説明

ボウフラ発生防止具

【課題】近年ウイルス感染症を媒介する蚊の発生が問題になっているが、本発明はボウフラ発生防止に長期に亘って有効な銅板に浮揚材を取り付ける事によってボウフラの発生する雨水マス等の水中に於いて常に垂直に立つ様に工夫されており、銅板の両面が水中に於いて両面とも水に接して接触面積が大になり、底に水平に沈み堆積物などに覆われることが無いのでボウフラを死滅させる銅イオンの発生に効果がある。
【解決手段】ボウフラ発生を防止する銅板に浮揚材を取付け、水中に於いて常に垂直な状能に保持すれば銅板が水平状に底に沈む事もなく堆積物に覆われることがない。又、本発明が雨水ますの排水口より大であれば流失する事もなく長期的にボウフラ退治出来る。
又、雨水流入口より投入出来る大きさであれば簡単に設置できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は舗装道路の側縁部等に埋設されている雨水ますにおいてボウフラが発生するのを防止する手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
舗装道路の両側縁部には、降雨時に路面上の雨水を側溝を経て速やかに下水本管に流し込む為の雨水ますが設置されている。路面上を流れる雨水は雨水ますの蓋に設けた流入口から雨水ますに入り、逐次下水本管に流れ込む仕組みになっている。
【0003】
雨水ますには雨水だけでなくゴミや土砂も入り込む。それらが全て下水本管に流れ込むのを防止する為、雨水ますの排水管の取り付け位置は雨水ますの底よりも10〜20cm程上にあり、流れ込んだ土砂などを一定量までは雨水ますの中に蓄積できるようになっている。蓄積した土砂などは適宜人力により排除する。
【0004】
雨水ますの構造が上述のようなものである事により長期間雨が降らなかった場合を除けば土砂だけでなく雨水も溜まっているのが普通である。
【0005】
近年、道路面を流れ有機物を多量に含んだ雨水が溜まった雨水ますの中で多数のボウフラが発生し、それが羽化した蚊による被害が報告されている。
【0006】
雨水ますは道路の両側に数メートルの間隔で設置されているから都市空間にはかなりの数があり、湿地や水溜りのあまり無い都市部や近郊に蚊の大発生が頻発するようになったのはこのためである。
【0007】
雨水ます中のボウフラ駆除、又は発生防止手段としては次の様なものがある。
▲1▼殺虫剤の水中投入。
▲2▼雨水マスに蚊が入らぬように流入口を防蚊網で覆う。
▲3▼雨水ますの底部を地下浸透式にする。
▲1▼は雨水と共に流失し、効果に持続性が無いから頻繁に実施する必要があり環境汚染の観点からも好ましくない。
▲2▼は路面のゴミや落ち葉により網の目が詰まりやすく豪雨時に路面が冠水することがある。
【実用新案文献1】
登録第3103607号
▲3▼はどの場所でも浸透が期待出来るとは限らないし、浸透水によって形成された地下水脈が成長して空洞になり道路の陥没を招く恐れがある。
【0008】
多くの蚊は人を刺して不快にさせるばかりでなく伝染病を媒介する事もあるからかの発生防止は人の健康維持の観点から重要な課題である。
【非特許文献】厚生労働省 発 健感発第0618002号 平成15年6月18日 付
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上に述べた従来のボウフラ除去機材について薬剤は簡便であるが持続性がなく、防蚊網はゴミや木の葉による目詰まりがあり、地下浸透式は路盤の沈下などの弊害の多いものであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
銅材を水中に入れれば銅イオンの発生によりボウフラが発生しない事は以前から知られた方法であったが、これを確認する為、日本銅センターは(財)日本環境衛生センターに試験を依頼した。その結果は日本銅センターのホームサイトにて公表されており、その効果のある事は周知の事実である。
【0011】
本発明はボウフラの発生防止に有効な市販の工業製品材料の銅板1.5ミリ以下の薄板に浮揚剤を取付ける事により、ボウフラの発生する雨水ます等の水中に於いて常に銅板が垂直状態になり、銅板の両面が雨水の接触有効面積になるようにしたものである。この場合銅板の底部が雨水ますの底に触れても触れなくても良い。
【0012】
浮揚材が無ければ銅板は雨水ますの底に水平に沈む事もあり、銅板の上部が流れ込む土砂などの堆積物に覆われボウフラを死滅させる銅イオンの発生が阻害される。
【0013】
本発明が雨水ますの排水口よりも大であれば流出せず、水中に於いて長期に亘ってボウフラ退治に有効である。
【0014】
本発明の大きさが、雨水ますの雨水流入口より投入できる大きさであれば重い雨水ますの蓋を都度、開け閉めしなくても設置できるので作業量の減少になる。
【実施例】
【0015】
18リッターの雨水槽に本発明(20×30×200mmの樹脂発泡材の浮揚材を付けた0.3×180×200mmの銅板)を入れたものと、入れないものを並べ、蚊の発生時期である6月1日より二ヶ月間、屋外に放置した結果、入れない方にはボウフラなどの水中微細生物の発生が見られたが、本発明品を入れた雨水槽にはボウフラの発生は一匹も見られなかった。
【発明の効果】
【0016】
本発明は単純な構造であるため簡単に製造が出来、簡単に設置も出来る。また比較的廉価に出来るので前述の様に舗装道路の脇にあまりにも数多くある雨水ますなどに設置するには極めて適切である。また、投入しても殺虫剤のような環境汚染の心配もない。近年。西ナイル熱や鳥インフルエンザ等の感染症を媒介する蚊の発生が世界的に問題になっているが本発明はこれ等の問題を解決する環境対策製品として極めて有用と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明実施と側面断面図である。
【図2】本発明を道路脇の雨水マスに投入した例である
【符号の説明】
【0018】
1:浮揚材 2:銅板
3:雨水マス開口部 4:雨水マス蓋 5:浮揚材つき銅板
6:雨水マス 7:流出口 8:雨水溜まり

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汎用銅板の厚さ1.5ミリ以下の薄板の一片に浮揚材を取り付け、水中にて銅板が垂直に保持出来るボウフラ発生防止具。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−38578(P2008−38578A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−239518(P2006−239518)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000194848)
【Fターム(参考)】