年は、紫外線硬化樹脂とホログラム基材に帯状フィルムを用いることによって安価に製造できる技術が開発され、手軽な装飾形態としてその用途がますます拡大している(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−232853号公報
【特許文献2】特開平8−36352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のホログラムにおいては、支持基材としてのフィルムの表面に紫外線硬化樹脂を塗布し、表面にホログラム用超微細凹凸を形成したマスターフィルム(版)を重ね合わせ、この重合状態で紫外線硬化樹脂に紫外線を照射してホログラム用超微細凹凸を転写してホログラム層を支持基材上に形成することにより製造するので、一枚の支持基材上に複数種類の超微細凹凸を適宜に選択して自由に組み合わせて形成したり、あるいは所望する一部分のホログラフィー効果を無効にすることは、版をその都度作成しなければできないという製造技術上の煩雑性があって現実には実施できない。このため、従来のホログラムによる装飾効果は常に一様なものであり、複数種類のホログラムを組み合わせて使用するものはできなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑み提案されたものであり、簡単な構成でホログラフィー効果の一部を無効化したり、あるいは複数種類のホログラフィー効果を組み合わせて高い装飾効果を期待することができるホログラム積層体、及びホログラム積層体におけるホログラフィー効果無効化方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、請求項1に記載のものは、支持基材の表面に、超微細凹凸からなるホログラム層を形成したホログラム体と、
透光性を有するフィルムの裏面に、透光性を有する粘着剤を塗布した透光性粘着層を形成した下層ホログラム無効化フィルムと、
を備え、
ホログラム体の表面に、下層ホログラム無効フィルムを重ね合わせるとともに、当該下層ホログラム無効化フィルムの透光性粘着層の粘着剤の一部をホログラム層の超微細凹凸内の凹部に入り込ませてホログラム体のホログラフィー効果を無効化する一方、下層ホログラム無効化フィルムを通して支持基材の表面を視認可能としたことを特徴とするホログラム積層体である。
【0007】
請求項2に記載のものは、前記支持基材の表面に印刷を施し、下層ホログラム無効化フィルムを通して支持基材の表面の印刷部分を視認可能としたことを特徴とする請求項1記載のホログラム積層体である。
【0008】
請求項3に記載のものは、前記下層ホログラム無効化フィルムの表面に、超微細凹凸からなる上層ホログラム層を形成し、下層ホログラム無効化フィルムの表面の上層ホログラム層によるホログラフィー効果を視認可能としたことを特徴とする請求項2記載のホログラム積層体である。
【0009】
請求項4に記載のものは、前記下層ホログラム無効化フィルムのフィルム表面に印刷を施し、下層ホログラム無効化フィルムの印刷と上層ホログラム層によるホログラフィー効果を視認可能としたことを特徴とする請求項3記載のホログラム積層体である。
【0010】
請求項5に記載のものは、前記透光性粘着層が再剥離可能な粘着層であることを特徴とする請求項4記載のホログラム積層体である。
【0011】
請求項6に記載のものは、超微細凹凸からなるホログラム層を支持基材の表面に形成したホログラム体の表面に、透光性を有するフィルムの裏面に、透光性を有する粘着剤を塗布した透光性粘着層を形成した下層ホログラム無効化フィルムを積層する工程と、
この積層状態で加圧することにより、該下層ホログラム無効化フィルムの透光性粘着剤の一部を前記ホログラム層の超微細凹凸内の凹部に入り込ませる粘着剤圧入工程と、
を経て前記ホログラム層のホログラフィー効果を無効化する一方、下層ホログラム無効化フィルムを通して支持基材の表面を視認できる状態にすることを特徴とするホログラム積層体におけるホログラフィー効果無効化方法である。
【0012】
請求項7に記載のものは、超微細凹凸からなるホログラム層を支持基材の表面に形成したホログラム体の表面の一部分に、透光性を有する樹脂を塗布する下層ホログラム無効化樹脂塗布工程と、
この樹脂を、一部を前記ホログラム層の超微細凹凸内の凹部に入り込ませた状態で、尚且つ表面が平滑な状態で硬化する下層ホログラム無効化樹脂硬化工程と、
を経て前記ホログラム層のホログラフィー効果を一部無効化する一方、下層ホログラム無効化樹脂を通して支持基材の表面を視認できる状態にすることを特徴とするホログラム積層体におけるホログラフィー効果無効化方法である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1及び請求項6に記載の発明によれば、支持基材の表面に、超微細凹凸からなるホログラム層を形成したホログラム体と、透光性を有するフィルムの裏面に、透光性を有する粘着剤を塗布した透光性粘着層を形成した下層ホログラム無効化フィルムと、を備え、ホログラム体の表面に、下層ホログラム無効フィルムを重ね合わせるとともに、当該下層ホログラム無効化フィルムの透光性粘着層の粘着剤の一部をホログラム層の超微細凹凸内の凹部に入り込ませてホログラム体のホログラフィー効果を無効化する一方、下層ホログラム無効化フィルムを通して支持基材の表面を視認可能としたので、ホログラム体の全面にホログラム層を形成してある場合でも下層ホログラム無効化フィルムを所望する位置に、所望する大きさ、形状にして貼るだけで当該部分のホログラフィー効果を消すことができ、簡単な構造でホログラムによる装飾に変化を与えることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、前記支持基材の表面に印刷を施し、下層ホログラム無効化フィルムを通して支持基材の表面の印刷部分を視認可能としたので、印刷部分をホログラム装飾することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、前記下層ホログラム無効化フィルムの表面に、超微細凹凸からなる上層ホログラム層を形成し、下層ホログラム無効化フィルムの表面の上層ホログラム層によるホログラフィー効果を視認可能としたので、簡単な構成により異なる模様のホログラムを組み合わせることができ、従来の単調なホログラムよりも高い装飾性を期待することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、前記下層ホログラム無効化フィルムのフィルム表面に印刷を施し、下層ホログラム無効化フィルムの印刷と上層ホログラム層によるホログラフィー効果を視認可能としたので、一層高い装飾性を期待することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、前記透光性粘着層が再剥離可能な粘着層であるので、下層ホログラム無効化フィルムを剥がせばホログラム体のホログラム層が復活され、装飾に自由度と変化をもたらすことができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、超微細凹凸からなるホログラム層を支持基材の表面に形成したホログラム体の表面に、透光性を有するフィルムの裏面に、透光性を有する粘着剤を塗布した透光性粘着層を形成した下層ホログラム無効化フィルムを積層する工程と、
この積層状態で加圧することにより、該下層ホログラム無効化フィルムの透光性粘着剤の一部を前記ホログラム層の超微細凹凸内の凹部に入り込ませる粘着剤圧入工程と、を経て前記ホログラム層のホログラフィー効果を無効化する一方、下層ホログラム無効化フィルムを通して支持基材の表面を視認できる状態にするので、簡単な作業でホログラム体のホログラフィー効果の一部を無効にすることができ、大掛かりな設備や工程を経ることなく装飾効果の高いホログラム積層体とすることができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、超微細凹凸からなるホログラム層を支持基材の表面に形成したホログラム体の表面の一部分に、透光性を有する樹脂を塗布する下層ホログラム無効化樹脂塗布工程と、この樹脂を、一部を前記ホログラム層の超微細凹凸内の凹部に入り込ませた状態で、尚且つ表面が平滑な状態で硬化する下層ホログラム無効化樹脂硬化工程と、を経て前記ホログラム層のホログラフィー効果を一部無効化する一方、下層ホログラム無効化樹脂を通して支持基材の表面を視認できる状態にするので、一層簡単な作業でホログラム体のホログラフィー効果の一部を効率良く無効にすることができ、大掛かりな設備や工程を経ることなく装飾効果の高いホログラム積層体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ホログラム体に下層ホログラム無効化フィルムを積層する前の概略断面図である。
【図2】ホログラム体に下層ホログラム無効化フィルムを積層した状態におけるホログラム積層体の概略断面図である。
【図3】ホログラム体に下層ホログラム無効化フィルムを積層した状態におけるホログラム積層体の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
なお、図面に示すホログラム積層体は、四角形のホログラム体にこれよりも少し小さな下層ホログラム無効化フィルムを1枚積層した最も単純なものである。
【0022】
ホログラム体1は、シート状あるいは板状を呈する支持基材2の表面に、超微細凹凸からなるホログラム層3を形成したものであり、本実施形態では支持基材2の裏面に、粘着剤を塗布した粘着剤層4を形成してある。
【0023】
このホログラム体1を製造するには、ホログラム層3を形成する支持基材2として長尺な樹脂フィルムを使用し、当該フィルムの表面に塗布した紫外線硬化樹脂に、マスターフィルム表面に形成したホログラム用超微細凹凸を重ね合わせ、この重合状態で紫外線照射して紫外線硬化樹脂を硬化させてホログラム用超微細凹凸を転写し、これをホログラム層3とするものである。なお、ホログラム用超微細凹凸は、2500オングストローム程度の超微細凹凸である。
【0024】
なお、支持基材2の表面には、ホログラム層3を形成する前に、予め印刷を施しておくこともできる。図1に示す例では、ダイヤモンド形の第1印刷部5と円形の第2印刷部6を印刷したものを例示してある。また、図面には示していないが、ホログラム体1を使用するまでは、粘着剤層4に剥離紙を貼り付けて保護しており、使用時に剥離紙を剥がして所望する位置に貼り付ける。また、支持基材2を透明にして、粘着剤層4も透明にすると、透明ガラスに貼った状態で表面側から見えるだけでなく、ガラスを通しても印刷部5,6が見えるので、広告等に適する。
【0025】
前記したホログラム体1に積層する下層ホログラム無効化フィルム10は、透光性を有する樹脂製フィルム11の裏面に、透光性を有する粘着剤を塗布した透光性粘着層12を形成したものである。透明フィルムとしては、例えば、透明なポリエステルフィルムを使用することができ、厚さも適宜選択できる。例えば、50μm、125μmなどのフィルムを用いることができる。そして、この透明フィルムの裏面に透光性粘着層12を形成するが、これはアクリル溶剤型接着剤、アクリル系粘着剤、エマルジョン系粘着剤、シリコーン粘着剤等の再剥離粘着剤、すなわち一旦貼ったものを剥がしても粘着剤が残らないタイプの粘着剤を用いることが望ましい。
また、フィルム11の表面には、超微細凹凸からなる上層ホログラム層13を形成してある。この上層ホログラム層13の模様は、前記したホログラム体1のホログラム層3の模様とは異なる模様を選択する。
なお、本実施形態では、フィルム11の表面に予めハート形の図柄を第3印刷部14として印刷しておき、この上に上層ホログラム層13を前記した製造方法により形成する。
【0026】
次に、下層ホログラム無効化フィルム10の使用方法について説明する。
前記したホログラム体1の上に下層ホログラム無効化フィルム10を重ね合わせる(積層工程)。この積層工程では、ホログラム体1の表面(ホログラム層3側)に下層ホログラム無効化フィルム10の透光性粘着層12が接するように、例えば、ホログラム体1のホログラム層3を上に向け、下層ホログラム無効化フィルム10の透光性粘着層12を下に向けた状態で相対的な位置調整を行って重ね合わせる。
【0027】
次に、ホログラム体1上に下層ホログラム無効化フィルム10を重ねた状態(積層状態)で下層ホログラム無効化フィルム10上から加圧することにより、該下層ホログラム無効化フィルム10の透光性粘着剤の一部を前記ホログラム層3の超微細凹凸内の凹部に入り込ませる(粘着剤圧入工程)。この様にして超微細凹凸内の凹部に粘着剤を入り込ませると、光が超微細凹凸で反射することにより視認されていたホログラム層3のホログラフィー効果が消失してしまう。すなわち、透明な粘着剤が超微細凹凸内の凹部内に詰められることによりホログラフィー効果が無効化される。
【0028】
下層のホログラム体1のホログラフィー効果が無効化されると、上に積層した下層ホログラム無効化フィルム10のフィルム11が透光性を有するので、ホログラム体1の表面が視認可能となり、その表面に施した第1印刷部5が下層ホログラム無効化フィルム10を通して視認可能である。また、本実施形態では、下層ホログラム無効化フィルム10の表面に上層ホログラム層13を形成してあるので、この上層ホログラム層13によるホログラフィー効果が視認可能な状態となる。
【0029】
したがって、図3に示すように、下層ホログラム無効化フィルム10の外側においては、ホログラム体1の支持基材2に印刷した第2印刷部6とホログラム層3によるホログラフィー効果が視認可能であり、下層ホログラム無効化フィルム10上においては、ホログラム体1の支持基材2に印刷した第1印刷部5と下層ホログラム無効化フィルム10の上層ホログラム層13によるホログラフィー効果が視認可能である。要するに、ホログラム体1の上に下層ホログラム無効化フィルム10を積層して圧着すると、下層ホログラム無効化フィルム10とは重ならない領域においてはホログラム体1のホログラフィー効果が視認でき、下層ホログラム無効化フィルム10上にはホログラム体1とは異なる上層ホログラム層13のホログラフィー効果が視認できる。したがって、ホログラム体1に形成するホログラム層3の模様と下層ホログラム無効化フィルム10に形成する上層ホログラム層13の模様とを適宜組み合わせることが可能となり、ホログラム模様の多様化が簡単な構成で容易に実現可能となり、装飾効果を従来のホログラム体1以上に発揮させることができる。
【0030】
なお、前記した実施形態では、下層ホログラム無効化フィルム10の表面にも上層ホログラム層13を形成したので、ホログラム体1に積層した後に2種類のホログラム模様を視認可能であるが、下層ホログラム無効化フィルム10の表面に上層ホログラム層13を形成しないで平滑なままの状態としておくと、ホログラム体1に積層した後、下層ホログラム無効化フィルム10で覆われた領域内のホログラフィー効果が消失され、下層ホログラム無効化フィルム10の周りを額縁状に取り囲む状態でホログラム体1のホログラム層3によるホログラフィー効果が視認可能となる。
【0031】
そして、積層圧着状態から下層ホログラム無効化フィルム10を剥離すると、ホログラム体1のホログラム層3の微細凹凸を覆っていた接着剤が残らず除去されるので、ホログラム層3によるホログラフィー効果が復活する。
【0032】
この様に、本発明に係るホログラム積層体Aは、異なる模様のホログラムを簡単に組み合わせることが出来るので、従来のホログラム体1よりも高い装飾効果を期待することができる。また、異なるホログラム模様を簡単に製造できるので、子供用のおもちゃカードや着せ替え人形に使用したり、ディスプレー、ステッカーなどに使用することができる。さらに、下層ホログラム無効化フィルム10を非透明にすると、スクラッチ加工に代わるものとして使用でき、装飾効果の高いスピードくじを作製することもできる。
【0033】
なお、前記した実施形態では、大きな四角形のホログラム体1上に小さな四角形の下層ホログラム無効化フィルム10を積層したが、両者の大きさ、形状、積層位置は適宜選択することができる。また、積層する枚数も2枚に限らず、3枚、4枚と増やしても良い。
【0034】
また、図示の実施形態では、ホログラム体1の支持基材2にフィルムを用いたが、本発明は枚葉紙、ガラス板などでもよい。
【0035】
前記した実施形態では、ホログラム体1に下層ホログラム無効化フィルム10を重ね合わせることによりホログラフィー効果を一部無効にしたが、UV硬化樹脂などの透光性を有する樹脂を塗布してもホログラフィー効果を一部無効にすることができる。以下、このホログラフィー効果無効化方法について説明する。
【0036】
このホログラフィー効果無効化方法は、超微細凹凸からなるホログラム層を支持基材の表面に形成したホログラム体の表面の一部分に、透光性を有する樹脂を塗布する下層ホログラム無効化樹脂塗布工程と、この樹脂を、一部を前記ホログラム層の超微細凹凸内の凹部に入り込ませた状態で、尚且つ表面が平滑な状態で硬化する下層ホログラム無効化樹脂硬化工程と、を経て前記ホログラム層のホログラフィー効果を一部無効化するものであり、下層ホログラム無効化樹脂としては、UV硬化樹脂液などを用いることができ、これをコーティングローラーを使用するなどして所定の領域にコーティングする。なお、所定の領域にのみコーティングするには、コーティングローラーに版を巻き付け、この版に設定した領域にのみUV硬化樹脂液を所定の厚さでコーティングする。そして、コーティングが終了したならば、平滑面を有するフィルムを被せ、圧着ローラーの間を通して加圧してUV硬化樹脂の表面を平滑化するとともに、この状態で紫外線を照射してUV硬化樹脂液を硬化させる。この様な構成を経て処理したホログラム体は、UV硬化樹脂液を塗布した部分のホログラフィー効果が無効化される一方、硬化したUV樹脂の層を通して支持基材の表面を視認できる。この様な方法を用いると、大量のホログラム体を短時間で簡単に処理することができる。また、使用する装置等も従来のUV光沢加工の装置等を活用することができ、実現が容易である。
【符号の説明】
【0037】
1…ホログラム体、2…支持基材、3…ホログラム層、4…粘着剤層、5…第1印刷部、6…第2印刷部、10…下層ホログラム無効化フィルム、11…樹脂製透明フィルム、12…透光性粘着層、13…上層ホログラム層、14…第3印刷部、A…ホログラム積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基材の表面に、超微細凹凸からなるホログラム層を形成したホログラム体と、
透光性を有するフィルムの裏面に、透光性を有する粘着剤を塗布した透光性粘着層を形成した下層ホログラム無効化フィルムと、
を備え、
ホログラム体の表面に、下層ホログラム無効フィルムを重ね合わせるとともに、当該下層ホログラム無効化フィルムの透光性粘着層の粘着剤の一部をホログラム層の超微細凹凸内の凹部に入り込ませてホログラム体のホログラフィー効果を無効化する一方、下層ホログラム無効化フィルムを通して支持基材の表面を視認可能としたことを特徴とするホログラム積層体。
【請求項2】
前記支持基材の表面に印刷を施し、
下層ホログラム無効化フィルムを通して支持基材の表面の印刷部分を視認可能としたことを特徴とする請求項1記載のホログラム積層体。
【請求項3】
前記下層ホログラム無効化フィルムの表面に、超微細凹凸からなる上層ホログラム層を形成し、
下層ホログラム無効化フィルムの表面の上層ホログラム層によるホログラフィー効果を視認可能としたことを特徴とする請求項2記載のホログラム積層体。
【請求項4】
前記下層ホログラム無効化フィルムのフィルム表面に印刷を施し、
下層ホログラム無効化フィルムの印刷と上層ホログラム層によるホログラフィー効果を視認可能としたことを特徴とする請求項3記載のホログラム積層体。
【請求項5】
前記透光性粘着層が再剥離可能な粘着層であることを特徴とする請求項4記載のホログラム積層体。
【請求項6】
超微細凹凸からなるホログラム層を支持基材の表面に形成したホログラム体の表面に、透光性を有するフィルムの裏面に、透光性を有する粘着剤を塗布した透光性粘着層を形成した下層ホログラム無効化フィルムを積層する積層工程と、
この積層状態で加圧することにより、該下層ホログラム無効化フィルムの透光性粘着剤の一部を前記ホログラム層の超微細凹凸内の凹部に入り込ませる粘着剤圧入工程と、
を経て前記ホログラム層のホログラフィー効果を無効化する一方、下層ホログラム無効化フィルムを通して支持基材の表面を視認できる状態にすることを特徴とするホログラム積層体におけるホログラフィー効果無効化方法。
【請求項7】
超微細凹凸からなるホログラム層を支持基材の表面に形成したホログラム体の表面の一部分に、透光性を有する樹脂を塗布する下層ホログラム無効化樹脂塗布工程と、
この樹脂を、一部を前記ホログラム層の超微細凹凸内の凹部に入り込ませた状態で、尚且つ表面が平滑な状態で硬化する下層ホログラム無効化樹脂硬化工程と、
を経て前記ホログラム層のホログラフィー効果を一部無効化する一方、下層ホログラム無効化樹脂を通して支持基材の表面を視認できる状態にすることを特徴とするホログラム積層体におけるホログラフィー効果無効化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−217380(P2010−217380A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62696(P2009−62696)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(398043757)有限会社協和ラミコート (10)
【Fターム(参考)】