説明

ボンディングパッドとチップ構造

【課題】ボンディングパッドと他の導電体間における電気的な接続の信頼性を向上できるボンディングパッドを提供すること。
【解決手段】
チップ構造はチップと少なくとも一つのボンディングパッドで構成する。チップはアクティブ面を有する。ボンディングパッドはチップのアクティブ面上に配置される。ボンディングパッドは多角形本体および複数の第一突出部で構成する。多角形本体は第一平面および対応する第二平面を有する。多角形本体の第二平面はチップと接触する。第一突出部分は、多角形本体のコーナー領域で第一平面上に配置される。ボンディングパッドの形状を適正化することにより、ボンディングパッドでチップ構造と別のデバイスを接続するときの歩留まりが向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボンディングパッドとチップ構造に関するものであり、さらに詳しくは、異なった形状を有するボンディングパッドとチップ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ここ十数年、エレクトロニクス技術は、とくに集積回路(IC)の製造技術において、著しいスピードで進化してきた。そして、多数の機能を有するエレクトロニクスデバイスは、常に下がるコストで生産されている。
【0003】
一般的に、半導体生産は前工程と後工程に大きく分けることができる。前工程には、マスク製造、酸化、フォトリソグラフィー、エッチング、デポジション、ドーピングが含まれる。チップと外部デバイス間の入力/出力通信チャネルを設けるために、多くの場合、チップの入力/出力ボンディングパッド上にバンプ(突出部)を形成する。
【0004】
図1は従来のチップ構造の概略断面図である。図1で示すように、チップ構造100は、チップ120、ボンディングパッド140、バンプ(突出部)180、保護膜層160で構成している。ボンディングパッド140は、信号を入力/出力するためにチップ120のアクティブ面122上に配置されている。保護膜層160はアクティブ面122上に配置されているが、ボンディングパッド140を露出する開口部を有している。バンプ180はボンディングパッド140上に配置され、かつ、ボンディングパッド140と電気的に結合されている。
【0005】
図2は図1のボンディングパッドの斜視図である。図1と2で示すように、ボンディングパッド140はフラットな矩形状をしている。例えば液晶ディスプレイの駆動チップを使うときに、駆動チップは通常、熱圧縮して液晶ディスプレイのガラス基板(図示せず)に接着される。熱圧縮によりガラス基板にチップ120を接着するプロセスにおいて、熱膨張係数の違い(CTE)により、バンプ180、ボンディングパッド140および保護膜層160の間に、しばしば熱応力が発生する。ボンディングパッド140のコーナー領域は、応力集中効果で特に傷が付き易い。
【0006】
よって、ボンディングパッド140のフラットな上面が保護膜層160とバンプ180に接触するときに、バンプ180とボンディングパッド140間の電気的な接続が、ボンディングパッド140のコーナー領域の周りで簡単に損なわれる。ボンディングパッド140は伝達信号をチップ120に入出力するために使用するので、バンプ180とボンディングパッド140間での電気的な接続の障害は、エレクトロニクス製品全体の信頼性の低下を招くことになる。加えて、熱応力の下で保護膜層160にクラックが入ると、水分が簡単にチップ120内に入り、損傷を引き起こす可能性がある。よって、熱応力によるチップパッケージ100に対する損傷を減らすことが重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の少なくとも一つの課題は、ボンディングパッドと他の導電体間における電気的な接続の信頼性を向上できるボンディングパッドを提供することである。
【0008】
本発明の第二の課題は、チップ構造と他の電気的なデバイス間における電気的な接続の信頼性を向上できるチップ構造を提供することである。
【0009】
本発明の目的に対応しそれらの長所を具現化するために、実施しており以下に詳細に説明するように、本発明ではチップのアクティブ面上に配置するボンディングパッドを提供する。ボンディングパッドは主として、多角形の本体と複数の第一突出部で構成する。多角形の本体には第一平面および対応する第二平面がある。さらに、多角形の本体はチップ上に配置されており、多角形本体の第二平面はチップと繋がっている。第一突出部は第一平面上に配置されており、多角形本体のコーナー領域に位置している。
【0010】
本発明の実施例においては、ボンディングパッドは更に、第一平面上に配置され多角形本体の中央領域に位置する第二突出部分を有していてもよい。第二突出部は例えば第一突出部と繋がっている。第二突出部の形状は、上方から第一平面を見て、十字線形状、円形状、円リング形状、楕円形状、楕円リング形状、多角形状、多角リング形状、あるいはその他の直線的または幾何学的形状、あるいはそれらのいずれかを組み合わせた形状のように、いずれの有用な形状であってもよい。多角形本体、第一突出部、第二突出部は例えば一体ユニットとして一緒に形成する。
【0011】
本実施例において、ボンディングパッドを例えばアルミを使用してつくる。さらに、多角形本体は例えば正方形をしている。
【0012】
本発明ではチップ構造も提供する。チップ構造は主として、チップと少なくとも一つのボンディングパッドで構成する。チップにはアクティブ面がある。ボンディングパッドはアクティブ面上に配置する。ボンディングパッドは主として、多角形本体および複数の第一突出部で構成する。多角形本体には第一平面および対応する第二平面がある。多角形本体はチップ上に配置されており、多角形本体の第二平面はチップと接触している。第一突出部は多角形本体のコーナー領域で第一平面上に配置されている。
【0013】
本実施例において、ボンディングパッドは更に、第一平面上に配置され多角形本体の中央領域に位置する第二突出部を有することもある。第二突出部は、例えば第一突出部と繋がっている。第二突出部の形状は、上方から第一平面を見て、十字線形状、円形状、円リング形状、楕円形状、楕円リング形状、多角形状、多角リング形状、あるいはその他の直線的または幾何学的形状、あるいはそれらのいずれかを組み合わせた形状のように、いずれの有用な形状であってもよい。多角形本体、第一突出部、第二突出部は、例えば一体ユニットとして一緒に形成する。
【0014】
本実施例において、ボンディングパッドはアルミを使用して作り、多角形本体は例えば正方形をしている。チップ構造はさらに、チップのアクティブ面上に配置され、ボンディングパッドのエッジをカバーするが、ボンディングパッドの中央領域は露出したままにする保護膜層を有してもよい。加えて、チップ構造は更に、ボンディングパッド上に配置されボンディングパッドと繋がる少なくとも一つのバンプ(突出部)を有してもよい。バンプは金のような材料を用いてつくる。さらに、チップ構造のボンディングパッドはスパッタリングプロセスで形成し、チップ構造の第一突出部は例えばマスクを用いてスパッタリングプロセスで形成する。
【0015】
本発明ではチップ上に配置するパッドも提供する。パッドは主として、本体と少なくとも一つの第一突出部で構成する。第一突出部は、本体のコーナー領域に配置する。
【0016】
本発明では、前述のパッドを含む表示装置も提供する。
【0017】
本発明では、前述のパッドを含むデバイスも提供する。
【0018】
簡単に言えば、本発明のボンディングパッドは、そのコーナー領域に配置された複数の第一突出部を有する多角形本体を有している。よって、ボンディングパッドのコーナー領域が強化され、チップを別のデバイスに接着する時に、熱応力に起因して起きる可能性のあるボンディングパッドの損傷を防ぐ。結果的に、チップの信頼性と製品歩留まりが向上する。
【0019】
前述の全般的な説明と以下の詳細な説明はともに例示的なものであり、請求の範囲に記載された発明について更に説明するものであることを理解されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
添付図面で例示する本発明の好ましい実施例をこれから説明する。同じまたは類似の部品を参照するために、可能なかぎり同じ参照番号を図面および説明において使用する。
【0021】
図3は本発明の好ましい実施例によるチップ構造の概略断面図である。図3のチップ構造300は、主として、チップ320および少なくとも一つのボンディングパッド340を有する。チップ320はアクティブ面322を有し、ボンディングパッド340はチップ320のアクティブ面322上に配置される。
【0022】
図3で示す実施例では、チップ構造300にはさらに、チップ320のアクティブ面322上に配置した保護膜層360を有していてもよい。保護膜層360は、チップ320を周囲の汚染から保護するために、ボンディングパッド340の周辺域をカバーするが、ボンディングパッド340の中央領域は露出したまま残す。加えて、チップ構造300は、ボンディングパッド340上に配置され電気的にそれと繋がる少なくとも一つのバンプ(突出部)380を有する。バンプ380は、金のような材料でつくることができる。金でつくったバンプ380の占める体積は小さいので、チップ320上のボンディングパッド340の密度を小さくすることができる、または各チップ320のサイズを小さくすることができる。本発明によるチップ構造300の重要なポイントは、ボンディングパッド340の形状にある。ボンディングパッド340の良好な構造をさらに以下に説明する。
【0023】
図4Aは、本発明の好ましい実施例によるチップ構造の平面図である。図4Bは図4Aで示すボンディングパッドの正面図である。図4Aと4Bで示すように、ボンディングパッド340は多角形体342および複数の第一突出部344を有する。ボンディングパッド340を図3で示すチップ構造300に適用することができる。多角形体342は、第一平面342aおよび対応する第二平面342bを有する。多角形体342の第二平面342bは(図3で示す)チップ320上に配置されている。第一突出部344は、多角形体342のコーナー領域で第一平面342a上に配置されている。
【0024】
ボンディングパッド340は更に、多角形体342の中央領域で第一平面342a上に配置した第二突出部346を有する。第二突出部346は望ましくは第一突出部344と繋がっているのがよい。明らかに、第二突出部346をボンディングパッド340から切り離すことができるので、ボンディングパッド340は多角形体342と第一突出部344のみで構成する。ボンディングパッド340は、例えばアルミを使って作る。そして多角形体342の形状は例えば四角形状である。第二突出部の形状は、上方から第一平面を見て、十字線形状、円形状、円リング形状、楕円形状、楕円リング形状、(三角、正方形、長方形、平行四辺形、五角形、六角形、七角形、八角形等のような)多角形状、多角リング形状、あるいはその他の直線的または幾何学的形状、あるいはそれらのいずれかを組み合わせた形状のように、いずれの有用な形状であってもよい。
【0025】
図4Cは、本発明によるボンディングパッドにおける第二突起部の幾つかの可能性を示す上からの図である。図4Cで示すように、第二突出部346の形状は、円形状346a、円リング形状346b、多角形状346c、多角リング形状346d、あるいは十字線形状346eでもよい。
【0026】
図5は、本発明によるボンディングパッドと保護膜層の接触領域を示す部分拡大図である。図3と図5で示すように、第一突出部344は保護膜層360とボンディングパッド340の間の接触領域を効果的に増やす。よって、他のデバイスとボンディングするプロセスでチップ構造300が熱応力を受けるときに、保護膜層360とボンディングパッド340間の接合にクラックが発生し難い。言い換えれば、保護膜層360とボンディングパッド340の接合はより信頼性のあるものとなり、保護膜層360のクラックに起因するチップのエラーを防ぐことができる。
【0027】
図3で示すバンプ(突出部)380とボンディングパッド340の直接接触に限らないことに注意されたい。バンプ380とボンディングパッド340間の接着強度を増加するために、ボンディングパッド340上に接着層350をコーティングしてもよい。接着層350を、例えばチタンタングステン(TiW)材料を使って作ってもよい。さらに、バンプ380を構成する材料は金に限るものではない。スズのような別の材料も使っても良い。加えて、図4Aに示すボンディングパッド340の多角形体342の形状は四角形に限らない。ボンディングパッド340の多角形体342で別の形状も可能である。第二突出部346の形状は図4Cで示すものに限らない。第二突出部346で別の適切な形状を使うことも可能である。
【0028】
図4Aで示す本発明による第一突出部344および第二突出部346を形成するためには、アルミスパッタリングプロセスが有用である。以下において、ボンディングパッドをつくる方法について、より詳細に説明する。
【0029】
図6は、本発明によるボンディングパッドを製造する方法を示す図である。図6で示すように、スパッタリング装置内部にあるマスク620を通過するスパッタリング材料が、ボンディングパッド340を形成する。マスク620には少なくとも一つの中空部分622がある。中空部分622は第一突出部344および第二突出部346と同一の形状をしている。本発明によるボンディングパッド340を形成する方法では、スパッタリング操作を行ってまずボンディングパッド340の多角形体342を形成する。その後、ターゲット材料ボード640と多角形体342の間にマスク620を配置して、スパッタリング操作を再開する。ターゲット材料ボード640からスパッターされた材料の一部が、マスク620の中空部分622を通過して、多角形体342の第一平面342a上に堆積する。
【0030】
ボンディングパッドをつくる前述の方法では特別なフォトマスクを必要としないので、特別のフォトマスクのための余分な時間と費用を必要としない。図6は、単一のボンディングパッド340を形成するための、マスク620の中の単一の中空部分622だけを描いていることに注意されたい。実際においては、対応する第一突出部344の集まりを有する複数のボンディングパッド340を単一のスパッタリングプロセスで形成するために、マスク620は複数の中空部分622を含むことができる。
【0031】
要約すると、本発明のボンディングパッドとチップ構造は、ボンディングパッドのコーナー領域に配置された複数の突出部分を有しているので、ボンディングパッドおよび続いて形成した保護膜層間の接触が増加する。接触領域が大きくなることにより、別のデバイスにチップを接続するプロセスで、ボンディングパッドと保護膜層間の熱応力によって、ボンディングパッドのコーナー領域で損傷を引き起こす可能性が少なくなる。さらに、第二突出部を第一突出部とリンクして配置することにより、ボンディングパッド構造に強度を追加する。加えて、ボンディングパッドをつくる時に、特別のフォトマスクステップを設ける必要がない。よって、ボンディングパッドを形成するために、余分のコストが発生しない。
【0032】
ボンディングパッドを含むチップは、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、あるいはプラズマディスプレイのような、表示装置用駆動ICであってもよい。
【0033】
本発明の適用範囲または精神を離れることなく、種々の修正や変形を本発明の構造に加えられることは、当該技術に精通したものには明白である。前述の観点において、特許請求範囲の適用範囲および同等のものに該当するかぎり、本発明は発明の修正や変形体もカバーするものである。
添付の図面は本発明をより理解するためのものであり、この明細書に組み込まれ、その一部を構成している。図面は本発明の実施例を示しており、詳細な説明と共に本発明の原理を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】従来チップ構造の概略断面図。
【図2】図1によるボンディングパッドの遠視図。
【図3】本発明の好ましい実施例によるチップ構造の概略断面図。
【図4A】本発明の好ましい実施例によるチップ構造の平面図。
【図4B】図4Aで示すボンディングパッドの正面図。
【図4C】本発明によるボンディングパッドにおける第二突出部の幾つかの可能性を示す平 面図。
【図5】本発明によるボンディングパッドと保護膜層の接触領域を示す部分拡大図。
【図6】本発明によるボンディングパッドを製造する方法を示す図。
【符号の説明】
【0035】
100 チップパッケージ
120 チップ
122 アクティブ面
140 ボンディングパッド
160 保護膜層
180 バンプ
300 チップ構造
320 チップ
322 アクティブ面
340 ボンディングパッド
342 多角形体
342a 第一平面
342b 第二平面
344 第一突出部
346 第二突出部
346a 円形状
346b 円リング形状
346c 多角形状
346d 多角リング形状
346e 十字線形状
350 接着層
360 保護膜層
380 バンプ
620 マスク
622 中空部分
640 ターゲット材料ボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一面および対応する第二面を有し、チップ上に配置されて前記第二面がチップと接触している本体、および
本体のコーナー領域で第一面上に配置された少なくとも一つの第一突出部
を有することを特徴とするチップ配置用のボンディングパッド。
【請求項2】
本体の中央領域で第一面に配置した第二突出部を有することを特徴とする請求項1に記載のボンディングパッド。
【請求項3】
第二突出部が第一突出部と繋がっていることを特徴とする請求項2に記載のボンディングパッド。
【請求項4】
上方から第一平面を見たときの第二突出部の形状が、十字線形状、円形状、円リング形状、楕円形状、楕円リング形状、多角形状、多角リング形状、直線的形状、幾何学的形状、それらのいずれかを組み合わせた形状からなるグループから選ぶことを特徴とする請求項2に記載のボンディングパッド。
【請求項5】
アクティブ面を有するチップ、および
第一面および対応する第二面を有しチップ上に配置された本体であってその第二面がチップと接触している本体、および本体のコーナー領域で第一面上に配置された少なくとも一つの第一突出部を有し、チップのアクティブ面上に配置された少なくとも一つのボンディングパッド
を有するチップ構造。
【請求項6】
ボンディングパッドが本体の中央領域で第一面に配置された第二突出部を有することを特徴とする請求項5に記載のチップ構造。
【請求項7】
第二突出部が第一突出部と繋がっていることを特徴とする請求項6に記載のチップ構造。
【請求項8】
上方から第一平面を見たときの第二突出部の形状が、十字線形状、円形状、円リング形状、楕円形状、楕円リング形状、多角形状、多角リング形状、直線的形状、幾何学的形状、それらのいずれかを組み合わせた形状からなるグループから選ばれることを特徴とする請求項6に記載のチップ構造。
【請求項9】
チップのアクティブ面上に配置され、ボンディングパッドの中央領域を露出させたままでボンディングパッドの周辺領域をカバーする保護膜層を有していることを特徴とする請求項5に記載のチップ構造。
【請求項10】
ボンディングパッド上に配置され、それと電気的に繋がっている少なくとも一つのバンプを有することを特徴とする請求項5に記載のチップ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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