説明

ボイラ

【課題】 水管過熱等のリスクを低減させると共に比較的高い乾き度の蒸気を得ることが可能なボイラ(角型水管群を備えたボイラ)を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、上部管寄せ24と、下部管寄せ25と、前記上部管寄せ24と前記下部管寄せ25との間に略垂直な水管群を縦列配置して構成された角型水管群と、前記角型水管群の側面に設けられたバーナ10とを備えたボイラ1であって、前記上部管寄せ24に連通した蒸気出口管81,82が設けられており、前記蒸気出口管81,82の開口部近傍にバッフル板91,92が設けられていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラに関し、詳しくは、上部管寄せと下部管寄せとの間に略垂直な水管群を縦列配置して構成された角型水管群を備えたボイラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
蒸気ボイラにおいて、製造される蒸気の乾き度は非常に重要であり、従来から、高品質の蒸気(高い乾き度を有する蒸気)を得るために、種々の工夫がなされている。この高品質の蒸気を得るための技術の一つとして、セパレータ(気液分離器)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
蒸気ボイラに取り付けられるセパレータは、飽和水と飽和蒸気とを分離し、製造される蒸気の乾き度を高めるための機器である。このセパレータとしては、一般に、蒸気の流れに旋回流を与えて気液を分離する遠心式のものと、障害物に蒸気の流れを衝突させて気相分を取り出す衝突式のものとが知られている。また、遠心式のセパレータとしては、羽根によって蒸気の流れに旋回流を与える軸流式のものと、蒸気の流れを接線方向から流入させることによってサイクロンの作用を利用するサイクロン式のものとが知られている。
【0004】
一方、近年においては、省スペース化等の観点から、角型缶体(ここで、「角型缶体」とは、例えば、平行な複数の水管列(角型水管群)から成る缶体を角型のハウジングないしケーシング内に収容して構成されたものであり、これに送風機、給水ポンプ、バーナ等の機器を組み付けて、全体が極めて薄型構造にとなるように工夫された缶体をいう。)の利用が盛んである。
【0005】
この角型缶体を用いて構成された蒸気ボイラは、法規上の制約から管寄せ高さをあまり大きくとることができないため(一般に、管寄せ高さが低く構成されることとなるため)、上部管寄せに連通して設けられた蒸気出口管に対して、飽和水が流入しやすくなる。
【0006】
蒸気出口管に対して飽和水が流入すると、製造される蒸気の乾き度が低下するため、角型缶体を用いて構成された蒸気ボイラには、通常、先に説明したセパレータのいずれかが取り付けられている。
【0007】
ところが、セパレータを取り付けても、蒸気出口管に対する飽和水の流入が多い場合には、セパレータ水位が上がるため、効果的に乾き度を高めることができないこともある。
【0008】
このような場合、蒸気の乾き度を高めるための一つの手段として、角型缶体の缶内水位を低く抑える方法がある。缶内水位を低く抑えれば、蒸気出口管に対する飽和水の流入が低減するため、得られる蒸気の乾き度を高めることができる。
【0009】
しかしながら、缶内水位を低く抑えた場合、缶体を構成する水管への悪影響(水管過熱等)が発生するおそれがある。すなわち、缶内水位を低く抑えることは、高い乾き度を有する蒸気を得るために有効な手段ではあるが、一方では、水管過熱等のリスクを負うことにもなる。
【0010】
【特許文献1】特開2005−349318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、水管過熱等のリスクを低減させると共に比較的高い乾き度の蒸気を得ることが可能なボイラ(角型水管群を備えたボイラ)を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、上部管寄せと、下部管寄せと、前記上部管寄せと前記下部管寄せとの間に略垂直な水管群を縦列配置して構成された角型水管群と、前記角型水管群の側面に設けられたバーナとを備えたボイラであって、前記上部管寄せに連通した蒸気出口管が設けられており、前記蒸気出口管の開口部近傍にバッフル板が設けられていることを特徴としている。
【0013】
また、本発明にかかるボイラにおいては、前記バッフル板が、前記蒸気出口管を遮蔽可能な大きさに構成されており、前記蒸気出口管の開口部から離間して設けられていることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明にかかるボイラにおいては、前記バッフル板が、前記上部管寄せの内面形状に近似した湾曲形状を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、水管過熱等のリスクを低減させると共に比較的高い乾き度の蒸気を得ることが可能なボイラ(角型水管群を備えたボイラ)を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態を説明する前に、本明細書において使用する用語について説明する。
【0017】
本明細書において、単に「ガス」と称する場合、ガスとは、燃焼反応中のガスおよび燃焼反応が完了したガスの少なくとも一方を含む概念であり、燃焼ガスと称することもできる。つまり、ガスとは、燃焼反応中のガスおよび燃焼反応が完了したガスの両方を有する場合、燃焼反応中のガスのみを有する場合、あるいは燃焼反応が完了したガスのみを有する場合の、いずれをも含む概念である。以下、特に説明しない場合は同様の概念である。
【0018】
また、ガス温度は、特に説明しない限り、燃焼反応中のガスの温度を意味し、燃焼温度あるいは燃焼火炎温度と同義である。さらに、ガス温度の抑制とは、ガス(燃焼火炎)温度の最高値を低く抑えることを意味する。なお、通常、燃焼反応は、上述した「燃焼反応が完了したガス」中においても極微量であるが継続しているので、「燃焼反応の完了」とは、燃焼反応の100%完結を意味するものではない。
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0020】
まず、本実施形態の第一態様にかかるボイラは、上部管寄せと、下部管寄せと、前記上部管寄せと前記下部管寄せとの間に略垂直な水管群を縦列配置して構成された角型水管群と、前記角型水管群の側面に設けられたバーナとを備えたボイラであって、前記上部管寄せに連通した蒸気出口管が設けられており、前記蒸気出口管の開口部近傍にバッフル板が設けられている。
【0021】
このような構成によれば、前記バーナにて前記角型水管群内の水が加熱されて蒸気が生成され、前記蒸気出口管を介して蒸気が取り出される場合、前記蒸気出口管の開口部近傍に前記バッフル板が設けられているため、取り出される蒸気の乾き度を高めることができる。より具体的には、前記角型水管群内の水が加熱されることによって、前記上部管寄せ内に飽和水と飽和蒸気との混合流体が噴出されたとしても、前記蒸気出口管の開口部近傍に前記バッフル板が設けられているため、この混合流体が直接前記蒸気出口管に流入することはない。すなわち、混合流体は、前記蒸気出口管に流入する前に前記バッフル板に衝突することとなるため、混合流体を構成する液相分が取り除かれ、乾き度の高い蒸気が前記蒸気出口管を介して取り出されることとなる。
【0022】
また、本実施形態の第二態様にかかるボイラは、第一態様の構成にて、前記バッフル板が、前記蒸気出口管を遮蔽可能な大きさに構成されており、前記蒸気出口管の開口部から離間して設けられている。
【0023】
このような構成によれば、前記バッフル板が前記蒸気出口管を遮蔽可能な大きさに構成されているため(前記バッフル板が前記蒸気出口管開口部より大きく形成されているため)、混合流体が直接前記蒸気出口管に流入することを効果的に防止することができる。また、前記バッフル板が前記蒸気出口管の開口部から離間して設けられているため、この隙間から、混合流体から分離した高い乾き度を有する蒸気を、適切に前記蒸気出口管を介して取り出すことができる。
【0024】
また、本実施形態の第三態様にかかるボイラは、第一態様または第二態様にて、前記バッフル板が、前記上部管寄せの内面形状に近似した湾曲形状を有している。
【0025】
このような構成によれば、前記バッフル板が前記上部管寄せの内面形状に近似した湾曲形状を有しているため、上述した種々の効果に加え、前記蒸気出口管と前記バッフル板との間に、蒸気が前記蒸気出口管に流入する際における適切な流入通路(流入面積)を確保することができる。また、通常、前記上部管寄せの内面形状は、上方凸型形状(例えば、上方が凸型の蒲鉾型形状)であるため、この内面形状に近似した湾曲形状を有する前記バッフル板とすることによって、前記バッフル板にて分離された混合流体中の飽和水を水管に導き、水管過熱を防止することができる。
【0026】
次に、本発明の実施例を示すが、本発明はもとより上記実施形態および下記実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0027】
以下、本発明にかかるボイラの実施例について、図面を用いて説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施例を適用した蒸気ボイラの縦断面の説明図である。また、図2は、図1のII−II線に沿う横断面の説明図である。さらに、図3は、図1に示されたボイラの概略斜視断面図(部分断面図)である。また、図4は、図3のVI−VI線に沿う横断面の説明図である。
【0029】
これらの図1から図4に示すように、本実施例にかかるボイラ1は、平面状の予混合ガス噴出面(平板状で、予混合ガス噴出孔が略同一平面状に形成された燃焼面)を有する完全予混合式のバーナ10(本発明の「バーナ」に相当)、多数の熱吸収用の水管(伝熱管)21,22,23を用いて構成された水管群(本発明の「角型水管群」に相当)を有する缶体20、バーナ10に対して燃焼用空気を送るために設けられた送風機30、缶体20内の排ガスをボイラ1外部に排出するために設けられた煙突部40、および缶体20を構成する各水管21,22,23内にて生成された蒸気を取り出すために設けられた蒸気取出部80等を用いて構成されている。
【0030】
本実施例にかかるボイラ1を構成するバーナ10は、予混合ガス噴出孔が略同一平面状に形成された予混合ガス噴出面を有する予混合ガスバーナであって、波板と平板とを交互に積層して構成されている。このような構成に基づき、バーナ10の予混合ガス噴出面(燃焼面)10aには、多数の予混合ガス噴出孔が形成されることとなる。そして、このバーナ10は、後述する缶体20を構成する水管(水管群)に近接して設けられている。なお、詳細な構造等はここでは省略するが、本実施例にかかるバーナ10は、例えば、特許第3221582号公報に記載された「燃焼バーナ」と同様な構成を有している。
【0031】
また、本実施例にかかるボイラ1を構成する缶体20は、上部管寄せ24、下部管寄せ25、およびこれらの上下部管寄せ24,25間に立脚して配設された複数の水管(外側水管21,内側水管22,中央水管23)から成る角型水管群等を用いて構成されている。この缶体20内においては、外側水管21、内側水管22、および中央水管23が、ガス流動方向(缶体20の長手方向)に配置されており、中央水管群(中央水管23を用いて構成された水管群)を中心として、二列ずつの内側水管群(内側水管22を用いて構成された水管群)および外側水管群(外側水管群21を用いて構成された水管群)が構成されている。また、隣り合う水管同士は、千鳥状に配設されている。さらに、図2に示すように、本実施例にかかる缶体20においては、長手方向の両側部に設けられた外側水管21と、各外側水管21間を連結した連結部26とを用いて、一対の水管壁27が構成されている。缶体20は、この一対の水管壁27と、上下部管寄せ24,25とを用いて、略矩形のガス流動空間29が形成されることとなり、このガス流動空間29内に、所定間隔を隔てて、内側水管22および中央水管23が配設されている。
【0032】
また、本実施例にかかるボイラ1を構成する送風機30は、バーナ10に対して燃焼用空気を送るために設けられたものであって、この送風機30とバーナ10とは、空気供給経路部31を用いて接続されている。この空気供給経路部31中には、ガス燃料供給管32が設けられており、ガス燃料供給管32には、高燃焼時と低燃焼時とで燃料流量を調整する燃料調整弁33が設けられている。なお、この空気供給経路部31には、必要に応じて、燃料と空気との混合性を向上させるために絞り部を設けることも可能である。
【0033】
また、本実施例にかかるボイラ1を構成する煙突部40は、その入口がバーナ10と対向すべく、缶体20の最下流側に設けられている。したがって、本実施例にかかるボイラ1においては、バーナ10にて生成されたガスは、缶体20を構成する水管21,22,23と直線的に接触した後(接触して熱交換を行った後)、排ガスとして煙突部40を介してボイラ1外部に排出される。
【0034】
また、本実施例にかかるボイラ1においては、上部管寄せ24の上方位置に蒸気取出部80が設けられており、上部管寄せ24と蒸気取出部80とは、蒸気出口管(第一蒸気出口管81,第二蒸気出口管82)にて連通状態に構成されている。この蒸気出口管81,82の上部管寄せ24側開口部近傍には、バッフル板(第一バッフル板91,第二バッフル板92)が設けられている。すなわち、本実施例においては、上部管寄せ24内の蒸気出口管81,82開口部近傍に、それぞれ一つずつバッフル板(第一バッフル板91,第二バッフル板92)が設けられている。
【0035】
さらに、本実施例にかかるバッフル板91,92は、蒸気出口管81,82を遮蔽可能な大きさに構成され、蒸気出口管81,82の開口部から離間して設けられている。また、このバッフル板91,92は、上部管寄せ24の内面形状に近似した湾曲形状を有している(図3および図4参照)。
【0036】
本実施例にかかるボイラ1は、以上のように構成されており、この構成に基づき、そのボイラ1内部では、次のような燃焼状態が形成される。
【0037】
まず、ガス燃料供給管32から供給されたガス燃料と、送風機30から供給された空気とが、空気供給経路部31中で混合され、ここで混合された予混合ガスがバーナ10に供給される。
【0038】
バーナ10の予混合ガス噴出面10aから噴出された予混合ガスは、着火手段(図示省略)により着火され、バーナ10にて火炎を伴う燃焼反応中のガスFが形成される。予混合ガスは、バーナ10から、缶体20内の水管21,22,23に対して、略垂直となるように(直交するように)噴出されているため、燃焼反応中のガスFは、缶体20内の水管21,22,23と交差するように接触を繰り返して(水管と熱交換を行った後)、排ガスとなる。そして、この排ガスは、缶体20の最下流側に設けられた煙突部40を介して、ボイラ1外部に排出される。
【0039】
また、本実施例においては、中央水管群と外側水管群との間に設けられた第一領域61(図2参照)が、燃焼反応促進領域として機能する。つまり、所定の空間である第一領域61を設けることによって、その空間で燃焼を促進させ、積極的にガス中のCOを酸化させることができる。さらに、本実施例においては、缶体20の最下流側の第二領域71も、燃焼反応促進領域として機能し得る。なお、ここでは特に示していないが、例えば、この第一領域61および第二領域71の少なくとも一方には、より燃焼反応を促進するために、CO酸化触媒物質を設けてもよい。
【0040】
各水管21,22,23中の水は、バーナ10から噴出されたガスとの熱交換によって加熱されて蒸気化される。この蒸気は、上部管寄せ24、蒸気出口管81,82、および蒸気取出部80を介して、蒸気使用設備(図示省略)に供給される。なお、必要に応じて、蒸気取出部80の内部、あるいは蒸気取出部80の下流側にセパレータを設けてもよい。
【0041】
本実施例にかかるボイラ1は、その内部において以上のような燃焼状態が形成され、各水管21,22,23にて構成される水管群(角型水管群)中の水は加熱されて蒸気化されるため、次のような効果を得ることができる。
【0042】
まず、本実施例にかかるボイラ1は、上部管寄せ24と、下部管寄せ25と、上部管寄せ24と下部管寄せ25との間に略垂直な水管群を縦列配置して構成された角型水管群と、角型水管群の側面に設けられたバーナ10とを備えたボイラ1であって、上部管寄せ24に連通した蒸気出口管(第一蒸気出口管81,第二蒸気出口管82)が設けられており、蒸気出口管81,82の開口部近傍にバッフル板(第一バッフル板91,第二バッフル板92)が設けられている。
【0043】
このような構成によれば、バーナ10にて角型水管群内の水が加熱されて蒸気が生成され、蒸気出口管81,82を介して蒸気が取り出される場合、蒸気出口管81,82の開口部近傍にバッフル板91,92が設けられているため、取り出される蒸気の乾き度を高めることができる。より具体的には、角型水管群内の水が加熱されることによって、上部管寄せ24内に飽和水と飽和蒸気との混合流体が噴出されたとしても、蒸気出口管81,82の開口部近傍にバッフル板91,92が設けられているため、この混合流体が直接蒸気出口管81,82に流入することはない。すなわち、混合流体は、蒸気出口管81,82に流入する前にバッフル板91,92に衝突することとなるため、混合流体を構成する液相分が取り除かれ、乾き度の高い蒸気が蒸気出口管81,82を介して取り出されることとなる。
【0044】
また、本実施例にかかるボイラ1においては、バッフル板91,92が、蒸気出口管81,82を遮蔽可能な大きさに構成されており、蒸気出口管81,82の開口部から離間して設けられている。
【0045】
このような構成によれば、バッフル板91,92が蒸気出口管81,82を遮蔽可能な大きさに構成されているため(バッフル板91,92の投影面積が蒸気出口管81,82の開口部面積より大きく形成されているため)、混合流体が直接蒸気出口管81,82に流入することを効果的に防止することができる。また、バッフル板91,92が蒸気出口管81,82の開口部から離間して設けられているため、この隙間から、混合流体から分離した高い乾き度を有する蒸気を、適切に蒸気出口管81,82を介して蒸気取出部80へ送ることができる。
【0046】
さらに、本実施例にかかるボイラ1においては、バッフル板91,92が、水管から噴出された飽和水を再度水管へ戻すように、所定の傾斜角度を有すべく構成されている。
【0047】
このような構成によれば、バッフル板91,92にて分離された混合流体中の飽和水が水管(例えば、バーナ10にて加熱されにくい外側水管21等)に導かれるため、上述した種々の効果に加え、水管過熱を防止することもできる。
【0048】
また、本実施例にかかるボイラ1においては、バッフル板91,92が、上部管寄せ24の内面形状に近似した湾曲形状を有すべく構成されている。
【0049】
このような構成によれば、バッフル板91,92が上部管寄せ24の内面形状に近似した湾曲形状を有しているため、上述した種々の効果に加え、蒸気出口管81,82とバッフル板91,92との間に、蒸気が蒸気出口管81,82に流入する際における適切な流入通路(流入面積)を確保することができる。また、通常、上部管寄せ24の内面形状は、上方凸型形状(例えば、上方が凸型の蒲鉾型形状)であるため、この内面形状に近似した湾曲形状を有するバッフル板91,92とすることによって、バッフル板91,92にて分離された混合流体中の飽和水を水管(例えば、バーナ10にて加熱されにくい外側水管21等)に導き、水管過熱を防止することができる。
【0050】
以上説明したように、本実施例によれば、図1等にて示したバッフル板91,92を設けることによって、水管過熱等のリスクを低減させると共に比較的高い乾き度の蒸気を得ることが可能なボイラ1(角型水管群を備えたボイラ)を得ることができる。
【0051】
なお、本発明は、上述した実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で必要に応じて種々の変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0052】
上記実施例においては、上部管寄せ24と蒸気取出部80とが二つの蒸気出口管81,82にて連通状態となった構成について説明したが、本発明は、この構成に限定されず、一つあるいは三つ以上の蒸気出口管を用いて上部管寄せ24と蒸気取出部80とを連通状態とする構成であってもよい。ただし、どのような構成であっても、各蒸気出口管開口部の近傍には、図1等に示したように、それぞれの蒸気出口管に対応したバッフル板を設ける必要がある。各蒸気出口管開口部近傍に一つずつのバッフル板を設けることによって、先に説明した種々の効果を得ることができる。
【0053】
また、上記実施例においては、バッフル板91,92が上部管寄せ24の内面形状に近似した湾曲形状である場合について説明したが、本発明は、この構成に限定されず、バッフル板形状は、水管から噴出された飽和水を再度水管へ導くべく、所定の傾斜角度を有するのであれば、どのような形状であってもよい。したがって、例えば、蒸気出口管中央部近傍に頂点をおいた山型形状(への字形状)のバッフル板としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施例を適用した蒸気ボイラの縦断面の説明図である。
【図2】図1のII−II線に沿う横断面の説明図である。
【図3】図1に示されたボイラの概略斜視断面図(部分断面図)である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う横断面の説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1…ボイラ
10…バーナ
10a…予混合ガス噴出面
20…缶体
21…外側水管(水管)
22…内側水管(水管)
23…中央水管(水管)
24…上部管寄せ
25…下部管寄せ
26…連結部
27…水管壁
29…ガス流動空間
30…送風機
31…空気供給経路部
32…ガス燃料供給管
33…燃料調整弁
40…煙突部
61…第一領域
71…第二領域
80…蒸気取出部
81…第一蒸気出口管
82…第二蒸気出口管
91…第一バッフル板
92…第二バッフル板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部管寄せと、下部管寄せと、前記上部管寄せと前記下部管寄せとの間に略垂直な水管群を縦列配置して構成された角型水管群と、前記角型水管群の側面に設けられたバーナとを備えたボイラであって、
前記上部管寄せに連通した蒸気出口管が設けられており、前記蒸気出口管の開口部近傍にバッフル板が設けられている
ことを特徴とするボイラ。
【請求項2】
前記バッフル板が、前記蒸気出口管を遮蔽可能な大きさに構成されており、前記蒸気出口管の開口部から離間して設けられている
請求項1に記載のボイラ。
【請求項3】
前記バッフル板が、前記上部管寄せの内面形状に近似した湾曲形状を有する
請求項1または2に記載のボイラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−150608(P2009−150608A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329387(P2007−329387)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)