説明

ボイラ給水ポンプ設備

【課題】蒸気タービン駆動給水ポンプに駆動用蒸気を供給する蒸気供給管から排出される蒸気及び/又はドレンを有効利用できるボイラ給水ポンプ設備を提供する。
【解決手段】駆動用蒸気を供給する低圧蒸気供給管61a、61bの途中に、弁を閉止しても上流側の低圧蒸気供給管61a、61bと連通する上部ドレン管63a、63bを備える低圧主塞止弁62a、62bが設けられ、ボイラ負荷に対応し稼働台数を変化させる蒸気タービン駆動給水ポンプ51a、51bを備えるボイラ給水ポンプ設備において、上部ドレン排出管63a、63bと脱気器39とを結ぶボイラ給水加熱蒸気系統と、上部ドレン排出管63a、63bと復水器とを結ぶ復水回収系統とを備え、蒸気タービン駆動給水ポンプ51bの停止中に行われる低圧蒸気供給管61bのウォーミングの蒸気を脱気器39へ送り、熱回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汽力発電プラントに備えられるボイラに給水を行うボイラ給水ポンプ設備に関し、特に蒸気タービンで駆動されるボイラ給水ポンプを備えるボイラ給水ポンプ設備に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な汽力発電プラントは、石炭、重油、LNG等を燃料としボイラで蒸気を発生させ、発生した蒸気を蒸気タービンに導き、蒸気タービンに連結された発電機を駆動し発電を行う。蒸気タービンを駆動した蒸気は、冷却され復水にされた後、ボイラ給水として利用される。ボイラ給水は、ボイラ給水ポンプにより昇圧されボイラに送られる。
【0003】
通常の汽力発電プラントでは、ボイラ給水ポンプは、蒸気で駆動される蒸気タービン駆動給水ポンプ及び電動機で駆動される電動機駆動給水ポンプで構成される。蒸気タービン駆動給水ポンプは、通常、2台設けられ、負荷に応じて1台運転、2台運転が行われる(例えば特許文献1参照)。電動機駆動給水ポンプは、汽力発電プラント起動時など蒸気タービンが使用できないときに使用する。このような従来のボイラ給水ポンプシステムでは、電動機駆動給水ポンプの消費電力が大きいため、特に週末停止起動(WSS)対応の汽力発電プラントなどのように起動停止が多くなるとランニングコストが非常に高くなる。この問題を解決するため本発明者は、汽力発電プラント起動時でも電動機駆動給水ポンプを使用することなく、蒸気タービン駆動給水ポンプを使用しボイラ給水を行うボイラ給水方法を発明した(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−97403号公報
【特許文献2】特開2010−139091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今日、多くの発電プラントで、発電効率の向上、エネルギーの有効利用、省エネルギー、さらにはランニングコストの低減に向けた取組みがなされているが、発電効率の向上、ランニングコストの低減等は、発電プラントにとって永遠の課題と言うべきものであり、今後も更なる改善が期待されている。ボイラ給水ポンプについても、ランニングコストの低減等に関し幾つかの方法が提案されているが更なる改善が期待されている。
【0006】
例えば、蒸気タービン駆動給水ポンプを2台備え、負荷が低く蒸気タービン駆動給水ポンプ1台のみを運転する場合、他方の蒸気タービン駆動給水ポンプは、蒸気タービンに蒸気を供給する蒸気主塞止弁が閉止され、ドレン弁を通じて配管、蒸気主塞止弁及び蒸気タービンのケーシング内に滞留する蒸気及び/又はドレンが排出される。さらに停止中においても、蒸気供給管のウォーミングが行われ、この蒸気はドレン弁から復水器に送られ復水となる。このような蒸気及び/又はドレンは温度が高いので、これらから熱回収を行うことができれば汽力発電プラントの熱効率を高めることができる。しかしながら蒸気タービン駆動給水ポンプに駆動用蒸気を供給する蒸気供給管から排出される蒸気及び/又はドレンの処理については、これまでほとんど検討されていない。
【0007】
本発明の目的は、蒸気タービン駆動給水ポンプに駆動用蒸気を供給する蒸気供給管から排出される蒸気及び/又はドレンを有効利用できるボイラ給水ポンプ設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも蒸気タービン駆動給水ポンプを2台以上備え、前記各蒸気タービン駆動給水ポンプには駆動用蒸気を供給する蒸気供給管が設けられ、前記蒸気供給管の途中には蒸気主塞止弁、さらに前記蒸気主塞止弁の上流側に前記蒸気供給管から蒸気及び/又はドレンを排出可能なドレン排出部が設けられ、ボイラ負荷に対応し前記蒸気タービン駆動給水ポンプの稼働台数を変化させる、汽力発電プラントに設けられたボイラ給水ポンプ設備において、前記ドレン排出部とボイラ給水系統とを結び、前記ドレン排出部から排出される蒸気及び/又はドレンを前記ボイラ給水系統に送出するボイラ給水加熱蒸気系統と、前記ドレン排出部と復水器とを結び、前記ドレン排出部から排出される蒸気及び/又はドレンを前記復水器に送出する復水回収系統と、蒸気及び/又はドレンを前記ボイラ給水系統又は前記復水器に送出可能に前記ボイラ給水加熱蒸気系統又は前記復水回収系統を切替える系統切替手段と、を備えることを特徴とするボイラ給水ポンプ設備である。
【0009】
また本発明は、前記ボイラ給水ポンプ設備において、前記ドレン排出部が、前記蒸気主塞止弁閉止時にも前記蒸気供給管と連通する、前記蒸気主塞止弁のドレン排出部であることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記ボイラ給水ポンプ設備において、ボイラ負荷に対応し前記蒸気タービン駆動給水ポンプを停止させるべく前記蒸気主塞止弁が閉止されると、前記ドレン排出部から前記ボイラ給水系統に蒸気及び/又はドレンが送出可能とされ、前記蒸気タービン駆動給水ポンプ停止時及び停止中に前記蒸気供給管から排出される蒸気及び/又は高温のドレンが前記ボイラ給水系統に送出されることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記ボイラ給水ポンプ設備において、前記ボイラ給水系統は、蒸気タービンの排気蒸気を復水にする復水器、低圧給水加熱器、脱気器及び高圧給水加熱器を有し、前記蒸気タービン駆動給水ポンプは、前記脱気器から前記高圧給水加熱器に給水を圧送し、前記ボイラ給水加熱蒸気系統は、前記ドレン排出部と前記脱気器とを結ぶことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記ボイラ給水ポンプ設備において、前記脱気器には、加熱用蒸気として蒸気タービンから抽気蒸気が供給され、前記蒸気タービン駆動給水ポンプの駆動用蒸気の蒸気源が、前記脱気器に供給される加熱用蒸気の蒸気源と同一であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のボイラ給水ポンプ設備は、蒸気タービン駆動給水ポンプに駆動用蒸気を供給する蒸気供給管に蒸気主塞止弁、蒸気主塞止弁の上流側に蒸気供給管から蒸気及び/又はドレンを排出可能なドレン排出部を有し、このドレン排出部とボイラ給水系統とをつなぐボイラ給水加熱蒸気系統を備えるので、蒸気主塞止弁を閉止しても蒸気供給管から蒸気及び/又はドレンをボイラ給水系統に導くことができる。これにより蒸気供給管のウォーミングの際に発生する排気蒸気及び/又は高温のドレンをボイラ給水系統に導き、ボイラ給水を加熱することができる。またボイラ給水ポンプ設備は、前記ドレン排出部と復水器とを結ぶ復水回収系統も備え、系統を切替えて使用することもできるのでボイラ起動時など蒸気供給管から排出されるドレン又は低温蒸気を復水として回収することもできる。
【0014】
また本発明によれば、蒸気供給管から蒸気及び/又はドレンを排出するドレン排出部に、蒸気主塞止弁閉止時にも蒸気供給管と連通する、蒸気主塞止弁のドレン排出部を使用することができるので、このような蒸気主塞止弁を本発明のボイラ給水ポンプ設備に使用することができる。またこのような蒸気主塞止弁を使用することでボイラ給水加熱蒸気系統及び復水回収系統を簡単に設けることができる。
【0015】
また本発明によれば、ボイラ負荷に対応し蒸気タービン駆動給水ポンプを停止させるべく蒸気主塞止弁が閉止されると、ドレン排出部からボイラ給水系統に蒸気及び/又はドレンが送出可能とされるので、蒸気タービン駆動給水ポンプの停止中に行われる蒸気供給管のウォーミングに伴い排出される蒸気及び/又は高温のドレンはボイラ給水系統に送られる。これにより排出される蒸気及び/又は高温のドレンをボイラ給水加熱に有効利用することができる。
【0016】
また本発明によれば、ボイラ給水加熱蒸気系統は、ドレン排出部と脱気器とを結ぶので、蒸気供給管から排出される蒸気及び/又は高温のドレンが保有する熱を確実に回収することができる。これにより高圧給水加熱器の負荷が低減され、汽力発電プラントの熱効率を高めることができる。また脱気器に蒸気及び/又は高温のドレンを送ることで、脱気器の水位が上昇し、結果、脱気器への送水量が低下し、復水ポンプ等のランニングコストを低減することができる。
【0017】
また本発明によれば、脱気器に送られる加熱用蒸気の蒸気源と蒸気タービン駆動給水ポンプの駆動用蒸気の蒸気源とが同一であるので、ボイラ給水加熱蒸気系統を通じて蒸気供給管から排出される蒸気及び/又は高温のドレンを脱気器に送っても、脱気器側の温度制御要領を大きく変更する必要がなく、既設の汽力発電プラントへの適用も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の一形態としてのボイラ給水ポンプ設備の概略構成を示す全体構成図である。
【図2】図1のボイラ給水ポンプ設備を備える汽力発電プラントのプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の実施の一形態としてのボイラ給水ポンプ設備の概略構成を示す全体構成図である。図2は、図1のボイラ給水ポンプ設備を備える汽力発電プラントのプロセスフロー図である。
【0020】
ボイラ1は、燃料であるLNG(液化天然ガス)を燃焼させる火炉3、飽和蒸気を過熱蒸気とする過熱器5及びタービンを駆動した後の蒸気を加熱する再熱器7を有し、火炉3で発生した蒸気は、過熱器5で過熱蒸気となり、主蒸気管9を通じて高圧タービン11に送られ高圧タービン11を駆動する。高圧タービン11を駆動し温度の低下した蒸気は、低温再熱蒸気管13を通じて再熱器7に送られ、ここで過熱蒸気となる。この再熱蒸気は、高温再熱蒸気管15を通じて中圧タービン17に送られ、中圧タービン17を駆動する。
【0021】
中圧タービン17を駆動した蒸気は、クロスオーバー管19を通じて低圧タービン21に送られ低圧タービン21を駆動する。発電機23は、高圧タービン11、中圧タービン17、低圧タービン21と連結しこれらタービンにより駆動され発電を行う。低圧タービン21から排出される蒸気は、復水器25で冷却され凝縮し復水となる。復水は、復水ポンプ27を介して復水熱交換器29、蒸気式空気抽出器31、グランドコンデンサ33、ドレンクーラー35の順に送られ、さらに低圧給水加熱器37(37a、37b、37c、37d)で加熱された後、脱気器39に送られる。
【0022】
低圧給水加熱器37は、第1から第4給水加熱器37a、37b、37c、37dからなる。各低圧給水加熱器37は、表面接触式の熱交換器であり、それぞれ第5抽気から第8抽気ライン41(41e、41f、41g、41h)を通じて供給される低圧タービン21の抽気蒸気で加熱される。例えば一番上流側に位置し温度の一番低い第1給水加熱器37aには、第8抽気ライン41hを介して低圧タービン21の抽気蒸気が供給される。なお抽気ライン41は第1から第8まであり、番号が大きくなるに従って抽気蒸気の温度、圧力が低くなる。
【0023】
脱気器39に送られた給水は、第4抽気ライン41dを通じて供給される中圧タービン17の抽気蒸気(脱気用蒸気)で加熱され、給水中の溶存酸素等不凝縮性ガスが除去される。脱気器39で不凝縮性ガスが除去された給水は、ボイラ給水ポンプ設備を介して昇圧された後、高圧給水加熱器43に送られここでさらに加熱される。なお、脱気器39でも給水の加熱が行われるので、脱気器は第5給水加熱器に該当する。
【0024】
高圧給水加熱器43(43f、43g、43h)は、第6から第8給水加熱器である。各高圧給水加熱器43は、表面接触式の熱交換器であり、それぞれ第1抽気から第3抽気ライン41a、41b、41cを通じて供給される高圧タービン11及び中圧タービン17の抽気蒸気で加熱される。例えば一番下流側に位置し温度の一番高い第8給水加熱器43hには、第1抽気ライン41aを介し高圧タービン11の抽気蒸気が供給される。給水は、第8給水加熱器43hで加熱された後、ボイラ1に送られる。
【0025】
ボイラ給水ポンプ設備は、ボイラ給水ポンプを備え、脱気器39の給水を昇圧し高圧給水加熱器43に送るための設備であり、蒸気タービン52a、52bで駆動される2台の蒸気タービン駆動給水ポンプ51a、51bと電動機54で駆動される電動機駆動給水ポンプ53を備える。蒸気タービン駆動給水ポンプ51a、51bは通常運転時に稼働し、電動機駆動給水ポンプ53は、ボイラ1の起動時等、蒸気タービン駆動給水ポンプ51a、51bを使用することができないときに稼働し、ボイラ1に給水を行う。
【0026】
脱気器39には送水管45が接続し、さらに送水管45には吸込弁55a、55b、55cが設けられた吸込管56a、56b、56cが接続し、これら管路を通じて脱気器39から蒸気タービン駆動給水ポンプ51a、51b及び電動機駆動給水ポンプ53に給水が送られる。蒸気タービン駆動給水ポンプ51a、51b及び電動機駆動給水ポンプ53の吐出部には、吐出管57a、57b、57cが接続し、さらに吐出管57a、57b、57cは送水管47に接続し、これら管路を通じて第6給水加熱器43fに給水が送られる。各吐出管57a、57b、57cの途中には、流量調整弁59a、59b、59c、吐出弁60a、60b、60cが設けられている。
【0027】
蒸気タービン駆動給水ポンプ51a、51bは、同一の構成からなる。蒸気タービン駆動給水ポンプ51a、51bを駆動する蒸気タービン52a、52bには、2系統の駆動用蒸気が供給される。一方の駆動用蒸気は、第4抽気ライン41dから送られる低圧の抽気蒸気であり、他方の駆動用蒸気は、第2抽気ライン41bから送られる高圧の抽気蒸気である。
【0028】
低圧の駆動用蒸気は、第4抽気ライン41dに接続する低圧蒸気供給管61a、61bを介して蒸気タービン52a、52bに送られる。低圧蒸気供給管61a、61bには、蒸気タービン52a、52bの近傍に低圧主塞止弁62a、62bが設けられている。低圧主塞止弁62a、62bは、ボディに上部ドレン管63a、63bを備える。この上部ドレン管63a、63bは、低圧主塞止弁62a、62bを閉止した状態でも、低圧主塞止弁62a、62bよりも上流側の低圧蒸気供給管61a、61bと連通する。上部ドレン管63a、63bの先端部は、2つに分岐し、1方の分岐管64a、64bは、復水器25へ、他方の分岐管65a、65bは、脱気器39に接続する。各分岐管64a、64b、65a、65bには、遮断弁66a、66b、67a、67bが設けられている。本実施形態では、上部ドレン管63a、63b、遮断弁67a、67b及び分岐管65a、65bでボイラ給水加熱蒸気系統が、上部ドレン管63a、63b、遮断弁66a、66b及び分岐管64a、64bで復水回収系統が構成される。また遮断弁66a、66b、67a、67bが系統切替手段に該当する。
【0029】
高圧の駆動用蒸気は、第2抽気ライン41bに接続する高圧蒸気供給管68a、68bを介して蒸気タービン52a、52bに送られる。高圧蒸気供給管68a、68bには、蒸気タービン52a、52bの近傍に高圧主塞止弁69a、69bが設けられている。高圧主塞止弁69a、69bは、ボディに下部ドレン管70a、70bを備える。この下部ドレン管70a、70bは、高圧主塞止弁69a、69bを閉止した状態では、高圧主塞止弁62a、62bよりも上流側の高圧蒸気供給管68a、68bと連通しない。下部ドレン管70a、70bは復水器25と接続し、途中にドレン弁71a、71bを備える。
【0030】
蒸気タービン52a、52bには、途中に遮断弁72a、72bを備える排気管73a、73bが設けられ、タービンを駆動した排気蒸気は復水器25に送られる。また蒸気タービン52a、52bの本体ケーシングには、ドレン弁74a、74bが設けられ、本体に溜まったドレンは復水器25に送出することができる。
【0031】
蒸気タービン駆動給水ポンプ51a、51b、電動機駆動給水ポンプ53の起動停止、
低圧主塞止弁62a、62b、高圧主塞止弁69a、69b、各遮断弁、流量調整弁、ドレン弁の開閉操作は、図示を省略した給水制御装置が行う。
【0032】
ボイラ給水ポンプの動作について説明する。汽力発電プラントの通常運転時、蒸気タービン駆動給水ポンプ51a、51bは、ボイラ1負荷に応じて1台又は2台運転される。負荷が高いときは蒸気タービン駆動給水ポンプ51a、51bとも稼働し、負荷が50%を下回ると1台の蒸気タービン駆動給水ポンプ51a(51b)が稼働し、他方の蒸気タービン駆動給水ポンプ51b(51a)はスタンバイ状態となる。
【0033】
負荷が高く2台の蒸気タービン駆動給水ポンプ51a、51bが稼働しているときには、低圧主塞止弁62a、62b及び高圧主塞止弁69a、69bが開き、低圧及び高圧の駆動用蒸気が蒸気タービン52a、52bに供給され、仕事をした蒸気は、排気管73a、73bを通じて復水器25に送られる。上部ドレン管63a、63bにつながる遮断弁66a、66b、67a、67b、下部ドレン管70a、70bに設けられたドレン弁71a、71b、ドレン弁74a、74bは閉止している。
【0034】
負荷が低くなり稼働中の2台の蒸気タービン駆動給水ポンプ51a、51bのうち、蒸気タービン駆動給水ポンプ51bを停止させるときは、低圧主塞止弁62b及び高圧主塞止弁69bが閉止され、蒸気タービン52bへの蒸気供給が停止される。同時に蒸気タービン52b、低圧主塞止弁62b及び高圧主塞止弁69b、低圧蒸気供給管61b、高圧蒸気供給管68b内の蒸気を排出するため、分岐管65bに設けられた遮断弁67b、下部ドレン管70bに設けられたドレン弁71b、本体のドレン弁74bが開き、蒸気がブローされる。
【0035】
停止中の蒸気タービン駆動給水ポンプ51bは、起動指令がかかったとき直ちに起動できるようにスタンバイ状態であり、低圧蒸気供給管61bがウォーミング状態となっている。低圧主塞止弁62bの上部ドレン管63bは、低圧主塞止弁62bを閉止した状態でも、上流側の低圧蒸気供給管61bと連通するため、蒸気タービン駆動給水ポンプ51bの停止中、低圧蒸気供給管61bから蒸気が、上部ドレン管63b及び分岐管65bを通じて脱気器39に送られる。これにより低圧蒸気供給管61bはウォーミング状態となる。このウォーミング蒸気を脱気器39に導くことで、ウォーミング蒸気を給水の加熱に利用することができる。
【0036】
脱気器39には、加熱用蒸気として第4抽気ライン41dから抽気蒸気が送られている。低圧蒸気供給管61bに送られる蒸気の蒸気源も同じ第4抽気ライン41dであるので、ウォーミング蒸気を脱気器39に送っても脱気器39の温度制御要領等を従来の方法と大きく変える必要がない。また脱気器39にウォーミング蒸気を送ることで、脱気器39の水位が上昇する。これにより脱気器39への送水量が低下し、復水ポンプ27等のランニングコストを低減させることができる。
【0037】
停止中の蒸気タービン駆動給水ポンプ51bを起動させるときは、分岐管65bに設けられた遮断弁67b、下部ドレン管70bに設けられたドレン弁71b、本体のドレン弁74bが閉止され、低圧主塞止弁62b及び高圧主塞止弁69bが開き、蒸気タービン52bに蒸気が供給される。
【0038】
汽力発電プラントは、起動時には起動バイパス運転が行われ、起動バイパス運転を経て通常運転に移行する。汽力発電プラントを起動する際には、ボイラ1の火炉水冷壁を保護するため、ボイラ定格給水量の25%程度の給水を行う必要がある。一方でボイラ1を起動しても発生する蒸気を直ちに蒸気タービンに供給することはできない。蒸気タービンに蒸気を供給するには蒸気を規定の温度、圧力とする必要があり、さらに蒸気タービンに供給後も蒸気量を徐々に増加させ、最終的に発生蒸気の全量を蒸気タービンに供給することとなる。このように汽力発電プラントの起動時に行われる起動バイパス運転時には、蒸気タービン駆動給水ポンプ51a、51bを駆動する駆動用蒸気が得られないので、電動機駆動給水ポンプ53が稼働しボイラ1に給水を行う。
【0039】
一方、起動バイパス運転時には、蒸気タービン駆動給水ポンプ51a、51bは、稼働に向け低圧蒸気供給管61a、61b及び高圧蒸気供給管68a、68bのウォーミングが行われる。このとき発生するドレン及び/又は蒸気は、低圧主塞止弁62a、62bの上部ドレン管63a、63b及び分岐管64a、64bを通じて復水器25に、また下部ドレン管70a、70bを通じて復水器25に送られる。これによりドレン及び/又は蒸気は、復水として回収される。
【0040】
上記実施形態で示すように本発明のボイラ給水ポンプ設備は、ボイラ負荷の低下に伴い停止した蒸気タービン駆動給水ポンプ51a、51bの停止中に行われる蒸気供給管61a、61bのウォーミング蒸気を脱気器39に回収することができるので排気蒸気を有効に利用することができる。上記実施形態に示す第4抽気ライン41dの抽気蒸気は、例えば350℃程度の温度を有するので、熱回収は有用である。汽力発電プラントのうちミドルロード対応の汽力発電プラントでは、夜間、負荷が50%を下回ることも多いので、本発明のボイラ給水ポンプ設備をミドルロード対応の汽力発電プラントに設けることは効果的である。さらに本発明のボイラ給水ポンプ設備は、蒸気タービン駆動給水ポンプ51a、51bに駆動用蒸気を送る蒸気供給管61a、61bから排出される蒸気の脱気器39又は復水器25への送出を選択可能なので、起動バイパス運転等も支障なく行える。また本発明のボイラ給水ポンプ設備は、構成が簡単なため既設のボイラ給水ポンプ設備への適用も容易である。
【0041】
なお、本発明のボイラ給水ポンプ設備は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の実施形態に適用することができる。例えば、蒸気タービン駆動給水ポンプの駆動用蒸気として所内ボイラなどの補助蒸気を使用し、起動バイパス運転時に蒸気タービン駆動給水ポンプを稼動させる場合であっても本発明のボイラ給水ポンプ設備を採用することができる。また上記実施形態では、低圧主塞止弁62a、62bにのみ上部ドレン管63a、63bが設けられていたが、低圧主塞止弁62a、62bに代え、あるいは低圧主塞止弁62a、62bと共に高圧主塞止弁69a、69bに上部ドレン管が設けられていてもよい。この場合、上記実施形態で示す上部ドレン管63a、63bと同様に、高圧主塞止弁69a、69bの上部ドレン管を、管路を介して脱気器39又は腹水器25と接続すればよい。
【0042】
また上記実施形態では、蒸気タービン52a、52bの駆動用蒸気として2つの蒸気系統から低圧蒸気及び高圧蒸気が供給されていたが、駆動用蒸気は一系統であってもよい。さらに上記実施形態では、上部ドレン管63a、63bが低圧主塞止弁62a、62bのボディに設けられ、低圧主塞止弁62a、62bと上部ドレン管63a、63bとが一体化されていたが、低圧主塞止弁62a、62bと上部ドレン管63a、63bとが分離していてもよい。また上記実施形態ではボイラ負荷の低下に伴い停止した蒸気タービン駆動給水ポンプ51bの停止中に行われる低圧蒸気供給管61bのウォーミング蒸気を脱気器39に送る例を示したが、駆動用蒸気の蒸気源に応じて、低圧給水加熱器37、高圧給水加熱器43に送り、ここで熱回収してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 ボイラ
11 高圧タービン
17 中圧タービン
21 低圧タービン
23 発電機
25 復水器
27 復水ポンプ
37、37a、37b、37c、37d 低圧給水加熱器
39 脱気器
41、41a、41b、41c、41d、41e、41f、41g、41h 抽気ライン
43、43f、43g、43h 高圧給水加熱器
51a、51b 蒸気タービン駆動給水ポンプ
52a、52b 蒸気タービン
53 電動機駆動給水ポンプ
54 電動機
61a、61b 低圧蒸気供給管
62a、62b 低圧主塞止弁
63a、63b 上部ドレン管
64a、64b 分岐管
65a、65b 分岐管
66a、66b 遮断弁
67a、67b 遮断弁
68a、68b 高圧蒸気供給管
69a、69b 高圧主塞止弁
70a、70b 下部ドレン管
71a、71b ドレン弁
72a、72b 遮断弁
73a、73b 排気管
74a、74b ドレン弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも蒸気タービン駆動給水ポンプを2台以上備え、前記各蒸気タービン駆動給水ポンプには駆動用蒸気を供給する蒸気供給管が設けられ、前記蒸気供給管の途中には蒸気主塞止弁、さらに前記蒸気主塞止弁の上流側に前記蒸気供給管から蒸気及び/又はドレンを排出可能なドレン排出部が設けられ、ボイラ負荷に対応し前記蒸気タービン駆動給水ポンプの稼働台数を変化させる、汽力発電プラントに設けられたボイラ給水ポンプ設備において、
前記ドレン排出部とボイラ給水系統とを結び、前記ドレン排出部から排出される蒸気及び/又はドレンを前記ボイラ給水系統に送出するボイラ給水加熱蒸気系統と、
前記ドレン排出部と復水器とを結び、前記ドレン排出部から排出される蒸気及び/又はドレンを前記復水器に送出する復水回収系統と、
蒸気及び/又はドレンを前記ボイラ給水系統又は前記復水器に送出可能に前記ボイラ給水加熱蒸気系統又は前記復水回収系統を切替える系統切替手段と、
を備えることを特徴とするボイラ給水ポンプ設備。
【請求項2】
前記ドレン排出部が、前記蒸気主塞止弁閉止時にも前記蒸気供給管と連通する、前記蒸気主塞止弁のドレン排出部であることを特徴とする請求項1に記載のボイラ給水ポンプ設備。
【請求項3】
ボイラ負荷に対応し前記蒸気タービン駆動給水ポンプを停止させるべく前記蒸気主塞止弁が閉止されると、前記ドレン排出部から前記ボイラ給水系統に蒸気及び/又はドレンが送出可能とされ、前記蒸気タービン駆動給水ポンプ停止時及び停止中に前記蒸気供給管から排出される蒸気及び/又は高温のドレンが前記ボイラ給水系統に送出されることを特徴とする請求項1又は2に記載のボイラ給水ポンプ設備。
【請求項4】
前記ボイラ給水系統は、蒸気タービンの排気蒸気を復水にする復水器、低圧給水加熱器、脱気器及び高圧給水加熱器を有し、前記蒸気タービン駆動給水ポンプは、前記脱気器から前記高圧給水加熱器に給水を圧送し、
前記ボイラ給水加熱蒸気系統は、前記ドレン排出部と前記脱気器とを結ぶことを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載のボイラ給水ポンプ設備。
【請求項5】
前記脱気器には、加熱用蒸気として蒸気タービンから抽気蒸気が供給され、
前記蒸気タービン駆動給水ポンプの駆動用蒸気の蒸気源が、前記脱気器に供給される加熱用蒸気の蒸気源と同一であることを特徴とする請求項4に記載のボイラ給水ポンプ設備。

【図1】
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【図2】
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