説明

ホログラム記録媒体およびその製造方法ならびにホログラム再生装置およびホログラム再生方法

【課題】平面的に現わされる画像情報を含む情報が複数記録されており、平面的に現わされる画像情報の再生時に、複数多重像の再生が抑制されたホログラム記録媒体を提供する。
【解決手段】ホログラム記録媒体には、平面的に現わされる画像情報を含む複数の画像が記録される。第1の方向から略平行光が入射されたときに、あらかじめ定められた方向に対する回折光強度が最大となるように第1の画像が再生される。第2の方向から略平行光が入射されたときに、該あらかじめ定められた方向に対する回折光強度が最大となるように第2の画像が再生される。第1および第2の画像の回折光強度のうち、少なくとも一方の再生角半値全幅は、8°以下とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ホログラム記録媒体およびその製造方法ならびにホログラム再生装置およびホログラム再生方法に関する。特に、文字やバーコードなど、平面的に現わされる画像情報を含む情報が複数記録されたホログラム記録媒体およびその製造方法に関する。また、ホログラム記録媒体に記録された記録情報を再生し、光電変換するホログラム再生装置およびホログラム再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
立体表示が可能なホログラムは、クレジットカード、身分証明書などの真贋判定のために使用されている。ホログラムの中でも、近年では、干渉パターンを記録層内部の屈折率の差として記録する体積型ホログラムが使用されることが多い。これは、体積型ホログラムの偽造には、記録画像の制作に高度な技術が要求されること、記録材料が入手困難なことによる。
【0003】
一方、体積型ホログラムの複製技術も日々進歩していることから、ホログラムに対して、より高度な真贋判定機能および偽造防止対策を付与することが望ましい。また、ホログラムに記録された情報が機械読み取りできるなど、簡便に真贋判定を行いたいという要求もある。
【0004】
体積型ホログラムに対して、より高度な真贋判定機能を与える方法として、観察方向によって再生される画像が切り替わる画面切替え型ホログラムが開示されている(例えば、下記の特許文献1参照。)。
【0005】
しかしながら、上述の画面切替え型ホログラムでは、記録された複数の画像情報の確認は目視によっており、利便性に欠ける面があった。また、1枚の原版から多数のホログラムが制作されるため、個々のホログラム自体を識別できるようにするなど、ホログラム自体に対して、より高い真贋判定機能を与えることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−122670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
偽造防止性および利便性を満たすことのできるホログラム記録媒体およびその製造方法ならびにホログラム再生装置およびホログラム再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、従来技術が有する上述の課題を解決すべく、鋭意検討を行った。その結果、本発明者らは、ホログラム原版の複製画像および個々のホログラム自体の識別情報(以下、個別ID情報と適宜称する。)を記録したホログラム記録媒体を見出すに至った。
【0009】
ところで、上述したように、ホログラムに記録された情報を機械読み取りしたいという要求が存在する。例えば、個別ID情報として、ホログラフィックに記録された文字情報やバーコード情報などを再生して撮像カメラなどによって光電変換し、機械読み取りを行いたいという要求が存在する。
【0010】
ホログラムに記録された情報の再生には、照明光として、1つの方向からの平行光か、点光源からの光が当たっている必要がある。そのため、相異なる複数の方向からの光がホログラムに当たっていると、複数の画像が再生され、それらが重なり合うために複数多重像が再生されてしまう。すなわち、再生されるホログラム画像がぼやけた像となる。
【0011】
ホログラムから再生される情報が複数多重像となってしまうと、機械による正確な読み取りが困難である。
【0012】
そこで、本発明者らは、ホログラフィックに記録された文字情報やバーコード情報などを再生したときに、複数多重像の再生が抑制されたホログラム記録媒体を得るべく鋭意検討した。その結果、複数の情報が記録され、あらかじめ定められた方向から照明されたときにのみ、ある定められた角度範囲内において、平面的に現わされる画像情報が選択的に再生されるホログラム記録媒体を見出すに至った。
【0013】
ホログラム記録媒体の好ましい実施の態様は、以下のとおりである。
2以上の画像が記録されており、
第1の方向から略平行光が入射されたときに、あらかじめ定められた方向に対する回折光強度が最大となるように第1の画像が再生され、
第2の方向から略平行光が入射されたときに、該あらかじめ定められた方向に対する回折光強度が最大となるように第2の画像が再生され、
第1および第2の画像の回折光強度のうち、少なくとも一方の再生角半値全幅が、8°以下である。
【0014】
ホログラム記録媒体の製造方法の好ましい実施の態様は、以下のとおりである。
レーザ光を、空間光変調素子により付加情報が重畳された光に変調し、変調された光を、結像光学系を介して参照光とともに照射する工程を備え、
結像光学系のうちの少なくとも1つが、拡散角度の絶対値が7°以下とされた結像光学系である。
【0015】
さらに、ホログラム再生装置の好ましい実施の態様は、以下のとおりである。
開口部を備える観察ステージと、
観察ステージの少なくとも一部と固定される支持部材と、
遮光部を備え、観察ステージよりも観察者に近い側に、支持部材に載置される遮光部材と、
支持部材に設置される複数の光源と、
を備え、
観察ステージが、開口部に観察対象であるホログラムを配置することにより、ホログラムを位置決めできるようにされ、
複数の光源のそれぞれが、あらかじめ定められた方向からホログラムを照明するようにされ、
遮光部材のうちの少なくとも開口部の上方に対応する部分が、光学的な開口部とされ、
光源からの照明光が、遮光部により光学的な開放部に直接出射されないようにされる。
【0016】
ホログラムの観察方法の好ましい実施の態様は、以下のとおりである。
(複数の画像情報が記録されたホログラムに立てた法線の方向,ホログラムを照明する照明光の方向,ホログラムを観察する方向)の組のうちの、いずれか2つの要素を固定した状態で残余の要素を変更することにより、ホログラムに記録された複数の画像情報を切り替えさせて観察する。
【0017】
ホログラム記録媒体の好ましい実施の態様によれば、ホログラム記録媒体から再生される画像の回折光強度の半値全幅が規定される。すなわち、ホログラム記録媒体に記録された情報は、拡散角度が規定された物体光により記録されている。したがって、ホログラム記録媒体に平面的に情報が記録され、所定の方向からホログラム記録媒体を照明すると、再生される画像がシャープなものとなる。
【0018】
また、ホログラム再生装置の好ましい実施の態様によれば、観察ステージの開口部にホログラムを配置し、位置決めできるようにされる。したがって、所定の方向からホログラムを確実に照明することができ、ホログラムから再生される画像の回折光強度の半値全幅が規定されていても、ホログラムに記録された情報が、観察者に確実に確認される。
【0019】
ここで、本明細書でいう回折光強度とは、以下の方法により測定されるものを指す。図26Aおよび図26Bは、回折光強度の測定方法を示した概略図である。図26に示すように、黒色のシート102の上に、測定対象であるホログラム101が配置される。ホログラム101の法線方向の上方には、ホログラム101から380mmの距離をおいて、測定装置701が配置される。ホログラム101の法線方向に対して45°の方向にそって280mm離れた位置に、照明用光源202が固定される。
【0020】
以下に、この測定で使用する測定機器等を示す。
測定装置 …色彩輝度計(Konica-Minolta CS-200)
照明用光源…ハロゲン光源(XY色度図上 Y:96.0、x:0.4508, y:0.4075)
標準白色板…(Konica-Minolta CSA20)
【0021】
照明用光源202によりホログラム101を照明し、測定装置701によりホログラム101からの再生光(回折光)を測定し、視野0.2°としてx,y色度座標および輝度LU1を求める。次に、ホログラムに代え、リファレンスとなる標準白色板に対して同様の測定を行い、視野0.2°として標準白色板のx,y色度座標および輝度LU2を求める。得られたLU2に対するLU1の比率をホログラム101の回折光強度Iとする。なお、黒色のシート102の上にホログラム101を配置するのは、ホログラム101からの再生光を測定するときに、背景が透けて見えることによる測定誤差を低減するためである。
【0022】
ここで、回折光強度の再生角半値全幅(半値全幅:(FWHM:full width at half maximum))とは、回折光強度を、ホログラムに立てた法線と、ホログラムに立てた法線の足および測定装置を結ぶ線分とのなす角度βの関数として表わしたときに、最大値の半分の値をとる角度を2倍した角度範囲のことを指す。図26Bに、回折光強度を角度βの関数として表わしたグラフと、半値全幅の関係を示す。図26Bに示すように、回折光強度Iは、角度±γで最大値の半分となっている。したがって、このときの半値全幅は2γである。以下、回折光強度の半値全幅との記載は、回折光強度の再生角半値全幅をいうものとする。
【0023】
また、本明細書でいう拡散角度とは、可視波長域にピークをもつコリメートされたレーザ光を入射したときの、拡散光の中心輝度の半値となる角度を指す。拡散範囲は、下記の関係から求めることができる。
(拡散範囲)≒ 2×(照射面までの距離)×(拡散角度の正接の値)
【0024】
なお、本明細書でいう角度とは、特に断りのない限り、立体角ではなく平面角をいうものとする。例えば、ホログラムに入射する照明光の入射角度は、ホログラムに立てた法線と、ホログラムに立てた法線の足および光源を結ぶ線分とを含む面上、法線から測った角度を指すものとする。
【発明の効果】
【0025】
少なくとも1つの実施例によれば、ホログラフィックに記録された文字情報やバーコード情報などを再生したときに、複数多重像の再生が抑制されたホログラム記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、ホログラム記録媒体の製造装置の一構成例を示す略線図である。
【図2】図2は、ホログラム記録媒体からの再生像の回折光強度を説明するための図である。
【図3】図3は、ホログラム記録媒体からの再生像の回折光強度を説明するための図である。
【図4】図4は、ホログラム記録媒体からの再生像の回折光強度を説明するための図である。
【図5】再生像の視野角についての説明に使用する略線図である。
【図6】図6A〜図6Fは、ホログラム記録媒体の観察方向およびホログラム記録媒体の向きを固定して、照明光の入射方向を変化させたときに再生される再生像の様子を示した概略図である。
【図7】図7A〜図7Fは、照明光の入射方向およびホログラム記録媒体の向きを固定して、ホログラム記録媒体の観察方向を変化させたときに再生される再生像の様子を示した概略図である。
【図8】図8A〜図8Fは、照明光の入射方向およびホログラム記録媒体の観察方向を固定して、ホログラム記録媒体の向きを変化させたときに再生される再生像の様子を示した概略図である。
【図9】図9は、ホログラム記録媒体の製造装置の第2の構成例を示す略線図である。
【図10】図10は、ホログラム記録媒体の他の構成例を示したものである。
【図11】図11は、ホログラム記録媒体の製造装置の他の構成例を示したものである。
【図12】図12は、ホログラム記録媒体の再生装置の一構成例を示した図である。
【図13】図13は、ホログラム記録媒体の再生装置の一構成例を示した図である。
【図14】図14Aは、単一LED光源により、ホログラム記録媒体を照射したときの再生画像の様子を示した模式図である。図14Bは、所定の角度から照明してホログラム記録媒体に記録されている文字情報を再生した場合に観察される再生像を示す模式図である。図14Cは、所定の角度から照明してホログラム記録媒体に記録されている2次元バーコードを再生した場合に観察される再生像を示す模式図である。
【図15】図15Aは、ホログラム記録媒体を照明する光源の一例を説明するための図である。図15Bは、所定の角度から照明してホログラム記録媒体に記録されている文字情報を再生した場合に観察される再生像を示す模式図である。図15Cは、所定の角度から照明してホログラム記録媒体に記録されている2次元バーコードを再生した場合に観察される再生像を示す模式図である。
【図16】図16Aは、ホログラム記録媒体を照明する光源の一例を説明するための図である。図16Bは、所定の角度から照明してホログラム記録媒体に記録されている文字情報を再生した場合に観察される再生像を示す模式図である。図16Cは、所定の角度から照明してホログラム記録媒体に記録されている2次元バーコードを再生した場合に観察される再生像を示す模式図である。
【図17】図17Aは、ホログラム記録媒体を照明する光源の一例を説明するための図である。図17Bは、所定の角度から照明してホログラム記録媒体に記録されている文字情報を再生した場合に観察される再生像を示す模式図である。図17Cは、所定の角度から照明してホログラム記録媒体に記録されている2次元バーコードを再生した場合に観察される再生像を示す模式図である。
【図18】図18Aは、ホログラム記録媒体を照明する光源の一例を説明するための図である。図18Bは、所定の角度から照明してホログラム記録媒体に記録されている文字情報を再生した場合に観察される再生像を示す模式図である。図18Cは、所定の角度から照明してホログラム記録媒体に記録されている2次元バーコードを再生した場合に観察される再生像を示す模式図である。
【図19】図19は、商品のパッケージに、複数の2D情報が記録されたホログラム記録媒体を被着した例を示す概略図である。
【図20】図20は、ホログラム記録媒体に記録された個別ID情報としてのバーコードを読み取る例を示した概略図である。
【図21】図21は、デジタルカメラにより、複数の2D情報が記録されたホログラム記録媒体を撮像する例を示した概略図である。
【図22】図22は、高周波パターンの例の説明に使用する図である。
【図23】図23は、エッジライト方式のバックライトの断面模式図である。
【図24】図24は、ホログラム記録媒体の再生装置の第2の構成例を示した図である。
【図25】図25は、ホログラム記録媒体の再生装置の第2の構成例を示した図である。
【図26】図26Aは、回折光強度の測定方法を示した概略図である。図26Bは、回折光強度を角度βの関数として表わしたグラフと、半値全幅の関係を示す図である。
【図27】図27は、ホログラム記録媒体に対する記録と、情報が記録されたホログラム記録媒体を再生する際の光学系について説明するための略線図である。
【図28】図28は、ホログラム用記録媒体の一例を示す断面図である。
【図29】図29は、光重合型フォトポリマの感光プロセスを示す略線図である。
【図30】図30は、コンタクトコピー装置の概略を示した略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、ホログラム記録媒体およびその製造方法ならびにホログラム再生装置およびホログラム再生方法の実施の形態について説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
<0.体積型ホログラム>
[記録再生の原理]
[ホログラム記録媒体の一例]
[コンタクトプリントによる複製]
<1.第1の実施の形態>
[製造装置の構成例]
(参照光の光学系)
(物体光の結像光学系)
(参照光)
(物体光)
[2D情報が記録されたホログラム記録媒体]
(記録された情報の再生)
(再生画像の切替え)
(視野角の制御)
(2D情報の定位)
[第1の実施の形態の第2の構成例]
[第1の実施の形態の第3の構成例]
<2.第2の実施の形態>
[製造装置の構成例]
[第2の実施の形態の第2の構成例]
<3.第3の実施の形態>
[ホログラム再生装置の構成例]
(2D情報が記録されたホログラムの観察)
(照明用光源)
(撮像装置によるホログラフィック2D情報の取得)
(高周波パターン)
[第3の実施の形態の第2の構成例]
<4.変形例>
【0028】
なお、以下に説明する実施の形態は、好適な具体例を示したものである。以下の説明においては、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、ホログラム記録媒体およびその製造方法ならびにホログラム再生装置およびホログラム再生方法の例は、以下に示す実施の形態に限定されないものとする。
【0029】
<0.体積型ホログラム>
実施の形態の理解を容易とするため、実施の形態の説明の前に、体積型ホログラムの概要について説明する。
【0030】
[記録再生の原理]
上述したように、体積型ホログラムは、干渉パターンが記録層内部の屈折率の差として記録されたものである。干渉パターンの記録は、ホログラム記録媒体に対して、相異なる方向から参照光および記録したい画像の情報が重畳された物体光を同時に照射することにより行う。
【0031】
ホログラム記録媒体101に対する記録と、情報が記録されたホログラム記録媒体101を再生する際の光学系について、図27を参照して説明する。
【0032】
図27Aに示すように、記録時には、ホログラム記録媒体101に対して参照光RLが入射角度θrで入射され、ホログラム記録媒体101の反対側から物体光OLが入射角度θoで入射される。参照光RLと物体光OLとで形成される干渉パターンがホログラム記録媒体101に記録される。
【0033】
このように記録されたホログラム記録媒体101に対して、図27Bに示すように、入射角度α(α=θr)でもって照明光ILを照射すると、ホログラム記録媒体101の内部で照明光ILが回折され、出射角度β(β=180°−θo)でもってホログラム記録媒体101から再生光PLが出射される。したがって、物体光OLの延長方向の視点から、再生された画像を見ることができる。
【0034】
図27Aに示すような記録を行う場合、参照光の入射角度θrを調節することにより、ホログラム記録媒体を照明するのに好適な照射角度、すなわちαを調節することができる。また、物体光の入射角度θoを調節することにより、再生光の輝度が最大となる中心角度、すなわちβを調節することができる。
【0035】
[ホログラム記録媒体の一例]
ここで、画像情報の記録に用いられるホログラム記録媒体1の一例について説明する。ホログラム記録媒体1は、図28に示すように、テープ状に形成されたフィルムベース材1a上に光重合型フォトポリマからなるフォトポリマ層1bが形成される。さらに、当該フォトポリマ層1b上にカバーシート1cが被着されることにより形成された、いわゆるフィルム塗布タイプの記録媒体である。
【0036】
光重合型フォトポリマは、初期状態では、図29Aに示すように、モノマMがマトリクスポリマに均一に分散している。これに対して、図29Bに示すように、10〜400mJ/cm2程度のパワーの光LAを照射すると、露光部においてモノマMが重合する。そして、ポリマ化するにつれて周囲からモノマMが移動してモノマMの濃度が場所によって変化し、これにより、屈折率変調が生じる。この後、図29Cに示すように、1000mJ/cm2程度のパワーの紫外線または可視光LBを全面に照射することにより、モノマMの重合が完了する。このように、光重合型フォトポリマは、入射された光に応じて屈折率が変化するので、参照光と物体光との干渉によって生じる干渉パターンを、屈折率の変化として記録することができる。
【0037】
なお、フォトポリマ層1bの屈折率変調度を増加させ、ホログラム記録媒体1に記録画像を定着させるため、ホログラム記録媒体1を加熱する工程を付加してもよい。
【0038】
このような光重合型フォトポリマを用いたホログラム記録媒体1は、露光後に特別な現像処理を施す必要がない。したがって、光重合型フォトポリマを感光部に用いたホログラム記録媒体1を使用することにより、ホログラムの製造装置や複製装置は、構成を簡略化することができる。
【0039】
[コンタクトプリントによる複製]
上述したようにして、画像情報が記録された体積型ホログラムを得ることができる。さらに、体積型ホログラムに記録された画像情報を再生させ、その再生光を物体光として、別のホログラム記録媒体に画像情報をコピーすることもできる。このような手法は、画像情報を記録したホログラムを原版とし、別のホログラム記録媒体を密着させた状態で記録を行うことから、コンタクトプリントと呼ばれる。以下、コンタクトプリントによる複製をコンタクトコピーと適宜称する。
【0040】
図30は、コンタクトコピー装置の概略を示した略線図である。図30に示すように、コンタクトコピー装置では、レーザ光源111からのレーザ光が空間フィルタ117によって拡大され、コリメーションレンズ119に入射される。コリメーションレンズ119によって平行光とされたレーザ光が、感光性材料を含むホログラム記録媒体101およびホログラム原版511に照射(S偏光)される。
【0041】
ホログラム原版511は、例えばリップマン型ホログラムである。感光性材料の層を有するホログラム記録媒体101およびホログラム原版511は、直接密着されるか、屈折率調整液(インデックスマッチング液と称される)を介して密着される。ホログラム記録媒体101には、ホログラム原版511によって回折した光と、入射レーザ光とによって形成される干渉パターンが記録される。
【0042】
<1.第1の実施の形態>
次に、実施の形態について説明する。
【0043】
第1の実施の形態によれば、ホログラム記録媒体は、複数の画像情報が記録されている。それぞれの画像情報は、ホログラム記録媒体の面上に直接結像するようにされる。また、それぞれの画像情報は、所定の拡散角度の結像光学系を介して、所定の方向から物体光としてホログラム記録媒体に記録される。
【0044】
したがって、あらかじめ定められた観察方向および角度範囲において観察ができる画像情報が複数記録されたホログラム記録媒体を得ることができる。また、例えば、文字やバーコードなど、平面的に現わされる画像情報(以下、2D情報と適宜称する。また、立体的形状に関する3次元画像情報を3D情報と適宜称する。)が複数記録され、かつ、個々の再生像がシャープであるホログラム記録媒体を得ることができる。
【0045】
[製造装置の構成例]
まず、図1を参照して、ホログラフィックな2D情報が記録されたホログラム記録媒体の製造方法について説明する。
【0046】
図1の装置は、ホログラム記録媒体の製造装置の一構成例(第1の構成例とする。)を示したものである。図1に示す構成例では、レーザ光源11、シャッタSh、1/2波長板13および偏光ビームスプリッタ15が順に配置されている。偏光ビームスプリッタで分岐されたレーザ光が、参照光の光学系および物体光の結像光学系のそれぞれを介して、ホログラム記録媒体1に照射するようになされる。
【0047】
(参照光の光学系)
図1に示すように、第1の構成例では、参照光の光学系が、2種類用意されている。すなわち、偏光ビームスプリッタ15で分岐されたレーザ光のうち、参照光光学系に向かう光は、ミラー23raで反射されたのち、ハーフミラー43により、さらに2つに分岐される。分岐された一方の光は、第1の光路を介してホログラム記録媒体1に照射されるようにされ、他方は、第2の光路を介してホログラム記録媒体1に照射されるようにされている。
【0048】
第1の光路には、シャッタSh1、空間フィルタ17r1およびコリメーションレンズ19r1が順に配置されている。第2の光路には、シャッタSh2、ミラー23rb,23rc、空間フィルタ17r2およびコリメーションレンズ19r2が順に配置されている。このとき、例えば、参照光の入射角度θrは、45°、θrは、22.5°とされる。
【0049】
(物体光の結像光学系)
空間フィルタ17o、コリメーションレンズ19o、ミラー23o、拡散板25、液晶パネル27、偏光板29、レンズ31、絞り33およびレンズ35が順に配置され、物体光の結像光学系が構成されている。液晶パネル27に対しては、図示しないが、液晶駆動部、例えばマイクロコンピュータが接続されている。偏光板29は、液晶表示パネル27の出射面に設けられている。なお、ミラー23oからホログラム記録媒体1に至る光学経路に配される光学素子は、レール等の支持部材によって所定の位置に取り付けられている。
【0050】
このとき、ホログラム記録媒体1へ物体光は略垂直に入射する。すなわち、物体光の入射角度をθoとすると、例えば、θoは0°±5°程度とされる。再生される2D情報の最大輝度が、ホログラム記録媒体の記録面の法線方向の近傍とできるからである。
【0051】
ホログラム記録媒体1への画像情報の記録は、以下のようになされる。
【0052】
(参照光)
まず、シャッタSh1をOPEN、シャッタSh2をCLOSEとする。レーザ光源11からのレーザ光が1/2波長板13を介して偏光ビームスプリッタ15に入射される。1/2波長板13は、レーザ光の偏光面を90°回転させる。偏光ビームスプリッタ15によってレーザ光が反射され、レーザ光が空間フィルタ17r1によって拡大される。空間フィルタ17r1からのレーザ光(すなわち、参照光)がコリメーションレンズ19r1に入射される。コリメーションレンズ19r1によって平行光とされたレーザ光が感光性材料の層を有するホログラム記録媒体1に照射(S偏光)される。
【0053】
(物体光)
偏光ビームスプリッタ15を通過したレーザ光が、空間フィルタ17oに入射される。空間フィルタ17oによって拡大されたレーザ光がコリメーションレンズ19oによって平行光とされ、ミラー23oに入射される。
【0054】
ミラー23oによって反射されたレーザ光が、拡散板25を介して空間光変調素子としての液晶パネル27に入射される。液晶パネル27上には、上述した液晶駆動部により、記録されるべき2D情報が画像として表示されようになされる。液晶表示パネル27によってレーザ光の偏光面が回転され、偏光板29によって、必要なS偏光成分が透過するようにされる。拡散板25によって拡散されたレーザ光は、絞り(マスク)33によって絞られ、観察時の視野角が規定される。
【0055】
したがって、液晶表示パネル27によって発生し、偏光板29を介された2D情報光が、投影レンズ31、絞り33および投影レンズ35からなる結像光学系を介してホログラム記録媒体1に入射される。
【0056】
このようにして、参照光としての入射レーザ光と、2D情報が重畳された物体光としてのレーザ光とによって形成される干渉パターンが、ホログラム記録媒体1に記録される。
【0057】
ここで、ホログラム記録媒体を得るための実施の態様としては、拡散板25として、拡散角度の絶対値が小さなものを使用することが好ましい。記録された2D情報をホログラム記録媒体の記録面の法線方向から撮影することを考えると、再生された2D情報の回折光強度の半値全幅が、8°以下となるように拡散板25の拡散角度を選択することが好ましい。実験したところ、回折光強度の半値全幅が8°以下だと、一般の拡散光源で照明したときに、識別情報を一括して読みだしたい領域(例えば15mm角)全域にわたって、シャープネス、均一性共に高い読み取りを行うことができた。
【0058】
この媒体の製造方法として具体的には、拡散角度の絶対値として、7°以下が好ましく、3°以下とすることがより好ましい。後述するように、拡散板25の拡散角度に応じて、ホログラム記録媒体に記録された2D情報が再生される視野角が変わるからである。
【0059】
拡散角度が、目標とする回折光強度の半値全幅より小さい理由は、ホログラム記録媒体自身の散乱、干渉縞形成時における重合や拡散の不安定性などにより、記録時と再生時とで拡散度合いが変化することによる。
【0060】
拡散板は図に垂直な方向にだけ±20°程度拡散し、この図のθoの方向には全く拡散しないというような拡散板を用いてもよい。なお、必要に応じて、拡散板25を省略した構成を採用してもよい。
【0061】
図1に示す構成例では、2D情報が重畳された物体光としてのレーザ光が、液晶パネル27に近接した拡散板25と絞り33により±δの拡散角度を有している。
【0062】
次に、ホログラム記録媒体1に対して、先ほど記録した2D情報(第1の2D情報)とは別の2D情報(第2の2D情報)の記録を行う。
【0063】
第2の2D情報の記録に先立ち、シャッタSh1をCLOSEし、シャッタSh2をOPENとする。露光時に、シャッタSh2がOPENされると、レーザ光が空間フィルタ17r2によって拡大される。空間フィルタ17r2からのレーザ光(すなわち、参照光)が、コリメーションレンズ19r2に入射される。コリメーションレンズ19r2によって平行光とされたレーザ光が、感光性材料の層を有するホログラム記録媒体1に照射(S偏光)される。ホログラム記録媒体1に対する参照光の入射角度θrを変更するにあたっては、ホログラム記録媒体1に対する物体光の入射角度θoが変わらないようになされることが好ましい。記録された2D情報をホログラム記録媒体の記録面の法線方向から撮影することを考えると、再生された2D情報の最大輝度が、ホログラム記録媒体の記録面の法線方向の近傍となることが好ましいからである。
【0064】
第1の2D情報を記録した際、参照光の入射角度θr1を45°としたが、第2の2D情報を記録する場合には、θr2が10°〜35°の範囲とされることが好ましい。例えば、所定の方向からホログラム記録媒体を照明する光源および撮像素子が組み込まれた再生装置を使用するとした場合に、光源と撮像素子とが干渉しないように配置でき、再生装置を小型に構成できるからである。さらに、第1の2D情報と、第2の2D情報とのクロストークを低減できるからである。
【0065】
第1の2D情報を記録する際、参照光の入射角度の一方を45°とした理由は、一般的に、ホログラムは斜め上45°±8°くらいから照明されることを前提に仕様決定されることが多く、それに倣ったためである。一般的に、この角度で設計する理由は、天井照明や太陽光など上方から光が当たることが多く、上方からの照射を前提としたときに、これより小さい角度だとホログラムを観察するときに照明光の直接反射が目に入り観察しづらいこと、大きい角度だと表面反射が大きくなり光利用効率が低くなることを鑑みて、選択している。
【0066】
または、θrが55°〜80°の範囲とされることが好ましい。この場合にも、第1の2D情報と、第2の2D情報とのクロストークを低減できるからである。
【0067】
液晶パネル27上に第2の2D情報を画像として表示させ、ホログラム記録媒体1に参照光および物体光を照射する。すなわち、参照光としての入射レーザ光と、第2の2D情報が重畳された物体光としてのレーザ光とによって形成される干渉パターンが、ホログラム記録媒体1に記録される。
【0068】
図1の例では、参照光は2種の光路を用意したが、3種以上用意し、その数だけ多重露光してもよい。上述した工程を繰り返すことにより、ホログラム記録媒体に相異なる複数の画像情報を記録することができる。この場合において、個々の画像情報を記録する際に、拡散板25や絞り33を変更し、個々の再生像の視野角がそれぞれ変更されるようにしてもよいし、使用するレーザ光の波長をそれぞれ変更してもよい。
【0069】
[2D情報が記録されたホログラム記録媒体]
上述した製造方法により得られるホログラム記録媒体は、複数の情報が記録されている。記録された情報は、所定の角度から照明されたときに、回折光強度の半値全幅が規定された再生像として再生される。再生される情報は、複数多重像の再生が抑制されたものとなっている。
【0070】
(記録された情報の再生)
図2〜図4は、ホログラム記録媒体1sからの再生像の回折光強度を説明するための図である。いま、物体光の拡散角度δを特に制限しないで記録を行った画像情報Sと、物体光の拡散角度δを規定して記録を行った2D情報P1とが重畳して記録されたホログラム記録媒体1sを考える。画像情報S記録時の参照光の入射角度θr1は45°、2D情報P1記録時の参照光の入射角度θr2は22°であったとする。また、物体光の入射角度θoは、ともに0°に近い値であったとする。
【0071】
図2Aは、照明光ILとして、白色光をα=45°の方向からホログラム記録媒体1sに照射した場合を示している。再生される再生像を撮像装置71で撮影するときの回折光強度は、図2Bに示すようなものとなる。
【0072】
図2Bは、再生像の回折光強度を模式的に示した図である。図2Bにおいて、波線ISは、画像情報Sの回折光強度を表し、実線IP1は、2D情報P1の回折光強度を表す。
【0073】
図2Bに示すように、照明光ILの入射角度がα=45°であるため、画像情報Sの回折光強度のピークが、ホログラム記録媒体1sの記録面に立てた法線方向(β=0°)の近傍となる。ここで、近傍とは、好ましくは−10°〜+10°の範囲をいう。
【0074】
すなわち、ホログラム記録媒体1sに正対してホログラム記録媒体1sを観察すると、画像情報Sを確認することができる。このとき、2D情報P1の回折強度のピークは、ホログラム記録媒体1sの記録面に立てた法線方向(β=0°)の近傍にない。そのため、2D情報P1は、画像情報Sの観察の妨げとはならない。
【0075】
図3Aは、照明光ILとして、白色光をα=22°の方向からホログラム記録媒体1sに照射した場合を示している。再生される再生像を撮像装置71で撮影するときの回折光強度は、図3Bに示すようなものとなる。
【0076】
図3Bは、再生像の回折光強度を模式的に示した図である。図3Bにおいて、波線ISは、画像情報Sの回折光強度を表し、実線IP1は、2D情報P1の回折光強度を表す。
【0077】
図3Bに示すように、照明光ILの入射角度がα=22°であるため、2D情報P1の回折光強度のピークが、ホログラム記録媒体1sの記録面に立てた法線方向(β=0°)の近傍となる。すなわち、ホログラム記録媒体1sに正対してホログラム記録媒体1sを観察すると、2D情報P1を確認することができる。また、図3Bに示すように、2D情報P1の回折光強度の半値全幅が8°以下とされることが好ましい。
【0078】
次に、2D情報P1の代わりに、参照光の入射角度θrを67°として2D情報P2が記録されたホログラム記録媒体1sを考える。
【0079】
図4Aは、照明光ILとして、白色光をα=67°の方向からホログラム記録媒体1sに照射した場合を示している。再生される再生像を撮像装置71で撮影するときの回折光強度は、図4Bに示すようなものとなる。
【0080】
図4Bは、再生像の回折光強度を模式的に示した図である。図4Bにおいて、波線ISは、画像情報Sの回折光強度を表し、実線IP2は、2D情報P2の回折光強度を表す。
【0081】
図4Bに示すように、照明光ILの入射角度がα=67°であるため、2D情報P2の回折光強度のピークが、ホログラム記録媒体1sの記録面に立てた法線方向(β=0°)の近傍となる。すなわち、ホログラム記録媒体1sに正対してホログラム記録媒体1sを観察すると、2D情報P2を確認することができる。また、図4Bに示すように、2D情報P2の回折光強度の半値全幅が8°以下とされることが好ましい。
【0082】
なお、それぞれの情報の記録時における参照光の入射角度θrとしては、一方をθr=45°、他方をθr=−45°(θr=315°)としてもよい。この場合においては、再生像どうしのクロストークが小さくなるので、記録された情報の機械読み取りを前提としないならば、個々の情報の記録時において、物体光の結像光学系の拡散角度を特に規定しなくともよい。
【0083】
なお、ホログラム記録媒体の上下視差方向に対して、θrが45°および−45°とされて情報の記録がなされたホログラム記録媒体を、例えば壁面に設置した場合、天井照明などにより照明されてどちらか一方の情報が再生される。このホログラム記録媒体を上下逆さまにして壁面に設置すると、他方の情報が再生されることになる。逆さまに設置するのが困難であるような状況の場合(大きな重い箱などに貼付されているような場合)、ホログラムに、天井照明よりも明るい懐中電灯などの光を下斜め45°から照射すれば、容易にもう一方の情報を観察できる。
【0084】
上述したいずれの例においても、ホログラム記録媒体の法線方向の近傍におけるいずれか一方の回折光強度が、他方の回折光強度に対して5倍以上であると好ましい。それぞれの再生像を明瞭に確認することができるからである。
【0085】
(視野角の制御)
図2〜図4を参照して説明したように、物体光の結像光学系の拡散角度を規定することにより、あらかじめ定められた角度範囲に視点がある場合のみ見ることができる情報が記録されたホログラム記録媒体を得ることができる。再生時には、図5に示すように、複製済みのホログラム記録媒体1に対して、入射角αで照明光ILを入射する。ホログラム記録媒体によって再生される再生像の視野角は、±δの広がりを持つ。
【0086】
(2D情報の定位)
図1に示す構成例によれば、ホログラム記録媒体1には、平面的に現わされる画像情報(2D情報)が記録される。2D情報は、例えば、文字、番号、記号、図形、模様、1次元バーコード、2次元バーコードまたはこれらの結合である。このとき、物体光の結像光学系の拡散角度を規定することにより、ホログラム記録媒体1の記録面からごく浅い位置に2D情報を直接定位させるようにしている。2D情報を定位させる奥行きは、画像処理や拡散板の位置により自由に設定することができ、好ましくは2mm以下である。
【0087】
画像情報を定位させる位置が記録面上から大きく離れていると、拡散光源によりホログラム記録媒体を照明したときに多重像が再生されてしまい、再生像のシャープネスが劣化してしまう。この場合、点光源であれば2D情報を再生することができるが、例えば曇天時などにホログラム記録媒体を観察すると、文字情報が多重像として再生されてしまう。すなわち、シャープな再生像を得ることができず、2D情報を機械読み取りすることは極めて困難となる。
【0088】
上述した例では、ホログラム記録媒体1に対して、コンタクトコピーによる画像情報の記録を行っていない。文字情報などをコンタクトコピーにより平面的に記録すると、ホログラム原版がある程度の厚さを有することから、ホログラム記録媒体の記録面に対してある程度の深さに文字情報が定位されてしまうためである。
【0089】
このように、2D情報をホログラフィックに記録する場合においては、物体光の結像光学系の拡散角度を規定すること、すなわち2D情報の再生像の視野角を狭範囲に規定することが有効である。
【0090】
(再生画像の切替え)
図6〜図8は、照明光の入射方向、ホログラム記録媒体の観察方向およびホログラム記録媒体の向きと、再生像との関係を説明するための図である。図6〜図8において、ホログラム記録媒体1には、2D情報として、2次元バーコード、文字情報および1次元バーコードが記録されているものとする。それぞれの2D情報は、参照光の入射角度θrが相異なるようにし、かつ、それぞれの再生像の回折光強度の半値全幅が8°以下となるように記録が行われたものとする。
【0091】
図6A〜図6Fは、ホログラム記録媒体の観察方向およびホログラム記録媒体の向きを固定して、照明光の入射方向を変化させたときに再生される再生像の様子を示したものである。まず、照明光ILの入射方向、ホログラム記録媒体1の観察方向Dおよびホログラム記録媒体1の向きを図6Aに示すようにする。この状態でホログラム記録媒体1を観察すると、図6Dに示すように、2次元バーコードが確認される。照明光ILの入射方向を図6Bに示すよう切り替えると、図6Eに示すように、ホログラム記録媒体1から再生される画像が文字情報に切り替わる。さらに、照明光ILの入射方向を図6Cに示すよう切り替えると、図6Fに示すように、再生される画像が1次元バーコードに切り替わる。
【0092】
このように、照明光ILの入射方向応じてホログラム記録媒体1から再生される2D情報が切り替わるようなものとできる。
【0093】
図7A〜図7Fは、照明光の入射方向およびホログラム記録媒体の向きを固定して、ホログラム記録媒体の観察方向を変化させたときに再生される再生像の様子を示したものである。照明光ILの入射方向、ホログラム記録媒体1の観察方向Dおよびホログラム記録媒体1の向きを、図7A、図7Bおよび図7Cに示すように切り替えれば、再生される画像が図7D、図7Eおよび図7Fにそれぞれ示すように切り替わる。
【0094】
図8A〜図8Fは、照明光の入射方向およびホログラム記録媒体の観察方向を固定して、ホログラム記録媒体の向きを変化させたときに再生される再生像の様子を示したものである。照明光ILの入射方向、ホログラム記録媒体1の観察方向Dおよびホログラム記録媒体1の向きを、図8A、図8Bおよび図8Cに示すように切り替えれば、再生される画像が図8D、図8Eおよび図8Fにそれぞれ示すように切り替わる。
【0095】
このように、照明光ILの入射方向、ホログラム記録媒体1の観察方向Dおよびホログラム記録媒体1の向きのうち、2つを固定して残り1つを切り替えれば、ホログラム記録媒体1から再生される情報を、それぞれ異なった情報とすることができる。
【0096】
[第1の実施の形態の第2の構成例]
図9の装置は、ホログラム記録媒体の製造装置の第2の構成例を示したものである。第2の構成例では、参照光光路を2種用意した第1の構成例と比較して、物体光光路を2種用意した点で異なる。すなわち、偏光ビームスプリッタ15を通過したレーザ光の光路上にハーフミラー43を配置することにより、さらに分岐された第1および第2の分岐されたレーザ光としている。したがって、第2の構成例は、物体光の結像光学系を2つ備えている。
【0097】
図9に示すように、ハーフミラー43を通過したレーザ光がミラー23に入射される。ミラー23で反射されたレーザ光が、第2の分岐されたレーザ光となる。
【0098】
第1の分岐されたレーザ光が、第1の構成例と同様に、拡散板25aを介して液晶パネル27a(偏光板を含む)に入射される。液晶パネル27aに表示された2D情報画像が、結像光学系(投影レンズ31a、35a、絞り33a)を介してホログラム記録媒体1に結像される。
【0099】
一方、第2の分岐されたレーザ光が、拡散板25bを介して液晶パネル27b(偏光板を含む)に入射される。液晶パネル27bに表示された2D情報画像が、結像光学系(投影レンズ31b、35b、絞り33b)を介してホログラム記録媒体1に結像される。
【0100】
第1の分岐されたレーザ光から生成された2D情報光のホログラム記録媒体1に対する入射角度と、第2の分岐されたレーザ光から生成された2D情報光のホログラム記録媒体1に対する入射角とが異なるものとなる。したがって、液晶パネル27aによる2D情報を見ることができる視点と、液晶パネル27bによる2D情報を見ることができる視点とを異ならせることができる。
【0101】
2つに分岐されたレーザ光は、同じタイミングでもってホログラム記録媒体1に対して照射される。または、時間順次で2つの分岐されたレーザ光をホログラム記録媒体1に照射するようにしてもよく、3以上の分岐されたレーザ光を使用してもよい。
【0102】
第1の実施の形態の第2の構成例によれば、ホログラム記録媒体1に対して、2つの視点に応じた2種類の2D情報を一度に記録することができる。
【0103】
[第1の実施の形態の第3の構成例]
図10のホログラム記録媒体は、ホログラム記録媒体の他の構成例を示したものである。第3の構成例では、第1の構成例と比較して、2D情報が記録されるホログラム記録媒体を透過型の体積型ホログラムとする点で異なる。
【0104】
図10Aおよび図10Bは、ホログラム記録媒体1を携帯電話73のディスプレイに貼り付けた例を示している。ホログラム記録媒体1は、例えば、2つの2D情報が記録されている。一方が文字情報であり、もう一方が文字情報および1次元バーコードの組み合わせであるとする。
【0105】
このとき、図10Aおよび図10Bに示すように、ディスプレイを眺める角度によって、再生される2D情報を異なったものとすることができる。なお、記録時の参照光の入射角度を適宜調整することにより、ディスプレイを正面から眺めたときの再生像の回折強度を小さく調整することができる。そのようにしておけば、ホログラム記録媒体1をディスプレイに貼りつけたことが、携帯電話73の操作の妨げとならないようにできる。
【0106】
または、特定の方向から照明することにより、ホログラム記録媒体1に記録された情報が再生されるようにしてもよい。このようなホログラム記録媒体1を例えば透明なショーウィンドウに貼り付け、種々の方向からの照明を切り替えれば、ショーウィンドウ自体を消費者の目を引く宣伝媒体とすることができる。
【0107】
第1の実施の形態の第3の構成例によれば、被着体上に表示されまたは表示されている情報の視認の妨げとならないので、様々なものに対して、意匠性や管理情報、商品情報等を付与することができる。
【0108】
例えば、ホログラム記録媒体1の被着体として、携帯電話のディスプレイほか、パソコン、スマートフォン、携帯情報端末(PDA:Personal Digital AssistantまたはPersonal Data Assistance)、ポータブルビデオゲーム機などのディスプレイなどにも適用できる。または、証明写真、商品のパッケージ、名刺、学生証などにも適用できる。
【0109】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0110】
第2の実施の形態によれば、ホログラム記録媒体は、複数の画像情報が記録されている。複数の画像情報には、3D情報と2D情報とが含まれる。複数の画像情報のうち、2D情報が、ホログラム記録媒体の面上に直接結像するようにされる。複数の画像情報のうち、2D情報が、所定の拡散角度の結像光学系を介して、所定の方向から物体光としてホログラム記録媒体に記録される。
【0111】
したがって、3D情報と、あらかじめ定められた観察方向および角度範囲において観察ができる2D情報とが記録されたホログラム記録媒体を得ることができる。
【0112】
[製造装置の構成例]
図11を参照して、3D情報および2D情報が記録されたホログラム記録媒体の製造方法について説明する。
【0113】
図11の装置は、ホログラム記録媒体の製造装置の一構成例を示したものである。図11に示す構成例では、ホログラム原版51に記録された3D情報をコンタクトコピーによりホログラム記録媒体に複製し、付加情報として2D情報をさらに重畳して記録する。図11に示す構成例では、コンタクトコピーのためのレーザ光と別のレーザ光を使用して付加情報としての2D情報を記録するようにしている。
【0114】
図11に示すように、複製用レーザ光LCの光源(図示しない)、ローラ61、ローラ63、ローラ65、露光部67およびUV定着部69が順に配置される。ローラ63の周面には、ホログラム原版51が貼り付けられている。ホログラム原版51は、例えば、水平方向連続視差画像である。
【0115】
ローラ(図示しない)から、ホログラム記録フィルム1fが繰り出され、ローラ61−ローラ63間、ローラ65−ローラ63間、露光部67およびUV定着部69を順に通過するようにされている。ホログラム記録フィルムは、透過性ベースフィルム上に感光性材料が塗布されたものである。
【0116】
ローラから繰り出されたホログラム記録フィルム1fが、ローラ63の周面に巻き付けられる。ホログラム原版51とホログラム記録フィルム1fとが密着された状態で、複製用レーザ光LCが照射され、ホログラム原版51のホログラムが、ホログラム記録フィルム1fに複製される。ホログラム記録フィルム1fの送りが停止されると同時に、複製用レーザ光LCの光源(図示しない)のシャッターが閉じられ、複製用レーザ光LCが照射される。
【0117】
複製後にホログラム記録フィルム1fが2D情報を重畳するための露光部67に送られ、2D情報が記録される。2D情報の記録のための構成としては、第1の実施の形態と同様の構成を適用できる。
【0118】
露光部67からUV定着部69に向かって、3D情報および2D情報が記録されたホログラム記録フィルム1fが送られる。なお、先に2D情報を記録し、次に、ホログラムをコンタクトコピーし、そして、定着を行う順序でもよい。
【0119】
[第2の実施の形態の第2の構成例]
第2の構成例では、図1に示した構成例と比較して、3D情報があらかじめ記録されたホログラム記録媒体を用い、さらに2D情報を付加情報として重畳記録する点で異なる。
【0120】
ホログラム記録媒体の製造には、第1の実施の形態の説明で示した製造装置の構成例がそのまま適用される。なお、3D情報の記録は、図6に示したモノマMの重合の前までとし、付加情報としての2D情報の記録の後にモノマMを重合するようにする。すなわち、3D情報があらかじめ記録されたホログラム記録媒体1に2D情報を記録した後、画像の定着を行う。
【0121】
第2の実施の形態の第2の構成例によれば、3D情報と、あらかじめ定められた観察方向および角度範囲において観察ができる2D情報とが記録されたホログラム記録媒体を得ることができる。
【0122】
<3.第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0123】
第3の実施の形態によれば、ホログラム再生装置は、観察ステージに観察対象を位置決めできるようにされる。観察対象に対して、所定の方向から所定の照明光を照射するようにされる。照明光が、観察者の方向へ直接出射されないようにされる。観察対象を所定の方向から光学的な開口部を介して観察できるようにされる。
【0124】
したがって、ホログラム記録媒体に対して、記録された個々の情報を選択的に再生させられるとともに、記録された個々の情報を簡便、迅速かつ確実に観察することができる。
【0125】
[ホログラム再生装置の構成例]
図12および図13の装置は、ホログラム記録媒体の再生装置の一構成例(第1の構成例とする。)を示したものである。図12Aは、ホログラム再生装置の一構成例を示す斜視図である。図12Bは、ホログラム再生装置の一構成例を示す正面図である。図13Aは、ホログラム再生装置の一構成例を示す上面図である。図13Bは、図13AにおけるX−X断面図である。
【0126】
図12および図13に示す構成例では、ホログラム再生装置2は、略直方体形状とされている。底面は、観察ステージ4とされている。観察ステージ4には側面および背面を構成する支持部材6が固定されている。ホログラム再生装置2の上面には、遮光部材8が、支持部材6に載置されている。ホログラム再生装置2の前面には、透明部材10が配置されている。これらがホログラム再生装置の筺体を構成し、筺体の内部に複数の光源12L、12C、12R、12Eおよび12x,12y,12w,12zが設置されている。
【0127】
観察ステージ4には、開口部4aが設けられている。開口部4aは、観察対象であるホログラム記録媒体1の位置決めのために設けられている。さらに、明度差のある高周波パターン4pが、例えば印刷により現されている。高周波パターン4pは、後述するように、ホログラム記録媒体1を撮像装置により撮影する場合に使用される。複数の光源12L、12C、12R、12Eおよび12x,12y,12w,12zは、それぞれが所定の方向を照明するようにして支持部材6に固定されている。
【0128】
遮光部材8は、その一部が下方へ折り曲げられることにより形成された遮光部8bを備えるとともに、観察用ステージ4に設けられた開口部4aの上方にあたる部分が開放され、光学的な開口部OPが形成されるようになされている。なお、遮光部8bは、遮光部材8とは別の部材から構成されていてもよい。ここで、光学的な開口部とは、部材が何も配置されずに開口部が形成されている場合と、開口部に、ホログラム記録媒体1の観察の妨げとならない程度の透明性を有する光透過性部材が配置されている場合とを含む。遮光部8は、複数の光源から発せられた光が、光学的な開口部OPから観察者に向けて漏れ出さないようにするために設けられる。
【0129】
後述するように、ホログラム記録媒体1の観察・撮像は、開口部4aからホログラム記録媒体1が見えるようにしてホログラム再生装置2を置き、光学的な開口部OPを通してホログラム記録媒体1を目視・撮像することにより行う。この例では、ホログラム面に略垂直な方向から観察・撮像できるようにした。望ましくは、垂直方向から±10°程度の範囲から撮像することが好ましい。読み取りたい領域全域に渡って撮像素子との平行性が保たれるため、全域に焦点が合いやすく、また、台形歪補正などの付加作業をする必要がないためである。
【0130】
複数の光源12L、12C、12R、12Eおよび12x,12y,12w,12zは、ホログラム記録媒体1に記録された情報を選択的に再生させるために設置されている。すなわち、光源のそれぞれが所定の方向を向いており、かつ、所定の波長帯域の光が出射されるようになされている。光源は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。図13Bに示すように、図13Bにおける左上方からの照明用白色LED光源12L、中央からの照明用白色LED光源12C、右上方からの照明用白色LED光源12R、エンボス型ホログラム照明用赤色LED光源12Eが設置されている。さらに、高周波パターン4pの全面を照明するための白色LED光源12x,12y,12w,12zが設置されている。
【0131】
透明部材10の下部には、反射面が筺体の内側となるようにして、ミラー14が設置されている。ミラー14は、図13Bにおける右上方向からホログラム記録媒体1を照明するために用いられる。すなわち、複数の光源のうち、所定の光源(例えば、中央からの照明用白色LED光源12C)は、ミラー14に反射させた光によってホログラム記録媒体1が照明されるような方向に向けて設置されている。
【0132】
また、出射された光を、透明部材10を透過させたうえでホログラム記録媒体1を照明するような拡散光源16を備えていてもよい。拡散光源16は、例えば、LED光源16aおよび16b(LED光源16bは図示しない)と、外殻部16cと拡散板16dから構成される。
【0133】
なお、上述した光源の数、種類、組み合わせ等は、あくまで例であり、ホログラム記録媒体1に記録された情報に応じて適宜変更がなされるものである。照射する光の波長体も、可視光領域に限られず、近赤外線領域、赤外線領域、近紫外線領域、紫外線領域であってもよい。ホログラム再生装置2は、ホログラム記録媒体1を照明する光源を切り替えるためのスイッチや切替え回路をさらに備えることが好ましい。可動ミラーを設置して、光源からの光を反射させ、照射方向を変更または調節できるようにしてもよい。
【0134】
(2D情報が記録されたホログラムの観察)
2D情報が複数記録されたホログラム記録媒体1を機械読み取りしようとした場合、読取装置の中に照明用光源を用意して、所定の角度から撮像することが考えられる。しかしながら、単純に読取装置にLED光源などを配置しただけだと、光源中心と撮像装置を結んだ直線とホログラム記録媒体1との交点の近傍以外の回折光強度が低下してしまう。
【0135】
図14Aは、単一LED光源20により、ホログラム記録媒体1を照射したときの再生画像の様子を示した模式図である。図14Bは、所定の角度から照明してホログラム記録媒体1に記録されている文字情報を再生した場合に観察される再生像を示す模式図である。図14Cは、所定の角度から照明してホログラム記録媒体1に記録されている2次元バーコードを再生した場合に観察される再生像を示す模式図である。以下の説明で用いる(図15B,図15C)〜(図18B,図18C)においても、同様とする。図14Bおよび図14Cに示すように、ホログラム記録媒体1に記録された情報が明るく再生されるのが、2D情報が記録された領域のうちの限られた部分のみだと、記録されている情報を一度に読み取ることが難しくなってしまう。
【0136】
(照明用光源)
以下に、ホログラム記録媒体1を照明する光源の好適な例について説明する。
【0137】
図15Aは、ホログラム記録媒体1を照明する光源の一例を説明するための図である。図15Aでは、光源22、ホログラム記録媒体1および撮像装置71の側面から見た図となっている。以下の説明で用いる図16A〜図18Aにおいても、同様とする。図15Aに示す例では、光源22とホログラム記録媒体1とを結ぶ線上に拡散機能体32が配置されている。拡散機能体32は、例えば、拡散板である。
【0138】
図15Aにおいて、Vは、2D情報の記録された領域の縦方向長さを表わしている。Lは、拡散機能体32とホログラム記録媒体1との距離を表わしている。αは、ホログラムに立てた法線と、ホログラムに立てた法線の足および光源を結ぶ線分とのなす角を表わしている。このとき、拡散機能体32の縦方向長さVdが、Vcosαの75%以上であることが好ましい。さらに、拡散機能体32の縦方向拡散角度を±βとして、V≦2Ltanβの関係を満たすようにすることが好ましい。すなわち、照明光の縦方向拡散範囲が、2D情報の記録された領域の縦方向長さ以上となるようにする。Vcosαに対して75%を掛けている理由は、観察実験した結果、望ましくはVcosα以上であったものの、0.75Vcosαであれば、読み取りに成功したためである。
【0139】
このようにすることで、図15Bおよび図15Cに示すような、記録された2D情報の全面が明瞭に再生された再生像を観察することができる。
【0140】
図16Aは、ホログラム記録媒体1を照明する光源の一例を説明するための図である。図16Aに示す例では、光源24とホログラム記録媒体1とを結ぶ線上にコリメーションレンズ34が配置されている。
【0141】
図16Aにおいて、rは、図16Bおよび図16Cに示すように、2D情報の記録された領域を包む円Cを描いたときの円の半径を表わしている。αは、ホログラムに立てた法線と、ホログラムに立てた法線の足および光源を結ぶ線分とのなす角を表わしている。このとき、コリメーションレンズ34の口径が、2rcosαの75%以上であることが好ましい。2rcosαに対して75%を掛けている理由は、観察実験した結果、望ましくは2rcosα以上であったものの、0.75×2rcosαであれば、読取に成功したためである。
【0142】
このようにすることで、図16Bおよび図16Cに示すような、記録された2D情報の全面が明瞭に再生された再生像を観察することができる。
【0143】
図17Aは、ホログラム記録媒体1を照明する光源の一例を説明するための図である。図17Aに示す例では、光源24aおよび光源24bとホログラム記録媒体1とを結ぶ線上、ホログラム記録媒体1とは反対側に反射板36が配置されている。反射板36は、例えば、凹形状のミラーを用いることができるが、これに限られず、ある程度の反射率が得られるものであればよい。
また、反射板の表面が、平滑な表面でなくともよい。光源36とホログラム記録媒体1とを結ぶ線を含む面で切断したときの凹形状の断面は、円弧状に限られず、放物線状、楕円弧状、自由曲線状、多角形状もしくはこれらの一部またはこれらの組み合わせとしてもよい。反射板36は、一体的に形成されたものでもよいし、複数の部材から構成されたものであってもよい。
【0144】
図17Aにおいて、rは、図17Bおよび図17Cに示すように、2D情報の記録された領域を包む円Cを描いたときの円の半径を表わしている。αは、ホログラムに立てた法線と、ホログラムに立てた法線の足および光源を結ぶ線分とのなす角を表わしている。このとき、光源24a,24bとホログラム記録媒体1とを結ぶ線に垂直な方向における、反射板36がホログラム記録媒体1に対して開放されている側の断面の輪郭線を包む円の半径Rが、rcosαの75%以上であることが好ましい。rcosαに対して75%を掛けている理由は、観察実験した結果、望ましくはrcosα以上であったものの、0.75rcosαであれば、読み取りに成功したためである。
【0145】
このようにすることで、図17Bおよび図17Cに示すような、記録された2D情報の全面が明瞭に再生された再生像を観察することができる。
【0146】
図18Aは、ホログラム記録媒体1を照明する光源の一例を説明するための図である。図18Aに示す例では、ホログラム記録媒体1を照明する光源を、複数の光源から構成される、光源の一群26としている。
【0147】
図18Aにおいて、rは、図18Bおよび図17Cに示すように、2D情報の記録された領域を包む円を描いたときの円の半径を表わしている。αは、ホログラムに立てた法線と、ホログラムに立てた法線の足および光源を結ぶ線分とのなす角を表わしている。このとき、光源とホログラム記録媒体1とを結ぶ線に垂直な方向における断面において、rcosα半径をもつ円で規定される領域内に光源の一群26が配置されることが好ましい。
【0148】
このようにすることで、図18Bおよび図18Cに示すような、記録された2D情報の全面が明瞭に再生された再生像を観察することができる。
【0149】
なお、図16〜図18の場合において、光源とホログラム記録媒体1との間に光拡散機能体をさらに配置することが好ましい。ホログラム記録媒体1に照射される光の均一性が増すためである。
【0150】
(撮像装置によるホログラフィック2D情報の取得)
ホログラム記録媒体1は、複数の2D情報が記録され、ホログラム記録媒体1を照明する照明角度だけ変えれば、記録された個々の2D情報が選択的に再生される。2D情報として、個別ID情報を記録しておけば、ホログラム再生装置2を用意しておき、複数の光源を切り替えてホログラム記録媒体1を照明することにより、ホログラム記録媒体1またはその被着体が真正なものであるかどうかの判定ができる。真贋判定においては、目視だけでなく、機械読み取りにより判定が行えることが好ましい。
【0151】
図19Aおよび図19Bは、商品のパッケージに、複数の2D情報が記録されたホログラム記録媒体を被着した例を示す概略図である。図19Bは、図19AにおけるY−Y断面図である。
【0152】
図19に示す例では、電池のブリュースターパック42の一部に、複数の2D情報が記録されたホログラム記録媒体1が被着されている。2D情報としては、例えば、1次元バーコードや文字情報が記録される。なお、ホログラム記録媒体1が透過性ホログラムであるとき、ホログラム記録媒体1の被着される面に印刷されている情報は、ホログラム記録媒体1を介して確認することができる。この場合において、ホログラム記録媒体1に記録された2D情報は、印刷されている情報の確認の妨げとはならない。
【0153】
図19Bに示すように、ホログラム再生装置2の開口部2aにホログラム記録媒体1が配置されるようにし、光学的な開口部OPを通して記録された2D情報を観察する。ホログラム再生装置2は、ブリュースターパック42の透明カバー42clにつきあてることができるようにされているため、商品がブリュースターパックによって包装されている場合にも、ホログラム記録媒体1およびホログラム再生装置2が適用可能である。
【0154】
図20は、ホログラム記録媒体に記録された個別ID情報としてのバーコードを読み取る例を示した概略図である。
【0155】
図20Aに示す例では、バーコードリーダ74に、例えば拡散板とLEDとを組み合わせた拡散光源アタッチメント16attが取り付けられており、LEDの電源はバーコードリーダ73側から供給されるようになっている。バーコードリーダ73の読み取りのスイッチがONとされると、LEDの電源がONとされ、2D情報の読み取り完了とともにLEDの電源がOFFとなるようにされている。このとき、2D情報の再生のために、所定の方向から確実に照明・読み取りを行う必要がある。
【0156】
図20Bに示す例では、アタッチメント等を用意し、ホログラム再生装置2にバーコードリーダ73を固定できるようにして2D情報の読み取りを行っている。このような構成とすれば、確実かつ迅速に2D情報の読み取りを行うことができる。ホログラム再生装置2は、撮像距離やターゲットを明確化するだけでなく、余計な照明を遮光する効果も有している。したがって、外部環境に起因する読み取りエラーを低減させる効果を有する。また、複数の情報を素早く切り替えて読み取りできるので、複数の2D情報の組み合わせによる認証や真贋判定も簡便である。なお、読み取った情報を無線通信や光通信、生体通信等により送受信し、情報処理装置やデータベース等とやり取りできるようにしておいてもよい。
【0157】
図21は、デジタルカメラ71dcにより、複数の2D情報が記録されたホログラム記録媒体1を撮像する例を示した概略図である。図21Bは、図21AにおけるX−X断面図である。
【0158】
図21Aに示す例では、2D情報として、文字情報が再生されている。この場合においても、アタッチメント等を用意し、ホログラム再生装置2にデジタルカメラ71dcを固定できるようにしておくことが好ましい。ホログラム再生装置2自体に、汎用デジタルカメラ、USB(Universal Serial Bus)カメラ、バーコードリーダ等に代表される撮像装置を組み込んでおいてもよい。または、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等に代表される撮像素子を組み込んでおいてもよい。
【0159】
(高周波パターン)
ここで、ホログラフィックに記録された2D情報をデジタルカメラにより読み取りを行う場合、ホログラムだけを照明した場合、コントラスト比が高すぎて、AF(Auto Focus:オートフォーカス)やAE(Auto Exposure:自動露出)が合わないというような場合が起こりうる。
【0160】
これは、一般的なデジタルカメラにおいては、コントラスト比が最大となるところをフォーカスの合っている撮像距離と判断するアルゴリズムが使用されることによる。言い換えれば、AFのフォーカス判断には濃淡の高周波成分が関係している。そのため、ホログラム再生装置2の観察ステージ4には、明度差のある高周波パターン4pを設け、高周波パターン4pにフォーカスを合わせることにより、再生される2D情報にAFが合うようにしている。なお、高周波パターン4pは、開口部4aの周辺部のみに設けてもよい。
【0161】
図22A〜図22Dに、高周波パターンの例を示す。図22A〜図22Dに示すパターンは、あくまでも例示であり、その他のパターンを使用してもよいし、一部分ずつ用いた組み合わせとしてもよく、白黒のエッジを含む任意のパターンも使用できる。任意のパターンの配色としては、白と黒の組み合わせに限られない。なお、明度の高い部分の占める割合を大きくしておくと、撮像装置へ入射する光が多くなるため、好ましい。
【0162】
明度の高い部分と低い部分の明度差については、光源の分光と高周波パターンの分光反射率を掛け合わせたものが基本となる。実際には、さらにセンサ分光やコントラスト検出方式の閾値にもよるため、一概に規定はしにくいが、図26に規定した輝度測定(測定装置 …色彩輝度計(Konica-Minolta CS-200)、照明用光源…ハロゲン光源(XY色度図上 Y:96.0、x:0.4508, y:0.4075)45°照明、標準白色板…(Konica-Minolta CSA20))において、輝度比に20%以上差がついているパターンを用いた場合、フォーカスが合いやすいという有意差が見られた。(20種類以上の市販のデジタルカメラ、バーコードリーダなどで実験した結果による。)
【0163】
明度の高い部分は、均一に明るく光っているものであることが好ましい。例えば、蓄光板または蛍光板の表面に、黒色のパターンを印刷したようなものによって高周波パターン4pを構成してもよい。
【0164】
または、高周波パターン4pとして、バックライトを使用してもよい。図23は、エッジライト方式のバックライト76の断面模式図である。図23に示すように、冷陰極管76cctから出射された光Lfが導光板76lgp内で反射を繰り返し、導光板76lgpの一主面に設けられた反射ドット76rdによって反射した光が、導光板76lgpの外に向けて出射され、明度の高い部分を構成する。バックライトとしては、遮光部分を設けた直下型方式のバックライトを使用してもよい。なお、高周波パターンにバックライトを適用する場合、フォーカスを合いやすくするために、バックライトの表面とホログラムの表面との間の段差が小さい方が好ましい。具体的には、導光板76lgpの厚さTが3mm以下であることが好ましい。
【0165】
または、ホログラム記録媒体1に記録されたいずれの2D情報についても、再生像の回折光強度が、最大値に対して好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下となるような位置からホログラム記録媒体1および高周波パターン4pを照明するようにしてもよい。白色LED光源12x,12y,12w,12zは、このような照明のために設置されるものである。白色光源を使用する場合には、色温度3000〜9500Kの白色光源を用いると、オートホワイトバランスのデジタルカメラ・ビデオなどでホワイトバランスも取りやすかった。
【0166】
なお、ホログラムを照明する光源としては、記録された情報を再生するのに必要な色の波長成分を含んでいればよいが、緑色に再生されるホログラムに対しては、白色LEDを使った方が、緑色LEDを使うよりもフォーカスが合いやすかった。
【0167】
また、緑色のリップマン型ホログラムを識別対象とする場合、赤色LEDを設置し、赤色LEDだけ光らせて観察するモードを設けると、該リップマン型ホログラムに類似させて作られたエンボスホログラムとの真贋判定に有効である。エンボス型ホログラム照明用赤色LED光源12Eは、このような真贋判定のためのものである。エンボス型ホログラム照明用光源としては、赤色LED光源のほか、レーザ光源を使用してもよい。このとき、ホログラム記録媒体1を照明する光については、再生像の回折光強度が、最大値に対して好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下となるような波長帯域にピークをもつようなものを使用する。
【0168】
[第3の実施の形態の第2の構成例]
図24および図25の装置は、ホログラム記録媒体の再生装置の第2の構成例を示したものである。図24Aは、ホログラム再生装置の第2の構成例を示す斜視図である。図24Bは、ホログラム再生装置の第2の構成例を示す正面図である。図25Aは、ホログラム再生装置の第2の構成例を示す上面図である。図25Bは、図24AにおけるX−X断面図である。
【0169】
第2の構成例では、第1の構成例と比較して、観察ステージ4が、ホログラム再生装置202の筺体内ではなく、前面に張り出すように設置されている点で異なる。そのため、ミラー14は設けられておらず、また、開口部4aの上方が開放された構成とされている。第1の構成例と同様に、この例では、拡散光源16が、出射された光が透明部材10を透過してからホログラム記録媒体1を照明するような配置とされている。
【0170】
なお、ホログラム再生装置202を小型なものとするため、観察ステージ4を筺体内に収納できるようにしてもよいし、透明部材10との間にヒンジ等を設け、上方に跳ね上げられるようにしておいてもよい。
【0171】
第3の実施の形態の第2の構成例によれば、第3の実施の形態の第1の構成例と同様に、ホログラム記録媒体に対して、記録された個々の情報を選択的に再生させられるとともに、記録された個々の情報を簡便、迅速かつ確実に観察することができる。
【0172】
<4.変形例>
以上、好適な実施の形態について説明してきたが、好適な具体例は、上述した説明に限定されるものではない。例えば、2D情報として、シリアル番号、製造者名、ロット番号、生産者名、1次元バーコード、2次元バーコード等の識別情報を個別ID情報として記録することができる。さらに、指紋等のバイオメトリクス情報を記録させてもよい。2D情報として個別ID情報を記録し、機械読み取りに応用すれば、RFID(Radio Frequency IDentification)を用いた認証に代えて、または組み合わせての応用が可能である。または、情報のストレージとして、不揮発性メモリのような使用も可能である。
【0173】
記録する画像情報としては、2つ、3つに限られず、それ以上の数であってもよい。ホログラム記録媒体から再生される情報が、記録面に対しての水平方向だけではなく、上下方向、対角線方向等に切り替えがなされるものであってもよい。
【0174】
ホログラム記録媒体は、商品の包装、非接触ICカード、IDカード、銀行カード、クレジットカード、社員証、学生証、定期券、運転免許証、外国旅券、ビザ、証券、通帳、印紙、切手、携帯電話、貨幣、宝くじ等、種々のものに使用することができる。
【0175】
上述した説明では、空間光変調素子として液晶パネルを使用したが、液晶パネル以外の素子を使用してもよい。また、拡散板25(または拡散板25a,25b)は、ホログラム記録媒体1に近接して配置してもよい。画像情報の記録については、空間光変調素子を等倍投影する例で説明したが、拡大あるいは縮小投影してもよい。第2の実施の形態におけるようなフィルム状ホログラム記録媒体を、他の実施の形態のホログラム記録媒体として使用してもよい。
【0176】
ホログラム記録媒体1を照明するための光源は、LEDに限らず、キセノンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯、または外光から開口部や光ファイバーによって導光されたものでもよい。
【符号の説明】
【0177】
1 ・・・ホログラム記録媒体
1a ・・・フィルムベース材
1b ・・・フォトポリマ層
1c ・・・カバーシート
11 ・・・レーザ光源
13 ・・・1/2波長板
15 ・・・偏光ビームスプリッタ
17 ・・・空間フィルタ
19 ・・・コリメーションレンズ
23 ・・・ミラー
25 ・・・拡散板
27 ・・・液晶パネル
29 ・・・偏光板
31,35・・・レンズ
33 ・・・絞り
43 ・・・ハーフミラー
Sh ・・・シャッタ
71 ・・・撮像装置
2,202・・・ホログラム再生装置
4 ・・・観察ステージ
4a ・・・開口部
4p ・・・高周波パターン
6 ・・・支持部材
8 ・・・遮光部材
8b ・・・遮光部
10 ・・・透明部材
12 ・・・光源
14 ・・・ミラー
16 ・・・拡散光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の画像が記録されており、
第1の方向から略平行光が入射されたときに、あらかじめ定められた方向に対する回折光強度が最大となるように第1の画像が再生され、
第2の方向から略平行光が入射されたときに、該あらかじめ定められた方向に対する回折光強度が最大となるように第2の画像が再生され、
前記第1および第2の画像の回折光強度のうち、少なくとも一方の再生角半値全幅が、8°以下である
ホログラム記録媒体。
【請求項2】
前記第1および第2の画像の回折光強度が最大となる方向が、前記第1および第2の画像の記録される面の法線方向の近傍である
請求項1に記載のホログラム記録媒体。
【請求項3】
前記第1の方向が、前記法線に対して略45°の角度をなす方向であり、
前記第2の方向が、前記法線に対して10°以上35°以下の角度をなす方向である
請求項2に記載のホログラム記録媒体。
【請求項4】
前記第1の方向が、前記法線に対して略45°の角度をなす方向であり、
前記第2の方向が、前記法線に対して55°以上80°以下の角度をなす方向である
請求項2に記載のホログラム記録媒体。
【請求項5】
前記第1の方向が、前記法線に対して略45°の角度をなす方向であり、
前記第2の方向が、前記法線を対称軸として、前記第1の方向と線対称な方向である
請求項2に記載のホログラム記録媒体。
【請求項6】
前記法線方向の近傍における前記第1および第2の画像の回折光強度のうちの一方が、他方の回折光強度の5倍以上である
請求項1〜5のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体。
【請求項7】
回折光強度の再生角半値全幅が8°以下である画像が、
文字、番号、記号、図形、模様、1次元バーコード、2次元バーコードまたはこれらの結合である
請求項1〜6のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体。
【請求項8】
レーザ光を、空間光変調素子により付加情報が重畳された光に変調し、前記変調された光を、結像光学系を介して参照光とともに照射する工程を備え、
前記結像光学系のうちの少なくとも1つが、拡散角度の絶対値が7°以下とされた結像光学系である
ホログラム記録媒体の製造方法。
【請求項9】
開口部を備える観察ステージと、
前記観察ステージの少なくとも一部と固定される支持部材と、
遮光部を備え、前記観察ステージよりも観察者に近い側に、前記支持部材に載置される遮光部材と、
前記支持部材に設置される複数の光源と、
を備え、
前記観察ステージが、前記開口部に観察対象であるホログラムを配置することにより、前記ホログラムを位置決めできるようにされ、
前記複数の光源のそれぞれが、あらかじめ定められた方向から前記ホログラムを照明するようにされ、
前記遮光部材のうちの少なくとも前記開口部の上方に対応する部分が、光学的な開口部とされ、
前記光源からの照明光が、前記遮光部により前記光学的な開放部に直接出射されないようにされる
ホログラム再生装置。
【請求項10】
前記複数の光源が、それぞれ異なる方向から前記ホログラムを照明するものであり、
前記複数の光源の点灯および消灯を操作できる切替え部をさらに備える
請求項9に記載のホログラム再生装置。
【請求項11】
前記観察ステージの少なくとも一部に明度差のある高周波パターンが現されている
請求項9または10に記載のホログラム再生装置。
【請求項12】
前記高周波パターンが、
導光板,前記導光板の端部に配置される光源,少なくとも前記導光板の一部に配置される反射部材を含む照明器具から構成される
請求項11に記載のホログラム再生装置。
【請求項13】
前記高周波パターンが、
畜光性または蛍光性を有する材料を含むものである
請求項11に記載のホログラム再生装置。
【請求項14】
撮像素子をさらに備える
請求項9〜13のいずれか1項に記載のホログラム再生装置。
【請求項15】
撮像装置を位置決め・固定することのできる位置決め部材をさらに備える
請求項9〜13のいずれか1項に記載のホログラム再生装置。
【請求項16】
前記光源うちの少なくとも1つと前記ホログラムとの間に光拡散機能体をさらに備え、
前記拡散機能体の縦方向長さが、Vcosαの75%以上であり、V≦2Ltanβの関係を満たす
請求項9〜15のいずれか1項に記載のホログラム再生装置。
(Vは、ホログラムの記録エリアの縦方向長さ、αは、ホログラムに立てた法線と、ホログラムに立てた法線の足および光源を結ぶ線分とのなす角、Lは、拡散機能体とホログラムとの距離、±βは、拡散機能体の縦方向拡散角度。)
【請求項17】
前記光源うちの少なくとも1つと前記ホログラムとの間にコリメーションレンズをさらに備え、
前記コリメーションレンズの口径が、2rcosαの75%以上である
請求項9〜15のいずれか1項に記載のホログラム再生装置。
(rは、ホログラムの記録エリアを包む円を描いたときの円の半径、αは、ホログラムに立てた法線と、ホログラムに立てた法線の足および光源を結ぶ線分とのなす角。)
【請求項18】
rcosαの75%以上の半径をもつ反射板をさらに備える
請求項9〜15のいずれか1項に記載のホログラム再生装置。
(rは、ホログラムの記録エリアを包む円を描いたときの円の半径、αは、ホログラムに立てた法線と、法線の足および光源を結ぶ線分とのなす角。)
【請求項19】
前記光源のうちの少なくとも2以上から構成される一群が、
前記ホログラムの記録エリアを包む円を描いたときの前記円の半径をrとしたときに、rcosα半径をもつ円で規定される領域内に配置される
請求項9〜15のいずれか1項に記載のホログラム再生装置。
【請求項20】
前記光源うちの少なくとも1つと前記ホログラムとの間に光拡散機能体をさらに備える
請求項17〜19のいずれか1項に記載のホログラム再生装置。
【請求項21】
前記ホログラムに記録された画像の回折光強度が、前記回折光強度の最大値の1/10以下となる方向から前記観察ステージを照明する光源をさらに備える
請求項9〜20のいずれか1項に記載のホログラム再生装置。
【請求項22】
前記観察ステージを照明する光源が、色温度3000〜9500Kの白色光源である
請求項21に記載のホログラム再生装置。
【請求項23】
前記ホログラムに記録された画像の回折光強度が、前記回折光強度の最大値の1/10以下となる波長帯をピークにもつLEDまたはレーザ光源をさらに備える
請求項9〜21のいずれか1項に記載のホログラム再生装置。
【請求項24】
(複数の画像情報が記録されたホログラムに立てた法線の方向,ホログラムを照明する照明光の方向,ホログラムを観察する方向)の組のうちの、いずれか2つの要素を固定した状態で残余の要素を変更することにより、前記ホログラムに記録された前記複数の画像情報を切り替えさせて観察する
ホログラムの観察方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate


【公開番号】特開2012−13902(P2012−13902A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149572(P2010−149572)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(594064529)株式会社ソニーDADC (88)
【Fターム(参考)】