説明

ホースリール用の手持ち型スプレー装置

本発明は、少なくとも部分的に中空形の軸部(2)、液体ディスペンサ部(3)および、ホース継手(6)をその手持ち型スプレー装置(1)に接続するための中空形接続要素(4)を備えた手持ち型スプレー装置であって、この中空形接続要素が該軸部(2)内に配置されていてかつ少なくとも1つの開口部(11)を通して外側から該軸部(2)に差し込める締め要素(10)を介して固定可能である手持ち型スプレー装置に関し、その際、該接続要素(4)はその外周に半径方向に取り囲む溝(9)を有し、この溝に該締め要素(10)が該軸部(2)内の該接続要素(4)の固定の際にはまり込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも部分的に中空形の軸部、液体ディスペンサ部および、ホース継手をその手持ち型スプレー装置に接続するための中空形接続要素を備えた手持ち型スプレー装置であって、この中空形接続要素が該軸部内に配置されておりかつ少なくとも1つの開口部を通して外側から該軸部に差し込める締め要素を介して固定可能である手持ち型スプレー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
手持ち型スプレー装置は従来技術で数多くが公知である。これら手持ち型スプレー装置は、液体管路ないしは液体ホースを介して供給される液体噴流、特に水噴流を分配しかつスプレー装置もしくはノズルを介して分散させるのに用いられる。
【0003】
このような手持ち型スプレー装置は殊に衛生設備分野で使用され、その場合には殊にシャワーに使用される。
【0004】
手持ち型スプレー装置は、一方で食堂の大型調理場でもしばしば使用され、その場合には、このような手持ち型スプレー装置を用いて調理機器を洗浄するために調理機器の際か調理機器内に配置されている。このフレキシブルに取り扱い可能な手持ち型スプレー装置を用いて、例えば機器内部の調理室は簡単に水および/または洗浄剤を噴出して洗浄できる。
【0005】
上記概念による手持ち型スプレー装置は、ホースをスプレー装置の把持部に固定するための装置を開示する独国特許出願公開第3324383号明細書から公知であり、この場合、密閉リングを有しかつ圧搾嵌め輪(Quetschzwinge)を用いてホース端部に固定されている剛性パイプニップルが備えられていて、スプレー装置の把持部に固定された接続ソケットが備えられていて、さらにこの接続ソケットには該接続ソケットを貫ぬく穴を有し、この穴によって内から外に向かって該密閉リングのための第1の座、該圧搾嵌め輪のための第2の座、固定用閂(かんぬき)状物(Befestigungsriegel)のための側面に開口した第3の座およびホースを挿入するための開口部が形成され、そして該ホースを把持しかつ第3の座と一緒に作用して圧搾嵌め輪が接続ソケットの第2の座から抜け出るのを防止するように第3の座に差込み可能な固定用閂状物が備えられている。
【0006】
液体供給部と液体ディスペンサ部を備えた手持ち型スプレー装置が欧州特許第0927580号明細書から公知である。該液体供給部の下端には、雄ねじを有する接続部が備えられている。この雄ねじは、液体ホース継手の対応するユニオンナットとの接続に用いられる。
【0007】
独国特許第804620号明細書から、吹付け管の把持部内に配置されている散布用のストレート形弁が公知である。該把持部はその下端に、把持部内への吹付け液体の供給管の接続に役立てられる接続ピースを備えている。この場合にも吹付け液体の供給管はねじ山を介して把持部に接続される。
【0008】
しかしながら、従来技術で公知の手持ち型スプレー装置における欠点は、グリップ部ないしは軸部の下端に、供給用ホースを取付け可能にする付加的な連結部材もしくはねじを設けるために、本来の手持ち型スプレー装置のほかに付加的なスペースが必要であることである。さらにこのような連結部材もしくはねじを介したホース継手と把持部間の密封は、特に手持ち型スプレー装置のさまざまな種類の回転運動によってねじ込み継手が緩められ、かつこの緩みから漏れがもたらされる場合には、しばしば不十分である。供給用ホースの動きに依存しない手持ち型スプレー装置の完全に自由な回転運動は保証されていない。即ち、手持ち型スプレー装置は360°回転すると、固定された接続のためにねじ止めされた供給用ホースが相応して回転する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって本発明の課題は、上記概念による手持ち型スプレー装置を、従来技術の欠点が克服される、殊に手持ち型スプレー装置へのホースの接続のために必要とされるスペース要求がより小さくかつホースの動きに依存しない手持ち型スプレー装置の自由な動きが可能であるようにさらに発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、接続要素がその外周に半径方向に取り囲む溝を有し、この溝に締め要素が該軸部内の該接続要素の固定の際にはまり込むことによって解決される。
【0011】
接続要素が、ホース継手を接続要素と接続するための第1の差込み継手および接続要素を軸部と接続するための第2の差込み継手を有することは好ましい。
【0012】
第1の差込み継手が、接続要素に対して縮小された直径を有しかつホース継手に差込み可能である管継手であることは有利である。
【0013】
さらに好ましくは第2の差込み継手は、好ましくは軸部と一つに形成された、軸部内の第3の差込み継手に差込み可能である中空管の形状を本質的に有する。
【0014】
本発明は特に、ホース継手と第1の差込み継手の間および/または第2の差込み継手と第3の差込み継手の間の少なくとも1つのガスケットによって特徴づけられる。
【0015】
さらにその際には、それぞれのガスケットが半径方向に作用するO字形リングであることが定められる。
【0016】
ホース継手が固定要素、例えばホースクランプによって接続要素に固定されているのは特に有利である。
【0017】
その際、締め要素が本質的にU字形であり、かつこのU字形の2本の脚部が接続要素の溝に、互いに反対側ではまり込むことはさらに有利である。
【0018】
その際、本発明では、締め要素がばね鋼プラグ状物であることが有利に定められる。
【0019】
最後に本発明には、調理機器の際かもしくは調理機器内に配置されている手持ち型スプレー装置がさらに特に有利に含まれる。
【0020】
したがって本発明の基礎となっている意外な知識は、本発明による手持ち型スプレー装置の特別なプラグシステムによって、手持ち型スプレー装置へのホースの接続のために必要なスペースが少ないことが一方では達成されることである。それというのも、この接続のために手持ち型スプレー装置を握るために必要なスペース、つまり軸部が利用されるからである。他方では本発明による手持ち型スプレー装置を用いて、手持ち型スプレー装置とホースの接続のトルクに依存しない密封を、相応する差込み継手間の、半径方向に作用するO字形リングによって特に達成可能である。
【0021】
最後に、手持ち型スプレー装置とホース間の特別な接続部材によってホースを中心とする360°の手持ち型スプレー装置の回転が、この回転がいかなる締め要素によっても妨げられず、またこの接続の密封が損なわれもせずに可能であることは特筆すべきことである。本発明による手持ち型スプレー装置を回転させた場合、接続されたホースは同様には一緒に回転しない。
【0022】
本発明のさらなる特徴および利点は、概略図に基づいた本発明による手持ち型スプレー装置の有利な実施形態の次の詳細な説明から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、軸部2と、散布口30に開口している液体ディスペンサ部3とを有する、本発明による手持ち型スプレー装置1の部分縦断面図を示す。
【0024】
軸部2は、差込み部品を受け入れられるように少なくとも部分的に中空に形成されている。軸部2内に接続要素4が配置されている。この接続要素4は、接続要素4にホース継手6をはめるための第1の差込み継手5および接続要素4を手持ち型スプレー装置1に接続するための第2の差込み継手7を有する。図1に示された本発明による手持ち型スプレー装置1の有利な実施形態の場合にはその第1の差込み継手5は、接続要素4の直径に対して縮小された直径を有する管継手であり、その結果、ホース継手6がこの管継手に嵌合可能である。管継手の直径は、接続すべきホースの内径に本質的に同じである。ホース継手6は、さらにホースクランプ(図示せず)を介して第1の差込み継手5に確実に固定できる。
【0025】
第2の差込み継手7は、手持ち型スプレー装置1の対応する第3の差込み継手8に差し込む可能な中空管の形で形成されていることが好ましい。手持ち型スプレー装置1の差込み継手8は、例えば連結ピースの形であってもよい。しかしながら本発明によれば、接続要素4を手持ち型スプレー装置1と接続するために、差込み継手7および8がただ平面でつき合わせるようにしておいてもよい。
【0026】
ホース継手6と第1の差込み継手5の間ならびに第2の差込み継手7と第3の差込み継手8の間にガスケット(図示せず)が備えられていることは有利であり、このガスケットによりホースを介して供給される液体、特に水のコネクタ接続箇所での漏洩可能性が防止される。
【0027】
接続要素4は、さらにその外周に半径方向に取り囲む溝9を有する。
【0028】
ホース継手6が接続要素4にはめられていて、かつ接続要素4が手持ち型スプレー装置1と接続されている場合には、接続要素4は締め要素10を介して手持ち型スプレー装置1に確実に固定できる。軸部2の少なくとも1つの開口部11を通して外から軸部2内に挿入可能であるこの締め要素10は、接続要素4の溝9にはまり込みかつ該接続要素をロックし、その結果、軸部2内での接続要素4の動きもしくはずり落ちがほぼ完全に回避される。この場合には、締め要素10が開口部11を通して差し込まれる場合に溝9に直接はまり込めるように開口部11と溝9が配置されていることが重要である。
【0029】
特に図2に示されているように締め要素10がU字形であることは好ましく、その結果、このU字形の2本の脚部がそれぞれ1つの開口部11を通して接続要素4の溝9に互いに反対側ではまり込める。
【0030】
締め要素10が開口部11から抜き取られ、その結果、締め要素10が溝9との噛合いから外れることによって、ホース継手6は簡単に手持ち型スプレー装置1からもとどおり分離できる。引き続きホース継手は、接続要素4とともに簡単に手持ち型スプレー装置から引き出し可能である。
【0031】
図3は、本発明による手持ち型スプレー装置1を完全に組み立てられた形で示す。図3からもわかるように、本発明による手持ち型スプレー装置1は、手持ち型スプレー装置へのホース継手の接合のためのねじ山を必要としない。このことは一方では必要なスペースの大きさを抑え、また他方ではホースと手持ち型スプレー装置間の接続のトルクに依存しない密封ならびに接合されたホースに依存しない手持ち型スプレー装置の自由な動きに役立てられる。
【0032】
本発明による手持ち型スプレー装置は、例えばシャワーに使用できるし、調理機器を水および/または洗浄剤で洗浄するために調理機器に使用可能でもある。
【0033】
上記の詳細な説明、特許請求の範囲、ならびに図面で開示された本発明の特徴は、単独でも、あらゆる任意の組み合わせでも、その種々の実施形態での本発明の実施にとって重要となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による手持ち型スプレー装置の有利な実施形態の部分縦断面図を示す。
【図2】図1の手持ち型スプレー装置の分解立体図を示す。
【図3】完全に組み立てられた図1および2の手持ち型スプレー装置を示す。
【符号の説明】
【0035】
1 手持ち型スプレー装置
2 軸部
3 散水口
30 液体ディスペンサ部
4 接続要素
5 差込み継手
6 ホース継手
7 差込み継手
8 差込み継手
9 溝
10 締め要素
11 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に中空形の軸部(2)、液体ディスペンサ部(3)および、ホース継手(6)をその手持ち型スプレー装置(1)に接続するための中空形接続要素(4)を備えた手持ち型スプレー装置であって、この中空形接続要素が該軸部(2)内に配置されていてかつ少なくとも1つの開口部(11)を通して外側から該軸部(2)に差し込める締め要素(10)を介して固定可能である手持ち型スプレー装置において、該接続要素(4)がその外周に半径方向に取り囲む溝(9)を有し、この溝に該締め要素(10)が該軸部(2)内の該接続要素(4)の固定の際にはまり込むことを特徴とする、手持ち型スプレー装置。
【請求項2】
接続要素(4)が、ホース継手(6)を接続要素(4)と接続するための第1の差込み継手(5)および接続要素(4)を軸部(2)と接続するための第2の差込み継手(7)を有することを特徴とする、請求項1記載の手持ち型スプレー装置。
【請求項3】
第1の差込み継手が、接続要素(4)に対して縮小された直径を有しかつホース継手(6)に差込み可能である管継手(5)であることを特徴とする、請求項2記載の手持ち型スプレー装置。
【請求項4】
第2の差込み継手(7)が、好ましくは軸部(2)と一つに形成された、軸部(2)内の第3の差込み継手(8)に差込み可能である中空管の形状を有することを特徴とする、請求項2または3記載の手持ち型スプレー装置。
【請求項5】
ホース継手(6)と第1の差込み継手(5)の間および/または第2の差込み継手(7)と第3の差込み継手(8)の間の少なくとも1つのガスケットを特徴とする、請求項2から4までのいずれか1項に記載の手持ち型スプレー装置。
【請求項6】
それぞれのガスケットが半径方向に作用するO字形リングであることを特徴とする、請求項5記載の手持ち型スプレー装置。
【請求項7】
ホース継手(6)が固定要素、例えばホースクランプによって接続要素(4)に確実に固定されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の手持ち型スプレー装置。
【請求項8】
締め要素(10)がU字形でありかつ該U字形の2本の脚部が接続要素(4)の溝(9)に互いに反対側ではまり込むことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の手持ち型スプレー装置。
【請求項9】
締め要素(10)がばね鋼プラグ状物であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の手持ち型スプレー装置。
【請求項10】
調理機器の際かもしくは調理機器内に配置されている、請求項1から9までのいずれか1項に記載の手持ち型スプレー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−523660(P2007−523660A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501457(P2006−501457)
【出願日】平成16年1月7日(2004.1.7)
【国際出願番号】PCT/DE2004/000004
【国際公開番号】WO2004/070253
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(500100855)ラツィオナル アクチエンゲゼルシャフト (13)
【Fターム(参考)】