説明

ボビン形成装置のベルトガイドの監視制御装置

本発明は、綿糸ボビンを形成する装置のベルト走行を監視および制御するために、周回走行する無限ベルトによって駆動される芯に綿糸が巻き付けられ、前記無限ベルトは前記芯を中心としたループ内で複数の偏向ローラによって案内され、前記芯は該芯から径方向に突出する2つのボビンディスクのあいだに支承されている、監視制御装置に関する。本発明によれば、少なくとも、前記ループ外のベルト走行の所定の位置で、前記ベルトの一方の側縁の領域に、走査される前記ベルトの側縁の位置を連続的に検出するのに適した非接触センサが配置されており、該非接触センサは制御ユニットに接続されており、該制御ユニットによって、前記ベルトを所定のトレランス領域へ戻し運動させる少なくとも1つのアクチュエータが駆動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綿糸ボビンを形成する装置のベルト走行を監視および制御するための監視制御装置に関するものであって、周回走行する無限ベルトによって駆動される芯に綿糸が巻き付けられ、無限ベルトは芯を中心としたループ内で複数の偏向ローラによって案内され、芯はこの芯から径方向に突出する2つのボビンディスクのあいだに支承されている。
【0002】
DE19539365A1から、周回走行する無限ベルトを駆動して綿糸ボビンを形成する装置が公知である。ここで、綿糸は、ベルトループの2つの偏向ローラの間に供給される。ベルトループの内部には、回転可能に支承された糸管が位置しており、この糸管は摩擦を利用したベルトの運動によって駆動される。この場合、糸管は、径方向でこの糸管から突出する2つのボビンディスクのあいだに存在している。糸巻過程の開始時には、糸路が糸管の周とベルトループの内面とのあいだの領域へ供給される。ベルトの搬送運動により、供給された綿糸は糸管へ巻き付けられる。この場合、糸路は、糸管の径方向で見て、層状に糸管に巻き付けられる。当該の装置によれば、きわめてコンパクトなボビンを高速で形成することができる。2つのボビンディスクは、特に、形成されるボビンの縁領域の正確な成形を達成するために用いられ、糸巻過程を支援している。つまり、糸巻過程において、巻き付けられる糸路の縁領域がボビンディスクによって案内され、これにより側方のほつれが回避されるのである。
【0003】
2つのボビンディスクのあいだのループ領域を走行するベルトは、各ボビンディスクのガイド面に対して小さな間隔を置いて案内されるので、一方では当該の領域での繊維のひっかかりが回避され、他方ではベルト縁の摩耗が回避される。ただし、ベルトがボビンディスクのあいだを走行する際のベルトの運動はボビンディスクの回転運動に対して横断方向に行われるので、ベルトがボビンディスクにあまり接近すると、ベルト縁の摩耗が生じることがある。その場合、ベルト縁のほつれが生じ、形成される綿糸ボビンのパケット縁の乱れのない成形に対して悪影響が生じる。例えば、ベルトの組織繊維の飛び出しなどのほつれによって、糸路のパケット縁から繊維が部分的に引きちぎられてしまう。このため、例えば、DE19720825では、ベルトの形状が運動方向に対する横断方向で各偏向ローラの領域に一致するように構成されており、ベルトの表面に所定の形状(プロフィル)が設けられ、各偏向ローラの対応形状によって把持されるようになっている。これにより、搬送方向に対する横断方向で見て、ベルトが正確に案内されることが保証される。この文献にはさらに、ベルトの側方の正確なガイドを保証するための別の実施例も示されている。ここでの提案によれば、確かにボビンディスクのあいだのベルトは正確に案内できるが、そのためには特別に製造されたベルトと偏向ローラ上の対応するガイド手段とを使用しなければならない。したがって、当該のボビン装置はきわめて複雑で製造が高価となる。
【0004】
また、CH695344には、ベルトの両側に1つずつガイドローラを設け、ベルトの側方を連続的に案内する手法が示されている。この装置によれば、ベルトの横ずれによって大きなせん断力が発生しないかぎり、部分的にベルトの側縁を案内することができるようになる。しかし、こうしたベルトガイドには、ガイドローラがベルト側縁に連続的な接触を生じさせ、小さな摩耗が生じやすくなるという欠点がある。また、ベルトが横ずれを起こして大きなせん断力が発生した場合、ガイドローラの領域でベルト側縁が大きく摩耗したり、ベルト側縁の領域で変形が生じたりする。この場合、ベルトの側方ガイドが不正確となり、ボビンの縁がきちんと成形されなくなってしまう。
【0005】
さらに、EP1675976B1からは、ベルトの両側に複数のセンサを設け、ベルトの横ずれを監視する装置が公知である。ここで、センサは、ベルトが側方へ横ずれを起こした後にはじめてベルト走行制御信号を中央制御部へ出力するように構成されている。また、この文献には、ベルトを所定のトレランス領域へ戻すために、偏向ローラの少なくとも1つの軸がアクチュエータによってベルト走行方向に対して横断方向に旋回可能であることが記載されている。この場合、偏向ローラの収容部が、制御ユニットによって駆動されるアクチュエータを介して(文献に図示されている例では、シリンダによって)、移動される。しかし、当該の公知の手法は、所定の値を上回る横ずれが生じないかぎり、側方のベルト走行を補正するための制御インパルスがトリガされないという欠点を有する。また、ここでは、ベルト側縁のあいだの領域にベルト走行を監視するセンサを配置しなければならない。
【0006】
ここで、本発明の課題は、公知の手法に比べて簡単に、市販入手可能なフラットベルトの走行を走行方向に対して横断方向で監視および制御できる装置を提供することである。
【0007】
この課題は、少なくとも、ループ外のベルト走行の所定の位置で、ベルトの一方の側縁の領域に、走査されるベルトの側縁の位置を連続的に検出するのに適した非接触センサが配置されており、この非接触センサは制御ユニットに接続されており、この制御ユニットによって、ベルトを所定のトレランス領域へ戻し運動させる少なくとも1つのアクチュエータが駆動されることにより、解決される。
【0008】
ベルトの位置を連続的に走査するセンサを用いることによって、ベルトの側方外れがただちに識別され、これを目標位置へ戻すための相応の制御命令が早期にトリガされることが保証される。非接触の走査によって摩耗も発生しない。
【0009】
有利には、後述するように超音波センサが用いられる。超音波センサは汚れ、例えば繊維くずの飛散に対して特に不感である。このため、センサの連続動作が保証される。
【0010】
また、超音波センサに代えて、光学センサ、例えばラインセンサを用いることもできる。ただし、光学センサは超音波センサに比べると汚れへの不感性が幾分低下する。
【0011】
有利には、センサはU字形に構成されており、このU字形センサの一方の自由脚部はベルト側縁の領域でベルトの1つの表面に対向している。すなわち、ベルトの一方の側縁がU字形のセンサの開放部内に位置し、U字形センサの一方の自由脚部の各内面がベルトの1つの表面に対向するのである。この場合、センサの送信部および受信部はそれぞれの脚部に取り付けられており、ベルトの側縁は位置に応じて送信器と受信器とのあいだの走査空間を通る。
【0012】
有利には、アクチュエータは第1の偏向ローラの第1の収容部に隣接して配置されており、この第1の収容部は、径方向で、ベルトが第1の偏向ローラへ走行してくる方向またはこれと反対の方向に運動する。このように、第1の偏向ローラの回転軸の位置をアクチュエータによって変更して、ベルトの走行を補正することができる。
【0013】
偏向ローラの領域にはベルト張力によって大きな力がかかるので、第1の収容部が、ガイド部において運動可能に支承されており、かつ、圧力手段を介し、運動可能に支承および固定される調整手段上に支承されていると有利である。このようにすれば、可動の軸受の安定な位置が達成される。圧力手段は、例えば、相応にあらかじめテンションをかけられた圧力ばねである。
【0014】
さらに、調整手段と収容部とのあいだの摩擦力を最小化するために、第1の収容部が1つの偏向ローラの軸上に回転可能に支承されたローラから形成され、圧力手段がこのローラに隣接して軸上に載置されていると有利である。
【0015】
有利には、調整手段は、第1の収容部を外周に載置したカーブディスクである。つまり、負荷装置、特にばねを介して、第1の収容部がカーブディスクの外周に支承され、固定される。カーブディスクの形状を適切に設定することにより、ベルト走行の補正をきわめて短い調整区間内で行うことができる。
【0016】
カーブディスクの回転を調整するために、制御ユニットに接続された少なくとも1つの駆動手段が設けられており、この駆動手段は直接または間接にカーブディスクに駆動作用の点で接続されている。駆動手段は有利には電動機である。この場合、精密な幅での調整を行うことのできるステップモータを使用することもできる。さらに、電動機を、ベルト駆動機構を介してカーブディスクの回転軸上に固定された駆動ホイールに接続し、これにより、変換幅を切り替えることができる。
【0017】
収容部のガイド部、例えば調整手段および駆動手段の少なくとも一部などを、主として閉鎖されたケーシング内に配置することにより、周囲に対してカプセル化された装置が実現され、汚れに対する保護が達成される。
【0018】
以下に、本発明のさらなる特徴および利点を図示の実施例に則して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の監視制御装置を有するボビン装置の側面図(図1)、および、図1のA−A線で切断した断面図(図1のa)である。
【図2】図1の非接触センサの制御部をX方向から、また、図1の偏向ローラをU方向から見た図(図2)、および、図2の別の実施例(図2のa)である。
【図3】図2の偏向ローラをY方向から見た図である。
【図4】監視制御装置の信号特性図である。
【0020】
図1に示されているのは、既に公開されているEP929705A1と類似した形式のボビン装置であるので、以下では、当該のボビン装置の動作については表面的にのみ説明する。図示のボビン装置1では、綿糸ボビンWWがベルトRによって形成される。ベルトRは固定に支承されたローラまたは旋回可能なローラR1−R6を介して案内され、ここで、ローラR1,R2間に、固定の回転軸AXを中心としたループSが形成される。綿糸ボビンWWを形成するために、カレンダローラK1−K4を介して、2つのローラR1,R2間の綿糸WがループSの糸管Hの周へ供給される。糸管Hは、糸巻過程のあいだ、図1のaに示されているボビンディスクW1,W2間にかけわたされる。この場合、糸巻過程中にベルト縁が摩耗しないよう、ボビンディスクW1,W2とベルトRとの間に所定の距離aが設けられている。綿糸ボビンWWが大きい場合、ボビンWWが所望の大きさに達するよう、ループSは長くなる。所望のボビンの直径は、相応のセンサでボビンの周を測定することによって直接に、または、供給される糸の長さを走査することによって間接的に、達成される。糸巻過程中、ベルトの支承ないしベルト張力の制御が、シリンダZによって駆動されるテンション装置3によって行われる。テンション装置3により、テンションローラR6は軸4を中心として旋回する。糸巻過程中、綿糸ボビンWWは回転方向Dで回転する。糸巻過程の終了直前、カレンダローラK1−K4の駆動機構は停止されるが、綿糸ボビンWWの駆動機構はベルトRによってまだ運動している。これにより、綿糸はガイド薄板6の領域で分断される。分断過程が終了するとただちに、ボビン装置1は停止する。軸AXを中心として旋回可能なアーム8により、ローラR2は下方へ旋回し、これによりローラR3もアーム9によって下方へ旋回する。テンション装置3を用いて、ベルトRにはさらに張力がかけられ、完成した綿糸ボビンWWが図示されていない収容領域へ排出される。排出過程の後、ローラR2,R3は旋回位置から図1の元の位置に戻され、新たな糸管Hが導入されて、新たな糸巻過程が開始される。このために、カレンダローラK1−K4は詳細には図示されていない駆動機構により再び運動開始へセットされる。同様に、ローラR1−R6の図示されていない駆動機構によりベルトRも運動開始へセットされ、ボビン装置1が新たなボビンの形成を開始することになる。
【0021】
カレンダローラK1−K4が綿糸Wを連続的に供給する場合、ボビンを形成する上述のプロセスも連続的に行うことができる。しかし、例えば、材料見本の走行が終了した時や、処理すべき繊維材料が変化したときなど、綿糸の供給に中断が生じると、綿糸の新たな端をカレンダローラK1−K4間のループにきちんと乗せる必要が生じる。新たな綿糸をガイドする前に、ループSに存在する綿糸ボビンWWを排出し、新たな綿糸の形成のためにボビン装置を準備しなければならない。
【0022】
図1のaに示されている2つのボビンディスクW1,W2までの距離aを保持するために、あるいは、ベルトの走行を監視するために、ローラR1の前方の領域に監視装置10が配置されている。
【0023】
監視装置10は、機械フレームMGに固定に取り付けられてベルト縁RSの走行を監視するU字形センサ7によって形成されている。図2には、U字形センサ7が拡大されて示されている。監視装置10のセンサから制御ユニットSTへ送信される信号に基づいて、制御ユニットST内に格納されているプログラムにより制御信号が形成され、この制御信号によってアクチュエータ11が駆動されて、ベルトが設定されたトレランス領域内に保持されるかあるいは戻し走行される。
【0024】
ベルト縁RSがボビンディスクW1,W2での摩擦によって摩耗しないようにするには、各ボビンディスクまでの最小距離aが保持される必要がある。ローラR1−R6の軸受におけるトレランスとベルトRの熱とに応じて、糸巻過程中、ベルトRは一方側または他方側にずれることがある。この場合、ベルトが所定のトレランス領域から外れ、ベルト縁がボビンディスクに接触してしまう。ベルトといずれかのボビンディスクとのあいだに摩耗が発生してそれが続くと、ベルト縁RSのほつれが生じうる。このほつれ(編み込まれた繊維端の飛び出し)によって、繊維がベルト領域から分離すると、ボビンの形状乱れの原因となる。そうすると、後続の梳機での処理過程にも悪影響が生じ、品質低下が避けられない。したがって、こうした品質低下を回避するために、本発明では監視調整装置を設けることが提案される。この監視調整装置を以下で実施例に則して説明する。
【0025】
図2からわかるように、周回走行しているベルトRのベルト縁RSの一方側はU字形監視装置10内を通っている。U字形監視装置10は、ラッチ22によって機械フレームMGに固定されており、かつ、ウェブ27を介して相互に接続された2つの脚部28,29を有する。ベルトRの表面O1,O2に部分的に面している脚部28,29の内側には、センサS1の送信部25(送信器25とも称する)および受信部26(受信器26とも称する)が固定されている。センサは有利には超音波センサである。また、光学センサを利用してもよい。
【0026】
図2からわかるように、送信器25から送信された信号(例えば超音波信号または光ビーム信号)は、その一部が、ベルトRの表面O1によって、受信器26への到達を阻止される。例えば、超音波センサが用いられる場合、送信器25から送信された超音波信号は、部分的にしか受信器26へ到達しない。こうして受信されたインパルスは所定の値を有しており、図4にその信号図が示されている。当該の値により、制御ユニットは、ベルトRが、図4のトレランス領域Tを外れて、作業方向ARに対する横断方向にずれていないかどうかを求めることができる。
【0027】
ボビン装置を最初にインストールするとき、ベルト位置は手動で図4の目標位置へ調整され、図2に示されているようになる。この目標位置において受信器で受信されるインパルスの数が、制御ユニットに目標値として設定される。こうして最初に設定された目標値に基づいて、制御ユニットにより、動作中に連続して送出される信号またはインパルスから、ベルトが一方側または他方側にずれていないかどうかが求められる。時間単位当たりの信号の値が設定されたトレランス領域T(図4)内にあれば、アクチュエータ11に対する制御信号は出力されない。
【0028】
しかし、当該の信号値が(例えば図4の時点t1で)トレランス領域Tを外れると、制御ユニットSTから線路24を介して制御信号がサーボモータMSへ送信される。
【0029】
また、ベルト外れに対するトレランス領域を設けず、制御ユニットSTがベルトの側方偏差を検出するたびにただちにベルト走行を補正するための制御信号をアクチュエータに送信してもよい。つまり、トレランス領域は、有利な実施例では、"ゼロ"であってもよい。
【0030】
サーボモータMSは機械フレームMGに固定されており、出力軸16を介して、第1の駆動ディスク13を駆動する。第1の駆動ディスク13はベルト12(例えば歯付きベルト)を介して第2の駆動ディスク14に駆動作用の点で結合されている。第2の駆動ディスク14は、軸受L1,L2によって支承された軸15に回転固定に取り付けられている。軸受L1,L2は例えば破線で示されているケーシング40に取り付けられており、このケーシングは機械フレームMGに固定されている。
【0031】
同様に、第2の駆動ディスク14に対して軸平行に軸15に傍心ディスク17が固定されており、その周に、軸30に接続された収容部31が載置されている。また、軸30と収容部31とを一体に構成してもよい。
【0032】
収容部31は、この実施例では、ばね19の圧力によって傍心ディスク17の周面に支持されている。ばね19は、反対側では、機械フレームMGに固定された支持部20上に支持されている。特に、図3(図2を横方向Yから見た図)からわかるように、収容部31はガイド部18内の所定の方向へ運動することができる。ガイド部18は、図3の実施例では、ケーシング40内に設けられている。ばね19は、この実施例では、キャップ37のフランジによりケーシングにねじSRで固定されており、その位置で支持され、収容部31上に載置されたケーシング40内に突出している。ケーシングを使用することにより、清潔性が維持されてアクチュエータの動作が保証される。なお、軸30上には、軸受34,35を介して、ベルトRを案内および偏向する偏向ローラR5が回転可能に支承されている。
【0033】
アクチュエータ11の反対側の端部には、軸30が旋回軸33を介して第2の収容部32内に支承されている。旋回軸33により、軸30はベルトRの走行方向ARにおいて旋回することができ(双方向矢印を参照)、そのことが概略的に破線で示されている。
【0034】
受信器26から制御ユニットへ送出されるインパルス値が設定されたトレランス領域を外れるとただちに、サーボモータMS(例えばステップモータ)が制御信号を出力する。当該の制御信号に応じて、軸16が設定された値だけ一方向または他方向へ回転される。これにより、ベルト接続部12を介して駆動軸15が回転し、これにより、傍心ディスク17も同様に所定の値だけ回転する。傍心ディスク17の傍心により第1の収容部31はばね19のばね力の作用を受けてガイド部18内部で所定の値だけずらされる。このずれによって、軸30が旋回軸33を中心として旋回する。こうして、軸30上に支承されるローラR5もベルトの走行方向に対して所定の角度だけ旋回される。この変化により、ベルトが1回転した後にベルトの横移動が発生する。ベルトの走行方向への影響が相殺され、ベルト位置の値は再び設定されたトレランス領域T内へ入る。本発明の装置によれば、簡単に、全作業プロセスのあいだ、ベルトを設定されたトレランス位置に保持することができる。
【0035】
図2のaには、軸30に固定された第1の収容部31に代えて、軸受44を介して軸30に回転可能に支承されたローラ42を使用する別の実施例が示されている。ローラ42に隣接してばね19が配置されており、このばね19の一方側は第1の支持部20上に支持されており、他方側は切欠43内の軸30上に支持されている。この実施例では、有利に、傍心ディスク17と収容部ないしローラ43とのあいだの摩擦値が小さい。ここで、収容部ないしローラ43は、図3の実施例のガイド部18内に設けることもできる。
【0036】
本発明の構成のアクチュエータはそれ自体で見ても進歩性を有しており、図示の実施例の監視装置10とは異なる装置とともに用いることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周回走行する無限ベルト(R)によって駆動される芯(H)に綿糸(W)が巻き付けられ、前記ベルト(R)は前記芯(H)を中心としたループ(S)内で複数の偏向ローラ(R1−R6)によって案内され、前記芯は該芯から径方向に突出する2つのボビンディスク(W1,W2)のあいだに支承されており、
少なくとも、ベルト走行の前記ループ(S)外の所定の位置で、かつ、前記ベルトの一方の側縁の領域に、前記ベルトの前記側縁(RS)の位置を連続的に走査する非接触センサ(S1)が配置されており、該非接触センサは制御ユニット(ST)に接続されている、
綿糸ボビン(WW)の形成装置における、
ベルト(R)を所定のトレランス領域(T)内へ戻す装置(11)であって、
当該の装置(11)は、前記制御ユニット(ST)に接続されており、かつ、第1の偏向ローラ(R5)の第1の収容部(31)に隣接して配置されており、
当該の装置(11)は、前記第1の収容部(31)を径方向で前記ベルト(R)が前記第1の偏向ローラ(R5)へ走行してくる方向(AR)または該方向の反対方向に運動させる調整手段(17)を有しており、
前記第1の収容部(31;42)は、ガイド部(18)内で運動可能に支承されており、かつ、圧力手段(19)を介して、運動可能に支承され固定可能な前記調整手段(17)上に支承されている、
ことを特徴とする、ベルトを所定のトレランス領域内へ戻す装置。
【請求項2】
前記第1の収容部は前記第1の偏向ローラ(R5)の軸(30)上に回転可能に支承されたローラ(42)から形成されており、該ローラ(42)に隣接して前記圧力手段(19)が前記軸(30)上に載置されている、請求項1記載のベルトを所定のトレランス領域内へ戻す装置。
【請求項3】
前記調整手段(17)は、前記第1の収容部(31;42)を外周に載置したカーブディスク(17)である、請求項1または2記載のベルトを所定のトレランス領域内へ戻す装置。
【請求項4】
前記制御ユニット(ST)に接続された少なくとも1つの駆動手段(MS)が設けられており、該駆動手段は直接または間接に前記カーブディスク(17)に駆動作用の点で接続されている、請求項3記載のベルトを所定のトレランス領域内へ戻す装置。
【請求項5】
前記駆動手段は電動機(MS)である、請求項4記載のベルトを所定のトレランス領域内へ戻す装置。
【請求項6】
前記電動機(MS)はベルト駆動機構(12,13)を介して前記カーブディスク(17)の回転軸(15)上に固定された駆動ホイール(14)に駆動作用の点で接続されている、請求項5記載のベルトを所定のトレランス領域内へ戻す装置。
【請求項7】
前記ガイド部(18)は主として閉鎖されたケーシング(40)内に収容されている、請求項1または2記載のベルトを所定のトレランス領域内へ戻す装置。
【請求項8】
前記調整手段(17)と該調整手段に対する駆動エレメント(12−14)とが前記ケーシング(40)内に配置されている、請求項7記載のベルトを所定のトレランス領域内へ戻す装置。
【請求項9】
前記圧力手段としてばね(19)が用いられる、請求項1または2記載のベルトを所定のトレランス領域内へ戻す装置。
【請求項10】
前記非接触センサ(S1)は超音波センサである、請求項1記載のベルトを所定のトレランス領域内へ戻す装置。
【請求項11】
前記非接触センサ(S1)は光センサである、請求項1記載のベルトを所定のトレランス領域内へ戻す装置。
【請求項12】
前記非接触センサ(S1)はU字形に構成されており、該U字形センサ(S1)の各一方の自由脚部(28,29)は前記側縁(RS)の領域で前記ベルト(R)の1つの表面(O1,O2)に対向している、請求項10または11記載のベルトを所定のトレランス領域内へ戻す装置。

【図1】
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【図1a】
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【図2−2a】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−501690(P2013−501690A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524070(P2012−524070)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【国際出願番号】PCT/CH2010/000176
【国際公開番号】WO2011/017816
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(590005597)マシーネンファブリク リーター アクチェンゲゼルシャフト (93)
【氏名又は名称原語表記】Maschinenfabrik Rieter AG
【住所又は居所原語表記】Klosterstrasse 20,CH−8406 Winterthur,Switzerland
【Fターム(参考)】