説明

ポリアミド樹脂組成物

【課題】本発明は、ポリアミド樹脂と板状の無機強化材からなる靭性と高温時剛性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリアミド66と、(B)ポリアミド6、ポリアミド610またはポリアミド612から選択された1種とからなり、(A)と(B)の重量比が60:40〜90:10であるポリアミド樹脂と、平均粒径3μm以下の板状の無機強化物を無機灰分量で20〜50重量%含有せしめてなるポリアミド樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリアミド樹脂組成物に関する。具体的には、ポリアミド樹脂と無機強化材からなる靭性と高温時剛性を両立したポリアミド樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ポリアミド樹脂の高剛性化を目的に、ガラス繊維、ガラスビーズ、タルク、マイカ及びクレー等無機強化材が使用されている。これら無機強化材は、高剛性化が図れる反面、引張り伸びや耐衝撃性などの靭性が低下するという問題点がある。そこで、高剛性化と靭性を両立する処方として、ポリアミド6/66共重合体に無機充填材を含有した摩擦溶着用樹脂材料が提案されている。(特許文献1)しかし、共重合化にともない融点が低下するために高温時剛性が低下するという問題点がある。また、ポリアミド6と脂肪族系ポリアミドコポリマー及び/または脂肪族系ポリアミドターポリマーをブレンドしたポリアミド樹脂と無機強化材からなる摩擦溶着成形用樹脂組成物が提案されている。(特許文献2)しかし、ポリアミド6に共重合系ポリマーをブレンドするために、靭性は向上するものの、高温時剛性の低下を解消するには至っていない。
【0003】
前記した高温特性は、ベースポリマーの結晶性や融点の低下が影響している。そこで、結晶性が高く、更に高融点の芳香族系ポリアミドとワラストナイトからなる樹脂組成物が提案されている(特許文献3)。特許文献3に使用される芳香族系ポリアミドは、結晶性及び融点が高いことから高温時剛性が優れる一方で、結晶性が高いために靭性が低下するといった問題点がある。
【特許文献1】特開平9−128772号公報
【特許文献2】特開平11−293105号公報
【特許文献3】特開2001−106908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は上述の問題を解消すること、すなわち、ポリアミド樹脂中にカオリンを凝集することなく均一に分散させ、靭性と高温時剛性を両立させると言う極めて優れた性質を発現するポリアミド樹脂組成物を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の平均粒子径のカオリンをポリアミド樹脂と溶融混練することにより靭性と高温時剛性を両立すると言う極めて優れた性質を発現するポリアミド樹脂組成物を得ることを見出し、本発明に至った。
【0006】
すなわち本発明は、
1.(A)ポリアミド66および、(B)ポリアミド6、ポリアミド610およびポリアミド612から選択された少なくとも1種とからなり、(A)と(B)の重量比が60:40〜90:10であるポリアミド樹脂混合物と、平均粒径3μm以下の板状の無機強化材をポリアミド樹脂混合物と無機強化材の合計を基準として20〜50重量%配合してなるポリアミド樹脂組成物、
2.無機強化材がカオリン、マイカおよびタルクから選択された少なくとも1種であることを特徴とする1記載のポリアミド樹脂組成物、および
3.ポリアミド樹脂組成物の相対粘度が2.3〜4.0であることを特徴とする1または2記載のポリアミド樹脂組成物、
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特定のポリアミド樹脂中に特定の粒子径を有するカオリン、マイカおよびタルクから選択された少なくとも1種を凝集することなく均一に分散させ、靭性と高温時剛性を両立させた樹脂組成物が得られるので、自動車部品、電気・電子部品、建材、家具、日用雑貨品など成形品用に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明で用いるポリアミド樹脂混合物は、(A)ポリアミド66と、(B)ポリアミド6,ポリアミド610およびポリアミド612から選ばれる少なくとも1種の混合物である。
【0010】
ここで、(A)ポリアミド66樹脂は、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸を主たる原料とする重縮合体、(B)ポリアミド6、ポリアミド610またはポリアミド612樹脂は、ラクタム、ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸、ドデカン二酸を主たる原料とするポリアミド樹脂である。
【0011】
また、上記ポリアミド(A)と(B)の組成比は、重量比で60:40〜90:10で用いることができ、より好ましくは、70:30〜90:10である。(A)ポリアミド66の組成比率が、重量比で60未満では、高温時の剛性が大幅に低下し、90を越えると靭性が不足する。
【0012】
ポリアミド樹脂の重合度は、1重量%の98%硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が2.3〜4.0の範囲のものを好ましく用いることができ、より好ましくは、2.5〜3.1の範囲である。相対粘度が、2.3未満では靭性が十分得られず、4.0を超えると流動性が低いために無機強化材を均一に分散させることが出来ず、十分な靭性を得ることが出来ない。
【0013】
本発明におけるポリアミド樹脂組成物の相対粘度とは、ポリアミド樹脂組成物を98%濃度の硫酸に25℃で溶解し、遠心分離器で無機強化材を除去し、ポリアミド樹脂の濃度1重量%で測定した相対粘度である。
【0014】
本発明で用いる無機強化材は、ポリアミド樹脂に一般的に使用される板状の無機強化材であればよく、ガラスフレーク、タルク、カオリン、マイカなどを用いることができる。中でも、平均粒径が微細なカオリン、タルク、マイカが好ましいが、靭性と高温時剛性を両立するためにはカオリンがより好ましい。また、上記無機強化材は、ポリアミド樹脂との密着性を向上させるために、シラン、チタネート、ジルコネート、あるいは他のカップリング剤で処理しているものがより好ましい。
【0015】
無機強化材の平均粒径は、3μm以下のものが用いることができ、より好ましくは2μm以下である。平均粒径が3μmを超えると靭性が低下し、本発明の目的を達成することができない。平均粒径の下限は0.1μmである。
本発明における無機強化材の平均粒径は、液中に固体を分散させ沈降速度の差により粒子径分布を求める液相沈降法液相沈降法により求めた粒度分布から得られる平均粒径である。
【0016】
無機強化材の配合比率は、ポリアミド樹脂混合物と無機強化材の合計を基準として、20〜50重量%配合することができ、より好ましくは30〜40重量%の範囲である。50重量%を超えて配合すると靭性が大幅に低下し、本発明の目的を達成することができない。
【0017】
また、本発明の樹脂組成物には、目的の効果を損ねない範囲で公知の着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、エチレンビスステアリルアミドや高級脂肪酸エステルなどの離型剤、エポキシ化合物、可塑剤、銅化合物などの熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤などの添加剤を含有することができる。銅化合物の具体的な例としては、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫化第二銅、硝酸第二銅、リン酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、サリチル酸第二銅、ステアリン酸第二銅、安息香酸第二銅及び前記無機ハロゲン化銅とキシリレンジアミン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾールなどの錯化合物などが挙げられる。中でも1価の銅化合物、とりわけ1価のハロゲン化銅化合物が好ましく、酢酸第一銅、ヨウ化第一銅などが好ましく用いられる。これら銅化合物の添加量は、通常ポリアミド樹脂100重量%に対して0.01〜2重量であることが好ましく、より好ましくは0.015〜1重量部の範囲であることが好ましい。添加量が多すぎると溶融成形時に金属銅の遊離が起こり、着色により製品の価値を減ずることがある。本発明では、銅化合物と併用する形でハロゲン化アルカリを添加することも可能である。このハロゲン化アルカリ化合物の例としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウム及びヨウ化ナトリウムを挙げることができ、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムが特に好ましい。
【0018】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、2種類以上のポリアミド樹脂と平均粒径3μm以下の無機強化材を溶融混練する方法で製造される。溶融混練の方法には得に制限はなく、ポリアミド樹脂の溶融状態下で機械的せん断を行なうことができればよい。その処理方法もバッチ式または連続式のいずれでも良いが、連続的に製造できる連続式の方が生産性の面から好ましい。具体的な混練装置にも制限はないが、押出機、特に二軸押出機が生産性の面で好ましい。スクリューアレンジにも特に制限は無いが、板状の無機強化材をより均一に分散させるためにニーディングゾーンを設けることが好ましい。また、溶融混練時に発生する水分や、低分子量の揮発成分を除去する目的で、溶融混練装置にベント口を設けることも好ましく用いられる。
【0019】
本発明のポリアミド樹脂組成物は押出成形、射出成形など通常の加工方法で容易に成形品とすることができる。得られた成形品は靭性と高温時剛性を有するため、種々のエンジニアリング部品、構造材料に適している。
【0020】
本発明が好ましく用いられる具体的用途の例としては各種ギア、各種ケース、センサー、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケーススイッチコイルボビン、ハウジング、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品、VTR、テレビ、アイロン、ヘアドライヤー、炊飯器、電子レンジ、音響機器、照明器具、冷蔵庫、エアコン、タイプライター、ワードプロセッサーなどに代表される家庭、事務電気製品部品、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、各種ボルト・ナット、電動工具ハウジング、自転車・三輪車・雪上車などのホイールなどの機械関連部品、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパット摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、ワイヤーハーネスコネクター、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、リレーボックス、ジャンクションボックス、ホイールキャップ、クリップ、ファスナー、エンジンカバー、シリンダヘッドカバー、タイミングベルトカバー、ラジエータータンク、燃料タンク、オイルタンクなどの自動車・車両関連部品、住宅の内装・外装部品、構造材料、サッシ部品などの建築資材、椅子脚などの家具関係部品などが挙げられる。
【実施例】
【0021】
以下実施例により本発明をさらに詳述する。
評価項目と測定方法
相対粘度:98%硫酸濃度中、25℃、遠心分離機で無機強化材を除去、濃度1重量%で測定した相対粘度として求めた。
【0022】
無機灰分量:ISO3451−1、−4の直接灰化法に準じて測定を行った。
【0023】
引張り伸び:射出成形機(日精樹脂工業(株)製NEX1000)を用いて、シリンダー温度290〜300℃、金型温度80℃の条件にて、ISO3167多目的試験片A形を作製しISO527−1、−2に準じて測定(試験速度:5mm/min、つかみ具間距離:115mm)を行った。
【0024】
シャルピー衝撃強さ:射出成形機(日精樹脂工業(株)製NEX1000)を用いて、シリンダー温度290〜300℃、金型温度80℃の条件にて、ISO3167多目的試験片A形を作製しISO179に準じて測定を行った。用いた試験片には、2mm深さのシングルノッチ加工を施し、エッジワイズ衝撃で測定を行った。
【0025】
曲げ弾性率:射出成形機(日精樹脂工業(株)製NEX1000)を用いて、シリンダー温度290〜300℃、金型温度80℃の条件にて、ISO3167多目的試験片A形を作製しISO178に準じて測定(試験速度:2mm/min、支点間距離:64mm)を行った。
【0026】
荷重たわみ温度:射出成形機(日精樹脂工業(株)製NEX1000)を用いて、シリンダー温度290〜300℃、金型温度80℃の条件にて、ISO3167多目的試験片A形を作製しISO75−2に準じて測定(曲げ応力:1.80MPa)を行った。
【0027】
実施例1
(A)ポリアミド66−A(東レ(株)製アミラン、相対粘度2.9)と(B)ポリアミド6−A(東レ(株)製アミラン、相対粘度2.8)を表1の重量比で配合したポリアミド樹脂60重量%とカオリン(巴工業(株)製ポラライト102A)40重量%をタンブラーミキサーでドライブレンドした。
【0028】
その後、2軸押出し機(日本製鋼所(株)製TEX30型)で、シリンダー温度を290℃に設定し、250rpmのスクリュー回転数にて溶融混練し、水冷バスで冷却した後、ストランドカッターでペレット化した。その後、真空乾燥機を用いて真空状態で、処理温度80℃、処理時間12時間の真空乾燥処理を行い、水分含有率を0.07%以下に調整した。
【0029】
得られたサンプルの評価結果は表1に示すとおり。剛性を保持しつつ、靭性と高温時剛性を両立することができた。
【0030】
実施例2〜3
(A)ポリアミド66−Aと(B)ポリアミド6−Aを表1に示した重量比にした以外は実施例1と同じ方法でポリアミド樹脂組成物を得た。
【0031】
得られたサンプルの評価結果は表1にしめすとおり。剛性を保持しつつ、靭性と高温時剛性を両立することができた。
【0032】
実施例4
(B)ポリアミド610(東レ(株)製アミラン、相対粘度2.7)を用いた以外は、実施例1と同じ方法でポリアミド樹脂組成物を得た。
【0033】
得られたサンプルの評価結果は表1にしめすとおり。剛性を保持しつつ、靭性と高温時剛性を両立することができた。
【0034】
比較例1
(B)ポリアミド6−Aを使用しない以外は、実施例1と同じ方法でポリアミド樹脂組成物を得た。
【0035】
得られたサンプルの評価結果は表1にしめすとおり。引張り伸び及びシャルピー衝撃強さが劣っていた。
【0036】
比較例2
(A)ポリアミド66−Aと(B)ポリアミド6−Aを表1に示した重量比にした以外は実施例1と同じ方法でポリアミド樹脂組成物を得た。
【0037】
得られたサンプルの評価結果は表1にしめすとおり。高温時剛性が劣っていた。
【0038】
比較例3
ワラストナイト(キンセイマテック(株)製FPWSH400S)を使用した以外は実施例1と同じ方法でポリアミド樹脂組成物を得た。
【0039】
得られたサンプルの評価結果は表1にしめすとおり。引張り伸び及びシャルピー衝撃強さが劣っていた。
【0040】
実施例5
カオリン(林化成(株)製トランスリンク555)を使用した以外は実施例1と同じ方法でポリアミド樹脂組成物を得た。
【0041】
得られたサンプルの評価結果は表2にしめすとおり。剛性を保持しつつ、靭性と高温時剛性を両立することができた。
【0042】
比較例4
カオリン(林化成(株)製ASP400P)を使用した以外は実施例1と同じ方法でポリアミド樹脂組成物を得た。
【0043】
得られたサンプルの評価結果は表2にしめすとおり。引張り伸び及びシャルピー衝撃強さが劣っていた。
【0044】
実施例6〜7
カオリンの無機強化材配合量を表2にした以外は実施例1と同じ方法でポリアミド樹脂組成物を得た。
【0045】
得られたサンプルの評価結果は表2にしめすとおり。剛性を保持しつつ、靭性と高温時剛性を両立することができた。
【0046】
比較例5〜6
カオリンの無機強化材配合量を表2にした以外は実施例1と同じ方法でポリアミド樹脂組成物を得た。
【0047】
得られたサンプルの評価結果は表2にしめすとおり。比較例5は、高温時剛性が劣り、比較例6は引張り伸び及びシャルピー衝撃強さが劣っていた。
【0048】
実施例8
(A)ポリアミド66−B(東レ(株)製アミラン、相対粘度3.8)と(B)ポリアミド6−B(東レ(株)製アミラン、相対粘度3.9)を使用した以外は実施例1と同じ方法でポリアミド樹脂組成物を得た。
【0049】
得られたサンプルの評価結果は表3にしめすとおり。剛性を保持しつつ、靭性と高温時剛性を両立することができた。
【0050】
実施例9
常法に従い重合した(A)ポリアミド66−C(東レ(株)製アミラン、相対粘度2.3)と(B)ポリアミド6−C(東レ(株)製アミラン、相対粘度2.4)を使用した以外は実施例1と同じ方法でポリアミド樹脂組成物を得た。
【0051】
得られたサンプルの評価結果は表3にしめすとおり。剛性を保持しつつ、靭性と高温時剛性を両立することができた。
【0052】
比較例7
常法に従い重合した(A)ポリアミド66−E(東レ(株)製アミラン、相対粘度4.4)と(B)ポリアミド6−B(東レ(株)製アミラン、相対粘度3.9)を使用し、カオリンの無機強化材配合量を表3にした以外は実施例1と同じ方法でポリアミド樹脂組成物を得た。
【0053】
得られたサンプルの評価結果は表3にしめすとおり。カオリンの分散が十分ではなく、引張り伸び及びシャルピー衝撃強さが劣っていた。
【0054】
比較例8
常法に従い重合した(A)ポリアミド66−D(東レ(株)製アミラン、相対粘度2.0)と(B)ポリアミド6−C(東レ(株)製アミラン、相対粘度2.4)を使用し、カオリンの無機強化材配合量を表3にした以外は実施例1と同じ方法でポリアミド樹脂組成物を得た。
得られたサンプルの評価結果は表3にしめすとおり。引張り伸び及びシャルピー衝撃強さが劣っていた。
【0055】
実施例10
マイカ((株)山口雲母製A−11)を使用した以外は実施例1と同じ方法でポリアミド樹脂組成物を得た。
【0056】
得られたサンプルの評価結果は表3にしめすとおり。剛性を保持しつつ、靭性と高温時剛性を両立することができた。
【0057】
実施例11
タルク(日本タルク(株)製SG−95)を使用した以外は実施例1と同じ方法でポリアミド樹脂組成物を得た。
【0058】
得られたサンプルの評価結果は表3にしめすとおり。剛性を保持しつつ、靭性と高温時剛性を両立することができた。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によるポリアミド樹脂組成物は、特定のポリアミド樹脂組成物と板状の無機強化材を用いて、靭性と高温時剛性を両立することができる。得られたポリアミド樹脂組成物は、自動車部品、電気・電子部品、建材、家具、日用雑貨品に広く使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリアミド66および、(B)ポリアミド6、ポリアミド610およびポリアミド612から選択された少なくとも1種とからなり、(A)と(B)の重量比が60:40〜90:10であるポリアミド樹脂混合物と、平均粒径3μm以下の板状の無機強化材をポリアミド樹脂混合物と無機強化材の合計を基準として20〜50重量%配合してなるポリアミド樹脂組成物。
【請求項2】
無機強化材がカオリン、マイカおよびタルクから選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項3】
ポリアミド樹脂組成物の相対粘度が2.3〜4.0であることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。

【公開番号】特開2008−231406(P2008−231406A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331681(P2007−331681)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】