ポジトロン放射断層撮影(PET)イメージングシステム、方法及び核医学イメージングシステム
【課題】天板のたわみを補償すること。
【解決手段】実施形態のPETイメージングシステム10は、測定サブシステム50と、収集サブシステム52と、再構成サブシステム54とを備える。測定サブシステム50は、被検体を載せる天板である被検体天板18のたわみを検出し、当該検出されたたわみに基づくたわみ情報を提供する。収集サブシステム52は、測定サブシステム50からたわみ情報を受信し、PETスキャナ14から複数の同時発生事象に対応するPET測定データを受信し、当該受信したたわみ情報及びPET測定データを再構成サブシステム54に伝達する。再構成サブシステム54は、受信したたわみ情報及びPET測定データを用いて、PETスキャン画像を再構成するプロセッサを有する。
【解決手段】実施形態のPETイメージングシステム10は、測定サブシステム50と、収集サブシステム52と、再構成サブシステム54とを備える。測定サブシステム50は、被検体を載せる天板である被検体天板18のたわみを検出し、当該検出されたたわみに基づくたわみ情報を提供する。収集サブシステム52は、測定サブシステム50からたわみ情報を受信し、PETスキャナ14から複数の同時発生事象に対応するPET測定データを受信し、当該受信したたわみ情報及びPET測定データを再構成サブシステム54に伝達する。再構成サブシステム54は、受信したたわみ情報及びPET測定データを用いて、PETスキャン画像を再構成するプロセッサを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ポジトロン放射断層撮影(PET)イメージングシステム、方法及び核医学イメージングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポジトロン放射断層撮影(PET:Positron Emission Tomography)イメージングは、医用イメージングの分野で利用が広がっている。PETイメージングにおいては、最初に患者に放射性医薬品が投与される。かかる放射性医薬品は、多くの場合、注射で患者に注入されるが、吸入又は摂取させることも可能である。放射性医薬品を投与してしばらくすると、かかる薬品は、当該薬品の物理的性質及び生体分子的性質により、人体内の特定の部位に集積する。薬品の実際の空間分布、蓄積点若しくは蓄積領域の強度、及び投与から捕獲、そして最終的な排出に至るプロセスの動態は、全て、臨床的に重要な意味を持つ可能性のある要素である。このプロセスを通して、放射性医薬品に付着させたポジトロン放出体は、半減期、分岐比といった同位体の物理的性質に従ってポジトロン(陽電子)を放出する。
【0003】
放出されたポジトロンが電子と衝突する際に消滅事象(annihilation event)が起こり、その結果、ポジトロン及び電子は崩壊する。ほとんどの場合、消滅事象によって、実質的に180°離れて反対方向に移動する2つのガンマ線(511keV)が発生する。
【0004】
これら2つのガンマ線を検出し、それらの部位を結ぶ線、即ち同時計数線(LOR:Line Of Response)を引くことによって、高い確率で元の消滅位置を探し出すことができる。このプロセスは、相互作用が起こっている可能性のある線を識別するに過ぎないが、これらの線を数多く蓄積すれば、断層を再構成するプロセスを用いることによって、元の分布を推定することができる。シンチレータ結晶では2つのガンマ線の相互作用から2つのシンチレーション事象が生じており、シンチレーション事象が生じた部位の他に、正確なタイミング(数百ピコ秒以内)も利用可能であれば、飛行時間(TOF:Time Of Flight)の計算により、上記の同時計数線に沿った、消滅事象が生じた確率の高い位置に関する更なる情報を加えることができる。スキャナが有するタイミング分解能の限界によって、この線に沿った位置判定の精度が決まることになる。更に、元のシンチレーション事象の部位を決定する際の限界によって、スキャナの最終的空間分解能が決まることになる。一方、同位体の特定の特性(例えばポジトロンのエネルギー)も、(ポジトロンの範囲及び2つのガンマ線の共直線性を介して)この特定の薬品の空間分解能を決める一因となる。
【0005】
多数の事象を集めれば、断層再構成から、推定すべき被検体の画像に関する必要な情報を生成できる。該当の検出エレメントで検出された実質的に同時に起こっている2つの事象によって、同時計数線が形成される。それらの事象の幾何学的属性に従ってこの線をヒストグラム化して、再構成すべき投影図、即ちサイノグラムを規定することができる。事象は、画像に個別に加えることも可能である。
【0006】
したがって、データを収集し画像を再構成する基本的要素は、システム−被検体開口(system-patient aperture)を横切る線であるLORである。他にも、事象の部位に関する情報を得ることができる。第1に、点の再構成又は配置を行うシステムの能力は、有効視野(FOV:Field Of View)全域で空間的に不変なのではなく、中央の方が良好なのであって、周辺に向かうに従って緩やかに劣化することがサンプリングや再構成で明らかになっている。この挙動の特徴を表すのに、典型的には、点拡がり関数(PSF:point-spread-function)を使用する。そのPSFを再構成プロセスに組み込むために、いくつかのツールが開発されている。第2に、LORに沿ったどの場所の方が、事象が起こった確率がより高いかを決定するのに、飛行時間、又は、対の検出に伴って生じる各検出器へのガンマ線の到達時間差を使用することができる。
【0007】
上記の検出プロセスは、多数の事象について反復する必要がある。イメージング作業を支持するのに計数(即ち事象の対)がどれだけ必要になるのかを決定するには、各イメージング事例を解析しなければならないものの、数億の計数を蓄積する必要があるというのが、全身検査としての「典型的な長さ100cmのFDG(フルオロデオキシグルコース:fluoro-deoxyglucose)の研究」での現状である。これだけの計数を蓄積するのに要する時間は、注入量及びスキャナの感度とスキャナの計数能力によって決まる。
【0008】
PETイメージングシステムは、被検体から飛散するガンマ線を検出するために、相互に対向して配設された検出器を使用する。典型的には、各角度から飛来するガンマ線を検出するために、環状に配置された検出器を使用する。したがって、PETスキャナは、本質的に等方性になっているはずの照射をできるだけ多く捕獲できるように、典型的には実質的に円筒形になっている。検出器として部分円環を使用し、抜けている角度のものを捕獲するのに検出器を回転することも考えられないことではない。しかし、これらの手法を実施しても、結果は、スキャナ全体の感度に対して厳しいものとなる。1つの面に含まれる全てのガンマ線が検出器と相互作用を起こす機会を有する円筒形状では、軸方向の寸法が大きくなると、感度又は照射を捕獲する能力に非常に有利な効果が現れる。したがって、最良の構造は、全てのガンマ線が検出される可能性がある球体構造である。当然ながら、人体への適用では、球状構造は、極めて大きくなり、極めて高価にならざるをえない。したがって、現実的には、検出器の軸方向の長さが可変である円筒形状が、最新のPETスキャナの構造の基本である。
【0009】
ひとたびPETスキャナ全体の形状が分かれば、もう一つの問題は、できるだけ多くのシンチレーション料をガンマ線経路に配置して、できるだけ多くのガンマ線を停止させて光に変換できるようにすることである。断層再構成の原理によって放射性同位体の時空間分布を再構成できるようにするために、検出された各事象のエネルギー(即ち発生した光の量)、部位、及びタイミングの特徴を決定する必要があるであろう。ほとんどの最新PETスキャナは、数千の個別結晶で構成されている。それらの結晶はモジュールの形で配置されており、シンチレーション事象の位置を識別するのに用いられている。典型的には、結晶エレメントの断面は、概ね4mm×4mmである。それよりも小さい又は大きい寸法で、正方形以外の断面も可能である。結晶の長さ又は深さがガンマ線を捕獲する確率を決定することになるのであるが、典型的には、10〜30mmの範囲である。検出器モジュールが、スキャナの主たる構成部品である。
【0010】
PETイメージングは、高速且つ高輝度なシンチレーション結晶によるガンマ線から光への変換に依存している。シンチレータの中の相互作用位置を決定し、個別事象の時間ペアリングを行った後で、消滅プロセスの部位を再生することができる。これらの行為を行うには非常に高速のコンポーネント(検出器及び電子機器)が必要であり、卓越した信号対ノイズ比も必要である。高品質の電子機器を用いれば、信号対ノイズ比は主に、検出プロセスに関与する固有のポアソン統計によって決まる。より多くのフォトンを検出すれば信号対ノイズ比が向上し、したがって空間分解能及びタイミング分解能が一層高まることになる。検出プロセスでの重大な光損失は、検出器の設計及び電子機器の改善をもっても補償することはできない。捕集した光全体の割合(シンチレータで発生した量に対して)は、設計の効率を表すのにふさわしい指標である。光の捕集量を最大化しようとする人は誰でも、光センサをできるだけシンチレーション結晶に接近させるとともに、反射及び他のエッジ効果を回避しようとするであろう。このようなことを行えば、出来上がるものは、否応なく、結晶とセンサとの間の距離が短い検出器の大きなアレイになってしまうであろう。
【0011】
上記のように、PETイメージングシステムは単なる計数器ではなく、シンチレーション事象の存在を検出することに加え、その検出部位の識別も行う必要がある。各相互作用の部位を識別できるようにするための最も直接的な設計は、概念的には、恐らくシンチレータ結晶毎に独立したフォトセンサ及びデータ収集チャネルを有するようにすることであろう。共通のフォトセンサの物理的な大きさ、各データ収集チャネルに必要な電力、及びこれらの品目の関連コスト、といった制約のために、フォトセンサ数及び電子機器のチャネル数を削減する目的で、通常は何らかの多重化が採用される。2つの最も一般的な多重化の形態は、光多重(光分配)、又は、アナログ式の電子的多重(抵抗性電荷分配網)である。
【0012】
ありとあらゆる事象を空間的及び時間的に適切に把握するために、かなりの取り組みがなされてきた。ある一連の追加的補正は、イメージングシステムが有する若干の非理想的状態を補償する。例えば、感度補正は個々の結晶の微小な違いに対処し、利得補正は光電子増倍管(PMT:Photomultiplier Tube)の若干の固有利得差を補償し、複合システム行列(complex system matrix)は環状検出器の結晶配置に存在する小さな間隙を補うことができる、といった具合である。しかし、これらの非理想的状態がイメージングシステムに及ぼす影響はどれも、起こり得る患者の動きの作用に比べれば、あまり重要ではない。
【0013】
患者の動きは、指示及び固定ベルトによって、ある程度は統御することができる。しかし、被検体を載せる天板である被検体天板(patient pallet)のたわみは、スキャナの設計に内在するものである。被検体天板の機械的特性(例えば、たるみ、たわみ、曲がり等)は、ひどすぎる場合は画像品質に影響しかねない。例えば、これらの機械的特性は、連続的で累積的な各PETスキャンの間、又はPET/CTイメージングシステムのCTスキャナによるスキャンとPETスキャナによるスキャンとの間の垂直方向の位置ずれを招くおそれがある。被検体天板は、典型的にはたわみを最小限に抑えるように図られているものの、ほとんどのイメージングシステムで数mm(ミリメートル)の変位が起こり得る。この変位によって、スキャナの画像品質が最適なものから外れてしまうことは、考えられないことではない。
【0014】
したがって、たわみの影響に対して採り得る1つの対処手法は、被検体天板の設計段階であらゆるたわみを補償することである。しかし、被検体天板のたわみを最小限に抑えるのに十分なだけの剛性を有するシステムを構築すれば、被検体天板のコストが上昇するとともに複雑性が増すことになるであろう。加えて、必要となる新たな機械部品を組み込むことができないおそれがあるため、既存の機械は、再設計された被検体天板を再装備するのに必ずしも適していないであろう。
【0015】
画像を利用した測定及び補償は、たわみの影響に対するもう一つの対処手法である。例えば、CTイメージングでは、被検体天板のたわみ量を推定し、したがって、必要な補正情報を全てイメージングシステムに提供するのに、画像そのものを使用することができる。但し、PETイメージングシステムでは空間分解能が遥かに低く、せいぜい4〜5mmである。更に、空間分解能は、PETスキャナの中心から離れると低下する。被検体天板の構造を認識できる所では、空間分解能は10mmもの大きさになるであろう。軸から外れて放出された放射線から生じるこのような漸進的劣化は、例えば相互作用の視差及び深さに起因する。例えば、PETスキャナの中心から放出された放射線は、結晶の4×4mmの表面と相互に作用し合うことになるであろう。しかし、中心から外れている場合に、同じ放射線はより大きな結晶(例えば長さ12mmの結晶の斜め部分)を「確認」することになるであろう。かかる空間分解能は、イメージングがなされているPET領域のたわみをPETスキャン画像誘導式に測定することに使用することを極めて困難なものにするであろう。加えて、被検体天板の表面に放射線源を付着させない限り、PETイメージングシステムは被検体天板を認識できないであろう。
【0016】
PET/CTイメージングシステムにおいて、CTイメージング空間でたわみを測定し、そのたわみをPETイメージング空間で流用することは、理論的に可能であろう。このPETイメージング空間は、典型的には20〜100cmである。上記のように流用するには、諸々の変数が必要になるであろう。例えば患者の体重及び台上の患者の体重分布であり、この体重分布は、大きく変動するものである。しかしながら、たわみ値をCTフィールドからPETに適切に流用するのに必要な測定結果を得ることは、PETの有効視野(FOV)で、たわみそのものを測定するのと同程度に困難であると思われる。
【0017】
図1は、PETイメージングシステムの被検体天板の曲がりが及ぼす影響例を説明するための図である。図1は、被検体天板のたわみがPETのサジタル画像に及ぼす影響例を示している。同図の曲がり(即ち被検体天板のたわみ)は、たわみの影響がより明白になるように誇張されている。図1に例示しているように、被検体天板のたわみの度合いは、イメージングすべき領域によってまちまちである。すなわち、PETイメージングシステムは、天板(テーブル)を寝台から移動させて、スキャン領域である「ベッド1」、「ベッド2」及び「ベッド3」において、例えばPETのステップアンドシュートスキャン(step and shoot scan)を行なう。かかる場合、「ベッド1」、「ベッド2」及び「ベッド3」のPETサジタル(sagittal)画像を組み合わせた組み合わせ画像において、例えば、「ベッド1」では、天板の移動距離が長いために、天板は、深い曲がり角で沈下する。また、例えば、組み合わせ画像において、「ベッド3」では、天板の移動距離が短いために、天板は、浅い曲がり角でわずかに沈下する。すなわち、「ベッド1」、「ベッド2」及び「ベッド3」のPET画像それぞれで対応する画素は、実際の被検体の同一部位を示す画素とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第7697738号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明が解決しようとする課題は、天板のたわみを補償することができるポジトロン放射断層撮影(PET)イメージングシステム、方法及び核医学イメージングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
実施形態のポジトロン放射断層撮影(PET)イメージングシステムは、測定サブシステムと、収集サブシステムと、再構成サブシステムとを備える。測定サブシステムは、被検体を載せる天板である被検体天板のたわみを検出し、当該検出されたたわみに基づくたわみ情報を提供する。収集サブシステムは、前記測定サブシステムから前記たわみ情報を受信し、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナから複数の同時発生事象に対応するPET測定データを受信し、当該受信したたわみ情報及びPET測定データを再構成サブシステムに伝達する。再構成サブシステムは、前記受信したたわみ情報及びPET測定データを用いて、PETスキャン画像を再構成するプロセッサを有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、PETイメージングシステムの被検体天板の曲がりが及ぼす影響例を説明するための図である。
【図2A】図2Aは、本実施形態のPETイメージングシステムの一例を示す図である。
【図2B】図2Bは、本実施形態のPETイメージングシステムの別の一例を示す図である。
【図3A】図3Aは、本実施形態のPETイメージングシステムの主要部を成すコンポーネント群のブロック図である。
【図3B】図3Bは、本実施形態のPETイメージングシステムに含まれるサブシステムのより詳細な模式図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るPETイメージングシステムの計算ユニットの一例におけるブロック図である。
【図5】図5は、本実施形態で実行されるPETイメージング方法の各ステップを示すフローチャートである。
【図6A】図6Aは、被検体天板のたわみを補償する方法の一例を示すフローチャートである。
【図6B】図6Bは、被検体天板のたわみを補償する図6Aの一例とは異なる方法の一例を示すフローチャートである。
【図7A】図7Aは、ブラッグ干渉回折格子を有する光ファイバ及び2芯前方時分割多重(FTDM)光ファイバをそれぞれ湾曲させたときに出力光信号に及ぶ影響例を示す図(1)である。
【図7B】図7Bは、ブラッグ干渉回折格子を有する光ファイバ及び2芯前方時分割多重(FTDM)光ファイバをそれぞれ湾曲させたときに出力光信号に及ぶ影響例を示す図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、ポジトロン放射断層撮影(PET)イメージングシステムの実施形態を詳細に説明する。
【0023】
(実施形態)
本実施形態は、まるで完全に剛直なシステムで収集されたかのようなPET画像を形成する目的で、PETイメージングシステムの被検体天板のたわみを補償するためのシステム及び方法に関する。被検体天板のたわみの影響を補償することによって、患者の体重及び被検体天板上の体重分布に依存しない、高画質のPETスキャン画像を提供することができる。更に、たわみを補償することによって、PETスキャン画像を、対応するCT画像と位置合わせすること、並びに絶対基準点となって参照されるPETスキャン画像を形成することが、容易に行えるようになる。
【0024】
したがって、以下で説明する実施形態には、被検体天板のたわみを患者毎に決定できるシステム及びそのたわみ情報を使用してPET画像の一連の再構成処理におけるたわみを補償する方法の各説明が含まれている。
【0025】
図2Aは、本実施形態のPETイメージングシステムの一例を示す図である。図2Aは、PETイメージングシステム10の一実施形態を示している。PETイメージングシステム10は、PETスキャナ14及びCTスキャナ16(任意選択)が搭載された構造体12を備える。CTスキャナ16は任意選択であり、PETイメージングシステム10の他の実施形態では除外している。PETイメージングシステム10は、更に、被検体天板18と、被検体天板18のたわみを検出するのに用いる光ファイバ20と、を備える。光ファイバ20を使用することによって、長手方向の測定システムを設けて天板のたわみを測定している。一実施形態では、光ファイバ20を、被検体天板18の側面に固定している。他の実施形態では、光ファイバ20を、被検体天板18の他の表面に取り付けたり、又は、被検体天板18の中に組み込んだりする。光ファイバ20は、被検体表面及び被検体天板機構(例えばローラー、支持体等)との干渉が回避されている限りは、被検体天板18の上、又は、被検体天板18の内部のどこに配置しても構わない。
【0026】
更に、被検体天板18のたわみを検出するのに、1本又は複数本の光ファイバ20を使用することができる。或いは、光ファイバ20に代えて、又は、光ファイバ20に追加して、レーザ、ストリング若しくはバーコード付きエンコーダ、といった他のセンサのうちの1つ又はそれらの組み合わせを使用することができる。但し、他のセンサを使用するには、典型的には被検体天板の動きに垂直な平面で測定を行うことが必要になる。図2Bは、1つの例を示している。同図において、被検体天板18の下に配設されたレーザ22が、光ファイバ20に追加されている。この例では、PETスキャナ14とCTスキャナ16との間にレーザ22が設置されている。但し、レーザの場所はこの場所に限定されず、構造体12の外部に配置することも可能である。更に、他の実施形態では、レーザ22は、被検体天板18の側部(例えば図2Bの紙面に垂直な方向に)又はその上といった他の場所に配置されている。なお、図2A及び図2Bでは、被検体天板18が寝台装置から送り出されることで、下方向(図中の方向425を参照)に沈み込んでいる様相を示している。また、図2A及び図2Bでは、被検体天板18がたわみ無しで水平に移動した場合の位置を破線で示している。なお、図2A及び図2Bは、被検体天板18の側面に固定された光ファイバ20を水平方向にて図示しているが、実際には、被検体天板18に固定された光ファイバ20は、被検体天板18がたわむことにより、被検体天板18と同様に曲がる。
【0027】
図3Aは、本実施形態のPETイメージングシステム10の主要部を成すコンポーネント群のブロック図である。PETイメージングシステム10は、図3Aに示すように、測定サブシステム50と、収集サブシステム52と、再構成サブシステム54と、被検体天板18と、PETスキャナ14と、CTスキャナ16(任意選択)と、を備える。測定サブシステム50は、被検体を載せる天板である被検体天板18のたわみを検出し、当該検出されたたわみに基づくたわみ情報を提供する。収集サブシステム52は、測定サブシステム50からたわみ情報を受信し、PETスキャナ14から複数の同時発生事象に対応するPET測定データを受信し、当該受信したたわみ情報及びPET測定データを再構成サブシステム54に伝達する。再構成サブシステム54は、受信したたわみ情報及びPET測定データを用いて、PETスキャン画像を再構成するプロセッサを有する。
【0028】
図3Bは、本実施形態のPETイメージングシステム10に含まれるサブシステムのより詳細な模式図である。図3Bに例示しているように、収集サブシステム52は、PETスキャナ14、CTスキャナ16(任意選択)、及び測定サブシステム50からデータを収集し、そのデータを再構成サブシステム54に提供する。収集サブシステム52は、1つ又は複数の有線式及び/若しくは無線式の通信方法によって、データの収集及び提供を行う。
【0029】
測定サブシステム50は、被検体天板18のたわみを正確にリアルタイムに検出する。本実施形態では、1本又は複数本の光ファイバ20と、上記1本又は複数本の光ファイバ20が出力する光照射の少なくとも1つの特性を決定する少なくとも1つの測定ユニット332と、が測定サブシステム50を形成している。上記少なくとも1つの測定ユニット332は、被検体天板18のたわみに比例する上記少なくとも1つの特性(例えば光照射強度)を決定し、上記少なくとも1つの特性に関するたわみ情報を、収集サブシステム52に含まれるデータ収集ユニット324に提供する。比例の仕方は、例えば単純なもの、線形のもの、又はモデルによるもっと複雑なものである。
【0030】
たわみ情報は、収集サブシステム52によって、(ステップアンドシュート型寝台動作に対しては)ばらばらの時間に、又は、(連続型寝台動作に対しては)一定時間間隔で取り込まれる。本実施形態では、収集サブシステム52は、測定サブシステム50からたわみ情報を受信すると、受信したたわみ情報を、例えば天板の公称高さ、天板のイメージング開口の中への伸び、他の生理学的信号(例えば心電図)等に関する諸環境情報のうちの1つ又はそれらの組み合わせと共に、再構成サブシステム54へと提供する。或いは、上記1つ又は組み合わせの情報は、独立して再構成サブシステム54に提供してもよい。再構成サブシステム54は、取り込んだたわみ情報を用いて、被検体天板18のたわみ量の全体又はその一部分を推定する。
【0031】
図3Bに示す収集サブシステム52は、更に、PETスキャナ14及びCTスキャナ16からそれぞれデータを収集するデータ収集ユニット320及び322も備えているが、それらのデータ収集ユニットは、同一の収集サブシステム内に含まれている必要はない。例えば、他の実施形態において、データ収集ユニット324は別のサブシステムの一部分であってもよく、測定サブシステム50若しくは再構成サブシステム54の中に組み込まれていてもよい。図3Bに示す一例では、データ収集ユニット324は、測定サブシステム50からたわみ情報を受信する。また、図3Bに示す一例では、データ収集ユニット320は、PETスキャナ14から複数の同時発生事象(すなわち、消滅事象により、略同時に生じるシンチレーション事象)に対応するPET測定データを受信する。そして、収集サブシステム52は、受信したたわみ情報及びPET測定データを再構成サブシステム54に伝達する。
【0032】
一実施形態において、既存スキャナの改造に適応するために、天板のたわみを測定する測定サブシステム50は、被検体天板18だけに限定されている。実際の撮像開口内の付加的な機構は、実装するのが更に複雑であり、被検体天板18の動きそのもの又はイメージング(もしFOV内に配置される場合に)と干渉する可能性もある。
【0033】
更に、上記では、測定サブシステム50が提供するたわみ情報を、少なくとも1つの決定された光照射特性に関連するものとして論じているが、別の実施形態では、1本又は複数本の光ファイバ20からの光照射そのものを、たわみ情報として収集サブシステム52に提供する。この場合、上記少なくとも1つの測定ユニット332は、測定サブシステム50から除外される。更に他の実施形態では、図3Bに例示しているように、測定サブシステム50は、上記1本又は複数本の光ファイバ20と、上記少なくとも1つの測定ユニット332と、被検体天板18の実際のたわみの全体又はその一部分を、上記少なくとも1つの決定された光照射特性に基づいて推定する計算ユニット330と、を備える。一実施形態では、計算ユニット330は、たわみテーブル334を用いて実際のたわみを推定する。このテーブルは、一実施形態では、校正プロセスの間に発生される。これについては後で論じる。上記更に他の実施形態において、測定サブシステム50は、その推定したたわみを、たわみ情報として収集サブシステム52に提供する。
【0034】
開示の実施形態の測定サブシステム50は更に、前に論じた他のセンサのうちの1つ又はそれらの組み合わせも具備することができる。或いは、上記1本又は複数本の光ファイバ20を、上記他のセンサのうちの1つ又はそれらの組み合わせで置き換えてしまってもよい。加えて、前に言及したように、測定サブシステム50は、有線式及び/又は無線式の通信方法によってたわみ情報(例えば、上記少なくとも1つの決定された光放射の特性)を提供することができる。更に、他の実施形態では、たわみ情報を再構成サブシステム54に、収集サブシステム52を介さず直接提供する。
【0035】
測定サブシステム50を実現するのに使用可能な1つのシステムは、ブラッグ干渉の原理を用いて被検体天板18のたわみを検出する。一実施形態において、測定サブシステム50は、被検体天板18沿いに固定された1本又は複数本の光ファイバ20を具備している。上記1本又は複数本の光ファイバ20は、被検体天板18そのものの上に、CTイメージング又はPETイメージングに無視できる程度の効果しか生じない状態で配置することができる。実施形態の一例において、被検体天板18にたわみが生じると、上記1本又は複数本の光ファイバ20は、たわみ量に比例する少なくとも1つの特性を有する光照射を提供する。上記光照射の上記少なくとも1つの特性は、被検体天板18の所定の場所におけるたわみ量を決定するのに用いられる。例えば、被検体天板18の1箇所又は複数箇所の所定の場所におけるたわみ量は、少なくとも1つのブラッグ干渉回折格子(Bragg interference grating)を有する光ファイバに送入された光照射と、その光照射が反射されて同一光ファイバを通って戻って来た光照射との間の差を監視することによって決定される。別の実施形態では、被検体天板18の所定の場所におけるたわみ量は、2芯(dual core)のFTDM(前方時分割多重:Forward time division multiplexing)光ファイバの内側及び/又は外側のコアから出力される光照射の強度の変化と、内側のコア及び外側のコアから出力される光放射の到達時間差と、に基づいて決定される。
【0036】
例えばブラッグ干渉を用いた測定サブシステム50は、たわみに比例する信号を1本又は複数本の光ファイバ20から生成することになるが、既知のたわみ(又は、例えばレーザ22を使って、別のシステムで測定したたわみ)がブラッグシステムとたわみとの間の対応テーブル(たわみテーブル334)を作製するような校正段階が必要になるものと考えられる。次いで、計算ユニット330は、たわみテーブル334を測定サブシステム50に保存し、収集サブシステム52に報告するときに、たわみテーブル334を用いて上記の信号を実際のたわみ(たわみ情報)に変換する。たわみテーブルは、自動的に発生させても良いし、手動で発生させても良く、例えば製造業者が予め設定しておいてもよい。更に、収集サブシステム52が被検体天板の高さ又は長手方向の位置の変化を報告するのと同時に、測定サブシステム50からのたわみ情報が、収集されたPET測定データ及び/又はCT測定データに加えられるような形に、収集サブシステム52を設計しておく必要がある。
【0037】
このように、測定サブシステム50は、被検体天板18の所定の位置において検出した少なくとも1つのたわみ量に基づいて、被検体天板18のたわみを推定する。一例を挙げると、測定サブシステム50は、複数のブラッグ反射回折格子を含む1本の光ファイバから反射光を受信し、光ファイバから受信した反射波の波長に基づいて、被検体天板18の縦方向(長手方向)の複数位置におけるたわみ量を決定する。或いは、他の一例では、測定サブシステム50は、1つのブラッグ反射回折格子をそれぞれが含む複数本の光ファイバから反射光を受信し、複数本の光ファイバから受信した反射波の波長に基づいて、被検体天板18の縦方向(長手方向)の複数位置におけるたわみ量を決定する。ここで、波長等の反射波の情報に基づいて実際のたわみ(たわみ情報)を推定するために、測定サブシステム50は、1本の光ファイバ又は複数本の光ファイバから光を受信し、1本の光ファイバ又は複数本の光ファイバそれぞれから受信した光の、被検体天板18における異なるたわみ量に関する少なくとも1つの特性を測定する。そして、測定サブシステム50は、1本の光ファイバ又は複数本の光ファイバそれぞれから受信した光の少なくとも1つの特性と被検体天板18の異なるたわみ量との間の対応関係を規定するテーブル(たわみテーブル334)を生成する。
【0038】
図2Aは、被検体天板18に取り付けられた光ファイバ20をどのように使用すれば、ブラッグ干渉の原理によって、さえぎらないように被検体開口全体を残した状態で、被検体天板18のたわみを評価できるのかを図解している。図7A及び図7Bは、ブラッグ干渉回折格子を有する光ファイバ及び2芯前方時分割多重(FTDM)光ファイバをそれぞれ湾曲させたときに出力光信号に及ぶ影響例を示す図である。図7A及び7Bでは、光ファイバが曲がったときに、3つのブラッグ干渉回折格子を有する光ファイバと2芯FTDM光ファイバのそれぞれの出力光に及ぶ影響の実例を示している。
【0039】
例えば、図7Aでは、光ファイバが曲がったときに、入力光の波長の反射強度(実線)と出力光の波長の反射強度(破線)との関係を示している。図7Aに示す一例では、ある曲がりでは、波長「λB」の入力光に対する出力光の反射強度分布が、波長「λB」の入力光の反射強度分布から変化しないことを示している。また、図7Aに示す一例では、ある曲がりでは、波長「λA」の入力光に対する出力光の反射強度分布のピークが、波長「λA」の入力光の反射強度分布のピークより「ΔλA」増加していることを示している。また、図7Aに示す一例では、ある曲がりでは、波長「λC」の入力光に対する出力光の反射強度分布のピークが、波長「λC」の入力光の反射強度分布のピークより「ΔλC」減少していることを示している。また、例えば、図7Bでは、光ファイバが曲がったときに生じる出力光の波長から変換された電圧値の時間変化曲線の一例を示している。図7Bの一例に示すように、曲がりが有る場合と、曲がりが無い場合とで、電圧値の時間変化曲線は、変化する。
【0040】
図3Bに例示しているように、再構成サブシステム54は、電子記憶装置304と、インタフェース306と、ディスプレイ308と、計算ユニット302とを備える。電子記憶装置304は、PETスキャナ14、CTスキャナ16、測定サブシステム50から取り込んだデータ又は計算ユニット302が再構成したPETスキャン画像のうちの1つ又はそれらの組み合わせを保存する。これについては、後で更に考察する。更に、再構成サブシステム54が被検体天板18の実際のたわみを推定するときは、たわみテーブル334が電子記憶装置304に保存されている。インタフェース306は、計算ユニット302の設定及び/若しくは制御を行うために、且つ/又は、計算ユニット302に更に別の命令を与えるために使用される。更に、ディスプレイ308は、PETイメージングシステム10を操作するために、ユーザによって使用される。図4は、本実施形態に係るPETイメージングシステムの計算ユニット302の一例におけるブロック図である。計算ユニット302は、主記憶装置440、及び/又は、ROM450に保存されているデータ及び命令を処理するプロセッサ480を具備している。プロセッサ480は、更に、ディスク410又はCD−ROM420に保存されている情報も処理することができる。本例のプロセッサ480は、米国インテル社によるXeonプロセッサ(登録商標)又は米国AMD社によるOpteronプロセッサ(登録商標)とすることができる。当業者であれば気付くように、プロセッサ480は、Pentium(登録商標)プロセッサ、Core2Duoプロセッサ(登録商標)、及びこれらに類するものとすることも可能である。したがって、ガンマ線検出方法に対応する命令は、ディスク410、CD−ROM420、主記憶装置440、又はROM450のうちの任意のものに保存することができる。
【0041】
計算ユニット302は更に、インターネット又は私的ネットワークといったネットワークとの接続を行うための、米国インテル社によるIntelEthernet(登録商標)Proネットワークインタフェースカード等のネットワークインタフェース475も具備することができる。ディスプレイ制御部430は、ディスプレイ385と接続するための、米国エヌビディア社のNVIDIA G−ForceGTXグラフィックスアダプタ(登録商標)とすることができる。計算ユニット302は更に、キーボード295、ポインティングデバイス285、又はマイク、トラックボール、ジョイスティック、タッチスクリーン、及びこれらに類するインタフェース等の他の汎用インタフェース306と接続するためのI/Oインタフェース490も具備することができる。
【0042】
ディスク制御部450は、ディスク410をバス470と相互接続する。このディスクは、ハードディスクドライブ若しくはフラッシュメモリドライブ、及びCD−ROM420若しくはDVDドライブとすることができる。このバスは、ISA、ESIA、VESA、PCI、又は同様のものとすることができ、計算ユニット302の全コンポーネントを相互接続する。計算ユニット302のコンポーネント群はその特徴が既によく知られているため、それらの全般的特徴及び機能については、簡潔にする目的で説明を省略する。もちろん、米国フリースケール社のFreescaleColdFire、I.MX、ARMプロセッサ(登録商標)といった、当該技術分野で知られている他のプロセッサ及びハードウェアの販売業者及びタイプも、本発明に使用することができる。
【0043】
本例の計算ユニット302は更に、FPGA、ASIC、マイクロコントローラ、PLD、又は光ディスク等の他のコンピュータ可読媒体上に独立して実装することも可能である。加えて、本例の計算ユニット302は、PC等の計算装置のハードウェアプラットフォームであり、プロセッサ480は、例えばIntelPentium(登録商標)Processor又は当該技術分野で知られている他の任意のプロセッサとすることができる。主記憶装置440、ROM450、ディスク410、又はCD−ROM420のいずれかに保存されるコンピュータ可読命令は、プロセッサ480及びMicrosoftVISTA(登録商標)、UNIX(登録商標)、Solaris(登録商標)、LINUX(登録商標)、AppleMAC−OS(登録商標)、及び当業者に公知の他のシステム、といったオペレーティングシステムと一緒に実行する、ユーティリティプログラム、バックグラウンドデーモン、又はオペレーティングシステムの構成要素若しくはそれらの組み合わせとして提供することができる。
【0044】
主記憶装置440及び/又はROM450は、レジストリ機能及びこれらに類する計算ユニット302の機能をサポートしている。したがって、ROM450はPROM等の読出専用メモリであるが、主記憶装置440は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、FLASHメモリ、EEPROMメモリ、又はこれらに類する記憶装置とすることができる。主記憶装置440及びROM450は既によく知られているため、簡潔にする目的で、それらの説明はこれ以上行わない。
【0045】
計算ユニット302の例示的実施形態として図4の説明を行ってきたが、図4のコンポーネント群は、被検体天板18のたわみを推定する測定サブシステム50の計算ユニット330を実現するのに使用することも可能である。
【0046】
図5は、本実施形態で実行されるPETイメージング方法の各ステップを示すフローチャートである。具体的には、図5は、被検体天板18のたわみを補償しながらPETスキャン画像を再構成するための各ステップを示すフローチャートである。ステップ510において、被検体天板18のたわみが検出される。被検体天板18のたわみは、前に論じたように、測定サブシステム50を用いて検出することができる。ステップ520において、測定サブシステム50によって、検出されたたわみに基づいて、たわみ情報(例えば上記光照射、上記少なくとも1つの決定された照射特性、又は上記推定たわみ)が生成され、収集サブシステム52に、たわみ情報が提供される。一実施形態では、そのたわみ情報は、被検体天板18の所定の位置における少なくとも1つのたわみ量に対応している。ステップ530及びステップ540において、収集サブシステム52が、たわみ情報及びPETスキャナ14からのPET測定データが受信する。一実施形態では、収集サブシステム52は、たわみ情報を、再構成サブシステム54へのデータの流れの中で、例えば寝台(天板)の公称高さ、天板のイメージング開口の中への伸び、他の生理学的信号(例えば心電図)等に関する環境情報と共に提供する。そのデータの流れは更に、PET測定データも含んでいる。環境情報を含んでいるため、再構成サブシステム54は、PET測定データが収集される環境を表現する正確且つ「そのとき」のパラメータセットを用いてPETスキャン画像を再構成することができる。或いは、測定サブシステム50によって、たわみ情報を再構成サブシステム54に、直接伝達してもよい。更に、ステップ550において、再構成サブシステム54が、受信したたわみ情報及びPET測定データに基づくPET走査画像を再構成する。
【0047】
以下、被検体天板18のたわみを補償するための方法の実施形態について説明する。被検体天板制御部によって監視され通知される被検体天板18の水平方向の動き、及び被検体天板18のうちのイメージングすべき被検体の領域に対応する部分の実際のたわみ量を提供する測定サブシステム50によって、図2に示すPETイメージングシステム10の完全な幾何学的形状が決まる。この関係が決まった後、再構成サブシステム54の計算ユニット302によって、次の2つの手法のうちの一方を用いて、被検体天板18のあらゆるたわみが補正される。すなわち、第1の手法では、図6Aに例示しているように、(1)再構成画像に直線移動及び回転移動の補正要素を適用する。又は、第2の手法では、図6Bに例示しているように、(2)画像空間の変換を行う。これら2つの手法は、技術的には等価であるが、統計上の小さな不一致及び/又はアルゴリズム上の利点が、それらを別個のものにしている。
【0048】
具体的には、第1の手法では、たわみが有る状態でPETスキャン画像を再構成し、その再構成画像に一定の変換を適用する。図6Aは、被検体天板18のたわみを補償する方法の一例を示すフローチャートである。図6Aのステップ610に例示しているように、計算ユニット302のプロセッサ480は、検出した被検体天板18のたわみに従って変換行列「T」を生成する。次いで、ステップ620において、プロセッサ480は、その変換行列を、被検体天板18のたわみを補正しないで再構成された、すなわち、たわみを伴って再構成された仮の再構成PETスキャン画像に適用して、補正済みの再構成PETスキャン画像を生成する。被検体天板18のたわみを補償する図6Aの一例とは異なる方法の一例を示すフローチャートである。一方、第2の手法を用いると、図6Bのステップ650において、プロセッサ480は、検出した被検体天板18のたわみに従って変換行列「T」を生成する。次いで、ステップ660において、プロセッサ480は、第1の手法で用いた変換行列「T」の転置を、PETスキャン画像を再構成するのに使用される再構成空間(又はフィールド)に適用して補正済み再構成空間を生成する。したがって、再構成データは既に「正しい」空間に入っている。ステップ670において、プロセッサ480は、補正済みの再構成空間に基づいて、補正済みの再構成されたPETスキャン画像を生成する。上記の変換で使用した変換行列は、典型的には、3軸全てにおいて直線移動及び回転移動を含んでいる。或いは、無視できると分かっている変位量又は回転量は、ゼロに設定されている。
【0049】
以下、数式を用いて、上記の手法について詳細に説明する。PET測定データの形成は、通常は、以下の式(1)のようにモデル化される。
【0050】
g=Hf+b ・・・(1)
【0051】
式(1)において、「g」は、Mの検出器ビン(bin)を有する列ベクトルである測定データであり、「f」は、Nのボクセルを有する同じく列ベクトルである放射画像(emission image)である。「H」は、「M×N」のエレメントのシステム行列であり、一定の放射ボクセルから放出されたポジトロンが特定の検出器ビンによって検出される確率である。システム行列「H」は、「あるLOR」上の「ある位置」に集積した薬品から放出されるガンマ線が、「ある投影方向」において検出される確率を示す検出確率を示す行列であり、PETイメージングシステム10において物理的に一意に特定される要素である。「b」は、背景のゆらぎであって、Mのビンを有する列ベクトルであり、ランダムな散乱フォトンに起因しており、ランダム散布推定法から分かると考えられている。
【0052】
OSEM(Ordered Subset MLEM)法等、PET画像の再構成に用いられる逐次近似法では、目標は、前述のモデルを用いて測定データ「g」に最善に整合する推定値「f」を見つけ出すことである。なお、上記の再構成画像「f」は、「未補正」の被検体天板たわみ空間に対応している。PET画像再構成は、通常は1回に1つの場所で静止した寝台位置に対して行われ、したがって、「f」は、ステップアンドシュート型寝台動作における1つの寝台位置又は連続型寝台運動に属する特定のインスタンスのいずれかに対応する。
【0053】
「補正済み」被検体天板たわみ空間で、放射画像「fcorr」を得るには、以下の式(2)により未補正再構成画像を変換するのが1つのやり方である(第1の手法)。
【0054】
fcorr=Tf ・・・(2)
【0055】
式中、「T」はN×Nの変換行列であり、測定サブシステム50(例えば光ファイバ測定サブシステム)から得られたアフィン変換と、ボクセルグリッド間に位置する変換座標の再サンプリングの双方を備えている。この手法では、変換は、単純で剛性な直線移動及び回転移動の行列に対応している。
【0056】
被検体天板のたわみを補償する別のやり方(第2の手法)は、以下の式(3)に示すように、たわみをPET測定データ形成プロセスの中でモデル化することである。
【0057】
g=HT−1fcorr+b ・・・(3)
【0058】
式中、「T−1」はN×Nの変換行列であり、たわみの無い画像空間をたわみの有る画像空間(補正済み再構成空間)に変換する。ここで、以下の式(4)及び式(5)のように、「T−1」をシステム行列「H」と組み合わせて、補正済みシステム行列「Hcorr」を形成することができる。
【0059】
Hcorr=HT−1 ・・・(4)
【0060】
g=Hcorrfcorr+b ・・・(5)
【0061】
すなわち、第2の手法では、式(4)で求まる補正済みシステム行列「Hcorr」を用いて、式(5)に基づく逐次近似法によりPET画像を再構成する。したがって、再構成画像は、たわみの無い画像空間に存在することになる。この手法は、連続型寝台動作に対して特に有用である。
【0062】
中に画像フレームが存在しているステップアンドシュート型収集法の場合にはどちらの方法も使用されており、実質的に等価である。しかし、連続型寝台運動では、入来するPET測定データを、画像再構成の前に補正しなければならない。というのは、実際のたわみは絶えず変化しており、したがって、再構成空間で継続的に調整する必要があるからである。画像再構成後に補正することは、連続型寝台運動には適用できない。というのは、複数の時間点で、再構成画像が、異なる量のたわみを含むことになるはずだからである。
【0063】
以上まとめると、計算ユニット302のプロセッサ480は、検出されたたわみに応じて変換行列を生成する。そして、第1の手法を行なう場合、プロセッサ480は、たわみを有して再構成された仮のPETスキャン画像に対して変換行列を適用して再構成されるPETスキャン画像を生成する。或いは、第2の手法を行なう場合、プロセッサ480は、PETスキャン画像を再構成するのに使用される再構成空間に変換行列の転置を適用して補正済み再構成空間を生成し、補正済み再構成空間に基づいてPET走査画像を再構成する。
【0064】
なお、上記の実施形態で説明した方法は、PETイメージングシステムだけでなく、天板のたわみが発生し、PET画像のように、再構成画像に天板が写りこまない他のイメージングシステムにおいても適用することができる。具体的には、上記の実施形態で説明した方法は、シングルフォトンエミッションCT(SPECT: Single Photon Emission computed Tomography)イメージングシステムにおいても適用することができる。すなわち、上記の実施形態で説明した方法は、核医学イメージングシステムに適用することができる。かかる場合、測定サブシステムは、被検体天板のたわみを検出し、当該検出されたたわみに基づくたわみ情報を提供する。そして、収集サブシステムは、測定サブシステムからたわみ情報を受信し、スキャナから複数の放射線測定データを受信し、当該受信したたわみ情報及び放射線測定データを再構成サブシステムに伝達する。再構成サブシステムは、受信したたわみ情報及び放射線測定データを用いて、核医学画像を再構成するプロセッサを有する。
【0065】
以上、説明したとおり、本実施形態によれば、天板のたわみを補償することができる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
10 PETイメージングシステム
12 構造体
14 PETスキャナ
16 CTスキャナ
18 被検体天板
20 光ファイバ
50 測定サブシステム
52 収集サブシステム
54 再構成サブシステム
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ポジトロン放射断層撮影(PET)イメージングシステム、方法及び核医学イメージングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポジトロン放射断層撮影(PET:Positron Emission Tomography)イメージングは、医用イメージングの分野で利用が広がっている。PETイメージングにおいては、最初に患者に放射性医薬品が投与される。かかる放射性医薬品は、多くの場合、注射で患者に注入されるが、吸入又は摂取させることも可能である。放射性医薬品を投与してしばらくすると、かかる薬品は、当該薬品の物理的性質及び生体分子的性質により、人体内の特定の部位に集積する。薬品の実際の空間分布、蓄積点若しくは蓄積領域の強度、及び投与から捕獲、そして最終的な排出に至るプロセスの動態は、全て、臨床的に重要な意味を持つ可能性のある要素である。このプロセスを通して、放射性医薬品に付着させたポジトロン放出体は、半減期、分岐比といった同位体の物理的性質に従ってポジトロン(陽電子)を放出する。
【0003】
放出されたポジトロンが電子と衝突する際に消滅事象(annihilation event)が起こり、その結果、ポジトロン及び電子は崩壊する。ほとんどの場合、消滅事象によって、実質的に180°離れて反対方向に移動する2つのガンマ線(511keV)が発生する。
【0004】
これら2つのガンマ線を検出し、それらの部位を結ぶ線、即ち同時計数線(LOR:Line Of Response)を引くことによって、高い確率で元の消滅位置を探し出すことができる。このプロセスは、相互作用が起こっている可能性のある線を識別するに過ぎないが、これらの線を数多く蓄積すれば、断層を再構成するプロセスを用いることによって、元の分布を推定することができる。シンチレータ結晶では2つのガンマ線の相互作用から2つのシンチレーション事象が生じており、シンチレーション事象が生じた部位の他に、正確なタイミング(数百ピコ秒以内)も利用可能であれば、飛行時間(TOF:Time Of Flight)の計算により、上記の同時計数線に沿った、消滅事象が生じた確率の高い位置に関する更なる情報を加えることができる。スキャナが有するタイミング分解能の限界によって、この線に沿った位置判定の精度が決まることになる。更に、元のシンチレーション事象の部位を決定する際の限界によって、スキャナの最終的空間分解能が決まることになる。一方、同位体の特定の特性(例えばポジトロンのエネルギー)も、(ポジトロンの範囲及び2つのガンマ線の共直線性を介して)この特定の薬品の空間分解能を決める一因となる。
【0005】
多数の事象を集めれば、断層再構成から、推定すべき被検体の画像に関する必要な情報を生成できる。該当の検出エレメントで検出された実質的に同時に起こっている2つの事象によって、同時計数線が形成される。それらの事象の幾何学的属性に従ってこの線をヒストグラム化して、再構成すべき投影図、即ちサイノグラムを規定することができる。事象は、画像に個別に加えることも可能である。
【0006】
したがって、データを収集し画像を再構成する基本的要素は、システム−被検体開口(system-patient aperture)を横切る線であるLORである。他にも、事象の部位に関する情報を得ることができる。第1に、点の再構成又は配置を行うシステムの能力は、有効視野(FOV:Field Of View)全域で空間的に不変なのではなく、中央の方が良好なのであって、周辺に向かうに従って緩やかに劣化することがサンプリングや再構成で明らかになっている。この挙動の特徴を表すのに、典型的には、点拡がり関数(PSF:point-spread-function)を使用する。そのPSFを再構成プロセスに組み込むために、いくつかのツールが開発されている。第2に、LORに沿ったどの場所の方が、事象が起こった確率がより高いかを決定するのに、飛行時間、又は、対の検出に伴って生じる各検出器へのガンマ線の到達時間差を使用することができる。
【0007】
上記の検出プロセスは、多数の事象について反復する必要がある。イメージング作業を支持するのに計数(即ち事象の対)がどれだけ必要になるのかを決定するには、各イメージング事例を解析しなければならないものの、数億の計数を蓄積する必要があるというのが、全身検査としての「典型的な長さ100cmのFDG(フルオロデオキシグルコース:fluoro-deoxyglucose)の研究」での現状である。これだけの計数を蓄積するのに要する時間は、注入量及びスキャナの感度とスキャナの計数能力によって決まる。
【0008】
PETイメージングシステムは、被検体から飛散するガンマ線を検出するために、相互に対向して配設された検出器を使用する。典型的には、各角度から飛来するガンマ線を検出するために、環状に配置された検出器を使用する。したがって、PETスキャナは、本質的に等方性になっているはずの照射をできるだけ多く捕獲できるように、典型的には実質的に円筒形になっている。検出器として部分円環を使用し、抜けている角度のものを捕獲するのに検出器を回転することも考えられないことではない。しかし、これらの手法を実施しても、結果は、スキャナ全体の感度に対して厳しいものとなる。1つの面に含まれる全てのガンマ線が検出器と相互作用を起こす機会を有する円筒形状では、軸方向の寸法が大きくなると、感度又は照射を捕獲する能力に非常に有利な効果が現れる。したがって、最良の構造は、全てのガンマ線が検出される可能性がある球体構造である。当然ながら、人体への適用では、球状構造は、極めて大きくなり、極めて高価にならざるをえない。したがって、現実的には、検出器の軸方向の長さが可変である円筒形状が、最新のPETスキャナの構造の基本である。
【0009】
ひとたびPETスキャナ全体の形状が分かれば、もう一つの問題は、できるだけ多くのシンチレーション料をガンマ線経路に配置して、できるだけ多くのガンマ線を停止させて光に変換できるようにすることである。断層再構成の原理によって放射性同位体の時空間分布を再構成できるようにするために、検出された各事象のエネルギー(即ち発生した光の量)、部位、及びタイミングの特徴を決定する必要があるであろう。ほとんどの最新PETスキャナは、数千の個別結晶で構成されている。それらの結晶はモジュールの形で配置されており、シンチレーション事象の位置を識別するのに用いられている。典型的には、結晶エレメントの断面は、概ね4mm×4mmである。それよりも小さい又は大きい寸法で、正方形以外の断面も可能である。結晶の長さ又は深さがガンマ線を捕獲する確率を決定することになるのであるが、典型的には、10〜30mmの範囲である。検出器モジュールが、スキャナの主たる構成部品である。
【0010】
PETイメージングは、高速且つ高輝度なシンチレーション結晶によるガンマ線から光への変換に依存している。シンチレータの中の相互作用位置を決定し、個別事象の時間ペアリングを行った後で、消滅プロセスの部位を再生することができる。これらの行為を行うには非常に高速のコンポーネント(検出器及び電子機器)が必要であり、卓越した信号対ノイズ比も必要である。高品質の電子機器を用いれば、信号対ノイズ比は主に、検出プロセスに関与する固有のポアソン統計によって決まる。より多くのフォトンを検出すれば信号対ノイズ比が向上し、したがって空間分解能及びタイミング分解能が一層高まることになる。検出プロセスでの重大な光損失は、検出器の設計及び電子機器の改善をもっても補償することはできない。捕集した光全体の割合(シンチレータで発生した量に対して)は、設計の効率を表すのにふさわしい指標である。光の捕集量を最大化しようとする人は誰でも、光センサをできるだけシンチレーション結晶に接近させるとともに、反射及び他のエッジ効果を回避しようとするであろう。このようなことを行えば、出来上がるものは、否応なく、結晶とセンサとの間の距離が短い検出器の大きなアレイになってしまうであろう。
【0011】
上記のように、PETイメージングシステムは単なる計数器ではなく、シンチレーション事象の存在を検出することに加え、その検出部位の識別も行う必要がある。各相互作用の部位を識別できるようにするための最も直接的な設計は、概念的には、恐らくシンチレータ結晶毎に独立したフォトセンサ及びデータ収集チャネルを有するようにすることであろう。共通のフォトセンサの物理的な大きさ、各データ収集チャネルに必要な電力、及びこれらの品目の関連コスト、といった制約のために、フォトセンサ数及び電子機器のチャネル数を削減する目的で、通常は何らかの多重化が採用される。2つの最も一般的な多重化の形態は、光多重(光分配)、又は、アナログ式の電子的多重(抵抗性電荷分配網)である。
【0012】
ありとあらゆる事象を空間的及び時間的に適切に把握するために、かなりの取り組みがなされてきた。ある一連の追加的補正は、イメージングシステムが有する若干の非理想的状態を補償する。例えば、感度補正は個々の結晶の微小な違いに対処し、利得補正は光電子増倍管(PMT:Photomultiplier Tube)の若干の固有利得差を補償し、複合システム行列(complex system matrix)は環状検出器の結晶配置に存在する小さな間隙を補うことができる、といった具合である。しかし、これらの非理想的状態がイメージングシステムに及ぼす影響はどれも、起こり得る患者の動きの作用に比べれば、あまり重要ではない。
【0013】
患者の動きは、指示及び固定ベルトによって、ある程度は統御することができる。しかし、被検体を載せる天板である被検体天板(patient pallet)のたわみは、スキャナの設計に内在するものである。被検体天板の機械的特性(例えば、たるみ、たわみ、曲がり等)は、ひどすぎる場合は画像品質に影響しかねない。例えば、これらの機械的特性は、連続的で累積的な各PETスキャンの間、又はPET/CTイメージングシステムのCTスキャナによるスキャンとPETスキャナによるスキャンとの間の垂直方向の位置ずれを招くおそれがある。被検体天板は、典型的にはたわみを最小限に抑えるように図られているものの、ほとんどのイメージングシステムで数mm(ミリメートル)の変位が起こり得る。この変位によって、スキャナの画像品質が最適なものから外れてしまうことは、考えられないことではない。
【0014】
したがって、たわみの影響に対して採り得る1つの対処手法は、被検体天板の設計段階であらゆるたわみを補償することである。しかし、被検体天板のたわみを最小限に抑えるのに十分なだけの剛性を有するシステムを構築すれば、被検体天板のコストが上昇するとともに複雑性が増すことになるであろう。加えて、必要となる新たな機械部品を組み込むことができないおそれがあるため、既存の機械は、再設計された被検体天板を再装備するのに必ずしも適していないであろう。
【0015】
画像を利用した測定及び補償は、たわみの影響に対するもう一つの対処手法である。例えば、CTイメージングでは、被検体天板のたわみ量を推定し、したがって、必要な補正情報を全てイメージングシステムに提供するのに、画像そのものを使用することができる。但し、PETイメージングシステムでは空間分解能が遥かに低く、せいぜい4〜5mmである。更に、空間分解能は、PETスキャナの中心から離れると低下する。被検体天板の構造を認識できる所では、空間分解能は10mmもの大きさになるであろう。軸から外れて放出された放射線から生じるこのような漸進的劣化は、例えば相互作用の視差及び深さに起因する。例えば、PETスキャナの中心から放出された放射線は、結晶の4×4mmの表面と相互に作用し合うことになるであろう。しかし、中心から外れている場合に、同じ放射線はより大きな結晶(例えば長さ12mmの結晶の斜め部分)を「確認」することになるであろう。かかる空間分解能は、イメージングがなされているPET領域のたわみをPETスキャン画像誘導式に測定することに使用することを極めて困難なものにするであろう。加えて、被検体天板の表面に放射線源を付着させない限り、PETイメージングシステムは被検体天板を認識できないであろう。
【0016】
PET/CTイメージングシステムにおいて、CTイメージング空間でたわみを測定し、そのたわみをPETイメージング空間で流用することは、理論的に可能であろう。このPETイメージング空間は、典型的には20〜100cmである。上記のように流用するには、諸々の変数が必要になるであろう。例えば患者の体重及び台上の患者の体重分布であり、この体重分布は、大きく変動するものである。しかしながら、たわみ値をCTフィールドからPETに適切に流用するのに必要な測定結果を得ることは、PETの有効視野(FOV)で、たわみそのものを測定するのと同程度に困難であると思われる。
【0017】
図1は、PETイメージングシステムの被検体天板の曲がりが及ぼす影響例を説明するための図である。図1は、被検体天板のたわみがPETのサジタル画像に及ぼす影響例を示している。同図の曲がり(即ち被検体天板のたわみ)は、たわみの影響がより明白になるように誇張されている。図1に例示しているように、被検体天板のたわみの度合いは、イメージングすべき領域によってまちまちである。すなわち、PETイメージングシステムは、天板(テーブル)を寝台から移動させて、スキャン領域である「ベッド1」、「ベッド2」及び「ベッド3」において、例えばPETのステップアンドシュートスキャン(step and shoot scan)を行なう。かかる場合、「ベッド1」、「ベッド2」及び「ベッド3」のPETサジタル(sagittal)画像を組み合わせた組み合わせ画像において、例えば、「ベッド1」では、天板の移動距離が長いために、天板は、深い曲がり角で沈下する。また、例えば、組み合わせ画像において、「ベッド3」では、天板の移動距離が短いために、天板は、浅い曲がり角でわずかに沈下する。すなわち、「ベッド1」、「ベッド2」及び「ベッド3」のPET画像それぞれで対応する画素は、実際の被検体の同一部位を示す画素とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第7697738号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明が解決しようとする課題は、天板のたわみを補償することができるポジトロン放射断層撮影(PET)イメージングシステム、方法及び核医学イメージングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
実施形態のポジトロン放射断層撮影(PET)イメージングシステムは、測定サブシステムと、収集サブシステムと、再構成サブシステムとを備える。測定サブシステムは、被検体を載せる天板である被検体天板のたわみを検出し、当該検出されたたわみに基づくたわみ情報を提供する。収集サブシステムは、前記測定サブシステムから前記たわみ情報を受信し、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナから複数の同時発生事象に対応するPET測定データを受信し、当該受信したたわみ情報及びPET測定データを再構成サブシステムに伝達する。再構成サブシステムは、前記受信したたわみ情報及びPET測定データを用いて、PETスキャン画像を再構成するプロセッサを有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、PETイメージングシステムの被検体天板の曲がりが及ぼす影響例を説明するための図である。
【図2A】図2Aは、本実施形態のPETイメージングシステムの一例を示す図である。
【図2B】図2Bは、本実施形態のPETイメージングシステムの別の一例を示す図である。
【図3A】図3Aは、本実施形態のPETイメージングシステムの主要部を成すコンポーネント群のブロック図である。
【図3B】図3Bは、本実施形態のPETイメージングシステムに含まれるサブシステムのより詳細な模式図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るPETイメージングシステムの計算ユニットの一例におけるブロック図である。
【図5】図5は、本実施形態で実行されるPETイメージング方法の各ステップを示すフローチャートである。
【図6A】図6Aは、被検体天板のたわみを補償する方法の一例を示すフローチャートである。
【図6B】図6Bは、被検体天板のたわみを補償する図6Aの一例とは異なる方法の一例を示すフローチャートである。
【図7A】図7Aは、ブラッグ干渉回折格子を有する光ファイバ及び2芯前方時分割多重(FTDM)光ファイバをそれぞれ湾曲させたときに出力光信号に及ぶ影響例を示す図(1)である。
【図7B】図7Bは、ブラッグ干渉回折格子を有する光ファイバ及び2芯前方時分割多重(FTDM)光ファイバをそれぞれ湾曲させたときに出力光信号に及ぶ影響例を示す図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、ポジトロン放射断層撮影(PET)イメージングシステムの実施形態を詳細に説明する。
【0023】
(実施形態)
本実施形態は、まるで完全に剛直なシステムで収集されたかのようなPET画像を形成する目的で、PETイメージングシステムの被検体天板のたわみを補償するためのシステム及び方法に関する。被検体天板のたわみの影響を補償することによって、患者の体重及び被検体天板上の体重分布に依存しない、高画質のPETスキャン画像を提供することができる。更に、たわみを補償することによって、PETスキャン画像を、対応するCT画像と位置合わせすること、並びに絶対基準点となって参照されるPETスキャン画像を形成することが、容易に行えるようになる。
【0024】
したがって、以下で説明する実施形態には、被検体天板のたわみを患者毎に決定できるシステム及びそのたわみ情報を使用してPET画像の一連の再構成処理におけるたわみを補償する方法の各説明が含まれている。
【0025】
図2Aは、本実施形態のPETイメージングシステムの一例を示す図である。図2Aは、PETイメージングシステム10の一実施形態を示している。PETイメージングシステム10は、PETスキャナ14及びCTスキャナ16(任意選択)が搭載された構造体12を備える。CTスキャナ16は任意選択であり、PETイメージングシステム10の他の実施形態では除外している。PETイメージングシステム10は、更に、被検体天板18と、被検体天板18のたわみを検出するのに用いる光ファイバ20と、を備える。光ファイバ20を使用することによって、長手方向の測定システムを設けて天板のたわみを測定している。一実施形態では、光ファイバ20を、被検体天板18の側面に固定している。他の実施形態では、光ファイバ20を、被検体天板18の他の表面に取り付けたり、又は、被検体天板18の中に組み込んだりする。光ファイバ20は、被検体表面及び被検体天板機構(例えばローラー、支持体等)との干渉が回避されている限りは、被検体天板18の上、又は、被検体天板18の内部のどこに配置しても構わない。
【0026】
更に、被検体天板18のたわみを検出するのに、1本又は複数本の光ファイバ20を使用することができる。或いは、光ファイバ20に代えて、又は、光ファイバ20に追加して、レーザ、ストリング若しくはバーコード付きエンコーダ、といった他のセンサのうちの1つ又はそれらの組み合わせを使用することができる。但し、他のセンサを使用するには、典型的には被検体天板の動きに垂直な平面で測定を行うことが必要になる。図2Bは、1つの例を示している。同図において、被検体天板18の下に配設されたレーザ22が、光ファイバ20に追加されている。この例では、PETスキャナ14とCTスキャナ16との間にレーザ22が設置されている。但し、レーザの場所はこの場所に限定されず、構造体12の外部に配置することも可能である。更に、他の実施形態では、レーザ22は、被検体天板18の側部(例えば図2Bの紙面に垂直な方向に)又はその上といった他の場所に配置されている。なお、図2A及び図2Bでは、被検体天板18が寝台装置から送り出されることで、下方向(図中の方向425を参照)に沈み込んでいる様相を示している。また、図2A及び図2Bでは、被検体天板18がたわみ無しで水平に移動した場合の位置を破線で示している。なお、図2A及び図2Bは、被検体天板18の側面に固定された光ファイバ20を水平方向にて図示しているが、実際には、被検体天板18に固定された光ファイバ20は、被検体天板18がたわむことにより、被検体天板18と同様に曲がる。
【0027】
図3Aは、本実施形態のPETイメージングシステム10の主要部を成すコンポーネント群のブロック図である。PETイメージングシステム10は、図3Aに示すように、測定サブシステム50と、収集サブシステム52と、再構成サブシステム54と、被検体天板18と、PETスキャナ14と、CTスキャナ16(任意選択)と、を備える。測定サブシステム50は、被検体を載せる天板である被検体天板18のたわみを検出し、当該検出されたたわみに基づくたわみ情報を提供する。収集サブシステム52は、測定サブシステム50からたわみ情報を受信し、PETスキャナ14から複数の同時発生事象に対応するPET測定データを受信し、当該受信したたわみ情報及びPET測定データを再構成サブシステム54に伝達する。再構成サブシステム54は、受信したたわみ情報及びPET測定データを用いて、PETスキャン画像を再構成するプロセッサを有する。
【0028】
図3Bは、本実施形態のPETイメージングシステム10に含まれるサブシステムのより詳細な模式図である。図3Bに例示しているように、収集サブシステム52は、PETスキャナ14、CTスキャナ16(任意選択)、及び測定サブシステム50からデータを収集し、そのデータを再構成サブシステム54に提供する。収集サブシステム52は、1つ又は複数の有線式及び/若しくは無線式の通信方法によって、データの収集及び提供を行う。
【0029】
測定サブシステム50は、被検体天板18のたわみを正確にリアルタイムに検出する。本実施形態では、1本又は複数本の光ファイバ20と、上記1本又は複数本の光ファイバ20が出力する光照射の少なくとも1つの特性を決定する少なくとも1つの測定ユニット332と、が測定サブシステム50を形成している。上記少なくとも1つの測定ユニット332は、被検体天板18のたわみに比例する上記少なくとも1つの特性(例えば光照射強度)を決定し、上記少なくとも1つの特性に関するたわみ情報を、収集サブシステム52に含まれるデータ収集ユニット324に提供する。比例の仕方は、例えば単純なもの、線形のもの、又はモデルによるもっと複雑なものである。
【0030】
たわみ情報は、収集サブシステム52によって、(ステップアンドシュート型寝台動作に対しては)ばらばらの時間に、又は、(連続型寝台動作に対しては)一定時間間隔で取り込まれる。本実施形態では、収集サブシステム52は、測定サブシステム50からたわみ情報を受信すると、受信したたわみ情報を、例えば天板の公称高さ、天板のイメージング開口の中への伸び、他の生理学的信号(例えば心電図)等に関する諸環境情報のうちの1つ又はそれらの組み合わせと共に、再構成サブシステム54へと提供する。或いは、上記1つ又は組み合わせの情報は、独立して再構成サブシステム54に提供してもよい。再構成サブシステム54は、取り込んだたわみ情報を用いて、被検体天板18のたわみ量の全体又はその一部分を推定する。
【0031】
図3Bに示す収集サブシステム52は、更に、PETスキャナ14及びCTスキャナ16からそれぞれデータを収集するデータ収集ユニット320及び322も備えているが、それらのデータ収集ユニットは、同一の収集サブシステム内に含まれている必要はない。例えば、他の実施形態において、データ収集ユニット324は別のサブシステムの一部分であってもよく、測定サブシステム50若しくは再構成サブシステム54の中に組み込まれていてもよい。図3Bに示す一例では、データ収集ユニット324は、測定サブシステム50からたわみ情報を受信する。また、図3Bに示す一例では、データ収集ユニット320は、PETスキャナ14から複数の同時発生事象(すなわち、消滅事象により、略同時に生じるシンチレーション事象)に対応するPET測定データを受信する。そして、収集サブシステム52は、受信したたわみ情報及びPET測定データを再構成サブシステム54に伝達する。
【0032】
一実施形態において、既存スキャナの改造に適応するために、天板のたわみを測定する測定サブシステム50は、被検体天板18だけに限定されている。実際の撮像開口内の付加的な機構は、実装するのが更に複雑であり、被検体天板18の動きそのもの又はイメージング(もしFOV内に配置される場合に)と干渉する可能性もある。
【0033】
更に、上記では、測定サブシステム50が提供するたわみ情報を、少なくとも1つの決定された光照射特性に関連するものとして論じているが、別の実施形態では、1本又は複数本の光ファイバ20からの光照射そのものを、たわみ情報として収集サブシステム52に提供する。この場合、上記少なくとも1つの測定ユニット332は、測定サブシステム50から除外される。更に他の実施形態では、図3Bに例示しているように、測定サブシステム50は、上記1本又は複数本の光ファイバ20と、上記少なくとも1つの測定ユニット332と、被検体天板18の実際のたわみの全体又はその一部分を、上記少なくとも1つの決定された光照射特性に基づいて推定する計算ユニット330と、を備える。一実施形態では、計算ユニット330は、たわみテーブル334を用いて実際のたわみを推定する。このテーブルは、一実施形態では、校正プロセスの間に発生される。これについては後で論じる。上記更に他の実施形態において、測定サブシステム50は、その推定したたわみを、たわみ情報として収集サブシステム52に提供する。
【0034】
開示の実施形態の測定サブシステム50は更に、前に論じた他のセンサのうちの1つ又はそれらの組み合わせも具備することができる。或いは、上記1本又は複数本の光ファイバ20を、上記他のセンサのうちの1つ又はそれらの組み合わせで置き換えてしまってもよい。加えて、前に言及したように、測定サブシステム50は、有線式及び/又は無線式の通信方法によってたわみ情報(例えば、上記少なくとも1つの決定された光放射の特性)を提供することができる。更に、他の実施形態では、たわみ情報を再構成サブシステム54に、収集サブシステム52を介さず直接提供する。
【0035】
測定サブシステム50を実現するのに使用可能な1つのシステムは、ブラッグ干渉の原理を用いて被検体天板18のたわみを検出する。一実施形態において、測定サブシステム50は、被検体天板18沿いに固定された1本又は複数本の光ファイバ20を具備している。上記1本又は複数本の光ファイバ20は、被検体天板18そのものの上に、CTイメージング又はPETイメージングに無視できる程度の効果しか生じない状態で配置することができる。実施形態の一例において、被検体天板18にたわみが生じると、上記1本又は複数本の光ファイバ20は、たわみ量に比例する少なくとも1つの特性を有する光照射を提供する。上記光照射の上記少なくとも1つの特性は、被検体天板18の所定の場所におけるたわみ量を決定するのに用いられる。例えば、被検体天板18の1箇所又は複数箇所の所定の場所におけるたわみ量は、少なくとも1つのブラッグ干渉回折格子(Bragg interference grating)を有する光ファイバに送入された光照射と、その光照射が反射されて同一光ファイバを通って戻って来た光照射との間の差を監視することによって決定される。別の実施形態では、被検体天板18の所定の場所におけるたわみ量は、2芯(dual core)のFTDM(前方時分割多重:Forward time division multiplexing)光ファイバの内側及び/又は外側のコアから出力される光照射の強度の変化と、内側のコア及び外側のコアから出力される光放射の到達時間差と、に基づいて決定される。
【0036】
例えばブラッグ干渉を用いた測定サブシステム50は、たわみに比例する信号を1本又は複数本の光ファイバ20から生成することになるが、既知のたわみ(又は、例えばレーザ22を使って、別のシステムで測定したたわみ)がブラッグシステムとたわみとの間の対応テーブル(たわみテーブル334)を作製するような校正段階が必要になるものと考えられる。次いで、計算ユニット330は、たわみテーブル334を測定サブシステム50に保存し、収集サブシステム52に報告するときに、たわみテーブル334を用いて上記の信号を実際のたわみ(たわみ情報)に変換する。たわみテーブルは、自動的に発生させても良いし、手動で発生させても良く、例えば製造業者が予め設定しておいてもよい。更に、収集サブシステム52が被検体天板の高さ又は長手方向の位置の変化を報告するのと同時に、測定サブシステム50からのたわみ情報が、収集されたPET測定データ及び/又はCT測定データに加えられるような形に、収集サブシステム52を設計しておく必要がある。
【0037】
このように、測定サブシステム50は、被検体天板18の所定の位置において検出した少なくとも1つのたわみ量に基づいて、被検体天板18のたわみを推定する。一例を挙げると、測定サブシステム50は、複数のブラッグ反射回折格子を含む1本の光ファイバから反射光を受信し、光ファイバから受信した反射波の波長に基づいて、被検体天板18の縦方向(長手方向)の複数位置におけるたわみ量を決定する。或いは、他の一例では、測定サブシステム50は、1つのブラッグ反射回折格子をそれぞれが含む複数本の光ファイバから反射光を受信し、複数本の光ファイバから受信した反射波の波長に基づいて、被検体天板18の縦方向(長手方向)の複数位置におけるたわみ量を決定する。ここで、波長等の反射波の情報に基づいて実際のたわみ(たわみ情報)を推定するために、測定サブシステム50は、1本の光ファイバ又は複数本の光ファイバから光を受信し、1本の光ファイバ又は複数本の光ファイバそれぞれから受信した光の、被検体天板18における異なるたわみ量に関する少なくとも1つの特性を測定する。そして、測定サブシステム50は、1本の光ファイバ又は複数本の光ファイバそれぞれから受信した光の少なくとも1つの特性と被検体天板18の異なるたわみ量との間の対応関係を規定するテーブル(たわみテーブル334)を生成する。
【0038】
図2Aは、被検体天板18に取り付けられた光ファイバ20をどのように使用すれば、ブラッグ干渉の原理によって、さえぎらないように被検体開口全体を残した状態で、被検体天板18のたわみを評価できるのかを図解している。図7A及び図7Bは、ブラッグ干渉回折格子を有する光ファイバ及び2芯前方時分割多重(FTDM)光ファイバをそれぞれ湾曲させたときに出力光信号に及ぶ影響例を示す図である。図7A及び7Bでは、光ファイバが曲がったときに、3つのブラッグ干渉回折格子を有する光ファイバと2芯FTDM光ファイバのそれぞれの出力光に及ぶ影響の実例を示している。
【0039】
例えば、図7Aでは、光ファイバが曲がったときに、入力光の波長の反射強度(実線)と出力光の波長の反射強度(破線)との関係を示している。図7Aに示す一例では、ある曲がりでは、波長「λB」の入力光に対する出力光の反射強度分布が、波長「λB」の入力光の反射強度分布から変化しないことを示している。また、図7Aに示す一例では、ある曲がりでは、波長「λA」の入力光に対する出力光の反射強度分布のピークが、波長「λA」の入力光の反射強度分布のピークより「ΔλA」増加していることを示している。また、図7Aに示す一例では、ある曲がりでは、波長「λC」の入力光に対する出力光の反射強度分布のピークが、波長「λC」の入力光の反射強度分布のピークより「ΔλC」減少していることを示している。また、例えば、図7Bでは、光ファイバが曲がったときに生じる出力光の波長から変換された電圧値の時間変化曲線の一例を示している。図7Bの一例に示すように、曲がりが有る場合と、曲がりが無い場合とで、電圧値の時間変化曲線は、変化する。
【0040】
図3Bに例示しているように、再構成サブシステム54は、電子記憶装置304と、インタフェース306と、ディスプレイ308と、計算ユニット302とを備える。電子記憶装置304は、PETスキャナ14、CTスキャナ16、測定サブシステム50から取り込んだデータ又は計算ユニット302が再構成したPETスキャン画像のうちの1つ又はそれらの組み合わせを保存する。これについては、後で更に考察する。更に、再構成サブシステム54が被検体天板18の実際のたわみを推定するときは、たわみテーブル334が電子記憶装置304に保存されている。インタフェース306は、計算ユニット302の設定及び/若しくは制御を行うために、且つ/又は、計算ユニット302に更に別の命令を与えるために使用される。更に、ディスプレイ308は、PETイメージングシステム10を操作するために、ユーザによって使用される。図4は、本実施形態に係るPETイメージングシステムの計算ユニット302の一例におけるブロック図である。計算ユニット302は、主記憶装置440、及び/又は、ROM450に保存されているデータ及び命令を処理するプロセッサ480を具備している。プロセッサ480は、更に、ディスク410又はCD−ROM420に保存されている情報も処理することができる。本例のプロセッサ480は、米国インテル社によるXeonプロセッサ(登録商標)又は米国AMD社によるOpteronプロセッサ(登録商標)とすることができる。当業者であれば気付くように、プロセッサ480は、Pentium(登録商標)プロセッサ、Core2Duoプロセッサ(登録商標)、及びこれらに類するものとすることも可能である。したがって、ガンマ線検出方法に対応する命令は、ディスク410、CD−ROM420、主記憶装置440、又はROM450のうちの任意のものに保存することができる。
【0041】
計算ユニット302は更に、インターネット又は私的ネットワークといったネットワークとの接続を行うための、米国インテル社によるIntelEthernet(登録商標)Proネットワークインタフェースカード等のネットワークインタフェース475も具備することができる。ディスプレイ制御部430は、ディスプレイ385と接続するための、米国エヌビディア社のNVIDIA G−ForceGTXグラフィックスアダプタ(登録商標)とすることができる。計算ユニット302は更に、キーボード295、ポインティングデバイス285、又はマイク、トラックボール、ジョイスティック、タッチスクリーン、及びこれらに類するインタフェース等の他の汎用インタフェース306と接続するためのI/Oインタフェース490も具備することができる。
【0042】
ディスク制御部450は、ディスク410をバス470と相互接続する。このディスクは、ハードディスクドライブ若しくはフラッシュメモリドライブ、及びCD−ROM420若しくはDVDドライブとすることができる。このバスは、ISA、ESIA、VESA、PCI、又は同様のものとすることができ、計算ユニット302の全コンポーネントを相互接続する。計算ユニット302のコンポーネント群はその特徴が既によく知られているため、それらの全般的特徴及び機能については、簡潔にする目的で説明を省略する。もちろん、米国フリースケール社のFreescaleColdFire、I.MX、ARMプロセッサ(登録商標)といった、当該技術分野で知られている他のプロセッサ及びハードウェアの販売業者及びタイプも、本発明に使用することができる。
【0043】
本例の計算ユニット302は更に、FPGA、ASIC、マイクロコントローラ、PLD、又は光ディスク等の他のコンピュータ可読媒体上に独立して実装することも可能である。加えて、本例の計算ユニット302は、PC等の計算装置のハードウェアプラットフォームであり、プロセッサ480は、例えばIntelPentium(登録商標)Processor又は当該技術分野で知られている他の任意のプロセッサとすることができる。主記憶装置440、ROM450、ディスク410、又はCD−ROM420のいずれかに保存されるコンピュータ可読命令は、プロセッサ480及びMicrosoftVISTA(登録商標)、UNIX(登録商標)、Solaris(登録商標)、LINUX(登録商標)、AppleMAC−OS(登録商標)、及び当業者に公知の他のシステム、といったオペレーティングシステムと一緒に実行する、ユーティリティプログラム、バックグラウンドデーモン、又はオペレーティングシステムの構成要素若しくはそれらの組み合わせとして提供することができる。
【0044】
主記憶装置440及び/又はROM450は、レジストリ機能及びこれらに類する計算ユニット302の機能をサポートしている。したがって、ROM450はPROM等の読出専用メモリであるが、主記憶装置440は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、FLASHメモリ、EEPROMメモリ、又はこれらに類する記憶装置とすることができる。主記憶装置440及びROM450は既によく知られているため、簡潔にする目的で、それらの説明はこれ以上行わない。
【0045】
計算ユニット302の例示的実施形態として図4の説明を行ってきたが、図4のコンポーネント群は、被検体天板18のたわみを推定する測定サブシステム50の計算ユニット330を実現するのに使用することも可能である。
【0046】
図5は、本実施形態で実行されるPETイメージング方法の各ステップを示すフローチャートである。具体的には、図5は、被検体天板18のたわみを補償しながらPETスキャン画像を再構成するための各ステップを示すフローチャートである。ステップ510において、被検体天板18のたわみが検出される。被検体天板18のたわみは、前に論じたように、測定サブシステム50を用いて検出することができる。ステップ520において、測定サブシステム50によって、検出されたたわみに基づいて、たわみ情報(例えば上記光照射、上記少なくとも1つの決定された照射特性、又は上記推定たわみ)が生成され、収集サブシステム52に、たわみ情報が提供される。一実施形態では、そのたわみ情報は、被検体天板18の所定の位置における少なくとも1つのたわみ量に対応している。ステップ530及びステップ540において、収集サブシステム52が、たわみ情報及びPETスキャナ14からのPET測定データが受信する。一実施形態では、収集サブシステム52は、たわみ情報を、再構成サブシステム54へのデータの流れの中で、例えば寝台(天板)の公称高さ、天板のイメージング開口の中への伸び、他の生理学的信号(例えば心電図)等に関する環境情報と共に提供する。そのデータの流れは更に、PET測定データも含んでいる。環境情報を含んでいるため、再構成サブシステム54は、PET測定データが収集される環境を表現する正確且つ「そのとき」のパラメータセットを用いてPETスキャン画像を再構成することができる。或いは、測定サブシステム50によって、たわみ情報を再構成サブシステム54に、直接伝達してもよい。更に、ステップ550において、再構成サブシステム54が、受信したたわみ情報及びPET測定データに基づくPET走査画像を再構成する。
【0047】
以下、被検体天板18のたわみを補償するための方法の実施形態について説明する。被検体天板制御部によって監視され通知される被検体天板18の水平方向の動き、及び被検体天板18のうちのイメージングすべき被検体の領域に対応する部分の実際のたわみ量を提供する測定サブシステム50によって、図2に示すPETイメージングシステム10の完全な幾何学的形状が決まる。この関係が決まった後、再構成サブシステム54の計算ユニット302によって、次の2つの手法のうちの一方を用いて、被検体天板18のあらゆるたわみが補正される。すなわち、第1の手法では、図6Aに例示しているように、(1)再構成画像に直線移動及び回転移動の補正要素を適用する。又は、第2の手法では、図6Bに例示しているように、(2)画像空間の変換を行う。これら2つの手法は、技術的には等価であるが、統計上の小さな不一致及び/又はアルゴリズム上の利点が、それらを別個のものにしている。
【0048】
具体的には、第1の手法では、たわみが有る状態でPETスキャン画像を再構成し、その再構成画像に一定の変換を適用する。図6Aは、被検体天板18のたわみを補償する方法の一例を示すフローチャートである。図6Aのステップ610に例示しているように、計算ユニット302のプロセッサ480は、検出した被検体天板18のたわみに従って変換行列「T」を生成する。次いで、ステップ620において、プロセッサ480は、その変換行列を、被検体天板18のたわみを補正しないで再構成された、すなわち、たわみを伴って再構成された仮の再構成PETスキャン画像に適用して、補正済みの再構成PETスキャン画像を生成する。被検体天板18のたわみを補償する図6Aの一例とは異なる方法の一例を示すフローチャートである。一方、第2の手法を用いると、図6Bのステップ650において、プロセッサ480は、検出した被検体天板18のたわみに従って変換行列「T」を生成する。次いで、ステップ660において、プロセッサ480は、第1の手法で用いた変換行列「T」の転置を、PETスキャン画像を再構成するのに使用される再構成空間(又はフィールド)に適用して補正済み再構成空間を生成する。したがって、再構成データは既に「正しい」空間に入っている。ステップ670において、プロセッサ480は、補正済みの再構成空間に基づいて、補正済みの再構成されたPETスキャン画像を生成する。上記の変換で使用した変換行列は、典型的には、3軸全てにおいて直線移動及び回転移動を含んでいる。或いは、無視できると分かっている変位量又は回転量は、ゼロに設定されている。
【0049】
以下、数式を用いて、上記の手法について詳細に説明する。PET測定データの形成は、通常は、以下の式(1)のようにモデル化される。
【0050】
g=Hf+b ・・・(1)
【0051】
式(1)において、「g」は、Mの検出器ビン(bin)を有する列ベクトルである測定データであり、「f」は、Nのボクセルを有する同じく列ベクトルである放射画像(emission image)である。「H」は、「M×N」のエレメントのシステム行列であり、一定の放射ボクセルから放出されたポジトロンが特定の検出器ビンによって検出される確率である。システム行列「H」は、「あるLOR」上の「ある位置」に集積した薬品から放出されるガンマ線が、「ある投影方向」において検出される確率を示す検出確率を示す行列であり、PETイメージングシステム10において物理的に一意に特定される要素である。「b」は、背景のゆらぎであって、Mのビンを有する列ベクトルであり、ランダムな散乱フォトンに起因しており、ランダム散布推定法から分かると考えられている。
【0052】
OSEM(Ordered Subset MLEM)法等、PET画像の再構成に用いられる逐次近似法では、目標は、前述のモデルを用いて測定データ「g」に最善に整合する推定値「f」を見つけ出すことである。なお、上記の再構成画像「f」は、「未補正」の被検体天板たわみ空間に対応している。PET画像再構成は、通常は1回に1つの場所で静止した寝台位置に対して行われ、したがって、「f」は、ステップアンドシュート型寝台動作における1つの寝台位置又は連続型寝台運動に属する特定のインスタンスのいずれかに対応する。
【0053】
「補正済み」被検体天板たわみ空間で、放射画像「fcorr」を得るには、以下の式(2)により未補正再構成画像を変換するのが1つのやり方である(第1の手法)。
【0054】
fcorr=Tf ・・・(2)
【0055】
式中、「T」はN×Nの変換行列であり、測定サブシステム50(例えば光ファイバ測定サブシステム)から得られたアフィン変換と、ボクセルグリッド間に位置する変換座標の再サンプリングの双方を備えている。この手法では、変換は、単純で剛性な直線移動及び回転移動の行列に対応している。
【0056】
被検体天板のたわみを補償する別のやり方(第2の手法)は、以下の式(3)に示すように、たわみをPET測定データ形成プロセスの中でモデル化することである。
【0057】
g=HT−1fcorr+b ・・・(3)
【0058】
式中、「T−1」はN×Nの変換行列であり、たわみの無い画像空間をたわみの有る画像空間(補正済み再構成空間)に変換する。ここで、以下の式(4)及び式(5)のように、「T−1」をシステム行列「H」と組み合わせて、補正済みシステム行列「Hcorr」を形成することができる。
【0059】
Hcorr=HT−1 ・・・(4)
【0060】
g=Hcorrfcorr+b ・・・(5)
【0061】
すなわち、第2の手法では、式(4)で求まる補正済みシステム行列「Hcorr」を用いて、式(5)に基づく逐次近似法によりPET画像を再構成する。したがって、再構成画像は、たわみの無い画像空間に存在することになる。この手法は、連続型寝台動作に対して特に有用である。
【0062】
中に画像フレームが存在しているステップアンドシュート型収集法の場合にはどちらの方法も使用されており、実質的に等価である。しかし、連続型寝台運動では、入来するPET測定データを、画像再構成の前に補正しなければならない。というのは、実際のたわみは絶えず変化しており、したがって、再構成空間で継続的に調整する必要があるからである。画像再構成後に補正することは、連続型寝台運動には適用できない。というのは、複数の時間点で、再構成画像が、異なる量のたわみを含むことになるはずだからである。
【0063】
以上まとめると、計算ユニット302のプロセッサ480は、検出されたたわみに応じて変換行列を生成する。そして、第1の手法を行なう場合、プロセッサ480は、たわみを有して再構成された仮のPETスキャン画像に対して変換行列を適用して再構成されるPETスキャン画像を生成する。或いは、第2の手法を行なう場合、プロセッサ480は、PETスキャン画像を再構成するのに使用される再構成空間に変換行列の転置を適用して補正済み再構成空間を生成し、補正済み再構成空間に基づいてPET走査画像を再構成する。
【0064】
なお、上記の実施形態で説明した方法は、PETイメージングシステムだけでなく、天板のたわみが発生し、PET画像のように、再構成画像に天板が写りこまない他のイメージングシステムにおいても適用することができる。具体的には、上記の実施形態で説明した方法は、シングルフォトンエミッションCT(SPECT: Single Photon Emission computed Tomography)イメージングシステムにおいても適用することができる。すなわち、上記の実施形態で説明した方法は、核医学イメージングシステムに適用することができる。かかる場合、測定サブシステムは、被検体天板のたわみを検出し、当該検出されたたわみに基づくたわみ情報を提供する。そして、収集サブシステムは、測定サブシステムからたわみ情報を受信し、スキャナから複数の放射線測定データを受信し、当該受信したたわみ情報及び放射線測定データを再構成サブシステムに伝達する。再構成サブシステムは、受信したたわみ情報及び放射線測定データを用いて、核医学画像を再構成するプロセッサを有する。
【0065】
以上、説明したとおり、本実施形態によれば、天板のたわみを補償することができる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
10 PETイメージングシステム
12 構造体
14 PETスキャナ
16 CTスキャナ
18 被検体天板
20 光ファイバ
50 測定サブシステム
52 収集サブシステム
54 再構成サブシステム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を載せる天板である被検体天板のたわみを検出し、当該検出されたたわみに基づくたわみ情報を提供する測定サブシステムと、
前記測定サブシステムから前記たわみ情報を受信し、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナから複数の同時発生事象に対応するPET測定データを受信し、当該受信したたわみ情報及びPET測定データを再構成サブシステムに伝達する収集サブシステムと、
を備え、
前記再構成サブシステムは、前記受信したたわみ情報及びPET測定データを用いて、PETスキャン画像を再構成するプロセッサを有する、ポジトロン放射断層撮影(PET)イメージングシステム。
【請求項2】
前記測定サブシステムは、前記被検体天板の所定の位置において検出した少なくとも1つのたわみ量に基づいて、前記被検体天板の前記たわみを推定する、請求項1に記載のPETイメージングシステム。
【請求項3】
前記測定サブシステムは、複数のブラッグ反射回折格子を含む1本の光ファイバから反射光を受信し、前記光ファイバから受信した前記反射波の波長に基づいて、前記被検体天板の縦方向の複数位置におけるたわみ量を決定する、請求項2に記載のPETイメージングシステム。
【請求項4】
前記測定サブシステムは、1つのブラッグ反射回折格子をそれぞれが含む複数本の光ファイバから反射光を受信し、前記複数本の光ファイバから受信した前記反射波の波長に基づいて、前記被検体天板の縦方向の複数位置におけるたわみ量を決定する、請求項2に記載のPETイメージングシステム。
【請求項5】
前記測定サブシステムは、1本の光ファイバ又は複数本の光ファイバから光を受信し、前記1本の光ファイバ又は複数本の光ファイバそれぞれから受信した光の、前記被検体天板における異なるたわみ量に関する少なくとも1つの特性を測定し、前記1本の光ファイバ又は複数本の光ファイバそれぞれから受信した前記光の少なくとも1つの特性と前記被検体天板の前記異なるたわみ量との間の対応関係を規定するテーブルを生成する、請求項2に記載のPETイメージングシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記検出されたたわみに応じて変換行列を生成する、請求項1に記載のPETイメージングシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記たわみを有して再構成された仮のPETスキャン画像に対して前記変換行列を適用して前記再構成される前記PETスキャン画像を生成する、請求項6に記載のPETイメージングシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記PET走査画像を再構成するのに使用される再構成空間に前記変換行列の転置を適用して補正済み再構成空間を生成し、前記補正済み再構成空間に基づいて前記PETスキャン画像を再構成する、請求項6に記載のPETイメージングシステム。
【請求項9】
ポジトロン放射断層撮影(PET)イメージングシステムが行なうPETスキャン画像を再構成するためのポジトロン放射断層撮影(PET)イメージング方法であって、
測定サブシステムが、被検体を載せる天板である被検体天板のたわみを検出する検出ステップと、
前記測定サブシステムが、前記検出ステップにより検出されたたわみに基づいてたわみ情報を提供する提供ステップと、
収集サブシステムが、前記測定サブシステムから前記たわみ情報を受信し、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナから複数の同時発生事象に対応するPET測定データを受信する受信ステップと、
再構成サブシステムが有するプロセッサが、前記受信ステップにより受信されたたわみ情報及びPET測定データを用いて、PETスキャン画像を再構成する再構成ステップと、
を含む、ポジトロン放射断層撮影(PET)イメージング方法
【請求項10】
前記検出ステップは、前記被検体天板の所定の位置において検出した少なくとも1つのたわみ量に基づいて、前記被検体天板の前記たわみを推定する、請求項9に記載のPETイメージング方法。
【請求項11】
前記検出ステップは、
1つ又は複数のブラッグ反射回折格子を含む光ファイバから反射光を受信し、
前記光ファイバから受信した前記反射波の波長に基づいて、前記被検体天板の縦方向の複数位置におけるたわみ量を決定する、請求項10に記載のPETイメージング方法。
【請求項12】
前記検出ステップは、
1つのブラッグ反射回折格子をそれぞれが含む複数本の光ファイバから反射光を受信し、
前記複数本の光ファイバから受信した前記反射波の波長に基づいて、前記被検体天板の縦方向の複数位置におけるたわみ量を決定する、請求項10に記載のPETイメージング方法。
【請求項13】
前記測定サブシステムが、
1本の光ファイバ又は複数本の光ファイバから光を受信し、
前記1本の光ファイバ又は複数本の光ファイバそれぞれから受信した光の、前記被検体天板における異なるたわみ量に関する少なくとも1つの特性を測定し、
前記1本の光ファイバ又は複数本の光ファイバそれぞれから受信した前記光の少なくとも1つの特性と前記被検体天板の前記異なるたわみ量との間の対応関係を規定するテーブルを生成する、ことを更に含む、請求項10に記載のPETイメージング方法。
【請求項14】
前記再構成ステップは、前記検出されたたわみに応じて変換行列を生成する、請求項9に記載のPETイメージング方法。
【請求項15】
前記再構成ステップは、前記たわみを有して再構成された仮のPETスキャン画像に対して前記変換行列を適用して前記再構成される前記PETスキャン画像を生成する、請求項14に記載のPETイメージング方法。
【請求項16】
前記再構成ステップは、前記PET走査画像を再構成するのに使用される再構成空間に前記変換行列の転置を適用して補正済み再構成空間を生成し、前記補正済み再構成空間に基づいて前記PETスキャン画像を再構成する、請求項14に記載のPETイメージング方法。
【請求項17】
被検体を載せる天板である被検体天板のたわみを検出し、当該検出されたたわみに基づくたわみ情報を提供する測定サブシステムと、
前記測定サブシステムから前記たわみ情報を受信し、スキャナから複数の放射線測定データを受信し、当該受信したたわみ情報及び放射線測定データを再構成サブシステムに伝達する収集サブシステムと、
を備え、
前記再構成サブシステムは、前記受信したたわみ情報及び放射線測定データを用いて、核医学画像を再構成するプロセッサを有する、核医学イメージングシステム。
【請求項1】
被検体を載せる天板である被検体天板のたわみを検出し、当該検出されたたわみに基づくたわみ情報を提供する測定サブシステムと、
前記測定サブシステムから前記たわみ情報を受信し、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナから複数の同時発生事象に対応するPET測定データを受信し、当該受信したたわみ情報及びPET測定データを再構成サブシステムに伝達する収集サブシステムと、
を備え、
前記再構成サブシステムは、前記受信したたわみ情報及びPET測定データを用いて、PETスキャン画像を再構成するプロセッサを有する、ポジトロン放射断層撮影(PET)イメージングシステム。
【請求項2】
前記測定サブシステムは、前記被検体天板の所定の位置において検出した少なくとも1つのたわみ量に基づいて、前記被検体天板の前記たわみを推定する、請求項1に記載のPETイメージングシステム。
【請求項3】
前記測定サブシステムは、複数のブラッグ反射回折格子を含む1本の光ファイバから反射光を受信し、前記光ファイバから受信した前記反射波の波長に基づいて、前記被検体天板の縦方向の複数位置におけるたわみ量を決定する、請求項2に記載のPETイメージングシステム。
【請求項4】
前記測定サブシステムは、1つのブラッグ反射回折格子をそれぞれが含む複数本の光ファイバから反射光を受信し、前記複数本の光ファイバから受信した前記反射波の波長に基づいて、前記被検体天板の縦方向の複数位置におけるたわみ量を決定する、請求項2に記載のPETイメージングシステム。
【請求項5】
前記測定サブシステムは、1本の光ファイバ又は複数本の光ファイバから光を受信し、前記1本の光ファイバ又は複数本の光ファイバそれぞれから受信した光の、前記被検体天板における異なるたわみ量に関する少なくとも1つの特性を測定し、前記1本の光ファイバ又は複数本の光ファイバそれぞれから受信した前記光の少なくとも1つの特性と前記被検体天板の前記異なるたわみ量との間の対応関係を規定するテーブルを生成する、請求項2に記載のPETイメージングシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記検出されたたわみに応じて変換行列を生成する、請求項1に記載のPETイメージングシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記たわみを有して再構成された仮のPETスキャン画像に対して前記変換行列を適用して前記再構成される前記PETスキャン画像を生成する、請求項6に記載のPETイメージングシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記PET走査画像を再構成するのに使用される再構成空間に前記変換行列の転置を適用して補正済み再構成空間を生成し、前記補正済み再構成空間に基づいて前記PETスキャン画像を再構成する、請求項6に記載のPETイメージングシステム。
【請求項9】
ポジトロン放射断層撮影(PET)イメージングシステムが行なうPETスキャン画像を再構成するためのポジトロン放射断層撮影(PET)イメージング方法であって、
測定サブシステムが、被検体を載せる天板である被検体天板のたわみを検出する検出ステップと、
前記測定サブシステムが、前記検出ステップにより検出されたたわみに基づいてたわみ情報を提供する提供ステップと、
収集サブシステムが、前記測定サブシステムから前記たわみ情報を受信し、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナから複数の同時発生事象に対応するPET測定データを受信する受信ステップと、
再構成サブシステムが有するプロセッサが、前記受信ステップにより受信されたたわみ情報及びPET測定データを用いて、PETスキャン画像を再構成する再構成ステップと、
を含む、ポジトロン放射断層撮影(PET)イメージング方法
【請求項10】
前記検出ステップは、前記被検体天板の所定の位置において検出した少なくとも1つのたわみ量に基づいて、前記被検体天板の前記たわみを推定する、請求項9に記載のPETイメージング方法。
【請求項11】
前記検出ステップは、
1つ又は複数のブラッグ反射回折格子を含む光ファイバから反射光を受信し、
前記光ファイバから受信した前記反射波の波長に基づいて、前記被検体天板の縦方向の複数位置におけるたわみ量を決定する、請求項10に記載のPETイメージング方法。
【請求項12】
前記検出ステップは、
1つのブラッグ反射回折格子をそれぞれが含む複数本の光ファイバから反射光を受信し、
前記複数本の光ファイバから受信した前記反射波の波長に基づいて、前記被検体天板の縦方向の複数位置におけるたわみ量を決定する、請求項10に記載のPETイメージング方法。
【請求項13】
前記測定サブシステムが、
1本の光ファイバ又は複数本の光ファイバから光を受信し、
前記1本の光ファイバ又は複数本の光ファイバそれぞれから受信した光の、前記被検体天板における異なるたわみ量に関する少なくとも1つの特性を測定し、
前記1本の光ファイバ又は複数本の光ファイバそれぞれから受信した前記光の少なくとも1つの特性と前記被検体天板の前記異なるたわみ量との間の対応関係を規定するテーブルを生成する、ことを更に含む、請求項10に記載のPETイメージング方法。
【請求項14】
前記再構成ステップは、前記検出されたたわみに応じて変換行列を生成する、請求項9に記載のPETイメージング方法。
【請求項15】
前記再構成ステップは、前記たわみを有して再構成された仮のPETスキャン画像に対して前記変換行列を適用して前記再構成される前記PETスキャン画像を生成する、請求項14に記載のPETイメージング方法。
【請求項16】
前記再構成ステップは、前記PET走査画像を再構成するのに使用される再構成空間に前記変換行列の転置を適用して補正済み再構成空間を生成し、前記補正済み再構成空間に基づいて前記PETスキャン画像を再構成する、請求項14に記載のPETイメージング方法。
【請求項17】
被検体を載せる天板である被検体天板のたわみを検出し、当該検出されたたわみに基づくたわみ情報を提供する測定サブシステムと、
前記測定サブシステムから前記たわみ情報を受信し、スキャナから複数の放射線測定データを受信し、当該受信したたわみ情報及び放射線測定データを再構成サブシステムに伝達する収集サブシステムと、
を備え、
前記再構成サブシステムは、前記受信したたわみ情報及び放射線測定データを用いて、核医学画像を再構成するプロセッサを有する、核医学イメージングシステム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【公開番号】特開2012−88300(P2012−88300A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198782(P2011−198782)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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