説明

ボックス型パレットおよびボックス型パレットにおける物品の収容方法

【課題】例えば、鋼により堅牢に形成されたボックス型パレットにおける物品の収容方法において、ボックス内での結露の発生を防止し、さらには側壁あるいは底壁などの腐食を防止することができるボックス型パレットおよびボックス型パレットにおける物品の収容方法を提供する。
【解決手段】フォークの爪が挿入される水平方向の開口10が形成された底壁4と、該底壁4から立設された四側壁6,6,8,8とにより一方面が開口して形成されたボックス本体の内部に被収容物を収容するにあたり、前記前記ボックス本体の少なくとも前記四側壁6、6,8,8の内面に沿うように水分吸着体20,20を差し込むとともに、この水分吸着体20により前記ボックス本体内に存在する水分あるいは前記被収容物に付着された水滴などを吸着することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動車用ゴム部品等の原料とされる生ゴム(エチレンプロピレンゴム(EPR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)等)は、例えば、1つのブロックの重さが840キログラム程度の重さに製造されている。このような大重量の原料は、度重なる積み込み、積み下ろし作業が困難であることから、例えば、特許文献1に開示されているようなボックス型パレットと称される大型のコンテナ内に収容され、コンテナごと搬送されるのが一般的である。
【0002】
このようなボックス型パレットは、内部に風雨、塵埃などが浸入してしまうことを防止することから、開口部が蓋体により封止され、この状態で多段に積層され保管されている。
【特許文献1】特開平6−144473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、この大型のボックス型パレットは、堅牢な構造が要求されることから、フォークの爪が入る台座部分およびこの台座の上に構成される箱体部分の全てが、例えば鋼により形成されている。よって、本体は熱伝導率が高く、直ぐに冷却され易い。そのため、このようなボックス型パレットを用いて温暖多湿な気候条件で積荷をしたり、あるいは寒冷な気候条件で荷降ろしを行った場合には、内部の水分が結露してしまうという問題がある。すると、被収容物によっては結露により品質を損ねてしまう。
【0004】
また、被収容物として生ゴムなどを収容した場合には、製造工程上、ベールと称されるブロックの表面に、重量比で0.1%〜0.7%程度の水分が付着しているため、この水分を起因として結露が発生し、製品の外観を損ねてしまうという問題があった。
【0005】
さらに、ボックス内で結露が発生した場合には、鋼からなる側壁あるいは底壁等が腐食してしまう。
本発明は、このような実情に鑑み、例えば、鋼により堅牢に形成されたボックス型パレットにおける物品の収容方法において、ボックス内での結露の発生を防止し、さらには側壁あるいは底壁などの腐食を可及的に防止することができるボックス型パレットおよびボックス型パレットにおける物品の収容方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係るボックス型パレットは、
フォークの爪が挿入される水平方向の開口が形成された底壁と、該底壁から立設された四側壁とにより一方面が開口して形成されたボックス本体と、
前記前記ボックス本体の内面に沿うように装着される水分吸着体と、を備えたことを特徴としている。
このようなボックス型パレットであれば、ボックス本体の内部に存在する水分を、水分吸着体により吸着することができる。
ここで、前記水分吸着体が、シート状のダンボール紙であることが好ましい。
【0007】
このように水分吸着体がダンボール紙であれば、安価であるとともに取扱いが容易であり、必要に応じて適宜な大きさに調整して使用することが可能である。
また、本発明に係るボックス型パレットにおける物品の収容方法は、
フォークの爪が挿入される水平方向の開口が形成された底壁と、該底壁から立設された
四側壁とにより一方面が開口して形成されたボックス本体の内部に被収容物を収容するにあたり、
前記前記ボックス本体の少なくとも前記四側壁の内面に沿うように水分吸着体を差し込むとともに、この水分吸着体により前記ボックス本体内に存在する水分あるいは前記被収容物に付着された水滴などを吸着させることを特徴としている。
【0008】
このような本発明によれば、ボックス内の水分が水分吸着体により除去されるので、結露の発生を可及的に防止することができる。
ここで、前記水分吸着体は、前記四側壁の一つの側壁とこの側壁に隣接する他の一つの側壁に対向するように、平面視において略L字状に形成されており、この略L字状の水分吸着体を2つ組み合せることにより、前記ボックス本体の周囲四側壁の内面に配置することが好ましい。
【0009】
このような構成であれば、容易な作業で水分の除去を効果的に行うことができる。
また、本発明では、前記収容体と前記側壁との間に、前記水分吸着体の倒れ込みを防止する嵌合片を着脱自在に取り付けることが好ましい。
このような構成であれば、水分吸着体が倒れてしまうことがない。
【0010】
さらに、本発明では、前記ボックス本体の底壁上面に、シート状の水分吸着体を装着することが好ましい。
このような構成によれば、底壁に滴下してきた水分を除去することができる。
【0011】
また、本発明では、前記水分吸着体は、前記ボックス本体の内部に収容された被収容物を格子状に分割するように差し渡しても良い。
また、被収容物の上面に層状に又は最上面のみに水分吸着体を装着しても良い。
【0012】
このような構成であれば、被収容物を少しづつに仕切ってその水分を除去することができる。
さらに、前記水分吸着体は、紙製の板であっても良い。
【0013】
このような構成であれば、水分吸着体が安価である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るボックス型パレットによれば、ボックス本体内に水分が存在するとしても、その水分をダンボール紙などからなる水分吸着体で吸着することができるので、結露の発生を防止することができる。
【0015】
本発明に係るボックス型パレットにおける物品の収容方法によれば、ボックス本体の内面に沿うように装着された水分吸着体によりボックス内の水分を積極的に吸着するようにしているので、結露の発生を可及的に防止することができるとともに、この結露の発生に起因して被収容物の外観を損ねてしまうこともない。加えて側壁、底壁などの腐食の発生も防止することができる。また、ダンボール紙などからなる略L字状の水分吸着体を2つ組み合せることにより、ボックス本体の周囲四側壁の内面、底面及び上面の全てを覆えば、水分を吸着する上で効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るボックス型パレットにおける物品の収容方法について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施例による物品の収容方法で採用されたボックス型パレット2を示したものである。なお、このボックス型パレット2内に収容あるいは保管される被収容物
Mは、例えば、自動車部品等の原料となる生ゴム(エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム等)である。
【0017】
例えば、この生ゴムM(エチレンプロピレンゴム)は、840キログラム程度の重さであり、全重量の0.1〜0.7%程度の水分が表面などに付着されている。
一方、ボックス型パレット2は、例えば、底壁4と、この底壁4から立設された一対の長側壁6,6と一対の短側壁8,8とから構成され、底壁4には、長辺あるいは短辺のどちらからでもフォークの爪が入るように、開口10,10が形成されている。また、ボックス本体の上部は開口して形成されている。
【0018】
長側壁6あるいは短側壁8の外側部表面には、コーナーポスト12の他、補強用の中間ポスト14が所定間隔置きに設置されている。
このように形成されたボックス型パレット2に、ベール状の多数の生ゴムMを収容することを考慮する。その場合、図2に示したように、先ず、平面視で略L字状の水分吸着体20が一組用意される。この水分吸着体20は、例えば、ダンボール紙などから形成されたもので、その長辺と短辺の長さは、ボックス型パレット2の長側壁6あるいは短側壁8の長さに対応している。このような水分吸着体20が用意されたら、この吸着体20がボックス本体2の側壁6,8の内面に沿って配置される。そして、吸着体20が装着された状態から生ゴムMのブロックが順次投入される。なお、実施例では、生ゴムMを直方体形状で示したが、生ゴムMの形状は、何ら限定されるものではなく、球、楕円、塊状など不規則な断面形状であっても良い。なお、生ゴムMを投入した後に、水分吸着体20を差し込むようにしても良い。また、水分吸着体20を差し込んだ後、例えば図2に示したような断面コ字状の嵌合片22を、水分吸着体20と側壁6あるいは側壁8との間に着脱自在に取り付けても良い。このように嵌合片22を装着することにより、水分吸着体20を確実に側壁6,8に沿わせることができる。
ボックス本体内に生ゴムMを順次投入し、所定量になったら、ボックス本体の開口部に図示しない蓋体が被着される。この蓋体は、ボックス本体の上部開口を覆う形状であることが好ましいが、開口の内寸に合わせて内蓋の如く配置されても良い。また、場合によっては紙製の蓋体を採用することもできる。このようにしてボックス本体に蓋体を被着すれば、このままの状態に一時的に保管したとしても、塵埃などの浸入を防止することができる。また、蓋体は必須のものではなく、何個かのボックス型パレット2を多段に積層した後、最上部のボックス型パレット2に金属製の蓋体を装着しても良い。いずれにしても、ボックス型パレットの内部に水分吸着体20を配置することにより、生ゴム20に付着した水分がこの水分吸着体20により積極的に吸着されるので、結露の発生を防止することができる。また、水分吸着体20を配置することにより、生ゴムMに付着した水分がボックス型パレット2内で結露してしまうこともない。よって、製品の外観を損ねることもない。また、結露による鋼製の底壁4あるいは長側壁6、短側壁8などの腐食を防止できる。
【0019】
以上、本発明の一実施例によるボックス型パレットにおける物品の収容方法について説明したが、本発明は種々の変更が可能である。
例えば、上記実施例では、平面視L字状の水分吸着体20を例示したが、この水分吸着体20は平面視L字状に限定されず、一枚物の板材を4つ用意し、これらを長側壁6あるいは短側壁8に沿わせて配置してもよい。又、分割されず、四側壁と底面等を一体に配置しても良い。あるいは、水分吸着体20を内部空間に格子状に配置しながら、その枠の内部に物品Mを収容しても良い。さらには、水平方向に配置しても良く、多数に分散された水分吸着体であっても良い。要は、内部の水分を確実かつ効果的に吸収させるのであれば、水分吸着体20は、どのような形状であっても良い。また、生ゴムMの投入の前に、壁面4の上に水分吸着体20を載置すれば、底壁4の上面に滴下してくる水分を吸収することができる。さらに、水分吸着体は、ダンボール紙の紙製が最も安価であるが、シリカゲ
ルの吸着剤を含有したダンボール紙などを使用することもできる。
【0020】
また、上記実施例では、側壁6,8を底壁4に一体的に形成した例を示したが、側壁6,8を底壁4に対し、着脱自在な構造であっても良い。側壁6,8が着脱自在であれば、例えば、ボックス型パレットによる運搬後に、そのパレットを分解して持ち帰ることができる。
【0021】
このように、本発明によれば、ボックス型パレットの内部での結露の発生を防止することができるので、製品の見た目を悪くすることがないのは勿論のこと、側壁6,8、底壁4などの腐食を防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は本発明の一実施例に係る物品の収容方法が実施されるボックス型パレットの概略斜視図である。
【図2】図2は本発明の一実施例で採用された水分吸着体の概略図である。
【符号の説明】
【0023】
2 ボックス型パレット
4 側壁
6 長側壁
8 短側壁
10 開口
20 水分吸着体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークの爪が挿入される水平方向の開口が形成された底壁と、該底壁から立設された四側壁とにより一方面が開口して形成されたボックス本体と、
前記前記ボックス本体の内面に沿うように装着される水分吸着体と、を備えたことを特徴とするボックス型パレット。
【請求項2】
前記水分吸着体が、シート状のダンボール紙であることを特徴とする請求項1に記載のボックス型パレット。
【請求項3】
フォークの爪が挿入される水平方向の開口が形成された底壁と、該底壁から立設された四側壁とにより一方面が開口して形成されたボックス本体の内部に被収容物を収容するにあたり、
前記前記ボックス本体の少なくとも前記四側壁の内面に沿うように水分吸着体を差し込むとともに、この水分吸着体により前記ボックス本体内に存在する水分あるいは前記被収容物に付着された水滴などを吸着させることを特徴とするボックス型パレットにおける物品の収容方法。
【請求項4】
前記水分吸着体は、前記四側壁の一つの側壁とこの側壁に隣接する他の一つの側壁に対向するように、平面視において略L字状に形成されており、この略L字状の水分吸着体を2つ組み合せることにより、前記ボックス本体の周囲四側壁の内面に配置することを特徴とする請求項3に記載のボックス型パレットにおける物品の収容方法。
【請求項5】
前記収容体と前記側壁との間に、前記水分吸着体の倒れ込みを防止する嵌合片を着脱自在に取り付けたことを特徴とする請求項3または4に記載の物品の収容方法。
【請求項6】
前記ボックス本体の底壁上面に、シート状の水分吸着体を装着することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の物品の収容方法。
【請求項7】
前記水分吸着体は、前記ボックス本体の内部に収容された被収容物を格子状に分割するように差し渡すことを特徴とする請求項3に記載のボックス型パレットにおける物品の収容方法。
【請求項8】
前記水分吸着体は、紙製の板であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1つに記載のボックス型パレットにおける物品の収容方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−331778(P2007−331778A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163948(P2006−163948)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】