説明

ホームギャップフィラー用再送信アンテナ

【課題】家屋内に設置する再送信アンテナとして設置スペースを別に確保する必要が無く、かつ安価で設置・保守が容易であり、かつ屋内で安定な受信環境を実現するためのホームギャップフィラー用再送信アンテナを提供する。
【解決手段】屋内に設置される既知の照明器具32の紐状スイッチの紐34に導電性物質51を取り付けることにより、線状アンテナ素子を構成し、この線状アンテナ素子への給電方式として照明器具32の天井取り付け部33に取り付けられる反射板43をアースとして不平衡給電するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば屋内で地上デジタル放送波を中継するために用いられる地上デジタル放送のホームギャップフィラー装置を構成するホームギャップフィラー用再送信アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
次世代のデジタル放送システムとして、現在の地上波によるテレビジョン帯域を利用した地上デジタル放送の開発が進められている。この地上デジタル放送システムでは、放送サービスエリアの拡大及び難視聴地域の解消を目的として、ギャップフィラー対策の実施が検討されている。
このギャップフィラー対策では、放送波が届かないエリアごとにギャップフィラーと呼ばれる中継装置を設置するようにしている(例えば特許文献1及び特許文献2)。
【0003】
ところで、上記地上デジタル放送システムでは、アナログ放送システムにもあるように、テレビジョン受信機の室内用受信アンテナでデジタル放送波を受信できるものも要望されている。このような放送システムにあっても、放送サービスエリア以外に屋内における難視聴域の解消を目的としたギャップフィラー対策の実施も検討されることになる。
そこで、屋内において、受信場所に制限を受けることなく地上デジタル放送波を既知の屋内用受信アンテナを備えた放送受信機に受信させるための地上デジタル放送のホームギャップフィラー装置が提案されている。
【特許文献1】特開2002−101032公報
【特許文献2】特開2003−78492公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ホームギャップフィラー装置は、簡易な構成であるため、安価であるという利点がある。しかしながら、このホームギャップフィラー装置が普及してくると、狭い家屋内にも設置できるようにしたものも求められることになり、この場合、設置スペースも考慮しなければならない。
【0005】
この設置スペース対策としては、天井裏などに設置することも考えられるが、その場合アンテナの設置・保守を行う専門家が必要となるためコストがかかり、さらに天井の部材に導電性物質が入っていた場合に、室内への電波の照射が阻害される恐れがあるという問題点を有している。
【0006】
そこでこの発明の目的は、家屋内に設置する再送信アンテナとして設置スペースを別に確保する必要が無く、かつ安価で設置・保守が容易であり、かつ屋内で安定な受信環境を実現するためのホームギャップフィラー用再送信アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記目的を達成するために、以下のように構成される。
地上デジタル放送波を、放送受信機に設置される既知の屋内用受信アンテナで受信させるために使用され、屋外に設置される受信手段により前記地上デジタル放送波を受信し、信号増幅手段にてその受信信号を増幅して同一周波数の再送信号を生成し、この再送信号を送信手段により前記屋内用受信アンテナへ向けて再送信するホームギャップフィラー装置で前記送信手段として使用されるホームギャップフィラー用再送信アンテナであって、屋内に設置される既知の照明器具の紐状スイッチの紐に導電性物質を取り付けることにより、線状アンテナ素子を構成し、この線状アンテナ素子への給電方式として照明器具の天井取り付け板をアースとして不平衡給電するようにしたものである。
【0008】
この構成によれば、照明器具のカバー以外に、蛍光灯などの紐状スイッチの紐部分を線状アンテナとして利用し、照明器具取り付け板をアースとして不平衡給電を行うことにより容易に設置が可能で、さらに省スペース化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
以上詳述したようにこの発明によれば、家屋内に設置する再送信アンテナとして設置スペースを別に確保する必要が無く、かつ安価で設置・保守が容易であり、しかも屋内で安定な受信環境を実現するためのホームギャップフィラー用再送信アンテナを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明に係るホームギャップフィラー装置の構成を示すブロック図である。
図1において、送信所から到来する地上デジタル放送波は、屋外に取り付けられた受信アンテナ11によって受信され、その受信信号がフィーダー12を介して増幅器13に供給される。増幅器13は、入力された受信信号を所定の振幅レベルまで増幅し、この増幅した信号を再送信号として屋内に設置される再送信アンテナ14に出力する。すると、再送信アンテナ14は、入力された再送信号を再送信波として屋内に放射する。
そして、屋内に設置されたテレビジョン受像機21では、既知の簡易受信アンテナ22で再送信波を受信し、その放送コンテンツを再生表示する。
【0011】
(第1の実施形態)
この発明の第1の実施形態は、ホームギャップフィラー装置用の再送信アンテナ14に関する。
図2は、第1の実施形態に係わるホームギャップフィラー装置用の再送信アンテナの構成を示す図である。
【0012】
符号31は一般家庭で使用されるカバーつきの円形蛍光灯(サークライン)32のカバーである。
【0013】
すなわち、この第1の実施形態では、アンテナ形式として不平衡型モノポールアンテナ方式とし、スリーブ状の導電性材料から成る放射素子51を図2(a)に示すように円形蛍光灯32のスイッチ紐34に取り付けるようにしている。この放射素子51への給電は図2(b)に示すように平衡/不平衡変換回路52の出力のグランドを反射板43に接続し、信号給電側を放射素子51に不平衡給電部53を介して接続することで実現される。不平衡給電部53は余長を持たせてスイッチのオンオフ時の動きを吸収するようにする。
また、放射素子51は、天井取り付け部33を介して増幅器13に接続されている。
【0014】
なお、再送信号が不平衡給電される場合は、平衡/不平衡変換回路52の代わりにアンテナ整合回路を置くことで同様の効果が発揮される。
【0015】
このように第1の実施形態であれば、円形蛍光灯32のカバー31以外に、スイッチ紐34に放射素子51を取り付け、反射板43をアースとして不平衡給電を行うことにより再送信アンテナ14の設置が容易となり、さらに省スペース化を図ることが可能となる。また、円形蛍光灯32の交換に全く影響を与えることなく、さらに、照明器具本体の交換時にも不平衡給電部53を一時取り外し、器具交換後再度接続すれば良いだけで保守・交換作業に熟練は不要である。
【0016】
(その他の実施形態)
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。前記実施形態では、導電性物質の反射板を天井および壁面に貼りつけ、アンテナの反射板を構成する例を示したが、天井や壁に導電性物質を含む断熱材などが取り付けられている場合は、それをアンテナの反射板として利用できる。
その他、再送信アンテナの種類及び構成、簡易受信アンテナの種類及び構成、給電線路の種類等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明に係るホームギャップフィラー装置の構成を示すブロック図。
【図2】この発明の第1の実施形態に係わるホームギャップフィラー装置用の再送信アンテナの構成を示す図。
【符号の説明】
【0018】
11…受信アンテナ、12…フィーダー、13…増幅器、14…再送信アンテナ、21…テレビジョン受像機、22…簡易受信アンテナ、31…カバー、32…円形蛍光灯、34…スイッチ紐、43…反射板、51…放射素子、52…不平衡変換回路、53…不平衡給電部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上デジタル放送波を、放送受信機に設置される既知の屋内用受信アンテナで受信させるために使用され、屋外に設置される受信手段により前記地上デジタル放送波を受信し、信号増幅手段にてその受信信号を増幅して同一周波数の再送信号を生成し、この再送信号を送信手段により前記屋内用受信アンテナへ向けて再送信するホームギャップフィラー装置で前記送信手段として使用されるホームギャップフィラー用再送信アンテナであって、
屋内に設置される既知の照明器具の紐状スイッチの紐に導電性物質を取り付けることにより、線状アンテナ素子を構成し、この線状アンテナ素子への給電方式として前記照明器具の天井取り付け板をアースとして不平衡給電するようにしたことを特徴とするホームギャップフィラー用再送信アンテナ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−44777(P2009−44777A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304028(P2008−304028)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【分割の表示】特願2003−208434(P2003−208434)の分割
【原出願日】平成15年8月22日(2003.8.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【出願人】(000136468)株式会社フジ・メディア・ホールディングス (14)
【Fターム(参考)】