説明

ホールカバー

【課題】ゴム弾性を有するリップが半径方向内方に部分的に捩れるのを防止するホールカバーを提供する。
【解決手段】ホールカバー1は、硬質のカバー本体6と、カバー本体の外縁部から下方に突出してカバー本体の外周を全周に形成された、ゴム弾性のシール用のリップ7とから成り、リップ7は、カバー本体6の平板部分14の下面から半径方向外側に向けて傾斜しながら垂下するように延びてリップの全体形状において半径方向外側に拡がるラッパ形状に形成され、リップの傾斜の角度(β)は、カバー本体をホールに挿入するときの押し込みによってリップが被取付部材のおもて面に接面するにつれてリップ先端側が半径方向外方へ一層拡がるように変形する角度に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のボデーパネル等の被取付部材に形成されたプラグホール等のホールに取付けてそのホールを密封(シール)するホールカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のボデーパネル等の被取付部材に形成されたプラグホール等のホールには、車両使用時には使われなくなって、そのまま残っているものがあるが、かかるホールは密閉されて車両室内への水や泥等の異物の侵入を防止する必要がある。そのため、ホールにホールカバーが取付けられてそのホールを密封(シール)し、異物の侵入を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−061459号公報
【特許文献2】特開2004−360716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、ホールプラグと呼ばれるホールカバーが記載されている。このホールカバーは、全体形状を形成する、硬質のカバー本体と、カバー本体の外縁部であってカバー本体の下面側に、カバー本体の外周を全体に巡るように形成された、ゴム弾性を有するリップとから成る。カバー本体は、上部の平板部分と平板部分から下方に垂下した筒状のガイドとを有し、ガイドが被取付部材のホールに挿入されると平板部分がホールを塞ぎ、ガイドに形成されたロック部が被取付部材のホール縁部に係合してホールを塞いだ状態でロックされる。カバー本体の下面側の外周縁部には、その外周縁部を周方向全体に巡るように、ゴム弾性を有するリップが形成されており、カバー本体のガイドをホールに挿入して、カバー本体を被取付部材に固定すると、リップが被取付部材に接面して、ホールを密閉する。特許文献1においては、リップの形状を、水の侵入方向の圧力を利用して防水機能が向上するように形成している。
【0005】
ホールカバーのガイドを被取付部材のホールに押し込むときにリップへ不均一な押圧力が加わった場合、ゴム弾性を有するリップの一部が半径方向内方へ捩れるおそれがある。特許文献1に記載のホールカバーには、上記のリップへの不均一な押圧力が加わった場合のリップの捩れを防止するための構造は設けられていない。従って、ゴム弾性を有するリップの一部が半径方向内方へ捩れるのを防止できるようにすることが望まれている。
【0006】
特許文献2には、ガスケット(すなわちシール部材)が記載されている。特許文献2のガスケットには、薄肉化した場合の倒れを防止するため、1方向性シール部と副シール部とが設けられている。特許文献2は、薄肉化したガスケットの不具合を解消するための構造を記載するだけであり、ホールカバーの押し込み時の不均一な押圧力によるリップの捩れについては何も記載せず、その不具合を解消するための構成を示すものではない。
【0007】
従って、本発明の目的は、ゴム弾性を有するリップの一部が半径方向内方へ捩れるのを防止できるホールカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、本発明に係るホールカバーは、硬質のカバー本体と、該カバー本体の外縁部の下面側に該下面から下方に突出し且つ該カバー本体の外周を全体に巡るように形成された、ゴム弾性を有するリップとから成り、被取付部材に形成されたホールに対して押し込みによって取付けてカバー本体とリップとで前記ホールを密封するホールカバーであって、前記リップは、カバー本体の下面から半径方向外側に向けて傾斜しながら垂下するように延びて該リップの全体形状において半径方向外側に拡がるラッパ形状に形成されており、前記リップの傾斜の角度は、カバー本体をホールに挿入するときの押し込みによって該リップが被取付部材のおもて面に接面するにつれて該リップの先端側が半径方向外方へ一層拡がるように変形する角度に設定されている、ことを特徴とする。
【0009】
上記のように、リップが被取付部材のおもて面に接面するにつれて該リップの先端側が半径方向外方へ一層拡がるように変形する角度に設定されているので、リップの倒れる方向が常に半径方向外側に定められるように規制され、リップは先端から半径方向外側に確実に倒れ込む。従って、ホールカバーの取付け操作において、ゴム弾性を有するリップの一部が半径方向内方へ捩れるのを確実に防止できる。
【0010】
上記のホールカバーにおいて、前記カバー本体はホールを塞ぐ形状の平板部分を有し、前記リップは、その半径方向外側の面(外面)が一定の角度(角度α)の傾斜をもって半径方向外側に向けて前記平板部分から斜め下方に垂下し、その半径方向内側の面(内面)が前記角度αより大きい一定の角度(角度β)の傾斜をもって半径方向外側に向けて前記平板部分から斜め下方に垂下するように形成される。これによって、リップは、根元部分が先端部分より肉厚に形成されて、根元部分の強度あるいは剛性が先端部分より大きくなり、リップが被取付部材へ密接する力が増大し、リップの内面が垂線に対して傾斜する角度βが大きいので、ホールカバーの成形の金型において、リップの半径方向内側の部分がアンダーカット(凹部)となり、成形も容易になる。この場合において、前記カバー本体は、前記平板部分の下面であって前記リップより半径方向内側の位置から下方に垂下する筒状のガイドを備え、該ガイドには、該ガイドが前記被取付部材のホールに挿入されると前記ホールの縁部に係止するロック部が形成されている。
【0011】
なお、1つの実施形態において、前記カバー本体は、硬質プラスチックで成形され、前記リップは、熱可塑性エラストマーを用いて、前記カバー本体に、インサート成形又は2色成形によって一体成形されることができる。また、被取付部材が車両のボデーパネルであり、前記ホールは、ボデーパネルに形成されたプラグホールである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の1実施形態に係るホールカバーを、ボデーパネルのプラグホールに取付ける操作を示す斜視図である。
【図2】図1に示す、本発明に1実施形態に係るホールカバーの平面図である。
【図3】図2のホールカバーの正面図である。
【図4】図2のホールカバーのA−A線断面図であって且つ図3のホールカバーのA−A線に対応する線に沿った断面図である。
【図5】図2のホールカバーをボデーパネルのプラグホールに挿入する、取付けの直前の様子を、図4における断面図で示す図である。
【図6】図5のホールカバーをボデーパネルのプラグホールに更に挿入した、取付けの途中を示す図である。
【図7】図6のホールカバーをボデーパネルのプラグホールに挿入し終えて、ホールカバーをボデーパネルに取付け完了した様子を示す図である。
【図7A】図7に示すホールカバー取付け完了後において、ホールカバーの機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の1実施形態に係るホールカバー1について説明する。ホールカバー1は、ボデーパネル2等の被取付部材のプラグホール3等のホール(穴)に取付けられてその穴を密封し、ホールから水や泥等の異物がホールから侵入するのを阻止する。図1には、ホールカバー1が、ボデーパネル2のプラグホール3に挿入して取付けられる操作が示されている。図2〜図4には、ホールカバー1が、平面図、正面図及び断面図で示されている。図5〜図7には、本発明の1実施形態に係るホールカバー1が、ボデーパネル2のプラグホール3に挿入され始める様子、更に挿入された途中の様子、挿入を終えて取付完了した様子が、示されている。図7Aは、ホールカバー1をボデーパネル2に取付完了した場合のホールカバー1のリップの機能を示している。
【0014】
図1において、本発明の1実施形態に係るホールカバー1が、矢印5に示すように、ボデーパネル2のプラグホール3に挿入されて取付けられ、室外(車外:図1のボデーパネル2の裏面側)からの水や泥等の異物が室内(車内:図1のおもて面側)に侵入するのを防止する。ホールカバー1の全体形状は、プラグホール3の全体を密封するように、プラグホール3を塞ぐ形状に形成される。図1においては、ホールカバー1の被取付部材が、プラグホール3が形成されたボデーパネル2であるので、そのプラグホール3の形状に合わせて、図示の形状に形成されている。ホールカバー1の形状は、図示の形状に限るものではなく、ホールカバー1が塞ぐホールの形状に合わせて任意の形状に形成される。
【0015】
図2〜図4を参照して、ホールカバー1の詳細を説明する。ホールカバー1は、1部品で成る。ホールカバー1は、全体を形成する、硬質のカバー本体6と、カバー本体6の外縁部であってカバー本体6の下面側に、カバー本体6の外周を全体に巡るように形成された、ゴム弾性を有する、シール用のリップ7とから成る。1実施形態において、カバー本体6は、硬質のプラスチック材料で一体成形されており、ホールカバー1の全体形状を一定形状に維持する。リップ7は、全体がゴム弾性を有し、ボデーパネル2のプラグホール3の周縁部分に接面してプラグホール3を密封する。リップ7は、カバー本体6の外周縁部をその全体に沿ってカバー本体6の下面から下方に突出するカーテン形状に形成されている。リップ7は、カバー本体6の硬質材料とは違って、例えば、熱可塑性エラストマー(TPE)等のゴム弾性を有する柔軟な材料で形成されている。かかる柔軟なリップ7によって、カバー本体6の下面側の外縁部がボデーパネル2のプラグホール3の縁部に隣接するおもて面部分に当接したとき、撓んでそのボデーパネル2の縁部部分に密接し、水や泥等の異物の侵入を防止する。
【0016】
カバー本体6はプラグホール3の全体を塞ぐ平板部分14を有する形状に形成される。カバー本体6には、下面において、リップ7より半径方向内側の、リップ7に隣接する外縁部分に、プラグホール3の周縁形状に沿って形成されたガイド9が、下方に垂下するカーテン形状又は筒形状に形成されている。図示の実施形態において、ガイド9は、確実にプラグホール3を塞いで取付けられるように、プラグホール3の形状に合わせた輪郭で且つリップ7の内側に隣接する外縁部分の全周に沿ってカーテン形状又は筒形状に連続的に形成されている。しかし、ガイド9の周方向の長さは、プラグホール3を確実に塞ぐようにボデーパネル2に取付けられる限り、全周に連続するものででなくともよく、部分的に断続する形状であってもいい。また、カバー本体6の平面部から下方へ延びるガイド9の長さは、ホールカバー1をプラグホール3に容易に挿入でき且つ確実に取付けることができる長さであれば、図示の長さより短くても逆に長くてもよい。
【0017】
ガイド9には、周方向に適当な間隔をおいて、複数のロック部10が形成されている。ロック部10は、ホールカバー1がプラグホール3に完全に挿入されたとき、ボデーパネル2のプラグホール3に隣接する縁部に係止して、これによって、ホールカバー1をボデーパネル2に固定する。ロック部10は、ホールカバー1がプラグホール3に挿入されるのを邪魔せず、完全に挿入された後は抜け外れを阻止するように、半径方向内側に撓むことができ且つ半径方向内側に撓んだ状態から半径方向外側に復帰するばね弾性を有する。図示の実施形態において、ロック部10は、図3に図示のように、逆U字形状のスリット11によってカバー本体6に対して下端側でのみ連結され、図4に図示のように、上端には係止肩13が形成されている。ロック部10は、そのばね弾性によって、ホールカバー1がプラグホール3に挿入されると、半径方向内側(図4の右側)に倒れ、ホールカバー1がプラグホール3完全に挿入されると、半径方向内側に撓んだ位置から半径方向外側の元の位置に復帰してボデーパネル2のプラグホール3に隣接する縁部に係止する。なお、ロック部10は、ガイド9の周方向に沿って、複数個(図示の実施形態においては4個)形成されて、固定強度を高く維持する。また、図示のホールカバー1には、平板部分14のおもて面の中央に、他の部品を連結できる連結部12が形成されている。かかる連結部12は必須のものではなく、あってもなくてもよい。
【0018】
リップ7は、カバー本体6の下面側の外縁部にその外周を全体に巡るようにカーテン形状に形成され、全体がゴム弾性を有する。ゴム弾性を有するリップ7を、硬質のカバー本体6に一体に成形するため、例えば、熱可塑性エラストマー材料で成るリップ7が、硬質プラスチック材料で成るカバー本体6に、インサート成形され、あるいは、2色成形される。図4に図示のように、リップ7は、カバー本体6の平板部分14の外縁部に一体的に連結されて、その平板部分14の下面から下方に垂下するように延びている。リップ7がカバー本体6の平板部分の下面から下方へ垂下する長さは、リップ7がボデーパネル2の縁部部分へ十分に密接して異物の侵入の防止ができれば、任意にされる。しかしながら、長過ぎる場合には、リップ7がボデーパネル2の縁部部分へ密接したとき、カバー本体6の外縁部からはみ出るおそれがあり、はみ出た場合には、水や泥等の異物の侵入防止の効果が低下するおそれがあり、また、外観的にも好ましくないので、図示のように、密封機能を損なわない一定の範囲内で、短く形成される。
【0019】
図4に図示のように、リップ7は、カバー本体6の平板部分14から延びる垂線15に対して、一定の角度で、ロック部10(ガイド9)から離れるように斜め方向に垂下している。ホールカバー1において、垂線15は、ホールカバー1の押し込み方向と同じであり、リップ7は、ホールカバー1の押し込み方向に対して、先端(下端)が半径方向外方に傾斜して形成され、ホールカバー1の下面にカーテン形状に形成されるリップ7は、その全体形状において、半径方向外側に拡がるラッパ形状に形成される。リップ7の傾斜の角度は、ホールカバー1をプラグホール3に挿入するときの押し込みによってリップ7がボデーパネル2のおもて面に接面するにつれてリップ7の先端(下端)側が半径方向外方へ一層拡がるように変形する角度に設定される。かかるリップ7の傾斜によって、ホールカバー1がプラグホール3に挿入されるにつれて、リップ7は、ボデーパネル2のおもて面に接面しつつリップ7の先端が外方へ一層拡がるように撓んで、ボデーパネル2のおもて面の縁部部分に確実に且つ十分に密接して、水や泥等の異物の侵入を確実に防止する。上記のように、リップ7は、その半径方向内側の面(内面)が一定の角度(角度β)の傾斜をもって半径方向外側に向けてカバー本体6の平板部分14から斜め下方に垂下しているので、リップ7の倒れる方向が半径方向外側に定められるように規制される。従って、ホールカバー1のガイド9をボデーパネル2のプラグホール3に押し込んだときに、外部の押し込み方向がボデーパネル2に対して斜めになる等によってリップ7へ不均一な押圧力が加わった場合、ゴム弾性を有するリップの一部が半径方向内方又は半径方向外方へ捩れるおそれがあったとしても、上記の規制、すなわち、リップ7の倒れる方向が半径方向外側に定められているので、リップが捩れる不具合は阻止される。
【0020】
リップ7において、外面17の傾斜と内面18の傾斜とを異なるように形成できる。図4において、リップ7の外面17が垂線15(すなわちホールカバー1の押し込み方向)に対する傾斜の角度をαとし、リップ7の内面18が垂線15に対する傾斜の角度をβとする。図示の実施形態において、角度βを角度αより大きく設定する。これによって、リップ7は、根元部分が先端部分より肉厚に形成されて、根元部分の強度あるいは剛性が先端部分より大きくなり、リップ7がボデーパネル2へ密接する力が増大する。また、このように、リップ7の外面17が垂線15に対して傾斜する角度αがリップ7の内面18が垂線15に対して傾斜する角度βが大きい場合、ホールカバー1の成形の金型において、リップ7の半径方向内側の部分がアンダーカット(凹部)となり、成形も容易になる。
【0021】
図1及び図5〜図7(図7Aを含む)を参照して、ホールカバー1がボデーパネル2のプラグホール3に挿入されてボデーパネル2に固定される場合において、リップ7が、ボデーパネル2のおもて面に捩れることなく確実に外側に倒れて、確実に且つ十分に密接して、水や泥等の異物の侵入を確実に防止することを説明する。図1において、ホールカバー1は、ボデーパネル2のプラグホール3に位置決めされ、矢印5に示すようにプラグホール3に挿入される。図5において、ホールカバー1のガイド9がボデーパネル2のプラグホール3の縁部に沿うようにして、ホールカバー1が矢印19に示すようにプラグホール3に押し込まれる。既述のように、リップ7は、その外面17が垂線15(すなわちホールカバー1の押し込み方向)に対して角度α(0<α)で傾斜し、内面18が垂線15(ホールカバー1の押し込み方向)に対して角度β(0<α<β)で傾斜している。
【0022】
図6に示すように、ホールカバー1の押し込みを続けると、ガイド9に形成されたロック部10がボデーパネル2のプラグホール3の縁部に当接して半径方向内側に撓められる(矢印21)。他方、リップ7の先端(下端)が、プラグホール3の半径方向外側の部分においてボデーパネル2に接面し始める。ホールカバー1の押し込みの力によって、リップ7は、その姿勢が撓められるようにボデーパネル2に押し付けられる。既述のように、リップ7は、その半径方向内側の面(内面)が一定の角度(角度β)の傾斜をもって半径方向外側に向けてカバー本体6の平板部分14から斜め下方に垂下しているので、リップ7の倒れる方向が半径方向外側に定められるように規制されており、矢印22に示すように、リップ7は先端から半径方向外側に確実に倒れ込む。
【0023】
図7に示すように、ホールカバー1をプラグホール3に挿入し終えると、ボデーパネル2のプラグホール3の縁部がロック部10を乗り越えて、ロック部10を半径方向内側に撓める力がなくなり、ロック部10はそのばね弾性によって半径方向外側の元の位置に復帰する。これによって、係止肩13がボデーパネル2のプラグホール3の縁部に係止し、ホールカバー1をボデーパネル2に固定する。ホールカバー1には複数のロック部10が形成されており、ホールカバー1は確実にボデーパネル2に固定される。
【0024】
図7及び図7Aに示すように、ホールカバー1をプラグホール3に挿入し終えてホールカバー1がボデーパネル2に固定された状態においては、先端から半径方向外側に確実に倒れ込んだリップ7は、その先端が半径方向外側に延び出た状態で、内面が全体的にボデーパネル2に強く接面する。そして、リップ7は、カバー本体6の下面側の外縁部にその外周を全体に巡るようにカーテン形状に形成され、全体がゴム弾性を有するので、リップ7の密閉の機能は確実に且つ高く維持される。更に、既述のように、リップ7は、外面17の傾斜角度αが内面18の傾斜角度βより小さく形成されて、リップ7の根元部分の強度あるいは剛性が先端部分より大きく、リップ7がボデーパネル2へ密接する力は一層大きく維持される。図7Aにおいて、車両外(車両下)からの水や泥等の異物は、リップ7がボデーパネル2に強固に密接しているので、車両の室内には侵入することはない。
【符号の説明】
【0025】
1 ホールカバー
2 ボデーパネル
3 プラグホール
6 カバー本体
7 リップ
9 ガイド
10 ロック部
11 スリット
12 連結部
13 係止肩
14 平板部分
15 垂線
17 リップ外面
18 リップ内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質のカバー本体と、該カバー本体の外縁部の下面側に該下面から下方に突出し且つ該カバー本体の外周を全体に巡るように形成された、ゴム弾性を有する、シール用のリップとから成り、被取付部材に形成されたホールに対して押し込みによって取付けて前記カバー本体と前記リップとによって前記ホールを密封するホールカバーであって、
前記リップは、前記カバー本体の下面から半径方向外側に向けて傾斜しながら垂下するように延びて該リップの全体形状において半径方向外側に拡がるラッパ形状に形成されており、前記リップの傾斜の角度は、前記カバー本体を前記ホールに挿入するときの押し込みによって該リップが前記被取付部材のおもて面に接面するにつれて該リップの先端側が半径方向外方へ一層拡がるように変形する角度に設定されている、
ことを特徴とするホールカバー
【請求項2】
請求項1に記載のホールカバーにおいて、前記カバー本体は、前記ホールを塞ぐ形状の平板部分を有し、前記リップは、該リップの半径方向外側の面(外面)が一定の角度(角度α)の傾斜をもって半径方向外側に向けて前記平板部分から斜め下方に垂下し、該リップの半径方向内側の面(内面)が前記角度αより大きい一定の角度(角度β)の傾斜をもって半径方向外側に向けて前記平板部分から斜め下方に垂下しており、前記リップは、前記平板部分に隣接する根元部分が先端部分より肉厚に形成され、前記リップの半径方向内側の部分はアンダーカットとして形成される、ことを特徴とするホールカバー。
【請求項3】
請求項2に記載のホールカバーにおいて、前記カバー本体は、前記平板部分の下面であって前記リップより半径方向内側の位置から下方に垂下する筒状のガイドを備えており、該ガイドには、該ガイドが前記被取付部材のホールに挿入されると前記ホールの縁部に係止するロック部が形成されている、ことを特徴とするホールカバー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のホールカバーにおいて、前記カバー本体は、硬質プラスチックで成形されており、前記リップは、熱可塑性エラストマーを用いて、前記カバー本体に、インサート成形又は2色成形によって一体成形されている、ことを特徴とするホールカバー。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のホールカバーにおいて、前記被取付部材が、車両のボデーパネルであり、前記ホールが、前記ボデーパネルに形成されたプラグホールである、ホールカバー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図7A】
image rotate


【公開番号】特開2011−94676(P2011−94676A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247897(P2009−247897)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(390025243)ポップリベット・ファスナー株式会社 (159)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】