説明

ボルト、及び反トルク特性を備えた工具

【課題】いくつかの異なる工具を用いることなく、ワイヤーを締め付けることが可能で、外科医がアシスタントなしでワイヤーを引っ張ることができる創外固定器にワイヤーを固定するためのシステムを提供する。
【解決手段】表面から延びる開口部を有する創外固定器要素と、骨組織を貫通して延び、表面に固定されるように適合するワイヤー4と、ネジ部と頭部と、締め付け要素を備えるシャフトを有するボルト1と、ボルト1は、開口部を貫通して延びるように適合し、締め付け要素は、締め付け力で表面にワイヤーを適合して締め付け、締め付け力で創外固定器要素の表面に対してボルト1を引っ張るナット7と、ワイヤー4をボルト1とナット7で表面に締め付ける間、反トルクを供給する反トルク工具とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部による創外固定器システムと共に使用するためのボルトに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、創外固定器によって直すことができる骨の変形や骨折が多く存在する。このような固定器は、例えばイリザロフ装置として知られている。
【0003】
通常、このような創外固定器は、骨の角度、転移、及び長さの不一致を操作するためにネジ棒又は支柱により接続される、固定プレートとも称されるリングを備える。さらに、固定プレートは、通常前記リングを通じて延びるワイヤー又はピンにより、骨組織に接続する。ワイヤー又はピンは、ボルト及びナットにより、プレートに接続する。さらに、いくつかの工具が使用される必要のある、前記ボルトと前記ナットによる固定した接続が確立する前に、ワイヤーは引っ張られる必要があり、それは外科医にとっては工具をいくつか使用する必要のある大変複雑な手順招く。
【0004】
最初に、ワイヤーはボルトとナットにより一端で固定される必要がある。したがって、第一のレンチは締め付けるために使用される必要があり、第二のレンチは締め付けトルクに対する逆トルクを供給するために使用される必要がある。
【0005】
その後、ワイヤーは、ワイヤー引っ張り器によって引っ張られ、もう一方の端部に固定される必要がある。ワイヤーを固定するため、2つのレンチもまた同様に用いる必要がある。これは、第二の端部にワイヤーを固定するために、3つの工具が用いられることを意味する。すなわち、ワイヤー引っ張り器と2つのレンチである。これは外科医にとっては、ワイヤーを固定するために少なくとももう一人必要であり、また広さが限られた状況では扱いにいため、非常に煩わしい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなシステムが図1に示されているが、創外固定器のリング又はプレートにワイヤーを締め付けて固定するために、3つの異なる道具が使用されていることを見ることができる。それに関して、ワイヤー引っ張り器が、ワイヤーを引っ張るために用いられる必要がある。ここで、ワイヤー引っ張り器は参照番号5で示されている。さらに、2つのレンチがボルトとナットを締めるために用いられる必要がある。これは、ワイヤーを引っ張って固定するために少なくとも2人が必要であることを意味する。通常、一人がワイヤー引っ張り器を操作するために使用され、他の一人がレンチを操作する。
【0007】
ボルトとナットを後で締め直す必要があるとき、ボルトが貫通して延びる穴においてわずかな回転が生じ、その結果ワイヤーの位置が緩む可能性が非常に高いという更なる問題が生じる。
【0008】
したがって、本発明の目的は、従来技術の不都合を克服する創外固定器システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的は請求項1の特徴により達成される。これにより、創外固定器要素にワイヤーを固定するためのシステムが提供され、前記システムは以下を備える。
・少なくとも一つの表面を有し、前記表面から延びる少なくとも一つの開口部を有する創外固定器要素
・骨組織を通じて延びるように適合され、前記表面に留められるワイヤー
・ネジ部、頭部、及び少なくとも一つの締め付け要素を備えるシャフトを有するボルトであり、前記ボルトは前記開口部を通じて延びるように適合され、前記少なくとも一つの締め付け要素は締め付け力により前記ワイヤーを前記表面に適合させて締め付ける。
・前記締め付け力により、前記創外固定器要素の表面に対して前記ボルトを引っ張るナット
・前記ワイヤーを前記表面に前記ボルトと前記ナットを用いて締め付ける間、反トルクを供給する反トルク工具
前記ボルトは反トルク開口部を備え、前記反トルク工具は前記ボルトの前記反トルク開口部に係合するように適合したボルト部を備え、前記ボルト部は好ましくは前記反トルク開口部に対して相補的な断面を有する。
【0010】
このようなシステムを用いれば、いくつかの異なる工具を用いることなく、ワイヤーを締め付けることが可能となる。したがって、外科医はアシスタントなしでワイヤーを引っ張ることができる。
【0011】
好ましくは、前記反トルク工具は、前記ワイヤーの一部がその中に貫通して延びる少なくとも一つの開口部を備える。したがって、前記開口部は、外科医のための保護要素としての役目を果たす。好ましくは、ワイヤーは開口部に完全に取り囲まれて備えられるためである。
【0012】
好ましくは、反トルク工具は外科医によって掴まれ得るハンドルを備える。
【0013】
好ましくは、システムはさらにワイヤー引っ張り器を備え、反トルク工具は前記反トルク工具がワイヤー引っ張り器に接続する接続部を備える。そのために、接続部は好ましくはネジ構造である。このような組込構成を用いれば、外科医は更なる人の補助を受けることなく、固定プレートにワイヤーを引っ張り固定することが可能となる。
【0014】
好ましくは、少なくとも1つの締め付け要素が、反トルク開口部よりも前記表面に近く配置されている。
【0015】
好ましくは、前記反トルク開口部は中央軸に沿って延び、その中央軸はボルトの中央軸に対して傾き、特に実質的に垂直に延びている。
【0016】
好ましくは、前記反トルク開口部は、貫通開口部、又はブラインド開口部として備えられ、頭部は開口部を取り囲む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して以下に説明する。これらの図面は本発明の好ましい実施形態を説明することを目的とするものであり、これらに限定することを目的とするものではない。
【図1】図1は、創外固定器の一部の斜視図を示し、従来技術として知られた引っ張り及び固定スキームの下で、創外固定器にワイヤーが取り付けられている。
【図2】図2は、創外固定器のシステムを示す。
【図3】図3は、創外固定器のプレートにワイヤーを取り付けるボルトの側面図を示し、そのボルトには反トルク要素が備えられている。
【図4】図4は、図3によるボルトの斜視図を示す。
【図5】図5は、図3及び4によるボルトをワイヤーで締め付ける間に反トルクを供給する反トルク工具の第一実施形態の斜視図を示す。
【図6】図6は、図5による工具の断面図を示す。
【図7】図7は、図5による工具の平面図を示す。
【図8】図8は、ワイヤー引っ張り器と共に用いられる反トルク工具のさらなる実施形態の斜視図を示す。
【図9】図9は、図8による反トルク工具の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、創外固定器システムの斜視図を示す。ここで、創外固定器システムはいくつかの開口部30と、引っ張られてリング3に取り付けられるワイヤー4を有するリング形状のプレート3を含んでいる。それについて、その発明によるボルト1とナットが用いられる。この先行技術の構想において、ワイヤーはワイヤー引っ張り器4により引っ張られ、その後ボルトとナットが2つのレンチ6により締め付けられる。これにより、レンチの一方はボルトと接続し、他方はナットと接続する。
【0019】
図2は、ワイヤー4を例えばリングやプレートといった創外固定器要素3に固定するためのシステムを示す。このシステムは以下を備える。
・少なくとも一つの表面31と、前記表面31から延びる少なくとも一つの開口部30を有する創外固定器要素3
・骨組織を貫通して延び、前記表面31に締め付けられるように適合されたワイヤー4
・ネジ部10、頭部11、及び少なくとも一つの締め付け要素12,14を備えるシャフトを有するボルト1。前記ボルト1は、前記開口部30を貫通して延びるように適合され、前記少なくとも一つの締め付け要素12,14は、締め付け力により前記表面31にワイヤーを適合させて締め付ける。
・創外固定器要素3の前記表面31に対して前記ボルト1を締め付け力で引っ張るナット7
・前記表面31に前記ボルト1と前記ナット7を用いて前記ワイヤー4を締め付ける間の反トルクを供給する反トルク工具2
・前記ボルト1は、反トルク開口部13を備え、前記反トルク工具2は、前記ボルトにおける前記反トルク開口部13に係合するように適合されたボルト部20を備え、前記ボルト部20は、好ましくは、前記反トルク開口部13に相補的な断面を有する。
【0020】
図2は、ボルト1と反トルク工具2の可能な応用の斜視図である。いくつかのワイヤー4が骨組織8に貫通して延びている。前記ワイヤー4は、ボルト1とナット7により固定プレート3に固定される。これにより、軸方向の締め付け力が、ナット7を堅く締め付けるのに供給されて、ワイヤー4は、締め付け要素12,14を用いて固定プレート3の表面31に締め付けられる。
【0021】
図2の左において、ボルト1は、図3〜5に示されているハンドル22を有する反トルク工具2に接続している。反トルク工具2は、そのボルト部20でボルト1の反トルク開口部13に係合している。
【0022】
図2の右において、ボルト1は、ワイヤー引っ張り器5に接続する反トルク工具2に接続している。反トルク工具2は、ナット7が堅く締められるときに、外科医がワイヤー4を引っ張り、かつ反トルクを供給できるように、ワイヤー引っ張り器の正面に配置される。
【0023】
図2に関し、反トルク開口部13の軸Aは、ボルト1の中央軸Mに対して角度を持って延びることができることにもまた注目すべきである。反トルク開口部の軸Aは、ワイヤー4と同一直線上に延びることが好ましい。
【0024】
上記の記載から、ワイヤー4が、好ましくはボルト1と固定プレート3におけるそれぞれの表面31とにより締め付けられることが明らかになった。しかしながら、開口部をまた供給する独立した要素を配置することもでき、その開口部を貫通してボルト1が延び、それぞれの表面がワイヤー4に対して締め付けられ得る。このような独立した要素は、プレートに対してワイヤーを補正して配置するために使用され得る。これは、図2のワイヤー4’に示される。
【0025】
図3と4は、ワイヤーを創外固定器システムの固定プレートに接続するボルト1を示している。このような創外固定器システムは、通常少なくとも2枚のプレートを備え、プレートを互いに正しい位置に置くために、それらは長さを調節できる棒又は支柱により接続されている。プレートは、引っ張られたワイヤー又は骨組織に貫通しまたはその中に延びるピンと接続している。引っ張られたワイヤーは、ボルト1によりプレートに取り付けられる。ボルト1はまた、ピンをプレートに締め付けるために用いられ得る。その結果、ピン又はワイヤーは、ボルト1の締め付け要素12,14と、ワイヤー又はピンが横たわるプレートの各表面により締め付けられる。
【0026】
図3と4によればボルト1は、創外固定器システムにおける引っ張られた、又は引っ張られるべきワイヤーに適合して締め付けるために、ネジ部10、頭部11、及び締め付け要素12,14を有するシャフトを備える。締め付け要素は、締め付け開口部12及び/又は締め付け溝14の形を有することができる。ネジ部10及び頭部11は、中央軸Mに沿って延びている。それにより、ネジ部10は、頭部11に直接的に次に続かれることができ、又はシャフト部17などの追加の部分が、ネジ部10と頭部11の間に配置されることができる。シャフトは、固定プレート3の開口部30を貫通して延びるように適合される。ワイヤー4は、締め付け要素12,14と固定プレート3の表面31により締め付けられる。
【0027】
ワイヤー又はピンは、締め付け要素12,14を貫通して又はその中に延びている。したがって、それはそれぞれの側壁に接触している。ボルト1自体は、固定プレート内の開口部を貫通して延びている。それにより、ワイヤーは固定プレートの上面に横たわり、その上側に向かって締め付けられる。ボルト1は、ネジ部及び固定プレートの底面に接触するナットにより固定される。言い換えれば、ナットを堅く締めると、ボルト1は固定プレートの上面に向かって動かされ、ワイヤー4は上面と締め付け要素12,14により固定される。しかしながら、調整されたワイヤーがずれないように、ナットを堅く締めるにあたり適用されるべきトルクと同じトルクを、ボルト上に平衡させることが重要である。しかし、中央軸Mの周囲におけるボルト1の回転は防止されなければならない。トルクを平衡させるために、別個の反トルクが適用される必要がある。反トルクは、ボルト1の一部分である反トルク開口部13を通じて反トルク工具2により適用することができる。言い換えれば、前記ボルト1は反トルク工具2に適合するように反トルク開口部13を備える。
【0028】
開口部13は、好ましくはボルト1の頭部11に配置される。開口部13は、中央軸Mに対して角度をなして配置される軸Aに沿って延びる。軸Aは、好ましくは中央軸Mに対して垂直であり、これは開口部13がボルト1に対して垂直に延びることを意味する。開口部13は、ボルト1に完全に貫通して延びる貫通開口部、又はボルト1内に部分的にのみ延びるブラインド開口部といった、いくつかの形態で供給され得る。開口部13はまた、頭部の上端からアクセスできるスロット様構造になるように、開口部分を有することができる。断面に関しては、開口部13は、以下に説明するように反トルク工具2のそれと同様の断面を有している。開口部13は、好ましくは反トルク工具の方向性に関して柔軟性を持たせる円形の断面を有している。あるいは、開口部13は、長方形、多角形(polynomic)、楕円形、又は二次方程式の断面を備えてもよい。
【0029】
ボルトは、図3と4に示されるように、2つの締め付け要素、すなわち締め付け開口部12と締め付け溝14を備える。しかしながら、締め付け要素のひとつのみを配置することも可能である。開口部12及び溝14は共に、ワイヤー又はピンのそれぞれに適合する。ワイヤー又はピンのそれぞれは、開口部12又は溝14の壁と、ワイヤーが接している固定プレートに固定される。
【0030】
締め付け開口部12は、本実施形態において、中央軸Mに垂直かつ貫通して延びる中央軸Bに沿って延びている。それにより、締め付け開口部12は、中央軸Mを横切る。あるいは、それは、中央軸Bが中央軸Mからシフトして延びるように、配置されても良い。
【0031】
締め付け溝14は、中央軸Cに沿って延びている。好ましい中央軸Cは、中央軸Mからシフトしているが、締め付け開口部12が存在する場合には、中央軸Bに平行であることが好ましい。締め付け溝14は、切開部15を備え、これを介して締め付け溝14へのアクセスがもたらされる。これは、ボルトがワイヤー上に押しつけられ得ることを意味する。
【0032】
好ましくは、締め付け開口部12及び/又は締め付け溝15は、摩擦増強構造16を備える。摩擦増強構造16は、各締め付け要素12,15の近辺、及び/又は中に配置され、締め付け要素12,15とワイヤーの間の摩擦を強化するために役立つ。それにより、ワイヤーの引っ張り力は、ボルト1と各ナットの一定の事前引っ張り力により増加され得る。摩擦増強構造16は、好ましくは互いに平行に配置される多数の溝にとして備えられる。
【0033】
締め付け開口部12に関連して配置されている摩擦増強構造16は、ネジ部10に向けられた頭部11の表面に配置されている。
【0034】
図5〜7は、反トルク工具2の第一実施形態を示し、図8と9は、第二実施形態を示している。第一実施形態は、好ましくは、引っ張られていないワイヤーに接続されたボルトを固定プレート3に締め付けるために用いられる。第二実施形態は、ワイヤー引っ張り器と共に用いられることができ、そのワイヤー引っ張り器に固定接続される。後者は、ワイヤー引っ張り器とナットを締め付ける工具の他に、別個の反トルク工具の必要性があるときに、特に有利であり、それは、外科医が、ボルト/ナット接続を締め付け、ワイヤーを引っ張るために、3つの異なる工具を操作しなければならないことを意味する。
【0035】
その反トルク工具2は共に、ボルト部20を含んでおり、これは、反トルク開口部13によって適合されるように、適応されている。そのボルト部20を経由して、反トルクは、ボルト1に加えられる。本実施形態では、ボルト部20は、中央軸Nに沿って延びており、実質的に円形の断面を有している。しかしながら、ボルト部20の断面は、反トルク開口部13の断面に依存する。それ故に、ボルト部20は、反トルク開口部13に関して述べられた、他のどんな断面を有していても良い。
【0036】
第一実施形態は、さらにボルト部20から延びるハンドル22を備える。ハンドル22は、外科医によって反トルクを加えるために用いられることができる。そこで、ハンドルの中に、オプションでワイヤー開口部21が配置される。前記ワイヤー開口部21は、少なくとも部分的にハンドル22を貫通して延び、主として創外固定器のワイヤーを受けるのに役立つ。固定プレート又は固定リング上に延びているワイヤーの残りの部分は、前記ワイヤー開口部21により完全に受けられることが好ましい。それは、外科医にとって、ワイヤーによるけがの危険が限定されるという利点を有している。ワイヤー開口部21は、ボルト部22の中央軸Nに平行な中央軸Oに沿って延びている。ワイヤー開口部21の直径は、ワイヤーの直径よりも大きいことが好ましく、それは装置の操作を非常に簡易にさせる。さらに、軸NとOの距離は、狭い許容範囲内にされる必要はない。
【0037】
さらに、ワイヤー開口部21は、開口部へのワイヤーのより良い挿入を許容する面取り端部23を備える。
【0038】
ハンドル22の断面は、ボルト部20から他端部24にかけて、外科医がハンドル22を握るために、より人間工学的になるように延びることが好ましい。ボルト部と他端部24の間において、断面は、ある距離以上に一定に維持することが好ましい。
【0039】
さて、図8,9の実施形態で、ワイヤー引っ張り器に接続される反トルク工具について説明する。ボルト部20は、ボルト部よりも大きな直径を有する遷移部25に隣接されている。次に、遷移部25は、連結部26に接触し、これを介して反トルク工具はワイヤー引っ張り器に接続する。連結部26は、ネジ部28によりもたらされる開口部27を備える。連結部26は、外側の表面上に、反トルク工具をワイヤー引っ張り器に接続するいくつかの溝29を備えている。
【0040】
また、第二実施形態は、中央軸Nに平行な中央軸Oに沿って延びるワイヤー開口部21を備える。ワイヤー開口部21を経由して、ワイヤーは、ワイヤー引っ張り器に係合される。また、開口部21は、面取り端部23を備えても良い。ワイヤー開口部21の正面には、挿入補助部21aが、開口部21に向かって直径が減少する円錐リセスの形状で備えられる。
【0041】
ワイヤー引っ張り器と用いるこのような反トルク工具2の使用には、外科医がボルトを非常に容易で、かつ配置誤りに関して安全な方法で締め付けることができるという利点がある。それにより外科医は、ワイヤー引っ張り器を用いてワイヤーを引っ張る必要があり、ワイヤー引っ張り器は、引っ張っている間ずっと、反トルク部22を経由してボルト1に接触する。この接触のために、ワイヤー引っ張り器とボルトはワイヤーの方向に関して既に位置決めされている。さらに、ワイヤー引っ張り器は、もはや自由には動かず、これは外科医がワイヤー引っ張り器の全重量を支えなくても良いことを意味する。一度ワイヤーが引っ張られると、ボルトはナットにより固定される必要がある。従って,ナットは、レンチ又は同様の工具により堅く締められ、ワイヤー引っ張り器を経由して、反トルクがもたらされる。
【0042】
反トルク工具2は、ステンレス鋼やチタンといった金属材料から作られることが好ましい。
【0043】
ボルト1は、ステンレス鋼やチタンといった金属材料から作られることが好ましい。
【符号の説明】
【0044】
1 ボルト
2 反トルク工具
3 固定プレート
4 ワイヤー
5 ワイヤー引っ張り器
6 レンチ
7 ナット
8 骨組織
10 ネジ部
11 頭部
12 締め付け開口部
13 反トルク開口部
14 締め付け溝
15 切開部
16 摩擦増強構造
17 シャフト部
20 ボルト部
21 ワイヤー開口部
21a 挿入補助部
22 ハンドル
23 面取り端部
24 端部
25 遷移部
26 連結部
27 開口部
28 ネジ山
29 溝
30 開口部
31 表面部
A 中央軸反トルク開口部
B 中央軸締め付け開口部
M 中央軸ボルト
N 中央軸ボルト部
O 中央軸ワイヤー開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
創外固定器要素(3)にワイヤー(4)を固定するためのシステムであって、前記システムは、
少なくとも一つの表面(31)と前記表面(31)から延びる少なくとも一つの開口部(30)とを有する創外固定器要素(3)と、
骨組織を貫通して延び、前記表面(31)に固定されるように適合するワイヤー(4)と、
ネジ部(10)と、頭部(11)と、少なくとも一つの締め付け要素(12,14)を備えるシャフトを有するボルト(1)と、前記ボルト1は、前記開口部(30)を貫通して延びるように適合し、前記少なくとも一つの締め付け要素(12,14)は、締め付け力で前記表面(31)にワイヤーを適合して締め付け、
締め付け力で創外固定器要素(3)の前記表面(31)に対して前記ボルト(1)を引っ張るナット(7)と、
前記ワイヤー(4)を前記ボルト(1)と前記ナット(7)で前記表面(31)に締め付ける間、反トルクを供給する反トルク工具(2)と、を備え、
前記ボルト(1)が反トルク開口部(13)を備え、前記反トルク工具(2)が前記ボルトの前記反トルク開口部(13)に係合するように適合された前記ボルト部(20)を備え、前記ボルト部(20)が好ましくは前記反トルク開口部(13)と相補的な断面を有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記反トルク工具(2)は、少なくとも一つの開口部(21)を備え、前記ワイヤー(4)の一部が前記開口部(21)を貫通して延びることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
反トルク工具(2)がハンドル(22)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムが、さらにワイヤー引っ張り器(5)を備え、反トルク工具が連結部(26)を備え、前記反トルク工具が前記連結部(26)を経由してワイヤー引っ張り器(5)に接続可能であり、連結部(26)が好ましくはネジ構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも一つの締め付け要素(12,14)が反トルク開口部(13)よりも前記表面(31)の近くに配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記反トルク開口部(13)が、ボルト(1)の中央軸(M)に対して特に実質的に垂直に角度をなして延びる中央軸(B)に沿って延びることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記反トルク開口部(13)が、貫通開口部として、又はブラインド開口部として備えられ、頭部(11)が開口部を取り囲むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記反トルク開口部(13)が、円形の、又は多角形の、又は長方形の断面を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
締め付け要素(12,14)が、締め付け開口部(12)及び/又は締め付け溝(14)であり、これらは共に好ましくは反トルク開口部(13)に平行に延び、締め付け要素(12,14)は、創外固定器における反トルク開口部(13)と表面(31)の間にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
締め付け要素(12,14)が、締め付け開口部(12)及び/又は締め付け溝(14)であり、これらは共に好ましくは反トルク開口部(13)に平行に延び、締め付け要素(12,14)は、創外固定器における反トルク開口部(13)と表面(31)の間にあることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
締め付け溝(14)は、ワイヤーが前記締め付け溝(14)に貫通して挿入され得るように、前記締め付け溝(14)に沿って延びる切開部(15)を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
締め付け開口部(12)又は締め付け溝(14)は、ワイヤーと開口部(12)又は溝(14)のそれぞれの間の摩擦を強める構造(16)を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
頭部(11)が、締め付け開口部(12)の方向から見ると、締め付け開口部(12)の実際の長さを超えて延び、少なくとも前記開口部の一側面において、突起部(17)が備えられ、これを介して前記ワイヤーが締め付けられる
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
創外固定器システムにおいて用いられるボルト(1)であって、前記ボルト(1)は、ネジ部(10)と、頭部(11)と、ワイヤーを創外固定器に適合させて締め付ける少なくとも一つの締め付け要素(12,14)とを備えるシャフトを有し、ネジ部(10)は、前記創外固定器の固定プレート(3)における開口部(30)を貫通して延びるように適応され、締め付け要素(12,14)は、前記固定プレート(3)の表面(31)に対して前記ワイヤーを締め付けるように適応され、前記ボルト(1)は、反トルク工具(2)に適合する反トルク開口部(13)を備える
ことを特徴とする創外固定器システムにおいて用いられるボルト。
【請求項15】
請求項1〜14に記載のシステムによる創外固定器のワイヤーを引っ張るための方法であって、
ワイヤーを、その第一の端部において、ボルト(1)とナット(7)により創外固定器の固定プレートに固定し、ナットを締め付けるための締め付け力に対する反トルクを供給するために、請求項1〜3のいずれかに記載の反トルク工具(2)が用いられる工程と、
ナットを締め付けるための締め付け力に対する反トルクを供給するための反トルク工具に備えられたワイヤー固定具によりワイヤーを引っ張る工程と、
レンチによりナットを締め付け、反トルクが前記反トルク工具によりもたらされる工程と、を備える
ことを特徴とする創外固定器のワイヤーを引っ張るための方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−90987(P2012−90987A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−235959(P2011−235959)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(505103253)ストリカー トラウマ エスエー (22)
【Fターム(参考)】