説明

ポリアクリル酸塩および化学誘引物質を含む粘膜付着性組成物

本発明は、ポリマーを含むアクリル酸および化学誘引物質を含む粘膜付着性医薬組成物であって、該組成物のpHが6またはそれ未満である、該組成物に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物送達系またはこれに関連する改良に関し、特に生殖器薬物送達系に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、上皮細胞が、サイトカインの産生による粘膜扁平上皮における免疫反応に影響を与え得るという証拠が蓄積されつつある。角化細胞によって産生される顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)は、樹状細胞(DC)の上皮細胞への移行およびランゲルハンス細胞(LC)へのその分化のための選択的化学誘引分子として作用する(Kaplan et al,1992; Pastore et al,1997)。in vitroでのGM−CSFへのLC/DCの曝露により、その生存が延長され、リンパ球への抗原提示能力が増大する(Koch et al,1990)。さらに、in vivoでは、いくつかの癌腫によって産生されたGM−CSFの量と腫瘍関連DCの分布/分化との間に相関関係が認められている(Colasante et al,1995)。本発明者らは、以前に、器官型ラフト培養(raft culture)系の使用によって、GM−CSFがin vitroで形成された(前)癌上皮におけるLC/DCのコロニー形成増強の強力な因子であることを証明した(Hubert et al,1999)。さらに、DCによる器官型培養の浸潤によって、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)によって形質転換された角化細胞のアポトーシスが特に誘導されるのに対して、DCは影響を受けなかった(Hubert et al,2001)。
【0003】
これらのデータにより、DCのウイルス感染上皮および/または(前)癌上皮への動員が、抗ウイルス免疫応答および抗腫瘍免疫応答の刺激だけでなく、ウイルス感染細胞および形質転換細胞の死滅の誘導によっても有益であり得ることが示唆される。
【0004】
HPV感染に起因する罹患率および死亡率は、開発途上国および先進工業国における主な健康上の問題であり、この疾患に起因する直接または間接的費用は非常に高い。HPVは、良性の性器疣から浸潤癌までの範囲の疾患を誘導する、一般的な性感染性病原体である。いくつかのHPV型は、特に子宮頸部における悪性腫瘍形質転換過程に直接関与することが示されている。99%までの子宮頸癌およびその前駆物質(扁平上皮内病変;SIL)は、発癌性ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)による感染に起因し得る(Bosch et al,1995)。しかし、HPVのみでは、腫瘍の進行に十分ではない(Herrington, 1995)。HPV感染およびその後のSIL発症の制御における内因性免疫の役割は、細胞性免疫が低下した患者におけるHPV関連病変の頻度の増加によって間接的に示されている(Petry et al,1994;Ellerbrock et al,2000)。ウイルス抗原が大部分の前癌性病変で発現しているにもかかわらず、浸潤癌へ進行し得え、これは抗原提示機能におけるいくつかの定性的および/または定量的混乱の存在が示唆される。この仮説は、ほとんどの性器疣およびSILが正常な対合(paired)扁平上皮と比較したLCの密度および機能の低下によって特徴づけられるという所見によって強化される(Giannini et al,2002;McArdle and Muller,1986;Morelli et al,1994)。免疫系が明らかに疾患の自然な経過に対する影響で重要な役割を果たすので、免疫応答調整物質がこれらの病変に対して治療的価値を有し得るといういくつかの証拠が存在する。細胞性免疫応答の誘導および調節におけるDC/LCの中心的役割のために、これらの細胞の動員および機能を調整する薬物は臨床的に興味深い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生殖器薬送達に関連する1つの主な問題は、子宮頸部または膣の防御機構によって課された生理学的状態により、投与した薬物の粘膜への接触時間が制限されて治療有効性の持続時間が短くなり、投与計画を頻繁にする必要が頻繁にあることである(Robinson and Bologna,1994;Valenta et al,2001)。患者は、挿入物または軟膏などの他の従来の投薬形態よりも良好にゲルに耐えられることが公知である。いくつかの生体接着性ポリマー(bioadhesive polymer)は、上皮に局所的副作用を誘導することなく薬物の粘膜表面との接触を延長する機会について非常に注目されている(Richardson at al,1996)。
【0006】
これらの問題を改善する方法を模索した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、アクリル酸含有ポリマーおよび化学誘引物質を含む粘膜付着性医薬組成物であって、該組成物のpHが6またはそれ未満である、粘膜付着性医薬組成物が提供される。
【0008】
化学誘引物質は、一般に、樹状細胞および/またはランゲルハンス細胞などの免疫細胞の動員を調整する薬物であると理解されている。本発明で使用される化学誘引物質は、好ましくは、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF、モルグラモスチム(molgramostim))、MIP3α(マクロファージ炎症性タンパク質3α)、HβD2(ヒトβデフェンシン2)、HNP2(ヒト好中球デフェンシン2)、および/またはMCP−1(単球走化性タンパク質1)である。より好ましくは、化学誘引物質は、GM−CSFである。
【0009】
本発明の化学誘引物質は、大腸菌(E. coli)などの細菌発現系で産生される。
【0010】
化学誘引物質は、医薬組成物中に300000国際単位(IU)から1000000国際単位(IU)までの濃度で存在する。
【0011】
アクリル酸含有ポリマーは、好ましくは、ポリカルボフィル(ジビニルグリコールと架橋した高分子量の合成アクリル酸ポリマー)である。
【0012】
より好ましくは、97.〜99.9%の精製水と混合してヒドロゲルを形成する。ヒドロゲルの粘度は、10000cPと110000cP(ブルックフィールド粘度)との間である。
【0013】
組成物のpHは、好ましくは5.5またはそれ未満である。より好ましくは、5から5.5までである。ゲルのpHを、トロメタモールまたは水酸化ナトリウムなどのアルカリで至適化する。
【0014】
本発明による組成物は、任意選択的に、メチルパラヒドロベンゾエートまたはプロピルパラヒドロキシベンゾエートなどの防腐剤および/または安定剤をさらに含む。
【0015】
適切なキャリア、賦形剤、および他の薬剤を、組成物に組み込んで、輸送および送達などを改良することもできる。
【0016】
また本発明によれば、粘膜の扁平上皮の治療、好ましくは肛門性器疾患または口腔疾患、特にヒト乳頭腫ウイルスの治療で使用するための、本発明による組成物を提供する。
【0017】
肛門性器疾患は、膣、子宮頸部、または直腸の疾患を意味する。
【0018】
本発明によれば、粘膜の扁平上皮の治療、好ましくは肛門性器疾患または口腔疾患、特にヒト乳頭腫ウイルスの治療で使用するための薬物の製造における、本発明による組成物の使用をさらに提供する。
【0019】
本発明によれば、肛門性器疾患または口腔疾患の治療方法であって、医学的有効量の本発明による組成物をこのような治療を必要とする患者に投与することを含む、肛門性器疾患または口腔疾患の治療方法も提供する。典型的には、直接投与による治療を、症状を軽減、防止、または改善するのに十分な期間で毎日、毎週、または毎月行う。
【0020】
本発明の組成物はまた、組成物を持続放出または徐放するための持続型デバイス、インプラント、またはカプセル化処方物で投与することもできる。
【0021】
驚いたことに、アクリル酸含有ポリマー、特に、pH5.5でヒドロゲルの形態のポリカルボフィルが、4℃または37℃で化学誘引分子(GM−CSF)の生物活性を少なくとも21日間保持するのに対して、ヒドロキシプロピルセルロースまたはポロクサマーヒドロゲルへの組み込み後に両温度での化学誘引分子(GM−CSF)の生物活性が減少することが見出された。
【0022】
驚いたことに、pH6.9で両ゲルに組み込まれたGM−CSFの残存生物活性が異なっていた。これらのデータは、ポリカルボフィルゲル中に存在し、且つヒドロキシプロピルセルロースおよびポロクサマー処方物中に存在しないカルボキシル基部分のイオン化に起因し得る。
【0023】
pH値5.5で処方されたポリカルボフィルヒドロゲル中での貯蔵後に評価されたGM−CSFの生物活性は、溶液中のGM−CSFで認められた生物活性よりも良好であった。
【発明の効果】
【0024】
実施例におけるこれらの結果は、ポリカルボフィルゲル(Noveon)が生物活性GM−CSFの拡散に適合してタンパク質を有利に安定化することを示す。さらに、このゲル処方物中に含まれるGM−CSFは、in vitroおよびin vivoでHPV形質転換(前)癌上皮組織へDCを動員することもできる。したがって、生殖器適用に適切なこの処方物は、HPV関連病変で変化したことが示された免疫機能を回復する。
【0025】
本発明を、以下の図面を参照して例示する。
【0026】
本発明を、以下の実施例を参照して例示するが、本実施例は、特許請求の範囲に記載の発明の範囲を制限することを意図しない。
【実施例】
【0027】
(実施例1)
以下の実施例では、ポロクサマーP407(Lutrol)は、BASF(Ludwigshafen, Germany)から提供された。カルボマー(Carbopol 974P)およびポリカルボフィル(Noveon AA1)は、Noveon(Brussels, Belgium)から贈与された。ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel GF)を、Hercules(Dusseldorf, Germany)から入手した。GM−CSFを、Novartis(Brussels, Belgium)から授与された。全ての他の化学物質は、分析用(grade)であった。
【0028】
カルボポールゲル(1.3% w/w)を、精製水中へのカルボポール樹脂の分散によって調製した。混合物を、粘性が高くなるまで撹拌し、透明なゲルが出現するまで、40%(w/w)のトロメタモールの滴下によって中和した。トロメタモールの量を、ゲルのpHが6.9または5.5になるように調整した。
【0029】
ポリカルボフィルゲル(1.0%w/w)を、精製水中へのNoveon AA1の分散によって調整した。混合物を、粘性が高くなるまで撹拌し、透明なゲルが出現するまで、40%(w/w)のトロメタモールの滴下によって中和した。トロメタモールの量を、ゲルのpHが6.9または5.5になるように調整した。
【0030】
ポロクサマーゲルを、冷却方法(cold method)を使用して調製した。ポロクサマーP407(20%w/w)を、穏やかに混合しながら、4℃で0.05Mリン酸緩衝液(pH6.9)にゆっくり添加した。混合物を、透明な溶液が得られるまで4℃で一晩溶解させた。最後に、7%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロースを、穏やかに混合しながら、透明なゲルが出現するまで0.05Mリン酸緩衝液(pH6.9)にゆっくり添加した。
【0031】
(実施例2)
TF−1細胞を使用して、GM−CSFバイオアッセイを行った。
【0032】
1gの異なるゲルあたり、2%FCS(ウシ胎児血清)を含むRPMI(培養培地)で希釈した900pgのGM−CSFを、穏やかな混合によって組み込んだ。ゲルを、暗所にて37℃または4℃で異なる期間維持した。次いで、ゲルを、2%FCSを含む6mlのRPMIで希釈し、GM−CSFを抽出した。GM−CSFの最終濃度は、150ng/mlであった。TF1細胞の指数増殖曲線が得られるようにこの濃度を選択した(データを示さず)。孔径0.45μmのフィルター(Millex−HV,Millipore,Bedford,MA)での濾過後、バイオアッセイ前に溶液を−20℃で保存した。GM−CSF溶液(150ng/ml)も異なる時間間隔で37℃および4℃に保持し、保存前に濾過した。
【0033】
凍結乾燥後の安定性実験のために、900pgのGM−CSFを含む1gのポリカルボフィルゲル(pH5.5)を、10mlのガラスバイアルに充填した。サンプルを、HETO FD8凍結乾燥機(Jouan Nordic A/S, Allerd, Denmark)の乾燥室に入れ、−35℃で3時間30分間予備冷却した。−15℃にて0.8barの圧力で3時間および0.01barの圧力で12時間乾燥させた。その後、25℃で5時間の二次乾燥工程を適用し、バイアルを密封して取り出した。凍結乾燥したゲルを、暗所にて室温または4℃で異なる期間保持した。次いで、凍結乾燥サンプルを、1mlの脱塩水に再懸濁し、GM−CSFを抽出するために、2%FCSを含む6mlのRPMIで希釈した。
【0034】
因子依存性ヒト細胞株TF−1(ATCC, CRL−2003)を、以前に公開された提案(20)をわずかに修正して培養した。簡単に述べれば、細胞を、10%ウシ仔胎血清および5ng/mlのGM−CSFを含むRPMI 1640培地中にて37℃、5%COでインキュベートした。細胞からGM−CSFを24時間枯渇させ、2%FCSの存在下で培養した。細腔を、50,000細胞/ウェルの濃度で、2%FCSを含む100μlのRPMIおよび100μlの異なるポリマー中に含まれるGM−CSFに、丸底96ウェルマイクロタイタープレート中の種々の時間間隔で入れた。試験を5連で行った。培養物を、3H−TdR(2μCi/ウェル、7Ci/mmol、Moravek Biochemicals, CA)の存在下で24時間インキュベートした。細胞を、自動サンプル採取機(Packard, Canberra, Tilburg, The Netherlands)によって回収し、液体シンチレーションカウンター(Top Count, Packard, Canberra)で計数した。
【0035】
(実施例3)
以下の実施例では、樹状細胞培養物の調製および親油性蛍光細胞トレーサーでの標識を記載する。
【0036】
以前に記載のように(16)、800U/ml GM−CSF(Novartis, Brussels)および20U/ml IL−4(Biosource Europe, Nivelles, Belgium)を使用して、ヒトPBMC(末梢血単核細胞)の接着性画分からDCを生成した。この研究のために生成したDCは、形態学、FACS(蛍光標示式細胞分取器)分析によって認められた前方散乱値および側方散乱値、ならびに表面表現型(CDla+、CD14−、CD4+、CD54+、...)を含むいくつかの基準に基づいて純度90%の細胞集団から構成されていた。
【0037】
以前に記載の手順にしたがって(わずかな修正を伴い)、DCを、親油性蛍光マーカー(CM−DiL,Molecular Probes, Leiden, The Netherlands)で標識した。簡単に述べれば、4×106個のDCを、1mlのPBS中に再懸濁し、37℃に加熱した。CM−DiLを、37℃に予熱した1mlのPBSで希釈して16μg/mlの最終濃度を得た。色素が均一に分布するまで色素を数秒間混合した。この溶液を直ちに細胞懸濁液に移し、ピペッティングによって迅速に混合した。細胞を、37℃で2分間、その後氷上で2分間インキュベートした。最後に、細胞を4℃で40mlのPBSに移し、遠心分離し、適切な培地に再懸濁した。
【0038】
(実施例4)
以下の実施例では、ランゲルハンス細胞培養物の調製を記載する。
【0039】
回収後24時間以内に、Lymphoprep(商標)(Nycomed Pharma As, Oslo, Norway)を使用した不連続密度勾配遠心分離後に臍帯血単核細胞(CB MNC)を採取した。製造者のプロトコールにしたがって、MACS Direct CD34前駆細胞単離キット(Miltenyi Biotec GmBH, Bergisch Gladbach, Germany)およびMiniMACS分離カラム(Miltenyi Biotec)を使用して、CD34+細胞をCB MNCから単離した。15個の104CD34+細胞を、10%FCS、抗生物質、および50□Mメルカプトエタノール(全てGIBCO−BRL,Gaithersburg, MO)を補足した10mlのRPMI1640培地を含むT25フラスコ(Sarstedt, Inc, Newton, NC)に播種した。培養物に、予め最適化した濃度の以下のヒト分子を補足した:SCF(20ng/ml、比活性(SA)>5 105U/mg)、TPO(10U/ml、SA>1 106U/mg)、F1T3−L(25ng/ml、SA>2 105U/mg)、GM−CSF(200U/ml、SA:11,1 106U/mg)、TNF□(50U/ml、SA>2 107U/mg)、IL4(100U/ml、SA>2 106U/ml)、およびTGF−□1(5ng/mlまたは12.5ng/ml,SA>2 108U/mg)。GM−CSFおよびIL4をそれぞれAmoytop(Amoytop Biotech, Xiamen, China)およびBiosource(Nivelles, Belgium)から入手したこと以外は、これらの全薬剤をPeproTech(Rockey Hill, NJ)から購入した。細胞を、37℃の加湿および5%CO2存在下で培養した。7日目に、細胞密度を、2×10/cmに調整し、7日目および14日目に、細胞に、培養開始時に使用した濃度と同一濃度のGM−CSF、IL4、TNFα、およびTGF−β1を供給したが、TGF−β1については、全培養で14日目に12.5ng/mlを供給することを例外とする。18日目に、細胞を、強いピペッティングによって培養物から回収して単一の細胞集団を調製した。
【0040】
(実施例5)
以下の実施例では、器官型培養物の調製を記載する。
【0041】
HPV形質転換角化細胞(SiHa細胞株(10))の器官型培養物を、以前に報告されているように(17)調製した。2週間の角化細胞の層形成後、標識DCをin vitroで形成された上皮の上部に2×10細胞/50μl培養培地の濃度で播種した。次いで、器官型培養物を、800U/mlのGM−CSFを含むか含まないポリカルボフィルゲル上に入れた。培養を維持するために、ポリカルボフィルゲル(1,5w/w)を、角化細胞成長培地へのNoveon AA1の分散によって調製した。混合物を、40%(w/w)のトロメタモールの滴下によって中和した。ポジティブコントロール(陽性対照)は、800U/mlの液体GM−CSF溶液であった。更なる実験において、500ng/mlの単球化学誘引タンパク質1(MCP−1,PeproTech, Rocky Hill, NJ)、750ng/mlのヒト好中球ペプチド2(HNP2,Sigma-Aldrich, St Louis, MO)、750ng/mlのヒトβデフェンシン2(HOD−2,PeproTech, Rocky Hill, NJ)、または500ng/mlのマクロファージ炎症性タンパク質3α(MIPSα,PeproTech, Rocky Hill, NJ)も、同一濃度の液体培養培地またはポリカルボフィルゲル中に含まれる化学誘引物質として試験した。37℃で48時間後、コラーゲンラフトを採取した。次いで、培養物を、−70℃でO.C.T化合物(Tissue Tek,Sakura, Netherlands)に包埋し、低温保持装置を使用して切片にした。器官型培養物を、蛍光色素4’,6−ジアミジン−2−フェニルインドール二塩酸(DAPI,Roche Diagnostics, Brussels, Belgium)で対比染色した。蛍光DCの浸潤を、40倍の対物レンズを備えた蛍光顕微鏡(Leica DMLB顕微鏡、Heidelberg GmBH, Germany)で視覚化した。
【0042】
(実施例6)
以下の実施例では、器官型培養物におけるCD1a+細胞浸潤の評価のために使用した方法を記載する。
【0043】
上皮層に移動したDCの密度を、抗CD1aモノクローナル抗体(Dako, Glostrup, DenmarkのクローンNA1/34)を使用したアビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼ技術(Vectastain ABC kit,Vector laboratories, Burlingame, CA)によって評価した。9μmの凍結切片を、冷アセトン中で3分間固定し、内因性ペルオキシダーゼを、0.1%H2O2で30分間ブロッキングした。次いで、切片を、抗CD1a抗体(2%BSA、0.01M NaN3を含むPBSで40倍希釈)またはアイソタイプ適合コントロール抗体と1時間、ビオチン化マウス抗Ig抗体と30分間、およびストレプトアビジンHRP AB複合体とさらに30分間連続的にインキュベートした。陽性細胞を、3,3’−ジアミノベンジジン基質(DAB)によって視覚化した。切片を、ヘマトキシリンで対比染色した。器官型培養物へのDC浸潤を、以下の以前に記載の方法(6)に従ったコンピュータ化画像分析システム(CAS,Becton Dikinson, Erembodegem, Belgium)を使用した免疫染色細胞表面の測定によって評価した。各培養物切片の全表面を分析し、各培養物の5つの切片を、抗CD1aで染色した。陽性の表面を、総分析表面に対する比率として示した。更なる実験において、器官型培養物におけるLC/DC浸潤の深さを、コンピュータ化画像分析システム(CAS,Becton Dikinson, Erembodegem, Belgium)を使用した上皮の上部と各DCとの間の距離の測定によって評価した。次いで、浸潤の深さと培養物の厚さとの間の比を計算した。培養物切片中で見出された全LC/DCの浸潤の深さを分析し、各培養物の4つの切片を、抗CD1a抗体で染色した。百分率は、培養物の上部にあるLC/DCについては0%であり、上皮の下部に到達したLC/DCについては100%であった。スチューデントt検定(Instat Mac 2.01 software;Graph-Pad Software, San Diego, CA)を使用して統計分析を行った。
【0044】
(実施例7)
以下の実施例では、NOD/SCIDマウスにおける異種移植片アッセイのために使用した方法を記載する。
【0045】
HPV形質転換角化細胞(2×10、CasKi細胞株、ATCC,CRL−1550)を、コラーゲンゲル(ラット尾腱から単離した2mg/mlのI型コラーゲン)に入れ、テフロン(登録商標)リング(Teflon ring)(Renner, Dannstadt, Germany)に挿入し、マウスへの移植1日前に培養物中に維持した。12週齢のNOD−scid/scidマウスをこの研究に使用した。マウスを、滅菌条件下で飼育し、水および飼料を適宜与えた。移植前に、細胞を洗浄し、培地を排出した。次いで、細胞コーティングコラーゲンゲルを、以前に記載のように(2、11)、シリコーン移植チャンバー(Renner, Dannstadt, Germany)で覆い、マウスの背部の筋膜上にin totoで移植した。マウスを、24時間後に頸部脱臼によって屠殺した。移植片を切り出し、O.C.T.化合物(Tissue Tek, Sakura, Netherlands)に包埋し、低温保持装置による切片形成のためにドライアイス上で凍結した。DC動員実験では、2×10個の蛍光標識DCを21日目に静脈内注射し、PBS、ポリカルボフィルゲルのみ、または化学誘引物質(GM−CSF液:4×10U/ml;ポリカルボフィルゲルに組み込まれたGM−CSF:4×10U/gゲル)と共に、移植チャンバー(マウス屠殺の24時間前および48時間前)に2回(それぞれ200μl)注射した。移植片の切片を、蛍光色素4’,6−ジアミジン−2−フェニルインドール二塩酸(DAPI,Roche Diagnostics, Brussels, Belgium)で対比染色した。蛍光DCの浸潤を、40倍の対物レンズを備えた蛍光顕微鏡(Leica DMLB顕微鏡、Heidelberg GmBH, Germany)で視覚化した。上皮中の蛍光DCを計数し、抗ケラチン免疫標識後、上皮表面を、コンピュータ化画像分析システム(CAS, Becton Dikinson, Erembodegem, Belgium)を使用して評価した。浸潤の結果を、上皮1mmあたりのDC数として示した。スチューデントt検定(Instat Mac 2.01 software;Graph-Pad Software, San Diego, CA)を使用して統計分析を行った。
【0046】
(実施例8)
以下の実施例では、免疫蛍光標識で使用した方法論を記載する。
【0047】
移植片の凍結切片(厚さ5μm)を、−20℃のアセトンおよび4℃の80%メタノール中で固定した。次いで、これらを、以下の一次抗体と共に室温で60分間インキュベートした:抗マウスIV型コラーゲン抗体(SIF105ウサギ抗マウス、Dr.A.Noelからの贈与)および抗ヒトケラチン抗体(KL1、マウス抗ヒト、Immunotech, Marseille, France)。次いで、以下の適切な二次抗体を、30分間適用した:テキサスレッドに抱合したブタ抗ウサギ抗体(Dako, Glostrup, Denmark)およびフルオレセイン−イソチオシアネートに抱合したヒツジ抗マウス抗体(Sigma-Aldrich)。二重免疫蛍光標識研究のために、切片を最初に2つの一次抗体とインキュベートし、その後、FITCおよびテキサスレッド抱合二次抗体とインキュベートした。PBSでの洗浄後、カバースリップをのせ、落射蛍光光学素子(epifluorescence optic)を備えた顕微鏡下で標識を分析した。
【0048】
(実施例9)
以下の実施例では、TF−1細胞でのバイオアッセイを使用した、4℃および37℃での異なるポリマーへの組み込み後のGM−CSF生物活性の測定を記載し、分析する。
【0049】
異なるヒドロゲルへの組み込み後のGM−CSF生物活性を、異なる時間間隔で、GM−CSF依存性TF−1細胞株を使用した成長刺激のバイオアッセイを使用して測定した。注射剤(Leucomax, Novartis, Brussels, Belgium)を、ポジティブコントロールとして選択した。4つのポリマーをpH6.9で試験し、このpHは、GM−CSFの安定性に最適であり、注射剤のpH値に対応すると報告されている(Novartisからのデータ)。ポリカルボフィルが子宮頸部−膣用処方物のための特に都合の良いポリマーであることが見出され、そして通常酸性pH値で子宮頸部−膣用処方物を開発することが推奨されているので、ポリカルボフィルヒドロゲルをpH5.5でも試験した。
【0050】
図1に示すように、GM−CSFの注射剤の生物活性の減少は4℃よりも37℃で顕著であり、これは以前のデータ(30)と一致する。両温度でのヒドロキシプロピルセルロース(Klucel)またはポロクサマーヒドロゲル(Lutrol)への組み込み後のGM−CSF活性の顕著な減少も認められた。対照的に、ポリカルボフィルゲル(Noveon)(pH5.5)は、GM−CSF分解に対する防御を誘導した。しかし、この防御効果は、pH6.9では認められなかった。カルボマー(Carbopol)は、両温度および少なくとも1週間中に、注射剤で認められた活性に類似のGM−CSF活性が認められた。
【0051】
1週間を超える期間中に、ポリカルボフィルゲルの防御効果を評価するために、さらなる実験を行った。同時に、カルボマーゲル中のGM−CSF安定性に対するpH減少の影響を試験した。図2に示すように、基準として使用したGM−CSFの注射剤の生物活性は、3週間で規則正しく減少し、このことは、文献のデータ(30)と一致していた。先に観察されたように、pH5.5でのポリカルボフィルゲルの防御効果は、保存の最初の1週間で見出された。興味深いことに、GM−CSF生物活性は、3週間にわたって安定なままであり、注射剤よりもpH5.5のポリカルボフィルゲルでより顕著であった。カルボマーにより、少なくとも3週間注射剤で認められた活性に類似するGM−CSF活性が付与されるが、驚いたことに、pを5.5に減少させると、GM−CSFをカルボマーに組み込んだ場合に活性の急速な喪失が誘導された。ヒドロゲルを37℃で保存した場合、類似の所見が認められた(データを示さず)。
【0052】
これらの結果により、pH5.5でのポリカルボフィル(Noveon)は、生殖器粘膜の扁平上皮へのGM−CSFの局所適用に都合がよいことが示唆される。
【0053】
(実施例10)
凍結乾燥は、滅菌条件下での十分に確立された保存方法である。ポリカルボフィルゲルの、凍結乾燥後および異なる時間間隔、および異なる温度での保存後のGM−CSFの生物活性を試験した。凍結乾燥後、残渣は、かさ高く且つ雪のようであった。凍結乾燥物を水に再懸濁することができた。しかし、震盪およびボルテックスなどのさらなる操作を行って、1gのゲルにつき1mlの水の添加後に完全に再懸濁するが必要であった。首尾の良い再懸濁後、GM−CSFの生物活性を再試験し、非凍結乾燥サンプル後に得られた生物活性と比較した(図3)。凍結乾燥は、どのような保存温度でも少なくとも5週間活性の喪失を防止することが見出された。
【0054】
これらの結果により、pH5.5でのポリカルボフィル(Noveon)が生殖器粘膜上皮へのGM−CSFの局所適用に都合がよいことがさらに確認される。
【0055】
(実施例11)
以下の実施例では、in vitro形成(前)癌上皮へのDC動員に対するポリカルボフィルゲルに組み込まれたGM−CSFの影響を説明する。
【0056】
ポリマー中に含まれるGM−CSFが、in vivoで認められた高悪性度の(前)癌病変に類似する、in vitro形成された(前)癌上皮に浸潤するDCの能力を調整するかどうかを調査した。800U/mlのGM−CSFおよび20U/mlのIL−4の存在下で7日間培養したヒト末梢血単核細胞の可塑性の接着性画分由来の単球前駆体は、豊富な樹状の膜突起部を有するDCの形態学的性質を示した(データを示さず)。FACS分析により、これらの細胞は、DCに典型的な表現型の特徴(CD1a抗原、CD4抗原、CD86抗原、およびCD54(ICAM−1)抗原の存在、クラスII MHC(HLA−DR)分子の中程度の発現、およびマクロファージ(CD14)、B(CD20)、およびT(CD3)細胞マーカーの非存在)も示した。DCを、ポリカルボフィルゲル中に組み込まれているか組み込まれていないGM−CSFの存在下で、HPV形質転換角化細胞の器官型培養物の上部に重層した。DC浸潤に対するGM−CSFの効果を、GM−CSF添加から48時間後に凍結した器官型培養物の凍結切片の試験によって評価した。DCの浸潤を調整するGM−CSFゲルの能力を、器官型培養物への蛍光DCの評価によって決定した。図4は、ポリカルボフィルゲル中に組み込まれているか組み込まれていない外因性GM−CSFとインキュベートしているかインキュベートしていない、HPV形質転換角化細胞の器官型培養物中の蛍光標識DCの密度を示す代表的実験を例示する。SiHaの器官型培養物上に重層したDCは、GM−CSFの非存在下では上皮細胞層をあまり浸潤しないのに対して、溶液中またはゲルに組み込まれたGM−CSFは、上皮層内に認められたDCの密度を有意に増加させた。HPV形質転換細胞株SiHaに由来する器官型培養物に対してDC浸潤の定量分析を行った。in vitro形成された上皮中のDCの密度を、器官型培養物の全厚さにおける抗CD1a抗体で標識した表面の評価によって定量した。基本条件下(液体またはゲルに組み込まれたGM−CSFの非存在下)で、培養物中のDC浸潤レベルは低かった(CD1a標識表面の1.64±0.78%)。HPV+細胞株の器官型培養物にGM−CSFを補足した場合、DCの浸潤は有意に改善し(CD1a標識表面の28.33±8.11%)、これらの条件下で認められたDCの密度は、ゲルに含まれるGM−CSFによって誘導されたDC密度に類似していた(CD1a標識表面の25.38±5.81%)。
【0057】
(実施例12)
以下の実施例では、HPV形質転換角化細胞の異種移植片中のヒトDCの移動の刺激に対する、ポリカルボフィルゲル中のGM−CSFの封入の影響を調査した。
【0058】
ポリカルボフィルゲル中に含まれたGM−CSFのin vivo有効性を検討するために、コラーゲンゲル上で培養した移植HPV形質転換角化細胞を、NOD−SCIDマウスの背部に存在させた。移植24日後、マウスを屠殺し、免疫組織学的分析のために移植片を取り出した。薄片の組織学的試験により、移植片の成長パターンが高悪性度の扁平上皮(前)癌病変を再現し、コラーゲンゲルが肉芽組織に置き換わることが明らかとなった。HPV+角化細胞の移植によって、背部の筋肉の血管から始まる宿主組織における血管由来の応答を誘導し、その後コラーゲンゲルにまで広がった。血管は腫瘍上皮に出現し、新規に形成された肉芽組織に侵入し始めた。
【0059】
ポリカルボフィルゲルに組み込まれたGM−CSFの有効性を証明するために、5匹のマウスから構成される2群を、マウス屠殺の2日前の間、毎日、(前)癌上皮を被覆した移植チャンバーへ200μlのGM−CSFを含むPBSまたはゲルの注射によって処置した。コントロールマウス群を、PBSのみで処置した。最初のGM−CSFの適用時に、蛍光トレーサーで予め標識した2×106個のヒトDCをマウスに静脈内注射した。移植片を、GM−CSFの最後の投与から1日後に採取し、顕微鏡試験用に処理した。移植片中のDC浸潤を、組織学的切片中の染色DCの観察によって評価した。図5に示すように、移植チャンバー中へのGM−CSFの適用により、処置動物の腫瘍移植片への有意な(p<0.001)DC動員が認められる一方で、コントロールマウスの上皮ではDCはわずかしか検出されなかった。DC浸潤の定量的分析を、1mm2の上皮組織あたりのDC数の決定によって行った。移植片中のDC浸潤は、GM−CSFの非存在下では非常に低く(1.1±1.4DC/mm2)、液体GM−CSFでの処置後に劇的に増加した(16.6±14.6DC/mm2)。GM−CSFをポリカルボフィルゲルに組み込んだ場合に類似の結果が認められた(17.5±14.6DC/mm2)。
【0060】
(実施例13)
以下の実施例では、ポリカルボフィルゲルに組み込まれた他の化学誘引分子のin vitro形成された(前)癌上皮中へのDCおよびランゲルハンス細胞(LC)の浸潤を誘導する能力を調査した。
【0061】
GM−CSFがLC/DC上皮内移動の調節に関与する唯一の因子ではないかもしれないので(12)、本発明者らは、LC/DCの移動を刺激することができ、且つ/またはその産生がHPV+角化細胞に影響を与え得る他の分子を同定しなければならなかった。
【0062】
MIP3αおよびHβD2(ヒトβデフェンシン2)は共に、CCR6との相互作用を介して未熟樹状細胞に対して走化性を示すことが示されている(44、41、39、42)。興味深いことに、SILは、正常な子宮頸外部と比較してMIP3αの断続的染色パターンに関連していた。HNP2(ヒト好中球デフェンシン2)は、CCR6受容体と無関係に未熟ヒトDCの移動を選択的に誘導する(43)。MCP−1は、LC/DCおよび単球の動員で重要な役割を果たし(38)、MCP−1遺伝子とHPV癌遺伝子E6/E7との間の発現の逆相間が、子宮頸癌細胞株で記載されていた(40)。単球由来のDCは、CCR6(MIP3αおよびHβD−2の受容体)を欠損しているので(37)、本発明者らは、CD34+前駆体から多数のLCを作製するプロトコールを開発した(Hubert et al、提出)。
【0063】
本発明者らは、MIP3αおよびHβD−2、またはMCP−1およびHNP2の添加によって、LCおよびDCが、それぞれin vivoで認められる子宮頸部の高悪性度SILに類似するin vitroで形成された(前)癌上皮を浸潤する能力を調整することができるかどうかを調査した。DCまたはLCを、ポリカルボフィルゲルに含まれるか含まれない化学誘引分子を含むか含まないこれらの培養物の上部に重層した。LC/DC浸潤を、化学誘引物質の添加から48時間後に器官型培養物の免疫組織学的切片の試験によって評価した。
【0064】
in vitroで形成された上皮中のLC/DCの移動を、器官型培養物の全厚さをにわたる抗CD1a抗体で標識した全細胞の浸潤の深さの測定によって定量した。LC/DCは、GM−CSFの非存在下で上皮層をあまり浸潤しないのに対して(図6)、GM−CSFの添加により、上皮層で認められたDCの密度が有意に増加した。LC/DCは、ポリカルボフィルゲル中に含まれるか含まれないGM−CSFの存在下にて類似の様式で移動した。
【0065】
器官型培養培地にMCP1またはHNP2を補足した場合(図6A)、化学誘引物質を使用しない基礎浸潤と比較してDCの浸潤が改良され、GM−CSFを使用して得た浸潤レベルと等価な浸潤レベルに到達した。ポリカルボフィルゲル中への化学誘引分子の封入により、化学誘引物質溶液の存在下で認められた場合と比較してDC浸潤は改変されなかった。
【0066】
LCを使用するか、器官型培養培地にMIP3□またはH□D−2を補足した場合に、類似の結果が得られた(図6B)。
【0067】
これらの結果は、ポリカルボフィルゲル中に含まれるMIP3α、HβD−2、MCP−1、およびHNP2を使用して、粘膜表面にLC/DCを動員することもでき、これは、生殖器HPV関連(前)癌病変のための新規の免疫治療アプローチとして有用であり得ることを示す。
【0068】
(実施例14)
以下の実施例では、活性物質としてGM−CSFを含む医薬組成物の処方物を、活性物質を含む精製水と1.4%ポリカルボフィル、0.08%メチルヒドロキシベンゾエート、および0.02%プロピルパラヒドロキシベンゾエートとの混合によって調製した。処方物のpHを、トロメタモールでpH5.5に調節する。
【0069】
(実施例15)
以下の実施例では、活性物質としてモルグラモスチム(Molgramostin)を含む医薬組成物の処方物を、活性物質を含む精製水と1.4%ポリカルボフィル、0.08%メチルヒドロキシベンゾエート、および0.02%プロピルパラヒドロキシベンゾエートとの混合によって調製した。処方物のpHを、トロメタモールでpH5.5に調節する。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
【表4】

【0074】
【表5】

【0075】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】1週間の貯蔵後の残存生物活性データを示し、4℃または37℃で保存したヒドロゲルから異なる時間間隔(T0から1週間まで)で抽出したGM−CSFとのインキュベーション後のTF−1細胞株の増殖応答のグラフを示す図である。3H−dTR組み込みによって成長を測定し、各点は、6つの複製物の平均を示し、バーは標準誤差を示す。
【図2】3週間の貯蔵後の残存生物活性データを示し、4℃で保存したヒドロゲルから異なる時間間隔(T0から3週間まで)で抽出したGM−CSFとのインキュベーション後のTF−1細胞株の増殖応答のグラフを示す図である。3H−dTR組み込みによって成長を測定した。各点は、6つの複製物の平均を示し、バーは標準誤差を示す。
【図3】凍結乾燥ポリカルボフィルゲルの5週間の貯蔵後の残存生物活性データを示し、4℃または室温で保存したpH5.5の凍結乾燥ポリカルボフィルゲルから異なる時間間隔で抽出したGM−CSFとのインキュベーション後のTF−1細胞株の増殖応答のグラフを示す図である。3H−dTR組み込みによって成長を測定した。各点は、6つの複製物の平均を示し、バーは標準誤差を示す。
【図4】ポリカルボフィルゲル中に組み込まれているか組み込まれていないGM−CSFの影響下での、HPV形質転換角化細胞の器官型培養物へのDC浸潤の定量的評価を示す図である。DCの浸透後に抗CD1aで免疫標識する。結果を、上皮層の非標識表面に対する抗CD1aで標識した表面の比率±SD(n=5)として示す。星印は、統計的有意差(***:p<0.001)を示す。
【図5】HPV形質転換角化細胞の移植片へのDC浸潤の定量的評価を示す。結果を、HPV+上皮のmmあたりのDC数±SD(各条件につきn=5)として示す。星印は、統計的有意差(***:p<0.001)を示す。
【図6】HPV形質転換角化細胞の器官型培養物へのDCおよびLC浸潤の定量的評価を示す図である。DCの浸透(A)を、GM−CSF(コントロールとして使用)、ポリカルボフィルゲル中に含まれているか含まれていない、MCP−1およびHNP2の非存在下または存在下で試験する。LCの浸潤(B)を、ポリカルボフィルゲル中に含まれているか含まれていない、MIP3αおよびHβD2の非存在下または存在下で分析する。DCおよびLCを、抗CD1a抗体での免疫標識によって検出した。結果を、上皮層の厚さあたりの浸潤の深さの比率で示す(各培養条件についてn=4)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル酸含有ポリマーおよび化学誘引物質を含む粘膜付着性医薬組成物であって、該組成物のpHが6またはそれ未満である、該組成物。
【請求項2】
前記化学誘引物質が、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF、モルグラモスチム(molgramostim))、MIP3α(マクロファージ炎症性タンパク質3α)、HβD2(ヒトβデフェンシン2)、HNP2(ヒト好中球デフェンシン2)、および/またはMCP−1(単球走化性タンパク質1)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アクリル酸含有ポリマーがポリカルボフィルである、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリマーがヒドロゲルの形態である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物のpHが好ましくは5.5またはそれ未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物のpHが5から5.5である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
粘膜の扁平上皮の治療、好ましくは肛門性器疾患または口腔疾患、特にヒト乳頭腫ウイルスの治療で使用するための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
粘膜の扁平上皮の治療、好ましくは肛門性器疾患または口腔疾患、特にヒト乳頭腫ウイルスの治療で使用するための薬物の製造における、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項9】
肛門性器疾患または口腔疾患の治療方法であって、医学的有効量の請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の組成物をこのような治療を必要とする患者に投与することを含む、肛門性器疾患または口腔疾患の治療方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2007−500673(P2007−500673A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521431(P2006−521431)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007617
【国際公開番号】WO2005/013933
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(500029925)ユニベルシテ・ド・リエージュ (18)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE LIEGE
【住所又は居所原語表記】Quai Van Beneden 25, 4020 Liege, Belgium
【Fターム(参考)】