説明

ボタン電話装置のシャットダウン方法およびシステム

【課題】ボタン電話装置の電源を予め決められたスケジュールに基づいて自動的にシャットダウンして省電力化するボタン電話装置のシャットダウン方法およびシステムを提供する。
【解決手段】ボタン電話装置(PBX)10のPBX制御部12は、PBX電源コントロール部121、時計部122、タイマ部123、専用(特定)電話機制御部124、演算部125および情報記憶部126を備えている。操作者は、専用電話機20の表示部(LCD)21に表示されるシャットダウンメニューに基づいて所定のキー22を押下することにより、ボタン電話装置10の自動的シャットダウンを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボタン電話装置(PBX)に関し、特にボタン電話装置の電源を遮断するシャットダウン方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ボタン電話装置は、家庭やオフィス等で広く使用される固定電話機である。テンキーを含む複数のボタン又はキーを備え、ユーザがこれらのボタンを押下することにより、それぞれのキーに割り当てられたパルス信号が電話回線を介して送出され、相手電話機への接続要求等を行う。テンキー以外に複数のキーを備え、ダイヤル式電話機では不可能な切符の予約、スケジュール管理およびその他の機能を有する。
【0003】
ボタン電話機に関する従来技術は、いくつかの技術文献に開示されている。例えば、ボタン電話機の使用者のスケジュールをボタン電話主装置へ送信記憶して、外部からの呼(着信)があった際に、不在の被呼者に対して迅速に対応するボタン電話装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】実開平5−21550号公報(第1頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ボタン電話装置、特にオフィス等で使用されるボタン電話装置は、オフィスの営業時間外や休日にはシャットダウン、即ち電源を遮断して省電力化を図るのが好ましい。従来のボタン電話装置では、使用者が手動により電源スイッチ(ボタン)を操作してシャットダウンしているが、斯かる操作は不便であると共に使用者がシャットダウン操作を忘れる場合もあり得るので、利便性に欠けるという課題があった。
【0006】
本発明は、従来技術の上述した課題に鑑みなされたものであり、斯かる課題を克服又は軽減可能にするボタン電話装置のシャットダウン方法およびシステムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するため、本発明によるボタン電話装置のシャットダウン方法およびシステムは、次のような特徴的な構成を採用している。
【0008】
(1)内線インタフェース部を介して特定電話機が接続されるボタン電話装置の電源を所望時にシャットダウンするボタン電話装置のシャットダウン方法において、
前記特定電話機の表示部にシャットダウンメニューを表示し、該表示に基づいて操作者が前記特定電話機のキーを操作してシャットダウン内容を決定し、該決定されたシャットダウン内容に基づいて前記ボタン電話装置の電源を自動的にシャットダウンするボタン電話装置のシャットダウン方法。
(2)前記シャットダウン内容を、前記シャットダウンの実行前に前記表示部に表示して操作者が確認可能にする上記(1)のボタン電話装置のシャットダウン方法。
(3)前記シャットダウンは、タイマ又は日付時刻設定によるシャットダウンスケジュールにより選択的に設定可能である上記(1)又は(2)のボタン電話装置のシャットダウン方法。
(4)前記シャットダウンスケジュールは、1回毎、週毎又は月毎に選択して設定可能である上記(3)のボタン電話装置のシャットダウン方法。
(5)前記シャットダウンを設定する特定電話機は、予め識別番号等により指定可能である上記(1)、(2)、(3)又は(4)のボタン電話装置のシャットダウン方法。
(6)ボタン電話装置(PBX)および該ボタン電話装置の内線インタフェース部を介して接続された特定電話機を備えるボタン電話装置のシャットダウンシステムにおいて、
前記ボタン電話装置は、PBX制御部および前記ボタン電話装置の各部へ動作電源を供給する電源部を備え、前記特定電話機から前記内線インタフェース部を介して前記PBX制御部へ送信されるシャットダウン情報に基づき前記電源をシャットダウンするボタン電話装置のシャットダウンシステム。
(7)前記PBX制御部は、前記電源を制御する電源コントロール部、時間を管理する時計部、経過時間を管理するタイマ部、前記シャットダウンを制御する特定電話機を識別する特定電話機制御部、各種演算を行う演算部および各種情報を記憶保持する情報記憶部を備える上記(6)のボタン電話装置のシャットダウンシステム。
【発明の効果】
【0009】
本発明のボタン電話装置のシャットダウン方法およびシステムによると、次の如き実用上の顕著な効果が得られる。即ち、予め選択された特定電話機によりボタン電話装置をタイマ又は予め決められたシャットダウンスケジュールに基づいてシャットダウンすることが可能であるので、従来の不便が解消されると共に確実にシャットダウンが可能である。また、シャットダウンは、特定電話機のLCD等の表示部に表示されるシャットダウンメニューに基づいて、操作者が簡単に選択設定可能である。また、シャットダウンスケジュールは、1回毎のみならず、週毎又は月毎に設定可能であるので、容易且つ迅速な操作が可能である。
【実施例】
【0010】
以下、本発明によるボタン電話装置のシャットダウン方法およびシステムの好適実施例の構成および動作を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明によるボタン電話装置のシャットダウンシステムの好適実施例の構成を示す機能ブロック図である。このボタン電話装置のシャットダウンシステムは、PBX(ボタン電話装置又は主装置)10および内線である複数の専用(特定)電話機(KT)20a〜20n(以下、専用電話機を総称するときは、参照符合20を使用する)により構成されている。
【0012】
ボタン電話装置(PBX)10は、内線I/F(インタフェース)11、PBX制御部12およびボタン電話装置10の各部の電子回路に動作電源を供給する電源(POW)部13を含んでいる。更に、PBX制御部12は、電源部13を制御する電源コントロール部121、時間を管理する時計部122、経過又は持続時間を管理するタイマ部123、シャットダウン操作する専用電話機を特定する専用電話機制御部124、各種演算処理を行う演算部125および入力又は送信される各種情報(データ)を記憶保持する情報記憶部126を有する。また、電源部13は、スイッチ132を含む電源制御部131を有する。専用電話機20は、表示部(以下、LCD(液晶表示装置)という)21、複数のキー22および送受話器23を有する。
【0013】
次に、図1に示す本発明によるボタン電話装置の動作、特にシャットダウン動作を簡単に説明する。先ず、専用電話機KT20が備えるLCD21にシャットダウンメニューを表示させる。そして、操作者は、このLCD21の表示を見ながら操作を行う。操作を行った結果の情報は、PBX制御部12へ送られ、そこで処理される。この処理結果は、電源(POW)制御部131に送られ、電源制御部131のスイッチ制御部132によりシャットダウンを行う。
【0014】
ここで、LCD21に表示されたメニューの操作は、主に専用電話機20のボタン22で行う。LCD21の表示画面に収まらない場合には、必要に応じてLCD21の横に設けられた(図示せず)上下のスクロールボタンにより操作する。詳細は、図3に示すLCD表示例を参照して後述する。
【0015】
タイマや日付時刻設定によるシャットダウン機能を使用する際には、PBX制御部12の時計部122、タイマ部123および演算部125で処理し、この処理結果の情報を電源制御部13へ送る。先ず、タイマによるシャットダウン方法について説明する。タイマによるシャットダウンは、専用電話機20からキー22を操作してタイマ時間を入力する。そして、入力したデータおよび時計部122のデータを演算部125で比較し、タイマ部123へ情報を登録し、カウントダウンを行う。指定時間が経過したら、電源コントロール部121へシャットダウン命令を出して、ボタン電話装置10のシャットダウンを行う。
【0016】
次に、日付時刻設定によるシャットダウン方法について説明する。専用電話機20で設定したスケジュールデータを情報記憶部126に記憶する。そして、演算部125で時計部122と情報記憶部126のスケジュールデータを比較する。これらの値が一致したら、電源コントロール部121へシャットダウン命令を出し、ボタン電話装置10のシャットダウンを行う。また、セキュリティを考慮して、PBX制御部12に専用電話機制御部124を搭載する。これにより、専用電話機20毎にシャットダウンを行うか否かが設定できる。先ず、ボタン電話装置10に接続されている専用電話機20に重複しないID(識別情報)を割り付ける。これは、ボタン電話装置10の初期立ち上げおよび専用電話機20の接続後に割り付けを行う。
【0017】
次に、シャットダウン操作を行える専用電話機20を設定する。設定された専用電話機20のID情報を情報記憶部126へ登録する。この情報により、専用電話機20毎にシャットダウン操作が行えるか否かの判断を行う。専用電話機20からシャットダウンメニューを開くとき、専用電話制御部124が情報記憶部126に登録された専用電話機20のID情報を読み込む。シャットダウン操作可能な専用電話機20のIDであれば、引き続きシャットダウンの操作を実行させる。設定されていない専用電話機IDからの操作があった場合には、『この電話機からは設定出来ません』とLCD21に表示し、操作を終了する。
【0018】
次に、図2のフローチャートを参照して、図1に示すボタン電話装置のシャットダウン装置の動作を詳細に説明する。先ず、専用電話機(KT)20のLCD21にシャットダウンメニューを開く(ステップA1)。そして、操作者にシャットダウンを行うか否かを選択させる(ステップA2)。シャットダウンを行わない場合(ステップA2:NO)には、動作を終了する(ステップA8)。一方、シャットダウンを行なう場合(ステップA2:YES)には、上述したタイマ又は日付時刻設定を行うか否か選択させる(ステップA3)。設定する場合(ステップA3:YES)には、使用者は、専用電話機20からキー22を押下してタイマ又は日付時刻を入力する(ステップA4)。これらの情報を入力した後又はタイマ又は日付時刻設定しない場合(ステップA3:NO)には、入力した又は既に設定済みの内容をLCD21に表示する(ステップA5)。
【0019】
次に、設定したデータを実行してよいか否か、操作者の意向を確認する(ステップA6)。実行してよい場合(ステップA6:YES)には、専用電話機20からPBX制御部12へ設定データを送信し(ステップA7)、処理を終了する(ステップA8)。他方、設定データを実行しない場合(ステップA6:NO)には、上述したステップA1へ戻る。
【0020】
次に、図3を参照して、シャットダウンメニューによる専用電話機20のLCD21の表示例を示す。先ず、『シャットダウンを行いますか?』のメッセージが表示される(ステップB1)。操作者は、専用電話機20のキー22により、シャットダウンを行う場合には「1」を、行わない(又はシャットダウン動作をキャンセルする)場合には「0」を入力する。ステップB1において「0」を入力するとシャットダウンは行わないが、「1」を入力してシャットダウンを行う場合には、『時刻設定しますか?』がLCD21に表示される。時刻設定する場合には「1」を入力し、キャンセルする場合には「0」を入力し、今すぐシャットダウンする場合には「3」を入力する。
【0021】
ステップB2のLCD表示時に「3」を入力して操作者が今すぐシャットダウンを選択すると、LCD21に『実行してもよろしいですか?』が表示される(ステップB3)。実行する場合には「1」を、キャンセルの場合には「0」を、内容確認の場合には「3」を入力する。他方、ステップB2のLCD表示時に「1」を選択して時刻設定を選択すると、『設定種類を選択してください。』のメッセージがLCD21に表示される(ステップB4)。
【0022】
ステップB4において、タイマの選択には「1」、キャンセルには「0」、スケジュールには「3」を入力する。「0」を入力すると、処理は終了し、「3」を入力すると、図4を参照して後述するスケジュールが行われる。一方、「1」を入力してタイマを選択すると、『何分後に実行しますか?数字で入力してください。』のメッセージがLCD21に表示される。そこで、操作者は、専用電話機20のキー22を押下して希望する数字を入力してタイマを設定する。この入力した時間、その他の設定内容は、LCD21に表示されるので、操作者は、自分が入力したタイマ設定時間を確認可能である(ステップB6)。
【0023】
次に、図4を参照して、上述したスケジュールの方法について説明する。先ず、専用電話機20のLCD21には、『次から種類を選択してください。』として選択肢が表示される(ステップC1)。例えば、1回のみは「1」、毎週は「2」、毎月は「3」、キャンセルは「0」を入力する。
【0024】
上述したステップC1のLCD表示の選択肢から「1」を選択すると、『日付を数字入力してください。』のメッセージがLCD21に表示される。そこで、操作者は、適当なキー22を押下することにより、年月日を選択・入力することが可能である。即ち、このモードにより、操作者は、希望する年月日毎にボタン電話装置10のシャットダウンする日を設定する。これらの年月日は、例えばカレンダーの祝祭日および会社等の創立記念日、夏期休暇日等の特定の日である。
【0025】
また、「2」を選択すると、ボタン電話装置10をシャットダウンしたい特定の曜日が選択可能である。ここで、例えば、日曜日は「1」、月曜日は「2」、火曜日は「3」、水曜日は「4」、木曜日は「5」、金曜日は「6」および土曜日は「7」である。これにより、ボタン電話装置10をシャットダウンする曜日が、例えば毎週土曜日と日曜日の週末、又は毎週水曜日と木曜日の如く決まっている場合には、上述した1回毎の入力よりも迅速にスケジュールの入力が可能である。一方、「3」を選択すると、例えば毎月15日にシャットダウンしたい場合には、このモードを選択するとスケジュールを簡単に行うことが可能である。
【0026】
最後に、『時間を入力して下さい。』のメッセージが表示される(ステップC5)。これにより、操作者は、選択された日の1日中(即ち、24時間)又は特定の時間帯(例えば、17:00から24:00)を選択することが可能である。
【0027】
尚、シャットダウン後は、ボタン電話装置10に停電電話機や留守番機能を追加することにより、外部からの着信を音声メッセージで応答可能、停電電話機で臨時発信および着信可能とどのような状況でも柔軟に対応できるシステムとすることが可能である。また、ボタン電話装置10のスケジューリング機能を利用して、電源投入する機能を搭載することにより、予め決められた時間に自動的にボタン電話装置10の電源を投入することも可能となる。その結果、操作者の手間暇を省け、円滑な業務が行えるシステムが実現可能である。
【0028】
以上、本発明の好適実施例の構成および動作を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であること、当業者には容易に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明によるボタン電話装置のシャットダウンシステムの好適実施例の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示すボタン電話装置のシャットダウンシステムの全体動作を説明するフローチャートである。
【図3】図1に示すボタン電話装置のシャットダウンシステムのシャットダウン時の専用電話機のLCD表示例である。
【図4】図1に示すボタン電話装置のシャットダウンシステムのスケジュール設定時の専用電話機のLCD表示例である。
【符号の説明】
【0030】
10 ボタン電話装置(PBX)
11 内線インタフェース(I/F)部
12 PBX制御部
13 電源(POW)部
20 専用電話機
21 表示部(LCD)
22 キー
121 電源コントロール部
122 時計部
123 タイマ部
124 専用電話機制御部
125 演算部
126 情報記憶部
131 電源制御部
132 スイッチ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内線インタフェース部を介して特定電話機が接続されるボタン電話装置の電源を所望時にシャットダウンするボタン電話装置のシャットダウン方法において、
前記特定電話機の表示部にシャットダウンメニューを表示し、該表示に基づいて操作者が前記特定電話機のキーを操作してシャットダウン内容を決定し、該決定されたシャットダウン内容に基づいて前記ボタン電話装置の電源を自動的にシャットダウンすることを特徴とするボタン電話装置のシャットダウン方法。
【請求項2】
前記シャットダウン内容を、前記シャットダウンの実行前に前記表示部に表示して操作者が確認可能にすることを特徴とする請求項1に記載のボタン電話装置のシャットダウン方法。
【請求項3】
前記シャットダウンは、タイマ又は日付時刻設定によるシャットダウンスケジュールにより選択的に設定可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のボタン電話装置のシャットダウン方法。
【請求項4】
前記シャットダウンスケジュールは、1回毎、週毎又は月毎に選択して設定可能であることを特徴とする請求項3に記載のボタン電話装置のシャットダウン方法。
【請求項5】
前記シャットダウンを設定する特定電話機は、予め識別番号等により指定可能であることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載のボタン電話装置のシャットダウン方法。
【請求項6】
ボタン電話装置(PBX)および該ボタン電話装置の内線インタフェース部を介して接続された特定電話機を備えるボタン電話装置のシャットダウンシステムにおいて、
前記ボタン電話装置は、PBX制御部および前記ボタン電話装置の各部へ動作電源を供給する電源部を備え、前記特定電話機から前記内線インタフェース部を介して前記PBX制御部へ送信されるシャットダウン情報に基づき前記電源をシャットダウンすることを特徴とするボタン電話装置のシャットダウンシステム。
【請求項7】
前記PBX制御部は、前記電源を制御する電源コントロール部、時間を管理する時計部、経過時間を管理するタイマ部、前記シャットダウンを制御する特定電話機を識別する特定電話機制御部、各種演算を行う演算部および各種情報を記憶保持する情報記憶部を備えることを特徴とする請求項6に記載のボタン電話装置のシャットダウンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−211293(P2006−211293A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20562(P2005−20562)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】