説明

ホーム基地局装置、移動通信システム、移動端末装置及び位置管理装置

【課題】移動端末装置が接続されたホーム基地局装置が、ハンドオーバ要求を送信し、他のホーム基地局装置が、ハンドオーバ要求に対する応答を送信することによって、管理テーブルを利用したLIPAハンドオーバ手続きを開始することができる移動通信システム等を提供すること。
【解決手段】移動端末装置が他のホーム基地局装置にハンドオーバを行う場合に、管理テーブルからLIPAハンドオーバが可能なホーム基地局装置をハンドオーバ先として決定する移動通信システムにおいて、受信されたハンドオーバ要求に、ゲートウェイ装置のアドレスが含まれている場合には、LIPAハンドオーバ可能と、ゲートウェイ装置のアドレスが含まれていない場合にはLIPAハンドオーバが不可能と管理テーブルを更新する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
移動端末装置及び当該移動端末装置が接続されるホーム基地局装置を含む複数のホーム基地局装置が接続されるローカルホームネットワークが、ゲートウェイ装置を介して外部ネットワークに接続される移動通信システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムの標準化団体3GPP(The 3rd Generation Partnership Project)では、次世代の移動体通信システムとして以下の非特許文献1に記載のEPS(Evolved Packet System、発展型パケット・システム)の仕様化作業が進められている。
【0003】
EPSの構成装置として、基地局装置(eNB)はマクロセルを形成し、半径が数百メートルから数キロメートルをカバーする。基地局装置は、無線アクセス技術を用いて移動端末を収容する。そして、移動通信事業者が運用するネットワークであるコアネットワークへ接続し、収容する移動通信端末(UE)の通信データを中継する。
【0004】
一方、EPSの構成装置として、家庭やオフィスに設置する小型基地局装置であるホーム基地局装置(HeNB)について検討がなされている。HeNBは、フェムトセルと呼ばれる数十メートルの無線セルを構築し、通常のeNBと同じ無線アクセス技術を用いてUEを収容する。そして、移動通信事業者が運用するネットワークであるコアネットワークへ接続し、収容するUEの通信データを中継する。また、HeNBは、家庭やオフィスなどのネットワークであるブロードバンド回線を経由して移動通信システムのコアネットワークに接続し、収容しているUEの通信データを中継することもできる。さらに、HeNBでは、ローカルネットワーク(家庭内LANやイントラネットなど)へ直接接続し、UEとローカルネットワークとの接続(Local IP Access、LIPA)を提供することもできる。
【0005】
データの送受信中において、UEの移動により、データの送受信を行っているeNBとの接続状態を維持できない場合に、UEが適切なeNBへの切り替えを行い、接続状態を維持し、データの送受信を継続することをハンドオーバ手続きという。
【0006】
ハンドオーバ手続き時において、切り替え元(移動元)となるeNBのことをSource eNBと言う。また、ハンドオーバ処理時における切り替え先(移動先)となるeNBのことをTarget eNBと言う。
【0007】
一方、eNBへのアクセスの代替手段としてHeNBが検討され、仕様化されている。HeNBは、eNBではカバーできないエリアに対して設置することにより、eNBがカバーしていない場所においても、UEがeNBへアクセスした場合と同等のサービスを享受することができる。また、HeNBからコアネットワーク経由でデータの送受信を行う場合にはハンドオーバ手続きを行うことが可能である。
【0008】
しかし、UEがHeNBへアクセスし、ローカルネットワーク接続(LIPA接続)し、データの送受信中におけるUEが移動した場合、HeNBを切り替え、データの送受信を維持する(ハンドオーバ)ことはできなかった。
【0009】
そこで、非特許文献2では、HeNBからLIPA接続し、UEの移動によってLIPA接続を維持しつつ、HeNBを切り替えるハンドオーバ手続きについて議論されている。
【0010】
しかしながら、HeNBはすでに仕様化され、LIPAハンドオーバ手続きに未対応のHeNBの設置され始めている。今後、LIPAハンドオーバ手続きに対応したHeNBが仕様化され、利用が開始された場合であってもLIPAハンドオーバ手続きに対応していないHeNBは、そのまま残ってしまう可能性があり、LIPAハンドオーバ手続きに対応していないHeNBとLIPAハンドオーバ手続きに対応したHeNBが混在してしまうという状況が想定される。現在のヴァージョンのHeNBにとって、LIPAハンドオーバ手続きは、新規の機能であるため、従来のHeNBは、LIPAにおけるハンドオーバ要求メッセージを受信したとしても、LIPAにおけるハンドオーバ要求メッセージを処理することはできない。また、アップデートの対応などにより、HeNBがLIPAハンドオーバ手続きの機能を追加できる場合であっても、HeNBは各家庭において配置されるため、必ずしもアップデートの対応が十分に行き届かない可能性があり、LIPAハンドオーバ手続きに対応したHeNBとLIPAハンドオーバ手続きに対応していないHeNBが混在してしまう状況がどうしても発生してしまう。
【0011】
このような、LIPAハンドオーバ手続きに対応したHeNBとLIPAハンドオーバ手続きに対応していないHeNBの混在は、LIPAハンドオーバ手続きに対応したSource HeNBは、LIPAハンドオーバ手続きに対応していないTarget HeNBに対して、ハンドオーバ要求を送信してしまい、LIPAハンドオーバ手続きを開始できないにも関わらず、不必要にハンドオーバ要求を送信し、不必要な制御情報(ハンドオーバ要求)の送信を引き起こしてしまう。
【0012】
また、Source HeNBは一度、LIPAハンドオーバ手続きが開始できないと判断したにも関わらず、LIPAハンドオーバ手続きに対応していないHeNBを管理していないために、LIPAハンドオーバ手続きに対応していないHeNBに対して、不必要なハンドオーバ要求を送信してしまっていた。
【0013】
このような非効率にハンドオーバ要求を送信してしまう状況に対して、非特許文献2や非特許文献3では、Source HeNBにおいて、LIPAハンドオーバ手続きに対応したeNB及びLIPAハンドオーバ手続きに対応していないHeNBを分類した近隣HeNB関係テーブルを保持し、Source HeNBがハンドオーバ手続きを開始する際に、近隣HeNB関係テーブルを参照しハンドオーバ要求を送信するHeNBを選択するために利用することが記載されている。
【0014】
また、非特許文献3では、LIPA接続した場合において、LIPAハンドオーバ手続きを開始する際、UEとデータの送受信中において移動元となるSource HeNBがLIPAハンドオーバ手続の開始を決定し、Source HeNBは、LIPAハンドオーバ手続きのトリガーであるハンドオーバ要求を、移動先となるTarget HeNBへ送信することが記載されている。このとき、ハンドオーバ要求には、従来のハンドオーバ要求ではなく、ローカルホームネットワークにおけるLIPAハンドオーバ手続きを行うための情報要素が含まれる。
【0015】
さらに、非特許文献3では、Target HeNBがローカルネットワークにおけるLIPAハンドオーバ手続きに対応していない場合には、ハンドオーバ要求に含まれる新しいパラメータを無視し、従来のハンドオーバ要求応答を送信することが記載されている。このとき、Target HeNBにおいて、ハンドオーバ要求に含まれる新しいパラメータに関わることなく、従来のハンドオーバ要求応答が送信された場合、Source HeNBはTarget HeNBがローカルホームネットワークにおけるLIPAハンドオーバ手続きに対応していないことを検知する。
【0016】
また、上記のように、非特許文献3では、Source HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応していないHeNBを検知し、近隣HeNB関係テーブルにLIPAハンドオーバ手続きに対応していないHeNBとして分類する。
【0017】
ここで、近隣HeNB関係テーブルは、あらかじめシステムの構成として設定することも想定できるが、HeNBは、ある程度ユーザが自由に設置でき、ローカルホームネットワークの構成としてHeNBの配置が頻繁に変更されることが想定されるため、頻繁に近隣HeNB関係テーブルの変更がなされる可能性があることから、動的に近隣HeNB関係テーブルを作成する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】3GPP TS23.401 ver.10.2.1 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects; General Packet Radio Service (GPRS) enhancements for Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN) access (Release 10)
【非特許文献2】3GPP TR23.859 ver.0.4.0 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects; LIPA Mobility and SIPTO at the Local Network (Release 11)
【非特許文献3】“Discovery of the LIPA mobility area”、3GPP TSG SA WG2 #85、R1-112828
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、Source HeNBによる従来のTarget HeNBの検知方法では、正しく検知できない場合があった。例えば、Source HeNBが、Target HeNBへハンドオーバ要求を送信し、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きを開始できない応答としてハンドオーバの失敗通知を送信した場合、Source HeNBはTarget HeNBをLIPAハンドオーバ手続きに対応していたとしてもLIPAハンドオーバ手続きに対応していないHeNBとして検知してしまっていた。
【0020】
ここで、ハンドオーバの失敗通知は、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応していないHeNBの場合だけでなく、LIPAハンドオーバ手続きに対応しているHeNBであってもハンドオーバ要求が送信された時点でLIPAハンドオーバ手続きに対応していないHeNBの場合においても送信される可能性があるため、Source HeNBはTarget HeNBを誤検知してしまっていた。
【0021】
このように、Source HeNBは、Target HeNBを正しく検知できないという問題が生じていた。
【0022】
上記の問題により、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応していないことを正しく検知できないために、近隣HeNB関係テーブルにLIPAハンドオーバ手続きに対応したHeNBとして正しく分類することができなかった。
【0023】
また、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応していることを示すハンドオーバ要求応答を送信する方法が規定されておらず、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応していることを検知することができなかった。
【0024】
Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応していることを正しく検知できないために、近隣HeNB関係テーブルにLIPAハンドオーバ手続きに対応しているHeNBとして分類できなかった。
【0025】
さらに、近隣HeNB関係テーブルにLIPAハンドオーバ手続きに対応したHeNBとLIPAハンドオーバ手続きに対応したHeNBを正しく分類できないために、上述した近隣HeNB関係テーブルを利用した効率的なLIPAハンドオーバ手続きを開始することができなかった。
【0026】
上述した課題を解決するために、本発明の目的は、Source HeNB(移動端末装置が接続されたホーム基地局装置)が、ハンドオーバ要求を送信し、Target HeNB(他のホーム基地局装置)が、ハンドオーバ要求に対する応答を送信することによって、管理テーブルを利用したLIPAハンドオーバ手続きを開始することができる移動通信システム等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上述した課題に鑑み、本発明のホーム基地局装置は、
移動端末装置及び当該移動端末装置が接続されるホーム基地局装置を含む複数のホーム基地局装置が接続されるローカルホームネットワークが、ゲートウェイ装置を介して外部ネットワークに接続される移動通信システムに含まれるホーム基地局装置において、
他のホーム基地局装置がLIPAハンドオーバが可能か否かを管理する管理テーブルと、
前記移動端末装置が他のホーム基地局装置にハンドオーバを行う場合に、前記管理テーブルからLIPAハンドオーバが可能なホーム基地局装置をハンドオーバ先として決定する決定手段と、
を備え、
他のホーム基地局装置にオプション領域に少なくとも接続されるゲートウェイ装置のアドレスを含むハンドオーバ要求を送信するハンドオーバ要求送信手段と、
他のホーム基地局装置から、ハンドオーバ要求応答を受信するハンドオーバ受信手段と、
前記ハンドオーバ要求に、ゲートウェイ装置のアドレスが含まれている場合には、LIPAハンドオーバ可能と、ゲートウェイ装置のアドレスが含まれていない場合にはLIPAハンドオーバが不可能と前記管理テーブルを更新する更新手段と、
を有することを特徴とする。
【0028】
また、本発明のホーム基地局装置は、
前記更新手段は、前記ハンドオーバ要求に、ゲートウェイ装置のアドレスが含まれている場合に、移動端末装置が接続されているホーム基地局装置が接続されているゲートウェイ装置のアドレスと、前記ハンドオーバ要求に含まれているゲートウェイ装置のアドレスとが異なる場合には、当該ホーム基地局装置はLIPAハンドオーバが不可能と更新することを特徴とする。
【0029】
本発明のホーム基地局装置は、
移動端末装置及び当該移動端末装置が接続されるホーム基地局装置を含む複数のホーム基地局装置が接続されるローカルホームネットワークが、ゲートウェイ装置を介して外部ネットワークに接続される移動通信システムに含まれるホーム基地局装置において、
移動端末装置が接続されるホーム基地局装置から、ハンドオーバ要求を受信するハンドオーバ要求受信手段と、
前記ハンドオーバ要求のオプション領域にゲートウェイ装置のアドレスが含まれており、LIPAハンドオーバの受付が可能な場合には、接続されるゲートウェイ装置のアドレスを含んだハンドオーバ要求応答を送信するハンドオーバ要求応答送信手段と、
を備えることを特徴とする。
【0030】
本発明の移動通信システムは、
移動端末装置及び当該移動端末装置が接続されるホーム基地局装置を含む複数のホーム基地局装置が接続されるローカルホームネットワークが、ゲートウェイ装置を介して外部ネットワークに接続される移動通信システムにおいて、
前記ホーム基地局装置は、
他のホーム基地局装置がLIPAハンドオーバが可能か否かを管理する管理テーブルと、
前記移動端末装置が他のホーム基地局装置にハンドオーバを行う場合に、前記管理テーブルからLIPAハンドオーバが可能なホーム基地局装置をハンドオーバ先として決定する決定手段と、
を備え、
他のホーム基地局装置にオプション領域に少なくとも接続されるゲートウェイ装置のアドレスを含むハンドオーバ要求を送信するハンドオーバ要求送信手段と、
他のホーム基地局装置から、ハンドオーバ要求応答を受信するハンドオーバ受信手段と、
前記ハンドオーバ要求に、ゲートウェイ装置のアドレスが含まれている場合には、LIPAハンドオーバ可能と、ゲートウェイ装置のアドレスが含まれていない場合にはLIPAハンドオーバが不可能と前記管理テーブルを更新する更新手段と、
を有することを特徴とする。
【0031】
また、本発明の移動局装置は、上記移動通信システムに接続されることを特徴とする。
【0032】
また、本発明の位置管理装置は、
移動端末装置及び当該移動端末装置が接続されるホーム基地局装置を含む複数のホーム基地局装置が接続されるローカルホームネットワークが、ゲートウェイ装置を介して外部ネットワークに接続される移動通信システムに接続される位置管理装置において、
前記移動端末装置が接続されるホーム基地局装置から、ハンドオーバ要求を受信するハンドオーバ要求受信手段と、
前記ハンドオーバ要求のオプション領域にゲートウェイ装置のアドレスが含まれている場合には、ハンドオーバ要求に含まれるホーム基地局装置が、LIPAハンドオーバの受付が可能か否かを確認する確認手段と、
前記ハンドオーバ要求に含まれるホーム基地局装置が、LIPAハンドオーバの受付が可能である場合には、当該ホーム基地局装置が接続されるゲートウェイ装置のアドレスを含んだハンドオーバ要求応答を送信するハンドオーバ要求応答送信手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、Source HeNBは、LIPAハンドオーバ手続きであることを示す情報要素を含めてハンドオーバ要求を送信することによって、Target HeNBが、LIPAハンドオーバ手続きに対応するかどうかを検知し、近隣HeNB関係テーブルを構築することができ、近隣HeNB関係テーブルを利用して、不必要なハンドオーバ要求の送信を抑制し、効率的なLIPAハンドオーバ手続きを開始することができる。
【0034】
つまり、Source HeNBは、ハンドオーバ要求にLIPAハンドオーバ手続きであることを示す新たな情報要素をオプション部分に含めて送信することによって、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応するかどうかを検知することができる。
【0035】
さらに、Target HeNBは、Source HeNBからの上記ハンドオーバ要求を受信し、従来のハンドオーバ要求応答を送信することによって、LIPAハンドオーバ手続きに対応しないことを示すことができる。
【0036】
また、Source HeNBは、Target HeNBからの従来のハンドオーバ要求応答を受信し、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応しないHeNBであることを検知することができる。
【0037】
さらに、Source HeNBは、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応しないHeNBであることを検知し、近隣HeNB関係テーブルにLIPAハンドオーバ手続きに対応しないHeNBとして分類できる。
【0038】
また、Target HeNBは、Source HeNBからの上記ハンドオーバ要求を受信し、LIPAハンドオーバ手続きにおけるハンドオーバ要求応答を送信することによって、LIPAハンドオーバ手続きに対応することを示すことができる。
【0039】
さらに、Source HeNBは、Target HeNBからのLIPAハンドオーバ手続きにおけるハンドオーバ要求応答を受信し、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応するHeNBであることを検知することができる。
【0040】
また、Source HeNBは、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応するHeNBであることを検知し、近隣HeNB関係テーブルにLIPAハンドオーバ手続きに対応するHeNBとして分類できる。
【0041】
さらに、Source HeNBは、近隣HeNB関係テーブルにLIPAハンドオーバ手続きに対応しないHeNBとLIPAハンドオーバ手続きに対応するHeNBを分類した近隣HeNB関係テーブルを利用して、LIPAハンドオーバ手続きに対応しないHeNBにハンドオーバ要求の送信を抑制することによって、効率的なLIPAハンドオーバ手続きを開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1実施形態に係る移動通信システムの全体を示す図である。
【図2】第1実施形態におけるHeNB(Source HeNB)の機能構成を説明するための図である。
【図3】第1実施形態におけるUE別Target HeNBテーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【図4】第1実施形態における近隣HeNB関係テーブルのデータ構成の一例を示し図である。
【図5】第1実施形態におけるハンドオーバ候補テーブルのデータ構成の一例を示した図である。
【図6】ハンドオーバ要求メッセージのフォーマットの一例を示す図である。
【図7】第1実施形態におけるHeNB(第1Target HeNB)の機能構成を説明するための図である。
【図8】第1実施形態におけるHeNB(第2Target HeNB)の機能構成を説明するための図である。
【図9】LIPAハンドオーバ要求応答メッセージのフォーマットの一例を示す図である。
【図10】第1実施形態におけるUEの機能構成を説明するための図である。
【図11】第1実施形態におけるLGWの機能構成を説明するための図である。
【図12】第1実施形態におけるバインディング情報のデータ構成の一例を示した図である。
【図13】第1実施形態におけるSGWの機能構成を説明するための図である。
【図14】第1実施形態におけるMMEの機能構成を説明するための図である。
【図15】第1実施形態におけるサブスクリプションDBのデータ構成の一例を示した図である。
【図16】第1実施形態におけるAPN−IPアドレス変換DBのデータ構成の一例を示した図である。
【図17】第1実施形態におけるEPSベアラコンテキストのデータ構成の一例を示した図である。
【図18】第1実施形態における処理について説明するための図である。
【図19】第1実施形態における処理について説明するための図である。
【図20】第2実施形態における処理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
[1.第1実施形態]
[1.1 システム全体説明]
図1は、本発明の第1の実施形態における移動通信システム1を示す概略図である。移動通信システム1は、ホーム基地局装置(HeNB)10とホーム基地局装置(HeNB)20と、ホーム基地局装置(HeNB)25と、移動端末装置(UE)30と、LGW40と、PDN70と、コアネットワーク80と、ホームネットワーク90とが含まれる。コアネットワーク80には、PGW45、SGW50及びMME60が含まれる。以下では、ホーム基地局装置のことを単に「HeNB」と言い、移動端末装置UEのことを単に「UE」と言う。以下、移動端末装置をUEとして説明する。また、ホームネットワーク90内には、UE30とデータの送受信を行う通信装置が配置されている。
【0044】
本実施形態では、UE30は、HeNB10、LGW40を経由してホームネットワーク90内の通信装置とデータの送受信中に、HeNB10からUE30が移動した場合を想定する。ここで、UE30とホームネットワーク90内の通信装置間におけるデータの送受信を行うことをLIPA(Local IP Access、家庭内ネットワークアクセス)と呼ぶ。
【0045】
さらに、LIPAにおいて、UE30とホームネットワーク90内の通信装置間において、データの送受信を行う場合、UE30は、LGW40とLIPA用PDNコネクションを確立しなければならない。LIPA用PDNコネクションとは、UE30からLGW40までの論理的なパスのことである。また、UE30は、LGW40経由でホームネットワーク内の通信装置とデータの送受信を行うにあたって、LGW40とLIPA用PDNコネクションを確立した後、LGW40とLIPAベアラを設定する必要がある。LIPAベアラとは、UE30とLGW40間においてデータの送受信を行うための通信リソースである。
【0046】
また、図1には、説明の都合上、1台のUEを示すが、複数のUEが含まれていてもよい。また、HeNB10はフェムトセル12を形成する。
【0047】
フェムトセルとは、HeNBとUEとが無線接続できるエリアを示している。UE30がHeNB10のフェムトセルのエリアからHeNB20のフェムトセルのエリアへ移動した場合には、HeNB10からHeNB20へ接続を切り替えなければならない。
【0048】
LIPAハンドオーバ手続きは、HeNB10、HeNB25において利用可能である。なお、UE30がHeNB10を経由してデータの送受信中に、UE30がHeNB20へ移動した場合には、LIPAハンドオーバ手続きを行ってもHeNB20においてデータ送受信を継続することができない。ここで、HeNB20はLIPAハンドオーバ手続きに対応していないHeNBであるため、LIPAハンドオーバ手続きを開始することができず、HeNB20を経由してホームネットワーク内の通信装置とデータの送受信を継続することができない。
【0049】
一方、HeNB10において、UE30とデータの送受信中に、UE30がHeNB25へ移動した場合には、LIPAハンドオーバ手続きを行うことによって、HeNB25において通信を継続することが可能である。
【0050】
HeNB25は、LIPAハンドオーバ手続きに対応したHeNBであるため、LIPAハンドオーバ手続きを開始し、HeNB25を経由してホームネットワーク内の通信装置とデータの送受信を継続することができる。
【0051】
ここで、LIPAハンドオーバ手続きとは、LGW40に接続されたHeNBにおいてデータの送受信を行っている場合に、LGW40に接続されたHeNBにおいて通信を継続することができる。一方、従来のハンドオーバ手続きとは、HeNBがPGW45に接続されている場合においてデータの送受信を継続することが可能である。PGW45は、eNBなどが接続しているコアネットワークの端点であり、PDN70(Packet Data Network)との接続を提供する。PDN70はパケット通信ネットワークのことであり、例えば、インターネットを示す。
【0052】
従来、PGW45は、コアネットワークにおける端点であったが、LGW40では、コアネットワークにおける端点ではなく、ホームネットワーク90における端点である。また、UE30は、コアネットワーク80へアクセスするために、PDNコネクションを確立し、ベアラを設定する必要があったが、ホームネットワーク90へアクセスするためには、LIPA用PDNコネクションを確立し、LIPAベアラを設定する必要がある。つまり、PGW45は、ホームネットワーク90へアクセスすることはできず、LIPA用PDNコネクションを確立することもできず、LIPAベアラを設定することもできないが、LGW40では、ホームネットワーク90へアクセスすることができ、LIPA用PDNコネクションを確立し、LIPAベアラを設定することができるため、LIPAハンドオーバ手続きを行うことができる。
【0053】
ハンドオーバ手続きは、HeNB10、HeNB20、HeNB25において利用可能であるが、本実施形態は、HeNB10及びHeNB25において利用可能なLIPAハンドオーバ手続きに関する内容である。
【0054】
PGW45は、SGW50とPDN70とに接続され、コアネットワーク80とPDN70とを接続するゲートウェイとして機能する。PGW45は、PDN70からUE30へ送信されるデータをPDNから受信してSGW50に転送するとともに、UE30からPDN70へ送信されるデータをSGW50から受信してPDN70へ転送する。PGW45は、UE30とPDN70との接続を提供するために、PDNコネクションを確立する。
【0055】
SGW50は、LGW70と、HeNB10と、HeNB20と、HeNB25とに接続され、SGW50とHeNB20との間でのパケット転送を行うサービス制御装置である。
【0056】
MME60は、シグナリングを行う装置であり、また、UE30の位置管理及びEPSベアラの確立手続を主導する位置管理装置でもある。EPSベアラとは、UE毎にHeNB(HeNB10、HeNB20又はHeNB25)とLGW40との間で確立されるユーザIPパケットを転送する論理パスのことである。なお、UE30は、複数のEPSベアラを確立することができる。
【0057】
ローカルホームネットワーク(Local Home Network、LHN)3には、LGW40と、HeNB10と、HeNB20と、HeNB25と、UE30とが含まれる。LHN3は、LGW40を介してホームネットワーク90に接続されている。ここで、ローカルホームネットワークとは、例えば、家庭内ネットワークや企業内ネットワークを示し、光ファイバやADSLを使用してホームネットワーク90へ接続する。
【0058】
LGW40は、LGW40に接続されたHeNB10やHeNB20、HeNB25に接続する場合にパケットを転送するLHN3におけるホームゲートウェイとして機能する。また、UE30がホームネットワークへ接続する際に、LIPA用PDNコネクションを確立する。LIPA用PDNコネクションとは、LGW40とUE30間を接続する論理的なパスのことである。
【0059】
HeNB10は、フェムトセル12を形成し、3GPP LTEの基地局装置としてUE30を収容することができる。また、HeNB20は、フェムトセル22を形成し、3GPP LTEの基地局装置としてUE30を収容することができる。また、HeNB25は、フェムトセル27を形成し、3GPP LTEの基地局としてUE30を収容することができる。
【0060】
UE30は、3GPP LTEの通信インタフェースを搭載する通信装置であり、HeNB10に接続されている。
【0061】
[1.2 装置構成]
次に、本発明の実施形態の移動通信システム1に含まれる構成要素であるHeNB10、HeNB20、HeNB25、UE30、LGW40、SGW50及びMME60構成の概略を説明する。最後に、第1実施形態のシーケンスを示すシーケンス図について説明を行う。
【0062】
[1.2.1 HeNB10の構成]
図2は、HeNB10(すなわち、Source HeNB)の構成を説明する機能構成図である。HeNB10は、制御部100に、送受信部110と、LTE無線通信部120と、記憶部130と、ハンドオーバ要求生成部140と、パススイッチ要求信号生成部150と、アンテナ125と備えて構成されている。
【0063】
制御部100は、記憶部130に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより、HeNB10における種々の処理を実現する。この処理の実行は、制御部100に内蔵するCPU(図示せず)等の装置を用いて実行される。
【0064】
送受信部110は、LGW40から受信したUE30宛ての下りリンクデータを受信することに用いられる機能部である。また、LTE無線通信部120を介してUE30からの上りリンクデータを受信し、LGW40に転送する。
【0065】
LTE無線通信部120は、UE30と無線通信を行い、UE30を収容するための機能部である。また、LTE無線通信部120には、外部アンテナ125が接続されている。
【0066】
記憶部130は、Source HeNB10の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部130は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。
【0067】
また、記憶部130は、UE別Target HeNBテーブル132と、近隣HeNB関係テーブル134と、ハンドオーバ候補テーブル136とを記憶している。
【0068】
UE別Target HeNBテーブル132は、UE30から送信されたメジャメントレポートを利用して抽出したHeNBのリストを管理するテーブルである。UE別Target HeNBテーブル132の一例を図3に示す。図3では、Source HeNBがメジャメントレポートを受信した結果を利用して、HeNB(本実施形態ではHeNB20及びHeNB25)毎に送信される参照信号を基に算出されるUE30における受信電力値の大きい順(受信電力値1>受信電力値2)にHeNBが含められている。ここで、メジャメントレポートとは、UE30にとって近接しているHeNBからの参照信号を利用して受信電力値などを算出されたUE30からの報告である。
【0069】
近隣HeNB関係テーブル134は、Target HeNBから送信されたハンドオーバ要求応答を利用して、Target HeNBがLIPAハンドオーバ可能なHeNBかどうかを判定して管理するテーブルである。近隣HeNB関係テーブル134の一例を図4に示す。
【0070】
図4に示すように、近隣HeNB関係テーブル134は、ハンドオーバ可能なHeNBリスト及びハンドオーバ不可能なHeNBリストが管理されている。図4に示す近隣HeNB関係テーブル134を利用することで、例えば、LIPAハンドオーバ不可能なHeNBリストを利用して、LIPAハンドオーバできないHeNBに対するLIPAハンドオーバ要求の送信を制限することができる。従って、効率的にLIPAハンドオーバ可能なHeNBを判定することができる。
【0071】
なお、近隣HeNB関係テーブル134は、LIPAハンドオーバ手続きに対応していないHeNBのリスト(ハンドオーバ不可能HeNBリスト)だけを管理することとし、LIPAハンドオーバ要求を送信するHeNBを制限しても良い。
【0072】
ハンドオーバ候補テーブル136は、UE30がハンドオーバするHeNBの候補を管理するテーブルである。ハンドオーバ候補テーブル136の一例を図5に示す。
【0073】
ハンドオーバ候補テーブル136は、UE別Target HeNBテーブル132及び近隣HeNB関係テーブル136を利用して生成されるテーブルである。具体的には、UE別Target HeNBテーブル132から、近隣HeNB関係テーブル136内に含まれるハンドオーバ不可能HeNBリストに含まれるHeNBを除くことで、LIPAハンドオーバ可能なHeNBの候補を管理する。
【0074】
図5(a)は、メジャメントレポートにより生成されたUE別Target HeNBテーブル132と、図4(a)に示す近隣HeNB関係テーブル134から生成されるハンドオーバ候補テーブル136である。近隣HeNB関係テーブル134のハンドオーバ不可能なHeNBリストはブランクであるため、メジャメントレポートによるTarget HeNBリストからHeNBは削除されない。
【0075】
図5(b)は、メジャメントレポートにより生成されたUE別Target HeNBテーブル132と、図4(b)に示す近隣HeNB関係テーブル134から生成されるハンドオーバ候補テーブル136である。すなわち、ハンドオーバ不可能なHeNBリストにおけるHeNB(ここでは、HeNB25)を削除して生成される。ハンドオーバ要求生成部140は、ハンドオーバを実行することを決定し、Target HeNBに送信するためのハンドオーバ要求メッセージを生成する。図6(a)にハンドオーバ要求メッセージのフォーマットを示す。
【0076】
なお、ハンドオーバ候補テーブル136は、以下の機能を実現できる場合には、作成しなくても良い。つまり、Source HeNBは、UE別Target HeNBテーブル132からTarget HeNBを(例えば、受信電力値の最大のHeNB)選択して、近隣HeNB関係テーブル132を確認し、LIPAハンドオーバ手続きに対応していないのであれば、UE別Target HeNB132からもう一度選択することができれば良い。
【0077】
図6(a)におけるハンドオーバ要求メッセージでは、デフォルト領域に、従来のハンドオーバ要求の情報が含められ、オプション領域において、Source HeNBが接続するLGWのLGWアドレス及びSource HeNBが適用していたLIPAベアラの情報を含められる。ここで、LIPAベアラとは、LGW40からHeNB10を経由してUE30までの通信リソースである。例えば、HeNB25へのLIPAハンドオーバ手続き時に、本LIPAベアラを通知することで、LIPA用PDNコネクションを維持しつつ、LGW40からHeNB25を経由してUE30までの通信リソースを設定することができる。また、ハンドオーバ要求メッセージにおけるオプション領域に、LIPA用PDNコネクションを含めても良い。ここで、LIPA用PDNコネクションは、UE30からLGW40までの論理的なパスを示し、LIPAベアラは、UE30がLIPA用PDNコネクションを確立した後に設定する、ホームネットワーク90内の通信装置とデータの送受信を行う際の通信リソースを示す。
【0078】
X2インタフェース部150は、Source HeNBとの送受信を行う。X2インタフェース部150は、HeNBとデータや制御情報のやりとりを行うことができる。
【0079】
[1.2.2 HeNB20の構成]
続いて、HeNB20(すなわち、第1Target HeNB)について説明する。図7は、HeNB20の構成を説明するための機能構成図である。
【0080】
HeNB20は、制御部200と、送受信部210と、LTE無線通信部220と、アンテナ225と、記憶部230と、ハンドオーバ要求応答生成部240と、X2インタフェース部260とを備える。
【0081】
制御部200は、記憶部230に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することによりHeNB20における種々の処理を実現する。
【0082】
送受信部210は、LGW40から受信したUE30宛ての下りリンクデータを受信することに用いられる機能部である。また、LTE無線通信部220を介してUE30からの上りリンクデータを受信し、LGW40に転送する。また、送受信部210は、LGW40からのパススイッチ応答を受信することができる。
【0083】
LTE無線通信部220は、携帯電話システムLTEの基地局として機能し、UE30と送受信を行う。また、LTE無線通信部220には、外部アンテナ225が接続されている。
【0084】
記憶部230は、HeNB20の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部230は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。
【0085】
ハンドオーバ要求応答生成部240は、LIPAハンドオーバ要求を受信し、ハンドオーバ要求応答を生成する。ここで、LIPAハンドオーバ要求に含まれるLIPAベアラやLGWアドレス(LIPA用PDNコネクション)については処理せず、ハンドオーバ要求応答を送信する。HeNB10(Source HeNB)は、ハンドオーバ要求応答を受信して、HeNB20(第1Target HeNB)がLIPAハンドオーバ手続きに対応していないと判断する。
【0086】
X2インタフェース部250は、Source HeNBとの送受信を行う。X2インタフェース部250は、HeNBとデータや制御情報のやりとりを行うことができる。
【0087】
[1.2.3 HeNB25の構成]
続いて、HeNB25(第2Target HeNB)の構成について、図8を用いて説明する。なお、HeNB25は、図7で説明したHeNB20と比較して、ハンドオーバ要求応答生成部240の代わりに、LIPAハンドオーバ要求応答生成部245を備えて構成されている点が異なる。HeNB20と同一の機能部については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0088】
LIPAハンドオーバ要求応答生成部245は、LIPAハンドオーバ要求を受信し、LIPAハンドオーバが可能な場合、LIPAハンドオーバ要求応答を生成する機能部である。図9にLIPAハンドオーバ要求応答メッセージを示す。図9では、デフォルト領域のハンドオーバ要求応答メッセージに、追加領域としてHeNB20が接続するLGW40のアドレスを含める。
【0089】
図6に示す、HeNB20が接続するLGWアドレスがLIPAハンドオーバ要求応答を受け取ったHeNB10(Source HeNB)は、HeNB25(第2Target HeNB)がLIPAハンドオーバ可能なHeNBとして判断する。
【0090】
[1.2.4 UE30の構成]
続いてUE30の構成について図10を用いて説明する。UE30は、制御部300と、LTE無線通信部310と、記憶部330とを備える。
【0091】
制御部300は、UE30の全体を制御するための機能部である。制御部300は、記憶部330に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)等により構成されている。
【0092】
LTE無線通信部320は、UEが、各HeNBとLTEの通信を行う為の機能部である。LTE無線通信部320には、外部アンテナ325が接続されている。
【0093】
記憶部330は、UE30の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部330は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。
【0094】
ここで、UE30の具体的な例としては、無線アクセスインタフェースを介して各HeNBに接続する移動端末装置の他に、PDA(携帯情報端末)、スマートホン等の端末がある。
【0095】
[1.2.5 LGW40の構成]
続いて、LGW40の構成について説明する。図11は、LGW40の機能構成を説明するための図である。LGW40は、制御部400と、送受信部410と、記憶部430と、PMIP処理部440とを備える。
【0096】
制御部400は、LGW40の全体を制御するための機能部である。制御部400は、記憶部430に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)等により構成されている。
【0097】
送受信部410は、ルータ又はスイッチに有線接続され、ホームアクセスネットワーク90又はHeNB10、HeNB20とパケットの送受信を行う。例えば、ホームアクセスネットワーク90への接続方式として一般的に利用されているEthernet(登録商標)などによりパケットを送受信する。 記憶部430は、LGW40の各種動作に必要なプログラム、データ等を記憶する機能部であり、例えば半導体メモリ等により構成されている。記憶部430は、バインディング情報432を含んで記憶されている。
【0098】
バインディング情報432は、LGW40がUE30宛の、パケットに分割された通信データを受信した場合に、当該通信データをUE30に転送するための伝送路を決定するために用いられる情報である。ここで、バインディング情報の一例を図12に示す。
【0099】
図12に示されているように、バインディング情報432は、UE30のIPアドレスプレフィックス(以下、「HNP(Home Network Prefix)」と言う。)と、LGW40への伝送路(例えば、「PMIPトンネル1」)と、を対応づけて管理している。
【0100】
ここで、UE30のIPアドレスプレフィックス「UE1_HNP1」と伝送路「PMIPトンネル1」は、あるUE(例えば、UE30)に対するエントリーである。
【0101】
なお、各UEには、ユニークな(一意的な)HNPが割り当てられるものとし、UE用のIPv6(IPバージョン6)のアドレスを生成するために使用される。ここで、割り当てられるHNPはIPv6である必要はなく、IPv4(IPバージョン4)であってもよい。
【0102】
PMIP処理部440は、LGW40とHeNB10または、HeNB20、HeNB25との間で用いられる転送路(PMIPトンネルと呼ぶ)を確立する機能部である。
【0103】
[1.2.6 SGW50の構成]
次に、SGW50の機能構成について説明する。図13は、SGW50の構成を説明する機能ブロック図である。
【0104】
SGW50は、制御部500と、送受信部510と、記憶部530と、パススイッチ処理部540とを含んでいる。
【0105】
制御部500は、SGW50の全体を制御するための機能部である。制御部500は、記憶部530に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)等により構成されている。
【0106】
送受信部510は、ルータもしくはスイッチに有線接続され、LGW40及びMME60とパケットの送受信を行う。例えば、ネットワークの接続方式として一般的に利用されているEthernet(登録商標)などにより送受信する。
【0107】
記憶部530は、SGW50の各種動作に必要なプログラム、データ等を記憶する機能部であり、例えば半導体メモリ等により構成されている。
【0108】
パススイッチ処理部560は、送受信部510で受信したパススイッチ要求に対して、パススイッチ要求に含まれるHeNB20及びHeNB25へデータ送信先を変更するようパススイッチ処理を行う。そして、送信部510は、パススイッチの要求応答をMME60へ送信する。
【0109】
[1.2.7 MME60の構成]
続いて、MME60の機能構成について説明する。図14は、MME60の機能構成を説明するための図である。MME60は、制御部600と、送受信部610と、記憶部630とを備えて構成される。
【0110】
制御部600は、MME60の全体を制御するための機能部である。制御部600は、記憶部630に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)等により構成されている。
【0111】
送受信部610は、ルータもしくはスイッチに有線接続され、パケットの送受信を行う機能部である。送受信部610は、例えば、ネットワークの接続方式として一般的に利用されているEthernet(登録商標)等により、HeNB10、HeNB20及びHeNB25との送受信を行う。
【0112】
記憶部630は、MME60の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部630は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。ここで、記憶部630は、サブスクリップションDB632と、APN−IPアドレス変換DB634と、EPSベアラコンテキスト636とが記憶されている。
【0113】
サブスクリプションDB632は、図15に示すように、移動通信システム1で管理しているUE30について、そのUE識別子(例えば、IMSI(International Mobile Subscriber Identify:加入者識別情報)等から生成される「UE1」)と、許可CSG識別子リスト(例えば「CSG1」)と、接続可能APNリスト(例えば、「LIPA」)とを対応付けて管理するDBである。
【0114】
ここで、CSG(Closed Subscriber Group、閉鎖加入者群)識別子とは、HeNB20に割り当てられるグループ識別子であり、UE30のHeNB20へのアクセス可否は、サブスクリプションDB632の許可CSG識別子リストに従って判断される。なお、管理の効率性から、複数のHeNBに同じCSG識別子を割り当て、アクセス権限の管理を集約することもできる。また、APNとは、EPSにおいてサービスを識別する識別子である。
【0115】
そして、UEによるHeNB10へのアクセス可否は、現在接続中のHeNB10が許可CSG識別子リストに含まれているか否かと、さらにローカルホームネットワークへのアクセスに用いるAPN(例えば、LIPA)が接続可能APNリストに含まれているかによって決定される。
【0116】
次に、APN−IPアドレス変換DB634は、APNとHeNB識別子とを用いて、LGWのIPアドレスを解決するDBである。図16に示すように、APN−IPアドレス変換DB634は、APN(「例えば、「種別1/LIPA接続」)と、HeNB識別子(例えば、「HeNB1」)と、LGWアドレス(例えば、「2001:100:200:300::2」)とを対応付けて管理している。
【0117】
ここで、MME60は、UE30が接続するHeNBを切り替えた場合(例えば、切り替え元のHeNB10から切り替えた切り替え先のHeNB20に切り替えた場合)に、割り当てられているHeNB識別子と、ローカルIPアクセス用APNと、を用いて、APN−IPアドレス変換DB634を参照して、切り替え先のHeNBが接続されるLGWアドレスを取得する。
【0118】
また、HeNB識別子とは、移動通信システム1に接続される総てのHeNBを一意に識別する識別子である。
【0119】
EPSベアラコンテキスト636は、UE毎に設定されるEPSベアラのコンテキスト(設定情報)を管理している。図17に、EPSベアラコンテキスト636の一例を示す。
【0120】
EPSベアラコンテキスト636は、UE識別子(例えば、「UE1」)と、接続しているAPN(例えば、「種別1/LIPA接続」)と、HoA(例えば「2001:100:200:300::5」)と、LGWアドレス(例えば、「2001:100:200:300::2」)と、HeNBアドレス(例えば、「2001:100:200:300::1)と、S1−TEID(例えば、「TEID1」)と、セルID(例えば、「ECG1(E-UTRAN Cell Global Identifier)1」)と、EPSベアラID(例えば、「EPSベアラ1」)と、を対応付けて管理している。
【0121】
ここで、S1−TEIDは、HeNB10(あるいはHeNB20)とSGW50間で確立される論理パスのIDであり、S1−TEIDはEPSベアラ毎に割り当てられる。
【0122】
また、セルIDは、個々のHeNBが形成する無線セルを一意に識別する識別子である。なお、HeNBの場合は、セルIDとHeNB識別子とは同一である。
【0123】
[1.3 処理の流れ]
続いて、本実施形態における処理の流れについて説明する。
【0124】
[1.3.1 ハンドオーバ処理手続]
まず、ハンドオーバ処理手続について説明する。具体的には、HeNB10とUE30との間において、接続状態を確立して通信を開始している状態から(LGW40からSource HeNB)、説明を開始する。なお、図15において、Source HeNBは、接続状態を確立しているHeNB10であり、Target HeNB(第1Target HeNB又は第2Target HeNB)は、UE30がSource HeNBとの接続状態を維持できず、ハンドオーバ要求の送信先であり、ハンドオーバ手続きによって接続状態を新たに確立するTarget HeNB(第1Target HeNB又は第2Target HeNB)のことである。
【0125】
図18に、Source HeNBからTarget HeNBへハンドオーバ手続を行うためのシーケンス図を示す。図18において、まず、Source HeNBは近隣HeNB関係テーブル134を利用してハンドオーバ手続き開始の決定を行う(S1002)。そして、ハンドオーバ先決定及びHeNBリスト作成処理が実行される(ステップS1004)。
【0126】
ここで、図19を用いて、ステップS1004において実行されるSource HeNB(本実施形態におけるHeNB10)がLIPAハンドオーバ候補テーブル136を利用してハンドオーバ手続きの開始の決定の手順を示す。
【0127】
まず、Source HeNB(HeNB10)は、UE30からのメジャメントレポートを利用してUE別Target HeNBテーブル132を作成する(ステップS2000)。ここで、UE30は、メジャメントレポートを、近隣のHeNB(HeNB10、HeNB20、HeNB25含む)から送信される参照信号を測定して作成する。例えば、HeNB10についてのメジャメントレポートは、HeNB10から送信された参照信号を測定して作成する。
【0128】
また、UE30は、HeNB20についてのメジャメントレポートは、HeNB20(第1Target HeNB)から送信された参照信号を測定して作成する。さらに、UE30は、HeNB25(第2Target HeNB)についてのメジャメントレポートは、HeNB25から送信された参照信号を測定して作成する。ここで、メジャメントレポートとしては、例えば、参照信号の受信電力値に関する情報が記載される。
【0129】
続いて、Source HeNB(HeNB10)は、近隣HeNB関係テーブル134に含められたハンドオーバ不可能HeNBリストに含まれるHeNBを、ステップS2000で作成したメジャメントレポートによるTarget HeNBの候補から削除し、UE30におけるLIPAハンドオーバ可能なハンドオーバ候補テーブル136を作成する(ステップS2002)。
【0130】
なお、ハンドオーバ候補テーブル136は、以下の機能を実現できる場合には、作成しなくても良い。つまり、Source HeNBは、UE別Target HeNBテーブル132からTarget HeNBを(例えば、受信電力値の最大のHeNB)選択して、近隣HeNBテーブル132を確認し、LIPAハンドオーバ手続きに対応していないのであれば、UE別Target HeNB132からもう一度選択できれば良い。
【0131】
ここで、Source HeNBは、UE30におけるLIPAハンドオーバ可能なTarget HeNBリスト(ハンドオーバ候補テーブル136)を作成した結果、Target HeNBがないと判断される場合、ハンドオーバ手続きを終了する(ステップS2004;No)。
【0132】
STEP2002において、ハンドオーバ候補テーブル136を作成しなかった場合には、UE別Target HeNB132から近隣HeNBテーブル134におけるハンドオーバ不可能HeNBリストに含まれるHeNBを除いた結果、Target HeNBの候補が残されていない場合、ハンドオーバ手続きを終了する。
【0133】
他方、ハンドオーバ候補テーブル136に基づいて、Target HeNBとなるHeNBがある場合には(ステップS2004;Yes)、Source HeNBは、UE30におけるLIPAハンドオーバ可能なTarget HeNBを選択する(ステップS2006)。ここで、Target HeNBを選択する方法は、種々の方法が考えられるが、例えば、UE30においてLIPAハンドオーバ可能なTarget HeNBリスト(ハンドオーバ候補テーブル136)からUE30からメジャメントレポートで報告された受信電力値の最も高いHeNBを選択することができる。
【0134】
STEP2002において、ハンドオーバ候補テーブル136を作成しなかった場合には、UE別Target HeNB132から近隣HeNBテーブル134におけるハンドオーバ不可能HeNBリストに含まれるHeNBを除いた結果、UE30からのメジャメントレポートで報告された受信電力値の最も高いHeNBをTarget HeNBとして選択する。
【0135】
続いて、Source HeNBは、ステップS2006で選択したTarget HeNBへハンドオーバ要求を送信する(ステップS2008)。ここで、Source HeNBが送信するハンドオーバ要求には、少なくとも図6(a)で示すようにSource HeNBが接続しているLGWのアドレスとLIPAベアラに関する情報とがオプションに含められる。ここで、LIPA用PDNコネクションをオプションに含めても良い。
【0136】
ここで、Source HeNBがハンドオーバ要求のオプションに、LGWアドレス及び、LIPAベアラを含めることによって、LIPAハンドオーバ手続きに対応していないHeNBに対しては、LGWアドレス及び、LIPAベアラに関与することなく、ハンドオーバ要求応答を送信することができる。ここで、LIPA用PDNコネクションが含まれる場合においても、Target HeNBは、LIPA用PDNコネクションに関与しない。
【0137】
一方、LIPAハンドオーバ手続きに対応するHeNBに対しては、LGWアドレス及び、LIPAベアラの情報、(LIPA用PDNコネクションがハンドオーバ要求のオプションに含まれる場合には、LIPA用PDNコネクションも含む)を抽出し、LIPAハンドオーバ手続きにおけるハンドオーバ要求応答を返信することが可能である。
【0138】
さらに、Source HeNBが本ハンドオーバ要求メッセージを送信することによって、従来のハンドオーバ手続きの開始に対する応答を返信するだけでなく、LIPAハンドオーバ手続きに対応する機能を有しているかどうかも確認することが可能となる。
【0139】
Source HeNBからハンドオーバ要求を受信したTarget HeNBは、ハンドオーバ要求応答を返信し、Source HeNBは、ハンドオーバ要求応答を受信する(ステップS2010)。
【0140】
LIPAハンドオーバ手続きに対応していないTarget HeNBである場合(例えば、本実施形態においては、第1Target HeNB(HeNB20))には、ハンドオーバ要求のオプション部分に含まれるLGWのアドレス及びLIPAベアラに関する情報(LIPA用PDNコネクションがハンドオーバ要求のオプションに含まれる場合には、LIPA用PDNコネクションも含む)を処理することなしに、ハンドオーバ要求応答を返信する。
【0141】
ここで、Source HeNBから送信されるハンドオーバ要求のオプション部分にLIPAハンドオーバの情報要素(LGWアドレス、LIPAベアラ、LIPA用PDNコネクション)が含められているため、LIPAハンドオーバ手続きに対応していないTarget HeNBは、オプション部分に含められたLIPAハンドオーバの情報要素に関与することなく、従来のハンドオーバ手続きとして処理し、ハンドオーバ要求応答をSource HeNBへ送信することができる。
【0142】
これによって、Target HeNBは、LIPAハンドオーバ手続きに対応していないことをSource HeNBへ通知することができる。
【0143】
一方、Source HeNBからハンドオーバ要求を受信したTarget HeNBが、LIPAハンドオーバ手続きに対応しているHeNBである場合(例えば、本実施形態においては、第2Target HeNB(HeNB25))には、ハンドオーバ要求のオプション部分に含まれるLGWのアドレス及びLIPAベアラに関する情報を抽出し、ハンドオーバ要求応答を返信する。このとき、ハンドオーバ要求応答には、Target HeNBが接続するLGWのアドレスが含まれている。
【0144】
ここで、Source HeNBがハンドオーバ要求のオプションに、LGWアドレス及び、LIPAベアラ、(LIPA用PDNコネクション)を含めることによって、LIPAハンドオーバ手続きに対応しているTarget HeNBは、オプションに含められたLGWアドレス及び、LIPAベアラの情報を抽出することができ、LIPAハンドオーバ手続きにおけるハンドオーバ要求応答を返信することが可能となる。
【0145】
これによって、Target HeNBは、LIPAハンドオーバ手続きに対応していることをSource HeNBへ通知することができる。
【0146】
上記のように、Source HeNBがハンドオーバ要求メッセージのオプションにLIPAハンドオーバの情報要素を含めて送信することによって、Target HeNBは、LIPAハンドオーバ手続きに対応していないことをSource HeNBへ通知することができる。また、Target HeNBは、LIPAハンドオーバ手続きにおけるハンドオーバ要求応答を送信することによって、Target HeNBがハンドオーバ手続きに対応していることをSource HeNBへ通知することができる。
【0147】
つまり、上記で述べた、Source HeNBとTarget HeNB間におけるハンドオーバ要求および、ハンドオーバ要求応答のやりとりは、従来のハンドオーバ手続きの開始に対する応答を返信するだけでなく、LIPAハンドオーバ手続きに対応する機能を有しているかどうかも確認することが可能となる。
【0148】
ハンドオーバ要求応答を受信したSource HeNB(ステップS2010;Yes)は、ハンドオーバ要求応答に含められているTarget HeNBのLGWアドレスを確認する(ステップS2012)。
【0149】
ここで、ハンドオーバ要求応答にLGWアドレスが含まれていない場合には(ステップS2014;No)、近隣HeNB関係テーブルに、ハンドオーバ不可能なHeNBとして追加する(ステップS2016)。
【0150】
一方、ハンドオーバ要求応答にLGWアドレスが含まれている場合(ステップS2014;Yes)、Source HeNBは、ハンドオーバ要求に含めたHeNBをTarget HeNBとして決定し、本手続きを終了する。
【0151】
ここで、ステップS2014において、ハンドオーバ要求応答にLGWアドレスが含まれていると判定された場合(ステップS2014;Yes)、Source HeNBとTarget HeNBは同じLGWに接続されているかを確認しても良い。
【0152】
また、Source HeNBとTarget HeNBが同じLGWに接続されているかは、Source HeNBが接続するLGWのLGWアドレスと、Target HeNBが接続するLGWのLGWアドレスとが同じであるかどうかを確認すればよい。Source HeNBが接続するLGWのLGWアドレスとTarget HeNBが接続するLGWのLGWアドレスが同じである場合には、Source HeNBとTarget HeNBは同じLGWに接続されていると判定され、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きを可能であると判断しても良い。
【0153】
他方、Source HeNBとTarget HeNBが異なるLGWに接続されている場合には、近隣HeNB関係テーブル134に、ハンドオーバ不可能なHeNBとして追加しても良い(ステップS2016)。
【0154】
なお、上記の異なるHeNBに接続されているHeNBは、近隣HeNB関係テーブル134において管理しても良く、別のテーブルとして管理しても良い。
【0155】
一方、S2016の処理の行った場合、ステップS2000の処理に戻り、上記処理を繰り返す。本処理では、Target HeNBからのハンドオーバ要求応答にLGWアドレスが含まれるか(または、Source HeNBとTarget HeNBが同じLGWアドレスに接続されているか)、Target HeNBの候補がなくなるまで本処理を繰り返す。
【0156】
なお、上記の手順において、近隣HeNB関係テーブル134及びハンドオーバ候補テーブル136の変化について説明する。ここで図3におけるUE別Target HeNBテーブル132では、UE30からのメジャメントレポートの結果、HeNB20および、HeNB25が含まれている。このとき、UEからのメジャメントレポートの結果は、時間によって変わらないものとし、UE別Target HeNBテーブル132の管理されている内容は同じとする。
【0157】
また、ハンドオーバ候補テーブル136は、近隣HeNB関係テーブル134を利用して、UE別Target HeNBテーブル132からTarget HeNBの候補を制限することができれば、作成しなくても良い。つまり、Source HeNBは、UE別Target HeNBテーブル132からTarget HeNBを(例えば、受信電力値の最大のHeNB)選択して、近隣HeNBテーブル132を確認し、LIPAハンドオーバ手続きに対応していないのであれば、UE別Target HeNB132からもう一度選択できれば良い。
【0158】
図4(a)における近隣HeNB関係テーブル134は、近隣HeNB関係テーブルの初期状態を示している。図4(b)における近隣HeNB関係テーブル134は、HeNB20がLIPAハンドオーバ手続きに対応したHeNBでないため、図19のステップS2014において、ハンドオーバ要求応答にLGWアドレスが含まれないことから、ステップS2014で「No」と判定され、ステップS2016において、近隣HeNB関係テーブル134にハンドオーバ要求不可能としてHeNB25が追加された状態である。
【0159】
また、図5(a)におけるハンドオーバ候補テーブル136は、最初にステップS2002で作成したハンドオーバ候補テーブル136であり、近隣HeNBテーブル134が図4(a)の初期状態において作成したハンドオーバ候補テーブル136を示しているとする。
【0160】
ここで、図3におけるUE別Target HeNBテーブル132には、HeNB20及びHeNB25が含められており、図4(a)における近隣HeNB関係テーブルには、何も含まれていないため、図5(a)におけるハンドオーバ候補テーブル136には、HeNB20及びHeNB25が含まれる。
【0161】
ここで、Target HeNBとして、HeNB20が選択されるが、HeNB20は、LIPAハンドオーバ手続きに対応していないため、ステップS2016において、近隣HeNB関係テーブル134におけるハンドオーバ不可能リストにHeNB20が追加される。
【0162】
2回目のステップS2002におけるハンドオーバ候補テーブル136の作成では、図4(b)における近隣HeNB関係テーブル134におけるハンドオーバ不可能リストにHeNB20が含まれた状態において作成されたハンドオーバ候補テーブル136を示している。
【0163】
ここで、図3におけるUE別Target HeNBテーブル132には、HeNB20及びHeNB25が含められており、図4(b)における近隣HeNB関係テーブル134には、HeNB20がハンドオーバ不可能リストに含まれているため、図5(b)におけるハンドオーバ候補テーブル136には、HeNB25のみが含まれる。HeNB25は、LIPAハンドオーバ手続きが可能であるため、HeNB25がTarget HeNBとして選択される。
【0164】
ここで、Source HeNBが、ハンドオーバ候補テーブル136を作成しない場合、Source HeNBは、UE別Target HeNBテーブル132から、近隣HeNBテーブル134におけるハンドオーバ不可能リストに含まれるHeNB20を除き、残ったTarget HeNBの候補であるHeNB25をTarget HeNBとして選択する。HeNB25は、LIPAハンドオーバ手続きに対応したHeNBであるため、図19における手続きを完了することができる。
【0165】
図18に戻って、Source HeNBは、RRC接続再設定通知をUE30へ送信する(S1006)。RRC接続再設定通知には、第2Target HeNBを示す識別子が含められている。
【0166】
続いて、UE30は、RRC接続再設定通知に含められている第2Target HeNBの情報に基づいて、RRC接続再設定を行い、第2Target HeNBと設定を完了したことを確認して、第2Target HeNBにRRC接続再設定完了通知を送信する(S1008)。
【0167】
RRC接続再設定完了通知を受信した第2Target HeNBはパススイッチ要求をMME60へ送信する(S1010)。パススイッチの要求には、HeNBを切り替えるUEに関する情報、APN、パススイッチ元となるSource HeNBに関する情報及びパススイッチ先となる第2Target HeNBの情報、Target HeNBが接続するLGWアドレス、LIPAベアラに関する情報を含める。ここで、LIPA用PDNコネクションを含めてもよい。
【0168】
第2Target HeNBからパススイッチ要求を受信したMME60は、パススイッチ要求に含められたUEに関する情報及びLIPAベアラに関する情報に対応するEPSベアラコンテキスト636のHeNBアドレスをSource HeNBのアドレスから第2Target HeNBのアドレスへ変更する。続いて、SGW50へベアラ変更要求を送信する(S1012)。ここで、LIPA用PDNコネクションに関連付けて、EPSベアラコンテキストを変更しても良い。
【0169】
MME60はベアラ変更要求に、HeNBを切り替えるUEに関する情報(LIPAベアラ)、APN、Source HeNBが接続するLGWアドレス、ベアラ変更元となるSource HeNBに関する情報及びベアラ変更先となる第2Target HeNBの情報を含める。ここで、LIPA用PDNコネクションの情報を含めても良い。
【0170】
ベアラ変更要求を受信したSGW50は、LGW40へベアラ変更要求を送信する(S1014)。SGW50は、ベアラ変更要求に、HeNBを切り替えるUEに関する情報、APN、Source HeNBが接続するLGWアドレス、ベアラ変更元となるSource HeNBに関する情報及びベアラ変更先となる第2Target HeNBの情報を含める。ここで、LIPA用PDNコネクションの情報を含めても良い。
【0171】
SGW50からベアラ変更要求を受信したLGW40は、Source HeNBから第2Target HeNBへUE30に対する、データの宛先を変更しデータ送受信に必要となるLIPAベアラも同時に変更する。データの宛先、ベアラをそれぞれ変更したLGW40は、ベアラ変更応答をSGW50へ送信する(S1016)。
【0172】
LGW40からベアラ変更応答を受信したSGW40は、LGW40からHeNB20へパスの変更及びLIPAベアラの変更が完了したことを確認し、ベアラ変更応答をMME60へ送信する(S1018)。
【0173】
一方、LGW40は、パススイッチを完了したことを示すパススイッチ応答を第2Target HeNBへ送信する(S1020)。LGW40からパススイッチ応答を受信した第2Target HeNBは、Source HeNBから第2Target HeNBへパスが変更されたことを確認し、Source HeNBへリソース解放の通知を送信する(S1022)。
【0174】
上記の手順を経ることにより、LGW50からSource HeNBへのデータの送受信している場合において、UEが移動してHeNBを切り替える必要があっても、適切なTarget HeNBを選択し、データの送受信を切り替えるハンドオーバ手続きを完了することができる。
【0175】
上記の手続きにより、Source HeNBは、LIPAハンドオーバ手続きであることを示す情報要素を含めてハンドオーバ要求を送信することによって、Target HeNBが、LIPAハンドオーバ手続きに対応するかどうかを検知し、近隣HeNB関係テーブルを構築することができ、近隣HeNB関係テーブルを利用して、不必要なハンドオーバ要求の送信を抑制することができる。
【0176】
つまり、Source HeNBは、ハンドオーバ要求にLIPAハンドオーバ手続きであることを示す新たな情報要素をオプション部分に含めて送信することによって、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応するHeNBであるかどうかを検知することができる。
【0177】
さらに、Target HeNBは、Source HeNBからの上記ハンドオーバ要求を受信し、従来のハンドオーバ要求応答を送信することによって、LIPAハンドオーバ手続きに対応しないことを示すことができる。
【0178】
また、Source HeNBは、Target HeNBからの従来のハンドオーバ要求応答を受信し、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応しないHeNBであることを検知することができる。
【0179】
さらに、Source HeNBは、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応しないHeNBであることを検知し、近隣HeNB関係テーブルにLIPAハンドオーバ手続きに対応しないHeNBとして分類できる。
【0180】
また、Target HeNBは、Source HeNBからの上記ハンドオーバ要求を受信し、LIPAハンドオーバ手続きにおけるハンドオーバ要求応答を送信することによって、LIPAハンドオーバ手続きに対応することを示すことができる。
【0181】
さらに、Source HeNBは、Target HeNBからのLIPAハンドオーバ手続きにおけるハンドオーバ要求応答を受信し、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応するHeNBであることを検知することができる。
【0182】
さらに、Source HeNBは、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応するHeNBであることを検知し、近隣HeNB関係テーブルにLIPAハンドオーバ手続きに対応するHeNBとして分類できる。
【0183】
また、Source HeNBは、近隣HeNB関係テーブルにLIPAハンドオーバ手続きに対応しないHeNBとLIPAハンドオーバ手続きに対応するHeNBを分類した近隣HeNB関係テーブルを利用して、LIPAハンドオーバ手続きに対応しないHeNBにハンドオーバ要求の送信を抑制することによって、効率的なLIPAハンドオーバ手続きを開始することができる。
【0184】
(変形例)
なお、ホームネットワーク90は、インターネットなどへのアクセスが可能となるブロードバンドアクセスネットワークであっても良い。
【0185】
移動通信システム1におけるLGW40は、アクセス制御装置であって、ホームネットワークなどの家庭内ネットワークと接続されるだけでなく、UE30からの送受信データをブロードバンドアクセスネットワークに転送することもできる。
【0186】
ここで、UE30とブロードバンドアクセスネットワーク間におけるデータの送受信を行うことを、コアネットワーク80への経路を回避して、有線系のネットワークにおいてデータの送受信を行うことから、SIPTO(Selected IP Traffic Offload、アクセス選択型トラフィックオフロード)と呼ぶ。また、UE30は、HeNBからブロードバンドアクセスネットワークへの接続のために、SIPTO用PDNコネクションを利用する。 また、UE30は、ブロードバンドアクセスネットワーク内における通信装置と、LGW40経由でデータの送受信を行う。UE30は、ブロードバンドアクセスネットワーク内における通信装置とデータの送受信を行う場合、LGW40とSIPTOベアラを設定する必要がある。
【0187】
上記の場合において、SIPTOハンドオーバ手続きに対応するHeNBとSIPTOハンドオーバ手続きに対応しないHeNBが混在する可能性がある。つまり、SIPTOハンドオーバ手続きに対応しないHeNBが設置された状態において、SIPTOハンドオーバ手続きに対応するHeNBが追加された場合、SIPTOハンドオーバ手続きに対応しないHeNBにアップデートなどによるSIPTOハンドオーバ手続きの機能追加が行われない可能性がある。HeNBは、家庭において運用されるため、オンラインアップデートが行われないまま、HeNBの利用が継続される可能性がある。つまり、SIPTOハンドオーバ手続きに対応するHeNBおよび、SIPTOハンドオーバ手続きに対応しないHeNBが混在する状況において、本実施形態で示す手続きは有効である。
【0188】
LIPAハンドオーバ手続きを利用することで、SIPTOハンドオーバ手続きに対しても同様に適用することが可能である。
【0189】
つまり、移動通信システム1におけるホームネットワーク90の代わりに、ブロードバンドアクセスネットワークへ置き換えた場合、Source HeNBは、SIPTOハンドオーバ手続きにおいて、ハンドオーバ要求のオプションに、LGWアドレスおよび、SIPTOベアラを含めることによって、Target HeNBが、SIPTOハンドオーバ手続きに対応するかどうかを検知し、近隣HeNB関係テーブルを構築することができ、近隣HeNB関係テーブルを利用して、不必要なハンドオーバ要求の送信を抑制することができる。ここで、ハンドオーバ要求のオプションに、SIPTO用PDNコネクションを含めても良い。
【0190】
つまり、Source HeNBは、ハンドオーバ要求にSIPTOハンドオーバ手続きであることを示す新たな情報要素(LGWアドレスおよび、SIPTOベアラ(SIPTO用PDNコネクション))をオプション部分に含めて送信することによって、Target HeNBがSIPTOハンドオーバ手続きに対応するHeNBであるかどうかを検知することができる。
【0191】
さらに、Target HeNBは、Source HeNBからの上記ハンドオーバ要求を受信し、従来のハンドオーバ要求応答を送信することによって、SIPTOハンドオーバ手続きに対応しないことを示すことができる。
【0192】
また、Source HeNBは、Target HeNBからの従来のハンドオーバ要求応答を受信し、Target HeNBがSIPTOハンドオーバ手続きに対応しないHeNBであることを検知することができる。
【0193】
さらに、Source HeNBは、Target HeNBがSIPTOハンドオーバ手続きに対応しないHeNBであることを検知し、近隣HeNB関係テーブルにSIPTOハンドオーバ手続きに対応しないHeNBとして分類できる。
【0194】
また、Target HeNBは、Source HeNBからの上記ハンドオーバ要求を受信し、SIPTOハンドオーバ手続きにおけるハンドオーバ要求応答を送信することによって、SIIPTOハンドオーバ手続きに対応することを示すことができる。
【0195】
さらに、Source HeNBは、Target HeNBからのSIPTOハンドオーバ手続きにおけるハンドオーバ要求応答を受信し、Target HeNBがSIPTOハンドオーバ手続きに対応するHeNBであることを検知することができる。
【0196】
さらに、Source HeNBは、Target HeNBがSIPTOハンドオーバ手続きに対応するHeNBであることを検知し、近隣HeNB関係テーブルにSIPTOハンドオーバ手続きに対応するHeNBとして分類できる。
【0197】
また、Source HeNBは、近隣HeNB関係テーブルにSIPTOハンドオーバ手続きに対応しないHeNBとSIPTOハンドオーバ手続きに対応するHeNBを分類した近隣HeNB関係テーブルを利用して、SIPTOハンドオーバ手続きに対応しないHeNBにハンドオーバ要求の送信を抑制することによって、効率的なSIPTOハンドオーバ手続きを開始することができる。
【0198】
[2.第2実施形態]
続いて、第2実施形態について説明する。本実施形態における移動通信システムは、第1実施形態で説明した構成と同様の構成が利用できるため、説明を省略する。なお、HeNB間の論理的なパスを構築するX2インタフェースは存在せず、HeNB間での制御情報のやりとりは直接行うことができない。
【0199】
第2実施形態では、Source HeNB(HeNB10)が送信するハンドオーバ要求をMME60へ送信することから開始する。
【0200】
第1実施形態では、HeNB間において制御情報のやりとりを行うことにより、ハンドオーバ手続きを開始することができたが、第2実施形態では、HeNB間において制御情報のやりとりができない場合に、利用可能なハンドオーバ手続きについて説明する。
上述した処理について、図20を利用して説明を行う。
【0201】
まず、Source HeNBはUE30から定期的に送信されるメジャメントレポートを利用して、LIPAハンドオーバ手続きの開始を決定する(S3002)。メジャメントレポートの利用方法は第1実施形態で説明した方法を利用でき、例えば、メジャメントレポートに含まれる受信電力値に関する情報を利用することができる。
【0202】
続いて、Source HeNBはハンドオーバ先の決定とHeNBリストの作成を行う(S3003)。ここで、S3003は、点線で囲まれたS3004からS3014までの処理において、ハンドオーバ先の決定と近隣HeNB関係テーブルを作成する処理である。
【0203】
すなわち、図19において、Source HeNBが近隣HeNB関係テーブルを利用してハンドオーバ先の決定を行う手順は、第1実施形態で説明した手順を、Source HeNBとTarget HeNB間において同様に利用することができる。
【0204】
ただし、第2実施形態では、Source HeNBとTarget HeNB間において、直接制御情報のやりとりを行うことはできないため、MME60を介して制御情報のやりとりを行う(図20におけるS3004からS3014の処理)。
【0205】
Source HeNBがMME60を介してTarget HeNBとハンドオーバ要求とハンドオーバ要求応答をやりとりする手順は次のとおりである。まず、Source HeNBは、ハンドオーバ要求をMME60へ送信する(S3004)。ここで、Source HeNBが送信するハンドオーバ要求には、図6(b)のハンドオーバ要求メッセージで示すようにSource HeNBが接続しているLGWのアドレスとLIPAベアラに関する情報、Target HeNBに関する情報とがオプションに含められる。ここで、Source HeNBが送信するハンドオーバ要求には、LIPA用PDNコネクションがオプションに含められても良い。
【0206】
ここで、第1実施形態と同様に、図4に示す近隣HeNB関係テーブル134において、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応していないと判断される場合、ハンドオーバ要求を送信することを中止し、LIPAハンドオーバ手続き可能なHeNBを探索する。
【0207】
Source HeNBからハンドオーバ要求を受信したMME60は、ハンドオーバ要求に含められたUE30に関する情報及びLIPAベアラに関する情報をセッション生成要求に含めてSGW50に送信する(S3006)。
【0208】
MME60はセッション生成要求に、Source HeNBを切り替えるUE30に関する情報、ベアラ変更元となるSource HeNBに関する情報及びベアラ変更先となるTarget HeNBの情報を含める。
【0209】
LGW40からセッション生成要求を受信したSGW50は、LGW40からHeNB20へパスの変更及びベアラの変更が完了したことを確認し、セッション生成要求をMME60へ送信する(S3008)。
【0210】
SGW40からセッション生成要求を受信したMME60は、3004で通知されたTarget HeNBへハンドオーバ要求を送信する(S3010)。ここで、MME60が送信するハンドオーバ要求には、図6(a)のハンドオーバ要求メッセージで示すようにSource HeNBが接続しているLGWのアドレスとLIPAベアラに関する情報がオプションに含められる。ここで、ハンドオーバ要求には、LIPA用PDNコネクションがオプションに含められても良い。
【0211】
MME60からハンドオーバ要求を受信したTarget HeNBは、LIPAハンドオーバ手続きに対応していないHeNBである場合(例えば、HeNB20)、ハンドオーバ要求のオプション部分に含まれるLGWのアドレス及び、LIPAベアラに関する情報を無視し、ハンドオーバ要求応答を返信する。
【0212】
また、MME60からハンドオーバ要求を受信したTarget HeNBが、LIPAハンドオーバ手続きに対応しているHeNBである場合(例えば、HeNB25)、ハンドオーバ要求のオプション部分に含まれるLGWのアドレス及びLIPAベアラに関する情報を抽出し、ハンドオーバ要求応答を返信する(S3012)。このとき、ハンドオーバ要求応答には、図9で示すようにTarget HeNBが接続するLGWのアドレスが含められる。
【0213】
ここで、LIPAハンドオーバ手続きに対応するTarget HeNBが送信するハンドオーバ要求に対する返信は、ハンドオーバ要求応答だけに限られるものでなく、例えば、LIPAハンドオーバ手続きに対応していることを示す信号であっても良い。
【0214】
Source HeNBと同じLGWアドレスが含まれたハンドオーバ要求応答を受信したMME60は、Source HeNBへハンドオーバ要求応答を送信する(S3014)。ここで送信するハンドオーバ要求応答は、Target HeNBからMME60へ送信されたハンドオーバ要求応答と同様のハンドオーバ要求応答が送信される。つまり、LIPAハンドオーバ手続きに対応していないTarget HeNBの場合には、LGWアドレスを含めることなく、ハンドオーバ要求応答を送信し、LIPAハンドオーバ手続きに対応するTarget HeNBの場合には、LGWアドレスが含まれたハンドオーバ要求応答を送信することとなる。
【0215】
上記のS3004〜S3014では、MME60を介して、ハンドオーバ要求、ハンドオーバ要求応答をそれぞれSource HeNB、Target HeNB(HeNB20又はHeNB25)に転送することでSource HeNBとTarget HeNB間でハンドオーバ要求、ハンドオーバ要求応答を送信することができる。つまり、図19で示したハンドオーバ先の決定とハンドオーバ候補テーブルの作成をSource HeNB、Target HeNB間において行うことができる。
【0216】
次に、MME60は、Source HeNBへハンドオーバ命令を送信する(S3016)。ここで、ハンドオーバ命令は、S3016で送信したハンドオーバ要求応答を送信する代わりに送信しても良い。つまり、ハンドオーバ命令に、ハンドオーバ要求応答の情報要素やTarget HeNBが接続するLGWアドレスを含めても良い。
【0217】
ハンドオーバ命令を受信したSource HeNBは、UE30へハンドオーバ命令を送信する(S3018)。ハンドオーバ命令を受信したUE30はSource HeNBとの接続を切断し、Target HeNBと接続を確立する。
【0218】
一方、Source HeNBはUE30との接続を切断したことを確認し、MME60へハンドオーバの通知を送信する(S3020)。ここで、ハンドオーバの通知には、UEを識別する情報を含める。
【0219】
Source HeNBからハンドオーバの通知を受信したMME60は、ハンドオーバの通知に含められたUEに関する情報及びLIPAに対応するEPSベアラコンテキスト636のHeNBアドレスをSource HeNBのアドレスからTarget HeNBのアドレスへ変更する。続いて、MME60は、SGW50へベアラ変更要求を送信する(S3022)。MME60はベアラ変更要求に、HeNBを切り替えるUEに関する情報(LIPAベアラに関する情報)、APN(LIPA)、ベアラ変更元となるSource HeNBに関する情報及びベアラ変更先となるTarget HeNBの情報を含める。ここで、MME60は、セッション生成要求にLIPA用PDNコネクションを含めても良い。
【0220】
ベアラ変更要求を受信したSGW50は、LGW40へベアラ変更要求を送信する(S3024)。SGW50は、ベアラ変更要求に、HeNBを切り替えるUEに関する情報(LIPAベアラ)、APN、ベアラ変更元となるSource HeNBに関する情報及びベアラ変更先となるTarget HeNBの情報を含める。ここで、MME60は、セッション生成要求にLIPA用PDNコネクションを含めても良い。
【0221】
SGW50からベアラ変更要求を受信したLGW40は、Source HeNBからTarget HeNBへUE30に対する、データの宛先を変更しデータ送受信に必要となるベアラも同時に変更する。データの宛先、ベアラをそれぞれ変更したLGW40は、ベアラ変更応答をSGW50へ送信する(S3026)。
【0222】
LGW40からベアラ変更応答を受信したSGW40は、LGW40からHeNB20へパスの変更及びベアラの変更が完了したことを確認し、ベアラ変更応答をMME60へ送信する(S3028)。
【0223】
一方、LGW40は、Source HeNBからTarget HeNBへパス及びベアラが変更されたことを確認し、Target HeNBへパススイッチ応答を送信する(S3030)。
【0224】
パススイッチ応答を受信したTarget HeNBは、LGWとの通信路が確立していることを確認し、Source HeNBへリソース解放の通知を送信する(S3032)。Source HeNBは、Target HeNBからのリソース解放通知を受け取り、LIPAハンドオーバ手続きが完了したことを把握する。
【0225】
上記の手順を経ることにより、HeNB間において制御情報のやりとりができない場合であっても、LGW50からSource HeNBへのデータを送受信している場合において、UEが移動してHeNBを切り替える必要があっても、適切なTarget HeNBを選択し、データの送受信を切り替えるハンドオーバ手続きを完了することができる。
【0226】
上記の手続きにより、Source HeNBは、LIPAハンドオーバ手続きであることを示す情報要素を含めてハンドオーバ要求を送信することによって、Target HeNBが、LIPAハンドオーバ手続きに対応するかどうかを検知し、近隣HeNB関係テーブルを構築することができ、近隣HeNB関係テーブルを利用して、不必要なハンドオーバ要求の送信を抑制することができる。
【0227】
つまり、Source HeNBは、ハンドオーバ要求にLIPAハンドオーバ手続きであることを示す新たな情報要素をオプション部分に含めて送信することによって、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応するHeNBであるかどうかを検知することができる。
【0228】
さらに、Target HeNBは、Source HeNBからの上記ハンドオーバ要求を受信し、従来のハンドオーバ要求応答を送信することによって、LIPAハンドオーバ手続きに対応しないことを示すことができる。
【0229】
また、Source HeNBは、Target HeNBからの従来のハンドオーバ要求応答を受信し、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応しないHeNBであることを検知することができる。
【0230】
さらに、Source HeNBは、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応しないHeNBであることを検知し、近隣HeNB関係テーブルにLIPAハンドオーバ手続きに対応しないHeNBとして分類できる。
【0231】
また、Target HeNBは、Source HeNBからの上記ハンドオーバ要求を受信し、LIPAハンドオーバ手続きにおけるハンドオーバ要求応答を送信することによって、LIPAハンドオーバ手続きに対応することを示すことができる。
【0232】
さらに、Source HeNBは、Target HeNBからのLIPAハンドオーバ手続きにおけるハンドオーバ要求応答を受信し、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応するHeNBであることを検知することができる。
【0233】
さらに、Source HeNBは、Target HeNBがLIPAハンドオーバ手続きに対応するHeNBであることを検知し、近隣HeNB関係テーブルにLIPAハンドオーバ手続きに対応するHeNBとして分類できる。
【0234】
また、Source HeNBは、近隣HeNB関係テーブルにLIPAハンドオーバ手続きに対応しないHeNBとLIPAハンドオーバ手続きに対応するHeNBを分類した近隣HeNB関係テーブルを利用して、LIPAハンドオーバ手続きに対応しないHeNBにハンドオーバ要求の送信を抑制することによって、効率的なLIPAハンドオーバ手続きを開始することができる。
【0235】
[3.変形例]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【0236】
また、各実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROMやHDDの記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
【0237】
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、CD(Compact Disc)、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0238】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれるのは勿論である。
【0239】
また、上述した実施形態における各装置の一部又は全部を典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現してもよい。各装置の各機能ブロックは個
別にチップ化してもよいし、一部、又は全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0240】
1 移動通信システム
3 ローカルホームネットワーク
90 ホームネットワーク
10 HeNB
100 制御部
110 送受信部
120 LTE無線通信部
125 アンテナ
130 記憶部
132 UE別Target HeNBテーブル
134 近隣HeNB関係テーブル
136 ハンドオーバ候補テーブル
140 ハンドオーバ要求生成部
150 X2インタフェース部
20 HeNB
200 制御部
210 送受信部
220 LTE無線通信部
225 アンテナ
230 記憶部
240 ハンドオーバ要求制せ産
25 HeNB
30 UE
40 LGW
50 SGW
60 MME

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末装置及び当該移動端末装置が接続されるホーム基地局装置を含む複数のホーム基地局装置が接続されるローカルホームネットワークが、ゲートウェイ装置を介して外部ネットワークに接続される移動通信システムに含まれるホーム基地局装置において、
他のホーム基地局装置がLIPAハンドオーバが可能か否かを管理する管理テーブルと、
前記移動端末装置が他のホーム基地局装置にハンドオーバを行う場合に、前記管理テーブルからLIPAハンドオーバが可能なホーム基地局装置をハンドオーバ先として決定する決定手段と、
を備え、
他のホーム基地局装置にオプション領域に少なくとも接続されるゲートウェイ装置のアドレスを含むハンドオーバ要求を送信するハンドオーバ要求送信手段と、
他のホーム基地局装置から、ハンドオーバ要求応答を受信するハンドオーバ受信手段と、
前記ハンドオーバ要求に、ゲートウェイ装置のアドレスが含まれている場合には、LIPAハンドオーバ可能と、ゲートウェイ装置のアドレスが含まれていない場合にはLIPAハンドオーバが不可能と前記管理テーブルを更新する更新手段と、
を有することを特徴とするホーム基地局装置。
【請求項2】
前記更新手段は、前記ハンドオーバ要求に、ゲートウェイ装置のアドレスが含まれている場合に、移動端末装置が接続されているホーム基地局装置が接続されているゲートウェイ装置のアドレスと、前記ハンドオーバ要求に含まれているゲートウェイ装置のアドレスとが異なる場合には、当該ホーム基地局装置はLIPAハンドオーバが不可能と更新することを特徴とする請求項1に記載のホーム基地局装置。
【請求項3】
移動端末装置及び当該移動端末装置が接続されるホーム基地局装置を含む複数のホーム基地局装置が接続されるローカルホームネットワークが、ゲートウェイ装置を介して外部ネットワークに接続される移動通信システムに含まれるホーム基地局装置において、
移動端末装置が接続されるホーム基地局装置から、ハンドオーバ要求を受信するハンドオーバ要求受信手段と、
前記ハンドオーバ要求のオプション領域にゲートウェイ装置のアドレスが含まれており、LIPAハンドオーバの受付が可能な場合には、接続されるゲートウェイ装置のアドレスを含んだハンドオーバ要求応答を送信するハンドオーバ要求応答送信手段と、
を備えることを特徴とするホーム基地局装置。
【請求項4】
移動端末装置及び当該移動端末装置が接続されるホーム基地局装置を含む複数のホーム基地局装置が接続されるローカルホームネットワークが、ゲートウェイ装置を介して外部ネットワークに接続される移動通信システムにおいて、
前記ホーム基地局装置は、
他のホーム基地局装置がLIPAハンドオーバが可能か否かを管理する管理テーブルと、
前記移動端末装置が他のホーム基地局装置にハンドオーバを行う場合に、前記管理テーブルからLIPAハンドオーバが可能なホーム基地局装置をハンドオーバ先として決定する決定手段と、
を備え、
他のホーム基地局装置にオプション領域に少なくとも接続されるゲートウェイ装置のアドレスを含むハンドオーバ要求を送信するハンドオーバ要求送信手段と、
他のホーム基地局装置から、ハンドオーバ要求応答を受信するハンドオーバ受信手段と、
前記ハンドオーバ要求に、ゲートウェイ装置のアドレスが含まれている場合には、LIPAハンドオーバ可能と、ゲートウェイ装置のアドレスが含まれていない場合にはLIPAハンドオーバが不可能と前記管理テーブルを更新する更新手段と、
を有することを特徴とする移動通信システム。
【請求項5】
前記請求項4に記載の移動通信システムに接続されることを特徴とする移動端末装置。
【請求項6】
移動端末装置及び当該移動端末装置が接続されるホーム基地局装置を含む複数のホーム基地局装置が接続されるローカルホームネットワークが、ゲートウェイ装置を介して外部ネットワークに接続される移動通信システムに接続される位置管理装置において、
前記移動端末装置が接続されるホーム基地局装置から、ハンドオーバ要求を受信するハンドオーバ要求受信手段と、
前記ハンドオーバ要求のオプション領域にゲートウェイ装置のアドレスが含まれている場合には、ハンドオーバ要求に含まれるホーム基地局装置が、LIPAハンドオーバの受付が可能か否かを確認する確認手段と、
前記ハンドオーバ要求に含まれるホーム基地局装置が、LIPAハンドオーバの受付が可能である場合には、当該ホーム基地局装置が接続されるゲートウェイ装置のアドレスを含んだハンドオーバ要求応答を送信するハンドオーバ要求応答送信手段と、
を備えたことを特徴とする位置管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−106334(P2013−106334A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251282(P2011−251282)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】