説明

ボイラ装置及び高温空気燃焼システム

【課題】ボイラが高温空気燃焼を実現可能となる迄の時間を短縮し、ボイラ始動から高温空気燃焼に至る運転をより円滑に行い得る高温空気燃焼用のボイラ装置及び高温空気燃焼システムを提供する。
【解決手段】ボイラ1と、該ボイラの炉壁に設けられ微粉炭を噴出する微粉炭ノズル4と、該微粉炭ノズルに隣接して設けられ、2次空気を噴出する空気ノズル5と、前記ボイラの排ガスとの熱交換により空気ノズル5に送給される2次空気の温度を上昇させる熱交換器2と、2次空気の供給路18内で燃焼を行い2次空気の温度を上昇させるダクトバーナ21とを具備し、空気ノズル5から噴出する2次空気と微粉炭ノズル4から噴出する微粉炭により高温空気燃焼させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温空気燃焼させるボイラ装置及び高温空気燃焼システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高温の燃焼用空気を燃料とは分離した空気ノズルで供給し、高温状態とした炉内に燃料を噴射して燃焼させる高温空気燃焼方式のボイラ装置(以下、高温空気燃焼ボイラ装置)がある。高温空気燃焼ボイラ装置では、炉内を高温にできることから、火炉の小型化が可能であり、又酸素濃度の低い還元雰囲気で燃焼を行わせることができるので、窒素酸化物の発生を抑制することができるという利点がある。
【0003】
一方、高温空気燃焼ボイラ装置は、ボイラ始動から高温空気燃焼に至る運転を円滑に行うことが望まれる。
【0004】
尚、高温空気燃焼させるボイラ装置としては、特許文献1に示されるものがあり、特許文献1には、火炉から燃焼排気ガスの一部を抽気し、抽気した燃焼排気ガスにより燃焼用空気を微粉炭の着火温度以上の温度に加熱して高温燃焼用空気を生成するボイラ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−265300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は斯かる実情に鑑み、ボイラが高温空気燃焼を実現可能となる迄の時間を短縮し、ボイラ始動から高温空気燃焼に至る運転をより円滑に行い得る高温空気燃焼用のボイラ装置及び高温空気燃焼システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ボイラと、該ボイラの炉壁に設けられ微粉炭を噴出する微粉炭ノズルと、該微粉炭ノズルに隣接して設けられ、2次空気を噴出する空気ノズルと、前記ボイラの排ガスとの熱交換により前記空気ノズルに送給される2次空気の温度を上昇させる熱交換器と、2次空気の供給路内で燃焼を行い2次空気の温度を上昇させるダクトバーナとを具備し、前記空気ノズルから噴出する2次空気と前記微粉炭ノズルから噴出する微粉炭により高温空気燃焼させるボイラ装置に係るものである。
【0008】
又本発明は、前記空気ノズルに供給される2次空気の温度を検出する温度検出器と、該温度検出器の検出結果を基に前記ダクトバーナの燃焼量を制御する制御装置とを更に具備するボイラ装置に係るものである。
【0009】
又本発明は、ボイラと、該ボイラの炉壁に設けられ、微粉炭と高温の2次空気により高温空気燃焼を行うバーナと、前記ボイラの排ガスとの熱交換により燃焼用の2次空気の温度を上昇させる熱交換器と、2次空気の供給路内で燃焼を行い2次空気の温度を上昇させるダクトバーナと、排ガスの一部を抽出し2次空気と混合させる排気循環系と、前記バーナに供給される2次空気の温度を検出する第1の温度検出器と、前記ダクトバーナの燃焼を制御すると共に混合する排ガスの量を制御する制御装置とを具備し、該制御装置は前記第1の温度検出器によって検出される2次空気の温度が所定の値となる様に、前記ダクトバーナの燃焼量及び2次空気への排ガスの混合量を制御する高温空気燃焼システムに係るものである。
【0010】
更に又本発明は、排ガスの温度を検出する第2の温度検出器と、前記熱交換器により加熱された2次空気の温度を検出する第3の温度検出器を更に具備し、前記制御装置は前記第2の温度検出器及び前記第3の温度検出器による検出結果に基づき、前記ダクトバーナの燃焼量及び2次空気への排ガスの混合量を制御する高温空気燃焼システムに係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ボイラと、該ボイラの炉壁に設けられ微粉炭を噴出する微粉炭ノズルと、該微粉炭ノズルに隣接して設けられ、2次空気を噴出する空気ノズルと、前記ボイラの排ガスとの熱交換により前記空気ノズルに送給される2次空気の温度を上昇させる熱交換器と、2次空気の供給路内で燃焼を行い2次空気の温度を上昇させるダクトバーナとを具備し、前記空気ノズルから噴出する2次空気と前記微粉炭ノズルから噴出する微粉炭により高温空気燃焼させるので、排ガスの温度が低く、前記熱交換器により充分に2次空気の温度を上昇させることができない場合であっても高温空気燃焼の実現が可能となり、高温空気燃焼が実現可能となる迄の時間を短縮でき、前記ボイラの始動から高温空気燃焼に至る運転を円滑に行うことができる。
【0012】
又本発明によれば、ボイラと、該ボイラの炉壁に設けられ、微粉炭と高温の2次空気により高温空気燃焼を行うバーナと、前記ボイラの排ガスとの熱交換により燃焼用の2次空気の温度を上昇させる熱交換器と、2次空気の供給路内で燃焼を行い2次空気の温度を上昇させるダクトバーナと、排ガスの一部を抽出し2次空気と混合させる排気循環系と、前記バーナに供給される2次空気の温度を検出する第1の温度検出器と、前記ダクトバーナの燃焼を制御すると共に混合する排ガスの量を制御する制御装置とを具備し、該制御装置は前記第1の温度検出器によって検出される2次空気の温度が所定の値となる様に、前記ダクトバーナの燃焼量及び2次空気への排ガスの混合量を制御するので、排ガスの温度が低く、前記熱交換器及び排ガスとの混合により充分に2次空気の温度を上昇させることができない場合であっても高温空気燃焼の実現が可能となり、高温空気燃焼が実現可能となる迄の時間を短縮でき、前記ボイラの始動から高温空気燃焼に至る運転を円滑に行うことができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係るボイラ装置を示す概略構成図である。
【図2】該ボイラ装置に用いられる微粉炭バーナ及び燃焼空気ノズルの一例を示す概略断面図である。
【図3】該ボイラ装置に於ける高温空気燃焼の段階的制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0015】
先ず、図1に於いて、本実施例に係るボイラ装置について概略を説明する。
【0016】
図1中、1は火炉、2は排ガスの余熱を熱源とした熱交換器、3は微粉炭ミル、4は炉壁に設けられた所要数の微粉炭バーナ、5は炉壁に設けられた燃焼空気ノズル、6は1次空気を送出する1次空気送風機、7は2次空気を送出する2次空気送風機、8は排ガスを排出する排ガス送風機、9は制御装置を示している。前記微粉炭バーナ4と前記燃焼空気ノズル5は上下に複数段(図示では3段を例示している)配設されている。尚、前記火炉1の炉壁には炉内からの輻射熱を吸収する伝熱管(図示せず)が設けられ、又前記火炉1の上方には発生した蒸気を過熱する為の図示しないスーパヒータ(過熱蒸気発生器)が設けられている。
【0017】
前記微粉炭バーナ4と前記燃焼空気ノズル5は上下で隣接する配置となっており、又前記微粉炭バーナ4と前記燃焼空気ノズル5とは水平方向に所定ピッチで交互に配設されている。即ち、前記微粉炭バーナ4と前記燃焼空気ノズル5とは、水平方向、上下方向でそれぞれ隣接する様に配置されている。
【0018】
尚、水平方向に交互に配設された微粉炭バーナ4と前記燃焼空気ノズル5の列は、上下2列であってもよく、1列或は上下に3列以上であってもよい。
【0019】
1次空気送風ダクト11は前記熱交換器2を介して前記微粉炭ミル3に接続され、前記1次空気送風ダクト11の上流端には前記1次空気送風機6が設けられている。前記1次空気送風ダクト11は前記熱交換器2で所定温度、例えば200℃に加熱された1次空気を前記微粉炭ミル3に導くものである。該微粉炭ミル3は、塊状の石炭を微粉炭に粉砕し、1次空気を搬送媒体とし、微粉炭供給管12を介し微粉炭混合流を前記微粉炭バーナ4に個別に送給する。又、各微粉炭供給管12にはカットダンパ13が設けられ、該カットダンパ13により前記微粉炭供給管12を個別に遮断、開放が可能となっており、前記微粉炭バーナ4に対して独立して微粉炭の送給停止が行える様になっている。
【0020】
又、前記1次空気送風ダクト11の前記熱交換器2の上流側には、1次空気バイパスダクト14の上流端と補助燃焼用空気ダクト15の上流端が接続されている。前記1次空気バイパスダクト14の下流端は前記1次空気送風ダクト11の前記熱交換器2の下流側と接続されており、加熱前の低温の1次空気を加熱後の1次空気に混合できる様になっている。前記1次空気バイパスダクト14には流量調整弁16が設けられ、該流量調整弁16により低温の1次空気の混合量が調整され、前記微粉炭ミル3に供給する1次空気の温度が調整される。
【0021】
前記補助燃焼用空気ダクト15の下流端は前記微粉炭バーナ4の補助燃焼バーナ(後述)に接続され、加熱前の低温の空気が補助燃焼用空気として前記補助燃焼バーナに送給される。又、前記補助燃焼用空気ダクト15には補助燃焼空気流量調整ダンパ17が設けられ、該補助燃焼空気流量調整ダンパ17により前記補助燃焼バーナに送給する低温の空気の流量を調整し、或は低温の空気の供給を遮断する様になっている。
【0022】
2次空気の供給路である2次空気送風ダクト18は、上流端が前記熱交換器2を介して前記2次空気送風機7に接続され、下流端が各燃焼空気ノズル5に接続されている。前記2次空気送風機7から送出された2次空気は、燃焼用空気として前記2次空気送風ダクト18を経て前記熱交換器2で加熱され、更に前記2次空気送風ダクト18を経て前記燃焼空気ノズル5に送給される。
【0023】
前記2次空気送風ダクト18の前記熱交換器2の下流側には、上流側から第3温度検出器19、ダクトバーナ21、第1温度検出器22、燃焼空気流量調整ダンパ23が設けられている。
【0024】
前記第3温度検出器19は、前記熱交換器2により加熱された2次空気の温度を検出し、検出結果を前記制御装置9に送出する機能を有している。前記ダクトバーナ21は、前記2次空気送風ダクト18内で油等の燃料を噴霧し着火し、燃焼を行うものであり、燃焼により発生した高温の燃焼ガスと2次空気とを混合させることで、前記熱交換器2により加熱される以上の高温の2次空気の温度を得ることができる。
【0025】
又、前記第1温度検出器22は、後述する排ガス導管25と前記2次空気送風ダクト18との合流点より下流側に設けられ、前記燃焼空気ノズル5に送給される2次空気の温度を検出し、検出結果を前記制御装置9に送出する機能を有している。前記燃焼空気流量調整ダンパ23は、複数の前記燃焼空気ノズル5に対して高温燃焼用2次空気の供給停止、更に流量調整を一括して行う。
【0026】
又、前記火炉1の煙道24には前記排ガス導管25の上流端が接続され、該排ガス導管25の下流端は前記2次空気送風ダクト18の前記ダクトバーナ21と前記第1温度検出器22との間に接続されている。前記排ガス導管25には上流側から第2温度検出器26、排ガス流量調整器27が設けられており、前記排ガス導管25と前記排ガス流量調整器27とで排ガス循環系が構成される。前記排ガス導管25は前記熱交換器2により熱交換される前の高温の排ガスを前記煙道24から抽出し、前記熱交換器2及び前記ダクトバーナ21により加熱された高温の2次空気に排ガスを混合できる様になっている。高温の排ガスが2次空気に混合されることで、前記熱交換器2により加熱される以上の高温の2次空気を得ることができる。
【0027】
前記第2温度検出器26は前記排ガス導管25の排ガス導入口の直近に設けられ、該排ガス導管25を流通する排ガスの温度を検出し、検出結果を前記制御装置9に送出する機能を有している。前記排ガス流量調整器27は流量調整機能と開閉機能とを有し、後述する高温空気燃焼が行われる場合に開とされ、高温の排ガスが2次空気に混合され、高温となった2次空気は高温空気燃焼用の燃焼用空気として前記燃焼空気ノズル5に送給される。
【0028】
ここで、排ガスが混合される前の2次空気温度、即ち前記熱交換器2により加熱された2次空気温度は250℃〜300℃であり、炉内から抽出される排ガスの温度は800℃〜1400℃であり、混合後の高温空気燃焼用としての2次空気温度は550℃〜1350℃である。尚、高温空気燃焼の安定性、熱効率等を考慮すると、600℃〜850℃、例えば800℃程度の温度とするのが好ましい。
【0029】
前記微粉炭バーナ4は、補助燃焼バーナ(後述)を有しており、該補助燃焼バーナは油、又はガスを燃料とし、低温(例えば室温)で自立燃焼可能となっている。該補助燃焼バーナには前記補助燃焼用空気ダクト15及び燃料供給管28が接続され、前記補助燃焼バーナは前記燃料供給管28を介して図示しない燃料供給源に接続されている。前記燃料供給管28には、流量調整弁29が設けられ、該流量調整弁29により燃料の供給量が調整され、又燃料の供給停止が行われる。
【0030】
前記制御装置9には、前記第3温度検出器19、前記第1温度検出器22、前記第2温度検出器26により検出された温度信号、及びボイラ装置本体の総合的な制御を行う主制御装置からボイラ負荷状態に応じた燃焼状態を要求する燃焼制御指令が入力され、前記温度信号及び燃焼制御指令に基づき、前記微粉炭ミル3、前記カットダンパ13、前記流量調整弁16、前記補助燃焼空気流量調整ダンパ17、前記燃焼空気流量調整ダンパ23、前記排ガス流量調整器27、前記流量調整弁29を所要のタイミングで駆動、開閉を制御し、又前記ダクトバーナ21の燃焼量を制御し、前記微粉炭バーナ4の燃焼状態、前記燃焼空気ノズル5からの高温空気の噴出を制御する。
【0031】
尚、前記2次空気送風ダクト18の前記第1温度検出器22の下流側には、図示しない酸素濃度検知器が設けられ、該酸素濃度検知器は前記燃焼空気ノズル5に送給される2次空気の酸素濃度を検出し、検出結果を前記制御装置9に送出する。該制御装置9は前記酸素濃度検知器からの信号に基づき、所定の酸素濃度、例えば酸素濃度が14%を下回らない様、前記ダクトバーナ21の燃焼量、及び2次空気に合流する排ガスの合流量、即ち前記排ガス流量調整器27の開度を制御する。
【0032】
図2は、本実施例に用いられる前記微粉炭バーナ4及び前記燃焼空気ノズル5の一例を示している。以下、図2を参照して前記微粉炭バーナ4及び前記燃焼空気ノズル5の概略を説明する。
【0033】
火炉1の炉壁31の反火炉側にウインドボックス34が取付けられ、更に該ウインドボックス34の内部に円筒又は略円筒形状のバーナ支持部33が取付けられている。又、前記ウインドボックス34の内部を貫通する様に微粉炭バーナ4が前記バーナ支持部33と同心に設けられ、前記微粉炭バーナ4の基端部は前記ウインドボックス34に支持され、前記微粉炭バーナ4の中途部が前記バーナ支持部33に支持されており、先端は前記火炉1内に開口している。
【0034】
前記微粉炭バーナ4はノズル本体36を有し、該ノズル本体36は該ノズル本体36と同心に設けられた内筒ノズル37、該内筒ノズル37の中心線上に配設された補助燃焼バーナであるオイルバーナ38を具備している。前記内筒ノズル37の先端は前記火炉1内に開口しており、前記ノズル本体36と前記内筒ノズル37間には中空筒状の空間で、前記火炉1側端が開放された燃料導通空間39が形成される。
【0035】
前記ノズル本体36の基部(反火炉側の端部)には前記微粉炭供給管12が連通し、該微粉炭供給管12を介して微粉炭混合流41が前記燃料導通空間39に流入し、該燃料導通空間39内部を先端に向って流れ、先端から噴出される。
【0036】
又、前記内筒ノズル37の基部(反火炉側の端部)には前記補助燃焼用空気ダクト15が連通し、該補助燃焼用空気ダクト15を介して低温の1次空気が補助燃焼用空気42として前記内筒ノズル37内に流入し、前記オイルバーナ38に沿って流れ、先端から噴出される。
【0037】
前記ウインドボックス34には前記2次空気送風ダクト18が連通しており、該2次空気送風ダクト18を介して2次空気が燃焼用空気43として流入する。
【0038】
前記燃焼空気ノズル5は前記微粉炭バーナ4と平行に設けられ、先端は前記火炉1内に開口し、基端は前記ウインドボックス34の内部に開口している。前記燃焼空気ノズル5は燃焼空気ノズル支持部35を介して前記ウインドボックス34に支持されている。前記各燃焼空気ノズル5の基端部には流量調整ダンパ44が設けられ、該流量調整ダンパ44は駆動軸45を介して回転自在に支持されている。該駆動軸45は前記ウインドボックス34より突出し該ウインドボックス34外に設けられたエアシリンダ等のアクチュエータ46に連結され、前記流量調整ダンパ44は前記アクチュエータ46によって回転される。該アクチュエータ46は前記制御装置9によって制御され、前記燃焼空気ノズル5内に流入する前記燃焼用空気43(以下、高温空気43′)に対し、各燃焼空気ノズル5毎に遮断及び流量の調整を行う様になっている。
【0039】
尚、図示はしないが、紙面に対して下側の前記流量調整ダンパ44についても同様に前記アクチュエータ46が設けられ、前記駆動軸45を介して前記アクチュエータ46によって駆動される様になっている。又、前記流量調整ダンパ44は、前記制御装置9により前記アクチュエータ46を制御する様にしてもよいし、レバー等を介して各流量調整ダンパ44毎に手動にて開閉する様にしてもよい。
【0040】
上記した前記微粉炭バーナ4及び前記燃焼空気ノズル5での燃焼について略述する。前記オイルバーナ38に燃料として油が供給されると共に、前記補助燃焼用ダクト15より前記内筒ノズル37内に前記補助燃焼用空気42が供給される。又、油が前記内筒ノズル37の先端に向って噴霧されると共に着火されることで補助燃焼が行われる。補助燃焼は、炉内が高温空気燃焼可能な所定温度(予め設定した第1設定温度)に上昇する迄継続される。又、前記第1温度検出器22及び前記第3温度検出器19の検出結果に基づき、前記制御装置9によって前記ダクトバーナ21の燃焼が制御される。前記燃焼用空気43が微粉炭を高温空気燃焼させるのに充分な温度、例えば800℃となった状態で、前記2次空気送風ダクト18より前記高温空気43′が前記ウインドボックス34に供給され、更に前記流量調整ダンパ44により流量調整された前記高温空気43′が前記燃焼空気ノズル5より炉内に噴出される。
【0041】
炉内が高温空気燃焼可能な所定温度に達すると共に前記燃焼空気ノズル5より前記高温空気43′が噴出され、前記微粉炭供給管12から微粉炭混合流41が供給される。該微粉炭混合流41は、前記燃料導通空間39を流動し、又該燃料導通空間39を通過する過程で縮流され、前記ノズル本体36の先端より噴出される。
【0042】
前記微粉炭バーナ4から噴出される微粉炭が自立燃焼(高温空気燃焼)可能な状態となると、前記オイルバーナ38による補助燃焼が停止される。微粉炭混合流41と前記高温空気43′とは平行に噴出され、炉内で徐々に混合されることで、低酸素雰囲気で徐々に燃焼する高温空気燃焼に移行する。
【0043】
該微粉炭混合流41が前記高温空気43′と徐々に混合することで、低酸素下、高温下で緩慢燃焼となり、微粉炭の燃焼状態は、燃焼温度のピークのない、なだらかな燃焼となる。又、酸素濃度の低い環境での燃焼となり、窒素酸化物(NOx )の発生を抑制することができる。
【0044】
次に、図3のフローチャートを用い、本実施例に係るボイラ装置に於ける高温空気燃焼について説明する。
【0045】
ボイラが始動され、炉内温度が低い場合には、前記制御装置9により前記流量調整弁29が開かれ、油の供給が開始されると共に供給量の調整が行われる。又、前記補助燃焼空気流量調整ダンパ17が開放され、前記微粉炭バーナ4に低温の1次空気が送給され、前記微粉炭バーナ4に設けられた前記オイルバーナ38による補助燃焼が行われる(STEP:01)。
【0046】
尚、前記オイルバーナ38による補助燃焼が行われる状態では、前記排ガス流量調整器27は閉塞され、前記カットダンパ13も閉塞された状態となっている。
【0047】
前記オイルバーナ38による燃焼により炉内の温度が上昇し、前記第2温度検出器26が検出する温度が予め設定された第1設定温度、例えば500℃となったところで(STEP:02)、前記制御装置9により前記燃焼空気流量調整ダンパ23が開放されると共に前記ダクトバーナ21に油が供給され、該ダクトバーナ21の燃焼が開始される(STEP:03)。
【0048】
該ダクトバーナ21の燃焼により、前記2次空気送風ダクト18内の2次空気が予め設定された所定の温度、例えば高温空気燃焼に好適な温度である800℃となる様、前記第1温度検出器22の検出結果に基づき前記ダクトバーナ21の燃焼が制御され、昇温された高温空気43′が前記ウインドボックス34に送給される。更に、前記微粉炭ミル3が起動され、又前記カットダンパ13が開放され、前記微粉炭バーナ4に微粉炭が供給され、該微粉炭バーナ4の先端より微粉炭混合流41が噴出される。
【0049】
前記微粉炭バーナ4への微粉炭の供給に伴い前記流量調整弁29が閉となり、前記オイルバーナ38による燃焼が停止される(STEP:04)。又、前記流量調整ダンパ44が開となり、前記燃焼空気ノズル5より前記高温空気43′の噴出が開始される。
【0050】
前記微粉炭バーナ4から噴出された前記微粉炭混合流41は、隣接する前記燃焼空気ノズル5から噴出される前記高温空気43′と炉内部で混合接触し、前記微粉炭混合流41と前記ダクトバーナ21のみにより加熱された前記高温空気43′とによる1次高温空気燃焼が開始される(STEP:05)。
【0051】
尚、前記第2温度検出器26により検出される排ガスの温度は、スーパヒータにより熱交換した後の温度であるので、実際の炉内温度よりも低くなっている。従って、予め炉内温度と熱交換により低下した排ガス温度との関係を関連付けしておくことで、前記第2温度検出器26により検出された排ガスの温度に基づき、前記火炉1内の温度を判断することができる。又、第1設定温度は、ボイラの容量、運転状態等により適宜設定されるものであり、500℃に限定されるものではない。
【0052】
更に、炉内の温度が上昇し、前記第2温度検出器26が検出する温度が予め設定された第2設定温度、例えば800℃を超えたところで(STEP:06)、前記排ガス流量調整器27が所定の開度で開口し、前記煙道24から排ガスを抽出し、前記排ガス導管25を経て前記2次空気送風ダクト18を流れる前記燃焼用空気43に排ガスを混合させる(STEP:07)。尚、前記第2設定温度も、ボイラの容量、運転状態等によって適宜設定されるものであり、800℃に限定されるものではない。
【0053】
前記第2温度検出器26により検出される温度が前記第2設定温度に達した後も、前記煙道24からの排ガスのみでは前記燃焼用空気43を予め設定した高温空気燃焼に好適な温度、例えば800℃迄上昇させることができないので、前記ダクトバーナ21の燃焼は継続されており、前記ダクトバーナ21による燃焼及び排ガスとの混合により加熱された前記高温空気43′が供給され、2次高温空気燃焼に移行する(STEP:08)。
【0054】
前記制御装置9は、前記第2温度検出器26の検出結果に基づき、前記第1温度検出器22により検出される前記燃焼用空気43の温度が800℃となる様、前記排ガス流量調整器27の開度を調整し、抽出する排ガスの量を制御すると共に前記ダクトバーナ21の燃焼を制御する。排ガスの温度が上昇し、更に前記燃焼用空気43への排ガスの混合量の増加に伴い、前記ダクトバーナ21の燃焼量は漸次減少する。
【0055】
又、前記第2温度検出器26が検出する温度が予め設定された第3設定温度、即ち前記燃焼用空気43が排ガスとの混合のみで2次空気を800℃迄上昇可能な温度、例えば抽出する排ガス温度が1000℃となったところで(STEP:09)、前記ダクトバーナ21の燃焼が停止される(STEP:10)。
【0056】
該ダクトバーナ21の燃焼が停止した後は、前記排ガス流量調整器27の開度が制御されることで排ガスの混合量が調整され、前記燃焼用空気43が800℃に保たれ、前記排ガスとの混合のみにより加熱された前記高温空気43′と前記微粉炭混合流41とによる3次高温空気燃焼に移行する(STEP:11)。
【0057】
上述の様に、本実施例では、2次空気の供給路である前記2次空気送風ダクト18内に前記ダクトバーナ21を設け、該ダクトバーナ21の燃焼により排ガスの温度が低くても燃焼用空気43を高温空気燃焼に好適な温度迄昇温可能としたので、排ガスが第3設定温度迄昇温するのを待つことなく第1設定温度に到達した段階で高温空気燃焼が可能であり、更に排ガスの温度が第2設定温度に到達した段階で、排ガスの2次空気への混合を開始し、排ガスの温度が第3設定温度に到達した段階で、前記ダクトバーナ21の燃焼がなくても高温空気燃焼が実現可能となる。従って、高温空気燃焼を実現可能となる時間を短縮することができ、ボイラ始動から高温空気燃焼に至る運転を円滑に行うことができる。
【0058】
又、本実施例では、予め第1〜第3設定温度を設定し、該第1〜第3設定温度と前記第2温度検出器26の検出値との比較により段階的に制御を行っているが、第3設定温度を設定せず、前記第2温度検出器26及び前記第3温度検出器19の検出結果に基づき、前記制御装置9に前記熱交換器2による加熱と排ガスとの混合のみにより前記燃焼用空気43を800℃迄昇温可能であるかどうかを判断させ、前記ダクトバーナ21の停止及び前記排ガス流量調整器27の開度制御を行わせてもよい。
【0059】
又、本実施例では第1設定温度到達後に補助燃焼を停止しているが、第3設定温度に到達する迄補助燃焼を継続し、3次高温空気燃焼に至る迄の時間を短縮する様にしてもよい。
【0060】
又、本実施例では、前記第1温度検出器22、前記第2温度検出器26、前記第3温度検出器19の3つの温度検出器を設けているが、前記第1温度検出器22のみとしてもよい。この場合、排ガスの温度が上昇し、前記燃焼用空気43に排ガスを混合させている状態で、前記第1温度検出器22により検出された前記燃焼用空気43の温度が800℃を超えたと判断されると、先ず前記ダクトバーナ21の燃焼量を減少させることで前記燃焼用空気43の温度を低下させる。前記ダクトバーナ21消火後も800℃を超えていると判断されると、前記排ガス流量調整器27の開度を調整し、前記燃焼用空気43の温度を低下させることで、該燃焼用空気43の温度を800℃に保つことができる。又、前記排ガス流量調整器27の開度を最大としても前記燃焼用空気43の温度が設定温度に到達しない場合には、前記排ガス流量調整器27の開度を絞り、再度前記ダクトバーナ21を着火することで前記燃焼用空気43の温度を800℃迄上昇させる。
【0061】
尚、揮発分の少ない微粉炭、自立燃焼のできない微粉炭を使用する場合は、前記オイルバーナ38による補助燃焼を併用してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 火炉
2 熱交換器
4 微粉炭バーナ
9 制御装置
18 2次空気送風ダクト
19 第3温度検出器
21 ダクトバーナ
22 第1温度検出器
25 排ガス導管
26 第2温度検出器
27 排ガス流量調整器
41 微粉炭混合流
43 燃焼用空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラと、該ボイラの炉壁に設けられ微粉炭を噴出する微粉炭ノズルと、該微粉炭ノズルに隣接して設けられ、2次空気を噴出する空気ノズルと、前記ボイラの排ガスとの熱交換により前記空気ノズルに送給される2次空気の温度を上昇させる熱交換器と、2次空気の供給路内で燃焼を行い2次空気の温度を上昇させるダクトバーナとを具備し、前記空気ノズルから噴出する2次空気と前記微粉炭ノズルから噴出する微粉炭により高温空気燃焼させることを特徴とするボイラ装置。
【請求項2】
前記空気ノズルに供給される2次空気の温度を検出する温度検出器と、該温度検出器の検出結果を基に前記ダクトバーナの燃焼量を制御する制御装置とを更に具備する請求項1のボイラ装置。
【請求項3】
ボイラと、該ボイラの炉壁に設けられ、微粉炭と高温の2次空気により高温空気燃焼を行うバーナと、前記ボイラの排ガスとの熱交換により燃焼用の2次空気の温度を上昇させる熱交換器と、2次空気の供給路内で燃焼を行い2次空気の温度を上昇させるダクトバーナと、排ガスの一部を抽出し2次空気と混合させる排気循環系と、前記バーナに供給される2次空気の温度を検出する第1の温度検出器と、前記ダクトバーナの燃焼を制御すると共に混合する排ガスの量を制御する制御装置とを具備し、該制御装置は前記第1の温度検出器によって検出される2次空気の温度が所定の値となる様に、前記ダクトバーナの燃焼量及び2次空気への排ガスの混合量を制御することを特徴とする高温空気燃焼システム。
【請求項4】
排ガスの温度を検出する第2の温度検出器と、前記熱交換器により加熱された2次空気の温度を検出する第3の温度検出器を更に具備し、前記制御装置は前記第2の温度検出器及び前記第3の温度検出器による検出結果に基づき、前記ダクトバーナの燃焼量及び2次空気への排ガスの混合量を制御する請求項3の高温空気燃焼システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−181003(P2012−181003A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46104(P2011−46104)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】