説明

ボールパドルゲーム装置、制御方法、及び、記憶媒体

【課題】 ボールを音楽のリズムやテンポに合わせて移動させれば、音楽と一緒にゲームを楽しむことができるボールパドルゲーム装置を提供することである。
【解決手段】 ボールパドルゲーム装置10は、テレビジョンモニタ18に接続されたゲーム機12を有し、ゲーム機12にパドルキー28a−28dを設ける。モニタ上のゲーム画面中で、パドル数に対応する数のボール移動経路上をボールが移動する。パドルが移動経路上に表示され、パドルキー28を押すと、対応のパドルがボールを打つ。パドルキー28の操作とボール移動のタイミングとが合致すれば成功、そうでなければ失敗となる。ボールの落下に関係ないタイミングでパドルキー28が操作された場合、それ以後のパドルの動きを緩慢にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボールパドルゲーム装置に関し、特にたとえばテレビジョンモニタのゲーム画面上に複数のボール移動経路を形成しそのボール移動経路を移動するボールをボール移動経路に設けた複数のパドルによって打ち返す、新規なボールパドルゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、テレビゲームで音楽とゲーム操作とを関連付けて楽しむゲームソフトが人気をよんでいる。この音楽ゲームの一例では、画面左側に楽譜または楽譜に応じて操されるすべきキーを上から下へスクロール表示し、ゲームプレイヤはその指示に従ってゲームコントローラまたは専用のキーボード型入力装置を操作する。楽譜はスクロール表示のため、一定時間たつと画面から消える。したがって、時間内にコントローラや入力装置を操作する必要があり、失敗すると、減点される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の音楽テレビゲームは音楽とゲームとを結合した新しい形態であるが、あくまでもテレビゲームであり、したがって、それを楽しむためには、ゲーム機とソフトとの両方を準備する必要があり、高価である。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、より安価に、必要に応じて、音楽ゲームを楽しむことができる、ボールパドルゲーム装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、テレビジョンモニタおよびそれに接続されるゲーム機を含むボールパドルゲーム装置であって、ゲーム機には複数のパドルキーとそのパドルキーの操作信号を受けるゲームプロセサを設け、ゲームプロセサは、テレビジョンモニタに、複数のパドルキーのそれぞれの操作に個別に応答する複数のパドル図形と、複数のパドル図形のそれぞれに個別に対応する複数の移動経路上で所定のパターンで移動するボール図形とを表示し、ゲームプロセサは、パドルキーをゲームプレイヤが操作したタイミングに基づいてパドル図形を変位させてボール図形に変化を与える、ボールパドルゲーム装置である。
【0006】
複数のボール移動経路のそれぞれにおいてランダムにボールがパドルに向かって移動する。そこで、ゲームプレイヤは、パドルによってボールを跳ね返すべくパドルキーを操作する。パドルキーを操作するタイミングがボールの移動タイミングと合致したら、ゲーム画面上において、ボールは移動方向を変える。たとえばボール移動がボールの落下である場合、パドルにヒットされたボールは上方に跳ね上げられ、やがて消滅する。ボールヒットに失敗すると、ボールはそのまま運動を続け、やがて消滅する。失敗したときライフ(ゲーム可能回数)を減じ、ライフの残りの有無でゲームの続行の可否を決定する。
【0007】
ボール移動を音楽に合わせるようにしてもよく、音楽とは関係なくボールを移動させるようにしてもよい。前者であれば、音楽ゲームとして楽しむことができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、音楽に合わせてボールが移動するように設定すれば、移動するボールをパドルで打つという単純なゲームで音楽を楽しむことができる。また、音楽を使わなくても、パドルキーを操作するために手を使うものであり、しかも、ゲーム自体の面白味があるので、障害者や老人のリハビリテーションに有効に利用されることが期待できる。
【0009】
この発明のその他の目的,特徴および利点は、添付図面に関連して行われる以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の一実施例のボールパドルゲーム装置を示す構成図である。
【図2】図1実施例におけるゲーム画面の一例を示す図解図である。
【図3】図1実施例を示すブロッグ図である。
【図4】図1実施例の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すこの発明の一実施例であるボールパドルゲーム装置10は、ゲーム機12を含み、このゲーム機12には、ACアダプタ14によって、または電池15によって、直流電源が与えられる。ゲーム機12は、さらに、AVケーブル20を通して、テレビジョンモニタ18のAV端子16に接続される。
【0012】
ゲーム機12は、たとえばプラスチックからなるハウジングを有し、このハウジングの側面に電源スイッチ22が設けられるとともに、ハウジングの奥側上面にスタートキー24および選曲キー26が設けられる。スタートキー24はゲームを開始させるとき操作される。選曲キー26は、後述のように音楽に合わせてゲームをするときに、予め登録されている複数の曲のいずれかを選択するものである。
【0013】
ゲーム機12のハウジングの手前側はやや下方に傾斜していて、その傾斜面に複数(実施例では4つ)のパドルキー28a,28b,28cおよび28dが、適宜間隔を隔てて配置される。このパドルキー28a−28dはゲームプレイヤが手指で操作するものであり、そのために一直線上にではなく、指によって操作しやすい位置に配置されることが望ましい。
【0014】
図1のボールパドルゲーム装置では、テレビジョンモニタ18に図2で示すようなゲーム画面を表示する。ゲーム画面中には、複数(実施例では4つ)のボール移動経路A,B,CおよびDが形成される。移動経路A−Dのそれぞれの上をボール図形(以下、単に「ボール」ということがある。)32が移動する。実施例ではボール32が落下するように表示する。しかしながら、このボール32の移動方向は、上から下へ向かう方向だけでなく、その逆に下から上へ向かう方向、左右のいずれかから他方へ向かう方向、図2の紙面直交して手前側にまたは奥側に向かう方向、あるいはそれらの方向に対して斜交する方向等任意の方向が設定可能である。
【0015】
移動経路A−D上をボールを落下させるのであるが、このボールの落下は、一定のパターンに従っている。たとえば、4列のうちの任意の1列でボール32が順次落下しまたは2列以上で同時にボールが落下する。落下するボール32を受けるように、ゲーム画面中には、各移動経路中に、パドル図形(以下、単に「パドル」ということがある。)30a,30b,30cおよび30dを、たとえば横一列に配列して表示する。ただし、各パドル30a−30dの高さ位置は、必ずしも実施例のように一様でなくてもよく、それぞれに異なった高さ位置が設定されてもよい。
【0016】
ボールパドルゲーム装置10では、ゲームプレイヤが選曲キー26で曲を選択すると音楽が演奏され、好ましくは、その音楽のリズムないしテンポに合わせたパターンでボール32を落下させる。そして、ゲームプレイヤは図1に示すパドルキー28a−28dを操作して、パドル30a−30dによってボール32がうまくヒットさせるゲームである。パドルによってボールがうまくヒットされると、実施例では、ボールがパドルに跳ね返され上方に打ち上げられる。パドルキー28を操作するタイミングが遅れて、パドルによってボールをヒットするのに失敗すると、実施例では、ボールがパドルの下方に向かって消滅する。
【0017】
失敗の場合、ゲーム情報表示部34におけるライフ表示部36においてライフを1つ減じ、ライフ図形の1つを消す。ただし、ライフとは、ゲームプレイヤがトライできるゲーム回数のことである。
【0018】
なお、実施例では、ボール落下に関係ないタイミングでパドルキー28を操作した場合、それ以後のパドル30の動きが緩慢になるなどのペナルティを課すようにしている。それによって、ゲームプレイヤが常にどのタイミングででも4のパドルキー28a−28dを同時に操作する等、ゲームの本来的な楽しみ方から外れた操作を規制する。
【0019】
図3に示すように、ゲーム機12は、ゲームプロセサ38を含む。ゲームプロセサ38としては任意のプロセサが利用可能であるが、この実施例では、本件出願人が開発しかつ既に特許出願している高速プロセサを利用する。この高速プロセサは、たとえば特開平10−307790号公報[G06F13/36,15/78]およびこれに対応するアメリカ特許出願第09/019,277号に詳細に開示されている。
【0020】
ゲームプロセサ38は、図示しないが、演算プロセサ,グラフィックプロセサ,サウンドプロセサ,DMAプロセサ等の各種プロセサを含むとともに、アナログ信号を取り込むときに用いられるADコンバータやキー操作信号のような入力信号を受けあるいは外部機器に対して出力信号を与える入出力制御回路を含む。
【0021】
演算プロセサは入力信号に応じて所要の演算を実行し、その結果を他のプロセサに与える。グラフィックプロセサは演算結果によって必要となったグラフィック処理を実行し、変化するゲーム画像を作成する。サウンドプロセサも同様に演算結果によって必要なサウンド処理を実行する。
【0022】
ゲームプロセサ38には外部バスによって外部メモリ40が接続される。外部メモリ40は、ROMおよび/またはRAMであり、プログラム領域42,画像データ領域44および音楽データ領域46を含む。プログラム領域42には、後述の図4に示すゲーム制御プログラムが格納されていて、画像データ領域44には、ボール図形32やパドル図形30のための画像データや、他の必要な画像データが格納されている。音楽データ領域46には、先に説明した複数の曲の音楽データが格納されている。具体的には、その曲の楽譜データ(これはMIDIデータに相当する)やその曲を演奏する各楽器の音声波形データである。曲名がテレビジョンモニタ18(図1)に表示され、選曲キー26(図1,図3)で希望の曲名を選択すると、その曲の楽譜データおよび楽器波形データが、音楽領域46から読み出され、ゲームプロセサ38にあるサウンドプロセサに与えられる。
【0023】
なお、音楽データ領域46(または他の領域)には、音楽に合わせたボール落下パターンを設定するためのボールパターンデータもまた予め設定されている。
【0024】
また、図1に示す各キー24,26,および28a−28dは、ゲームプロセサ38の入力ポートすなわち入出力制御回路に入力される。また、ゲームプロセサ38からのビデオ信号(ゲーム画像を形成する)およびオーディオ信号(音楽)は、AVケーブル18によって、テレビジョンモニタ18に与えられる。
【0025】
ゲームプロセサ38は、図4に示すフロー図に従ってゲームを実行する。図4に示すように、ゲームモード全体制御において、必要なタイミングで、ボール全体制御タスクおよび各パドル制御タスクを生成させ、また、ボール全体制御タスクは、必要なタイミングで、各ボール制御タスクを生成させる。
【0026】
ボール全体制御タスクでは、ボール運動開始タイミングを判定する。このボール運動開始タイミングは、好ましくは、ゲームプレイヤが選択した曲のリズムやテンポに合わせてプログラムによって設定される。そして、ボール運動開始タイミングになると、ゲームプロセサ38は、音楽データ領域46(図3)からボールパターンデータを読み込むとともに、各ボール制御タスクを生成する。
【0027】
ボール制御タスクでは、ボールの落下運動を制御するとともに、パドルの打撃位置のレンジ判定を行う。すなわち、ボール32(図2)の落下途中の一定範囲にパドル30(図2)によってボールをヒットできる範囲が設定されているので、ここでは、その打撃レンジ内にパドルがあるかどうか判定する。打撃レンジ内にパドルがあるということは、パドルによるボールヒットに成功したことを意味し、この場合には、ボール制御タスクは、ボール跳ね返り運動を制御する。したがって、ボールがパドルに跳ね返され、ボールは同じ移動経路中において上方に向かって運動する。そして、ボール消滅レンジ内までボールが跳ね上げられると、そのボールについての制御タスクが消滅する。
【0028】
打撃レンジ内にパドルが存在しなかったとき、ボール制御タスクでは、再びレンジ判定を実行する。このときのレンジ判定は、パドルによってボールをヒットするのに一度は失敗したが打ち直しができる範囲であるかどうかのレンジ判定である。このときのレンジ判定で“YES”が判断されると、ボール制御タスクの最初のボール運動制御に戻る。“NO”のときには、ボールヒットに完全に失敗したのであるから、ライフを「1」減じて、ボール制御タスクを終える。
【0029】
ゲーム全体制御では、ボール制御タスクの実行が開始された適当なタイミングで、パドル制御タスクを生成させる。このパドル制御タスクでは、タスクが消滅しているかどうか、つまり当該パドルによってヒットすべき対象のボールがあるかどうか判断し、なければそのまま当該タスクを終える。
【0030】
タスクが消滅していないとき、パドル制御タスクでは、パドルキー28a−28dのキー操作信号を読み込み、そのキー信号に応じて該当のパドルの位置を制御する。そして、そのパドルが含まれている移動経路上のボールの位置をチェックする。そのパドルに対応するボールがある場合、パドルを高速に通常位置(図2でいうと、点線で示すパドル30cの位置が通常位置である。)に戻す。ボールがない場合には、ボールがないのにパドルキーを操作したことを意味し、先に説明したペナルティの対象となる。したがって、このときには、パドルをゆっくり通常位置に戻し、次のパドル操作が遅れるようにして、次のパドル操作を妨害する。これが、無意味にパドルキーを操作したペナルティである。
【0031】
先の各ボール制御タスクでライフをディクリメントした場合、ゲーム全体制御において、ライフ評価を実行し、ライフが残っているかどか判断する。そして、残りライフがなくなったとき、または各制御タスクが消滅したとき、全タスクの消滅処理を実行する。このとき、音楽の演奏を停止させる。したがって、ゲームプレイヤが選択した曲を全部聴き終えるためには、その曲の終わりまでライフを残す必要がある。
【0032】
なお、上述の実施例では、ボールの運動タイミングやボールパターンを音楽に合わせて設定するようにしたので、パドルでボールを打つというゲームを音楽とともに楽しむことができる。しかしながら、必ずしも音楽が必須のものではなく、この発明は、ボールの運動を音楽に合わせたものも、音楽に関係なくボールを運動させるものも両方を含む。
【符号の説明】
【0033】
10 …ボールパドルゲーム装置
12 …ゲーム機
18 …テレビジョンモニタ
28a−28d …パドルスイッチ
32 …ボール
30a−30d …パドル
38 …ゲームプロセサ
40 …外部メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビジョンモニタに接続されるボールパドルゲーム装置であって、
複数のパドルキーと、
前記テレビジョンモニタに、前記複数のパドルキーのそれぞれの操作に個別に応答する複数のパドル図形と、前記複数のパドル図形のそれぞれに個別に対応する移動経路上を移動するボール図形とを表示する表示手段と、
前記パドルキーの操作信号に応じて、該当の前記パドル図形の位置を制御する位置制御手段と、
ゲームプレイヤが前記パドルキーを操作するタイミングが前記ボール図形の移動タイミングと合致したか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が、前記パドルキーの操作タイミングが前記ボール図形の移動タイミングと合致したと判断した場合、前記パドル図形で前記ボール図形を打ち返す打ち返し手段と、を備え、
前記位置制御手段は、前記ボール図形の落下に関係ないタイミングで前記パドルキーが操作された場合、それ以後の前記パドル図形の動きを緩慢にする、ボールパドルゲーム装置。
【請求項2】
テレビジョンモニタに接続され、かつ複数のパドルキーと前記パドルキーの操作信号を受けるゲームプロセサとを備えるボールパドルゲーム装置の制御方法であって、
前記テレビジョンモニタに、前記複数のパドルキーのそれぞれの操作に個別に応答する複数のパドル図形と、前記複数のパドル図形のそれぞれに個別に対応する移動経路上を移動するボール図形とを表示するステップと、
前記パドルキーの操作信号に応じて、該当の前記パドル図形の位置を制御するステップと、
ゲームプレイヤが前記パドルキーを操作するタイミングが前記ボール図形の移動タイミングと合致したか否かを判断するステップと、
判断する前記ステップが、前記パドルキーの操作タイミングが前記ボール図形の移動タイミングと合致したと判断した場合、前記パドル図形で前記ボール図形を打ち返すステップと、
前記ボール図形の落下に関係ないタイミングで前記パドルキーが操作された場合、それ以後の前記パドル図形の動きを緩慢にするステップと、を含む制御方法。
【請求項3】
テレビジョンモニタに接続され、かつ複数のパドルキーと前記パドルキーの操作信号を受けるゲームプロセサとを備えるボールパドルゲーム装置のプログラムを記憶した記憶媒体であって、前記プログラムは、前記プロセサを、
前記テレビジョンモニタに、前記複数のパドルキーのそれぞれの操作に個別に応答する複数のパドル図形と、前記複数のパドル図形のそれぞれに個別に対応する移動経路上を移動するボール図形とを表示する表示手段と、
前記パドルキーの操作信号に応じて、該当の前記パドル図形の位置を制御する位置制御手段と、
ゲームプレイヤが前記パドルキーを操作するタイミングが前記ボール図形の移動タイミングと合致したか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が、前記パドルキーの操作タイミングが前記ボール図形の移動タイミングと合致したと判断した場合、前記パドル図形で前記ボール図形を打ち返す打ち返し手段と、して機能させ、
前記位置制御手段は、前記ボール図形の落下に関係ないタイミングで前記パドルキーが操作された場合、それ以後の前記パドル図形の動きを緩慢にする、記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−98247(P2011−98247A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40425(P2011−40425)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【分割の表示】特願2009−239406(P2009−239406)の分割
【原出願日】平成11年10月4日(1999.10.4)
【出願人】(396025861)新世代株式会社 (138)
【Fターム(参考)】