説明

ポリアセタール樹脂組成物とその製造方法、及び該樹脂組成物を成形してなる摺動部材

【課題】従来のポリアセタール樹脂組成物の摩擦摩耗特性を改良し、摺動相手材の制約が少なく、幅広い摩擦摩耗条件に対応できるポリアセタール樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対し、数平均分子量が500〜15000のポリエチレンワックス(B)0.1〜10重量部、数平均分子量が2×10〜50×10のポリエチレン樹脂(C)0.1〜10重量部、及び25℃における動粘度が50×10cSt以上のシリコーンオイル(D)0.1〜5重量部を配合してなるポリアセタール樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気・電子機器、事務機器、自動車、産業機器等で使用される軸受け、歯車、カム、ローラー、滑り板、プーリー、レバー、ガイド等の摺動部品材料として好適な、自己潤滑性及び多様な摺動相手材に対する摺動性に優れたポリアセタール樹脂組成物とその製造方法、及び該ポリアセタール樹脂組成物を成形してなる、ポリアセタール樹脂摺動部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアセタール樹脂は、摩擦磨耗特性、耐熱性、耐薬品性、電気特性等に優れるバランスのとれた特性を有しているため歯車等の摺動部品材料として自動車、電気・電子製品等の分野で広く利用されている。実用的には、ポリアセタール樹脂部品同士の摺動に使用されることが多いが、一般的にポリアセタール樹脂部品同士が摺動した場合には摩擦磨耗特性は優れたものとはいえず、きしみ音が発生するという問題もある。ポリアセタール樹脂の摩擦摩耗特性を改良した潤滑グレードが上市、開発されているが、上記分野における要求特性は、近年ますます高度化しており、摩擦摩耗特性の更なる改良が望まれている。
【0003】
ポリアセタール樹脂の摩擦摩耗特性を向上させるための従来技術としては、例えばポリアセタール樹脂に液状エチレン・α−オレフィンランダム共重合体を添加する方法(例えば特許文献1参照)、ポリアセタール樹脂にポリエチレン樹脂を添加する方法(例えば特許文献2参照)、ポリアセタール樹脂に超高分子量ポリエチレンおよびシリコーンオイル等の潤滑油を添加する方法(例えば特許文献3参照)、及びポリアセタール樹脂にポリエチレン樹脂と炭化水素系オイルを添加する方法(例えば特許文献4参照)が知られている。しかし、一般的な摺動時の摩擦摩耗特性において一定の改良効果は認められるものの、比磨耗量の減少等の摩擦摩耗特性について近年の市場の要求性能を十分に満足するものではなかった。
【0004】
またポリアセタール樹脂に、ポリエチレンワックス、及びシリコーンオイルを配合することで、摩擦特性及び摺動時の騒音を低減する技術(例えば特許文献5参照)が知られている。
しかし、一般的な摺動時の摩擦摩耗特性、及び自材との摩擦摩耗特性に改良効果が見られるものの、相手材との摩擦摩耗特性、特に相手材が金属又はガラス繊維強化樹脂の場合の更なる磨耗量の減少等の摩擦摩耗特性について近年の市場の高度な要求性能を十分に満足するものではなく、更なる改良が求められていた。
【0005】
【特許文献1】特開平04−239566号公報
【特許文献2】特開昭62−253650号公報
【特許文献3】特公昭47−029374号公報
【特許文献4】特公昭52−028130号公報
【特許文献5】特許第2970691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記した従来のポリアセタール樹脂組成物の摩擦摩耗特性を改良し、摺動相手材の制約が少なく、幅広い摩擦摩耗条件に対応できるポリアセタール樹脂組成物とその製造方法、及び該ポリアセタール樹脂組成物を成形してなる樹脂摺動部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記した問題を解決するために鋭意検討した結果、ポリアセタール樹脂に摩擦摩耗特性の改良剤としてポリエチレンワックス及びシリコーンオイルに、更にポリエチレン樹脂をそれぞれ特定量配合することで前記目的を達成できることを見出した。
また、上記配合物のうち予めポリエチレン樹脂中にシリコーンオイルを分散させた混合物と、ポリアセタール樹脂及びポリエチレンワックスを混合して、溶融・混練することにより、得られたポリアセタール樹脂組成物の摩擦摩耗特性が更に顕著に改良されることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
本発明の第一の態様は、(i)ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対し、数平均分子量が500〜15000のポリエチレンワックス(B)0.1〜10重量部、数平均分子量が2×10〜50×10のポリエチレン樹脂(C)0.1〜10重量部、及び25℃における動粘度が50×10cSt以上のシリコーンオイル(D)0.1〜5重量部を配合してなるポリアセタール樹脂組成物を要旨とする。
本発明第一の態様においては更に下記の態様とすることができる。
(ii)前記ポリエチレンワックス(B)が、エチレン50〜99モル%とα−オレフィン1〜50モル%との共重合体型ポリエチレンワックス(B1)、該ポリエチレンワックス(B1)の酸化変性物(B2)、及び該ポリエチレンワックス(B1)の酸変性物(B3)から選択される1種又は2種以上である。
(iii)前記ポリエチレン樹脂(C)が、密度0.910〜0.940g/cmの低密度ポリエチレン、エチレンンとα−オレフィンとの共重合により得られる密度0.910〜0.940g/cmの直鎖状低密度ポリエチレン、及び密度0.875g/cm以上で0.910g/cm未満の超低密度ポリエチレンから選ばれる1種又は2種以上である。
【0009】
本発明の第二の態様は、(iv)ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対し、数平均分子量が500〜15000のポリエチレンワックス(B)0.1〜10重量部、数平均分子量が2×10〜50×10のポリエチレン樹脂(C)0.1〜10重量部、及び25℃における動粘度が50×10cSt以上のシリコーンオイル(D)0.1〜5重量部を配合してなるポリアセタール樹脂組成物の製造方法であって、予めポリエチレン樹脂(C)中にシリコーンオイル(D)を分散させた混合物と、他の成分とを混合して溶融・混練することを特徴とする、ポリアセタール樹脂組成物の製造方法を要旨とする。
本発明の第二の態様においては更に下記の態様とすることができる。
(v)前記予めポリエチレン樹脂(C)中にシリコーンオイル(D)を分散させた混合物を得る際の、ポリエチレン樹脂(C)とシリコーンオイル(D)との重量比[(C)/(D)]が30/70〜75/25であり、かつポリエチレンワックス(B)に対する全ポリエチレン樹脂(C)成分とシリコーンオイル(D)成分の総和との重量比[(B)/((C)+(D))]が0.01〜4である。
本発明第三の態様は、(vi)前記(i)ないし(iii)のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物を成形してなる、ポリアセタール樹脂摺動部材を要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のポリアセタール樹脂組成物、及びこれを成形してなるポリアセタール樹脂摺動部材は、磨耗量が少なく、極めて優れた摩擦摩耗性有する。特に自材同士の摩擦磨耗特性のみならず、金属又はガラス繊維強化樹脂等の種々の相手材との摩擦磨耗特性について顕著な改良効果が得られる。本発明は、具体的には例えば、電気・電子機器、事務機器、自動車、産業機器等を含む広範な分野において、軸受け、歯車、カム、ローラー、滑り板、プーリー、レバー、ガイド等の摺動部品材料として、摩擦磨耗特性が要求される部品として好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
〔1〕ポリアセタール樹脂組成物
以下に本発明の第一の態様であるポリアセタール樹脂組成物について説明する。
(1)ポリアセタール樹脂(A)
本発明に用いるポリアセタール樹脂(A)は、アセタール構造(−O-CRH−)(但し、Rは水素原子、又は有機基を示す。)を繰り返し構造に有する高分子であり、通常はRが水素原子であるオキシメチレン基(−CHO−)を主たる構成単位とするものである。本発明に用いるポリアセタール樹脂は、この繰り返し構造のみからなるアセタールホモポリマー以外に、前記オキシメチレン基以外の繰り返し構成単位を1種以上含むコポリマー(例えば、ブロックコポリマー)やターポリマー等も含み、更には線状構造のみならず分岐、架橋構造を有していてもよい。
【0012】
前記オキシメチレン基以外の構成単位としては例えば、オキシエチレン基(−CHCHO−)、オキシプロピレン基(−CHCHCHO−)、オキシブチレン基(−CHCHCHCHO−)等の炭素原子数2〜10の、分岐していてもよいオキシアルキレン基が挙げられ、中でも炭素原子数2〜4の分岐していてもよいオキシアルキレン基が好ましく、特にオキシエチレン基が好ましい。またこの様な、オキシメチレン基以外のオキシアルキレン構造単位の含有量としては、ポリアセタール樹脂中において0.1〜15モル%であることが好ましい。
【0013】
本発明に用いるポリアセタール樹脂の製造方法は任意であり、従来公知の任意の方法によって製造することができる。例えば、オキシメチレン基と、炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基を構成単位とするポリアセタール樹脂の製造方法としては、ホルムアルデヒドの3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のオキシメチレン基の環状オリゴマーと、エチレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキソカン、1,3−ジオキセパン等の炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基を含む環状オリゴマーとを共重合することによって製造することができる。
【0014】
本発明に用いるポリアセタール樹脂としては、トリオキサンやテトラオキサン等の環状オリゴマーと、エチレンオキサイドまたは1,3−ジオキソランとの共重合体であることが好ましく、これらの中でもトリオキサンと1,3−ジオキソランとの共重合体であることがより好ましい。また、その溶融粘度は、ASTM−D1238(190℃、2.16kg荷重下)に基づく溶融指数(MI)で0.01〜150g/10分であることが好ましい。
【0015】
(2)ポリエチレンワックス(B)
本発明のポリアセタール樹脂組成物には、摩擦磨耗特性の改良剤としてポリエチレンワックス(B)が配合される。ポリエチレンワックス(B)を配合することにより、ポリアセタール樹脂本来の優れた機械的性質等を損なうことなく、摩擦摩耗特性、成形加工性、および低騒音特性を向上することが可能となる。
ポリエチレンワックス(B)の数平均分子量は、500〜15000が好ましく、500〜12000がより好ましく、1000〜10000が更に好ましい。数平均分子量が500以上であると成形品表面へのブリードアウトの発生を防止でき、一方15000以下であると摩擦摩耗特性、成形加工性等を向上することができる。
尚、本発明において、数平均分子量とはゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリメチルメタクリレート換算の分子量をいうものとする。
本発明において、ポリエチレンワックス(B)には、数平均分子量が500〜15000のポリエチレン及びポリエチレン共重合体であるポリエチレンワックス(B1)の他、これらを酸化変性処理したポリエチレンワックス(B2)、または酸変性処理した変性ポリエチレンワックス(B3)が含まれる。
【0016】
ポリエチレンワックス(B1)は、(i)エチレン、又はエチレンとα−オレフィンとをチーグラー触媒等で直接重合する方法、(ii)高分子量ポリエチレン又は共重合体製造時の副生物として得る方法、(iii)高分子量のポリエチレン又は共重合体を熱分解する方法などによって製造することができる。これらの中でもエチレン50〜99モル%とα−オレフィン1〜50モル%から得られる共重合体型のポリエチレンワックスが好ましい。前記α−オレフィンとして好ましいのは炭素原子数3〜8のオレフィンであり、プロピレンがより好ましい。
【0017】
前記酸化変性処理は、例えば上記ポリエチレンワックス(B1)をパーオキシドや酸素などで処理してカルボキシル基、水酸基などの極性基を導入する酸化変成によってポリエチレンワックス(B2)を得る方法、前記酸変性処理は、ポリエチレンワックス(B1)を無機酸、有機酸などで処理してカルボキシル基やスルホン酸基等の極性基を導入する酸変成によってポリエチレンワックス(B3)を得る方法などのいかなる製造方法によるものでもよい。
【0018】
これらのポリエチレンワックス(B)は、一般型高密度ポリエチレンワックス、一般型低密度ポリエチレンワックス、低酸価型ポリエチレンワックス、高酸価型ポリエチレンワックス、酸変性型ポリエチレンワックス、あるいは特殊モノマー変性型等の名称で市販され、市場において容易に入手することができる。これらの中で好ましいのは、一般型低密度ポリエチレンワックスと低酸価型ポリエチレンワックスである。
【0019】
本発明のポリアセタール樹脂組成物におけるポリエチレンワックス(B)の配合量は、ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。前記0.1重量部未満では摩擦摩耗特性の改良効果が十分ではなくなる。一方、前記10重量部を超えると成形品の層状剥離、製造時に押出不良(計量不良等)の問題が発生する場合がある、特にポリエチレンワックス(B)の数平均分子量が低めの範囲にある場合に機械性能が低下して、成形品の層状剥離、製造時に押出不良(計量不良等)の問題が発生し易くなる。
ポリエチレンワックス(B)は単独で使用してもよく、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。
【0020】
(3)シリコーンオイル(D)
本発明に用いるシリコーンオイル(D)は、25℃における動粘度が50×10センチストークス(cSt)以上のシリコーンオイルである。中でも、この動粘度は100×10〜1000×10cStであることが好ましい。本発明に用いるシリコーンオイル(D)の25℃における動粘度が50×10cSt未満であると、本発明のポリアセタール樹脂組成物の外観や摺動特性の継続性が低下するおそれがある。尚、シリコーンオイルの25℃における動粘度の上限は通常、1000×10cSt程度である。
【0021】
本発明に用いるシリコーンオイル(D)としては、従来公知の任意のものを使用できる。具体的には例えば、ポリジメチルシロキサンからなるシリコーンオイルの他、ポリジメチルシロキサンにおけるメチル基の一部又は全部が、水素、炭素原子数が2以上のアルキル基、フェニル基、ハロゲン化フェニル基、エステル基、フッ素等のハロゲン化エステル基、ポリエーテル基等で置換された置換シリコーンオイル類;ポリジメチルシロキサンに更にエポキシ基、アミノ基、アルコール性水酸基、ポリエーテル基等を有する変性シリコーンオイル類;ジメチルシロキサン単位とフェニルメチルシロキサン単位を含むアルキルアラルキルシリコーンオイル類;ジメチルシロキサン単位のメチル基の一部がポリエーテルで置換された構造を有するシロキサン単位とフェニルメチルシロキサン単位とを有するアルキルアラルキルポリエーテル変性シリコーンオイル類;などが挙げられる。これらの中で好ましいのは、ジメチルシロキサンの重合物、及びジメチルシロキサンとメチルフェニルシロキサンとの共重合物である。
【0022】
本発明のポリアセタール樹脂組成物におけるシリコーンオイル(D)の含有量は、ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、0.2〜3重量部がより好ましく、0.2〜2重量部が特に好ましい。前記0.1重量部未満では本発明の摩擦摩耗特性の改良効果が十分ではなく、一方、前記5重量部を超えるとポリアセタール樹脂組成物の成形加工性が低下し、外観も低下する傾向がある。
本発明に用いるシリコーンオイル(D)は、単独で使用してもよく、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。
【0023】
(4)ポリエチレン樹脂(C)
本発明に用いるポリエチレン樹脂(C)は、ポリエチレンワックス(B)よりも数平均分子量の多い、数平均分子量が2×10〜50×10のポリエチレン樹脂である。ポリエチレン樹脂(C)としては、低密度ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンが挙げられ、中でも低密度ポリエチレンが好適に用いられる。ポリエチレン樹脂(C)について、低密度ポリエチレン樹脂(直鎖低密度ポリエチレン樹脂やその共重合体を含む。)とは密度が0.910〜0.940g/cmのものを示し、また超低密度ポリエチレン樹脂とは密度が0.875g/cm以上で0.910g/cm未満のものを示す。
低密度ポリエチレンは、高密度ポリエチレンと比較して結晶性が低いので、ポリアセタールとある程度混和し、摩擦摩耗特性がより向上するので好ましい。
【0024】
上記ポリエチレン樹脂(C)は、従来のマルチサイト触媒により重合されたものでも、シングルサイト触媒を用いて重合されたものでも良い。また、グリシジルメタクリレートなどのエポキシや無水マレイン酸などの酸無水物などで変性されたポリエチレン樹脂でも良い。
また本発明に用いるポリエチレン樹脂(C)の溶融粘度は、通常、ASTM−D1238に基づく溶融指数(MI)(測定条件:190℃、2.16kg荷重下)が好ましくは0.01〜150g/10分であり、より好ましくは0.1〜100g/10分である。
ポリエチレン樹脂(C)の溶融指数が前記0.01g/10分未満であると、ポリアセタール樹脂中での分散性が低下し、摩擦摩耗特性の低下や機械物性の低下が生ずる場合がある。一方、前記150g/10分を超えると、摩擦摩耗特性が低下する場合がある。
【0025】
本発明のポリアセタール樹脂組成物におけるポリエチレン樹脂(C)の含有量は、ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対して0.1〜10重量部であり、好ましくは、0.5〜5重量部である。前記10重量部を超えるとポリアセタール樹脂組成物の機械的性能が低下し、一方前記0.1重量部未満では摩擦磨耗特性を相乗的に発揮できる効果が十分ではなくなる。ポリエチレン樹脂(C)は単独で使用してもよく、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。
【0026】
シリコーンオイルは、一般にポリアセタール樹脂との相溶性、親和性が良好ではない。摩擦摩耗特性の要求性能を満たすためには、ある程度のシリコーンオイルの添加量が必要であるが、その一方、添加量が多くなると樹脂組成物を製造後、摺動部品等に成形する際に、樹脂表面に該シリコーンオイルがしみ出てきて、樹脂同士又は樹脂とスクリューとの間ですべりが生じて押出性(計量性)不良が生ずるという問題点がある。
本発明において、このような問題点を改善するために、摩擦磨耗特性の改質剤としてシリコーンオイル(D)とポリエチレンワックス(B)を併用すると共に、特定のポリエチレン樹脂(C)を一定割合配合することにより、ポリアセタール樹脂組成物中においてシリコーンオイル(D)とポリエチレンワックス(B)の分散性を高め、更にこれらの改質剤が樹脂組成物中で有効に保持されるような相乗的な作用効果を奏する結果、シリコーンオイル(D)の使用量が比較的少ない条件下においても極めて高い摩擦摩耗特性を発揮する。
【0027】
上記効果を発揮させるために、本発明のポリアセタール樹脂組成物におけるポリエチレン樹脂(C)の配合割合は、上記範囲が好ましいが、更に高い摩擦摩耗特性が要求される場合には、予めポリエチレン樹脂(C)にシリコーンオイル(D)を分散させた混合物に、他の成分(ポリアセタール樹脂(A)、ポリエチレンワックス(B)等)を混合して溶融・混練して樹脂組成物を得ることが好ましい。このような溶融・混練法を採用した場合、該樹脂組成物を摺動部品等に使用すると磨耗量を顕著に少なくすることができる。
このような溶融・混練方法としては、例えば(i)予め押出機内の上流側でポリエチレン樹脂(C)とシリコーンオイル(D)を溶融・混練し、その下流側で他の成分をサイドフィードするか、又は(ii)予めポリエチレン樹脂(C)とシリコーンオイル(D)を溶融・混練してマスターバッチを成形した後に、該マスターバッチと他の成分を混合して、更に溶融・混練する方法が挙げられる。
【0028】
本発明のポリアセタール樹脂組成物を製造する際に、ポリエチレン樹脂(C)とシリコーンオイル(D)との重量比[(C)/(D)]は、上記範囲内で使用目的に対応して決定することができるが、ポリアセタールを含む樹脂組成物成形品に対する摩擦摩耗特性と金属類に対する摩擦摩耗特性との双方を向上するためには、30/70〜75/25がより好ましく、40/60〜60/40が特に好ましい。
また、ポリエチレンワックス(B)に対するポリエチレン樹脂(C)とシリコーンオイル(D)の総和との重量比[(B)/((C)+(D))]は、0.01〜4が好ましく、0.05〜2がより好ましい。
【0029】
(5)他の添加物等
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲内で、公知の添加剤や充填剤を添加してもよい。本発明に使用することのできる添加剤や充填剤としては、具体的には例えば公知の熱可塑性ポリマー、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、炭素繊維、ガラス繊維、ガラスフレーク、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、チタン酸カリウムウイスカー等が挙げられる。
(6)ポリアセタール樹脂組成物の製造方法
本発明の第一の態様であるポリアセタール樹脂組成物は、公知のポリアセタール樹脂の成形加工法に従って、製造することができる。
混合・混練の各種条件や装置については、特に制限はなく、従来公知の任意の条件、装置を用いればよい。混練は、ポリアセタール樹脂が融解する温度以上、具体的には、原料のポリアセタール樹脂(A)の融解温度以上(一般的には180℃以上)にて、行うことが好ましい。
尚、より高い摩擦摩耗特性が要求される場合には、以下の第二の態様に記載するように、予めポリエチレン樹脂(C)にシリコーンオイル(D)を分散させた混合物に、他の成分を混合して溶融・混練して樹脂組成物を得ることもできる。
【0030】
〔2〕ポリアセタール樹脂組成物の製造方法
本発明の第二の態様である、ポリアセタール樹脂組成物の製造方法は、ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対し、数平均分子量が500〜15000のポリエチレンワックス(B)0.1〜10重量部、数平均分子量が2×10〜50×10のポリエチレン樹脂(C)0.1〜10重量部、及び25℃における動粘度が50×10cSt以上のシリコーンオイル(D)0.1〜5重量部を配合してなるポリアセタール樹脂組成物の製造方法であって、予めポリエチレン樹脂(C)中にシリコーンオイル(D)を分散させた混合物に、更に他の成分を混合して溶融・混練することを特徴とする。
尚、上記第二の態様である、ポリアセタール樹脂組成物の製造方法には、予めポリエチレン樹脂(C)中にシリコーンオイル(D)を分散させた混合物と、更に他の成分を混合して溶融・混練する際に、予め使用する一部のポリエチレン樹脂(C)中にシリコーンオイル(D)を分散させた混合物に、更に残りの他の成分(他の一部のポリエチレン樹脂(C)を含む)を混合して溶融・混練する、製造方法も含まれる。
【0031】
(1)製造装置、製造条件等
第二の態様である、ポリアセタール樹脂組成物の製造方法においては、混合・混練に使用する装置や条件についても、特に制限はなく、従来公知の装置である、ニーダー、バンバリーミキサーや押出機を用いて、公知の条件で成形できる。溶融・混練方法は、ポリアセタール樹脂が融解する温度以上、具体的には、原料のポリアセタール樹脂(A)の融解温度以上(一般的には180℃以上)にて行うことが好ましい。
【0032】
(2)製造方法
予めポリエチレン樹脂(C)(又は使用するポリエチレン樹脂(C)の一部)中にシリコーンオイル(D)を分散させた混合物に、他の成分を混合して溶融・混練すると、得られるポリアセタール樹脂組成物の摩擦摩耗特性は飛躍的に向上する。
このような予めポリエチレン樹脂(C)中にシリコーンオイル(D)を分散させた混合物を得る方法としては、ポリエチレン樹脂(C)中にシリコーンオイル(D)が十分に分散できればよく、特に制限はない。本発明の第二の態様である、樹脂組成物の成形方法としては、(i)予め押出機内の上流側でポリエチレン樹脂(C)とシリコーンオイル(D)を溶融・混練し、その下流側で他の成分をサイドフィードするか、又は(ii)予めポリエチレン樹脂(C)とシリコーンオイル(D)を溶融・混練してマスターバッチを成形した後に、該マスターバッチと他の成分を混合して、更に溶融・混練する方法が挙げられる。
ポリエチレン樹脂(C)中にシリコーンオイル(D)を分散させた混合物は、ポリエチレン樹脂(C)とシリコーンオイル(D)をニーダー、バンバリーミキサーや押出機を用いて混練する公知の方法により製造できる。
【0033】
予めポリエチレン樹脂(C)中にシリコーンオイル(D)を分散させた混合物を得る際の、ポリエチレン樹脂(C)とシリコーンオイル(D)との重量比[(C)/(D)]は、30/70〜75/25が好ましく、40/60〜60/40がより好ましい。この場合、ポリエチレン樹脂(C)とシリコーンオイル(D)との混合物において、ポリエチレン樹脂(C)が連続相を形成していることが好ましい。ポリアセタールを含む樹脂組成物成形品に対する摩擦摩耗特性と金属類に対する摩擦摩耗特性との双方を向上するためには、ポリエチレン樹脂(C)とシリコーンオイル(D)との重量比[(C)/(D)]は上記範囲が好ましい。
また、ポリエチレンワックス(B)に対する全ポリエチレン樹脂(C)とシリコーンオイル(D)の総和との重量比[(B)/((C)+(D))]は、0.01〜4が好ましく、0.05〜2がより好ましい。
【0034】
〔3〕ポリアセタール樹脂摺動部材
以下に、本発明の第三の態様であるポリアセタール樹脂摺動部材について説明する。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、公知のポリアセタール樹脂の成形加工法に従って、成形加工することができる。本発明のポリアセタール樹脂組成物を使用して得られる成形品としては、丸棒、厚板等の素材、シート、チューブ、各種容器、機械、電気、自動車、建材その他の各種部品等のポリアセタール樹脂成形体用途として知られる、種々の製品が挙げられる。
【0035】
中でも本発明のポリアセタール樹脂成形体は、摺動部材として優れた効果を発揮する。具体的には例えば、電気・電子機器、事務機器、自動車、産業機器等の分野で要求される高品質化を目的とした、軸受け、歯車、カム、ローラー、滑り板、プーリー、レバー、ガイド等の摺動部材が挙げられる。
本発明のポリアセタール樹脂摺動部材は、本発明の摺動部材同士はもちろん、他の樹脂製摺動部材や、繊維強化樹脂摺動部材の他、セラミックスや金属製摺動部材との摺動部品としてもよく、その形状や相手材は、従来公知の任意のものから、適宜選択して決定し、使用することができる。
【実施例】
【0036】
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、評価方法、評価に使用した材料等は次の通りである。
(1)動摩擦係数の測定
(i)試験片の成形
評価用のポリアセタール樹脂組成物、及び相手材(下記鋼材(d)を除く)を、シリンダー温度200℃、金型温度80℃の条件下で射出成形により円筒型スラスト試験片(サイズ:外径25.6mm×内径20.0mm×高さ15.0mm)に成形した。但し、ガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレートの場合のみ、シリンダー温度を260℃とした。摺動相手材として下記材料を用いた。
(i−1)自材
自材として、後述する各実施例用樹脂組成物(樹脂組成物(a1))、及び各比較例用樹脂組成物(樹脂組成物(a2))をそれぞれ使用した。
(i−2)相手材
相手材として下記の樹脂(b)、樹脂組成物(c)、及び鋼材(d)を使用した。
(b)ポリアセタール樹脂(樹脂(b))(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:ユピタールF20−03(強化材が含まれない標準ポリアセタール樹脂))
(c)ガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレート樹脂(表1,2中、GF強化PBTと記載する)(組成物(c))(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:ノバデュラン5010G30(ガラス繊維含有量:30重量%))
(d)炭素鋼鋼材(鋼材(d))(JIS G4051:2005規格の機械構造用炭素鋼鋼材S45C、表面粗さRa0.3μm、Rmax2.5μm)
(ii)摩擦摩耗試験機
オリエンテック(株)製、スラスト式摩擦摩耗試験機を用いた。
(iii)評価方法
同一円筒形状の上記射出成形試験片、及び鋼材(d)を、自材と相手材用のスラスト試験片として用いた。前記自材と相手材の端面同士を上部側を自材、下部側を相手材として、突合せ面が水平面となるように配置した。上部側の自材を固定し、下部側の相手材を円周方向に回転させることにより動摩擦係数(μ)を求めた。
測定条件は、温度23℃、湿度50%雰囲気下で、面圧力0.5MPa、回転運動の平均内径の線速度0.1m/秒とした。
【0037】
(2)比摩耗量
上記(1)と同様の円筒型スラスト試験片、及び試験機を用い、温度23℃、湿度50%雰囲気下で、面圧力0.15MPa、平均内径の線速度0.3m/秒にて20 時間走行させ、比摩耗量を求めた。
尚、比摩耗量の単位は[×10−2mm/kg・km]とし、摺動相手材としては、上記(1)と同様に、樹脂組成物(a1)又は樹脂組成物(a2)同士、樹脂(b)、樹脂組成物(c)、及び鋼材(d)とした。また該鋼材相手の場合のみ、面圧力を0.5MPaとした。
尚、樹脂組成物(a1)又は樹脂組成物(a2)同士の場合、比摩耗量は、それぞれ両者(自材側と相手材側)の平均値を表1、2中に記載した。
【0038】
(3)実施例及び比較例で使用したポリアセタール樹脂、ポリエチレンワックス、ポリエチレン樹脂、シリコーンオイルを以下に示す。
(i)ポリアセタール樹脂
A−1:トリオキサンと1,3−ジオキソランとのオキシメチレンコポリマーで、オキシエチレンユニット0.5モル%を含有するポリアセタール樹脂(溶融指数(MI):30g/10分)
尚、MIの測定は、ASTM−D1238(190℃、2.16kg荷重下)に基づく(以下、この項において同じ)。
A−2:トリオキサンと1,3−ジオキソランとのオキシメチレンコポリマーで、オキシエチレンユニット1.5モル%を含有するポリアセタール樹脂(MI:30g/10分)
A−3:トリオキサンと1,3−ジオキソランとのオキシメチレンコポリマーで、オキシエチレンユニット4.0モル%を含有するポリアセタール樹脂(MI:30g/10分)
【0039】
(ii)ポリエチレンワックス
B−1:一般低密度型、酸価0(mgKOH/g)、エチレン−プロピレン共重合タイプ(三井化学(株)製、商品名:ハイワックス410P、分子量4000)
B−2:低酸価型、酸価1(mgKOH/g)(三井化学(株)製、商品名:ハイワックス405MP、分子量4000)
B−3:高酸価型、酸価25(mgKOH/g)(クラリアントジャパン(株)製、商品名:リコワックス522、分子量3000)
【0040】
(iii)ポリエチレン樹脂
C−1:低密度ポリエチレン(密度0.916g/cm、数平均分子量22000)(日本ユニカー(株)製、商品名:NUC−8350、MI:18g/10分)
尚、MIの測定は、JIS K6922−2に基づく(以下、この項において同じ)。
C−2:直鎖低密度ポリエチレン(エチレンとブテンの共重合体、密度0.926g/cm、数平均分子量29000)(日本ユニカー(株)製、商品名:NUC−G5371、MI:12g/10分)
C−3:超低密度ポリエチレン(エチレンとブテンの共重合体、密度0.900g/cm、数平均分子量37000)(日本ユニカー(株)製、商品名:DFDB9042、MI:5g/10分)
【0041】
(iv)シリコーンオイル
D−1:25℃における動粘度100×10cSt(信越化学工業(株)製、ポリジメチルシロキサン、商品名:KF-96-1000000CS)
D−2:25℃における動粘度50×10cSt(信越化学工業(株)製、ポリジメチルシロキサン、商品名:KF-96-500000CS)
D−3:25℃における動粘度15×10cSt(信越化学工業(株)製、ポリジメチルシロキサン、商品名:KF-96-150000CS)
【0042】
[実施例1〜10]
ポリアセタール樹脂、ポリエチレンワックス、ポリエチレン樹脂、及びシリコーンオイルを、表1に示す割合で、スーパーミキサー((株)カワタ製)を用いて混合したのち、二軸押出機〔池貝鉄工(株)製、型式:PCM−30〕を用いて樹脂組成物(樹脂組成物(a1))(ペレット形状物)を得た。続いてこの樹脂組成物からそれぞれ射出成形機を用いて円筒型スラスト試験片を成形し、動摩擦係数、比摩耗量の評価に供した。評価結果を表1に示す。
【0043】
尚、樹脂組成物(ペレット形状物)は、下記の2方法により成形した(比較例1〜6において同じ)。
先ず、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンワックス、ポリエチレン樹脂、およびシリコーンオイルを一括して混合して二軸押出機で溶融・混練して樹脂組成物(ペレット形状物)を成形する方法を表1(表2においても同じ)中「樹脂組成物の製造方法(1)」と記載した。一方、ポリエチレン樹脂とシリコーンオイルとを予め混合・混練して、ポリエチレン樹脂中にシリコーンオイルを分散させたマスターバッチ(ペレット形状物)を得た後、該マスターバッチ(ペレット形状物)とポリアセタール樹脂及びポリエチレンワックスとを混合し、二軸押出機で混練して樹脂組成物(ペレット形状物)を成形する方法を表1中「樹脂組成物の製造方法(2)」と記載した。
【0044】
[比較例1〜6]
実施例に記載したと同様に、各成分を表2に示した割合で混合した後、二軸押出機により溶融・混練して樹脂組成物(樹脂組成物(a2))(ペレット形状物)を成形した。次いでこの樹脂組成物を用いて射出成形により試験片を成形し、評価に供した。評価結果を表2に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
表1、2から、本発明のポリアセタール樹脂組成物を成形して得られた樹脂摺動部材は、本発明のポリアセタール樹脂組成物から成形された摺動部材同士と摺動した場合、及び他の樹脂製摺動部材、繊維強化樹脂組成物製摺動部材、及び金属製摺動部材と摺動した場合にも、動摩擦係数を低く抑え、且つ、本発明のポリアセタール樹脂組成物摺動部材(自材)自身や摺動相手材(相手材)における摩耗量を著しく減少できることが確認された。
また、本発明のポリアセタール樹脂組成物を成形する際に、本発明の第二の態様である、予めポリエチレン樹脂中にシリコーンオイルを分散させた混合物に、他の成分を混合して溶融・混練して、得られたポリアセタール樹脂組成物(実施例1、5)は、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンワックス、ポリエチレン樹脂、及びシリコーンオイルを一括混合して溶融・混練して、得られたポリアセタール樹脂組成物(実施例2、6)とそれぞれ比較するとの摩擦摩耗特性は更に飛躍的に向上することが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対し、数平均分子量が500〜15000のポリエチレンワックス(B)0.1〜10重量部、数平均分子量が2×10〜50×10のポリエチレン樹脂(C)0.1〜10重量部、及び25℃における動粘度が50×10cSt以上のシリコーンオイル(D)0.1〜5重量部を配合してなるポリアセタール樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリエチレンワックス(B)が、エチレン50〜99モル%とα−オレフィン1〜50モル%との共重合体型ポリエチレンワックス(B1)、該ポリエチレンワックス(B1)の酸化変性物(B2)、及び該ポリエチレンワックス(B1)の酸変性物(B3)から選択される1種又は2種以上である請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリエチレン樹脂(C)が、密度0.910〜0.940g/cmの低密度ポリエチレン、エチレンンとα−オレフィンとの共重合により得られる密度0.910〜0.940g/cmの直鎖状低密度ポリエチレン、及び密度0.875g/cm以上で0.910g/cm未満の超低密度ポリエチレンから選ばれる1種又は2種以上である、請求項1または2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項4】
ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対し、数平均分子量が500〜15000のポリエチレンワックス(B)0.1〜10重量部、数平均分子量が2×10〜50×10のポリエチレン樹脂(C)0.1〜10重量部、及び25℃における動粘度が50×10cSt以上のシリコーンオイル(D)0.1〜5重量部を配合してなるポリアセタール樹脂組成物の製造方法であって、予めポリエチレン樹脂(C)中にシリコーンオイル(D)を分散させた混合物に、更に他の成分を混合して溶融・混練することを特徴とする、ポリアセタール樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
前記予めポリエチレン樹脂(C)中にシリコーンオイル(D)を分散させた混合物を得る際の、ポリエチレン樹脂(C)とシリコーンオイル(D)との重量比[(C)/(D)]が30/70〜75/25であり、かつポリエチレンワックス(B)に対する全ポリエチレン樹脂(C)成分とシリコーンオイル(D)成分の総和との重量比[(B)/((C)+(D))]が0.01〜4であることを特徴とする、請求項4に記載のポリアセタール樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物を成形してなる、ポリアセタール樹脂摺動部材。

【公開番号】特開2008−19430(P2008−19430A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154965(P2007−154965)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(594137579)三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 (609)
【Fターム(参考)】