説明

ボールキャスター装置及びこれを用いた載置台、画像形成装置、並びに重量構造物

【課題】画像形成装置等の機器の設置場所を移動させる際の移動時に、ボールキャスター装置でありながら移動方向に指向性を持たせて、所望の方向に直線的に移動させることができ、操作性に優れたボールキャスター装置及びこれを用いた載置台、画像形成装置、並びに重量構造物を提供する。
【解決手段】ボールと、前記ボールを回転自在に保持する保持部材と、前記ボールの表面に接離可能に設けられ、接触時には前記ボールの回転方向を規制する部材とを備えるように構成して課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボールキャスター装置及びこれを用いた載置台、画像形成装置、並びに重量構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平06−293201号公報
【特許文献2】特開平05−330303号公報
【特許文献3】特開平06−106907号公報
【特許文献4】特開平06−259168号公報
【特許文献5】実開平06−085103号公報
【特許文献6】特開平10−138704号公報
【特許文献7】特開2006−126605号公報
【0003】
従来、オフィスの床面等に設置して使用される床置き型の複写機やプリンター等の画像形成装置は、装置本体の底面に装着されたキャスターを用いてオフィスの床面等を移動させた後、キャスターを固定することによって所望の場所に設置して使用するように構成されている。
【0004】
上記画像形成装置などを移動させる際に使用可能なキャスター装置としては、例えば、特開平06−293201号公報や特開平05−330303号公報、特開平06−106907号公報、特開平06−259168号公報、実開平06−085103号公報、特開平10−138704号公報、特開2006−126605号公報等に開示された技術が既に種々提案されている。
【0005】
上記特開平06−293201号公報に係るキャスターは、ボールと、このボールを保持する球面座を備えたキャスター本体とからなるように構成したものである。
【0006】
また、上記特開平05−330303号公報に係る足球は、半球状又は円筒状の穴を1つ以上もった基礎部分と、上記半球状又は円筒状の穴より半径の少々小さい、1つ以下ずつ上記穴に入れた球と、上記球全体は穴からでないが、球の一部が出るように基礎部分の穴に対応したところに穴のあいた、上記球を回転可能に、上記穴の中に押えている、基礎部分に固定されている押え部分と、上記基礎部分に固定された取付板または上記基礎部分に装着された植込みボルトからなる、足車の車の代わりに球を用いたものである。
【0007】
さらに、上記特開平06−106907号公報に係るブレーキ付き足球は、足球において、足球の押え部分(5)を基礎部分(1)に対して、滑って動くことが可能なように取り付け、押え部分(5)を球(4)に押し付けることによって、球(4)の回転を止め足球を動かないようにすることを特徴とする、動いている球を静止さす、又は、静止している球を動かないように静止したままに保つように構成したものである。
【0008】
又、上記特開平06−259168号公報に係るディスプレイ装置は、机上を設置面として用いるディスプレイ装置であって、液晶などのディスプレイユニットを収納するディスプレイケースと、このディスプレイケースを支持するスタンドと、このスタンドの底面に設けた複数個のボールキャスターと、前記スタンドの底面に設けたブレーキ手段と、前記スタンドの手前に設け前記ブレーキ手段と連動するレバーを備え、通常時は前記ブレーキ手段により前記スタンドは設置面に固定しており、前記レバーを押下すると前記ブレーキ手段が解除された状態となるように構成したものである。
【0009】
更に、上記実開平06−085103号公報に係るキャスターは、球体受(1)の中に球体(2)を収納し、下部を裸出(3)したものである。
【0010】
また、上記特開平10−138704号公報に係るキャスターのブレーキ装置は、取付板に対し垂直な旋回軸を介してホークが旋回可能に支持され、該ホークの下部に車輪が軸支され、該旋回軸の下部に水平環状の受面を持つ固定受部材が取付けられ、該固定受部材に凸部を押付けて、該ホークの旋回を停止させると共に、ブレーキ部材を車輪のタイヤ部に押し付けて該車輪にブレーキをかけるキャスターのブレーキ装置において、前記タイヤ部を押すための押圧部を有する該ブレーキ部材がホークの上部に上下に揺動可能に軸支され、該ブレーキ部材上に前記凸部が前記固定受部材の受面に対向して設けられ、前記旋回軸の中心軸に沿って貫通孔が穿設され、該貫通孔にブレーキワイヤが挿通され、該ブレーキ部材上の該旋回軸の軸心位置に該ブレーキワイヤの先端が回動自在に接続されるように構成したものである。
【0011】
さらに、上記特開2006−126605号公報に係る画像形成装置は、装置の筐体底面に装置本体を支持する固定式脚部が設けられた画像形成装置において、
前記筐体底面の少なくとも一端縁側に2以上のキャスタを設け、
前記キャスタが、前記一端縁側の固定式脚部より外側で且つ前記一端縁より内側に位置し、前記一端縁と前記一端縁側の固定式脚部との接線より前記キャスタの一部が突出するようにし、且つ前記キャスタの高さが前記固定式脚部の高さより低くなるように構成し、
前記キャスタを支点として装置本体を傾動させ、移動を行なうようにしたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、画像形成装置等の機器の設置場所を移動させる際の移動時に、ボールキャスター装置でありながら移動方向に指向性を持たせて、所望の方向に直線的に移動させることができ、操作性に優れたボールキャスター装置及びこれを用いた載置台、画像形成装置、並びに重量構造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、請求項1に記載された発明は、ボールと、前記ボールを回転自在に保持する保持部材と、前記ボールの表面に接離可能に設けられ、接触時には前記ボールの回転方向を規制する部材とを備えたことを特徴とするボールキャスター装置である。
【0014】
また、請求項2に記載された発明は、前記規制部材はロール部材であり、当該ロール部材が前記ボールの表面に接触する時には、前記ボールが前記ロール部材の回転方向と交差する方向に回転するのを規制することを特徴とする請求項1に記載のボールキャスター装置である。
【0015】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記規制部材は、前記ボールの直径方向に沿った両端部に当接する支点部材からなり、当該支点部材がボール表面に接触する時には、当該ボールの直径方向に沿って支点部材が接触する位置を回転軸とした方向以外に回転するのを規制することを特徴とする請求項1に記載のボールキャスター装置である。
【0016】
又、請求項4に記載された発明は、前記規制部材は、前記ボールの表面に対して接離する接離手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のボールキャスター装置である。
【0017】
更に、請求項5に記載された発明は、前記ボールは、前記ボールキャスター装置の軸部の中心から離間した位置に回転中心を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のボールキャスター装置である。
【0018】
また、請求項6に記載された発明は、前記保持部材は、前記ボールの回転を阻止する阻止部材を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のボールキャスター装置である。
【0019】
さらに、請求項7に記載された発明は、前記請求項1乃至6のいずれかに記載のボールキャスター装置を備えた載置台である。
【0020】
又、請求項8に記載された発明は、前記請求項1乃至6のいずれかに記載のボールキャスター装置を備えた画像形成装置である。
【0021】
更に、請求項9に記載された発明は、前記請求項1乃至6のいずれかに記載のボールキャスター装置を備えた重量構造物である。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、画像形成装置等の設置場所を移動させる際の移動時に、ボールキャスター装置でありながら移動方向に指向性を持たせて、所望の方向に直線的に移動させることができ、操作性に優れたボールキャスター装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係るボールキャスター装置を適用した画像形成装置(重量構造物)としてのフルカラープリンターを示すものである。
【0025】
図2において、1は画像形成装置としてのフルカラープリンターの本体を示すものであり、当該フルカラープリンター本体1の内部には、フルカラーやモノクロの画像を形成する画像形成部が配設されている。また、上記フルカラープリンター本体1内の下部には、フルカラーやモノクロの画像を形成する記録用紙を収容する給紙トレイ2〜5が複数段にわたって配設されており、所望サイズ及び材質の記録用紙にフルカラーやモノクロの画像を形成することが可能となっている。
【0026】
上記フルカラープリンター本体1は、その構造上、かなりの重量を有する重量構造物を構成しており、当該フルカラープリンター本体1は、その設置時に運搬業者がオフィス等のビル内に搬入し、エレベーター等に載せたり、オフィスの廊下等を移動させたりした後に、オフィスのフロア等の所望箇所に設置して使用される。
【0027】
そのため、上記フルカラープリンター本体1の底面には、図2に示すように、フルカラープリンター本体1を移動させるためのボールキャスター装置6、7が、その四隅近傍に取り付けられている。なお、本発明の実施形態に係るボールキャスター装置6、7は、例えば、フルカラープリンター本体1の底面の四隅近傍に取り付けられる4つのボールキャスター装置6、7すべてに対して適用されるが、図2に示すように、フルカラープリンター本体1底面の一側に位置する2つのボールキャスター装置6にのみ適用して、他のボールキャスター装置7としては、従来のものを使用しても勿論良い。
【0028】
また、本発明の実施形態に係るボールキャスター装置は、フルカラープリンター本体1の底面に設けられるものに限定されるものではなく、図4に示すように、デスク上に載置するタイプのプリンター1を載置した載置台8や、図示しないスキャナーを載置するスキャナーラック、あるいはテレビや家具等を載置する載置台や重量を有する重量構造物等の任意の部材に取り付けて使用できることは勿論である。
【0029】
ところで、この実施の形態では、ボールと、前記ボールを回転自在に保持する保持部材と、前記ボールの表面に接離可能に設けられ、接触時には前記ボールの回転方向を規制する部材とを備えるように構成されている。
【0030】
すなわち、この実施の形態に係るボールキャスター装置6は、図1及び図5に示すように、大別して、ボール10と、ボール10を回転自在に保持するボール保持部材としてのボールホルダー11と、ボール10の表面に接離可能に設けられ、接触時には前記ボールの回転方向を規制する規制部材12とを備えている。
【0031】
上記ボール10は、例えば、鉄鋼製の球体である鋼球からなり、所定の直径を有する球形状に形成されている。なお、ボール10としては、鋼球からなるものに限定されることなく、他の金属材料や、硬質の合成樹脂等からなるものを用いても勿論良い。
【0032】
また、上記ボールホルダー11は、ボール10が脱落することがないように、その下端面にボール10の直径よりも僅かに小さい開口12を有しており、ボール10が摺接する部分は球面座13に形成され、耐磨耗性のすべり部材14がボール10とボールホルダー11の間に介装されている。このボールホルダー11は、例えば、合成樹脂によって形成され、ボール10をボールホルダー11の開口12に押し込むように装着すると、合成樹脂製のボールホルダー11の開口12が弾性変形により拡径してボール10が開口を通過し、当該ボール10がボールホルダー11の球面座13に収容される。
【0033】
上記ボールホルダー11には、図1に示すように、ボール10の中心Oよりも一側に所定量Lだけ偏心した位置に、ボールキャスター装置6をフルカラープリンター本体1の底面に取り付けるための軸受け部15が一体的に設けられている。この軸受け部15には、金属製の円柱等からなる軸部16が垂直方向に設定された回転軸17を中心にして回転自在に支持されているとともに、当該軸部16は、フルカラープリンター本体1の底面に固定した状態で取り付けられている。
【0034】
また、上記軸部16の中心O’とボール10の中心Oは、上述したように所定量Lだけずれており、軸部16の中心O’と、床面Fに接触するボール10との間に作用する回転モーメントによって、常にボール10が進行方向に対して下流側に向くように構成されている。
【0035】
さらに、上記ボールホルダー11の球面座13の上部には、図1及び図6に示すように、ボール10の上面が露出するように開口部18が設けられており、当該開口部18には、規制部材としてのロール部材12がボール10表面に接離可能に臨んでいる。上記ロール部材12は、例えば、二個のロール19が所定の間隔で平行にロール保持具20に回転軸19aによって回転自在に軸支されており、ロール保持具20は、ボールホルダー11に対して長孔21を介して上下動するように支持されている。また、上記ロール保持具20とボールホルダー11との間には、圧縮スプリング22が介在されており、ロール保持具20は、図1に破線で示すように、圧縮スプリング22によってボール10から離間する方向に常に付勢されている。
【0036】
また、上記ボールホルダー11の上部には、カムレバー23がボールホルダー11に対して回動自在に軸支されており、カムレバー23を図1中の反時計回り方向に回動させて起こすと、カムレバー23のカム面24がボールホルダー11を下方に押圧し、2つのロール29が図1及び図5に示すようにボール10の表面に押しつけられる。これらのロール19は、例えば、ゴム製、又は金属製ロールの表面にゴム等を被覆することによって、その表面が摩擦係数が高い高摩擦部材で形成されており、ボール10表面に押し付けることによって、ボール10は、ロール19の回転方向には抵抗なく回転するが、ロール19の回転方向と交差する方向に回転しようとすると、ボール10表面とロール19表面との摩擦力により抵抗を受け、回転が阻止されるようになっている。その結果、上記ロール19の回転軸19aは、ボールキャスター装置6の進行方向と直交する方向を向くことになる。
【0037】
以上の構成において、この実施の形態1に係るボールキャスター装置を適用したフルカラープリンターでは、次のようにして、画像形成装置等の機器の設置場所を移動させる際の移動時に、ボールキャスター装置でありながら移動方向に指向性を持たせて、所望の方向に直線的に移動させることができ、操作性に優れたものとなっている。
【0038】
すなわち、この実施の形態1に係るボールキャスター装置を適用したフルカラープリンターでは、フルカラープリンター本体1を所望の方向に直線的に移動させる場合は、図1に示すように、ボールキャスター装置6のカムレバー23を時計回り方向に回動させて倒すことにより、ボール10表面に2つのロール19を押し付ける。
【0039】
すると、上記ボールキャスター装置6のボール10は、図1に示すように、ロール19の回転方向に指向性を持って回転するようになるので、所望の方向に直線的に進行させることができる。上記フルカラープリンター本体1を移動し終わった場合には、カムレバー23を反時計回り方向に回動させて起こすことにより、図1に破線で示すように、2本のロール19をボール10表面から離間させる。また、カムレバー23の上面に形成されたロック部25がフルカラープリンター本体1側の支持部40の凹溝41に嵌合して、ボールキャスター6の軸部16周りの回転を規制する。すると、ボール10は、その回転方向を規制する部材が存在しないため、指向性を失い360度自由な方向に回転して進行することができる。
【0040】
上記の如く、フルカラープリンター本体1に本ボールキャスター装置6を適用すれば、例えば、原稿の画像を読み取るスキャナーが装着されたスキャナーラックの下部に、プリンター本体1を設置する場合など、オフィスの床面上などを比較的小さな力でプリンター本体1を押すだけで任意の位置に移動させることができるので、設置作業の作業性が大幅に向上する。
【0041】
また、上記フルカラープリンター本体1を移動するときには、ボールキャスター装置6のカムレバー23を倒すだけの簡単な操作で、ボールキャスター装置6に指向性を持たせることができ、容易にまっすぐ搬送移動させることができる。さらに、上記ボールキャスター装置6は、従来のキャスター装置と同様、軸部15とボール10とがずれて配置されているため、方向転換も従来のキャスター装置と同様に違和感なく行うことができる。
【0042】
実施の形態2
図7はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、前記規制部材が、前記ボールの直径方向に沿った両端部に当接する支点部材からなり、当該支点部材がボール表面に接触する時には、当該ボールの直径方向に沿って支点部材が接触する位置を回転軸とした方向以外に回転するのを規制するように構成したものである。
【0043】
すなわち、この実施の形態2では、図7に示すように、ボールホルダー11が合成樹脂等から所定の肉厚を有する球体の一部として形成されており、当該ボールホルダー11の両端部には、図8に示すように、その水平に位置する中心線30に沿って回転中心となる軸心部31が円形状の孔部としてそれぞれ穿設されている。また、上記軸心部31には、前記中心線30を含む断面の一端側に連続した状態で、ボールホルダー11の外表面に沿って所定の長さにわたって規制溝部32が、前記中心線30を含む断面であって、当該中心線30と直交する半径を対称軸として対称な位置に、所定の深さで設けられている。
【0044】
また、上記ボールホルダー11には、図7及び図8に示すように、上記中心線30を含む断面に平行にスライド自在に、第1のレバー部材33が配設されている。この第1のレバー部材33には、ボールホルダー11の外周を取り囲むように2つに分岐した腕部34を有しており、当該腕部34の先端部には、ボール10の直径方向に沿って両端部に設けられた軸心部31に嵌合される支点部材35と、当該支点部材35の先端側に位置する規制溝部に係合する回転止めボッチ部材36とが設けられている。これら支点部材35と回転止めボッチ部材36は、支点部材36の方が若干長い円柱形状に形成されているとともに、その先端部は、半円形状に形成されている。
【0045】
そして、上記支点部材35と回転止めボッチ部材36は、第1のレバー部材33がボールホルダー11に当接している状態では、図8(a)に示すように、支点部材35が軸心部31からはずれて、支点部材35が規制溝部32の先端部に係合した状態で停止するとともに、第1のレバー部材33をボールホルダー11から離間する方向に引くことによって、図8(b)に示すように、支点部材35が軸心部31に嵌合し、且つ回転止めボッチ部材36が規制溝部32の先端部近傍に係合した状態で停止する。
【0046】
さらに、上記ボールホルダー11の上端部に回動自在に取り付けられた第2のレバー部材50は、反時計回り方向に回動して起こすことにより、第2のレバー部材50の上端面に設けられたロック部51が、プリンター本体1側の支持部40の凹部41と嵌合して軸部16の回転を阻止し、軸部16に対してボール10が位置する方向が固定される。
【0047】
また、上記第2のレバー部材50には、時計回り方向に回動して倒すことにより、第2のレバー部材50の先端の下端面に設けられた高摩擦部材からなるストッパーパッド52がボール10の表面に圧接してボール10の回転を阻止するように構成されている。
【0048】
以上の構成において、この実施の形態2に係るボールキャスター装置を適用したフルカラープリンターでは、次のようにして、画像形成装置等の機器の設置場所を移動させる際の移動時に、ボールキャスター装置でありながら移動方向に指向性を持たせて、所望の方向に直線的に移動させることができ、操作性に優れたものとなっている。
【0049】
すなわち、この実施の形態2に係るボールキャスター装置6では、図7及び図8(b)に示すように、第1のレバー部材33を引くと、支点35が、ボール10の中心線30上に配置され、ボール10の両端を中心線30上で中心に向けて押圧する。すると、ボール10は、中心線30を回転中心として回転し、それ以外の方向にはボール10表面と支点の摩擦力により回転が規制される。また、ボール10を軟質の合成樹脂等で形成し、支点部材35を硬質の部材で形成することで、支点部材35がボール10の表面に押圧されたときに、ボール10の被押圧部が若干凹むようにしてもよい。
【0050】
一方、上記第1のレバー部材33を押し込んだ場合には、図8(a)に示すように、支点のボール10への押圧が解除され、ボールは再び360度回転可能となる。
【0051】
上記支点35は、ボールホルダー11に設けられた溝に案内され、ボールホルダー11に設けられた軸心部31から突出してボール10表面を押圧する。この押圧力は、第1のレバー部材33の弾性力によって得られる。第1のレバー部材33は、引かれた状態で支点周りに回転しないように、回転止めボッチ部材36がボールホルダー11の溝32に嵌るようになっている。
【0052】
また、上記第2のレバー部材50を倒した場合には、図7に示すように、ストッパーパッド52がボール10の表面に押圧され、ボール10の回転が阻止される。また、上記第2のレバー部材50を起こした場合には、プリンター本体1側の支持部40の凹溝41に係合して、ボールキャスター6の軸部16周りの回転を規制する。
【0053】
したがって、上記第1のレバー部材33が押し込まれた状態で、第2のレバー部材50が起こされた状態では、ボールキャスター装置6は、支軸周りに回転せず、ボール10は360度回転可能となるので、プリンター本体1の位置調整が容易となる。
【0054】
さらに、上記第1のレバー部材33が引かれた状態で、第2のレバー部材50が途中まで倒された状態、適宜ロック作用を受ける状態では、ボール10は前後方向にのみ回転し、またボールキャスター装置6は、軸部16周りに回転するので、プリンター本体1の移動させる際の直線安定性が得られる。なお、このとき、第1のレバー部材33と第2のレバー部材50が連動するように構成しても良い。
【0055】
また、上記第2のレバー部材50が倒された状態では、ストッパーパッド52がボール10表面に押圧され、ボール10の回転が止まり、ボールキャスター装置6は停止した状態を維持する。
【0056】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係るボールキャスター装置を示す断面構成図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係るボールキャスター装置を適用した画像形成装置を示す全体構成図である。
【図3】図3は画像形成装置の底面図である。
【図4】図4はこの発明の実施の形態1に係るボールキャスター装置を適用した載置台を示す全体構成図である。
【図5】図5はこの発明の実施の形態1に係るボールキャスター装置の要部を示す斜視構成図である。
【図6】図6はこの発明の実施の形態1に係るボールキャスター装置を示す分解斜視図である。
【図7】図7はこの発明の実施の形態2に係るボールキャスター装置を示す断面構成図である。
【図8】図8はこの発明の実施の形態2に係るボールキャスター装置の要部を示す断面構成図である。
【符号の説明】
【0058】
10:ボール、11:ボールホルダー、12:規制部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールと、前記ボールを回転自在に保持する保持部材と、前記ボールの表面に接離可能に設けられ、接触時には前記ボールの回転方向を規制する部材とを備えたことを特徴とするボールキャスター装置。
【請求項2】
前記規制部材はロール部材であり、当該ロール部材が前記ボールの表面に接触する時には、前記ボールが前記ロール部材の回転方向と交差する方向に回転するのを規制することを特徴とする請求項1に記載のボールキャスター装置。
【請求項3】
前記規制部材は、前記ボールの直径方向に沿った両端部に当接する支点部材からなり、当該支点部材がボール表面に接触する時には、当該ボールの直径方向に沿って支点部材が接触する位置を回転軸とした方向以外に回転するのを規制することを特徴とする請求項1に記載のボールキャスター装置。
【請求項4】
前記規制部材は、前記ボールの表面に対して接離する接離手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のボールキャスター装置。
【請求項5】
前記ボールは、前記ボールキャスター装置の軸部の中心から離間した位置に回転中心を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のボールキャスター装置。
【請求項6】
前記保持部材は、前記ボールの回転を阻止する阻止部材を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のボールキャスター装置。
【請求項7】
前記請求項1乃至6のいずれかに記載のボールキャスター装置を備えた載置台。
【請求項8】
前記請求項1乃至6のいずれかに記載のボールキャスター装置を備えた画像形成装置。
【請求項9】
前記請求項1乃至6のいずれかに記載のボールキャスター装置を備えた重量構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−234410(P2009−234410A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82662(P2008−82662)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】