説明

ボトル

【課題】ボトルを薄肉にしても、胴部の下側連設部の変形により外観不良が生じ易くなるのを抑える。
【解決手段】合成樹脂材料で有底筒状に形成されたボトル1であって、その胴部13に、ボトル径方向の内側に向けて窪むウエスト部15が全周にわたって形成され、胴部13においてウエスト部15に下側から連なる下側連設部20には、ボトル軸O方向に沿って延びるストレート部21が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、合成樹脂材料で有底筒状に形成されるとともに、その胴部に、ボトル径方向の内側に向けて窪むウエスト部が全周にわたって形成されたボトルが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7−16581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のボトルでは、例えば軽量化等を図るために薄肉にすると、胴部においてウエスト部に下側から連なる下側連設部が、加えられたボトル径方向の圧縮力によって、例えば窪んだまま復元変形しない等、外観不良が生じ易くなるおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、薄肉にしても、胴部の下側連設部の変形により外観不良が生じ易くなるのを抑えることができるボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のボトルは、合成樹脂材料で有底筒状に形成されたボトルであって、その胴部に、ボトル径方向の内側に向けて窪むウエスト部が全周にわたって形成され、前記胴部においてウエスト部に下側から連なる下側連設部には、ボトル軸方向に沿って延びるストレート部が備えられていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、胴部の下側連設部にストレート部が備えられているので、この下側連設部に加えられたボトル径方向の圧縮力をボトル軸方向に分散させ易くすることが可能になる。したがって、下側連設部がボトル径方向の内側に窪んでも復元変形させ易くすることができる。これにより、ボトルを薄肉にしても、胴部の下側連設部の変形により外観不良が生じ易くなるのを抑えることができる。
さらに、前記下側連設部にストレート部が備えられていることから、ボトルに加えられたボトル軸方向の圧縮力をストレート部に受けさせることで全周にわたって均等に分散させることが可能になり、前記下側連設部がボトル軸方向に潰れることを抑えて、ボトルの座屈強度を向上させることもできる。
【0008】
ここで、前記下側連設部において、前記ウエスト部に接続された上接続部は、下側に向かうに従い漸次拡径された凸曲面状に形成され、前記ストレート部は、前記上接続部の下端に接続されてもよい。
【0009】
この場合、下側連設部のストレート部と、ウエスト部と、が凸曲面状に形成された下側連設部の上接続部を介して接続されているので、ストレート部とウエスト部とを滑らかに接続することで両者間に局所的に大きな負荷が集中する部分が生ずるのを防ぐことができるとともに、下側連設部に加えられたボトル径方向の圧縮力を、ストレート部を介して上接続部にも伝え易くすることが可能になり、前述の作用効果がより一層確実に奏功される。
【0010】
また、前記ストレート部は、該ボトルの最大外径部分となってもよい。
【0011】
この場合、前記ストレート部が、ボトルの最大外径部分となっていて、ボトル径方向の圧縮力を受け易い部分となっているので、前述の作用効果が有効に奏功される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ボトルを薄肉にしても、胴部の下側連設部の変形により外観不良が生じ易くなるのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る一実施形態として示したボトルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態に係るボトル1は、図1に示されるように、口部11、肩部12、胴部13および底部14を備え、これら11〜14が、それぞれの中心軸線を共通軸上に位置させた状態で、この順に連設された概略構成となっている。
以下、前記共通軸をボトル軸Oといい、ボトル軸O方向に沿って口部11側を上側、底部14側を下側といい、また、ボトル軸Oに直交する方向をボトル径方向といい、ボトル軸Oを中心に周回する方向をボトル周方向という。
なお、このボトル1は、例えば二軸延伸ブロー成形等によりポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂材料で一体に形成されている。また、口部11には、図示されないキャップが装着される。さらに、口部11、肩部12、胴部13および底部14はそれぞれ、ボトル軸Oに直交する横断面視形状が円形状となっている。
【0015】
胴部13には、ボトル径方向の内側に向けて窪むウエスト部15が全周にわたって形成されている。本実施形態では、ウエスト部15は、胴部13におけるボトル軸O方向の中央部分に配設されている。
胴部13においてウエスト部15の上側に位置する上側胴部13aには、ボトル径方向の内側に向けて窪むパネル面部16が、ボトル周方向に間隔をあけて複数形成されている。図示の例では、各パネル面部16は、ボトル1の側面視でボトル軸O方向に長い長方形状に形成されている。
胴部13においてウエスト部15の下側に位置する下側胴部13bには、ボトル径方向の内側に向けて窪みかつ全周にわたって延びる環状溝17が、ボトル軸O方向に間隔をあけて複数形成されている。各環状溝17は、ウエスト部15と比べて、ボトル軸O方向の大きさが小さく、かつボトル径方向の内側に向けた窪み量が小さくなっている。
【0016】
胴部13においてウエスト部15に上側から連なる上側連設部18は、ボトル径方向の外側に向けて膨出した凸曲面状に形成されている。図示の例では、上側連設部18の曲率半径は、ウエスト部15の曲率半径よりも小さくなっている。
そして本実施形態では、胴部13においてウエスト部15に下側から連なる下側連設部20に、ボトル軸O方向に沿って延びるストレート部21が備えられている。図示の例では、下側連設部20において、ウエスト部15に接続された上接続部22は、下側に向かうに従い漸次拡径された凸曲面状に形成され、ストレート部21は、上接続部22の下端に接続されている。また、ストレート部21の下端は、下側胴部13bに形成された複数の環状溝17のうち、最も上に位置する環状溝17の上端に接続されている。これによって、下側連設部20は、2つの凹溝(ウエスト部15および環状溝17)により容器軸O方向に挟まれ、かつボトル径方向の外側に膨出する環状リブ形状をなしている。
【0017】
上接続部22の曲率半径は、ウエスト部15の曲率半径よりも大きくなっている。さらに、上接続部22のボトル軸O方向の大きさは、ストレート部21および上側連設部18それぞれのボトル軸O方向の大きさよりも大きくなっている。また、上接続部22の下部およびストレート部21それぞれの外径は、上側連設部18の外径以上となっている。
但し、下側連設部20(ストレート部21)の外径を、上側連設部18の外径より大きくすることが、ボトル1の外観不良を抑制させるためには好ましい。
さらに本実施形態では、胴部13の下側胴部13bにおいて環状溝17の非形成部分、およびストレート部21それぞれの外径は互いに同等とされ、これらの前記非形成部分およびストレート部21は、このボトル1において最も外径が大きい最大外径部分となっている。
【0018】
以上説明したように、本実施形態によるボトル1によれば、胴部13の下側連設部20にストレート部21が備えられているので、この下側連設部20に加えられたボトル径方向の圧縮力をボトル軸O方向に分散させ易くすることが可能になる。したがって、下側連設部20がボトル径方向の内側に窪んでも復元変形させ易くすることができる。これにより、ボトル1を薄肉にしても、胴部13の下側連設部20の変形により外観不良が生じ易くなるのを抑えることができる。
さらに、下側連設部20にストレート部21が備えられていることから、ボトル1に加えられたボトル軸O方向の圧縮力をストレート部21に受けさせることで全周にわたって均等に分散させることが可能になり、下側連設部20がボトル軸O方向に潰れることを抑えて、ボトル1の座屈強度を向上させることもできる。
【0019】
また本実施形態では、下側連設部20のストレート部21と、ウエスト部15と、が凸曲面状に形成された下側連設部20の上接続部22を介して接続されているので、ストレート部21とウエスト部15とを滑らかに接続することで両者間に局所的に大きな負荷が集中する部分が生ずるのを防ぐことができるとともに、下側連設部20に加えられたボトル径方向の圧縮力を、ストレート部21を介して上接続部22にも伝え易くすることが可能になり、前述の作用効果がより一層確実に奏功される。
さらに本実施形態では、ストレート部21が、ボトル1の最大外径部分となっていて、ボトル径方向の圧縮力を受け易い部分となっているので、前述の作用効果が有効に奏功される。
【0020】
次に、前述した作用効果の検証試験(JIS Z 0205に準拠)について説明する。
【0021】
実施例として図1に示すボトル1を採用し、比較例として図1に示すボトル1における下側連設部20を、ストレート部21を有さない上側連結部18と同様な凸曲面部としたボトルを採用した。具体的には、比較例のボトルは、図1に示すボトル1の下側連設部20において、上接続部22に代えて該上接続部22よりも曲率半径が大きくかつボトル軸O方向の大きさが小さい凸曲面状の上接続部を有するとともに、ストレート部21に代えて上接続部22よりも曲率半径が小さくかつストレート部21よりもボトル軸O方向の大きさが大きい凸曲面状の下接続部を有している。この下接続部は、比較例のボトルにおいて外径が最も大きい最大外形部分となっている。
なお、実施例および比較例それぞれのボトルの内容量は1リットルとし、また各ボトルの重量は同等にした。
【0022】
そして、内容物が充填された実施例のボトル1を15本連立させて収納したカートンケース、および内容物が充填された比較例のボトルを15本連立させて収納したカートンケースを準備し、それぞれのカートンケースを、水平に対して10°傾けた傾斜滑走路上を滑落させて衝突壁に衝突させたときに、ボトルの下側連設部に折れ痕や潰れがあるか否かを目視により確認し、それぞれのカートンケースについて、折れ痕のあったボトルの本数、および潰れのあったボトルの本数を数えた。
この試験は、各カートンケースについて、衝突壁に衝突するまでの傾斜滑走路上の滑走距離を異ならせて複数回行った。またこの試験に際し、各カートンケースを、収納されたボトルが、滑走方向に沿って5本連立し、かつ滑走方向に直交する方向に沿って3本連立する向きにして傾斜滑走路上を滑落させた。
結果を表1に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
この結果、実施例のボトル1では、折れ痕は確認されたものの、潰れは全く確認されない一方、比較例のボトルでは、滑走距離が長くなると折れ痕のみならず潰れも多く確認された。
【0025】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0026】
例えば、前記実施形態では、胴部13にパネル面部16および環状溝17を形成したが、これらは形成しなくてもよい。
また、ウエスト部15、上側連設部18、下側連設部20の上接続部22および下側連設部20のストレート部21それぞれの寸法の大小関係は、前記実施形態に限らず適宜変更してもよい。
さらに、ストレート部21は、ボトル1の最大外径部分でなくてもよい。
また、ウエスト部15とストレート部21との間に上接続部22を介在させずに、ウエスト部15の下端とストレート部21の上端とを接続してもよい。
【0027】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
ボトルを薄肉にしても、胴部の下側連設部の変形により外観不良が生じ易くなるのを抑えることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 ボトル
13 胴部
15 ウエスト部
20 下側連設部
21 ストレート部
22 上接続部
O ボトル軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材料で有底筒状に形成されたボトルであって、
その胴部に、ボトル径方向の内側に向けて窪むウエスト部が全周にわたって形成され、
前記胴部においてウエスト部に下側から連なる下側連設部には、ボトル軸方向に沿って延びるストレート部が備えられていることを特徴とするボトル。
【請求項2】
請求項1記載のボトルであって、
前記下側連設部において、前記ウエスト部に接続された上接続部は、下側に向かうに従い漸次拡径された凸曲面状に形成され、前記ストレート部は、前記上接続部の下端に接続されていることを特徴とするボトル。
【請求項3】
請求項1または2に記載のボトルであって、
前記ストレート部は、該ボトルの最大外径部分となっていることを特徴とするボトル。

【図1】
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【公開番号】特開2011−157086(P2011−157086A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18676(P2010−18676)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】