説明

ホースバンド工具

【課題】 従来技術では、作業場所がエンジンルーム等の狭い空間であり、プライヤー等により挟み抜き取る作業は、動作が大きくなり肘などを壁面にぶつけやすく、また力が入りにくく困難が多い作業であった。
【解決手段】 ホースHを固定するホースバンドBの摘み部B2を摘む摘み爪部4に、ホースバンドBの摘み部B2を摘ませ且つ摘み部B2の係止解除作動をさせる引き金2を有する握り部1と、握り部1と角度を有して連続し、摘み爪部4の外側に突出している2つの並行部分30を有する押さえ体3と、引き金2の作動によりホースバンドBの摘み部B2を押さえ体3との間で挟み込んで径大状態であるホースバンドBの摘み部B2の係止を解除可能な摘み爪部4と、径大状態であるホースバンドBの摘み部B2の係止を解除されたことにより、ホースバンドBの両端部である摘み部B2,B3が開くことでホースバンドBを取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両、冷蔵庫、エアコン等に使用されているホース類の取付け端部を締付けて固定するためのホースバンド取付け工具に関し、詳細には、径大とした状態を保持可能なホースバンドを位置決めして取付けると共にその後ホースバンドを径小とさせてホースバンドを取付け可能なホースバンド工具に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコン、冷蔵庫、自動車等には、エアーや液体を送るためのホース類が多数使用されている。該ホース類は、その端部をホースバンドにて固定している。そして例えば、自動車の製造工程においては、車両のエンジンルーム等の狭い空間に、車種等によって異なるが2本乃至6本程度のホース類が使用されており、そのホース類の取付け端部を特定の部位に取付ける必要があった。このホース類の取付け端部と被取付部の取付には、一般的にホースバンドが使用されており、このホースバンドは、予めホース類の取付け端部位置付近に、ホース類の管周より少しだけ大きい径からなる輪としてホース類に移動可能に嵌められている。
【0003】
従来、一般的に用いられていたクリップタイプのホースバンドでは、ホースバンドの輪の径が、ホースを固定するために固定対象となるホースの径より稍径小なリング状に形成し、通常金属板状体によりなり、形成されたリング状の一箇所を切欠した状態でL字状に折曲げて2箇所の摘み部を設けてあり、該摘み部を挟むことでリング状の輪の径をホースより径大となるように構成されている。
【0004】
このように構成されるホースバンドを、摘み部を摘んで輪を径大とした状態で該摘み部に、輪が径大となった状態にするようにクリップを取付けておく。このようにホースバンドクリップを摘み部に予め取付けておくことでホースバンドの輪を径大状態に保っておいた。このように径大となったホースバンドを予めホースの端部からホース中央方向へ移動させておく。
この状態で、ホースを予め決められた被取付部に嵌め合わせた後、ホースバンドを該取付け位置へ移動し、ホースバンドクリップを引き抜いて取外す。ホースバンドクリップを取り外すと、クリップ取付部が輪のスプリング力により開き、ホースバンドの輪の径が小さくなりホース端部を締付け、ホースを被取付部に固定させていた。
【0005】
そして、このような従来の技術としてホースバンドの位置決め後にホースバンドクリップの取外しを行う専用の工具は知られていなかったので、作業者が狭い空間においてホース類の取付け端部を被取付部に嵌め込み手作業でホースバンドの位置決めを行った後、ホースバンドのクリップをプライヤー等の挟み工具でホースバンドから取り外す作業を行っていた。
そして、ホースバンドはホースバンドクリップを取外されることでスプリング力により輪が径小となりホース類の取付け端部を締付けホース類を被取付部に固定していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記した従来技術では、作業場所がエンジンルーム等の狭い空間であり、プライヤー等の挟み工具によって挟み抜き取る作業は、動作が大きくなり肘などを壁面にぶつけやすく、また力が入りにくく困難が多い作業である問題点を有した。しかもホース類を被取付部に取付ける作業は、1つの車両によって、10数本も取付ける場合もあり作業者に非常に負担の多い作業となってしまう問題点を有した。
【0007】
また、前記のように狭い作業空間の中で、ホースバンドクリップをプライヤー等の工具で挟み、さらに力を入れて引き抜く作業であるため、このホースバンドクリップの引き抜き作業によって、ホース端部から3mm乃至5mmと通常規定されているホースバンドの位置がずれてしまうという問題点を有した。
更に、該取付け位置のずれを修正するためには、再びホースバンドの摘み部をプライヤー等の挟み工具によって挟み、再び輪の挟み部を重なり合わせて輪の径を大きくした状態で手作業により狭い空間内で正しい締付け位置までホースバンドを移動させることが必要であり、困難な作業となる問題を有した。
更に、自動車の製造工程では、車種毎に決まった数のホースの取り付けが行われたことを確認するため、引き抜いたホースバンドクリップを数確認装置に入れるが、引き抜き毎に行うので作業が繁雑であった。
【0008】
そこでこの発明は、上記問題点に鑑み、ホース取付け後にホースバンドの取付け作業が容易となると共に、ホースバンド取付け位置への位置決めが容易に行えるようにすることを課題とし、ホースバンド取付け工具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこでこの発明では、ホースバンドの摘み部が係止されて径大となった状態のホースバンドを保持した状態でホースバンドの摘み部の係止を解除させホースバンドを取付ける工具を提供するため、
【0010】
ホースバンドの摘み部を摘む摘み爪部に、ホースバンドの摘み部を摘ませ且つ摘み部の係止解除作動をさせる引き金を有する握り部と、
握り部と連続し、摘み爪部の外側に突出している2つの並行部分を有する押さえ体と、
引き金の作動によりホースバンドの摘み部を押え体間で挟み込んで径大状態であるホースバンドの摘み部の係止を解除可能な摘み爪部と、
径大状態であるホースバンドの摘み部の係止を解除されたことにより、ホースバンドの両端部である摘み部が開くことでホースバンドを取付けることが可能であることを特徴とするホースバンド工具、
【0011】
を提供する。従って、ホースを取付部に差し込み取付けた後ホースバンドによってホースを取付部に固定すべく、ホースバンド工具では、摘み爪部にホースバンドの摘み部を位置させ握り部の引き金を引き、摘み爪部を押さえ体の内側へ移動させるホースバンドの摘み部を摘み爪部と押さえ体との間で保持する。この状態でホースバンドを所定の位置に移動させる。
そして、ホースバンドの摘み部の係止を解除するように、握り部の引き金を更に引く。すると、摘み爪部が更に押さえ体の内側へ移動することで摘み部の一方がゆがめられて係止が解除され、摘み部相互が開いてホースバンドを径小な締め付け状態とする。
これにより、取付部に取付けたホースはホースバンドによってしっかりと取付けられる。
更にこの発明は、ホースに対して行われるホースバンドの取付け作業が何回行われたかをカウントするために、
【0012】
ホースバンドの摘み部を摘む摘み爪部に、ホースバンドの摘み部を摘ませ且つ摘み部の係止解除作動をさせる引き金を有する握り部と、
握り部と連続し、摘み爪部の外側に突出している2つの並行部分を有する押さえ体と、
引き金の作動によりホースバンドの摘み部を押え体間で挟み込んで径大状態であるホースバンドの摘み部の係止を解除可能な摘み爪部と、
摘み爪が摘み部の係止を解除する位置に達したことを検知可能な検出手段と、
検出手段によって検出された回数をカウント可能なカウンタ部とを有し、
径大状態であるホースバンドの摘み部の係止を解除されたことにより、ホースバンドの両端部である摘み部が開くことでホースバンドを取付けることが可能であり、且つ、検出手段によって摘み部の係止を解除した情報を検出し、該検出情報をカウント部によってカウント可能であることを特徴とするホースバンド工具、
【0013】
を提供する。従って、この発明によれば、ホースを取付部に差し込み取付けた後ホースバンドによってホースを取付部に固定すべく、ホースバンド工具では、摘み爪部にホースバンドの摘み部を位置させ握り部の引き金を引き、摘み爪部を押さえ体の内側へ移動させるホースバンドの摘み部を摘み爪部と押さえ体との間で保持する。この状態でホースバンドを所定の位置に移動させる。
そして、ホースバンドの摘み部の係止を解除するように、握り部の引き金を更に引く。すると、摘み爪部が更に押さえ体の内側へ移動することで摘み部の一方がゆがめられて係止が解除され、摘み部相互が開いてホースバンドを径小な締め付け状態とする。
【0014】
これにより、取付部に取付けたホースはホースバンドによってしっかりと取付けられる。そして、摘み爪部が摘み部の係止を解除した位置まで移動された際に、検出手段が解除したことを検出しカウンタ部が該解除数をカウントする。
そして、カウンタ部によるカウント数は、例えばカウンタ部が他の装置との間の通信手段を備えていれば、他の装置側で該カウント数を監視可能となるし、例えばホースバンド工具にブザーを設け所定数をカウントする毎にブザーによってカウント終了を作業者に知らせる等することができる。
そして、ホースバンド工具を
【0015】
ホースバンド工具の押さえ体に、ホースバンドを取付けるホースの端部に接触可能な位置決め用リップを着脱可能に取り付ける、
【0016】
構成とする。このように位置決め用リップを取付けたホースバンド工具では、摘み爪部と押さえ体との間で保持したホースバンドを移動してホースの所定位置へ移動させる際に、位置決め用リップをホース端部に合わせておき、この状態でホースバンドの摘み部の係止を解除させることで、ホースバンドは位置決め用リップと摘み爪部との距離をホースの端部からおいて取付けられる。また、位置決め用リップの幅を変更することでホース端部からの距離を変更できるので、所望の取付け位置を位置決め用リップの交換で行える。また、位置決め用リップは着脱自在なので、位置決め用リップを取外して作業を行うことでホース端部から作業者の所望位置にホースバンドを取付け可能である。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、径大となった状態である開状態のホースバンドを保持して所定位置に移動可能であり、その位置に置いて引き金の作用によりホースバンドを径小となった状態である閉状態に容易にできるという効果を有する。
また、位置決め用リップによりホースバンドの位置決めが容易に行えるという効果を有する。
【0018】
そして、上記のように、従来のような不自然な格好でホースバンドクリップを引抜く大きなアクションを必要としないので、作業の安全性が向上した。
【0019】
更に、検出手段およびカウンタ部を設けることにより、取付けたホースバンドの数を確実に計数できるので、ブザーによる所定カウント数の通知や他の装置への通信による他の装置による監視および制御によって工程に於けるホースバンドの取付け数を監視できるので、ホースバンド取付の作業が安定して確実に行われ、作業ミスが起こり難くいという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
ホースバンド工具には、握り部はピストル状に引き金を設ける。また、握り部にはピストルの銃身に相当するように握り部と角度を有して押さえ体を設ける。押さえ体には、上下に並行部分を設け、基部が握り部に接続固定され、上下の並行部分を入替えるように基部において回転可能に接続される。
そして、押さえ体の先端側の中央には、握り部の引き金に連接される摘み爪部を設ける。摘み爪部は、連接棒によって引き金と連接されている。摘み爪部は、ホースバンドの摘み部を摘むことができるように引き金を引くと、押さえ体の先端側から基部側へ移動するように連接されており、この状態から更に引き金を引くことで、更に基部側へ移動してホースバンドの摘み部の係止を解除可能である。
【0021】
また、握り部内には検出手段を設ける。検出手段はマイクロスイッチからなり、ホースバンドの摘み部の係止を解除するまで摘み爪部を移動させた際の摘み爪部連接棒の端部に位置してスイッチがOFFからON状態或はONからOFF状態へ変化するように固定されており、引き金が引かれて摘み爪部が移動しホースバンドの摘み部の係止を解除すると該状態を検知可能である。
更に握り部内にはカウンタ部を設ける。カウンタ部は検出部の検知した結果を入力可能であり、該結果が所定数に達すると無線により他の制御装置等へ送信可能である。
【0022】
また、押さえ体には、摘み爪部によって保持されたホースバンドの幅方向側となる側部に、位置決め用リップを着脱自在に取付ける。この位置決め用リップは、ホースの予定された位置にホースバンドが取付けられた際に、ホースバンドを摘み爪部によって保持した位置でホースの端部に位置するように取付けられる。従って、ホースバンド工具がホースバンドを摘み爪部によって保持し、ホースの固定する位置へ移動して行くと、所定位置で位置決め用リップがホースの端部に位置する。
このように構成するホースバンド工具では、予め径大にされ摘み部相互が係止している状態である、即ち開状態となっているホースバンドの摘み部を摘み爪部に位置させ、引き金を引く。すると、摘み爪部と押さえ体との間でホースバンドの摘み部は保持されるのでホースバンドはホースバンド工具に保持される。保持された状態でホースバンドを所望位置へずらす。この時ホースバンドはホースの外側に沿って端部側へ移動されることとなるので、ホースの外形に沿って回転しながら移動する。ホースバンド工具は、押さえ部の基部が握り部と回動自在に取付けられているので、この回転に対応するように押さえ部を握り部に対して自在に回転させながら移動させることができる。
【0023】
そして、所望位置付近へ移動させた後には、位置決め用リップが取付け対象であるホースの端部に位置するようにホースバンド工具を移動させホースバンドを位置させる。この時のホースバンドの位置は、位置決め用リップによって位置を見定めたので予め定められた取付け位置となっている。
この状態で、ホースバンド工具の引き金を更に引くと、ホースバンドの摘み部は摘み爪部によって更に握り部側へ移動されるので、ホースバンドの摘み部の係止が解除されることとなり、摘み部相互が離れることでホースバンドはホースバンドより径小な状態へ、即ち閉状態をとる。このホースバンドの閉状態により、ホースは取付部に抜けないように取付けられることとなる。
【実施例1】
【0024】
以下に、この発明の実施例1を図面に基づき説明する。図1はこの発明の実施例を表す説明図であり、図2は図1における先端部の斜視拡大説明図であり、図3はこの発明の実施例に用いるホースバンドを表し、(a)はホースバンドの摘み部を係止させて径大状態である開状態を表す斜視説明図、(b)は同係止を解除させて径小状態である閉状態を表す斜視説明図であり、図4はこの発明の実施形態であるホースバンド工具の作動状態を表す内部透視正面説明図であり、図5は図4の一部を表す作動状態の内部透視平面説明図であり、図6乃至図8はこの発明の実施形態であるホースバンド工具の作動状態を表す内部透視正面説明図であり、図9は図1において押さえ体とクリップ挟み爪をホースバンドクリップ側から見たZ矢視図であるホースバンド工具の左側面部分図である。
【0025】
Aはホースバンド工具である。ホースバンド工具Aは、握り部1と、握り部1に設ける引き金2と、握り部1に対して角度をもって取付ける基端部によって取付けられる押さえ体3と、押さえ体3の先端部側に位置されて引き金2と連動する摘み爪部4と、押さえ体3の先端側の側部に着脱自在に取付ける位置決めリップ5とからなり、更に、握り部1内部に設ける検出手段であるマイクロスイッチ6とマイクロスイッチ6と電気的に接続されマイクロスイッチ6からの信号をカウント可能なカウンタ部7とからなる。
【0026】
ここで、この発明の実施例1で用いるホースバンドBを説明する。
ホースバンドBは、細長い金属板をリング状に成形してばね力をもたせた本体B1と、本体B1の両端を本体から外方へL字状に折曲して両端に設ける摘み部B2、摘み部B3とからなり、摘み部B2および摘み部B3とは係止可能に構成する。そして、本体B1の径は、図3(a)に表すような摘み部B2および摘み部B3を係止させた状態では、取付け対象であるホースHの径よりも若干径大となり、図3(b)に表すような摘み部B2および摘み部B3の係止を解除させた状態ではホースHの径よりも径小な状態となる。従って、図3(b)に表すような摘み部B2および摘み部B3の係止が解除された状態でホースHに取付けた場合には、ホースHを被取付け位置であるパイプ等へ固定可能に構成してある。
【0027】
ホースバンドBを更に詳細に説明する。
ホースバンドBの摘み部B2は、摘み部B3側へ折曲した係止突起B21を突設する。係止突起B21は、中央に係止溝B22を設け係止突起B21の中央部を細く形成する。この係止溝B22は、摘み部B3と係止する際に摘み部B3に設けた溝に嵌入することで摘み部B2および摘み部B3が係止し、ホースバンドBを開状態にしておくことができる。
【0028】
摘み部B3は、摘み部B2に設けた係止突起B21を挿入されて係止可能な挿入孔B31を穿設してなる。挿入孔B31は、先端側からT字状に穿設され、T字状の縦溝B32は、摘み部B2の係止溝B22が入り込めるが係止突起B21の先端が挿入できない幅からなり、また、横溝B33は係止突起B21が挿入可能な幅からなる。従って、挿入孔B31の横溝B33から係止突起B21を係止溝B22まで挿入し、係止溝B22を縦溝B32側へ移動させることで摘み部B2の係止溝B22が縦溝B32に入り込み係止突起B21が縦溝B32の外側に引っ掛かって、摘み部B2および摘み部B3とは係止されることとなる。そして該係止状態を解除するには、再び摘み部B2の係止突起を横溝B33側へ移動させると係止突起B21が横溝B33に位置して挿入孔B31から抜け出すことが可能となり、摘み部B2および摘み部B3とが離れた状態となるようホースバンドBの本体B1のスプリング力により再び径小状態である閉状態となる。
【0029】
次いで、ホースバンド工具Aの詳細を説明する。
ホースバンド工具Aに設ける握り部1は、その上端部10で引き金2の上端部20と回動自在に接続しており、上部中間部の位置からほぼ直角方向の角度を有して連続して押さえ体3が一体的に固定されて設けられている。握り部1の中間部に位置する長孔32の後部には接触部保持用バネ体12を設け、長孔32の前部から挿入されている摘み爪部4のシャフト41後端側に設けるスイッチ押圧突起44が後方に移動してマイクロスイッチ6をON状態にしてしまう空打ちを防止し、摘み爪部4が正常に摘み部B2および摘み部B3の係止を解除した場合のみマイクロスイッチ6が該解除を検知可能にしている。更に、握り部1の下部には、マイクロスイッチ6と電気的に接続しマイクロスイッチ6によって検知されたホースバンドBの摘み部係止解除数をカウントし、更に該カウント数を制御装置等の他の装置へ伝達可能な発信用基板からなるカウンタ部7を内蔵している。
【0030】
引き金2は、上端部20で握り部1の上端部10と回動自在に連結すると共に、中間部で後述する長孔32内に移動自在に設けられるシャフト41及びバンド検知用ロッド42と連結部21によって角度変更自在に連結している。引き金2を握り部1と一緒に握ってシャフト41を後端側へ移動させる場合、連結部21は、引き金2に対して上下しつつシャフト41及びバンド検知用ロッド42を移動させると共に、引き金2が後述する復元用バネ43の付勢力で先端側に位置したときに、バンド検知用ロッド42をシャフト41に対して先端側に移動させるように係合されている。引き金部2は、この実施形態では、作業者が手動で握り作動させるが、他の実施形態としては、小型のモータ、あるいはエアシリンダー等の動力源を使用して自動により作動させることも可能である。
【0031】
押さえ体3は、先端側(握り部1と逆側)に2つの並行部分30を有し、後端側(握り部1側)に1本の基部31が並行部分30に連続して設けられ、基部31は握り部1に連続して固定されている。押さえ体3の基部31の内部は、中空部からなる長孔32を設けており、長孔32は、握り部1の内部まで連続しており、握り部1側端部に空打ちを防止するための接触部保持用バネ12を備えている。長孔32の内部形状は円筒、又は角筒であるが、この実施例では円筒形の長孔である。
【0032】
長孔32内には、摘み爪部4の後端側と連結して固定されているシャフト41およびバンド検知用ロッド42が二重の円筒になっており、それぞれ前後移動可能に設けられている。外側のシャフト41は、細長い円筒状であり内部に摺動可能又は移動可能にバンド検知用ロッド42を設けている。バンド検知用ロッド42の先端は、摘み爪部4内部の中空路を通り摘み爪部4の先端に穿設した支持孔40に突出しており、後端は、握り部1に設けた接触部保持用バネ12と接触するように設けてある。そして、バンド検知用ロッド42の接触部保持用バネ12と接触する端部側には、バンド検知用ロッド42が接触部保持用バネ12の付勢力に抗して後端側へ移動した際にマイクロスイッチ6をON状態とさせるスイッチ押圧突起44を、握り部1内に固定するマイクロスイッチ6側へ突出させて固定する。また、シャフト41及びバンド検知用ロッド42は、それぞれ中間部において引き金2の中間部と角度変更自在に連結している。
【0033】
摘み爪部4は、爪部本体4aと、爪部本体4aに穿設する支持孔40と、シャフト41と、バンド検知用ロッド42と、復元用バネ43と、スイッチ押圧突起44とを有し、これらの部材の全て、或いは一部は略押さえ体3の2つの並行部分30の間に設けられている。
摘み爪部4の爪部本体4aは、基端部4bが押さえ体3に設けた平行部分30内の基端部31側に位置し、先端部4cは平行部分30の先端側に位置して設ける。
【0034】
支持孔40は、図2に表すように、先端部4c側の爪部本体4aにホースバンドBの摘み部B2に設けた係止突起B21を挿入可能に穿設し楕円形状の穿設孔である。そして、支持孔40内部にバンド検知用ロッド42の先端を突出して設けられるように、支持孔40の後端側には孔が穿設され、該孔からバンド検知用ロッド42の先端が突出されている。更に支持孔40の先端側にもバンド検知用ロッド42の先端が挿入して更に外側へ突出可能に孔を穿設してなる。このように支持孔40内にバンド検知用ロッド42が挿通可能な孔を穿設することで、支持孔40の移動とは独立してバンド検知用ロッド42が移動可能となり、支持孔40内にホースバンドBの係止突起B21が挿入されているときには、支持孔40の後端側への移動に伴い係止突起B21も移動するので、支持孔40内に突出しているバンド検知用ロッド42も係止突起B21によって押圧され、支持孔40および係止突起B21と共に移動するが、支持孔40に係止突起B21が挿入されていない状態で支持孔40が後端側へ移動したときには、バンド検知用ロッド42係止突起B21に押圧されないので、バンド検知用ロッド42は後端側へは移動しない。この実施例では、支持孔40内からホースバンドB側先端にかけてバンド検知ロッド42が挿通可能な孔を設けたが、ホースバンドBの係止突起B21を支持孔40に挿入しない状態で引き金2を引いたとき(所謂空撃ちしたとき)に、スイッチ押圧突起44がマイクロスイッチ6をONにしないようにロッド42を設置すれば、支持孔40内からホースバンドB側先端にかけて設けたバンド検知ロッド42挿通用の孔は設けなくとも良い。
【0035】
また、爪部本体4aは、後端側でシャフト41に固定されており、引き金2と連動するシャフト41の移動に伴い移動可能である。このとき、シャフト41の内部にシャフト41に対して摺動可能なバンド検知用ロッド42も引き金2の作動によりシャフト41とともに移動する。更に、爪部本体4aは、シャフト41の周囲に設けられる復元用バネ43の付勢力によって常に先端側に付勢されている。
【0036】
位置決め用リップ5は、図9に表すように、押さえ体3の正面視で上下に並行してある2つの並行部分30の上下中間位置の両側部の外側に着脱可能に設ける部材であり、両側のそれぞれの位置決め用リップ5は、押さえ体3の先後方向に移動可能であり、また先端は押さえ体3の先端より先に突出しておりホースバンドBの幅側部に接触可能である。この位置決め用リップ5は、ホースHの端部からホースバンドBを取付ける位置までの幅からなり、位置決め用リップ5の外側端部がホースHの先端に合わさるようにホースバンド工具Aを位置させることで、ホースバンド工具Aの摘み爪部4に支持させるホースバンドBは所望の取付位置に位置されることとなる。
【0037】
次いで、この発明の実施例であるホースバンド工具Aの作用について説明する。
予め開状態、即ち摘み部B2と摘み部B3とが係止して径大となっているホースバンドBをホースHに挿入しておき、ホースHの先端側を所望の被取付体に挿入しておく。そして、作業者は、ホースバンドBをホースHの先端側へ移動させて大凡の取付位置へ移動させる。
この状態で作業者は、ホースバンド工具Aの摘み爪部4に設けた支持孔40にホースバンドBの摘み部B2に設けた係止突起B21を挿入する。
このとき、作業者が握り部1に対して引き金2を握らない状態では、引き金2は復元用バネ43の付勢力により図4のように先端部側に付勢され開いた状態である。従って、摘み爪部4の支持孔40は、押さえ体3の先端から突出している。
更にこのとき、作業者の手の位置等によっては、ホースバンド工具Aの押さえ体3を、握り部1と回動自在に取付けている基部31部分によって回転させることにより作業者の作業しやすい位置へ回転移動させることで、更に作業性をよくすることができる。
【0038】
次に作業者は、ホースバンドBおよびホースバンド工具Aを移動させ、図4の状態でホースHに、図5に表すように予め先端側に移動させておいた位置決め用リップ5のどちらか片方、即ち、ホースHの先端側に位置する位置決めリップ5をホースHの端部に当て、ホースバンドBをホースHのホースH端部から決められた3mm乃至5mmの位置に位置決めする。
【0039】
次に、図6に表すように、作業者の手又はモータ等の動力源により握り部1に対して引き金2を後端側へと移動させる。すると、引き金2と連結しているシャフト41及びバンド検知用ロッド42が、長孔32内で後端側へ移動し始め、シャフト41に先端側で固定されている摘み爪部4が復元用バネ43の先端方向への付勢力に抗して全体として後端側へ移動し始める。この移動により、摘み爪部4は、押さえ体3の上下2つの並行部分30の間に入り、支持孔40に挿入されている係止突起B21も平行部分30の内側へと移動され、これに伴いホースバンドB全体も平行部分30の内側へと移動される。そしてやがてホースバンド本体B1が並行部分30の間まで入るとホースバンド工具Aの押さえ体3はホースHと当接し、押さえ体3とホースHとの当接が支点となってホースバンド本体B1の移動を押え、係止突起B21が摘み爪部4によって平行部分30内部側へ引っ張られる状態となる。
【0040】
更に、引き金2を移動させた状態が図7に表す状態であり、図6の状態から図7の状態に移行する時に、ホースバンドBの摘み部B2に設けた係止突起B21は摘み部B3に設けた挿入孔B31との係止が解除され、ホースバンド本体B1のバネ力により摘み部B2および摘み部B3がそれぞれ遠ざかる方向へ開くので、係止突起B21は支持孔40から抜けだし、ホースバンドBはホースバンド工具Aから離れる。そして同時に、支持孔40内に突出しているバンド検知用ロッド42が後端部側へ移動してスイッチ押圧突起44がマイクロスイッチ6をON状態とするので、マイクロスイッチ6と電気的に接続されたカウンタ部7はON状態を検知してカウントする。
【0041】
そして、このマイクロスイッチ6とカウンタ部7による計数は、カウンタ部7から図示しない他の場所に設置されている制御装置へ伝達される。またバンド検知用ロッド42は、接触部保持用バネ12を押し込むが、接触部保持用バネ12の付勢力で再び先端側へ移動され位置を復元する。
【0042】
また、ホースバンドHの係止突起B21が支持孔40に無い状態で引き金2を移動させた場合、バンド検知用ロッド42は係止突起B21によって押されないので支持孔40内から更に先端側に突出し、シャフト41の後端側へ移動しない。そのため引き金2を最も後端部側へ移動させた場合でも、バンド検知用ロッド42の後端が移動しないのでスイッチ押圧突起44はマイクロスイッチ6をON状態とはせず、カウンタ部7もカウントしない。従って、マイクロスイッチ6およびカウンタ部7によってホースバンドBを取り付けたとは検知されないので空打ちを防止できる。
【0043】
ホースバンドHが、摘み爪部4から外れると図8に表すように、バンド検知用ロッド42は、接触部保持用バネ12の付勢力によって先端側へ移動され、再び初期位置へもどる。更に引き金2を握っている手を緩めることで、引き金2の連結部21によって連結されているシャフト41が復元用バネ43の付勢力によって先端側へ、即ち元の位置へ戻されるので、これに伴い引き金2も元の位置へ戻り、再びホースバンドB取付作業を行える初期状態となる。
【実施例2】
【0044】
上記実施例1では、ホースバンドBを開状態とする場合には、ホースバンドBの円周に対して放射方向に摘み部B2の係止突起B21を移動させ、ホースバンドBのばね力によりホースバンドBが径大となるよう摘み部B3の横溝B33内から離脱させているが、これは摘み部B2および摘み部B3の係止解除方向がホースバンドBの円周放射方向であるホースバンドBを用いたからである。
【0045】
これに対して、摘み部相互の係止解除方向がホースバンドの中空円柱中心方向であるホースバンドも存在する。この場合のホースバンドおよびホースバンド工具Aの例を実施例2として図10乃至図14に基づき以下に説明する。
図10は、該係止解除方向が中空円柱中心方向であるホースバンドCを表す説明図であり、(a)はホースバンドCの開状態を表し、(b)はホースバンドCの閉状態を表す。図11は実施例2であるホースバンド工具の側面説明図であり、図12は同平面説明図であり、図13は同正面説明図であり、図14はホースバンドCの側面説明図であり、図15は同部分説明断面図であり、図16は同部分説明図である。
【0046】
ホースバンドCは、図3に表すホースバンドB同様、細長い金属板をリング状に成形してばね力をもたせた本体C1と、本体C1の両端を本体から外方へL字状に折曲して両端に設ける摘み部C2、摘み部C3とからなり、摘み部C2および摘み部C3とは係止可能に構成する。そして、本体C1の径は、図10(a)に表すような摘み部C2および摘み部C3を係止させた状態では、取付け対象であるホースHの径よりも若干径大となり、図10(b)に表すような摘み部C2および摘み部C3の係止を解除させた状態ではホースHの径よりも径小な状態となる。従って、図10(b)に表すような摘み部C2および摘み部C3の係止が解除された状態でホースHに取付けた場合には、ホースHを被取付け位置であるパイプ等へ固定可能に構成してある。
【0047】
そして、ホースバンドCは、リング状に形成した本体C1の一端が摘み部C2を形成する。摘み部C2は、本体C1より幅狭な板状であり、先端より稍リング状本体C1側の幅側縁部から放射方向に折曲させた係止腕部C21を形成し、更に、摘み部C2の先端をリング状本体C1の略放射方向へ折曲させて摘み片C22を形成する。そして、この係止腕部C21が摘み部C3と係止することで、ホースバンドCをそのばね力に抗して径大状態を維持可能である。
【0048】
摘み部C3は、リング状に形成した本体C1の摘み部C2とは異なる端部を本体C1の放射方向に折曲させて形成する。そして、折曲させた摘み部C3には、摘み片C22が挿通可能な係止孔31を穿設する。係止孔31は、階段状に穿設し、階段状の一方は係止腕部C21が挿通可能であり他方は係止腕部C21が挿通できない状態に設けてなり、係止腕部C21が当接する部位となる壁部が係止部C32を形成する。
そして、上記のように形成した摘み部C3の係止孔31に摘み部C2の摘み片C22が挿通された状態で、リング状本体C1の付勢力に抗して径大方向にリング状本体C1を広げておき、係止腕部C21を係止部C32と係止させてホースバンドCを径大状態に維持させる。
【0049】
径大状態を維持しているホースバンドCを径小状態にしてホースHに固定するには、摘み部C2に設けた係止腕部C21が係止孔31内に入り込むように摘み部C3表面上を横方向にずらして、係止腕部C21と係止部C32との係止を解除させ、摘み部C2および摘み部C3が離れるようにすることで径小となり、ホースHを締め付けられる。
【0050】
そして、ホースバンドCを開状態から閉状態へとさせるホースバンド工具Dは、その先端部である摘み爪部4を、図11乃至図13に表すように、梃子の原理を利用して係止解除可能に構成すればよい。図11は、ホースバンド工具Dの側面視説明図を表し、図12は同平面視説明図を表し、図13はホースバンド工具Dを先端側から見た正面視説明図(図11の左側面視説明図)を表している。
ホースバンド工具Dは、実施例1に表すホースバンド工具Bと殆ど同じ構造であるが、ホースバンド工具Bとは摘み爪部4の先端部4cおよびバンド検知用ロッド42の構造および動作が異なる。
以下に詳細を説明する。尚、引き金2および押さえ体3は、実施例1と略同様に構成される。
【0051】
押さえ体3間に設ける摘み爪部4は、基端部4bの先端側に2本のクランプ45a、45bを設ける。このクランプ45a、45bは、実施例1同様それぞれ引き金2の移動に伴い移動可能に構成されるが、図13に表すように、ホースバンド工具Dを先端側から見た時に上下および左右の関係となるよう斜め方向に設置する。クランプ45a、45bは、図15に表すように、平面視では、中間部にガイド溝45cをそれぞれ設けてある。ガイド溝45cは、摘み爪部4の先端側がそれぞれホースバンド工具Dの外側となるように緩やかなカーブを描いて形成する。更に、該ガイド溝45cの外側にはガイドバー46を押さえ体3に固設する。ガイドバー46の設置位置は、引き金2を引かない状態でガイド溝45cの直ぐ外側に位置するように設置する。
【0052】
このようにガイドバー46を設置することで、ホースバンド工具Dでは、引き金2を引くと、基端部4bと連続して設けてある上クランプ45aと下クランプ45bとは、ガイド溝45cがガイドバー46によって案内され、図13に表す水平方向へ相互に近接するように移動可能となる。
【0053】
また、ホースバンド工具Dのバンド検知用ロッド42は、実施例1ではホースバンドBの解除方向が引き金2を引く方向と一致していたので、棒状体として押される構造とするだけで機能したが、実施例2では、ホースバンドCの解除方向が引き金2を引く方向と直交しているので、工夫を要するところである。
そこで、実施例2に於けるバンド検知用ロッド42は先端部42aが実施例1より引き金2側に位置する長さに設け、更にバンド検知用ロッド42の先端側には、板状体を側面視L字状となるように折曲して成形する下側検知片47aおよび上側検知片47bを上クランプ45aと下クランプ45bとの間に設ける。即ち、下側検知片47aは、一端を揺動端として押さえ体3の先端側に位置させ、他端を揺動中心として押さえ体3内の下方側に位置させ、L字状の折曲部がバンド検知用ロッド42の先端部42aに位置するよう設置する。同様に上側検知片47bも、一端を揺動端として押さえ体3の先端側に位置させ、他端を揺動中心として押さえ体3内の上方側に位置させ、L字状の折曲部がバンド検知用ロッド42の先端に位置するよう設置する。下側検知片47aおよび上側検知片47bの揺動中心である他端は、揺動軸48によって押さえ体3に揺動自在に固定される。
【0054】
このように設置する下側検知片47aは、常に揺動端であるホースバンド工具D先端側が上クランプ45aおよび下クランプ45b間に位置するよう付勢されており、図16に表すように、下側検知片47aではこの付勢力に抗して下方へ揺動されることで揺動中心側端部が揺動軸48を中心に揺動してL字状折曲部がバンド検知用ロッド42の先端部42aを押圧し、バンド検知用ロッド42をマイクロスイッチ6側へ移動させる。このバンド検知用ロッド42の移動により、マイクロスイッチ6をONにすることが出来る。また、下側検知片47aと上側検知片47bとは、図13に表すように、先端側から見ると、上クランプ45aの下側に上側検知片47bが位置し、下クランプ45bの上側に下側検知片47aが位置されて、上下クランプ45a、45bと同様に対象に設置されるので、上側検知片47bも下側検知片47a同様に揺動してマイクロスイッチ6をONにすることができる。
【0055】
位置決め用リップ5は、図11乃至図13および図15に表すように、板状体からなり平面視L字状に折曲してなるリップ本体51と、リップ本体51からホースバンド工具D後端側へ延設する摺動ロッド52と、摺動ロッド52を常にホースバンド工具D先端側へ付勢するスプリング53とからなる。そして位置決め用リップ5は、それぞれホースバンド工具Bの先端側の幅側に設置され、ホースバンドCを摘み爪部4へ位置させた際にホースバンドCの両端側となるように位置する。このように位置決め用リップ5を位置させることで、ホースバンドCを取外す際にホースバンド工具DをホースバンドCが取付けられるパイプ等の被取付け位置で押圧して固定可能とする。
位置決め用リップ5のリップ本体51は、先端がホースバンドCを取付けるホースHの被取付け位置であるパイプ等の外形に沿うよう円弧状に形成し、押圧した際にホースH等を傷つけず且つ押圧時に安定するようにしてある。リップ本体51の他端からは、摺動ロッド52が後端側へ延設され、押さえ体3に設ける摺動孔(図示せず)内に摺動可能に挿通されて押さえ体3の並行部分30後端側に位置する。そして、摺動ロッド52の他端が位置する押さえ体3の並行部分30後端側には、摺動ロッド52の端部を挿通可能なエンド穴54が穿設してあり、摺動ロッド52の端部が挿入されている。この時、エンド穴54は、摺動ロッド52の端部より深くなるように穿設されており、摺動ロッド52がエンド穴54内で摺動可能である。この摺動ロッド52の端部を包含するようにエンド穴54内にはスプリング53を設置する。
【0056】
このように摺動ロッド52の後端側端部にスプリング53を設け、摺動ロッド52を押さえ体3の並行部分30先端側に設けた摺動孔(図示せず)によって案内されるように構成することで、位置決め用リップ5はホースバンドCの取付け位置でパイプ等の被取付け体に押圧すると、スプリング53の付勢力に抗してホースバンド工具Dの後端側へ移動可能となるので、作業者は、このスプリング53の付勢力によってホースバンド工具Dの押圧作業が左右均等に且つ容易に行える。
【0057】
上記のように構成するホースバンド工具Dでは、下側検知片47aおよび上側検知片47bを設置することで、引き金2を引き上クランプ45aを内側へ移動してホースバンドCの摘み部C2に設けた係止腕部C21を押圧し係止孔C31から脱出させることで摘み部C2および摘み部C3の係止を解除する。また、この係止解除時には、係止腕部C21が上クランプ45aによって横方向へ移動され係止孔C31を通り抜ける時には、係止腕部C21を押圧していた上クランプ45aの下側に位置している上側検知片47bではなく下側検知片47a側に位置した状態で通り抜けるので、係止腕部C21が下側検知片47aを弾くこととなる。下側検知片47aは係止腕部C21によって弾かれるので、バンド検知用ロッド42を後方へ移動させ、マイクロスイッチ6をONとさせてホースバンドCの解除動作を検出させることが可能である。
【0058】
また、図14に表すようにホースバンドCの上下が図12とは逆であった場合には、下クランプ45bが係止腕部C21を押圧し、係止を解除して係止孔C31から抜け出た時に上側検知片47bを弾き、前記同様バンド検知用ロッド42を後方へ移動させマイクロスイッチ6によってホースバンドCの解除動作を検出させることが可能である。
【0059】
尚、ホースバンド工具Dに設ける位置決めクリップ5は、ホースバンド工具A同様摘み部C3の側部に設けてある。そして、ホースバンド工具Dでは、ホースバンドCの係止をを解除する際にホースバンドCから受ける横方向への反力、即ち、解除時の上クランプ45aあるいは下クランプ45bの移動方向と反対方向へのホースバンドCからの反力は、位置決めクリップ5をホースバンドCが取付けられているホースHへ押し付けることによる摩擦と操作者の腕による保持力によって受け、ホースバンドCを解除する。
【産業上の利用可能性】
【0060】
この発明のホースバンド工具は、ホースバンド使用機、特に自動車のエンジンルーム等の狭い作業空間内でホース類を被取付部に取り付ける作業において、従来と比べ、ホースバンドの取付作業が力を必要とせず容易に行われるようになるので、エンジンを使用している自動車や農機具、船舶等の組み立てや、エアコン、冷蔵庫、洗濯機というよう家電製品やガス器具等の製造にも利用可能である。このように、ホースバンドの取付け位置をずらすことなく容易に位置決めできるとともに、非常に簡単に使用でき、ホースバンドクリップの取外し作業の軽減が非常に図られるため、ホースバンドを使用して製造される装置においてはその製造時に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の実施例を表す内部透視正面説明図
【図2】図1における先端部の斜視拡大説明図
【図3】(a)はホースバンドの摘み部を係止させて径大状態である開状態を表す斜視説明図、(b)は同係止を解除させて径小状態である閉状態を表す斜視説明図
【図4】この発明の実施形態であるホースバンド工具の作動状態を表す内部透視正面説明図
【図5】図4の一部を表す作動状態の内部透視平面説明図
【図6】この発明の実施形態であるホースバンド工具の作動状態を表す内部透視正面説明図
【図7】この発明の実施形態であるホースバンド工具の作動状態を表す内部透視正面説明図
【図8】この発明の実施形態であるホースバンド工具の作動状態を表す内部透視正面説明図
【図9】図1において押さえ体とクリップ挟み爪をホースバンドクリップ側から見たZ矢視図であるホースバンド工具の左側面部分図
【図10】該係止解除方向が中空円柱中心方向であるホースバンドCを表す説明図であり、(a)はホースバンドの摘み部を係止させて径大状態である開状態を表す他のホースバンドの例を表す斜視説明図、(b)は同係止を解除させて径小状態である閉状態を表す他のホースバンドの例を表す斜視説明図
【図11】ホースバンド工具の実施例2を表す側面説明図
【図12】同平面説明図
【図13】同正面説明図
【図14】ホースバンドの側面説明図
【図15】同部分説明断面図
【図16】同部分説明図
【符号の説明】
【0062】
A ホースバンド工具
B ホースバンド
B1 本体
B2 摘み部
B21 係止突起
B22 係止溝
B3 摘み部
B31 挿入孔
B32 縦溝
B33 横溝
C ホースバンド
C1 本体
C2 摘み部
C21 係止腕部
C22 摘み片
C3 摘み部
C31 係止孔
C32 係止部
D ホースバンド工具
H 取付け対象であるホース
1 握り部
10 上端部
12 接触部保持用バネ
2 引き金
20 上端部
21 連結部
3 押さえ体
30 並行部分
31 基部
32 長孔
4 摘み爪部
4a 爪部本体
4b 基端部
4c 先端部
40 支持孔
41 シャフト
42 バンド検知用ロッド
42a 先端部
43 復元用バネ
44 スイッチ押圧突起
45a 上クランプ
45b 下クランプ
45c ガイド溝
46 ガイドバー
47 検知片
5 位置決め用リップ
51 リップ本体
52 摺動ロッド
53 スプリング
54 エンド穴
6 検出手段であるマイクロスイッチ
7 カウンタ部(発信用基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホースを固定するホースバンドの摘み部を摘む摘み爪部に、ホースバンドの摘み部を摘ませ且つ摘み部の係止解除作動をさせる引き金を有する握り部と、
握り部と連続し、摘み爪部の外側に突出している2つの並行部分を有する押さえ体と、
引き金の作動によりホースバンドの摘み部を押え体間で挟み込んで径大状態であるホースバンドの摘み部の係止を解除可能な摘み爪部と、
径大状態であるホースバンドの摘み部の係止を解除されたことにより、ホースバンドの両端部である摘み部が開くことでホースバンドを取付けることが可能であることを特徴とするホースバンド工具。
【請求項2】
ホースを固定するホースバンドの摘み部を摘む摘み爪部に、ホースバンドの摘み部を摘ませ且つ摘み部の係止解除作動をさせる引き金を有する握り部と、
握り部と連続し、摘み爪部の外側に突出している2つの並行部分を有する押さえ体と、
引き金の作動によりホースバンドの摘み部を押え体間で挟み込んで径大状態であるホースバンドの摘み部の係止を解除可能な摘み爪部と、
摘み爪が摘み部の係止を解除する位置に達したことを検知可能な検出手段と、
検出手段によって検出された回数をカウント可能なカウンタ部とを有し、
径大状態であるホースバンドの摘み部の係止を解除されたことにより、ホースバンドの両端部である摘み部が開くことでホースバンドを取付けることが可能であり、且つ、検出手段による摘み部の係止解除の検出を受けてカウンタ部が該検出数を計数可能であることを特徴とするホースバンド工具。
【請求項3】
前記押さえ体には、ホースバンドを取付けるホースの端部に接触可能な位置決め用リップを着脱可能に取り付ける請求項1または請求項2に記載のホースバンド工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−321004(P2006−321004A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−146152(P2005−146152)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000108188)セントラル自動車株式会社 (66)
【出願人】(598078632)近江精機株式会社 (2)
【Fターム(参考)】